説明

NOS阻害活性を有するアミノベンゾチアゾール化合物

本発明により、新規のアミノベンゾチアゾール化合物、これらの化合物を含む組成物、および神経保護剤としてのこれらの化合物の使用方法が提供される。特に、本発明で記載の化合物は、脳卒中を治療するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害活性を有する新規のアミノベンゾチアゾール化合物に、これらを含有する薬学用および診断用の組成物にならびにとりわけ神経保護剤としてのその医学的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
酸化窒素(NO)は、血圧の調節を含む正常過程および病理学的過程の双方において、神経伝達において、およびマクロファージ防御系において多様な役割を果たす(Snyder, S. H.,ら、Scientific American, May 1992, 68)。NOは、三つのアイソフォームの酸化窒素シンターゼ(NOS)により合成され、これらのうちの二つは、内皮細胞中のもの(eNOS)と神経細胞中のもの(nNOS)で、恒常性であり、および残りの一つは、マクロファージ細胞中に存在し、誘導性(iNOS)である。これらの酵素はホモ二量体タンパク質であって、L-アルギニンの5電子酸化を触媒し、NOおよびシトルリンをもたらす。それぞれのNOSアイソフォームにより産生されるNOの役割は、全く異なる。個々のNOSアイソフォームの過剰刺激または過剰産生は、敗血性ショック、関節炎、糖尿病、虚血-再灌流傷害、苦痛および種々の神経変性疾患を含む、さまざまな疾患に関与する(Kerwin, J.F. Jr.,ら、J. Med. Chem. 1995, 38, 4343)。例えば、脳虚血におけるNOの役割は、虚血プロセスの進展の段階におよびNOを産生する細胞区画に応じて、保護性または破壊性となり得る(Dalkara, T.,ら、Brain Pathology, 1994, 4, 49)。eNOSにより産生されるNOは、患部の血流を改善する血管拡張因子として作用することにより有益である可能性が高い(Huang, Z.,ら、J. Cereb. Blood Flow Metab. 1996, 16, 981)が、しかしnNOSにより産生されるNOは、結果的に大きな梗塞をもたらす、虚血周辺部の初期の代謝低下の一因となる可能性がある(Hara, H.,ら、J. Cereb. Blood Flow Metab. 1996, 16, 605)。虚血および引き続く再灌流の間に生じる代謝異常により、中枢神経系のいくつかのものを含むさまざまな細胞種においてiNOSを活性化する、さまざまなサイトカインの発現および放出が引き起こされる。NOは、iNOSにより細胞傷害濃度で産生される可能性があり、iNOS濃度の増加は、結果的に大きな梗塞をもたらす、周辺部における進行性組織傷害の一因となる(Parmentier, S.,ら、Br. J. Pharmacol., 1999, 127, 546)。i-NOSの阻害により、ラットで脳虚血損傷が改善することが示されている(Am. J. Physiol., 268, R286 1995)。
【0003】
i-NOSにより産生されるNOは同様に、ある種のサイトカインによる治療および毒素性ショックのような全身性低血圧症を含む、疾患に関与すると考えられる。インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)または腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカインで治療されるガン患者は、マクロファージ、すなわち、誘導性NOS(i-NOS)より産生されるNOに起因した、サイトカインによるショックおよび低血圧症に苦しむことが明らかとされている(Chemical & Engineering News, Dec. 20, 33, 1993)。i-NOS阻害剤は、これを無効にすることができる。i-NOSの選択阻害によるアジュバント関節炎の抑制がEur. J. Pharmacol., 273, p. 15〜24 (1995)に報告されている。
【0004】
n-NOS阻害は同様に、ホルマリンによる後足舐めおよび酢酸による腹部狭窄試験の後期における活性からも明らかなように、痛覚抑制に有効であることが示されている(Br. J. Pharmacol., 110, 219〜224, 1993)。最後に、齧歯類におけるオピオイド離脱症状は、n-NOS阻害により軽減されることが報告されている(Neuropsychopharmacol., 13, 269〜293, 1995を参照されたい)。
【0005】
疾患の治療におけるNOS阻害剤の使用は、例えば、国際公開公報第94/12163号、国際公開公報第93/13066号、国際公開公報第94/12165号、国際公開公報第95/00505号、国際公開公報第95/09619号、国際公開公報第95/09621号、国際公開公報第95/10266号、国際公開公報第95/11231号、国際公開公報第95/11014号、国際公開公報第96/01817号、および国際公開公報第98/50382号に、ならびに欧州特許第446699号、欧州特許第547558号、および欧州特許第558468号に記載されている。
【0006】
NOS阻害剤は、多くの疾患で治療となり得るが、しかし生理的に重要な酸化窒素シンターゼの機能の維持がアイソフォーム選択的阻害剤の開発には必要となる。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
ある種のアミノベンゾチアゾール化合物は、酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害活性を示すことが見出されている。
【0008】
従って、本発明により下記式Iの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグが提供される。

式中、
R1は以下からなる群より選択され、

;
R2はH、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され;
R3はC1〜6アルキル、SC1〜6アルキル、チエニルおよびフラニルからなる群より選択され;
R4はH、C1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルからなる群より選択され;
R5およびR6は独立してHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素はともに3員〜7員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SまたはNR7で置換されてもよく;
R7はH、C1〜6アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R8はH、OH、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R9は、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つまたは二つがOまたはSで置換されていてもよく;
nは1〜6であり;
mは0〜6であり;
oは0〜2であり;
qは0〜6であり; および
R1NH-基はアミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合され、R4がC1〜6アルキルであるという条件で、R1NH-基はアミノベンゾチアゾール環の5位に結合される。
【0009】
本発明の他の局面により、式Iの化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、薬学的組成物が提供される。
【0010】
R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物は、有用なNOS阻害活性を有し、および従って、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状の治療に、またはその危険性を低下させるのに有用である。そのような疾患または病状には、酸化窒素の合成または過剰合成が一因となるものが含まれる。とりわけ、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物は、NOSの神経型アイソフォームの選択的阻害を示す。
【0011】
従って、本発明は、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする細胞または動物に投与する段階を含む、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状の治療方法、またはその危険性の低下方法に関する。本発明には同様に、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療するための、またはその危険性を低下させるための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用が含まれる。さらに、本発明には、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療する、またはその危険性を低下させる薬剤を調製するための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用が含まれる。
【0012】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患および他の病状の例には、片頭痛、可逆性閉塞性気道疾患(例えば、喘息および成人呼吸窮迫症候群(ARDS))を含む炎症性疾患、脳卒中、冠動脈バイパス移植(CABG)、急性および慢性の疼痛、外傷性ショック、再潅流傷害、多発性硬化症、AIDS関連痴呆、神経変性疾患、神経毒性、アルツハイマー病、薬物依存および薬物中毒(例えば、薬物、アルコールおよびニコチンへの依存)、てんかん、不安、頭部外傷、モルヒネ誘導耐性および禁断症状、急性脊髄損傷、ハンチントン病、パーキンソン病、緑内障、黄斑変性、糖尿病性腎症が含まれる。
【0013】
病状は、脳卒中、再潅流傷害、神経変性、頭部外傷、CABG、片頭痛、神経因性疼痛および慢性疼痛であることが好ましい。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになると思われる。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しつつ、例証としてのみ与えられることを理解するべきである。当業者には、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内で種々の変更および変形が明らかになると考えられるためである。
【0015】
本発明の詳細な説明
I. 定義
「C1〜4アルキル」という用語は、本明細書では、1〜4個の炭素原子を含む、直鎖および/または分枝鎖のアルキルラジカルを指し、かつメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt-ブチル等を含む。
【0016】
「C1〜6アルキル」という用語は、本明細書では、1〜6個の炭素原子を含む、直鎖および/または分枝鎖のアルキルラジカルを指し、かつメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、およびペンチル等を含む。
【0017】
「ハロ」という用語は、本明細書では、ハロゲンを指し、かつクロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロ等を含む。
【0018】
「Ph」という用語は、本明細書では、フェニルを指す。
【0019】
「3員〜7員のアザ炭素環」という用語は、本明細書では、1個の窒素原子を含む、飽和炭素環を指し、かつピロリジン、ピペラジン、およびホモピペラジン等を含む。アザ炭素環中の炭素原子の一つが、酸素原子、硫黄原子またはNR7基(式中、R7は式Iに定義される通りである)で置換されてもよい。
【0020】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書では、5〜10個の原子を含み、そのうちの1個〜3個をヘテロ原子またはO、S、NHおよびNC1〜4アルキルからなる群より選択される置換ヘテロ原子とすることができる、単環式および二環式の芳香環を指す。環中の残りの原子は、炭素原子である。ヘテロアリール基の例には、以下に限定されることはないが、ピリジニル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、ベンゾチエニル、およびベンゾフラニル等が含まれる。
【0021】
「C3〜7シクロアルキル」という用語は、本明細書では、3〜7個の炭素原子を含む、飽和炭素環を指し、かつシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含む。本発明のC3〜7シクロアルキル基中の炭素原子の一つまたは二つが、O原子またはS原子で置換されてもよい。
【0022】
「薬学的に許容される」という用語は、動物、とりわけヒトの治療に適するかまたは適合することを指す。
【0023】
「薬学的に許容される酸付加塩」という用語は、本明細書では、本発明の任意の塩基性化合物の任意の無毒性の有機塩または無機塩、またはその中間体のいずれかを指す。適当な塩を形成する無機酸の実例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸のほか、オルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムのような金属塩が含まれる。適当な塩を形成する有機酸の実例には、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸およびサリチル酸のようなモノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸のほか、p-トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸のようなスルホン酸が含まれる。一酸塩基または二酸塩基を形成することができ、かつそのような塩は、水和物、溶媒和物または実質的に無水の形で存在することができる。一般に、本発明の化合物の酸付加塩は、水および種々の親水性有機溶媒にいっそう溶解性であり、かつ一般にその遊離塩基型と比べて高い融点を示す。適当な塩の選択は、当業者に周知であると思われる。その他薬学的に許容されない塩(例えば、シュウ酸塩)は、例えば、本発明の化合物の単離に、実験用に、または薬学的に許容される酸付加塩へ後に変換することを目的に使用することができる。
【0024】
「溶媒和物」という用語は、本明細書では、適当な溶媒の分子が結晶格子に取り込まれた、本発明の化合物を指す。適当な溶媒は、投与用量で生理学的に許容される。適当な溶媒の例は、エタノール、および水等である。水がその溶媒である場合、その分子は「水和物」と呼ばれる。
【0025】
「本発明の(1つまたは複数の)化合物」という用語は、本明細書では、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの(1つまたは複数の)化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグを指す。
【0026】
薬剤の「有効量」または「十分量」という用語は、本明細書では、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を達成するのに十分なその量であり、および、従って、「有効量」は、その薬剤が適用されている状況に依存する。例えば、NOSの阻害剤である薬剤を投与するという状況では、薬剤の有効量は、例えば、薬剤の投与なしで得られる反応と比べてNOS活性の低下を達成するのに十分な量である。
【0027】
本明細書では、および当技術分野において十分に理解されているように、「治療」とは、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の臨床結果には、以下に限定されることはないが、検出可能か検出不可能かを問わず、一つまたは複数の症状または病状の軽減または改善、疾患範囲の縮小、疾患の安定化(すなわち、悪化することのない)状態、疾患の蔓延の予防、疾患の進行の遅延または減速、病状の改善または緩和、および寛解(部分寛解か完全寛解かを問わず)を含めることができる。「治療」とは同様に、治療を受けていない場合に予測される生存と比較した生存の延長を指すこともできる。
【0028】
疾患または疾病の「緩和」とは、疾病を治療していない場合と比べて、疾患または病状の範囲および/または望ましくない臨床症状が軽減されること、および/またはその進行の経時変化が減速されるか延長されることを指す。
【0029】
機能または活性、例えば、NOS活性を「阻害する」または「抑制する」または「減少させる」ことは、関心のある条件またはパラメータを除いてそのほかの点で同じ条件と比べて、または、別の条件と比べて、機能または活性を減少させることである。
【0030】
本明細書では「動物」という用語には、ヒトを含む動物界の全てのメンバーが含まれる。動物はヒトであることが好ましい。
【0031】
本明細書では「細胞」という用語には、複数の細胞が含まれる。細胞への化合物の投与には、インビボ、エクスビボおよびインビトロでの処理が含まれる。
【0032】
II. 本発明の化合物
NOSの阻害を示す新規化合物が提供される。従って、これらの化合物は、NOSの阻害効果が有効な疾患もしくは疾病を治療するのに、またはその危険性を低下させるのに有用である。例えば、本発明の化合物は、脳卒中のような病状を治療するための神経保護剤として有用である。
【0033】
従って、本発明により、下記式Iの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグが提供される。

式中、
R1は以下からなる群より選択され、

;
R2はH、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され;
R3はC1〜6アルキル、SC1〜6アルキル、チエニルおよびフラニルからなる群より選択され;
R4はH、C1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルからなる群より選択され;
R5およびR6は独立してHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素はともに3員〜7員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SまたはNR7で置換されてもよく;
R7はH、C1〜6アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R8はH、OH、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R9は、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つまたは二つがOまたはSで置換されていてもよく;
nは1〜6であり;
mは0〜6であり;
oは0〜2であり;
pは1〜2であり; ならびに
R1NH-基はアミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合され、R4がC1〜6アルキルであるという条件で、R1NH-基はアミノベンゾチアゾール環の5位に結合される。
【0034】
本発明には、R1が以下からなる群より選択される、式Iの化合物が含まれる。

さらに、R1

である場合、R3はC1〜6アルキル、SC1〜6アルキル、チエニルおよびフラニルからなる群より選択される。本発明の態様において、R3はC1〜2アルキル、SC1〜4アルキルおよびチエニルからなる群より選択される。本発明のさらなる態様において、R3はSC1〜2アルキルおよびチエニルからなる群より選択される。または、R1

である場合、R4はH、C1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルからなる群より選択される。本発明の態様において、R4はH、C1〜4アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜4アルキルからなる群より選択される。本発明のさらなる態様において、R4はH、およびC(O)Phからなる群より選択される。
【0035】
本発明において、式Iの化合物には、R2がH、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択される化合物が含まれる。
【0036】
本発明の態様において、R2が式Iの化合物において

である場合、R5およびR6は独立してHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素はともに3員〜7員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SまたはNR7で置換されてもよい。本発明の態様において、R5およびR6は独立してHおよびC1〜4アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素はともに4〜6員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SまたはNR7で置換されてもよい。さらなる態様において、R5およびR6は独立してHおよびCH3からなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素はともに5〜6員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SまたはNR7で置換されてもよい。
【0037】
式Iの化合物には、R7はH、C1〜6アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよい化合物が含まれる。本発明の態様において、R7はH、C1〜4アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールより選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよい。さらなる態様において、R7はH、C1〜4アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールより選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい。さらなる態様において、R7はH、C1〜4アルキル、Ph、ヘテロアリール、およびCH2Phより選択され、Phは、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい。本発明のさらなる態様において、R7はメチルおよびCH2Phより選択される。
【0038】
R2が-(CH2)nR8である場合、R8はH、OH、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよい。本発明の態様において、R8はH、OH、Phおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよい。さらなる態様において、R8はH OH、Ph、およびヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールは、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよい。なお、さらなる態様において、ヘテロアリールは、5員または6員の芳香環である。さらなる態様において、ヘテロアリールは、ピリジル、イミダゾリル、チエニルおよびフラニルより選択される。
【0039】
R2が-(CH2)qR9である場合、R9は、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つまたは二つがOまたはSで置換されていてもよい。本発明の態様において、R9は、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOまたはSで置換されていてもよい。さらなる態様において、R9は、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよいC5〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOまたはSで置換されていてもよい。さらなる態様において、R9は、本明細書のC5〜7シクロアルキルであって、C3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOで置換されてもよい。さらなる態様において、R9は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフランより選択される。
【0040】
本発明には、nが1〜6である、式Iの化合物が含まれる。本発明の態様において、nは1〜4である。さらなる態様において、nは2〜3である。さらなる態様において、nは2である。
【0041】
本発明には同様に、mが0〜6である、式Iの化合物が含まれる。本発明の態様において、mは0〜4である。さらなる態様において、mは0〜2である。
【0042】
式Iの化合物には、oが1〜2である化合物がさらに含まれる。態様において、oは1である。式Iの化合物には、pが1〜2である化合物がさらに含まれる。本発明の態様において、oとpの両方が1である(ピロリジニル環を与えるため)。さらなる態様において、oとpの両方が2である(ピペリジニル環を与えるため)。
【0043】
本発明の態様において、R1

である場合、式Iの化合物には、R3が、アミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合された、SC1〜4アルキルおよびチエニルからなる群より選択される化合物が含まれる。
【0044】
本発明のさらなる態様において、R1

である場合、R4は、アミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合された、HおよびC(O)Phからなる群より選択される。
【0045】
本発明の他の態様において、R1は、アミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合された

である。
【0046】
本発明の具体的な態様において、式Iの化合物には、以下が含まれる:
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-エチルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-プロピルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-イソプロピルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-チオフェンカルボキシミドアミド;
N-[2-(2-ピロリジン-1-イルエチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-2-チオフェンカルボキシミドアミド;
1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-ベンゾイル-チオ尿素;
1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-エチル-チオ尿素;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N5-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,5-ジアミン;
(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオ尿素;
N-[2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-ピリジン-2-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-モルホリン-4-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(3-クロロ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-N6-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン;
1-ベンゾイル-3-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素;
{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素; および
1-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-2-エチル-イソチオ尿素。
【0047】
本発明の化合物が不斉中心を有する場合、例えば、R2

であり且つoが2以外である場合、それらは光学異性体として存在してもよい。そのような光学異性体およびあらゆる比率のその混合物は全て、本発明の範囲内に含まれると理解されるべきである。さらに、本発明は、本発明の化合物の互変異性体の全てにまで及ぶ。
【0048】
一つまたは複数の置換基を含む、上記の基のいずれかに関して、当然のことながら、そのような基には、もちろん、立体的に実行不可能なおよび/または合成的に実行不可能ないかなる置換または置換パターンも含まれることはない。
【0049】
III. 本発明の化合物の調製方法
本発明の他の局面により、本発明の化合物は、当技術分野において確立された方法に類似の方法により調製することができる。従って、本発明の化合物は、例えば、スキーム1〜7に示される反応順序により調製することができる。
【0050】
本発明の化合物(式中、R1

であり且つR3はSC1〜6アルキルである)は、例えば、スキーム1に示されるように、標準的なアルキル化条件の下で、本発明の化合物(式中、R1

であり、R4はHでありおよびR2は下記式Iに定義される通りである)を下記式Bの試薬(式中、LGはハロゲン、好ましくはヨードのような適当な離脱基である)と反応させることにより調製することができる。

【0051】
本発明の化合物(式中、R1

であり且つR3はチエニル、フラニルおよびC1〜6アルキルである)は、例えば、スキーム2に示されるように調製することができる。従って、下記式Cの試薬(式中、R2は式Iに定義される通りである)をエタノールのようなアルコール溶媒中で、式Dまたは式Eの試薬(式中、Qは例えば、フェニルまたはナフチルメチルとすることができ、およびXはOまたはSである)と反応させて、本発明の化合物(式中、R1

であり、ならびにR3はチエニル、フラニルおよびC1〜6アルキルである)を得ることができる。

【0052】
本発明の化合物(式中、R1

であり、R4はC1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルであり、ならびにR2は式Iに定義される通りである)は、例えば、スキーム3に示されるように、下記式Cの試薬(式中、R2は式Iに定義される通りである)から調製することができる。従って、式Cの試薬をテトラヒドロフランのような不活性溶媒中で、好ましくは常温でまたは加熱しながら式Fの試薬(式中、R4はC1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルである)と反応させる。本発明の化合物(式中、R1

であり、R4はHであり、およびR2は式Iに定義される通りである)は、スキーム3に示されるように、標準的な条件(例えば、水酸化ナトリウムのテトラヒドロフラン水溶液)を用いて、本発明の化合物(式中、R1

であり、およびR4はC(O)Phである)の加水分解により調製することができる。

【0053】
本発明の化合物(式中、R1

であり、およびR2は式Iに定義される通りである)は、例えば、スキーム4に示されるように、本発明の化合物(式中、R1

であり、R4はHであり、およびR2は式Iに定義される通りである)をエタノールのような極性溶媒中で、好ましくは還流条件下で、クロロアセトアルデヒドと反応させることにより調製することができる。

【0054】
式Cの試薬(式中、R2は式Iに定義される通りである)は、例えば、スキーム5に示されるように、標準的な条件の下で、式Gの試薬(式中、R2は式Iに定義される通りである)のニトロ基を還元することにより調製することができる。標準的な還元条件は、例えば、還流温度の、極性溶媒(例えば、エタノール)に入れたSnCl2とすることができる。

【0055】
式Gの試薬(式中、R2は、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され、かつR5〜R9ならびにn、m、oおよびpは式Iに定義される通りである)は、例えば、スキーム6に示されるように、標準的なアルキル化条件の下で、式Hの試薬を式Jの試薬(式中、R2は、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され、かつR5〜R9ならびにn、m、oおよびpは式Iに定義される通りである)で処理することにより調製することができる。試薬Hによる試薬Jのアルキル化を達成するための条件には、例えば、試薬JおよびHを、溶媒を加えまたは加えず、任意に適当な塩基の存在下で、加熱することを含めることができる。

【0056】
式Gの試薬(式中、R2はHである)、式Hの試薬および式Jの試薬(式中、R2は、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され、かつR5〜R9ならびにn、m、oおよびpは式Iに定義される通りである)は、市販されている、または当業者に周知の標準的な方法を用いて調製することができる(例えば、後述の本明細書の実施例14〜16を参照されたい)。
【0057】
式Cの試薬(式中、R2は、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され、かつR5〜R9ならびにn、m、oおよびpは式Iに定義される通りである)への他の経路には、スキーム7に示されるように、標準的なアルキル化条件の下で、式Lの試薬(式中、R2は、

-(CH2)nR8および-(CH2)mR9からなる群より選択され、かつR5〜R9ならびにn、m、oおよびpは式Iに定義される通りであり、かつLGはハロ、好ましくはクロロのような適当な離脱基である)との、式Kの試薬の反応が含まれる。得られるニトロ化合物は、上記のような対応するアミノ化合物Cに還元することができる。式Kの試薬は、市販されている、または標準的な方法を用いて調製することができる。

【0058】
式DおよびEの試薬は、市販されている、またはスキーム8に示されるように、対応するシアノ化合物をチオールのQ-SH(式中、Qは、例えば、フェニルまたはナフチルメチルとすることができる)と反応させて、その後、HBrでクエンチングすることにより調製することができる。

【0059】
多くの場合、上記に概説した化学反応は、置換基として結合された反応基のような、反応基による副反応を抑制するため、例えば、保護基の使用により改変される必要があるかもしれない。これは、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」McOmie, J.F.W.(編)、Plenum Press、1973にならびにGreene, T.W.およびWuts, P.G.M.、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991に記載されているように、従来の保護基を用いて行うことができる。
【0060】
本発明の化合物、および本発明の化合物を調製する際の中間体は、その反応混合物から単離することができる、ならびに例えば、抽出、クロマトグラフィー、蒸留および再結晶を含む、従来技術を用いて精製することができる(必要に応じ)。
【0061】
所望の化合物の塩の形成は、標準技術を用いて達成される。例えば、中性化合物を適当な溶媒中にて酸または塩基で処理し、かつ形成された塩をろ過法、抽出法またはその他の適当な方法により単離する。
【0062】
本発明の化合物の溶媒和物の形成は、化合物および溶媒和物に応じて変化するものと思われる。一般に、溶媒和物は、化合物を適当な溶媒に溶解させて、冷却することによって、または反溶媒を用いて溶媒和物を単離することにより形成される。溶媒和物は通常、周囲条件の下で、乾燥されるかまたは共沸される。
【0063】
本発明の化合物の光学異性体の調製は、ラセミ化を引き起こさないような反応条件の下で、適当な光学活性の出発物質の反応により行うことができる。または、それぞれの光学異性体は、標準的な技術、例えば、分別結晶またはHPLCを用いたラセミ混合物の分離により単離することができる。
【0064】
本発明の化合物のプロドラッグは、使用可能なアミノ基を用いて形成される従来のエステルとすることができる。例えば、本発明の化合物においてR2がHである場合、これを塩基の存在下、活性酸(例えば、ピリジン中の酸塩化物)を用いて、および任意に不活性溶媒中で、アシル化することができる。プロドラッグとして使用されている一般的なエステルのなかには、フェニルエステル、脂肪族(C8〜C24)エステル、アシロキシメチルエステル、カルバメートおよびアミノ酸エステルがある。
【0065】
放射標識された本発明の化合物は、当技術分野において周知の標準的な方法により調製することができる。例えば、トリチウムを標準的な技術により、例えば、トリチウムガスおよび触媒を用いて、本発明の化合物に対する適用な前駆物質を水素化することにより、本発明の化合物に組み込むことができる。または、放射性ヨードを含む本発明の化合物は、標準的なヨード化条件、例えば、クロラミン-Tの存在下、ジメチルホルムアミドのような適用な溶媒中の[125I]ヨウ化ナトリウムを使用して、対応するトリアルキルスズ(好ましくはトリメチルスズ)誘導体から調製することができる。トリアルキルスズ化合物は、標準的なパラジウム触媒によるスタニル化条件を使用して、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)の存在下、ジオキサンのような不活性溶媒中のヘキサメチルジスズ、および高温、好ましくは50〜100℃で、対応する非放射性ハロ、好ましくはヨード、化合物から調製することができる。
【0066】
IV. 用途
前述のように、一般式Iを有する新規化合物が調製された。従って、本発明には、NOS活性を阻害するための治療用の方法および組成物におけるその用途、診断アッセイ法におけるその用途ならびに研究手段としてのその用途を含む、式Iの化合物の用途全てが含まれる。
【0067】
本発明の化合物、すなわち、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物は、有用なNOS阻害活性を有し、および従って、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状の治療に、またはその危険性を低下させるのに有用である。そのような疾患または病状には、酸化窒素の合成または過剰合成が一因となるものが含まれる。
【0068】
従って、本発明は、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする細胞または動物に投与する段階を含む、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状の治療方法、またはその危険性の低下方法に関する。本発明には同様に、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療するための、またはその危険性を低下させるための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用が含まれる。さらに、本発明には、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療する、またはその危険性を低下させる薬剤を調製するための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用が含まれる。
【0069】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患および他の病状の例には、片頭痛、可逆性閉塞性気道疾患(例えば、喘息および成人呼吸窮迫症候群(ARDS))を含む炎症性疾患、脳卒中、冠動脈バイパス移植(CABG)、急性および慢性の疼痛、外傷性ショック、再潅流傷害、多発性硬化症、AIDS関連痴呆、神経変性疾患、神経毒性、アルツハイマー病、薬物依存および薬物中毒(例えば、薬物、アルコールおよびニコチンへの依存)、てんかん、不安、頭部外傷、モルヒネ誘導耐性および禁断症状、急性脊髄損傷、ハンチントン病、パーキンソン病、緑内障、黄斑変性、糖尿病性腎症が含まれる。
【0070】
病状は、脳卒中、再潅流傷害、神経変性、頭部外傷、CABG、片頭痛、神経因性疼痛および慢性疼痛であることが好ましい。
【0071】
本発明の化合物、すなわち、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物は、とりわけ、NOSの神経型アイソフォームの選択的阻害を示す。前述のように、脳虚血の間にnNOSアイソフォームにより産生されるNOは、結果的に大きな梗塞をもたらす、虚血周辺部の初期の代謝低下の一因となる可能性がある。従って、本発明により、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の有効量を、それを必要とする細胞または動物に投与する段階を含む、脳卒中の治療方法および/またはその危険性の低下方法が提供される。さらに、脳卒中を治療するための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用、ならびに脳卒中を治療する薬剤を調製するための、R4がC1〜6アルキルであり且つR1NH-基がアミノベンゾチアゾール環の5位に結合されるものを含む、式Iの化合物の使用が提供される。
【0072】
化合物は、当業者が以下の実施例22に記載される方法を使用して、nNOSおよび/またはiNOSおよび/またはeNOSを選択的に阻害する際のその効果について検査されてもよい。さらに、本発明の化合物は、神経保護剤に対する、とりわけ脳卒中に対する標準的な試験法で試験されてもよい(例えば、Am. J. Physiol., 268, R286 1995を参照されたい)。
【0073】
本発明の化合物は、インビボ投与に適した生物学的に適合する形態で、ヒト被検者への投与用の薬学的組成物に製剤化されることが好ましい。従って、他の局面として、本発明により、本発明の化合物を適当な希釈剤または担体との混合剤として含有する薬学的組成物が提供される。
【0074】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で、塩、溶媒和物の形態で、およびプロドラッグとして使用することができる。全ての形態は、本発明の範囲内である。
【0075】
本発明の方法により、記載される化合物またはその塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、当業者には明らかなように、選択される投与経路に応じてさまざまな形態で患者に投与することができる。本発明の化合物は、例えば、経口、非経口、口腔、舌下、鼻腔、直腸、パッチ、ポンプまたは経皮投与により投与することができ、薬学的組成物はそれに応じて製剤化することができる。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、鼻腔、肺内、髄腔内、直腸および局所投与方法が含まれる。非経口投与は、選択の期間にわたる持続注入によるものとすることができる。
【0076】
本発明の化合物は、例えば、不活性希釈剤とともにもしくは吸収可能な可食性担体とともに経口投与することができる、または殻の堅いもしくは軟らかいゼラチンカプセル中に入れることができる、または錠剤に圧縮することができる、またはダイエット食品とともに直接的に取り込むことができる。経口による治療投与の場合、本発明の化合物は、賦形剤とともに取り込むことができる、ならびに摂取できる錠剤、口腔錠、口内錠、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、およびオブラート剤等の形態で使用することができる。
【0077】
本発明の化合物は同様に、非経口的に投与することもできる。本発明の化合物の溶液は、好ましくはヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と混合された、水の中で調製することができる。分散剤は同様に、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSOおよびその混合物の中で、アルコールを加えてまたは加えず、ならびに油の中で調製することもできる。保存および使用の通常の条件下では、これらの製剤には、微生物の増殖を抑制する防腐剤が含まれる。当業者であれば、適当な製剤の調製方法を知っているものと思われる。適当な製剤の選択および調製を目的とした従来の手順および成分は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990-第18版)におよび1999年に出版されたThe United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19)に記載されている。
【0078】
注射用途に適した剤形には、無菌の水溶液または分散剤および無菌の注射剤または分散剤の即時調製用の無菌粉剤が含まれる。いかなる場合でも、剤形は、無菌とする必要があり、かつ注射針通過性が容易となる程度に流動性とする必要がある。
【0079】
鼻腔投与用の組成物は、エアロゾル(煙霧剤)、滴剤、ゲル剤および粉剤として好都合に製剤化することができる。煙霧剤には通常、活性物質の生理学的に許容される水性溶媒または非水性溶媒の溶液または微細懸濁液が含まれ、かつ通常、噴霧装置で使用するためのシール容器(これはカートリッジまたは補充品の形態をとることができる)に無菌の形態として単回用量または複数回用量で与えられる。または、シール容器は、一体型分注器、例えば、使用後の廃棄を意図した、単回用量の鼻吸入器または絞り弁が装着されたエアロゾルディスペンサーとしてもよい。剤形にエアロゾルディスペンサーが含まれる場合、これには、圧縮空気のような圧縮ガスまたはフルオロクロロハイドロカーボンのような有機推進剤とできる、推進剤が含まれると思われる。エアロゾル剤形は同様に、ポンプ噴霧器の形態をとることもできる。
【0080】
口腔投与または舌下投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジ(lozenge)、およびトローチ剤(pastille)が含まれ、その際に、活性成分は、糖、アカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体とともに製剤化される。直腸投与用の組成物は、カカオ脂のような従来の坐剤の基剤を含む坐剤の形態が好都合である。
【0081】
本発明の化合物は、上述のように、単独でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて動物に投与することができ、その割合は、化合物の溶解性および化学的性質、選択の投与経路ならびに標準的な薬務により決定される。
【0082】
本発明の化合物、および/または本発明の化合物を含有する組成物の用量は、多くの要因、例えば、化合物の薬力学的特性、投与方法、受容者の年齢、健康状態および体重、症状の性質および度合い、治療の頻度およびもしあれば、併用療法の種類、ならびに治療される動物における化合物のクリアランス率に応じて変化する可能性がある。当業者は、上記の要因に基づいて適当な用量を決定することができる。本発明の化合物は、最初に適用な用量で投与することができ、臨床反応に依存して、その用量を必要に応じ調節することができる。一般に、満足のいく結果は、本発明の化合物が1日の用量1 mg〜2000 mg(固形として測定すると)でヒトに投与される場合に得ることができる。
【0083】
本発明の化合物を単独でまたはNOS活性を有する他の薬剤と組み合わせてもしくは他の種類の治療(NOSを阻害してもしなくてもよい)と組み合わせて使用して、脳卒中またはNOS阻害効果が有効な他の疾患を治療する、予防するおよび/またはその危険性を低下させることができる。
【0084】
上記の治療用途に加えて、本発明の化合物は同様に、診断アッセイ法で、スクリーニングアッセイ法でおよび研究手段として有用である。
【0085】
診断アッセイ法の場合、本発明の化合物は、NOS活性の同定または検出に有用とすることができる。そのような態様の場合、本発明の化合物を放射標識して(前述の通り)、細胞集団と接触させることができる。細胞に対する放射性同位元素の存在により、NOS活性を示すことができる。
【0086】
スクリーニングアッセイ法の場合、本発明の化合物を使用して、NOSを阻害する他の化合物を同定することができる。研究手段の場合、本発明の化合物は、NOS活性の局在を研究するためのアッセイ法および酵素アッセイ法で使用することができる。そのような情報は、例えば、病気の状態または進行を診断するまたは監視するのに、有用とすることができる。そのようなアッセイ法の場合、本発明の化合物は同様に、放射標識されてもよい。
【0087】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【0088】
実施例
実施例1: ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イルアミン(1.0 g、5.12 mmol)およびSnCl2(4.86 g、25.6 mmol)のエタノール(変性) 15 mL混合液を1時間、還流加熱した。混合液を濃縮し、かつCH2Cl2 100 mLと1.0 N NaOH 50 mLとに分配した。有機層を分離し、かつ水層をCH2Cl2 2x100 mLで抽出した。合わせた有機画分をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させて、黄色の固体を得た。これをEt2Oおよびヘキサンの1:1混合液で洗浄した。収率: 50%。
1H-NMR(アセトン-d6):δ7.14(d,1H,J=8.8 Hz);6.92(d,1H,J=1.9 Hz);6.62(dd,1H,J=1.9, 8.5 Hz)
【0089】
実施例2: 1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-3-ベンゾイルチオ尿素

ベンゾイルイソチオシアネート(0.12 mL、0.91 mmol)をベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例1、150 mg、0.91 mmol)のTHF 10 mL溶液に室温で滴下した。混合液を室温で7時間撹拌し、その後、濃縮した。残渣をEt2Oおよびヘキサンの1:1混合液で洗浄した。収率: 97.3%。

【0090】
実施例3: 1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素

1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-3-ベンゾイル-チオ尿素(実施例2、0.2 g、0.61 mmol)および2.0 N NaOH(0.67 mL、1.34 mmol)のTHF 10 mL懸濁液を4時間、還流加熱した。冷却により、黄色の固体を沈殿させ、これをろ過した。収率: 66.5%。

【0091】
実施例4: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルチオカルボキシミドアミド

ヨウ化メチル(19.4 μL、0.312 mmol)を1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素(実施例3、50 mg、0.312 mmol)のDMF 2 mL溶液に加えた。この溶液にK2CO3(129 mg、0.936 mmol)を加えた。この懸濁液を室温で22時間撹拌した。この反応混合液をCH2Cl2 20 mLで希釈し、かつH2O 5 mLで処理した。有機層を濃縮して、黄色の固体を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10% MeOH:90% CH2Cl2)にかけた。次いで、この生成物をMeOH 2 mLに溶解し、かつ2 M HCl水溶液0.5 mLで処理した。室温で30分後、溶媒を蒸発させて、淡黄色の固体を得た。収率: 35%。

【0092】
実施例5: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-エチルチオカルボキシミドアミド

ヨウ化エチル(25 μL、0.312 mmol)を1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素(実施例3、50 mg、0.312 mmol)のDMF 2.5 mL溶液に加えた。この溶液にK2CO3(129 mg、0.936 mmol)を加えた。この懸濁液を室温で22時間撹拌した。この反応混合液をCH2Cl2 20 mLで希釈し、かつH2O 5 mLで処理した。有機層を濃縮して、黄色の固体を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10% MeOH:90% CH2Cl2)にかけた。次いで、この生成物をMeOH 2 mLに溶解し、かつ2 M HCl水溶液0.5 mLで処理した。室温で30分後、溶媒を蒸発させて、白色の固体を得た。収率: 22%。

【0093】
実施例6: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-プロピルチオカルボキシミドアミド

1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素(実施例3、50 mg、0.312 mmol)、ヨウ化プロピル(30.4 μl、0.312 mmol)、およびK2CO3(129 mg、0.936 mmol)のDMF 2.5 mL混合液を室温で24時間撹拌した。この混合液をCH2Cl2 20 mLで希釈し、かつろ過した。溶媒を除去して、黄色の液体を得た。トルエンを加えて、沈殿物を形成させた。この沈殿物をろ過し、かつ真空下で乾燥させた。収率: 40%。

【0094】
実施例7: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-イソプロピルチオカルボキシミドアミド

1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素(実施例3、50 mg、0.312 mmol)、ヨウ化イソプロピル(31 μl、0.312 mmol)、およびK2CO3(129 mg、0.936 mmol)のDMF 2.5 mL混合液を室温で75時間撹拌した。この混合液をCH2Cl2 20 mLで希釈し、かつろ過した。溶媒を除去して、黄色の個体を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% MeOH:95% CH2Cl2)にかけた。次いで、この生成物をMeOH 2 mLに溶解し、かつ2 M HCl水溶液0.5 mLで処理した。次いで、この溶液をEt2O 10 mLとH2O 5 mLとに分配した。水層を分離して濃縮し、表題化合物を得た。収率: 37%。

【0095】
実施例8: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルカルボキシミドアミド

ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例1、100 mg、0.61 mmol)およびチオアセトイミド酸ナフタレン-2-イルメチルエステルヒドロブロミド(179 mg、0.61 mmol)の無水エタノール8 mL混合液を室温で16時間撹拌した。この反応混合液を濃縮し、かつH2O 5 mLとEt2O 20 mLとに分配した。水層を分離し、かつEt2O 20 mLで洗浄した。この水層を濃縮して、表題化合物を白色の固体として得た。収率: 80%。

【0096】
実施例9: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-チオフェンカルボキシミドアミド

ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例1、50 mg、0.3 mmol)およびチオフェン-2-カルボキシミドチオ酸フェニルエステルヒドロブロミド(91 mg、0.3 mmol)の混合物を室温で17時間撹拌した。この時間経過後に、沈殿物が形成された。この混合物をEt2O 4 mLで希釈してろ過し、表題化合物を得た。収率: 94%。

【0097】
実施例10: N-(2,3-ジヒドロ-N-エチル-2-イミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-エチルチオカルボキシミドアミド

1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)チオ尿素(実施例3、30 mg、0.187 mmol)、ヨウ化エチル(15 μl、0.18 mmol)およびK2CO3のDMF 1 mL懸濁液を密閉管中、85℃で24時間加熱した。約20当量のヨウ化エチルを24時間にわたり加えた。この反応混合液をH2Oで希釈し、かつCH2Cl2 2x20 mLで処理した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、かつ蒸発させて、黄色の残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7.5% MeOH:92.5% CH2Cl2)にかけた。収率: 57.2%。

【0098】
実施例11: 6-ニトロ-2-(2-ピロリジン-1-イル-エチルアミノ)ベンゾチアゾール

2-クロロ-6-ニトロベンゾチアゾール(250 mg、1.16 mmol)および2-ピロリジン-1-イル-エチルアミン(0.59 mL、4.66 mmol)の混合物を100℃で4時間加熱し、その後、60℃で16時間加熱した。この時間経過後に、反応混合物をろ過し、かつ沈殿物をH2O 2x5 mLで洗浄した。この固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7.5% MeOH:92.5% CH2Cl2)にかけて、表題化合物を黄色の残渣として得た。収率: 20.6%。

【0099】
実施例12: 6-アミノ-2-(2-ピロリジン-1-イル-エチルアミノ)ベンゾチアゾール

6-ニトロ-2-(2-ピロリジン-1-イルエチルアミノ)ベンゾチアゾール(実施例11、50 mg、0.17 mmol)およびSnCl2(161 mg、0.85 mmol)のエタノール(変性)20 mL懸濁液を4時間、還流加熱した。冷却後、この混合液を酢酸エチル50 mLと1.0 N NaOH水溶液20 mLとに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ濃縮して、黄色の残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5% 2 M NH3/MeOH:95% CH2Cl2)にかけた。収率: 65%。

【0100】
実施例13: N-[2-(2-ピロリジン-1-イルエチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-2-チオフェンカルボキシミドアミド

エタノール(変性)3 mLに入れた6-アミノ-2-(2-ピロリジン-1-イル-エチルアミノ)ベンゾチアゾール(実施例12、28 mg、0.11 mmol)およびチオフェン-2-カルボキシミドチオ酸フェニルエステルヒドロブロミド(32 mg、0.11 mmol)を室温で20時間撹拌した。溶媒を除去し、かつ残渣をH2O 5 mLとEt2O 10 mLとに分配した。水層を濃縮して、表題化合物を得た。

【0101】
実施例14: 1-ベンゾイル-3-(2-フルオロ-5-ニトロ-フェニル)-チオ尿素

THF 10 mLに、ベンゾイルイソチオシアネート(0.43 mL、3.2 mmol)とともに4-フルオロ-3-ニトロアニリン(0.5 g、3.2 mmol)を加えた。得られた溶液を室温で17時間撹拌し、その後、この反応混合物にヘキサンを加えた。得られた沈殿物をろ過により回収して、ベージュ色の固体(0.752 g、74%)を得た。

【0102】
実施例15: 5-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イルアミン

メタノール溶液(1.6 L)にナトリウムメトキシド(8.64 g)を加えた。撹拌しながら、1-ベンゾイル-3-(2-フルオロ-5-ニトロ-フェニル)-チオ尿素(16 g)を固形物として加え、かつこの混合液を室温で17時間撹拌した。この時間経過後に、反応混合物を氷浴中で冷却し、その後、ろ過した。その沈殿物を水で洗浄した(7.10 g、86%)。

【0103】
実施例16: 5-アミノ-ベンゾチアゾール-2-イルアミン

エタノール溶液(36 mL)に5-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イルアミン(実施例15、78 mg、0.35 mmol)および塩化スズ(II)二水和物(449 mg、2 mmol)を加えた。得られた混合液を80℃で4時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、かつ溶媒を除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、かつ1.5N NaOH水溶液50mLに注ぎ、かつ酢酸エチル(3 x 30 mL)により抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮して、固体(43 mg、66%)を得た。

【0104】
実施例17: 1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-ベンゾイル-チオ尿素

無水THF溶液(6.7 mL)に、5-アミノ-ベンゾチアゾール-2-イルアミン(実施例16、100 mg、0.61 mmol)およびベンゾイルイソチオシアネート(0.08 mL、1当量)を加えた。得られた混合液を室温で2時間撹拌し、その後、溶媒を蒸発させ、かつ残渣をエーテル/ヘキサンの1:1混合液で洗浄した(0.164 g、83%)。

【0105】
実施例18: (2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオ尿素

無水メタノール溶液(213 mL)に、ナトリウムメトキシド(1.15 g)および1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-ベンゾイル-チオ尿素(実施例17、3.5 g)を加えた。得られた混合液を室温で3時間撹拌した。この混合液を濃縮し、かつ残渣を水(300 mL)に注ぎ込んだ。この混合液を酢酸エチル(3 x 200 mL)により抽出した。合わせた有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しかつ濃縮した(1.61 g、67%)。

【0106】
実施例19: 1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-エチル-チオ尿素

実施例19の尿素(50 mg)の無水DMF(2.5 mL)溶液に、ヨウ化エチル(18 μL)およびK2CO3(138 mg)を加えた。得られた混合液を室温で22時間撹拌した。この混合液を水(25 mL)に注ぎ込み、かつジクロロメタン(3 x 25 mL)により抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。残渣を10%メタノールおよび90%ジクロロメタンの溶液を用いた、シリカゲルのクロマトグラフにかけた(18.8 mg、45%)。

【0107】
実施例20: N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオフェン-2-カルボキサミジンヒドロブロミド

アミノ尿素化合物(実施例18、35 mg、0.21 mmol)のエタノール(1.4 mL)溶液に、チオフェン-2-カルボキシミドチオ酸フェニルエステルヒドロブロミド(63.7 mg、0.21 mmol)を加えた。この混合液を室温で17時間撹拌し、その後、ジエチルエーテルで希釈した。淡黄色の沈殿物をろ過により回収した(64.8 mg、93%)。

【0108】
実施例21: N5-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,5-ジアミン

エタノール溶液(12 mL)に、クロロアセチルアルデヒド(0.12 mL、0.94 mmol)とともに尿素化合物(実施例18、50 mg、0.22 mmol)を加えた。得られた混合液を24時間、還流加熱した。次いで、この混合液を室温まで冷却し、かつ溶媒を蒸発させた。水(25 mL)を残渣に加え、かつ炭酸ナトリウム溶液を用いて、pHを9に調整した。この混合液を酢酸エチル(3 x 15 mL)により抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した(18.8 mg、33%)。

【0109】
実施例22(a): [2-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

2-クロロ-6-ニトロ-ベンゾチアゾール(200 mg、0.93 mmol)を撹拌棒および隔壁付きの15 mlバイアルの中に入れた。このバイアルをアルゴンでパージし、かつDMF(1.0 ml)を入れた。ジイソプロピルエチルアミン(0.37 ml、2当量)を加えることで、赤色の溶液が生じた。2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミン(186 mg、1当量)のDMF(1.0 ml)溶液を注射器により加えた。次いで、この暗色の溶液をアルミニウムブロックの中で110℃まで30分間加熱した。この混合液を氷浴中で冷却し、かつ激しく撹拌しながら水(10 ml)で希釈した。暗色の沈殿物が生じた。10分間撹拌した後、さらに水5 mlを加え、その後、生成物を真空ろ過により回収した。この生成物を蒸留水(2 x 10 mL)で洗浄し、かつ吸引により乾燥させた。この試料を高真空下(0.8トル(torr)、110℃、20時間)で乾燥させて、固体(198 mg、61%)を得た。

【0110】
同様の方法で、以下のさらなる化合物を調製した。
(b) (6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-アミン

収率: 黄色の固体(179 mg、69%)。

【0111】
(c) (6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-エチル)-アミン

収率: 黄色の固体(145 mg、52%) 。

【0112】
実施例23(a): 4-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イルアミノ)-ブタン-1-オール

4-アミノ-1-ブタノール(172 μl、2当量)、2-クロロ-6-ニトロ-ベンゾチアゾール(200 mg、0.93 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1 ml)を入れたオーブン加熱用バイアルの中に、DMF(5 ml)を加えた。暗褐色の混合液を100℃で2時間加熱した。冷却後、この混合液を水20 mlで希釈し、かつ酢酸エチル(50 ml)で抽出した。酢酸エチルの層を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、その後、蒸発させて、暗色の残渣を得た。この残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(7% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、所望の生成物(45 mg、18%)を得た。

【0113】
同様の方法で、以下のさらなる化合物を調製した。
(b) [2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

収率: 固体80 mg(30%)。


【0114】
(c) (3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

収率: 70 mg(25%)。

【0115】
(d) [2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

収率: 433 mg(70%)。
【0116】
実施例24: (1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

2-クロロ-6-ニトロ-ベンゾチアゾール(200 mg、0.93 mmol)を撹拌棒および隔壁付きの15 mlバイアルの中に入れた。このバイアルをアルゴンでパージし、かつDMF(1.0 ml)を入れた。ジイソプロピルエチルアミン(0.37 ml、2当量)を加えることで、赤色の溶液が生じた。アミノ-4-ベンジルピペリジン(177 mg、1当量)のDMF(1.0 ml)溶液を注射器により加えた。次いで、この暗色の溶液をアルミニウムブロックの中で110℃まで30分間加熱した。この混合液を氷浴中で冷却し、かつ激しく撹拌しながら水(10 ml)で希釈した。化合物が油状となって現れた。酢酸エチル(25 ml)を加え、引き続いて2 M NaOH(5 ml)を加え、かつ層を振り混ぜ、かつ分離させた。水層を酢酸エチル(25 ml)で抽出した。合わせた有機画分を塩水(2x24 ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させて、褐色の油状物を得た。この油状物をシリカゲルのクロマトグラフィー(2% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)により精製して、黄色の泡状物(166 mg、47%)を得た。

【0117】
実施例25(a): [2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

2-アミノ-6-ニトロ-ベンゾチアゾール(0.50 g、2.56 mmol)、2-(2-クロロ-エチル)-1-メチル-ピロジリンハイドロクロライド(0.57 g、1.2当量)およびK2CO3(1.06 g、3当量)を入れた耐圧瓶に、乾燥DMF(5 mL)を加えた。この混合液を130℃で24時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合液を水(100 ml)に注ぎ込み、かつ酢酸エチル(3 x 100 mL)で抽出した。合わせた有機画分をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。その残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(10% アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけた(177 mg、23%)。

【0118】
同様の方法で、以下のさらなる化合物を調製した。
(b) N,N-ジメチル-N'-(6-ニトロ-1H-インデン-2-イル)-エタン-1,2-ジアミン

同様の方法で、2-アミノ-6-ニトロ-ベンゾチアゾールおよび2-クロロエチルアミンハイドロクロライドから、表題化合物をシリカのクロマトグラフィーの後に得た(215 mg、32%)。

【0119】
実施例26: (2-モルホリン-4-イル-エチル)-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン

水(9.0 ml)に入れた2-クロロ-6-ニトロベンゾチアゾール(1.00 g、4.66 mmol)の混合液に、2-モルホリン-4-イル-エチルアミン(2.45 ml、18.6 mmol)を加えた。暗色の反応混合液を4.5時間、アルゴンの下で撹拌および還流させた。その時点で、反応液は、色が赤褐色になった。次いで、混合液を65℃まで冷却し、かつさらに17.75時間撹拌した。次いで、室温まで冷却後、沈殿物を吸引ろ過により回収して、黄色の固体(377 mg、26%)を得た。

【0120】
実施例27(a): N2-(2-ピリジン-2-イル-エチル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-エチル)-アミン(実施例22(c)、46.6 mg、0.155 mmol)および塩化スズ(II)二水和物(175 mg、5 当量)およびエタノール(試薬用、5 mL)を密閉管中、88〜90℃で4時間加熱した。この溶液を3 N NaOH(3 mL)および酢酸エチル(5 ml)で希釈した。層を分離し、かつ水層を酢酸エチル(2x 5 mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出液をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させた。その固体をシリカゲルのクロマトグラフィー(5% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、緑色の泡状物を得た。収率(37.3 mg、89%)。

【0121】
同様の方法で、以下のさらなる化合物を調製した。
(b) N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

同様の方法で、(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(実施例24)から、黄色の油状物をクロマトグラフィー(5% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)による精製後に得た(42.3 mg、81%)。

【0122】
実施例28: N2-[2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチル]-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

エタノール5 mlに、[2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(実施例25(a)、177.4 mg、0.577 mmol)および塩化スズ(II)二水和物(948 mg、5 当量)を加えた。得られた溶液を4時間、環流加熱した。室温まで冷却後、この混合液を1.5N NaOH水溶液 100 mLに注いだ。この混合液を酢酸エチル(3 x 100 mL)により抽出した。合わせた有機画分をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。この残渣を10% 2 Mアンモニア/メタノールのジクロロメタン溶液による、シリカゲルのクロマトグラフィーにかけた(98.4 mg、62%)。

【0123】
実施例29: N2-(2-ジメチルアミノ-エチル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

エタノール(6.7 ml)に溶解したN,N-ジメチル-N'-(6-ニトロ-1H-インデン-2-イル)-エタン-1,2-ジアミン(実施例25(b)、200 mg、0.75 mmol)の溶液に、塩化スズ(II)二水和物(1.23 mg、5 当量)を加えた。得られた混合液を4.5時間、環流した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発させた。その残渣を1.5N NaOH水溶液 100 mLと酢酸エチル(100 mL)とに分配した。水層を酢酸エチル(2 x 100 mL)で抽出した。合わせた有機画分をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムのクロマトグラフィー(10% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、アニリン(98.2 mg、56%)を得た。
【0124】
実施例30: 4-(6-アミノ-ベンゾチアゾール-2-イルアミノ)-ブタン-1-オール

ニトロ化合物(実施例23(a)、83 mg、0.31 mmol)のエタノール(6 ml)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(350 mg、1.55 mmol)を加えた。この反応混合液をアルゴン下で2.5時間、環流加熱した。この溶液を室温まで冷却し、かつ酢酸エチル(50 mL)で希釈した。有機層を3N NaOH(3 x 30 mL)で抽出した。有機抽出液をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。得られた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(5% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)により精製して、暗黄色の固体(72 mg、98%)を得た。

【0125】
実施例31: N2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

ニトロ化合物(実施例23(c)、50 mg、0.16 mmol)のエタノール(3 ml)およびTHF(2 ml)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(190 mg、0.84 mmol)を加えた。この溶液をアルゴン下で3.5時間、環流加熱した。この溶液を室温まで冷却し、かつ酢酸エチル(50 mL)で希釈した。この溶液を3N NaOH(3 x 30 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。得られた油状物をシリカのクロマトグラフィー(10% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)により精製して、所望の生成物(32.4 mg、74%)を得た。
【0126】
実施例32: N2-[2-(3-クロロ-フェニル)-エチル]-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

ニトロ化合物(実施例23(d)、432 mg、1.29 mmol)のエタノール(5 ml)およびTHF(3 ml)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(1.46 g、6.47 mmol)を加えた。この溶液を3.5時間、環流撹拌した。この溶液を室温まで冷却し、かつ3N NaOH(3 x 30 mL)で抽出した。有機抽出液をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。得られた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(2.5% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)により精製して、暗黄色の固体(168 mg、43%)を得た。
【0127】
実施例33(a): N2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(実施例22(a)、108.5 mg、0.364 mmol)および塩化スズ(II)二水和物(411 mg、5 当量)を、隔壁および撹拌棒の付いたフラスコの中に入れた。このフラスコをアルゴンでパージし、かつエタノール(試薬用、10 ml)を加えた。次いで、その黄色の溶液を5時間、還流し、かつ溶媒を蒸発させた。その濃い黄色の油状物を酢酸エチル(20 ml)に溶解し、かつ3 N水酸化ナトリウム溶液(3 x 5 mL)で抽出した。水層を酢酸エチル(10 ml)で抽出し、かつ合わせた抽出液をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ濃縮した。赤色の油状物をシリカゲルのクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/:酢酸エチル)により精製した。収量: 71.2 mg。

【0128】
同様の方法で、以下のさらなる化合物を調製した。
(b) N2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

実施例22(b)から得た。黄色の固体(34.1 mg、64%)。

【0129】
実施例34: N2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチル]-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチル]-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(実施例23(b)、80 mg、0.28 mmol)のエタノール(5 ml)およびTHF(1.5 ml)溶液に、塩化スズ(II)二水和物(312 mg、5 当量)を加えた。この混合液を2時間、環流加熱した。この反応溶液を室温まで冷却し、かつ酢酸エチル(50 mL)で希釈し、次に2M NaOH溶液(20 mL)で処理した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、かつ濃縮して、黄色の残渣を得た。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10〜15% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、最終生成物(41 mg、56%)を得た。

【0130】
実施例35: N2-(2-モルホリン-4-イル-エチル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

(2-モルホリン-4-イル-エチル)-(6-ニトロ-ベンゾチアゾール-2-イル)-アミン(実施例26、250 mg、0.81 mmol)および塩化スズ(II)二水和物(914 mg、5 当量)のエタノール(30 ml)混合液を6時間、環流加熱した。この反応混合液を濃縮し、1.0 N NaOH溶液(50 ml)で処理し、かつ酢酸エチル(2 x 100 mL)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濃縮し、かつシリカゲルクロマトグラフィー(10% 2 Mアンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、所望のアミン(175 mg、77%)を得た。LCMS分析(アセトニトリル水、C18シリカ)により、純度99.9%が示された。MS(M+1、279)。
【0131】
実施例36: アミジンの調製
実施例13に記載される手順により、以下の化合物を調製した。
(a) N-[2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例33(b)から得た。収量: 黄色の油状物22 mg。

【0132】
(b) N-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例33(a)から得た。収率: ベージュ色の固体30.4 mg、63%(HBr塩)。分析試料は、シリカゲルクロマトグラフィー精製(2.5% 2 Mアンモニア/メタノールのジクロロメタン溶液)により調製した。

【0133】
(c) N-[2-(2-ピリジン-2-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例27(a)から得た。収率: 黄色の固体42.5 mg、67%(HBr塩)。分析試料は、シリカゲルクロマトグラフィー(5% 2 Mアンモニア/メタノールのジクロロメタン溶液)を用いた精製により得られ、黄色の油状物を得た。

【0134】
(d) N-[2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例27(b)から得た。収率: 固体52.4 mg、0.09 mmol、79%(HBr塩)。遊離塩基の調製は、メタノール(1 ml)に溶解し、酢酸エチル(10 ml)で希釈し、かつ飽和重炭酸ナトリウム溶液(5 ml)で洗浄して行った。水層を酢酸エチルで抽出し、かつ合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、かつ濃縮して、黄色の油状物(41.1 mg、0.09 mmol)を得た。

【0135】
(e) N-{2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例34から得た。収率: 黄色の固体27 mg(49%)。

【0136】
(f) N-[2-(2-モルホリン-4-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例35から得た。収率: 黄色の固体115 mg(82%)。

【0137】
(g) N-[2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例29から得た。収率: 油状物76 mg(77%)。

【0138】
(h) N-{2-[2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例28から得た。収率: 123 mg(93%)。

【0139】
(i) N-{2-[2-(3-クロロ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例32から得た。収率: 光沢のある金色の固体130 mg(48%)。

【0140】
(j) N-[2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例30から得た。収率: 暗い黄褐色の油状物44.9 mg(35%)。

【0141】
(k) N-[2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン

実施例31から得た。収率: 濃い黄色の油状物38 mg(78%)。

【0142】
実施例37: 1-ベンゾイル-3-[2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオ尿素

N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例27b、39 mg、0.12 mmol)をベンゾイルイソチオシアネート(17 μl、1.1当量)の乾燥THF溶液とともに、アルゴン下、室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、黄色の油状物を得た。この油状物をシリカゲルのクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、黄色の油状物(60.7 mg、100%)を得た。
【0143】
実施例38: [2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオ尿素

1-ベンゾイル-3-[2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオ尿素(実施例37、29 mg、0.058 mmol)をアルゴンでパージしたフラスコの中に入れた。THF(3 ml)を加え、引き続いて2 M NaOH(0.13 ml、4.4当量)を加えた。この混合液を44時間、還流加熱した。溶媒を蒸発させた。この混合液を水(2 ml)および酢酸エチル(10 ml)で希釈した。層を分離し、かつ水層(NaClで飽和)を酢酸エチル(2 x 10 mL)で抽出した。合わせた有機画分をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させて、黄色の油状物を得、これを高真空下で一晩乾燥させた(粗収量: 25.2 mg)。この生成物を次のステップ(実施例39)で直接使用した。
【0144】
実施例39: N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-N6-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン

N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例27(b)、25.2 mg、0.063 mmol)および50%水性クロロアセトアルデヒド(20 μL)の混合液をエタノール中で5時間、還流させた。さらに70μLを加えて24時間、その後、室温で3日間、継続して還流させた。溶媒を除去し、かつ生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(2.5〜10% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)にかけて、黄色の油状物(10.3 mg、39%)を得た。

【0145】
実施例40: 1-ベンゾイル-3-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素

N2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン(実施例33(a)、71 mg、0.205 mmol)をテトラヒドロフラン(3 ml)に溶解した。ベンゾイルイソチオシアネート(20 μl、1.1当量)を加え、かつこの混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、黄色の固体を得た。この固体をCH2Cl2(5 ml)に溶解し、かつシリカゲルに吸収させた。吸収された化合物をシリカカラムに充填し、かつ酢酸エチル/ヘキサン(1:1)の混合液で溶出させて、黄色の固体(99 mg、95%)を得た。

【0146】
実施例41: {2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素

1-ベンゾイル-3-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素(実施例38、71.1 mg、0.139 mmol)をテトラヒドロフラン(3 ml)に溶解した。NaOH水溶液(2 M、0.3 ml)を加え、かつ混合液をアルゴンの下で44時間、還流させた。この混合液を室温まで冷却し、かつ溶媒を蒸発させた。水(2 ml)および酢酸エチル(10 ml)を加え、かつ層を分離した。抽出の前に、水層をNaClで飽和させた。酢酸エチルをさらに10 ml加え、かつ層を分離した。合わせた抽出液をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させて、黄色の固体(51.3 mg、91%)を得た。
【0147】
実施例42: 1-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-2-エチル-イソチオ尿素

{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオ尿素(実施例39、51.3 mg、0.126 mmol)を乾燥DMF(0.5 ml)に溶解した。ヨウ化エチル(11 μl、1.1当量)を加え、かつその黄色の溶液を室温で23時間撹拌した。この溶液を酢酸エチル(10 ml)で希釈し、かつ氷水(2 ml)、引き続いて冷塩水(3x 2 mL)で抽出した。この生成物をMgSO4で乾燥し、ろ過しかつ蒸発させて、黄色の油状物を得た。この生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(5% 2 M アンモニア/メタノールのCH2Cl2溶液)により精製して、イソチオ尿素(12.5 mg、23%)を得た。この生成物をメタノール(1.0 ml)に溶解し、かつ1.0 M HClのエーテル(4 ml)溶液で酸性にした。橙色の沈殿物をろ過により回収し、かつヘキサンで洗浄した(6.0 mg、10%)。MS(M+1、435、437)。
【0148】
実施例43: nNOSおよびiNOS酵素アッセイ法
NOSによる酸化窒素の生成は、ヘモグロビン捕捉アッセイ法により測定した(Proc. Natl. Acad. Sci., U. S. A. 1990, 87, 714)。nNOS用のアッセイ混合液には、100 mM Hepes (pH 7.5)溶液の中に10 mM L-アルギニン、1.6 mM CaCl2、11.6 mg/mL カルモジュリン、100 mM NADPH、6.5 mM BH4および3 mMオキシヘモグロビンが含まれた。iNOS用の反応混合液には、100 mM Hepes (pH 7.5)の中に10 mM L-アルギニン、100 mM NADPH、6.5 mM BH4および3 mMオキシヘモグロビンが含まれた。アッセイ法は全て、最終容量を600 mLとし、かつ酵素で開始させた。酸化窒素はオキシヘモグロビンと反応して、メトヘモグロビンを生ずる。これをPerkin-Elmer Lamda 10 UV/vis分光光度計にて401 nm(e = 19,700 M-1cm-1)で検出する。
【0149】
本発明の化合物によるNOSのIC50および阻害率は、本発明の化合物の濃度変化を使用して、上記のヘモグロビン捕捉アッセイ法による初速度測定条件の下で決定した。この結果を表1に示す。
【0150】
実施例44: NMDA攻撃に対するラット皮質細胞の神経保護
ラット皮質神経培養物を以前に報告されている手順(J Neurosci. 2000 Oct 1; 20(19):7183〜92)に従い、試験化合物を入れたまたは入れていない、25 μM NMDAの緩衝液に30分間さらした。試験化合物は、神経保護を見いだす機会を最大限にするため、プレインキュベーションの60分間、加えておいた。24時間後、培養物をヨウ化プロピジウムで処理し、かつ細胞死の割合(%)を決定した。
【0151】
図1は、ラット皮質細胞をN-{2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジンと60分間プレインキュベートする場合、NMDA攻撃の間に観測される神経保護を図解する。図2は、ラット皮質細胞をN-[2-(2-モルホリン-4-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジンと60分間プレインキュベートする場合、NMDA攻撃の間に観測される神経保護を図解する。
【0152】
本発明を、現在、好ましい実施例であると考えられるものと関連させて記載してきたが、当然のことながら、本発明は、開示されている実施例に限定されることはない。それとは反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に含まれる、種々の変形および等価な処理を網羅するように意図される。
【0153】
全ての刊行物、特許書類および特許出願書類は、それぞれ個々の刊行物、特許書類または特許出願書類が具体的かつ個別に、その全体が参照として組み入れられることが示されるかのごとく、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0154】
(表1)本発明の化合物によるNOSのIC50(μM)

【図面の簡単な説明】
【0155】
本発明をここで添付の図面と関連させて説明する。
【図1】ラット皮質細胞をN-{2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジンと60分間プレインキュベートする場合、NMDA攻撃の間に観測される神経保護を図解する棒グラフである。
【図2】ラット皮質細胞をN-[2-(2-モルホリン-4-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジンと60分間プレインキュベートする場合、NMDA攻撃の間に観測される神経保護を図解する棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ:

式中、
R1が以下からなる群より選択され、

;
R2がH、

からなる群より選択され;
R3がC1〜6アルキル、SC1〜6アルキル、チエニルおよびフラニルからなる群より選択され;
R4がH、C1〜6アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜6アルキルからなる群より選択され;
R5およびR6が独立してHおよびC1〜6アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素がともに3員〜7員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SもしくはNR7で置換されてもよく;
R7がH、C1〜6アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R8がH、OH、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Ph、ナフチルおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよく;
R9が、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜3個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つまたは二つがOまたはSで置換されていてもよく;
nが1〜6であり;
mが0〜6であり;
oが0〜2であり;
pが1〜2であり; ならびに
R1NH-基が、R2がHである場合、R4がC1〜6アルキルではないという条件で、アミノベンゾチアゾール環の5位または6位に結合される。
【請求項2】
R3がC1〜2アルキル、SC1〜4アルキルおよびチエニルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R3がSC1〜2アルキルおよびチエニルからなる群より選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R4がH、C1〜4アルキル、Ph、C(O)Phおよび-C(O)C1〜4アルキルからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
R4がH、およびC(O)Phからなる群より選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R5およびR6が独立してHおよびC1〜4アルキルからなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素がともに4〜6員のアザ炭素環を形成し、その際に環中の炭素原子の一つがO、SもしくはNR7で置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R5およびR6が独立してHおよびCH3からなる群より選択されるか、またはR5およびR6ならびにこれらに結合する窒素がともに5〜6員のアザ炭素環を形成する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R7がH、C1〜4アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールより選択され、Phおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R7がH、C1〜4アルキル、Ph、ヘテロアリール、CH2Ph、およびCH2ヘテロアリールより選択され、Phおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R7がH、Ph、C1〜4アルキルおよびCH2Phより選択され、Phが、C1〜4アルキル、ハロ、OH、OC1〜4アルキル、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R7がH、C1〜2アルキル、Ph、およびCH2Phより選択され、Phが、メチル、ハロ、OH、メトキシ、NH2、NHMe、NMe2、ニトロおよびシアノからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
R7がメチルおよびCH2Phより選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R8がH、OH、Phおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよい、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
R8がH、OH、Phおよびヘテロアリールからなる群より選択され、Phおよびヘテロアリールが、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよい、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
ヘテロアリールが、5員または6員の芳香環である、請求項13〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
ヘテロアリールが、ピリジル、イミダゾリル、チエニルおよびフラニルより選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R9が、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個〜2個の基で置換されていてもよいC3〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOまたはSで置換されていてもよい、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
R9が、C1〜4アルキル、ハロ、NH2、NH(C1〜4アルキル)、N(C1〜4アルキル)(C1〜4アルキル)、ニトロ、シアノ、OHおよびOC1〜4アルキルからなる群より独立して選択される1個の基で置換されていてもよいC5〜7シクロアルキルであり、ならびにC3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOまたはSで置換されていてもよい、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
R9が、本明細書のC5〜7シクロアルキルであり、C3〜7シクロアルキル中の炭素原子の一つがOで置換されていてもよい、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
R9が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロフランより選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項21】
nが1〜4である、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
nが2である、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
mが0〜2である、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項24】
mが0である、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
oとpの両方が1である(ピロリジニル環を与えるため)、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
oとpの両方が2である(ピペリジニル環を与えるため)、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項27】
R1

である、請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
R1

である、請求項1〜26のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
以下からなる群より選択される、請求項1記載の化合物:
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-エチルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-プロピルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-イソプロピルチオカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-メチルカルボキシミドアミド;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-6-イル)-2-チオフェンカルボキシミドアミド;
N-[2-(2-ピロリジン-1-イルエチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-2-チオフェンカルボキシミドアミド;
1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-ベンゾイル-チオウレア;
1-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-3-エチル-チオウレア;
N-(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N5-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,5-ジアミン;
(2-アミノ-ベンゾチアゾール-5-イル)-チオウレア;
N-[2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-ピリジン-2-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(3H-イミダゾール-4-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-モルホリン-4-イル-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(2-ジメチルアミノ-エチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(1-メチル-ピロリジン-2-イル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-{2-[2-(3-クロロ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(4-ヒドロキシ-ブチルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N-[2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イル]-チオフェン-2-カルボキサミジン;
N2-(1-ベンジル-ピペリジン-4-イル)-N6-チアゾール-2-イル-ベンゾチアゾール-2,6-ジアミン;
1-ベンゾイル-3-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオウレア;
{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-チオウレア; および
1-{2-[2-(4-ブロモ-フェニル)-エチルアミノ]-ベンゾチアゾール-6-イル}-2-エチル-イソチオウレア。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項31】
R2がHであり且つR4がC1〜6アルキルであるものを含む、請求項1〜29のいずれか一項記載の化合物の有効量を、それを必要とする細胞または動物に投与する段階を含む、NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状の治療方法、またはその危険性の低下方法。
【請求項32】
NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療するための、またはその危険性を低下させるための、R2がHであり且つR4がC1〜6アルキルであるものを含む、請求項1〜29のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項33】
NOS活性の阻害効果が有効な疾患もしくは病状を治療する、またはその危険性を低下させる薬剤を調製するための、R2がHであり且つR4がC1〜6アルキルであるものを含む、請求項1〜29のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項34】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患または病状が、片頭痛、可逆性閉塞性気道疾患(例えば、喘息および成人呼吸窮迫症候群(ARDS))を含む炎症性疾患、脳卒中、冠動脈バイパス移植(CABG)と関連した神経障害、急性および慢性の疼痛、神経因性疼痛、外傷性ショック、再潅流傷害、多発性硬化症、AIDS関連痴呆、神経変性疾患、神経毒性、アルツハイマー病、薬物依存および薬物中毒(例えば、薬物、アルコールおよびニコチンへの依存)、てんかん、不安、頭部外傷、モルヒネ誘導耐性および禁断症状、急性脊髄損傷、ハンチントン病、パーキンソン病、緑内障、黄斑変性、糖尿病性腎症からなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患または病状が、脳卒中、再潅流傷害、神経変性、頭部外傷、CABGと関連した神経障害、片頭痛、神経因性疼痛および慢性疼痛からなる群より選択される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患または病状が、片頭痛、可逆性閉塞性気道疾患(例えば、喘息および成人呼吸窮迫症候群(ARDS))を含む炎症性疾患、脳卒中、冠動脈バイパス移植(CABG)と関連した神経障害、急性および慢性の疼痛、神経因性疼痛、外傷性ショック、再潅流傷害、多発性硬化症、AIDS関連痴呆、神経変性疾患、神経毒性、アルツハイマー病、薬物依存および薬物中毒(例えば、薬物、アルコールおよびニコチンへの依存)、てんかん、不安、頭部外傷、モルヒネ誘導耐性および禁断症状、急性脊髄損傷、ハンチントン病、パーキンソン病、緑内障、黄斑変性、糖尿病性腎症からなる群より選択される、請求項32または33記載の使用。
【請求項37】
NOS活性の阻害効果が有効となり得る疾患または病状が、脳卒中、再潅流傷害、神経変性、頭部外傷、CABGと関連した神経障害、片頭痛、神経因性疼痛および慢性疼痛からなる群より選択される、請求項36記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−501210(P2006−501210A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526539(P2004−526539)
【出願日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001185
【国際公開番号】WO2004/014885
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(305031534)ニューラクソン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】