説明

NOx吸蔵触媒コンバータの再生方法

本発明は、内燃機関(1)の排気管(3)に配置されたNOx吸蔵触媒(4)を再生する方法に関する。本方法によれば、NOx吸蔵触媒(4)の出力側の排気ガスの窒素酸化物濃度が所定の解放閾値を超えた場合には、内燃機関(1)に導入された空気−燃料混合物の空気比λに対して一定値が第1の再生段階(11)において固定される。第2の再生段階(12)は、第1の再生段階(11)に続く。本発明によれば、空気比λの時間変化率dλ/dtは、NOx吸蔵触媒(4)を流れる排気ガスの質量流量に応じて、又は排気ガス質量流量に接続された内燃機関動作変数に応じて、第2の再生段階(12)で調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段の特徴を有する内燃機関の排気管に配置されたNOx吸蔵触媒コンバータを再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、内燃機関の排気管に配置されたNOx吸蔵触媒コンバータを再生する方法が記載されている。NOx吸蔵触媒コンバータは、特に、空気/燃料混合物がリーン状態とリッチ状態との間を交互に入れ替わる状態で動作し、主に内燃機関を備える自動車に用いられる。リーンな空気/燃料混合物での動作中には、例えば、NOx吸蔵触媒コンバータの触媒材料中に存在する炭酸バリウムは、排気ガスから酸化時に窒素酸化物(NOx)を除去し、固形硝酸バリウムを形成する。また、これにより触媒材料にかかる負荷が時間と共に増加するために、適宜、NOx吸蔵触媒コンバータを再生する必要がある。この工程は、硝酸塩の再生として知られ、ある一定の時間だけリッチな空気/燃料混合物で内燃機関を動作させることにより行われる。硝酸バリウムは、還元剤を含有する結果として生じた排気ガス中では不安定であり、コンバータ装置内で再度分解して炭酸バリウムを形成し、NOxを放出する。その後、NOxは、NOx吸蔵触媒コンバータに付与された貴金属構成材で、排気ガス中に存在する還元剤(H、CO、及びHC)により還元され、主に無害な窒素(N)を形成するようになる。
【0003】
特許文献1の明細書に記載された、NOx吸蔵触媒コンバータの再生方法では、NOx吸蔵触媒コンバータの出力側の排気ガス中の窒素酸化物濃度が予め決定可能な閾値を超えた場合に、NOx吸蔵触媒コンバータの再生が開始される。この場合、再生は、内燃機関に送られた空気/燃料混合物が比較的大幅に濃くされている第1の段階と、内燃機関に送られた空気/燃料混合物が比較的それほど濃くされていない第1の段階に続く第2の段階とを含む。
【0004】
したがって、上述した方法を用いて長期に亘ってNOxのレベルを低減するには、リーン状態とリッチ状態との間で内燃機関の動作を交互に行う必要があるが、硝酸塩の再生動作に必要なリッチ燃焼動作は、リーン燃焼で達成される内燃機関による燃費という観点の利点を低減させてしまうことに留意されたい。したがって、燃費という観点では、リーン燃焼動作にかかる時間の割合をできるだけ高くするほうがよい。このため、再生期間は、できるだけ短くする。他方、NOx吸蔵触媒コンバータの再生は、再生後に前記吸蔵触媒コンバータができるだけ多くの窒素酸化物を吸蔵可能とするように、できるだけ完全に行われることが望ましい。ただし、エミッションの観点から、有害な還元剤が漏れ出すことは、回避されるべきである。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10113947A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、できるだけ効率的及び効果的にNOx吸蔵触媒コンバータを再生する方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、請求項1の特徴を有する方法により本発明によって達成される。
【0008】
本発明に係る方法においては、NOx吸蔵触媒コンバータの出力側で排気ガス中の窒素酸化物濃度の設定閾値を越えた場合に、再生動作が開始される。この場合、まず、内燃機関で燃焼された空気/燃料混合物において空気/燃料比λが一定値をとる第1の再生モードが実行される。この第1の再生モードに続いて、本発明によれば、空気/燃料比λが可変値をとる第2の再生モードが実行される。第2の再生モードでは、空気/燃料比λの時間変化率λ/dtが、NOx吸蔵触媒コンバータを流れる排気ガスの質量流量に応じて、又は排気ガスの質量流量と関連する内燃機関動作変数に応じて設定されるようになる。また、ここでは、ラムダ値と称される空気/燃料比(空気過剰率)は、通常の方法で、内燃機関に供給される空気/燃料混合物、又は排気ガス中における酸素の含量及び燃料又は還元成分の含量の理論空燃比を意味するものとして理解される。記号λは、内燃機関に供給された空気/燃料混合物が理論空燃比に対してより下回って選択される。この場合、再生動作の際に内燃機関に供給される空気/燃料混合物は、λ≦1.0のラムダ値、すなわち、好ましくは、理論空燃比の又は還元性の空気/燃料混合物が設定される。
【0009】
空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtが、NOx吸蔵触媒コンバータを流れる排気ガスの質量流量に、又は排気ガスの質量流量に関連する内燃機関動作変数に依存する方法は、好ましくは、第2の再生モードにおいて、比較的小さな質量流量の排気ガスの場合には還元剤の含量が一時的に上昇する排気ガスを、より大きな質量流量の排気ガスの場合には還元剤の含量が一時的に減少する排気ガスを、NOx吸蔵触媒コンバータに供給するように選択される。加えて、この依存性は、好ましくは、対応する自動車の通例の駆動状態で、次第に増加するラムダ値が第2の再生段階の過程に亘って生じるように選択される。したがって、再生が続く間では、還元剤の需要が次第に減少することが考慮される。よって、過度な還元剤の供給や、その結果引き起こされる還元剤の漏出もまた回避される。少量の質量流量の排気ガスがある場合にラムダ値が減少されて設定されるため、還元剤が触媒コンバータの体積中で費やす期間は、少量の質量流量の排気ガスがある場合に増加し、したがって、還元剤は、高濃度であっても完全に変換されることが可能であり、これにより、還元剤の漏出が回避される。
【0010】
本発明の改良形態では、第1の再生モードは、予め決定可能な第1の時間後に終了される。第1の再生モードでは、λ=約0.8の比較的低い空気/燃料比が設定される。また、第1の再生モード(第1の再生段階)を維持する時間は、NOx吸蔵触媒コンバータの体積にも依存し、好ましくは、比較的短く、例えば約1秒となるように選択される。NOx吸蔵触媒コンバータの再生の第1の段階の時間及びラムダ値は、コンバータが比較的多量の窒素酸化物又は酸素を未だ吸蔵しているならば、大部分の吸蔵された窒素酸化物又は吸蔵された酸素をすでに減少させるように好ましくは選択され、これにより、還元剤の漏出が回避される。予め決定可能で好ましくは固定して適用された第1の再生段階の期間及び空気/燃料比の値を選択するのには、リーン燃焼吸蔵段階が終了した後に、最小量の窒素酸化物がNOx吸蔵触媒コンバータに吸蔵されることを考慮する。
【0011】
本発明の更なる改良形態では、第2の再生モードは、予め決定可能な第2の時間後に終了される。第2の時間は、好ましくは、固定して適用され、NOx吸蔵触媒コンバータの吸蔵容量を考慮すると、吸蔵された窒素酸化物の大部分がこの再生段階が終了する際に低減されるように選択される。
【0012】
本発明の更なる改良形態では、第3の再生モードにおいて、空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtは、排気ガスの質量流量に応じて、又は排気ガスの質量流量と関連する内燃機関動作変数に応じて、及びNOx吸蔵触媒コンバータの出力側で排気管に配置されたラムダプローブの測定値に応じて設定される。この場合には、ラムダプローブは、排気ガスのラムダ値に依存する信号を供給するセンサを意味するものと理解される。好ましくは、ラムダプローブの機能を有するNOxセンサが使用可能である。加えて、NOx吸蔵触媒コンバータの出力側に存在する排気ガスのラムダ値を考慮することにより、特に、再生の進度が、結果として内燃機関の空気/燃料比の設定により確実に検出され考慮され得る。したがって、NOx吸蔵触媒コンバータに還元剤が過剰に供給されこれに関連して還元剤が漏出してしまうのを避けることができる。このことは、特に、たった少量の窒素酸化物でもNOx吸蔵触媒コンバータに吸蔵されている場合など、再生の終盤において重要である。
【0013】
第3の再生モードは、第2の再生モードに代わって設定され得るものであり、本発明の更なる改良形態によれば、第3の再生モードは、好ましくは、第2の再生モードが終了した直後に設定される。
【0014】
本発明の更なる改良形態では、空気/燃料比λの設定は、予め決定可能な下限値λmin及び上限値λmaxを有する値範囲に限定される。この手段により、まず、空気/燃料比の急激な下降、よって還元剤の漏出を回避することが可能となる。第2に、空気/燃料比が著しく上昇し、これにより、特定の状況下によっては、再生に好ましいリッチな範囲がかなり外れてしまい、そのため再生がもはや起こらないということが回避される。好ましくは、下限値λminに達すると、空気/燃料比は、増加する排気ガスの質量流量により再び空気/燃料比の上昇が始まるまで、下限値に維持される。これに対して、好ましくは、空気/燃料比の上限値λmaxに達すると、減少する排気ガスの質量流量により再び空気/燃料比の下降が始まるまで、この下限値に空気/燃料比を維持するようになされる。
【0015】
本発明の更なる改良形態では、NOx吸蔵触媒コンバータの再生を開始する閾値が予め決められており、空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtがNOx吸蔵触媒コンバータの経時変化を表す経時変化係数に応じて設定される。経時変化を表す経時変化係数は、好ましくは、NOx吸蔵触媒コンバータの現NOx吸蔵容量から、更には経時変化していない状態のNOx吸蔵触媒コンバータのNOx吸蔵容量との比較から導出される。現NOx吸蔵容量は、例えば、リーン吸蔵段階中に窒素酸化物の漏出を測定し、それを内燃機関からの窒素酸化物の未処理エミッションと比較することにより、決定することができる。この場合には、NOx吸蔵触媒コンバータの吸蔵容量を、例えば、回転速度、負荷、及び/又は排気ガス温度などに関する予め決定可能な参照条件で決定し、それを同条件下で経時変化していないNOx吸蔵触媒コンバータについて予め決定した参照値と比較すると良い。
【0016】
閾値をNOx吸蔵触媒コンバータの経時変化状態と一致させることで、経時変化によりNOx吸蔵容量の降下が引き起こされるようになる。好ましくは、NOx吸蔵触媒コンバータは、年を経るにつれて、閾値が低くなる。したがって、再生動作は、より低い吸蔵容量が考慮されるより短い間隔で生じる。第2又は第3の再生段階では、空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtを経時変化に依存する設定とすることにより、吸蔵された窒素酸化物の経時変化により規定された減少量に達すると、これに対応して再生が適合されるようにすることができる。好ましくは、NOx吸蔵触媒コンバータが年を経ると、排気ガスの特定の質量流量で空気/燃料比λがより大きく変化する可能性があり、再生期間が短縮される。
【0017】
以下、添付図面及び関連する実施例を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、基本的な概略図中に、吸気ライン2を備える内燃機関1と、内部にNOx吸蔵触媒コンバータ4が配置された排気管3と、電子式エンジン制御ユニット7とを示している。内燃機関1は、本明細書では、リーン燃焼モードで動作可能な4気筒火花点火機関の一例として設計されている。排気管では、第1の排気ガス測定プローブ5及び第2の排気ガス測定プローブ6がNOx吸蔵触媒コンバータ4の上流側及び下流側に配置され、これらの信号線8が電子式エンジン制御ユニット7につながっている。また、電子式エンジン制御ユニット7は、エンジンの運転パラメータを設定及び検出するために、内燃機関1に信号線9により接続されている。なお、説明を分かりやすくするため、噴射弁、燃料供給、排気ガス再循環、吸気調節などの内燃機関の動作を制御する更なる装置については、図示されていない。電子式エンジン制御ユニット7は、エンジンの回転速度、関連する自動車の現走行速度、変速機の選択された変速段などの更なる動作変数を検出するためのセンサに接続されているが、これもまた図示されていない。しかしながら、電子式エンジン制御ユニット7は、内燃機関1及び関連する自動車の動作状態を検出し、適切な場合にはその動作状態に影響を及ぼす通例の可能性を有するものであるということは当然である。さらに、NOx吸蔵触媒コンバータ4の上流側に好ましくは配置され、例えば酸化触媒コンバータとして設計される最初の触媒コンバータなどの更なる排気ガス清浄構成部材(ここでは、図示せず)を用いても良いことは言うまでもない。
【0019】
排気ガス測定プローブ5及び6は、好ましくは、以下、排気ガスラムダλと呼ばれる排気ガスの空気/燃料比を検出する「ラムダプローブ」として、排気管3の対応箇所に設計される。第2の排気ガス測定プローブ6として、排気ガス中の窒素酸化物含量とその中の空気/燃料比の両方を決定することができる組み合わせNOx/ラムダプローブを用いることが特に好ましい。同様に、第2の排気ガス測定プローブ6を、空気/燃料比がλ=1.0近傍の狭い範囲で非常に急勾配な特性曲線を有する「2進ラムダプローブ」として設計することも有利である。第1の排気ガス測定プローブ5は、好ましくは、エンジンに送られる空気/燃料混合物の空気/燃料比λを調整するのに用いられる。ここでは、流れの方向から見て、排気管3に設けられた第1の排気ガス触媒コンバータの上流側に、第1の排気ガス測定プローブを配置すると有利である。
【0020】
以下、排気ガス測定プローブ5及び6の測定信号が戻されている状態でNOx吸蔵触媒コンバータ4の再生を実行するのに有利な実施形態について説明する。この説明のために、図2中に示された空気/燃料比λの典型的プロファイルが記された図面を用いる。各値は、測定値として、ラムダプローブ5により提供することができる。
【0021】
スイッチは、リーン吸蔵段階0から始まり、3つの異なる再生モードが設定される3つの連続する再生段階11、12、及び13からなる再生モードとなされる。第3の再生段階13が終了すると、スイッチは、さらにリーンな吸蔵段階14に再び戻る。
【0022】
NOx吸蔵触媒コンバータ4の再生は、好ましくは、排気ガス測定プローブ6によりNOx吸蔵触媒コンバータの出力側で検出された窒素酸化物濃度が閾値に到達した際に、電子式エンジン制御ユニット7により開始される。窒素酸化物濃度は、排気ガスの現材の質量流量mExhaust gasで評価されることが可能であり、これにより、NOx吸蔵触媒コンバータ4の出力側での窒素酸化物の質量流量が得られる。そして、窒素酸化物の質量流量が対応する閾値に到達すると、再生動作が開始される。同様に、リーンな吸蔵段階10の間に窒素酸化物の質量流量を積分することが有利であり、その結果、リーンな吸蔵段階中の窒素酸化物の漏出の積分値が得られる。この場合、窒素酸化物の漏れの積分値が閾値に達した際に、再生が開始される。以下、再生の典型的なプロファイルについて説明する。
【0023】
再生が開始されると、第1の再生段階11では、まずλ=約0.8の比較的リッチな空気/燃料比を有する第1の再生モードが、好ましくは、急に設定され、予め決定可能な第1の時間、維持される。この第1の時間は、好ましくは、電子式エンジン制御ユニット7にプログラムされるものであり、ほぼ1秒である。しかしながら、NOx吸蔵触媒コンバータ4の吸蔵容量や経時変化に順応して第1の時間を適合させ、適切な場合には、それを変更し、好ましくは短縮することができる。以下、この点についてより詳細に説明する。
【0024】
第1の再生段階11の第1の時間が経過すると、第2の再生段階12は、第2の再生モードに移行し、この第2の再生モードにおいて、空気/燃料比λが排気ガスの質量流量mExhaust gasに応じて変化する。このため、空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtを、NOx吸蔵触媒コンバータ4を流れる排気ガスの質量流量mExhaust gasに応じて設定するようになされる。しかしながら、排気ガスの質量流量mExhaust gasの関数の代わりに、例えば、エンジンの回転速度及び/又はエンジン負荷などの排気ガスの質量流量mExhaust gasと関連する内燃機関動作変数を用いても良い。空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtは、好ましくは、電子式エンジン制御ユニット7に保存された特性図に応じた排気ガスの質量流量mExhaust gasに応じて設定される。しかしながら、エンジン制御ユニット7に保存された関数依存性もまた、空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtを設定するのにも用いられる。例えば、図3の図形式で直線的な依存性が示される。
【0025】
以下、NOx吸蔵触媒コンバータ4の再生の連続順序を、図1〜図3を参照して説明する。本明細書では、空気/燃料比λへの時間変化率dλ/dtの依存性を、dλ/dt=f(mExhaust gas)で説明する。なお、図3の図面に示された直線的依存性とは異なり、排気ガスの質量流量mExhaust gasへの空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtの関数依存性もとり得るものであることは当然である。例えば、段階的依存性も有利である。これは、数値の表の形態で、又は特性図の形態で、電子式エンジン制御ユニット7に保存することができる。各場合において、依存性dλ/dt=f(mExhaust gas)は、通例のエンジン動作状態下で空気/燃料比λの漸進的な上昇を生じるように提供される。
【0026】
図3に示された依存性によれば、空気/燃料比の変化dλ/dtに対して負の値が割り当てられ、よって空気/燃料比λの下降が設定される排気ガスの質量流量mExhaust gasについて、ある数値範囲が存在する。同様に、空気/燃料比の変化dλ/dtに対して正の値が割り当てられ、よって空気/燃料比λの上昇が設定される排気ガスの質量流量mExhaust gasについても、ある数値範囲が存在する。図2に示した空気/燃料比のプロファイルの一例によれば、時間区間15、17、及び19において、図3に示した依存性にしたがって空気/燃料比λが上昇する排気ガスの質量流量mExhaust gasが存在する。これに対して、時間区間18では、図3に示した依存性にしたがって空気/燃料比λが下降する排気ガスの質量流量mExhaust gasが存在する。これらに対して、時間区間16では、図3に示した依存性にしたがって一定の空気/燃料比λが設定される排気ガスの質量流量mExhaust gasが存在する。しかしながら、好ましくは、例えば、λmax=0.95などの予め決定可能な上限値λmax、又は、例えば、λmin=0.8などの予め決定可能な下限値λminに空気/燃料比λが達していない場合のみに、空気/燃料比λの上昇又は下降が設定される。
【0027】
これらに対応する手順は、図4に示したフローチャートで明確にされる。したがって、第2の再生段階12に入った後、ステップ22において、空気/燃料比λが予め決定可能な下限値λminよりも大きいか否かが問われる。そうでない場合、一定の空気/燃料比λが機能ブロック23により設定される。空気/燃料比λが予め決定可能な下限値λminよりも大きい場合には、ステップ24が続けられ、空気/燃料比λが予め決定可能な上限値λmaxよりも小さいか否かが問われる。そうでない場合、一定の空気/燃料比λが機能ブロック23により設定される。さもなければ、機能ブロック25では、空気/燃料比の変化dλ/dtが、例えば、図3の図面に示された依存性にしたがって、排気ガスの質量流量mExhaust gasに対してプログラムされた関数的な依存性dλ/dt=f(mExhaust gas)に応じて保証される。
【0028】
第2の再生段階12は、好ましくは、電子式エンジン制御ユニットにプログラムされた第2の時間の後に終了となり、図4に示された連続的な実行が終了される。ただし、NOx吸蔵触媒コンバータの吸蔵容量又は経時変化に順応して第2の時間を釣り合わせ、適切な場合には、それを変更し、好ましくは短縮することもできる。
【0029】
第2の再生段階12の第2の時間が終了した後には、第3の再生段階13に移行される。後者では、空気/燃料比λを設定する第3の再生モードでは、排気ガスの質量流量mExhaust gasに加えて、NOx吸蔵触媒コンバータ4の出力側で検出された排気ガスの空気/燃料比λ、又はこれに関連する第2の排気ガス測定プローブ6の出力信号が考慮される。このため、検出された排気ガスの空気/燃料比λから第1の補正係数kを導出するように提供されることができる。この補正係数は、例えば、空気/燃料比に比例するものであり、この補正係数に、依存性dλ/dt=f(mExhaust gas)に応じて空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtに対して上述したように決定される値が乗算される。空気/燃料比λに比例する第1の補正係数kの場合には、第3の再生段階13の始めにおいて空気/燃料比λの値にその比例を関連付けることが有利であり、その結果、再生の進行具合を評価することができる。したがって、第3の再生段階13の本方法順序は、図4に示すように、第2の再生段階12用のフローチャートに対応し、第2の再生段階12の本方法順序と対照的に、ステップ25においては、対応変化入力dλ/dt=kf(mExhaust gas)をまさに考慮しなければならない。
【0030】
再生がさらに進行するにつれて、排気ガスの空気/燃料比λが上記の値から設定した空気/燃料比λに近づくので、図2中の参照番号20で表される再生区間によれば、空気/燃料比λは、さらに「上昇」される。上限値λmaxに近づくと、空気/燃料比λは、排気ガスの質量流量の著しい下降により空気/燃料比λの低下が引き起こされないかぎり、この上限値を維持する。この空気/燃料比λの保持は、図2中の参照番号21で表される再生区間に対応する。
【0031】
再生が終了され、そして、NOx吸蔵触媒コンバータ4の出力側の第2の排気ガス測定プローブ6が、還元剤の破過に対応する、例えば、λ=0.98の排気ガスの空気/燃料比λの予め決定可能な下限値よりも低く下降した場合に、リーンな又は理論空燃比の空気/燃料比λとなるエンジン動作に移行する。特に、第2の排気ガス測定プローブ6が「二進プローブ」として設計される場合には、このプローブの測定信号が予め決定可能な上限値を超える場合に、λ=1.0付近の急勾配な特性曲線のプロファイルにより再生を終了することは有利である。ここでは、二進プローブとして設計される第2の排気ガス測定プローブ6の測定信号が、空気/燃料比λの値と反対となるような挙動をするものと想定される。しかしながら、再生の終了は、電子式エンジン制御ユニット7に保存されたコンピュータモデルに基づいても生じ得る。この場合、NOx吸蔵触媒コンバータに全般的に入った還元剤の量が、再生の開始時に保存される窒素酸化物の量を低減するのに必要な還元剤の量を超える場合には、再生が終了される。特に、上述の2つの判定基準のうちの1つが生じた場合には、再生を終了させることが有利である。これに関連して、第2の排気ガス測定プローブ6により供給された測定値によって、還元剤の均衡をとるための保存されたコンピュータモデルを補正又は適合させることが有利であり、可能な限りの最善の対応を得る効果がある。
【0032】
上記で説明した本発明に係るNOx吸蔵触媒コンバータ4の再生処理は、時間の経過に亘って増加するNOx吸蔵触媒コンバータ4の経時変化に有利に合致させることができる。このような経時変化は、例えば、燃料中に存在する硫黄により時間の経過に亘って増加する硫黄毒によって生じ得る。上記毒では、硫黄は、NOx吸蔵触媒コンバータ4中に硫酸塩の形態で埋設されており、これは、窒素酸化物用の吸蔵容量を低減する。しかしながら、窒素酸化物の吸蔵容量の対応する減少を伴う経時変化は、また熱過負荷によっても引き起こされる可能性がある。
【0033】
したがって、NOx吸蔵触媒コンバータ4の経時変化状態を検出及び評価するためには、連続して又は時々、NOx吸蔵容量を決定するようにする。このため、リーン吸蔵段階の間では、NOx吸蔵触媒コンバータ4から噴出した窒素酸化物の漏れは、例えば、第2の排気ガス測定プローブ6により決定され、窒素酸化物の進入と比較される。後者は、電子式エンジン制御ユニット7で生じた内燃機関1の窒素酸化物エミッションの特性図に基づいて提供されることができる。本発明によれば、新たなNOx吸蔵触媒コンバータの状態との比較により確定されるNOx吸蔵触媒コンバータ4のNOx吸蔵容量の減少から、経時変化係数を形成するようにし、この経時変化係数を用いて、リーン燃焼及びリッチ燃焼状態下での内燃機関1の再生又は交代動作を、NOx吸蔵触媒コンバータ4の経年状態に合致させる。
【0034】
このため、再生の開始に決定的となるNOx吸蔵触媒コンバータ4の出力側で検出された窒素酸化物濃度の閾値を、又は、リーン吸蔵段階の窒素酸化物の漏出の積分値の閾値を、経時変化係数に応じて低減することは有利である。これは、最も簡単な場合には、所定の適切な関数依存性に応じて、比例して生じることができる。さらに、第1の再生段階11には第1の時間を、及び/又は第2の再生段階12には第2の時間を、経時変化に応じて適合させることは有利である。同様に、これは、所定の適切な関数依存性にしたがって生じることができることである。最も簡単な場合には、第1及び/又は第2の時間は、経時変化係数に比例して短縮される。
【0035】
さらに、本発明によれば、第2の再生段階12における空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtの関数依存性dλ/dt=f(mExhaust gas)、及び/又は第3の再生段階13における空気/燃料比λの関数依存性dλ/dt=kf(mExhaust gas)を、経時変化係数に応じて設定する。このため、図4に示したフローチャートに対応する第2の再生段階12用の方法を実行する場合には、機能ブロック25において、NOx吸蔵触媒コンバータ4の経時変化係数に対応するか、又はそれから導出される第2の補正係数kを用いて、まさに変化入力dλ/dt=kf(mExhaust gas)を考慮することは有利である。同様に、図4に示したフローチャートにしたがって、第3の再生段階13の本方法を同じように実行する場合には、まさに変化入力dλ/dt=kf(mExhaust gas)が機能ブロック25内で考慮される。
【0036】
経時変化係数、つまり第2の補正係数kの値は、異なる程度に経時変化した吸蔵触媒コンバータを用いて予備テストにより決定可能となされ、更に電子式エンジン制御ユニット7に付与可能となされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】NOx吸蔵触媒コンバータが配置される排気管を備えた内燃機関の概略図を示している。
【図2】NOx吸蔵触媒コンバータの再生の典型的プロファイルを明確にした図面を示している。
【図3】空気/燃料比λの時間変化率dλ/dtと排気ガスの質量流量mExhaust gasとの関係を示す図。
【図4】第2の再生段階12の実行手順を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOx吸蔵触媒コンバータ(4)の出力側で排気ガス中の窒素酸化物濃度に対して前記NOx吸蔵触媒コンバータ(4)の再生を開始する予め決定可能な閾値を超えた場合には、前記内燃機関(1)で燃焼された空気/燃料混合物の空気/燃料比λに対して一定値が第1の再生モードが実行され、前記第1の再生モードの後には第2の再生モードが実行される内燃機関(1)の排気管(3)に配置されたNOx吸蔵触媒コンバータ(4)の再生方法において、
前記第2の再生モードでは、前記空気/燃料比λの時間変化率λ/dtが、前記NOx吸蔵触媒コンバータ(4)を流れる前記排気ガスの質量流量に応じて、又は前記排気ガスの前記質量流量と関連する内燃機関動作変数に応じて設定されるように、前記空気/燃料比λが可変に設定されることを特徴とするNOx吸蔵触媒コンバータ(4)の再生方法。
【請求項2】
前記第1の再生モードは、予め決定可能な第1の時間後に終了されることを特徴とする、請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記第2の再生モードは、予め決定可能な第2の時間後に終了されることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の再生方法。
【請求項4】
前記第1と第2の再生モードに加えて第3の再生モードを設け、第3の再生モードでは、前記空気/燃料比λの前記時間変化率λ/dtが、排気ガスの前記質量流量に応じて、又は排気ガスの前記質量流量と関連する内燃機関動作変数に応じて、及び前記NOx吸蔵触媒コンバータ(4)の前記出力側の前記排気管(3)に配置されたラムダプローブ(6)の測定値に応じて設定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の再生方法。
【請求項5】
前記第3の再生モードは、前記第2の再生モードが終了した直後に実行されることを特徴とする、請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】
前記空気/燃料比λの設定は、予め決定可能な下限値λmin及び予め決定可能な上限値λmaxを有する値範囲に限定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の再生方法。
【請求項7】
前記NOx吸蔵触媒コンバータ(4)の前記再生を開始する前記閾値が、予め決められており、及び/又は前記空気/燃料比λの前記時間変化率dλ/dtが、前記NOx吸蔵触媒コンバータ(4)の経時変化を表す経時変化係数に応じて設定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−502835(P2008−502835A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545959(P2006−545959)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013604
【国際公開番号】WO2005/066468
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】