説明

PLL発振回路

【課題】 アンロック状態を検査すると共に、自動的に再同期する自動リトライ機能を備えるPLL発振回路を提供する。
【解決手段】 MPU4は、外部基準信号とVCXO3からの出力信号の位相を比較してVCXO3への制御電圧を出力するPLL−IC1からのロック検出信号を入力し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用データをPLL−IC1に設定し、PLL−IC1からのロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをPLL−IC1に設定するリトライを実行するPLL発振回路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop)発振回路に係り、特に、アンロック状態を検出すると共に、再同期を自動的にリトライするPLL発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
PLL発振回路は、外部から入力された基準信号と、ループ内の発振器からの出力との位相差が一定になるよう、ループ内発振器にフィードバック制御をかけて発振をさせる回路である。
PLL発振回路は、安定した発振周波数を出力できるものであり、電子機器、通信機器に応用されている。
【0003】
[従来のPLL発振回路:図5]
次に、従来のPLL発振回路について図5を参照しながら説明する。図5は、一般的PLL発振回路例の構成ブロック図である。
PLL発振回路は、図5に示すように、外部基準信号(Fref )と1/N分周された信号を比較し、位相差信号を出力する位相比較器(Phase Comparator)32と、位相差をパルス幅の電圧で出力するチャージポンプ(Charge Pump)33と、チャージポンプ33からの出力電圧を平滑化するループフィルタ(Loop Filter)34と、ループフィルタ34からの制御電圧によって周波数を変更して希望する周波数(内部基準信号:Output Frequency)を発振出力する電圧制御機能付き水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)35と、VCXO35の出力(内部基準信号)を1/Nに分周する分周器(Divider)36とを備えている。
尚、出力信号は、N×Fref の周波数となる信号である。
【0004】
PLL発振回路の動作は、外部より入力された基準信号と内部のVCXO35の位相差が一定になるよう、内部のVCXO35に対してフィードバック制御をかけることで、基準信号に同期した発振器出力を得るものである。
【0005】
具体的には、位相比較器32は、高安定な外部基準信号と、入力電圧により周波数制御するVCXO35からの出力信号との位相を比較し、位相比較結果を平滑化した直流電圧がVCXO35にフィードバックされるPLL制御を行うことで、高精度の信号生成を行うものである。
【0006】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平05−072244号公報「位相固定ループ性能試験器」(出願人:松下電器産業株式会社/特許文献1)、特開平09−023154号公報「PLL回路」(出願人:株式会社富士通ゼネラル/特許文献2)、特開平10−173520号公報「PLL回路」(出願人:川崎製鉄株式会社/特許文献3)、特開2001−183423号公報「半導体集積回路」(出願人:日本電気アイシーマイコンシステム株式会社/特許文献4)、特表2004−511993号公報「位相ロックループを試験する組込み自己試験回路」(出願人:コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ/特許文献5)がある。
【0007】
特許文献1には、引き込み範囲及び保持範囲の測定するための試験信号を周波数を変化させながら発生させ、発生させた試験信号とPLLのフィードバック信号によりロック状態を判定し、ロック状態とアンロック状態の変化時における試験信号の周波数を検出するPLL性能試験器が示されている。
【0008】
特許文献2には、ロックする複数のVCO制御電圧を比較し、係数乗算器の係数の制御方向を判別して方向判別信号を出力し、アンロック検出信号と方向判別信号により係数のアップダウンを切り替えて、係数を決定するPLL回路が示されている。
【0009】
特許文献3には、リセット信号の制御により、誤差信号又はコントロール信号の少なくとも一方をディスチャージするPLL回路が示されている。
【0010】
特許文献4には、イネーブル信号をテスト結果データを記憶するBIST回路に出力し、搭載されるPLL回路の位相ロック時間に対応して実動作速度によるテストが開始される半導体集積回路が示されている。
【0011】
特許文献5には、複数の周波数乗算器の各々に対する乗数と、周波数分割器における対応する分周用カウンタの除数の比は、全ての周波数乗算器及び対応する分周用カウンタに対して一定の数であり、複数の周波数乗算器中の周波数乗算器が選択されると、マルチプレクサは、対応する分周用カウンタを選択し、試験用クロックを生成する自己試験回路が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平05−072244公報
【特許文献2】特開平09−023154号公報
【特許文献3】特開平10−173520号公報
【特許文献4】特開2001−183423号公報
【特許文献5】特表2004−511993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のPLL発振回路は、当該回路の生産ラインにおいて、位相比較器がアンロック状態になった際に、外部にアンロックアラーム信号が正しく出力されることを検査する必要がある。
そのため、位相比較器に対してアンロックアラームテスト用の信号を入力し、アンロック状態にして外部にアンロックアラーム信号が正しく出力されることをモニタしている。
【0014】
しかしながら、従来のPLL発振回路では、アンロックアラームテスト用の信号によってアンロック状態となった場合には、再起動するか、外部から正規信号を入力することで、再度、正規のPLL動作を復帰させることはできるが、再同期させるのに手間と時間が掛かるという問題点があった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、アンロック状態を検査すると共に、自動的に再同期する自動リトライ機能を備えるPLL発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、PLL発振回路であって、入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振する電圧制御発振器と、外部基準信号と電圧制御発振器からの発振出力信号を入力し、両信号の位相を比較し、位相差を検出して当該位相差に応じた位相差信号を出力すると共に、両信号が同期するロック状態又は同期しないアンロック状態を示すロック検出信号を出力するPLL−ICと、PLL−ICからの位相差信号における高周波成分のノイズを除去するループフィルタと、PLL−ICからのロック検出信号を入力し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用データをPLL−ICに設定し、PLL−ICからのロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをPLL−ICに設定するリトライを実行する演算処理装置とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明は、PLL発振回路であって、入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振する電圧制御発振器と、該周波数信号を分周する分周器と、該分周された信号をアナログ/デジタル変換するAD変換器と、該アナログ/デジタル変換された信号と正弦波信号との位相を比較して位相差を検出し、当該位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、位相差信号における高周波成分のノイズを除去するループフィルタと、該ノイズが除去された位相差信号をデジタル/アナログ変換するDA変換器と、周波数パラメータを各部に出力するパラメータ出力部と、アンロック状態を判定してアンロックアラーム出力信号を出力する演算処理装置とを備え、位相比較部は、自動利得制御回路として、AD変換器の後段に乗算器と、該乗算器のゲインを制御するための振幅情報を検出し、当該振幅情報に基づいてアンロック検出信号を出力する振幅情報検出部とを備え、演算処理装置は、アンロック検出信号に基づいてロック状態又はアンロック状態を判定し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用コマンドをパラメータ出力部に設定し、アンロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをパラメータ出力部に設定するリトライを実行することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記PLL発振回路において、位相比較部が、AD変換器からの出力を直交検波し、AD変換器からの出力信号と検波用の信号との周波数の差で回転する回転ベクトルを取り出すキャリアリムーブと、回転ベクトルに対して逆回転ベクトルを乗算する逆回転ベクトル乗算部と、乗算されて減速された回転ベクトルに基づいてサンプリング時間毎の位相差を検出する位相の時間差検出部と、検出された位相差から微調整周波数を差し引く加算器と、加算器からの出力を一定時間累積加算する位相差の累積加算部とを備え、振幅情報検出部が、逆回転ベクトル乗算部からの出力を分岐して入力した信号から検出した振幅情報を監視し、特定の範囲になった場合にアンロック検出信号を出力することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記PLL発振回路において、演算処理装置が、アンロック状態が第1の期間継続していなければ、ロック状態が第2の期間継続しているか否かを判定し、ロック状態が第2の期間継続していれば、アンロックアラーム出力信号をアラーム解除状態とし、リトライを実行しないことを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記PLL発振回路において、演算処理装置が、アンロック状態が第1の期間継続していなければ、ロック状態が第2の期間継続しているか否かを判定し、ロック状態が第2の期間継続していなければ、アンロック状態が第1の期間継続するまでリトライを実行しないことを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記PLL発振回路において、第1の期間を第2の期間より長く設定したことを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記PLL発振回路において、第1の期間を第2の期間より短く設定したことを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記PLL発振回路において、演算処理装置が、リトライ回数を管理しており、特定回数リトライを実行すると、リトライを停止し、アンロックアラーム出力信号を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電圧制御発振器が、入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振し、PLL−ICが、外部基準信号と電圧制御発振器からの発振出力信号を入力し、両信号の位相を比較し、位相差を検出して当該位相差に応じた位相差信号を出力すると共に、両信号が同期するロック状態又は同期しないアンロック状態を示すロック検出信号を出力し、ループフィルタが、PLL−ICからの位相差信号における高周波成分のノイズを除去し、演算処理装置が、PLL−ICからのロック検出信号を入力し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用データをPLL−ICに設定し、PLL−ICからのロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをPLL−ICに設定するリトライを実行するPLL発振回路としているので、アンロック状態を検査すると共に、再同期するリトライを容易に実行できる効果がある。
【0025】
本発明によれば、電圧制御発振器が、入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振し、分周器が該周波数信号を分周し、AD変換器が、該分周された信号をアナログ/デジタル変換し、位相比較部が、該アナログ/デジタル変換された信号と正弦波信号との位相を比較して位相差を検出し、当該位相差に応じた位相差信号を出力し、ループフィルタが、位相差信号における高周波成分のノイズを除去し、DA変換器が、該ノイズが除去された位相差信号をデジタル/アナログ変換し、パラメータ出力部が、周波数パラメータを各部に出力し、演算処理装置が、アンロック状態を判定してアンロックアラーム出力信号を出力し、位相比較部が、自動利得制御回路として、AD変換器の後段に乗算器と、該乗算器のゲインを制御するための振幅情報を検出し、当該振幅情報に基づいてアンロック検出信号を出力する振幅情報検出部とを備え、演算処理装置が、アンロック検出信号に基づいてロック状態又はアンロック状態を判定し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用コマンドをパラメータ出力部に設定し、アンロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをパラメータ出力部に設定するリトライを実行するPLL発振回路としているので、アンロック状態を検査すると共に、再同期するリトライを容易に実行できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る第1のPLL発振回路の構成ブロック図である。
【図2】PLL−ICの具体的な回路構成ブロック図である。
【図3】第1のPLL発振回路の制御処理を示すフローチャートである。
【図4】第2のPLL発振回路の構成ブロック図である。
【図5】一般的PLL発振回路例の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るPLL発振回路は、電圧制御発振器と、外部基準信号と電圧制御発振器からの発振出力信号を入力し、両信号の位相を比較し、位相差を検出して当該位相差に応じた位相差信号を出力すると共に、両信号が同期するロック状態又は同期しないアンロック状態を示すロック検出信号を出力するPLL−ICと、PLL−ICからの出力における高周波成分のノイズを除去するループフィルタと、PLL−ICからのロック検出信号を入力し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用データをPLL−ICに設定し、PLL−ICからのロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータをPLL−ICに設定するリトライを実行する演算処理装置とを有するものであり、アンロック状態を検査すると共に、再同期するリトライを容易に実行できるものである。
【0028】
[第1のPLL発振回路:図1]
本発明の実施の形態に係る第1のPLL発振回路について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る第1のPLL発振回路の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る第1のPLL発振回路(第1のPLL発振回路)は、図1に示すように、PLL−IC(Integrated Circuit)1と、ループフィルタ2と、電圧制御水晶発振器(VCXO)3と、演算処理装置(MPU:Micro Processing Unit)4とを基本的に有している。
【0029】
[第1のPLL発振回路の各部]
第1のPLL発振回路の各部について具体的に説明する。
[PLL−IC1]
PLL−IC1は、外部基準クロックを端子REF INに入力すると共に、VCXO3から発振出力信号を端子RF IN A及び端子RF IN Bに入力し、位相比較を行って位相差に応じたパルス幅の電圧をチャージポンプ出力としてループフィルタ2に出力する。
【0030】
また、PLL−IC1は、位相比較により外部基準クロックに対してVCXO3の出力信号が同期するロック状態にあるか、または、同期していないアンロック状態にあるかを検出し、ロック状態にあれば、端子MIXOUTからロック検出信号をMPU4に出力する。
PLL−IC1の具体的構成については後述する。
【0031】
[ループフィルタ2]
ループフィルタ2は、PLL−IC1からの出力電圧(出力信号)における高周波成分のノイズを除去し、平滑化してVCXO3にコントール電圧を出力する。
[VCXO3]
VCXO3は、ループフィルタ2からのコントロール電圧によって周波数を変更して所望の周波数を発振出力すると共に、出力信号の一部をPLL−IC1に出力する。
【0032】
[MPU4]
MPU4は、PLL−IC1の出力端子MIXOUTからのロック状態又はアンロック状態を示すロック検出信号を入力し、アンロック状態であれば、外部にアンロックアラーム出力信号を出力する。
また、MPU4は、保守インタフェースから入力される設定データに基づいて、クロック信号をPLL−IC1の端子CLKに、データ信号をPLL−IC1の端子DATAに、ラッチイネーブル信号をPLL−IC1の端子LEに出力する。
【0033】
ここで、MPU4は、ロック状態からアンロック状態に移行した場合に、外部にアンロックアラーム出力信号が正常に出力されるかどうかを検証するために、PLL−IC1がロック状態の時にアンロックアラームテスト用データをPLL−IC1に設定する。
すると、PLL−IC1では、アンロックアラームテスト用データ入力によってアンロック状態となって、出力端子MIXOUTからアンロック状態を示すロック検出信号が出力される。
【0034】
MPU4は、PLL−IC1から入力されるロック検出信号の入力を受け、アンロック状態が特定期間(第1の期間)継続していれば、再同期を行わせるためのデータ設定をPLL−IC1に行い、リトライを実行する。
MPU4は、アンロック状態が特定期間(第1の期間)継続していなければ、ロック状態が特定期間(第2の期間)継続しているか判定し、ロック状態が継続していれば、アンロックアラーム出力信号をアラーム解除状態として出力する。ロック状態が継続していなければ、アンロック状態が上記第1の期間継続するまでリトライの実行を行わない。
尚、MPU4は、リトライ回数を管理しており、特定回数リトライしてもアンロック状態のままである場合には、リトライを停止し、アンロックアラーム出力信号を保持することもできる。
MPU4における具体的処理は後述する。
【0035】
[第1のPLL発振回路の動作概略]
第1のPLL発振回路における動作の概略について説明する。
図1に示す第1のPLL発振回路は、40MHzの内部VCXO3を19.2MHzの外部基準クロックに同期させるものである。
PLL−IC1は、外部基準クロックとVCXO3出力の分周比を適切に設定して同期動作を行わせる。
【0036】
分周比の設定は、MPU4におけるソフトウェア制御によって、クロック信号、データ信号、ラッチイネーブル信号の3本のシリアルバス信号によりPLL−IC1に設定される。
PLL−IC1のロック状態は、ロック検出信号によりMPU4が監視し、外部に対するアンロックアラーム信号の出力極性やタイミングを制御した上で、アンロックアラーム出力信号としてMPU4から出力される。
【0037】
PLL−IC1は、MPU4からクロック信号、データ信号、ラッチイネーブル信号の3本のシリアルバス信号により内部レジスタに設定された状態に応じて、外部基準クロック信号と出力信号を各々分周して位相比較し、その位相ずれ量に応じたチャージポンプ出力を、ループフィルタ回路2を通してVCXO3の電圧制御端子を駆動する。
【0038】
[PLL−IC1:図2]
第1のPLL発振回路におけるPLL−IC1について図2を参照しながら具体的に説明する。図2は、PLL−ICの具体的な回路構成ブロック図である。尚、図2のPLL−ICは、アナログ・デバイセズ株式会社の200MHzクロック・ジェネレータPLL「ADF4001」を示している。
ADF4001クロック・ジェネレータは、非常に低いノイズの安定なリファレンス信号を必要とするPLLクロック源を構成するのに利用される。
【0039】
PLL−IC1は、図2に示すように、増幅器101と、24ビット入力レジスタ(24-BIT INPUT REGISTER)102と、差分増幅器103と、14ビットRカウンタ(14-BIT R COUNTER)104と、Rカウンタラッチ回路(R COUNTER LATCH)105と、ファンクションラッチ回路(FUNCTION LATCH)106と、Nカウンタラッチ回路(N COUNTER LATCH)107と、13ビットNカウンタ(13-BIT N COUNTER)108と、増幅器109と、増幅器110と、位相周波数検出器(PHASE FREQUENCY DETECTOR)111と、チャージポンプ(CHARGE PUMP)112と、リファレンス出力回路(REFERENCE)113と、ロック検出器(LOCK DETECTOR)114と、第1の現状設定回路(CURRENT SETTING 1)115と、第2の現状設定回路(CURRENT SETTING 2)116と、マルチプレクサ(MUX)117と、増幅器118とを有している。
【0040】
第1のPLL発振回路において、例えば、外部基準クロック19.2MHz、VCXO3の出力信号が40MHzの場合、位相比較周波数を例えば64kHzに設定することができ、次のようなレジスタ設定例がある。
14ビットR(リファレンス)カウンタ(14-BIT R COUNTER)104の設定を、300分周(19.2MHz/300=64kHz)とし、13ビットNカウンタ(13-BIT N COUNTER)108を625分周(40MHz/625=64kHz)とする。
【0041】
そして、PLL−IC1がアンロック状態になった場合に、ロック検出信号がアンロック状態になったことを示す信号として入力され、外部に対するアンロックアラーム信号が正しく出力されることを検査するために、保守インタフェースからアンロックアラームテスト用のコマンドを入力した場合、MPU4がPLL−IC1に対して以下のデータ設定を行う。
13ビットNカウンタ108の設定を、512分周(40MHz/512=78.125kHz)とし、14ビットRカウンタ104の設定は、300分周のままとしておく。
尚、保守インタフェースは、例えば、調歩同期シリアルインタフェースで、外部パソコン等に制御機器との通信によって実現することができる。
【0042】
上記設定にすると、出力信号の13ビットNカウンタ108での分周数が正規の「625分周」から「512分周」に変更され、13ビットNカウンタ108の出力周波数が40MHz/512=78.125kHzに変更となり、14ビットRカウンタ104の出力周波数64kHzであるから、位相周波数検出器111における位相比較結果がアンロック状態となる。
【0043】
PLL−IC1の出力端子MIXOUTからロック状態でロック検出信号を出力するようにプログラムしていれば、ロック又はアンロックの状態を端子出力状態から判断することができる。
以上の構成により、保守インタフェースからアンロックアラームテスト用のコマンドを入力した際に、アンロックアラーム信号が正しくアラーム状態に変化するかどうかをモニタすることで、アンロック機能を実現している。
【0044】
ただし、従来では、保守インタフェースからアンロックアラームテスト用のコマンドを入力した場合に、アンロックアラーム出力信号が出力されたままとなり、再起動若しくは保守インタフェースから正規データを再送出するコマンドを入力することで、再度正規のPLL動作に復帰させるものとなっていた。
【0045】
これに対して、第1のPLL発振回路は、ロック検出信号をMPU4に入力させ、MPU4がPLL−IC1のアンロックを検出した場合に、ソフトウェア制御により、正規のPLL設定データを自動的に送出し直し、再同期へのリトライを行う。
以下、詳細な制御処理を説明する。
【0046】
[第1のPLL発振回路の制御処理:図3]
次に、第1のPLL発振回路におけるリトライ制御付きロック監視制御処理について図3を参照しながら説明する。図3は、第1のPLL発振回路の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、MPU4で行われる。
MPU4は、定期的な割り込み又はポーリング処理として、ロック監視制御を開始し、端子MIXOUTから入力されるロック検出信号が、ロック状態を示しているか判定する(S1)。
【0047】
ロック状態の判定処理S1で、ロック状態でなければ(Noの場合)、次に、ポーリング周期でN回以上、あるいは時間M以上でアンロック状態が継続しているか否かを判定する(S2)。
アンロック状態が継続していれば(Yesの場合)、アンロック発生と判定し、アンロックアラーム出力端子からアラーム信号を出力する(S3)。
【0048】
次に、リトライ回数カウンタのリトライ回数rがリトライ回数制限の設定値Sより小さいか否か(r<S)を判定し(S4)、リトライ回数rがリトライ回数制限の設定値Sとなれば(Noの場合)、リトライを停止し、アンロックアラームを保持して処理を終了する。これにより、リトライが永久的に繰返されることを停止できる。
【0049】
判定処理S4で、r<Sであれば(Yesの場合)、PLL−IC1に正常データを再設定(リトライ)する(S5)。続いて、リトライ回数カウンタをインクリメント(r=r+1)し(S6)、ロック監視制御処理を終了する。
【0050】
また、判定処理S1で、ロック検出信号がロック状態を示している場合(Yesの場合)、また、判定処理S2で、ポーリング周期でN回以上、あるいは時間M以上でアンロック状態が継続していない場合(Noの場合)に、ポーリング周期でP回以上、あるいは時間Q以上でロック状態が継続しているか否かを判定する(S7)。
【0051】
ポーリング周期でP回以上、あるいは時間Q以上でロック状態が継続していない場合(Noの場合)、ロック監視制御処理を終了する。
ポーリング周期でP回以上、あるいは時間Q以上でロック状態が継続している場合(Yesの場合)、ロック状態と判定し、アンロックアラーム出力はアラーム解除状態出力とする(S8)。
そして、リトライ回数カウンタをクリア(r=0)し(S9)、ロック監視制御処理を終了する。
【0052】
尚、判定処理S2を設けているのは、特定期間継続してアンロック状態であることを確認するためで、イレギュラーのアンロック状態を除外するためである。
また、判定処理S7を設けているのは、特定期間継続してロック状態であることを確認するためで、イレギュラーのロック状態を除外するためである。
【0053】
ここで、パラメータであるN,MとP,Qの関係について説明する。
アンロック状態から早く復帰させ、確実にロック状態からアンロック状態に移行させるためには、N<P,M<Qと設定し、逆に、ロック状態にしやすくし、アンロック状態を起き難くするためには、N>P,M>Qと設定する。
【0054】
[第2のPLL発振回路:図4]
次に、別の(第2の)実施の形態に係るPLL発振回路(第2のPLL発振回路)について図4を参照しながら説明する。図4は、第2のPLL発振回路の構成ブロック図である。
第2のPLL発振回路は、図4に示すように、VCO11と、分周器(NN)12と、LPF(Low Pass Filter)13と、AD変換器(A/D)14と、基準クロック発生部15と、DA変換器(D/A)22と、電圧出力部23と、加算器24と、FPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される部分として、キャリアリムーブ16と、逆回転ベクトル乗算部17と、位相の時間差検出部18と、加算器19と、位相差の累積加算部20と、ループフィルタ21と、パラメータ出力部25と、振幅情報検出部26と、フィルタ27と、乗算器28と、保守インタフェース部30と、MPU4とを備えている。
ここで、振幅情報検出部26、フィルタ27、乗算器28で自動利得制御回路(AGC回路)を構成している。
【0055】
[第2のPLL発振回路の各部]
VCO11は、加算器24からの入力を制御電圧として、所望の周波数(例えば、450MHz〜1000MHz)を発振する電圧制御発振器である。
分周器(NN)12は、VCO11の出力を外部から入力される分周値(NN)に基づき、1/NNに分周してLPF13に出力する。
【0056】
LPF13は、分周器12で分周された信号について低域の周波数を通過させるフィルタである。
AD変換器14は、LPF13からの信号を、基準クロック発生部15からの40MHz(fs )のクロックでサンプリングすることによりアナログからデジタルに変換し、FPGAのキャリアリムーブ16に出力する。
【0057】
DA変換器22は、FPGAで調整制御された制御信号をデジタルからアナログに変換するものである。DA変換器22からの信号電圧は、0〜0.85Vとなる。
【0058】
電圧出力部23は、パラメータ出力部25からの電圧値に基づいて電圧を出力するものであり、出力電圧が例えば時間の経過と共に直線的に所定の電圧まで上昇するよう構成されている。
加算器24は、電圧出力部23から出力される電圧を、DA変換器22から出力される制御信号で補正して、VCO11への制御電圧として出力するものである。
【0059】
FPGAの基本的機能は、所望の出力周波数(設定周波数)での回転ベクトルと、AD変換器14からの信号の回転ベクトルとを比較して位相差を検出し、当該位相差に基づいてVCO11の発振周波数を制御する制御信号を生成するものである。
【0060】
キャリアリムーブ16は、AD変換器14からのデジタル信号により特定される正弦波信号に対して4MHzの正弦波信号を用いて直交検波を行い、AD変換器14のデジタル信号により特定される周波数信号の周波数と、検波に用いる正弦波信号の周波数との差の周波数で回転する回転ベクトルVを取り出す手段である。
【0061】
逆回転ベクトル乗算部17は、回転ベクトルVに対して、パラメータ出力部25から出力された逆回転ベクトルV′を乗算するものである。
位相の時間差検出部18は、逆回転ベクトル乗算部17において減速された回転ベクトルVに基づいて、サンプリング時間毎の位相差を検出する。この位相差は、減速された回転ベクトルVの周波数に対応する値となる。また、位相の時間差検出部18は、当該位相差がゼロになると、PLLにおけるロックを検出し、ロック検出信号を外部に出力する。
【0062】
加算器19は、位相の時間差検出部18の出力から、予め計算で求めた所望の発振周波数に近づけるための微調整周波数の値を差し引いて位相差を出力する。
位相差の累積加算部20は、加算器19からの出力を一定時間累積加算して出力するものである。位相差の累積加算部20は、フィルタによって構成され、ダンピングを最適値に設定している。
尚、キャリアリムーブ16、逆回転ベクトル乗算部17、位相の時間差検出部18、加算器19、位相差の累積加算部20及びパラメータ出力部25は、請求項に記載した位相比較部に相当している。
【0063】
ループフィルタ21は、位相差の累積加算部20からの累積加算値に基づいて、VCO11を制御するデータを生成して制御信号として出力するものである。ループフィルタ21の制御を累積加算値に基づいて行うのは、ループフィルタ21の出力を安定させるためである。
【0064】
パラメータ出力部25は、入力された周波数設定情報(所望の発振周波数の情報)に基づいて、当該周波数がVCO11の出力として得られるよう、周波数パラメータとして、分周値(NN)、逆回転ベクトル乗算部17への逆回転ベクトルV′、加算器19への微調整周波数、及び電圧出力部23への電圧値を計算し、更に計算されたタイミングで上記パラメータ等を出力する。逆回転ベクトルV′は、回転ベクトルV及び周波数設定情報に基づいて算出される。パラメータ出力部25は、各種パラメータを予めテーブル等に記憶しておいて読み出してもよい。
【0065】
振幅情報検出部26は、逆回転ベクトル乗算部17からの出力を入力し、回転ベクトルの実部Iと虚部Qを、I2 +Q2 の演算を行い、その演算結果(振幅情報)から求められるAGCの補正値をフィルタ27に出力する。振幅情報に基づいて、AGC回路における補正値が得られるものである。
【0066】
更に、振幅情報検出部26は、制御できる入力振幅範囲が決まっており、内部にアンロック検出手段を設け、更に閾値(PLL制御が正常に動作しなくなる振幅情報の値)が設定されていて、アンロック検出手段が当該閾値を超えたか否かを判定し、超えた場合に、アンロック検出信号を検出出力し、同期させないアンロック処理を行うものである。
尚、振幅情報の値でアンロック検出を行うようにしたが、振幅情報を元に得られるAGCの補正値でアンロック検出を行うようにしてもよい。
【0067】
フィルタ27は、振幅情報検出部26で求めた振幅情報に対して適正な自動利得制御となるような特性で利得を乗算器28に出力する。
乗算器28は、AD変換器14からの出力にフィルタ27からの出力(利得)を乗算してキャリアムーブ16に出力する。この乗算器28における利得の乗算は、振幅情報が常に一定となるよう調整されるものである。
【0068】
[第2のPLL発振回路の特徴動作]
次に、第2のPLL発振回路における特徴部分を具体的に説明する。
第2のPLL発振回路では、図示していないが、振幅情報検出部26内のアンロック検出手段が、振幅情報の値を監視し、それらの値が特定の範囲の値(予め設定した範囲の値=PLL制御が正常に動作しない範囲の値)となるか否かを判定し、特定の範囲の値となると、アンロックとして検出する。
当該アンロック検出手段は、振幅情報検出部26内に設けてもよいが、FPGA内に独立して設けてもよく、また、FPGA内の他の制御回路内に設けるようにしてもよい。
【0069】
このように、第2のPLL発振回路では、AD変換器14への入力レベルが変動した場合、アンロック検出手段が、AD変換器14への入力レベルについてPLL制御が正常に動作しない範囲のものであるか否かを、振幅情報検出部26で得られた振幅情報の値によって判定し、PLL制御が正常に動作しない範囲のものであるときには、アンロック検出する。
【0070】
第2のPLL発振回路において、例えば、振幅情報検出部26で得られた振幅情報の値からフィルタ27に入力される値の最大値又は最小値を監視し、その最大値がPLL制御を正常に動作させない第1の特定値以上となった場合、また、その最小値がPLL制御を正常に動作させない第2の特定値以下となった場合には、アンロックを検出するものである。
【0071】
つまり、AD変換器14の出力信号レベルについて、予め設定した範囲(PLL制御を正常に動作させない範囲)のレベルであるときに、第2のPLL発振回路においては、アンロックとして検出し、アラーム検出(アラーム音、アラーム表示を出力)してもよい。
【0072】
第2のPLL発振回路によれば、AD変換器14への入力レベルがPLL制御の正常動作の範囲を超えた場合に、アンロック検出を行い、周波数ずれの発生を防止できる効果がある。
【0073】
[第2のPLL発振回路におけるMPU4の動作]
この第2のPLL発振回路において、MPU4の処理動作は、第1のPLL発振回路と同様のものである。
具体的に、MPU4は、通常、振幅情報検出部26からアンロック検出信号が入力されると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力する。
【0074】
また、MPU4は、外部から入力される設定データに基づいて、ロック状態の時に保守インタフェース部30にアンロックアラームテスト用コマンドを出力する。
すると、第2のPLL発振回路では、アンロックアラームテスト用コマンドによってアンロック状態にするためのパラメータがパラメータ出力部25から各部に設定され、アンロック状態を実現し、振幅情報検出部26からアンロック状態を示すアンロック検出信号が出力される。
【0075】
MPU4は、振幅情報検出部26から入力されるアンロック検出信号の入力を受け、アンロックアラーム出力信号を外部に出力し、更に、アンロック状態が特定期間(第1の期間)継続していれば、再同期を行わせるためのデータ設定を保守インタフェース部30に行い、リトライを実行する。
【0076】
MPU4は、アンロック状態が特定期間(第1の期間)継続していなければ、ロック状態が特定期間(第2の期間)継続しているか判定し、ロック状態が継続していれば、アンロックアラーム出力信号をアラーム解除状態として出力する。ロック状態が第2の期間継続していなければ、アンロック状態が上記第1の期間継続するまでリトライの実行を行わない。
【0077】
尚、MPU4は、第1のPLL発振回路と同様に、リトライ回数を管理しており、特定回数リトライしてもアンロック状態のままである場合には、リトライを停止し、アンロックアラーム出力信号を保持する。
つまり、第2のPLL発振回路においても、図3のフローが適用されるものである。
【0078】
[実施の形態の効果]
第1のPLL発振回路及び第2のPLL発振回路によれば、ロック状態である時に、アンロック状態を検査するために、アンロック状態を実現するデータを設定し、アンロック状態となると外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続していれば、再同期のためのリトライを実行し、アンロック状態が第1の期間継続していなければ、継続するまでリトライを実行しないようにしているので、ロック状態からアンロック状態に移行させ、アンロック状態が特定期間継続した場合に、ロック状態に戻す再同期のリトライを実行することができ、再同期のための時間と手間を省くこができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、アンロック状態を検査すると共に再同期を自動的にリトライするPLL発振回路に好適である。
【符号の説明】
【0080】
1…PLL−IC、 2…ループフィルタ、 3…電圧制御水晶発振器(VCXO)、 4…演算処理装置(MPU)、 11…VCO、 12…分周器(NN)、 13…LPF(Low Pass Filter)、 14…AD変換器(A/D)、 15…基準クロック発生部、 16…キャリアリムーブ、 17…逆回転ベクトル乗算部、 18…位相の時間差検出部、 19…加算器、 20…位相差の累積加算部、 21…ループフィルタ、 22…DA変換器(D/A)、 23…電圧出力部、 24…加算器、 25…パラメータ出力部、 26…振幅情報検出部、 27…フィルタ、 28…乗算器、 30…保守インタフェース部、 32…位相比較器、 33…チャージポンプ、 34…ループフィルタ、 35…電圧制御機能付き水晶発振器(VCXO)、 36…分周器、 101…増幅器、 102…24ビット入力レジスタ(24-BIT INPUT REGISTER)、 103…差分増幅器、 104…14ビットRカウンタ(14-BIT R COUNTER)、 105…Rカウンタラッチ回路(R COUNTER LATCH)、 106…ファンクションラッチ回路(FUNCTION LATCH)、 107…Nカウンタラッチ回路(N COUNTER LATCH)、 108…13ビットNカウンタ(13-BIT N COUNTER)、 109…増幅器、 110…増幅器、 111…位相周波数検出器(PHASE FREQUENCY DETECTOR)、 112…チャージポンプ(CHARGE PUMP)、 113…リファレンス出力回路(REFERENCE)、 114…ロック検出器(LOCK DETECTOR)、 115…第1の現状設定回路(CURRENT SETTING 1)、 116…第2の現状設定回路(CURRENT SETTING 2)、 117…マルチプレクサ(MUX)、 118…増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLL発振回路であって、
入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振する電圧制御発振器と、
外部基準信号と前記電圧制御発振器からの発振出力信号を入力し、両信号の位相を比較し、位相差を検出して当該位相差に応じた位相差信号を出力すると共に、前記両信号が同期するロック状態又は同期しないアンロック状態を示すロック検出信号を出力するPLL−ICと、
前記PLL−ICからの位相差信号における高周波成分のノイズを除去するループフィルタと、
前記PLL−ICからのロック検出信号を入力し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用データを前記PLL−ICに設定し、前記PLL−ICからのロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が前記第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータを前記PLL−ICに設定するリトライを実行する演算処理装置とを有することを特徴とするPLL発振回路。
【請求項2】
PLL発振回路であって、
入力される制御電圧に応じて周波数信号を発振する電圧制御発振器と、
該周波数信号を分周する分周器と、
該分周された信号をアナログ/デジタル変換するAD変換器と、
該アナログ/デジタル変換された信号と正弦波信号との位相を比較して位相差を検出し、当該位相差に応じた位相差信号を出力する位相比較部と、
前記位相差信号における高周波成分のノイズを除去するループフィルタと、
該ノイズが除去された位相差信号をデジタル/アナログ変換するDA変換器と、
周波数パラメータを各部に出力するパラメータ出力部と、
アンロック状態を判定してアンロックアラーム出力信号を出力する演算処理装置とを備え、
前記位相比較部は、自動利得制御回路として、前記AD変換器の後段に乗算器と、該乗算器のゲインを制御するための振幅情報を検出し、当該振幅情報に基づいてアンロック検出信号を出力する振幅情報検出部とを備え、
前記演算処理装置は、前記アンロック検出信号に基づいてロック状態又はアンロック状態を判定し、ロック状態においてアンロック状態にするためのアンロックアラームテスト用コマンドを前記パラメータ出力部に設定し、前記アンロック検出信号によりアンロック状態を判定すると、外部にアンロックアラーム出力信号を出力し、アンロック状態が第1の期間継続しているか否かを判定し、アンロック状態が前記第1の期間継続していれば、再同期を行わせるためのデータを前記パラメータ出力部に設定するリトライを実行することを特徴とするPLL発振回路。
【請求項3】
位相比較部が、AD変換器からの出力を直交検波し、前記AD変換器からの出力信号と検波用の信号との周波数の差で回転する回転ベクトルを取り出すキャリアリムーブと、
回転ベクトルに対して逆回転ベクトルを乗算する逆回転ベクトル乗算部と、
乗算されて減速された回転ベクトルに基づいてサンプリング時間毎の位相差を検出する位相の時間差検出部と、
検出された位相差から微調整周波数を差し引く加算器と、
前記加算器からの出力を一定時間累積加算する位相差の累積加算部とを備え、
振幅情報検出部が、前記逆回転ベクトル乗算部からの出力を分岐して入力した信号から検出した振幅情報を監視し、特定の範囲になった場合にアンロック検出信号を出力することを特徴とする請求項2記載のPLL発振回路。
【請求項4】
演算処理装置が、アンロック状態が第1の期間継続していなければ、ロック状態が第2の期間継続しているか否かを判定し、ロック状態が前記第2の期間継続していれば、アンロックアラーム出力信号をアラーム解除状態とし、リトライを実行しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のPLL発振回路。
【請求項5】
演算処理装置が、アンロック状態が第1の期間継続していなければ、ロック状態が第2の期間継続しているか否かを判定し、ロック状態が前記第2の期間継続していなければ、アンロック状態が前記第1の期間継続するまでリトライを実行しないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のPLL発振回路。
【請求項6】
第1の期間を第2の期間より長く設定したことを特徴とする請求項4又は5記載のPLL発振回路。
【請求項7】
第1の期間を第2の期間より短く設定したことを特徴とする請求項4又は5記載のPLL発振回路。
【請求項8】
演算処理装置が、リトライ回数を管理しており、特定回数リトライを実行すると、リトライを停止し、アンロックアラーム出力信号を保持することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載のPLL発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155599(P2011−155599A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17075(P2010−17075)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】