説明

PPARγタイプレセプターを活性化する新規二芳香族化合物、それらの調製方法、及び化粧品組成物若しくは製薬組成物におけるそれらの使用

本発明は、以下の一般的な化学式(I)に相当する新規二芳香属性化合物、並びにヒトまたは獣医学的な医薬における、特に皮膚科学、並びに心臓血管疾患、免疫疾患、及び/または脂質代謝に関する疾患の分野における使用が意図される製薬組成物、あるいは化粧品組成物の調製方法、及びその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規且つ有用な工業製品としての、「ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター」タイプのサブタイプγのレセプター(PPARγ)のアクチベーターである新規な種類の二芳香族化合物に関する。本発明は、それらの調製方法、及びヒトにおける使用が意図される製薬組成物における、若しくは獣医薬における、あるいは化粧品組成物におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
PPARタイプのレセプターの活性は多くの研究の主題を形成している。PPARタイプのレセプターに関する多数の書誌参照が記載されているMichel Rivier et al., J. Invest. Dermatol., 1998, 111, 1116-1121の「Differential Expression of Peroxisome Proliferator-Activated Receptor Subtypes During the Differentiation of Human Keratinocytes」と題された文献が例として挙げられる。Timothy M. Willson et al., J. Med. Chem., 2000, 43, 527-550の「The PPARs: From Orphan Receptors to Drug Discovery」と題された報告も例として挙げられる。
【0003】
PPARレセプターは、レチノイドXレセプター(RXRとして知られている)とヘテロダイマーを形成して、ペルオキシソーム増殖因子応答エレメントとして知られているDNA配列のエレメントに結合することによって転写を活性化する。
【0004】
ヒトPPARの3つのサブタイプが同定されており、記載されている:PPARα、PPARγ、及びPPARδ(またはNUC1)。
【0005】
PPARαは主に肝臓で発現しているが、一方でPPARδは広範に分布している。
【0006】
PPARγは3つのサブタイプの内で最も広範に研究されている。全ての参照文献は、PPARγが強力に発現している脂肪細胞の分化の制御におけるPPARγの重要な役割を示唆している。PPARγは全身の脂質のホメオスタシスにおいても重要な役割を担っている。
【0007】
更に、本出願人の会社は、特許出願FR98/02894において、製薬組成物の調製におけるPPARγ活性化化合物の使用、上皮細胞の分化の異常に関連する皮膚疾患の治療に意図される組成物を既に開示している。
【0008】
本出願人の会社は、特許FR2 812 876において、PPARγレセプターのアクチベーターである種類の二芳香族化合物も開示している。
【特許文献1】FR98/02894
【特許文献2】FR2 812 876
【非特許文献1】Michel Rivier et al., J. Invest. Dermatol., 1998, 111, 1116-1121
【非特許文献2】Timothy M. Willson et al., J. Med. Chem., 2000, 43, 527-550
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主題のひとつは、当該技術分野で既知の化合物、特に特許FR2 812 876に開示されている化合物よりも有意に改善された生物学的活性を示す、新規な種類のPPARγ活性化化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、本出願人の会社は、驚くほどの生物学的活性、特に特許FR2 812 876に記載の化合物と比較して有意に増大したPPARγレセプターへの結合アフィニティーを示す、以下に記載の化学式(I)に相当する限られた群の化合物を発見した。この結合アフィニティーの増大は、特に以下に説明するように驚くほど低減した見かけの解離定数(KdApp)値より明らかである。
【0011】
かくして、本発明は、以下の一般的な化学式(I)に相当する化合物に関する。
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
-R1は、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、メチルシクロプロパン基、アラルキル基、またはアリール基を意味する;
-R2は、3から8の炭素原子を有するアルキル基を意味する;
-R3は、水素原子または1から6の炭素原子を有するアルキル基を意味する;
-R4及びR5は、同一または異なるものであり、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
並びに、化学式(I)の前記化合物の、純物質または全ての割合における混合物として、可能性がある異性体である光学異性体及び/または幾何異性体、及び可能性がある互変異性型、並びに化学式(I)の前記化合物の塩にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記の化学式(I)の化合物に関して、用語「幾何異性体」はシス/トランスまたはE/Z異性体を意味する。とりわけ、一般的な化学式(I)の化合物の各種の置換基に存在する可能性がある二重結合はE若しくはZの配置であって良い。これらの幾何異性体は、純粋物若しくは不純物、単独若しくは混合物として、化学式(I)の化合物の一部を形成する。
【0015】
用語「光学異性体」は、分光した光線の旋光を生じさせる分子内の1つ以上の対称軸及び/または対称中心に由来して単独若しくは混合物として存在する異性体のいかなる形態も包含する。用語「光学異性体」は、とりわけ、純粋な形態においてまたは混合物として、エナンチオマー及びジアステレオ異性体を含む。
【0016】
本発明に係る化合物が塩の形態で提供される際には、好ましくは、アルカリ金属塩、特にナトリウム塩、またはアルカリ土類金属塩若しくは有機アミン塩、更に特にはアミノ酸塩、例えばアルギニン若しくはリジンの塩である。
【0017】
本発明によれば、用語「1から6の炭素原子を有するアルキル基」は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-へキシル、イソへキシル、シクロヘキシル、エチレニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル基より選択される、任意に分枝の、飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは環状のアルキル基を意味すると解される。
【0018】
本発明によれば、用語「3から8の炭素原子を有するアルキル基」は、好ましくは、任意に分枝の、飽和若しくは不飽和の、3から8の炭素原子を含む直鎖若しくは環状アルキル基であり、好ましくはn-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-へプチル、イソへプチル、n-オクチル、イソオクチル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、またはオクテニル基を意味すると解される。
【0019】
用語「ハロゲン原子」は、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素原子を意味すると解される。
【0020】
用語「アラルキル基」は、好ましくは、ハロゲン原子、CF3基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、1から6の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、あるいは保護されていない、または置換されていない、または任意に1から6の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基若しくはカルボキシル官能基によって置換されているアミノ官能基より選択される1つ以上の基によって置換されている、または置換されていないベンジル、フェネチル、ナフト-2-イルメチル基を意味すると解される。
【0021】
用語「アリール基」は、好ましくは、ハロゲン原子、CF3基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、1から6の炭素原子を有するアルコキシ基、ニトロ官能基、ポリエーテル基、アリール基、ベンゾイル基、アルキルエステル基、カルボン酸、アセチル基若しくはベンゾイル基によって任意に保護されているヒドロキシル基、あるいはアセチル基若しくはベンゾイル基によって任意に保護されている、または1から6の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基によって任意に置換されているアミノ官能基によって単置換若しくは二置換されて良いフェニル、ビフェニル、シンナミル、またはナフチル基を意味すると解される。
【0022】
用語「アルコキシ基」は、好ましくは、1から6の炭素原子を有するアルキル基によって任意に置換されて良いメトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、またはフェノキシ基を意味すると解される。
【0023】
用語「ポリエーテル基」は、メトキシメトキシ、メトキシメチレン、エトキシメトキシ、エトキシメチレン、またはメトキシエトキシメトキシ基のような、少なくとも1つの酸素原子に割り込まれた1から6の炭素原子を有する基を意味すると解される。
【0024】
用語「アルキルエステル基」は、1から6の炭素原子を有するアルキル基によって置換されたカルボキシレート官能基を意味すると解される。
【0025】
本発明の範囲の化学式(I)の化合物の中でも特に、以下の化合物が(単独若しくは混合物として)挙げられる:
1.2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
2.2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
3.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
4.2(S)-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
5.2(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
6.2(S)-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
7.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
8.3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-プロポキシプロピオン酸、
9.2(S)-アリルオキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
10.2(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
11.2(S)-メトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
12.3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-メトキシプロピオン酸、
13.2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-プロピルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
14.3-[3'-(3-シクロプロピルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
15.3-[3'-(3-シクロペンチルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
16.2(S)-エトキシ-3-[3-フルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
17.2(S)-エトキシ-3-[4'-フルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
18.3-[3,4'-ジフルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
19.2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸メチル、
20.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸メチル、
21.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-シクロプロピルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
22.3-[3'-[3-(2-シクロヘキシルエチル)-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
23.2(R)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
24.2(R)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
25.2-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
26.2(R)-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
27.3-[3'-(3-アリル-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
28.3-[3'-(3-アリル-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸アリル。
【0026】
本発明によれば、特により好ましい化学式(I)の化合物は以下の特徴の少なくとも1つを示すものである:
-R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、若しくはtert-ブチル基より選択されるアルキル基、メチルシクロプロパン基、またはベンジル基より選択される、
-R2は、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-へプチル、またはイソへプチル基より選択されるアルキル基を意味する、
-R3は水素原子を意味する、
-R4及び/またはR5は水素原子またはフッ素原子より選択される。
【0027】
特に、本発明によれば、好ましくは、以下の特徴の全てを示す化学式(I)の化合物が好ましいであろう:
-R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、若しくはtert-ブチル基より選択されるアルキル基、メチルシクロプロパン基、またはベンジル基より選択される、
-R2は、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-へプチル、またはイソへプチル基より選択されるアルキル基を意味する、
-R3は水素原子を意味する、
-R4及び/またはR5は水素原子またはフッ素原子より選択される。
【0028】
更に特に、本発明は一般的な化学式(I)に相当する化合物の、あるいは化学式(I)の前記化合物の純粋物若しくは全ての割合における混合物としての、可能性のある異性体である光学異性体及び/若しくは幾何異性体の、可能性のある互変異型の、または化学式(I)の前記化合物の塩の合成方法に関し、前記方法は以下の工程を含むことを特徴とする:
図1に関する、以下に記載の工程では、示唆されない限り、化合物1から20のR1、R2、R3、R4、及びR5基は一般的な化学式(I)の化合物に規定されるものと同一である。
【0029】
a) 化学式1の化合物の調製:
【0030】
【化2】

【0031】
ジ(tert-ブチル)ジカーボネートを使用してアミンを保護し、次いで水酸化ナトリウムの存在下で、例えばヨウ化メチルを使用してメチル化を実施することで、任意にR5基によって置換されている市販の3-ブロモアニリンより調製する。
【0032】
b) 化合物2の調製:
【0033】
【化3】

【0034】
例えばトリフルオロ酢酸のような酸を使用して化合物1を処理することによって調製する。
【0035】
c) 化合物3の調製:
【0036】
【化4】

【0037】
パラジウムジクロリドジフェニルホスフィノプロパンフェロセンのような触媒の存在下でピナコールボランを使用する化合物2の反応によって調製する。
【0038】
d) 化合物5の調製:
【0039】
【化5】

【0040】
以下の市販のエポキシド4を処理して調製する:
【0041】
【化6】

【0042】
前記処理は、tert-ブチルリチウムとシアン化銅の存在下で、例えば1,4-ジブロモベンゼンのようなハロゲン化アリールの反応によって得られるアリール銅塩を使用して処理する。
【0043】
e) 化合物6の調製:
【0044】
【化7】

【0045】
ラセミ化のいかなる問題も防止するために、例えば酸化銀の存在下でヨウ化エチルのようなハロゲン化アルキルを使用して化合物5を反応させて調製する。
【0046】
f) 化合物7の調製:
【0047】
【化8】

【0048】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下でSuzukiタイプの反応に従って、化合物6と化合物3とをカップリングさせて調製する。
【0049】
g) 化合物8の調製
【0050】
【化9】

【0051】
例えば、へプチルイソシアネートのようなアルキルイソシアネートと化合物7との間の反応によって調製する。
【0052】
h) 化合物(I)の調製:
【0053】
【化10】

【0054】
h1)R3がアルキル基である際:硫酸のような酸の存在下でアルコールを使用する化合物8のトランスエステル化によって調製する、
または
h2)R3が水素原子である際:例えば水酸化ナトリウムのような塩基の存在下における化合物8のけん化によって調製する。
【0055】
化学式(I)の化合物の他の有利な合成方法によれば、化合物3を調製する工程はa)からc)の部分に規定されているように繰り返し、化合物5を調製する工程はd)の部分に規定されるように繰り返し、以下に記載の工程に続く。
【0056】
i) 化合物10の調製:
【0057】
【化11】

【0058】
酸化銀の存在下で、例えば臭化ベンジルのようなハロゲン化ベンジルを使用して化合物5を処理することによって調製する。
【0059】
j) 化合物11の調製:
【0060】
【化12】

【0061】
例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのようなパラジウム触媒を使用するSuzukiタイプの反応によって、化合物3と化合物10とのカップリングによって調製する。
【0062】
k) 化合物12の調製:
【0063】
【化13】

【0064】
例えばヘプチルイソシアネートのようなアルキルイソシアネートと化合物11との間の反応によって調製する。
【0065】
l)アルコール13の調製:
【0066】
【化14】

【0067】
炭上のパラジウム(palladium-on-charcoal)の存在下で水素を使用して化合物12を水素化分解することによって調製する。
【0068】
m) 化合物8の調製:
【0069】
【化15】

【0070】
例えば酸化銀の存在下で、臭化アリルのようなハロゲン化アルキルを使用して化合物13を反応することによって調製する。
【0071】
n)工程h)に規定されるような化合物8からの化合物(I)の調製、選択肢n1)及びn2)は前記選択肢h1)及びh2)と一致する。
【0072】
化学式(I)の化合物は、水酸化ナトリウム、ブチルリチウム、またはナトリウムtert-ブトキシドのような塩基の存在下でホスホネート16を使用するHornerタイプの反応、次いで、炭上のパラジウムの存在下で水素化、及び任意に酵素分割、例えばプロテイナーゼ2Aの存在下で(S)エナンチオマーを得ることによって、アルデヒド誘導体15より図2の合成経路2aによって提供される反応スキームに従って得られても良い。この合成方法によれば、R1、R2、R3、R4、及びR5は上記のものである。
【0073】
化学式(I)の化合物は、Evans誘導体の調製のための4(S)-ベンジルオキサゾリジン-2-オンと塩化2-アルコキシ酢酸との反応、続いて、例えば、誘導体19を生じさせるジブチルボロントリフレートの存在下でアルデヒド誘導体15を使用して、良く規定されたキラリティーを有するそのEvans誘導体の縮合反応によって、図2の合成経路2bによって提供される反応スキームに従って得られても良い。Barton反応による化合物19の脱酸素化は化合物20を生じさせる。化合物(I)は、例えば、水酸化リチウムの存在下におけるけん化によって、または例えば、メタノール中でナトリウムメトキシドを使用するトランスエステル化によって化合物20より得られる。この合成方法によれば、R1、R2、R3、R4、及びR5は上記のものである。
【0074】
本発明によれば、用語「Evans誘導体」は、好ましくは、4(S)-ベンジルオキサゾリジン-2-オン誘導体のような、良く規定されたキラリティーを有するオキサゾリジン-2-オン誘導体を意味すると解される。
【0075】
本発明によれば、用語「Barton反応」は、図2で考慮される合成経路2bの場合では、化合物19のヒドロキシル基とフェニルクロロチオノホルメート(phenyl chlorothionoformate)との反応、続いて水素化トリブチルスズの存在下におけるラジカル反応を意味すると解される。
【0076】
本発明に係る化合物はPPARタイプのレセプターに関する調節特性を示す。PPARα、δ、及びγレセプターに対するこの活性は、以下の実施例7に記載されるようにトランス活性化試験において測定され、見かけの解離定数(KdApp)によって定量される。
【0077】
従来技術に鑑みて当業者に明らかでない方法において、本発明に係る好ましい化合物は驚くほどの生物学的活性、特に特許FR 2 812 876に係る化合物と比較して有意に増大したPPARδレセプターへの結合アフィニティーを示す。PPARγレセプターに関する本発明に係る化合物のKdApp値は実施例7に記載されており、表1に示しており、それらを特許出願FR 2 812 876の化合物と比較している:それらは1nM未満であり、有利には0.1nM未満であり、すなわち特許FR 2 812 876の化合物に記載されているKdAppより少なくとも120倍から数千倍まで低く(表1)、このことはPPARγレセプターに関する本発明に係る化合物のアフィニティーの非常な増大を反映している。表1では、本発明に係る幾つかの化合物のPPARγレセプターとのKdApp値が従来技術に係る幾つかの化合物と共に記載されており、従来技術に係る幾つかの化合物は類似の置換基を示すと解される。特に、本発明に係るR1基はFR 2 812 876に記載の化合物のR10基と同等であり、本発明に係るR2基はFR 2 812 876に係る化合物のR4基と同等である。
【0078】
特に、本発明に係る化合物はPPARγタイプの特異的なレセプター調節因子であり、すなわち、10以上のPPARγレセプターに関するKdAppに対するPPARα若しくはPPARδレセプターに関するKdAppの比を示す。好ましくは、このPPARα/PPARγ若しくはPPARδ/PPARγの比は50以上、より有利には100以上である。
【0079】
本発明の他の主題は、医薬としての上記の化学式(I)の化合物である。
【0080】
本発明に係る化合物は以下の治療に特に良く適する。
【0081】
1)分化及び増殖を伴う角質化の異常に関連する皮膚病変の治療、特に、尋常性座瘡、面皰若しくは多様型にきび、赤瘡、結節性座瘡、集簇性座瘡、老年性座瘡、及び二次的な座瘡、例えば太陽光線、薬物、若しくは職業に由来する座瘡の治療。
【0082】
2)角質化の異常の他のタイプ、特に魚鱗癬、魚鱗癬様病変、ダリエ病、掌蹠角皮症、白斑症、及び白斑症様病変、または皮膚若しくは粘膜(口内)苔癬の治療。
【0083】
3)細胞増殖の異常を伴う若しくは伴わない、炎症性免疫アレルギー性成分を伴う他の皮膚病変、特に乾癬の全ての形態、皮膚、粘膜、若しくは爪のいずれか、特に乾癬性リウマチ、あるいは皮膚アトピー、例えば湿疹、または呼吸器アトピー、あるいは歯肉肥大の治療。
【0084】
4)良性若しくは悪性の、ウイルス起源である若しくはウイルス起源ではない真皮若しくは表皮増殖、例えば、一般的ないぼ、扁平疣贅、及びゆうぜい状表皮発育異常症、葉状口腔乳頭腫症、Tリンパ腫、並びに紫外線照射によって誘導され得る増殖、特に基底細胞及び有棘細胞の上皮腫の場合、さらに、全ての前癌性皮膚病変、例えば角化棘細胞腫の治療。
【0085】
他の皮膚病変、例えば、エリテマトーデス、免疫水胞性疾患、及びコラーゲン疾患、例えば強皮症のような免疫皮膚病の治療。
【0086】
免疫学的な成分を伴う皮膚若しくは一般的な病変の治療。
【0087】
7)UV照射に対する曝露による皮膚病変の治療、及び光で誘導された若しくは経時的な皮膚の老化の修復若しくは前記老化と闘うため、または光線性角化症及び色素沈着若しくは経時的若しくは光線性の加齢と関連する任意の病変、例えば乾皮症の治療。
【0088】
8)座瘡の過剰脂漏若しくは単純な脂漏のような皮脂機能の異常の治療。
【0089】
9)瘢痕化の異常の治療若しくは予防、または皮膚線条の予防、若しくは修復。
【0090】
10)過剰色素沈着、黒皮症、色素脱失、または白斑のような色素沈着の異常の治療。
【0091】
11)肥満、高脂血症、または非インスリン依存性糖尿病のような脂質代謝の病変の治療。
【0092】
12)関節炎のような炎症性病変の治療。
【0093】
13)癌の若しくは前癌の病変の治療または予防。
【0094】
14)得に化学療法若しくは放射線による脱毛症のような、各種の起源の脱毛症の治療または予防。
【0095】
15)喘息、I型糖尿病、多発性硬化症、または免疫系の他の選択的な不全のような免疫系の異常の治療。
【0096】
16)動脈硬化症または高血圧のような、心臓血管系の病変の治療。
【0097】
本発明の他の主題は、生理的に許容される媒体中に少なくとも1つの上記の化学式(I)の化合物を含む、製薬組成物または化粧品組成物である。
【0098】
本発明の他の主題は、上述の病変の治療、特に皮膚の脂質の代謝を調節及び/または回復することが意図される組成物の製造における化学式(I)の化合物の使用である。
【0099】
本発明に係る組成物は、経口的、非経口的、局所的、または眼に投与されて良い。好ましくは、前記製薬組成物は局所的な投与に適切な形態にパッケージされる。
【0100】
経口的には、前記組成物、さらに特に前記製薬組成物は、糖衣錠を含む錠剤、硬ゼラチンカプセル、シロップ、懸濁物、溶液、粉末、顆粒、エマルションまたは脂質かポリマーのミクロスフェア若しくはナノスフェア、あるいは放出を制御することができるベシクルの形態で提供されて良い。非経口的には、前記組成物は、輸液または注射のための溶液または懸濁物の形態で提供されて良い。
【0101】
本発明に係る化合物は、1から3回服用されて、約0.001mg/kgから100mg/kg(体重)の1日の用量で一般的に投与される。
【0102】
前記化合物は、前記組成物の重量に対して一般的に0.001重量%と10重量%の間、好ましくは0.01重量%と1重量%の間の濃度で全身に使用される。
【0103】
局所的には、本発明に係る製薬組成物はとりわけ皮膚及び粘膜の治療に意図され、軟膏剤、クリーム、乳剤、オイントメント、粉末、含浸パッド、溶液、ゲル、スプレー、ローション、または懸濁物の形態で提供されて良い。脂質若しくはポリマーのミクロスフェア若しくはナノスフェア、またはベシクル、あるいはポリマーパッチ、並びに放出を調節することができるヒドロゲルの形態で提供されても良い。この局所的な組成物は無水の形態、水性の形態、またはエマルションの形態で提供されて良い。
【0104】
前記化合物は、前記組成物の全重量に対して一般的に0.001重量%と10重量%の間、好ましくは0.01重量%と1重量%の間の濃度で局所的に使用される。
【0105】
本発明に係る化学式(I)の化合物は化粧品の分野において、特に身体及び毛髪の衛生において、更に特に皮膚の脂質代謝の調節及び/または回復のためにも適用される。過去に知られている製品と比較すると、化学式(I)のこれらの化合物は他の有利な特性、特に刺激を少なくしてより良く許容される化合物とする抗炎症特性または鎮静特性を更に示すという利点を有する。
【0106】
かくして、本発明の他の主題は、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも1つの化学式(I)の化合物を含む組成物の身体または毛髪の衛生のための美容的使用である。
【0107】
本発明に係る化粧品組成物は、化粧品として許容される媒体中に、少なくとも1つの化学式(I)の化合物、またはその光学異性体若しくは幾何異性体の1つ、あるいはその塩を含み、クリーム、乳剤、ローション、ゲル、脂質若しくはポリマーのミクロスフェア若しくはナノスフェアまたはベシクル、石鹸、またはシャンプーの形態で特に提供されて良い。
【0108】
前記化粧品組成物の化学式(I)の化合物の濃度は、組成物の全重量に対して0.001重量%と3重量%の間である。
【0109】
上述の組成物は、当然、不活性な若しくは薬力学的に活性な添加物、またはこれらの添加物の組み合わせを更に含み、特に:湿潤剤;脱色剤、例えばヒドロキノン、アゼライン酸、コーヒー酸、またはコウジ酸;皮膚軟化剤;加湿剤、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)400、チアモルフォリノン(thiamorpholinone)及びその誘導体、または尿素;抗脂漏剤または抗座瘡剤、例えばS-カルボキシメチルシステイン、S-ベンジルシステアミン、それらの塩若しくはそれらの誘導体、またはベンゾイルペルオキシド;抗真菌剤、例えばケトコナゾールまたは4,5-ポリメチレン-3-イソチアゾリドン;抗バクテリア剤;カロテノイド及び特にβ-カロテン;抗乾癬剤、例えばアントラリン及びその誘導体;エイコサ-5,8,11,14-テトライン酸及びエイコサ-5,8,11-トリイン酸、それらのエステル及びアミド;並びにレチノイド。化学式(I)の化合物は、ビタミンDまたはその誘導体、コルチコステロイド、フリーラジカルに対する剤、α-ヒドロキシ若しくはα-ケト酸またはそれらの誘導体、あるいはイオンチャンネルブロッカーと組み合わせても良い。
【0110】
これらの組成物は、香味促進剤、保存剤、例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル、安定剤、湿度調節剤、pH調節剤、浸透圧を変化させる剤、乳化剤、UV-A及びUV-Bスクリーン剤、または抗酸化剤、例えばα-トコフェロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、若しくはブチル化ヒドロキシトルエンを含んでも良い。
【0111】
当然、当業者は、本発明に本質的にもたらされる有利な特性が予想される添加によって有害な影響を受けない、または実質的に受けないように、これらの組成物に添加するべき任意の化合物の選択に注意するであろう。
【0112】
本発明の他の主題は、少なくとも1つの上記の化学式(I)の化合物を含む組成物を皮膚に適用することを特徴とする、皮膚をより魅力的にするための美容方法に関する。皮膚の脂質代謝の調節及び/または回復は、より魅力的にされた表面の外観を有する皮膚を得ることを可能にする。
【0113】
本発明に係る化学式(I)の活性化合物の調製の幾つかの例を、その様な化合物及びこれらの化合物に基づく各種の実用的な製剤の生物学的活性の結果と共に、本質を制限すること無く説明によってここで示す。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
a) tert-ブチル(3-ブロモフェニル)カルバメート
120g(549mmol)のジ(tert-ブチル)ジカーボネートを、94g(549mmol)の3-ブロモアニリンと1 lのジクロロメタンの混合物に環境温度で少量ずつ添加する。18時間の攪拌後、前記反応混合物を氷冷水に移し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を沈殿させて分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させる。138gのtert-ブチル(3-ブロモベンジル)カルバメートが得られる。収率=98%。
【0115】
b)tert-ブチル(3-ブロモフェニル)-N-メチルカルバメート
19g(475mmol)の水酸化ナトリウム(油中で60%)を、800mlのジメチルホルムアミド中の114g(447mmol)のtert-ブチル(3-ブロモベンジル)カルバメートの溶液に少量ずつ添加し、その反応媒質を気体の発生が止まるまで攪拌する。29.3ml(470mmol)のヨウ化メチルを滴々と添加して、攪拌を18時間維持する。その反応媒質を氷冷水に移して、酢酸エチルで抽出した。有機相を沈殿させて分離し、硫酸マグネシウムを使用して乾燥して、蒸発させる。115gのtert-ブチル(3-ブロモベンジル)-N-メチルカルバメートが得られる。収率=95%。
【0116】
c)tert-ブチル(4'-ホルミルビフェニル-3-イル)メチルカルバメート
307ml(615mmol)の炭酸ナトリウム水溶液(2M)を、61.5g(205mmol)のtert-ブチル(3-ブロモベンジル)-N-メチルカルバメート、46g(307mmol)の4-ホルミルベンゼンボロン酸、及び500mlのトルエンの混合物に滴々と添加する。その反応媒質をアルゴンを使用して脱気し、7g(6.2mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加する。24時間、90℃に加熱した後、その反応媒質を水に移して、酢酸エチルで抽出する。有機相を沈殿させて分離し、硫酸マグネシウムを使用して乾燥させ、蒸発させる。ヘプタンと酢酸エチル(70/30)の混合物で溶出するシリカカラムクロマトグラフィーによって、得られた残留物を精製する。溶媒を蒸発させた後、67gのtert-ブチル(4'-ホルミルビフェニル-3-イル)メチルカルバメートを回収する。収率=60%。
【0117】
d)tert-ブチル{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-1(R)-ヒドロキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメート
72.3ml(72.3mmol)のジブチルホウ素トリフレートと、次いで12.6ml(72.3mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、市販の(S)-4-ベンジル-3-オキサゾリジン-2-オンよりBernard Hulin et al., による文献J. Med. Chem., 1996, 39, 3897-3907に記載されているように調製される15.2g(57.8mmol)の(S)-4-ベンジル-3-(2-エトキシアセチル)オキサゾリジン-2-オンの150mlのジクロロメタン中の0℃まで冷却した溶液に滴々と添加する。その反応媒質を0℃で30分間攪拌し、次いで-78℃まで冷却する。次いで、70mlのジクロロメタン中の15g(48.2mmol)のtert-ブチル(4'-ホルミルビフェニル-3-イル)メチルカルバメートの溶液を滴々と添加する。4時間に亘って-78℃から環境温度で攪拌した後、その反応媒質を0℃に冷却し、130mlの緩衝溶液(pH7)と100mlのメタノールとの混合物を滴々と添加して、続いて130mlの過酸化水素水と100mlのメタノールとの混合物を滴々と添加する。その反応媒質を0℃で1時間攪拌し、次いで環境温度で3時間攪拌する。水の添加後、その反応媒質をジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空条件下で蒸発させた。ヘプタンと酢酸エチル(70/30)の混合物で、次いで50/50のヘプタン/酢酸エチル混合物まで極性を増大させて溶出されるシリカカラムクロマトグラフィーによって、得られた残留物を精製する。溶媒を蒸発させた後、28gのtert-ブチル{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-1(R)-ヒドロキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメートを回収する。収率=81%。
【0118】
e) tert-ブチル(S)-{4'-[3-(4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメート
4.8ml(9.6mmol)のナトリウムビス(トリメチルシリルアミド)を、70mlのテトラヒドロフラン中の5g(8.7mmol)のtert-ブチル{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-1(R)-ヒドロキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメートの事前に0℃に冷却された溶液に滴々と添加する。その反応媒質を-78℃で1時間攪拌し、次いで1.3ml(9.6mmol)のフェニルクロロチオノホルメートを添加して、その媒質を-78℃で1時間攪拌し、次いで環境温度で1時間30分間攪拌する。テトラヒドロフランを蒸発させた後、その反応媒質をジクロロメタンで抽出し、水で洗浄する。有機相を沈殿させて分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して真空条件下で蒸発させる。9g(8.7mmol)の得られた残留物を100mlのトルエン中に移し、71mg(0.4mmol)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、次いで3.5ml(13.1mmol)の水素化トリブチルスズを添加する。その反応媒質を110℃に20分間加熱する。水を添加した後、その反応媒質を酢酸エチルで抽出する。有機相を水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させる。ヘプタンと酢酸エチル(90/10)の混合物で、次いで70/30ヘプタン/酢酸エチル混合物まで極性を増大させて溶出されるシリカカラムクロマトグラフィーによって、得られた残留物を精製する。溶媒を蒸発させた後、2.85gのtert-ブチル(S)-{4'-[3-(4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメートを得る。収率=60%。
【0119】
f)4(S)-ベンジル-3-[2(S)-エトキシ-3-(3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル)プロピオニル]オキサゾリジン-2-オン
9ml(114mmol)のトリフルオロ酢酸を、150mlのジクロロメタン中の8.5g(15.2mmol)の(S)-{4'-[3-(4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}メチルカルバメート溶液に滴々と添加する。その反応媒質を環境温度で24時間攪拌し、水を添加して、ジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、蒸発させる。8.7gの4(S)-ベンジル-3-[2(S)-エトキシ-3-(3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル)プロピオニル]オキサゾリジン-2-オンをトリフルオロ酢酸塩の形態で得る。収率=100%。
【0120】
g)1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-3-へプチル-1-メチルウレア
1.1ml(7.7mmol)のトリエチルアミン、次いで2.25ml(14.0mmol)のへプチルイソシアネートを、50mlのジクロロメタン中の4g(7.0mmol)の4(S)-ベンジル-3-[2(S)-エトキシ-3-(3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル)プロピオニル]オキサゾリジン-2-オンの溶液に滴々と添加する。環境温度で20時間攪拌した後、その反応媒質を水中に移し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、蒸発させる。ヘプタンと酢酸エチル(50/50)の混合物で溶出されるシリカカラムクロマトグラフィーによって、得られた残留物を精製する。溶媒を蒸発させた後、3.6gの1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-3-へプチル-1-メチルウレアを無色の油の形態で回収する。収率=86%。
【0121】
h)2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
18ml(9.0mmol)の0.5M 水酸化リチウム水溶液を、80mlのテトラヒドロフランの3.6g(6.0mmol)の1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-3-へプチル-1-メチルウレアの事前に0℃まで冷却した溶液に添加する。その反応媒質を0℃で2時間攪拌し、次いでテトラヒドロフランの一部を蒸発させる、水とn-ブタノールとを添加する。その反応媒質を、1N 塩酸溶液を使用してpH3まで酸性にし、n-ブタノールで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、真空条件下で蒸発させる。ヘプタンと酢酸エチル(70/30)の混合物で、次いで50/50のヘプタン/酢酸エチルの混合物まで極性を増大させて溶出されるシリカカラムクロマトグラフィーによって、得られた残留物を精製する。溶媒を蒸発させた後、1.5gの2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチル-ウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を
無色の油の形態で回収する。収率=57%。
1H NMR (δ, CDCl3): 0.87 (t, J = 7 Hz, 3H); 1.20-1.24 (m, 8H), 1.43 (m, 2H), 3.12 (m, 1H), 3.18 (m, 1H), 3.22 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 3.49 (m, 1H), 3.69 (m, 1H), 4.15 (m, 1H), 4.43 (m, 1H), 7.22-7.56 (m, 8H)。
【0122】
i)2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸のL-アルギニン塩
0.4g(2.3mmol)のL-アルギニン水溶液を、22mlのエタノール中の1g(2.3mmol)の2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸の事前に78℃に加熱した溶液に滴々と添加する。その反応媒質を78℃に1時間加熱し、次いで一晩で環境温度まで戻して、真空条件下で蒸発させて乾燥させる。得られた残留物を15mlのエチルエーテルで処理して、環境温度で30分間攪拌して濾過する。得られた固体をエチルエーテルですすいで、乾燥器で真空条件下で乾燥させる。1.3gの2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸のL-アルギニン塩を白色粉末の形態で得る。収率=100%。
1H NMR (δ, d6-DMSO): 0.84 (m, 3H), 1.00 (m, 3H), 1.22 (m, 8H), 1.37 (m, 2H), 1.27-1.39 (m, 4H), 2.90 (m, 1H), 2.97-3.07 (m, 3H), 3.18 (s, 3H), 3.20 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 3.67 (m, 1H), 6.05 (m, 1H), 7.18-7.54 (m, 8H)。
【0123】
(実施例2)
2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
a)1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-1-メチル-3-ペンチルウレア
実施例1のg)と類似の方法で、0.8g(1.4mmol)の4(S)-ベンジル-3-[2(S)-エトキシ-3-(3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル)プロピオニル]オキサゾリジン-2-オン及び0.35ml(2.8mmol)のペンチルイソシアネートから、0.54gの1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-1-メチル-3-ペンチルウレアを無色の油の形態で得る。収率=67%。
【0124】
b)2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
実施例1のh)と類似の方法で、0.53g(0.93mmol)の1-{4'-[3-(4(S)-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2(S)-エトキシ-3-オキソプロピル]ビフェニル-3-イル}-1-メチル-3-ペンチルウレア及び2.8ml(1.4mmol)の0.5N 水酸化ナトリウム水溶液から、0.32gの2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を無色の油の形態で得る。収率=84%。
1H NMR (δ, CDCl3): 0.87 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.21 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.25-1.37 (m, 8H), 1.60 (m, 2H), 3.11 (dd, J = 7.8 Hz, J = 14 Hz, 1H), 3.38 (dd, J = 7 Hz, J = 14 Hz, 1H), 3.40 (m, 2H), 3.47 (m, 3H), 3.50 (m, 1H), 3.65 (m, 1H), 4.15 (m, 1H), 6.94 (d, J = 8.4 Hz, 1H),7.35-7.40 (m, 3H), 7.75-7.82 (m, 3H)。
【0125】
c)2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸のL-アルギニン塩
実施例1のi)と類似の方法で、0.32g(0.8mmol)の2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸及び0.13g(0.8mmol)のアルギニンから、0.45gの2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸のL-アルギニン塩を白色固体の形態で得る。収率=100%。
1H NMR (δ, d6-DMSO): 0.86 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.01 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.20-1.28 (m, 8H), 1.30 (m, 2H), 1.40 (m, 2H), 1.41-1.57 (m, 2H), 2.8 (m, 1H), 3.00-3.10 (m, 4H), 3.20 (s, 3H), 3.22 (m, 1H), 3.33 (m, 1H), 3.42 (m, 1H), 3.67 (m, 1H), 6.06 (m, 1H), 7.19-7.55 (m, 8H)。
【0126】
(実施例3)
2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
a)実施例1のb)と類似の方法で調製されるtert-ブチル(3-ブロモフェニル)-N-メチルカルバメートの3.6g(12.7mmol)を15mlのジクロロメタンに溶解する。5mlのトリフルオロ酢酸を添加して、その反応混合物を環境温度で1時間攪拌する。その反応を50mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加することによって停止させ、次いで酢酸エチルで抽出する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 50/50)にかける。2.14gの3-ブロモ-N-メチルアニリンを油の形態で得る。収率=90%。
【0127】
b)10mlのジメチルホルムアミド中の130mg(0.16mmol, 5mol%)の二塩化パラジウムジフェニルホスフィノプロパンフェロセン(PdCl2dppf)の存在下で、600mg(3.2mmol)の3-ブロモ-N-メチルアニリン及び1g(10.2mmol)の酢酸ナトリウムの混合物に、890mg(3.5mmol)のピナコールボランを添加する。その混合物を90℃で二時間攪拌する。その反応を20mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。420mgのメチル[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]アミンを油の形態で得る。収率=57%。
【0128】
c)72ml(0.122mol, 2.5eq)のtert-ブチルリチウム(1.7M/ペンタン)を、-30℃の100mlのtert-ブチルメチルエーテル中の35g(0.148mol, 3 eq)の1,4-ジブロモベンゼンの懸濁物に針を使用してゆっくりと添加する。その混合物を-30℃で10分間攪拌し、次いで5.3g(0.059mol)の銅(I)シアニドを上記の溶液に導入する。その反応混合物を-30℃で20分間攪拌する。10mlのtert-ブチルメチルエーテル中の5g(0.049mol)のメチル(S)-グリシデートの溶液を添加して、温度を-20℃未満に維持する。その混合物を-30℃で20分間攪拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液を添加してその反応を停止させる。その混合物を3×300mlの酢酸エチルで抽出する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン100%からヘプタン/酢酸エチル60/40まで)にかける。7.2gのメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピオネートを固体の形状で得る。収率=56%。
【0129】
d)0.11ml(1.15mmol)のブロモメチルシクロプロパンを、2mlのジエチルエーテル中の267mg(3.48mmol)の酸化銀及び100mg(0.38mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピオネートの混合物に添加する。その反応混合物を50℃で24時間攪拌する。その混合物を濾過し、次いで溶媒を蒸発させる。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 85/15)にかける。145mgのメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-(シクロプロピルメトキシ)プロパノエートを油の形態で得る。収率=50%。
【0130】
e)53mg(0.046mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、3mlのジメチルホルムアミド中の145mg(0.46mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-(シクロプロピルメトキシ)プロピオネート及び129mg(0.55mmol)のメチル[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]アミンの溶液に添加する。0.3mlの2Mリン酸ナトリウム溶液を添加して、その反応混合物を90℃で2時間攪拌する。その反応を10mlの水を添加して停止させ、酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。70mgのメチル(S)-2-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=45%。
【0131】
f)40μl(0.25mmol)のへプチルイソシアネートを、2mlのジクロロメタン中の70g(0.2mmol)のメチル(S)-2-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロピオネートの溶液に添加する。その反応混合物を環境温度で48時間攪拌する。その反応を2mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 70/30)にかける。86mgのメチル(S)-2-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=87%。
【0132】
g)21mg(0.54mmol)の水酸化ナトリウムを、2mlの9/1 テトラヒドロフラン/メタノール中の86mg(0.18mmol)のメチル(S)-2-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオネート溶液に添加する。その反応混合物を環境温度で一晩攪拌する。その反応を2mlの水と0.5mlの酢酸とを添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 90/10)にかける。70mgの2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を油の形態で得る。収率=84%。
1H NMR: (CDCl3, 400 MHz): 0.20 (m, 2H), 0.56 (m, 2H), 0.86 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.05 (m, 1H), 1.24 (m, 8H), 1.42 (m, 2H), 3.07-3.25 (m, 4H), 3.32 (s, 3H), 3.39 (m, 2H), 4.20 (dd, J = 4, 7.6 Hz, 1H), 4.40 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1H),7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47-7.54 (m, 5H)。
【0133】
(実施例4)
2-(S)-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
0.22ml(2.31mmol)のヨウ化プロピルを、3mlのジエチルエーテル中の793mg(3.48mmol)の酸化銀と300mg(1.16mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピオネートとの混合物に添加する。その反応混合物を50℃で12時間攪拌する。その混合物を濾過し、次いで溶媒を蒸発させる。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。291mgのメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-(プロピルオキシ)プロパノエートを油の形態で得る。収率=83%。
【0134】
b)38mg(0.033mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、1mlのジメチルホルムアミド中の100mg(0.33mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-(プロピルオキシ)プロピオネート及び90mg(0.39mmol)のメチル[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]アミンの溶液に添加する。0.2mlの2M リン酸ナトリウム溶液を添加し、反応混合物を90℃で2時間攪拌する。その反応を10mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。76mgのメチル(S)-2-プロピルオキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=70%。
【0135】
c)156μl(0.96mmol)のへプチルイソシアネートを、3mlのジクロロメタン中の210mg(0.64mmol)のメチル(S)-2-プロピルオキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロパノエートの溶液に添加する。その反応混合物を環境温度で48時間攪拌する。その反応を2mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 70/30)にかける。200mgのメチル(S)-2-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=66%。
【0136】
d)51mg(1.28mmol)の水酸化ナトリウムを、2mlの9/1 テトラヒドロフラン/メタノール中の200mg(0.42mmol)のメチル(S)-2-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエート溶液に添加する。その反応混合物を一晩、環境温度で攪拌する。その反応を2mlの水と0.5mlの酢酸とを添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 90/10)にかける。147mgの2-(S)-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を油の形態で得る。収率=76%。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 0.86 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 0.90 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.24 (m, 8H), 1.43 (m, 2H), 1.61 (sext, J = 7 Hz, 2H), 3.07-3.22 (m, 4H), 3.32 (s, 3H), 3.38及び3.57 (2q, J = 7.7 Hz, 2H), 4.13 (m, 1H), 4.41 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47-7.55 (m, 5H)。
【0137】
(実施例5)
2-(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
1.9ml(16mmol)の臭化ベンジルを、20mlのジエチルエーテル中の4.4g(19mmol)の酸化銀と3.5g(13mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピオネートとの混合物に添加する。その反応混合物を50℃で12時間攪拌する。その混合物を濾過し、次いで溶媒を蒸発させる。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。4gのメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ベンジルオキシプロパノエートを油の形態で得る。収率=85%。
【0138】
635mg(0.55mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、25mlのジメチルホルムアミド中の4g(11mmol)のメチル(S)-3-(4-ブロモフェニル)-2-ベンジルオキシプロピオネート及び4g(17mmol)のメチル[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2,-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]アミンの溶液に添加する。10mlの2M リン酸ナトリウム溶液を添加して、その反応混合物を70℃で1時間攪拌する。その反応を50mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20)にかける。2.6gのメチル(S)-2-ベンジルオキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=61%。
【0139】
c)2.25ml(13.9mmol)のへプチルイソシアネートを、15mlのジクロロメタン中の2.6g(6.95mmol)のメチル(S)-2-ベンジルオキシ-3-[3'-(メチルアミノ)ビフェニル-4-イル]プロパノエートの溶液に添加する。その反応混合物を環境温度で20時間攪拌する。その反応を20mlの水を添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 70/30)にかける。2.42gのメチル(S)-2-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=67%。
【0140】
16mg(0.4mmol)の水酸化ナトリウムを、2mlの9/1テトラヒドロフラン/メタノール中の70mg(0.42mmol)のメチル(S)-2-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートの溶液に添加する。その反応混合物を一晩、環境温度で攪拌する。その反応を2mlの水と0.5mlの酢酸とを添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 90/10)にかける。49mgの2(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を油の形態で得る。収率=72%。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 0.86 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.24 (m, 8H), 1.43 (m, 2H), 1.61 (sext, J = 7 Hz, 2H), 3.10-3.26 (m, 4H), 3.33 (s, 3H), 4.24 (dd, J = 4.4, 8 Hz, 1H), 4.44 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.48及び4.73 (2d, J = 11.6 Hz, 2H), 7.21-7.30 (m, 6H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47-7.55 (m, 5H)。
【0141】
(実施例6)
2-(S)-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸
a)100mgの10%の炭上のパラジウムを、10mlのメタノール中の2.4g(4.66mol)のメチル(S)-2-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートの溶液に添加する。その反応混合物を水素雰囲気下で一晩攪拌する。その反応混合物を濾過し、次いで溶媒を蒸発させる。その残留物をシリカゲルで濾過する(酢酸エチル)。1.61gのメチル(S)-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2-ヒドロキシプロピオネートを無色の油の形態で回収する。収率=81%。
【0142】
b)58μl(0.70mmol)の臭化アリルを、3mlのジエチルエーテル中の162mg(0.70mmol)の酸化銀と200mg(0.47mmol)のメチル(S)-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2-ヒドロキシプロパノエートとの混合物に添加する。その反応混合物を40℃で24時間攪拌する。その混合物を濾過し、次いで溶媒を蒸発させる。その残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 80/20から60/40まで)にかける。180mgのメチル(S)-2-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートを油の形態で得る。収率=82%。
【0143】
c)56mg(1.4mmol, 3eq)の水酸化ナトリウムを、2mlの9/1 THF/メタノール中の200mg(0.47mmol, 1eq)のメチル(S)-2-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロパノエートの溶液に添加する。その反応混合物を環境温度で3時間攪拌する。その反応を2mlの水と0.5mlの酢酸とを添加して停止させ、次いで酢酸エチルで抽出を実施する。有機相を組み合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、次いでその残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 90/10)にかける。152mgの2(S)-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸を油の形態で得る。収率=78%。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 0.86 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.26 (m, 8H), 1.42 (m, 2H), 3.09-3.25 (m, 4H), 3.32 (s, 3H), 4.01 (dd, J = 5.8, 12.6 Hz, 1H), 4.16 (dd, J = 5.7, 12.6 Hz, 1H), 4.22 (dd, J = 4.3, 7.6 Hz, 1H), 4.41 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 18.8 Hz, 1H), 5.83 (m, 1H), 7.22 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.52 (m, 5H)。
【0144】
(実施例7)
交差曲線PPARトランス活性化アッセイ
HeLN細胞中のアゴニスト(アクチベーター)によるPPARレセプターの活性化は、基質の存在下で光を発生させるレポーター遺伝子であるルシフェラーゼの発現を誘導する。PPARレセプターの調節は参照アゴニストの存在下における細胞のインキュベーション後に発生される蛍光を定量することによって測定される。リガンドはその部位からアゴニストを移動させる。活性の測定は生産される光を定量することによって実施される。この測定は、PPARレセプターへの分子のアフィニティーを示す定数を測定することによって、本発明に係る化合物の調節活性を測定することを可能にする。この値は基礎的な活性及びレセプターの発現に依存して変動するため、見かけのKd(nMにおけるKdApp)と称される。
【0145】
この定数を測定するために、参照アゴニストに対する試験生成物の「交差曲線」を96ウェルプレートを使用して調製する:0から10までの濃度を横に配置して、0から7の濃度を縦に配置する。これは、1生成物及び1レセプターに関する88の測定点を表す。残る8ウェルは再現性の対照実験に使用する。
【0146】
各ウェルにおいて、細胞は一定濃度の試験生産物、及び一定濃度の参照アゴニスト、PPARαに関して2-(4-{2-[3-(2,4-ジフルオロフェニル)-1-へプチルウレイド]エチル}フェニルスルファニル)-2-メチルプロピオン酸、PPARδに関して{2-メチル-4-[4-メチル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール-5-イルメチルスルファニル]フェノキシ}酢酸、及びPPARγに関して5-{4-[2-(メチル(ピリド-2-イル)アミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオンと接触させられている。測定は同一の生成物を使用して全アゴニスト対照実験に関しても実施される。
【0147】
使用されるHeLN細胞株は、プラスミドERE-βGlob-Luc-SV-Neo(レポーター遺伝子)とPPAR(α、δ、γ)Gal-hPPARとを含有する安定なトランスフェクタントである。これらの細胞は、10%の脱脂ウシ血清を添加したフェノールレッドを含まない100μlのDMEM培地に10000細胞/ウェルの割合で96ウェルプレートに播種する。次いで、前記プレートを16時間、37℃、7% CO2でインキュベートする。
【0148】
前記試験生成物及び参照リガンドの各種の希釈物を5μl/ウェルの量で添加する。続いて、前記プレートを18時間、37℃、7% CO2でインキュベートする。反転させて培養培地を除去して、100μlの1:1 PBS/ルシフェリン混合物を各ウェルに添加する。5分後、蛍光読取機を使用して前記プレートを読み取る。
【0149】
これらの交差曲線は、各種の濃度の試験生産物で参照リガンドのAC50値(50%活性化が認められる濃度)を測定することを可能にする。これらのAC50値を使用して、Schild式(「Quantitation in Receptor Pharmacology」, Terry P. Kenakin, Receptors and Channels, 2001, 7, 371-385)に一致する直線をプロットすることによってSchild回帰式を計算し、KdApp値(nM)を得ることができる。
【0150】
トランス活性化試験の結果を以下に示す。
【0151】
【表1】

【0152】
これらの結果は、PPARγに対する前記化合物のアフィニティー、更に特にはPPARαサブタイプまたはPPARδサブタイプに対する前記化合物のアフェニティーと比較した際のPPARγサブタイプに対する本発明の化合物のアフィニティーの特異性を示す。
【0153】
(実施例8)
組成物
本発明の化合物に基づく各種の実用的な製剤をこの実施例で説明している。
【0154】
A-経口経路
(a)0.2g 錠剤
-実施例1の化合物 0.001g
-デンプン 0.114g
-リン酸二カルシウム 0.020g
-シリカ 0.020g
-ラクトース 0.030g
-タルク 0.010g
-ステアリン酸マグネシウム0.005g
(b)5mlのバイアル中の経口的に服用される懸濁物
-実施例5の化合物 0.001g
-グリセロール 0.500g
-70%ソルビトール 0.500g
-ナトリウムサッカリネート 0.010g
-パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.040g
-香味剤 適量
精製水 適量(5mlまでの残部)
(c)0.8gの錠剤
-実施例2の化合物 0.500g
-前糊化デンプン 0.100g
-微結晶性セルロース 0.115g
-ラクトース 0.075g
ステアリン酸マグネシウム 0.010g
(d)10mlバイアル中の経口的に服用される懸濁物
-実施例4の化合物 0.200g
-グリセロール 1.000g
-70%ソルビトール 1.000g
-ナトリウムサッカリネート 0.010g
-パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.080g
-香味剤 適量
精製水 適量(10mlまでの残部)
【0155】
B-局所的な経路
(a)軟膏
-実施例6の化合物 0.020g
-イソプロピルミリステート 81.700g
-液体ペトロラタム 9.100g
-シリカ(「Aerosil 200」Degussa社製) 9.180g
(b)軟膏
-実施例2の化合物 0.300g
-白色ペトロラタム、製薬等級 適量(100gまでの残部)
(c)非イオン性の油中水型クリーム
-実施例1の化合物 0.100g
-乳剤質のラノリンアルコール、ワックス、及び油の混合物 39.900g
(「無水ユーセリン」BDF社製)
-パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.075g
-パラ-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.075g
-滅菌脱イオン水 適量(100gまでの残部)
(d)ローション
-実施例3の化合物 0.100g
-ポリエチレングリコール(PEG)400 69.900g
-95% エタノール 30.000g
(e)疎水性軟膏
-実施例5の化合物 0.300g
-イソプロピルミリステート 36.400g
-シリコーン油(「Rhodorsil 47 V 300」、Rhone-Poulenc社製) 36.400g
-ミツロウ 13.600g
-シリコーン油(「Abil 300,000 cSt」、Goldschmidt社製) 適量(100gまでの残部)
(f)非イオン性の水中油型クリーム
-実施例2の化合物 1.000g
-セチルアルコール 4.000g
-グリセリルモノステアレート 2.500g
-PEG50ステアレート 2.500g
-シアバター 9.200g
-プロピレングリコール 2.000g
-パラ-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.075g
-パラ-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.075g
-滅菌脱イオン水 適量(100gまでの残部)
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は化学式(I)の化合物の合成経路を示す。
【図2】図2は化学式(I)の化合物の他の合成経路を示す。
【図3】図3は、PPARγレセプターに関する本発明に係る化合物のKdApp値を示しており、それらを特許出願FR 2 812 876の化合物と比較している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I):
【化1】

の化合物
[式中:
-R1は、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、メチルシクロプロパン基、アラルキル基、またはアリール基を意味する;
-R2は、3から8の炭素原子を有するアルキル基を意味する;
-R3は、水素原子または1から6の炭素原子を有するアルキル基である;
-R4及びR5は、同一または異なるものであり、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
並びに、化学式(I)の前記化合物の、純物質または全ての割合における混合物として、可能性がある異性体である光学異性体及び/または幾何異性体、及び可能性がある互変異性型、並びに化学式(I)の前記化合物の塩である化合物。
【請求項2】
アルカリ金属塩の、またはアルカリ土類金属塩の、あるいは有機アミン塩の形態で提供されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ナトリウム塩の形態で提供されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
アミノ酸塩の形態で提供されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
アルギニン塩のまたはリジン塩の形態で提供されることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記1から6の炭素原子を有するアルキル基が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、エチレニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニル基より選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記3から8の炭素原子を有するアルキル基が、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-へプチル、イソへプチル、n-オクチル、イソオクチル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、またはオクテニル基より選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記ハロゲン原子が、フッ素、臭素、または塩素原子であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記アラルキル基が、ハロゲン原子、CF3基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、1から6の炭素原子を有するアルコキシ基、ヒドロキシル基、あるいは保護されていない、または置換されていない、または任意に1から6の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基若しくはカルボキシル官能基によって置換されているアミノ官能基より選択される1つ以上の基によって置換されている、または置換されていないベンジル、フェネチル、ナフト-2-イルメチル基より選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記アリール基が、ハロゲン原子、CF3基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、1から6の炭素原子を有するアルコキシ基、ニトロ官能基、ポリエーテル基、アリール基、ベンゾイル基、アルキルエステル基、カルボン酸、任意にアセチル基若しくはベンゾイル基によって保護されているヒドロキシル基、あるいはアセチル基若しくはベンゾイル基によって任意に保護されている、または1から6の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基によって任意に置換されているアミノ官能基によって単置換若しくは二置換されて良いフェニル、ビフェニル、シンナミル、またはナフチル基であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記アルコキシ基が、1から6の炭素原子を有するアルキル基によって任意に置換されている、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、またはフェノキシ基であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記ポリエーテル基が、メトキシメトキシ、メトキシメチレン、エトキシメトキシ、エトキシメチレン、またはメトキシエトキシメトキシ基のような、少なくとも1つの酸素原子に割り込まれている1から6の炭素原子を有する基であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記アルキルエステル基が、1から6の炭素原子を有するアルキル基によって置換されているカルボキシレート官能基であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
単独または混合物として、
1.2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
2.2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
3.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
4.2(S)-プロピルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
5.2(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
6.2(S)-アリルオキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
7.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
8.3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-プロポキシプロピオン酸、
9.2(S)-アリルオキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
10.2(S)-ベンジルオキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
11.2(S)-メトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
12.3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-メトキシプロピオン酸、
13.2(S)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-プロピルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
14.3-[3'-(3-シクロプロピルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
15.3-[3'-(3-シクロペンチルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
16.2(S)-エトキシ-3-[3-フルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
17.2(S)-エトキシ-3-[4'-フルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
18.3-[3,4'-ジフルオロ-3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
19.2(S)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸メチル、
20.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸メチル、
21.2(S)-シクロプロピルメトキシ-3-[3'-(3-シクロプロピルメチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
22.3-[3'-[3-(2-シクロヘキシルエチル)-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
23.2(R)-エトキシ-3-[3'-(1-メチル-3-ペンチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
24.2(R)-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
25.2-エトキシ-3-[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
26.2(R)-アリルオキシ-3[3'-(3-へプチル-1-メチルウレイド)ビフェニル-4-イル]プロピオン酸、
27.3-[3'-(3-アリル-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸、
28.3-[3'-(3-アリル-1-メチルウレイド]ビフェニル-4-イル]-2(S)-エトキシプロピオン酸アリル
からなる群より得られることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
-R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、若しくはtert-ブチル基より選択されるアルキル基、メチルシクロプロパン基、またはベンジル基より選択される、
-R2は、n-ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-へプチル、またはイソへプチル基より選択されるアルキル基を意味する、
-R3は水素原子を意味する、
-R4及び/またはR5は水素原子またはフッ素原子より選択される
の特徴の少なくとも1つを示すことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に規定される化合物の少なくとも1つを、生理的に許容される媒体中に含むことを特徴とする化粧品組成物。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の全重量に対して0.001重量%から3重量%の間であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
身体または毛髪の衛生のための、請求項16または17に規定される組成物の美容的使用。
【請求項19】
医薬である、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
皮膚の脂質代謝の調節及び/または回復が意図される組成物の製造における、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
1)分化及び増殖を伴う角質化の異常に関連する皮膚病変、特に、尋常性座瘡、面皰若しくは多様型にきび、赤瘡、結節性座瘡、集簇性座瘡、老年性座瘡、及び二次的な座瘡、例えば太陽光線、薬物、若しくは職業に由来する座瘡の治療、
2)角質化の異常の他のタイプ、特に魚鱗癬、魚鱗癬様病変、ダリエ病、掌蹠角皮症、白斑症、及び白斑症様病変、または皮膚若しくは粘膜(口内)苔癬の治療、
3)細胞増殖の異常を伴う若しくは伴わない、炎症性免疫アレルギー性成分を伴う他の皮膚病変、特に皮膚、粘膜、若しくは爪のいずれかの乾癬の全ての形態、特に乾癬性リウマチ、あるいは皮膚アトピー、例えば湿疹、または呼吸器アトピー、あるいは歯肉肥大の治療、
4)良性若しくは悪性の、ウイルス起源である若しくはウイルス起源でない真皮若しくは表皮増殖、例えば、一般的ないぼ、扁平疣贅、及びゆうぜい状表皮発育異常症、葉状口腔乳頭腫症、Tリンパ腫、並びに紫外線照射によって誘導され得る増殖、特に基底細胞及び有棘細胞の上皮腫の場合、さらに、全ての前癌性皮膚病変、例えば角化棘細胞腫の治療、
5)他の皮膚病変、例えば、エリテマトーデス、免疫水胞性疾患、及びコラーゲン疾患、例えば強皮症のような免疫皮膚病の治療、
6)免疫学的な成分を伴う皮膚若しくは一般的な病変の治療、
7)UV照射に対する曝露による皮膚病変の治療、及び光で誘導された若しくは経時的な皮膚の老化の修復若しくは前記老化に打ち勝つため、または光線性角化症及び色素沈着若しくは経時的若しくは光線性の加齢と関連する任意の病変、例えば乾皮症の治療、
8)座瘡の過剰脂漏若しくは単純な脂漏のような皮脂機能の異常の治療、
9)瘢痕化の異常の治療若しくは予防、または皮膚線条の予防、若しくは修復、
10)過剰色素沈着、黒皮症、色素脱失、または白斑のような色素沈着の異常の治療、
11)肥満、高脂血症、またはインスリン非依存性糖尿病のような脂質代謝の病変の治療、
12)関節炎のような炎症性病変の治療、
13)癌の若しくは前癌の病変の治療または予防、
14)化学療法若しくは放射線による脱毛症のような、各種の起源の脱毛症の治療または予防、
15)喘息、I型糖尿病、多発性硬化症、または免疫系の他の選択的な不全のような免疫系の異常の治療、
16)動脈硬化症または高血圧のような、心臓血管系の病変の治療
が意図される製薬組成物の製造における、請求項1から15のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物の使用。
【請求項22】
請求項1から15のいずれか一項に規定される化合物の少なくとも1つを、生理学的に許容される媒体中に含むことを特徴とする製薬組成物。
【請求項23】
請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の全重量に対して0.001重量%から10重量%の間であることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物の濃度が、組成物の全重量に対して0.01重量%から1重量%の間であることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
a) 化学式1の化合物の調製:
【化2】

[式中、R5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
ジ(tert-ブチル)ジカーボネートを使用してアミンを保護し、次いで水酸化ナトリウムの存在下でメチル化を実施することで、3-ブロモアニリンより調製する;
b) 化合物2の調製:
【化3】

[式中、R5は上で規定したとおりである]
酸を使用して化合物1を処理することによって調製する;
c) 化合物3の調製:
【化4】

[式中、R5は上で規定したとおりである]
触媒の存在下でピナコールボランを使用する化合物2の反応によって調製する;
d) 化合物5の調製:
【化5】

[式中、R4は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
アリール銅塩を使用して、エポキシド4
【化6】

を処理して調製する;
e) 化合物6の調製:
【化7】

[式中、R1は、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、メチルシクロプロパン基、アラルキル基、またはアリール基を意味し、R4は上で規定したとおりである]
酸化銀の存在下でハロゲン化アルキルを使用して化合物5を反応させて調製する;
f) 化合物7の調製:
【化8】

[式中、R1、R4、及びR5は上で規定した通りである]
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下でSuzukiタイプの反応に従って、化合物6と化合物3とをカップリングさせて調製する;
g) 化合物8の調製
【化9】

[式中、R2は3から8の炭素原子を有するアルキル基を意味し、R1、R4、及びR5は上で規定した通りである]
アルキルイソシアネートと化合物7との間の反応によって調製する;
h) 化合物(I)の調製:
【化10】

h1)R3がアルキル基である際:酸の存在下でアルコールを使用する化合物8のトランスエステル化によって調製する、
または
h2)R3が水素原子である際:塩基の存在下における化合物8のけん化によって調製する
の工程を含むことを特徴とする、化学式(I)の化合物の、あるいは化学式(I)の前記化合物の純粋物若しくは全ての割合における混合物としての、可能性のある異性体である光学異性体及び/若しくは幾何異性体の、可能性のある互変異型の、または化学式(I)の前記化合物の塩の合成方法。
【請求項26】
a) 化学式1の化合物の調製:
【化11】

[式中、R5基は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
ジ(tert-ブチル)ジカーボネートを使用してアミンを保護し、次いで水酸化ナトリウムの存在下でメチル化を実施することで、3-ブロモアニリンより調製する;
b) 化合物2の調製:
【化12】

[式中、R5は上で規定したとおりである]
酸を使用して化合物1を処理することによって調製する;
c) 化合物3の調製:
【化13】

[式中、R5は上で規定したとおりである]
触媒の存在下でピナコールボランを使用する化合物2の反応によって調製する;
d) 化合物5の調製:
【化14】

[式中、R4は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基、ベンジルオキシ基、またはトリフルオロメチル基を意味する]
tert-ブチルリチウムと銅シアニドの存在下でハロゲン化アリールを使用して、エポキシド4
【化15】

を処理して調製する;
i) 化合物10の調製:
【化16】

[式中、R4は上で規定したとおりである]
酸化銀の存在下で、ハロゲン化ベンジルを使用して化合物5を処理することによって調製する;
j) 化合物11の調製:
【化17】

[式中、R4及びR5は上で規定したとおりである]
パラジウム触媒を使用するSuzukiタイプの反応によって、化合物3と化合物10とのカップリングによって調製する;
k) 式中、R2、R4、及びR5が化学式(I)で規定したとおりである化合物12の調製:
【化18】

[式中、R2は3から8の炭素原子を有するアルキル基を意味し、R4及びR5は上で規定したとおりである]
アルキルイソシアネートと化合物11との間の反応によって調製する;
l)アルコール13の調製:
【化19】

[式中、R2、R4、及びR5は上で規定したとおりである。]
炭上のパラジウムの存在下で水素を使用して化合物12を水素化分解することによって調製する。
m)式中、R1、R2、R4、及びR5が化学式(I)で規定した通りである化合物8の調製:
【化20】

[式中、R1は、1から6の炭素原子を有するアルキル基、アセチル基、メチルシクロプロパン基、アラルキル基、またはアリール基を意味し、R2、R4、及びR5は上で規定したとおりである]
酸化銀の存在下で、ハロゲン化アルキルを使用して化合物13を反応することによって調製する;
n)化合物(I)の調製:
【化21】

n1)R3がアルキル基である際:酸の存在下でアルコールを使用して化合物8をトランスエステル化することによって調製する、
または
n2)R3が水素原子である際:塩基の存在下における化合物8のけん化によって調製する
の工程を含むことを特徴とする、化学式(I)の化合物の、あるいは化学式(I)の前記化合物の純粋物若しくは全ての割合における混合物としての、可能性のある異性体である光学異性体及び/若しくは幾何異性体の、可能性のある互変異型の、または化学式(I)の前記化合物の塩の合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−536331(P2007−536331A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512127(P2007−512127)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005797
【国際公開番号】WO2005/108352
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】