説明

RARγレチノイド受容体の選択的アゴニストとしての二置換カルコンオキシム

可変基が明細書に定義される通りである式の化合物は、哺乳動物の肺気腫および関連する肺の状態、ならびにRARγアゴニストレチノイドに反応性のある、ざ瘡および乾癬を含むがこれらに限定されない皮膚関連疾患等の他の疾患および状態の予防または治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年12月30日出願の米国仮出願第60/533,733号の恩恵を主張する。上記出願の全教示は、本明細書中参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
レチノイド様活性を有する化合物は、当該分野で周知であり、多くの米国および各国特許、ならびに科学文献に記載されている。レチノイド様活性が、多数の疾患および病状の症状および状態の治癒または緩和、ヒトを含む哺乳類種の動物の治療に有用であることは、当該分野で一般的に知られており受け入れられている。哺乳類(及び他の生物)には2つの主要な型のレチノイド受容体が存在することは、今や当該分野では一般的な知識である。受容体の2つの主要なタイプまたはファミリーは、それぞれRARおよびRXRと表される。各タイプ内にはサブタイプがある。RARファミリーでは、サブタイプはRARα、RARβ、およびRARγと表され、RXRでは、サブタイプは、RXRα、RXRβ、およびRXRγである。2つの主要なレチノイド受容体タイプ、およびそのいくつかのサブタイプの分布は、哺乳類生物の様々な組織および器官において均一ではないことが、当該分野で既に確立されている。そのうえ、レチノイドの多くの望ましくない副作用がRAR受容体サブタイプの1種または複数により媒介されることが、当該分野で一般に受け入れられている。したがって、レチノイド受容体でアゴニスト様活性を有する化合物の中で、主要なタイプまたはファミリーの1つに対する特異性または選択性、さらには受容体のファミリー内の1つ以上のサブタイプに対する特異性または選択性が、望ましい薬理学的性質とみなされる。
【0003】
レチノイド受容体の一般的な総説については、Spornら編、The Retinoids、Raven Press, Ltd., New York 中の Mangelsdorfら(1994) The Retinoid Receptors p 319-349、を参照。別の一般的な総説については、Dawson およびWilliam H. Okamura、Chemistry and Biology of Synthetic Retinoids、CRC Press Inc.発行, 1990, 324-356ページを参照。
【0004】
比較的最近では、RARγレチノイド受容体の選択的または特異的アゴニスト(リガンド)である化合物が、哺乳類の肺で肺胞の破壊を予防または治療する能力がある、または適切な数の機能性肺胞が欠けている哺乳類肺で肺胞の形成を促進する能力があることが発見されている。したがって、かかるRARγレチノイド受容体の特異的または選択的アゴニストは、肺気腫および気管支肺異形成症(bronchiopulmonary dysplasia)(BPD)などの他の関連する肺不全疾患または病状を予防または治療するのに有用である。本願と同一の出願人に譲渡された特許出願として、米国特許第6,492,414号を参照。
【0005】
米国特許第6,403,810号には、肺気腫およびそれに伴う肺疾患を治療するのに有用な、チオフェン基で、およびインダン、テトラヒドロベンゾフラン、テトラヒドロベンゾチオフェンまはたテトラヒドロベンゾピロール基で置換されたビニル化合物が記載されている。PCT公報WO 02/28810A2にも、肺気腫およびそれに伴う肺疾患を治療するのに有用な化合物が開示されており、この開示で提供される一般式にはカルコンオキシム化合物が含まれる。
【0006】
「カルコン部分」または「カルコンリンカー」および「カルコンオキシムリンカー」は、本出願において、以下に示される構造を有し、


本発明において、2つの芳香族部分またはヘテロ芳香族部分を共有結合で連結する部分を示す用語である。式中、星印はそれぞれ芳香環が結合する炭素を示す。
【0007】
以下の参考文献は、二置換「カルコン」化合物であるレチノイド化合物を開示する:米国特許第6,455,701号、第6,469,028号、第6,225,494号、第5,723,666号、第5,739,338号、および第5,760,276号。
【0008】
米国特許第5,723,666号、第5,599,967号、および第5,605,915号は、オキシム部分を含むレチノイド化合物を開示する。
【0009】
(発明の概要)
本発明は、RARγレチノイド受容体のアゴニストとして特異的または選択的活性を有する化合物に関する。より詳細には、本発明は、RARγレチノイド受容体のアゴニストとして特異的または選択的活性を有する二置換カルコンオキシムに関する。
【0010】
本発明は、式1


(式中、Rは式(a)〜(g)


で定義されるラジカルからなる群より選択され、
ここで、環にある破線は、結合を表す、または環にある2つの破線のうち1つだけが結合を表し得るという条件で、結合がないことを表し;
*は、環にある炭素でそこにカルコンオキシム基が結合することを示し;
X1は、二重結合で隣接する炭素に結合したOまたはSを表すか、または、X1は隣接する炭素に結合した2つのR1基を表し;
X2はOまたはSであり;
Yは、フェニルもしくはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、およびピラゾリルからなる群より選択されるヘテロアリールであり、前記フェニル基およびヘテロアリール基は1つまたは2つのR4基で任意に置換され;
mは0〜6の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
oは0または1の値を有する整数であり;
pは1または2の値を有する整数であり;
R1は独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノ、またはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3は、Hまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4は独立して、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフッ素置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
Aは、qが0〜5の(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、炭素数2〜6で1つもしくは2つの二重結合を有するアルケニル、または炭素数2〜6で1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、COOHもしくはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、あるいはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は、炭素数1〜6のアルキル、フェニル、またはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩に関する。
【0011】
本発明はまた、式1の化合物を組み込んだ医薬組成物、および1種以上の式1の化合物を含有する医薬組成物で、哺乳類の肺気腫および例えば気管支肺異形成症 (BPD)などに関連する肺の病状を治療する方法に関する。
【0012】
本発明はまた、挫瘡および乾癬を含むがこれらに限定されない皮膚関連疾患など、RARγアゴニストレチノイドによる治療に反応する疾患および病状を治療するための、本発明の化合物の使用法に関する。
【0013】
本発明はまた、治療または診断用医薬を調製するためのRARγアゴニストレチノイドの使用に関する。例えば、RARγアゴニストレチノイドによる治療に反応する疾患および病状の治療である。
【0014】
(発明の詳細な説明)
一般的な態様および合成方法
定義
アルキルという用語は、ノルマルアルキルおよび分枝鎖アルキルとして公知である任意の基および全ての基を示し、これらを包含する。
【0015】
薬学的に許容され得る塩は、塩を形成できる官能基(functionality)、例えば酸官能基を有する本発明の任意の化合物について調製されてもよい。薬学的に許容され得る塩は、親化合物の活性を保持し、かつそれが投与される対象に及びそれが投与されるという関係において有害なまたは望ましくない任意の効果を及ぼさない、任意の塩である。
【0016】
薬学的に許容され得る塩は、有機塩基または無機塩基から誘導されてもよい。塩は、一価または多価イオンであってもよい。特に興味の対象となるのは、無機イオンのナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムである。有機塩は、アミン、特にモノ-、ジ-、およびトリアルキルアミンもしくはエタノールアミンなどのアンモニウム塩で作られてもよい。塩はまた、カフェイン、トロメタミン、および同様な分子で形成されてもよい。
【0017】
本発明の化合物は、少なくとも1つのオレフィン性二重結合を含み、これについてtransおよびcis(EおよびZ)立体異性が存在し得る。本発明の化合物は、それぞれの化合物の名前に示されるとおり、および/または二重結合(単数または複数)に関して置換基の向きの構造式を特定して示すように、二重結合(単数または複数)に関して置換基の特定した向きがある。
【0018】
本発明の化合物はまた、二重結合を有する隣接する炭素に結合したオキシム官能基も含み、これについてsynおよびanti立体異性が存在する。本発明の範囲に、synおよびanti配座の両方のオキシムを包含することを意図する。しかしながら、特定の例は、それぞれの化学名に示されるおよび/またはそれぞれの構造式で示される特定の配座を有する。
【0019】
本発明の化合物はまた、1つ以上のキラル中心を含んでもよく、したがって鏡像異性型およびジアステレオマー型として存在してもよい。化合物のキラル中心に関して、本発明の範囲に、置換基の可能な全ての向きを包含すること、従って純粋な鏡像異性体(光学異性体)、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、および鏡像異性体のラセミ混合物を含むことを意図する。
【0020】
一般的に、本発明の化合物は、反応スキーム1に示される合成経路により得ることが可能である。

【0021】
反応スキーム1の出発化合物は、式2のメチルケトンであり、ここで可変基Rは式1に関連して定義される。メタノールなどの適した極性溶媒中、水酸化ナトリウムなどの強塩基の存在下、式2のメチルケトンを式3のアルデヒドと反応させる。このアルドール縮合反応の結果が式4の化合物であり、ここでR基と置換芳香族もしくはヘテロ芳香族Y基とは、カルコン部分CO=CH=CHにより共有結合で連結されている。次いで、エチルアルコールなどの適切な極性溶媒中、ピリジンの存在下、式4の化合物をヒドロキシルアミンと反応させて本発明の式1のオキシム化合物を提供する。通常、最後の反応でsynおよびanti(またはcisおよびtrans)配座の両方のオキシムが形成されるが、必ずしも量が等しいとは限らない。ほとんどの場合、オキシム異性体は、結晶化および/またはクロマトグラフィーによって互いに分離され得る。
【0022】
反応スキーム1に示される合成経路の変更例において、式5に示されるように、式3のA-B基は、ブロモ基で置換される。この変更例では、アルドール縮合反応後、生成物(式6)は、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルアミン(TEA)および無水エタノール中、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)および酢酸パラジウムの存在下、一酸化炭素との反応により、式7の化合物に変換される。次いで、式7のカルコン化合物は、ピリジンまたは他の塩基の存在下、ヒドロキシルアミンとの反応により、式8のオキシムに変換される。式8の化合物は、本発明の範囲内であり、かつ式1の範囲内である。
【0023】
式2のメチルケトンは、通常、化学特許および/または科学文献に従って入手可能である、または当該分野の有機化学者が容易に行える範囲の公知の合成法のかかる改変により得ることができる。反応スキーム2および反応スキーム3は、式2のメチルケトンを提供する一般的な合成経路を開示する。

【0024】
反応スキーム2に従って、塩化メチレンなどの適した非プロトン性溶媒中、式9の化合物を塩化アセチルとのフリーデルクラフツ反応に供し、式2のメチルケトンとする。反応スキーム3に従って、アルゴンなどの不活性ガスの保護ブランケット(protective blanket)下、テトラヒドロフラン(THF)などの適した非プロトン性溶媒中、パラジウム触媒(PdCl2(PPh3)2)の存在下、式10のブロモ化合物をトリブチル(1-エトキシビニル)スズと反応させ、その後酸と反応させて式2のメチルケトンとする。これらの反応の出発物質、すなわち式9および式10の化合物は、化学特許および/または科学文献に従って入手可能であるか、当該分野の有機化学者が容易に行える範囲の公知の合成法のかかる改変により得ることができる。式2、式9、および式10の化合物の多数の例が、以下に記載される具体例に関して、可能な場合は現在好適なこれらの化合物の合成法とともに、提供される。
【0025】
可変基Y、R4、A、およびBが式1に関して定義される反応スキーム1の式3および式5の芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒド試薬もまた、化学特許および/または科学文献に従って入手可能であるか、当該分野の有機化学者が容易に行える範囲の公知の合成法のかかる改変により得ることができる。
【0026】
反応スキーム3で使用可能な式3および式5の芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒド試薬の例は、4-ホルミル安息香酸メチル、4-ホルミル-2-フルオロ-安息香酸メチル、4-ブロモ-2-フルオロ-ベンズアルデヒド(benzaladehyde)、4-ブロモベンズアルデヒド、3-ホルミル安息香酸メチル、3-ホルミル-2-フルオロ-安息香酸メチル、3-ブロモ-2-フルオロ-ベンズアルデヒド(benzaladehyde)、3-ブロモベンズアルデヒド、5-ホルミル-ナフトエ酸メチル、6-ホルミル-ナフトエ酸メチル、5-ホルミル-チオフェン-2-カルボン酸メチル、5-ホルミル-チオフェン-3-カルボン酸メチル、5-ホルミル-フラン-2-カルボン酸メチル、5-ホルミル-フラン-3-カルボン酸メチル、6-ホルミル-ピリジン-2-カルボン酸メチル、6-ホルミル-ピリジン-3-カルボン酸メチル、1-ブロモ-5-ホルミル-ナフタレン、1-ブロモ-4-ホルミル-ナフタレン、2-ブロモ-5-ホルミル-チオフェン、3-ブロモ-5-ホルミル-チオフェン、2-ブロモ-5-ホルミル-フラン、3-ブロモ-5-ホルミル-フラン、3-ブロモ-6-ホルミル-ピリジンおよび2-ブロモ-6-ホルミル-ピリジンである。
【0027】
生物活性、投与様式
本発明の化合物を、RARおよびRXRレチノイド受容体のアゴニストとしての活性について、あるアッセイで試験した。
具体的には、かかるアッセイの1つは、キメラ受容体トランス活性化アッセイであり、これはRARα、RARβ、およびRARγ受容体サブタイプにおけるアゴニスト様活性を試験するもので、Feigner P. L. およびHolm M. (1989) Focus, 112に公表された研究に基づき、詳細は、米国特許第5,455,265号に記載される。米国特許第5,455,265号の明細書は、本明細書により参照として明らかに援用される。
【0028】
ホロ受容体(holoreceptor)トランス活性化アッセイおよびリガンド結合アッセイは、それぞれ本発明の化合物のアンタゴニスト/アゴニスト様活性、またはそれらのいくつかのレチノイド受容体サブタイプに結合する能力を測定するものであり、1993年6月24日公開のPCT出願第WO WO93/11755(特に30〜33ページおよび37〜41ページ)に記載され、この明細書もまた、本明細書中参照として援用される。ホロ受容体トランス活性化の詳細な実験手順は、Heyman ら Cell 68,397-406, (1992); Allegrettoら J. Biol. Chem. 268, 26625-26633、および Mangelsdorf ら The Retinoids: Biology, Chemistry and Medicine, pp 319-349, Raven Press Ltd., New York, に記載されており、これらは本明細書中参照として明らかに援用される。このアッセイで得られる結果は、キメラ受容体トランス活性化アッセイでもそうであるように、EC50値で表される。リガンド結合アッセイの結果は、Ki値で表される。(Cheng ら Biochemical Pharmacology Vol. 22 pp 3099-3108を参照、本明細書中参照として明らかに援用される。)
【0029】
トランス活性化アッセイにおける効力は、標準と比較した、化合物によって達成される最大有効性の割合(%)として表され、標準はこの場合、化合物4-[(1E)-2-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-プロペニル]-安息香酸(TTNPB)である。この標準化合物は、PCT公報WO 2002077169 A2に記載される。
【0030】
表1は、上記に記載されるキメラRAR受容体トランス活性化アッセイおよび結合アッセイにおける、本発明のいくつかの例示化合物の活性を開示する。ホロ受容体トランス活性化アッセイにおいて、これらの化合物は、活性化RXRα、RXRβ、およびRXRγ受容体において相対的に不活性であった。
【0031】







【0032】
分かるとおり、本発明の化合物は、RARγレチノイド受容体の特異的または選択的アゴニストであり、そのため、それらは哺乳類の肺で肺胞の破壊を予防もしくは治療する能力がある、または適切な数の機能性肺胞が欠けている哺乳類肺で肺胞の形成を促進する能力がある。したがって、本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳類の肺気腫および気管支肺異形成症 (BPD)などの他の関連する肺不全疾患または病状を予防または治療するのに有用である。該化合物はまた、例えば挫瘡および乾癬を含むがこれらに限定されない皮膚関連疾患など、RARγアゴニストレチノイドによる治療に反応する疾患または病状を治療するのにも有用である。化合物9a、9b、13a、および13bについてのデータは、比較のためだけに表1に提供される。これら4種の化合物は、テトラヒドロナフタレン部分の3位に置換基を有し、本発明の化合物ほどRARγ受容体に選択的ではないため、本発明の範囲にない。
【0033】
投与の様式、投薬
ヒトをはじめとする哺乳動物で、肺の肺胞破壊を予防または治療するためのそのような治療が必要である哺乳動物を治療するために、または哺乳動物の肺の肺胞形成を促進するために、または肺気腫もしくは例えば気管支肺異形成症(bronchiopulmonary dysplasia)(BDP)などの他の関連する肺不全の病状を予防または治療するために、1種または複数の本発明の化合物を含有する医薬組成物が、哺乳動物の体重1kgあたり1〜100mgの範囲の一日量で哺乳動物に投与される。好ましくは、一日量は哺乳動物の体重1kgあたり5〜20mgの間である。
【0034】
一般的に、RARγレチノイド受容体のアゴニストである本発明の化合物は、RARγレチノイド受容体の発現を促進する、またはRARγレチノイド受容体に結合する化合物に応答する疾患および病状を予防または治療するのにも有用である。例えば、本発明の化合物は、皮膚関連疾患を予防または治療するのに用いることができ、皮膚関連疾患としては制限がなく、光線性角化症、ヒ素角化症、炎症性および非炎症性ざ瘡、乾癬、魚鱗癬ならびに皮膚の他の角質化および過剰増殖性障害、湿疹およびアトピー性皮膚疾患 ダリエ病(Darriers disease)、扁平苔癬、局所的抗菌剤としての、皮膚色素沈着剤としての糖質コルチコイド損傷(ステロイド萎縮)の予防および逆転が挙げられ、また皮膚に対する加齢および光損傷の影響を治療および後退させるのに用いることができる。
【0035】
肺気腫または関連する呼吸の病状を治療するために、好ましくは、本発明の化合物は、経口で、または吸入器を通じた吸入により肺に直接投与される(例えばRaleighら, Proc. Amer. Assoc. Cancer Research Annual Meeting, 1999, 40, 397を参照、これは本明細書中参照として援用される)。
【0036】
これらの疾患または病状の予防または治療のため、本発明の化合物は、治療されるべき病状、部位特異的治療の必要性、投与されるべき薬の量などの検討材料、およびその他多くの検討材料に依存して、全身または局所的に投与されてもよい。したがって、皮膚疾患の治療において、重篤な嚢胞性ざ瘡または乾癬の治療など場合によっては経口投与もまた用いられ得るが、薬を局所的に投与することが一般に好ましいだろう。溶液、懸濁液、ゲル、軟膏、または膏薬など任意の一般的な局所製剤が用いられ得る。そのような局所製剤の調製は例示されるように、医薬製剤の分野で詳しく記載されており、例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 17版, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaが例である。局所適用のため、これらの化合物は粉末またはスプレーとして、特にエアロゾル形態としても投与され得る。薬が全身に投与されるべき場合、薬は経口投与に適した、粉末、丸剤、錠剤などとして、あるいはシロップまたはエリキシル剤として、調製されてもよい。静脈内または腹腔内投与のため、化合物は注射で投与することができる溶液または懸濁液として調製されるだろう。場合によっては、これらの化合物を注射で処方することが有用かもしれない。場合によっては、これらの化合物を坐剤の形態に、または皮下蓄積用長期放出製剤としてもしくは筋肉内注射剤として処方することが有用かもしれない。
【0037】
皮膚の乾燥を治療する;光に対する保護を提供する;皮膚疾患を治療する他の薬物療法:感染予防、刺激、炎症の減少のための薬剤などの二次目的のため、他の薬物がそのような局所製剤に加えられ得る。
【0038】
RARγアゴニスト化合物による治療に感受性であることが既知である、またはそうであることが発見された皮膚疾患または任意の他の兆候の治療は、1種または複数の本発明の化合物の治療上有効量の投与により効果を生じるだろう。治療濃度は、特定の病状の減少をもたらす、またはその拡大を遅らせる濃度であるだろう。場合によっては、化合物は特定の病状の発症を防ぐ予防的様式で用いられる可能性があり得る。
【0039】
有用な治療濃度または予防濃度は、それぞれの病状によって変化し、場合によっては、治療される病状の重篤度および治療に対する患者の感受性によって変化し得る。したがって、単一の濃度が一様に有用となるのではなく、治療される疾患の特殊性に依存して改変する必要があるだろう。そのような濃度には、ルーチン実験を通じて到達し得るだろう。しかしながら、例えば、ざ瘡または同様な皮膚疾患の治療において、0.01〜1.0mg/mlの製剤を含有する処方が、適用全体にとって治療上有効な濃度を構成することが予想される。全身的に投与される場合、これらの化合物が有用である多くの疾患の治療において、1日あたり体重1kgあたり1〜50mgの量が治療結果をもたらすと予想される。
【0040】
本発明の化合物の具体的態様
ここで式1を参照すると、好適な本発明の化合物において、可変のRは、置換5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン(napthalen)-2-イルラジカル、置換チオクロマン-6-イルラジカル、置換1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-イルラジカル、置換クロマン-6-イルラジカル、置換7,8-ジヒドロナフタレン(napthalen)-2-イルラジカル、置換インダン-6-イルラジカル、または置換5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-イルラジカルを表す。
【0041】
好適な本発明の化合物において、R1は独立して、炭素数1〜6のアルキル、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル、そしてさらにより好ましくはメチルを表し、そして変数mは、好ましくは値2〜4の整数である。
【0042】
現在のところ好適な本発明の化合物において、Rと称される部分の芳香族部分は、R2基で置換されていない(nが0)、または1つもしくは2つのR2基で置換されているかのいずれかであり、R2は好ましくは炭素数1〜6のアルキル、より好ましくは炭素数1〜3のアルキルである。
【0043】
Yで表される芳香族または複素環式芳香族ラジカルは、好ましくはフェニル、ピリジル、チエニル、またはフリルである。さらにより好ましくは、Yはフェニルであり、そしてより好ましくは、フェニル基は、1,4(パラ)位で、カルコンオキシムリンカーおよびA-B基で置換される。Yがピリジルの場合、これは、好ましくは、2,5位で、カルコンオキシムリンカーおよびA-B基で置換される。チエニル基またはフリル基は、好ましくは、2,4位または2,5位で、カルコンオキシムリンカーおよびA-B基で置換される。
【0044】
好適な本発明の化合物において、R4置換基は存在しない、またはR4はハロゲンを表すのいずれかであり、そしてさらにより好ましくはフルオロ基を表す。フルオロ基は、好ましくはカルコンオキシムリンカーに対して1,2(オルト)位で結合する。
【0045】
A-B基は、好ましくは(CH2)q-COOH、(CH2)q-COOR8、または(CH2)q-CONR9R10を表す。より好ましくは、qはゼロ(0)であり、かつBはCOOH、薬学的に許容可能な塩のカチオンであるか、あるいはR8は、炭素数1〜3のアルキルまたはメトキシメチルである。もっとも好適な本発明の化合物において、R8は、Hまたは薬学的に許容可能な塩のカチオンである。
【0046】
現在のところもっとも好適な本発明の化合物の構造を、表1に示し、これらの合成の実験手順を以下に記載する。
【0047】


一般手順A 1-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物1)
塩化アルミニウム(4.34g、32.6mmol)の25mLのジクロロメタン溶液に、0℃で、塩化アセチル(2.56g、32.6mmol)をゆっくりと加えた。0℃で5分間撹拌後、1,1,4,4-テトラメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(Ryan Scientific, Inc.より入手可能)(5.00g、21.7mmol)の5mlのジクロロメタン溶液を混合物に滴下して加えた。得られる溶液を室温で3時間撹拌し、そして100mLの氷水に注いだ。有機層を分離し、ブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮して、淡黄色残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(90:10ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、ケトン1を白色固体として得た(5.78g、収率98%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.93 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 7.69 (dd, J= 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.39 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 2.57 (s, 3H), 1.70 (s, 4H), 1.31 (s, 6H), 1.29 (s, 6H)。
【0048】
一般手順B 4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物2)
1-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物1、1.80g、7.83mmol)の10mLの1N NaOHおよび20mLのメタノールの溶液に4-ホルミル安息香酸メチル(1.28g、7.83mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、反応混合物に1N HClを加えて酸性にし、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させて(MgSO4)、減圧濃縮した。再結晶(アセトニトリル)により、表題化合物を白色固体として得た(1.70g、収率60%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.15 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 8.0 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.81 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 7.76-7.71 (m, 3H), 7.59 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 7.44 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 1.73 (s, 4H), 1.35 (s, 6H), 1.32 (s, 6H)。
【0049】
一般手順C E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物3a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物3b)
4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物2、1.70g、4.70mmol)の10mLのEtOH溶液にヒドロキシルアミン塩酸塩(653mg、9.40mmol)およびピリジン(1.86g、23.5mmol)を加えた。次いで、反応混合物を6時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧除去して、残渣を水に入れた。水層を1N HClでpH=4〜5に調整し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(2x10mL)およびブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。再結晶(アセトニトリル)と続くフラッシュクロマトグラフィー(50:50ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物3a(1.20g、収率68%)および3b(300mg、収率17%)を白色固体として得た:
化合物3aの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.89 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.82 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 7.59 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.40-7.37 (m, 2H), 7.20 (dd, J= 2.1, 8.1 Hz, 1H), 6.78 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 1.72 (s, 4H), 1.30 (s, 6H), 1.28 (s, 6H);
化合物3bの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.95 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.48 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.41 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.23 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.16 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 7.06 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 6.49 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 1.73 (s, 4H), 1.31 (s, 6H), 1.28 (s, 6H)。
【0050】
一般手順D 3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物4)
1-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物1、1.50g、6.52mmol)の10mLの1N NaOHおよび20mLのメタノールの溶液に4-ブロモ-2-フルオロ-ベンズアルデヒド(Aldrichより入手可能、1.32g、6.52mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮して粗白色固体を得た。次いで、この固体を、20mLのジメチルホルムアミド(DMF)、5mLのトリエチルアミン(TEA)、および10mlの無水エタノール中に1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(214mg、0.52mmol)および酢酸パラジウム(146mg、0.65mmol)を含有する密閉管に移した。溶液に一酸化炭素を20分間吹き込んだ後、管を密閉して85℃で48時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却して、溶媒を減圧除去した。残渣を30mLのジクロロメタンに溶解させ、1N HCl(2×20mL)およびブライン(2×20mL)で洗った。次いで、有機層を乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(90:10ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、エステル4を無色油状物として得た(0.78g、収率29%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.99 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.87-7.64 (m, 6H), 7.42 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 4.39 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 1.71 (s, 4H), 1.37 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 1.33 (s, 6H), 1.30 (s, 6H)。
【0051】
一般手順E E-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物5a)およびZ-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物5b)
3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物4、390mg、0.96mmol)の5mLのEtOH溶液にヒドロキシルアミン塩酸塩(133mg、1.92mmol)およびピリジン(160mg、2.02mmol)を加えた。次いで、反応混合物を6時間加熱還流させた。室温まで冷却後、溶媒を減圧除去して、残渣を水に入れた。水層を1NのHClでpH=4〜5に調整し、そして酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(2×10mL)およびブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。次いで、残渣を5mLのEtOHに溶解させて、1mLの1N LiOHを加えた。室温で4時間撹拌後、溶媒を減圧除去した。次いで、残渣を水に溶解させ、2N HClで酸性にして酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。抽出液をブライン(1×5mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。それぞれ、アセトニトリルで再結晶して化合物5aを白色固体として得(90mg、収率24%)、クロロホルム/ヘキサンで再結晶して化合物5bを白色固体として得た(65mg、収率17%):
化合物5aの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.80 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 7.75- 7.67 (m, 2H), 7.59 (dd, J= 1.5, 11.0 Hz, 1H), 7.33-7.29 (m, 2H), 7.13 (dd, J= 2.1, 8.1 Hz, 1H), 6.86 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 1.64 (s, 4H), 1.22 (s, 6H), 1.20 (s, 6H);
化合物5bの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.81 (dd, J= 1.5, 8.5 Hz, 1H), 7.72-7.64 (m, 2H), 7.44 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.28-7.25 (m, 2H), 7.10 (dd, J= 2.0, 8.5 Hz, 1H), 6.65 (d, J= 17.0 Hz, 1H), 1.76 (s, 4H), 1.34 (s, 6H), 1.31 (s, 6H)。
【0052】


1,1,4,4,6-ペンタメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物6)
室温で、2,3-ジメチル-ブタン-2,3-ジオール(20.0g、0.14mol)を100mLの濃HClに少しずつ加えた。1時間撹拌後、粘稠な白色スラリーが形成された。混合物を氷浴で冷却し、50mLの氷水を加え、混合物を濾過して減圧乾燥させた。次いで、残渣をジクロロメタン(100mL)とトルエン(25.8g、0.28mol)の混合物に溶解させた。塩化アルミニウム(200mg、1.50mmol)をゆっくりと加え、そして混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を100mLの氷水に注ぎ、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出し、飽和重炭酸ナトリウム(1×10mL)およびブライン(1×10mL)で洗った。抽出液を乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮した後、粗生成物を高真空蒸留して表題化合物を無色油状物として得た(化合物6、21.5g、収率76%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.20 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.95 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 2.30 (s, 3H), 1.67 (s, 4H), 1.27 (s, 6H), 1.26 (s, 6H)。
【0053】
1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物7)
1,1,4,4,6-ペンタメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物6、1.0g、4.95mmol)を出発物質として用い、一般手順Aに従って、表題化合物を白色固体として得た(1.2g、収率98%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.66 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 2.57 (s, 3H), 2.49 (s, 3H), 1.68 (s, 4H), 1.30 (s, 6H), 1.28 (s, 6H)。
【0054】
4-[3-オキソ-3-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物8)
1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物7、720mg、2.95mmol)を出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を白色固体として得た(244mg、収率20%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.07 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.66-7.49 (m, 5H), 7.19 (s, 1H), 4.39 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.70 (s, 4H), 1.38 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 1.30 (s, 6H), 1.29 (s, 6H)。
【0055】
E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物9a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物9b)
4-[3-オキソ-3-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物8、244mg、0.61mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物9a(72mg、収率30%)および化合物9b(17mg、収率7%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。最終的に、各酸をアセトニトリルでの再結晶により精製した:
化合物9aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ 8.04-7.95 (m, 3H), 7.64 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.22 (d, J= 20.0 Hz, 1H), 6.50 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.72 (s, 4H), 1.31 (s, 6H), 1.28 (s, 6H);
化合物9bの1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz) δ 8.00 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.58 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.29 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 7.30 (s, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.36 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 2.17 (s, 3H), 1.74 (s, 4H), 1.34 (s, 6H), 1.29 (s, 6H)。
【0056】
6-メトキシ-1,1,4,4-テトラメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物10)
室温で、2,3-ジメチル-ブタン-2,3-ジオール(10.0g、0.07mol)を100mLの濃HClに少しずつ加えた。1時間撹拌後、粘稠な白色スラリーが形成された。混合物を氷浴で冷却し、50mLの氷水を加え、混合物を濾過して減圧乾燥させた。次いで、残渣をジクロロメタン(100mL)とアニソール(15.1g、0.14mol)の混合物に溶解させた。0℃で塩化アルミニウム(100mg、0.75mmol)をゆっくりと加え、そして混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を100mLの氷水に注ぎ、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出し、飽和重炭酸ナトリウム(1×10mL)およびブライン(1×10mL)で洗った。抽出液を乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を白色固体として得た(11.8g、収率77%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.22 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 6.82 (dd, J= 2.4, 7.7 Hz, 1H), 6.70 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 1.67 (s, 4H), 1.27 (s, 6H), 1.26 (s, 6H)。
【0057】
1-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物11)
6-メトキシ-1,1,4,4-テトラメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物10、2.0g、9.17mmol)を出発物質として用い、一般手順Aに従って、表題化合物を白色固体として得た(2.3g、収率96%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz)δ7.72 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 3.88 (s, 3H), 2.61 (s, 3H), 1.69 (s, 4H), 1.30 (s, 6H), 1.28 (s, 6H)。
【0058】
4-[3-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物12)
1-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物11、293mg、1.13mmol)の5mLの1N NaOHおよび10mLのメタノールの溶液に4-ホルミル安息香酸メチル(185mg、1.13mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、反応混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。次いで、残渣を、エタノール(520mg、11.30mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(433mg、2.26mmol)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(13mg、0.11mmol)の、5mLのジクロロメタン中溶液に加えた。室温で8時間撹拌後、水(10mL)を加えて、混合物を酢酸エチル(3×5mL)で抽出し、ブライン(1×5mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(80:20ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を無色油状物として得た(153mg、収率32%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.04 (d, J= 8.1Hz, 2H), 7.70-7.51(m, 5H), 6.88 (s, 1H), 4.38 (q, J= 7.0 Hz, 2H), 3.90 (s, 3H), 1.69 (s, 4H), 1.40 (t, J= 7.0 Hz, 3H), 1.32 (s, 6H), 1.28 (s, 6H)。
【0059】
E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物13a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物13b)
4-[3-(3-メトキシ-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物12、244mg、0.61mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物13a(42mg、収率30%)および化合物13b(13mg、収率7%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。最終的に、各酸をアセトニトリルでの再結晶により精製した:
化合物13aの 1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz) δ7.90 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.66 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 7.52 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.09 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.39 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 3.64 (s, 3H), 1.60 (s, 4H), 1.25 (s, 6H), 1.18 (s, 6H);
化合物13bの1H NMR (アセトン-d6, 500 MHz) δ7.86 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.40 (d, J= 8.5 Hz, 2H), 7.09 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.28 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 3.64 (s, 3H), 1.63-1.58 (m, 4H), 1.23 (s, 6H), 1.15 (s, 6H)。
【0060】


1-(4-ブロモ-フェニル)-4-メチル-ペンテ-1-エン-3-オン(化合物14)
3-メチル-ブタン-2-オン(Aldrichより入手可能、4.7g、54.7mmol)の10mLの10% NaOH(aq)および20mLのエタノールの溶液に4-ブロモ-ベンズアルデヒド(Aldrichより入手可能、10.0g、54.3mmol)を加えた。室温で3時間撹拌後、反応混合物を水(50ml)で希釈して、ジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。次いで、有機層をブライン(1×5mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(95:5ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を淡黄色油状物として得た(7.98g、収率58%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.54 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 7.53 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 7.42 (d, J= 8.7 Hz, 2H), 6.80 (d, J= 16.2 Hz, 2H), 2.93-2.87 (m, 1H), 1.18 (d, J= 6.9 Hz, 6H)。
【0061】
7-ブロモ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物15)
1-(4-ブロモ-フェニル)-4-メチル-ペンテ-1-エン-3-オン(化合物14、7.98g、31.7mmol)の20mLのジエチルエーテル溶液に0℃で水素化アルミニウムリチウム(LAH)(1.20g、38.0mmol)をゆっくりと加えた。1時間撹拌し、続いて室温まで昇温させた後、氷浴で0℃にして反応を2mLの飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、無水MgSO4で乾燥させた。固体を濾別し、そして濾液を減圧濃縮して粗無色油状物を得た。次いで、5gのポリリン酸(PPA)を粗油状物に加え、そして混合物を120℃で15分間加熱した。室温まで冷却後、混合物を水(100mL)に入れ、ジエチルエーテル(3×15mL)で抽出し、ブライン(1×15mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)による精製で、表題化合物を淡黄色油状物として得た(6.70g、収率89%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.35 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 7.09 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 6.83 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 2.60 (t, J= 6 Hz, 2H), 1.75-1.59 (m, 2H), 1.56-1.47 (m, 2H), 1.19 (s, 6H)。
【0062】
一般手順F 1-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物16)
7-ブロモ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物15、1.20g、5.94mmol)の20mlのTHF溶液にまず、アルゴンを30分間吹き込むことにより脱気した。トリブチル(1-エトキシビニル)スズ(4.29g、11.88mmol)およびPdCl2(PPh3)2(422mg、0.60mmol)を加えた。80℃で18時間撹拌後、混合物を室温まで冷却し、そして3mLの10%HClを加えた。次いで、混合物をさらに30分間撹拌し、それから酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(80:20ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を無色油状物として得た(669mg、収率56%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.95 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.63 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 7.12 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 2.80 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 2.57 (s, 3H), 1.84-1.80 (m, 2H), 1.70-1.58 (m, 2H), 1.31 (s, 6H)。
【0063】
4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物17a)
1-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物16、336mg、1.66mmol)および4-ブロモ-ベンズアルデヒドを出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色固体として得た(250mg、収率42%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.09 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 8.02 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 7.73-7.67 (m, 3H), 7.58 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 7.16 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 4.39 (g, J= 7.2 Hz, 2H), 2.84 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.87-1.80 (m, 2H), 1.72-1.68 (m, 2H), 1.41 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 1.34 (s, 6H)。
【0064】
4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸エチル(化合物17b)
1-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物16、333mg、1.65mmol)を出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色固体として得た(400mg、収率64%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.01 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.88-7.65 (m, 6H), 7.17 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 4.39 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 2.85 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.85-1.82 (m, 2H), 1.72-1.68 (m, 2H), 1.42 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 1.34 (s, 6H)。
【0065】
E-4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物18a)およびZ-4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物18c)
4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物17a、250mg、0.69mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物18a(37mg、収率15%)および化合物18c(21mg、収率9%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。鹸化後、最終的に、各異性体をアセトニトリルでの再結晶により精製した:
化合物18aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.92 (d, J= 8.1Hz, 2H), 7.73 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 7.58 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.37 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.08 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 6.96 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 6.75 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 2.67 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.72-1.68 (m, 2H), 1.59-1.55 (m, 2H), 1.17 (s, 6H);
化合物18cの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.86 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.44 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.19-6.90 (m, 4H), 6.43 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 2.67 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.73-1.67 (m, 2H), 1.59-1.56 (m, 2H), 1.17 (s, 6H)。
【0066】
E-4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸(化合物18b)およびZ-4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸(化合物18d)
4-[3-(8,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸エチル(化合物17b、400mg、1.05mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物18b(64mg、収率17%)および化合物18d(45mg、収率12%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。鹸化後、最終的に、各異性体をアセトニトリルでの再結晶により精製した:
化合物18bの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.97-7.88 (m, 3H), 7.73 (dd, J= 1.5, 11.7 Hz, 1H), 7.51 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.22 (dd, J= 1.8, 7.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 6.99 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 2.80 (t, J=6.3 Hz, 2H), 1.86-1.80 (m, 2H), 1.73-1.69 (m, 2H), 1.30 (s, 6H);
化合物18dの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.77-7.72 (m, 2H), 7.56 (dd, J= 1.5, 12.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J= 16.3 Hz, 1H), 7.03-6.93 (m, 3H), 6.58 (d, J= 16.3 Hz, 1H), 2.68 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.83-1.68 (m, 2H), 1.61-1.57 (m, 2H), 1.18 (s, 6H)。
【0067】


6-ブロモ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物19)
7-ブロモ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2H-ナフタレン-1-オン(Journal of Medicinal Chemistry 1995,38, 4764-7に公開の手順に従って調製) (525mg、2.08mmol)の5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)溶液にトリエチルシラン(2.41g、20.80mmol)を加えた。次いで、混合物を8時間加熱還流させた。室温まで冷却後、反応を20mLの氷水でクエンチし、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出し、ブライン(1×5mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)による精製で、表題化合物を淡黄色油状物として得た(445mg、収率90%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.25-7.19 (m, 3H), 2.75 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 1.81-1.79 (m, 2H), 1.70-1.62 (m, 2H), 1.26 (s, 6H)。
【0068】
1-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物20)
6-ブロモ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物19、445mg、1.87mmol)を出発物質として用い、一般手順Fに従って、表題化合物を白色固体として得た(240mg、収率64%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.64-7.56 (m, 3H), 7.45 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 7.32 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 2.75 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 2.60 (s, 3H), 1.94-1.83 (m, 2H), 1.82- 1.74 (m, 2H), 1.38 (s, 6H)。
【0069】
4-[3-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物21)
1-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物20、240mg、1.19mmol)および4-ブロモ-ベンズアルデヒドを出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色油状物として得た(80mg、収率19%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.07 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.82-7.80 (m, 2H), 7.78- 7.70 (m, 3H), 7.59 (d, J= 16.0 Hz, 1H), 7.46 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 4.40 (q, J= 7.5 Hz, 2H), 2.86 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.86-1.82 (m, 2H), 1.72-1.68 (m, 2H) 1.41 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 1.31 (s, 6H)。
【0070】
4-[3-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物22a)およびZ-4-[3-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物22b)
4-[3-(5,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフタレン-2-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物21、80mg、0.22mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物22a(22mg、収率29%)および化合物22b(2mg、収率3%)を白色固体として得た。この場合では、Z-異性体の一部のみが、鹸化前の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(90:10ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のE/Z混合物から単離された。鹸化後、Z-異性体および異性体混合物を、アセトニトリルでの再結晶によりさらに精製した:
化合物22a(1: 1 E/Z 混合物)の1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.91-7.84 (m, 2H), 7.69 (d, J= 16.5 Hz, 0.5H), 7.50 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.33-7.30 (m, 2H), 7.13-7.04 (m, 2H), 6.94 (d, J= 7.8 Hz, 0.5 H), 6.70 (d, J= 15.0 Hz, 0.5 H), 6.39 (d, J= 15.0 Hz, 0.5 H), 2.69 (t, J= 5.4 Hz, 2H), 1.74-1.77 (m, 2H), 1.63-1.61 (m, 2H), 1.24 (s, 6H);
化合物22bの1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.99 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.48 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.39 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 7.20-6.97 (m, 3H), 6.58 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 2.75 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 1.76-1.79 (m, 2H), 1.65-1.63 (m, 2H), 1.26 (s, 6H)。
【0071】


1-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-エタノン(化合物23)
6-ブロモ-4,4-ジメチル-チオクロマン(米国特許第4,895, 868号 (1990)に記載の手順に従って調製) (1.0 g, 3.91 mmol)を出発物質として用い、一般手順Fに従って、表題化合物を無色油状物として得た(720mg、収率84%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.98 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.58 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 7.14 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 3.08-3.04 (m, 2H), 2.54 (s, 3H), 1.98-1.94 (m, 2H), 1.35 (s, 6H)。
【0072】
4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物24a)
1-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-エタノン(化合物23、385mg、1.75mmol)および4-ブロモ-ベンズアルデヒドを出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色油状物として得た(295mg、収率44%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.09-8.06 (m, 3H), 7.79 (d, J= 15.9 Hz, 1H), 7.68 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.56 (d, J= 15.9 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.20 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 4.40 (q, J= 7.0 Hz, 2H), 3.10-3.06 (m, 2H), 2.00-1.96 (m, 2H), 1.39 (s, 6H), 1.25 (t, J= 7.0 Hz, 3H)。
【0073】
4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸エチル(化合物24b)
1-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-エタノン(化合物23、335mg、1.52mmol)を出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色油状物として得た(213mg、収率35%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.07 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.89-7.72 (m, 3H), 7.69- 7.64 (m, 3H), 7.20 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 4.40 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 3.10-3.06 (m, 2H), 2.04-1.96 (m, 2H), 1.39 (s, 6H), 1.25 (t, J= 7.2 Hz, 3H)。
【0074】
E-4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物25a)およびZ-4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物25c)
4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物24a、295mg、0.78mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物25a(9mg、収率3%)および化合物25c(11mg、収率4%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。鹸化後、最終的に、各異性体をアセトニトリルでの再結晶により精製した:
化合物25aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.91 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.69 (d, J= 17.0 Hz, 1H), 7.60 (d, J= 8.0 Hz, 2H), 7.44 (d, J= 2.0 Hz, 1H), 7.07 (dd, J= 2.0, 8.5 Hz, 1H), 6.97 (d, J= 8 Hz, 1H), 6.79 (d, J= 17.0 Hz, 1H), 2.97-2.95 (m, 2H), 1.88-1.85 (m, 2H), 1.22 (s, 6H);
化合物25cの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.87 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.48 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.27 (d, J= 1.5 Hz, 1H), 7.10-6.91 (m, 3H), 6.46 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 3.01-2.83 (m, 2H), 1.98-1.92 (m, 2H), 1.23 (s, 6H)。
【0075】
E-4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸(化合物25b)およびZ-4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸(化合物25d)
4-[3-(4,4-ジメチル-チオクロマン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-3-フルオロ-安息香酸(化合物24b、213mg、0.54mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物25b(40mg、収率19%)および化合物25d(8mg、収率4%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。鹸化後、最終的に、各異性体をアセトニトリルでの再結晶で精製した:
化合物25bの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.97-7.88 (m, 3H), 7.73 (dd, J= 1.5,11.7 Hz, 1H), 7.51 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.22 (dd, J= 1.8, 7.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 6.99 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 2.80 (t, J= 6.3 Hz, 2H), 1.86-1.80 (m, 2H), 1.73-1.69 (m, 2H), 1.30 (s, 6H);
化合物25dの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.87-7.74 (m, 3H), 7.59 (d, J= 12.3 Hz, 1H), 7.46 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.09 (dd, J= 1.2, 7.8 Hz, 3H), 6.98 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 6.90 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 2.98-2.81 (m, 2H), 1.90-1.80 (m, 2H), 1.22 (s, 6H)。
【0076】


N-(4-ブロモフェニル)-3-メチルブト-2-エノイックアミド(化合物26)
4-ブロモアニリン(5.00g、29.2mmol)を25mLのジクロロメタンに溶解し、これに3,3-ジメチルアクリロイルクロリド(Aldrichより入手可能、4.16g、35.1mmol)をゆっくりと加えた。室温で20分間撹拌後、トリエチルアミン(2.5mL)を混合物に滴下して加えた。得られる溶液を室温で3時間撹拌し、そして100mLの氷水混合物に注いだ。有機層を分離し、ブライン(2×20mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮して、黄色残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(90:10ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を黄色固体として得た(7.43g、収率100%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.34 (s, 4H), 7.1 (bs, 1H), 5.69 (s, 1H), 2.23 (s, 3H), 1.91 (s, 3H)。
【0077】
6-ブロモ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物27)
500mLビーカー中、130℃で、N-(4-ブロモフェニル)-3-メチルブト-2-エノイックアミド(化合物26、7.69g、30.0mmol)に塩化アルミニウム(5g、37.5mmol)を1時間かけて少しずつ加えた。次いで、ビーカーを80℃に冷却し、さらなる量の塩化アルミニウム(1g、7.5mmol)を加えた。80℃で0.5時間撹拌後、ビーカーを氷浴で冷やして、混合物に氷をゆっくりと加えた。次いで、得られるスラリーをエーテル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×10mL)、飽和NaHCO3(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(75:25ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を薄黄色固体として得た(5.20g、収率68%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.40 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 7.31-7.27 (m, 2H), 6.65 (bs, 1H), 2.47 (s, 2H), 1.32 (s, 6H)。
【0078】
6-アセチル-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物28)
6-ブロモ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物27、270mg、1.06mmol)を出発物質として用い、一般手順Fに従って、表題化合物を白色固体として得た(154mg、収率67%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ9.10 (bs, 1H), 7.95 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.80 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 6.89 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 2.59 (s, 3H), 2.54 (s, 2H), 1.38 (s, 6H)。
【0079】
N-ヘプチル-6-アセチル-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物29)
6-アセチル-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物28、98.0mg、45.0mmol)を3mLのDMFに溶解させ、0℃でこれに水素化ナトリウム(21.0mg、90.0mmol)をゆっくりと加えた。0℃で10分間撹拌後、1-ヨードヘプタン(30.5mg、135.0mmol)を反応混合物に加え、そして氷浴をはずした。反応混合物を2時間撹拌したままにし、それから氷水でクエンチした。次いで、得られる溶液をエーテル(3×10mL)で抽出し、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(75:25ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を無色油状物として得た(93.6mg、収率66%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.93 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.86 (dd, J= 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.06 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 4.01-3.96 (m, 2H), 2.59 (s, 3H), 2.53 (s, 2H), 1.66- 1.59 (m, 3H), 1.39-1.24 (m, 13H), 0.90-0.86 (m, 3H)。
【0080】
4-[3-(1-ヘプチル-4,4-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸(化合物30)
N-ヘプチル-6-アセチル-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン(化合物29、330mg、1.05mmol)を出発物質として用い、一般手順Bに従って、表題化合物を黄色固体として得た(239mg、収率51%):
1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz)δ11.35 (bs, 1H), 8.16-7.80 (m, 8H), 7.32 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 4.07-4.02 (m, 2H), 2.53 (s, 2H), 1.64-1.55 (m, 2H), 1.43-1.24 (m, 14H), 0.89-0.84 (m, 3H)。
【0081】
E-4-[3-(1-ヘプチル-4,4-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物31a)および4-[3-(1-ヘプチル-4,4-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン-6-イル)-3-ヒドロキシイミノ-プロペニル]-安息香酸(化合物31b)
4-[3-(1-ヘプチル-4,4-ジメチル-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン-6-イル)-3-オキソ-プロペニル]-安息香酸(化合物30、56mg、0.13mmol)を出発物質として用い、一般手順Cに従って、化合物31a(11mg、収率18%)および化合物31b(19mg、収率32%)を白色固体として得た。E-異性体を、E/Z混合物から、アセトニトリルでの再結晶により得た:
化合物31aの1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.76 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 7.53- 7.48 (m, 3H), 7.39-7.31 (m, 2H), 7.08 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 6.74 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 3.92 (d, J= 7.5 Hz, 2H), 2.45 (s, 2H), 1.62-1.45 (m, 2H), 1.30-1.23 (m, 14H), 0.82 (t, J= 7.5 Hz, 3H);
化合物31b(1: 1 E/Z 混合物) の1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.01 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.97 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.83 (d, J= 16.8 Hz, 0.5H), 7.60 (d, J= 6.3 Hz, 1H), 7.50 (d, J= 6.0 Hz, 1H), 7.48-7.17 (m, 2.5H), 6.82 (d, J= 8.4 Hz, 0.5H), 6.51 (d, J= 16.5 Hz, 0.5H), 4.02 (t, J= 7.5 Hz, 4H), 2.52 (s, 2H), 1.67-1.62 (m, 2H), 1.39-1.30 (m, 14H), 0.89 (t, J= 6.9 Hz, 3H)。
【0082】


1-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-エタノン(化合物32)
6-ブロモ-4,4-テトラメチル-クロマン(米国特許第6,303,785号に記載の手順に従って調製、本明細書中で参照として援用される)、(450mg、1.68mmol)を出発物質として用い、一般手順Fに従って、表題化合物を白色固体として得た(237mg、収率61%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.96 (d, J= 2.1 Hz, 1H), 6.80 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 6.68 (dd, J= 2.1, 8.4 Hz, 1H), 2.60 (s, 3H), 1.86 (s, 2H), 1.38 (s, 6H), 1.36 (s, 6H)。
【0083】
4-[3-オキソ-3-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(33)
1-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-エタノン(化合物32、195mg、0.84mmol)および4-ブロモ-ベンズアルデヒドを出発物質として、ならびにカルボキシ化のためのエタノールの代わりにトリメチルシラニルエタノールを用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色油状物として得た(155mg、収率40%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.04-8.00 (m, 1H), 7.80-7.44 (m, 4H), 6.83 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 4.44-4.39 (m, 2H), 1.84 (s, 2H), 1.37 (s, 6H), 1.34 (s, 6H), 0.00 (s, 9H)。
【0084】
一般手順G E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物34a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物34b)
4-[3-オキソ-3-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物33、155mg、0.33mmol)の5mLのEtOH溶液にヒドロキシルアミン塩酸塩(46mg、0.66mmol)およびピリジン(55mg、0.69mmol)を加えた。次いで、反応混合物を6時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧除去して、残渣を水に入れた。水層を1N HClでpH=4〜5に調整し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(2×10mL)およびブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。E-異性体とZ-異性体の分離は、中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。各エステルを2mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、そして2当量のテトラエチルアンモニウムフルオリド(TEAF)を加えた。室温で0.5時間撹拌後、混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出し、ブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。アセトニトリルを用いた再結晶による精製で、化合物34a(2.2mg、収率2%)および化合物34b(12mg、収率10%)を白色固体として得た:
化合物34aの1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.09 (d, J= 5.1 Hz, 2H), 8.00 (d, J= 1.2 Hz, 2H), 7.76-7.72 (m, 2H), 7.66 (d, J= 5.1 Hz, 2H), 7.57 (d, J= 9.3 Hz, 1H), 6.80 (d, J= 5.1 Hz, 1H), 1.82 (s, 2H), 1.34 (s, 6H), 1.32 (s, 6H);
化合物34bの1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.97 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 7.72- 7.62 (m, 3H), 7.44 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.47-7.19 (m, 5H), 6.80 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 1.48 (s, 2H), 1.34 (s, 6H), 1.32 (s, 6H)。
【0085】


6-ブロモ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2H-ナフタレン-1-オン(化合物35)
7-ブロモ-1,1-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン(化合物15、1.1g、4.62mmol)の10mLのジクロロメタン溶液に酸化クロム(VI)(72mg、0.46mmol)および5mLのtert-ブチル-ヒドロペルオキシド(TBHP)溶液を加えた。室温で8時間撹拌後、混合物を水(20mL)で希釈し、ジエチルエーテル(3×10mL)で抽出し、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(90:10ヘキサン/酢酸エチル)による精製で、表題化合物を白色固体として得た(920mg、収率79%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.87 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 7.54 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.42 (dd, J= 2.1, 8.1 Hz, 1H), 2.70 (dd, J= 6.3, 7.5 Hz, 2H), 2.01 (dd, J= 6.3, 7.5 Hz, 2H), 1.38 (s, 6H)。
【0086】
7-ブロモ-1,1,4-トリメチル-1,2-ジヒドロ-ナフタレン(化合物36)
6-ブロモ-4,4-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2H-ナフタレン-1-オン(化合物35、920mg、3.65mmol)の10mLのジエチルエーテル溶液に0℃でメチルマグネシウムブロミド(3Mジエチルエーテル溶液、2.5mL、7.50mmol)をゆっくりと加えた。2時間撹拌して室温まで昇温後、混合物を0℃で水でクエンチし、ジエチルエーテル(3×5mL)、で抽出し、ブライン(1×5mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮して、淡黄色油状物を得た。次いで、粗油状物を10mLのジクロロメタンに溶解して、100mgのパラトルエンスルホン酸とともに、室温で2時間撹拌した。次いで、水(10mL)を加え、そして有機層をブライン(1×5mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)、そして減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)による精製で、表題化合物を無色油状物として得た(589mg、収率65%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.40 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.30 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 7.09 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 5.77 (t, J= 4.5 Hz, 1H), 2.18-2.17 (m, 2H), 2.03 (s, 3H), 1.24 (s, 6H)。
【0087】
1-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-エタノン(化合物37)
7-ブロモ-1,1,4-トリメチル-1,2-ジヒドロ-ナフタレン(化合物36、589mg、2.36mmol)を出発物質として用い、一般手順Fに従って、表題化合物を無色油状物として得た(415mg、収率82%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.91 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.77 (dd, J= 2.1, 8.1 Hz, 1H), 7.31 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 5.92 (t, J= 4.5 Hz, 1H), 2.59 (s, 3H), 2.24-2.22 (m, 2H), 2.09 (s, 3H), 1.29 (s, 6H)。
【0088】
4-[3-オキソ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物38a)
1-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-エタノン(化合物37、210mg、0.98mmol)および4-ブロモ-ベンズアルデヒドを出発物質として、ならびにカルボキシ化のためのエタノールの代わりにトリメチルシラニルエタノールを用い、一般手順Dに従って、表題化合物を淡黄色油状物として得た(187mg、収率43%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.04 (d, J= 7.8 Hz, 2H), 7.88 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.78 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H), 7.57 (d, J= 7.8 Hz, 2H), 7.49-7.42 (m, 2H), 7.27 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 5.89-5.82 (m, 1H), 4.37-4.33 (m, 2H), 2.17-2.15 (m, 2H), 2.02 (s, 3H), 1.22 (s, 6H), 1.19-1.08 (m, 2H), 0.00 (s, 9H)。
【0089】
3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物38b)
1-(2,2,4,4-テトラメチル-クロマン-6-イル)-エタノン(化合物37、206mg、0.96mmol)を出発物質として、ならびにカルボキシ化のためのエタノールの代わりにトリメチルシラニルエタノールを用い、一般手順Dに従って、表題化合物を淡黄色油状物として得た(170mg、収率38%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.96 (d, J= 1.5 Hz, 1H), 7.85-7.66 (m, 6H), 7.33 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 5.92-5.90 (m, 1H), 4.44-4.41 (m, 2H), 2.25-2.23 (m, 2H) 1.56 (s, 3H), 1.29 (s, 6H), 1.15-1.12 (m, 2H), 0.00 (s, 9H)。
【0090】
E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物39a)および4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物39c)
4-[3-オキソ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物38a、187mg、0.42mmol)を出発物質として用い、一般手順Gに従って、化合物39a(17mg、収率11%)および化合物39c(15mg、収率10%)を白色固体として得た。E-異性体の一部のみが、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(90:10ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のE/Z混合物から単離された。鹸化後、各異性体を、アセトニトリルでの再結晶によりさらに精製した:
化合物39aの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.01 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.83 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 7.67 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 6.58 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 7.41-7.28 (m 2H), 6.80 (d, J=16.8 Hz, 1H), 5.82-5.80 (m, 1H), 2.22-2.20 (m, 2H), 1.97 (s, 3H), 1.25 (s, 6H);
化合物39c(1 :1 E/Z 混合物) の1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.00-7.93 (m, 2H), 7.83 (d, J= 16.8 Hz, 0.5H), 7.58 (d, J= 8.1 Hz, 0.5H), 7.49-7.43 (m, 2H), 7.35 (d, J= 7.8 Hz, 0.5H), 7.23-7.10 (m, 2.5H), 6.76 (d, J= 16.8 Hz, 0.5H), 6.49 (d, J= 16.8 Hz, 0.5H), 5.83-5.74 (m, 0.5H), 5.47-5.46 (m, 5H), 2.22-2.20 (m, H), 4.14-2.07 (m, 1H), 1.99 (s, 3H), 1.25 (s, 3H), 1.22 (S, 3H)。
【0091】
E-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物39b)およびZ-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物39d)
3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(5,8,8-トリメチル-7,8-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物38b、170mg、0.37mmol)を出発物質として用い、一般手順Gに従って、化合物39b(31mg、収率22%)および化合物39d(17mg、収率12%)を白色固体として得た。E-異性体とZ-異性体の分離は、鹸化前の中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)(80:20ヘキサン/酢酸エチル)により、エステル中間体のところで達成した。鹸化後、各異性体をアセトニトリルでの再結晶によって精製した:
化合物39bの1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.90 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 7.75-7.73 (m, 2H), 7.65 (dd, J= 1.8, 11.4 Hz ,1H), 7.41 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.31-7.30 (m, 2H), 6.90 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 5.86-5.82 (m, 1H), 2.16-2.18 (m, 2H), 2.02 (s, 3H), 1.20 (s, 6H);
化合物39d(1: 1 E/Z混合物) の1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.91-7.85 (m, 2H), 7.67 (dd, J= 1.8, 11.7 Hz, 1H), 7.40-7.30 (m, 3H), 7.22 (dd, J= 1.8, 8.1 Hz, 1H9), 6.70 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 5.88-5.84 (m, 1H), 2.26-2.24 (m, 2H), 2.10 (s, 3H), 1.27 (s, 6H)。
【0092】


4-メチル-4-フェニル-ペンタン-2-オン(化合物40)
塩化アルミニウム(10.3g、77.4mmol)の100mLのベンゼン溶液に0℃でメシチルオキシド(5.9g、60.2mmol)を滴下して加えた。4時間撹拌して室温まで昇温させた後、混合物を100mLの氷水混合物に注ぎ、ジエチルエーテル(3×15mL)で抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム(1×15mL)およびブライン(1×15mL)で洗浄した。抽出液を乾燥させ(MgSO4)減圧濃縮してから、組成生物を高真空蒸留して表題化合物を無色油状物として得た(7.8g、収率74%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.36-7.32 (m, 4H), 7.23-7.18 (m, 1H), 2.74 (s, 2H), 1.80 (s, 3H), 1.43 (s, 6H)。
【0093】
1,1,3,3-テトラメチル-インダン(化合物41)
4-メチル-4-フェニル-ペンタン-2-オン(化合物40、7.8g、44.3mmol)の50mLのテトラヒドロフラン(THF)溶液に0℃でメチルマグネシウムブロミド(3Mジエチルエーテル溶液、22.2mL、66.6mmol)をゆっくりと加えた。2時間撹拌して室温まで昇温させた後、0℃で、混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、ブライン(1×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO4)減圧濃縮して淡黄色油状物を得た。次いで、0℃で、粗油状物を80%濃硫酸にゆっくりと加え、得られる褐色混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を氷水でゆっくりと希釈し、ペンタン(3×15mL)で抽出してブライン(1×15mL)で洗浄した。抽出液を乾燥させ(MgSO4)減圧濃縮してから、残渣を高真空蒸留して表題化合物インダンを無色油状物として得た(3.3g、収率43%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.12-7.10 (m, 2H), 7.09-7.02 (m, 2H), 1.81 (s, 2H), 1.22 (s, 6H)。
【0094】
1-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-エタノン(化合物42)
1,1,3,3-テトラメチルインダン(化合物41、2.3g、13.2mmol)を出発物質として用い、一般手順Aに従って、表題化合物を白色固体として得た(2.4g、収率84%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.82 (dd, J= 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.76 (d, J= 2.1Hz, 1H), 7.18 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 2.60 (s, 3H), 1.98 (s, 2H), 1.31 (s, 6H), 1.29 (s, 6H)。
【0095】
4-[3-オキソ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物43)
1-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-エタノン(化合物42、500mg、2.31mmol)を出発物質として用い、一般手順Bに従って、表題化合物を白色固体として得た(738mg、収率92):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.15 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.92-7.86 (m, 2H), 7.82 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.75 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.64 (d, J= 15.9 Hz, 1H), 7.26 (d, J= 15.9 Hz, 1H), 1.98 (s, 4H), 1.37 (s, 6H), 1.35 (s, 6H)。
【0096】
E-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物44a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物44b)
4-[3-オキソ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物43、210mg、0.55mmol)を出発物質として用い、一般手順Cに従って、化合物44a(59mg、収率30%)および化合物44b(18mg、収率9%)を白色固体として得た:
化合物44aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ8.04 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.85 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.37-7.11 (m, 3H), 6.90 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 1.97 (s, 2H), 1.34 (s, 6H), 1.33 (s, 6H);
化合物44bの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ8.00 (d, J= 6.0 Hz, 2H), 7.60 (d, J= 6.0 Hz, 1H), 7.27-7.15 (m, 4H), 6.56 (d, J= 15.0 Hz,1H), 1.99 (s, 2H), 1.36 (s, 6H), 1.35 (s, 6H)。
【0097】
3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物45)
1-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-エタノン(化合物42、500mg、2.31mmol)を出発物質として、ならびにカルボキシ化のためのエタノールの代わりにトリメチルシラニルエタノールを用い、一般手順Dに従って、表題化合物を黄色油状物として得た(95mg、収率9%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.83-7.62 (m, 7H), 7.18 (d, J= 9.6 Hz, 1H), 4.41- 4.37 (m, 2H), 1.91 (s, 2H), 1.30 (s, 6H), 1.28 (s, 6H), 1.09-1.06 (m, 2H), 0.00 (s, 9H)。
【0098】
E-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物46a)およびZ-3-フルオロ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物46b)
3-フルオロ-4-[3-オキソ-3-(1,1,3,3-テトラメチル-インダン-5-イル)-プロペニル]-安息香酸2-トリメチルシラニル-エチル(化合物45、95mg、0.20mmol)を出発物質として用い、一般手順Gに従って、化合物46a(28mg、収率36%)および化合物46b(12mg、収率15%)を白色固体として得た:
化合物46aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.96-7.90 (m, 3H), 7.71 (d, J= 11.7 Hz, 1H), 7.38-7.32 (m, 2H), 7.23 (d, J= 6.9 Hz, 1H), 7.02 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 1.97 (s, 2H), 1.34 (s, 6H), 1.33 (s, 6H);
化合物46bの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ7.84-7.65 (m, 3H), 7.35- 7.16 (m, 4H), 6.69 (d, J= 16.8 Hz, 1H), 1.98 (s, 2H), 1.34 (s, 6H), 1.33 (s, 6H)。
【0099】


4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物47)
1-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-エタノン(Journal of Medicinal Chemistry 2000,43, 409-19に記載の手順に従って調製、本明細書中参照として明らかに援用)(232mg、1.00mmol)を出発物質として用い、一般手順Dに従って、表題化合物を淡黄色固体として得た(123mg、収率31%):
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ9.04 (s, 1H), 8.18 (d, J= 16.2 Hz, 2H), 8.03 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 7.88 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 7.66 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 4.34 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 1.79 (s, 4H), 1.35 (s, 6H), 1.29 (s, 6H), 1.26 (t, J= 7.2 Hz, 3H)。
【0100】
4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物48a)およびZ-4-[3-ヒドロキシイミノ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸(化合物48b)
4-[3-オキソ-3-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-プロペニル]-安息香酸エチル(化合物47、123mg、0.31mmol)を出発物質として用い、一般手順Eに従って、化合物48a(10mg、収率8%)および化合物46b(12mg、収率10%)を白色固体として得た:
化合物48aの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ8.57 (s, 0.5H), 8.55 (s, 0.5H), 8.00-7.87 (m, 2H), 7.73-7.47 (m, 3H), 7.14 (d, J= 16.5 Hz, 0.5H), 6.69 (d, J = 16.8 Hz, 0.5H), 1.76 (s, 2H), 1.75 (s, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.22 (s, 6H);
化合物48bの1H NMR (アセトン-d6, 300 MHz) δ8.55 (s, 1H), 7.87 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.48 (d, J= 8.4 Hz, 2H), 7.15 (d, J= 16.5 Hz, 1H), 6.68 (d, J= 16.5 Hz, 1.76 (s, 4H), 1.25 (s, 12H)。
【0101】
本発明のチオクロメン化合物、クロメン化合物、ベンゾフラン化合物、およびイソベンゾフラン化合物の合成
反応スキーム14はベンゾジヒドロフラン誘導体である本発明の化合物の調製例であり、これは式1の可変基Rが式(c)または式(d)で表される場合のものである。より具体的には、反応スキーム14および続く反応スキームは、式10の範囲内であるブロモ化合物の合成を示し、この化合物から、反応スキーム3bに示される工程により本発明の化合物を得ることができる。
【0102】
簡単のため、反応スキーム14は、可変基(R1)mが、ジヒドロベンゾフラン核の非芳香族部分の1個または2個の炭素と置換したジェミナルジメチル基を表している本発明の化合物の合成を示す。したがって、このスキームに従って、フタル酸ジエチルエステル(Aldrichより入手可能)は、メチルマグネシウムブロミドと反応し、その後酸と反応して式11の2,2,7,7-テトラメチル-ジヒドロ-イソ-ベンゾフランを生成する。次いで、式11のジヒドロ-イソ-ベンゾフランはテトラヒドロフラン(THF)中N-ブロモスクシンイミド(NBS)と反応して、式12の4-ブロモ-2,2,7,7-テトラメチル-ジヒドロ-イソ-ベンゾフランを生成する。
【0103】
別の反応順番例では、強酸(H2SO4)の存在下、4-ブロモフェノールは3-クロロ-2-メチル-プロプ-1-エンと反応し、その後強塩基(NaH)と反応して式13の3,3-ジメチル-5-ブロモ-ジヒドロベンゾフランを生成する。式12および式13のブロモ化合物を反応スキーム3における式10のブロモ化合物と同じ反応順番(スキーム14には示されず)にかけて、式1に従う本発明の化合物とし、ここで可変基Rはジヒドロ-イソ-ベンゾフランまたはジヒドロベンゾフランラジカルである。

【0104】
反応スキーム15は、クロメン誘導体またはチオクロメン誘導体である本発明の化合物の調製例を提供し、これは式1の可変基Rが式(f)で表される場合、および点線が結合の存在を表す場合のものである。表示を簡単にするため、スキームは、可変基(R1)mがクロメンもしくはチオクロメン核の非芳香族部分の2位炭素と置換したジェミナルジメチル基を表している本発明の化合物の合成を示す。したがって、このスキームに従って、4-ブロモフェノールまたは4-ブロモチオフェノールはジメチルアクリロルクロリドと反応して、対応する式14のエステルまたはチオエステルを生成する。次いで、式14のエステルまたはチオエステルは、フリーデルクラフツ条件下、環化して、式15の7-ブロモ-チオクロマン-4-オンまたは7-ブロモ-クロマン-4-オンを生成する。式15の化合物は、式R1MgX(式中Xはハロゲンであり、R1は式1によって定義される)のグリニャール試薬と反応し、次いで酸と反応して、式16の7-ブロモ-2,2-ジメチル-チオ-クロメンまたは対応するクロメン誘導体を生成する。
【0105】
反応スキーム15に示される別の反応順番例では、4-ブロモフェノールは塩化アセチル(AcCl)と反応して対応するエステルを生成し、そしてこのエステルがフリーデルクラフツ条件下、フリース転移(Fries rearrangement)により2-アセチル-4-ブロモフェノールを生成する。2-アセチル-4-ブロモフェノールは、ピペリジンおよびトリフルオロ酢酸(TFA)の存在下、アセトンと反応して6-ブロモ-2,2-ジメチル-クロマン-4-オンを生成する。この後者の化合物は、式R1MgXのグリニャール試薬、次いで酸と反応して、式17の6-ブロモ-2、2-ジメチル-クロメン誘導体を生成する。
【0106】
反応スキーム15に示されるさらに別の反応順番例では、4-ブロモ-チオフェノールは、ピペリジンの存在下、2,2-ジメチルアクリル酸(acryloic acid)と反応して、式18の付加体を生成し、これがメタンスルホン酸での処理によって環化して、式19の6-ブロモ-2、2-ジメチル-チオクロマン-4-オンとなる。式19の化合物は、式R1MgXのグリニャール試薬、次いで酸と反応して、式20の6-ブロモ-2,2-ジメチル-チオクロメン誘導体を生成する。
【0107】
式16、式17、および式20のブロモ化合物を反応スキーム3の式10のブロモ化合物と同じ反応順番(スキーム15には示されず)に従い、式1の本発明の化合物とし、ここで可変基Rは、クロメンまたはチオクロメンラジカルである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】



(式中、
Rは式(a)〜(g):


で定義されるラジカルからなる群より選択され、
ここで、環にある破線は、結合を表すか、または環にある2つの破線のうち1つだけが結合を表し得るという条件で、結合がないことを表し;
*は、環にある炭素でそこにカルコンオキシム基が結合することを示し;
X1は、二重結合で隣接する炭素に結合したOまたはSを表すか、または、X1は隣接する炭素に結合した2つのR1基を表し;
X2はOまたはSであり;
Yは、フェニルもしくはナフチル基、またはピリジル、チエニル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、およびピラゾリルからなる群より選択されるヘテロアリールであり、前記フェニル基およびヘテロアリール基は1つまたは2つのR4基で任意に置換され;
mは0〜6の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
oは0または1の値を有する整数であり;
pは1または2の値を有する整数であり;
R1は独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6の炭素を有するアルコキシ、1〜6の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノ、またはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3は、Hまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4は独立して、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
Aは、qが0〜5の(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、または2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
Bは、COOHもしくはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は、炭素数1〜6のアルキル、フェニル、またはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
Yが、フェニル、ピリジル、チエニルおよびフリルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yがフェニルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Y基がカルコンオキシムで、および1,4(パラ)位でA−B基が置換された、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R基が式(a)で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
oが1である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
破線が、結合がないことを表す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
一本の破線が結合を表す、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
oが0である、請求項5記載の化合物。
【請求項10】
破線が結合を表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
破線が、結合がないことを表す、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
R基が式(f)で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
破線が、結合がないことを表す、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
X2がSである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
X2がOである、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
R基が式(e)で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
破線が、結合がないことを表す、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
R基が式(g)で表される、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
破線が、結合がないことを表す、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
A-B基が(CH2)q-COOHもしくは(CH2)q-COOR8を表す、請求項1記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
qが0である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】


(式中、
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3はH、または炭素数1〜10のアルキルであり;
R4はハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜8の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
Aは、qが0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOHまたはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、−CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は炭素数1〜6のアルキル、フェニル、またはC1-6アルキルフェニルであり、R12が炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項23】


(式中、
R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素またはメチルであり;
R4は水素またはFであり;
BはCOOHまたはCOOR8である)
を有する化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項24】


を有する、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
R4がHである、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
R4がFである、請求項24記載の化合物。
【請求項27】


を有する請求項23記載の化合物。
【請求項28】
R4がHである、請求項27記載の化合物。
【請求項29】
R4がFである、請求項27記載の化合物。
【請求項30】


を有する、請求項23記載の化合物。
【請求項31】
R4がHである、請求項30記載の化合物。
【請求項32】


(式中、
X2はOまたはSであり;
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3はHまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜6の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
Aは、qが0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOHまたはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は炭素数1〜6のアルキル、フェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項33】


(式中、
R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素またはメチルであり;
R4は水素またはFであり、
BはCOOHまたはCOOR8である)
を有する請求項32記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項34】
X2がSである、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
R13およびR14がHである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
R4がHである、請求項35記載の化合物。
【請求項37】
R4がFである、請求項35記載の化合物。
【請求項38】
X2がOである、請求項33記載の化合物。
【請求項39】
R11、R12、R13およびR14がメチルである、請求項38記載の化合物。
【請求項40】
R4がHである、請求項39記載の化合物。
【請求項41】


(式中、
X1は、隣接する炭素に二重結合で結合したOまたはSであるか、またはX1は隣接する炭素に結合した2つのR1基を表し;
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3はHまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4はハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜4の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
Aは、qが0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOHまたはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10シクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は、炭素数1〜6のアルキル、フェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項42】



(式中、
R4は水素またはFであり、
BはCOOHまたはCOOR8である)
を有する請求項41記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項43】
R4がHである、請求項42記載の化合物。
【請求項44】


(式中、
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3は、H、または炭素数1〜10のアルキルであり;
R4はハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜6の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
Aは、qが0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOHまたはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであって、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は炭素数1〜6のアルキル、フェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項45】


(式中、
R4は水素またはFであり、
R5はCOOHまたはCOOR8である)
を有する請求項44記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項46】
R4がHである、請求項45記載の化合物。
【請求項47】
R4がFである、請求項45記載の化合物。
【請求項48】


(式中、
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3はHまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4は、独立して、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜6の値を有する整数であり;
nは0〜2の値を有する整数であり;
Aは、qが0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOH、またはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13Oまたはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は炭素数1〜6のアルキル、フェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項49】


(式中、
R4は水素またはFであり、
BはCOOHまたはCOOR8である)
を有する請求項48記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項50】
R4がHである、請求項49記載の化合物。
【請求項51】
R4がFである、請求項49記載の化合物。
【請求項52】


(式中、
R1は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、COOR3、F、Cl、BrまたはIであり;
R2は、独立して、炭素数1〜6のアルキル、F、Cl、Br、I、OH、SH、1〜6個の炭素を有するアルコキシ、1〜6個の炭素を有するアルキルチオ、NH2、C1-6アルキルアミノまたはジ(C1-6アルキル)アミノであり;
R3はHまたは炭素数1〜10のアルキルであり;
R4はハロゲン、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜6のフルオロ置換アルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、または炭素数1〜10のアルキルチオであり;
mは0〜8の値を有する整数であり;
Aは、qは0〜5である(CH2)q、3〜6個の炭素を有する低級分枝鎖アルキル、3〜6個の炭素を有するシクロアルキル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの二重結合を有するアルケニル、2〜6個の炭素および1つまたは2つの三重結合を有するアルキニルであり;
BはCOOH、またはその薬学的に許容され得る塩、COOR8、CONR9R10、-CH2OH、CH2OR11、CH2OCOR11、CHO、CH(OR12)2、CHOR13O、-COR7、CR7(OR12)2、CR7OR13O、またはトリ低級アルキルシリルであり、ここでR7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル、または2〜5個の炭素を含むアルケニル基であり、R8は炭素数1〜10のアルキル基、またはアルキル基が1〜10個の炭素を有するトリメチルシリルアルキル、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、CH2OCH3またはCH2OCH2OOC1-6アルキルであるか、またはR8はフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R9およびR10は、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数5〜10のシクロアルキル基、またはフェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R11は炭素数1〜6のアルキル、フェニルまたはC1-6アルキルフェニルであり、R12は炭素数1〜6のアルキルであり、R13は炭素数2〜5の二価アルキルラジカルである)
の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項53】


(式中、
R4は水素またはFであり、
BはCOOHまたはCOOR8である)
を有する請求項52記載の化合物、または該化合物の薬学的に許容され得る塩。
【請求項54】
R4がHである、請求項53記載の化合物。
【請求項55】
1つ以上の請求項1記載の化合物を有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項56】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
1つ以上の請求項22記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項58】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
1つ以上の請求項32記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項60】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
1つ以上の請求項41記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項62】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
1つ以上の請求項44記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項64】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項63記載の方法。
【請求項65】
1つ以上の請求項48記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項66】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
1つ以上の請求項52記載の化合物を治療有効量投与することを含む、予防または治療を必要とする哺乳動物の肺の機能不全の状態または疾患を予防または治療する方法。
【請求項68】
該状態または疾患が肺気腫である、請求項67記載の方法。
【請求項69】
予防または治療を必要とする哺乳動物における、1つ以上の請求項1記載の化合物を該哺乳動物に治療有効量投与することを含む、RARγアゴニストでの処理に反応性のある疾患または状態を予防または治療する方法。
【請求項70】
該疾患または状態が皮膚の疾患または状態である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
該疾患または状態がざ瘡または乾癬である、請求項70記載の方法。


【公表番号】特表2007−517037(P2007−517037A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547316(P2006−547316)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/043148
【国際公開番号】WO2005/066116
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】