説明

SARMによる高齢男性のアンドロゲン減少に関連する病気の治療

本発明は、男性患者のアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気の治療、予防、抑止、抑制、又は発症を減少させる方法を提供する。この方法は、患者に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator:SARM)化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ADAMに関連する病気としては、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢男性のアンドロゲン減少(Androgen Decline In Aging Male:ADAM)に関連する病気の予防と治療に関するものである。より詳しくは、本発明は、男性患者のADAMに関連する病気の治療、予防、抑止、抑制又は軽減に関するものである。前記治療等は、患者に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(Selective Androgen Receptor Modulator:SARM)化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ADAMに関連する病気としては、例えば、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌などがある。
【背景技術】
【0002】
高齢男性のアンドロゲンの減少(ADAM)は、アンドロゲン生成の進行性の減少が原因であり、中年以降の男性によく見られる。この症候群は、アンドロゲン環境と相関関係にある身体的領域及び知的領域の変質に特徴があり、アンドロゲン環境の操作により修正することができる。
【0003】
ADAMは、生化学的に、血清アンドロゲンの減少だけではなく、他のホルモン(例えば、成長ホルモン、メラトニン、及びデヒドロエピアンドロステロン)の減少に特徴がある。臨床的な徴候としては、倦怠感、憂うつ、性欲減退、性的機能不全、勃起不全、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、良性前立腺肥大症、性腺機能低下症、気分及び認識力の変調、貧血、肥満、脱毛症、及び前立腺癌がある。
【0004】
ADAMの発症は予測不可能であり、その兆候は微妙であり変わりやすく、診断、観察及び治療の関心を引き起こすことは難しい。ADAMを治療するために、基礎科学と臨床レベルの両方において革新的な方法が緊急に必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高齢男性のアンドロゲン減少(ADAM)に関連する病気を、治療、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、男性患者に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。さらに、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、治療、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、男性患者に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。
【0006】
ある実施形態では、本発明は、男性患者のADAMに関連する病気を治療する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0007】
ある実施形態では、本発明は、ADAMに関連する病気を予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、治療する方法を提供する。この方法は、患者に、SARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0010】
ある実施形態では、高齢男性のアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Iで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0011】
【化1】

【0012】
ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【0013】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0014】
【化2】

【0015】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。


Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【0016】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0017】
【化3】

【0018】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、


から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【0019】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IVで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0020】
【化4】

【0021】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0022】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Vで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0023】
【化5】

【0024】
ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0025】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0026】
【化6】

【0027】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0028】
【化7】

【0029】
ある実施形態では、SARMはアンドロゲン受容体アゴニストである。他の実施形態では、SARMはアンドロゲン受容体アンタゴニストである。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨に効果を及ぼさない。他の実施形態では、SARMは前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼし、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨に効果を及ぼさず、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは中枢神経系(CNS)に浸透する。他の実施形態では、SARMは中枢神経系(CNS)に浸透しない。
【0030】
ある実施形態では、ADAMに関連する病気は性的不全である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は性欲減退である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は勃起不全である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は性腺機能低下症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は筋肉減少症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は骨減少症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は骨粗鬆症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は良性前立腺肥大症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は前立腺癌である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、認知・気分の変化を含む。他の実施形態では、ADAMに関連する病気はうつ病である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は貧血である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は脱毛症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は肥満症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は上記した病気の任意の組み合わせである。
【0031】
本発明は、安全かつ効果的な、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減方法を提供する。本発明は、性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌の症状及び徴候を示す男性患者の治療に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、高齢男性のアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気を、治療、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、男性患者に、選択的アンドロゲン受容体調節剤(Selective Androgen Receptor Modulator:SARM)化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。さらに、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、男性患者に、SARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。
【0033】
したがって、ある実施形態では、本発明は、男性患者のADAMに関連する病気を治療する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0034】
ある実施形態では、本発明は、ADAMに関連する病気を予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、治療する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、ADAMが原因の、性的機能不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分及び認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌を、予防、抑止、抑制又は軽減する方法を提供する。この方法は、患者にSARM化合物を投与する過程を含んでいる。他の実施形態では、この方法は、SARM化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与することにより行う。ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0037】
ある実施形態では、高齢男性のアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Iで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0038】
【化1】

【0039】
ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【0040】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0041】
【化2】

【0042】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【0043】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0044】
【化3】

【0045】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【0046】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IVで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0047】
【化4】

【0048】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0049】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Vで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0050】
【化5】

【0051】
ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0052】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0053】
【化6】

【0054】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIIで表される化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせである。
【0055】
【化7】

【0056】
ある実施形態では、SARMはアンドロゲン受容体アゴニストである。他の実施形態では、SARMはアンドロゲン受容体アンタゴニストである。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨に効果を及ぼさない。他の実施形態では、SARMは前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼし、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは筋肉又は骨に効果を及ぼさず、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼす。他の実施形態では、SARMは中枢神経系(CNS)に浸透する。他の実施形態では、SARMは中枢神経系(CNS)に浸透しない。
【0057】
ある実施形態では、ADAMに関連する病気は性的不全である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は性欲減退である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は勃起不全である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は性腺機能低下症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は筋肉減少症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は骨減少症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は骨粗鬆症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は良性前立腺肥大症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は前立腺癌である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、認知・気分の変化を含む。他の実施形態では、ADAMに関連する病気はうつ病である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は貧血である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は脱毛症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は肥満症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は上記した病気の任意の組み合わせである。
【0058】
本発明は、安全かつ効果的な、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減方法を提供する。本発明は、性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、及び/又は前立腺癌の症状及び徴候を示す男性患者の治療に特に有用である。
00025〜00048
ある実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Iで表される化合物である。
【0059】
【化1】

【0060】
ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【0061】
ある実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは化学構造式Iの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0062】
ある実施形態では、SARM化合物は、XがOである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、GがOである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがNOである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがCNである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、YがCFである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがNHCOCHである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、TがOHである化学構造式Iの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、RがCHである化学構造式Iの化合物である。
【0063】
置換基Z及びYは、それらの置換基が結合される環(以降、「環A」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Yは環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にあり、置換基Yは環Aのメタ位置にある。
【0064】
置換基Qは、この置換基が結合される環(以降、「環B」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Qは環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはNHCOCHでありかつ環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはFでありかつ環Bのパラ位置にある。
【0065】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIで表される化合物である。
【0066】
【化2】

【0067】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【0068】
ある実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは、化学構造式IIの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0069】
ある実施形態では、SARM化合物は、XがOである化学構造式IIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがNOである化学構造式IIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがCNである化学構造式IIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、YがCFである化学構造式IIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがNHCOCHである化学構造式IIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFである化学構造式IIの化合物である。
【0070】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IIIで表される化合物である。
【0071】
【化3】

【0072】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【0073】
ある実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは化学構造式IIIの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0074】
ある実施形態では、SARM化合物は、XがOである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、GがOである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、TがOHである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、RがCHである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがNOである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがCNである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、YがCFである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがNHCOCHである化学構造式IIIの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFである化学構造式IIIの化合物である。
【0075】
置換基Z及びYは、それらの置換基が結合される環(以降、「環A」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Yは環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にあり、置換基Yは環Aのメタ位置にある。
【0076】
置換基Q及びQは、この置換基が結合される環(以降、「環B」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Qは環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはHである。他の実施形態では、置換基Qは環Bのパラ位置にありかつ置換基QはHである。他の実施形態では、置換基QはNHCOCHでありかつ環Bのパラ位置にあり、置換基QはHである。
【0077】
ある実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式IVで表される化合物である。
【0078】
【化4】

【0079】
ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0080】
ある実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは化学構造式IVの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0081】
ある実施形態では、SARM化合物は、XがOである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、GがOである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがNOである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがCNである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、YがCFである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがNHCOCHである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、TがOHである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、RがCHである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFでありかつRがCHである化学構造式IVの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFでありかつRがClである化学構造式IVの化合物である。
【0082】
置換基Z、Y、及びRは、それらの置換基が結合される環(以降、「環A」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Yは環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にあり、置換基Yは環Aのメタ位置にある。
【0083】
置換基Q及びRは、この置換基が結合される環(以降、「環B」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Qは環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Qは環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはNHCOCHでありかつ環Bのパラ位置にある。
【0084】
本明細書中で考慮されているように、整数m及びnが1より大きいときは、置換基R及びRは、1つの特定の置換基に限定されるものではなく、上記した置換基の任意の組み合わせであり得る。
【0085】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式Vで表される化合物である。
【0086】
【化5】

【0087】
ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【0088】
ある実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式Vの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは、化学構造式Vの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0089】
ある実施形態では、SARM化合物は、ZがNOである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、ZがCNである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、YがCFである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがNHCOCHである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFでありかつRがCHである化学構造式Vの化合物である。他の実施形態では、SARM化合物は、QがFでありかつRがClである化学構造式Vの化合物である。
【0090】
化合物IVについて上記したように、置換基Z、Y、及びRは環Aの任意の場所に位置することができ、置換基Q及びRは環Bの任意の場所に位置することができる。更に、上記したように、整数m及びnが1より大きいときは、置換基R及びRは1つの特定の置換基に限定されるものではなく、上記した置換基の任意の組み合わせであり得る。
【0091】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIで表される化合物である。
【0092】
【化6】

【0093】
ある実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは、化学構造式VIの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0094】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減に効果的なSARM化合物は、次の化学構造式VIIで表される化合物である。
【0095】
【化7】

【0096】
ある実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の類似体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の誘導体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の異性体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の代謝産物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の薬学的に許容される塩である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の医薬品である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の水和物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物のN酸化物である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の結晶である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物の多形体である。他の実施形態では、SARMは化学構造式VIIの化合物のプロドラッグである。他の実施形態では、SARMは、化学構造式VIIの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、結晶、多形体、又はプロドラッグの任意の組み合わせである。
【0097】
《定義》
ここでは、置換基Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はヒドロキシル(OH)基と定義する。
【0098】
“アルキル”基は、直鎖型、分枝型及び環状の飽和脂肪族炭化水素である。ある実施形態では、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。他の実施形態では、アルキル基は、1〜7個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素を有する。アルキル基は、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br又はI)、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。
【0099】
“ハロアルキル”基は、先に定義したアルキル基を一つ又は複数のハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br又はI)で置換したものである。“ハロゲン”は、周期表VII族の元素(例えば、F、Cl、Br又はI)である。
【0100】
“アリル”基は、少なくとも一つの炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基を有する芳香族基である。アリル基は、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br又はI)、ハロアルキル基、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。アリル環としては、例えば、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリルなどがある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0101】
“ヒドロキシル”基は、OH基である。“アルケニル”基は、少なくとも一つの炭素間二重結合を有する基である。
【0102】
“アリルアルキル”基は、アリル基と結合したアルキル基である。なお、アルキル基とアリル基は、先に定義したとおりである。アリルアルキル基としては、例えば、ベンジル基がある。
【0103】
ここに定義するように、本発明は、SARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いは任意の組み合わせの使用に関するものである。ある実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の誘導体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の異性体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の代謝産物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の薬学的に許容される塩の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の医薬品の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の水和物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のN酸化物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の医薬品の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の水和物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のN酸化物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のプロドラッグの使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の多形体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の結晶の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ又は結晶の任意の組み合わせの使用に関する。
【0104】
ここに定義するように、“異性体”という用語は、光学異性体とその類似体、構造異性体とその類似体、及び配座異性体とその類似体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0105】
ある実施形態では、本発明は、SARMの様々な光学異性体の使用を含む。本発明に係るSARMが少なくとも一つのキラル中心を有していることは、当業者にとって周知である。したがって、本発明に係る方法で使用されるSARMは、光学的活性体又はラセミ体内で存在しており、単離されている。ある化合物は、多形性を示す。当然のことながら、本発明は、前述したアンドロゲンに関連する病気の治療に有効である特性を有する、任意のラセミ体、光学活性体、多形型、立体異性形状、又はそれらの混合物を含む。ある実施形態では、SARMは、純粋な(R)異性体である。他の実施形態では、SARMは、純粋な(S)異性体である。他の実施形態では、SARMは、(R)異性体と(S)異性体との混合物である。他の実施形態では、SARMは、同量の(R)異性体と(S)異性体とを含むラセミ混合物である。当該技術分野では、光学活性体を生成する方法は周知である(例えば、再結晶法によるラセミ体の分解、光学体活体開始物質の合成、キラル合成、又はキラル固定相を使用したクロマトグラフ分離など)。
【0106】
本発明は、例えばクエン酸や塩酸のような有機酸又は無機酸を有するアミノ置換化合物の“薬学的に許容される塩”を含む。また、本発明は、ここに記載した化合物のアミノ置換基のN酸化物を含む。薬学的に許容される塩は、例えば水酸化ナトリウムのような無機塩基を処理することにより、フェノール化合物から生成することもできる。また、フェノール化合物のエステルは、脂肪酸カルボン酸と芳香族カルボン酸(例えば、酢酸エステルと安息香酸エステル)から生成することもできる。
【0107】
本発明は、さらに、SARM化合物の誘導体を含む。“誘導体”という用語は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミノ誘導体、エステル誘導体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。さらに、本発明は、SARM化合物の水和物を含む。“水和物”という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0108】
本発明は、さらに、SARM化合物の代謝産物を含む。“代謝産物”という用語は、代謝作用又は代謝過程によって、別の物質から生成された物質を意味する。
【0109】
本発明は、さらに、SARM化合物の医薬品を含む。“医薬品”という用語は、医薬品としての使用に適した組成物を意味する。
【0110】
本発明は、さらに、SARM化合物のプロドラッグを含む。“プロドラッグ”という用語は、加水分解、エステル化、ジエステル化、活性化、塩生成などの反応によりインビボで生物活性物質に変換される物質を意味する。
【0111】
本発明は、さらに、SARM化合物の結晶を含む。さらに、本発明は、SARM化合物の多形体を提供する。“結晶”という用語は、結晶状態の物質を意味する。“多形体”という用語は、特別な物理的性質(例えば、X線回折、IRスペクトル、融点など)を有する、物質の特別な結晶状態を意味する。
【0112】
《選択型アンドロゲン調節剤化合物の生物活性》
選択型アンドロゲン調節剤(SARM)化合物は、アンドロゲン受容体標的物質(Androgen Receptor Targeting Agent:ARTA)の新しい種類であり、次の(a)〜(g)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、倦怠感、憂うつ、性欲減退、性的機能不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0113】
ここに定義するように、本発明に係るSARM化合物は、男性患者のADAMに関連する病気の治療、予防、抑止、抑制又は発症を減少させるのに有効である。ここに定義するように、ある実施形態では、前記男性患者は、高齢の男性である。
【0114】
ある実施形態では、ADAMに関連する病気は、性的機能不全である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、性欲減退である。ここで使用される“性欲”という用語は、性的衝動を意味する。
【0115】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、勃起不全である。ここで使用される“勃起”という用語は、勃起可能であることを意味する。勃起組織は、大きく拡張可能で、多くの血管が膨張することによって硬直する組織のことである。
【0116】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、性腺機能低下症である。“性腺機能低下症”は、生殖腺の機能活性の異常低下により生じる又は特徴付けられる病気であり、性的な成長及び発育の遅滞を伴う。
【0117】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、筋肉減少症である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、骨減少症である。“骨減少症”は、石灰化の減少又は骨密度の減少を意味する。この用語は、そのような病気が顕著である骨格系すべてを含む。
【0118】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、骨粗鬆症である。“骨粗鬆症”は、カルシウムや骨タンパク質の不足に起因する骨質量の減少によって、骨が薄くなることである。骨粗鬆症になると、骨折しやすくなる。また、骨折したときに、治るのが遅くなったり、うまく治らなかったりする。骨粗鬆症のままでいると、姿勢の変化、身体の異常、及び可動性の減少をもたらす。
【0119】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、良性前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)である。BPHは、任意の臓器に見られる最も一般的な良性の増殖異常であり、成人男性における疾病率の主たる原因である。BPHは、50歳の男性の75%以上に発生し、90歳代迄には有病率は88%にも達する。BPHは、しばしば、前立腺を横切る尿道(尿道前立腺部)の一部を段階的に圧迫する。このことは、膀胱が完全に空にならないので、患者に頻繁に尿意を覚えさせる。尿流の妨げは、排尿の制御不能(所望時に排尿開始することの障害を含む)、残留尿による失禁防止の困難をもたらす。溢流性尿失禁は、尿路閉塞と排尿の失敗をもたらす。
【0120】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、認識力及び気分の変調である。“認識力(cognition)”という用語は、知るプロセス、とりわけ、気づいている、知っている、考えている、学んでいる、及び判断しているなどのプロセスを意味する。認識とは、心理学、言語学、コンピュータサイエンス、神経科学、数学、動物行動学、及び哲学の分野に関連する。“気分(mood)”という用語は、気質又は気持ちの状態である。ここに定義するように、変調は、認識力及び/又は気分におけるポジティブ又はネガティブな任意の変化を意味する。
【0121】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、憂うつである。“憂うつ”という用語は、肉体、気分、及び意識を含めた病気のことであり、その人が食事をしたり睡眠を取ったり、自己確認したり、物事について考察する行動に影響を与える。憂うつの兆候及び症候としては、活動に対する興味の消失、過食又は拒食、感情の消失、無気力、絶望感、悲観、罪悪感又は孤独感、社会逃避、疲労、睡眠障害、集中力低下、記憶障害、決断障害、情動不安、頭痛、消化不良、又は慢性的痛みがある。
【0122】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、脱毛症である。“脱毛症”という用語は、医学的には脱毛(alopecia)として知られており、とても一般的なタイプの男性型脱毛症のことである。脱毛症は、一般的には、頭皮の部分的な脱毛より始まり、その後、完全な脱毛状態になることもあり、体毛脱毛を伴うこともある。脱毛症とは男性及び女性の双方に生じる。
【0123】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、貧血である。“貧血”は、血液中で、赤血球数通常数よりも少ない状態、又はヘモグロビン含有量が通常よりも少ない状態を意味する。このとき、血液の酸素運搬量は減少する。貧血の人は、すぐに疲労感を覚え、蒼白となり、動悸を覚え、息切れする。貧血は、次の4つの主要な原因(a〜d)によって引き起こされる。a)出血(失血)、b)溶血(赤血球の過剰破壊)、c)赤血球生成不足、及びd)異常ヘモグロビン。貧血には様々なタイプがあり、再生不良性貧血、ベンゼン中毒、ファンコーニ貧血、新生児溶血性疾患遺伝性球状赤血球症、鉄欠乏性貧血、大理石骨病、悪性貧血、鎌状細胞貧血、地中海貧血症、脊髄形成異常症候群、及び様々な骨髄疾患などがある。ここに定義するように、本発明に係るSARM化合物は、上記した貧血の一つ又は複数のタイプの貧血の予防及び/又は治療に有効である。
【0124】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、肥満である。“肥満”は、正常な体重を大きく超過した状態を意味する。従来、理想的な体重を20%超過すると肥満であると考えられてきた。肥満は肥満度指数(Body to Mass Index:BMI)が30以上であるとして、国立衛生研究所(National Institute of Health:NIH)によって、より正確に定義されている。肥満は、しばしば多因子性であり、遺伝的及び行動的な要素の双方に起因する。肥満による体重超過は、健康に大きく関係する。例えば、次のような様々な病気となるリスクを増大させる。II型(成人)糖尿病、高血圧、脳卒中(脳血管障害すなわちCVA(Cerebrovascular Accident))、心臓麻痺(心筋梗塞すなわちMI(Myocardial Infarction))、心不全(うっ血性心不全)、癌(前立腺、大腸、直腸癌など)、胆石及び胆嚢の病気(胆嚢炎)、痛風及び痛風関節炎、膝、臀部及び下背の骨関節炎(変性性関節炎)、睡眠時無呼吸(睡眠時の呼吸不全、血中酸素濃度の低下)、及びピックウィック症候群(肥満、赤面、呼吸低下、及び傾眠)など。ここに定義するように、“肥満”という用語は、上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つを含む。したがって、本発明に係るSARM化合物は、肥満及び上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つの予防及び/又は治療に有効である。
【0125】
他の実施形態では、ADAMに関連する病気は、前立腺癌である。前立腺癌は、米国の男性に最も頻繁に発生する癌の一つであり、毎年、数百から数千人の新規患者が前立腺癌であると診断されている。前立腺癌であると診断された新規患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分っている。50歳以上の全男性の3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3〜14%)から90代(40〜80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性な癌の発生頻度は著しく異なっている。このことは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たしていることを示唆している。
【0126】
ある実施形態では、本発明に係るSARM化合物が投与される男性患者は、高齢の男性である。ここに定義するように、「高齢」という用語は、年を取ることを意味する。ある実施形態では、高齢の男性は、40歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、45歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、50歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、55歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、60歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、65歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、70歳以上の男性である。他の実施形態では、高齢の男性は、75歳以上の男性である。
【0127】
ここに定義するように、本発明に係るSARM化合物は、ADAMに関連する病気の治療に有効であり、その生物活性によりサブグループに分類される。例えば、いくつかのSARM化合物は、筋肉又は骨に対してアゴニスト作用を有する。他のSARM化合物は、筋肉又は骨に対してアゴニスト作用を有さない。他のSARM化合物は、前立腺に対して影響を与えない、又はアンタゴニストを有する。他のSARM化合物は、前立腺に対して影響を与えない、又はアンタゴニストを有する。他のSARM化合物は、中枢神経系(Central Nervous System:CNS)を浸透することができる。他のSARM化合物は、中枢神経系(CNS)を浸透することができない。
【0128】
図1及び図2に示すように、あるSARM化合物は、筋肉又は骨に対して影響を与えずに、前立腺に対して中性の作用又はアンタゴニスト作用を有する。このサブグループ内では、CNSを浸透しないSARM化合物は、良性前立腺肥大(BPH)の治療又は予防に有効である。また、CNSを浸透することができるSARM化合物は、性機能障害の治療又は予防に有効である。
【0129】
さらに、図1及び図2に示すように、他のSARM化合物のサブグループは、筋肉又は骨に対してアゴニスト作用を有し、前立腺に対して中性の作用又はアンタゴニスト作用を有する。このサブグループ内では、CNSに浸透しないSARM化合物は、筋肉減少症と骨粗鬆症の治療又は予防に有効である。また、CNSに浸透することができるSARM化合物は、性腺機能低下症、性機能障害、筋肉減少症、及び骨粗鬆症の治療又は予防に有効である。
【0130】
本発明に係るSARM化合物は、新しい種類の選択的アンドロゲン受容体調節剤(Selective Androgen Receptor Modulator:SARM)であり、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしてのアンドロゲン又は抗アンドロゲン活性と、タンパク同化作用を示す。この物質は、SARM化合物の新しいサブクラスを定義する。
【0131】
アンドロゲン受容体(AR)は、その内因性アンドロゲンとの活性を介して男性の性的発育及び機能の誘導を仲立ちする、リガンドが活性化された転写調節タンパク質である。アンドロゲンは、一般に、男性ホルモンとして知られている。男性ホルモンは、体内で睾丸及び副腎の皮質により生成される、又は実験室で合成されるステロイドである。アンドロゲン性ステロイドは、男性の性的特徴(例えば、筋肉や骨量)の発育及び維持、前立腺の成長、精子形成、及び男性の髪状態などの、多数の生理学的過程において重要な役割を果たす(Matsumoto, Endocrinol. Met. Gun. N. Am. 23: 857-75, 1994)。内因性のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンやジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)がある。他のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンのエステル類(例えば、シピオネート、プロピオン酸、フェニルプロピオン酸、シクロペンチルプロピオネート、イソカルポレート(isocarporate)、エナント酸、及びデカン酸エステル)や、他の合成アンドロゲンがある。合成アンドロゲンとしては、例えば、7−メチル−ノルテストステロン(7-Methyl-Nortestosterone:MENT)や、その酢酸エステルなどがある(Sundaram et al., "7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception," Ann. Med., 25:199-205, 1993, "Sundaram")。
【0132】
ここに定義するように、本発明は、新しい種類のSARM化合物を提供する。これらの化合物はADAMに関連する病気の治療に有効であり、アンドロゲン受容体アゴニスト(ARアゴニスト)、部分的アゴニスト、又はアンドロゲン受容体アンタゴニスト(ARアンタゴニスト)に分類される。
【0133】
受容体アゴニストは、受容体と結合し、受容体を活性化させる物質である。受容体の部分的アゴニストは、受容体と結合し、受容体を部分的に活性化させる物質である。受容体アンタゴニストは、受容体と結合し、受容体を不活性にする物質である。ここに示すように、本発明に係るSARM化合物は、ある物質がアゴニスト、部分的アゴニスト及び/又はアンタゴニストであり、組織選択性を有する。例えば、SARM化合物は、筋肉組織を刺激すると同時に、前立腺組織を抑制する。ある実施形態では、ADAMに関連する病気を治療及び防止するのに有効なSARMはARアゴニストであり、ARと結合し活性化するのに有用である。他の実施形態では、ADAMに関連する病気を治療及び防止するのに有効なSARMはARアンタゴニストであり、ARと結合し不活性にするのに有用である。本発明に係る化合物がARアゴニストかアンタゴニストかを判断するための分析方法は、当該技術分野では周知である。例えば、ARアゴニスト活性は、SARM化合物のARを含んでいる組織(例えば、前立腺や精嚢)の成長を維持及び/又は刺激する能力を、重量測定によりモニタリングすることで測定できる。ARアンタゴニスト活性は、AR含有組織の成長を阻害するSARM化合物の能力を、モニタリングすることで測定できる。
【0134】
また、他の実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、ARの部分的アゴニスト/アンタゴニストとして分類することもできる。SARMはある組織内ではARアゴニストであり、AR反応遺伝子の転写を増加させる(例えば、筋肉同化効果)。他の組織内では、SARM化合物はARにおいて阻止因子して機能し、天然アンドロゲンのアゴニスト作用を予防する。
【0135】
本発明に係るSARM化合物は、アンドロゲン受容体と可逆的又は不可逆的に結合する。ある実施形態では、SARM化合物は、アンドロゲン受容体と可逆的に結合する。ある実施形態では、SARM化合物は、アンドロゲン受容体と不可逆的に結合する。本発明に係るSARM化合物は、アンドロゲン受容体(すなわち共有結合構造)のアルキル化が可能な、官能基(例えば、親和性標識)を有している。この場合、SARM化合物は、受容体と不可逆的に結合する(したがって、内在性リガンドDHTやテストステロンなどのステロイドによって置換されない)。
【0136】
《医薬組成物》
本発明に係る治療方法は、ある実施形態では、SARM化合物及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはこれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含んでいる医薬組成物を投与する過程を含む。
【0137】
ここで使用される“医薬組成物”は、薬学的に許容される担体又は希釈液と、“効果的な量”の活性化成分(すなわち、SARM化合物)とを含んでいる組成物である。
【0138】
ここで使用される“効果的な量”は、与条件及び投薬計画について治療効果を与える量を意味する。ここで使用されるSARM化合物の“効果的な量”は、1〜500mg/日の範囲である。ある実施形態では、用量(投与量)は1〜100mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は100〜500mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は45〜60mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は15〜25mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は55〜65mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は45〜60mg/日の範囲である。SARM化合物は、1日1回投与してもよいし(その場合、1回で1日分投与する)、1日2回、1日3回など毎日複数回に分けて投与してもよい。また、SARM化合物は、1日おき、週に3日、週に4日、週に5日など断続的に投与してもよい。
【0139】
ここで使用される“治療”という用語は、疾患を軽減する治療は勿論のこと、予防をも含んでいる。ここで使用される“減少”、“抑止”及び“抑制”という用語は、一般的な解釈では、「少なくする」又は「減らす」という意味である。ここで使用される“促進(facilitating)”という用語は、一般的な解釈では、割合の増加を意味する。ここで使用される“助長(promoting)”という用語は、増加を意味する。ここで使用される“進行”という用語は、範囲や重傷度の増大、進行、成長、又は悪化を意味する。
【0140】
ここで使用される“投与”という用語は、患者に、本発明に係るSARM化合物を接触させることを意味する。ここで使用される投与は、インビトロ(試験管内)又はインビボ(例えばヒトなどの生体の細胞又は組織内)で実施される。ある実施形態では、患者は、哺乳類である。他の実施形態では、患者は、ヒトである。
【0141】
SARM薬剤を含んでいる医薬組成物は、当業者に周知の方法(例えば、非経口、側癌的(paracanceraly)、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹膜内、脳室内、脳内、膣内又は腫瘍内)によって、患者に投与される。
【0142】
ある実施形態では、医薬組成物は、経口投与されるので、経口投与に適した形状(すなわち、固体又は液体製剤)に形成される。適切な固形の経口製剤としては、錠剤、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などなどがある。本発明のある実施形態では、SARM化合物はカプセル状に形成される。この実施形態では、本発明に係る組成物は、SARM活性化合物及び不活性担体(又は希釈液)に加えて、硬ゲル化カプセルを含む。
【0143】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、液体製剤の静脈内注射、動脈内注射又は筋肉内注射によって投与される。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などがある。ある実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与に適した形状に形成され、静脈内に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、動脈内投与に適した形状に形成され、動脈内に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与に適した形状に形成され、筋肉内に投与される。
【0144】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、局所性投与に適した形状に形成され、体の表面に局所的に投与される。適切な局所性製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、液滴などがある。局所的な投与のためには、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)が調製され、薬品担体を用いて、又は用いることなく、生理学的に認容されている希釈液として、水溶液、懸濁液、又は乳状液として投与される。
【0145】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、直腸座薬や尿道座薬などの座薬として投与される。さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、ペレットの皮下埋め込みによって投与される。さらなる実施形態では、ペレットは、長時間にわたるSARM薬剤の徐放をもたらす。
【0146】
他の実施形態では、活性化合物は、小胞(特にリポソーム)に送達してもよい(Langer, Science 249:1527-1533 (1990)、Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, ibid, pp. 317-327)。
【0147】
ここで使用される“薬学的に許容される担体又は希釈液”は、当業者に周知である。担体又は希釈液としては、固体製剤のための固体担体又は希釈液、液体製剤のための液体担体又は希釈液、又はその混合物がある。
【0148】
固体担体/希釈液として、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、予めゲル化された(pregeletanized)デンプン)、糖(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖)、セルロース系材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、又はこれらの混合物がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0149】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体としては、水溶性又は非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、又は油がある。非水溶媒の例としては、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールや、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。水溶性担体としては、水、アルコール性/水溶性の溶液、乳濁液、又は生理食塩水及び緩衝培地を含む懸濁液がある。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0150】
非経口賦形剤(皮下注射、静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射用)としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガーオイル及び固定油がある。経静脈賦形剤としては、液体及び栄養補充薬、電解質補充薬(例えば、リンガーブドウ糖に基づくもの)などがある。一例としては、界面活性剤及び他の薬学的に許容されるアジュバントを添加した、又は添加しない、水や油などの無菌液がある。一般に、水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖や関連糖液、及びプロピレン・グリコール又はポリエチレン・グリコールなどのグリコールは、特に、注射用溶液に適した液体担体である。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0151】
また、組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、澱粉グリコール酸エステルナトリウム)、種々のpH及びイオン強度の緩衝液(例えば、トリス−HCI、アセテート、リン酸塩)、界面に対する吸収を予防するためのアルブミン又はゼラチンのような添加物、洗剤(例えば、トウィーン20、トウィーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透エンハンサー、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度上昇剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン・グリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、被覆及び膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩)、及び/又はアジュバントをさらに含むことができる。
【0152】
ある実施形態では、ここで提供される医薬組成物は、投与後にSARM化合物を長時間に渡って放出する徐放組成物である。徐放又は持続放出組成物としては、脂溶性の持続性薬剤(例えば、脂肪酸、ワックス、オイル)がある。他の実施形態では、医薬組成物は、投与後の全てのSARM化合物を直ちに放出する即放組成物である。
【0153】
さらに他の実施形態では、医薬組成物は、徐放システムによって送達される。例えば、薬剤は、静脈内注入、植込型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与形態により投与される。ある実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer, supra; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987)、Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989))。他の実施形態では、高分子材料を使用することができる。さらに他の実施形態では、徐放システムは、治療ターゲットすなわち脳に近接して設けられることが可能である。その場合、必要とされるのは全身投与量のほんの一部である(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp.115-138 (1984)を参照)。他の徐放システムは、Langer(Science 249:1527-1533 (1990))によるレビューに記載されている。
【0154】
また、医薬組成物は、ポリマー化合物、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの粒子状製剤や、リポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層又は多層状の小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロプラストへの活性物質を取り込むことができる。そのような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでの排出速度に影響を与える。
【0155】
また、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)で被覆された粒子状組成物も本発明に含まれる。また、組織特異受容体、リガンド又は抗原に対する抗体と結合した、或いは組織特異受容体のリガンドと結合した化合物も本発明に含まれる。
【0156】
また、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールとポリプロピレン・グリコールのコポリマー、カルボキシメチル・セルロース、デキストラン、ポリビニル・アルコール、ポリビニルピロリドン又はポリプロリン)の共有結合によって修飾された化合物も本発明に含まれる。なお、調整剤化合物は、対応する無調整剤化合物の場いと比較して、静脈注射後、血液中で著しく長い半減期を示すことが知られている(Abuchowski et al., 1981; Newmark et al., 1982; and Katre et al., 1987)。また、そのような修飾は、水溶液中における化合物の溶解度を高め、凝集を予防し、化合物の物理的及び化学的安定性を向上させ、化合物の免疫原性及び反応性を著しく低下させる。そのため、無調整剤化合物の場合よりも低い頻度又は少ない投与量でポリマー化合物付加物を投与することにより、インビボでの望ましい生物学的活性が得られる。
【0157】
活性化要素を有する医薬組成物の作成は、当該技術分野で周知である(例えば、混合、顆粒化又は錠剤形成によって作成する)。活性治療成分はしばしば、薬学的に許容され活性化成分と適合する賦形剤と混合される。経口投与の場合、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、この目的に使用されることが慣例となっている添加物(例えば、賦形剤、安定剤又は不活性希釈液など)と混合され、慣例的な方法によって投与に適した形状(例えば、錠剤、コート錠、硬又は軟ゼラチンカプセル、水溶性、アルコール性又は油性溶液)に変更される。非経口投与の場合は、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、所望であればこの目的に用いられることが慣例になっている適切な物質(例えば、可溶化剤など)によって、溶液、懸濁液又は乳濁液に変更される。
【0158】
活性化要素は、中和された薬学的に許容される塩の形で、医薬組成物内に配合することができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸)や有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸)によって形成される酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基で形成される)がある。遊離カルボキシル基から形成された塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化第二鉄や、有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)などからも得られる。
【0159】
医学的に使用するために、SARMの塩は、薬学的に許容される塩になり得る。また、他の塩は、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩の作成に使用される。本発明に係る化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば、本発明に係る化合物の溶液と、薬学的に許容される酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸)の溶液とを混合することによって形成した酸付加塩がある。
【0160】
ある実施形態では、本発明に係る方法は、唯一の活性化成分としてSARM化合物を投与することを含む。また一方、1つ又は複数の治療物質と一緒にSARM化合物を投与することも、本発明に係る方法(ADAMに関連する病気の治療及び/又は予防)の範囲に含まれる。前記治療物質としては、HRH類似体、可逆的抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗癌剤、5−αレダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、プロゲスチン、又は別の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0161】
したがって、ある実施形態では、本発明は、LHRH類似体と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、可逆的抗アンドロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗エストロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗癌剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、5−αレダクターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、アロマターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、プロゲスチンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、他の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。
【0162】
次の実施例は、本発明の実施形態をより詳細に説明するためのものである。ただし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0163】
《実施例1》様々なホルモン状態のラットにおける、化合物VI及び化合物VIIの薬理作用及び組織選択性
選択的アンドロゲン受容体調節剤(Selective Androgen Receptor Modulators:SARM)は、男性の性腺機能低下症、骨減少症、筋肉消耗症、性欲及び避妊などの治療用途に、幅広く応用できる可能性を有している。本出願人の以前の試験では、化合物VIが、去勢したオスのラットに対して強力で有効なSARMであることを実証した。やがてはこの薬を服用するであろう多くの男性についての代表的モデルを作成するために、本出願人は、前臨床試験を行った。この前臨床試験では、様々なホルモン状態のオスのラットにおける、化合物VI、化合物VII(他の強力なSARM)、及びプロピオン酸テストステロン(testosterone propionate:TP)の薬理作用及び組織選択性を比較した。精巣機能が正常な(すなわち、外科的処置により損傷を受けていない)オスのラットは、血中のテストステロン濃度が正常な動物における化合物VIと化合物VIIの作用を試験するのに使用される。片側の精巣が摘除された(すなわち、睾丸を1つ外科切除した)オスのラットは、アンドロゲンがわずかに減少した動物における化合物VIと化合物VIIの作用を調べるのに使用される。両側の精巣が摘除された(すなわち、睾丸を両方とも外科切除した)オスのラットは、アンドロゲンが欠乏した動物における化合物VIと化合物VIIの作用を調べるのに使用される。
【0164】
【化6】

【0165】
【化7】

【0166】
〈方法〉
化合物VIと化合物VIIは、テネシー大学(米国テネシー州メンフィス)のDr.デュエイン・ミラー(Dr. Duane Miller)の研究室で合成され、特徴付けられた。オスのスプラーグ・ドーリー(Sprague-Dawley:SD)ラットは、ハーラン・バイオサイエンス社(Harlan Biosciences、米国インディアナ州インディアナポリス)から購入した。動物は、食料と水を適宜与えながら12時間の明暗サイクルで飼育した。全ての動物実験計画書は、オハイオ州立大学の動物実験委員会(Animal Care and Use Committee)により審査され承認されたものであり、実験動物の管理に関する指針(Principles of Laboratory Animal Care、NIH出版 #85-23, 1985改訂)に準拠するものである。
【0167】
体重187〜214gの未成熟なオスのSDラットを、無作為に、5匹ずつ9つのグループに分けた。薬物治療開始の1日前に、第4〜6グループは片側精巣摘除術を受け、第7〜9グループは両側精巣摘除術を受けた。精巣摘除術は、陰嚢正中切開により行われた。第1〜3グループは手術を受けなかった。動物に投与される薬品は全て、ポリエチレン・グリコール300(PEG300)に溶解した溶液として新しく調製された。第4・7グループは媒体(すなわち、PEG300)だけによって治療を受けた。第3・6・9グループには、浸透圧ポンプ(米国カリフォルニア州パロアルトのデュレクト社(Durect Corporation)製、2002年モデル)を皮下に埋め込むことによって、プロピオン酸テストステロン(testosterone propionate:TP)が投与された(0.5mg/日)。第2・5・8グループには、浸透圧ポンプを皮下に埋め込むことによって、化合物VI又は化合物VIIが投与された(0.5mg/日)。
【0168】
薬物治療の14日後、ラットは、体重を測定した後、麻酔して安楽死させた。血液サンプルは、腹大動脈を静脈穿刺することにより回収した。血漿サンプルは、テストステロン、FSX、LH、及びオステオカルシンについて分析した。テストステロン濃度は、アナリティックス社(Analytics Inc、米国メリーランド州ゲイサーズバーグ)によって測定した。FSHとLHの濃度は、NHPP(National Hormone and Peptide Program、Dr. A F Parlow, UCLA, CA)によって測定した。血漿中のオステオカルシン濃度は、市販されているバイオメディカル・テクノロジー社(Biomedical Technologies Inc、米国マサチューセッツ州ストートン)製のラット・オステオカルシンEIAキットを使用して測定した。
【0169】
腹側前立腺、精嚢、及び肛門挙筋を取り出し、計量した。また、ポンプ動作が正確であることを調べるために、動物から浸透圧ポンプを取り出した。全ての器官の重量は体重によって正規化し、単一因子ANOVA(Analysis of Varinace:分散分析)(アルファ値は先験的にp<0.05とした)によって、グループ間の統計的に有意な差を分析した。前立腺と精嚢の重量はアンドロゲン活性を評価する指標として用いられ、肛門挙筋の重量はタンパク同化作用の評価に用いられた。完全血球算定、又は血清化学的プロファイリングのパラメーターの統計的分析は、どれも、単一因子ANOVA(アルファ値は先験的にp<0.05とした)によって実施した。
【0170】
〈結果〉
治療グループに関係なく、去勢されたラットは、血漿中のテストステロン濃度が著しく減少した(表1)。片側精巣摘除術は、微小だが統計的に有意ではない、血漿中テストステロン濃度の減少をもたらした。外因性のTP(0.5mg/日)が投与された去勢されたオスのラットの血漿中テストステロン濃度は、媒体によって治療した対照、及び化合物VIによって治療した対照よりも高かった。また一方、全治療グループにおける片側の睾丸が摘出された動物の間では、血漿中テストステロン濃度に有意差はなかった。化合物VIによる治療が、無傷のラット、片側の睾丸が摘出されたラット、又は去勢したオスのラットのテストステロン濃度に影響しないということは、薬理的に適切な投与量では、化合物VIは内因性アンドロゲン生成にほとんど影響しないことを示す。
【0171】
【表1】

【0172】
両側の睾丸が摘出された動物(すなわち、去勢した対照)は、血漿中のFSH及びLH濃度(表2及び表3)が著しく増加した。片側の睾丸が摘出された動物では、血漿中のFSH及びLH濃度が、無傷動物よりも有意差がないことは、片側だけの睾丸摘出が、血漿中テストステロン濃度又はそれを調節する下垂体ホルモンに影響しないという観察を裏付ける。TPによる治療が、去勢されたオスのラットにおいて、FSH及びLH濃度の著しい減少を引き起こすことは、TPが下垂体ホルモンの産生を抑制することを示す。しかしながら、化合物VIは、血漿中のFSH及びLH濃度には影響しない。これらのデータは、化合物VIが下垂体ホルモンの産生に影響しないことを示す。また、そのため、化合物VIは、無傷動物で用いるTPにとって都合が良いことを示す。無傷動物又は片側の睾丸が摘出された動物では、FSH及びLH濃度には、有意差はなかった。
【0173】
【表2】

【0174】
【表3】

【0175】
また、本出願人は、片側の睾丸を摘出した場合、両側の睾丸を摘出した場合、TP、及び化合物VIの、血漿中のオステオカルシン濃度に対する影響を調べた(表4)。オステオカルシンは、内生の骨形成率の評価に使用することができる特異的骨芽細胞マーカーである。無傷動物、片側の睾丸が摘出された動物、及び去勢された動物(すなわち対照)の間では、オステオカルシン濃度に有意差はなかった。また一方、化合物VIによる治療は、片側の睾丸が摘出された動物及び去勢された動物では、血漿中のオステオカルシン濃度を著しく増加させた。TPは、血漿中のオステオカルシン濃度に影響しない。これらのデータは、オスの動物では、化合物VIは、血漿中のオステオカルシン、FSH又はLHのレベルに影響することなく、骨形成率を増加させることを示唆する。これらのデータは、性腺が摘出されたオス及びメスの動物の骨ミネラル量及び骨ミネラル濃度の試験的研究における我々の発見を裏付けする。
【0176】
【表4】

【0177】
表5及び図3に示すように、無傷動物では、化合物VIは、腹側前立腺及び肛門挙筋の大きさに統計的に有意な変化をもたらすことなく(図3B・3C参照)、前立腺の大きさを対照動物と比較して79%まで減少させる(図3A参照)。化合物VIの薬理作用及び組織選択性は、片側の睾丸が摘出された動物の場合に、より明白である(表5及び図4参照)。化合物VIは、前立腺及び腹側前立腺の大きさを、無治療の片側の睾丸が摘出された動物と比較して、それぞれ75%及び79%減少させ(図4A・4B参照)、肛門挙筋の大きさを108%まで増加させる(図4C参照)。これらの観察結果は、化合物VIが前立腺及び腹側前立腺では部分アゴニストとして作用し、肛門挙筋では全的アゴニストとして作用することを示す。なお、薬理的な副作用は観察されなかった。これは、表5、図5及び図6に示すように、去勢された動物でも同様である。
【0178】
【表5】

【0179】
化合物VII及び化合物VIのアンドロゲン活性及びタンパク同化作用の比較を表6に示す。
【0180】
【表6】

【0181】
〈結論〉
化合物VIは、無傷の、片側の睾丸が摘出された、及び去勢されたオスのラットに対して、強力で組織選択的な薬理作用を実証する。化合物VIは、無傷動物、及び片側の睾丸が摘出された動物では、前立腺の重量を著しく減少させる。また、化合物VIは、去勢された動物では、前立腺の重量の増加については、TPよりも効果が弱い。同様の薬理作用は、腹側前立腺において顕著である(他の器官は一般にアンドロゲン作用についてのマーカーと見なされる)。ただし、化合物VIは、無傷動物では、精嚢の重量増加に影響しない。化合物VIによる治療は、無傷動物、及び片側の睾丸が摘出された動物では、肛門挙筋の重量を著しく増加させる。この効果は、TPによる増加よりも大きい。これらのデータは、化合物VIの組織選択的な薬理作用を実証する。これらの作用は、血漿中のFSH、LH、及びテストステロン濃度に著しい変化がない場合に見られるということに留意されたい。化合物VIは、血漿中のオステオカルシン濃度を増加させる。要約すれば、これらのデータは、化合物VIが、オスの動物において、最適な薬理特性を引き出すことを示す。そして、化合物VIが、経口投与可能で組織選択的なSARMの新しい種類の一員であることを示す。
【0182】
《実施例2》化合物VIのミオシン重鎖亜型IIb m−RNA発現への影響
化合物VIの筋肉に対する重要性をさらに実証するために、本出願人は、この非ステロイド系のタンパク同化物質の骨格筋に対する直接的な作用を試験した。試験は、RT−PCRを用いて、ミオシン重鎖(Myosin Heavy Chain:MHC)亜型IIb m−RNAの発現をモニタすることにより行われた。MHCは、骨格筋の主要タンパク質であり、多重遺伝子族によってコード化されており、組織特異的に発現し、発生学的に調節される(dams et al, 1999)。定常状態では、m−RNA発現は、通常はMHCタンパク質発現パターンに似ている。MHC mRNAの転写がMHC タンパク質の転写よりも前に起こるため、またウエスタン・ブロット法に比べてRT−PCRの感受性が増加するため、mRNA発現の急速な変化を検出することができる。そして、筋肉同化作用の微妙な動的作用を分析するのに利用することができる(Wright et al, 1997)。
【0183】
〈結果〉
無治療で無傷のメスのラットから切開した咬筋は、MHC IIb発現(図7A参照)の対照レベル(100%を示す)として設定される。アンドロゲンにより治療された無傷のメスのラットは、咬筋由来のMHC IIbの治療について、無治療対照に対して評価された。結果は、テストステロン・プロピオン酸塩が、MHC型IIbの転写を無治療対照と比較して133%まで増加させるという、咬筋に対して好ましい作用を有することを示す(図7A参照)。また、化合物VIは、筋肉のタンパク同化を促進し、MHC型IIbを137%まで増加させる(図7A参照)。実際の形質転換されなかったPCRのデータを、図7Bに示す。
【0184】
《ラットの骨吸収におけるSAMの効果》
110のメスのラットを、11の治療グループのいずれかに割り当てた。第1〜8グループは、実験当日に卵巣切除した。第9〜11グループは、無傷動物である。第1〜6グループは、それぞれ、1、0.3、0.5、0.75、1.0、及び3mg/日の用量で、化合物VIを毎日皮下投与した。第7・11グループは、1mg/日の用量で、ジヒドロ・テストステロン(DHT)を投与した。第8グループは卵巣切除されたグループであり、グループ9は無傷対照のグループである。第10グループは、1mg/日の用量で、化合物VIを投与した。全ての動物は、120日間治療した。骨ミネラル量(Bone mineral content:BMC)は、1、30、60、90及び120日目に、二重エネルギーX線吸収測定法(dual-energy X-ray absorptiometry:DXA)により測定した(図8参照)。
【0185】
全ての化合物VI治療グループでは、BMCは時間及び用量依存的に増加した。グループ1〜6は、それぞれ、22.9、26.0、28.5、30.5、30.0及び40.1%のBMC増加が観察された。DHTは、1mg/日の用量で、BMCを15%増加させた。、化合物VIは、骨吸収を抑制する。このモデルでは、化合物VIは、DHTよりも作用が強い。
【0186】
図9に示すように、化合物VIは、全身のBMCを時間及び用量依存的に増加させる。このモデルで、抗アンドロゲン・ビカルタミド(antiandrogen bicalutamide)が、化合物VIの作用を抑制することは、薬物作用はアンドロゲン受容体により仲介されることを示している。このモデルでは、DHTは、化合物VIよりも作用が弱い。
【0187】
図10に示すように、化合物VIは、L2−L4の椎骨及び隣接する大腿骨の両方に保護作用をもたらす。ビカルタミドは、両部位で、化合物VIの保護作用を抑制する。
【0188】
〈生体力学的強度〉
図11に示すように、化合物VIがL5椎骨及び大腿骨の生体力学的強度を増加させることは、化合物VIが骨梁及び皮質骨に対して有益な作用を有することを実証する。
【0189】
図12に示すように、化合物VIが大腿骨の中央骨幹における皮質の厚さを増加させることは、皮質骨における化合物VIのタンパク同化作用を示す。無傷の動物では、化合物VIは、大腿遠位における骨密度の増殖作用に影響を与える。また一方、卵巣が摘出された(ovariectomized:OVX)動物では、化合物VIは、大腿遠位における骨梁の骨量減少を部分的に防止するだけである。
【0190】
化合物VIは、卵巣切除により骨量が減少した骨格に対して、保護作用をもたらす。このモデルでは、化合物VIはDHTよりも作用が強く、腰椎及び大腿の両方における、骨密度及び生体力学的強度を増加させる。さらに、化合物VIは、性腺が摘出された動物及び無傷動物の両方において、筋量を増加させる。そして、骨格の保護作用と共に、骨粗鬆症の患者の骨折率を減少させるという、付加的な利点を提供する。
【0191】
当業者であれば、本発明は上記した内容に限定されるものではないことは容易に理解できるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】ADAMに関連する病気のフローチャートである。
【図2】ADAMに関連する病気の概略図である。
【図3A】ラットにおける化合物VI及び化合物VIIのアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。精巣機能が正常な(外科的処置を受けていない)オスのラットを、治療しない(無傷)、化合物VIにより治療した(0.5mg/日)、化合物VIIにより治療した(0.5mg/日)、又はプロピオン酸テストステロン(TP)により治療した(0.5mg/日)。その後、アンドロゲン反応組織である前立腺の重量を測定した。
【図3B】図3Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である精嚢の重量を測定した。
【図3C】図3Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である肛門挙筋の重量を測定した。
【図4A】ラットにおける化合物VI及び化合物VIIのアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。片側の睾丸が摘出された(片側精巣摘除)オスのラットを、治療しない(無傷)、媒体(PEG300)だけによって治療した、化合物VIにより治療した(0.5mg/日)、化合物VIIにより治療した(0.5mg/日)、又はプロピオン酸テストステロン(TP)により治療した(0.5mg/日)。その後、アンドロゲン反応組織である前立腺の重量を測定した。
【図4B】図4Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である精嚢の重量を測定した。
【図4C】図4Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である肛門挙筋の重量を測定した。
【図5A】ラットにおける化合物VI及び化合物VIIのアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。両側の睾丸が摘出された(去勢)オスのラットを、治療しない(無傷)、媒体(PEG300)だけによって治療した、化合物VIにより治療した(0.5mg/日)、化合物VIIにより治療した(0.5mg/日)、又はプロピオン酸テストステロン(TP)により治療した(0.5mg/日)。その後、アンドロゲン反応組織である前立腺の重量を測定した。
【図5B】図5Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である精嚢の重量を測定した。
【図5C】図5Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である肛門挙筋の重量を測定した。
【図6A】用量依存曲線である。ラットは治療しない。又は、ラットを、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日の化合物VI、化合物VII、又はプロピオン酸テストステロン(TP)により治療した。その後、アンドロゲン反応組織である前立腺の重量を測定した。なお、結果は、無傷対照の割合をプロットした。
【図6B】図6Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である精嚢の重量を測定した。
【図6C】図6Aと同じ実験であり、アンドロゲン反応組織である肛門挙筋の重量を測定した。
【図7A】プロピオン酸テストステロン及び化合物VIのミオシン重鎖(MHC) IIb m−RNA発現への影響を示す。ヒストグラムは、化合物VIのミオシン重鎖(MHC) IIb m−RNA発現への影響を示す。
【図7B】図6Aと同じ実験であり、RT−PCRは、MHC IIbのm−RNA発現を示す。
【図8】卵巣が摘出された(ovariectomized:OVX)メスのラットにおける骨ミネラル量(Bone mineral content:BMC)及び骨ミネラル密度(Bone Mineral Density:BMD)に対するSMRMの作用を示す。
【図9A】化合物VIが、全身のBMCを用量依存的に増加させることを示す。
【図9B】化合物VIが、全身のBMCを時間依存的に増加させることを示す。
【図10A】化合物VIが、L2−L4の椎骨に保護作用をもたらすことを示す。
【図10B】化合物VIが、隣接する大腿骨に保護作用をもたらすことを示す。
【図11A】化合物VIがL5椎骨の生体力学的強度を増加させることを示す。
【図11B】化合物VIが大腿骨の生体力学的強度を増加させることを示す。
【図12A】化合物VIが大腿骨の中央骨幹における皮質の厚さを増加させることを示す。
【図12B】化合物VIが大腿骨の中央骨幹における皮質の厚さを増加させることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢男性のアンドロゲン減少に関連する病気(ADAM)の男性患者を治療する方法であって、
前記患者に選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Iで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化1】

ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【請求項4】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化2】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【請求項5】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIIで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化3】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【請求項6】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IVで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化4】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項7】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Vで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化5】

ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項8】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化6】

【請求項9】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIIで表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化7】

【請求項10】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アゴニストであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アンタゴニストであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記SARMが、筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記SARMが、筋肉又は骨に効果を及ぼさないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記SARMが、中枢神経系に浸透することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記SARMが、中枢神経系に浸透しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記SARM、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む製剤を投与する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記製剤を液体の状態で静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射によって前記患者に投与する過程、
前記製剤を含むペレットを皮下埋め込みによって前記患者に投与する過程、
前記製剤を液体又は固体の状態で前記患者に経口投与する過程、又は
前記製剤を前記患者の皮膚の表面に塗布する過程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記製剤が、ペレット、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル、ゲル、クリーム、坐薬、又は非経口的製剤であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ADAM関連症状が、性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、前立腺癌、又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記患者が、高齢男性患者であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
高齢男性のアンドロゲン減少に関連する病気(ADAM)の男性患者の治療、予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減方法であって、
前記患者に選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Iで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化1】

ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。


Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【請求項27】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化2】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【請求項28】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIIで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化3】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【請求項29】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IVで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化4】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。


nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項30】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Vで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化5】

ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項31】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化6】

【請求項32】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIIで表されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【化7】

【請求項33】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アゴニストであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アンタゴニストであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記SARMが、筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記SARMが、筋肉又は骨に効果を及ぼさないことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記SARMが、中枢神経系に浸透することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記SARMが、中枢神経系に浸透しないことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記SARM、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む製剤を投与する過程を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項43】
前記製剤を液体の状態で静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射によって前記患者に投与する過程、
前記製剤を含むペレットを皮下埋め込みによって前記患者に投与する過程、
前記製剤を液体又は固体の状態で前記患者に経口投与する過程、又は
前記製剤を前記患者の皮膚の表面に塗布する過程を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記製剤が、ペレット、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル、ゲル、クリーム、坐薬、又は非経口的製剤であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ADAM関連症状が、性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、前立腺癌、又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項46】
前記患者が、高齢男性患者であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項47】
高齢男性のアンドロゲン減少(ADAM)に起因する性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、前立腺癌、又はそれらの任意の組み合わせを患う患者の治療方法であって、
前記患者に選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Iで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化1】

ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【請求項50】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化2】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【請求項51】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIIで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化3】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【請求項52】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IVで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化4】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項53】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Vで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化5】

ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項54】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化6】

【請求項55】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIIで表されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【化7】

【請求項56】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アゴニストであることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アンタゴニストであることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記SARMが、筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記SARMが、筋肉又は骨に効果を及ぼさないことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記SARMが、中枢神経系に浸透することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項64】
前記SARMが、中枢神経系に浸透しないことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項65】
前記SARM、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む製剤を投与する過程を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項66】
前記製剤を液体の状態で静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射によって前記患者に投与する過程、
前記製剤を含むペレットを皮下埋め込みによって前記患者に投与する過程、
前記製剤を液体又は固体の状態で前記患者に経口投与する過程、又は
前記製剤を前記患者の皮膚の表面に塗布する過程を含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記製剤が、ペレット、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル、ゲル、クリーム、坐薬、又は非経口的製剤であることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記患者が、高齢男性患者であることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項69】
男性患者の性的不全、性欲減退、勃起不全、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認知・気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満症、良性前立腺肥大症、及び前立腺癌から選択される高齢男性のアンドロゲン減少(ADAM)関連症状の予防、抑制、阻害、又はその発生率の低減方法であって、
前記患者に選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
前記SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物又はN酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Iで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化1】

ただし、Gは、O、又はSであり、
Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFである。
【請求項72】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化2】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHである。
【請求項73】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IIIで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化3】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Aは、

から選択される環であり、
Bは、

から選択される環であり、
A及びBは同時にはベンゼン環であり得ず、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR、又はSnRであり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、OCN、又は

であり、
及びQは、互いに独立して、水素、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNであり、
は、O、NH、NR、NO、又はSであり、
は、N、又はNOである。
【請求項74】
前記SARM化合物が、次の化学構造式IVで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化4】

ただし、Xは、結合部、O、CH、NH、Se、PR、NO、又はNRであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH、又はCFCFであり、
は、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものであり、

Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項75】
前記SARM化合物が、次の化学構造式Vで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化5】

ただし、Rは、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、CN、NO、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH、NHR、NR、又はSRであり、
は、F、Cl、Br、I、CN、NO、COR、COOH、CONHR、CF、又はSnRである。或いは、Rは、ベンゼン環と結合して次の構造式で表される縮合環系を形成するものである。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はOHであり、
Zは、NO、CN、COR、COOH、又はCONHRであり、
Yは、CF、F、Br、Cl、I、CN、又はSnRであり、
Qは、H、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OH、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR、SR、NCS、SCN、NCO、又はOCNである。或いは、Qは、ベンゼン環と結合して構造式A、B、又はCで表される縮合環系を形成するものである。

nは、1〜4の整数であり、
mは、1〜3の整数である。
【請求項76】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化6】

【請求項77】
前記SARM化合物が、次の化学構造式VIIで表されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【化7】

【請求項78】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アゴニストであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記SARMが、アンドロゲン受容体アンタゴニストであることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記SARMが、筋肉又は骨にアゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項81】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記SARMが、筋肉又は骨に効果を及ぼさないことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項83】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記SARMが、前立腺に効果を及ぼさない、又はアンタゴニストの効果を及ぼすことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項85】
前記SARMが、中枢神経系に浸透することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項86】
前記SARMが、中枢神経系に浸透しないことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項87】
前記SARM、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含む製剤を投与する過程を含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項88】
前記製剤を液体の状態で静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射によって前記患者に投与する過程、
前記製剤を含むペレットを皮下埋め込みによって前記患者に投与する過程、
前記製剤を液体又は固体の状態で前記患者に経口投与する過程、又は
前記製剤を前記患者の皮膚の表面に塗布する過程を含むことを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記製剤が、ペレット、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル、ゲル、クリーム、坐薬、又は非経口的製剤であることを特徴とする請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記患者が、高齢男性患者であることを特徴とする請求項69に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2006−505564(P2006−505564A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544891(P2004−544891)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032513
【国際公開番号】WO2004/035739
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(504206621)ジーティーエックス・インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】