説明

SAWデバイス

【課題】周波数温度特性のばらつきを最小限に抑えるとともに、周波数精度の高いSAWデバイスおよびSAWデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】SAWデバイスは、パッケージ12の底面に設けた接着剤28とSAW素子片40の基端50側とを接合させて、SAW素子片40をパッケージ12に片持ち搭載したものである。このとき、SAW素子片40は、接着剤28が接合されている基端50側に比べて先端52を上方に傾けて、パッケージ12に搭載されている。これによりSAW素子片40の先端52がパッケージ12の底面に接触するのを防止でき、またSAW素子片40に応力が加わるのを防ぐことができるので、周波数温度特性のばらつきを最小限に抑えることができ、周波数精度の高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SAWデバイスおよびSAWデバイスの製造方法に係り、特にSAW素子片をパッケージに片持ち搭載したSAWデバイスおよびSAWデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波(SAW)デバイスには、SAW素子片をパッケージに搭載したSAW共振子やSAWフィルタ、SAW素子片とこれを共振させる回路等(集積回路(IC)チップ)をパッケージに搭載したSAW発振器等がある。SAW共振子やSAW発振器は、一定の共振周波数を出力しなければならないため、これに搭載されるSAW素子片は極めて一定した周波数で共振しなければならない。
【0003】
ところがSAW素子片をパッケージの底面に固定する接着剤が収縮すると、SAW素子片の表面に応力が生じてIDTに変位を生じさせてしまい共振周波数が変動してしまう。この接着剤の収縮は、例えばICチップの発熱によって生じたり、パッケージの変形によって生じたりする。すなわちICチップは、一般的に動作周波数が高くなるほど発熱量が増加するので、これがSAWデバイスに搭載されているとこの熱で接着剤が収縮してしまう。またパッケージは、ICチップから生じる熱によって反ってしまう等の変形が起こる場合があるが、この変形応力が接着剤に伝わることにより接着剤が収縮してしまう。このためSAWデバイス、特にSAW共振子やSAW発振器では、SAW素子片をパッケージに片持ち搭載して、SAWの振動領域に悪影響を与えないようにしている。
【0004】
SAW素子片をパッケージに片持ち搭載したSAWデバイスは、次のような構成になっている。SAW素子片は、すだれ状電極(IDT)や反射器等を圧電基板の表面に設けている。またパッケージは、凹陥部を有するパッケージベースを有している。この凹陥部(パッケージ)の底面に接着剤が塗布されており、この接着剤とSAW素子片の裏面における一方の端部(基端側)が接合固着されている。そしてパッケージベースの上面に蓋体が接合されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−136938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SAW素子片をパッケージに片持ち搭載する場合、SAW素子片の基端側を接着剤上に載せた後、この接着剤を熱硬化することによりSAW素子片をパッケージに接合固着している。ところが、SAW素子片を接着剤に載せた後から接着剤を熱硬化するまでの間は、SAW素子片が接着剤によって固定されていないので、SAW素子片の自重や衝撃等が加わることによってこの先端が下がり、パッケージの底面に接触することがあった。またSAW素子片の先端が下がってもパッケージ底面に接触しない場合もあるが、パッケージに反り等の変形が生じたときには、SAW素子片の先端とパッケージ底面が接触することがあった。
【0007】
図13は従来技術に係るSAWデバイスの周波数温度特性を示すグラフである。この図13はSAW素子片をパッケージに片持ち搭載したSAWデバイスを複数用意し、それぞれの周波数温度特性を測定した結果を示している。そして測定に用いたSAWデバイスは、製造された複数のSAWデバイスの中から無作為に幾つかを選んだものであり、SAW素子片の先端がパッケージ底面に接触していないものや、この先端がパッケージ底面に接触しているものが混在している。またSAW素子片の先端がパッケージ底面に接触しているものであって、接触の度合いがそれぞれ異なっている。このため図13からわかるように、得られたSAWデバイスの周波数温度特性は極めてばらついている。なお図13では、ばらつきの程度を理解しやすくするために、ばらつきの上限にある周波数温度特性と下限にある周波数温度特性のみを実線と破線で示しており、他の周波数温度特性は実線と破線の間に位置している。
【0008】
なおSAWデバイスは、SAW素子片をパッケージに片持ち搭載するばかりでなく、SAW素子片の中央部を接着剤でパッケージに接合し、またはSAW素子片の基端側および先端側の両方を接着剤でパッケージに接合(両持ち搭載)することもできる。しかしこれらの場合だと、前述したように僅かな変形がパッケージに生じてもSAW素子片に応力が加わってSAWの振動領域に悪影響を及ぼすという問題がある。またSAW素子片の基端側を接着剤でパッケージに接合した片持ち搭載の場合であっても、SAW素子片の先端側をパッケージ底面に設けられた支持部材で支えると、両持ち搭載した場合と同様に、僅かな変形がパッケージに生じたとしてもSAW素子片に応力が加わってSAWの振動領域に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0009】
本発明は、周波数温度特性のばらつきを最小限に抑えるとともに、周波数精度の高いSAWデバイスおよびSAWデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るSAWデバイスは、IDTを備えたSAW素子片の先端を上げ、前記SAW素子片に傾斜を持たせて前記SAW素子片の基端側とパッケージの底面とを接着剤で接合し、前記SAW素子片を前記パッケージに片持ち搭載したことを特徴としている。
【0011】
この構成にすると、パッケージの底面に塗布された接着剤上にSAW素子片を載せてからこの接着剤を硬化するまでの間にSAW素子片の先端が下がり、SAW素子片がパッケージ底面に接触するのを防止できる。またパッケージに反り等の変形が生じても、SAW素子片とパッケージが接触するのを防止できる。したがってSAW素子片の先端とパッケージ底面の接触に起因する応力がSAW素子片に加わることがないので、SAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無くなり、SAW発振器は一定の共振周波数を出力することができる。またSAW発振器の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0012】
また本発明に係るSAWデバイスは、IDTを備えたSAW素子片をパッケージ底面に片持ち搭載した構成であり、次の特徴を有している。すなわち前記SAW素子片の基端側と前記パッケージ底面とを接合させる接着剤の塗布領域を露出させつつ、前記SAW素子片に対向した前記パッケージ底面に支持板を設けている。また前記SAW素子片の先端を基端に比べて上げて、前記支持板における前記塗布領域に隣接した上側角部と前記SAW素子片とを接触させている。このときSAW素子片は、これの基端と先端とを結ぶ方向における前記IDTの中心位置よりも前記SAW素子片の基端側において、前記支持板と接触している。さらに前記塗布領域に設けた前記接着剤で前記SAW素子片の基端側と前記パッケージ底面とを接合している。
【0013】
SAW素子片を支持板で支えることができるので、SAW素子片の先端がパッケージの底面に接触するのを防止でき、SAW素子片の先端とパッケージの接触に起因する応力がSAWの振動領域全体に加わることがない。また、仮にパッケージに変形が生じたとしても、SAW素子片と支持板の接触箇所が接着剤の近傍なのでSAWの振動領域の一部にのみ応力が加わることになる。このためSAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無く、SAW発振器は一定の共振周波数を出力することができる。またSAW発振器の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0014】
また本発明は、前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記接着剤の中心部は、この方向における前記IDTの中心位置よりも前記SAW素子片の基端側にあることを特徴としている。このようにSAW素子片と接着剤の接合位置を規制したことで、SAW素子片と接着剤とが接合している位置とIDTが設けられている位置とが平面視して多少重なっていたとしても、接着剤の収縮によるIDTの変位を少なくすることができ、SAW発振器の周波数温度特性のばらつきを最小限に抑え、周波数精度を高くできる。
【0015】
また本発明に係るSAWデバイスは、IDTを備えたSAW素子片の基端側とパッケージの底面とを接着剤で接合し、前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記IDTの中心位置と、前記SAW素子片が前記接着剤と接合している箇所との間における前記パッケージの底面に前記SAW素子片の支持部材を設けたことを特徴としている。
【0016】
配設位置が規制された支持部材でSAW素子片を支えることができるので、SAW素子片の先端がパッケージ底面に接触するのを防止できる。またSAW素子片と支持部材が予め接触していない場合では、SAW素子片の先端が下がる可能性があるが、仮に先端が下がっても支持部材でSAW素子片を支えることができるので、SAW素子片の先端がパッケージ底面に接触するのを防止できる。またパッケージに反り等の変形が生じたとしても、SAW素子片の先端がパッケージの底面に接触するのを防止できる。これによりSAW素子片とパッケージが接触することによって応力がSAW素子片に加わることがない。また仮にパッケージに変形が生じたとしても、SAW素子片と支持部材の接触箇所が接着剤の近傍なのでSAWの振動領域の一部にのみ応力が加わることになる。以上のことから、応力によってSAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無くなり、SAW発振器は一定の共振周波数を出力することができる。またSAW発振器の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0017】
そして前記支持部材は、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側に設けられたことを特徴としている。支持部材とSAW素子片との接触位置が、IDTが設けられている位置と平面視して重なることがないので、SAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無くなる。したがって、SAW発振器は一定の共振周波数を出力することができ、SAW発振器の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0018】
また本発明は、前記接着剤と前記支持部材との間に、前記支持部材よりも低く形成された前記接着剤の流出防止用の突起を前記パッケージ底面に設け、前記接着剤の流出防止用の凹部を前記パッケージ底面に設け、または前記接着剤の流出防止用の溝部を前記SAW素子片に設けた、ことを特徴としている。これらの流出防止手段を設けることにより接着剤が支持部材まで流出するのを防止できるので、支持部材とSAW素子片とが接合固着されるのを防止できる。また、これらの流出防止手段は、接着剤が流出することによって接着剤とSAW素子片との接合面積が広がるのを防止できるので、接着剤が収縮することによってSAW素子片に生じる応力の影響が広範囲に及ぶのを防止でき、SAWの振動領域に悪影響を及ぼすのを防止できる。
【0019】
また本発明は、前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記接着剤の中心部は、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側にあることを特徴としている。SAW素子片と接着剤の接合位置を規制したことで、SAW素子片と接着剤とが接合している位置とIDTが設けられている位置とが平面視して多少重なっていたとしても、接着剤の収縮によるIDTの変位を極めて少なくすることができ、SAW発振器の周波数温度特性のばらつきを最小限に抑え、周波数精度を高くできる。
【0020】
また本発明は、前記SAW素子片と前記接着剤とは、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側で接合したことを特徴としている。SAW素子片と接着剤とが接合している位置とIDTが設けられている位置とが平面視して重なることがない。これにより接着剤が収縮しても、IDTが変位するのを防止できるので、SAW発振器の周波数温度特性のばらつきを抑え、周波数精度を極めて高くできる。
【0021】
本発明に係るSAWデバイスの製造方法は、SAW素子片の先端を基端に比べて上げた傾斜状態でこのSAW素子片の基端側をパッケージベースの底面に塗布された接着剤上に載せて、この接着剤を硬化し、前記パッケージベースの上面に蓋体を接合して前記SAW素子片を封止したことを特徴としている。
【0022】
SAW素子片を傾斜させてパッケージに搭載しているので、パッケージの底面に塗布された接着剤上にSAW素子片を載せてからこの接着剤を硬化するまでの間にSAW素子片の先端が下がり、SAW素子片がパッケージ底面に接触するのを防止できる。またパッケージに反り等の変形が生じても、SAW素子片とパッケージが接触するのを防止できる。したがってSAW素子片の先端とパッケージが接触することに起因する応力がSAW素子片に加わらないので、SAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無くなり、SAW発振器は一定の共振周波数を出力することができる。またSAW発振器の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るSAW発振器の平面図である。
【図3】SAW素子片と接着剤の接合位置を説明するSAW素子片の平面図である。
【図4】図3(A)の場合における周波数温度特性を示すグラフである。
【図5】図3(B)の場合における周波数温度特性を示すグラフである。
【図6】第2の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るSAW発振器の平面図である。
【図8】支持部材の変形例を示すSAW素子片の平面図である。
【図9】支持部材を設ける位置を説明するSAW素子片の平面図である。
【図10】第2の実施形態に係るSAW発振器の周波数温度特性を示すグラフである。
【図11】接着剤の流出防止手段の説明図である。
【図12】第3の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。
【図13】従来技術に係るSAWデバイスの周波数温度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、SAWデバイスおよびSAWデバイスの製造方法の最良の実施形態について説明する。なお以下に説明する実施形態では、SAWデバイスとしてSAW発振器を用いた形態について説明するが、SAWデバイスとしてはSAW共振子やSAWフィルタ等であってもよい。
【0025】
まず第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。図2は第1の実施形態に係るSAW発振器の平面図である。なお図2では、蓋体の記載を省略している。第1の実施形態に係るSAW発振器10は、SAW素子片40をパッケージ12の底面に片持ち搭載した構成である。SAW素子片40は、図2に示されるように一対のIDT42と、このIDT42の両側に配設された反射器44を圧電基板46の表面に設けている。この圧電基板46の表面には、各IDT42と1対1に対応させて導通するパッド48が設けられている。なお図2では、パッド48とIDT42を導通させる配線パターンの記載を省略している。そしてSAW素子片40の一方の端部(基端50側)における圧電基板46の裏面は、接着剤28と接合する実装部になっている。
【0026】
パッケージ12は、図1に示されるように、上方に開口した凹陥部14が内部に設けられたパッケージベース16と、パッケージベース16の上面に接合して凹陥部14を封止する蓋体18を備えている。この凹陥部14に段差部22が設けられており、この段差部22の上面にボンディング電極24が設けられている。またパッケージ12の裏面に外部端子26が形成されており、ボンディング電極24の一部と外部端子26が導通している。
【0027】
そしてパッケージ12(凹陥部14)の底面にSAW素子片40とICチップ20が搭載されている。このSAW素子片40は、基端50側に設けられた前記実装部においてパッケージ12の底面に設けられた接着剤28と接合している。このときSAW素子片40は、他方の端部(先端52)が基端50に比べて上げられて傾斜している。これによりSAW素子片40は、先端52が持ち上がるように傾斜されて、パッケージ12の底面に片持ち搭載されている。そしてSAW素子片40に設けられたパッド48は、図2に示されるように、パッケージ12に設けられたボンディング電極24とワイヤ30を介して導通している。
【0028】
またICチップ20は、SAW素子片40を共振させる回路等を備えており、パッケージ12の底面に配設されている。このICチップ20の上面に設けられたパッド電極20aは、パッケージ12に設けられたボンディング電極24とワイヤ30を介して導通している。
【0029】
次に、SAW素子片40をパッケージ12に片持ち搭載するための接着剤28の接合位置について説明する。図3はSAW素子片と接着剤の接合位置を説明するSAW素子片の平面図である。なお図3では、SAW素子片に設けられるパッドの記載を省略している。図3(A)に示されるように、SAW素子片40の基端50と先端52を結ぶ方向(以下、横方向という)における接着剤28の中心部C1は、この横方向におけるIDT42の中心位置C2よりもSAW素子片40の基端50側(図3(A)においては左側)に位置すればよい。そして、このようにSAW素子片40と接着剤28の接合位置を設定した場合におけるSAW発振器10の周波数温度特性は、図4に示されるようになる。図4では、周波数温度特性を複数測定した中のばらつきの上限と下限のみを実線と破線で示している。このため他の周波数温度特性は実線と破線の間に位置している。図4からわかるように、従来技術についての周波数温度特性を示した図13に比べてばらつきが小さくなっている。また温度が25[℃]における周波数偏差のばらつきも図13に比べて小さいことから、周波数精度が高くなっていることがわかる。
【0030】
また図3(B)に示されるように、接着剤28の横方向の中心部C1は、IDT42が設けられている位置よりも基端50側(図3(B)においては左側)に位置していればよい。すなわち基端50側に位置するIDT42の端部を破線aで示すと、この破線aよりもSAW素子片40の基端50側に接着剤28の中心部C1が位置していればよい。そして、このようにSAW素子片40と接着剤28の接合位置を設定した場合におけるSAW発振器10の周波数温度特性は、図5に示されるようになる。なお周波数温度特性の測定は、複数のサンプルを用いているが、いずれも図5に示されるグラフと略同一になっているので、特性を理解しやすくするために図5では1つの測定結果のみ示している。図5からわかるように、図4に示す場合に比べてさらにばらつきが小さくなっている。また温度が25[℃]における周波数偏差のばらつきも図4に比べてさらに小さいことから、周波数精度がさらに高くなっていることがわかる。
【0031】
さらに図3(C)や図2に示されるように、接着剤28は、IDT42が設けられている位置よりも基端50側(図3(C)においては左側)に位置していればよい。すなわち基端50側に位置するIDT42の端部を破線aで示すと、SAW素子片40と接着剤28が接合している横方向の領域が破線aからSAW素子片40の先端52側にはみ出ることなく、この破線aよりもSAW素子片40の基端50側に位置していればよい。このようにすることにより周波数温度特性のばらつきを殆ど無くすことができ、また図5に示す場合に比べて周波数精度もさらに高くすることができる。
【0032】
次に、SAW発振器10の製造方法について説明する。まずパッケージ12(パッケージベース16)の底面に接着剤28を塗布する。またSAW素子片40が保管されているトレーから、コレットを用いてSAW素子片40を吸着保持し、パッケージベース16の上方に移動させる。このコレットは、側面断面視ハ字型になった吸着部を下面に備えており、この吸着部にSAW素子片40を吸着して保持するものである。またコレットは、吸着したSAW素子片40を保管トレーからパッケージベース16の上方へ移動させ、パッケージ12に搭載する移動手段を備えている。
【0033】
そしてコレットに吸着されたSAW素子片40がパッケージ12の底面に搭載されるときは、SAW素子片40の基端50を下げるとともに先端52を上げ、基端50側の裏面と接着剤28を接合させる。SAW素子片40と接着剤28の接合位置は、図3を用いて説明した位置のいずれかであればよい。なおコレット自体に傾斜を持たせておくことで、SAW素子片40を傾斜させてパッケージベース16の底面に搭載することができる。またコレットに設けられた吸着部に傾斜を持たせておくことで、SAW素子片40を傾斜させてパッケージベース16の底面に搭載することもできる。さらにSAW素子片40をパッケージベース16に搭載するときにコレットを傾けることで、SAW素子片40を傾斜させてパッケージベース16の底面に搭載することもできる。
【0034】
次に、接合材を用いてICチップ20をパッケージベース16の底面に固定する。そして接着剤28や接合材を硬化させる。次に、SAW素子片40に設けられたパッド48とパッケージベース16に設けられたボンディング電極24、およびICチップ20に設けられたパッド電極20aとボンディング電極24にワイヤボンディングを施して、それぞれワイヤ30を介して導通させる。そしてパッケージベース16の上面に蓋体18を接合してSAW素子片40およびICチップ20を気密封止する。これによりSAW発振器10が製造される。
【0035】
このようなSAW発振器10によれば、SAW素子片40の基端50に比べて先端52を上方に傾斜させてパッケージ12に搭載しているので、SAW素子片40を接着剤28の上に載せてこの接着剤28を硬化するまでの間に、SAW素子片40の先端52が下がってパッケージ12の底面と接触するのを防止できる。すなわち、仮にSAW素子片40の自重や衝撃等が加わって先端52が下がっても、SAW素子片40の先端52がパッケージ12の底面に接触する手前で下がるのが止まるので、SAW素子片40とパッケージ12の底面が接触するのを防止できる。またパッケージ12に反り等の変形が生じても、SAW素子片40の先端52とパッケージ12の底面が接触するのを防止できる。これによりSAW素子片40の先端52とパッケージ12が接触することに起因する応力がSAW素子片40に加わらないので、SAWの振動領域に悪影響を及ぼすことが無くなり、SAW発振器10は一定の共振周波数を出力することができる。またSAW発振器10の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0036】
なおSAW素子片40と接着剤28の接合位置は、従来ではIDT42を完全に避けるという考えがあった。すなわち従来では、接着剤がSAW素子片に接合している位置とIDTが平面視して重ならないようにしていた。しかし本実施形態では、接着剤28がSAW素子片40に接合している位置とIDT42を平面視して多少重なり、SAW素子片40に応力が加わることがあるが、SAW素子片40と接着剤28の接合位置を規制しているのでIDT42の変位を少なくできる。したがってSAW発振器10の周波数温度特性のばらつきを最小限に抑え、周波数精度を高くできる。
【0037】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態に係るSAW発振器の変形例について説明するので、第1の実施形態と同様の構成部分に同番号を付し、その説明を省略または簡略する。図6は第2の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。図7は第2の実施形態に係るSAW発振器の平面図である。なお図7では、蓋体の記載を省略している。
【0038】
第2の実施形態に係るSAW発振器10は、SAW素子片40の基端50側とパッケージ12の底面を接着剤28により接合するとともに、ICチップ20をパッケージ12の底面に接合した構成である。このSAW素子片40は、パッケージベース16の底面に設けられた支持部材60によって支持されることが可能となっている。なお接着剤28とSAW素子片40の接合位置は、支持部材60が設けられている位置よりもSAW素子片40の基端50側となっている。
【0039】
図7に示される場合では支持部材60が2つ設けられており、SAW素子片40の裏面を2点で支えることが可能になっている。なお支持部材60は2つ設けられるばかりでなく、3つ以上設けられることもできる。また支持部材60は、図8に示されるようにパッケージ12の底面に1つ設けられて、SAW素子片40を線で支えるようにしてもよい。そして支持部材60は、SAW素子片40の横方向に対して直交する方向に沿って設けられるのが好ましい。
【0040】
また支持部材60は、SAW素子片40と接触可能になっているので、SAW素子片40と接合固着されていない。そして支持部材60は、SAW素子片40と接触してこれを支持してもよく、またSAW素子片40と接触していなくてもよい。すなわちSAW素子片40を、第1の実施形態で説明したように、先端52を上方に傾斜させてパッケージ12に搭載させれば、支持部材60と接触することがない。またSAW素子片40を第1の実施形態で説明したように、先端52を上方に傾斜させてパッケージ12に搭載させる場合でも、図6に示されるように支持部材60と接触するように搭載することができる。さらにSAW素子片40を水平にしてパッケージ12に搭載させれば、支持部材60と接触することになる。
【0041】
このような支持部材60の高さは、SAW素子片40の先端52が下がってもパッケージ12の底面に接触することのない高さを有しており、SAW素子片40の横方向の長さや、SAW素子片40の基端50が接着剤28によって支持される高さ等によって適宜設定されている。そして支持部材60の高さの一例としては、接着剤28の高さと同程度であればよい。支持部材60の高さが接着剤28の高さと同程度であれば、SAW素子片40の横方向の長さにかかわらず、SAW素子片40の先端52がパッケージ12の底面に接触することがない。
【0042】
また支持部材60が設けられ位置は、次のようになっている。図9は支持部材を設ける位置を説明するSAW素子片の平面図である。なお図9では、SAW素子片に設けられるパッドの記載を省略している。支持部材60は、図9(A)を始めとして図7や図9(B)に示されるように、IDT42の横方向の中心位置C2よりもSAW素子片40の基端50側に設けられている。このときSAW素子片40とパッケージ12を接合固着する接着剤28は、支持部材60よりもSAW素子片40の基端50側にあればよい。そして接着剤28の横方向の中心部C1は、SAW素子片40の基端50側に位置するIDT42の端部(破線a)よりもSAW素子片40の基端50側にあるのがより好ましい(図9(A)参照)。また接着剤28と支持部材60の距離は、より短い方が好ましい。すなわち支持部材60がSAW素子片40と接触している位置から接着剤28までの距離が短い方が好ましい。
【0043】
また図7に示されるように、支持部材60が設けられる位置は、SAW素子片40の基端50側に位置するIDT42の端部付近に設けられるのが、より好ましい。このとき接着剤28は、IDT42が設けられている位置よりも基端50側に設けられていればよい。すなわちSAW素子片40と接着剤28が接合している横方向の領域が、SAW素子片40の基端50側に位置するIDT42の端部からSAW素子片40の先端52側にはみ出なければよい。このようにすることにより、図9(A)に示される場合に比べてSAW発振器10の周波数温度特性のばらつきを無くすことができるとともに、周波数精度を高くすることができる。
【0044】
さらに図9(B)に示されるように、接着剤28および支持部材60は、IDT42の設けられている位置よりもSAW素子片40の基端50側に設けられると、さらに好ましくなる。すなわち支持部材60は、SAW素子片40の基端50側に位置するIDT42の端部(破線a)よりも、SAW素子片40の基端50側に設けられている。また接着剤28は、支持部材60よりもSAW素子片40の基端50側にあればよい。このときSAW素子片40と接着剤28が接合している横方向の領域が、支持部材60よりもSAW素子片40の基端50側にあればよい。
【0045】
図10は第2の実施形態に係るSAW発振器の周波数温度特性を示すグラフである。なお周波数温度特性の測定には複数のサンプルを用いているが、いずれも図10に示されるグラフと同一になっている。したがって図10からわかるように、第2の実施形態に係るSAW発振器10は、周波数温度特性のばらつきが無くなり、周波数精度が高くなっている。
【0046】
そして支持部材60は、パッケージ12の底面(パッケージベース16)と同素材で形成することができる。一例としては、パッケージ12の底面がセラミックで形成されていれば、パッケージ12の底面上にセラミックのコーティングを施して支持部材60を形成することができる。このときの支持部材60の高さは、例えば前述したように接着剤28の高さと同程度であればよく、具体的な一例としては20〜30μmであればよい。
【0047】
また支持部材60は、パッケージ12に形成されているボンディング電極24等の配線材料と同素材で形成することができる。一例としては、パッケージ12の底面上にタングステンメタライズをした後、この上にニッケルメッキと金メッキを施して支持部材60を形成することができる。なお支持部材60は、タングステンメタライズだけで形成されてもよい。
【0048】
また支持部材60は、接着剤28と同素材で形成することができる。一例としては、パッケージ12の底面に支持部材60となる接着剤を塗布した後、硬化させて支持部材60を形成することができる。また支持部材60は、金属バンプで形成することもできる。一例としては、パッケージ12の底面上に予めメタライズパターンを設けておき、この上に金属バンプを設けて支持部材60とすることができる。
そしてSAW発振器10は、第1の実施形態に係るSAW発振器と同様にして製造することができる。
【0049】
このようなSAW発振器10によれば、パッケージ12の底面に支持部材60を設けて、この支持部材60でSAW素子片40を支えることができるようにしたので、SAW素子片40の先端52が下がってもパッケージ12の底面と接触するのを防止できる。すなわちSAW素子片40の先端52を上方に傾斜させて、またはSAW素子片40を水平にして接着剤28に載せ、且つ、SAW素子片40と支持部材60が接触していない場合であれば、この接着剤28を硬化するまでの間にSAW素子片40の先端52が下がっても、SAW素子片40が支持部材60に支えられるので、SAW素子片40とパッケージ12の底面とが接触するのを防止できる。
【0050】
またSAW素子片40を上方に傾斜させて、またはSAW素子片40を水平にして接着剤28に載せ、且つ、SAW素子片40と支持部材60が接触している場合ならば、SAW素子片40が支持部材60に支えられているので先端52が下がることがなく、SAW素子片40とパッケージ12の底面とが接触するのを防止できる。さらに支持部材60は、IDT42の横方向の中心位置よりもSAW素子片40の基端50側に配設されているので、パッケージ12に反り等の変形が生じたとしても、SAW素子片40、特にIDT42が設けられている位置に加わる応力を大きく抑えることができる。すなわち支持部材60と接着剤28を設ける位置はIDT42の横方向の中心位置よりも基端50側にあるので、支持部材60と接着剤28を近接して設けることができる。このため仮にパッケージ12の変形によってSAW素子片40に応力が加わったとしても、応力が加わる部分を極めて限定的にすることができ、SAWの振動領域全体に悪影響を及ぼすことが無い。
【0051】
これによりSAW発振器10は一定の共振周波数を出力することができ、SAW発振器10の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【0052】
なお第2の実施形態では、接着剤28の流出を防ぐ手段(流出防止手段)を設けることができる。図11は接着剤の流出防止手段の説明図である。図11(A)に示される接着剤28の流出防止手段となる突起62は、支持部材60よりも低くして、接着剤28と支持部材60の間におけるパッケージ12の底面に設けられている。この突起62は、SAW素子片40の横方向に対して交差した線形状であればよい。これにより流出してきた接着剤28を突起62で塞き止めることができるので、支持部材60とSAW素子片40が接着剤28で接合固着されるのを防ぐことができ、また接着剤28がIDT42の中心位置へ流れ込むのを防止できる。
【0053】
また図11(B)に示される接着剤28の流出防止手段となる凹部64は、接着剤28と支持部材60の間におけるパッケージ12の底面に設けられている。この凹部64は、SAW素子片40の横方向に対して交差する方向に形成されていればよい。これにより流出してきた接着剤28が凹部64に流入することで接着剤28の流出を止めることができるので、支持部材60とSAW素子片40が接着剤28で接合固着されるのを防ぐことができ、また接着剤28がIDT42の中心位置へ流れ込むのを防止できる。
【0054】
また図11(C)に示される接着剤28の流出防止手段となる溝部66は、接着剤28と支持部材60の間に位置するSAW素子片40の裏面に設けられている。この溝部66は、SAW素子片40の横方向に対して交差する方向に形成されていればよい。これにより流出してきた接着剤28が溝部66に流入することで接着剤28の流出を止めることができるので、支持部材60とSAW素子片40が接着剤28で接合固着されるのを防ぐことができ、また接着剤28がIDT42の中心位置へ流れ込むのを防止できる。さらにSAW素子片40に溝部66を設けることで、IDT42が設けられた位置(SAWの振動領域)に応力がかかるのを防止できる。
【0055】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態に係るSAW発振器の変形例について説明するので、第1の実施形態と同様の構成部分に同番号を付し、その説明を省略または簡略する。図12は第3の実施形態に係るSAW発振器の断面図である。第3の実施形態に係るSAW発振器10は、SAW素子片40の基端50側とパッケージ12の底面を接着剤28により接合するとともに、ICチップ20をパッケージ12の底面に接合した構成である。
【0056】
パッケージ12の底面には、SAW素子片40の基端50側と接合するための接着剤28が塗布される領域(塗布領域)74が設けられている。そして、この塗布領域74を露出させるようにして、SAW素子片40に対向したパッケージ12の底面に支持板70が設けられている。そして塗布領域74には接着剤28が設けられており、SAW素子片40の基端50に比べて上端を上方に傾斜させたSAW素子片40が接着剤28の上に接合されている。このときSAW素子片40の裏面と、支持板70の塗布領域74に隣接した上側角部72が接触している。すなわち支持板70において塗布領域74に隣接している側面の上側辺と、SAW素子片40の裏面が接触している。なおSAW素子片40と支持板70は接合固着されていない。
【0057】
そしてSAW素子片40と支持板70の接触位置は、第2の実施形態で説明した支持部材60を支持板70に置き換えた構成にすればよい。すなわち支持板70における上側角部72とSAW素子片40との接触位置は、IDT42の横方向の中心位置よりも基端50側にあればよい。そしてSAW素子片40と支持板70の接触位置は、基端50側に位置するIDT42の端部よりも基端50側において接触しているのがより好ましい。
【0058】
またSAW素子片40と接着剤28の接合位置は、第2の実施形態で説明したSAW素子片と接着剤の接合位置と同様であればよい。すなわち第3の実施形態に係るSAW素子片40と接着剤28の接合位置は、SAW素子片40と支持板70の接触位置よりも基端50側にあればよい。そしてSAW素子片40の表面に設けられているIDT42と裏面に接合される接着剤28とが平面視して重なることがないように、基端50側に位置するIDT42の端部よりも基端50側において接合させるのがより好ましい。
【0059】
次に、SAW素子片40をパッケージ12に搭載する方法(SAW発振器10の製造方法)について説明する。まずパッケージ12の底面が支持板70から露出している箇所、すなわち接着剤28の塗布領域74に接着剤28を塗布する。このとき接着剤28は、支持板70の高さよりも高くなるように塗布しておく。次に、コレットでSAW素子片40を吸着保持してパッケージ12の上方に移動させ、SAW素子片40を支持板70の上に載せる。これによりSAW素子片40の裏面と接着剤28が接触する。次に、接着剤28を硬化させると接着剤28が収縮する。すると接着剤28と接合しているSAW素子片40の基端50側が接着剤28の収縮に伴って下がるので、支持板70の上側角部72を支点としてSAW素子片40が傾く。これによりSAW素子片40は、その裏面が支持板70の上側角部72と接触して、基端50に比べて先端52が上がった傾斜状態で、パッケージ12に搭載される。
【0060】
このようなSAW発振器10によれば、パッケージ12の底面に支持板70を設け、この支持板70でSAW素子片40を支えることができるようにしたので、SAW素子片40の先端52が下がることがなくなり、SAW素子片40の先端52がパッケージ12の底面と接触するのを防止できる。またパッケージ12に反り等の変形が生じたとしても、SAW素子片40の先端52がパッケージ12の底面に接触するのを防止できる。
【0061】
そして支持板70がSAW素子片40に接触している位置と接着剤28を設けた位置はIDT42の横方向の中心位置よりも基端50側にあるので、支持板70がSAW素子片40に接触した位置と接着剤28を近接して設けることができる。このため仮にパッケージ12の変形によってSAW素子片40に応力が加わったとしても、応力が加わる部分を極めて限定的にすることができ、SAWの振動領域全体に悪影響を及ぼすことが無い。
【0062】
これによりSAW発振器10は一定の共振周波数を出力することができ、SAW発振器10の周波数温度特性にばらつきが生じるのを防止でき、周波数精度を高くすることができる。
【符号の説明】
【0063】
10………SAW発振器、12………パッケージ、28………接着剤、40………SAW素子片、42………IDT、50………基端、52………先端、60………支持部材、62………突起、64………凹部、66………溝部、70………支持板、74………塗布領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDTを備えたSAW素子片の先端を上げ、前記SAW素子片に傾斜を持たせて前記SAW素子片の基端側とパッケージの底面とを接着剤で接合し、前記SAW素子片を前記パッケージに片持ち搭載したことを特徴とするSAWデバイス。
【請求項2】
IDTを備えたSAW素子片をパッケージ底面に片持ち搭載したSAWデバイスであって、
前記SAW素子片の基端側と前記パッケージ底面とを接合させる接着剤の塗布領域を露出させつつ、前記SAW素子片に対向した前記パッケージ底面に支持板を設け、
前記SAW素子片の先端を基端に比べて上げて、前記支持板における前記塗布領域に隣接した上側角部と、前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記IDTの中心位置よりも前記SAW素子片の基端側で前記SAW素子片とを接触させ、
前記塗布領域に設けた前記接着剤で前記SAW素子片の基端側と前記パッケージ底面とを接合したことを特徴とするSAWデバイス。
【請求項3】
前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記接着剤の中心部は、この方向における前記IDTの中心位置よりも前記SAW素子片の基端側にあることを特徴とする請求項1または2に記載のSAWデバイス。
【請求項4】
IDTを備えたSAW素子片の基端側とパッケージの底面とを接着剤で接合し、前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記IDTの中心位置と、前記SAW素子片が前記接着剤と接合している箇所との間における前記パッケージの底面に前記SAW素子片の支持部材を設けたことを特徴とするSAWデバイス。
【請求項5】
前記支持部材は、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側に設けられたことを特徴とする請求項4に記載のSAWデバイス。
【請求項6】
前記接着剤と前記支持部材との間に、
前記支持部材よりも低く形成された前記接着剤の流出防止用の突起を前記パッケージ底面に設け、
前記接着剤の流出防止用の凹部を前記パッケージ底面に設け、または
前記接着剤の流出防止用の溝部を前記SAW素子片に設けた、
ことを特徴とする請求項4または5に記載のSAWデバイス。
【請求項7】
前記SAW素子片の基端と先端とを結ぶ方向における前記接着剤の中心部は、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側にあることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のSAWデバイス。
【請求項8】
前記SAW素子片と前記接着剤とは、前記SAW素子片の基端側に位置する前記IDTの端部よりも前記SAW素子片の基端側で接合したことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のSAWデバイス。
【請求項9】
SAW素子片の先端を基端に比べて上げた傾斜状態でこのSAW素子片の基端側をパッケージベースの底面に塗布された接着剤上に載せて、この接着剤を硬化し、前記パッケージベースの上面に蓋体を接合して前記SAW素子片を封止したことを特徴とするSAWデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−50154(P2012−50154A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270675(P2011−270675)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【分割の表示】特願2006−5045(P2006−5045)の分割
【原出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】