説明

SMACタンパク質のアポトーシスタンパク質阻害物質(IAP)との結合に対するペプチド阻害剤

本発明は、式I
【化1】


〔式中の置換基は明細書に記載の通りである。〕のXIAP阻害化合物に関する。本発明の化合物は、癌を含む増殖性疾患の処置の治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般に、Smacタンパク質がアポトーシスタンパク質阻害物質(IAP)に結合するのを阻害する、新規化合物に関する。本発明は、新規化合物、新規組成物、それらの使用法およびそれらの製造法を含み、このような化合物は一般に、Smac/IAP相互作用を阻害する作用機序を必要とする治療における治療薬として薬理学的に有用であり、より具体的に、癌を含む増殖性疾患の処置のための治療に有用である。
【0002】
計画細胞死は、細胞数の制御や、ストレスを感じたまたは損傷を受けた細胞の正常組織からの排除に重要な役割を担う。実際、ほとんどの細胞型で内在性のアポトーシスシグナル伝達機構のネットワークは、ヒト癌の発症および進行の主要なバリアを提供する。もっとも一般的に使用されている照射および化学療法が、癌細胞を殺すためにアポトーシス経路の活性化に依存しているため、計画細胞死を回避できる腫瘍細胞は、しばしば処置に耐性となる。
【0003】
アポトーシスシグナル伝達ネットワークは、死レセプター−リガンド相互作用により介在される場合は内在性として、または、細胞性ストレスおよびミトコンドリア透過性(permeabilization)により介在される場合は外来性として分類される。両方の経路とも最終的に個々のカスパーゼに集まる。活性化されれば、カスパーゼは多くの細胞死関連物質を開裂し、細胞の破壊に作用する。
【0004】
腫瘍細胞は、アポトーシスを回避する多くの概念を編み出している。一つの最近報告された分子機構は、IAPファミリーのメンバーの過剰発現が関与する。IAPは、カスパーゼと直接相互作用し、中和することによりアポトーシスを妨害する。プロトタイプIAPであるXIAPは、BIR1、BIR2およびBIR3ドメインと呼ばれる3つの機能的ドメインを有する。BIR3はカスパーゼ9と直接相互作用し、その天然基質であるプロカスパーゼ3と結合し、開裂する能力を阻害する。
【0005】
プロアポトーシス(proapoptotic)ミトコンドリアタンパク質であるSmac(DIABLOとしても既知)は、BIR3の表面上のペプチド結合ポケット(Smac結合部位)に結合し、それによりXIAPとカスパーゼ9の相互作用を防止することにより、XIAPを中和できる。本発明は、Smac結合ポケットに結合し、それにより急速に分裂している細胞のアポトーシスを促進する、治療分子に関する。このような治療分子は、癌を含む増殖性疾患の処置に有用である。
【0006】
本発明は、式(I)
【化1】

〔式中、
はHであり;
はH、C−Cアルキル(非置換またはハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNおよびニトロからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH、−CF、−C、−CH−Zであるか、またはRとRは窒素と共にC−Cヘテロ脂肪族環を形成し;
ZはH、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖アルキル、C−C10分枝鎖アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−Z、−(CH)0−6−フェニル、および−(CH)0−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−het、−C(O)−N(R10)(R11)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−フェニル、−C(O)−O−(CH)1−6−het、−O−C(O)−C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−O−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−O−C(O)−(CH)1−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
hetはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5−7員複素環式環、またはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む少なくとも一つの5−7員複素環式環を含む8−12員縮合環系であり(ここで、該複素環式環または縮合環系は非置換であるかまたは炭素原子をハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されているか、または窒素をC−Cアルキル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されている);
はH、−CH、−CF、−CHOHまたはCHClであり;
10およびR11は各々独立してH、C−Cアルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−フェニルであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている)、またはR10とR11は窒素と共にhetであり;
XはCHまたはNであり;
はH、C−C10−アルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C−C10−アルキル−アリール、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル−(CH)0−6−フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4−フェニル)、−(CH)0−6−CH(フェニル)2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−(CH)1−6−het、−C(O)−(CH)1−6−hetであるか、またはRはアミノ酸の残基であり(ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
はH、メチル、エチル、−CF、−CHOHまたは−CHClであるか;または
とRは窒素と共にhetであり;
およびRは、環の1位のアシル置換基に対してcisであり、各々独立してH、−C−C10アルキル、−OH、−O−C−C10−アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−O−(CH)0−6−アリール、フェニル、−(CH)1−6−het、−O−(CH)1−6−het、−N(R12)(R13)、−S−R12、−S(O)−R12、−S(O)−R12、−S(O)−NR1213であり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
12およびR13は独立してH、C−C10アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)1−6−hetであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);または分子が細胞膜を通過して移動するのを容易にする置換基であるか、またはR12とR13は窒素と共にhetであり;
アリールは、非置換または置換されているフェニルまたはナフチルであり;
nは0、1または2であり;
ここで、
置換アルキル置換基は、二重結合、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
置換シクロアルキル置換基は、二重結合、C−Cアルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;そして
置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CN、−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−C−アルキルからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている〕
の化合物に関する。
【0007】
非置換は、水素が唯一の置換基であることを意味することを意図する。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特にフッ素および塩素である。
【0008】
特記しない限り、アルキル置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび分枝ペンチル、n−ヘキシルおよび分枝ヘキシルなどのような直鎖または分枝鎖アルキルを含む。
【0009】
シクロアルキル置換基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含む。
【0010】
本発明の特に重要な実施態様において、RおよびRは式IIで示される立体化学を有し、本明細書に記載の可変置換基の定義および好ましいとする記載は、式IIで示される立体化学を有する化合物にも適用される。
【化2】

【0011】
は特にH、メチルまたはエチル、とりわけHまたはメチルであり、該メチル基は非置換または置換、とりわけ非置換メチルである。置換メチルとしてのRは、特にクロロメチル、ジクロロメチルおよび特にトリフルオロメチルを含む。
は特にメチルである。
【0012】
特定の実施態様において、RとRは窒素と共に、飽和および不飽和3から6員非芳香環を含むヘテロ脂肪族環を形成し、例えば、アジリジン、アゼチジン、アゾール、ピペリジン、ピペラジンなど、特にアジリジンおよびアゼチジンを含む。
【0013】
は特にC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル、とりわけイソプロピルまたはシクロヘキシルである。
【0014】
−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル−(CH)0−6−フェニルとしてのRは、シクロアルキルとフェニル環の間にメチレンがない場合、インダニルのような縮合シクロアルキル−フェニル環を含む。
【0015】
−(CH)0−4CH−((CH)1−4−フェニル)としてのRは、特に−CH(CH−フェニル)である。
は特にHである。
【0016】
とりわけ重要な実施態様は、式中、Rが−C−C−アルキル−フェニルである化合物、特にRが−C−フェニルであり、RがHである化合物を含む。
特定の実施態様において、nは好ましくは1である。
【0017】
本発明の特定の実施態様において、RおよびRの一方または両方ともHである。RおよびRの一方がH以外である場合、それは特にヒドロキシ、−N(R12)(R13){ここで、特に、R12が−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル(例えば、(CH)1−6−C−C−シクロアルキルがシクロヘキシルメチルである)であるか、−O−(CH)0−6−アリール(例えば、(CH)0−6−アリールがベンジルである)である}である。RおよびRの一方のみがH以外である場合、H以外の置換基として存在するのはRが好ましい。
【0018】
好ましい実施態様において、RはHであり、Rは−C−C10−アルキル−アリール、とりわけフェニルメチル、フェニルエチルおよびフェニルプロピル、特にフェニルエチルである。
【0019】
het置換基は芳香族性および非香族性複素環式環ならびに、芳香族性および非芳香族性複素環式環を含む縮合環を含む。適当なhet置換基は、非置換および置換ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパン、1,4−オキサチアパン、フリル、チエニル、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル、ピラジン、キノリン、イソキノリン、ピリドピラジン、ピロロピリジン、フロピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフラン、ベンズインドール、ベンズオキサゾール、ピロロキノリンなどを含む。het置換基は、非置換または炭素原子をハロゲン、特にフッ素または塩素、ヒドロキシ、メチルおよびエチルのようなC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、特にメトキシおよびエトキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されており、または窒素をC−Cアルキル、特にメチルまたはエチル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは、カルボメトキシもしくはカルボエトキシのような−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されている。
【0020】
二つの置換基が、共通して結合している窒素と共にhetである場合、得られる複素環式環は、アジリジン、アゼチジン、アゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフィリン、ピロール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリルなどの窒素含有環であることは理解されよう。
【0021】
アミノ酸残基は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンのような標準アミノ酸の残基を含む。アミノ酸残基はまた一般的でない、修飾アミノ酸の側鎖も含む。一般的でない、修飾アミノ酸は当業者に既知であり(例えば、G. B. Fields, Z. Tiam and G Barany;Synthetic Peptides A Users Guide, University of Wisconsin Biochemistry Center, Chapter 3, (1992)参照)、4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリジン、デスモシン、ベータ−アラニン、アルファ、ガンマ−およびベータ−アミノ酪酸、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、2−または3−アミノアジピン酸、6−アミノカプロン酸、2−または3−アミノイソ酪酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、ジフェニルアラニン、ヒドロキシプロリンなどを含む。アミノ酸残基の側鎖が、COOH、−OHまたはアミノのような誘導体化可能な基を含む場合、側鎖は、誘導体化可能な基と反応する置換基で誘導体化し得る。例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のような酸性アミノ酸、または、セリンまたはスレオニンにおけるようなヒドロキシ置換側鎖は誘導体化してエステルを形成し得、アミノ側鎖はアミドまたはアルキルアミノ誘導体を形成し得る。特に、誘導体は細胞膜を通過して移動を容易にする置換基であり得る。加えて、アミノ酸残基の任意のカルボン酸基、例えば、アルファカルボン酸基を上記のように誘導体化し、エステルまたはアミドを形成し得る。
【0022】
分子が細胞膜を通過して移動するのを容易にする置換基は、医薬品化学の分野の当業者には既知である(例えば、Gangewar S., Pauletti G. M.,Wang B., Siahaan T. J., Stella V. J., Borchardt R. T., Drug Discovery Today, vol. 2. p148-155(1997) and Bundgaard H. and Moss J., Pharmaceutical Research, vol. 7, p 885(1990)参照)。一般に、このような置換基は親油性置換基である。このような親油性置換基は、飽和、モノ不飽和、ポリ不飽和であるC−C30アルキルを含み、メチレン−中断ポリエン、フェニル、1個または2個のC−Cアルキル基で置換されているフェニル、C−Cシクロアルキル、1個または2個のC−Cアルキル基で置換されているC−Cシクロアルキル、−X−フェニル、フェニル環を1個または2個のC−Cアルキル基で置換されている−X−フェニル、X−C−Cシクロアルキルまたは1個または2個のC−Cアルキル基で置換されているX−C−Cシクロアルキルを含む;ここで、Xは、飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であり、直鎖または分枝鎖であるC−C24アルキルである。
【0023】
当業者には、本発明の化合物がいつ塩形、特に酸付加塩または塩基付加塩として存在できるか明白であろう。化合物が塩形で存在できる場合、このような塩形は本発明の範囲内に包含される。任意の塩形が精製手順のような化学的操作に有用であり得るが、薬学的に許容される塩のみが医薬製品に有用である。
【0024】
薬学的に許容される塩は、適当な場合、薬学的に許容される塩化付加塩および酸付加塩、例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属塩のような金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩、スルホン酸塩を含む。酸付加塩は、塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩のような無機酸付加塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩および乳酸塩のような有機酸付加塩を含む。金属塩の例は、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩および亜鉛塩である。アンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。有機アミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペリジンとの塩である。アミノ酸付加塩の例は、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸、リジンとの塩である。スルホン酸塩は、メシラート、トシレートおよびベンゼンスルホン酸塩を含む。
【0025】
式(I)の化合物は、スキーム1に下記のように製造し得る:
【化3】

【0026】
ステップA:このステップは、アミンとt−Boc−L−プロリンまたはそのアミンとの誘導体との、DIC/HOBtまたはHBTU/HOBtのような標準ペプチド結合剤を使用した結合に関する。
ステップB:このステップは、t−Boc基のトリフルオロ酢酸(TFA)による除去、続くBoc保護天然または非天然アミノ酸との、標準ペプチド結合剤を使用した結合に関する。
ステップC:このステップは、t−Boc基のトリフルオロ酢酸(TFA)による除去、続くBoc保護天然または非天然アミノ酸との、標準ペプチド結合剤を使用した結合に関する。
ステップD:このステップは、t−Boc基の、トリフルオロ酢酸(TFA)による除去、続く生成物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)での精製に関する。
【0027】
本発明は、さらに、薬学的有効量の上記化合物の1個またはそれ以上を含む、医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、腫瘍、特に、癌性腫瘍および他の癌を含む増殖性疾患の処置のために、単独でまたは1個またはそれ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて、ヒトを含む哺乳類への経口または経直腸のような経腸、および、非経腸投与に適している。
【0028】
本発明の化合物は、有効量の化合物を、経腸または非経腸投与に適した賦形剤または担体と共に、または混合して含む、医薬組成物の製造に有用である。例は、活性剤を(a)希釈剤;(b)滑剤、(c)結合剤(錠剤);望ましい場合、(d)崩壊剤;および/または(e)吸着剤、色素、香味剤および甘味剤と共に含む、錠剤およびゼラチンカプセルを含む。注射用組成物は、好ましくは、水性等張性溶液または懸濁液であり、坐薬は有利には脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から製造する。組成物は滅菌し得および/または防腐剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、溶液プロモーター、浸透圧調整用塩のような補助薬および/または緩衝剤を含み得る。加えて、組成物は他の治療的に価値ある物質も含み得る。組成物は、各々慣用の混合、造粒またはコーティング法に従い製造し、好ましくは、約1から50%の活性成分を含む。
【0029】
より一般的に、本発明はまた本発明の化合物の医薬の製造における、特に、増殖性疾患の処置のための医薬の製造における使用に関する。
【0030】
前記および後記の医薬組成物の、増殖性疾患の処置のための使用もまた企図される。
【0031】
適当な製剤はまた、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図される受け手の血液と等張にする溶質を含み得る水性および非水性滅菌注射用溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁剤のような非経腸投与の製剤も含み得る。製剤は、単位投与または複数回投与用コンテナ中、例えば、密封アンプルまたはバイアル中に存在し得、滅菌液体担体、例えば、注射用水の使用直前の添加のみを必要とするフリーズ−ドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵し得る。即時注射溶液および懸濁液を、先に記載の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造し得る。
【0032】
医薬組成物は、薬学的有効量の本活性剤を、他の薬学的に許容される賦形剤、担体、充填剤、希釈剤などと共に含む。本明細書で使用する治療的有効量なる用語は、治療的結果、特に、抗腫瘍効果、例えば、悪性癌細胞、良性腫瘍細胞または他の増殖性細胞の増殖の阻害を達成するために、宿主に投与する必要のある量を意図する。
【0033】
上記のように、本発明の化合物は増殖性疾患の処置に有用である。したがって、本発明はさらに、治療的有効量の本発明の化合物を、処置を必要とする哺乳類、好ましくはヒトに投与することを含む、増殖性疾患の処置法に関する。
【0034】
増殖性疾患は、主に腫瘍性疾患(または癌)(および/または任意の転移)である。本発明の化合物は、とりわけ乳癌、尿生殖器の癌、肺癌、胃腸の癌、類表皮癌、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭および/または頚部癌または膀胱癌、または、広い意味で、腎臓、脳または胃癌である腫瘍;特に(i)乳房の腫瘍;類表皮頭および/または頚部腫瘍または口腔腫瘍のような類表皮腫瘍;肺の腫瘍、例えば小細胞または非小細胞肺腫瘍;胃腸の腫瘍、例えば、結腸直腸腫瘍;または泌尿生殖器の腫瘍、例えば、前立腺腫瘍(特にホルモン−難治性前立腺腫瘍);または(ii)他の化学療法剤での処置が難治性の増殖性疾患;または(iii)多剤耐性のために他の化学療法剤での処置が難治性の腫瘍の処置に有用である。
【0035】
本発明の広い意味で、増殖性疾患はさらに白血病、過形成、線維症(特に肺であるが、腎臓線維症のような他のタイプの線維症も含む)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症、および、狭窄または血管形成後の再狭窄のような血管における平滑筋増殖のような過増殖状態であり得る。
【0036】
腫瘍、腫瘍性疾患、癌腫または癌を記載している場合、また、腫瘍および/または転移の場所がどこであれ、原発臓器または組織および/または任意の他の場所における転移に置き換え、または転移を加えることを包含する。
【0037】
本発明の化合物は、急速に増殖している細胞、とりわけヒト癌細胞、例えば、癌性腫瘍に選択的に毒性であるか、正常細胞よりもより毒性であり、本発明の化合物は有意な抗増殖性作用を有し、細胞分化、例えば、細胞サイクル停止およびアポトーシスを促進する。
【0038】
本発明の化合物は、単独で、または、腫瘍血管形成を阻害する化合物、例えば、プロテアーゼ阻害剤、表皮増殖因子レセプターキナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子レセプターキナーゼ阻害剤など;代謝拮抗剤、例えばプリンまたはピリミジンアナログ代謝拮抗剤のような細胞毒性剤;微小管安定化剤および細胞分裂阻止性アルカロイドのような細胞分裂阻止性薬剤;白金配位化合物;抗腫瘍抗生物質;ナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアのようなアルキル化剤;アドレノコルチコステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン遊離ホルモンアゴニストおよびソマトスタチンアナログのような内分泌剤、腫瘍細胞で過剰発現しているおよび/または別の方法で上方制御されている特異的代謝経路に関与している酵素またはレセプターを標的とする化合物、例えば、ATPおよびGTPホスホジエステラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、セリン、スレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤のようなプロテインキナーゼ阻害剤、例えば、Abelsonプロテインチロシンキナーゼ、および、表皮増殖因子レセプターキナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子レセプターキナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子阻害剤、インシュリン様増殖因子レセプター阻害剤および血小板由来増殖因子レセプターキナーゼ阻害剤などのような種々の増殖因子、そのレセプターおよびそれらのキナーゼ阻害剤;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、シクロオキシゲナーゼ−1または−2阻害剤のような他の抗癌剤と組み合わせて投与し得る。
【0039】
本発明は、さらに、有効なアポトーシス促進量の、XIAPタンパク質のSmac結合部分に結合する非天然由来トリペプチド化合物を、急速に増殖している細胞と接触させることを含む、急速に増殖している細胞のアポトーシスを促進する方法に関する。好ましくは、非天然由来トリペプチド化合物は、本発明の式IまたはIIの化合物である。
【0040】
以下の実施例は本発明の説明を意図し、さらに限定するものではない。
【0041】
実施例1
L−(N−メチル)Ala−L−Val−(2S,4S)−4−(2−シクロヘキシルアセチルアミノ)−2−フェネチルカルバモイルピロリジン
表題化合物(式1)を、スキーム2に示す方法に従い製造する。
【0042】
【化4】

【0043】
I. 1−tBoc−(2S,4S)−4−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−2−フェネチル−カルバモイルピロリジン、31の製造
250mL丸底フラスコに、化合物23(3.0g、6.43mmol)(実施例1参照)、フェネチルアミン(0.86g、7mmol)、およびDIEA(30mL)を入れる。この混合物に、HBTU/HOBtのDMF中の0.45mM溶液(15.5mL、7mmol)を添加し、溶液を室温で一晩撹拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、水(2×)、10%クエン酸(2×)、水、塩水で十分洗浄し、無水MgSOで乾燥させる。EtOAc溶液を真空で濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して2.1gの表題化合物を得る。保持時間:8.48分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 555.97(M+H)
【0044】
II. tBoc−L−Val−(2S,4S)−4−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−2−フェネチルカルバモイルピロリジン、32の製造
トリフルオロ酢酸(TFA)の塩化メチレン(15mL)中の95%溶液を、50mL丸底フラスコ中の実施例2で製造した化合物(2.1g、3.78mM)に室温で添加し、溶液を1時間撹拌した。溶液を真空で濃縮し、濃黄色油状物を得た。RT:6.38分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 465.3(M+H)。粗生成物を最初にDIEA(10mL)と、次いでtBoc−L−Val(0.8g、3.7mmol)と合わせ、DMF(20mL)を添加する。HBTU/HOBtのDMF(10mL)中の0.45mM溶液を、この反応混合物に室温で添加し、反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いでEtOAc(150mL)で希釈して、水(2×150mL)、10%クエン酸(2×150mL)、水、塩水で十分洗浄し、無水MgSOで乾燥させる。EtOAc溶液を真空で濃縮し、2.41gの表題化合物を得る。保持時間:8.78分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 784.2(M+DIEA+H)
【0045】
III. tBoc−L−(N−メチル)Ala−L−Val−(2S,4S)−4−(9H−フルオレン−9−イルメトキシ−カルボニルアミノ)−2−フェネチルカルバモイルピロリジン、33の製造
トリフルオロ酢酸(TFA)の塩化メチレン(15mL)中の95%溶液を、50mL丸底フラスコ中の実施例3で製造した化合物(2.40g)に室温で添加し、溶液を1時間撹拌する。溶液を真空で濃縮し、濃黄色油状物を得る。RT:6.62分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 555.3(M+H)。粗生成物を最初にDIEA(10mL)と、次いでtBoc−L−(N−Me)Ala(0.8g、3.7mmol)と合わせ、DMF(20mL)をそれに添加する。HBTU/HOBtのDMF(10mL)中の0.45mM溶液を、室温で反応混合物に添加し、反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いでEtOAc(150mL)で希釈し、水(2×150mL)、10%クエン酸(2×150mL)、水、塩水で十分洗浄し、無水MgSOで乾燥させる。EtOAc溶液を真空で濃縮し、2.93gの表題化合物を得る。RT:8.80分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 740.4(M+H)
【0046】
IV. L−(N−メチル)Ala−L−Val−(2S,4S)−4−(2−シクロヘキシルアセチルアミノ)−2−フェネチルカルバモイルピロリジン、1の合成
50mL丸底フラスコ中、粗化合物33(〜2.8g)を25%ピペリジン/DMFの20mL溶液で30分処理する。混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、エーテルをそれに添加した。得られた固体を濾取し、エーテル層を濃縮して2.10gの黄色油状物を得、それをRP−HPLC(C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、30分)で精製する。透明なフラクションを集め、脱−Fmoc生成物を得る(0.97g)。RT:5.40分(RP−HPLC、C18、10−90%アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 518.3(M+H)。脱−Fmoc化合物(0.445g、0.85mmol)、シクロヘキシル酢酸(0.125g、o.86mmol)およびDIEA(1.0mL)を2mL DMFに溶解する。HBTU/HOBtのDMF(3.0mL)中の0.45mM溶液を、反応混合物に室温で添加し、反応混合物を一晩撹拌する。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いでEtOAc(50mL)で希釈し、水(2×50mL)、10%クエン酸(2×50mL)、水、塩水で十分洗浄し、無水MgSOで乾燥させる。EtOAc溶液を真空で濃縮し、0.53gの綿毛状白色固体を得る。保持時間:8.10分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI (M+H)が観察されない。白色固体を50mL丸底フラスコ中のTFA(100%、10mL)に室温で付し、溶液を1時間撹拌する。溶液を真空で濃縮し、濃黄色油状物を得る(0.42g)。この粗生成物をRP−HPLC(C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、30分)で精製する。透明なフラクションを集め、化合物1、すなわち表題化合物を得る。保持時間:5.66分(RP−HPLC、C18、10−90%)アセトニトリル/0.1%TFA勾配、10分);MS:ESI 542.4(M+H)
【0047】
実施例1−29
以下の化合物を、本明細書に記載のものと類似の方法で、類似の出発物質を使用して製造する:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0048】
本発明の化合物がBIR3ペプチド結合ポケットに結合する能力を測定するために、FMATテクノロジープラットフォームにおける溶液相アッセイを用いる。ビオチニル化Smac7量体ペプチド(AVPIAQK、リジンε−アミノ基をビオチニル化)を、ストレプトアビジン被覆ビーズに固定する。GST−BIR3縮合タンパク質をFMATビーズと沈殿させ、蛍光標識抗−GST抗体を使用して検出する。重要なことに、非ビオチニル化Smacペプチドは、GST−BIR3がFMATビーズから離れるのと非常に有効に競合する(図2)。非ビオチニル化SmacのIC50は400nMである。表1に列記の化合物のIC50値は、記載のFMATアッセイで0.045−10μM範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
はHであり;
はH、C−Cアルキル(非置換またはハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNおよびニトロからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH、−CF、−C、−CH−Zであるか、またはRとRは窒素と共にC−Cヘテロ脂肪族環を形成し;
ZはH、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖アルキル、C−C10分枝鎖アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−Z、−(CH)0−6−フェニル、および−(CH)0−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−het、−C(O)−N(R10)(R11)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−フェニル、−C(O)−O−(CH)1−6−het、−O−C(O)−C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−O−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−O−C(O)−(CH)1−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
hetはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5−7員複素環式環、またはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む少なくとも一つの5−7員複素環式環を含む8−12員縮合環系であり(ここで、該複素環式環または縮合環系は、非置換であるかまたは炭素原子をハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されているか、または窒素をC−Cアルキル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されている);
はH、−CH、−CF、−CHOHまたはCHClであり;
10およびR11は各々独立してH、C−Cアルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−フェニルであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている)、またはR10とR11は窒素と共にhetであり;
XはCHまたはNであり;
はH、C−C10−アルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C−C10−アルキル−アリール、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル−(CH)0−6−フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4−フェニル)、−(CH)0−6−CH(フェニル)2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−(CH)1−6−het、−C(O)−(CH)1−6−hetであるか、またはRはアミノ酸の残基であり(ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
はH、メチル、エチル、−CF、−CHOHまたは−CHClであるか;または
とRは窒素と共にhetであり;
およびRは、環の1位のアシル置換基に対してcisであり、各々独立してH、−C−C10アルキル、−OH、−O−C−C10−アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−O−(CH)0−6−アリール、フェニル、−(CH)1−6−het、−O−(CH)1−6−het、−N(R12)(R13)、−S−R12、−S(O)−R12、−S(O)−R12、−S(O)−NR1213であり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
12およびR13は独立してH、C−C10アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)1−6−hetであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);または分子が細胞膜を通過して移動するのを容易にする置換基であるか、またはR12とR13は窒素と共にhetであり;
アリールは、非置換または置換されているフェニルまたはナフチルであり;
nは0、1または2であり;
ここで、
置換アルキル置換基は、二重結合、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
置換シクロアルキル置換基は、二重結合、C−Cアルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;そして
置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CN、−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−C−アルキルからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式中、RがHまたはメチルであり、Rがメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式中、nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式II
【化2】

で示される立体化学を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式中、RがHまたはメチルであり、Rがメチルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
式中、nが1である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
薬学的に許容される担体と治療的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と治療的有効量の請求項4記載の式IIの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項9】
増殖性疾患の処置のための、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
増殖性疾患の処置のための、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を、処置を必要とする哺乳類に投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
(請求項10)
治療的有効量の請求項4記載の式IIの化合物を、処置を必要とする哺乳類に投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
(請求項11)
哺乳類がヒトである、請求項11記載の方法。
【請求項12】
哺乳類がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項13】
増殖性疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項14】
増殖性疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項4記載の式IIの化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
はHであり;
はH、C−Cアルキル(非置換またはハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNおよびニトロからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH、−CF、−C、−CH−Zであるか、またはRとRは窒素と共にC−Cヘテロ脂肪族環を形成し;
ZはH、−OH、F、Cl、−CH、−CF、−CHCl、−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖アルキル、C−C10分枝鎖アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−Z、−(CH)0−6−フェニル、および−(CH)0−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−N(R)−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−N(R)−C(O)−(CH)1−6−het、−C(O)−N(R10)(R11)、−C(O)−O−C−C10アルキル、−C(O)−O−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−フェニル、−C(O)−O−(CH)1−6−het、−O−C(O)−C−C10アルキル、−O−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−O−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−O−C(O)−(CH)1−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている);
hetはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5−7員複素環式環、またはN、OおよびSから選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含む少なくとも一つの5−7員複素環式環を含む8−12員縮合環系であり(ここで、該複素環式環または縮合環系は、非置換であるかまたは炭素原子をハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されているか、または窒素をC−Cアルキル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−C−アルキルで置換されている);
はH、−CH、−CF、−CHOHまたはCHClであり;
10およびR11は各々独立してH、C−Cアルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−フェニルであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびフェニル置換基は非置換または置換されている)、またはR10とR11は窒素と共にhetであり;
XはCHまたはNであり;
はH、C−C10−アルキル、C−C−シクロアルキル、−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C−C10−アルキル−アリール、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル−(CH)0−6−フェニル、−(CH)0−4CH−((CH)1−4−フェニル)、−(CH)0−6−CH(フェニル)2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−(CH)0−6−フェニル、−(CH)1−6−het、−C(O)−(CH)1−6−hetであり(ここで、アルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
はH、メチル、エチル、−CF、−CHOHまたは−CHClであるか;または
とRは窒素と共にhetであり;
およびRは、環の1位のアシル置換基に対してcisであり、各々独立してH、−C−C10アルキル、−OH、−O−C−C10−アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−O−(CH)0−6−アリール、フェニル、−(CH)1−6−het、−O−(CH)1−6−het、−N(R12)(R13)、−S−R12、−S(O)−R12、−S(O)−R12、−S(O)−NR1213であり(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);
12およびR13は独立してH、C−C10アルキル、−(CH)0−6−C−C−シクロアルキル、−(CH)0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、−C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH)1−6−C−C−シクロアルキル、−C(O)−O−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−O−フルオレニル、−C(O)−NH−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)0−6−アリール、−C(O)−(CH)1−6−hetであるか(ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリール置換基は非置換または置換されている);または分子が細胞膜を通過して移動するのを容易にする置換基であるか、またはR12とR13は窒素と共にhetであり;
アリールは、非置換または置換されているフェニルまたはナフチルであり;
nは0、1または2であり;
ここで、
置換アルキル置換基は、二重結合、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;
置換シクロアルキル置換基は、二重結合、C−Cアルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルおよび−CFからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されており;そして
置換フェニルまたはアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CN、−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−C−アルキルからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式中、RがHまたはメチルであり、Rがメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式中、nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式II
【化2】

で示される立体化学を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式中、RがHまたはメチルであり、Rがメチルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
式中、nが1である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
薬学的に許容される担体と治療的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と治療的有効量の請求項4記載の式IIの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項9】
増殖性疾患の処置のための、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
増殖性疾患の処置のための、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を、処置を必要とする哺乳類に投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
(請求項10)
治療的有効量の請求項4記載の式IIの化合物を、処置を必要とする哺乳類に投与することを含む、増殖性疾患の処置法。
(請求項11)
哺乳類がヒトである、請求項11記載の方法。
【請求項12】
哺乳類がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項13】
増殖性疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項14】
増殖性疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項4記載の式IIの化合物の使用。

【公表番号】特表2006−501181(P2006−501181A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518651(P2004−518651)
【出願日】平成15年7月1日(2003.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007005
【国際公開番号】WO2004/005248
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】