説明

TEWL抑制に好適な皮膚外用剤

【課題】 有機変性粘土鉱物のTEWL抑制作用を更に高め、ストレスに起因する皮膚バリア機能低下に対処する技術を提供する。
【解決手段】 有機変性粘土鉱物とともに、バラ科サクラ属の植物のエキスを皮膚外用剤に含有させる。前記バラ科サクラ属の植物のエキスとしては、バラ科サクラ属オオシマザクラ(Prunus lannesiana var speciosa)の葉部の極性溶媒抽出物が好ましく、更に、ポリグルコシルエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレートコポリマー及びメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ステアリルメタクリレートコポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
経皮的散逸水分量(TEWL)の著しい亢進を伴う皮膚の不調は近年急激に増加しつつある現象の一つであり、TEWLの著しい亢進に伴い、皮膚バリア機能が著しく低下し、これにより皮膚自体が更に過敏さを増すという現象である。近年増加している敏感肌、化学物質過敏症の中には、前記のバリア機能の低下を発端に、これが悪循環を繰り返して症状が重篤になったものが少なくないと言われている。又、この発端となる皮膚バリア機能の低下の原因の一つに過剰に負荷されたストレスに対する生体側の交感神経の著しい亢進があるとも言われている。TEWLの亢進は、更なる交感神経の亢進も招くので、この悪循環を絶ちきることが皮膚改善に肝要であり、この様な技術の開発が望まれていた。この様な皮膚バリア機能の低下に対して有用な技術として、有機変性粘土鉱物を利用した油中水乳化剤形の皮膚外用剤を用いる方法が存する。(例えば、特許文献1を参照)この様な剤形を用いることにより、亢進したTEWLを抑制することは出来るが、かかる剤形のみでは充分な効果が得られない場合が存した。
【0002】
一方、オオシマザクラなどのバラ科サクラ属の植物には、「ネオサクラニン」の様に紫外線吸収能に優れる成分が含有されていること(例えば、特許文献2を参照)、フィラグリン分解促進作用を有する成分を含有すること(例えば、特許文献3を参照)は知られているが、亢進したTEWLとの関係については全く知られていない。
【0003】
1)バラ科サクラ属の植物のエキスと、2)有機変性粘土鉱物とを組み合わせて皮膚外用剤に含有させる技術は全く知られていないし、この様な組合せにより、亢進したTEWLを抑制する作用に優れる皮膚外用剤が得られることも全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2005-145881号公報
【特許文献2】特開平08-133940号公報
【特許文献3】特開2002-20225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、有機変性粘土鉱物のTEWL抑制作用を更に高め、ストレスに起因する皮膚バリア機能低下に対処する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、有機変性粘土鉱物のTEWL抑制作用を更に高め、ストレスに起因する皮膚バリア機能低下に対処する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)バラ科サクラ属の植物のエキスと、2)有機変性粘土鉱物とを含有する皮膚外用剤が、その様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)バラ科サクラ属の植物のエキスと、2)有機変性粘土鉱物とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)前記バラ科サクラ属の植物のエキスが、バラ科サクラ属オオシマザクラ(Prunus lannesiana var speciosa)の葉部の極性溶媒抽出物であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記バラ科サクラ属の植物のエキスが、下記に構造を示す、2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコン及びその塩を0.01質量%以上含有するものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
【0007】
【化1】

2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーン
【0008】
(4)更に、ポリグルコシルエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレートコポリマー及びメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ステアリルメタクリレートコポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)ストレスにより、経皮的水分散逸量(TEWL)が増加した人のためのものであることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)抗炎症作用を訴求した医薬部外品であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機変性粘土鉱物のTEWL抑制作用を更に高め、ストレスに起因する皮膚バリア機能低下に対処する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるサクラ属の植物のエキス
本発明の皮膚外用剤は、バラ科サクラ属の植物のエキスを含有することを特徴とする。バラ科サクラ属の植物としては、例えば、ソメイヨシノ(Prunus yedoensis )、ウワミズザクラ(Prunus grayana)、シウリザクラ(Prunus ssiori)、エゾノウワミズザクラ(Prunus padus )、オオシマザクラ(Prunus lannesiana var speciosa)、ニワザクラ(Prunus glandulosa)、セイヨウミザクラ(Prunus avium)、ミヤマザクラ(Prunus maximowiczii)、チョウジザクラ(Prunus apetala)、マメザクラ(Prunus incisa)、カンヒザクラ(Prunus cerasoides var. campanulata)、エドヒガンザクラ(Prunus pendula f.ascendens)、タカネザクラ(Prunus nipponica )等が好適に例示でき、特にオオシマザクラのエキスが好ましい。サクラ属の植物の植物体よりエキスを得る方法としては、植物体に対して1〜10質量倍の抽出溶媒を加え、所望により攪拌を加えながら、沸点付近の温度であれば数時間、室温であれば約1週間程度浸漬すれば良い。前記植物体の部位としては葉部が好ましく、抽出溶媒としては含水エタノールが好ましく、より好ましくは30〜80%エタノール水溶液である。抽出後は不溶分を濾過などで除き、しかる後、溶媒除去、ついで溶媒添加、再可溶化などで溶媒を1,3−ブタンジオールなどの多価アルコールに置換することも好ましい。斯くして得られたエキスは、前記の2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーンを0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上含有することが好ましい。かかる成分を含有する分画にTEWLの亢進を抑制する作用を有する成分が多く含まれるため、この様な指標をもとに分画、精製することによりTEWLの亢進を抑制する作用を有する成分を濃縮することが出来る。以下に、製造例を示す。
【0011】
<製造例1>
オオシマザクラの樹皮100gを細切し、これに50%エタノール水溶液1Lを加え、2時間加熱還流を行い、放冷後濾過し、これを減圧濃縮、次いで、凍結乾燥に付し、アモルファスを得、これに1Lの1,3−ブタンジオールを加え、可溶化し、エキス1を得た。このものの2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーンの含有量をHPLC(カラム:ODS4.6×150mm、カラム温度:40℃、溶出溶剤:10mMリン酸緩衝40%アセトニトリル水溶液(pH6.8)、流速:1ml、検知:UV290nm)で定量したところ、0.02質量%であった。
【0012】
<製造例2>
オオシマザクラの葉700gを細切し、これに50%エタノール水溶液700mLを加え、2時間加熱還流を行い、放冷後濾過し、これを減圧濃縮、次いで、凍結乾燥に付し、アモルファスを得、これに700mLの1,3−ブタンジオールを加え、可溶化し、エキス2を得た。このものの2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーンの含有量をHPLC(カラム:ODS4.6×150mm、カラム温度:40℃、溶出溶剤:10mMリン酸緩衝40%アセトニトリル水溶液(pH6.8)、流速:1ml、検知:UV290nm)で定量したところ、0.07質量%であった。
【0013】
<製造例3>
ソメイヨシノの葉100gを細切し、これに50%エタノール水溶液1Lを加え、2時間加熱還流を行い、放冷後濾過し、これを減圧濃縮、次いで、凍結乾燥に付し、アモルファスを得、これに1Lの1,3−ブタンジオールを加え、可溶化し、エキス3を得た。このものの2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーンの含有量をHPLC(カラム:ODS4.6×150mm、カラム温度:40℃、溶出溶剤:10mMリン酸緩衝40%アセトニトリル水溶液(pH6.8)、流速:1ml、検知:UV290nm)で定量したところ、0.01質量%であった。
【0014】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である有機変性粘土鉱物
本発明の皮膚外用剤は有機変性粘土鉱物を必須成分として含有することを特徴とする。ここで有機変性とは、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して強固乃至は緩やかな結合を生ぜしめ、有機化合物の性質の一部乃至は全部を粘土鉱物に付与させることを意味し、この様な変性としては4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法、カルボキシル基と粘土鉱物のカチオン部分を結合させる方法等が例示でき、4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法が特に好ましく例示できる。
【0015】
粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物としては、特に限定されるわけではないが、クオタニウムと称される化合物が例示される。クオタニウムとは、低分子の置換第4級アンモニウム塩であって、国際基準化粧品原材料(INCI)に登録された化粧料原料が好ましい。さらに、粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物は、クオタニウム化合物のなかでも、従来の皮膚外用剤に含有されるクオタニウム化合物であることが好ましい。従来の皮膚外用剤で使用されているクオタニウム化合物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等が好ましく例示される。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等は、粘土鉱物とともに安定な油中水乳化構造を形成することができるので好ましい。
【0016】
一方、4級アミノ基を有する化合物で変性される粘土鉱物(未変性粘土鉱物)としては、従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物であれば特段の限定無く使用することができる。従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物としては、スメクタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモンモリロナイト;カオリナイト;イライト;マリーン粘土鉱物(海泥);デザートローズ粘土鉱物;パスカライトなどが好ましく挙げられる。これらのうち、油中水乳化構造を安定化させることができるベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト又はカオリナイトが好ましく例示される。
【0017】
本発明の皮膚外用剤に含有される4級アミノ基を有する化合物で変性された粘土鉱物の製造方法の一例を以下に説明する。
前記未変性粘土鉱物を分散媒に分散させる。該分散剤は水系の溶媒であることが好ましく、水であってもよい。分散未変性粘土鉱物を含む分散液に、さらに4級アミノ基を有する化合物を加え、よく撹拌する。4級アミノ基を有する化合物は、水に溶解されて加えられてもよい。加えられる4級アミノ基を有する化合物の量は、分散未変性粘土鉱物の量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この様な構成を取ることにより、乳化系において、好ましい使用感を呈するためである。撹拌後、分散質を濾取し、脱水、乾固することにより本発明における変性粘土鉱物を得ることができる。あるいは、分散質を濾取することなく、減圧濃縮することにより分散剤を除去して乾固させることにより、本発明における変性粘土鉱物を得ることもできる。得られた変性粘土鉱物は、好ましくは所望のサイズ(粒径が1〜1000μmであることが好ましい)に粉砕され、本発明の皮膚外用剤に含有される。
【0018】
本発明における変性粘土鉱物は、前述したように調製して使用されることもできるが、市販されているものを使用することもできる。市販されている変性粘土鉱物には、化粧料などの皮膚外用剤などとして用いられているものもある。市販されている変性粘土鉱物としては、例えば、エレメンティス社より「ベントン38V」の名称で販売されている、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどが好ましく例示される。
【0019】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分は0.5〜10質量%好ましく含有され、より好ましくは1〜5質量%含有される。かかる成分は、前記の含有量の範囲において、乳化剤として働くと同時に、その塗布時の使用感において、その延展。塗擦時の摩擦係数の変化パターンにより、塗布されている人に心地よさを感じせしめ、以て、リラックスさせ、ストレスを緩和する作用を有する。これにより、ストレスによるTEWLの亢進とTEWLの亢進によるストレスの産生の悪循環を緩和することが出来る。
【0020】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有することを特徴とし、ストレスの起因する、TEWLの亢進を抑制する作用を有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤の剤形としては、通常化粧料で使用されている剤形であれば特段の限定無く適用できるが、例えば、ローション剤形、水中油乳化剤形、油中水乳化剤形、多相乳化剤形などが例示できるが、油中水乳化剤形が特に好ましい。又、皮膚外用剤としては、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが例示でき、化粧料、取り分け、抗炎症作用を訴求した医薬部外品が特に好ましい。前記抗炎症作用を訴求した医薬部外品の形態を取るためには、抗炎症作用を訴求するための有効成分を含有することが好ましく、この様な有効成分としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸などが例示できる。これらの含有量は0.05〜3質量%が好ましい。この様な抗炎症を訴求する医薬部外品においては、その使用態様を明確に示すため、前記グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸などを有効成分として含有し、炎症を抑える作用を有する旨の表示を有することが好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、ストレスの起因する、TEWLの亢進を抑制する目的で使用されることが好ましく、この為には、本発明の皮膚外用剤そのものが持っているこの様な性質に加えて、皮膚バリア機能を高める作用を有する成分を、更に含有することが好ましい。この様な成分としては、ポリグルコシルエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレートコポリマー及びメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ステアリルメタクリレートコポリマーから選択される1種乃至は2種以上が好ましく例示できる。この様な成分には既に市販されているものが存し、かかる市販品を購入して使用することが出来る。市販されている(コ)ポリマーとしては、ポリグルコシルオキシエチルメタクリレート(日本精化株式会社製、「p−GEMA−s」)、ポリメタクリロイルリジン(岐阜シェラック株式会社製、「PMリジン」)、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(日本油脂株式会社製「リピデュア−C」)、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチルコポリマー(日本油脂株式会社製、「リピデュア−PMB」)及びメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリルコポリマー(日本油脂株式会社製、「リピデュア−S」)が好ましく例示される。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分の好ましい含有量は、総量で皮膚外用剤全量に対して、0.05〜1質量%であり、より好ましくは0.1〜0.8質量%である。
【0022】
本発明の皮膚外用剤においては、前記の成分以外に通常皮膚外用剤で使用されている任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0023】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0024】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である医薬部外品(有効成分グリチルリチン酸ジカリウムで抗炎症作用を訴求)を製造した。即ち、イ、ロ、ハ、ニの成分をそれぞれ75℃に加温し、イにロを加え良く混練りし、これにハを加えて希釈し、これに攪拌下徐々にニを加えて乳化した。これを攪拌冷却し、油中水乳化剤形のクリームの形態である医薬部外品1を得た。
【0025】
【表1】

【0026】
<試験例1>
医薬部外品1について、ストレス負荷下、TEWLに対する作用を調査した。即ち、早朝(午前6時)の招集したパネラー5名に2時間帳簿計算をさせた後、前腕内側部に設けた2cm×4cmの部位を4つ作成し5回粘着テープでストリッピングした後に5%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液を2時間貼付し肌荒れを作成し、TEWLをテヴァメータ(インテグラル社製)で測定し、1つの部位は医薬部外品1を50μl塗布し、1つの部位は医薬部外品1の「ベントン38V」を水に置換した比較例1を50μl塗布し、1つの部位は医薬部外品1のサクラエキスを水に置換した比較例2を50μl塗布し、残りの1部位はなにも塗布しないで対照とした。塗布後2時間に部位を水洗し、タオルで水を拭って10分静置した後に再度TEWLを測定した。各サンプルのTEWL改善率((1回目のTEWLの測定値−2回目のTEWL)/1回目のTEWL×100)を求めた。結果を表2に示す。これより、本発明の皮膚外用剤である医薬部外品1は、サクラエキスと「ベントン38V」の相乗作用により優れたTEWL抑制を示していることが判る。又、水洗工程を入れていることから、これは皮膚外用剤による閉塞効果ではないことも明らかである。
【0027】
【表2】

【実施例2】
【0028】
実施例1と同様に、表3の処方に従って本発明の皮膚外用剤である医薬部外品2を製造し、試験例1に従って評価したところ(n=1)TEWL抑制率は10.3%であった。
【0029】
【表3】

【実施例3】
【0030】
実施例1と同様に、表4の処方に従って本発明の皮膚外用剤である医薬部外品3を製造し、試験例1に従って評価したところ(n=1)TEWL抑制率は8.8%であった。
【0031】
【表4】

【実施例4】
【0032】
実施例1と同様に、表5の処方に従って本発明の皮膚外用剤である医薬部外品4を製造し、試験例1に従って評価したところ(n=1)TEWL抑制率は10.8%であった。
【0033】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は抗炎症医薬部外品に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)バラ科サクラ属の植物のエキスと、2)有機変性粘土鉱物とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記バラ科サクラ属の植物のエキスが、バラ科サクラ属オオシマザクラ(Prunus lannesiana var speciosa)の葉部の極性溶媒抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記バラ科サクラ属の植物のエキスが、下記に構造を示す、2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコン及びその塩を0.01質量%以上含有するものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【化1】

2,4,6,10−テトラヒドロキシカルコーン
【請求項4】
更に、ポリグルコシルエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレートコポリマー及びメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ステアリルメタクリレートコポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
ストレスにより、経皮的水分散逸量(TEWL)が増加した人のためのものであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
抗炎症作用を訴求した医薬部外品であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−153809(P2007−153809A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351741(P2005−351741)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】