説明

TRIP鋼からなる薄いストリップ

【課題】冷間圧延又は焼鈍工程を含まない短い製造ラインで製造される高品質のTRIP鋼ストリップを提供する。
【解決手段】溶融鋼から直接鋳造されるTRIP鋼からなる薄いストリップであって、前記鋼が、重量%で、C:0.05〜0.25%、(Mn+Cu+Ni):0.5〜3%、(Si+Al):0.1〜4%、(P+Sn+As+Sb):0.3%以下、(Ti+Nb+V+Zr+希土類):0.3%未満、Cr:1%未満、Mo:1%未満、V:1%未満、残部は鉄及び製造上の不純物からなる組成を有し、また前記鋼はベイナイト相と5%より多い残留オーステナイトを含む微細組織を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄いストリップの形態の鋼を連続鋳造する方法に関する。本発明は特に、薄いストリップの形態のTRIP鋼を溶融金属から直接製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
変態誘起塑性(TRansformation Induced Plasticity:TRIP)鋼は、高い強度と高い延性を併せ持ち、成形加工に特に適している。これらの特性は、特にその微視的組織の長所によって得られる。これは、フェライト母相中に、硬いベイナイト相及び/又はマルテンサイト相、及び組織の5〜20%に相当する残留オーステナイトを有する。TRIP鋼板は一般に、スラブの連続鋳造とそれに続く熱間圧延(これは最も早い方法、従って最も経済的であるがしかし比較的厚い製品が得られる)、又はスラブの連続鋳造とそれに続く熱間圧延、冷間圧延及び焼鈍(薄い製品に使用される方法)のいずれかにより得られる。ベイナイトはオーステナイトを安定化する。
【0003】
以下の問題が、慣用的な連続鋳造及び熱間圧延の方法により得られるストリップから高品質のTRIP鋼板を製造することを困難にしている。最初のスラブを熱間圧延した後、オーステナイトは、400℃(±50℃)の温度で行われるストリップのコイル巻きの間に起こるベイナイト変態中に安定化されなければならない。熱間圧延されたストリップは、水を散布することによってそのコイル巻き温度まで冷却される。この冷却は「再凝結(rewetting)」と称される現象が起こり得る温度範囲で起こる。この現象は、ストリップと接触する水蒸気の不安定さによって惹き起こされるライデンフロスト現象によって起こり、このとき水蒸気の一部が液体状態に戻る。その結果、水蒸気ではない液体の水とストリップとの局所的な接触は、ストリップの不均一な焼入れをもたらす。不均一な焼入れは、ストリップの微細組織に著しい不均質性をもたらし、その機械的特性を低下させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、短い製造ラインで、即ち、冷間圧延又は焼鈍工程を含まないラインで高品質のTRIP鋼ストリップを信頼性をもって製造することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は薄いストリップの形態のTRIP鋼を製造する方法を提供し、この方法は下記の工程を含む:
−厚さ0.5〜10mm、好ましくは厚さ1.5〜5mmのストリップを下記の組成(重量%)を有する溶融鋼から直接鋳造する:C:0.05〜0.25%、(Mn+Cu+Ni):0.5〜3%、(Si+Al):0.1〜4%、(P+Sn+As+Sb):0.3%以下、(Ti+Nb+V+Zr+希土類):0.3%未満、Cr:1%未満、Mo:1%未満、V:1%未満、残部は鉄及び製造上の不純物、;
−前記ストリップを、オンラインで(on-line)前記鋼のAr3温度よりも高い温度で、そして25〜70%の加工率で一回又はそれ以上の回数通過させて熱間圧延し;
−前記ストリップの一回めの強制冷却を、5〜100℃/秒の冷却速度で行い;
−前記ストリップを、5%より多い残留オーステナイト含有量を有するベイナイト変態が内部で起こるのに必要な時間、550〜400℃の温度に保持し、同時にパーライトの形成を防ぎ、次いで二回めの強制冷却により前記ストリップを400℃より低い温度まで下げることによって変態を中断させ;そして
−前記ストリップを350℃よりも低い温度でコイル巻きする。
【0006】
本発明は更に、上記の方法により得られる薄いTRIP鋼ストリップを提供する。
なお、本発明において「オンラインで(on-line)」とは、熱間圧延工程が、ストリップの中間のコイル巻きと移送を行うことなく、ストリップが凝固した後、間もなく、鋳造ラインと同じ製造ライン上で、移動するストリップについて行われる、という意味である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
明らかに本発明の第一の本質的な態様は、ストリップミルで熱間圧延されるスラブを鋳造する標準的な方法に代わる、薄いストリップを溶融金属から直接形成するための鋼の連続鋳造である。このようにして製造されるストリップは、オンラインで熱間圧延され、次いでベイナイト変態の起こる温度範囲まで冷却される。これが、変態が起こりそしてTRIP鋼に特有の必要な微細組織が得られる唯一の時間であり、更なる冷却が行われて変態は中断され、そしてストリップはコイル巻きの温度に冷却される。この温度は、慣用的な方法で製造された熱間圧延ストリップの冷却温度よりも低い。その理由は、ベイナイト変態が既に生じているためであり、そしてまた、コイル巻きされたストリップが変態の起こる温度範囲に保持されることは、微細組織に望ましくない変化が起こる危険性を伴うためである。
【0008】
本発明は、以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
薄いストリップを溶融金属から直接連続鋳造する技術は、ここ数年、炭素鋼、ステンレス鋼、及びその他の鉄系合金の鋳造に実験的に使用されてきたが、TRIP鋼の製造にはまだ使用されていない。鉄系合金を薄いストリップの形態で鋳造するために最も広く使用される技術であって、工業的技術になりつつある過程にあり、そして「二本ロール鋳造」と称される技術において、溶融金属は、反対方向に回転しそして内部冷却される2本の近接する水平ロールの間に供給される。鋳造空間は、ロールの平らな側面に圧接された耐火物の板で横方向が閉ざされている。凝固した金属の「皮(skins)」がそれぞれのロール上に形成され、そしてロール間隙(ロールの円筒形の側面の間の距離が最小であり、そして実質的にストリップの必要とする厚さに相当する領域)で結合して、凝固したストリップが形成される。コイル巻きされる前に、ストリップは、1回又はそれ以上の回数の熱間圧延、冷却、再加熱、等のような様々な熱処理及び/又は熱機械的処理を受けることができる。このような処理のうちの一つの特別な組み合わせが、本発明の一つの本質的な特徴を構成する。
【0009】
本発明によれば、以下に定義される組成を有する鋼が鋳造される(記載された全ての百分率は重量%である)。
炭素の含有量は0.05〜0.25%である。下限は残留オーステナイトの安定化のために必要であり、この安定化は、フェライト相から排除されてオーステナイト相へ移動する炭素の効果によってストリップが冷却するときに起こる。0.25%を超える場合は、ストリップは、TRIP鋼の通常の用途のための十分な溶接性を持たないと考えられる。
【0010】
マンガンの含有量は0.5〜3%である。マンガンの作用は、オーステナイトを安定化し(これはガンマ化(オーステナイト化)元素である)、そして鋼を硬化することである。0.5%未満では、これらの効果は十分に得られない。3%を超える場合は、フェライト母相の形成を保証するにはガンマ化効果が高すぎて、そしてマンガンの過度の偏析が起こって、ストリップの機械的特性を低下させる。マンガンは、同様にガンマ化効果を有する銅及び/又はニッケルと部分的に置き換えることができる。
【0011】
0.5〜2%の銅の含有量を、任意に設定できる(同時にMn+Cu+Niが0.5〜3%の規定の範囲に入っていなければならない)。添加された銅は特に析出硬化を与える。更に、銅はセメンタイトに不溶性であるために、ケイ素及びアルミニウムと同様に、残留オーステナイトに好効果を及ぼす。また、慣用的な方法により製造されるTRIP鋼において添加される銅が禁忌されるような製品の表面状態の劣化の問題が、薄いストリップの鋳造により強制される急速な冷却条件によって避けられる。
【0012】
ケイ素とアルミニウムの合計の含有量は0.1〜4%である。これらの元素はオーステナイト中にセメンタイトが析出することを防ぎ、そして高温でフェライトの形成を促進する。本発明の方法は、以下に説明する理由及び条件下で、TRIP鋼について一般的である含有量(0.2〜1.5%)よりも高いケイ素含有量を可能にする。
【0013】
製品の脆化を抑制するために、燐、スズ、砒素、及びアンチモンの累計は0.3%を超えてはならず、そして燐の含有量は好ましくは0.05%を超えない。
チタン、ニオブ、バナジウム、ジルコニウム、及び希土類も、合計が0.3%を超えない量で添加することができる。これらの元素は、炭化物、窒化物、又は炭窒化物を形成し、高温で結晶粒の成長を阻止し、そして析出により強度を増大させる。
【0014】
最後に、ベイナイト変態を遅くする元素の過剰な存在を避ける必要がある。これは、クロム、モリブデン、及びバナジウムに適用される。いかなる場合も、これらの元素のそれぞれの含有量は、好ましくは1%を超えてはならない。これらの合計の濃度は0.3%を超えてはならず、そして更に好ましくは0.05%を超えてはならない。
【0015】
鋼中に存在する他の元素は、製造上の不純物として通常に見出されるものであり、TRIP鋼の要求される特性に顕著な影響を及ぼさない。
先に記載した規準に適合する組成の溶融金属は、二本ロール鋳造装置で連続的に鋳造されて、厚さ0.5〜10mm、そして更に一般には1.5〜5mmである凝固したストリップを形成する。ロールを出るとき、ストリップは好ましくは密封された包囲体のような不活性化された領域を通る。この領域においては、中性ガス(窒素又はアルゴン)を吹き込むことによって酸素含有量が非常に低い水準に減少され、ストリップの近傍が金属を酸化できない雰囲気が維持される。この雰囲気には、水素を導入することによって還元性を付与することもできる。
【0016】
この不活性化の目的は、ストリップの表面にスケールが形成されるのを避けるか、又はこれを少なくとも著しく減少させることであり、スケールの存在は、引き続く熱間圧延工程の間にストリップの表面にスケールが埋め込まれるような欠陥をもたらす。不活性化装置は、形成されたいかなるスケールをも除去するための装置、例えば回転ブラシ装置で置き換えるか又は補助することができる。熱間圧延の前にこの種の不活性化装置及び/又はデスケーリング装置を使用することの利益の一つは、金属の許容されるケイ素含有量を増加させることを可能にすることである。スラブの鋳造及び熱間圧延によってTRIP鋼を製造する慣用的な方法では、0.25%より多いケイ素含有量を使用することを避けるのが一般的に好ましく、さもなければ、スケール形成の条件は一般的に大量の鉄カンラン石(鉄とケイ素の酸化物)を生成させるものであり、これは熱間圧延の前に除去するのが非常に困難である。スラブが鋳造されてそして開放大気中で冷却される慣用的な装置においては、鋳造されたスラブは、既に大量のスケールを帯びていて、そしてストリップミルに送る前に、周囲温度に保持されて、鋳造ラインから離れた所に置かれた大型の炉(これを不活性化するのは困難である)で再加熱しなければならない。従って、鉄カンラン石を多量に含むスケールの形成を防止することによってストリップの正常な表面状態を得るために、熱間圧延TRIP鋼を製造するための通常の製造ラインでは、先に述べたようにより高いケイ素含有量が冶金学的に顕著な利益を有するにもかかわらず、金属のケイ素含有量を先に挙げた値に制限するのが好ましい。この観点から、オンラインの熱間圧延を伴なった二本ロール鋳造の使用は、慣用的な装置よりも短い鋳造工程と圧延工程の間の距離において、鉄カンラン石の形成を予防又は制限する(あるいは既に形成された全ての鉄カンラン石を除去する)ことをずっと容易にするという利点を有する。
【0017】
次いでストリップは、鋳造後、及び不活性領域がある場合はこれを通過した後、当技術分野で公知の様式によって、一般的に1〜3mmの厚さにオンラインで熱間圧延される。この圧延は、オーステナイト領域で、従って鋳造される品種のAr3温度よりも高い温度で行われなければならない。これは25〜70%の全加工率について適用される。このオンライン熱間圧延は二つの作用を有する。第一に、凝固の間にストリップの芯部に形成された全てのポロシティを潰さなくてはならない。特に、凝固の結果生じた微細組織を“破壊”して、それを微細化し、そして必要とするその最終の微細組織を得ることを可能にしなければならない。この熱間圧延は、一回又はそれ以上の回数で、即ちストリップを単独のロールスタンドに通すことによって、又は連続した複数のスタンドに通すことによって、最初にポロシティを圧着するために少ない圧下を与え、そして残りは最終の厚さに製造するように行うことができる。例として、下記の鋳造厚さ/熱間圧延加工率/最終厚さ、の組み合わせを提案することができる:
【0018】
【表1】

【0019】
熱間圧延後、ストリップは初めて強制的に、例えば水を散布することにより冷却される。この冷却の目的は、ストリップ中にフェライト組織を形成し、同時にパーライトの発生を防ぐことにある。この目的のために、これは5〜100℃/秒、好ましくは25〜80℃/秒の冷却速度で行われなければならず、これは対象となる厚さを有するストリップを冷却するための標準的な技術と完全に両立するものである。遅すぎる冷却速度はパーライトを発生させて、本発明の本質的な特徴の一つであるベイナイト変態を不可能にする。速すぎる冷却速度は、組織が直接ベイナイト領域又はマルテンサイト領域までも移行するために、母相として必要なフェライト組織が得られなくなる危険性を伴う。冷却速度の好ましい範囲は、最良の結果を得ることを更に有望にする。
【0020】
この最初の冷却の速度と時間は、ストリップが、(必要なオーステナイト量を妥当な保持時間で得て、同時に、パーライトが形成されないことを保証するために)550〜400℃、好ましくは530〜470℃の温度範囲の大気中に保持される熱的状態にあって、ベイナイト変態が起きて残留オーステナイトの割合が5%より上で安定化して同時にパーライトの形成を防ぐのに必要な時間でなければならない。一旦この結果が得られたならば、ストリップは、例えば水を散布することにより再度強制的に冷却され、それによって前記の温度範囲外(従って400℃より低い温度)に、好ましくは350℃より低くなければならないコイル巻きの温度にされる。このコイル巻きの温度範囲は、コイル巻きされたストリップの組織に、オーステナイトを不安定化させる炭化物の析出のような、いかなる重大な変化も起こらないように選択される。
【0021】
必要なベイナイト変態を得るのに必要な強制冷却を行わずにストリップが大気中に保持される時間は、正確な鋳造パラメータ、即ち、ストリップの組成及び装置の対応する領域における速度によって変化する。この時間は、対象となる鋼の品種に対する標準的な変態曲線を使用して、得るべき正確な残留オーステナイト含有量の関数として、実験的に決定されなければならない。高いオーステナイト含有量は延性を向上させるが、しかしベイナイト変態の終わりにおける5%未満のオーステナイト含有量は、TRIP効果を得るには不十分なマルテンサイトを形成する。例えば、0.2%の炭素、1.5%のマンガン、及び1.5%のケイ素を含む品種では、ストリップが470℃で10秒間、又は530℃で20秒間保持された場合、6%のオーステナイト含有量が得られる。実際には、この時間は一般に5〜30秒である。
【0022】
鋳造されたストリップが最初に3mmの厚さを有し、ロールを出るとき60m/分で移動すると仮定した場合(これは二本ロール鋳造装置では普通のことである)、ベイナイト変態領域にある熱間圧延されたストリップの速度は、熱間圧延の加工率によって変化する。表2に、前記の仮定に基づいて、ベイナイト変態領域にあるストリップの速度を熱間圧延の加工率の関数として例示する。
【0023】
【表2】

【0024】
上記の条件下で、ストリップについての圧延終了温度を900℃、第1の水散布領域での冷却速度を50℃/秒、500℃のベイナイト変態領域にある時間を10秒、及びストリップを250℃より低い温度に冷却するための第2の水散布領域での冷却速度を50℃/秒とした場合、ストリップは、ミルスタンドからコイル巻き機まで移動するのに、20〜25秒間を要する。従って、これらの二つの装置が約40m離れている場合(これは標準的な2本ロール鋳造装置では妥当なものである)、圧延後のストリップの速度は約2m/秒でなければならず、これは表2から導き出される結論と全く矛盾しない。技術的な観点から、本発明の方法を実行することは、何等の問題も提起しないであろう。要求される結果を得るために、冷却領域の長さ及びそれぞれの領域の冷却用液体の流速を調節することも可能である。このために、冷却領域が、可変数のマニホールドを用いる連続した水散布マニホールドを有する場合、これらの領域の長さの融通に富んだ調節が可能になる。
【0025】
明らかに本発明の方法の必須の工程は、ストリップが熱間圧延後にベイナイト変態領域にとどまって、第2の冷却が短い時間行われ、そしてベイナイト変態が既に起こった温度範囲でストリップをコイル巻きすることである。これによって、ベイナイト変態が再凝結の現象によって影響されることが防がれ、そして信頼性を持ってストリップ中の均質な微細組織が得られる。ストリップを二本ロール鋳造によって(又は更に一般的には0.5〜10mmの厚さ、特に1.5〜5mmの厚さのストリップを鋳造することによって)直接製造し、そしてこれをオンラインで熱間圧延することは、上記の条件下でベイナイト変態を行うことの経済的実行可能性に、実質上欠くことのできない前提条件である。慣用的なストリップミルを出るストリップを550〜400℃に1〜数秒間保持することによって、ベイナイト変態を行うことは実行可能である。しかし、ストリップミルからの出口においてストリップに通常の速度(これはシリンダーの製造ラインの間での鋳造においてオンラインの圧延機を出る速度よりもかなり高い)を与えた場合、ストリップミルの出口からコイル巻き機までの間に過大な距離(500m程度)を必要とし、この解決策の経済的利益を完全になくしてしまう。更に、熱間圧延及び鋳造を伴なうオンラインでのベイナイト変態を行うことによって、エネルギーの面で経費のかかる中間の再加熱を行う必要がない。最後に、ストリップの温度が鋳造とコイル巻きの間だけで降下する本発明の方法に使用される冶金学的変態は、製品の大気温度への最初の冷却の後に得られるであろう、そして熱間圧延の前の再加熱後に少なくとも残留状態で存在するであろう組織によって妨げることはできない。これは最初の半製品の鋳造と最後のストリップのコイル巻きの間の製造ラインが非連続的であった場合に起こり得る。
【0026】
コイル巻きの後、本発明の方法によって得られたストリップは、スラブの連続鋳造と熱間圧延の慣用的な方法により得られた同一の組成のTRIP鋼ストリップと同様な方法で直ちに使用される状態になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TRIP鋼からなる薄いストリップであって、前記鋼が、重量%で、C:0.05〜0.25%、(Mn+Cu+Ni):0.5〜3%、(Si+Al):0.1〜4%、(P+Sn+As+Sb):0.3%以下、(Ti+Nb+V+Zr+希土類):0.3%未満、Cr:1%未満、Mo:1%未満、V:1%未満、残部は鉄及び製造上の不純物からなる組成を有し、また前記鋼はベイナイト相と5%より多い残留オーステナイトを含む微細組織を有していて、そして前記ストリップは、
−厚さ0.5〜10mmのストリップを溶融鋼から直接鋳造し;
−前記ストリップを、オンラインで前記鋼のAr3温度よりも高い温度で、そして25〜70%の加工率で一回又はそれ以上の回数通過させて熱間圧延し;
−前記ストリップの一回めの強制冷却を、5〜100℃/秒の冷却速度で行い;
−前記ストリップを、5%より多い残留オーステナイト含有量を有するベイナイト変態が内部で起こるのに必要な時間、550〜400℃の温度に保持し、同時にパーライトの形成を防ぎ、次いで二回めの強制冷却により前記ストリップを400℃より低い温度まで下げることによって変態を中断させ;そして
−前記ストリップを350℃よりも低い温度でコイル巻きする;
以上の工程を含む方法によって製造されたものであることを特徴とする、TRIP鋼からなる薄いストリップ。
【請求項2】
前記鋼の燐の含有量が0.05%を超えないことを特徴とする、請求項1に記載のストリップ。
【請求項3】
クロム、モリブデン、及びバナジウムの合計の含有量が0.3%を超えないことを特徴とする、請求項1または2に記載のストリップ。
【請求項4】
クロム、モリブデン、及びバナジウムの合計の含有量が0.05%を超えないことを特徴とする、請求項3に記載のストリップ。
【請求項5】
銅の含有量が0.5〜2%であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のストリップ。

【公開番号】特開2011−47054(P2011−47054A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−254560(P2010−254560)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2000−228065(P2000−228065)の分割
【原出願日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願人】(506166491)アルセロールミタル・フランス (43)
【Fターム(参考)】