WNT10由来のペプチド及びその用途
本発明は、WNT10由来のペプチド、並びにこれを含む脱毛改善組成物、皮膚改善組成物、WNT10シグナル伝達経路関連疾患、及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物に関する。本発明のWNT10由来のペプチドは、天然のWNT10蛋白質と同一あるいは類似した機能を有して、安定性が天然のWNT10蛋白質と比較して非常に優れており、皮膚透過度に非常に優れている。したがって、本発明のペプチドを含む組成物は、脱毛の改善(例えば、発毛の促進又は毛髪の生成)に非常に優れた効能を有するだけではなく、WNT10シグナル伝達経路関連疾患及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療に卓越した効能を発揮する。また、本発明のペプチドは、活性及び安定性に優れるため、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WNT10由来のペプチド及びこれを含む脱毛改善及び皮膚改善組成物、WNT10シグナル伝達経路関連疾患及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛包(毛嚢)は、哺乳動物の皮膚の独特の器官であって、原始表皮の基底部が成長し、より内部の皮膚層に発達した器官である。毛包の基部には、小嚢又は真皮乳頭細胞として知られた細胞のプラグが存在し(非特許文献1参照)、乳頭は、毛包の正常な循環(非特許文献2〜3参照)及び毛幹の成長に必須である。毛幹は、ケラチンフィラメントと、それに強固に付着したフィラメント凝集蛋白質とで構成された、糸状の上皮細胞である。
【0003】
人間の毛髪は、周期的に成長期、退行期、休止期を繰り返して、毛髪が抜けて再び生成される過程を経る。毛髪の周期は、ホルモン調節や多くの成長因子などの調節を通じてなされる。一方、激しいストレスや栄養欠乏などにより、毛髪は早い退行期を経て休止期に入り、重度の毛髪脱落(脱毛症状)を誘発する(非特許文献4参照)。男性型脱毛症において、頭皮の前面及び上部の毛包は、毛包の破壊というよりは毛包の小形化を引き起こすアンドロゲンに感受性を有し、それにより毛髪脱落が生じる。つまり、男性ホルモンであるアンドロゲンの過度の分泌により、5α還元酵素が活性化されて、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に転換される。このように生成されたジヒドロテストステロンは、毛髪の育つ期間を短縮させて、毛包を小形化させ、太くて丈夫な成毛の数を減少させることにより、脱毛を誘発させる。また、脱毛症の女性の20%は、頭皮上部の毛髪が薄くなる特徴を示す、女性型脱毛症と呼ばれる数種類の疾患を経験すると推定される。年を取るにつれて、脱毛が拡散される。更に、例えば、傷跡脱毛症や、火傷及び圧迫傷害を含む傷跡形成状態のような相異なる疾患状態が顕著な脱毛を起こしてしまうこともある。原因が何であれ、現代社会の女性進出が多くなり、男性も外見に気を配るようになって、脱毛は、自尊心の喪失と共に、顕著な精神的、社会的及び性的影響力を有する可能性がある。このような脱毛現象を治療するために、今までは医薬品として様々な物質などが使用されてきたが、値段が高すぎ、また、様々な副作用が誘発されている。更に、このような医薬品は、持続的な使用を必要として、使用を中断した時は、再び脱毛が誘発される短所がある。一方で、効能に対する個人差が大きくて、副作用においても個人差があるという短所がある。
【0004】
その他、化粧品に利用されている原料は、値段は安いものの、植物抽出物由来の成分から構成されているため、実際その効能は大きくないという短所がある。したがって、生体安定的でありながら、効果面や価額面の短所を補完するために、WNT10と類似した機能を有するWNT10由来のペプチドを化学的な合成方法を利用して、効能のよいペプチドを蛋白質に比べて安価で且つ大量に生産することができる方法を開発して、皮膚内に容易に浸透できるようにナノソーム技術を利用して、皮膚内浸透度が高くて大きい効果を奏する製品を開発した。このペプチドは、毛根を生成できるようにする皮膚組織の毛髪の毛包にある幹細胞の増殖及び分化を誘導し、新しい毛包を生成できるようにする。そして、ジヒドロテストステロンから誘導されたDKK−1脱毛遺伝子が存在して、WNT機能を抑制する状況でも、ペプチドはWNT−βカテニンのシグナルを活性化させて、発毛促進遺伝子を発現させる。また、ペプチドは、毛髪が生成されて成長される時期である成長期を促進させる役割をして、様々な環境的な要因により退行期に向かっていく毛髪の周期を成長期にとどまるようにすることにより、脱毛抑制効果を示し、正常毛髪では、毛髪の成長と毛髪に栄養分を供給して、健康な毛髪に大きく影響する。今まで知られた二つの利用可能な薬物(ミノキシジル及びフィナステリド)は、更なる脱毛を遅延させることはできるが、実際に新しい毛包の再生を誘導するためには、どれも利用することができなかった。また、多くの頭髪化粧品のうち、植物抽出物などを利用した脱毛防止製品がたくさん市販されているが、特に、クララ、カラシ、当薬、桑白皮、桑葉、人参、甘草、芍薬、アカヤジオ、ウイキョウ、サンシュユ、ニンニクなどの抽出物を含有した製品、キサンチン及び成長ホルモンを含有する組成物を添加して、ジヒドロテストステロンの過剰による細胞代謝抑制を改善すると同時に、成長ホルモンが毛髪成長を促進することにより、脱毛防止及び毛髪を再生して、毛髪成長促進効果を示す製品、発毛及び毛髪の成長を促進するために、ミネラル及びビタミン類、緑茶、ローズマリー、ヨモギ、甘草抽出液を含有した製品を開発して、頭皮と毛髪に栄養を供給し、脱毛の予防及び毛髪成長促進に効果がある発毛促進用製品、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン及び葉酸などの物質と植物抽出物を混合して、人体内の5α還元酵素を抑制し、男性ホルモンの代謝過程でジヒドロテストステロンが形成されないようにして、髪の毛の新陳代謝作用を助けるような男性型脱毛製品が開発されたが、新生毛髪の生成にまで影響を及ぼす製品は探すことが難しかった。一方、日本の東京慈恵会医科大学の健康医学センター研究グループ臨床チームにより、糖尿などに効能がよいと判定されたコロソリン酸などを利用した製品を開発して、人体内の5α還元酵素を抑制して、毛髪成長に卓越な機能をする製品が開発されたこともある。
【0005】
毛髪の成長及び退化の過程には、非常に多い要因が連係されているが、本発明者らは、毛根の生成において最も主要な毛髪の角質細胞の増殖を促進して、毛髪への分化を誘導するための研究及び毛髪周囲の栄養分を供給して、血管内皮成長因子の活性を促進させる一連の成長因子を活用した研究を行った。特に、毛髪の周期を勧奨する様々な成長因子のうち、ヒト由来のWNT10は、細胞から信号を伝達して毛髪に影響を与えるが、このようなWNT10のシグナル伝達経路は、分泌されたWNT10とこれらの受容体であるFrizzled蛋白質との相互作用により活性化されて、この際、LDL受容体関連蛋白質であるLRP5及びLRP6が補助受容体として作用する(非特許文献5参照)。WNT10信号伝達の下流の作用は、DVL(Disheveled)蛋白質の活性化及びAktの活性化を通じて、Axin−βカテニン−GSK3β−複合体を関与させる(非特許文献6参照)。以後、GSK3βがリン酸化及び不活性化されて、βカテニンのリン酸化及び分解が抑制される。蓄積されたβカテニンは、核に転位して、リンパ様エンハンサー因子−T細胞因子(LEF−TCF)族の転写因子と相互作用して、標的遺伝子の転写を誘導する。このように発現された蛋白質は、毛髪の成長と分化に重要な役割を果たし、毛細胞が新しく生成できるようにする。更に、男性ホルモンによるDHTの機能を低下させることにより、脱毛を防止する機能を有している。
【0006】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stenn and Paus, Physiol. Rev., 81: 449(2002)
【非特許文献2】Oliver, Embryol. Exp. Morph. 15: 331(1966)
【非特許文献3】Oliver, Embryol. Exp. Morph. 16: 231(1967)
【非特許文献4】Vladimir A. Botchkarev, American Journal of Pathology, 162(3): 709−712(2003)
【非特許文献5】Clin Cancer Res 2007;13(14) July 15, 2007, WNT Signaling Pathway and Stem Cell Signaling Network
【非特許文献6】Fukumoto et al., J. Biol. Chem., 276: 17479−17483(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、天然のWNT10と同一若しくは類似した機能又は作用を有すると同時に、WNT10蛋白質より活性、皮膚透過度及び安定性に優れる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、たくさんのペプチド候補物質の中で、生理活性(例えば、脱毛改善、細胞成長促進能、フィブロネクチンの発現促進など)に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたWNT10由来のペプチドを合成することにより、本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、配列番号1のペプチドを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、脱毛改善用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、皮膚状態改善用組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、WNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、DKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、天然のWNT10と同一若しくは類似した機能又は作用をすることが可能であるとともに、WNT10蛋白質より活性、皮膚透過度及び安定性に優れている物質を開発するために鋭意研究した。その結果、たくさんのペプチド候補物質の中で、生理活性(例えば、脱毛改善、細胞成長促進能、フィブロネクチンの発現促進など)に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたWNT10由来のペプチドを合成した。
【0016】
本発明者らは、WNT10蛋白質が効能は非常に優れているが、活性形WNT10蛋白質を得るためには、リフォールディングという追加工程と時間が要求され、また、精製過程で大腸菌由来の汚染源を除去するための複雑な精製過程を必要とし、安定性及び高い分子量による毛髪の保護膜を容易に越えられないという点などが高い値段と相まって活用度を落としてしまう短所を補完するために、WNT10蛋白質と類似した機能を有すると共に安定性が高いペプチドを開発して製品に応用することにより、新規で且つ経済的な競争力を有する類似体を開発するに至った。
【0017】
本発明のペプチドは、WNT10由来のアミノ酸配列から構成された群から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、本発明におけるペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有することを必須とする。本明細書において用語‘ペプチド’は、ペプチド結合により、アミノ酸残基が互いに結合されて形成された線形の分子を意味する。
【0018】
本発明のペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に固相合成法により製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85:2149−54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0019】
本発明のペプチドは、WNT10蛋白質内に存在する複数の部位を無作為的に部分合成して、受容体蛋白質に対する結合可能部位を1次探索した後、この予測された部位のアミノ酸配列を最適化して本発明のペプチドとして選定し製造して、これらの候補ペプチドのうち、最も活性に優れたペプチドをスクリーニングすることにより、本発明のペプチドが提供される。
【0020】
配列番号1のペプチドは、天然WNT10と類似した作用を行って、受容体と結合し、成長因子のような機能を行うペプチドである。
【0021】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、角質細胞及び線維芽細胞の成長促進能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、フィブロネクチンの発現を促進させる。
【0022】
また、本発明のペプチドは、WNTシグナリングを活性化させる機能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、βカテニンを核内に伝達する。
【0023】
本発明のペプチドは、ペプチドそのものが天然のWNT10蛋白質より安定性に優れているが、アミノ酸の改変により安定性が更に向上できる。
【0024】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのN−末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基、及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される保護基が更に結合されている。
【0025】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドは、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される保護基が結合できて、天然の改変成長因子より安定性が高いペプチドを提供する。
【0026】
上述のアミノ酸の改変は、本発明のペプチドの安定性を大きく改善する作用を有する。本明細書において用語‘安定性’は、インビボの安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も意味する。上述の保護基は、生体内の蛋白質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する作用をする。
【0027】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む脱毛治療又は改善用組成物を提供する。
【0028】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0029】
本発明の組成物は、上述の本発明の成長因子関連ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0030】
本発明の好ましい具現例によると、前記組成物は、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチド、又は前記全てのペプチドを更に含む。
【0031】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドによる脱毛治療又は改善は、発毛促進又は毛髪生成である。
【0032】
下記の実施例で立証されたように、本発明のペプチドは、線維芽細胞及び角質細胞成長促進能力を有して、WNT蛋白質の代表的なシグナリングであるβカテニンシグナルを促進させる。またDKK−1というWNT抑制剤が存在しても、本発明のペプチド処理により、WNTのシグナルが正常に作動することを確認した。WNTのターゲット遺伝子であるフィブロネクチンの発現も、本発明のペプチド処理により増加して、また、DKK−1が存在しても、本発明のペプチドを処理すると、フィブロネクチンの発現量が増加することを確認した。このような結果に基づいて行った動物実験を通じて、本発明のペプチドが毛髪成長を著しく促進するということが分かった。したがって、本発明の組成物は、毛髪の成長及び皮膚状態の改善に非常に効果的である。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドによる皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、傷の除去又は皮膚再生である。
【0034】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む、WNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物を提供する。
【0035】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む、DKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物を提供する。
【0036】
本発明の組成物は、上述の本発明の成長因子関連ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0037】
本発明の好ましい具現例によると、上述のWNT10シグナル伝達経路関連疾患は、眼疾患、脂肪−調節疾患(lipid−modulated disorder)、骨疾患又は腫瘍疾患であり、より好ましくは、骨疾患又は腫瘍疾患である。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、上述の骨疾患は、骨発生疾患、骨の骨折、骨の老人性損失、軟骨異栄養症、高カルシウム血症、過骨症、不完全骨形成症、骨軟化症、骨髄炎、骨多孔症、パジェット病、骨関節炎及びくる病からなる群から選択される。
【0039】
本発明の好ましい具現例によると、上述の腫瘍疾患は、大腸癌腫、乳癌腫又は黒色腫である。
【0040】
本発明の好ましい具現例によると、上述の脂肪−調節疾患は、心臓状態、アテローム性動脈硬化症、家族性リポ蛋白質リパーゼ欠乏症、第3型高リポ蛋白血症、家族性高コレステロール血症、家族性高トリグリセリド血症、多発性リポ蛋白型高リポ蛋白血症、透析及び/又は糖尿による脂肪増加及び家族性アポ蛋白質CII欠乏症からなる群から選択される。
【0041】
本発明の好ましい具現例によると、上述のDKK−1蛋白質誘発性疾患は、糖尿病又は筋肉の修復及び再生であり、上述の糖尿病は、インシュリン−耐性及び低インシュリン血症の治療に係わっている。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)上述の本発明の成長因子関連ペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0043】
本明細書において用語‘薬剤学的有効量’は、上述の成長因子関連ペプチドの効能又は活性を達成するに十分な量を意味する。
【0044】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体としては、製剤時に通常利用されるものであって、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを更に含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0045】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、又は多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又はゲル(例えば、ハイドロゲル)の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0046】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)上述の本発明の成長因子関連ペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物である。
【0047】
本明細書において用語‘化粧品学的有効量’は、上述の本発明の組成物の皮膚改善効能を達成するに十分な量を意味する。
【0048】
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常製造される、いかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形として製造することができる。
【0049】
本発明の化粧品組成物の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが利用できる。
【0050】
本発明の化粧品組成物の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような通常用いられる噴霧剤を更に含むことができる。
【0051】
本発明の化粧品組成物の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が利用でき、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0052】
本発明の化粧品組成物の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー、トラガカントなどが利用できる。
【0053】
本発明の化粧品組成物の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0054】
本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチド類と担体成分の他に、化粧品組成物に通常利用される成分を含むが、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常用いられる補助剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の特徴及び利点を要約すると、以下の通りである:
(i)本発明のWNT10由来のペプチドは、天然のWNT10蛋白質と同一あるいは類似した機能を果たすことができる。
(ii)本発明のペプチドは、安定性が天然のWNT10蛋白質と比較して非常に優れており、皮膚透過度に非常に優れている。
(iii)したがって、本発明のペプチドを含む組成物は、脱毛の改善(例えば、発毛の促進又は毛髪の生成)に非常に優れた効能を有するだけではなく、WNT10シグナル伝達経路関連疾患及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療に卓越な効能を発揮する。
(iv)上述の本発明のペプチドの優れた活性及び安定性は、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の合成例により製造された配列番号1のペプチドの高性能液体クロマトグラフィー分析結果である。
【図2a】図2aは、本発明の合成例により製造されたペプチドを処理した角質細胞の細胞成長促進効果を示したグラフである。
【図2b】図2bは、本発明の合成例により製造されたペプチドを処理した線維芽細胞の細胞成長促進効果を示したグラフである。
【図3】図3は、本発明のペプチドを処理した角質細胞及び線維芽細胞の細胞成長促進効果を顕微鏡で確認した写真である。
【図4】図4は、本発明のペプチドを処理した時、ki−67細胞増殖蛋白質の発現量が増加することを示す免疫染色結果である。
【図5a】図5aは、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、角質細胞の成長が更に促進されたことを示す結果である。
【図5b】図5bは、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、線維芽細胞の成長が更に促進されたことを示す結果である。
【図6a】図6aは、本発明のペプチドによるβカテニンの発現変化を測定したウェスタンブロットの結果であって、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子であるDKK−1により減少されたβカテニンの発現が本発明のペプチド処理により回復されて、再び増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図6b】図6bは、本発明のペプチドによりβカテニンの活性が増加されることを示す免疫染色結果である。
【図7】図7は、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの発現が更に増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図8】図8は、本発明のペプチドによりβカテニンの活性が増加して、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの活性が更に増加することを示す細胞免疫染色結果である。
【図9a】図9aは、本発明のペプチド処理によるフィブロネクチンの発現変化を示すグラフであって、ペプチドの処理時間によってフィブロネクチンの発現が増加することを示す。
【図9b】図9bは、本発明のペプチドによるフィブロネクチンの発現変化を測定した結果であって、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子であるDKK−1により減少されたフィブロネクチンの発現が本発明のペプチド処理により回復されて再び増加した。
【図10】図10は、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、フィブロネクチンの発現が更に増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図11】図11は、本発明のペプチドの熱安定性を比較したグラフである。
【図12】図12は、本発明のペプチドを処理したマウスの背中皮膚の毛髪成長効果である。
【図13a】図13aは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により毛包が生成されるだけではなく、DKK−1蛋白質により退化した毛包が、ペプチド複合体を同時に処理することにより、体毛の毛包が退化せず生成されることを示す結果である。
【図13b】図13bは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からβカテニンの発現が増加されることを示す結果である。
【図13c】図13cは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からWNT蛋白質の発現が増加されることを示す結果である。
【図13d】図13dは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からKi−67蛋白質の発現が増加されることを示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0058】
<合成例1:Arg−Gln−Thr−Arg−Val−Gln−Arg−Cys−His−Cys(配列番号1)の合成>
クロロトリチルクロライドレジン(chloro trityl chloride resin;CTL resin, Nova Biochem Cat No. 01−64−0021)700mgを反応容器に入れて、メチレンクロライド(MC)10mLを加えて3分間攪拌した。溶媒を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10mL入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。反応容器に10mLのジクロロメタン溶液を入れて、Fmoc−Cys(trt)−OH(Bachem, Swiss)200mmol及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmolを入れた後、攪拌してよく溶かして、1時間攪拌しながら反応させた。反応後、洗浄して、メタノールとDIEA(2:1)をDCM(dichloromethane)に溶かして10分間反応した後、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10mL入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20体積%のピペリジン/DMF)10mLを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、それぞれ3分間ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄して、Cys(trt)−CTL Resinを製造した。新しい反応容器に10mLのDMF溶液を入れて、Fmoc−His(trt)−OH (Bachem, Swiss)200mmol、HoBt 200mmol、及びBop 200mmolを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応容器に400mmolのDIEAを分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応した。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応させたレジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応の程度を点検した。脱保護溶液で上記と同様に2回脱保護反応し、His(trt)−Cys(trt)−CTL Resinを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc−Cys(trt)、Fmoc−Arg、Fmoc−Gln(trt)、Fmoc−Val、Fmoc−Arg、Fmoc−Thr、Fmoc−Gln(trt)、及びFmoc−Arg(pbf)順に連鎖反応を行った。Fmoc−保護基を脱保護溶液で10分間ずつ2回反応した後、よく洗浄して除去した。無水酢酸、DIEA、及びHoBtを入れて1時間アセチル化を行った後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P2O5下で真空に減圧して完全に乾燥し、脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA)95%、蒸留水2.5%、チオアニソール2.5%]30mLを入れた後、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mLの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、更に2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のNH2−Arg−Gln−Thr−Arg−Val−Gln−Arg−Cys−His−Cys−OHペプチド1を0.65g合成した(収率92.6%)。分子量測定器を利用して測定時、分子量1287.1(理論値1286.5)を得ることができた。
【0059】
<合成例2:他のペプチドの合成>
上記合成例1と同様の方法を利用して、配列番号2及び配列番号3のペプチドを合成した。上述のペプチドの配列は、下記のようである:配列番号2(Ac−Tyr−Lys−Ser−Lys−Lys−Gly−Gly−Trp−Thr−His:Ac−YKSKKGGWTH)及び配列番号3(Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp:ELIEH−リンカー−RPAD、リンカー:Gly−Gly−Gly)。
【0060】
【表1】
【0061】
<試験例1:合成ペプチドの細胞成長効果>
合成例1及び2で合成された配列ペプチドに対する成長因子の類似効能及び抑制効能を分析するために、リジノらの方法(Rizzino, et al. Cancer Res. 48:4266(1988))を参照し、HaCaT角質細胞株(韓国細胞株バンク)とNIH3T3線維芽細胞(韓国細胞株バンク)を利用したSRB(Sulforhodamine B)比色法を利用して測定した。
【0062】
HaCaT角質細胞株及びNIH3T3線維芽細胞を、それぞれ250mL容量の組織培養用フラスコを利用して、10%牛胎児血清(FBS;fetal bovine serum, Sigma)を含むDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM, Gibco, U.S.A.)で培養した。培養された細胞株を1%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないDMEM培養液に再び懸濁した後、96ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり3×103細胞になるように入れて、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一な培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための10%DMSOに滅菌状態で溶解した空試料、合成ペプチド(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、及び10μg/mL)及びペプチド複合体(1μg/mL)を、上記と同一の条件で72時間培養した。培養が完了した後、培養上清液を除去して、エタノールを利用して細胞を固定化し、細胞固定が終わった後、PBSで3回洗浄した。洗浄溶液を除去した後、比色SRB溶液で処理し、1%酢酸で十分洗浄した後、顕微鏡で細胞を観察して、生存細胞の状態を観察し、紫外線590nmで吸光度を測定して、細胞の生存状態を測定した。また、上記と同一な方法で培養した後、組織をki−67抗体(SantaCruz, U.S.A.)を使用して免疫染色化学法を行って、細胞増殖マーカーであるki−67蛋白質の発現量を観察した。
【0063】
図2は、本発明のペプチド処理が角質細胞(図2a)及び線維芽細胞(図2b)の成長を大きく増加させたことを示す。
【0064】
図3は、細胞にペプチド処理して72時間後、細胞の形態変化を顕微鏡で観察した結果である。本発明のペプチドが角質細胞及び線維芽細胞の成長及び形態学的形を変化させたことを示す。
【0065】
図4は、本発明のペプチドが角質細胞において、細胞増殖マーカー(ki−67蛋白質)の発現を増加させたことを示す結果である。
【0066】
図5は、ペプチド処理後の角質細胞(図5a)及び線維芽細胞(図5b)の成長に対する結果である。図5aと図5bから分かるように、各ペプチドのみを処理した場合に比べ、本発明のペプチド複合体を処理した場合、角質細胞と線維芽細胞の成長が大きく増加したことを確認することができた。
【0067】
<試験例2:合成ペプチドのβカテニンの発現量増加の効果分析>
48時間培養したHaCaT細胞に合成例1で合成したペプチドを処理して5時間経過後、WNT蛋白質の代表的なシグナリングで、発毛促進に必須な信号物質であるβカテニンの発現度を測定した。発現量は、βカテニンの抗体(SantaCruz, U.S.A.)を利用して、ウェスタンブロットを通じて観察し、同一の抗体を利用して、免疫染色化学法を利用し、βカテニンが核内に伝達されるかどうかを観察した。本発明のペプチドを処理した場合、βカテニンの発現が増加されることを確認して、DKK−1のWNT抑制剤及びβカテニンシグナリング抑制剤が存在しても、ペプチドを処理した時、βカテニンの活性があらわれることを確認した(図6a)。また、ペプチドは、HaCaT細胞において、免疫染色化学法を利用してβカテニンが核内に伝達されるかを測定した時も、βカテニンがペプチドによって細胞質から核内に伝達されて、細胞質においても依然として存在し、活性をあらわすことを確認することができた(図6b)。
【0068】
図6aは、本発明のペプチドを処理した時、βカテニンの発現が増加することを示し、DKK−1遺伝子と同時に処理した時もβカテニンの発現が再び増加することを示している。
【0069】
図6bは、本発明のペプチドによるβカテニンの核内伝達過程を免疫染色化学法で観察した結果であって、βカテニンが核内に伝達されることを示している。
【0070】
図7及び図8から分かるように、各ペプチドのみを処理した場合に比べ、本発明のペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの発現が更に増加したことを確認することができた。
【0071】
試験例1及び2の実験結果をまとめてみると、本発明のペプチドは、非常に優れた発毛促進及び脱毛抑制機能を発揮し、抗老化にもその機能を発揮することが分かる。
【0072】
<試験例3:合成ペプチドによるフィブロネクチンの発現量増加>
合成例1で合成したペプチドのWNTのターゲット蛋白質であるフィブロネクチンの発現量が増加するかどうかに対する結果を観察するために、線維芽細胞を6ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり4×103細胞になるように入れて、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一の培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための10%DMSOに滅菌状態で溶解した空試料、3つの合成ペプチド(1μg/mL)、及びペプチド複合体(1μg/mL)で処理した後、上記と同一条件で3時間、10時間、24時間又は48時間培養した。72時間培養した後、培養溶液を回収し、フィブロネクチンELISA kit(R&D systems, U.S.A.)を利用して、培養液中のフィブロネクチンの発現量を測定した。
【0073】
図9aから確認できるように、フィブロネクチンの発現量がペプチドの処理時間によって増加することを確認することができた。また、DKK−1蛋白質を処理して、上記と同一な培養条件で培養した後、フィブロネクチンの発現量を観察した時、図9bから分かるように、DKK−1により抑制されたフィブロネクチン発現が、ペプチドとDKK−1とを同時に処理した時、フィブロネクチンの発現量が再び回復し、増加することが確認できた。
【0074】
図9aは、線維芽細胞に本発明のペプチドを時間別に処理してフィブロネクチンの発現を測定した結果であって、本発明のペプチドの処理時間によってフィブロネクチンの発現が増加した。
【0075】
図9bは、本発明のペプチドが線維芽細胞において、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子(DKK−1)により誘導されたフィブロネクチンの減少を回復させる効果を示す結果である。図9aと同一な培養条件でDKK−1により減少されたフィブロネクチンの発現量が本発明のペプチド処理によって回復された。
【0076】
図10から確認できるように、対照群と比較し、各ペプチドを72時間処理した場合、フィブロネクチンの発現量が増加して、各ペプチドを複合体として処理した場合、最も多いフィブロネクチンの発現量を観察することができた。
【0077】
このような結果は、DKK−1というWNT抑制剤及び脱毛遺伝子が存在しても、本発明のペプチドによりWNT−βカテニンシグナリング経路が作動し、発毛促進及び脱毛抑制、ひいては抗老化に寄与するということを意味する。
【0078】
<試験例4:製造されたペプチドの熱安定性>
合成例1で製造されたペプチド及びNIBSC(UK)で購入した標準品成長因子(WNT10)をそれぞれ0.1mg/mLの濃度となるようにリン酸緩衝溶液で調製した。用意された溶液を1mLずつガラス製バイアルに入れた後、37℃で静置した。37℃に静置された溶液を0日目、5日目、10日目、20日目、30日目、40日目、及び70日目にサンプリングして、日付別に遠心分離し、変性されたペプチドや蛋白質を除去して、上澄み液を取って、HPLCを利用して定量した(図11)。
【0079】
<試験例5:製造されたペプチドを処理したマウスの体毛成長効果>
合成例1で製造されたペプチドをナノソーム化して、背中の皮膚を除毛したC57BL/6マウスに1日2回、15日間塗布した。対照群としては、リン酸緩衝液を1日2回ずつ塗布した。塗布してから9日目に、マウスの背中皮膚に黒く毛が育つことを確認することができ、塗布してから15日目には、対照群に比べ多い量の毛が育ったことを確認することができた(図12)。
【0080】
<試験例6:毛包培養時のペプチド複合体の毛包における蛋白質発現作用の分析>
Balb/Cマウスの体毛の毛包を手術用ナイフで切開し、エタノールで洗浄した後、PBSとDMEM培養溶液で更に洗浄した。このように洗浄の完了した毛包に、DMEM培養溶液に製造された各ペプチド複合体を5μg/mLの濃度で処理した後、5日間37℃、5%CO2条件下で培養した。5日後、培養が完了した毛包は、パラフィンブロックに製作し、H&E染色を通じて、対照群とペプチド複合体を処理した組織、DKK−1、DKK−1とペプチド複合体を処理した組織をそれぞれ比較した(図13a〜13d)。
【0081】
図13aは、本発明のペプチド複合体により、DKK−1で誘導された毛包細胞の退化が抑制されることを示す結果である。対照群にDKK−1を処理すると、毛包が退化されるのに対し、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した場合は、毛包が退化せず、生成されることを確認することができた。
【0082】
図13bは、本発明のペプチド複合体によりDKK−1で誘導されたβカテニンの発現抑制が回復されることを示す結果である。対照群にDKK−1を処理すると、βカテニンの発現が抑制されるが、この際、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理すると、βカテニンの発現が抑制されず、急激に増加することを確認することができた。
【0083】
図13cから確認できるように、対照群にDKK−1を処理した後、毛包でWNTの発現が抑制された。しかし、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した毛包からWNTの発現が増加した。これは、本発明のペプチド複合体が、毛の周囲にある細胞の成長と共に毛包の生成を促進させることを意味する。
【0084】
図13dから分かるように、対照群にDKK−1を処理した後、毛包からki−67の発現が抑制された。しかし、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した毛包からki−67の発現が増加した。
【0085】
このような結果は、体毛の毛包部分においてDKK−1により細胞が成長せず、却って細胞が死んで毛包の退化が誘発されて、これは、本発明のペプチド複合体の処理により克服されることができることを意味する。また、本発明のペプチド複合体は、毛包細胞の増殖及び生成を促進させることをできることを示す。
【0086】
(実施例1:ナノ化ペプチドの製造)
前記合成例で得られたペプチド50mgをそれぞれ正確に秤量した後、蒸留水500mLで十分攪拌して溶解した。得られたペプチド溶液を、レシチン5g、オレイン酸ナトリウム(sodium oleate)0.3mL、エタノール50mL、及び少量の油相と共に混合した後、総量が1Lとなるように蒸留水で調節した後、マイクロ流動化装置(microfluidizer)を利用して高圧で乳化し、大きさ100nm程度のナノソームを製造した。製造されたナノソームは、最終濃度が約50ppmで、単独あるいは複合的に化粧品製造用として使用された。
【0087】
<剤形例1:柔軟化粧水>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる柔軟化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表2】
【0088】
<剤形例2:栄養クリーム>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養クリームを、一般的な栄養クリームの製造方法により製造した。
【表3】
【0089】
<剤形例3:栄養化粧水>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表4】
【0090】
<剤形例4:エッセンス>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるエッセンスを、一般的なエッセンス製造方法により製造した。
【表5】
【0091】
<剤形例5:ヘアセラム>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアセラムを、一般的なヘアセラム製造方法により製造した。
【表6】
【0092】
<剤形例6:ヘアトナー>
前記実施例で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアトナーを、一般的なヘアトナー製造方法により製造した。
【表7】
【0093】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【技術分野】
【0001】
本発明は、WNT10由来のペプチド及びこれを含む脱毛改善及び皮膚改善組成物、WNT10シグナル伝達経路関連疾患及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛包(毛嚢)は、哺乳動物の皮膚の独特の器官であって、原始表皮の基底部が成長し、より内部の皮膚層に発達した器官である。毛包の基部には、小嚢又は真皮乳頭細胞として知られた細胞のプラグが存在し(非特許文献1参照)、乳頭は、毛包の正常な循環(非特許文献2〜3参照)及び毛幹の成長に必須である。毛幹は、ケラチンフィラメントと、それに強固に付着したフィラメント凝集蛋白質とで構成された、糸状の上皮細胞である。
【0003】
人間の毛髪は、周期的に成長期、退行期、休止期を繰り返して、毛髪が抜けて再び生成される過程を経る。毛髪の周期は、ホルモン調節や多くの成長因子などの調節を通じてなされる。一方、激しいストレスや栄養欠乏などにより、毛髪は早い退行期を経て休止期に入り、重度の毛髪脱落(脱毛症状)を誘発する(非特許文献4参照)。男性型脱毛症において、頭皮の前面及び上部の毛包は、毛包の破壊というよりは毛包の小形化を引き起こすアンドロゲンに感受性を有し、それにより毛髪脱落が生じる。つまり、男性ホルモンであるアンドロゲンの過度の分泌により、5α還元酵素が活性化されて、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に転換される。このように生成されたジヒドロテストステロンは、毛髪の育つ期間を短縮させて、毛包を小形化させ、太くて丈夫な成毛の数を減少させることにより、脱毛を誘発させる。また、脱毛症の女性の20%は、頭皮上部の毛髪が薄くなる特徴を示す、女性型脱毛症と呼ばれる数種類の疾患を経験すると推定される。年を取るにつれて、脱毛が拡散される。更に、例えば、傷跡脱毛症や、火傷及び圧迫傷害を含む傷跡形成状態のような相異なる疾患状態が顕著な脱毛を起こしてしまうこともある。原因が何であれ、現代社会の女性進出が多くなり、男性も外見に気を配るようになって、脱毛は、自尊心の喪失と共に、顕著な精神的、社会的及び性的影響力を有する可能性がある。このような脱毛現象を治療するために、今までは医薬品として様々な物質などが使用されてきたが、値段が高すぎ、また、様々な副作用が誘発されている。更に、このような医薬品は、持続的な使用を必要として、使用を中断した時は、再び脱毛が誘発される短所がある。一方で、効能に対する個人差が大きくて、副作用においても個人差があるという短所がある。
【0004】
その他、化粧品に利用されている原料は、値段は安いものの、植物抽出物由来の成分から構成されているため、実際その効能は大きくないという短所がある。したがって、生体安定的でありながら、効果面や価額面の短所を補完するために、WNT10と類似した機能を有するWNT10由来のペプチドを化学的な合成方法を利用して、効能のよいペプチドを蛋白質に比べて安価で且つ大量に生産することができる方法を開発して、皮膚内に容易に浸透できるようにナノソーム技術を利用して、皮膚内浸透度が高くて大きい効果を奏する製品を開発した。このペプチドは、毛根を生成できるようにする皮膚組織の毛髪の毛包にある幹細胞の増殖及び分化を誘導し、新しい毛包を生成できるようにする。そして、ジヒドロテストステロンから誘導されたDKK−1脱毛遺伝子が存在して、WNT機能を抑制する状況でも、ペプチドはWNT−βカテニンのシグナルを活性化させて、発毛促進遺伝子を発現させる。また、ペプチドは、毛髪が生成されて成長される時期である成長期を促進させる役割をして、様々な環境的な要因により退行期に向かっていく毛髪の周期を成長期にとどまるようにすることにより、脱毛抑制効果を示し、正常毛髪では、毛髪の成長と毛髪に栄養分を供給して、健康な毛髪に大きく影響する。今まで知られた二つの利用可能な薬物(ミノキシジル及びフィナステリド)は、更なる脱毛を遅延させることはできるが、実際に新しい毛包の再生を誘導するためには、どれも利用することができなかった。また、多くの頭髪化粧品のうち、植物抽出物などを利用した脱毛防止製品がたくさん市販されているが、特に、クララ、カラシ、当薬、桑白皮、桑葉、人参、甘草、芍薬、アカヤジオ、ウイキョウ、サンシュユ、ニンニクなどの抽出物を含有した製品、キサンチン及び成長ホルモンを含有する組成物を添加して、ジヒドロテストステロンの過剰による細胞代謝抑制を改善すると同時に、成長ホルモンが毛髪成長を促進することにより、脱毛防止及び毛髪を再生して、毛髪成長促進効果を示す製品、発毛及び毛髪の成長を促進するために、ミネラル及びビタミン類、緑茶、ローズマリー、ヨモギ、甘草抽出液を含有した製品を開発して、頭皮と毛髪に栄養を供給し、脱毛の予防及び毛髪成長促進に効果がある発毛促進用製品、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン及び葉酸などの物質と植物抽出物を混合して、人体内の5α還元酵素を抑制し、男性ホルモンの代謝過程でジヒドロテストステロンが形成されないようにして、髪の毛の新陳代謝作用を助けるような男性型脱毛製品が開発されたが、新生毛髪の生成にまで影響を及ぼす製品は探すことが難しかった。一方、日本の東京慈恵会医科大学の健康医学センター研究グループ臨床チームにより、糖尿などに効能がよいと判定されたコロソリン酸などを利用した製品を開発して、人体内の5α還元酵素を抑制して、毛髪成長に卓越な機能をする製品が開発されたこともある。
【0005】
毛髪の成長及び退化の過程には、非常に多い要因が連係されているが、本発明者らは、毛根の生成において最も主要な毛髪の角質細胞の増殖を促進して、毛髪への分化を誘導するための研究及び毛髪周囲の栄養分を供給して、血管内皮成長因子の活性を促進させる一連の成長因子を活用した研究を行った。特に、毛髪の周期を勧奨する様々な成長因子のうち、ヒト由来のWNT10は、細胞から信号を伝達して毛髪に影響を与えるが、このようなWNT10のシグナル伝達経路は、分泌されたWNT10とこれらの受容体であるFrizzled蛋白質との相互作用により活性化されて、この際、LDL受容体関連蛋白質であるLRP5及びLRP6が補助受容体として作用する(非特許文献5参照)。WNT10信号伝達の下流の作用は、DVL(Disheveled)蛋白質の活性化及びAktの活性化を通じて、Axin−βカテニン−GSK3β−複合体を関与させる(非特許文献6参照)。以後、GSK3βがリン酸化及び不活性化されて、βカテニンのリン酸化及び分解が抑制される。蓄積されたβカテニンは、核に転位して、リンパ様エンハンサー因子−T細胞因子(LEF−TCF)族の転写因子と相互作用して、標的遺伝子の転写を誘導する。このように発現された蛋白質は、毛髪の成長と分化に重要な役割を果たし、毛細胞が新しく生成できるようにする。更に、男性ホルモンによるDHTの機能を低下させることにより、脱毛を防止する機能を有している。
【0006】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stenn and Paus, Physiol. Rev., 81: 449(2002)
【非特許文献2】Oliver, Embryol. Exp. Morph. 15: 331(1966)
【非特許文献3】Oliver, Embryol. Exp. Morph. 16: 231(1967)
【非特許文献4】Vladimir A. Botchkarev, American Journal of Pathology, 162(3): 709−712(2003)
【非特許文献5】Clin Cancer Res 2007;13(14) July 15, 2007, WNT Signaling Pathway and Stem Cell Signaling Network
【非特許文献6】Fukumoto et al., J. Biol. Chem., 276: 17479−17483(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、天然のWNT10と同一若しくは類似した機能又は作用を有すると同時に、WNT10蛋白質より活性、皮膚透過度及び安定性に優れる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、たくさんのペプチド候補物質の中で、生理活性(例えば、脱毛改善、細胞成長促進能、フィブロネクチンの発現促進など)に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたWNT10由来のペプチドを合成することにより、本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、配列番号1のペプチドを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、脱毛改善用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のまた他の目的は、皮膚状態改善用組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、WNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、DKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、天然のWNT10と同一若しくは類似した機能又は作用をすることが可能であるとともに、WNT10蛋白質より活性、皮膚透過度及び安定性に優れている物質を開発するために鋭意研究した。その結果、たくさんのペプチド候補物質の中で、生理活性(例えば、脱毛改善、細胞成長促進能、フィブロネクチンの発現促進など)に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたWNT10由来のペプチドを合成した。
【0016】
本発明者らは、WNT10蛋白質が効能は非常に優れているが、活性形WNT10蛋白質を得るためには、リフォールディングという追加工程と時間が要求され、また、精製過程で大腸菌由来の汚染源を除去するための複雑な精製過程を必要とし、安定性及び高い分子量による毛髪の保護膜を容易に越えられないという点などが高い値段と相まって活用度を落としてしまう短所を補完するために、WNT10蛋白質と類似した機能を有すると共に安定性が高いペプチドを開発して製品に応用することにより、新規で且つ経済的な競争力を有する類似体を開発するに至った。
【0017】
本発明のペプチドは、WNT10由来のアミノ酸配列から構成された群から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、本発明におけるペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有することを必須とする。本明細書において用語‘ペプチド’は、ペプチド結合により、アミノ酸残基が互いに結合されて形成された線形の分子を意味する。
【0018】
本発明のペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に固相合成法により製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85:2149−54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0019】
本発明のペプチドは、WNT10蛋白質内に存在する複数の部位を無作為的に部分合成して、受容体蛋白質に対する結合可能部位を1次探索した後、この予測された部位のアミノ酸配列を最適化して本発明のペプチドとして選定し製造して、これらの候補ペプチドのうち、最も活性に優れたペプチドをスクリーニングすることにより、本発明のペプチドが提供される。
【0020】
配列番号1のペプチドは、天然WNT10と類似した作用を行って、受容体と結合し、成長因子のような機能を行うペプチドである。
【0021】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、角質細胞及び線維芽細胞の成長促進能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、フィブロネクチンの発現を促進させる。
【0022】
また、本発明のペプチドは、WNTシグナリングを活性化させる機能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、βカテニンを核内に伝達する。
【0023】
本発明のペプチドは、ペプチドそのものが天然のWNT10蛋白質より安定性に優れているが、アミノ酸の改変により安定性が更に向上できる。
【0024】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのN−末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基、及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される保護基が更に結合されている。
【0025】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドは、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される保護基が結合できて、天然の改変成長因子より安定性が高いペプチドを提供する。
【0026】
上述のアミノ酸の改変は、本発明のペプチドの安定性を大きく改善する作用を有する。本明細書において用語‘安定性’は、インビボの安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も意味する。上述の保護基は、生体内の蛋白質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する作用をする。
【0027】
本発明の他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む脱毛治療又は改善用組成物を提供する。
【0028】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0029】
本発明の組成物は、上述の本発明の成長因子関連ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0030】
本発明の好ましい具現例によると、前記組成物は、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチド、又は前記全てのペプチドを更に含む。
【0031】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドによる脱毛治療又は改善は、発毛促進又は毛髪生成である。
【0032】
下記の実施例で立証されたように、本発明のペプチドは、線維芽細胞及び角質細胞成長促進能力を有して、WNT蛋白質の代表的なシグナリングであるβカテニンシグナルを促進させる。またDKK−1というWNT抑制剤が存在しても、本発明のペプチド処理により、WNTのシグナルが正常に作動することを確認した。WNTのターゲット遺伝子であるフィブロネクチンの発現も、本発明のペプチド処理により増加して、また、DKK−1が存在しても、本発明のペプチドを処理すると、フィブロネクチンの発現量が増加することを確認した。このような結果に基づいて行った動物実験を通じて、本発明のペプチドが毛髪成長を著しく促進するということが分かった。したがって、本発明の組成物は、毛髪の成長及び皮膚状態の改善に非常に効果的である。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドによる皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、傷の除去又は皮膚再生である。
【0034】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む、WNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物を提供する。
【0035】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、上述の本発明のペプチドを有効成分として含む、DKK−1蛋白質誘発性疾患の治療用組成物を提供する。
【0036】
本発明の組成物は、上述の本発明の成長因子関連ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0037】
本発明の好ましい具現例によると、上述のWNT10シグナル伝達経路関連疾患は、眼疾患、脂肪−調節疾患(lipid−modulated disorder)、骨疾患又は腫瘍疾患であり、より好ましくは、骨疾患又は腫瘍疾患である。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、上述の骨疾患は、骨発生疾患、骨の骨折、骨の老人性損失、軟骨異栄養症、高カルシウム血症、過骨症、不完全骨形成症、骨軟化症、骨髄炎、骨多孔症、パジェット病、骨関節炎及びくる病からなる群から選択される。
【0039】
本発明の好ましい具現例によると、上述の腫瘍疾患は、大腸癌腫、乳癌腫又は黒色腫である。
【0040】
本発明の好ましい具現例によると、上述の脂肪−調節疾患は、心臓状態、アテローム性動脈硬化症、家族性リポ蛋白質リパーゼ欠乏症、第3型高リポ蛋白血症、家族性高コレステロール血症、家族性高トリグリセリド血症、多発性リポ蛋白型高リポ蛋白血症、透析及び/又は糖尿による脂肪増加及び家族性アポ蛋白質CII欠乏症からなる群から選択される。
【0041】
本発明の好ましい具現例によると、上述のDKK−1蛋白質誘発性疾患は、糖尿病又は筋肉の修復及び再生であり、上述の糖尿病は、インシュリン−耐性及び低インシュリン血症の治療に係わっている。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)上述の本発明の成長因子関連ペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0043】
本明細書において用語‘薬剤学的有効量’は、上述の成長因子関連ペプチドの効能又は活性を達成するに十分な量を意味する。
【0044】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体としては、製剤時に通常利用されるものであって、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを更に含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0045】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、又は多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又はゲル(例えば、ハイドロゲル)の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0046】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)上述の本発明の成長因子関連ペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物である。
【0047】
本明細書において用語‘化粧品学的有効量’は、上述の本発明の組成物の皮膚改善効能を達成するに十分な量を意味する。
【0048】
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常製造される、いかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形として製造することができる。
【0049】
本発明の化粧品組成物の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが利用できる。
【0050】
本発明の化粧品組成物の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような通常用いられる噴霧剤を更に含むことができる。
【0051】
本発明の化粧品組成物の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が利用でき、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0052】
本発明の化粧品組成物の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー、トラガカントなどが利用できる。
【0053】
本発明の化粧品組成物の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0054】
本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチド類と担体成分の他に、化粧品組成物に通常利用される成分を含むが、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常用いられる補助剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の特徴及び利点を要約すると、以下の通りである:
(i)本発明のWNT10由来のペプチドは、天然のWNT10蛋白質と同一あるいは類似した機能を果たすことができる。
(ii)本発明のペプチドは、安定性が天然のWNT10蛋白質と比較して非常に優れており、皮膚透過度に非常に優れている。
(iii)したがって、本発明のペプチドを含む組成物は、脱毛の改善(例えば、発毛の促進又は毛髪の生成)に非常に優れた効能を有するだけではなく、WNT10シグナル伝達経路関連疾患及びDKK−1蛋白質誘発性疾患の治療に卓越な効能を発揮する。
(iv)上述の本発明のペプチドの優れた活性及び安定性は、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の合成例により製造された配列番号1のペプチドの高性能液体クロマトグラフィー分析結果である。
【図2a】図2aは、本発明の合成例により製造されたペプチドを処理した角質細胞の細胞成長促進効果を示したグラフである。
【図2b】図2bは、本発明の合成例により製造されたペプチドを処理した線維芽細胞の細胞成長促進効果を示したグラフである。
【図3】図3は、本発明のペプチドを処理した角質細胞及び線維芽細胞の細胞成長促進効果を顕微鏡で確認した写真である。
【図4】図4は、本発明のペプチドを処理した時、ki−67細胞増殖蛋白質の発現量が増加することを示す免疫染色結果である。
【図5a】図5aは、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、角質細胞の成長が更に促進されたことを示す結果である。
【図5b】図5bは、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、線維芽細胞の成長が更に促進されたことを示す結果である。
【図6a】図6aは、本発明のペプチドによるβカテニンの発現変化を測定したウェスタンブロットの結果であって、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子であるDKK−1により減少されたβカテニンの発現が本発明のペプチド処理により回復されて、再び増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図6b】図6bは、本発明のペプチドによりβカテニンの活性が増加されることを示す免疫染色結果である。
【図7】図7は、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの発現が更に増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図8】図8は、本発明のペプチドによりβカテニンの活性が増加して、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの活性が更に増加することを示す細胞免疫染色結果である。
【図9a】図9aは、本発明のペプチド処理によるフィブロネクチンの発現変化を示すグラフであって、ペプチドの処理時間によってフィブロネクチンの発現が増加することを示す。
【図9b】図9bは、本発明のペプチドによるフィブロネクチンの発現変化を測定した結果であって、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子であるDKK−1により減少されたフィブロネクチンの発現が本発明のペプチド処理により回復されて再び増加した。
【図10】図10は、本発明の合成例により製造された各ペプチドを個別的に処理した場合に比べ、ペプチド複合体を処理した場合、フィブロネクチンの発現が更に増加することを示すウェスタンブロットの結果である。
【図11】図11は、本発明のペプチドの熱安定性を比較したグラフである。
【図12】図12は、本発明のペプチドを処理したマウスの背中皮膚の毛髪成長効果である。
【図13a】図13aは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により毛包が生成されるだけではなく、DKK−1蛋白質により退化した毛包が、ペプチド複合体を同時に処理することにより、体毛の毛包が退化せず生成されることを示す結果である。
【図13b】図13bは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からβカテニンの発現が増加されることを示す結果である。
【図13c】図13cは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からWNT蛋白質の発現が増加されることを示す結果である。
【図13d】図13dは、マウスの体毛の毛包培養において、本発明のペプチド複合体処理により、体毛の毛包からKi−67蛋白質の発現が増加されることを示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0058】
<合成例1:Arg−Gln−Thr−Arg−Val−Gln−Arg−Cys−His−Cys(配列番号1)の合成>
クロロトリチルクロライドレジン(chloro trityl chloride resin;CTL resin, Nova Biochem Cat No. 01−64−0021)700mgを反応容器に入れて、メチレンクロライド(MC)10mLを加えて3分間攪拌した。溶媒を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10mL入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。反応容器に10mLのジクロロメタン溶液を入れて、Fmoc−Cys(trt)−OH(Bachem, Swiss)200mmol及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmolを入れた後、攪拌してよく溶かして、1時間攪拌しながら反応させた。反応後、洗浄して、メタノールとDIEA(2:1)をDCM(dichloromethane)に溶かして10分間反応した後、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10mL入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20体積%のピペリジン/DMF)10mLを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、それぞれ3分間ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄して、Cys(trt)−CTL Resinを製造した。新しい反応容器に10mLのDMF溶液を入れて、Fmoc−His(trt)−OH (Bachem, Swiss)200mmol、HoBt 200mmol、及びBop 200mmolを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応容器に400mmolのDIEAを分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応した。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応させたレジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応の程度を点検した。脱保護溶液で上記と同様に2回脱保護反応し、His(trt)−Cys(trt)−CTL Resinを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc−Cys(trt)、Fmoc−Arg、Fmoc−Gln(trt)、Fmoc−Val、Fmoc−Arg、Fmoc−Thr、Fmoc−Gln(trt)、及びFmoc−Arg(pbf)順に連鎖反応を行った。Fmoc−保護基を脱保護溶液で10分間ずつ2回反応した後、よく洗浄して除去した。無水酢酸、DIEA、及びHoBtを入れて1時間アセチル化を行った後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P2O5下で真空に減圧して完全に乾燥し、脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA)95%、蒸留水2.5%、チオアニソール2.5%]30mLを入れた後、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mLの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、更に2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のNH2−Arg−Gln−Thr−Arg−Val−Gln−Arg−Cys−His−Cys−OHペプチド1を0.65g合成した(収率92.6%)。分子量測定器を利用して測定時、分子量1287.1(理論値1286.5)を得ることができた。
【0059】
<合成例2:他のペプチドの合成>
上記合成例1と同様の方法を利用して、配列番号2及び配列番号3のペプチドを合成した。上述のペプチドの配列は、下記のようである:配列番号2(Ac−Tyr−Lys−Ser−Lys−Lys−Gly−Gly−Trp−Thr−His:Ac−YKSKKGGWTH)及び配列番号3(Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp:ELIEH−リンカー−RPAD、リンカー:Gly−Gly−Gly)。
【0060】
【表1】
【0061】
<試験例1:合成ペプチドの細胞成長効果>
合成例1及び2で合成された配列ペプチドに対する成長因子の類似効能及び抑制効能を分析するために、リジノらの方法(Rizzino, et al. Cancer Res. 48:4266(1988))を参照し、HaCaT角質細胞株(韓国細胞株バンク)とNIH3T3線維芽細胞(韓国細胞株バンク)を利用したSRB(Sulforhodamine B)比色法を利用して測定した。
【0062】
HaCaT角質細胞株及びNIH3T3線維芽細胞を、それぞれ250mL容量の組織培養用フラスコを利用して、10%牛胎児血清(FBS;fetal bovine serum, Sigma)を含むDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM, Gibco, U.S.A.)で培養した。培養された細胞株を1%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないDMEM培養液に再び懸濁した後、96ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり3×103細胞になるように入れて、37℃、5%CO2条件下で24時間培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一な培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための10%DMSOに滅菌状態で溶解した空試料、合成ペプチド(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、及び10μg/mL)及びペプチド複合体(1μg/mL)を、上記と同一の条件で72時間培養した。培養が完了した後、培養上清液を除去して、エタノールを利用して細胞を固定化し、細胞固定が終わった後、PBSで3回洗浄した。洗浄溶液を除去した後、比色SRB溶液で処理し、1%酢酸で十分洗浄した後、顕微鏡で細胞を観察して、生存細胞の状態を観察し、紫外線590nmで吸光度を測定して、細胞の生存状態を測定した。また、上記と同一な方法で培養した後、組織をki−67抗体(SantaCruz, U.S.A.)を使用して免疫染色化学法を行って、細胞増殖マーカーであるki−67蛋白質の発現量を観察した。
【0063】
図2は、本発明のペプチド処理が角質細胞(図2a)及び線維芽細胞(図2b)の成長を大きく増加させたことを示す。
【0064】
図3は、細胞にペプチド処理して72時間後、細胞の形態変化を顕微鏡で観察した結果である。本発明のペプチドが角質細胞及び線維芽細胞の成長及び形態学的形を変化させたことを示す。
【0065】
図4は、本発明のペプチドが角質細胞において、細胞増殖マーカー(ki−67蛋白質)の発現を増加させたことを示す結果である。
【0066】
図5は、ペプチド処理後の角質細胞(図5a)及び線維芽細胞(図5b)の成長に対する結果である。図5aと図5bから分かるように、各ペプチドのみを処理した場合に比べ、本発明のペプチド複合体を処理した場合、角質細胞と線維芽細胞の成長が大きく増加したことを確認することができた。
【0067】
<試験例2:合成ペプチドのβカテニンの発現量増加の効果分析>
48時間培養したHaCaT細胞に合成例1で合成したペプチドを処理して5時間経過後、WNT蛋白質の代表的なシグナリングで、発毛促進に必須な信号物質であるβカテニンの発現度を測定した。発現量は、βカテニンの抗体(SantaCruz, U.S.A.)を利用して、ウェスタンブロットを通じて観察し、同一の抗体を利用して、免疫染色化学法を利用し、βカテニンが核内に伝達されるかどうかを観察した。本発明のペプチドを処理した場合、βカテニンの発現が増加されることを確認して、DKK−1のWNT抑制剤及びβカテニンシグナリング抑制剤が存在しても、ペプチドを処理した時、βカテニンの活性があらわれることを確認した(図6a)。また、ペプチドは、HaCaT細胞において、免疫染色化学法を利用してβカテニンが核内に伝達されるかを測定した時も、βカテニンがペプチドによって細胞質から核内に伝達されて、細胞質においても依然として存在し、活性をあらわすことを確認することができた(図6b)。
【0068】
図6aは、本発明のペプチドを処理した時、βカテニンの発現が増加することを示し、DKK−1遺伝子と同時に処理した時もβカテニンの発現が再び増加することを示している。
【0069】
図6bは、本発明のペプチドによるβカテニンの核内伝達過程を免疫染色化学法で観察した結果であって、βカテニンが核内に伝達されることを示している。
【0070】
図7及び図8から分かるように、各ペプチドのみを処理した場合に比べ、本発明のペプチド複合体を処理した場合、βカテニンの発現が更に増加したことを確認することができた。
【0071】
試験例1及び2の実験結果をまとめてみると、本発明のペプチドは、非常に優れた発毛促進及び脱毛抑制機能を発揮し、抗老化にもその機能を発揮することが分かる。
【0072】
<試験例3:合成ペプチドによるフィブロネクチンの発現量増加>
合成例1で合成したペプチドのWNTのターゲット蛋白質であるフィブロネクチンの発現量が増加するかどうかに対する結果を観察するために、線維芽細胞を6ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり4×103細胞になるように入れて、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一の培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための10%DMSOに滅菌状態で溶解した空試料、3つの合成ペプチド(1μg/mL)、及びペプチド複合体(1μg/mL)で処理した後、上記と同一条件で3時間、10時間、24時間又は48時間培養した。72時間培養した後、培養溶液を回収し、フィブロネクチンELISA kit(R&D systems, U.S.A.)を利用して、培養液中のフィブロネクチンの発現量を測定した。
【0073】
図9aから確認できるように、フィブロネクチンの発現量がペプチドの処理時間によって増加することを確認することができた。また、DKK−1蛋白質を処理して、上記と同一な培養条件で培養した後、フィブロネクチンの発現量を観察した時、図9bから分かるように、DKK−1により抑制されたフィブロネクチン発現が、ペプチドとDKK−1とを同時に処理した時、フィブロネクチンの発現量が再び回復し、増加することが確認できた。
【0074】
図9aは、線維芽細胞に本発明のペプチドを時間別に処理してフィブロネクチンの発現を測定した結果であって、本発明のペプチドの処理時間によってフィブロネクチンの発現が増加した。
【0075】
図9bは、本発明のペプチドが線維芽細胞において、WNT抑制剤及び脱毛遺伝子(DKK−1)により誘導されたフィブロネクチンの減少を回復させる効果を示す結果である。図9aと同一な培養条件でDKK−1により減少されたフィブロネクチンの発現量が本発明のペプチド処理によって回復された。
【0076】
図10から確認できるように、対照群と比較し、各ペプチドを72時間処理した場合、フィブロネクチンの発現量が増加して、各ペプチドを複合体として処理した場合、最も多いフィブロネクチンの発現量を観察することができた。
【0077】
このような結果は、DKK−1というWNT抑制剤及び脱毛遺伝子が存在しても、本発明のペプチドによりWNT−βカテニンシグナリング経路が作動し、発毛促進及び脱毛抑制、ひいては抗老化に寄与するということを意味する。
【0078】
<試験例4:製造されたペプチドの熱安定性>
合成例1で製造されたペプチド及びNIBSC(UK)で購入した標準品成長因子(WNT10)をそれぞれ0.1mg/mLの濃度となるようにリン酸緩衝溶液で調製した。用意された溶液を1mLずつガラス製バイアルに入れた後、37℃で静置した。37℃に静置された溶液を0日目、5日目、10日目、20日目、30日目、40日目、及び70日目にサンプリングして、日付別に遠心分離し、変性されたペプチドや蛋白質を除去して、上澄み液を取って、HPLCを利用して定量した(図11)。
【0079】
<試験例5:製造されたペプチドを処理したマウスの体毛成長効果>
合成例1で製造されたペプチドをナノソーム化して、背中の皮膚を除毛したC57BL/6マウスに1日2回、15日間塗布した。対照群としては、リン酸緩衝液を1日2回ずつ塗布した。塗布してから9日目に、マウスの背中皮膚に黒く毛が育つことを確認することができ、塗布してから15日目には、対照群に比べ多い量の毛が育ったことを確認することができた(図12)。
【0080】
<試験例6:毛包培養時のペプチド複合体の毛包における蛋白質発現作用の分析>
Balb/Cマウスの体毛の毛包を手術用ナイフで切開し、エタノールで洗浄した後、PBSとDMEM培養溶液で更に洗浄した。このように洗浄の完了した毛包に、DMEM培養溶液に製造された各ペプチド複合体を5μg/mLの濃度で処理した後、5日間37℃、5%CO2条件下で培養した。5日後、培養が完了した毛包は、パラフィンブロックに製作し、H&E染色を通じて、対照群とペプチド複合体を処理した組織、DKK−1、DKK−1とペプチド複合体を処理した組織をそれぞれ比較した(図13a〜13d)。
【0081】
図13aは、本発明のペプチド複合体により、DKK−1で誘導された毛包細胞の退化が抑制されることを示す結果である。対照群にDKK−1を処理すると、毛包が退化されるのに対し、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した場合は、毛包が退化せず、生成されることを確認することができた。
【0082】
図13bは、本発明のペプチド複合体によりDKK−1で誘導されたβカテニンの発現抑制が回復されることを示す結果である。対照群にDKK−1を処理すると、βカテニンの発現が抑制されるが、この際、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理すると、βカテニンの発現が抑制されず、急激に増加することを確認することができた。
【0083】
図13cから確認できるように、対照群にDKK−1を処理した後、毛包でWNTの発現が抑制された。しかし、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した毛包からWNTの発現が増加した。これは、本発明のペプチド複合体が、毛の周囲にある細胞の成長と共に毛包の生成を促進させることを意味する。
【0084】
図13dから分かるように、対照群にDKK−1を処理した後、毛包からki−67の発現が抑制された。しかし、DKK−1と本発明のペプチド複合体を同時に処理した毛包からki−67の発現が増加した。
【0085】
このような結果は、体毛の毛包部分においてDKK−1により細胞が成長せず、却って細胞が死んで毛包の退化が誘発されて、これは、本発明のペプチド複合体の処理により克服されることができることを意味する。また、本発明のペプチド複合体は、毛包細胞の増殖及び生成を促進させることをできることを示す。
【0086】
(実施例1:ナノ化ペプチドの製造)
前記合成例で得られたペプチド50mgをそれぞれ正確に秤量した後、蒸留水500mLで十分攪拌して溶解した。得られたペプチド溶液を、レシチン5g、オレイン酸ナトリウム(sodium oleate)0.3mL、エタノール50mL、及び少量の油相と共に混合した後、総量が1Lとなるように蒸留水で調節した後、マイクロ流動化装置(microfluidizer)を利用して高圧で乳化し、大きさ100nm程度のナノソームを製造した。製造されたナノソームは、最終濃度が約50ppmで、単独あるいは複合的に化粧品製造用として使用された。
【0087】
<剤形例1:柔軟化粧水>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる柔軟化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表2】
【0088】
<剤形例2:栄養クリーム>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養クリームを、一般的な栄養クリームの製造方法により製造した。
【表3】
【0089】
<剤形例3:栄養化粧水>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表4】
【0090】
<剤形例4:エッセンス>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるエッセンスを、一般的なエッセンス製造方法により製造した。
【表5】
【0091】
<剤形例5:ヘアセラム>
実施例1で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアセラムを、一般的なヘアセラム製造方法により製造した。
【表6】
【0092】
<剤形例6:ヘアトナー>
前記実施例で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアトナーを、一般的なヘアトナー製造方法により製造した。
【表7】
【0093】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を有することを特徴とするペプチド。
【請求項2】
ペプチドが、ヒトWNT10由来のものである請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
ペプチドが、角質細胞及び線維芽細胞の成長促進能を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドが、フィブロネクチンの発現を促進させる請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが、β−カテニンを核内に移行する請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする脱毛治療又は改善用組成物。
【請求項7】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
脱毛治療又は改善が、発毛の促進又は毛髪の生成である請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする皮膚状態改善用組成物。
【請求項10】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚状態の改善が、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、傷の除去、又は皮膚再生である請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とするWNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物。
【請求項13】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
WNT10シグナル伝達経路関連疾患が、骨疾患又は腫瘍疾患である請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
骨疾患が、骨発生疾患、骨の骨折、骨の老人性損失、軟骨異栄養症、高カルシウム血症、過骨症、不完全骨形成症、骨軟化症、骨髄炎、骨多孔症、パジェット病、骨関節炎及びくる病からなる群から選択される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とするDKK−1蛋白質誘発性疾患の改善又は治療用組成物。
【請求項17】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項17に記載の組成物。
【請求項18】
DKK−1蛋白質誘発性疾患が、糖尿病、又は筋肉の修復若しくは再生である請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
糖尿病が、インシュリン−耐性及び低インシュリン血症の治療に関連している請求項18に記載の組成物。
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を有することを特徴とするペプチド。
【請求項2】
ペプチドが、ヒトWNT10由来のものである請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
ペプチドが、角質細胞及び線維芽細胞の成長促進能を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドが、フィブロネクチンの発現を促進させる請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが、β−カテニンを核内に移行する請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする脱毛治療又は改善用組成物。
【請求項7】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
脱毛治療又は改善が、発毛の促進又は毛髪の生成である請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする皮膚状態改善用組成物。
【請求項10】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚状態の改善が、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、傷の除去、又は皮膚再生である請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とするWNT10シグナル伝達経路関連疾患の改善又は治療用組成物。
【請求項13】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
WNT10シグナル伝達経路関連疾患が、骨疾患又は腫瘍疾患である請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
骨疾患が、骨発生疾患、骨の骨折、骨の老人性損失、軟骨異栄養症、高カルシウム血症、過骨症、不完全骨形成症、骨軟化症、骨髄炎、骨多孔症、パジェット病、骨関節炎及びくる病からなる群から選択される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から5のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とするDKK−1蛋白質誘発性疾患の改善又は治療用組成物。
【請求項17】
組成物が、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチド、及び配列番号3のアミノ酸配列を有するペプチドの少なくともいずれかを更に含む請求項17に記載の組成物。
【請求項18】
DKK−1蛋白質誘発性疾患が、糖尿病、又は筋肉の修復若しくは再生である請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
糖尿病が、インシュリン−耐性及び低インシュリン血症の治療に関連している請求項18に記載の組成物。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【公表番号】特表2013−503856(P2013−503856A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527802(P2012−527802)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006933
【国際公開番号】WO2011/027941
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(510271129)ケアジェン カンパニー,リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】690−3 Geumjeong−dong,Gunpo−si,Gyeonggi−do 435−050,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006933
【国際公開番号】WO2011/027941
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(510271129)ケアジェン カンパニー,リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】690−3 Geumjeong−dong,Gunpo−si,Gyeonggi−do 435−050,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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