説明

ZnOの膜、ナノ構造、およびバルク単結晶を水性合成するための低温連続循環反応器

基質またはシードを含有するより暖かい堆積区域と、ZnOの原材料を含有するより冷たい溶解区域との間で、ZnOで飽和した成長溶液を連続的に循環させるステップを含む、ZnOを合成するための方法。本発明の方法は、ZnOの膜、ナノ構造、およびバルク単結晶を合成するために必要とされる核生成および成長機構の両方に対する制御を可能にする、独特の連続循環方法および反応器を利用する。本発明の方法は、第1の温度で亜鉛含有栄養素を溶解させるために、成長水溶液組成物を使用し、第2の温度でZnOを合成し、ZnOが合成される第2の温度は、栄養素が溶解させられる第1の温度よりも暖かく、ZnOの合成は、第1のより冷たい温度と比較して第2のより暖かい温度において、水溶液組成物内のZnOの溶解度の低減によって引き起こされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属および譲受人共通のJacob J.Richardson、およびFrederick F.Langeによる米国仮特許出願第61/169,633号(名称「LOW TEMPERATURE CONTINUOUS CIRCULATION REACTOR FOR THE AQUEOUS SYNTHESIS OF ZnO FILMS,NANOSTRUCTURES,AND BULK SINGLE CRYSTALS」、2009年4月15日出願、代理人整理番号30794.313−US−P1(2009−613−1))の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、この出願の開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
本願は、以下の同時係属および譲受人共通の米国特許出願:
Jacob J.Richardson、Daniel B.Thompson、Ingrid Koslow,Jun Seok Ha、Frederick F.Lange、Steven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/257,811号(名称「A LIGHT EMITTING DIODE STRUCTURE UTILIZING ZINC OXIDE NANOROD ARRAYS ON ONE OR MORE SURFACES,AND A LOW COST METHOD OF PRODUCING SUCH ZINC OXIDE NANOROD ARRAYS」、2009年11月3日出願、代理人整理番号30794.331−US−Pl(2010−150));
Daniel B.Thompson、Jacob J.Richardson、Ingrid Koslow、Jun Seok Ha、Frederick F.Lange、およびSteven P.DenBaars、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/257,812号(名称「HIGH BRIGHTNESS LIGHT EMITTING DIODE COVERED BY ZINC OXIDE LAYERS ON MULTIPLE SURFACES GROWN IN LOW TEMPERATURE AQUEOUS SOLUTION」、2009年11月3日出願、代理人整理番号30794.332−US−P1 (2010−183));および
Daniel B.Thompson、Jacob J.Richardson、Steven P.DenBaars、Frederick F.Lange、およびJin Hyeok Kimによる米国仮特許出願第61/257,814号(名称「LIGHT EMITTING DIODES WITH ZINC OXIDE CURRENT SPREADING AND LIGHT EXTRACTION LAYERS DEPOSITED FROM LOW TEMPERATURE AQUEOUS SOLUTION」、2009年11月3日出願、代理人整理番号30794.333−US−P1(2010−149))と関連しており、これらの出願は本明細書に参考として援用される。
【0003】
(1.発明の分野)
本発明は、ZnO、ならびに同ZnOを製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0004】
(2.関連技術の説明)
(注:本出願は、明細書の全体を通して示されるように、角括弧内の1つ以上の参照番号、例えば、参考文献[x]によって多数の異なる出版物を参照する(非特許文献1〜7)。これらの参照番号による順序で示されるこれらの異なる出版物の一覧は、以下の「参考文献」という表題の項に見出すことができる。これらの出版物のそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。)
近年、酸化亜鉛(ZnO)への関心が高まってきているが、実際、この材料は、日焼け止めおよび顔料からゴム製造およびバリスタといった多種多様な用途に対して長期にわたり重要となってきている。しかしながら、これらのZnOのこれまでの用途は、通常、ZnOの粉末形態、またはZnO粉末を結合および焼結することから形成される多結晶セラミックスだけしか必要としなかった。そのようなものとして、これらの用途のZnO要件は、大規模「フランス」または「アメリカ」型工業プロセスで、Zn鉱石または金属Znから直接生産された材料によって大部分が満たされてきた。ZnOへの近年の関心の大部分は、電子および再生可能エネルギー業界における、新たに開発された用途および未開発の潜在的な用途から生じている。ZnOに対するこれらの新興用途の多くは、一般的なこれまでの用途よりも、使用されるZnOの形態および質に厳密な仕様を有する。単純な粉末よりもむしろ、これらの用途の多くは、薄膜、ナノ粒子、単結晶、およびエピタキシャル材料の形態でZnOを必要とする。これらのZnOの先進的形態を生産するための現在の業務用方法はしばしば、高温、高圧または低圧、有毒および/または非常に特殊な化学物質、および複雑な機器を利用し、その全てが生産の高コストにつながる。加えて、先進的用途に使用されるZnOの異なる形態のそれぞれは、典型的には、生産のための独自の特殊な方法を必要とする。
【0005】
バルクZnO単結晶は、典型的には、熱水方法または融解ベースの成長方法を使用して生産される。ZnOの融点は2000℃近くであるが、これらの温度でのZnOは、大気圧でZn金属および酸素に分解する。したがって、ZnO結晶を生産するための溶融ベースの方法は、極めて高い温度、ならびに制御された雰囲気および/または圧力を必要とする。使用される条件はあまり極端ではないが、熱水方法は依然として、使用される高温(300〜400℃)および高圧(80〜100MPa)に耐えることが可能である頑丈なオートクレーブを必要とする。熱水成長溶液はまた、極めて腐食性であり、これらのオートクレーブは、白金のような非反応性材料で裏打ちされなければならない。これらの方法と比較して、本発明で使用される低温および大気圧は、少ないエネルギー消費、安価な機器、および危険の少ないプロセスを可能にする。
【0006】
工業的には、ZnO薄膜はしばしば、マグネトロンスパッタリングまたはパルスレーザ堆積(PLD)のような物理蒸着方法によって堆積させられるが、化学蒸着および化学溶液方法も探索されてきた。マグネトロンスパッタリングおよびPLDの主な欠点は、標的から材料をスパッタするプラズマを作成するために必要とされる、非常に低い圧力の成長環境を維持する必要性である。プラズマの作成および制御はまた、高価な機器および有意量の電力も必要とする。有機金属化学蒸着(MOCVD)等の化学蒸着法も、低圧の雰囲気および高価な機器、ならびに特殊ガスおよび化学的前駆体を必要とする。本発明は、ZnO膜を生産するためにも使用することができる、化学浴析出(CBD)および電着という水溶液析出法に関係付けられるが、これらの技法に優る重要な利点を提供する。本発明のように、CBDおよび電着法の両方は、溶解Zn錯体からZnOを生産する。しかしながら、電着は、伝導性基質に限定される。CBDは、基質に対してさらなる多くの用途を有するが、エピタキシャル膜の堆積については実証されていない。一般的には、CBDはまた、廃棄される相当量の前駆体をもたらす。
【0007】
ZnOナノ構造およびナノ粒子の現在の工業的用途は、かなり限定されている。しかしながら、利用が増加するにつれて、現在の方法は、本主題についての学術文献で見られる、ナノ構造およびナノ粒子を生産するための他の技法よりも、拡張可能となる可能性を有する。ZnOナノ構造および粒子を生産するための文献で見られる方法は、蒸気法ならびに水溶液および非水溶液法の両方を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Jacob J.Richardson and Frederick F.Lange,“Controlling Low Temperature Aqueous Synthesis of ZnO:Part 1,Thermodynamic Analysis,” Cryst.Growth Des.2009,9(6),pp.2570−2575.
【非特許文献2】Jacob J.Richardson and Frederick F.Lange,“Controlling Low Temperature Aqueous Synthesis of ZnO:Part II,A Novel Continuous Circulation Reactor,” Cryst.Growth Des.2009,9(6),pp.2576−2581.
【非特許文献3】Daniel B.Thompson,Jacob J.Richardson,Steven P.Denbaars,and Frederick F.Lange,“Light Emitting Diodes with ZnO Current Spreading Layers Deposited from a Low Temperature Aqueous Solution,” Applied Physics Express 2(2009),042101.
【非特許文献4】Jacob Richardson, Daniel Thompson,Ingrid Koslow,Jun Seok Ha,Steve DenBaars,and Fred Lange,“Low Temperature Aqueous Deposition Of ZnO on GaN LEDs,” presentation slides at SSLEC annual review,November 2009.
【非特許文献5】Chris G. Van de Walle,“Hydrogen as a Cause of Doping in Zinc Oxide,”, Physical Review Letters (2000),85(5),pp.1012−1015.
【非特許文献6】K. Elmmer,“Resistivity of Polycrystalline Zinc Oxide Films:Current Status and Physical Limit,” Journal of Physics.D(2001),34(21),pp.3097−3108.
【非特許文献7】Cheung,Jeffery T.,“Transparent and Conductive Zinc Oxide Film with Low Growth Temperature,” US Patent 6,458,673 B1,2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のZnOの形態の全てを合成するために潜在的に使用され得る、低温水性方法を提示する。この技法は、熱水結晶成長および化学浴析出という確立された水溶液法と共通する側面を有するが、本発明の重大な側面は、これらの従来技術の水溶液方法ならびに非水溶液ベースの技法に優る重要な利点をここで開示される方法に与える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法は、ZnO膜、ナノ構造、およびバルク単結晶を合成するために必要とされる核生成および成長機構の両方に対する制御を可能にする、独特の連続循環方法および反応器を利用する。本発明の方法は、第1の温度で亜鉛含有栄養素を溶解させるために、成長水溶液組成物を使用し、第2の温度でZnOを合成し、ZnOが合成される第2の温度は、栄養素が溶解させられる第1の温度よりも暖かく、ZnOの合成は、第1のより冷たい温度と比較して第2のより暖かい温度で、水溶液組成物内のZnOの溶解度の低減によって引き起こされる。一般に、本発明の反応器は、成長水溶液を含有する、2つの明確に異なるが物理的に接続された区域から構成される。ZnO核生成および成長に対する制御は、溶液組成物、2つの反応器区域の温度、および2つの区域間の溶液の循環を使用して、成長水溶液からのZnO合成の化学的駆動力を変化させることによって達成される。典型的な実施形態では、プロセス全体は、成長溶液の沸点を下回る温度および大気圧付近で行われる。
【0011】
開示されたプロセスにおいて可能な穏和条件は、他の方法に優るいくつかの利点を提供する。これらの利点は、より低いエネルギー入力、より低い機器コスト、および温度感受性基質、テンプレート、またはデバイスとのより良好な適合性を含むことができる。典型的にはZn源として亜鉛塩を使用する、化学浴析出(CBD)または電着等の、低温で水溶液からZnOを堆積させることが可能な他の技法と違って、本発明の一実施形態は、ZnO自体を使用する。一般的な工業用材料として、ZnO粉末は安価で容易に入手可能である。Zn源としてZnOを使用することはまた、反応器が閉ループで動作することも可能にし、溶解ZnO源材料を所望の形態のZnOに再結晶させるが、成長溶液の他の構成要素の全てを再生利用する。これは、プロセスがいずれの廃棄物または副産物も産生せず、既存の方法と比較して、本発明の環境影響およびコストをさらに削減する。
【0012】
本発明に最も密接に関係付けられる、ZnOを合成するための2つの従来技術の方法は、熱水成長方法および化学浴析出(CBD)である。バルクZnO結晶を生産するための熱水成長方法はまた、ZnO粉末を再結晶させることによっても機能するが、その方法は、本発明よりも有意に高い温度および圧力で動作する。しばしば、水の超臨界点を上回る、熱水方法で使用される温度および圧力は、その方法において、かなりの結晶成長速度のために必要とされるZnO溶解度および質量輸送のレベルを達成するために必要である。ZnOの熱水成長では、ZnO位置の溶解および再結晶を制御する化学反応は、以下のように書くことができる。
【0013】
【化1】

【0014】
ここで、x=1、2、3、または4である。ZnOの熱水成長で使用される高アルカリ性条件下では、より高い温度がこの反応の平衡を右に移動させ、より低い温度がそれを左に移動させる。言い換えれば、ZnOの溶解度は温度とともに増加し、したがって、より低い温度よりも、より高い温度において、より多くのZnOを水溶液に溶解させることができる。典型的な熱水成長手順は、高温区域で栄養素と呼ばれることもあるZnO粉末を溶解させ、次いで、より冷たい区域でZnOをバルク単結晶として再結晶させることによってバルク結晶を生成するために、この溶解度依存性を活用する。次いで、全体的な反応を以下のように書くことができる。
【0015】
【化2】

【0016】
熱水方法では、より熱い区域から冷たい区域への溶解亜鉛種の輸送は、溶液内の拡散および対流によって起こる。
【0017】
熱水方法のように、本方法は、ZnOを溶解させ、次いで再結晶させるために、ZnO溶解度の温度変動を利用する。しかしながら、新しい方法で使用される水溶液について、溶解度依存性は逆転される。この挙動は、より高い温度よりも、より低い温度でより安定している可溶性の亜鉛錯体の形成によるものである。本発明の一実施形態では、使用される錯体は、亜鉛アンミン錯体である。いくつかのpHおよび温度条件下では、亜鉛アンミン錯体は、溶解亜鉛イオンまたは固体ZnOとのアンモニアの反応を通して形成することができる。熱水方法についての上記の反応と同様に、本発明でのZnO溶解度は、反応によって制御されてもよい。
【0018】
【化3】

【0019】
ここで、x=1、2、3、または4である。溶液pH、アンモニア濃度、および温度の正しい条件下で、この反応の平衡は、温度が上昇するとともに左に移動させ、温度が低下するとともに右に移動させる。この関係は、参考文献[1]において開示されている熱力学計算によって予測される。
【0020】
亜鉛アンミン錯体はまた、ZnOのCBDでも利用されるが、その技法では、上記の反応は、右から左にしか移動しない。本発明のように、ZnOのCDBは、比較的穏やかな条件下で、すなわち、室温と100℃との間の温度、大気圧、および極度に酸性でも塩基性でもない溶液pHで動作する傾向がある。CBDで利用されるときに、亜鉛アンミン錯体は、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の可溶性亜鉛塩によって供給される溶解亜鉛イオンとアンモニアとを反応させることによって形成される。Zn錯体の形成は、典型的には成長溶液の温度またはpHの上昇によって開始させられるZnOの堆積を制御または加減するために使用される。
【0021】
本発明では、亜鉛アンミン錯体は、本質的には、反応器の異なる区域間で溶解亜鉛を輸送するためのキャリアとして機能する。ZnO栄養素が含有される反応器のより冷たい区域内では、ZnOを溶解させることによって亜鉛アンミン錯体が形成されるように、上記の反応は左から右に移動する。反応器の高温区域では、右から左に移動する反応によってZnOが合成される。より冷たい区域とより熱い区域との間で、成長溶液が流されるか、または別様に循環させられるときに、全体的な反応は以下のように書かれる。
【0022】
【化4】

【0023】
この全体的な反応は、参考文献[2]で開示されている本発明の実施形態によって、制御可能なZnO合成をもたらすことが実証されている。
【0024】
本明細書で説明されるように、ZnOは、エピタキシャルおよび多結晶薄膜、ナノ構造、およびバルク単結晶を必要とする多数の用途を有する。本開示の主題である低温水性連続循環方法および反応器は、これらの用途のためのZnOを供給する、新しい低コストの環境に優しい方法を提示する。したがって、上記で説明される従来技術での制限を克服するために、および本明細書を読んで理解すると明白となる他の制限を克服するために、本発明は、ZnO膜、ナノ構造、およびバルク単結晶を製造するための方法を開示する。
【0025】
方法は、(a)第1の温度で亜鉛含有栄養素を溶解させるために、成長水溶液組成物を使用するステップと、(b)第2の温度でZnOを合成するステップであって、ZnOが合成される第2の温度は、栄養素が溶解させられる第1の温度よりも熱く、またはより暖かく、ZnOの合成は、第1のより冷たい温度と比較して第2のより暖かい温度で、水溶液内のZnOの溶解度の低減によって引き起こされる、ステップとを含む。
【0026】
方法はさらに、ZnOの正味流束が第1の区域から第2の区域へと発生するように、栄養素を含有する、第1のより冷たい温度である第1の区域と、ZnOが合成される、第2のより暖かい温度である第2の区域とを含む、少なくとも2つの区域の間で、水溶液組成物を移動させるか、または水溶液組成物が移動することを可能にするステップを含んでもよい。
【0027】
方法はさらに、第1の区域または第2の区域を加熱または冷却すること、あるいは加熱および冷却することによって、第1の区域または第2の区域、あるいは第1の区域および第2の区域のそれぞれの温度を変化させるステップを含む、1つ以上のプロセスステップを含んでもよい。
【0028】
ZnO合成の速度は、水溶液の組成、第1の区域の第1の温度および第2の区域の第2の温度、第1の区域および第2の区域の加熱または冷却速度あるいは加熱および冷却速度、ならびに水溶液組成物が第1の区域と第2の区域との間で移動する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御されてもよい。
【0029】
基質またはテンプレート上の、あるいは遊離核としてのZnOの核生成速度は、水溶液の組成、第1の区域の第1の温度および第2の区域の第2の温度、第1の区域および第2の区域の加熱または冷却速度あるいは加熱および冷却速度、ならびに水溶液組成物が第1の区域と第2の区域との間で移動する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御されてもよい。
【0030】
栄養素が溶解させられる第1のより冷たい温度、およびZnOが合成される第2のより暖かい温度の両方は、水溶液組成物の凝固点と沸点との間であってもよい。
【0031】
亜鉛含有栄養素は、ZnOであってもよい。栄養素は、別の物質でドープされているか、または合金にされているZnOであってもよい。水溶液組成物は、錯体配位子を含有し、適切なpHを有し、そうでなければ、亜鉛錯体が形成する組成物を含んでもよく、第2のより暖かい温度と比較して、第1のより冷たい温度で、より高い溶解度をもたらす。使用される錯体配位子は、亜鉛アンミン錯体が水溶液組成物内で形成するように、アンモニアであってもよい。
【0032】
第2の区域内の水溶液組成物は、第1の区域内の第1の温度よりも暖かい、第2の区域内の第2の温度を得るように加熱されてもよい。第1の区域内の水溶液組成物は、第2の区域内の第2の温度よりも冷たい、第1の区域内の第1の温度を得るように冷却されてもよい。第1の区域内の水溶液組成物は、第1の区域内の第1の温度よりも暖かい、第2の区域内の第2の温度を得るように加熱されてもよい。
【0033】
1つ以上のプロセスステップ中に、水溶液組成物は、第1の区域と第2の区域との間で移動することを妨げられてもよい。
【0034】
合成されるZnOは、1つ以上の構成要素でドープされるか、または合金にされてもよい。
【0035】
ZnO合成は、水溶液組成物と接触している基質上でZnO膜の形成をもたらしてもよい。基質は、ZnOの合成の前に、すでにZnOが播種されていてもよい。結果として生じるZnO膜は、基質とエピタキシャルであってもよい。基質は、III族窒化物ベースの発光ダイオードデバイスであってもよい。ZnO合成は、ZnO微細構造またはナノ構造の形成をもたらしてもよく、微細構造またはナノ構造は、基質テンプレートの上または内側、あるいは水溶液組成物の大部分の中で形成する。ZnO合成は、バルクZnO単結晶の成長をもたらしてもよい。
【0036】
水溶液組成物は、ZnOの合成に影響を及ぼすが、ZnO合成中に消費されず、合成される結果として生じるZnOに組み込まれない、添加剤を含有してもよく、添加剤は、金属クエン酸塩、クエン酸、ZnOの表面と相互作用する安定したアニオンを産生する他の塩または酸、界面活性剤、ポリマー、または生体分子のうちの1つ以上を含んでもよい(しかしそれらに限定されない)。
【0037】
水溶液組成物は、合成されるZnOに組み込まれる溶存種を含有してもよい。溶存種は、ドーパントとしてZnOに組み込まれる元素を含有するイオンを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0038】
本発明はさらに、成長水溶液の中へZnO栄養素を溶解させるための溶解区域または容器と、成長水溶液から基質またはシード上へZnOを堆積させるための堆積区域または容器と、溶解区域から堆積区域およびその逆の成長水溶液の移動が発生するような、溶解区域への接続とを備える、ZnOを製造するための連続循環反応器を備える。
【0039】
溶解区域および堆積区域は、成長水溶液の凝固点と沸点との間の1つ以上の温度での動作用であってもよい。溶解区域および堆積区域は、成長水溶液との接触による腐食、溶解、または他の分解に耐える非反応性材料から製造される、1つ以上の容器の中に含有されてもよい。非反応性材料は、フッ素重合体、他の高性能ポリマー、ケイ酸塩ガラス、および/またはステンレス鋼のうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない。動作中に成長水溶液と接触する反応器の全ての構成要素は、非反応性材料から成ってもよい。
【0040】
反応器はさらに、送出されている成長水溶液を汚染しない方式で動作することが可能であり、溶解区域から堆積区域へ成長水溶液を送出するように配置され、溶解区域と堆積区域との間の成長水溶液の循環速度を制御することが可能である、蠕動ポンプ、チューブポンプ、または他の機械的ポンプ機構を備えてもよい。
【0041】
反応器はさらに、溶解区域から堆積区域へ送出されている、溶解されていない栄養素を阻止する、またはその粒径を制限するように、溶解区域と堆積区域との間に配置されるフィルタを備えてもよい。
【0042】
反応器はさらに、堆積区域から溶解区域へ成長水溶液の流れを戻すように配置され、溶解区域へ成長水溶液を戻すための第2の同期ポンプの必要性を回避しながら、各区域の成長水溶液の体積が一定のままであることを確実にするためのオーバーフロー機構を備えてもよい。
【0043】
反応器はさらに、堆積区域を加熱するためのヒータと、堆積区域と熱接触している温度センサとを備えてもよく、ヒータは、堆積区域内の成長水溶液が、より暖かい成長溶液であり、溶解区域内の成長水溶液が、より暖かい成長溶液よりも冷たい、より冷たい成長溶液であるように、堆積区域内の成長水溶液を加熱するためのものであり、温度センサは、ヒータおよび温度センサの両方に接続される電子温度コントローラまたはコンピュータを通して、堆積区域内の温度の測定および制御を可能にする。反応器の堆積区域内の成長水溶液は、ヒータとの熱的接触よりもむしろ、放射の吸収によって加熱されてもよく、その場合、ヒータは、放射または放射の供給源である。反応器の堆積区域の基質または種結晶は、最初に、ヒータによって加熱され、次いで、熱は、基質または種結晶から周辺成長水溶液に移されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下、全体を通して類似参照数字が対応する部品を表す、図面を参照する。
【図1】図1は、本発明による、ZnOを製造、合成、または製造するための方法および反応器を図示する、フローチャートおよび断面概略図である。
【図2−1】図2(a)および2(b)は、それぞれ、25℃および90℃において、pHおよびアンモニア濃度の関数としての水溶液内のZnOの計算された溶解度を示し、ハイライトした領域は、ZnOの溶解度が25℃よりも90℃で低い、pHおよびアンモニア濃度の範囲に注意を引く。
【図2−2】図2(a)および2(b)は、それぞれ、25℃および90℃において、pHおよびアンモニア濃度の関数としての水溶液内のZnOの計算された溶解度を示し、ハイライトした領域は、ZnOの溶解度が25℃よりも90℃で低い、pHおよびアンモニア濃度の範囲に注意を引く。
【図3】図3は、参考文献[2]から修正された、本発明によるZnOを製造するための装置の断面概略図である。
【図4】図4(a)−(c)は、成長水溶液のマイクロ波加熱によって生産されたMgAl基質上のエピタキシャルZnOの走査型電子顕微鏡像を示す。
【図5−1】図5(a)および図5(b)は、本発明を使用して製造された、エピタキシャルZnO電流波及層を利用したIII族窒化物(III−N)発光ダイオード(LED)デバイスの断面概略図を示し、図5(c)および図5(d)は、動作中に青色光を発する、本発明を使用して製造された、エピタキシャルZnO電流波及層を利用したIII−N LEDデバイスの光学像を示す。
【図5−2】図5(a)および図5(b)は、本発明を使用して製造された、エピタキシャルZnO電流波及層を利用したIII族窒化物(III−N)発光ダイオード(LED)デバイスの断面概略図を示し、図5(c)および図5(d)は、動作中に青色光を発する、本発明を使用して製造された、エピタキシャルZnO電流波及層を利用したIII−N LEDデバイスの光学像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明が実践され得る特定の実施形態を例示目的で示す添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的な変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0046】
(概要)
連続循環方法および反応器を使用する、低温水溶液からのZnOの合成のための新規のプロセスを提示する。溶解および再結晶プロセスを駆動するために、溶液の凍結および沸騰範囲の間で、アンモニア性水溶液内のZnO溶解度の温度依存性を利用することによって、方法は、ZnO粉末等のZn源を、膜、ナノ構造、またはバルク単結晶となり得る、別の所望の形態のZnOに変換するために使用され得る。この方法を行うための反応器は、Zn源が溶解させられるより冷たい区域と、ZnO生成物が形成されるより暖かい区域とを含む、少なくとも2つの温度区域から成る。動作中に、成長水溶液は、これら2つの区域の間で循環させられてもよい。この循環プロセスは、亜鉛キャリアとしての役割を果たす可溶性亜鉛錯体が、錯体が形成されるより冷たい区域から、錯体が解離してZnOが再結晶させられるより暖かい区域へと、亜鉛を輸送することを可能にする。反応器内の核生成およびZnOの成長は、溶液組成物、反応器区域間の成長溶液の循環、および反応器区域の温度管理の組み合わせを通して制御される。核生成および成長プロセスを制御し、適切な基質または種結晶を供給することによって、ZnO粉末、ナノ粒子、多結晶膜、エピタキシャル膜、およびバルク単結晶を合成するために、この基本的反応器設計を使用することができる。反応器は、非常に単純で比較的毒性のない安価な化学物質を使用することができ、閉サイクルで動作するため、廃棄副産物をほとんどから全く産生しない。
【0047】
(技術説明)
(連続循環反応器方法を使用するZnO合成)
図1は、ZnO栄養素材料を含有するより冷たい(低温)溶解容器または区域102と、基質、種結晶、またはテンプレートを含有し得るより暖かい(高温)堆積容器または区域104との間で、成長溶液を移動させる(例えば、連続的に循環させる100)か、または移動を可能にするステップを含む、本発明によるZnOを製造、合成、成長、または堆積させるための方法および反応器を図示するフローチャートおよび断面概略図であり、ZnO栄養素がより冷たい溶解区域102内で溶解させられ、所望の形態のZnOがより暖かい堆積区域104内で製造、合成、成長、または堆積させられるように、成長溶液内のZnOの溶解度は、より冷たい溶解区域102内よりもより暖かい堆積区域104内において低い。単一の容器内でのより冷たい102およびより暖かい104区域も使用することができる。循環または移動100は、低温溶液流106および高温溶液流108を含む。より暖かい区域104は、低温またはより冷たい区域102よりも暖かいか、または熱い。本発明の一実施形態では、より冷たい区域102およびより暖かい区域104の温度、ならびにそれらの間の溶液の循環は、全て独立して変化させられてもよい。
【0048】
成長溶液が連続的に循環させられている100間に、堆積区域104および溶解区域102の両方の内側の溶液の体積および温度が一定のレベルに維持される場合、定常状態動作が得られる。定常状態動作中に、より冷たい溶液は、より暖かい容器または区域104に進入した後に熱くなる110。進入溶液の加熱は、その溶液中のZnOの平衡溶解度を低下または減少させる112。平衡溶解度が溶液中のZnの濃度以下に低下または減少させられた場合、結果は、溶液中の溶解ZnOの過飽和114である。溶液中のZn濃度を平衡に向かって戻すために、ZnO形成116が発生する。ZnO形成116は、新しいZnO核の合成または既存のZnO結晶の成長を介して発生し得る。次いで、暖かい溶液がより冷たい容器102に戻る108につれて、その温度が低下し(高温溶液が冷たくなる118)、溶液中のZnOの溶解度120を上昇または増加させる。これは、ZnO源材料または栄養素が溶解させられ(ZnO栄養素溶解124)、溶液を平衡に向かって戻すように、溶液を不飽和にさせる(不飽和122)。このサイクルは、より冷たい溶解区域102内のZnO栄養素の全てが溶解させられるまで、途切れなく続き得る。
【0049】
上記の溶液移動または循環プロセスの全体的な効果は、より冷たい溶解区域102からより暖かい堆積区域104への正味ZnO流束または流動126である。より冷たい溶解区域およびより暖かい堆積区域の両方の中の溶液が平衡に近いままである場合、流束126は、堆積区域104内のZnO過飽和の速度に等しくなり、以下の式で表すことができる。
【0050】
【数1】

【0051】
ここで、tは時間であり、σは過飽和であり、rcircは溶液循環の速度であり、C
ZnOは、より冷たい溶解区域102の温度であるTcoolおよびより暖かい堆積区域104の温度であるThotにおいて表された、ZnOの平衡溶解度である。しかしながら、溶液循環100がなくても、堆積区域104内の溶液の加熱はまた、ZnO形成116をもたらすことができる。循環がない初期加熱の場合、結果として生じるZnO流束126はないが、堆積区域104内のZnO過飽和の速度は、以下の式で表すことができる。
【0052】
【数2】

【0053】
新しい変数Vhotは、堆積区域104内で加熱された溶液の体積である。加熱中に溶液が平衡に近いままである場合、ZnO形成の速度は、過飽和の速度についての式によって概算することができる。このZnO形成の速度は、時間とともに変化し、したがって、定常状態ではない。反応器が循環および可変温度によって動作している場合、堆積区域104内でのZnO形成の速度についての2つの式は、単純に合計されて、堆積区域104内のZnO合成116の速度を再び概算する、以下の新しい過飽和式を生じさせる。
【0054】
【数3】

【0055】
ZnO流束126が溶解および再結晶を介して発生するので、プロセスは、ZnOの任意の形態を別の形態に変換することができる。好ましい実施形態では、低コストのZnO粉末がより冷たい溶解区域102内で溶解させられ、より高い価値のナノ構造、膜、またはバルク単結晶が高温堆積区域104内で形成される116。また、溶解区域102内において、Zn栄養素として他の亜鉛含有物質を使用することも可能である。可能性は、Zn(OH)、水和酸化亜鉛または水酸化亜鉛、クエン酸亜鉛等のような、水溶液内で部分溶解性を有する亜鉛含有物質を含む。しかしながら、経時的に溶液組成物を変化させることなく、図1に示されるように、閉ループで動作する反応器とともにZnOのみを使用することができる。ZnOのほかに別の栄養素を用いると、過飽和速度についての上記のような式を修正しなければならない。
【0056】
(溶液組成物)
連続循環反応器が図1に図示された機構に従って動作するために、正しい溶液組成物が重要である。本発明の溶液組成物の2つの最重要の側面は、溶液のpHおよび適切な錯体配位子の濃度である。適切な錯体配位子を含有しない水溶液では、ZnOは、より低い温度よりも、より高い温度でより可溶性となる傾向があり、本発明の反応器設計は、ZnOを合成しない。したがって、より高い温度よりも、より低い温度で、ZnOの溶解度を増加させるように作用する亜鉛錯体を形成するように、配位子源を提供することが必要である。
【0057】
本発明の作業実施形態は、このタスク用のアンミン配位子を提供するために溶解アンモニア(NH)を含有する溶液を使用するが、本発明は、他のアンミン配位子源の使用、ならびに温度への同様のZnO溶解度依存性をもたらす他の配位子にまで及ぶことが意図される。アンミンは、錯体の中の配位子として機能しているときにNH分子単位に与えられる名前である。水に溶解させられたアンモニアの水溶液はまた、一般的に、水酸化アンモニウム(NHOH)溶液、アンモニア水、水性アンモニア、家庭用アンモニア、または単にアンモニアとも呼ばれる。アンモニア配位子はまた、アンモニウム塩を溶解させることによって、水溶液に供給することもできる。実施例は、塩化アンモニウム(NHCl)、硝酸アンモニウム(NHNO)、酢酸アンモニウム(CHCOONH)、炭酸アンモニウム((NHCO)、クエン酸トリアンモニウム((NH)等の単純無機および有機塩を含むが、それらに限定されない。アンモニア配位子はまた、可溶性配位化合物または複塩の一部として供給することもできる。加えて、アンモニア配位子は、別の化合物、例えば、尿素またはヘキサミンの原位置分解によって供給することができる。Zn(II)の水性錯体を形成し、温度が増加するとともにZnOの溶解度が減少する温度範囲をもたらす、アンミン以外の他の配位子も、使用されてもよい。このように挙動する可能性が高い他の配位子は、可溶性第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、およびポリアミンを含むが、それらに限定されない。アミンは、少なくとも1つの水素がアルキルまたはアリル基と置換される、アンモニアベースの有機化合物である。ZnOに対する必要な溶解度をもたらす錯体を形成する、非窒素含有配位子も、使用することができる。
【0058】
参考文献[1]で開示されている熱力学計算は、アンモニアを含有する水溶液が、沸騰温度付近(90℃)よりも室温(25℃)で、ZnOに対する大幅により高い溶解度を有することができると予測した。参考文献[1]から修正される図2は、pH、アンモニア濃度、温度の関数として行われたZnO溶解度計算の結果を示す。図2(a)は、25℃の温度での計算された溶解度を示し、図2(b)は、90℃での同溶解度を示す。領域200および202は、それぞれ、図2(a)および図2(b)の同じpHおよびアンモニア濃度の範囲例をハイライトし、ZnO溶解度が90℃計算域202について有意に低いことを示す。
【0059】
参考文献[2]で開示されている実験結果は、本発明の実施形態が、0.25から1.0mol/Lの間のアンモニアを含有し、10から12の間のpHを有する溶液からZnOを堆積させることができると実証した。これらの条件は、本発明を用いてZnOを産生することが可能な多くのpHおよびアンモニア濃度溶液条件の実施例にすぎないと理解され、可能な条件へのいずれの種類の基本的または実用的限界も表さない。しかしながら、参考文献[1]における計算および参考文献[2]における実験結果の両方は、アンモニアを含有しない溶液、または別の適切な錯体配位子源が、本発明の方法を使用してZnOを産生しないことを明確にしている。
【0060】
本発明の最も単純な実施形態では、成長水溶液は、溶解亜鉛源、アンモニア、または同様に作用する別の錯体配位子源のみを含有し、どのような酸または塩基でも、所望のpHを達成するために必要である。ZnO溶解度挙動をより複雑にすることを回避するために、利用されるpHおよび温度条件下で亜鉛と錯体を形成しない酸および塩基のみが使用されるべきである。これらの最も単純な組成物に加えて、ZnO成長または組成を修正する添加剤を含有する、より複雑な成長溶液を使用することも可能である。これは、水溶液内で合成されるZnOの形態に影響を及ぼすことが周知である、クエン酸イオン等の添加剤を含むことができる。例えば、可溶性金属クエン酸塩またはクエン酸の添加を通して、成長溶液内でクエン酸イオンを利用することができる。クエン酸は、成長中にZnOのある結晶表面に優先的に吸着し、それにより、これらの表面上の成長を遅くすると考えられている。クエン酸がZnOの表面に吸着するのみであるが、組み込まれないため、溶液中のクエン酸イオンは保存され、再生利用される。同様の挙動を示す可能性が高い他の添加剤の実施例は、他のポリアニオン分子、界面活性剤、水溶性ポリマー、および生体分子を含む。
【0061】
添加剤はまた、合成されるZnOの組成を変化させる意図で成長溶液に加えることもできる。この種類の添加は、ZnOをn型ドープすることが知られている、Al、Ga、またはIn等のIII族元素源、ZnOの伝導性を低減することが知られている、Li等のI族元素源、またはドーパントとして使用されるときにZnOのバンドギャップを修正することが知られている、MgまたはCdのような等原子価元素源を含むことができる。上述のもの等のドーパント添加剤の添加は、極めて可溶性のドーパント含有化学物質を成長溶液に完全に溶解させることによって達成することができる。例えば、硝酸Alの溶液の中への完全溶解によって、Alを供給することができる。溶液へのドーパントの添加はまた、亜鉛と同じ方式で、すなわち、ドーパント源を溶解させ、亜鉛栄養素とともに溶解区域で過剰なドーパント源を伴ってドーパントの濃度を維持し、達成することができる。例えば、Al粉末を溶解区域内でZnO粉末と混合することができる。第3の方法は、Zn栄養素を反応器で使用する、例えば、栄養素としてAlでドープしたZnO粉末を使用する前に、Zn栄養素をドープすることである。第2および第3の方法は、成長の全体を通して溶液中のドーパントの濃度を維持するという利点を有する。しかしながら、少量のドーパントのみが、溶液濃度に対してZnOに組み込まれている場合、溶液濃度はほとんど変化せず、第1の方法が同様に機能してもよい。
【0062】
(核生成およびZnOの成長の制御)
古典的な核生成理論によれば、別の位相での1つの位相の核の作成に関係付けられる自由エネルギー変化ΔGを、核の半径rの3乗となる体積エネルギー項と、半径の2乗となる表面エネルギー項との和として表すことができる。
【0063】
【数4】

【0064】
体積項は、体積化学自由エネルギーGに比例する。新しい位相につながる化学反応がエネルギー的に有利であるときにGは負であり、逆反応が有利であるときにGは正である。反応が平衡から遠いほど、Gの規模が大きくなり、反応が化学平衡であるときにGはゼロである。核生成プロセスは、新しい表面が作成されることを示唆し、よって、表面エネルギー項は常に正であり、表面エネルギーγに比例する。体積項の3乗依存性と比較した、核半径の2乗への依存性により、表面項は常に、小さい半径にとって優勢であり、体積項は大きい半径において優勢となる。以下の式によって求められる臨界半径において、
【0065】
【数5】

【0066】
ΔGは、以下の式によって求められる最大値を有し、
【0067】
【数6】

【0068】
数量ΔGは、以下の式によって求められるアレニウス型関係を介して、核生成速度Iを制御する、安定原子核の形成に対するエネルギー障壁を表す。
【0069】
【数7】

【0070】
これらの式は、均質な核生成に特有であるが、核生成の他の形態に対する挙動を同様に表すことができる。溶液相では、不均質な核生成は常に、ΔGのより低い値、したがって、より高い核生成速度をもたらす。全ての熱力学的に有利な、このシステムで可能な核生成の種類は、均質、不均一、ヘテロエピタキシャル、およびホモエピタキシャル(成長)である。
【0071】
上記で論議されるように、本発明で使用される成長溶液は、溶液中のZnOの溶解度を低下させる。ZnOが溶液から沈殿または堆積させられない限り、過飽和状態が作成される。上記で使用される熱力学項では、過飽和は、Gが負であるように、平衡がZnOの合成に向かって偏移していることを意味する。過飽和がさらに大きくなるにつれて、Gがさらに負になる。Gがさらに負になるにつれて、核生成に対するエネルギー障壁がさらに低くなり、したがって、核生成速度がさらに大きくなる。しかしながら、成長溶液が比較的ゆっくり加熱される場合、実際に発生得るGの大きさが限定される。これは、いったんGが何らかの臨界値に達すると、ZnOの核生成がかなりの速度で発生し始めるという事実によるものである。ZnO種が存在する場合、ホモエピタキシャル核生成、または成長が、非常に低い過飽和で発生する。適切な基質を与えられると、ヘテロエピタキシャル核生成が起こり得るが、より高いスーパーステーションを必要とする。存在する基質にZnOとのエピタキシャル関係がない場合、不均一な核生成は、典型的には、さらに高い過飽和を必要とする。いずれの不均一核生成部位も利用可能ではない場合、均質な核生成が発生し得るが、最高過飽和を必要とする。いったん核生成が始まると、核の成長がシステムを平衡に向かって戻ることを可能にし、それにより、過飽和およびGを低減する。ZnOの最大同力学的許容成長速度が、過飽和の変化の速度よりも速い限り、溶液は平衡に近いままとなる。過飽和の変化の速度は、上記で紹介され、ここで書き換えられる過飽和速度の式で定量化することができる。
【0072】
【数8】

【0073】
したがって、過飽和速度が低く、溶液が平衡に近いままである場合、反応器の堆積区域内のZnO合成の速度は、上記の過飽和速度に等しくなる。結果として、低い過飽和速度で、ZnO合成の速度は、溶液組成物、循環速度、堆積区域の体積、堆積および溶解区域の温度、および堆積区域の温度変化の速度によって影響され得る。
【0074】
上記の説明は、ZnOの異なる形態を製造するために使用される条件を選択するためのガイドラインを提供することができる。例えば、バルク単結晶を成長させるときに、速い成長速度で発生し、結晶の質を低下させる、2次核生成および樹状成長を防止するために、過飽和速度は低く保たれるべきである。基質上でエピタキシャル膜を形成することは、核生成を開始するために、より高い初期過飽和速度を必要としてもよく、その後に、高品質単結晶膜成長を促進するように、より低い過飽和速度が続く。基質上の合成ZnOナノワイヤは、ワイヤが分離されたままであるように、膜よりも低い核生成密度を必要とし得るが、1次元成長を推進するように、核生成後により高い飽和速度を必要とし得る。自由ナノ粒子の合成は、多くの粒子の核生成を開始するために、非常に高い過飽和速度を必要とするが、過飽和は、次いで、即時に低下して粒子のさらなる成長を防止する必要がある。
(成長溶液を加熱および冷却するための機構)
連続循環反応器内の溶液を温度は、多数の方法で達成することができる。最も単純な方法では、堆積区域の温度のみが能動的に制御され、溶解区域の温度は周囲温度に近いままである。これは依然として、堆積区域を加熱するためのいくつかのオプションを可能にする。連続循環反応器は、封入された溶液を加熱するために、堆積容器と熱接触している発熱体を使用してもよい。この方法は、最も単純な機器要件を有するが、堆積容器のサイズ、形状、および組成に応じて、非常に高速または均一な加熱速度を達成するのが困難な場合がある。そのような外部加熱を使用するときに、熱が容器の壁から生じるため、熱を溶液に伝達することができる速度に有限の限界がある。混合を伴っても、壁と接触している溶液が最初に熱くなり、反応器容器の壁上でZnOを核生成する可能性を増大させる。
【0075】
別の実施形態は、放射の吸収を通して溶液を加熱することを使用し、例えば、一般的に2.45GHzマイクロ波放射を使用する。マイクロ波放射は、誘電加熱効果を通して溶液を直接加熱し、より広範囲の加熱速度にわたって、より均一な温度分布を可能にしてもよい。マイクロ波加熱は、マイクロ波放射の電力レベルを変化させることによって、または一定のマイクロ波電力を可変的にパルス化することによって、制御されてもよい。使用される任意の加熱方法の重要な特徴は、温度を制御するための正確なフィードバック機構である。マイクロ波加熱について、これは依然として、参考文献[2]で行われているように、成長溶液の温度を測定する熱電対結を使用して達成されてもよいが、これは、マイクロ波電場および磁場から熱電対を区切ることを必要とする場合があるため、他の電子または光学温度測定スキームが適していてもよい。
【0076】
さらに別の実施形態は、成長溶液と物理的に接触している基質または種結晶の直接加熱を使用する。この実施形態では、ヒータは、基質または基質と熱接触している別の材料と直接熱接触しており、溶液または反応器溶液壁とは直接熱接触していない。熱は、基質または種結晶から隣接する成長溶液へと移される。この熱の流れは、基質または種結晶に直接近接して優先的にZnOの合成を発生させるべきである。膜または単結晶成長について、この方法は、成長速度を増加させ、意図した基質または種結晶から離れて形成されるZnOの量を低減してもよい。
【0077】
(連続循環反応器の作業実施形態)
図3は、連続循環反応器を備える装置300の作業実施形態を図示する。成長溶液302a、302b内の汚染物質を最小化するために、反応器は、化学的不活性フッ素重合体、ペルフルオロアルコキシ(PFA)(例えば、Savillex Corporationから入手される事前成形されたPFA構成要素)から完全に構築にされる。成長溶液の蒸発を防止するために、反応器は、動作中に周辺外気から密閉される。反応器は、ZnO粉末(Zn栄養素306)が水溶液302aの中へ溶解させられる、第1の「低温」溶解容器304、およびZnOが成長溶液302bから合成される、第2の「高温」堆積容器308といった、2つの容器から成る。この実施形態では、成長溶液302a、302bは、過剰なZnO粉末で平衡を保つことによって、溶液がZnOを溶解させることを可能にすることによって形成される、あらゆる可溶性亜鉛種とともに、pHを所望のレベルに調整するように添加される硝酸および/または水酸化ナトリウムも含有する、アンモニアの水溶液から成る。この実施形態では、溶解容器304および堆積容器308は、(必ずしもではないが)典型的には、成長溶液の沸点を下回る1つ以上の温度および周囲(例えば、大気)圧力での動作用である。この実施形態では、溶解容器304は、図1の溶解区域102に対応し、堆積容器308は、図1の堆積区域104に対応する。
【0078】
反応器はさらに、第1の容器304から第2の容器308へ溶液302aを送出するように、および溶解容器304と堆積容器308との間の溶液302a、302bの循環速度を制御するように配置される、機械的流体ポンプ310を備える。この実施形態では、ポンプ310は、溶液がTeflon容器304、308および管類312の内側のみに曝露されるように、蠕動ポンプである。循環方向314も示されている。溶液302aは、ZnO粉末(栄養素)304が堆積容器308に移されることを防止するために、一連の多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜316から成るインラインフィルタ316を通して、溶解容器304から送出される。溶液302bがオーバーフロー機構320を介して堆積容器308から溶解容器304へ流れてもよいように、別の管が、各容器の最上部付近で堆積容器308を溶解容器304に接続し、オーバーフロー機構320としての役割を果たす。したがって、堆積容器308から溶解容器304への成長溶液の帰還流は、オーバーフロー機構320によって達成されてもよく、各容器304、308の中の成長溶液302a、302bの体積が動作中に一定のままであることを確実にする。
【0079】
反応器はさらに、成長溶液302bと熱接触している堆積容器308と熱接触している、ヒータ322を備える。この実施形態では、ヒータ322は、堆積容器308の外側に巻き付けられたテープの形態の電気発熱体であった。温度センサ324は、成長溶液302bと熱接触している。この実施形態では、温度センサ324は、PTFEで被覆したk型熱電対であった。加熱テープ322および熱電対324の両方は、電子温度コントローラ326に電気的に接続される。したがって、電子コントローラは、堆積容器溶液302bの温度を測定する熱電対324からの信号と、堆積溶液302bを加熱する電気加熱テープ322との間のフィードバックループを操作することが可能である。これは、堆積溶液302bが一定の速度で加熱され、一定の温度で保たれることを可能にする。堆積容器308内の溶液302bにおいて均一な濃度および温度プロファイルを維持するために、堆積容器308より下側に配置される磁気撹拌板330と連結される、PTFEで被覆した磁気「撹拌棒」328を使用して、溶液302bが連続的に撹拌される。この実施形態では、溶解容器溶液302aは、溶解容器304の壁を介した雰囲気への熱伝達によって冷却される。この冷却の機構は、304から周囲への熱放散の速度が、溶解容器304の中への溶液の流れによって熱が加えられる速度に一致できるときにしか機能しない。これは、溶液循環の速度が遅い、および/または溶解容器304の表面積が大きいときに当てはまり得る。
【0080】
基質上の堆積のために、図3に図示された実施形態は、基質の表面を成長溶液302bに完全に曝露されたままにする、堆積容器308の相対的中心で基質を懸濁する、同様にPFAでできているサンプルホルダ332を利用する。種々の基質を本実施形態で使用することができる。これは、(111)配向単結晶MgAlウエハ、(0001)配向GaN緩衝層とエピタキシャルな(0001)配向サファイヤウエハ、(0001)、(10−10)、(10−11)を含む、種々の配向を有する単結晶GaNウエハ、および先述の基質のうちのいずれかに基づくIII−N LEDデバイス等の、エピタキシャルZnO形成を可能にする基質を含む。エピタキシャル成長はまた、単結晶ZnOウエハ、またはそうでなければ形成された単結晶ZnO種上で行われてもよい。可能な基質はまた、ガラスおよびポリマーベースの基質を含む、エピタキシャルZnO形成を可能にしない材料も含む。
【0081】
図3に図示され、上記で説明される連続循環反応器の実施形態は、(111)配向単結晶MgAl基質上にエピタキシャル(0001)配向ZnOを堆積するための参考文献[2]で開示されている実験結果を生じるために使用された。この実施形態を使用して、0.25、0.5、および1.0mol/Lのアンモニア濃度を有する、室温pH11を有する水溶液、ならびに0.5mol/Lのアンモニア濃度を有する、室温pH10および12を有する水溶液を使用して、エピタキシャルZnOを成功裏に堆積させた。さらに、参考文献[2]の結果は、溶液組成物(pHおよびアンモニア濃度)、循環速度、ならびに堆積容器溶液の温度および加熱速度によって、ZnOの成長速度を制御できることを実証している。
【0082】
(実験的マイクロ波加熱結果)
実験結果はまた、本発明の堆積区域で利用される、濾過された溶液組成物からのZnO合成を促進するように、マイクロ波加熱を使用して得られている。これらの実験は、溶解区域との循環を伴わずに行われた。マイクロ波放射を使用して可能な高速加熱は、(111)MgAlおよびGaN基質上のエピタキシャル核の高い密度および膜の高速成長をもたらすことが示された。しかしながら、核の密度および成長の速度は、溶液、pH、アンモニア濃度、および加熱速度という条件を変化させることによって制御された。マイクロ波加熱を使用して合成されたZnOの走査型電子顕微鏡(SEM)像が、図4(a)および図4(b)に示されている。
【0083】
図4(a)は、Biotage Initiator(登録商標)単一モードマイクロ波反応器によって供給された2.45GHzマイクロ波放射を使用して、1mol/Lの溶解アンモニアを含有し、溶解ZnOで飽和したpH11溶液を急速に加熱することによって、(111)配向MgAl基質402上に堆積させられたエピタキシャルZnO膜400の45°傾斜断面SEM像を示す。溶液は約40秒で90℃まで加熱され、次いで、基質を除去する前に、即時に50℃まで冷却させられる。そのような短い成長期間でさえも、膜はすでに約600nmの厚さまで成長している。
【0084】
図4(b)は、約50℃まで冷却し、基質を除去するために、成長溶液が25分間90℃で保たれた、同様に形成されたエピタキシャル膜を示す。90℃の溶液中の添加時間が、この膜が厚さ約2μmまで成長することを可能にしている。
【0085】
図4(c)は、異なる条件、この場合は溶液pHが、どのようにして膜よりもむしろエピタキシャルナノロッドをもたらすかを示す。これらのZnOナノロッドは、ZnO飽和したpH12で0.5mol/Lのアンモニア溶液を加熱することによって、(111)配向MgAl上で合成した。以前のように、溶液を約40秒で90℃まで加熱し、次いで、約50℃まで冷却し、基質を除去する前に1分間90℃に保った。
【0086】
(本発明を使用して製造されたIII−N LED電流拡散層)
本発明を使用して製造されたエピタキシャルZnO膜は、ホール効果測定によって測定されるように、1018cm−3よりも大きいキャリア濃度および50cm/Vよりも大きい電子移動度を示している。本発明を使用して生産されたエピタキシャルZnO膜上の光透過測定は、膜が可視スペクトル内の光の90%以上を透過することを示している。これらの値は、III−N LED上に堆積させられたときに透明の電流拡散層として機能するように、ZnOの膜に十分低いシート抵抗および十分高い透明度を与える。低温水溶液からGaNベースの青色LED上に堆積されたエピタキシャルZnO電流拡散層の有益性は、近年参考文献[3]でThompsonらによって実証され、そのような層が、NiO/Au電流拡散層と比較して、青色LEDの外部量子効率を約93%向上させることが示された。
【0087】
図5(a)は、サファイヤ基質502と、基質500上のn−GaN層504と、n−GaN層504上の活性層506と、活性層506上のp−AlGaN層と、AlGaN層上のp−GaN層508とを備える、参考文献[3]で製造されたLED500の構造を図示する。層502−508は、本発明の方法に従って、その上でn型ZnO510が(例えば、90℃の)水溶液内で成長/堆積させられてもよい、基質を形成する。n−ZnO510が層508の上で成長させられてもよいように、基質(層502−508)は、本発明の反応器の堆積容器内で、成長溶液内に設置され(例えば、浸され)てもよい。また、p型接触パッド512およびn型接触パッド514も示されている。
【0088】
図5(b)は、単結晶GaN基質516を使用して製造されたデバイスの同様の構造を図示する。図5(c)は、電流注入下で青色光を生じる、参考文献[3]で製造されたデバイスの光学像を示す。図5(d)は、示されたデバイスが、単結晶GaN基質上に製造された(10−11)配向LED上に、本発明を使用して堆積させられたエピタキシャルZnO電流拡散層を備える、青色光を生じるLEDの同様の光学像を示す。このデバイスは、積分球検出器によって測定されるように、100mAの印加された電流で106mWの光を生じた。参考文献[3]では、ZnO層の使用は、業界標準の薄いNiO/Au電流拡散層と比較して、デバイスの外部量子効率を93%向上させた。しかしながら、これは、光抽出構造をZnO層に組み込むことによってさらに向上させることができる可能性が高い。そのような構造は、下から上への成長または上から下へのエッチングのいずれか一方による、ZnO膜の水性加工を使用して容易に生産することができる。
【0089】
(ZnO膜性質)
ZnOの電気的性質は、多くの用途に重要となる。本発明を使用して製造されたエピタキシャルZnO膜のキャリア種類、濃度、および移動度は、ファンデルポー法ホール効果測定を使用して測定されている。測定された膜は、意図的にドープされていなかった。大部分の非意図的にドープされたZnOのように、膜は、n型伝導性挙動を示す。本発明を用いて生産された堆積膜としてのキャリア濃度は、1018〜1019の範囲であった。最も有望な電子供与体源、すなわち、n型ドーパントは、合成中にZnO膜に組み込まれる水素である。ZnOでの水素の理論的役割は、参考文献[5]で説明されている。成長水溶液によって供給される水素でドープすることにより、B、Al、Ga、またはInのような第IIIb族元素で意図的にドープすることなく、比較的高いキャリア濃度を有するZnO膜が合成されることを可能にする。堆積膜における電子移動度は、典型的には、25〜50cm/Vの範囲であると測定されている。これらの電子移動度値は、蒸着膜で見られる範囲にほぼ対応し、参考文献[6]に従って、ほぼ同じキャリア濃度を有するバルク単結晶で観察される電子移動度の約25〜50%を達成し、ZnO膜が良質であることを示す。
【0090】
上記で説明されるようにIII−N LED上に統合される時等の、ZnOが透明導体としての役割を果たす、用途の別の重要性質は、可視光に対する透明性である。約5μmの厚さを有する、本発明を用いて製造されたエピタキシャルZnO膜は、人間の眼に見える波長にほぼ対応する、390nmから700nmの範囲の光の合計の92%より多くを透過させることが測定された。同じ膜は、300nmから375nmの間の波長を有する紫外線光の94%から95%を吸収することが測定された。375nmを下回る吸収の急な開始は、六角ウルツ鉱型構造結晶ZnOについて典型的に報告されている値である、3.31eVの直接光学バンドギャップに対応する。バンドギャップを下回る波長およびバンドギャップを上回る高透明度での高レベルの吸収は、高品質の膜を示す。例えば、本発明を用いて作成された膜は、参考文献[7]でパルスレーザ堆積によって生産された、ドープされていない、またはGaをドープしたZnO膜よりも多くの可視光を透過する。
【0091】
(プロセスステップ)
図1はZnOを製造する方法を図示する。方法は、以下のステップを含んでもよい。
1.第1の温度で亜鉛含有栄養素を溶解させる124ための水溶液組成物の使用。亜鉛含有栄養素は、ZnOであってもよい。水溶液は、錯体配位子を含有し、適切なpHを有し、そうでなければ、亜鉛錯体が形成してもよい組成物を含んでもよく、それは第2のより暖かい温度と比較して、第1のより冷たい温度においてより高い溶解度をもたらす。使用される錯体配位子は、亜鉛アンミン錯体が溶液内で形成するように、アンモニアであってもよい。栄養素は、別の物質でドープされているか、または合金にされているZnOであってもよい。
2.ZnOの正味流束が第1の区域102から第2の区域104へと発生するように、第1のより冷たい温度の栄養素を含有する第1の区域102と、ZnOが合成される第2のより暖かい温度である第2の区域104とを含む、少なくとも2つの区域の間で、水溶液組成物を移動させるか、または水溶液組成物が移動する100ことを可能にするステップ。しかしながら、1つ以上のプロセスステップ中に、水溶液組成物は、第1の区域102と第2の区域104との間を移動することを妨げられ得る。
3.1つ以上のプロセスステップは、第1の区域102または第2の区域104を加熱110および/または冷却118することによって、第1の区域102および/または第2の区域104のそれぞれの温度を変化させるステップを含んでもよい。第2の区域104中の溶液は、第1の区域102内の温度よりも暖かい第2の区域104内の温度を得るように加熱110されてもよい。第1の区域102内の溶液は、第2の区域104内の温度よりも冷たい第1の区域102内の温度を得るために冷却118されてもよい。第1の区域102内の溶液は、冷却118されてもよく、第2の区域104内の溶液は、第1の区域102内の温度よりも暖かい第2の区域104内の温度を得るように加熱110されてもよい。栄養素が溶解124させられる第1のより冷たい温度、およびZnOが合成116される第2のより暖かい温度の両方は、使用される水溶液組成物の凝固点と沸点との間であってもよい。
4.(例えば、水溶液組成物を使用する)第2の温度でのZnOの合成116であって、ZnOが合成116される第2の温度は、栄養素が溶解124させられる第1の温度よりも高く、または暖かく、ZnOの合成116は、第1のより冷たい温度と比較して第2のより暖かい温度で、水溶液物内のZnOの溶解度112の低減によって引き起こされる。ZnO合成116の速度は、成長水溶液組成物、第1の区域102のおよび第2の区域104の温度、第1の区域102および第2の区域104の加熱110および/または冷却118速度、および溶液が第1の区域と第2の区域との間で移動100する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御されてもよい。基質またはテンプレート上の、あるいは遊離核としてのZnOの核生成116速度は、溶液組成物、第1の区域102および第2の区域104の温度、第1の区域102および第2の区域104の加熱110および/または冷却118速度、および溶液が第1の区域102と第2の区域104との間で移動100する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御されてもよい。
【0092】
合成116されるZnOは、他の構成要素でドープされるか、または合金にされてもよい。例えば、成長溶液は、合成されるZnOに組み込まれる溶存種を含有してもよい。これらの溶存種は、ドーパントとしてZnOに組み込まれる元素を含有するイオンを含むが、それらに限定されない。
【0093】
ZnO合成116は、水溶液302bと接触している基質上でZnO膜の形成をもたらしてもよい。例えば、膜400は、MgAl基質402と接触していてもよい。基質は、すでにZnOが播種されていてもよい。結果として生じるZnO膜は、基質とエピタキシャルであってもよい。基質は、例えば、図5(a)および図5(b)に示されるようなIII−NベースのLEDデバイスであってもよい。
【0094】
ZnO合成116は、図4(c)に示されるようなZnO微細構造またはナノ構造404の形成をもたらしてもよい。微細構造またはナノ構造は、基質テンプレートの上または内側、あるいは溶液の大部分の中で形成することができる。
【0095】
ZnO合成116は、バルクZnO単結晶の成長をもたらしてもよい。
【0096】
水溶液は、ZnOの合成116に影響を及ぼすが、ZnO合成116中に消費されず、結果として生じるZnOに組み込まれない、添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、金属クエン酸塩、クエン酸、ZnOの表面と相互作用する安定したアニオンを産生する他の塩または酸、界面活性剤、ポリマー、または生体分子を含むことができるが、それらに限定されない。
【0097】
上記のプロセスステップは、成長水溶液302aの中へZnO栄養素を溶解させるための溶解区域102または容器304と、成長水溶液302bから基質またはシード上へZnOを堆積させるための堆積区域104または容器308と、溶解区域102から堆積区域104およびその逆の成長溶液302a、302bの移動が発生するような、溶解区域102、304への接続312、320とを備える、ZnOを製造するための連続循環反応器内で行われてもよい。溶解区域102および堆積区域104は、成長水溶液302a、302bの凝固点と沸点との間の1つ以上の温度での動作用であってもよい。
【0098】
図3に示されるように、溶解区域102および堆積区域104は、成長水溶液302a、302bとの接触による腐食や溶解に耐え、またはそうでなければ分解される、非反応性材料から製造されてもよい、1つ以上の容器304、308の中に含有されてもよい。そのような材料は、フッ素重合体、他の高性能ポリマー、ケイ酸塩ガラス、およびステンレス鋼のうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない。動作中に成長水溶液302a、302bと接触する反応器の全ての構成要素は、非反応性材料から成る、または構成されてもよい。
【0099】
反応器はさらに、送出されている成長水溶液302a、302bを汚染しない方式で動作することが可能であり、溶解区域102から堆積区域104へ成長溶液を送出するように配置され、溶解区域102と堆積区域104との間の成長溶液302aの循環100速度を制御する、蠕動ポンプ310、チューブポンプ、または他の機械的ポンプ機構を備えてもよい。
【0100】
反応器はさらに、溶解区域102から堆積区域104へ送出されている、溶解されていない栄養素を阻止するか、またはその粒径を制限するために、溶解区域102と堆積区域との間に配置されるフィルタ316を備えてもよい。
【0101】
反応器はさらに、堆積区域104から溶解区域102への成長溶液302bの流れ108を戻すように配置され、溶解区域102へ成長溶液302bを戻すための第2の同期ポンプの必要性を回避しながら、各区域102、104内の成長溶液302a、302bの体積が一定のままであることを確実にするためのオーバーフロー機構320をさらに備えてもよい。
【0102】
反応器はさらに、堆積区域104を加熱するためのヒータ322と、堆積区域104と熱接触している温度センサ324とを備えてもよく、ヒータ322は、堆積区域104内の成長溶液302bが、より暖かい成長溶液であり、溶解区域102内の成長溶液302aが、より暖かい成長溶液よりも冷たい、より冷たい成長溶液であるように、堆積区域104内の成長溶液302bを加熱するためのものであり、温度センサ324は、ヒータ322および温度センサ324の両方に接続される電子温度コントローラまたはコンピュータを介して堆積区域104内の温度の測定および制御を可能にする。しかしながら、1つの修正では、反応器の堆積区域104内の溶液302bは、ヒータ322との熱的接触よりもむしろ、放射の吸収、例えば、2.45GHzのマイクロ波放射の吸収によって加熱されてもよい。
【0103】
別の可能な修正では、反応器の堆積区域104内の基質または種結晶は、最初に加熱され、次いで、熱は、基質または種結晶から周辺水溶液302bに移される。
【0104】
(参考文献)
以下の参考文献が、参照することにより本明細書に援用される。
【0105】
【表1−1】

【0106】
【表1−2】

【0107】
(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を締めくくるものである。本発明の1つ以上の実施形態についての上述の説明は、図解および説明のために示したものである。この記述は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。上述の教示に照らして、多数の修正および変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された請求項によって限定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnOを製造する方法であって、
(a)水溶液組成物を使用して、亜鉛を含有する栄養素を第1の温度で溶解させることと、
(b)該ZnOを第2の温度で合成することであって、該ZnOが合成される該第2の温度は、該栄養素が溶解させられる該第1の温度よりも高いかまたはより暖かく、該ZnOの該合成は、該第1のより冷たい温度と比較して、該第2のより暖かい温度における該水溶液組成物内での該ZnOの溶解度の低減によって引き起こされる、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも2つの区域の間で、前記水溶液組成物を移動させるか、または該水溶液組成物が移動することを可能にすることをさらに含み、該少なくとも2つの区域は、前記第1のより冷たい温度の、前記栄養素を含有する第1の区域と、ZnOが合成される前記第2のより暖かい温度の第2の区域とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上のプロセスステップをさらに含み、該プロセスステップは、前記第1の区域または前記第2の区域を加熱または冷却すること、あるいは加熱および冷却することによって、該第1の区域または該第2の区域、あるいは該第1の区域および該第2の区域のそれぞれの温度を変化させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ZnO合成の速度は、前記水溶液の組成、前記第1の区域の前記第1の温度および前記第2の区域の前記第2の温度、該第1の区域および該第2の区域の加熱または冷却速度あるいは加熱および冷却速度、ならびに前記水溶液組成物が該第1の区域と該第2の区域との間で移動する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
基質またはテンプレート上における、あるいは遊離核としての前記ZnOの核生成速度は、前記水溶液の組成、前記第1の区域の前記第1の温度および前記第2の区域の前記第2の温度、該第1の区域および該第2の区域の加熱または冷却速度あるいは加熱および冷却速度、ならびに前記水溶液組成物が該第1の区域と該第2の区域との間で移動する速度の任意の組み合わせを変化させることによって制御される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記栄養素が溶解させられる前記第1のより冷たい温度、および前記ZnOが合成される前記第2のより暖かい温度の両方は、前記水溶液組成物の凝固点と沸点との間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記亜鉛を含有する栄養素は、ZnOである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水溶液組成物は、錯体配位子を含有し、適切なpHを有し、そうでなければ、亜鉛錯体が形成する組成物を含み、前記第2のより暖かい温度と比較して、前記第1のより冷たい温度においてより高い溶解度をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
使用される前記錯体配位子は、アンモニアであることにより、亜鉛アンミン錯体が前記水溶液組成物内で形成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の区域内の前記水溶液組成物が加熱されることにより、前記第1の区域内の前記第1の温度よりも暖かい、該第2の区域内の前記第2の温度を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の区域内の前記水溶液組成物が冷却されることにより、前記第2の区域内の前記第2の温度よりも冷たい、該第1の区域内の前記第1の温度を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の区域内の前記水溶液組成物が冷却され、前記第2の区域内の該水溶液組成物が加熱されることにより、該第1の区域内の前記第1の温度よりも暖かい、該第2の区域内の前記第2の温度を得る、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上のプロセスステップ中に、前記水溶液組成物は、前記第1の区域と前記第2の区域との間で移動することを妨げられる、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
合成される前記ZnOは、1つ以上の構成要素によってドープされるか、または合金にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ZnO合成は、前記水溶液組成物と接触している基質上にZnO膜の形成をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基質は、ステップ(b)における前記ZnOの前記合成の前に、ZnOが既に播種されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結果として生じるZnO膜は、前記基質とエピタキシャルである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基質は、III族窒化物ベースの発光ダイオードデバイスである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ZnO合成は、ZnOの微細構造またはナノ構造の形成をもたらし、該微細構造または該ナノ構造は、基質テンプレートの上または内部、あるいは前記水溶液組成物の大部分の中で形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ZnO合成は、バルクのZnO単結晶の成長をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記水溶液組成物は、添加剤を含有し、該添加剤は、前記ZnOの前記合成に影響を及ぼすが、該ZnO合成中に消費されず、合成される該結果として生じるZnOに組み込まれず、該添加剤は、金属クエン酸塩、クエン酸、該ZnOの表面と相互作用する安定したアニオンを産生する他の塩または酸、界面活性剤、ポリマー、または生体分子のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記水溶液組成物は、合成される前記ZnOに組み込まれる溶存種を含有し、該溶存種は、ドーパントとして該ZnOの中に組み込まれる元素を含有するイオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記栄養素は、別の物質によってドープされているか、または合金にされているZnOである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ZnOを製造する連続循環反応器であって、
成長水溶液の中にZnO栄養素を溶解させる溶解区域または容器と、
該成長水溶液から基質またはシード上にZnOを堆積させる堆積区域または容器と、
該溶解区域から該堆積区域まで、およびその逆の該成長水溶液の移動が発生するような、該溶解区域への接続と
を備える、反応器。
【請求項25】
前記溶解区域および前記堆積区域は、前記成長水溶液の凝固点と沸点との間の1つ以上の温度での動作のためのものである、請求項24に記載の反応器。
【請求項26】
前記溶解区域および前記堆積区域は、1つ以上の容器の中に含有され、該容器は、前記成長水溶液との接触による腐食、溶解、または他の分解に耐える非反応性材料から製造される、請求項24に記載の反応器。
【請求項27】
前記非反応性材料は、フッ素重合体、他の高性能ポリマー、ケイ酸塩ガラス、またはステンレス鋼のうちの1つ以上を含む、請求項26に記載の反応器。
【請求項28】
動作中に前記成長水溶液と接触する前記反応器の全ての構成要素は、前記非反応性材料から構成される、請求項26に記載の反応器。
【請求項29】
送出されている前記成長水溶液を汚染しない方式で動作することが可能であり、前記溶解区域から前記堆積区域まで該成長水溶液を送出するように配置され、該溶解区域と該堆積区域との間の該成長水溶液の循環速度を制御することが可能である、蠕動ポンプ、チューブポンプ、または他の機械的ポンプ機構をさらに備える、請求項24に記載の反応器。
【請求項30】
前記溶解区域と前記堆積区域との間に配置されるフィルタをさらに備え、該フィルタは、該溶解区域から該堆積区域まで送出されている溶解されていない栄養素を阻止するか、またはその粒径を制限する、請求項24に記載の反応器。
【請求項31】
オーバーフロー機構をさらに備え、該オーバーフロー機構は、前記堆積区域から前記溶解区域までの前記成長水溶液の流れを戻すために配置され、該溶解区域まで該成長水溶液を戻すための第2の同期ポンプの必要性を回避しながら、各区域の該成長水溶液の体積が一定のままであることを確実にする、請求項24に記載の反応器。
【請求項32】
前記堆積区域を加熱するヒータと、
該堆積区域と熱接触している温度センサと
をさらに備え、
該ヒータは、該堆積区域内の前記成長水溶液を加熱するためのものであって、それにより、該堆積区域内の該成長水溶液が、より暖かい成長溶液であり、前記溶解区域内の該成長水溶液が、該より暖かい成長溶液よりも冷たいより冷たい成長溶液であり、該温度センサは、該ヒータおよび該温度センサの両方に接続される電子温度コントローラまたはコンピュータを介して、該堆積区域内の温度の測定および制御を可能にする、請求項24に記載の反応器。
【請求項33】
前記反応器の前記堆積区域内の前記成長水溶液は、ヒータとの熱的接触よりもむしろ、放射の吸収によって加熱され、該ヒータは、該放射または該放射の供給源である、請求項32に記載の反応器。
【請求項34】
前記放射は、2.45GHzのマイクロ波放射である、請求項32に記載の反応器。
【請求項35】
前記反応器の前記堆積区域の基質または種結晶は、最初に、前記ヒータによって加熱され、次いで、熱が該基質または種結晶から周辺の成長水溶液に移される、請求項31に記載の反応器。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【公表番号】特表2012−524019(P2012−524019A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506237(P2012−506237)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031286
【国際公開番号】WO2010/121060
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】