説明

交通誘導システム、端末装置、及びサーバ装置

【課題】 交通の流れをモニタしながら最適な交通流情報を車両に送信することにより、適切に交通誘導の支援を行うことができる交通誘導システムを提供する。
【解決手段】 車両の走行経路がサーバ装置200の指示した交通流情報に沿わなくなったときは、再度、その車両に搭載された端末装置100において経路探索を行う。端末装置100による経路探索結果に基づいて、その車両の経路情報と端末固有情報を端末装置100からサーバ装置200へ送信し、サーバ装置200に対して交通流予測を再度依頼する。よって、サーバ装置200で管理されている各端末装置100の経路情報は常に最新情報となり、サーバ装置200で実施される交通流のシミュレーションは常に正しい交通流予測結果を導き出せる。その結果、最適な交通流予測が実現でき、端末装置100はその情報を用いた経路探索により所要時間情報を正確に算出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通の流れを予測して最適な経路を探索する交通誘導システム等に関し、特に、ネットワーク網を介してセンタ装置に接続して最適な経路の探索を行うネットワーククライアント型の交通誘導システム、及びこの交通誘導システムに用いられるサーバ装置と端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の交通渋滞を予測する場合は、過去の渋滞情報を日時、曜日、場所、天候などの要因によって静的に分類し、それぞれの渋滞データをデータベースとして保存しておき、実際に予測したい日時、曜日、場所などのパラメータを設定して、それに対応するデータベースから渋滞情報を取得することで交通渋滞の予測を行っている。また、イベントの開催などによって一時的に急激な交通量の増加が見込まれる場合の交通渋滞の予測では、該当する道路における交通量を決定して交通動態のモデル化を行い、コンピュータ上において交通の流れを擬似的に発生させることで渋滞箇所を予測する。そして、警察署などが、予測された渋滞箇所について渋滞を解消させるための信号制御データを決定し、その信号制御データに基づいて交差点の信号を制御することによって渋滞解消に役立てる手法も検討されている。しかし、現状では、突発的な事故などによって渋滞が発生した場合には、警察官などが車両の誘導を行ったりすることによって渋滞時間の短縮化を図ることが一般的に行われている。
【0003】
また、車両に搭載された車載ナビゲーションコンピュータと地上側の道路管理コンピュータ(つまり、センタ装置)との交信を利用して自動的にドライバに迂回を促すことにより、交通渋滞を解消しようとする交通誘導システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、道路管理コンピュータが個々の車両の車載ナビゲーションコンピュータから経路情報を収集している。そして、事故などが発生した場合には、道路管理コンピュータが、監視カメラや監視センサなどから検出された交通状況に加え、各車両の車載ナビゲーションコンピュータから送信されてきた経路情報を収集して道路の混雑状態を予測する。そして、交通量が道路容量を越えると予測された場合には、すなわち渋滞が発生すると予測された場合には、地上側の道路管理コンピュータが、他のルートに迂回することが可能な車両を選択し、その車両の車載ナビゲーションコンピュータに対して迂回ルートの情報を伝達するようにシステムが構築されている。これによって、特定の区間の一時的な渋滞を緩和することができる。
【特許文献1】特開平9−22497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された技術においては地上側の道路管理コンピュータが迂回可能な車両を決定しているが、このとき、道路管理コンピュータが迂回可能な車両を決定する要因は、それぞれの車両ごとの経路情報に基づいた所要時間と迂回したときの所要時間との時間差の情報である。すなわち、各車両が所定の経路を通り続けたときの所要時間より迂回ルートを利用したときの所要時間のほうが短ければ、道路管理コンピュータは該当する車両が迂回可能な車両であると決定する。言い換えれば、迂回をすることでより早く目的地に到着できる車両から順番に迂回したほうがよいという迂回情報を、道路管理コンピュータから該当する車両の車載ナビゲーションコンピュータに送信して迂回を促している。
【0005】
ところが、道路管理コンピュータから迂回の指示を受けた車両が実際に迂回するか否かはドライバの判断によるものであり、迂回の指示を受けた場合でも該当する車両が確実に迂回するとは限らない。また、迂回したときの目的地への到着時間があまり短縮されない場合は、道路管理コンピュータから迂回の指示を受けない車両も存在する。しかし、このような迂回の指示を受けない車両の中にも、実際には迂回によって目的地への到着時間が短縮されるケースもある。このように迂回指示を受けない場合には、ドライバの性格によっては、渋滞にさしかかると時間短縮の可否が不明なまますぐ迂回してしまうこともあり、必ずしも全体的に最適な経路が誘導されているとは限らない。
【0006】
すなわち、上記の特許文献1に記載された技術を含めた従来の交通誘導システムは、交通渋滞を解消するために、迂回をすることでより早く目的地に到着できる車両から順番に迂回したほうがいいという情報を車載ナビゲーションコンピュータに送信し、迂回を促すことで渋滞の最適化を図ろうとしている。ところが、迂回の指示を受けた車両が本当に迂回するのか否かはドライバ自身の判断によるものであり、かつ、迂回による時間短縮が僅かな場合は迂回指示を受けない車両もあるので、従来の交通誘導システムでは必ずしも最適な渋滞解消の制御にならない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、交通の流れをモニタしながら現実に近い所要時間に基づいて最適な交通流情報を車両に送信することにより、適切に交通誘導の支援を行うことができる交通誘導システム、この交通誘導システムに用いられる端末装置、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の交通誘導システムの一つの態様は、車両に搭載されて経路探索を行う端末装置と地上に設置されて交通流のシミュレーションを行うサーバ装置とがネットワーク網に接続され、交通流を予測して最適な経路探索を行う交通誘導システムであって、端末装置は、自己が搭載されている車両の経路探索結果から、その車両が所定の経路を外れた場合には修正経路の探索を行い、修正経路探索結果を最新の経路情報としてサーバ装置へ送信して最適な経路探索を行う最適経路探索手段を備え、サーバ装置は、端末装置から送信された最新の経路情報を利用して交通流のシミュレーションを行い、そのシミュレーションの結果である最新の交通流情報を端末装置へ送信する交通流情報送信手段を備える構成を採る。
【0009】
この構成によれば、車載の端末装置と地上のサーバ装置とがネットワーク網に接続され、端末が求めた経路探索結果から自車の経路が所定の経路から外れた場合は再度経路探索を行い、端末装置は再度の経路探索結果である最新の経路情報をサーバ装置へ送信している。すると、サーバ装置は各端末装置から送信された最新の経路情報を利用して交通流のシミュレーションを行い、その結果である最新の交通流情報を端末装置へ送信するという処理を繰り返して行っている。したがって、このような処理によって最適な経路探索を行うことにより、適切に交通誘導を支援する交通誘導システムを実現することができる。
【0010】
また、本発明の交通誘導システムの一つの態様においては、端末装置は、前記発明の構成に加えて、さらに、修正経路探索結果を求めるときに車両の運転パターン情報を計測する運転パターン検出手段を備える構成を採る。
【0011】
この構成によれば、端末装置が経路探索結果を求めるときに、運転パターン検出手段がドライバの運転特性や嗜好を考慮した経路探索を行うので、結果的に車両が所定の経路から外れる割合を低減することができる。そのため、所定の経路からの逸脱による再経路探索の回数や経路の変更に伴う交通流算出の回数を低減させることができるので、端末装置やサーバ装置の負荷を軽減させること可能となる。
【0012】
また、本発明の交通誘導システムの一つの態様においては、端末装置は、前記発明の構成に加えて、さらに、修正経路探索結果を求めるときに複数の経路からドライバの意思に沿った経路を選択する意思入力手段を備える構成を採る。
【0013】
この構成によれば、端末装置が経路探索結果を求めるときに複数の経路探索結果を表示してドライバに提示すれば、ドライバが押釦などの意思入力手段に所定の入力を行うことにより好みの経路を選択することができる。したがって、車両が所定の経路から外れる割合を低減させることができる。つまり、所定の経路からの逸脱による再経路探索の回数、及び経路変更に伴う交通流算出の回数を低減させることができるので、端末装置及びサーバ装置の負荷を軽減させることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記発明の交通誘導システムに用いられる端末装置を提供することもできる。すなわち、本発明の端末装置の一つの態様は、地上に設置されたサーバ装置に交通流のシミュレーションを行わせるためにそのサーバ装置と交信し、そのサーバ装置が予測した交通流情報に基づいて最適な経路探索を行うために車両に搭載された端末装置であって、自己が搭載されている車両の経路探索結果から、その車両が所定の経路を外れた場合には修正経路の探索を行い、修正経路探索結果を最新の経路情報としてサーバ装置へ送信し、サーバ装置から最新の交通流情報を取得して最適な経路探索を行う最適経路探索手段を備える構成を採る。
【0015】
また、本発明の端末装置の一つの態様は、前記発明の構成において、前記最適経路探索手段は、ネットワーク網を介してサーバ装置から現在の交通流情報を受信する端末通信手段と、端末通信手段が受信した交通流情報を蓄積する交通流情報蓄積手段と、交通流情報蓄積手段に蓄積された交通流情報に基づいて経路探索を行い、端末通信手段を介してサーバ装置へ経路探索結果と端末固有情報とを送信する経路探索手段と、サーバ装置から送信されて交通流情報蓄積手段に蓄積された交通流情報及び経路探索手段がサーバ装置へ送信する経路探索結果を表示する表示手段と、地上に設置された渋滞情報提供手段から渋滞情報を受信する渋滞情報取得手段と、端末装置の現在位置を測定してその現在位置を経路探索手段へ送信する位置取得手段とを備える構成を採る。
【0016】
また、本発明の端末装置の一つの態様は、前記発明の構成に加えて、さらに、修正経路探索結果を求めるときに車両の運転パターン情報を計測する運転パターン検出手段を備える構成を採る。
【0017】
また、本発明の端末装置の一つの態様は、前記発明の構成に加えて、さらに、修正経路探索結果を求めるときに複数の経路からドライバの意思に沿った経路を選択する意思入力手段を備える構成を採る。
【0018】
また、本発明は、上記発明の交通誘導システムに用いられるサーバ装置を提供することもできる。すなわち、本発明のサーバ装置の一つの態様は、経路探索を行うために車両に搭載された端末装置と交信し、交通流のシミュレーションを実行するために地上に設置されたサーバ装置であって、端末装置から送信された最新の経路情報を利用して交通流のシミュレーションを実行し、その結果である最新の交通流情報を端末装置へ送信する交通流情報送信手段を備える構成を採る。
【0019】
また、本発明のサーバ装置の一つの態様は、前記発明の構成において、前記交通流情報送信手段は、端末装置から経路探索結果と端末固有情報とを含む端末情報を受信するサーバ通信手段と、サーバ通信手段が受信した端末情報をそれぞれの端末装置ごとに管理しておく端末情報管理手段と、交通状況及び前記端末情報に基づいて交通流のシミュレーションを行い、交通流情報を算出する交通流算出手段と、地上に設置された画像入力手段が取得した画像情報に基づいて現在の交通状況を検出して蓄積する交通状況検出手段とを備える構成を採る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の交通誘導システムによれば、発生した交通渋滞箇所に対応して各車両が通過する経路を正確に把握することができるので、より現実に近い交通流予測を行うことが可能となる。その結果、各車両ごとの目標地点まで正確な所要時間情報を入手することができる。また、ナビゲーションシステムを搭載していない車両や経路情報をサーバ装置に送信しないドライバが存在していても、本発明による交通誘導システムを利用すれば、より現実に近い所要時間を把握することができる。これによって、各車両の端末装置がサーバ装置に接続して、自己の経路情報を提供しながらリアルタイムな交通流情報を受信するドライバが増えることが予想されるので、より交通流予測の精度が高まるという相乗効果を期待することができる。
【0021】
すなわち、従来の交通誘導システムでは、サーバ装置に対して各端末装置の経路探索結果を送信しているので、本発明の交通誘導システムではその特徴を活かしながら、サーバ装置が必要とするときに要求を出して各端末装置から経路情報を送るのではなく、各端末装置が経路探索を行ったときに経路探索結果として経路情報をサーバ装置へ送信している。また、それに加えて、各車両がその経路情報に沿わなくなったときは(つまり、所定の経路から外れたときは)、再度、端末装置において経路探索を行い、その経路探索結果(つまり、再度の経路探索結果)の情報をサーバ装置に送信している。これによって、サーバ装置で管理されている各端末装置の経路情報は常に最新のものとなり、サーバ装置で実施される交通流のシミュレーションは常に正しい交通流予測結果を導き出すことができる。その結果、各端末装置は正しい交通流予測結果に基づいてより正確な経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〈発明の概要〉
本発明の交通誘導システムは、車両に搭載された端末装置と地上に設置されたサーバ装置とがネットワーク網に接続された構成となっている。このような構成において、各端末装置が経路探索結果をサーバ装置へ送信するとき、サーバ装置が必要とするときに要求を出して各端末装置から経路情報を取得するのではなく、各端末装置が経路探索を行ったときに、各端末装置は自発的に経路探索結果と端末固有情報とを経路情報(つまり、端末情報)としてサーバ装置へ送信する。さらに、それに加えて、各車両がその経路情報に沿わなくなったときは(つまり、所定の経路から外れたときは)、再度、各端末装置が経路探索を行い、新たな経路探索結果としての経路情報を各端末装置からサーバ装置へ再送信する。このような各端末装置による経路情報の再送信処理によって、サーバ装置に管理されている各端末装置の経路情報は常に最新の経路情報となる。したがって、サーバ装置上で実施される交通の流れ(以下、交通流という)のシミュレーションは、常に正しい交通流の予測結果を導き出すことができる。
【0023】
以下、図面を用いて、本発明における交通誘導システムの実施の形態の幾つかを詳細に説明する。尚、各実施の形態に用いる図面において、同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【0024】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の各実施の形態に共通する交通誘導システムの概略的な構成図である。図1に示すように、本発明の交通誘導システムは、車両に搭載されて経路探索を行う車載ナビゲーションコンピュータなどの端末装置100と、地上に設置されて交通流のシミュレーションを行うサーバ装置200と、端末装置100とサーバ装置200との間で情報を相互に提供するための通信を行うネットワーク網300とによって構成されている。
【0025】
図2は、図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態1に係る端末装置100の構成図である。図2に示すように、端末装置100は、ネットワーク網300を介してサーバ装置200から現在の交通流情報501を受信する端末通信部101と、端末通信部101が受信した交通流情報501を蓄積する交通流情報蓄積部102と、交通流情報蓄積部102に蓄積された交通流情報501に基づいて経路探索を行い、端末通信部101を介してサーバ装置200へ経路探索結果503を送信する経路探索部103と、サーバ装置200から送信されて交通流情報蓄積部102に蓄積された交通流情報501や経路探索部103がサーバ装置200へ送信する経路探索結果503を表示するための表示部104と、光ビーコンやFM多重放送受信機などの地上に設置された渋滞情報提供部から渋滞情報502を受信する渋滞情報取得部105と、端末装置100の現在位置を測定して現在位置を経路探索部103へ送信する位置取得部106とを備えた構成となっている。
【0026】
図3は、図1に示す交通誘導システムにおけるサーバ装置200の構成図である。図3に示すように、サーバ装置200は、端末装置100から経路探索結果503と端末固有情報とを含む端末情報504を受信するサーバ通信部201と、サーバ通信部201が受信した端末情報504をそれぞれの端末装置100ごとに管理しておく端末情報管理部202と、交通状況505や端末情報504に基づいて交通流のシミュレーションを行い、交通流情報501を算出する交通流算出部203と、道路上に設置された監視カメラなどの情報をもとに現在の交通状況505を検出して蓄積する交通状況検出部204とを備えた構成となっている。
【0027】
次に、本発明の実施の形態1における交通誘導システムの動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における交通誘導システムの経路探索スタンバイ動作の流れを示すフローチャートである。また、図5は、本発明の実施の形態1における交通誘導システムの経路探索動作の流れを示すフローチャートである。したがって、図1、図2、図3、図4、及び図5を用いて実施の形態1における交通誘導システムの動作の流れを説明する。
【0028】
まず、図4に示すフローチャートにしたがって、本発明の交通誘導システムが経路探索を行うための前提条件となる経路探索スタンバイ動作の流れを説明する。端末装置100は、経路探索の前提条件として、自己が搭載された車両が走行しているときに位置取得部106を用いて車両の現在位置を常時計測している(ステップS1)。またこれに並行して、サーバ装置200は、端末装置100から端末情報504を受信していないときは、道路上に設置された監視カメラなどが取得した画像情報を用い、交通状況検出部204で生成された交通状況505に基づいて、交通流算出部203を使用して交通流情報501を算出している(ステップS2)。
【0029】
そして、交通流算出部203が算出した交通流情報501は、サーバ通信部201を利用して車両の端末装置100へ送信される。サーバ装置200から端末装置100へ送信された交通流情報501は端末通信部101を利用して受信され、その交通流情報501は端末装置100の交通流情報蓄積部102へ蓄積される(ステップS3)。また、この交通流情報501は端末装置100の表示部104に表示されてドライバに伝達される(ステップS4)。なお、端末装置100を搭載した車両は、受信可能なときは常に道路上に設置された光ビーコンなどの渋滞情報提供部から、渋滞情報取得部105を用いて渋滞情報502を取得している(ステップS5)。
【0030】
次に、図5に示すフローチャートにしたがって、本発明の交通誘導システムが実際に経路探索を行う動作の流れを説明する。車両のドライバが端末装置100を用いて経路探索を行うときは、端末装置100の経路探索部103が、交通流情報501と渋滞情報502を利用して動的に経路探索を行い、経路探索結果503を算出する(ステップS11)。さらに、端末装置100の経路探索部103が経路探索を行った場合は、端末装置100の端末通信部101からサーバ装置200へ経路探索結果503を送信する。このとき、端末装置100は、経路探索結果503に対してID番号などのような端末装置100に固有の情報(つまり、端末固有情報)を付加した端末情報504を生成し、端末通信部101を用いてサーバ装置200のサーバ通信部201へその端末情報504を送信する(ステップS12)。
【0031】
次に、サーバ通信部201によって端末情報504を受信したサーバ装置200は、その端末情報504を端末情報管理部202へ送信する。そして、端末情報管理部202は、それぞれの端末装置100ごとに区分して各端末情報504を管理する。なお、ここで収集された端末情報504は、各端末装置100のそれぞれの端末情報504を集めたものである。
【0032】
このようにして各端末装置100からサーバ装置200へそれぞれの端末情報504が送信されると、サーバ装置200の交通流算出部203は、新規に追加されたり変更された端末情報504と現在の交通状況505とを用いて(つまり、各端末装置100の経路探索結果503の情報を用いて)交通流のシミュレーションを行い、交通流情報501を生成する(ステップS13)。
【0033】
そして、サーバ装置200の端末情報管理部202は、いま生成された交通流情報501が端末装置100へ前回送信した交通流情報501と異なるか否かを判断し(ステップS14)、いま生成された交通流情報501と端末装置100へ前回送信した交通流情報501とが異なる場合は(ステップS14でYesの場合)、サーバ装置200のサーバ通信部201から、所定のエリア中に存在する全ての端末装置100に対して、いま生成された交通流情報501を送信する(ステップS15)。なお、いま生成された交通流情報501と端末装置100へ前回送信した交通流情報501とが同じ場合は(ステップS14でNoの場合)、いま生成された交通流情報501の送信は行わない。
【0034】
次に、ステップS15で、いま生成された交通流情報501がサーバ装置200から端末装置100へ送信されたときは、その交通流情報501を受信した端末装置100は、交通流情報蓄積部102を用いてその交通流情報501を蓄積する。さらに、その交通流情報501を表示部104に表示する。
【0035】
このようにして交通流情報501が更新された場合には、端末装置100の経路探索部103は、更新された交通流情報501に基づいて新たな経路探索を自動的に行い、所望の経路探索結果503を生成する(ステップS16)。そして、経路探索部103は、ここで生成された経路探索結果503が前回の経路探索結果503と異なっているか否かを判断する(ステップS17)。
【0036】
ここで、いま生成された経路探索結果503と前回の経路探索結果503とが異なっている場合は(ステップS17でYesの場合)、端末装置100の経路探索部103は、再び経路探索を行って経路探索結果503を求め、その経路探索結果503に対して端末固有情報を付加した端末情報504を生成してサーバ装置200へ送信する。以下、ステップS12以降の処理を繰り返す。
【0037】
以上の説明では、1台の端末装置100から経路探索結果503がサーバ装置200へ送信された場合について述べたが、サーバ装置200は所定のエリア中に存在する端末装置100を管理しているため、一般的に複数の端末装置100が所定のエリア中に存在することになる。したがって、他の端末装置から経路探索結果503が送信されて交通流情報が更新されるが、この交通流情報はそのエリア内に存在するすべての車両の端末装置へ送信される。
【0038】
また、上記の図5に示すような各ステップの処理を行うことにより、端末装置100にはサーバ装置200で計算された最新の交通流情報501が存在し、サーバ装置200には各端末装置100の最新の経路情報を含む端末情報504が蓄積されていることになる。そのため、端末装置100が計算した経路情報の通りにドライバが運転を行えば、上述した各構成要素だけの動作で問題は生じない。しかし、一般的には、交通渋滞である程度待たされると迂回を試みようとしてわき道に移動するドライバも存在する。このとき、端末装置100の表示部104には常に最新情報に更新された交通流情報501が表示されているため、ドライバは表示された交通流情報501に基づいて迂回したほうがよいかどうかの判断を行う。
【0039】
さらに、車両が指示された経路通りに進む場合は特に問題はないが、他の経路の方が早いと判断した場合は指示された経路から外れることになる。そのような場合は、端末装置100には位置取得部106及び現在の経路探索結果503があるので、現在位置が経路情報から外れたかどうかの判断を行うことが可能である。ここで、自分の車両が所定の経路から外れた場合は、経路探索部103が、再度、経路探索を行う。このような場合は、経路探索部103は交通流情報501と渋滞情報502を利用して動的に経路探索を行う。その場合についても図5のステップS12以降の処理をそのまま繰り返す。
【0040】
上記のような各ステップの処理を目的地に到着するまで繰り返すことによって、常に新しい経路探索結果503が端末装置100からサーバ装置200へ送信される。その結果、サーバ装置200の交通流情報501の予測結果も最新のものに更新されるため、端末装置100は常に最新の交通流情報501の状態を維持することができる。上記のようなアルゴリズムを利用することによって現実に近い交通流の予測を行うことが可能となり、ドライバは所望の目標地点までの正確な所要時間情報を入手することができる。
【0041】
〈実施の形態2〉
図6は、図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態2に係る端末装置の構成図である。図6に示す実施の形態2の端末装置100aが図2に示す実施の形態1の端末装置100と異なるところは、ドライバの運転パターン情報511を計測する運転パターン検出部107が追加されたところのみである。したがって、図6に示す実施の形態2では、図2に示す実施の形態1の端末装置100と区別するために、端末装置100aというように符号を変えることにする。
【0042】
図6に示す実施の形態2の端末装置100aにおける経路探索の基本的な動作は、図4に示す実施の形態1の経路探索スタンバイ動作とほぼ同様であり、かつ、図5に示す実施の形態1の経路探索動作とほぼ同様であるが、異なる点は運転パターン検出部107による運転パターン情報511の計測動作が追加された点のみである。したがって、新たなフローチャートを用いないで、図4及び図5のフローチャートを用いて実施の形態2における経路探索スタンバイ動作及び経路探索動作を説明する。
【0043】
すなわち、図4に示す経路探索スタンバイ動作に関しては、実施の形態2では、実施の形態1におけるステップS1の車両の現在位置計測動作に加えて、端末装置100aは自己が搭載された車両が走行しているときに運転パターン検出部107を用いて常にドライバの運転パターン情報511を計測する動作(以下、運転パターン情報計測動作という)を行う。例えば、過去の運転軌跡情報などを用いて右折レーンのない場所での右折を避けるとか、幅員が5.5m以下の道路は通らないなどのような運転パターン情報計測動作を行う。なお、このときに蓄積された運転パターン情報計測動作の履歴は運転パターン情報511として記録しておく。
【0044】
また、図5に示す経路探索動作に関しては、実施の形態2では、ステップS11で端末装置100が経路探索を行ったとき、経路探索部103は交通流情報501と渋滞情報502と運転パターン情報511とを利用して動的に経路探索を行い、経路探索結果503を算出する。なお、図5のステップS12〜ステップS17については実施の形態1と同じであるので説明は省略する。
【0045】
実施の形態2では、運転パターン検出部107が上記のような運転パターンの対応を行うことによって、端末装置100aからサーバ装置200へ送信される経路探索結果503がドライバに固有な運転パターンに沿ったものとなるので、結果的に、車両が所定の経路から外れる割合を低減することができる。つまり、所定の経路からの逸脱による再経路探索の回数及び経路の変更に伴う交通流算出の回数を低減させることができるので、結果的に、端末装置100及びサーバ装置200の負荷を軽減させることが可能となる。
【0046】
〈実施の形態3〉
図7は、図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態3に係る端末装置の構成図である。図7に示す実施の形態3の端末装置100bが図2に示す実施の形態1の端末装置100と異なるところは、複数の経路からドライバの意思に沿った経路を選択するための意思入力部108が追加されたところのみである。したがって、図7に示す実施の形態3では、図2に示す実施の形態1の端末装置100と区別するために、端末装置100bというように符号を変える。なお、意思入力部108は押釦や音声入力手段などによって実現することができる。
【0047】
図7に示す実施の形態3の端末装置100bにおける経路探索の基本的な動作は、図4に示す実施の形態1の経路探索スタンバイ動作と同じであり、かつ、図5に示す実施の形態1の経路探索動作とほぼ同様であるが、異なる点は意思入力部108による複数の経路から所望の経路を選択する動作が加わったところのみである。したがって、新たなフローチャートを用いないで、図4及び図5のフローチャートを用いて実施の形態3における経路探索スタンバイ動作及び経路探索動作を説明する。
【0048】
図7に示す実施の形態3の端末装置100bにおける経路探索スタンバイ動作は図4と同じであるので説明は省略する。また、図5に示す経路探索動作に関しては、実施の形態3では、ステップS11で端末装置100bが経路探索を行ったとき、経路探索部103は交通流情報501と渋滞情報502を利用して動的な経路探索を実現する。この際、経路探索部103は複数の経路情報を表示部104上に表示し、何れの経路を選択するかをドライバに選択させる。このとき、ドライバは意思入力部108を用いて複数の経路から自分の意思にあった経路を選択し、選択された経路情報を経路探索結果503とする。なお、図5のステップS12〜ステップS17については実施の形態1と同じであるのでその説明は省略する。
【0049】
実施の形態3では、意思決定部108が上記のような経路選択の対応を行うことにより、端末装置100bからサーバ装置200へ送信される経路探索結果503がドライバの意思に沿ったものとなり、結果的に、車両が所定の経路から外れる割合を低減させることができる。つまり、実施の形態3の端末装置によれば、実施の形態2と同様に、所定の経路からの逸脱による再経路探索の回数及び経路の変更に伴う交通流算出の回数が減ることになり、端末装置及びサーバ装置の負荷を軽減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の交通誘導システムは、車両に搭載された端末装置と交通流予測を行うサーバ装置が、相互に情報をフィードバックさせながら情報交換を繰り返すことにより、現実に近い交通流予測を行うことができるので、所望の目標地点までの正確な所要時間情報を入手することが可能となる。したがって、今日では広く普及しているナビゲーションシステムと本発明の交通誘導システムとを併用すれば道路交通管制システムとして有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の各実施の形態に共通する交通誘導システムの概略的な構成図
【図2】図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態1に係る端末装置の構成図
【図3】図1に示す交通誘導システムにおけるサーバ装置の構成図
【図4】本発明の実施の形態1における交通誘導システムの経路探索スタンバイ動作の流れを示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における交通誘導システムの経路探索動作の流れを示すフローチャート
【図6】図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態2に係る端末装置の構成図
【図7】図1に示す交通誘導システムにおける実施の形態3に係る端末装置の構成図
【符号の説明】
【0052】
100、100a、100b 端末装置
101 端末通信部
102 交通流情報蓄積部
103 経路探索部
104 表示部
105 渋滞情報取得部
106 位置取得部
107 運転パターン検出部
108 意思入力部
200 サーバ装置
201 サーバ通信部
202 端末情報管理部
203 交通流算出部
204 交通状況検出部
501 交通流情報
502 渋滞情報
503 経路探索結果
504 端末情報
505 交通状況
511 運転パターン情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて経路探索を行う端末装置と地上に設置されて交通流のシミュレーションを行うサーバ装置とがネットワーク網に接続され、前記交通流を予測して最適な経路探索を行う交通誘導システムであって、
前記端末装置は、
自己が搭載されている車両の経路探索結果から、その車両が所定の経路を外れた場合には修正経路の探索を行い、修正経路探索結果を最新の経路情報として前記サーバ装置へ送信して最適な経路探索を行う最適経路探索手段を備え、
前記サーバ装置は、
前記端末装置から送信された最新の経路情報を利用して交通流のシミュレーションを行い、前記シミュレーションの結果である最新の交通流情報を前記端末装置へ送信する交通流情報送信手段を備える
交通誘導システム。
【請求項2】
前記端末装置は、さらに、前記修正経路探索結果を求めるときに前記車両の運転パターン情報を計測する運転パターン検出手段を備える
請求項1に記載の交通誘導システム。
【請求項3】
前記端末装置は、さらに、前記修正経路探索結果を求めるときに複数の経路からドライバの意思に沿った経路を選択する意思入力手段を備える
請求項1または請求項2に記載の交通誘導システム。
【請求項4】
地上に設置されたサーバ装置に交通流のシミュレーションを行わせるためにそのサーバ装置と交信し、該サーバ装置が予測した交通流情報に基づいて最適な経路探索を行うために車両に搭載された端末装置であって、
自己が搭載されている車両の経路探索結果から、その車両が所定の経路を外れた場合には修正経路の探索を行い、修正経路探索結果を最新の経路情報として前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置から最新の交通流情報を取得して最適な経路探索を行う最適経路探索手段を備える
端末装置。
【請求項5】
前記最適経路探索手段は、
ネットワーク網を介して前記サーバ装置から現在の交通流情報を受信する端末通信手段と、
前記端末通信手段が受信した交通流情報を蓄積する交通流情報蓄積手段と、
前記交通流情報蓄積手段に蓄積された交通流情報に基づいて経路探索を行い、前記端末通信手段を介して前記サーバ装置へ経路探索結果と端末固有情報とを送信する経路探索手段と、
前記サーバ装置から送信されて前記交通流情報蓄積手段に蓄積された交通流情報及び前記経路探索手段が前記サーバ装置へ送信する経路探索結果を表示する表示手段と、
地上に設置された渋滞情報提供手段から渋滞情報を受信する渋滞情報取得手段と、
前記端末装置の現在位置を測定してその現在位置を前記経路探索手段へ送信する位置取得手段とを備える
請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
さらに、前記修正経路探索結果を求めるときに前記車両の運転パターン情報を計測する運転パターン検出手段を備える
請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
さらに、前記修正経路探索結果を求めるときに複数の経路からドライバの意思に沿った経路を選択する意思入力手段を備える
請求項5または請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
経路探索を行うために車両に搭載された端末装置と交信し、交通流のシミュレーションを実行するために地上に設置されたサーバ装置であって、
前記端末装置から送信された最新の経路情報を利用して交通流のシミュレーションを実行し、その結果である最新の交通流情報を前記端末装置へ送信する交通流情報送信手段を備える
サーバ装置。
【請求項9】
前記交通流情報送信手段は、
前記端末装置から経路探索結果と端末固有情報とを含む端末情報を受信するサーバ通信手段と、
サーバ通信手段が受信した端末情報をそれぞれの端末装置ごとに管理しておく端末情報管理手段と、
交通状況及び前記端末情報に基づいて交通流のシミュレーションを行い、交通流情報を算出する交通流算出手段と、
地上に設置された画像入力手段が取得した画像情報に基づいて現在の交通状況を検出して蓄積する交通状況検出手段と、
を備える請求項8に記載のサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−317179(P2006−317179A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137568(P2005−137568)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】