説明

異物除去装置

【課題】容器の底部および内側面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去し、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる異物除去装置を提供することを目的とする。
【解決手段】倒立された容器内にノズル22を挿入し、ノズル22から噴出されるクリーンエアにより容器内の異物を除去する異物除去装置において、ノズル22は、その先端部位から容器の底部に向けてクリーンエアを噴出する上部噴出口31と、容器の内側面に向けてクリーンエアを噴出する横噴出口32とを備えるとともに、上部噴出口31および横噴出口32から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、上部噴出口31、横噴出口32の順に切替える切替え手段33を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料や炭酸飲料等の液体を充填する容器をクリーンエアで洗浄し、容器内面に付着している異物を除去する異物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
お茶、ミネラルウォーター等の清涼飲料や炭酸飲料等の様々な液体をPETボトル、ガラス瓶、缶等の各種容器に充填する際、雑菌等の混入を防止することが必須である。このため、クリーンルーム内において、容器の殺菌、キャップの殺菌、製品液の充填、キャップの装着等の一連の工程を実行する無菌充填システムが用いられている。この場合、容器の殺菌方法として、例えば、過酢酸系の殺菌液や次亜塩素酸ナトリウム溶液等を用いた殺菌方法が採られており、殺菌後に、容器内を無菌水や市水によって濯ぐようにしている。
【0003】
しかし、殺菌液により殺菌した容器を無菌水や市水で濯ぐには、大量の水の使用が不可避であり、使用水の処理設備が必要となるとともに、ランニングコストが嵩む等の問題があった。このため、水の使用量を削減することが強く求められており、近年、水を使わないドライ殺菌技術が提案されるに至っている。かかるドライ殺菌技術の1つとして、例えば電子線を照射して容器を殺菌する電子線殺菌装置が知られている。
【0004】
ところが、この電子線殺菌装置では、電子線の透過力に限界があるため、容器に異物が付着していた場合、その異物によって電子線が遮られ、異物の影となる部分の殺菌ができない可能性があった。そこで、水を使わないで容器を殺菌できる電子線殺菌装置のメリットを活かすべく、水を使用しないで容器内を濯ぐ(リンス)ことにより、異物を除去するようにした異物除去装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−179927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されたものは、ノズルから気体(クリーンエア)を噴出しながら、容器の口部から底部近傍までノズルを往復動させてスキャンすることにより、容器の内面に付着されている異物を吹き飛ばし、それを容器の口部から外部に排出するようにしたものであり、ノズルの先端部位と側面部位に開口されている複数の上部噴出口および横噴出口から同時に気体(クリーンエア)を噴出し、全体に万遍なくクリーンエアを噴出できるように構成されている。
【0007】
しかしながら、かかるノズル構造では、クリーンエアが複数の上部噴出口および横噴出口から分散されて噴出されるため、リンス力が弱く、異物の付着状態によっては除去性能が不足する場合が発生し兼ねなかった。この問題は、クリーンエアの流量を増やすことによって解消できるものの、クリーンエアの消費量が増大し、ランニングコストが上昇してしまう等の課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、容器の底部および内側面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去し、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる異物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の異物除去装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる異物除去装置は、倒立された容器内にノズルを挿入し、該ノズルから噴出されるクリーンエアにより前記容器内の異物を除去する異物除去装置において、前記ノズルは、その先端部位から前記容器の底部に向けて前記クリーンエアを噴出する上部噴出口と、前記容器の内側面に向けて前記クリーンエアを噴出する横噴出口とを備えるとともに、前記上部噴出口および前記横噴出口から噴出される前記クリーンエアの噴出順序を、前記上部噴出口、前記横噴出口の順に順次切替える切替え手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、クリーンエアを噴出するノズルに、容器の底部に向けてクリーンエアを噴出する上部噴出口と、容器の内側面に向けてクリーンエアを噴出する横噴出口とを設けるとともに、上部噴出口および横噴出口から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、上部噴出口、横噴出口の順に順次切替える切替え手段を設けているため、容器内をクリーンエアによってエアリンスする際、切替え手段を介してノズルの上部噴出口および横噴出口から、上部噴出口、横噴出口の順に順次クリーンエアを噴出させることにより、容器の底部および内側面に対して集中的にクリーンエアの全流量を直接噴き付けるようにしてリンス力を高め、容器内全面をエアリンスすることができる。従って、徒にクリーンエアの噴出量を増やすことなく、容器の底部および内側面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去し、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【0011】
さらに、本発明の異物除去装置は、上記の異物除去装置において、前記切替え手段は、前記ノズルのクリーンエア通路内に摺動可能に介装され、前記クリーンエアの供給開始時に、前記横噴出口を閉鎖する下方部位に位置し、前記クリーンエア圧により上方部位に移動されたとき、前記上部噴出口を閉鎖し、前記横噴出口を開放する中子から構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、切替え手段が、ノズルのクリーンエア通路内に摺動可能に介装され、クリーンエアの供給開始時に、横噴出口を閉鎖する下方部位に位置し、クリーンエア圧により上方部位に移動されたとき、上部噴出口を閉鎖し、横噴出口を開放する中子から構成されているため、上部噴出口および横噴出口から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、クリーンエア圧により摺動される中子を介して上部噴出口、横噴出口の順に順次切替えて噴出することができる。従って、特別な制御手段等を設けることなく、クリーンエアの噴出順序を自動的に切替え、容器内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0013】
さらに、本発明の異物除去装置は、上記の異物除去装置において、前記中子は、その先端部位に貫通する縦方向通路と、該縦方向通路に対して略直交方向に開口され、前記上方部位に移動されたとき、前記横噴出口と連通される横方向通路とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、中子が、その先端部位に貫通する縦方向通路と、該縦方向通路に対して略直交方向に開口され、上方部位に移動されたとき、横噴出口と連通される横方向通路とを備えているため、上部噴出口および横噴出口からのクリーンエアの噴出を、先端部位に貫通する縦方向通路とそれに略直交する横方向通路とを備えている中子が、クリーンエア圧を受けて摺動されることにより簡単に切替えることができる。従って、クリーンエアの噴出順序を簡素な構成の切替え手段を介して切替えることができ、その信頼性を確保することができる。
【0015】
さらに、本発明の異物除去装置は、上記の異物除去装置において、前記中子には、前記縦方向通路内の下方部に、前記上方部位に摺動する際の推進力を得るための絞り部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、中子の縦方向通路内の下方部に、上方部位に摺動する際の推進力を得るための絞り部を設けているため、この絞り部を介して中子の縦方向通路内を供給されるクリーンエアから推進力を得ることにより、中子を確実に下方部位から上方部位に摺動させることができる。従って、クリーンエアの噴出口を上部噴出口から横噴出口に着実に切替え、効率よく容器をエアリンスすることができる。
【0017】
さらに、本発明の異物除去装置は、上記の異物除去装置において、前記切替え手段は、前記ノズルのクリーンエア通路内に回動可能に介装され、前記クリーンエアの供給開始時に、前記クリーンエアを前記上部噴出口に対して供給可能な回動位置とされ、前記クリーンエア圧を受けて回動されたとき、前記上部噴出口側への前記クリーンエアの供給を阻止し、前記横噴出口から前記クリーンエアを噴出させる弁板から構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、切替え手段が、ノズルのクリーンエア通路内に回動可能に介装され、クリーンエアの供給開始時に、クリーンエアを上部噴出口に対して供給可能な回動位置とされ、クリーンエア圧により回動されたとき、上部噴出口側へのクリーンエアの供給を阻止し、横噴出口からクリーンエアを噴出させる弁板から構成されているため、上部噴出口および横噴出口から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、クリーンエア圧により回動される弁板を介して上部噴出口、横噴出口の順に順次切替えて噴出することができる。従って、特別な制御手段等を設けることなく、クリーンエアの噴出順序を自動的に切替え、容器内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0019】
さらに、本発明の異物除去装置は、上記の異物除去装置において、前記切替え手段は、前記上部噴出口および前記横噴出口に個別に前記クリーンエアが供給可能とされている前記クリーンエア通路に対して、それぞれ個別に設けられた開閉バルブにより構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、切替え手段が、上部噴出口および横噴出口に個別にクリーンエアが供給可能とされているクリーンエア通路に対して、それぞれ個別に設けられた開閉バルブにより構成されているため、上部噴出口および横噴出口に対する個別のクリーンエア通路に設けられている個別の開閉バルブを順次開閉することにより、上部噴出口および横噴出口から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、上部噴出口、横噴出口の順に順次切替えて噴出することができる。従って、特殊な切替え手段等を設けることなく、単純な開閉バルブの開閉動作のみによってクリーンエアの噴出順序を順次切替え、容器内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0021】
さらに、本発明の異物除去装置は、上述のいずれかの異物除去装置において、前記ノズルは、倒立された前記容器の底部付近まで挿入され、その先端部の前記上部噴出口から前記クリーンエアの噴出を開始後、前記容器の高さ方向に移動されながら前記横噴出口から前記クリーンエアを噴出し、前記容器内の異物を除去するように動作される構成とされていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、ノズルが、倒立された容器の底部付近まで挿入され、その先端部の上部噴出口からクリーンエアの噴出を開始後、容器の高さ方向に移動されながら横噴出口から前記クリーンエアを噴出し、容器内の異物を除去するように動作される構成とされているため、クリーンエアの供給開始時、容器の底部に接近されているノズル先端部の上部噴出口のみからクリーンエアを噴出して容器底部をエアリンスした後、ノズルを容器の高さ方向に移動させてスキャンしながら横噴出口からクリーンエアを噴出し、容器内側面をエアリンスすることができる。従って、ノズルの復路スキャンにより容器内の全面をエアリンスすることができ、少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスし、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【0023】
さらに、本発明の異物除去装置は、上述のいずれかの異物除去装置において、前記横噴出口は、上下方向に位置をずらして少なくとも2段に設けられたスリット状開口とされていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、横噴出口が、上下方向に位置をずらして少なくとも2段に設けられたスリット状開口とされているため、少なくとも上下2段のスリット状開口よりクリーンエアを噴出しながら、ノズルを容器の高さ方向にスキャンして容器内側面をエアリンスすることにより、縦筋状デッドスポットの発生を解消することができる。従って、エアリンス効果を向上し、容器内面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去することができる。
【0025】
さらに、本発明の異物除去装置は、上述のいずれかの異物除去装置において、前記横噴出口は、横断面が長方形状の容器に対して、容器の短辺側に対応する前記横噴出口のサイズが大きくされ、容器の長辺側に対応する前記横噴出口のサイズが小さくされていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、横断面が長方形状の容器に対して、容器の短辺側に対応する横噴出口のサイズが大きくされ、容器の長辺側に対応する横噴出口のサイズが小さくされているため、横噴出口からの到達距離が長くなる容器短辺側の横噴出口を大きくし、到達距離が短い容器長辺側の横噴出口を小さくしてクリーンエアの噴出量を調整することにより、横断面が長方形状の容器に対しても内側面全域にクリーンエアを略均一に噴き付けることができる。従って、横断面が長方形状の容器に対するエアリンス効果を高め、容器内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0027】
さらに、本発明の異物除去装置は、上述のいずれかの異物除去装置において、前記ノズル側には、前記容器の口部をシールするシール部材が設けられ、該シール部材を介して前記容器内部から前記クリーンエアおよび異物を吸引する吸気手段が接続されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、ノズル側に、容器の口部をシールするシール部材が設けられ、該シール部材を介して容器内部からクリーンエアおよび異物を吸引する吸気手段が接続されているため、ノズルから容器の底部および内側面に向って噴出されたクリーンエアおよびそれにより容器内面から除去された異物等を吸気手段により直ちに吸引し、容器内から強制的に排除することができる。従って、除去された異物の容器内残留等を確実に解消し、エアリンス効果を一層向上することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、容器内をクリーンエアによってエアリンスする際、切替え手段を介してノズルの上部噴出口および横噴出口から、上部噴出口、横噴出口の順に順次クリーンエアを噴出させることにより、容器の底部および内側面に対して集中的にクリーンエアの全流量を直接噴き付けるようにしてリンス力を高め、容器内全面をエアリンスすることができるため、徒にクリーンエアの噴出量を増やすことなく、容器の底部および内側面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去し、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る異物除去装置を用いた飲料充填システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す飲料充填システムによる飲料の充填工程の概略を説明する模式図である。
【図3】図1に示す搬入コンベアの構成を説明する模式図である。
【図4】図3に示すボトルネックガイドの構成を説明する縦断面視図である。
【図5】図1に示す割出しスクリューの構成を説明する模式図である。
【図6】図1に示す異物除去部に設置される本発明の第1実施形態に係る異物除去装置の構成を示す模式図である。
【図7】図6に示す異物除去装置の構成を説明する縦断面視図である。
【図8】図6に示す異物除去装置のノズル部分の構成を説明する中子が下方部位に位置した状態と上方部位に位置した状態の縦断面視図(a),(b)である。
【図9】図8に示すノズルが長方形状横断面の容器内に挿入された状態を説明する横断面視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る異物除去装置のノズル部分の構成を説明する縦断面視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る異物除去装置のノズル部分の構成を説明する縦断面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る異物除去装置を用いた飲料充填システムの全体構成を説明する模式図が示され、図2には、その充填工程の概略を説明する模式図が示されている。
本実施形態では、異物除去装置を、PETボトルBに対して飲料を充填する飲料充填システム1に適用した例について説明する。
なお、容器Bとしては、PETボトルの他に、他の樹脂から形成されたボトル等を用いることができ、その材料や形状については、特に限定されるものではない。
【0032】
飲料充填システム1には、図1および図2に示されるように、容器Bに対して異物除去工程を行う異物除去部2および殺菌工程を行う殺菌部3を有する殺容器洗浄部(容器洗浄装置)4と、容器Bに飲料を充填する充填工程を行う充填部5と、容器Bにキャップを装着するキャッピング工程を行う装着部6と、が主に設けられている。更に、飲料充填システム1には、各工程の間で容器Bを搬送する搬入コンベア7や割出しスクリュー8、スターホイール9、搬出コンベア10等が設けられている。
【0033】
図3は、搬入コンベア7の構成を説明する模式図であり、図4は、図3のボトルネックガイドの構成を説明する縦断面視図である。
搬入コンベア7は、ブロー成形機により成形された容器Bを飲料充填システム1に搬送するためのものであり、本実施形態では、清浄化された空気を容器Bに吹き付けることによって、容器Bを搬送する実施例について説明するが、その他の公知の搬送方法を適用してもよく、上記搬入コンベア7に限定されるものではない。この搬入コンベア7は、図3および図4に示されるように、ボトルネックガイド71と、送風部72とを備えている。
【0034】
ボトルネックガイド71は、容器Bの口部B1を上側に配置した姿勢で、容器Bを支持するとともに、飲料充填システム1に向かって容器Bを導くものである。このボトルネックガイド71は、図3および図4に示されるように、搬入コンベア7に沿って延びるとともに、搬入コンベア7の天井面から下方に向かって延びる一対の側板73と、該側板73の下端から互いに接近する方向に延びる支持板74とを有している。容器Bは、一対の支持板74の間に形成されたスリット状の隙間に配置され、その口部B1の下部に形成されているつば部B2が支持板74の上面と当接することによって支持されている。
【0035】
送風部72は、空気を清浄化するとともに、ボトルネックガイド71に支持された容器Bに清浄化された空気を吹き付ける構成とされている。つまり、この送風部72は、搬入コンベア7の上面側に配置され、容器Bの口部B1に対して清浄化された空気を吹き付けることにより、容器Bを搬送するものである。送風部72には、プレフィルタ75と、ブロア76と、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter;詳細は、JIS Z 8122に記載)77と、ノズル部78とが設けられている。なお、HEPAフィルタ77に代えて、JIS Z 8122で規定されたULPAフィルタを用いてもよい。
【0036】
プレフィルタ75は、送風部72に吸入される空気に含まれる比較的大きめの塵埃を取り除き清浄化するものであり、HEPAフィルタ77は、プレフィルタ75により清浄化される空気を更に浄化し、清浄度を高めるものである。ブロア部76は、容器Bに対して空気を送風するものであり、プレフィルタ75とHEPAフィルタ77との間に配置されている。ノズル部78は、容器Bに対して吹き付けられる空気の流れを、容器Bの搬送方向(図3の右方向)に調節するものである。
【0037】
図5には、割出しスクリュー8の構成を説明する模式図が示されている。
割出しスクリュー8は、搬入コンベア7により搬送されてきた容器Bの間隔を所定の間隔に広げるものである。具体的には、割出しスクリュー8と隣接するスターホイール9に設けられているグリッパGの間隔に合わせて、容器Bの間隔を広げるものである。割出しスクリュー8は、図5に示されるように、搬入コンベア7による容器Bの搬送方向に沿って延びる略円柱状の部材であり、その中心軸線まわりに回転駆動されるものである。
【0038】
割出しスクリュー8には、中心軸線から径方向外側に向かって延びるとともに、中心軸線に沿って螺旋状に延びる壁部81が設けられており、容器Bは隣接する壁部81と壁部81との間の溝に配置され、割出しスクリュー8の回転により、割出しスクリュー8と隣接するスターホイール9側に搬送されるようになっている。壁部81の板厚は、割出しスクリュー8と隣接するスターホイール9に近づくとともに厚くなるように形成され、スターホイール9と最も近接する壁部81の板厚は、スターホイール9に設けられているグリッパGの配置間隔と同等の厚さに形成されている。
【0039】
スターホイール9は、上述の各工程の間で容器Bを搬送するためのものである。具体的には、図1に示されるように、割出しスクリュー8と異物除去部2との間、異物除去部2と殺菌部3との間、殺菌部3と充填部5との間、充填部5と装着部6との間、装着部6と搬出コンベア10との間において、それぞれ容器Bを搬送するものである。スターホイール9は、図1および図5に示されるように、円盤状に形成された回転体の円周上に容器Bを把持する複数のグリッパGが等間隔に配置されているものである。なお、図1および図5では、理解を容易にするために、一部のグリッパGのみが記載され、他のグリッパGは省略されている。
【0040】
割出しスクリュー8と異物除去部2との間に配置されたスターホイール9には、容器Bを倒立させる機構、つまり、それまで上側に向けられていた容器Bの口部B1を下側に向ける機構が設けられている。その一方で、殺菌部3と充填部5との間に配置されたスターホイール9には、倒立された容器Bを元に戻す機構、つまり、下側に向けられていた容器Bの口部B1を上側に向ける機構が設けられている。
【0041】
図6には、図1の異物除去部2に設置される異物除去装置20の構成を説明する模式図が示され、図7には、その縦断面視図が示されている。
異物除去装置20は、容器Bの内面にクリーンエアを吹き付け、容器Bの内面に付着した異物を除去する(エアリンスする)ものである。異物除去装置20は、図6および図7に示されるように、ホイール21と、グリッパGと、ノズル22と、シャフト23と、カムフォロア24と、アーム25と、カム26とを備えている。
【0042】
ホイール21は、円盤状に形成されたものであり、モータなどの駆動源(図示せず)によって略水平面内で回転駆動されるようになっている。このホイール21には、外周部に容器Bを倒立状態で保持するグリッパGが、ホイール21の周方向に一定の間隔をあけて配置されている。グリッパGは、ホイール21の外周部から径方向外側に向かって延びており、容器Bの口部B1近傍を把持するものである。図6においては、異物除去装置20の動作の理解を容易にするため、5組のグリッパGが代表して示されている。なお、このホイール21に設けられるグリッパGの数は、5組より多くても少なくてもよく、特に制限されるものではない。
【0043】
ノズル22は、倒立状態の容器Bの内部にクリーンエアを噴出するためのものである。このノズル22は、グリッパGの下方に配置されており、グリッパGに把持された容器Bの口部B1に進入可能な位置に配置されている。さらに、ノズル22は、シャフト23の上端に設けられているとともに、シャフト23からクリーンエアが供給可能に構成されている。ノズル22には、その外周方向に向けてクリーンエアを噴出する噴出口が複数個設けられている。この複数の噴出口は、ノズル22の外周側の全周にクリーンエアを噴出することができるように配置されていることが好ましい。このノズル22の詳細構造については後述する。
【0044】
シャフト23は、グリッパGの下方に上下方向(図6の上下方向)に延びて配置されるとともに、アーム25によって上下方向に移動可能に支持された棒状のものである。シャフト23の上端部には、ノズル22が配置され、下端部には、カムフォロア24が配置されている。また、シャフト23内には、ノズル22に供給されるクリーンエアが流れる供給管(図示せず)が設けられている。
【0045】
カムフォロア24は、カム26の上端面に沿って摺動するものであって、シャフト23およびノズル22と共にカム面に沿って上下方向に移動されるものである。
アーム25は、ノズル22、シャフト23およびカムフォロア24を上下方向に移動可能に支持するものである。このアーム25は、ホイール21の径方向に沿って延びているものであり、その径方向外側の端部にシャフト23が取り付けられている。
【0046】
カム26は、カムフォロア24と共にシャフト23およびノズル22を上下方向に移動させるものである。このカム26は、ホイール21と同軸に配置された円筒状の部材であって、ホイール21の下方に配置されたものである。カム26の上端面は、カムフォロア24が摺動する面とされており、その上端面は、周方向の一部において他の部分よりも高くされ、ホイール21側に突出した形状とされている。つまり、カム26の上端面の上方に突出した部分は、ノズル22およびシャフト23を容器B内に挿入し、底部近傍まで徐々に上昇させた後、徐々に下降させ、その間に容器B内を上下方向にスキャンして異物を除去できるようにするため、水平な頂上部を備えた山形形状とされている。
【0047】
ここで、ノズル22に供給されるクリーンエアは、工場のコンプレッサにより昇圧された空気(エア)であり、異物除去を目的としたフィルタ(目開きが10μmレベルのフィルタ)、水分除去を目的としたフィルタ(目開きが5μmレベルのフィルタ)、油ミスト除去を目的としたフィルタ(目開きが0.3μmレベルのフィルタ)等によって濾過されたものである。これらのフィルタとして、例えば樹脂により形成されたフィルタを用いることができる。なお、空気を用いたクリーンエアの代わりに、窒素等の他の気体を昇圧し、上述のフィルタで濾過したものを用いてもよく、本発明においては、これもクリーンエアに包含されるものとする。
【0048】
さらに、蒸気滅菌が可能なフィルタを介して濾過することにより、殺菌されたクリーンエアを無菌化クリーンエアとしてもよい。蒸気滅菌が可能なフィルタとは、高温に対する耐性を有するフィルタであり、例えば金属から形成されたフィルタである。なお、蒸気滅菌を行う場合には、殺菌に用いられる高温蒸気を供給する設備が必要となる。
【0049】
このように、本実施形態では、容器Bに対して電子線を照射して殺菌を行う前に、異物除去装置20でエアリンスを行うようにしている。殺菌部3は、エアリンスされた容器Bに対して電子線を照射し、容器Bを殺菌するものである。なお、殺菌部3としては、公知の電子線殺菌装置を用いることができる。更に、この殺菌部3において、装着部6で容器Bに装着されるキャップに対して、電子線を照射して殺菌を行うようにしてもよく、これらは、特に限定されるものではない。
【0050】
充填部5は、殺菌された容器Bに飲料を充填するものである。装着部6は、飲料が充填された容器Bの口部にキャップを装着するものである。なお、充填部5および装着部6としては、公知の構成を用いることができ、特に限定されるものではない。搬出コンベア10は、飲料が充填されキャップが装着された容器Bを飲料充填装置1から外部に搬出するものである。なお、搬出コンベア10としては、公知の構成を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0051】
次に、本発明の特徴部分である異物除去装置20のノズル構造について、図8を参照して詳しく説明する。図8(a)は、ノズル22からクリーンエアを上方に噴出している状態、図8(b)は、ノズル22からクリーンエアを横方向(水平方向)に噴出している状態を示す縦断面視図である。
異物除去装置20において、シャフト23の上端に設けられているノズル22は、コンプレッサにより昇圧され、シャフト23内のクリーンエア供給管(図示せず)を介して供給されるクリーンエアを容器Bの内面に向けて噴出するものであり、内部にクリーンエア供給管が接続されるクリーンエア通路30を備えている。
【0052】
ノズル22の先端部位には、クリーンエア通路30に連通して上下方向に開口し、容器Bの底部に向けてクリーンエアを噴出する複数の上部噴出口31が設けられ、また、その外周側面には、クリーンエア通路30に連通して水平方向に開口し、容器Bの内側面に向けてクリーンエアを噴出する複数の横噴出口32が設けられている。この複数の横噴出口32は、上下方向に位置をずらして少なくとも2段に設けられており、それぞれスリット状の開口とされることが望ましい。
【0053】
また、複数の横噴出口32は、通常は横断面が円形状の容器Bに場合、全て同一サイズの開口としてもよいが、図9に示されるように、横断面が長方形状の容器Bの場合、容器Bの短辺側に対応する横噴出口32Aのサイズが大きくされ、容器Bの長辺側に対応する横噴出口32Bのサイズが小さくされることが望ましい。ノズル22のクリーンエア通路30内には、ノズル22から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、上部噴出口31、横噴出口32の順に自動的に順次切替えるための切替え手段である中子(切替え手段)33が設けられている。なお、図9には、4方向の側面に対し、短辺側に横噴出口32Aが1個、長辺側に横噴出口32Bが1個設けられた例が示されているが、2個ずつ、あるいは3個ずつとしてもよく、ノズル穴数は、限定されるものではない。
【0054】
中子33は、クリーンエア通路30内に上下方向に沿って摺動可能に介装されているものである。この中子33には、中心部に上下方向に貫通され、一端が先端部位に開口されている縦方向通路34と、この縦方向通路34に対して略直交方向に開口され、中子33が上方部位に移動されたときに、横噴出口32と連通される横方向通路35とが設けられている。また、中子33には、縦方向通路34の下方部位に、縦方向通路34を絞る絞り部36が形成され、中子33がクリーンエア圧により上方部位に移動される際の推進力が得られるように構成されている。
【0055】
さらに、中子33は、クリーンエア圧を受けて上下方向に摺動されるものであり、これによって、図8(a)に示されるように、クリーンエアの供給開始時には、クリーンエア通路30内の下方部位に位置され、上部噴出口31を開放するとともに、横噴出口32を閉鎖し、クリーンエアを上部噴出口31のみから噴出させるとともに、クリーンエア圧を受けて上方部位に移動されたときには、図8(b)に示されるように、上部噴出口31を閉鎖するとともに、横噴出口32を開放し、クリーンエアを横噴出口32のみから噴出させるように構成されている。
【0056】
以上に説明の構成により、本実施形態の異物除去装置20によれば、以下の作用効果を奏する。
スターホイール9のグリッパGから、容器Bが倒立状態で異物除去装置20側のグリッパGに受け渡されると、ホイール21とともに容器Bやノズル22、シャフト23、カムフォロア24などが回転し、これらが静止しているカム26に対して相対移動する。カムフォロア24は、カム26の上端面に沿って移動し、カム26の突出部においてシャフト23およびノズル22と共に上方に移動され、これによって、ノズル22が容器Bの内部に進入される。
【0057】
ノズル22が、容器Bの内部に挿入され、その底部付近まで上昇されると、クリーンエアの供給が開始される。クリーンエアは、まずノズル22の上部噴出口31から容器Bの底部に向って噴出され、これによって、容器Bの底部に衝突し、当該部に付着されている異物を除去する。この異物は、クリーンエアと共に容器Bの口部B1から外部へと排出される。カムフォロア24がカム26の突出部の頂上部分を移動する間、ノズル22は容器Bの底部付近に対向してクリーンエアを噴出し続け、この間に中子33がクリーンエア圧により下方部位から上方部位に摺動される。
【0058】
中子33が上方部位に摺動されることにより、中子33を介して上部噴出口31が閉鎖され、横噴出口32が開放される。これによって、クリーンエアの噴出が上部噴出口31から横噴出口32に切替えられ、横噴出口32から容器Bの内側面に向って噴出されたクリーンエアは、容器Bの内側面に衝突し、該部に付着されている異物を除去する。ノズル22は、カムフォロア24がカム26の頂上部分を過ぎると、下降を開始し、容器Bの口部B1に至るまでの間、容器Bの内側面を上下方向にスキャンすることにより、この区間の異物を除去し、外部に排出する。
【0059】
斯くして、本実施形態によると、容器B内をクリーンエアによってリンスする際、切替え手段(中子)33を介してノズル22の上部噴出口31および横噴出口32から、上部噴出口31、横噴出口32の順に順次クリーンエアを噴出させることにより、容器Bの底部および内側面に対して各々集中的にクリーンエアの全流量を直接噴き付けるようにしてリンス力を高め、容器B内全面をエアリンスすることができる。
従って、クリーンエアの噴出量を特段増やすことなく、容器Bの底部および内側面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去することができ、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【0060】
また、切替え手段である中子33は、ノズル22のクリーンエア通路30内に摺動可能に介装され、クリーンエアの供給開始時、横噴出口32を閉鎖する下方部位に位置し、クリーンエア圧により上方部位に移動されたとき、上部噴出口31を閉鎖し、横噴出口32を開放するように構成されており、上部噴出口31および横噴出口32から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、クリーンエア圧により摺動される中子33を介して簡単に上部噴出口31、横噴出口32の順に順次切替えて噴出することができる。このため、特別な制御手段を設けることなく、クリーンエアの噴出順序を自動切替えすることができ、容器B内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0061】
また、中子33は、その先端部位に貫通する縦方向通路34と、該縦方向通路34に対して略直交方向に開口され、上方部位に移動されたとき、横噴出口32と連通される横方向通路35とを備えた構成とされている。このため、上部噴出口31および横噴出口32からのクリーンエアの噴出を、先端部位に貫通する縦方向通路34とそれに略直交する横方向通路35とを備えている中子33が、クリーンエア圧を受けて摺動されることにより簡単に切替えることができ、従って、クリーンエアの噴出順序を簡素な構成の切替え手段で切替えることができ、その信頼性を確保することができる。
【0062】
また、中子33には、縦方向通路34内の下方部に、上方部位に摺動する際の推進力を得るための絞り部36が設けられている。このため、絞り部36を介して中子33の縦方向通路34内を供給されるクリーンエアから推進力を得ることによって、中子33を確実に下方部位から上方部位に摺動させることができる。従って、クリーンエアの噴出口を上部噴出口31から横噴出口32に着実に切替え、効率よく容器Bをエアリンスすることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、ノズル22が、倒立された容器Bの底部付近まで挿入され、その先端部の上部噴出口31からクリーンエアの噴出を開始後、容器Bの高さ方向に移動しながら横噴出口32からクリーンエアを噴出し、容器B内の異物を除去する構成とされている。このため、クリーンエアの供給開始時、容器Bの底部に接近されているノズル22の先端部の上部噴出口31のみからクリーンエアを噴出して容器Bの底部をエアリンスした後、ノズル22を容器Bの高さ方向に移動しながら横噴出口32からクリーンエアを噴出し、容器Bの内側面をエアリンスすることができる。従って、ノズル22の復路スキャンのみで、容器B内の全面をエアリンスすることが可能となり、少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスし、省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【0064】
また、横噴出口32は、上下方向に位置をずらして少なくとも2段に設けられたスリット状開口とされており、このため、少なくとも上下2段のスリット状開口よりクリーンエアを噴出しながら、ノズル22を容器Bの高さ方向にスキャンして容器Bの内側面をエアリンスすることにより、縦筋状デッドスポットの発生を解消することができる。これによって、エアリンス効果を向上し、容器B内面に付着している異物を少ないクリーンエア量で効率よく除去することができる。
【0065】
さらに、横噴出口32は、横断面が長方形状の容器Bに対して、容器Bの短辺側に対応する横噴出口32Aのサイズが大きくされ、容器Bの長辺側に対応する横噴出口32Bのサイズが小さくされている(図9参照)。このように、横噴出口32からの到達距離が長くなる容器Bの短辺側の横噴出口32Aを大きくし、到達距離が短い容器Bの長辺側の横噴出口32Bを小さくしてクリーンエアの噴出量を調整することにより、横断面が長方形状の容器Bに対しても内側面全域にクリーンエアを略均一に噴き付けることができる。このため、横断面が長方形状の容器Bに対するエアリンス効果を高め、容器B内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、クリーンエアの噴出順序を切替えるための切替え手段の構成が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、上部噴出口31および横噴出口32からのクリーンエアの噴出順序を切替える切替え手段として、中子33に代え、図10に示されるように、クリーンエア通路30内に弁板37を回動可能に設置した構成が採用されている。
【0067】
この弁板37は、軸38を介してノズル22に対して回動可能に支持されており、支持部材39との間に介装されているバネ40によって、常時はノズル先端部位に開口されている上部噴出口31にクリーンエアが供給されるように、クリーンエア通路30を開放する回動位置とされており、クリーンエアの圧力を受けて回動されたとき、上部噴出口31側に連通するクリーンエア通路30を遮蔽し、クリーンエアを横噴出口32のみから噴出させる構成とされている。
【0068】
上記のように、クリーンエアの噴出順序を切替える切替え手段が、ノズル22のクリーンエア通路30内に回動可能に介装された弁板37とされ、この弁板37が、クリーンエアの供給開始時、クリーンエアを上部噴出口に供給可能な回動位置とされ、クリーンエア圧を受けて回動されたとき、上部噴出口31側へのクリーンエアの供給を阻止し、横噴出口32のみからクリーンエアを噴出させる構成とされているため、上部噴出口31および横噴出口32から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、弁板37を介して上部噴出口31、横噴出口32の順に順次切替えて噴出させることができる。
【0069】
従って、本実施形態によっても、第1実施形態と同様、特別な制御手段等を設けることなく、クリーンエアの噴出順序を自動的に切替え、容器B内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができ、異物除去装置20の省エネ化、低ランニングコスト化を図ることができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図11を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、上部噴出口31および横噴出口32に個別にクリーンエアの噴出順序を切替えるための切替え手段の構成が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、図11に示されるように、ノズル22に設けられている上部噴出口31および横噴出口32に対して、クリーンエア通路41,42が個別に接続され、このクリーンエア通路41,42に、それぞれ開閉バルブ43,44が設けられた構成とされている。これによって、上部噴出口31および横噴出口32から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、開閉バルブ43,44を切替え手段として順次切替え可能としている。
【0071】
このように、上部噴出口31および横噴出口32に個別にクリーンエアが供給可能とされているクリーンエア通路41,42に対して、それぞれ個別に開閉バルブ43,44を設け、この開閉バルブ43,44を切替え手段として上部噴出口31および横噴出口32からのクリーンエアの噴出順序を順次切替え可能とすることにより、上部噴出口31および横噴出口32から噴出されるクリーンエアの噴出順序を、上部噴出口31、横噴出口32の順に順次切替えて噴出させることができる。従って、本実施形態によっても、特殊な切替え手段等を設けることなく、単純な開閉バルブ43,44の開閉動作のみによってクリーンエアの噴出順序を順次切替え、容器B内を少ないクリーンエア量で効率よくエアリンスすることができる。
【0072】
[その他の実施形態]
上記第1ないし第3実施形態では、容器B内をリンスした後のクリーンエアおよびクリーンエアにより容器Bの内面から除去された異物を、容器Bの口部B1から外部に排出するようにしているが、異物等を強制的に排除できる構成としてもよい。このため、ノズル22側、つまり、上記実施形態では、ノズル22の一体をなすシャフト23側に、容器Bの口部をシールするシール部材を設け、このシール部材に対して容器Bの内部からクリーンエアおよび異物を吸引する吸気手段を接続した構成とすることができる。
【0073】
このような構成を採用することにより、ノズル22から容器Bの底部および内側面に向って噴出されたクリーンエアおよびその噴出によって容器Bの内面から除去された異物等を吸気手段により直ちに吸引し、容器B内から強制的に排除することが可能となる。その結果、除去された異物が容器B内に残留されること等が確実に解消され、エアリンス効果をより向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 飲料充填システム
2 異物除去部
20 異物除去装置
22 ノズル
30 クリーンエア通路
31 上部噴出口
32,32A,32B 横噴出口
33 中子(切替え手段)
34 縦方向通路
35 横方向通路
36 絞り部
37 弁板(切替え手段)
41,42 クリーンエア通路
43,44 開閉バルブ(切替え手段)
B 容器
B1 容器の口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
倒立された容器内にノズルを挿入し、該ノズルから噴出されるクリーンエアにより前記容器内の異物を除去する異物除去装置において、
前記ノズルは、その先端部位から前記容器の底部に向けて前記クリーンエアを噴出する上部噴出口と、前記容器の内側面に向けて前記クリーンエアを噴出する横噴出口とを備えるとともに、
前記上部噴出口および前記横噴出口から噴出される前記クリーンエアの噴出順序を、前記上部噴出口、前記横噴出口の順に順次切替える切替え手段を備えていることを特徴とする異物除去装置。
【請求項2】
前記切替え手段は、前記ノズルのクリーンエア通路内に摺動可能に介装され、前記クリーンエアの供給開始時に、前記横噴出口を閉鎖する下方部位に位置し、前記クリーンエア圧により上方部位に移動されたとき、前記上部噴出口を閉鎖し、前記横噴出口を開放する中子から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記中子は、その先端部位に貫通する縦方向通路と、該縦方向通路に対して略直交方向に開口され、前記上方部位に移動されたとき、前記横噴出口と連通される横方向通路とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記中子には、前記縦方向通路内の下方部に、前記上方部位に摺動する際の推進力を得るための絞り部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記切替え手段は、前記ノズルのクリーンエア通路内に回動可能に介装され、前記クリーンエアの供給開始時に、前記クリーンエアを前記上部噴出口に対して供給可能な回動位置とされ、前記クリーンエア圧を受けて回動されたとき、前記上部噴出口側への前記クリーンエアの供給を阻止し、前記横噴出口から前記クリーンエアを噴出させる弁板から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記切替え手段は、前記上部噴出口および前記横噴出口に個別に前記クリーンエアが供給可能とされている前記クリーンエア通路に対して、それぞれ個別に設けられた開閉バルブにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項7】
前記ノズルは、倒立された前記容器の底部付近まで挿入され、その先端部の前記上部噴出口から前記クリーンエアの噴出を開始後、前記容器の高さ方向に移動されながら前記横噴出口から前記クリーンエアを噴出し、前記容器内の異物を除去するように動作される構成とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の異物除去装置。
【請求項8】
前記横噴出口は、上下方向に位置をずらして少なくとも2段に設けられたスリット状開口とされていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の異物除去装置。
【請求項9】
前記横噴出口は、横断面が長方形状の容器に対して、容器の短辺側に対応する前記横噴出口のサイズが大きくされ、容器の長辺側に対応する前記横噴出口のサイズが小さくされていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の異物除去装置。
【請求項10】
前記ノズル側には、前記容器の口部をシールするシール部材が設けられ、該シール部材を介して前記容器内部から前記クリーンエアおよび異物を吸引する吸気手段が接続されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の異物除去装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−170852(P2012−170852A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33652(P2011−33652)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】