説明

α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する方法

本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を調節するのに有用な化合物を同定する方法を提供する。本発明は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を予防し、抑制し、又は阻害する化合物、及びそのような受容体を再感作する化合物を提供する。医薬組成物、及び治療方法、特に、神経系疾患に関する治療方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を調節するのに役立つ化合物を同定する方法に関する。特に、本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を予防し、抑制し、又は阻害する化合物、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する化合物に関する。本発明は、更に、本明細書で述べられた方法に基づいて同定された化合物、及びその様な化合物を含む医薬組成物を用いて、疾病を予防、又は治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体は、筋肉、神経節及び中枢神経系(CNS)などの組織に存在するさまざまな神経伝達物質受容体と定義する。受容体に対する天然の活性化リガンドはアセチルコリンであるが、しかし、受容体はまた、薬物のニコチンに対して感受性である(参照:Alkondon & Albuquerque, Progress in Brain Research 145: 109-120,
2004)。一般的に言って、ニコチン性アセチルコリン受容体には、2つの基本タイプがある。第一のタイプは、α2、α3、α4又はα6などの1つのαサブタイプ、及びβ2又はβ4などの1つのβサブタイプより形成されたヘテロ五量体の受容体から成る(なお、β3及びα5サブタイプもまた、その様な受容体形成に関与しているかも知れない)。
【0003】
ニコチン性アセチルコリン受容体の第二のタイプは、α7、α8又はα9サブタイプを構成するホモ五量体の受容体から成る。参照: Francis et al., Mol. Pharm. 60: 71-79 (2001), 及び米国特許第6,693,172号。α10などのその他のサブタイプはまた、ニコチン性アセチルコリン受容体形成に関係している可能性がある。参照:Elgoyhen et al., 10th Neuropharm Conf. (2000)。
【0004】
α7アセチルコリン受容体は、カルシウムイオンの流入に対して、高度に透過性のあるリガンド依存性のイオンチャネルである。α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子は、ヒト、マウス、ラット、ニワトリ及びウシを含む多くの生物体からクローン化されている。α7アセチルコリン受容体は、神経系において広範に発現しており、参照:Del Toro et al., J. Comp. Neurol. 349: 325-342 (1994) 、そして神経伝達、認知、感覚ゲーティング及び不安を調節するのに重要な役割を果たしている。例えば、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の発現の低下は、統合失調症に罹っている患者において見い出されている。参照:Mullen et al., J. Med. Chem. 43: 4045-4050 (2000) 。
【0005】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化は、多くの疾患及び状態を緩和し、治療し、又は予防する可能性がある。このような疾患及び状態としては、認識機能障害、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病などの神経変性疾患及び緑内障を挙げることができる。また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化することによって、注意欠陥多動障害、不安、強迫神経症、薬物嗜癖、統合失調症、及びエタノール誘発性神経毒などの神経毒を示す、又はそれに起因するその他の疾患又は状態を、予防し又は緩和する可能性がある。参照:Kem WR, Behav. Brain Res. 113: 169-181; Leonard et al., Schizophr. Bull. 22: 431-445 (1996); De Fiebre et al., Alcohol 31: 149-153 (2003) 。それ故、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物は、多くの治療への応用の可能性を有する。参照:Mullen et al., J. Med. Chem. 43: 4045-4050 (2000) 。
【0006】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体は、作動薬が結合することによって活性化できる。ニコチンなどの非選択的作動薬、及び3−[2,4−ジメトキシベンジリデン]アナバセイン(DMXB);De Fiebre et al., Alcohol 31: 149-153 (2003)、及び(−)−スピロ[1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3,5’−オキサゾリジン−2’−オン;Mullen et al., J. Med. Chem. 43: 4045-4050 (2000)などの選択的作動薬を含む、多数のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬が同定されてきた。その様な作動薬の更なる実例としては、国際特許出願公開、WO第96/06098号、WO第97/30998号、WO第99/03859号において、見ることができる。α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に加えて、作動薬の活性を正に調節するその他の化合物もまた、同定されてきた。これらの化合物は、作動薬の効力、又は作動薬によって誘発される最大応答を、増大させる可能性がある。その様な化合物としての実例は、米国特許第6,479,510号、第6,277,870号及び第6,492,385号、米国特許出願公開第2003.0236287号A1、及び国際特許出願公開、WO第01/32620号において見られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットから成るカルシウムチャンネルは、カルシウムイオンに対して高度の透過性があるが、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に対する暴露を延長することは、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の急速な脱感作をしばしば引き起す。結果として、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬による活性化は、しばしば一時的なものとなる。この脱感作の予防(不活化α7ニコチン性アセチルコリン受容体の再感作も同様であるが)が、神経系の疾患又は状態の治療又は予防において新しい治療法を開発することにおける重要な課題を表わしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法について述べる。特に、本発明は、脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる化合物を同定する方法について述べる。本発明は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を、阻害し、抑制し、又は予防する化合物を同定する方法について述べる。本発明の実施によって同定される(換言すれば、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させ、又は脱感作を予防する)化合物は、作動薬の様な、受容体に対して治療上効果のあるその他の化合物、及びまた作動薬の活性に影響を与えるアロステリックモジュレーターを含む受容体のアロステリックモジュレーターと組み合わせて投与することができる(参照:例えば、米国特許第6,277,870号)。
【0009】
本発明の更に好ましい実施態様において、個々の化合物についてα7ニコチン性アセチルコリン受容体に対する1つ以上の有用な効果を有するものであること、例えば、個々の化合物が、正のアロステリックモジュレーター(例えば、米国特許出願第2003/0236287号)及び再感作薬の両者であるということを確認する。
【0010】
本発明における好ましい実施例において、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を受容体を脱感作させるために作動薬と接触させること、(ii)その細胞を有効量の候補化合物と接触させること、及び(iii)脱感作した受容体が候補化合物により再感作されるか否かを測定することの方法を提供する。
【0011】
本発明は、更に、本明細書において記載された方法を用いて同定され、そしてα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させることが可能な化合物を提供する。
【0012】
その様な化合物の実例としては、次の化合物:
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素;
N−(2,4−ジメトキシ−5−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)尿素;
N−[2−(2−フリル)−4−メトキシフェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[4−エトキシ−2−(2−フリル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−[4−メトキシ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[2−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(6−シアノピリジン−3−イル)−N’−(5−フルオロ−2,4−ジメトキシフェニル)尿素;
N−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
又はそれらの医薬組成物、薬学的に許容される塩、ラセミ混合物、若しくは純粋エナンチオマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0013】
本発明は、更に、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防することによって、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する方法を含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性の調節法を提供する。本発明は、また、脱感作しているα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる方法について述べる。これらの方法は、インビトロで行うことができる。それらは、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防することが可能な、及び/又は脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することが可能な化合物を、それによる治療の必要性のある対象者に投与することにより、インビボで行うこともできる。
【0014】
既に述べた様に、本発明に述べられた方法は、様々な疾患及び状態を予防し、治療し、又は緩和するのに有用である。これらの疾患及び状態としては、アルツハイマー病の認識及び注意欠陥症候群、アルツハイマー病、初老期痴呆(軽度認識機能障害)、老年痴呆、統合失調症若しくは精神病の様な疾患と関連する神経変性及びそれらと関連する認識欠陥障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、気分及び情動障害、筋委縮性側索硬化症、境界型人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知の問題、AIDS痴呆コンプレックス、ダウン症候群関連の痴呆、レヴィー小体に関連する痴呆、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む摂食障害、喫煙停止及び麻薬依存の停止に関連する禁断症候群、ジル・ド・ラ・トゥレット病症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は疼痛に関連する症候群が挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化は、また、TNF−αレベルを減少させる可能性があり、これは順に、炎症、疼痛、癌若しくは糖尿病(それらに限定されないが)の何れか1つ若しくはそれ以上、又はそれらの組み合わせを含む疾患又は状態からの症状軽減を提供する。治療すべき炎症及び/又は疼痛のタイプとしては、関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎;筋肉変性症;骨粗鬆症;骨関節症;乾癬;接触性皮膚炎;骨吸収疾患;アテローム性動脈硬化症;パジェット病;ブドウ膜炎;痛風性関節炎;炎症性腸疾患;成人呼吸窮迫症候群(ARDS);クローン病;鼻炎;潰瘍性大腸炎;過敏症;喘息;ライター症候群;移植片組織拒絶反応;虚血性再潅流障害;脳外傷;発作;多発性硬化症;大脳マラリア;敗血症;敗血症性ショック;トキシックショック症候群;感染症に起因する発熱及び筋肉痛;HIV−1、HIV−2及びHIV−3;サイトメガロウイルス(CMV);インフルエンザ;アデノウイルス;ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2を含む)、又は帯状疱疹、の何れか1つ又はそれ以上が挙げられるが、それらに限定されない。治療される可能性のある癌のタイプとしては、多発性骨髄腫;急性及び慢性の骨髄性白血病 ;又は癌性悪液質の何れか1つ又はそれ以上を含むが、それらに限定されない。TNF−αのレベルはまた、膵臓のβ細胞破壊、I型、II型糖尿病、血管形成;創傷治癒(火傷、及び手術からの傷を含む一般的傷の治癒)、骨折治癒、虚血性心疾患;及び安定狭心症とも関連している。それ故、本発明において述べた方法を用いて同定した化合物は、上記で説明した種々の疾患又は状態を治療、予防、及び緩和するのに有用である。
【0016】
本発明は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防することが可能な化合物を含む医薬組成物、及びその様な医薬組成物を製造し、投与する方法を述べる。
【0017】
最後に、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬誘発による活性が、アロステリックモジュレーターによって、2つある方法の内のどちらか1つで影響を及ぼされ得ることが当業者には一般的によく知られている。第一の方法は、作動薬の効力を上昇させることであり、このアロステリックモジュレーター群は、「アロステリック的促進リガンド」(例えば、Schrattenholz et al., 1996)と命名されている。第二の方法は、作動薬によって誘発される最大応答を上昇させることである。この正のモジュレーター群は、Gurely and Lanthornにより、「効力強化剤(efficacy enhancer)」(例えば、Eisele et al., 1993; Quik et al., 1997; Gurley and Lanthorn, 2001)と命名されている。本発明で記載された方法は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる化合物及び/又は受容体の脱感作の過程を遅らせる化合物を具体的に同定するという点で、従来技術で記載された方法とは異なる。この新規で、付加された特性は、従来技術では予測されない。例えば、従来、効力強化剤として同定された化合物、5−ヒドロキシインドール(Gurley and Lanthorn, 2001)は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させず、そして、受容体の脱感作の速度を変えることはない(参照:実施例;また、参照:Eisele JL, Bertrand S, Galzi JL, Devillers-Thiery A, Changeux JP, Bertrand D:キメラニコチン−セロトニン受容体は、明確なリガンド結合及びチャネル特異性を結び付ける:Nature. 1993 Dec 2; 366(6454):479-83; Gurley D and Lanthorn T. 2001:米国特許第6,277,870号B1;Quik M, Philie J, Choremis J: ニコチン性作動薬によるα7ニコチン性受容体介在のカルシウム流入の調節:Mol Pharmacol. 1997. 51:499-506;及びSchrattenholz A, Pereira EF, Roth U, Weber KH, Albuquerque EX, Maelicke A:神経性アセチルコリン受容体の作動薬応答性は、新しい部類のアロステリック的に働くリガンドにより増大する:Mol Pharmacol. 1996 Jan;49(1):1-6))。
【0018】
しかしながら、本発明の実施の基づき、本明細書において定義する様に、再感作薬作用を有すると同定された化合物は、場合により、上述の2つのアロステリック活性の内の1つを証明することになるかもしれない。それ故、本発明の化合物は、複数の効果、そしてしばしば蓄積効果をも、単一の薬物で達成できるという点において、独自で医学上貴重となる可能性があるが、蓄積効果又はこの特性がないとしても本発明の実施に限界を与えるものではない。本発明のスクリーニング方法は、勿論、あらゆる再感作薬化合物を発見するのに有用である。上記の具体的に開示した全ての化合物(IUPAC形式で命名された)は、また、「効力強化剤」の特性を示すことが測定されている。
【0019】
本発明の実施によって同定されたさらなる化合物は、
【化1】

である。
【0020】
図1は、化合物1、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露した時の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を示す。化合物1が存在する場合、化合物2はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する。
図2は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露した時の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を示す。5−ヒドロキシインドールを添加することによって、脱感作した受容体を再感作することはなかった。
図3は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体が初めに化合物2に暴露されたとき、受容体の作動薬として機能するアセチルコリンによるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作が、化合物により阻害されることを図示している。
図4は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体が化合物2〜15の各々に暴露される場合、アセチルコリンによる脱感作が阻害され、一方、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のモジュレーターである5−ヒドロキシインドールが、その様な効果を有していなかったことを図示している。
【0021】
本発明は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法を述べる。特に、本明細書に記載された方法は、脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することが可能な化合物を同定することができる。それ故、本発明の1つの実施態様は、(i)脱感作薬を用いて、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作すること;(ii)脱感作した受容体を候補化合物に暴露すること;そして、(iii)候補化合物が存在するとき及び存在しないときの脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体の1つ又はそれ以上の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法である。
【0022】
本明細書に記載された方法は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を阻害し、抑制し、又は予防する化合物を同定するために有用である。それ故、本発明の別の実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を、十分な量の候補化合物に暴露すること、(ii)候補化合物の存在下、受容体を作動薬に暴露すること、そして(iii)候補化合物が存在するとき及び存在しないときのα7ニコチン性アセチルコリン受容体の1つ又はそれ以上の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法である。
【0023】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させるために、種々の方法が用いられる。1つの好ましい方法は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を、十分な量のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露することである。
【0024】
本明細書で用いられる用語、「脱感作する」及び「脱感作」は、部分脱感作を含むが、それらに限定されない。同様に、用語「再感作する」又は「再感作」は、部分再感作を含む。本発明の実施によれば、用語は同義的に使っても良いと理解するべきである。即ち、化合物が「再感作薬」である場合、それは、脱感作を予防することができ、そして、脱感作を予防する化合物は、しばしば、再感作剤であり、それ故、用語は、互いに排他的であることを意味せず、そのような化合物を検出するアッセイは、特に、達成された正味の生理学的結果が同じか、又は効果上同じであるので、そのような効果を区別しない。
【0025】
更に、当然のことながら、アッセイが、α7ニコチン性アセチルコリン受容体に結合可能な試薬の添加、又は該受容体から化合物を置き換え可能な試薬の添加などの、多工程を含む場合、それが作動薬の結合サイト、アロステリックモジュレーターの結合サイト、又は再感作サイトであっても、該工程は、記述のアッセイから一般的には明白であるように、又は当業者が勿論一般的に理解するはずであるように、逐次的に、又は、同時に行われても良い。
【0026】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作は、勿論、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を、十分な量のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と接触させることによっても達成することができる。
【0027】
本発明の更なる実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作する十分な量の脱感作薬と接触させること、(ii)該細胞を候補化合物と接触させること、そして(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の1つ又はそれ以上の活性を、候補化合物の存在及び非存在下で測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法である。
【0028】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子は、当業者によく知られた標準的なクローニング及び単離技法を用いて、取得しそして取り扱うことができる。参照:例、Sambrook et al. Molecular Cloning (Cold Spring Harbor Press 1989)。α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子は、細菌、イースト又は哺乳類の発現系などの発現系に挿入してもよい。好ましくは、哺乳類の発現系が使われ得る。トランスジェニックマウス又はラットの様なトランスジェニック動物を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現させるために作り出してもよい。α7ニコチン性アセチルコリン受容体は、蛋白質又はペプチドを単離する分野で日常的に使われている標準的方法を用いて、そのような細胞、組織、又は動物から単離し、そして精製することができる、参照:例、Scopes et al. Protein Purification: Principles and Practice (1996)。細胞は、真核生物、又は原核生物の細胞であっても良い。
【0029】
本発明の別の実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現させる細胞を、十分な量の候補化合物と接触させること、(ii)候補化合物の存在下で、該細胞を脱感作薬と接触させること、そして、(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法である。
【0030】
本明細書で記載される様に、脱感作させる化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させる能力を基に選択することができる。その様な化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体と直接相互作用することができる。それらは、また、直接の相互作用なしで、しかしシグナルカスケード(signalcascade)を通して、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性に影響を与えることができる。その様に感作する化合物の好ましい態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬を含む作動薬であるが、それらに限定されない。より好ましい実施態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の選択的作動薬である。
【0031】
ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬の実例としては、非選択性作動薬、ニコチンが挙げられる。α7ニコチン性アセチルコリン受容体のその他の実例は、国際特許出願公開、WO第96/06098号、WO第97/30998号、WO第99/03859号、及び米国特許出願公開第2003/0236287号A1において見ることができる。α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させることが可能なさらなる化合物は、公知の技法を用いて当業者によって同定することができる。例えば、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬は、細胞を基礎にしたカルシウムフラックスアッセイ、FLIPRを用いて同定することができる。その様なアッセイの記述は、例えば、国際特許出願公開、WO第00/73431号において見られる。
【0032】
本明細書に記載した方法で使用する、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞は、種々の供給源から得ることができる。それは組織培養から単離できる。それは、また、組織標本又は器官標品から、好ましくは、哺乳類から、そして、より好ましくは、ヒトから、誘導することができ、又はそれらに存在し得る。それは、また、外来性のα7ニコチン性アセチルコリン受容体でトランスフェクトさせた細胞から得ることができる。それ故、1つの好ましい態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現させる細胞を有する組織標本又は器官標品を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と接触させること、(ii)その様な組織標本又は器官標品を候補化合物と接触させること、そして、(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を、候補化合物の存在下で測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する化合物を同定する方法である。
【0033】
本発明の1つの実施態様は、真核細胞を使用することであり、好ましくは、哺乳類の細胞、そしてより好ましくはヒト細胞を使用することである。種々の細胞は、American Tissue Culture Collection (ここでは 、ATCCと略する)の様な供給源から市販されている。あるいは、胚幹細胞の様な細胞は、自然源から単離、又は取得することができる、参照:Whittemore et al. Int. J. Dev. Neurosci. 11:755-64 (1993)。該細胞はまた、組織標本又は器官標品中に存在し得、好ましくは、哺乳類の脳、又は中枢神経系起源のものである。該細胞は、ラット、ネコ、ウマ、マウス、ハムスター、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウサギ、サル及びヒトから得ることができるが、それらに限定されない。その様にして得られた細胞は、その分野で日常的に実施される様に、更に、組織培養で増やされ、そして採取される。参照:例、Bernice M. Martin, Tissue Culture Techniques (Birkhauser Verlag AG, 1994)。本発明において使用できる細胞の実例としては、CHO細胞、PC−12細胞、K−177細胞、SH−SY5Y細胞、TE−671細胞、HEK−293細胞及びアフリカツメガエル卵母細胞(Xenopus oocytes)があげられるが、それらに限定されない。参照:例、Rogers et al. Protein Expr Purif. 2(2-3): 108-16 (1991); Fitch et al. PNAS 100: 4909-4914 (2003) 。
【0034】
組織標本又は器官標品由来の細胞は、精製し、又は他の成分又は細胞と混合することができる。1つの実施態様において、単離された組織、器官、又は動物由来の、好ましくは哺乳類の中枢神経系由来のその様な組織又は器官のフラグメント又は部分は、その様な組織又は器官がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を示す限り、使用される。そのような組織又は器官の実例としては、哺乳類の脳のスライス、又は哺乳類の脳の特定の切片であるが、それらに限定されない。それ故、本発明の別の実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を示す組織又は器官を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を感作する十分な量の脱感作化合物と接触させること、(ii)該組織又は器官を候補化合物と接触させること、そして(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することである。
【0035】
さらにもう一つの好ましい実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を候補化合物と混合すること、(ii)候補化合物の存在下で、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬の少なくとも1つを、該細胞に添加すること、そして(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防することができる化合物を同定する方法である。
【0036】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子は、GENBANK受託番号:NM−012832、S53987及びAF−321242(ラット受容体用);AY−500239(蜂受容体用);NM−174515(ウシ受容体用);AF−225980(マウス受容体用);並びに、AF−029839及びAF−029838(ヒト受容体用)において見られる。更なる遺伝子配列は、また、分子クローニング技法を用いて、当業者により入手することができる。欠失、置換、及び付加を含むが、それらに限定されない変異を、そのような変異がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を排除せず、又はそのような変異が本明細書に記載された方法の実施を妨げない限り、α7ニコチン性アセチルコリン受容体に対してなすことができる。α7ニコチン性アセチルコリン受容体のある種の突然変異型は、米国特許第6693172号、及び国際特許出願公開、WO第00/73431号に見られる、また参照:Broide et al. Mol. Pharm. 61: 695-705 (2002) 。
【0037】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を得るための標準的アプローチは、α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードする外因的に挿入したDNA、及び選択されたホスト細胞への発現ベクターのトランスフェクションを含む発現ベクターの構築である。上記で述べたように、α7ニコチン性アセチルコリン受容体をコードするDNAは、化学的合成、及びそのようなDNAを運ぶ細胞からのDNA精製などの種々の技法を用いて得ることができる。そのようなDNAは、標準的なクローニング技法を用いて発現ベクターに挿入することができる。参照:例、Sambrook et al., in Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, Vol. 1, 2, 3 (1989) 。pGEX、pBluescript、pET、pPAC、pGEM1、及びpCMV−GSTなどのベクターは、発現ベクターを構築するために使ってもよい。それは、しばしば、外因的に挿入されたDNAの、適切なホスト細胞中のポリペプチドへの転写及び/又は翻訳を可能にするのに必要な要素を含む。そのようにして構築された発現ベクターは、その後、ホスト細胞へ、好ましくは真核細胞へ、そして、より好ましくは哺乳類の細胞へトランスフェクトされ、形質転換される。一旦、ホスト細胞においては、発現ベクターは、ホスト染色体のDNAに一体化してもよいし、又は独立にホスト染色体DNAを複製してもよい。
【0038】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させるため、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を、十分な量のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露することができる。参照:例、Radcliffe et al. J. Neurosci. 18: 7075-7083 (1998), Alkondon et al. Neuropharmacology 39: 2726-2739 (2000)。脱感作のレベルは、一般的には、当業者によって行われるように、作動薬の量と暴露時間に依存する。
【0039】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作は、脱感作化合物の濃度に依存する。好ましい方法においては、十分な量の脱感作化合物が、使用できるα7ニコチン性アセチルコリン受容体を飽和させるため加えられる。その後は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させるために必要な脱感作化化合物の量は最早濃度に依存しない。当業者は、化合物の最適量、及び最適暴露時間を決めることができる。
【0040】
暴露時間は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作のレベルに影響を与えることになる。使用する脱感作化合物の量に依存して、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作は、暴露数分後、又はもっと早く起こり得る。しかしながら、暴露時間は変えても良く、そして、当業者は最適な結果を得るためにその接続時間を変えることができる。
【0041】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させることができ、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制、予防、又は阻害することができる化合物を同定するために、細胞フリーの系を用いることができこの系でα7ニコチン性アセチルコリン受容体がインビトロで再構築される。参照:Briley & Changeux, Int Rev Neurobiol. 20:31-63 (1977)。本発明の1つの実施態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体蛋白質を単離し、そして細胞フリーの系において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再構築する工程を含む、参照:例、Sobel et al., Eur J Biochem. 80: 215-224 (1977); McNamee & Ochoa, Neuroscience 7: 2305-2319 (1982)。種々の物質が、そのような細胞フリー系を構築するために使用することができる、参照:例、Baenziger et al. Biophys J. 61: 983-992 (1992) 。
【0042】
好ましい実施態様において、単離されたα7ニコチン性アセチルコリン受容体蛋白質は、リポソーム調製物、又はジオレオイルホスファチジルコリンのような脂質成分を用いる他の脂質小胞へ組込まれる。これにより、脂質二重層に埋め込まれたα7ニコチン性アセチルコリン受容体を含む人工膜の構築が可能になる。そのような膜は、本発明に述べたようなα7ニコチン性アセチルコリン受容体を調節することができる化合物を同定するために使用してもよい。リポソーム及びその他の脂質小胞を得たり、又は製造する方法は、当業者に良く知られている。参照:例、Gregoriadis, Liposome Technology: Preparation of Liposomes (1984)。
【0043】
それ故、本発明の別の実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬で脱感作すること、(ii)脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を候補化合物に暴露すること、(iii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体が細胞フリーの系に存在する候補化合物の存在下、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することが可能な化合物を同定する方法である。本発明の更なる実施態様は、(i)候補化合物の存在下、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を作動薬に暴露すること、そして(ii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体が細胞フリーの系に存在するα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することを含む、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、又は予防することができる化合物を同定する方法である。
【0044】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体は、カルシウムの恒常性を調節し、アセチルコリンの放出を調節する。その活性は、また、アルツマイマー病の脳におけるアミロイド斑の形成と関連している、参照:Nagele et al., Neuroscience 110: 199-211 (2002)。α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定するために、種々の方法を用いることができる。これらの方法としては、放射性リガンド結合アッセイ、電気生理現象、放射性同位体イオンアッセイ、蛍光アッセイ、FLIPRアッセイ、及びイメージングアッセイが、挙げられるが、それらに限定されない。参照:例、Bertrand et al. Methods Neurosci. 4: 174-193 (1991); Corringer et al. J. Neuroscience 18: 648-657 (1998); Gould et al. Life Sci. 33: 2665-2672 (1983); Fitch et al. PNAS 100: 4909-4914 (2003); Lukas RJ J. Neurochem. 46: 1936-1941 (1986); Connolly & Kennedy, Drugs Pharm. Sci. 89: 107-133 (1998); Connolly & Kennedy, J Recept Signal Transduct Res. 21: 191-214 (2001); Velicelebi et al. Methods Enzymol. 279: 20-47 (1999); Bertrand et al. J. Recept. Sig. Transd. Res. 17: 227-242 (1997); Villarroya et al. Methods Mol. Biol. 114: 137-147 (1999)。
これらの全ての文献は、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0045】
上記の方法は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節できる多数の化合物を同定し、スクリーニングするために使用できる。それ故、本発明の別の実施態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する少なくとも1つの化合物を同定するための、多数の候補化合物をスクリーニングすることである。本方法の1つの実施態様は、(i)多数の候補化合物を選択すること、(ii)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する少なくとも1つの細胞に、各々の候補化合物を暴露すること、(iii)各々の候補化合物の存在下、又は非存在の条件下で、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定するか、又は比較することを含む。1つの好ましい実施態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、若しくは予防し、又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する、1つ又は多くの化合物を同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイであり、それは、脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を、各々の候補化合物と接触させ、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する各々の候補化合物の能力、特に、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、若しくは予防する能力、又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる能力を比較することから成る。なおより好ましい実施態様は、自動化されたハイスループットスクリーニングアッセイである。
【0046】
本明細書に記載された方法を用いて、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させ、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を阻害し、予防し、若しくは抑制することができる幾つかの化合物が同定された。そのような化合物の実例としては、
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素;
N−(2,4−ジメトキシ−5−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)尿素;
N−[2−(2−フリル)−4−メトキシフェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[4−エトキシ−2−(2−フリル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−[4−メトキシ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[2−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素
N−(6−シアノピリジン−3−イル)−N’−(5−フルオロ−2,4−ジメトキシフェニル)尿素;
N−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
の化合物、又は、薬学的に許容されるその塩を挙げられるが、それらに限定されない。
【0047】
上記述べた化合物の製造、使用、及び投与は、米国特許出願公開第20030236287号A1に記載されている。
【0048】
それ故、本発明の別の実施態様は、細胞中におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる方法であり、該細胞を、その構造が上記されている少なくとも1つの化合物の有効量と接触させることを含む。さらにもうひとつの本発明の実施態様は、細胞中におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防する方法であり、該細胞を、その構造が上記されている少なくとも1つの化合物の有効量と接触させることから成る。
【0049】
付加的に述べれば、本発明の実施によって同定された化合物は、受容体が導入された作動薬の、又は天然の作動薬アセチルコリンの、継続した存在下にあるとき、受容体の脱感作を緩やかにすることにより、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を正に調節し、そして作動薬は結合される。同様に、本発明の実施に基づいて同定された化合物は、作動薬が放出されているか、又は受容体に結合されたままになっているかにかかわらず、作動薬によって既に脱感作された受容体の再感作を促進する。結果として、本発明の実施によって、時間平均の作動薬誘発の全電流が増加し(全細胞で測定した場合)、そして個々のα7受容体で電流の持続時間が増加し得る。この方法において、アセチルコリンに対する、又は別の作動薬に対する「応答速度」は上昇し、それは、作動薬結合に応答して流れる全イオン量が増加することを意味する。この点に関して、読者は、刊行された米国特許出願公開第20030236287号A1を参照されたい、ここでは、作動薬誘発の電流値のピークの上昇を測定することを記載している。また、R. Hurst et al.著、「α7ニコチン性アセチルコリン受容体の新規な正のアロステリックモジュレーター:インビトロ及びインビボにおける特性化」:The Journal of Neuorscience, v. 25(17), pp. 4396-4405, 2005において、特に詳しく、全細胞及び個々の受容体における測定の両方の関連において、これらのアッセイを記載している。
【0050】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性は、多くの生物学的機能及び機構に関係する。α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化は、種々の疾患及び状態を予防し、治療し、又は緩和するために有用であり得る。これらの疾患及び状態としては、次に示す何れか1つ若しくはそれ以上、又はその組み合わせ:アルツハイマー病の認識及び注意欠陥症候群、アルツハイマー病、初老期痴呆(穏やかな認識機能障害)、老年痴呆、統合失調症若しくは精神病の様な疾患と関連する神経変性、及びそれらと関連する認識欠陥、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、気分及び情動障害、筋委縮性側索硬化症、境界型人格障害、外傷性脳損傷、及び脳腫瘍に関連する行動及び認知の問題、AIDS痴呆コンプレックス、ダウン症候群関連の痴呆、レヴィー小体に関連する痴呆、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジア、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む摂食障害、喫煙停止及び麻薬依存の停止に関連する禁断症候群、ジル・ド・ラ・トゥレット病症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は疼痛に関連する症候群が挙げられるが、それらに限定されない。
【0051】
既に述べたように、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化は、また、TNF−αレベルを減少させ、これは順に炎症、疼痛、癌若しくは糖尿病の何れか1つ、又はそれ以上の組み合わせを含む疾病又は病気からの症候群の軽減を提供するが、それらに限定されない。治療すべき炎症及び/又は疼痛のタイプとしては、関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎;筋肉変性症;骨粗鬆症;骨関節症;乾癬;接触性皮膚炎;骨吸収疾患;アテローム性動脈硬化症;パジェット病;ブドウ膜炎;痛風性関節炎;炎症性腸疾患;成人呼吸窮迫症候群(ARDS);クローン病;鼻炎;潰瘍性大腸炎;過敏症;喘息;ライター症候群;移植片の組織拒絶反応;虚血再潅流障害;脳外傷;発作;多発性硬化症;大脳マラリア;敗血症;敗血症性ショック;トキシックショック症候群;感染症に起因する発熱及び筋肉痛;HIV−1、HIV−2及びHIV−3;サイトメガロウイルス(CMV);インフルエンザ;アデノウイルス;ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2を含む)、又は帯状疱疹の何れか1つ又はそれ以上が挙げられるが、それらに限定されない。治療すべき癌のタイプとしては、多発性骨髄腫;急性及び慢性の骨髄性白血病;又は癌性悪液質の何れか1つ又はそれ以上を含むが、それらに限定されない。最後に、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化は、また、肥満、過食症、又は、肥満関連の疾患を治療し、又は予防することができる。
【0052】
それ故、本発明の別の実施態様は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防するに有効量の化合物を対象者に投与することを含む、必要とする対象者におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、又は阻害する方法である。本発明のさらにもうひとつの実施態様は、脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する有効量の化合物を対象者に投与することを含む、必要とする対象者において脱感作したα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する方法である。
【0053】
より具体的には、本発明は、必要とする対象者に、好ましくは哺乳類に、より好ましくはヒトに、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する有効量の化合物を投与することを含む、対象者における上記の疾患又は状態を、治療し、緩和し、又は予防する方法を述べる。本発明は、また、それを必要とする対象者に、好ましくは哺乳類に、そしてより好ましくはヒトに、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、又は阻害する有効量の化合物を投与することを含む、対象者における上記疾患又は状態を治療し、緩和し、又は予防する方法を述べる。
【0054】
特に、本発明の好ましい実施態様の1つは、それを必要とする対象者に、好ましくは哺乳類に、そして更に好ましくはヒトに、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する有効量の化合物を投与することを含む対象者における統合失調症を治療し、緩和し、又は予防する方法、及び必要とする対象者に、好ましくは哺乳類に、そして更に好ましくはヒトに、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、又は阻害する有効量の化合物を投与することを含む、対象者における統合失調症を治療し、緩和し、又は予防する方法である。
【0055】
本発明のさらにもうひとつの実施態様は、必要とする対象者、好ましくは哺乳類、そしてより好ましくはヒトにα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する有効量の化合物を投与することを含む、対象者における肥満を治療し、緩和し、又は予防する方法であり、及びそれを必要とする対象者、好ましくは哺乳類に、そして更に好ましくはヒトに、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、若しくは阻害する、又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する有効量の化合物を投与することを含む、対象者における肥満を治療し、緩和し、又は予防する方法である。
【0056】
本明細書に記載した化合物、及び本明細書で記載した方法を用いて同定することのできるその他の化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性状態を維持するのに有用である。それ故、これらの化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬又はそのアロステリックモジュレーターのようなα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節できるはずの他の薬剤との組み合わせで使用される場合、特に有用である。
【0057】
代表的な作動薬化合物は、次の米国特許出願公開第2002−0086871号、米国特許第6,809,094号、米国特許第6,881,734号、米国特許出願公開第2005−0176720号、米国特許第6,911,543号、及び米国特許出願公開第2005−0222196号A1に開示されている。
【0058】
そのような組み合わせにおいて有用なα7作動薬化合物の具体的化合物としては、
exo−4(S)−N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)フロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−[(exo−(4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル]フロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)フロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)フロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)フロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−2−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−2−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
exo−4(S)−N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
【0059】
(exo)−N−[1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
(3R,5R)−N−[1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−3−メチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
exo−4(S)−N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−3−エチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−3−エチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−3−エチルフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)チエノ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
【0060】
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキシアミド;
exo−4(S)−N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−チエノ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
exo−4(S)−N−(1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−チエノ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−チエノ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
【0061】
N−(1−アザビシクロ[3.2.2]ノナ−3−イル)−チエノ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシアミド;
N−[exo−(4S)−1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル]−3−クロロフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−(1−(6−メチル)−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−3−イル)−3−クロロフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
N−((3R,5R)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−3−クロロフロ[2,3−c]ピリジン−5−カルボキシアミド;
4−ベンゾオキサゾール−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−1−オキサ−3−アザ−シクロペンタ[b]−ナフタレン;
4−ベンゾチアゾール−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェニル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−フェニル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−3−オキサ−1−アザ−シクロペンタ[a]−ナフタレン;
4−(5−クロロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フルオロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−ニトロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
【0062】
4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−ピリジン−3−イル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]−ノナン;
4−(5−ブロモ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−ブロモ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]−ノナン;
4−(5−ヨード−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(4−ニトロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−ニトロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−メチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−メチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−クロロ−5−ニトロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−クロロ−6−ニトロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
ベンジル−[2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−アミン;
[2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−(3−フェニル−アリル)−アミン;
[2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−ピリジン−3−イルメチル−アミン;
【0063】
ジベンジル−[2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−アミン;
4−(5−m−トリル−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−フェニル−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ベンゾオキサゾール−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−ブロモ−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;及び
4−(5,7−ジクロロ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−ブロモ−5−メチルオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−ブロモ−5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5,6−ジメチルオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−メチル−5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−メチル−6−ニトロ−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナ−4−イル)−5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−イルアミン;
4−(6−フルオロ−5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−クロロ−5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
【0064】
4−(6−クロロ−5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−メチル−6−フェニルオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−メチル−6−フェノキシオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−4−イル)−5−メチルオキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル;
4−(6−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−(1H−ピラゾール−4−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−(チアゾール−2−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−(オキサゾール−2−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−(2−フルオロフェニル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(6−(2−メトキシピリジン−3−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
(2−(2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−4−イル)オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)フェニル)メタノール;
4−(6−(2−フルオロフェニル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
2−(2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−4−イル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−イル)ベンゾニトリル;
4−(6−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
(2−(2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−4−イル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニル)メタノール;
【0065】
4−(6−(1H−ピラゾール−5−イル)オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン ;
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(3−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェネチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
(R)−(−)− 2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−6−クロロ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(R)−(−)−6−ブロモ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−5−メチル[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−6−クロロ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−6−ブロモ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−フェニル[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
【0066】
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−(2−フルオロ−6−メチルフェニル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−(2−フルオロ−6−メチルフェニル)[1,3]オキサゾロ[5.4−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−メチル[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−エチル[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−6−クロロ−2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−5−メチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−6−カルボニトリル;
(R)−(−)−6−ブロモ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−5−メチル[1,3]−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−6−フェノキシ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(R)−(−)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)−5,6−ジメチル[1,3]−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
(S)−(+)−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(S)−(+)−6−クロロ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(S)−(+)−6−ブロモ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
(S)−(+)−6−クロロ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;及び
(S)−(+)−6−ブロモ−2−(1,4−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−4−イル)[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジン;
の化合物、並びに薬学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。
【0067】
それ故、本発明の1つの実施態様は、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、若しくは阻害する、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させる、有効量の化合物を細胞に接触させること、そして(ii)該細胞を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬又はモジュレーターと接触させることを含む、細胞中のα7ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化させる、又はその活性を増加させる方法である。
【0068】
それ故、本発明は、必要とする対象者の、好ましくは哺乳類の、そしてより好ましくはヒトの、疾患又は状態を治療し、又は予防する方法を述べており、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防する及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させる有効量の少なくとも1つの化合物を、対象者に投与すること、そして(ii)また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬を、対象者に投与することを含む。
【0069】
組み合わせ使用では、本発明の化合物は、他の薬剤と同時に又は分離間隔で共投与することができる。他の薬剤と同時に共投与する場合、本発明の化合物及び他の薬剤は、単一の医薬組成物に組み入れることができる。医薬組成物は、本発明の1つの化合物、及びα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬のみならず、治療効果を有する他の成分を含んでいても良い。或いは、本発明の化合物が、他の薬物と別々に投与される場合、二つ以上の組成物、例えば本発明の化合物を含む組成物及び他の薬物を含む他の組成物を投与することができる。
【0070】
本発明の好ましい一つの実施態様は、必要とする対象者の統合失調症を治療し、又は予防する方法であり、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を阻害し、若しくは抑制する化合物、又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することができる、有効量の化合物を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と一緒に、対象者に投与することを含む。更により好ましい実施態様は、また、対象者に1つ又はそれ以上の、用語が一般的に認識されているような抗精神病薬を投与することを更に含む。
【0071】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を調節する薬物に加えて、本発明の化合物は、また、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を直接には調節することができない他の薬物と組み合わせて投与することができる。それらは、感染症を治療するためのある種の抗菌薬及び抗ウイルス薬;癌を治療するためのある種の抗癌薬及び/又は制吐薬;糖尿病を治療するためのある種の薬物、又は肥満症を治療するためのある種の薬物などである。本発明の化合物と共投与してもよい他の薬物としては、精神興奮薬及び/又はモノアミン再取り込み阻害薬が挙げられるが、それらに限定されない。
【0072】
本発明は、また、1つ若しくはそれ以上の上記の化合物、若しくは本発明の実施によって発見され、若しくは同定されるその他の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を、当該技術でよく知られたような担体の特性と予測される性能に従う薬学的に許容されるそのような担体を一緒に含む医薬組成物を提供する。1つの実施態様は、必要とする対象者、好ましくは哺乳類、又はより好ましくはヒトの疾患又は状態を治療し、予防し、又は緩和するに適した医薬組成物であり、それはα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、若しくは予防し、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することができる有効量の少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。1つの非常に好ましい実施態様によると、医薬組成物は、更に、少なくとも1つのα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬、及び/又はα7ニコチン性アセチルコリン受容体のその他のモジュレーターを含んでもよい。
【0073】
本明細書で用いられる用語「担体」としては、受容可能な希釈剤、賦形剤、アジュバント、ビヒクル、溶解補助剤、粘度調整剤、保存剤、及び最終医薬組成物における好ましい特性を供与するその他の薬剤を含む。
【0074】
医薬組成物は、使用しようとするデリバリーシステムに依存し、種々の形態に製剤化することができる。一例として、本発明の医薬組成物は、錠剤若しくはカプセルとして、鼻スプレー又は吸入用のエアゾールとして、摂取可能な溶液として経口的に、又は非経口的に(例えば、組成物が静脈内、筋肉内又は皮下ルートによるデリバリー用としての注射可能な形態に製剤化される)させるために製剤化することができる。或いは、製剤は両方のルートによりデリバリーされるよう設計することができる。
【0075】
疾患又は状態を治療したり又は予防するのに効果的な、本発明において同定された化合物の投薬量、用量割合は、疾患又は状態の性質、患者のサイズ、治療の目的、治療すべき病理学的性質、用いられる具体的な医薬組成物、及び治療する医師の診断と結論などの種々の要因に依存する。
【0076】
例えば、投薬形態が、例えば、錠剤又はカプセルのような経口である場合、適切な投薬レベルは、一般的には約0.1μg/kg〜約50.0mg/kg体重/日の間であり、好ましくは約1.0μg/kg〜約5.0mg/kg体重/日の間であり、より好ましくは、約10.0μg/kg〜約1.0mg/kg体重/日の間であり、そして、最も典型的には、約20.0μg/kg〜約0.5mg/kg体重/日の間である。
【0077】
投薬する1日当りの回数は、活性成分の半減期などの薬理学的及び薬物動態学的因子に依存し、それは、その異化速度及びクリアランス速度のみならず、患者において達成される最小及び最適の血漿レベル、又は治療効果のために必要な該活性成分の他の体液レベルを反映する。
【0078】
実施例1
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞の調製
Sprague−Dawleyラット(出生後3日)を断頭し、脳を取り出し、そして、氷で冷却した、NaCl(130mM)、NaHCO3(26mM)、NaH2PO4(1.25mM)、KCl(3mM)、CaCl2(1mM)、MgCl2(5mM)及びグルコース(10mM)を含む、人工的な脳脊髄液(ACSF)中に置いた。海馬領域を穏やかに取り出し、そして小さい切片に切断した。組織を、その後、パパイン(1mg/ml)を含むハイバーネートA媒体中に、35℃で60分間置いた。消化後、組織を、BrainBits, LLC, Springfield, IL(カタログNo.HA)から得られたハイバーネートA媒体中で洗浄し、そして、ハイバーネートA媒体で作られた粉砕媒体(2ml)を含むコニカルチューブ(50ml)へInvitrogen, Carlsbad, CAから得られた、2%のB27血清フリーサプリメントと共に移した。
【0079】
ニューロンは、粉砕によって分離した。海馬は媒体が細胞で濁るまで、ゆっくりと粉砕し、少しばかりの大きい組織は残った。細胞は、その後、Brewer GJ, Mol. Chem. Neuropathol. 31(2): 171-86 (1997)に記載された方法に準拠して、Nycoprep勾配で精製した。簡単に述べると、Nycoprep勾配は、粉砕媒体中、35、25、20及び15%の四段階から成るNycoprep(1ml)で作られている。細胞懸濁液をその後、遠心分離し、そして、興味ある細胞を含む画分を、ポリD−リシン/ラミニンでコートしたカバースリップ上に、密度300〜700セル/mmで培養した。細胞をカバースリップに接着させるため、フード内において、室温で、1時間放置した。カバースリップを、その後、温めた培養媒体を含む組織培養プレートに移した。そのプレートは、Invitrogen(カタログNo.10888〜022)から得られたNeurobasal−A媒体と、B27血清フリーサプリメント(2%)、L−グルタミン(0.5mM)、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100mg/ml)、及びファンギゾン(0.25mg/ml)で作られたものであった。細胞は、湿気のあるインキュベータ内において、37℃、そして、CO2(6%)で、1〜2週間保持した。媒体は、24時間後に、そしてその後、約3日毎に換えた。
【0080】
実施例2
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性の測定
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を、電気生理学的方法で測定した。電流値は、Axon Instruments of Foster City, CAから得たAxopatch 200B増幅器が備わった全細胞パッチクランプ技法を用いて、個々のニューロンから記録した、参照:Fenwick et al., J. Physiol. 331: 577-597 (1982) 。信号は、2ms/ポイントで測定し、100Hzでフィルターをかけた。全細胞電流は、デジタル化し、保存し、そして、Axon Instruments of Foster City, CAから得られた、pCLAMP ソフトウエア (V8.2)を用いて測定した。細胞を、pH7.4、290〜300ミリオスモルで、NaCl(140mM);KCl(5mM);MgCl2(1mM);CaCl2(2mM);HEPES(10mM);グルコース(10mM)を含む外部浴溶液(Internal bath solution)で継続的に灌流した。ビククリン;5μmolの6−シアノ−7−ニトロ−キノキサリン−2,3−(1H,4H)−ジオン(CNQX)の濃度でのGABAA受容体拮抗薬;濃度5μmolでのグルタメート受容体拮抗薬;そしてテトロドトキシン(TTX);濃度0.5μmolでのNa+チャネル遮断薬が、自発的なシナプス活性を減少させるために浴に含まれていた。
【0081】
作動薬としてアセチルコリンを用いた実験においては、全ての溶液にアトロピン硫酸塩(1mM)が含まれていた。候補化合物は、Warner Instruments of Hamden, CTから得られた多筒高速灌流交換システムによりデリバリーされた。パッチピペットは、ホウケイ酸塩キャピラリーガラスから作られ、そして、pH7.2で、280ミリオスモルで、CsCH3SO3(126mM);CsCl(10mM);NaCl(4mM);MgCl2(1mM);CaCl2(0.5mM);EGTA(5mM);HEPES(10mM);ATP−Mg2+(3mM);GTP−Na(0.3mM);ホスホクレアチン(4mM)から成る内部ピペット溶液で充満された。内部溶液で充満されたパッチピペットの電気抵抗は、3〜6MOhmの範囲内であった。実験は室温で行われた。
【0082】
実施例3
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の再感作薬の同定
候補化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させるその活性を次のようにテストされた:α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現させる細胞に3分間作用させた。作動薬の濃度は、先ずα7ニコチン性アセチルコリン受容体を活性化させ、そして、その後、作動薬の継続的存在下で、完全に脱感作する濃度であった。100nMの作動薬が受容体を完全に脱感作させるに十分ではあるけれど、3μMの作動薬をこの実験に用いた。これらの実験で用いた作動薬は、(N−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル]−4−クロロベンズアミド・塩酸塩(化合物1)であり、その製造は、PCT出願公開WO第0285901号に記載されている。
【0083】
作動薬の存在下で、候補化合物は、作動薬の濃度が実験中同一で維持されるように加えられた。α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作させた化合物は、作動薬の継続的存在下、α7ニコチン性受容体が介在した応答を誘発する能力を、電気生理学的方法を用いて測定することによって同定された。この実施例において、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性は、全細胞パッチクランプ技法を用いて測定した、参照:Fenwick et al., J. Physiol. 331: 577-597 (1982) 。カルシウムイメージング及び放射性カルシウムの流出(flux)などのその他の方法も、また、使用できた。
【0084】
実施例4
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の再感作
実施例1に記載された方法に従って、細胞を調製した。α7ニコチン性アセチルコリン受容体の非選択的作動薬であるニコチンを、細胞に3分間継続して作用させた。ニコチンに継続して1分暴露させた後、化合物2、N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素を、ニコチンの継続的存在下で作用させた。ニコチンの添加により、受容体の脱感作により急速にベースラインに下降する初期の内向き電流を引き起こした。化合物2を添加することにより、洗い流しで容易に逆転する大きな持続性のある内向き電流を引き起こした。
【0085】
実施例5
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作薬及びモジュレーターの比較
実施例1に述べた方法に従って、細胞を調製し、そして、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の選択的作動薬である、化合物1に継続して3分間暴露した。作動薬に継続して60秒暴露した後、化合物2又は5−ヒドロキシインドールを、化合物1の継続的存在下に作用させた。図1及び図2で示すように、受容体が化合物に暴露されている接続時間は、黒線で示される。作動薬の添加により、受容体の脱感作により、急速にベースラインに下降する初期の内向き電流を引き起こした。化合物2の添加により、洗い流しで容易に逆転する大きな持続性のある内向き電流を引き起こした。5−ヒドロキシインドールの添加は、内向き電流に有意な作用を及ぼさなかった。
【0086】
実施例6
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作の阻害
細胞を実施例1述べた方法に従って調製し、以下の化合物を含む種々の候補化合物に暴露した。
化合物2:N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素;
化合物3:N−(2,4−ジメトキシ−5−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物4:N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
化合物5:N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)尿素;
化合物6:N−[2−(2−フリル)−4−メトキシフェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物7:N−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
化合物8:N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
化合物9:N−[4−エトキシ−2−(2−フリル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物10:N−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物11:N−[4−メトキシ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物12:N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
化合物13:N−[2−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
化合物14:N−(6−シアノピリジン−3−イル)−N’−(5−フルオロ−2,4−ジメトキシフェニル)尿素;
化合物15:N−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素
【0087】
これらの化合物の製造は、米国特許出願第20030236287号において見られる。
【0088】
各々の化合物は、継続して5〜10分間作用させた。候補化合物に継続して約30秒暴露した後、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬である、アセチルコリン(1mM)を、候補化合物の継続的存在下で、1秒間作用させた。作動薬アセチルコリンの最低5回の作用に対して、この作業を1分に1回繰り返した。アセチルコリンを各々の作用の間に洗い流し、そしてα7ニコチン性アセチルコリン受容体を1分毎に1秒暴露し、その間、各々の候補化合物に、同時に連続して暴露した。図3に示すように、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の化合物2への暴露は、1秒間の作動薬の作用の間、受容体の脱感作を有意に阻害し、又は低下させる結果をもたらした。更に、図4に示すように、5−ヒドロキシインドールは、アセチルコリン誘発のイオン電流の脱感作の動力学に影響を与えなかった。対照的に、動力学的特性における著しい相違は、化合物2〜15の各々に暴露された細胞において認められ、それは、これらの化合物により、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作が阻害されることを示した。
【0089】
実施例7
統合失調症に対する候補化合物の効果
次のプロトコルは、統合失調症障害を患っている患者における、本明細書で同定された候補化合物の効果を測定するために使用される。
【0090】
無作為二重盲検プラセボ対照試験が実施された。統合失調症の診断を受けた約100人の、20〜50歳の男性及び女性の患者が、研究への参加に募られた。
【0091】
患者に12週間、0.1mg/日〜1000mg/日の量の候補化合物、又はプラシーボを無作為に投与した。無作為化の前、患者の統合失調症を、the American Psychological Association's Ethical Principles of Psychologists and Code of Conduct (APA, 1992)により提供された評価ガイドラインを用いて評価した。主要評価項目は、治療グループとプラシーボグループ間での比較である。
【0092】
実施例8
好ましいα7の構築物
種々の哺乳類のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の構築物は、それが適切に細胞に発現する場合、本発明の実施によって使用することができた。例えば、全長野生型のヒト受容体は非常に有用であり、そして、それは、米国特許第5,837,489号、及び第6,664,375号に記載されている。
【0093】
しかしながら、α7ニコチン性アセチルコリン受容体は、有用量を細胞膜に発現させることは難しいと一般的に認識されている。従って、特別な二重突然変異構築物は非常に好ましい、参照:米国特許第6,693,172号、Vincent Groppi et al。それは参照によって、その全体が本明細書に組み入れられる。この二重突然変異構築物において、207位が、スレオニンからプロリンに変更され、そして、218位が、システインからセリンに変更された(これらの位置は、米国特許第5,837,489号における、シグナルペプチドの切断に起因するSeq ID NO 8の、230位及び241位に対応する)。この構築物は、細胞内で非常に良く発現した。
【0094】
さらなるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の構築物は、α7の全ての構造を欠いており、その結果は患者を治療するための必要な要求事項を正確に比較できるものではないので、あまり好ましくはないが、使用してもよい。例は、α7の細胞外ドメイン、好ましくはヒト由来の、そればかりでなく他の哺乳類由来の、そしてα7/5−HT3として知られている公知のキメラ構築物の何れかを含み、その好ましい例は、透過膜及びセロトニン受容体である5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT3)受容体の細胞間ドメインに融合したヒトの神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体の、アミノ末端の、細胞外の、又は、リガンド形成ドメイン(ペプチドシグナルは除く)を有している。好ましい例において、5−HT3ドメインは、ネズミ科であり、そして、そのような構築物の有用性は、遺伝子組み換え細胞における高レベルの発現を容易にすることを含み、その問題は、米国特許第6,693,172号のヒト「二重突然変異」構築物において、また、十分解決される。参照:Elsele et al., nature, v. 366 pp. 479-483, 1993。勿論、膜−小胞、合成又は天然由来の細胞は、また、受容体構築物を提示するために使用することができ、そして、そのような実施態様は同様に好ましくはないが、表面に結合したα7構築物もまた、使用しても良い。
【0095】
実施例9
本発明の実施に有用な追加の方法論
本発明を実施するのに有用な、追加の背景資料及び種々のアッセイは、本明細書に付属した付表、8つの図表を含む、ページA−1〜A−41に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】化合物1、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露した時の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を示す。化合物1が存在する場合、化合物2はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する。
【図2】α7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露した時の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を示す。5−ヒドロキシインドールを添加することによって、脱感作した受容体を再感作することはなかった。
【図3】α7ニコチン性アセチルコリン受容体が初めに化合物2に暴露されたとき、受容体の作動薬として機能するアセチルコリンによるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作が化合物2により阻害されることを図示している。
【図4】α7ニコチン性アセチルコリン受容体が化合物2〜15の各々に暴露される場合、アセチルコリンによる脱感作が阻害され、一方、α7ニコチン性アセチルコリン受容体のモジュレーターである5−ヒドロキシインドールが、その様な効果を有していなかったことを図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防する化合物を同定する方法であって、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を候補化合物に暴露すること、(ii)該細胞を、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を引き起こすことができるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬に暴露すること、(iii)該候補化合物がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を予防するか、又は阻害するかを決定することの工程を含む方法。
【請求項2】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する化合物を同定する方法であって、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体の少なくとも1つの作動薬で、α7ニコチン性アセチルコリン受容体を脱感作させること、(ii)該受容体を候補化合物に暴露すること、そして(iii)作動薬の存在下において、該候補化合物と共に、及び候補化合物無しで、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性を測定することを含む方法。
【請求項3】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作することのできる化合物を同定する方法であって、(i)α7ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する細胞を、受容体を脱感作させるに十分な量のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と接触させること、(ii)作動薬の存在下で、該細胞を候補化合物と接触させること、そして(iii)脱感作した受容体が候補化合物によって再感作されるか否かを決定することを含む方法。
【請求項4】
抑制、予防又は阻害を必要とする対象者のα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、又は阻害する方法であって、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防する十分な量の化合物を投与することを含む方法。
【請求項5】
化合物が、
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)尿素;
N−(2,4−ジメトキシ−5−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(3−メチルイソオキサゾール−5−イル)尿素;
N−[2−(2−フリル)−4−メトキシフェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(5−ブロモ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−5−イル]尿素;
N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[4−エトキシ−2−(2−フリル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−[4−メトキシ−2−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(4−エトキシ−2−ニトロフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)イソオキサゾール−3−イル]尿素;
N−[2−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
N−(6−シアノピリジン−3−イル)−N’−(5−フルオロ−2,4−ジメトキシフェニル)尿素;
N−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−N’−[5−(トリフルオロメチル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]尿素;
及び、薬学的に許容されるその塩;
から成るグループから選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作する化合物の有効量及び薬学的に許容される担体を含む疾患又は状態を治療し、予防し、又は緩和するのに有用な医薬組成物。
【請求項7】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、阻害し、又は予防する化合物の有効量及び薬学的に許容される担体を含む疾患又は状態を治療し、予防し、又は緩和するのに有用な医薬組成物。
【請求項8】
治療される疾患又は状態が精神病性障害である請求項6又は7記載の組成物。
【請求項9】
精神病性障害が、統合失調症障害である請求項8記載の組成物。
【請求項10】
治療又は予防を必要とする対象者の疾患や状態を治療し、又は予防する方法であって、少なくとも1つのα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と組み合わせた第一の化合物の有効量を対象者に投与することを含み、ここで該第一の化合物がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を予防し、又は阻害するものである、方法。
【請求項11】
治療を必要とする対象者の疾患や状態を治療し、又は予防する方法であって、少なくとも1つのα7ニコチン性アセチルコリン受容体の作動薬と組み合わせた効果的な量の第一の化合物を該対象者に投与することを含み、ここで該第一の化合物が脱感作されたα7ニコチン性アセチルコリン受容体を再感作するものである、方法。
【請求項12】
疾患又は状態が、統合失調症又はその他の精神病性障害、肥満症又は神経変性病である請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体により仲介され得る疾患又は状態の治療のために提供される医薬組成物を製剤化する目的の、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の脱感作を抑制し、予防し、若しくは阻害し、又はその再感作を促進する化合物の使用。
【請求項14】
治療が、更に受容体の作動化合物を提供するものである請求項13記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525785(P2008−525785A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547700(P2007−547700)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003925
【国際公開番号】WO2006/067611
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】