説明

β−3アドレナリン受容体アゴニストとセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤とを含む医薬組成物

本発明は、膀胱機能不全を治療するための新規な医薬の組合せに関し、その組合せは、セロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤とβ-3アドレナリン受容体アゴニストとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膀胱の機能的問題、特に混合性失禁を治療するための有効成分の新規な組合せを開示する。本発明によると、少なくとも1つのβ-3アドレナリン受容体アゴニストと少なくとも1つのセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤とを含む医薬として有効な成分の組合せが提唱される。
【背景技術】
【0002】
尿失禁の罹患率は、加齢統計における変化を受けて着実に増加している。それにもかかわらず、罹患者の大部分は、未だ治療を受けていないか又は治療が不充分である。尿路の慢性感染症などの医学的考察はさておき、尿失禁の罹患者には大きな苦痛の心理的負担が伴う。1億人規模の人々が尿失禁を患っていることが、推定されている。
下部尿路は、膀胱、尿道、関連する筋肉及び懸垂組織の靭帯からなっている。膀胱の目的は、尿を蓄えて排泄することである。そのような蓄積機能を行うのに、膀胱筋(排泄筋)の弛緩だけでなく、膀胱頸部、尿道平滑筋、尿道横紋筋及び骨盤底部(pelvic floor)によって供給される閉鎖機構もまた重要な要因である。膀胱を空にしている間(排尿)、排泄筋は収縮しており、一方で尿道及び骨盤底部は弛緩しており、また膀胱の括約筋は開いている。これらの動作は、副交感神経系、交感神経系及び体性神経系による複合的な制御を必要としている。
膀胱の機能的問題は、障害の異質なグループであり、その原因論、診断及び治療の点において異なっている。
国際排尿制御学会(ICS)の統一勧告(standardising recommendations)では、尿失禁は不随意的な尿の流出であり、客観的に検出可能で、社会的且つ衛生的な問題を構成しているものとして定義されている。一般的に、尿失禁は、蓄積段階の間に膀胱内の圧力の意図的でない増加があった場合にのみ起こる。尿失禁は、排尿筋の無制限な収縮の結果として(急迫性失禁)又は尿道閉鎖機構の失敗の結果として(ストレス性失禁)起こり得る。
ICSの定義によると、過活動膀胱(overactive bladder:OAB)という用語は、通常は排尿及び夜間尿の頻度の増加を伴う、抑えがたい強制的な排尿要求が存在する場合に用いられ、急迫性失禁に付随する場合も付随しない場合もある。病理生理学的には、この病気は、おそらく充満段階の間の不随意収縮に基づいており、その原因は、神経性又は先天性の非神経性(特発的)のものがあり得る。
【0003】
急迫性失禁は、抑えがたい排尿要求と不随意的な尿の流出とによって特徴付けられる。
ストレス性失禁は、腹腔内圧力が上昇したときに一般的に起こる不随意的な尿の流出によって特徴付けられる。ストレス性失禁は、排尿活動が存在していないときの、例えば持上げ、咳込み、くしゃみ、ランニングの場合に起こり得る。膀胱及び骨盤底部の括約筋の機能不全、並びに懸垂組織の解剖学的不具合の変動し得る組合せの結果として、尿の留出が起こる。尿道の閉鎖圧力が低過ぎた結果としても、尿失禁が起こる。純粋なストレス性失禁は、女性、特に出産を経験した女性に起こる場合が多い。男性では、このような形式の尿失禁は、通常、前立腺摘出術又は小骨盤に関する他の外科的な処置の後にのみ観察される。
いわゆる混合性失禁の患者では、ストレス性失禁と急迫性失禁の両症状に苦しむ。この場合も、罹患するのは主に女性である。
様々な形式の膀胱の機能的障害、特にストレス性失禁、急迫性失禁、混合性失禁又は過活動膀胱を治療するために、種々のアプローチが利用可能である。
急迫性失禁の治療については、WHOが抗コリン作用薬(抗ムスカリン作用薬)を用いた治療を推奨している。しかしながら、それらの薬は中程度にのみ有効なだけであり、また特に、口の乾き、調節障害、便秘及び中枢神経作用(めまい、倦怠感、意識混濁)などの深刻な副作用を有していることから、それらの薬の使用には限界がある。
特に、ストレス性失禁の治療に対しては、保守的且つ外科的な選択肢しか存在しない。これまでに、一般的に施し得る薬物治療は確立されていなかった。プソイドエフェドリン及びフェニルプロパノールアミンなどのα-アゴニストは、軽度のストレス性失禁の治療に非常に穏やかな効果だけしか示さない。α-アゴニストは、尿道の筋肉に対する選択性を有しておらず、また高血圧、頻脈、不整脈、睡眠障害、頭痛及びふるえなど数多くの副作用を有していることが欠点である。
混合性失禁の治療は、論議を呼ぶ問題であって、ストレス性失禁を治療するための侵襲性手法の構成要素と、急迫性失禁を治療するための薬物療法の構成要素との併用を包含している。
【0004】
1995年半ばから、選択的β-3アドレナリン受容体アゴニストが尿失禁の治療に有望であることも報告されている(EP第0,958,835号明細書)。β-3受容体の刺激は排尿筋の弛緩にとって格別重要であることから、尿失禁を患う患者の選択的β-3アドレナリン受容体を利用することは、尿蓄積段階の間の不随意的な排尿収縮を減少又は予防する結果となるであろう。β-3アドレナリン受容体アゴニストを用いたテストは、耐用性がよいと同時に高い有効性が見込まれる。加えて、その活性は膀胱の蓄積段階に限られており、尿残留物を集積せずに膀胱をスムーズに空にすることが保証されるであろう。
現在、シナプス間隙から神経細胞へのセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込みを選択的に阻害する物質に関して、ストレス性失禁の治療について臨床試験が行われている。それらの物質は、選択的セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤として知られており、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン=5-HT)及び/又はノルアドレナリン(NA)の作用を延ばすこと及び強化することをもたらす。複雑な活性メカニズムを介して、選択的セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、陰部神経の活動を刺激し、膀胱の横紋括約筋の収縮を促進することができ、従って自制を維持することが可能である。そうこうするうちに、第3相臨床試験によって、選択的セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤を用いて、ストレス性失禁の有効な薬物療法を提供できることが初めて示された。
また、過活動膀胱の治療に対しては、限られた治療法しか利用できない。あまりよく確立されていない治療形式としては、有効成分として抗ムスカリン作用薬を含む薬物も挙げられる。
【発明の開示】
【0005】
(本発明の課題)
様々な形式の尿失禁は、原因が複合的且つ異質であることが見出されており、それらの治療における数多くの有望なアプローチ及び進歩にもかかわらず、有効であり耐容性のよい治療法の開発には未だ難題が残されている。
本発明は、一般的な尿失禁及び上述する様々な形式の尿失禁の治療に貢献することを目的とする。セロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤の利点と、β-3アドレナリン受容体アゴニストの利点とを、根本的な病気の治療を促す方法で組合せるように意図される医薬の組合せが提供される。
【0006】
(本発明の詳細な説明)
本発明によると、(a)医薬として有効な量の少なくとも1つのセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤;と、(b)医薬として有効な量のβ-3アドレナリン受容体アゴニスト;とを有効成分として含む新規な医薬組成物が提供される。
[a)有効成分]
好ましい態様の説明を明確にするために、これ以降は特定の用語を用いることとする。この用語は、記載されている態様と、それと同様な目的のために同様な様式で機能し同様な結果が得られる技術的に等価な全ての態様とを含み得る。医薬として有効な化合物を開示又はクレームする限りでは、in vivoで生成される全ての活性代謝物が含まれることを明確に意図し、また当該化合物がエナンチオマー、ジアステレオマー又は互変異性体の形態で存在し得る場合には、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー及び互変異性体が含まれることを明確に意図する。薬理学的に最も有効であって最も副作用が少ない異性体が好ましいことは明らかである。同様に、このような化合物の医薬として許容される塩類も含まれる。本記載の対象である化合物の各々の医薬として有効な塩類の例としては、医薬として許容される酸又は塩基から調製される塩類が挙げられるが、これだけに限られず、前記酸又は塩基は無機及び有機の酸及び塩基を含む。好ましい化合物が塩基性の場合は、塩類は医薬として許容される酸から調製され得る。最も好ましい塩を選択する場合は、又は塩若しくは中性化合物のいずれを用いるかを明らかにするためには、特に、生体利用効率、製造の容易さ、作用能力及び有効期限などの特性が考慮される。
【0007】
医薬として許容される適切な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸(ベシレート:besylate)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシレート)、粘液酸(mucinic acid)、硝酸、シュウ酸、パモン酸(pamoic acid)、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。医薬として許容される塩類の例としては、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、ブチン-1,4-ジオエート、カプロン酸塩、塩化物、クロロベンゾエート、クエン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロベンゾエート、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキシン-1,6-ジオエート、ヒドロキシベンゾエート、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシベンゾエート、メチルベンゾエート、一水素リン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、シュウ酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、ピロスルホン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、キシレンスルホン酸塩などが挙げられるが、これだけに限られない。
【0008】
完全を期すために必要な範囲において、先行技術について記載されている当該化合物の合成方法及びそれらの用量は、対応部分にて言及される先行技術を参照することにより、本明細書に含まれるものとする。
セロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤の例として以下の化合物が言及されるが、これだけに限られない:タンダミン、ピランダミン、シクラジンドール(ciclazindole)、フルパロキサン(fluparoxane)、ロルタラミン、タルスプラム、タロピラム、ピリンダミン、ノミフェンシン、ビロキサジン、トモキセチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、レボキセチン、シブトラミン、シブトラミンハイドロクロリド、(R-)又は(S-)-ジデスメチルシブトラミン(塩の形態であってもよい)、(R-)又は(S-)-デスメチルシブトラミン(塩の形態であってもよい)。次の化合物も使用し得る:デシプラミン、マプロチリン、ノミフェンシン、シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドン。英語の文献では、本発明の化合物は、例えばドイツ語のDuloxetinの代りにデュロキセチン(duloxetine)というように、名前の最後に“e”を有する場合が多い。
特に好ましい態様では、選択的セロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤デュロキセチンであるN-メチル-3-(1-ナフタレニルオキシ)-3-(2-チエニル)プロパンアミン及びそれらの医薬として許容される塩類が、エナンチオマー形態(特に(+)-エナンチオマー形態)又はラセミ体形態であってもよく、最も好ましくは(+)-エナンチオマー形態である。
デュロキセチン、すなわち(+)-N-メチル-3-(1-ナフタレニルオキシ)-3-(2-チエニル)プロパンアミンは、米国特許第4,956,388号又は第5,023,269号明細書において開示されている。米国特許第5,744,474号明細書によると、この化合物は、尿失禁を治療するのに用いられてもよい。デュロキセチンは、以下の式Iによって表される。
【0009】
【化1】

【0010】
デュロキセチンは、塩酸塩及び(+)-エナンチオマーの形態で用いられるのが好ましい。
セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤として列挙されているこれら化合物の各々は、上に列挙するストレス性失禁、急迫性失禁、混合性失禁又は過活動膀胱の副次的徴候(sub-indication)を含む尿失禁を治療することに用いられ得る。
第二の成分は、1以上のβ-3アドレナリン受容体アゴニストを含む。β-3アドレナリン受容体アゴニストは、好ましくは以下の(1)〜(33)の化合物群から選択される。
【0011】
【化2】

【0012】
上記式の化合物に関する詳細は、国際特許出願第00/02846号明細書に開示されている。
(1) 2-[2-ブロモ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸(上記式中、XはBrであり、YはHであり、RはOHである。)
(2) 2-[2-クロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸(上記式中、XはClであり、YはHであり、RはOHである。)
(3) 2-[2,5-ジクロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸(上記式中、X及びYはClであり、RはOHである。)
(4) 2-[4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]-2,5-ジメチルフェノキシ]酢酸(上記式中、X及びYはHであり、RはOHである。)
(5) 2-[2-ヒドロキシ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸(上記式中、XはOHであり、YはHであり、RはOHである。)
【0013】
(6) エチル-2-[2-クロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]アセテート(上記式中、XはClであり、YはHであり、RはOEtである。)
(7) エチル-2-[2,5-ジクロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]アセテート(上記式中、XはClであり、YはClであり、RはOEtである。)
(8) (-)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート(上記式中、XはMeであり、YはMeであり、RはOEtである。)
(9) (-)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸(上記式中、XはMeであり、YはMeで
あり、RはOHである。)
【0014】
(10)
【化3】

この物質に関する更に詳細な情報は、J. Med. Chem., 44 (2001), 1456に見出すことができる。
【0015】
(11)
【化4】

([R,R]-5-2-[[2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]-アミノ]フェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-2,2-ジカルボン酸二ナトリウム:この物質に関する更に詳細な情報は、J. Med. Chem., 44 (2001), 1456又はJournal of Urology, 165 (2001), 240に見出すことができる。





(12)
【化5】

この物質はCGP 12177Aとしても知られており、この物質に関する更に詳細な情報はJournal of Urology, 165 (2001), 240又はJ. Med. Chem., 44 (2001), 1456に見出すことができる。
【0016】
(13)
【化6】

この物質はSB 226552としても知られており、この物質に関する更に詳細な情報はJ. Med. Chem., 44 (2001), 1456に見出すことができる。
【0017】
(14)
【化7】

この物質はL 755507としても知られており、この物質に関する更に詳細な説明は、J. Med. Chem., 44 (2001), 1456に見出すことができる。
【0018】
(15)
【化8】

この物質はL 770664としても知られており、この物質に関する更に詳細な説明は、J. J. Med. Chem., 44 (2001), 1456に見出すことができる。
【0019】
(16)
【化9】

この物質に関する更に詳細な情報は、J. Med. Chem., 44 (2001), 1456又はBioorg. Med. Chem. Lett., 9 (2001), 2045に見出すことができる。
【0020】
(17)
【化10】

(i) Arが4-OHPh-Oであり、R1がオクチルであり、R2がHである、上記式の化合物。
(ii) Arが4-OH,3-メチルスルホニルアミドフェニル-Oであり、R1が2,5-ジフルオロベンジルであり、R2がHである、上記式の化合物。
(iii) Arが4-OH,3-メチルスルホニルアミドフェニルであり、R1が2,5-ジフルオロベンジルであり、R2がHである、上記式の化合物。
これらの物質に関する更に詳細な情報は、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11 (2000), 3123に見出すことができる。
【0021】
(18)
【化11】

この物質に関する更に詳細な情報は、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11 (2001), 981に見出すことができる。




【0022】
(19)
【化12】

2-[2-クロロ-4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)フェノキシ]酢酸:この物質に関する更に詳細な情報は、Med. Chem., 46 (2003), 105に見出すことができる。
【0023】
(20)
【化13】

(式中、nは0又は1である。)
この物質に関する更に詳細な情報は、Bioor. Med. Chem. Lett., 10 (2000), 1971に見出すことができる。
【0024】
(21)
【化14】

この物質に関する更に詳細な情報は、Bioorg. Med. Chem. Lett., 11 (2001), 757において見出すことができる。








【0025】
(22)
【化15】

(式中、nは0又は1である。)
この化合物に関する更に詳細な情報は、Bioor. Med. Chem. Lett., 10 (2000), 1971に見出すことができる。
【0026】
(23)
【化16】


この物質に関する更に詳細な情報は、Bioor. Med. Chem. Lett., 10 (2000), 1971に見出すことができる。
【0027】
(24)
【化17】

この物質に関する更に詳細な情報は、Bioorg. Med. Chem. Lett., 10 (2000), 1531に見出すことができる。
【0028】
(25)
【化18】

FK175:エチル[R-(R*,S*]-[[8-[[2-((3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イル]オキシ]-アセテート塩酸塩。
【0029】
(26)
【化19】

GS-332:[1S-[1α,3β(S*)]]-3-[3-[[2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]シクロヘキシル]フェノキシ]-酢酸一ナトリウム塩。
【0030】
(27)
【化20】


この物質はN-5984としても知られており、この物質に関する更に詳細な情報は、文献において見出すことができる。
【0031】
(28) 2-(3-{[2-(3-クロロフェニル)-2R-ヒドロキシル-エチルアミノ]エチルアミノ}フェニル)フラン-3-カルボン酸:この化合物に関する情報は、文献において見出すことができる。
(29) 2-(3-{[2-(3-クロロフェニル)-2R-ヒドロキシル-エチルアミノ]エチルアミノ}フェニル)チオフェン-3-カルボン酸:この化合物に関する情報は、文献において見出すことができる。






【0032】
(30)
【化21】


この物質はSB-418790としても知られており、この物質に関する更に詳細な情報は、文献において見出すことができる。
【0033】
(31)
【化22】


この物質はCP-331684としても知られており、この物質に関する更に詳細な情報は、文献において見出すことができる。
【0034】
(32)
【化23】


この物質はSB-251023としても知られており、この物質に関する更に詳細な情報は、文献において見出すことができる。
【0035】
(33)
【化24】

(R)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-4’-[2-[2-(ヒドロキシ-2-フェニルエチル)アミノ]エチル]アセトアニリド:この化合物に関するより詳細な情報は、国際特許出願第03/037881号明細書において見出すことができる。
【0036】
本発明によると、上述する化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーも含まれ、また上述する化合物の互変異性体、代謝物又は薬理学的に活性な塩類も含まれ得る。
カテコールアミン型のβ-3アドレナリン受容体アゴニストが好ましい。最も好ましくは: (−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート;
(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート-モノハイドロクロリド;
(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸;
又は、それらの医薬として許容される他の塩類である。
特に興味深い例は、β-3アドレナリン受容体アゴニストが、(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート又は(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸、それらのエナンチオマー、他のエナンチオマー及びそれらの薬理学的に活性な塩類である。
これらの化合物は、国際特許出願第00/02846号又は第2003024916号において開示されている。
最後に示した2つの化合物は次の式IIにより表わされており、何らかの矛盾が生じた場合には、次式IIに示される化合物が、先の化合物名に優先すべきである:
【化25】

(式中、RがOエチルである場合:(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート、好ましくはその一水和物であり;
式中、RがOHである場合:(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸である)。
特に好ましい組合せは、(a)デュロキセチン(そのエナンチオマー若しくはラセミ体、それらの医薬として許容される塩類又はそれらの活性代謝物);と、(b)次の少なくとも1つの化合物:(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート、(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート一塩酸塩、(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸、これらの医薬として許容される他の塩類又はそれらの活性代謝物;との組合せを含む。
【0037】
〔b)投薬量〕
尿失禁に対する2つの有効成分の最適用量を決定するために、例えば患者の年齢及び体重、疾患の性質及び段階、並びに化合物の有効性などの様々な基礎条件を考慮しなければならない。そのようなことは当業者の能力の範囲内とみなされ、また最適用量に到達するために、前記成分に関する既存文献を参考にすることができる。特定される用量は、初期段階の終了後の(after the end of the initial phase)投薬量に関係する。
これ以降に示される用量が、特定された範囲内の全ての数値、自然数及び分数の両方を含むことは明白である。そのデータは成人に関する。小児用の用量は、より少ない量であり得る。
ヒトにおけるセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤の好ましい用量は、1日あたり0.001 mg〜5 g好ましくは0.001 mg〜250 mg、最も好ましくは0.1 mg〜200 mgである。
時として、より少量でも充分であることもあり、別の場合では、より多い合計量を必要とすることもある。
【0038】
1日あたりの合計用量は、治療計画に依存して、1度で又は数回に分けて投薬され得る。治療計画は、投薬の間隔を1日より長くあけて処方する場合もある。
第一成分、すなわちセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤の投薬量は、患者の苦痛を除去し得る用量が選択される。
有効成分としてデュロキセチンが用いられる場合、1日あたりの用量は約0.1 mg〜約500 mgを含むのが望ましい。より好ましくは、成分用量の各々が約0.5 mg〜約160 mgの有効成分を含む。その製剤形態は、1日量全体が、半分又は全部を単回投与又は複数回投与で投薬され得る。1日あたり1又は2回以上(例えば、1日あたり3、4、5又は6回)の投薬も含まれることは明白である。
他のノルエピネフリン再取り込み阻害剤に関する成人の平均1日量は、以下の通りである。以下の用量が、特定された範囲内の全ての数値(自然数及び分数の両方)を含むことは明白である。小児用の用量は、より少ない量であり得る。
【0039】
第一成分の平均1日量(mg/日/患者)
タンダミン 7.5〜3750 mg、ピランダミン 7.5〜3750 mg、シクラジンドール 5〜500 mg、フルパロキサン 75〜750 mg、ロルタラミン 1〜200 mg、タルスプラム 1〜3750 mg、タロプラム 1〜3750 mg、ピリンダミン 1〜3750 mg、ノミフェンシン 1〜80 mg、ビロキサジン 1〜3750 mg、トモキセチン 1〜200 mg、ベンラファキシン 2〜200 mg、ミルナシプラン 7.5〜75 mg。
周知のように、第二成分の用量及び治療計画(すなわち、1日あたり1回、2回、3回又はそれ以上の投薬)は、第一成分の投薬量を選択するのに関連して参照された要因に依存する。
第二成分(β-3アゴニスト)の成人の平均1日量は、1日あたり約10 mg〜約750 mg、好ましくは5 mg〜120 mg、より好ましくは10 mg〜100 mgであり、1回又はそれ以上の回数で投与される。これらの用量が、特定した範囲内の全ての数値(自然数及び分数の両方)を含むことは明白である。
両成分に関して、小児用の用量は、より少ない量であろう。
【0040】
〔c)製剤形態〕
本発明の組成物は、有効成分を適切な担体と組合せて含む医薬組成物で投与されるのが好都合であり得る。そのような医薬組成物は、本技術分野で周知の方法によって調製され、また本技術分野で周知の担体を含み得る。この目的のため、一般的に認知されている参考書が当業者に利用可能である。
本発明の組成物は、腸管外(例えば、静脈注射、腹腔内注射、皮下注射又は筋肉内注射によって)、局所的、経口的、鼻腔内、膣内、経皮的、直腸内に投与されてもよく、肺吸入、鼻腔吸入又は経口投与によるのが特に好ましい。経口製剤の中では、胃液に耐性のあるものが好ましい。従って、胃液に耐性のあるカプセル剤又は錠剤が好ましく、そのいずれの場合も、胃液に耐性のあるコーティングを有するように作ることができる。セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害剤は、胃液に耐性のある製剤へと調剤されるのが特に好ましい。当業者であれば、先行技術から胃液に耐性のある製剤形態についての教示を見出すことができるであろう。
調剤についての様々な選択肢が、以下に記載される。当業者であれば、これらから適切な製剤形態を選択できるであろう。
経口治療投与のため、本発明の組成物は1又はそれ以上の担体と組合されてもよく、また嚥下用錠剤、口腔錠、舌下錠、糖衣錠、スプレー剤、散剤、香錠、コーティング錠、顆粒、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、トローチ剤、チューイングガム、食品等の形態で用いられてもよい。
【0041】
スプレー剤は、例えば、有効成分の粒子を細かく破砕して適切なサイズにすることによって、調製され得る。
希薄スプレー剤は、粉末化した有効成分とラクトースのような無毒の担体材料とを細かく粉砕し、スプレー剤として供給することによって、調製され得る。この目的に適し得る他の担体材料は、デンプン又はマンニトールなどのその他の炭水化物である。これらのスプレー剤は、任意成分として、香料、保存料、分散剤、着色剤及びその他薬理的アジュバントを含んでいてもよい。
カプセル剤は、上述する種類の粉末又は他の粉末から調製することができ、その粉末がカプセル中、好ましくはゼラチンカプセル中に入れられてから、そのカプセルがシールされる。
先行技術から既知の滑沢剤が、カプセルに導入されてもよく、又はカプセルの2つの部分をシールするのに用いられてもよい。経口的に服用した場合のカプセル剤の有効性は、崩壊性又は溶解性の物質の添加によって高められ得る。そのような物質としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチエルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及びその他の物質が挙げられる。有効成分は、カプセル中に固体としてだけでなく、界面活性剤などを用いて例えば植物性油、ポリエチレングリコール又はグリセロールの中に懸濁した形態で、存在していてもよい。
【0042】
錠剤は、例えば、粉末化した混合物を圧縮し、次いで顆粒へと加工することによって調製され得る。錠剤は、例えばデンプン類、ラクトース、スクロース、グルコース(例えば、膣錠のため)、塩化ナトリウム、尿素(溶解錠又は注射剤のため)、アミロース、上述する種々の種類のセルロースなど、様々な賦形剤を含んでいてもよい。グリセロール又はデンプンが保湿剤として用いられてもよい。
使用される崩壊剤は、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、ペクチン酸、粉末寒天、ホルムアルデヒドゼラチン、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、過酸化マグネシウム及びアミロースであり得る。抗崩壊剤又は溶解遅延剤が用いられてもよく、例えば、スクロース、ステアリン、固形パラフィン(好ましくは50〜52℃の融点を有するもの)、ココアバター及び硬化油脂類が挙げられる。
他の崩壊剤は、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などであり得る。
適切な吸収促進剤としては、特に、四級アンモニウム化合物、ラウリル硫酸ナトリウム及びサポニンが挙げられる。
例えば結合剤分配体(binder distributor)としてエーテルが用いられてもよく、またセチルアルコール、グリセロールモノステアレート、デンプン、コーンスターチ、ラクトース、湿潤剤(例えば、エアロゾルOT、プルロニック(Pluronic)、ツイーン)、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチンなどが、親水化剤(hydrophilising agent)又は崩壊促進剤として用いられてもよい。
スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテームが甘味料として用いられてもよく、またペパーミント、ウインターグリーンオイル及びチェリーフレーバーなどが香味料として用いられてもよい。
【0043】
次のものも、付加的な賦形剤として一般的に用いられ得る:エアロジル、エアロゾルOTエチルセルロース、アンバーライト樹脂、XE-88、アミジェル(Amijel)、アミステロール(Amisterol)、アミロース、アビセル微結晶セルロース、ベントナイト、硫酸カルシウム、カーボワックス400及び600、カラギーナン、キャスターワックス(castor wax)、セルロース、微結晶セルロース、クロスポビドン、デキストラン、デキストリン、リン酸二カルシウム、医薬用タブレットベース、カオリン、ラクトース(USP)、ラクトシル、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、顆粒状マンニトールN.F.メチルセルロース、ミグリオール(Miglyol)812中性油、粉乳、紛糖、ナル-タブ(nal-tab)、ネポール-アミロース、Pofizer結晶ソルビトール、プラスドン(plasdone)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタラート、ポリビニルピロリドン、プレシロール(Precirol)、牛脚油(水素添加したもの)、融解(melting)タブレットベース、シリコーン、スタビライン(stabiline)、Sta-rx 1500、サイロイド(syloid)、ヴァルドホッフ(Waldhof)タブレットベース、タブレトール(tablettol)、セチル酸タルク(talcum cetylatum)、ステアリン酸タルク(talcum stearatum)、テゴ(Tego)金属石鹸、フルクトース及びチロース。錠剤化賦形剤 K(M25)は特に適しており、またDAB、Ph、Eur、BP及びNFの薬局方の基準にも適合する。
使用できる他の賦形剤は実施例中で見出され得るが、先行技術から既知の賦形剤も使用することができる。
【0044】
錠剤は、例えば、直接圧縮によって製造することができる。
液剤、シロップ剤、エリキシル剤などのような、他の経口投与用製剤を調製することも可能である。必要に応じて、該化合物はマイクロカプセル化されてもよい。
腸管外投与は、該化合物を液体に溶解し、それを皮下経路、筋肉内経路又は静脈内経路により注射することによって、達成され得る。適切な溶媒としては、例えば、水又は油性媒体が挙げられる。
座薬を調製するために、該化合物は、低融点且つ水溶性又は水不溶性の材料と共に調剤されてもよく、そのような材料は、ポリエチレングリコール、ココアバター、高級エステル類(例えば、モエチスチル(moerysthyl)、パルミチン酸エステル)又はこれらの混合物などである。
上記の列挙は一例として提供するものであって、当業者であればその他の賦形剤も考え得るであろう。
様々な他の材料が、コーティングとして、又は固形の投薬量単位の物理的形状を改変するために、いずれかの方法で提供され得る。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック又は糖などを用いてコーティングされてもよい。既に述べたように、経口製剤については、胃液に耐性のある製剤形態が好ましい。従って、錠剤又はカプセル剤には、胃液に耐性のあるコーティングが好ましい。シロップ剤又はエリキシル剤の場合には、甘味料としてスクロース又はフルクトースが用いられてもよく、保存剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベンが存在していてもよく、また着色剤及びチェリーフレーバー又はオレンジフレーバーなどの風味添加剤が存在していてもよい。
上述する賦形剤は、先に述べられた製剤形態に関連する使用に限定されず、他の製剤形態にも用いることができる。
【0045】
必然的に、上記いずれかの投薬量単位を調製するのに用いられるいずれの材料も、使用される量では医薬として許容され且つ実質的に無毒であるべきである。加えて、有効成分は、所望の放出プロフィールを達成するため、遅延放出を伴う製剤形態及び装置に組み込まれてもよい。そのような製剤形態及び装置としては浸透圧に基づくものが挙げられるが、それらに限定されない。有効成分の各々について、1日1回の製剤形態が特に挙げられる。
このような種類の組成物及び製品は、少なくとも0.1 %の有効な化合物を含むべきである。そのような組成物及び製品のパーセンテージは、当然に変動する場合があり、所定の投薬量単位質量の約0.1 %〜約100 %を構成するのが適切であり得る。この種類の治療上有用な組成物における有効な化合物量は、有効量が存在している程度である。
本発明の組成物は2つの有効成分を含み、これら有効成分は、上述する投薬量に従って且つ上述の投与担体中において、同一の物理的形状で又は同時に投与され得る。各有効成分についての投薬量は、別々に測定することができ、また単一混合用量として投与されてもよく又は別々に投与されてもよい。両方の有効成分が24時間を通してしばらくの間患者に作用するに至ることを条件として、同時に又は異なる時間に与えられてもよい。そのどちらの場合でも、前記2成分が、個別の活性よりも優れた効果を達成するように作用することが好ましい。同時に起こる又は同時の投与とは、患者が一方の薬物を服用してから約5分以内に他方の薬物を服用することを意味する。取り扱いを容易にするため、前記2つの薬物が、近時に続けて、典型的には同時に、患者に与えられる製剤形態を使用することが好ましい。各薬物を投与する実時間は、それほど重要ではない。
【0046】
d)適応症
本発明の医薬組成物は好ましくは、特に、以下で述べる症候群の各々を(これだけに限られないが)、個別の症候群として、また以下で述べる症候群のうち別のものとの組合せとして治療又は予防することに用いられ得る:尿失禁、特にストレス性失禁、急迫性失禁、混合性失禁、神経性または非神経性の過活動膀胱、及びそれらの更なる副次的徴候。
よって、本発明は、臓器の機能不全又は疾患を原因とする前記症候群と、中枢神経系の疾患又は障害に起因する前記症候群との両方を包括する。従って、本発明は、膀胱機能障害の治療、特に全ての種類の尿失禁の治療を考慮する。
よって、本発明の更なる態様は、本発明の組成物を使用して、前節で述べる膀胱機能不全の徴候のいずれをも治療又は予防するための薬物を調製することを含む。
上記疾患又は障害は、本発明の組成物を治療上有効な量で哺乳動物に投与することによって、治療される。大部分の場合に前記哺乳動物は人間であるが、家畜類(例えば、ウシ)及び飼われている動物類(例えば、犬、猫及び馬)も網羅されていることは明らかである。動物薬の使用については、使用される投薬量が本明細書中で特定したものと異なり得る。
本発明の新規な組成物は、有害な副作用を最小限にして、上記疾患及び障害に苦しむ対象に迅速な救済を提供するであろう。
【0047】
e)実施例
本発明は、限定的でない以下の実施例によって説明される。
特に好ましい組合せは、
デュロキセチンと(−)-エチル-2-[4-(2-{[1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート、
デュロキセチンと(−)-エチル-2-[4-(2-{[1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート・一塩酸塩、
デュロキセチンと(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸、
デュロキセチンと(−)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸・一塩酸塩である。
本発明が詳細に且つ好ましい態様を参照して説明されたことから、特許請求の範囲を逸脱することなく改変及び応用が可能であることは明らかである。
【0048】
(実施例1)
(−)-エチル-2-[4-(2-{[1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート・一塩酸塩とデュロキセチンとを含む組成物:フィルムコート錠 20 mg/20 mg
【0049】
【表1】





【0050】
(実施例2)
(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート・一塩酸塩とデュロキセチンとを含む組成物:フィルムコート錠 80 mg/60 mg
【0051】
【表2】



【0052】
(実施例3)
(−)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート・一塩酸塩とデュロキセチンとを含む組成物:ペレットで充填したハードゼラチンカプセル 20 mg/20 mg
【0053】
【表3】





【0054】
【表4】

【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)医薬として有効な量の1以上のセロトニン及び/又はノルエピネフリン再取り込み阻害剤(それらの医薬として許容される塩の形態であってもよく、好ましくは、複合性セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤である);及び
(b)医薬として有効な量の1以上のβ-3アドレナリン受容体アゴニスト(それらの医薬として活性な塩の形態であってもよい);
を含む組成物。
【請求項2】
成分(a)の少なくとも1つが、タンダミン、ピランダミン、シクラジンドール、フルパロキサン、ロルタラミン、タルスプラム、タロプラム、ピリンダミン、ノミフェンシン、ビロキサジン、トモキセチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナキシプラン、レボキセチン及びそれらの混合物の中から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分(b)が(-)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート及び/又は(-)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸及び/又はそれらの医薬として許容される塩及び/又はそれらのエナンチオマーである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
成分(a)が、デュロキセチンであってラセミ体又は(+)-エナンチオマーの形態で存在しており、
成分(b)が、(-)-エチル-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-アミノ}-エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート及び/又は(-)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸及び/又はそれらの医薬として許容される塩である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
デュロキセチンを約0.1 mg〜約500 mgと成分(b)を約10 mg〜約750 mg含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
成分(a)及び成分(b)が同一製剤に調剤されている、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
成分(a)及び成分(b)が別個の製剤に調剤されている、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
医薬品としての、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
直腸内、膣内、局所的、経口、舌下、鼻腔内、経皮又は腸管外の投与用である、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項10】
2成分(a)及び(b)が同時に投与される、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項11】
2成分の少なくとも1つは、少なくとも一部分が幾らか遅れて放出される、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項12】
2成分の少なくとも1つは、少なくとも一部分が即時放出される、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項13】
哺乳動物における、尿失禁若しくは過活動膀胱などの膀胱機能障害、又は尿失禁若しくは過活動膀胱などの膀胱機能障害に関係する中枢神経系の疾患若しくは障害の治療用医薬品を調製するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
膀胱機能障害が、尿失禁、急迫性失禁、ストレス性失禁、混合性失禁、その他の種類の尿失禁および/又は過活動膀胱から選択される、請求項13記載の使用。
【請求項15】
請求項13又は14記載の膀胱機能障害の治療用医薬品を調製するための、請求項1、3、9、11又は12のいずれか1項記載の成分(b)を含み且つ成分(a)を含まない第二組成物と組合せての、請求項1、2、5、9、11又は12のいずれか1項記載の成分(a)を含み且つ成分(b)を含まない組成物の使用。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における、尿失禁、特にストレス性失禁、急迫性失禁、混合性失禁、過活動膀胱などの膀胱機能障害、又は尿失禁若しくは過活動膀胱などの膀胱機能疾患に関係している中枢神経系の疾患、障害若しくは対応する副次的徴候を治療する方法。
【請求項17】
膀胱機能障害が、尿失禁、急迫性失禁、ストレス性失禁、混合性失禁、その他の種類の尿失禁及び/又は過活動膀胱から選択される、請求項16記載の方法。

【公表番号】特表2006−509751(P2006−509751A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554308(P2004−554308)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012225
【国際公開番号】WO2004/047830
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】