説明

γ分泌酵素調節物質としての新規置換インダゾールおよびアザインダゾール誘導体

【化1】


本発明は、式(I)の新規置換インダゾールおよびアザインダゾール誘導体に関し、ここでR、R、R、R、Y、A、A、A、A、X、X、XおよびHetは請求の範囲で定義される意味するところを有する。本発明の化合物はγ分泌酵素調節物質として有用である。本発明はさらに、こうした新規化合物の製造方法、有効成分として前記化合物を含んでなる製薬学的組成物、ならびに医薬品としての前記化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はγ分泌酵素調節物質として有用な新規置換インダゾールおよびアザインダゾール誘導体に関する。本発明はさらに、こうした新規化合物の製造方法、有効成分として前記化合物を含んでなる製薬学的組成物、ならびに医薬品としての前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、記憶、認知および行動安定性の低下により示される進行性神経変性障害である。ADは、65歳超の集団の6〜10%および85歳超の最大50%を苦しめる。それは、痴呆の第一位の原因であり、ならびに心血管系疾患および癌の後の死亡の第三位の原因である。ADの効果的治療は現在存在しない。米国におけるADに関する正味の総費用は年間1000億ドルを超える。
【0003】
ADは単純な原因を有しないが、しかしながら、それは、(1)年齢、(2)家族歴および(3)頭部外傷を包含するある種の危険因子と関連しており;他の因子は環境毒素および低水準の教育を包含する。四肢および大脳皮質中の特定の神経病理学的病変は、高リン酸化型τタンパク質よりなる細胞内神経原線維変化およびアミロイドβペプチドの原線維凝集物(アミロイド斑)の細胞外沈着を包含する。アミロイド斑の主構成成分は多様な長さのアミロイドβ(A−ベータ、Aベータ若しくはAβ)ペプチドである。Aβ1−42ペプチド(Aβ−42)であるその1バリアントがアミロイド形成の主原因物質であると考えられている。別のバリアントはAβ1−40ペプチド(Aβ−40)である。アミロイドβは、前駆体タンパク質、βアミロイド前駆体タンパク質(β−APP若しくはAPP)のタンパク質分解産物である。
【0004】
家族性の早発性常染色体優性の形態のADはβアミロイド前駆体タンパク質(β−APP若しくはAPP)ならびにプレセニリンタンパク質1および2中のミスセンス突然変異に結び付けられている。若干の患者では、晩発性の形態のADが、アポリポタンパク質E(ApoE)遺伝子の特定の1遺伝子座、および、より最近は、AD集団の最低30%に結び付けうるα2−マクログロブリン中の突然変異の発見と相関している。この不均一性にもかかわらず全部の形態のADは同様の病理学的所見を表す。遺伝子解析はADへの論理的治療アプローチの最良の手がかりを提供している。今日まで見出された全部の突然変異は、Aβペプチド(Aβ)、とりわけAβ42として知られるアミロイド原性ペプチドの量的若しくは質的産生に影響し、また、ADの「アミロイドカスケード仮説」に対する強力な裏付けを与えた(非特許文献1)。Aβペプチド生成とADの病理学の間のありそうな関連は、Aβ産生の機序のより良好な理解に対する必要性を強調し、そしてAβレベルの調節における治療アプローチを強く保証する。
【0005】
Aβペプチドの遊離は、AβペプチドのそれぞれN末端(Met−Asp結合)およびC末端(残基37−42)でのβおよびγ分泌酵素切断と称される最低2種のタンパク質分解活性により調節される。分泌経路では、β分泌酵素が最初に切断してs−APPβ(sβ)の分泌および11kDaの膜結合型カルボキシ末端フラグメント(CTF)の保持に至るという証拠が存在する。後者がγ分泌酵素による切断後にAβペプチドを生じさせると考えられている。より長いアイソフォームAβ42の量は、特定の1タンパク質(プレセニリン)中にある種の突然変異を保有する患者で選択的に増大されており、そしてこれらの突然変異は早発性家族性アルツハイマー病と相関している。従って、Aβ42はアルツハイマー病の発病の主犯人であると多くの研究者により考えられている。
【0006】
γ分泌酵素活性は単一タンパク質に帰することができないが、しかし実際に多様なタンパク質の集成体と関連していることが今や明確になっている。
【0007】
γ分泌酵素活性は、最低4種の構成成分すなわちプレセニリン(PS)ヘテロ二量体、ニカストリン、aph−1およびpen−2を含有する多タンパク質複合体内に存する。PSヘテロ二量体は前駆体タンパク質のエンドプロテオリシス(endoproteolysis)により生成されるアミノおよびカルボキシ末端PSフラグメントよりなる。該触媒部位の2個のアスパラギン酸がこのヘテロ二量体の界面にある。ニカストリンがγ分泌酵素基質受容体としてはたらくことが最近示唆された。γ分泌酵素の他のメンバーの機能は未知であるが、しかしそれらは全部活性に必要とされる(非特許文献2)。
【0008】
従って、第二の切断段階の分子機序は現在まで定義が難しいままであったとは言え、γ分泌酵素複合体はアルツハイマー病の処置のための化合物の探査において主要標的の1つとなっている。
【0009】
触媒部位を直接標的化することから、γ分泌酵素活性の基質特異的阻害剤および調節物質を開発することの範囲にわたる多様な戦略が、アルツハイマー病においてγ分泌酵素を標的化するために提案されている(非特許文献3)。従って、標的として分泌酵素を有する多様な化合物が記述された(非特許文献4)。
【0010】
事実、この知見は、γ分泌酵素に対するある種の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の効果が示された生化学的研究により裏付けられた(特許文献1、非特許文献5)。ADを予防若しくは処置するためのNSAIDの使用に対する潜在的制限は、望ましくない副作用につながり得るシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素のそれらの阻害活性、およびそれらの低いCNS透過性である(非特許文献6)。より最近、NSAIDすなわちCox阻害活性および関連する胃毒性を欠く鏡像異性体であるR−フルルビプロフェンが大規模フェーズIII試験で失敗した。該薬物は、思考能力若しくは日常活動を実施する患者の能力をプラセボ服用患者より有意により大きく改善しなかったためである。
【0011】
特許文献2はγ分泌酵素調節物質として有用な複素環化合物に関する。
【0012】
特許文献3は、アミロイドβの調節物質であるアミノフェニル誘導体に関する。
【0013】
特許文献4は、複素環化合物およびγ分泌酵素調節物質としてのそれらの使用に関する。
【0014】
γ分泌酵素活性を調節してそれによりアルツハイマー病の処置のための新たな途を開く新規化合物に対する強い必要性が存在する。従来技術の欠点の最低1つを克服若しくは改良する、または有用な代替を提供することが、本発明の一目的である。従って、こうした新規化合物を提供することが本発明の一目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】第US 2002/0128319号明細書
【特許文献2】第WO−2009/032277号明細書
【特許文献3】第US 2008/0280948 A1明細書
【特許文献4】第WO−2009/005729号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】TanziとBertram、2005、Cell 120、545
【非特許文献2】Steiner、2004.Curr.Alzheimer Research 1(3):175−181
【非特許文献3】Marjauxら、2004.Drug Discovery Today:Therapeutic Strategies、Volume 1、1−6
【非特許文献4】Larner、2004.Secretases as therapeutics targets in Alzheimer’s disease:patents 2000−2004.Expert Opin.Ther.Patents 14、1403−1420
【非特許文献5】Eriksen(2003)J.Clin.Invest.112、440
【非特許文献6】Perettoら、2005、J.Med.Chem.48、5705−5720
【発明の概要】
【0017】
[発明の要約]
本発明の化合物がγ分泌酵素調節物質として有用であることが見出された。本発明の化合物およびそれらの製薬学的に許容できる組成物は、アルツハイマー病の処置若しくは予防で有用でありうる。
【0018】
本発明は、式(I)の新規化合物:
【0019】
【化1】

【0020】
およびそれらの立体異性体[ここで
は、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルは独立に、ハロ、シアノ、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル、および1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されており;
は、水素;シアノ;またはC1−4アルキルオキシ、ハロおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCH若しくはNであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上
の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであるが;
但し、X、XおよびXの最大2個がNであり;
はCR若しくはNであり;Rは水素、ハロ若しくはC1−4アルキルオキシであり;
、AおよびAはそれぞれ独立にCH若しくはNであるが;但し、A、A、AおよびAの最大2個がNであり;
Hetは、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)
【0021】
【化2】

【0022】
を有する5員芳香族複素環であり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
10は水素若しくはC1−4アルキルであり;
11は水素若しくはC1−4アルキルであり;
12はC1−4アルキルであり;
はO若しくはSであり;
はCH若しくはNである]
ならびにそれらの製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物
に関する。
【0023】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法およびそれらを含んでなる製薬学的組成物にもまた関する。
【0024】
本化合物は、驚くべきことに、in vitroおよびin vivoでγ分泌酵素活性を調節することが見出され、そして従って、アルツハイマー病(AD)、外傷性脳損傷(TBI)、軽度認知障害(MCI)、老化、認知症、レビー小体を伴う認知症、脳アミロイド血管症、多発脳梗塞性認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドを伴う認知症、好ましくはADおよびβアミロイドの病理を伴う他の障害(例えば緑内障)の処置若しくは予防で有用でありうる。
【0025】
式(I)の化合物の前述の薬理学を鑑みれば、それらは医薬品としての使用に適しうるということになる。
【0026】
より具体的には、該化合物は、アルツハイマー病、脳アミロイド血管症、多発脳梗塞性認知症、ボクサー認知症若しくはダウン症候群の処置若しくは予防に適しうる。
【0027】
本発明は、γ分泌酵素活性の調節における使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0028】
本発明は今やさらに記述されるであろう。以下の節で本発明の多様な局面をより詳細に定義する。そのように定義される各局面は、それとは反対に明確に示されない限りいずれの他の局面(1つ若しくは複数)と組合せてもよい。とりわけ、好ましい若しくは有利であるとして示されるいかなる特徴も、好ましい若しくは有利であるとして示されるいずれの他の特徴(1つ若しくは複数)と組合せてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[発明の詳細な記述]
本発明の化合物を記述する場合、使用される用語は、文脈が別の方法で指図しない限り、以下の定義に従うと解釈されるべきである。
【0030】
「置換されている」という用語が本発明で使用される場合はいつでも、それは、別の方法で示され若しくは文脈から明らかでない限り、「置換されている」を使用する表現で示される原子若しくは基上の1個若しくはそれ以上の水素、具体的には1から4個までの水素、好ましくは1から3個までの水素、より好ましくは1個の水素が、示される基からの一選択で置換されているが、但し通常の原子価は超えられないこと、ならびに、該置換が、化学的に安定な化合物、すなわち反応混合物からの有用な程度の純度までの単離および治療薬への処方を生き残るのに十分堅牢である化合物をもたらすことを示すことを意味している。
【0031】
基若しくは基の一部としての「ハロ」若しくは「ハロゲン」という用語は、別の方法で示されない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードに包括的なものである。
【0032】
基若しくは基の一部としての「C1−6アルキル」という用語は、nが1から6までの範囲にわたる数である式C2n+1のヒドロカルビル基を指す。C1−6アルキル基は1から6個までの炭素原子、好ましくは1から4個までの炭素原子、より好ましくは1から3個までの炭素原子、なおより好ましくは1ないし2個の炭素原子を含んでなる。アルキル基は直鎖若しくは分枝状であることができ、そして本明細書で示されるとおり置換されていてもよい。炭素原子の後に本明細書で下付き文字を使用する場合、該下付き文字は、指定される基が含有しうる炭素原子の数を指す。従って、例えばC1−6アルキルは1と6個の間の炭素原子をもつ全部の直鎖若しくは分枝状アルキル基を包含し、そして従って限定されるものでないがメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−メチルエチル、ブチルおよびその異性体(例えばn−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル)、ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体などを挙げることができる。
【0033】
基若しくは基の一部としての「C1−4アルキル」という用語は、nが1から4までの範囲にわたる数である式C2n+1のヒドロカルビル基を指す。C1−4アルキル基は1から4個までの炭素原子、好ましくは1から3個までの炭素原子、より好ましくは1ないし2個の炭素原子を含んでなる。アルキル基は直鎖若しくは分枝状であることができ、そして本明細書に示されるとおり置換されていてよい。炭素原子の後に本明細書で下付き文字を使用する場合、該下付き文字は指定される基が含有しうる炭素原子の数を指す。従って、例えば、C1−4アルキルは1と4個の間の炭素原子をもつ全部の直鎖若しくは分枝状アルキル基を包含し、そして従って限定されるものでないがメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−メチルエチル、ブチルおよびその異性体(例えばn−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル)などを挙げることができる。
【0034】
「C1−4アシル」という用語は、単独で若しくは組合せで、カルボニルが水素または1から3個までの炭素原子を有する直鎖若しくは分枝状鎖炭化水素に結合されている、1から4個までの炭素原子を含有する基を指す。適するC1−4アシルの制限しない例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルおよびイソブチリルを包含する。
【0035】
基若しくは基の一部としての「C1−4アルキルオキシ」という用語は、RがC1−4アルキルである式−ORを有する基を指す。適するC1−4アルキルオキシの制限しない例は、メチルオキシ(またメトキシ)、エチルオキシ(またエトキシ)、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシおよびtert−ブチルオキシを包含する。
【0036】
「シクロC3−7アルキル」という用語は、単独若しくは組合せで、3から7個までの炭素原子を有する環状飽和炭化水素基を指す。適するシクロC3−7アルキルの制限しない例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを包含する。
【0037】
本発明の化合物の化学名はChemical Abstracts Serviceにより同意された命名規則に従って生成した。
【0038】
互変異性体の場合、描かれない互変異性体もまた本発明の範囲内に包含されることが明らかであるはずである。
【0039】
いずれかの変数がいずれかの構成要素中に1回以上存在する場合、それぞれの定義は独立である。
【0040】
式(I)の化合物のいくつかならびにそれらの製薬学的に許容できる付加塩および立体異性体は、キラリティーの1個若しくはそれ以上の中心を含有することができかつ立体異性体として存在しうることが認識されるであろう。
【0041】
上で使用されるところの「立体異性体」という用語は、式(I)の化合物が有しうる全部の可能な異性体を定義する。別の方法で挙げられ若しくは示されない限り、化合物の化学的呼称は全部の可能な立体化学異性体の混合物を示す。より具体的には、ステレオジェン中心はR若しくはS配置を有することができ;二価の環状(部分的)飽和基上の置換基はシス若しくはトランスいずれの配置も有しうる。二重結合を包含する化合物は前記二重結合でE若しくはZ立体化学を有し得る。式(I)の化合物の立体異性体は本発明の範囲内に包含される。
【0042】
特定の1立体異性体が示される場合、これは、前記異性体が他の異性体(1種若しくは複数)を実質的に含まない、すなわちその50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、なおより好ましくは5%未満、さらに好ましくは2%未満および最も好ましくは1%未満を伴うことを意味している。
【0043】
治療的使用のため、式(I)の化合物の塩は対イオンが製薬学的に許容できるものである。しかしながら、製薬学的に許容できない酸および塩基の塩は、例えば製薬学的に許容できる化合物の製造若しくは精製での使用もまた見出しうる。全部の塩は、製薬学的に許容できようとできなかろうと本発明の範囲内に包含される。
【0044】
上若しくは下で挙げられるところの製薬学的に許容できる酸および塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成することが可能である治療上有効な非毒性の酸および塩基付加塩の形
態を含んでなることを意味している。製薬学的に許容できる酸付加塩は、塩基の形態をこうした適切な酸で処理することにより便宜的に得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロ水素酸、例えば塩酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸および類似の酸のような無機酸;若しくは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および類似の酸のような有機酸を含んでなる。逆に、前記塩の形態は適切な塩基での処理により遊離塩基の形態に転化し得る。
【0045】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの非毒性の金属若しくはアミン付加塩の形態にもまた転化しうる。適切な塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、有機塩基、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンのような一級、二級および三級脂肪族および芳香族アミンとの塩;ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。逆に、塩の形態は酸での処理により遊離酸の形態に転化し得る。
【0046】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成することが可能である水和物および溶媒付加の形態ならびにそれらの塩を含んでなる。こうした形態の例は、例えば水和物、アルコール和物などである。
【0047】
下述される方法で製造されるところの式(I)の化合物は、技術既知の分割手順に従って相互から分離され得る鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成しうる。式(I)の化合物の鏡像異性体の分離様式は、キラルな固定相を使用する液体クロマトグラフィーを必要とする。前記純粋な立体化学異性体は適切な出発原料の対応する純粋な立体化学異性体からもまた得ることができるが、但し反応が立体特異的に起こる。好ましくは、特定の1立体異性体が望ましい場合、前記化合物は立体特異的製造方法により合成することができる。これらの方法は鏡像異性的に純粋な出発原料を有利に使用することができる。
【0048】
本出願の枠組みにおいて、本発明の化合物はその化学元素の全部の同位元素の組合せを含んでなることを本質的に意図している。本出願の枠組みにおいて、化学元素は、とりわけ式(I)の化合物に関して挙げられる場合、この元素の全部の同位元素および同位元素の混合物を含んでなる。例えば、水素が挙げられる場合、H、H、Hおよびそれらの混合物を指すことが理解される。
【0049】
本発明の化合物は、従って、1個若しくはそれ以上の非放射活性原子がその放射活性同位元素の1種により置換されている、放射標識化合物ともまた呼ばれる放射活性化合物を包含する1種若しくはそれ以上の元素の1種若しくはそれ以上の同位元素およびそれらの混合物を含む化合物を本質的に含んでなる。「放射標識化合物」という用語により、最低1個の放射活性原子を含有する式(I)のいかなる化合物若しくはその製薬学的に許容できる塩も意味している。例えば、化合物は陽電子若しくはγ放射性の放射活性同位元素で標識し得る。放射リガンド結合技術のため、H原子若しくは125I原子が置換されるために選択すべき原子である。画像化のためには、最も一般的に使用される陽電子放射(PET)放射活性同位元素は11C、18F、15Oおよび13Nであり、その全部が加
速器で製造されかつそれぞれ20、100、2および10分(min)という半減期を有する。これらの放射活性同位元素の半減期は非常に短いため、それらの製造のため現場の加速器を有する施設でそれらを使用することのみが実現可能であり、従ってそれらの使用を制限する。これらの最も広範に使用されるものは18F、99mTc、201Tlおよび123Iである。これらの放射活性同位元素の取扱い、それらの製造、単離および分子中への取り込みは当業者に既知である。
【0050】
とりわけ、放射活性原子は水素、炭素、窒素、イオウ、酸素およびハロゲンの群から選択される。具体的には、放射活性同位元素はH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される。
【0051】
本明細および付随する請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「該(the)」は、別の方法で文脈が明確に指図しない限り複数の参照物もまた包含する。例として、「ある化合物(a compound)」は1種の化合物若しくは1種以上の化合物を意味している。
【0052】
上述された用語および本明細で使用される他者は当業者に十分に理解されている。
【0053】
本発明の化合物の好ましい特徴を今や述べる。本発明は、とりわけ式(I)の新規化合物:
【0054】
【化3】

【0055】
およびそれらの立体異性体[ここで
は、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルは独立に、ハロ、シアノ、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル、および1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されており;
は、水素;シアノ;またはC1−4アルキルオキシ、ハロおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCH若しくはNであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキル
オキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであるが;
但し、X、XおよびXの最大2個がNであり;
はCR若しくはNであり;Rは水素、ハロ若しくはC1−4アルキルオキシであり;
、AおよびAはそれぞれ独立にCH若しくはNであるが;但し、A、A、AおよびAの最大2個がNであり;
Hetは、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)
【0056】
【化4】

【0057】
を有する5員芳香族複素環であり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
10は水素若しくはC1−4アルキルであり;
11は水素若しくはC1−4アルキルであり;
12はC1−4アルキルであり;
はO若しくはSであり;
はCH若しくはNである]
ならびにそれらの製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物
に関する。
【0058】
【化5】

【0059】
本発明の一態様は、
が、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルおよびフェニルよりなる群から選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;
シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルは、独立に、ハロ;シアノ;ハロからそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル;およびハロからそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上
の置換基で場合によっては置換されており;
が、水素;シアノ;C1−4アルキルオキシ、ハロおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
がCH若しくはNであり;
がCR若しくはNであり;
が、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
がCR若しくはNであり;
が、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
各Rが独立にH;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであり;
各Rが独立にH;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであるが;
但し、X、XおよびXの最大2個がNであり;
がCR若しくはNであり;Rが水素、ハロ若しくはC1−4アルキルオキシであり;
、AおよびAがそれぞれ独立にCH若しくはNであるが;但し、A、A、AおよびAの最大2個がNであり;
Hetが、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)
【0060】
【化6】

【0061】
を有する5員芳香族複素環であり;
が水素若しくはC1−4アルキルであり;
が水素若しくはC1−4アルキルであり;
10が水素若しくはC1−4アルキルであり;
11が水素若しくはC1−4アルキルであり;
12がC1−4アルキルであり;
がO若しくはSであり;
がCH若しくはNである、
式(I)の化合物
およびそれらの立体異性体
ならびにそれらの製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物
に関する。
【0062】
本発明の別の態様は、以下の制限、すなわち
(a)Rが、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;
シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルが、独立に、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されており;
(b)Rが、水素;シアノ;または1個若しくはそれ以上のNH置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
(c)XがCR若しくはNであり;とりわけXがCRであり;
(d)Rが、水素;ハロ;シアノ;または1個若しくはそれ以上のNH置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
(e)XがCH若しくはNであり;
(f)AがCH若しくはNであり、ならびにAおよびAがCHであり;とりわけA、AおよびAがCHであり;
(g)Hetが、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)を有する5員芳香族複素環であり;とりわけHetが式(a−1)、(a−2)若しくは(a−3)を有する5員芳香族複素環であり;
(h)R10がC1−4アルキルであり;
(i)R11が水素であり;
(j)Rが水素であり;
(k)R12がC1−4アルキルである、
の1種若しくはそれ以上、好ましくは全部が当てはまる、式(I)の化合物、若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0063】
本発明の別の態様は、以下の制限、すなわち
(a)Rが、フルオロ、メトキシ、シクロプロピルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル;
シクロブチル;テトラヒドロピラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルが、独立に、メトキシ、エトキシ、C1−4アルキルおよびフルオロよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されており;
(b)Rが、水素;シアノ;1個のNH置換基で場合によっては置換されているメチルであり;
(c)XがCR若しくはNであり;とりわけXがCRであり;
(d)Rが、水素;フルオロ;シアノ;1個のNH置換基で場合によっては置換されているメチルであり;
(e)XがCH若しくはNであり;
(f)Rが水素、フルオロ若しくはメトキシであり;
(g)AがCH若しくはNであり、かつ、AおよびAがCHであり;とりわけ、A、AおよびAがCHであり;
(h)Hetが、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4);とりわけ(a−1)、(a−2)若しくは(a−3)を有する5員芳香族複素環であり;
(i)R10がメチルであり;
(j)R11が水素であり;
(k)Rが水素であり;
(l)R12がメチルである、
の1種若しくはそれ以上、好ましくは全部が当てはまる、式(I)の化合物、若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0064】
本発明の別の態様は、以下の制限、すなわち
(a)Rが、1個のC1−4アルキルオキシ置換基で置換されているフェニルであるか;または、Rが、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で置換されているC1−6アルキルであり;
(b)Rが水素であり;
(c)X、XおよびXがCHであり;
(d)AがCRであり;RがC1−4アルキルオキシであり;
(e)A、AおよびAがCHであり;
(f)Hetが式(a−1)若しくは(a−2)を有し;
(g)GがOであり;
(h)GがCHであり;
(i)RがC1−4アルキルであり;
(j)R10がC1−4アルキルであり;
(k)Rが水素である、
の1種若しくはそれ以上、好ましくは全部が当てはまる、式(I)の化合物、若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0065】
本発明の別の態様は、以下の制限、すなわち
(a)Rが、1個のC1−4アルキルオキシ置換基で置換されているフェニルであり;(b)Rが水素であり;
(c)X、XおよびXがCHであり;
(d)AがCRであり;RがC1−4アルキルオキシであり;
(e)A、AおよびAがCHであり;
(f)Hetが式(a−2)を有し;
(g)GがCHであり;
(h)R10がC1−4アルキルであり;
(i)Rが水素である、
の1種若しくはそれ以上、好ましくは全部が当てはまる、式(I)の化合物、若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0066】
本発明の別の態様は、以下の制限、すなわち
(a)Rが、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で置換されているC1−6アルキルであり;とりわけRが3個のハロ置換基で置換されているC1−6アルキルであり;
(b)Rが水素であり;
(c)X、XおよびXがCHであり;
(d)AがCRであり;RがC1−4アルキルオキシであり;
(e)A、AおよびAがCHであり;
(f)Hetが式(a−1)を有し;
(g)GがOであり;
(h)RがC1−4アルキルであり;
(i)Rが水素である、
の1種若しくはそれ以上、好ましくは全部が当てはまる、式(I)の化合物、若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0067】
さらなる一態様において、本発明は、Rが、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル、および1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されているフェニルである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0068】
さらなる一態様において、本発明は、Rが、C1−4アルキルおよびC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されているフェニルである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0069】
さらなる一態様において、本発明は、Rが、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキルである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0070】
さらなる一態様において、本発明は、Rが、1個若しくはそれ以上のフルオロ置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキルである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0071】
さらなる一態様において、本発明は、Rが2,2,2−トリフルオロエチルである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0072】
さらなる一態様において、本発明は、XがCHである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0073】
さらなる一態様において、本発明は、XがNである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0074】
さらなる一態様において、本発明は、XがCHである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0075】
さらなる一態様において、本発明は、XがNである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0076】
さらなる一態様において、本発明は、XがNである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0077】
さらなる一態様において、本発明は、XがCRである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0078】
さらなる一態様において、本発明は、Rが水素である、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0079】
さらなる一態様において、本発明は、AがCRである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0080】
さらなる一態様において、本発明は、AがNである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0081】
さらなる一態様において、本発明は、A、AおよびAがそれぞれ独立にCHである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0082】
さらなる一態様において、本発明は、Hetが式(a−3)を有する、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0083】
さらなる一態様において、本発明は、Hetが式(a−4)を有する、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0084】
さらなる一態様において、本発明は、GがSである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0085】
さらなる一態様において、本発明は、GがNである、他の態様のいずれかの化合物に関する。
【0086】
本発明の別の態様は、1,3−ベンゾジオキソリルが1,3−ベンゾジオキソル−5−イルに制限される、式(I)の化合物若しくは他の態様のいずれかで挙げられるところのそれらのいずれかの下位群に関する。
【0087】
一態様において、式(I)の化合物は、
それらのいかなる立体化学異性体、
ならびにそれらの製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物も包含する、
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−2H−インダゾル−7−アミン、
2−[(4−フルオロフェニル)メチル]−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−2H−インダゾル−7−アミン、
2−ブチル−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−ブチル−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
2−ブチル−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−ブチル−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
2−(4−フルオロフェニル)−N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−N−[6−(4−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−N−[6−(4−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−フルオロ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.1.5HCl、
2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−[4−エトキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)フェニル]−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−[3−フルオロ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−[4−エトキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)フェニル]−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−[4−エトキシ−2−メチル−5−(1−メチルエチル)フェニル]−N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−チアゾリル)フェニル]−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン.1.9HCl、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン.1.9HCl、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−2−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−アミン、2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[4−[2−(1−メチルエチル)−5−オキサゾリル]フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−チアゾリル)フェニル]−2−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−ブチル−7−[[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−5−カルボニトリル、
2−ブチル−7−[[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−5−カルボニトリル.2HCl、
2−シクロブチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−シクロブチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.1.2HCl、
2−(4−フルオロフェニル)−7−[[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−3−カルボニトリル、
2−(2−メトキシエチル)−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2−メトキシエチル)−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]
−2H−インダゾル−7−アミン.1.5HCl.1.25HO、
2−(2−メトキシエチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(2−メトキシエチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.1.5HCl.0.18HO、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
2−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(4−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−アミン、
N−[3−フルオロ−4−(1−メチル−1H−ピラゾル−4−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.HCl、
2−(4−フルオロフェニル)−7−[[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−3−メタンアミン、
2−ブチル−7−[[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−5−メタンアミン、
2−ブチル−7−[[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]アミノ]−2H−インダゾール−5−メタンアミン.4HCl、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[6−(2−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(シクロプロピルメチル)−N−[6−(2−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl、
N−[4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[6−(2−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−5−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−5−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−アミン、
2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−メチル−N−[6−(2−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
5−フルオロ−2−(4−フルオロフェニル)−3−メチル−N−[6−(2−メチル−5−オキサゾリル)−3−ピリジニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−5−メチル−
2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−アミン、
N−[3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−N−[4−(1−メチル−1H−ピラゾル−5−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン、
2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−N−[4−(1−メチル−1H−ピラゾル−5−イル)フェニル]−2H−インダゾル−7−アミン.2HCl.0.5HO、
N−[6−メトキシ−5−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)−2−ピリジニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、
N−[3−フルオロ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−7−アミン、
N−[3−メトキシ−4−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)フェニル]−5−(1−メチルエチル)−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−アミン、
N−[6−メトキシ−5−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)−2−ピリジニル]−5−(1−メチルエチル)−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−7−アミン
を含んでなる群から選択される。
【0088】
一態様において、式(I)の化合物は、
そのいかなる立体化学異性体、
ならびにその製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物も包含する、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、およびN−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミンを含んでなる群から選択される。
【0089】
上で示される興味深い態様の全部の可能な組合せは本発明の範囲内に包含されるとみなされる。
【0090】
本発明は式(I)の化合物およびその下位群の製造方法もまた包含する。記述される反応において、反応へのそれらの望まれていない参画を回避するために、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ若しくはカルボキシ基(ここでこれらは最終生成物中で望ましい)を保護することが必要であり得る。慣習的保護基は標準実務に従って使用し得る。例えば、“Protective Groups in Organic Chemistry”、John Wiley and Sons,1999中T.W.GreeneとP.G.M.Wutsを参照されたい。
【0091】
式(I)の化合物およびそれらの下位群は下述されるところの一連の段階により製造し得る。それらは一般に、商業的に入手可能であるか若しくは当業者に明らかな標準的手段により製造されるかのいずれかである出発原料から製造される。本発明の化合物は有機化学の当業者により普遍的に使用される標準的合成方法を使用してもまた製造し得る。
【0092】
数種の典型的実施例の一般的製造法を下に示す。全部の変数は別の方法で示されない限り上で挙げられたとおり定義される。Lは、別の方法で示されない限り、例えばCl、Br、I、トシレート、メシレート若しくはトリフラート、とりわけCl、Br若しくはIのような脱離基と定義される。
【0093】
実験手順1
一般に、式(I)の化合物は、スキーム1(ここで全部の変数は上のとおり定義される)に下に示されるとおり製造し得る。
【0094】
【化7】

【0095】
式(I)の化合物は、スキーム1に示されるところの式(II)および(III)の中間体の間のカップリング反応を介して製造し得、ここで全部の変数は上で定義されたとおりである。本反応は、例えばCsCO若しくはナトリウムtert−ブトキシドのような適する塩基の存在下で実施しうる。該反応は例えばトルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、tert−ブタノール若しくはジオキサンのような反応不活性溶媒中で実施し得る。該反応は、典型的には、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))若しくはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))のような適する触媒、および(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン](キサントホス)、[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン](BINAP)、若しくはジシクロヘキシル[2’,4’,6’−トリス(1−メチルエチル)[1,1’−ビフェニル]−2−イル]−ホスフィン(X−Phos)のようなリガンドを含んでなる触媒系の存在下で実施する。好ましくは、本反応はN若しくはAr雰囲気のような不活性雰囲気下で実施する。反応速度および収量はマイクロ波で補助される加熱により高めうる。
【0096】
実験手順2
がC1−4アルキルに制限され、これによって式(IV)の中間体と命名される式(III)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(V)の中間体のアルキル化反応により製造し得る。該アルキル化反応は、例えばリチウムジイソプロピルアミド若しくはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのような適する塩基および例えばYが例えばCl、Br若しくはIのような反応基であるC1−4アルキル−Yのようなアルキル化試薬の存在下で実施する。全部の他の変数は前に定義されたとおりである。該反応は、例えばDMF若しくはテトラヒドロフラン(THF)のような非プロトン性溶媒中で実施し得る。
【0097】
【化8】

【0098】
実験手順3
が−CHNHに制限され、これにより式(VI)の中間体と命名される式(III)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(VII)の中間体の還元により製造し得る。本還元は例えばラネーニッケルのような適する還元剤の存在下で実施する。該反応は例えばメタノール(MeOH)のようなプロトン性溶媒中でアンモニアの存在下に実施し得る。
【0099】
【化9】

【0100】
式(VI)の中間体中のNH基はさらにアルキル化かつ/若しくはアシル化して式(III)のさらなる中間体を提供し得る。
【0101】
実験手順4
式(V)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(VIII)の中間体の還元により製造し得る。本還元は、例えばSnCl.2HOのような適する還元剤の存在下で実施し得る。該反応は、例えばエタノール(EtOH)のようなプロトン性溶媒中、高温、典型的には40と50℃の間で実施し得る。
【0102】
【化10】

【0103】
がNと定義されかつXおよびXがCHと定義され、これにより式(V−a)の中間体と命名される式(V)の中間体の特定な場合は、加水分解若しくはエタノール分解
反応を実施して基「L」を−OH若しくはエトキシにより置換し得る。かように得られる中間体は、該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って式(V−a)の中間体に再度戻し転化し得る。
【0104】
実験手順5
式(VIII)の中間体は、スキーム5に従い、式(IX)の中間体の還元的アミノ化により製造し得る。本反応は例えばナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(NaBH(OAc))のような適する還元剤および例えばR−NHのような一級アミンの存在下で実施する。該反応は例えば1,2−ジクロロエタンのような非プロトン性溶媒中で実施し得る。
【0105】
【化11】

【0106】
実験手順6
式(IX)の中間体は、スキーム6に描かれるところの式(X)の中間体の酸化により製造し得る。本反応は例えば過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)のような適する酸化剤の存在下で実施する。該反応は例えば水/DMF若しくは水/THFのような溶媒の混合物中で実施し得る。
【0107】
【化12】

【0108】
実験手順7
式(X)の中間体は、スキーム7に描かれるところの、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF−DMA)の式(XI)の中間体との縮合により製造し得る。中間体(XI)は、商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造し得る。攪拌および/若しくは高温(例えば70〜110℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0109】
【化13】

【0110】
実験手順8
あるいは、式(IX)の中間体は、スキーム8に従って、商業的に入手可能でありうるか若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順により製造しうる式(XII)の中間体の酸化によってもまた製造し得る。本反応は例えば二酸化マンガン(MnO)若しくはクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)のような適する酸化剤の存在下に実施する。該反応は例えば、典型的にはモレキュラーシーブの存在下で乾燥されたジクロロメタン(DCM)若しくはクロロホルム(CHCl)のような溶媒中で実施し得る。
【0111】
【化14】

【0112】
実験手順9
あるいは、式(V)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XIII)の中間体のアルキル化により製造し得る。本アルキル化は、典型的には、例えば炭酸セシウムのような適する塩基若しくは例えばN,N−ジクロロヘキシル−N−メチルアミンのような三級アミン、および例えばR−Y(YはCl、Br若しくはIと定義される)、R−O−SO−R(Rは当業者に公知の多様な基から選択し得;Rの典型的しかし制限しない例はC1−6アルキル、パーフルオロC1−6アルキル若しくは場合によっては置換されているフェニルであり;Rのより特定の例はメチル若しくはp−メチルフェニルである)、またはR−O−SO−O−Rのようなアルキル化試薬の非存在若しくは存在下で実施し得る。これらのアルキル化剤は商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。該反応は例えばトルエン若しくはDMFのような反応不活性溶媒中で実施し得る。攪拌、高温(例えば70〜110℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0113】
【化15】

【0114】
実験手順10
式(XIII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XIV)の中間体の脱保護により製造し得る。本反応は、典型的に、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)のような溶媒中、例えばカリウムtert−ブトキシド(KOtBu)のような適する塩基の存在下で実施する。
【0115】
【化16】

【0116】
実験手順11
式(XIV)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XV)の中間体のジアゾ化により製造し得る。本反応は、典型的に、亜硝酸ナトリウム(NaNO)の存在下で例えば塩酸溶液のような水性酸溶液中で実施し得る。該反応は典型的に低温(<5℃)で実施する。ジアゾニウム種をその後、例えばEtOHのようなプロトン性溶媒中tert−ブチルメルカプタン(t−BuSH)で低温(<5℃)でクエンチする。
【0117】
【化17】

【0118】
実験手順12
あるいは、式(XIII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XV)の中間体のジアゾ化により一段階で製造し得る。本反応は、典型的に、例えば氷酢酸のような酸性溶液中で亜硝酸ナトリウム(NaNO)の水性溶液の存在下に実施し得る。
【0119】
【化18】

【0120】
がNを表し、これにより式(XIII−a)の中間体と命名される式(XIII)の中間体の合成は、第WO 2005/016892号明細書に記述されるところのX
がNである式(XV)の中間体のアミノ官能基の予備保護を必要とする。
【0121】
実験手順13
式(VII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XVI)の中間体の還元により製造し得る。本還元は、典型的に、例えば三塩化リン(PCl)若しくはトリフェニルホスフィンのような適する還元剤の存在下で実施し得る。該反応は、典型的に、高温(50と75℃の間)で例えばCHClのような反応不活性溶媒中で実施し得る。
【0122】
【化19】

【0123】
実験手順14
式(XVI)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った、式(IX)の中間体と一級アミンR−NHの間のシッフ塩基の形成により製造し得る。シアン化ナトリウム若しくはシアン化トリメチルシリルでの処理が該シッフ塩基をそのα−アミノニトリル誘導体に転化し、これが順に塩基性環化を受ける。該環化段階は例えば炭酸ナトリウムの水性溶液のような適する塩基の存在下で実施する。
【0124】
【化20】

【0125】
実験手順15
式(II)の中間体は、スキーム15に示されるとおり、式(XVII)の中間体の還元により製造し得、ここで全部の変数は前に定義されたとおりである。
【0126】
【化21】

【0127】
(XVII)の(II)への還元は、例えば、金属若しくは金属塩および酸[例えば鉄のような金属若しくはSnClのような金属塩および無機酸(塩酸、硫酸など)若しくは有機酸(酢酸など)]を用いる還元的水素化若しくは還元のような慣習的方法、またはニトロ基の対応するアミンへの他の公知の転化方法により実施し得る。
【0128】
実験手順16
Hetがスキーム16に示されるとおり(a−2)に制限され、これにより式(XVIII)の中間体と命名される式(XVII)の中間体は、スキーム16に従った式(XX)の場合によっては置換されているイミダゾール若しくはトリアゾールでの中間体(XIX)の求核芳香族置換を介して製造し得、ここでLはF、Cl若しくはBrと定義され、また、全部の他の変数は上で挙げられたとおり定義される。該反応は例えばN雰囲気のような保護雰囲気下で実施しうる。攪拌、高温(例えば70〜170℃の間)および/若しくは圧が反応の速度を高めうる。該反応は、典型的に、例えばDMSO、DMF若しくはN−メチルピロリジノン(NMP)のような有機溶媒中で例えばKCO、CsCO若しくはEtNのような塩基の存在下に実施しうる。
【0129】
【化22】

【0130】
式(XIX)および式(XX)の中間体は商業的に入手可能であるか、若しくは当業者により容易に製造され得る。
【0131】
実験手順17
スキーム17に示されるところの、Hetが2位でR8a(C1−4アルキル)で置換されているオキサゾールに制限され、これにより式(XXI)の中間体と命名される式(XVII)の中間体は、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下でヨードベンゼンジアセタートで活性化され得る式(XXIII)の中間体との式(XXII)の中間体の縮合により製造し得る。攪拌および/若しくは高温(例えば70〜100℃の間)が反応の速度を高めうる。スキーム17において、R8aはC1−4アルキルと定義され、また、全部の他の変数は上のとおり定義される。
【0132】
【化23】

【0133】
実験手順18
Hetが4位でRで置換されているオキサゾールに制限され、これにより式(XXIV)の中間体と命名される式(XXVII)の中間体は、スキーム18に具体的に示されるとおり、式(XXV)の中間体の式(XXVI)の中間体との縮合反応により製造し得る。中間体(XXVI)は、商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。本縮合反応は、典型的に、例えばKCO若しくはナトリウムエトキシド(NaOEt)のような適する塩基の存在下に実施し得る。該反応は例えばMeOH若しくはEtOHのようなプロトン性溶媒中で実施し得る。攪拌および/若しくは高温(例えば70〜110℃の間)が反応の速度を高めうる。スキーム18において、全部の変数は上で挙げられたとおり定義される。
【0134】
【化24】

【0135】
あるいは、スキーム18に記述される反応は、NOがCl、Br若しくはIにより置換されている式(XXVI)の中間体のベンズアルデヒド誘導体を用いてもまた実施しうる。
【0136】
実験手順19
式(II)の中間体は、式(XXVII)の中間体中のL置換基のアミノ基またはマスキング若しくは保護されたアミノ官能性(スキーム19に従ってその後アミノ基に転化され得る)への転化により、公知の反応手順に従ってもまた実施し得る。スキーム19において、LはCl、Br若しくはIと定義され、また、全部の他の変数は上で挙げられたとおり定義される。
【0137】
【化25】

【0138】
実験手順20
式(XVII)の化合物は、スキーム20に従った式(XXVIII)の中間体と式(XXIX)の中間体の間のカップリング反応を介してもまた製造することができ、ここでLはCl、Br若しくはIと定義され、また、全部の他の変数は前で定義されたとおりである。
【0139】
【化26】

【0140】
スキーム20において、式(XXIX)の中間体は、商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。該カップリング反応は、典型的に、例えばCsCO、NaCO若しくはCsFのような適する塩基の存在下で実施し得る。該反応は例えばトルエン、DMF若しくはジオキサンのような反応不活性溶媒中で実施し得る。該反応は、典型的に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)若しくは1,1−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセンジクロロパラジウムII)(Pd(dppf)Cl)のような触媒の存在下で実施し得る。攪拌、高温(例えば70〜140℃の間)および/若しくは圧が反応の速度を高めうる。好ましくは、本反応は窒素若しくはアルゴン雰囲気のような不活性雰囲気下で実施する。
【0141】
あるいは、式(XXIX)のボロン酸ピナコールエステル誘導体を、対応するボロン酸誘導体により置換し得る。
【0142】
実験手順21
Hetがスキーム21に示されるとおり制限され、これにより式(XXX)の中間体と命名される式(XVII)の中間体は、スキーム21に従った式(XXXI)の中間体と式(XXXII)の中間体の間のカップリング反応を介して製造し得、ここでLはI若しくはBrと定義され、また、全部の他の変数は前のとおり定義される。スキーム21において、式(XXXI)および(XXXII)の中間体は商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。該カップリング反応は例えばCsCO若しくはAgCOのような適する塩基の存在下で実施し得る。該反応は例えばHO、CHCN若しくはDMFのような反応不活性溶媒中で実施し得る。該反応は、典型的には、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))若しくは1,1−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセンジクロロパラジウムII)(Pd(dppf)Cl)のような適する触媒、およびトリフェニルホスフィンのようなリガンドを含んでなる触媒系の存在下で実施する。攪拌、高温(例えば60と140℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0143】
【化27】

【0144】
実験手順22
Hetがスキーム22に示されるとおり制限され、これにより式(XXXIII)の中間体と命名される式(XXVII)の中間体は、スキーム22に描かれるところの式(XXXIV)の化合物の脱カルボキシル化反応を介して製造し得、ここでLはBr、I若しくはClと定義され、また、全部の他の変数は上のとおり定義される。該反応は、キノリン若しくはDMFのような溶媒中酸化銅(II)(CuO)の存在下、または双方CuOの非存在下のDMF/EtOHの混合物若しくはイソプロパノール中で実施し得る。該反応はマイクロ波に補助される条件下で実施し得る。該反応は典型的に高温(150℃まで)を必要とする。
【0145】
【化28】

【0146】
実験手順23
式(XXXIV)の中間体は、スキーム23に描かれるところの式(XXXV)の化合物のカルボン酸エステル官能基の加水分解を介して製造し得、ここでLはBr、I若しくはClと定義され、また、全部の他の変数は前のとおり定義される。本反応は酸性条件若しくは塩基性条件いずれでも実施し得る。それは、室温でジオキサンおよび水の混合物中NaOH若しくはLiOHのような塩基の存在下の塩基性条件で好ましく実施されることができる。
【0147】
【化29】

【0148】
実験手順24
式(XXXV)の中間体は、スキーム24に描かれるところの式(XXXVI)の中間体と式(XXXVII)の中間体の間のカップリング反応を介して製造し得、ここでLはBr、I若しくはClと定義され、LはBr若しくはIと定義され、また、全部の他の変数は上のとおり定義される。式(XXXVI)および(XXXVII)の中間体は商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。該カップリング反応は例えばCsCO若しくはAgCOのような適する塩基の存在下で実施する。該反応は、例えばCHCN、トルエン若しくはDMFのような反応不活性溶媒中で実施し得る。該反応は、典型的に、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))若しくは[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)のような適する触媒、および例えば
トリフェニルホスフィン若しくはトリ−o−トリルホスフィンのようなリガンドを含んでなる触媒系の存在下で実施する。攪拌、高温(例えば60と140℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0149】
【化30】

【0150】
実験手順25
がCRに制限され、Rが−CHNHであり、これにより式(XXXVIII)の中間体と命名される式(III)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XXXIX)の中間体の還元により製造し得る。本還元は、例えばラネーニッケルのような適する還元剤の存在下で実施しうる。該反応は、例えばMeOHのようなプロトン性溶媒中、アンモニアの存在下で実施し得る。
【0151】
【化31】

【0152】
一級アミノ基をさらにアルキル化かつ/若しくはアシル化して、XがCRに制限され、Rが−CHNRである式(III)の他の中間体を提供し得る。
【0153】
実験手順26
がCRに制限され、Rが−CNであり、これにより式(XL)の中間体と命名される式(XV)の中間体は、スキーム26に具体的に説明されるところの、XがCRに制限され、RがL(ここでLはI若しくはBrである)であり、これにより式(XLI)の中間体と命名される式(XV)の中間体の金属に媒介されるシアノ化により製造し得る。式(XLI)の中間体は、商業的に入手可能でありうるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。本シアノ化反応は、典型的に、適する試薬例えばシアン化亜鉛(Zn(CN))の存在下で実施し得る。該反応は、典型的に、例えばDMFのような溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)のような触媒の存在下に実施し得る。攪拌および/若しくは高温(例えば50〜100℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0154】
【化32】

【0155】
実験手順27
あるいは、式(IX)の中間体は、スキーム27に従い、商業的に入手可能でありうるか若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる、RがC1−4アルキルと定義される式(XLII)の中間体の還元によってもまた製造し得る。本反応は例えば水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)のような適する還元剤の存在下で実施し得る。該反応は例えばDCMのような溶媒中低温(例えば−78℃)で実施し得る。
【0156】
【化33】

【0157】
実験手順28
RがC1−4アルキルと定義される式(XLII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XLIII)の中間体のアルキル化反応により製造し得る。スキーム28に描かれるとおり、該アルキル化反応は、例えばCsCO若しくはKCOのような適する塩基、および例えばYがCl、Br若しくはIと定義されるC1−4アルキル−Yのようなアルキル化試薬の存在下に実施する。全部の他の変数は前で定義されたとおりである。該反応は例えばDMFのような非プロトン性溶媒中で実施し得る。
【0158】
【化34】

【0159】
実験手順29
式(XLIII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った、商業的に入手可能でありうる式(XLIV)の中間体の酸化により製造し得る。該酸化は、例えばDCM若しくはCHCNのような溶媒中、例えばトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)中過酸化水素(H)のような適する酸化系の存在下で実施する。
【0160】
【化35】

【0161】
実験手順30
−XがCHに制限され;
−XがCR5aに制限され、R5aが、C1−4アルキルオキシ、フルオロ、クロロおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシ若しくはC1−4アルキルであり;
−XがNに制限され;
−LがBr、I若しくはClと定義され、
これによりスキーム30に示されるところの式(XLV)の中間体と命名される、式(XIII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XLVI)の中間体のハロゲン化により製造し得る。本反応は、典型的に、例えばCHCNのような溶媒中、例えばオキシ塩化リンのようなハロゲン化試薬の存在下で実施しうる。攪拌および/若しくは高温(例えば50〜100℃の間)が反応の速度を高めうる。
【0162】
【化36】

【0163】
実験手順31
5aがスキーム30でのとおり定義される式(XLVI)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った式(XLVII)の中間体の環化により製造し得る。本反応は、典型的に、Downtherm A(ビフェニル−ジフェニルエーテル混合物)中高温(220℃より上)で実施し得る。
【0164】
【化37】

【0165】
実験手順32
式(XLVII)の中間体は、当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従った、R5aがスキーム30でのとおり定義される式(XLIX)のβ−ケトエステルとの式(XLVIII)の中間体の縮合により製造し得る。本反応は、典型的に、例えばベンゼン若しくはトルエンのような溶媒中、触媒量のp−トルエンスルホン酸の存在下で実施し得る。
【0166】
【化38】

【0167】
実験手順33
式(XLVIII)の中間体は、例えば中間体(L)の還元的水素化のような慣習的方法により製造し得る。
【0168】
【化39】

【0169】
実験手順34
式(L)の中間体は、例えば硫酸および硝酸の混合物中での式(LI)の中間体のニトロ化のような慣習的方法により製造し得る。
【0170】
【化40】

【0171】
実験手順35
Hetがスキーム35に示されるとおり(a−2)に制限され、これにより式(LII)の中間体と命名される式(II)の中間体は、スキーム35に従った、式(XX)の(未)置換イミダゾール若しくはトリアゾールとの式(LIII)の中間体の銅に触媒される反応によってもまた製造し得、ここでハロはBr若しくはIと定義され、また、全部の他の変数は上で挙げられたとおり定義される。該反応は例えばNのような保護雰囲気下で実施しうる。攪拌、高温(例えば70〜200℃の間)および/若しくは圧が反応の速度を高めうる。該反応は、典型的に、例えばDMSO若しくはDMFのような有機溶媒中で実施し得る。場合によっては、該反応は、例えばKCO、CsCO若しくはEtNのような塩基および/またはN,N’−ジメチルエチレンジアミン若しくは1,10−フェナントロリンのようなリガンドの存在下に実施しうる。銅触媒として、例えば
CuO、CuI若しくはCuBrのような銅塩を触媒若しくは化学量論量で使用し得る。式(LIII)の中間体中のアミノ基は反応前に保護することができ、そして標準的実務に従って、適するアミノ保護基の使用を介した反応後に脱保護し得る。例えば“Protective Groups in Organic Chemistry”、John Wiley and Sons,1999中T.W.GreeneとP.G.M.Wutsを参照されたい。
【0172】
【化41】

【0173】
実験手順36
スキーム36に示されるとおり、Hetが(a−2)に制限されかつGがとりわけCHであり、これにより式(LIV)の中間体と命名される式(XXVII)の中間体は、中間体(LVII)を生じるための中間体(LVIII)のアシル化を介して製造し得る。本アシル化反応は、スキーム36に従って、THFのような反応不活性溶媒ならびに場合によってはEtNのような適する塩基の存在下若しくは無水酢酸およびギ酸の混合物のような酸性条件下のいずれかで実施し得る。その後、式(LV)の中間体は、式(LVII)の中間体の式(LVI)の中間体でのアルキル化を介して製造し得る。本反応は、例えばDMFのような反応不活性溶媒、および例えばCsCO若しくはKCOのような適する塩基の存在下、ならびに場合によっては例えばKI若しくはNaIのような触媒量のヨウ化物塩の存在下で実施し得る。その後、例えば酢酸アンモニウム(NHOAc)のようなアンモニア源との中間体(LV)の縮合反応が式(LIV)の化合物を生じる。スキーム36において、ハロはCl若しくはBrと定義され、また、全部の他の変数は上で挙げられたとおり定義される。
【0174】
【化42】

【0175】
式(LIV)の中間体中のイミダゾール環の構築について、R10およびR11の導入の順序を逆転し得る。この型の反応は、1−(4−ブロモ−2−メトキシフェニル)−4−メチル−1H−イミダゾールについて第US2006/0004013号明細書に記述されている。
【0176】
必要な若しくは所望の場合は、いずれかの順序の以下のさらなる段階のいずれか1つ若しくはそれ以上を実施しうる。すなわち、
式(I)の化合物、それらのいずれかの下位群、それらの付加塩、溶媒和物および立体化学異性体は、当該技術分野で既知の手順を使用して本発明のさらなる中間体および化合物に転化し得る。
【0177】
上述された方法において、中間体化合物の官能基が保護基によりブロックされる必要がありうることが、当業者により認識されるであろう。中間体化合物の官能基が保護基によりブロックされた場合、それらは反応段階後に脱保護し得る。
【0178】
薬理学
本発明の化合物はγ分泌酵素活性を調節することが見出された。本発明の化合物およびそれらの製薬学的に許容できる組成物は、従って、AD、TBI、MCI、老化、認知症、レビー小体を伴う認知症、脳アミロイド血管症、多発脳梗塞性認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドを伴う認知症、好ましくはADの処置若しくは予防で有用でありうる。
【0179】
本明細書で使用されるところの「γ分泌酵素活性の調節」という用語は、γ分泌酵素複合体によるAPPのプロセシングに対する効果を指す。好ましくは、それは、本質的に前記化合物の適用を伴わないようにAPPのプロセシングの全体的速度を残存するが、しかし、プロセシングされた産物の相対量をより好ましくは産生されるAβ42ペプチドの量が減少されるような方法で変化させる効果を指す。例えば、多様なAβ種を製造し得る(例えば、Aβ42の代わりにAβ38若しくはより短いアミノ酸配列の他のAβペプチド種)か、または産物の相対量が異なる(例えばAβ42に対するAβ40の比が変えられる、好ましくは増大される)。
【0180】
γ分泌酵素複合体はノッチタンパク質のプロセシングにもまた関与していることが以前に示されている。ノッチは発達過程で極めて重要な役割を演じているシグナル伝達タンパク質である(例えばSchweisguth F(2004)Curr.Biol.14、R129に総説されている)。治療におけるγ分泌酵素調節物質の使用に関して、推定上の望ましくない副作用を回避するためにγ分泌酵素活性のノッチプロセシング活性を妨害しないことがとりわけ有利であるようである。γ分泌酵素阻害剤はノッチプロセシングの同時阻害による副作用を示す一方、γ分泌酵素調節物質は、より小型のより少なく凝集可能な形態のAβすなわちAβ38の産生を低下させることなくかつノッチプロセシングの同時阻害を伴わずに、高度に凝集可能かつ神経毒性の形態のAβすなわちAβ42の産生を選択的に低下させるという利点を有しうる。従って、γ分泌酵素複合体のノッチプロセシング活性に対する影響を示さない化合物が好ましい。
【0181】
本明細書で使用されるところの「処置」という用語は、疾患の進行の遅延、中断、停止若しくは中止が存在しうる全過程を指すことを意図しているが、しかし必ずしも全症状の完全な排除を示さない。
【0182】
本発明は、医薬品としての使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物に関する。
【0183】
本発明は、γ分泌酵素活性の調節における使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0184】
本発明は、AD、TBI、MCI、老化、認知症、レビー小体を伴う認知症、脳アミロイド血管症、多発脳梗塞性認知症若しくはダウン症候群から選択される疾患若しくは状態の処置若しくは予防での使用のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0185】
一態様において、前記疾患若しくは状態は好ましくはアルツハイマー病である。
【0186】
本発明は、前記疾患の処置での使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体、ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0187】
本発明は、前記疾患の処置のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0188】
本発明は、γ分泌酵素媒介性の疾患若しくは状態の処置若しくは予防、とりわけ処置での使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体、ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物にもまた関する。
【0189】
本発明は、医薬品の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体、ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にもまた関する。
【0190】
本発明は、γ分泌酵素活性の調節のための医薬品の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にもまた関する。
【0191】
本発明は、上で挙げられた疾患状態のいずれか1種の処置若しくは予防のための医薬品の製造のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容で
きる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にもまた関する。
【0192】
本発明は、上で挙げられた疾患状態のいずれか1種の処置のための医薬品の製造のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にもまた関する。
【0193】
本発明において、下の実施例で使用されるアッセイのような適するアッセイにより測定されるところの1000nM未満、好ましくは100nM未満、より好ましくは50nM未満、なおより好ましくは20nM未満のAβ42ペプチドの産生の阻害のIC50値をもつ式(I)の化合物若しくはそれらのいずれかの下位群がとりわけ好ましい。
【0194】
本発明の化合物は、上で挙げられた疾患のいずれか1種の処置若しくは予防のため哺乳動物、好ましくはヒトに投与し得る。
【0195】
式(I)の化合物の利用性を鑑みれば、上で挙げられた疾患のいずれか1種に苦しめられているヒトを包含する温血動物の処置方法、若しくはヒトを包含する温血動物のそれに苦しめられることの予防方法が提供される。
【0196】
前記方法は、有効量の式(I)の化合物、その立体異性体およびその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物のヒトを包含する温血動物への投与、すなわち全身若しくは局所投与、好ましくは経口投与を含んでなる。
【0197】
本発明は、産生されるAβペプチドの相対量の減少をもたらすγ分泌酵素活性の調節のための式(I)の化合物の使用にもまた関する。
【0198】
本発明の化合物若しくは該化合物の一部の一利点はそれらの高められたCNS透過性でありうる。
【0199】
こうした疾患の処置の当業者は、下に提示される試験結果から有効治療1日量を決定し得る。有効治療1日量は、約0.005mg/kgから50mg/kgまで、とりわけ0.01mg/kgないし50mg/kg体重、より具体的には0.01mg/kgから25mg/kg体重まで、好ましくは約0.01mg/kgから約15mg/kgまで、より好ましくは約0.01mg/kgから約10mg/kgまで、なおより好ましくは約0.01mg/kgから約1mg/kgまで、最も好ましくは約0.05mg/kgから約1mg/kg体重までであることができる。治療的に効果を達成するのに必要とされる、ここで有効成分ともまた称される本発明の化合物の量は、もちろん、個別的に、例えば特定の化合物、投与経路、受領者の齢および状態、ならびに処置されている特定の障害若しくは疾患とともに変動することができる。
【0200】
処置方法は、1日あたり1と4回の間の摂取の投与計画で有効成分を投与することもまた包含しうる。これらの処置方法において、本発明の化合物は好ましくは投与前に処方される。下に本明細書に記述されるとおり、適する製薬学的製剤は公知かつ容易に入手可能な成分を使用して既知の手順により製造される。
【0201】
アルツハイマー病若しくはその症状を処置若しくは予防するのに適し得る本発明の化合物は、単独でまたは1種若しくはそれ以上の付加的な治療薬と組合せで投与しうる。併用療法は、式(I)の化合物および1種若しくはそれ以上の付加的な治療薬を含有する単一製薬学的投薬製剤(dosage formulation)の投与、ならびに、それ自身の別個の製薬学的投薬製剤中の式(I)の化合物および各付加的な治療薬の投与を包含する。例えば、式(I)の化合物および1種の治療薬を、錠剤若しくはカプセル剤のよう
な単一の経口投薬組成物で一緒に患者に投与しうるか、または各剤を別個の経口投薬製剤で投与しうる。
【0202】
有効成分を単独で投与することが可能である一方、それを製薬学的組成物として提示することが好ましい。
【0203】
従って、本発明は、製薬学的に許容できる担体、および有効成分として治療上有効な量の式(I)の化合物を含んでなる製薬学的組成物をさらに提供する。
【0204】
該担体若しくは希釈剤は、組成物の他成分と適合性でありかつその受領者に有害でないという意味で「許容でき」なければならない。
【0205】
投与の容易さのため、主題の化合物は投与の目的上多様な製薬学的形態に処方しうる。本発明の化合物、とりわけ式(I)の化合物、それらの製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、それらの立体化学異性体、またはそれらのいかなる下位群若しくは組合せも、投与の目的上多様な製薬学的形態に処方しうる。適切な組成物として、薬物を全身に投与するために通常使用される全部の組成物を引用しうる。
【0206】
本発明の製薬学的組成物を製造するため、有効成分としての場合によっては付加塩の形態の特定の化合物の有効量を、製薬学的に許容できる担体と緊密な混合状態で組合せ、この担体は投与に望ましい製剤の形態に依存して多様な形態を取ることができる。これらの製薬学的組成物は、とりわけ、経口で、直腸で、経皮で、非経口注入による、若しくは吸入による投与に適する単位剤形で望ましい。例えば、経口剤形の組成物の製造において、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液のような経口液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコールなど;若しくは、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合にはデンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体のような、通常の製薬学的媒体のいずれも使用しうる。投与におけるそれらの容易さのため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口の投薬単位形態を代表し、この場合には固体の製薬学的担体が明らかに使用される。非経口組成物のためには、担体は通常、少なくとも大部分で滅菌水を含んでなることができるとは言え、例えば溶解性を補助するための他成分を包含しうる。例えば担体が食塩溶液、グルコース溶液若しくは食塩およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を製造しうる。例えば担体が食塩溶液、グルコース溶液若しくは食塩およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を製造しうる。式(I)の化合物を含有する注入可能な溶液は持続的作用のため油中で処方しうる。この目的上適切な油は、例えばラッカセイ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、ダイズ油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステル、ならびにこれらおよび他の油の混合物である。注入可能な懸濁液もまた製造することができ、この場合は適切な液体担体、懸濁化剤などを使用しうる。液体の形態の製剤に使用直前に転化されることを意図している固体の形態の製剤もまた包含される。経皮投与に適する組成物中では、担体は、小さい比率のいずれかの性質の適する添加物と場合によっては組合せられた浸透増強剤および/若しくは適する湿潤剤を場合によっては含んでなり、この添加物は皮膚に対する重大な有害な影響を導入しない。前記添加物は皮膚への投与を容易にしかつ/若しくは所望の組成物を製造するために有用でありうる。これらの組成物は多様な方法で、例えば経皮貼付剤として、スポットオンとして、軟膏剤として投与しうる。式(I)の化合物の酸若しくは塩基付加塩は、対応する塩基若しくは酸の形態を上回るそれらの増大された水溶解性により、水性組成物の製造でより適する。
【0207】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、前述の製薬学的組成物を単位剤形に処方することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるところの単位剤形は単位投薬量として適する物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる製薬学的担体とともに所望
の治療効果を生じるよう計算された予め決められた量の有効成分を含有する。こうした単位剤形の例は、錠剤(割線付き錠剤若しくはコーティング錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤小包、カシェ剤、坐剤、注入可能な溶液若しくは懸濁液など、ならびにそれらの分離された倍数である。
【0208】
本発明の化合物は強力な経口で投与可能な化合物であるため、経口で投与のための前記化合物を含んでなる製薬学的組成物はとりわけ有利である。
【0209】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/若しくは安定性を高めるために、α−、β−若しくはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体、とりわけヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン若しくはスルホブチル−β−シクロデキストリンを使用することが有利であり得る。また、アルコールのような補助溶媒は、製薬学的組成物中の本発明の化合物の溶解性および/若しくは安定性を改良しうる。
【0210】
投与様式に依存して、該製薬学的組成物は、好ましくは、0.05から99重量%まで、より好ましくは0.1から70重量%まで、なおより好ましくは0.1から50重量%までの式(I)の化合物、および1から99.95重量%まで、より好ましくは30から99.9重量%まで、なおより好ましくは50から99.9重量%までの製薬学的に許容できる担体を含むことができ、全部のパーセンテージは組成物の総重量に基づく。
【0211】
以下の実施例は本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0212】
下で、「DCM」という用語はジクロロメタンを意味しており;「MeOH」はメタノールを意味しており;「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味しており;「sat.」は飽和を意味しており;「aq.」は水性を意味しており;「r.t.」は室温を意味しており;「AcOH」は酢酸を意味しており;「RP」は逆相を意味しており;「min」は分(1若しくは複数)を意味しており;「h」は時間(1若しくは複数)を意味しており;「I.D.」は内径を意味しており;「EtOAc」は酢酸エチルを意味しており;「NaOAc」は酢酸ナトリウムを意味しており;「KOtBu」はカリウムtert−ブトキシドを意味しており;「EtN」はトリエチルアミンを意味しており;「EtOH」はエタノールを意味しており;「eq」は等量を意味しており;「r.m.」は反応混合物(1種若しくは複数)を意味しており;「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味しており;「THF」はテトラヒドロフランを意味しており;「DME」はジメトキシエタンを意味しており;「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味しており;「BINAP」は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン](ラセミ混合物)を意味しており;「NHOAc」は酢酸アンモニウムを意味しており;「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味しており;「X−Phos」はジシクロヘキシル[2’,4’,6’−トリス(1−メチルエチル)[1,1’−ビフェニル]−2−イル]ホスフィンを意味しており;そして「Pd(dba)」はトリス[μ−[(1,2−η:4,5−η)−(1E,4E)−1,5−ジフェニル−1,4−ペンタジエン−3−オン]]ジパラジウムを意味している。
【0213】
A.中間体の製造
実施例A1
a)中間体1の製造
【0214】
【化43】

【0215】
DMSO(500ml)中の1−クロロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン(50g、0.26mol)、4−メチル−1H−イミダゾール(43.77g、0.53mol)およびKCO(36.84g、0.26mmol)の混合物をN雰囲気下オートクレーブ中150℃で6h反応させた。本反応を各50gの1−クロロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼンを用いて2回反復した(合計150g)。該3種のr.m.を合わせかつ氷水(6l)中に注いだ。固形物を濾過分離しかつHOで洗浄した。固形物をDCMに溶解しそして本溶液をHOで洗浄した。分離された有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶出液:DCM/MeOH 100/0から97/3まで)。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEに懸濁し、濾過分離しかつオーブン中で乾燥した。収量:48.54gの中間体1(26.0%)。
b)中間体2aおよび中間体2の製造
【0216】
【化44】

【0217】
中間体1(13.2g、56.6mmol)をMeOH(250ml)に溶解した。Pd/C(0.5g)を該溶液に添加し、そして生じる懸濁液をH(大気圧)下50℃で一夜攪拌した。H(1eq)の取り込み後に触媒を濾過分離した。有機層を蒸発させ、中間体2a(遊離塩基)を生じた。中間体2aをHCl/EtOH溶液に溶解しかつ30min攪拌した。溶媒を真空中で除去した。残渣を、少量の石油エーテルを含むEtOHから結晶化して所望の生成物を生じた。収量:4.7gの中間体2(41.0%;.HCl)。
【0218】
実施例A2
a)中間体3および中間体4の製造
【0219】
【化45】

【0220】
1−フルオロ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン(821mg、4.8mmol)、5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール(800mg、9.63mmol)、KCO(4.8mmol)およびDMSO(8ml)の混合物を120℃で1h攪拌した
。冷却した後に該r.m.を氷水中に注いだ。固形物を濾過分離し、HOで洗浄しかつ乾燥した(真空中;50℃)。収量:0.554gの中間体3(49%)。該aq.層をNaClで飽和し、DCMで抽出しかつ有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.147gの中間体4(13%)。
b)中間体5の製造
【0221】
【化46】

【0222】
MeOH(50ml)をN雰囲気下で10%Pd/C(150mg)に添加した。その後DIPE中0.4%チオフェン溶液(1ml)および中間体3(550mg、2.348mmol)を添加した。該r.m.を3eqのHが吸収されるまでH雰囲気下25℃で攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離した。濾液を蒸発させ、そして残渣をDIPEに懸濁し、濾過分離しかつ真空中で乾燥した。収量:0.350gの中間体5(73.0%)。
【0223】
実施例A3
a)中間体6の製造
【0224】
【化47】

【0225】
CO(9.6g、69.5mmol)および1−メチル−1−トシルメチルイソシアニド(8g、38.2mmol)をMeOH(150ml)中の2−ホルミル−5−ニトロアニソール(6.29g、34.7mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を4h還流した。該r.m.を減圧下に濃縮し、残渣をDCMに溶解しかつ有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/EtOAc 100/0から50/50まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:6.24gの中間体6(77%)。
b)中間体7の製造
【0226】
【化48】

【0227】
MeOH(150ml)をN雰囲気下10%Pd/C(1g)に添加した。その後、
DIPE中0.4%チオフェン溶液(1ml)および中間体6(6.24g、26.6mmol)を添加した。該r.m.を3eqのHが吸収されるまでH雰囲気下25℃で攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。収量:5.4gの中間体7(99%)。
【0228】
実施例A4
a)中間体8の製造
【0229】
【化49】

【0230】
ヨードベンゼンジアセタート(2.47g、7.68mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(1.35ml、15.3mmol)をN下にCHCN(40ml)中r.t.で1h攪拌した。その後該混合物を還流温度に加熱した。2’−メトキシ−4’−ニトロアセトフェノン(1.0g、5.12mmol)を該溶液に一度で添加し、そして該r.m.を2h還流しその後r.t.に冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残渣を飽和水性炭酸水素ナトリウム(200ml)とEtOAc(200ml)の間で分配した。有機層を分離しかつ塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)濾過しかつ蒸発させて褐色固形物を生じた。生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から99/1まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた(減圧)。収量:0.42gの中間体8(35%)。
b)中間体9の製造
【0231】
【化50】

【0232】
MeOH(50ml)をN雰囲気下10%Pd/C(0.250g)に添加した。その後、DIPE中0.4%チオフェン溶液(2ml)および中間体8(0.946g、4.04mmol)を添加した。該r.m.を3eqのHが吸収されるまでH雰囲気下25℃で攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。生成物をDIPE中で摩砕し、濾過分離しかつ真空下で乾燥した。収量:0.66gの中間体9(80%)。
【0233】
実施例A5
a)中間体10の製造
【0234】
【化51】

【0235】
最初にKCO(36g、262mmol)およびその後1−メチル−1−トシルメ
チルイソシアニド(35g、167mmol)をMeOH(500ml)中の5−ニトロピリジン−2−カルボキシアルデヒド(20g、131mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を4h還流した。該r.m.を減圧下に濃縮し、残渣をDCMに溶解し、そして有機層をHOで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過しかつ溶媒を真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:石油エーテル/EtOAc 4/1)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:15gの中間体10(56%)。
b)中間体11の製造
【0236】
【化52】

【0237】
THF(300ml)中の中間体10(10g、48.7mmol)の溶液をHO(100ml)中のNHCl(2.6g、48.7mmol)の溶液に添加した。鉄(16.3g、292mmol)を添加し、そして該r.m.を4h還流した。沈殿物を濾過により除去しかつ濾液を真空中で蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解しかつ有機層をHOで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過しかつ溶媒を真空中で蒸発させた。残渣を2N HCl溶液に溶解し、そして該aq.層をDCMで洗浄し、2N NaOH溶液の添加により塩基性にし、そして生成物をEtOAcで抽出した。有機層を洗浄し乾燥し(NaSO)、濾過しかつ溶媒を真空中で蒸発させて6gの中間体11(71%)を生じた。
【0238】
実施例A6
a)中間体12の製造
【0239】
【化53】

【0240】
トルエン(75ml)中の2−ヨード−5−ブロモピリジン(13.7g、48.2mmol)、2−メチル−4−オキサゾールカルボン酸メチルエステル(3.4g、24.1mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.54g、2.41mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(1.47g、4.81mmol)およびCsCO(15.7g、48.2mmol)の溶液をNで洗い流し、封止しかつ110℃で一夜攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。粗生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から98/2まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:5.64gの中間体12(64%)。
b)中間体13の製造
【0241】
【化54】

【0242】
中間体12(5.64g、15.4mmol)およびLiOH(0.91g、38mmol)をジオキサン(40ml)およびHO(10ml)の混合物に溶解した。該r.m.をr.t.で5h攪拌し、そしてその後1M HCl溶液でpH2まで処理した。沈殿物を濾過分離しかつ真空下に乾燥した。濾液をCHClで抽出しかつ有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去して固形物を提供した。該2種の固形物画分を合わせた。収量:4.75gの中間体13(97%)。
c)中間体14の製造
【0243】
【化55】

【0244】
DMF(75ml)およびEtOH(30ml)の混合物中の中間体13(3.3g、11.65mmol)の溶液をマイクロ波条件下150℃で4h加熱した。冷却した後に溶媒を蒸発させて中間体14(3.1g、89%)を生じた。この画分は精製を伴わずに次の段階で使用した。
d)中間体15の製造
【0245】
【化56】

【0246】
[(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチル]ジ−tert−ブチルホスフィン(Josi−Phos、0.492g、0.89mmol)およびPd(OAc)をDME(2ml)中で前混合し、そしてその後DME(18ml)中の中間体14(4.25g、17.8mmol)およびナトリウムtert−ブトキシド(2.39g、6.69mmol)の溶液に添加した。最後にN−ベンジルアミン(2.28g、21.33mmol)を添加し、そして該r.m.を100℃で9h攪拌した。冷却した後に該r.m.をDCMで希釈しかつケイソウ土で濾過した。濾液を減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から98/2まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を減圧下に除去した。収量:3.23gの中間体15(67%)。
e)中間体16の製造
【0247】
【化57】

【0248】
MeOH(50ml)をN雰囲気下で10%Pd/C(0.05g)に添加した。中間体15(0.15g、0.565mmol)を添加し、そして該r.m.を1eqのHが吸収されるまでH雰囲気下50℃で攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離した。濾液を蒸発させた。収量:0.105gの中間体16(95%)。
【0249】
実施例A7
a)中間体17の製造
【0250】
【化58】

【0251】
1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾール(2.83g、13.63mmol)、CsF(3.11g、20.45mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.99g、13.64mmol)をDMF(60ml)中の4−ブロモ−3−フルオロニトロベンゼン(3.0g、4.81mmol)の溶液に添加した。該反応混合物をNで洗い流し、封止しかつ100℃で8h攪拌した。冷却した後に溶媒を蒸発させた。残渣をDCMに溶解しかつ有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ濾液を減圧下に濃縮して中間体17を生じた。本画分を、さらなる精製を伴わずに次の反応段階で粗物質(a crude)として使用した。
b)中間体18の製造
【0252】
【化59】

【0253】
中間体17(3.0g、13.56mmol)および鉄(3.78g、67.8mmol)をAcOH(24ml)中で1.5h振とうした。溶媒を蒸発させた。残渣をDCMに溶解しかつ有機層をsat.NaCO溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をDIPE中で摩砕しかつ生じる沈殿物を濾過分離した。収量:0.72gの中間体18(28%)。
【0254】
実施例A8
a)中間体19の製造
【0255】
【化60】

【0256】
3−ブロモ−2−トルエン(10.0g、42.29mmol)、ジメチルホルムアミ
ドジメチルアセタール(15.55g、139mmol)およびピロリジン(3.29g、46.29mmol)の混合物を115℃で22h攪拌した。該溶液をr.t.に冷却しそしてそれ自体を次の反応段階で使用した。
b)中間体20の製造
【0257】
【化61】

【0258】
中間体19を含有する前の反応段階からの粗溶液を、DMF(75ml)およびHO(100ml)中の過ヨウ素酸ナトリウム(29.7g、139mmol)の攪拌溶液に0℃で添加した。該r.m.をその後r.t.に温まらせかつ3h攪拌した。該懸濁液をケイソウ土で濾過し、ケイソウ土をEtOAcで大々的に洗浄した。濾液をHOで洗浄しそして有機層を減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 50/50から0/100まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:2.72gの中間体20(2反応段階にわたり20%収率)。
c)中間体21の製造
【0259】
【化62】

【0260】
ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.38g、6.5mmol)を1,2−ジクロロエタン(16ml)中の中間体20(1.0g、4.34mol)、3−メトキシアニリン(0.53g、4.34mmol)および酢酸(1.3g、21.7mmol)の攪拌溶液に一部分ずつ添加した。該r.m.をr.t.で4h攪拌し、水性KCO溶液および塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM アイソクラチック 50/50)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.65gの中間体21(41%)。
d)中間体22の製造
【0261】
【化63】

【0262】
EtOH(100ml)中の中間体21(5.68g、16.8mmol)および塩化スズ(II)二水和物(7.6g、33.7mmol)の混合物を40℃で一夜攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をHOに懸濁しかつ生成物をDCMで大々的に抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を除去した(減圧)。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 40/60から0/100
まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:3.63gの中間体22(71%)。
e)中間体23の製造
【0263】
【化64】

【0264】
THF中のリチウムジイソプロピルアミドの2M溶液を−78℃のTHF中の中間体22(3.0g、9.9mmol)の溶液に一滴ずつ添加した。該r.m.を0〜5℃に温まらせそして15min攪拌した。該混合物を−78℃に再度冷却しかつCHI(2.1g、14.8mmol)を添加した。該r.m.の温度をゆっくりとr.t.に上昇させ、そして16h攪拌した。HOを添加しそして生成物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 50/50から0/100まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:3.63gの中間体23(71%)。
【0265】
実施例A9
a)中間体24の製造
【0266】
【化65】

【0267】
2−ブロモ−6−メチルアニリン(1.18g、6.34mmol)を6N HCl aq.溶液中60℃で30min攪拌し、そして該r.m.を0℃に冷却した。HO(1.5ml)中のNaNO(0.481g、6.98mmol)の溶液を一滴ずつ添加し、そして該r.m.を0℃で追加の1時間攪拌した。該r.m.をsat.水性NaOAc溶液の添加により緩衝し(pH4と5の間)、そしてその後該混合物をEtOH(25ml)中のtert−ブチルメルカプタン(0.63g、6.98mmol)の氷冷溶液に全部一度に添加した。該r.m.をr.t.に温まらせかつ一夜攪拌した。該r.m.をEtOAc(100ml)とHO(100ml)の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。収量:1.7gの中間体24(70%)。
b)中間体25の製造
【0268】
【化66】

【0269】
DMSO(20ml)中の中間体24(1.7g、4.44mmol)の溶液をDMSO(50ml)中のKOtBu(6.64g、59mmol)の溶液に一滴ずつ添加した。該r.m.をr.t.で2時間攪拌し、そしてその後1N水性HCl溶液(300ml)を含有する氷(300g)上に注いだ。該混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:DCM)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.55gの中間体25(63%)。
c)中間体26の製造
【0270】
【化67】

【0271】
トルエン(7ml)中の中間体25(0.54g、2.74mmol)および硫酸ジブチル(0.493g、2.77mmol)の混合物を110℃で24h攪拌した。該r.m.をr.t.に冷却しかつsat.NaHCOaq.溶液で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。粗油状物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 90/10から70/30まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.335gの中間体26(43%)。
【0272】
実施例A12
中間体27の製造
【0273】
【化68】

【0274】
中間体25(2g、10.1mmol)、パーフルオロブチルスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル(4.9g、12.84mmol)およびCsCO(9.92g、30.45mmol)の溶液をr.t.で4h攪拌した。該r.m.をEtOAcで希釈しかつHOで洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。生じる黄色油状物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 80/20から0/100まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:1.08gの中間体27(38%)。
【0275】
実施例A13
a)中間体28の製造
【0276】
【化69】

【0277】
クロロクロム酸ピリジニウム(67g、310mmol)をDCM(500ml)中の3−クロロ−2−ニトロベンジルアルコール(25g、129mmol)、モレキュラーシーブ(40g)およびケイソウ土(40g)の懸濁液に添加した。該r.m.をr.t.で2h攪拌し、そしてその後シリカで濾過した(溶出液:DCM)。生成物画分を収集しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出液:DCM)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:22.5gの中間体28(94%)。
b)中間体29の製造
【0278】
【化70】

【0279】
4−フルオロアニリン(1.83g、16.1mmol)をAcOH(50ml)中の中間体28(3g、16.1mmol)の溶液に10minにわたり一滴ずつ添加した。シアン化トリメチルシリル(4.3ml、32.3mmol)を一滴ずつ添加し、そして該r.m.をr.t.で16h攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をHOとDCMの間で分配した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣を穏やかな加温下でEtOH(100ml)に溶解しかつ0.5M NaCO溶液(1.5ml、0.75mmol)を添加した。明黄色のインダゾールオキシドの結晶化がほぼ即座に開始した。該混合物をr.t.に冷まさせた。沈殿物を濾過分離しかつEtOH/AcOHから再結晶した。収量:1.9gの中間体29(40%)。
c)中間体30の製造
【0280】
【化71】

【0281】
三塩化リン(4.72g、34.3mmol)をCHCl(25ml)中の中間体29(1.6g、5.56mmol)の懸濁液に添加し、そして該r.m.を1h還流した。冷却した後に該r.m.を氷水中に注いだ。aq.層を塩基性化し(NaOH)そして生成物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に蒸発させた。残渣をCHCNから結晶化し、濾過しかつ真空下に乾燥した。収量:0.92gの中間体30(61%)。
【0282】
実施例A14
a)中間体31の製造
【0283】
【化72】

【0284】
ギ酸(12.8ml、340mmol)および酢酸無水物(8.54ml、91mmol)の混合物をr.t.で40min攪拌した。その後、THF(30ml)中の3−アミノ−6−ブロモ−2−メトキシピリジン(5g、24.6mmol)の溶液を該混合物に一滴ずつ添加した。生じるr.m.を60℃で一夜攪拌し、そしてその後冷却しかつ氷水中に注いで固形物の沈殿をもたらした。該固形物を濾過分離し、水で洗浄しかつ乾燥した。収量:5.2gの中間体31(76%)。
b)中間体32の製造
【0285】
【化73】

【0286】
1−クロロプロパン−2−オン(4.34g、46.9mmol)をDMF(50ml)中の中間体31(5.2g、18.8mmol)、KI(0.343g、2.06mmol)およびCsCO(21.4g、65.9mmol)の混合物に一滴ずつ添加した。該r.m.をr.t.で一夜攪拌した。その後該r.m.を氷水中に注ぎかつEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。残渣をDIPEに懸濁し、そして生じる固形物を濾過分離し、DIPEで洗浄しかつ乾燥した。収量:4.43gの中間体32(82%)。
c)中間体33の製造
【0287】
【化74】

【0288】
中間体32(4.4g、15.3mmol)をAcOH(10ml)中のNHOAc(5.41g、70.2mmol)の混合物に添加した。該r.m.を1h還流で加熱した。該r.m.をr.t.に冷却しかつ氷水およびEtOAcの混合物中に注いだ。該混合物を50w/v%aq.NaOH溶液でpH9に塩基性化した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。生じる固体生成物をそれ自体次の段階で使用した。収量:3.78gの粗中間体33。
d)中間体34の製造
【0289】
【化75】

【0290】
トルエン(20ml;事前に脱酸素された)中の2−メチル−2−プロパノールナトリウム塩(0.717g、7.46mmol)、BINAP(464mg、0.746mmol)、Pd(dba)(342mg、0.373mmol)、中間体33(1.0g、3.73mmol)およびベンゾフェノンイミン(0.845g、4.66mmol)の混合物を、マイクロ波条件下100℃で2h攪拌かつ加熱した。該混合物を冷却しそして溶媒を真空中で除去した。THF(50ml)および1N aq.HCl溶液(50ml)を残渣に添加しそして該混合物をr.t.で1h攪拌した。該r.m.を10%aq.NaCO溶液で塩基性化しかつEtOAcで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を真空中で蒸発させた。生成物をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から95/5まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.6gの中間体34(2反応段階にわたり52%収率)。
【0291】
実施例A15
a)中間体35の製造
【0292】
【化76】

【0293】
ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.17g、5.5mmol)を1,2−ジクロロエタン(12ml)中の中間体20(0.8g、3.69mol)、4−フルオロベンジルアミン(0.46g、3.69mmol)およびAcOH(1.1g、18.48mmol)の攪拌溶液に一部分ずつ添加した。該r.m.をr.t.で4h攪拌し、aq.KCO溶液および塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を減圧下に除去した。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン/DCM 30/70から0/100まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.70gの中間体35(41%)。
b)中間体36の製造
【0294】
【化77】

【0295】
EtOH(15ml)中の中間体35(0.6g、1.77mmol)および塩化スズ(II)二水和物(0.80g、3.59mmol)の混合物を40℃で一夜攪拌した。溶媒を蒸発させかつ残渣をHOに懸濁し、そして生成物をDCMで大々的に抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を除去した(減圧)。残渣をRP調製的HPLC[RP Shandon Hyperprep(R)C18 BDS(8μm、
250g、I.D.5cm);移動相:(水中0.25%NHHCO溶液)/MeOH/CHCNの勾配]により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.094gの中間体36(17%)。
【0296】
B.化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【0297】
【化78】

【0298】
中間体22(0.28g、0.92mmol)、Pd(dba)(0.084g、0.092mmol)、X−Phos(0.097g、0.203mmol)およびCsCO(0.90g、2.77mmol)を2−メチル−2−プロパノール(10ml)中の中間体2a(0.187g、0.92mmol)の溶液に添加した。該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加しそして生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣を調製的HPLC[RP Shandon Hyperprep(R)C18 BDS(8μm、250g、I.D.5cm);移動相:(HO中0.25%NHCO溶液、CHCN)]により精製した。生成物画分を収集しかつ減圧下に濃縮した。収量:0.156gの化合物1(40%)。
【0299】
実施例B2
化合物2の製造
【0300】
【化79】

【0301】
中間体23(0.152g、0.48mmol)、Pd(dba)(0.044g、0.048mmol)、X−Phos(0.050g、0.105mmol)およびCsCO(0.47g、1.43mmol)を2−メチル−2−プロパノール(10ml)中の中間体2a(0.097g、0.48mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加しそして生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から95/5まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ処理した(worked up)。残渣をDIPEから結晶化し、濾過しかつ真空下60℃で乾燥した。収量:0.131gの化合物2(62%)。
【0302】
実施例B3
化合物3の製造
【0303】
【化80】

【0304】
中間体26(0.10g、0.39mmol)、Pd(dba)(0.036g、0.039mmol)、X−Phos(0.041g、0.087mmol)およびCsCO(0.38g、1.18mmol)を2−メチル−2−プロパノール(7ml)中の中間体2a(0.080g、0.39mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加しそして生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から96/4まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ処理して粗化合物3a(化合物3の遊離塩基)を生じた。該生成物をDIPEに溶解しかつ2−プロパノール中6N HCl溶液1mlの添加によりそのHCl塩に転化し、濾過分離しかつ真空下60℃で乾燥した。収量:0.070gの化合物3(39%;.2HCl)。
【0305】
実施例B4
化合物4の製造
【0306】
【化81】

【0307】
中間体23(0.317g、1mmol)、Pd(dba)(0.091g、0.1mmol)、X−Phos(0.095g、0.2mmol)およびCsCO(0.98g、3mmol)を2−メチル−2−プロパノール(10ml)中の中間体11(0.175g、1mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を100℃で14h加熱した。冷却した後にHOを添加し、そして該r.m.をDCMで希釈しかつケイソウ土で濾過した。濾液をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から98/2まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.198gの化合物4(48%)。
【0308】
実施例B5
化合物5の製造
【0309】
【化82】

【0310】
中間体23(0.348g、1.1mmol)、Pd(dba)(0.091g、0.1mmol)、X−Phos(0.105g、0.22mmol)およびCsCO(0.98g、3mmol)を2−メチル−2−プロパノール(12ml)中の中間体5(0.204g、1mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加しそして生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から95/5まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ処理して粗化合物5a(化合物5の遊離塩基)を生じた。該生成物をDIPEに溶解しかつ2−プロパノール中6N HCl溶液2mlの添加によりそのHCl塩に転化し、濾過分離しかつ真空下60℃で乾燥した。収量:0.344gの化合物5(67%;.1.9HCl)。
【0311】
実施例B6
化合物6の製造
【0312】
【化83】

【0313】
中間体27(0.204g、0.73mmol)、Pd(dba)(0.064g、0.07mmol)、X−Phos(0.073g、0.15mmol)およびCsCO(0.68g、2.1mmol)を2−メチル−2−プロパノール(10ml)中の中間体9(0.142g、0.7mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を60℃で16h加熱した。冷却した後にHOを添加し、そして該r.m.をDCMで希釈しかつケイソウ土で濾過した。濾液をHOで洗浄しかつ乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から99/1まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.081gの化合物6(29%)。
【0314】
実施例B7
化合物7の製造
【0315】
【化84】

【0316】
中間体23(0.222g、0.7mmol)、Pd(dba)(0.064g、0.07mmol)、X−Phos(0.073g、0.154mmol)およびCsCO(0.684g、2.1mmol)を2−メチル−2−プロパノール(12ml)中の中間体18(0.175g、1mmol)の溶液に添加した。該r.m.を100℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加し、そして該r.m.をDCMで希釈しかつケイソウ土で濾過した。濾液をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から98/2まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.054gの化合物7(18%)。
【0317】
実施例B8
a)化合物32の製造
【0318】
【化85】

【0319】
中間体30(0.198g、0.73mmol)、Pd(dba)(0.066g、0.073mmol)、X−Phos(0.076g、0.16mmol)およびCsCO(0.714g、2.2mmol)を2−メチル−2−プロパノール(12ml)中の4−(2−メチル−1,3−オキサゾル−5−イル)アニリン(0.127g、0.73mmol)の溶液に添加し、そして該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加しかつ生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から98/2まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ処理した。生成物をCHCNから結晶化し、濾過分離しかつ乾燥(真空中;60℃)した。収量:0.098gの化合物32(33%)。
化合物8の製造
【0320】
【化86】

【0321】
MeOH/NH(40ml)をN雰囲気下にラネーニッケル(0.05g)に添加
した。その後化合物32(0.042g、0.10mmol)を添加した。該r.m.を2eqのHが吸収されるまでH雰囲気下14℃で攪拌した。触媒をケイソウ土で濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)95/5)により精製した。生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.010gの化合物8(23%)。
【0322】
実施例B9
化合物9の製造
【0323】
【化87】

【0324】
中間体27(0.278g、0.99mmol)、Pd(dba)(0.083g、0.09mmol)、X−Phos(0.095g、0.2mmol)およびCsCO(0.885g、2.72mmol)を2−メチル−2−プロパノール(10ml)中の中間体34(0.185g、0.91mmol)の溶液に添加した。該r.m.を70℃で16h加熱した。冷却した後にHOを添加しかつ該r.m.をDCMで希釈しかつケイソウ土で濾過した。濾液をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH(NH)100/0から98/2まで)により精製し、そして生成物画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.092gの化合物9(25%)。
【0325】
実施例B10
化合物10の製造
【0326】
【化88】

【0327】
中間体36(0.094g、0.308mmol)、Pd(dba)(0.028g、0.031mmol)、X−Phos(0.032g、0.068mmol)およびCsCO(0.301g、0.92mmol)を2−メチル−2−プロパノール(5ml)中の中間体2a(0.062g、0.308mmol)の溶液に添加した。該r.m.を110℃で20h加熱した。冷却した後にHOを添加し、そして生成物をDCMで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH 100/0から98/2まで)により精製した。生成物画分を収集しかつ減圧下に濃縮した。収量:0.070gの化合物10(53%)。
【0328】
表1aおよび1b中の化合物1ないし57は上の実施例の1つへの類似性により製造し
た化合物を列挙する。塩の形態が示されない場合は、該化合物を遊離塩基として得た。「Pr.」は実施例番号を指し、そのプロトコルに従って該化合物を合成した。「Co.No.」は化合物番号を意味している。
【0329】
HCl塩の形態を得るため、当業者に既知の数種の手順を使用した。典型的な一手順において、例えば、粗残渣(遊離塩基)をDIPE若しくはEtOに溶解し、そしてその後2−プロパノール中6N HCl溶液若しくはEtO中1N HCl溶液を一滴ずつ添加した。該混合物を10分間攪拌しかつ生成物を濾過分離した。HCl塩を真空中で乾燥した。
【0330】
【表1a−1】

【0331】
【表1a−2】

【0332】
【表1a−3】

【0333】
【表1a−4】

【0334】
【表1a−5】

【0335】
【表1b】

【0336】
分析の部
LCMS(液体クロマトグラフィー/質量分析)
一般的手順A
LC測定は、二連ポンプ(binary pump)、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃に設定される)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および下のそれぞれの方法に明記されるところのカラムを含んでなるAcquity UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)(Waters)装置を使用して実施した。カラムからの流れをMS分析計に分割した。MS検出器はエレクトロスプレーイオン化源を伴い構成された。質量スペクトルは、0.02秒の滞留時間を使用して0.18秒で100から1000まで走査することにより取得した。キャピラリー針電圧は3.5kVであり、そしてイオン化源温度は140℃で維持した。Nをネブライザーガスとして使用した。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0337】
一般的手順B
HPLC測定は、脱気装置付き四連ポンプ(quaternary pump)、オートサンプラー、カラムオーブン(別の方法で示されない限り45℃に設定される)、DADおよび下のそれぞれの方法に明記されるところのカラムを含んでなるAlliance
HT 2790(Waters)装置を使用して実施した。カラムからの流れをMS分析計に分割した。MS検出器はエレクトロスプレーイオン化源を伴い構成された。質量スペクトルは、0.1秒の滞留時間を使用し1秒に100から1000まで走査することにより取得した。キャピラリー針電圧は3kVであり、そしてイオン化源温度は140℃で維持した。Nをネブライザーガスとして使用した。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。
【0338】
LCMS法1
一般的手順Aに加え:逆相UPLCは、0.8ml/minの流速を用い架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で実施した。2種の移動相(HO中25mM NHOAc/CHCN 95/5;移動相B:CHCN)を使用して、95%Aおよび5%Bから1.3分(min)で5%Aおよび95%Bまでの勾配条件を運転し、そして0.3min保持した。0.5μlの注入容量を使用した。コーン電圧は陽イオン化モードについて10Vおよび陰イオン化モードについて20Vであった。
【0339】
LCMS法2
一般的手順Aに加え:逆相UPLCは、0.8ml/minの流速を用いBEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で実施した。2種の移動相(移動相A:HO中0.1%ギ酸/MeOH 95/5;移動相B:MeOH)を使用して、95%Aおよび5%Bから1.3minで5%Aおよび95%Bまでの勾配条件を運転し、そして0.2min保持した。0.5μlの注入容量を使用した。コーン電圧は陽イオン化モードについて10Vおよび陰イオン化モードについて20Vであった。
【0340】
LCMS法3
一般的手順Bに加え:逆相HPLCは、1.6ml/minの流速を用いAtlantis C18カラム(3.5μm、4.6×100mm)で実施した。2種の移動相(移動相A:70%MeOH+30%HO;移動相B:HO/MeOH 95/5中1%ギ酸)を使用して、100%Bから9minで5%B+95%Aまでの勾配条件を運転し、そしてこれらの条件を3min保持した。10μlの注入容量を使用した。コーン電圧は陽イオン化モードについて10Vおよび陰イオン化モードについて20Vであった。
【0341】
LCMS方法4
一般的手順Aに加え:逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)を、0.8ml/minの流速を用いBEH C18カラム(1.7μm、2.1×50mm;Waters Acquity)で実施した。2種の移動相(25mM NHOAc/CHCN 95/5;移動相B:CHCN)を使用して、95%Aおよび5%Bから1.3minで5%Aおよび95%Bまで勾配条件を運転し、そして0.3min保持した。0.5μlの注入容量を使用した。コーン電圧は陽イオン化モードについて30Vおよび陰イオン化モードについて30Vであった。
【0342】
LCMS法5
一般的手順Bに加え:カラムヒーターを60℃に設定した。逆相HPLCを、1.6ml/minの流速を用いXterra MS C18カラム(3.5μm、4.6×100mm)で実施した。3種の移動相(移動相A:95%25mM NHOAc+5%CHCN;移動相B:CHCN;移動相C:MeOH)を使用して、100%Aから6.5分で50%Bおよび50%Cへ、0.5minで100%Bまでの勾配条件を運転し、ならびにこれらの条件を1min保持し、そして100%Aで1.5min再平衡化した。10μlの注入容量を使用した。コーン電圧は陽イオン化モードについて10Vおよび陰イオン化モードについて20Vであった。
【0343】
融点
多数の化合物について、融点(m.p.)をDSC823e(Mettler−Toledo)を用いて測定した。融点は30℃/minの温度勾配を用いて測定した。最高温度は400℃であった。値はピーク値である。
【0344】
分析的測定の結果を表2に示す。
【0345】
【表2−1】

【0346】
【表2−2】

【0347】
NMR
多数の化合物について、H NMRスペクトルを、溶媒としてクロロホルム−d(重水素化クロロホルム、CDCl)若しくはDMSO−d(重水素化DMSO、ジメチル−d6スルホキシド)を使用して、それぞれ360MHzおよび400MHzで作動する、標準的パルスシーケンスを用いるBruker DPX−360若しくはBruker DPX−400分光計で記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)に関する百万分率(ppm)で報告する。
【0348】
化合物番号1:(360MHz、CDCl)δppm 2.31(s、3H)、3.84(s、3H)、3.92(s、3H)、6.89(s、1H)、6.92−7.01(m、4H)、7.02−7.09(m、1H)、7.09−7.15(m、1H)、7.19(d、J=8.3Hz、1H)、7.24(d、J=8.3Hz、1H)、7.39−7.48(m、2H)、7.49−7.56(m、1H)、7.64(s、1H)、8.38(s、1H)。
化合物番号2:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.14(s、3H)、2.64(s、3H)、3.75(s、3H)、3.84(s、3H)、6.92−7.00(m、2H)、7.01(s、1H)、7.09−7.16(m、3H)、7.19(d、J=8.5Hz、1H)、7.23−7.31(m、3H)、7.52(t、J=8.4Hz、1H)、7.63(d、J=1.1Hz、1H)、8.33(s、1H)。
化合物番号3:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.91(t、J=7.3Hz、3H)、1.27(sxt、J=7.3Hz、2H)、1.92(quin、J=7.3Hz、2H)、2.34(s、3H)、3.79(s、3H)、4.44(t、J=6.9Hz、2H)、6.91−7.01(m、2H)、7.10(d、J=7.3Hz、1H)、7.16(d、J=2.2Hz、1H)、7.28(d、J=8.4Hz、1H)、7.37(d、J=8.4Hz、1H)、7.65(s、1H)、8.38(s、1H)、8.54(br.s.、1H)、9.28(d、J=1.5Hz、1H)、14.84(br.s.、1H)。
化合物番号4:(360MHz、CDCl)δppm 2.61(s、3H)、2.65(s、3H)、3.88(s、3H)、6.89(s、1H)、6.99−7.06(m、2H)、7.10−7.16(m、2H)、7.20(d、J=8.1Hz、1H)、7.46(t、J=8.4Hz、1H)、7.58(d、J=8.8Hz、1H)、7.72(dd、J=8.8、2.6Hz、1H)、7.83(s、1H)、8.64(d、J=2.6Hz、1H)。
化合物番号5:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.39(s、3H)2.64(s、3H)3.80(s、3H)3.84(s、3H)6.95−7.04(m、2H)7.09−7.19(m、3H)7.22−7.35(m、3H)7.43(d、J=8.78Hz、1H)7.52(t、J=8.42Hz、1H)9.05(br.s.、1H)。
化合物番号6:(360MHz、CDCl)δppm 2.53(s、3H)3.95(s、3H)5.00(q、J=8.42Hz、2H)6.83(s、1H)6.92(d、J=1.83Hz、1H)6.99(dd、J=8.42、1.83Hz、1H)7.06(t、J=7.68Hz、1H)7.14(d、J=6.95Hz、1H)7.18(d、J=8.42Hz、1H)7.30(s、1H)7.67(d、J=8.42Hz、1H)8.01(s、1H)。
化合物番号7:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.63(s、3H)3.84(s、3H)3.87(s、3H)6.98(t、J=7.68Hz、1H)7.07(d、J=7.32Hz、1H)7.09−7.17(m、3H)7.22−7.32(m、3H)7.48−7.58(m、2H)7.79(s、1H)7.93−8.03(m、1H)8.41(s、1H)。
化合物番号8:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.02(br.s.、2H)2.45(s、3H)4.06(s、2H)6.94−7.02(m、1H)7.08(d、J=7.32Hz、1H)7.31(s、1H)7.35(m、J=8.78Hz、2H)7.43(d、J=6.22Hz、1H)7.44−7.50(m、2H)7.53(m、J=8.42Hz、2H)7.84−7.92(m、2H)8.41(s、1H)。
化合物番号9:(360MHz、CDCl)δppm 2.30(s、3H)、3.82(s、3H)、4.23(s、3H)、6.76(s、1H)、6.88(s、1H)、6.90−6.96(m、2H)、7.01(t、J=7.7Hz、1H)、7.11(d、J=7.3Hz、1H)、7.14−7.22(m、2H)、7.63(s、1H)、7.88(s、1H)。
化合物番号10:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.92(t、J=7.3Hz、3H)、1.32(sxt、J=7.3Hz、2H)、1.85(quin、J=7.3Hz、2H)、2.34(s、3H)、2.63(s、3H)、3.79(s、3H)、4.37(t、J=7.3Hz、2H)、6.87−6.99(m、2H)、7.09(d、J=7.2Hz、1H)、7.14(d、J=2.2Hz、1H)、7.26(d、J=8.3Hz、1H)、7.37(d、J=8.6Hz、1H)、7.64(s、1H)、8.48(br.s.、1H)、9.28(d、J=1.5Hz、1H)、15.01(br.s.、1H)。
化合物番号11:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.91(t、J=7.32Hz、3H)1.28(sxt、J=7.32Hz、2H)1.94(quin、J=7.32Hz、2H)2.35(d、J=0.73Hz、3H)3.82(s、3H)4.50(t、J=7.32Hz、2H)7.08−7.15(m、2H)7.27(d、J=2.20Hz、1H)7.47(d、J=8.78Hz、1H)7.68(t、J=1.10Hz、1H)7.91(d、J=1.10Hz、1H)8.65(s、1H)8.89(br.s.、1H)9.32(d、J=1.46Hz、1H)14.99(br.s.、1H)。
化合物番号12:(400MHz、DMSO−d)δppm 0.91(t、J=7.27Hz、3H)1.26(sxt、J=7.27Hz、2H)1.92(quin、J=7.27Hz、2H)2.36(s、3H)3.83(s、3H)4.01(q、J=5.65Hz、2H)4.44(t、J=6.86Hz、2H)7.16(dd、J=8.68、2.22Hz、1H)7.23(d、J=1.21Hz、1H)7.24(d、J=2.02Hz、1H)7.35(s、1H)7.40(d、J=8.48Hz、1H)7.63(t、J=1.21Hz、1H)8.42(br.s.、2H)8.45(s
、1H)8.59(br.s.、1H)9.29(d、J=1.61Hz、1H)15.04(br.s.、1H)。
化合物番号13:(360MHz、CDCl)δppm 0.54−0.63(m、2H)0.77−0.85(m、2H)1.47−1.61(m、1H)2.54(s、3H)3.87(s、3H)4.44(d、J=7.32Hz、2H)6.94−7.09(m、3H)7.14−7.23(m、2H)7.30−7.39(m、2H)7.90(br.s.、1H)8.22(s、1H)8.40(br.s.、1H)。
化合物番号14:(360MHz、CDCl)δppm 1.21(d、J=6.9Hz、6H)、1.48(t、J=6.9Hz、3H)、2.00(s、3H)、2.30(s、3H)、2.42(s、3H)、3.23−3.43(m、1H)、3.80(s、3H)、4.11(q、J=6.9Hz、2H)、6.80(s、1H)、6.87(s、1H)、6.90−6.96(m、3H)、6.99−7.06(m、1H)、7.11(s、1H)、7.13−7.21(m、3H)、7.63(d、J=1.3Hz、1H)。
化合物番号15:(360MHz、CDCl)δppm 2.30(s、3H)、3.81(s、3H)、5.57(s、2H)、6.83(s、1H)、6.88(s、1H)、6.90−6.97(m、2H)、7.00−7.13(m、4H)、7.14−7.19(m、2H)、7.23−7.28(m、2H)、7.63(s、1H)、7.87(s、1H)。
化合物番号16:(360MHz、CDCl)δppm 2.31(s、3H)、2.34(t、J=1.8Hz、3H)、3.83(s、3H)、6.89(d、J=5.1Hz、2H)、6.92−6.99(m、2H)、7.01−7.10(m、2H)、7.14(d、J=6.9Hz、1H)、7.19(d、J=8.3Hz、1H)、7.25(d、J=6.9Hz、1H)、7.64(d、J=1.1Hz、1H)、7.81(td、J=8.8、5.8Hz、1H)、8.37(d、J=2.7Hz、1H)。
化合物番号17:(360MHz、CDCl)δppm 2.49(s、3H)3.87(s、3H)4.23(s、3H)6.81(s、1H)6.94−6.99(m、2H)7.03(t、J=7.68Hz、1H)7.12(d、J=6.95Hz、1H)7.20(d、J=8.05Hz、1H)7.58(d、J=9.15Hz、1H)7.88(s、1H)8.48(s、1H)。
化合物番号19:(360MHz、CDCl)δppm 2.50(s、3H)、3.90(s、3H)、3.93(s、3H)、6.93−7.09(m、5H)、7.13(d、J=7.3Hz、1H)、7.24(d、J=7.3Hz、1H)、7.42−7.48(m、2H)、7.50−7.53(m、1H)、7.62(d、J=8.3Hz、1H)、8.38(s、1H)、8.50(s、1H)。
化合物番号20:(360MHz、CDCl)δppm 1.21(d、J=6.6Hz、6H)、1.48(t、J=7.0Hz、3H)、2.00(s、3H)、2.42(s、3H)、2.49(s、3H)、3.33(spt、J=6.8、6.6Hz、1H)、3.86(s、3H)、4.11(q、J=7.0Hz、2H)、6.79(s、1H)、6.92−6.96(m、2H)、6.97−7.06(m、2H)、7.11(s、1H)、7.15−7.22(m、2H)、7.56(d、J=8.8Hz、1H)、8.46(s、1H)。
化合物番号22:(360MHz、CDCl)δppm 2.10−2.32(m、4H)、2.50(s、3H)、2.63(s、2H)、4.42(t、J=6.7Hz、2H)、6.79(s、1H)、6.96−7.05(m、1H)、7.05−7.23(m、4H)、7.67(t、J=8.4Hz、1H)、8.42(d、J=2.6Hz、1H).
化合物番号23:(360MHz、CDCl)δppm 2.34(s、3H)、2.51(s、3H)、6.96(s、1H)、7.01−7.26(m、5H)、7.31(d、J=8.4Hz、1H)、7.70(t、J=8.8Hz、1H)、7.80(t
d、J=8.8、5.8Hz、1H)、8.38(d、J=2.6Hz、1H)、8.44(d、J=2.6Hz、1H)。
化合物番号24:(360MHz、CDCl)δppm 2.52(s、3H)4.23(s、3H)6.78(br.s.、1H)7.00(t、J=7.87Hz、1H)7.07−7.13(m、2H)7.17(d、J=8.42Hz、1H)7.32(m、J=8.42Hz、2H)7.56(m、J=8.78Hz、2H)7.86(s、1H)。
化合物番号25:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.42−0.51(m、2H)0.54−0.63(m、2H)1.33−1.52(m、1H)2.50(s、3H)4.30(d、J=7.32Hz、2H)6.91−6.99(m、1H)7.04(d、J=7.32Hz、1H)7.24(d、J=8.05Hz、1H)7.34(m、J=8.78Hz、2H)7.42(s、1H)7.54(m、J=8.78Hz、2H)8.41(s、1H)。
化合物番号26:(360MHz、DMSO−d)δppm 1.80−1.98(m、2H)2.47(s、3H)2.48−2.56(m、2H)2.61−2.76(m、2H)5.16(quin、J=8.42Hz、1H)6.95(t、J=8.42、7.32Hz、1H)7.02(d、J=7.32Hz、1H)7.20(d、J=8.05Hz、1H)7.29−7.39(m、3H)7.54(m、2H)8.44(s、1H)。
化合物番号27:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.47(s、3H)3.25(s、3H)3.84(t、J=5.12Hz、2H)4.59(t、J=5.12Hz、2H)6.95(t、J=8.05、7.32Hz、1H)7.02(d、J=7.32Hz、1H)7.22(d、J=8.05Hz、1H)7.29−7.39(m、3H)7.53(m、2H)8.33(s、1H)。
化合物番号28:(360MHz、CDCl)δppm 2.14−2.38(m、4H)2.52(s、3H)3.62(td、J=11.25、3.11Hz、2H)4.10−4.27(m、2H)4.57−4.72(m、1H)6.84(s、1H)7.00(t、J=7.68Hz、1H)7.07−7.13(m、2H)7.18(d、J=8.05Hz、1H)7.34(m、2H)7.56(m、2H)7.94(s、1H)。
化合物番号29:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.45(s、3H)、2.64(s、3H)、3.84(s、3H)、6.93−7.00(m、1H)、7.07(d、J=6.9Hz、1H)、7.10−7.15(m、1H)、7.23−7.29(m、3H)、7.31(s、1H)、7.35(d、J=8.8Hz、2H)、7.46−7.58(m、3H)、8.39(s、1H)。
化合物番号30:(360MHz、CDCl)δppm 1.21(d、J=6.9Hz、6H)、1.47(t、J=6.9Hz、3H)、2.00(s、3H)、2.41(s、3H)、2.52(s、3H)、3.33(spt、J=6.9Hz、1H)、4.11(q、J=6.9Hz、2H)、6.79(s、1H)、6.94(br.s.、1H)、6.99−7.05(m、1H)、7.09(s、1H)、7.11(s、1H)、7.16(d、J=8.1Hz、2H)、7.32(m、J=8.4Hz、2H)、7.54(m、J=8.4Hz、2H)。
化合物番号31:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.46(s、3H)、2.61(s、3H)、6.94−7.00(m、1H)、7.08(d、J=7.0Hz、1H)、7.26(d、J=8.3Hz、1H)、7.30−7.39(m、3H)、7.46(t、J=8.8Hz、2H)、7.53(d、J=8.8Hz、2H)、7.70−7.81(m、2H)。
化合物番号32:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.47(s、3H)7.21(dd、J=6.59、1.46Hz、1H)7.28−7.38(m、3H)7.42(d、J=8.78Hz、2H)7.52−7.64(m、4H)7.96−8.
08(m、2H)8.97(s、1H)。
化合物番号33:(360MHz、CDCl)δppm 2.34(t、J=1.8Hz、3H)、2.53(s、3H)、6.91(s、1H)、7.00−7.09(m、2H)、7.11(s、1H)、7.13(d、J=7.3Hz、1H)、7.23(d、J=8.1Hz、1H)、7.35(m、J=8.8Hz、2H)、7.58(m、J=8.4Hz、2H)、7.82(td、J=8.8、5.8Hz、1H)、8.36(d、J=2.6Hz、1H)。
化合物番号34:(360MHz、CDCl)δppm 2.53(s、3H)6.08(s、2H)6.93(d、J=8.42Hz、1H)6.96(s、1H)7.00−7.07(m、1H)7.09−7.13(m、2H)7.20(d、J=8.05Hz、1H)7.32(dd、J=8.42、2.20Hz、1H)7.35(m、2H)7.42(d、J=2.20Hz、1H)7.57(m、2H)8.25(s、1H)。化合物番号35:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.47(s、3H)2.60(s、3H)3.85(s、3H)7.09(d、J=6.22Hz、1H)7.14−7.20(m、1H)7.27−7.33(m、2H)7.37(s、1H)7.54(t、J=8.23Hz、1H)7.59(m、2H)7.66(d、J=6.22Hz、1H)8.22(m、2H)9.43(s、1H)。
化合物番号36:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.10(s、3H)3.25(s、3H)3.76(s、3H)3.85(t、J=5.31Hz、2H)4.60(t、J=5.31Hz、2H)6.90−6.99(m、2H)7.06(d、J=1.83Hz、1H)7.11(d、J=6.95Hz、1H)7.20(d、J=8.42Hz、1H)7.24(d、J=8.05Hz、1H)8.28(s、1H)8.34(s、1H)。
化合物番号37:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.40−0.53(m、2H)0.53−0.65(m、2H)1.31−1.53(m、1H)2.10(s、3H)3.76(s、3H)4.30(d、J=7.32Hz、2H)6.92−7.00(m、2H)7.06(d、J=1.83Hz、1H)7.11(d、J=7.32Hz、1H)7.20(d、J=8.42Hz、1H)7.24(d、J=8.05Hz、1H)8.27(s、1H)8.40(s、1H)。
化合物番号38:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.42−0.50(m、2H)0.54−0.63(m、2H)1.29−1.51(m、1H)2.46(s、3H)3.87(s、3H)4.30(d、J=7.32Hz、2H)6.92−7.01(m、2H)7.06−7.11(m、2H)7.21(s、1H)7.23(d、J=8.05Hz、1H)7.49(d、J=8.42Hz、1H)8.39(s、1H)。
化合物番号39:(400MHz、DMSO−d)δppm 2.10(s、3H)2.64(s、3H)3.76(s、3H)3.84(s、3H)6.94−7.03(m、2H)7.07(d、J=2.02Hz、1H)7.10−7.18(m、2H)7.21(d、J=8.07Hz、1H)7.24−7.31(m、3H)7.52(t、J=8.28Hz、1H)8.25(s、1H)。
化合物番号40:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.45(s、3H)、2.62(s、3H)、3.86(s、3H)、6.98−7.05(m、2H)、7.09(d、J=2.2Hz、1H)、7.14(d、J=6.9Hz、1H)、7.19(s、1H)、7.27(d、J=8.1Hz、1H)、7.41−7.53(m、3H)、7.71−7.82(m、2H)、8.39(s、1H)。
化合物番号42:(360MHz、CDCl)δppm 2.52(s、3H)2.61(s、3H)3.90(s、3H)4.02(s、3H)6.93(d、J=6.22Hz、1H)7.04−7.16(m、3H)7.32(s、1H)7.38(dd、J=8.42、1.83Hz、1H)7.49(t、J=8.23Hz、1H)7.63−7.69(m、2H)7.79(d、J=6.22Hz、1H)7.98(d、J=1.
83Hz、IH)。
化合物番号43:(360MHz、DMSO−d)δppm 0.38−0.50(m、2H)0.54−0.65(m、2H)1.30−1.50(m、1H)2.53(s、3H)4.28(br.s.、2H)7.02(t、J=7.68Hz、1H)7.11(d、J=6.95Hz、1H)7.42(d、J=8.05Hz、1H)7.72−7.87(m、2H)7.87−7.98(m、1H)8.43(s、1H)8.47(s、1H)9.22(br.s.、1H)。
化合物番号44:(360MHz、CDCl)δppm 2.57(s、3H)5.01(q、J=8.42Hz、2H)6.79(s、1H)7.01−7.11(m、2H)7.23(dd、J=7.68、1.83Hz、1H)7.43(s、1H)7.57(d、J=8.42Hz、1H)7.71(dd、J=8.42、2.56Hz、1H)8.03(s、1H)8.61(d、J=2.56Hz、1H)。
化合物番号46:(360MHz、CDCl)δppm 2.61(s、3H)、2.62(s、3H)、6.85(s、1H)、6.97−7.07(m、1H)、7.12(d、J=6.9Hz、1H)、7.19(d、J=8.1Hz、1H)、7.22−7.32(m、2H)、7.52−7.61(m、3H)、7.71(dd、J=8.8、2.9Hz、1H)、7.83(s、1H)、8.64(d、J=2.6Hz、1H)。化合物番号48:(360MHz、CDCl)δppm 1.41(d、J=6.95Hz、6H)3.15(spt、J=6.95Hz、1H)5.00(q、J=8.29Hz、2H)6.82(s、1H)7.05(t、J=7.68Hz、1H)7.10(d、J=6.95Hz、1H)7.13(s、1H)7.17(d、J=8.05Hz、1H)7.34(m、J=8.42Hz、2H)7.59(m、J=8.42Hz、2H)8.01(s、1H)。
化合物番号49:(360MHz、CDCl)δppm 2.71(s、3H)3.90(s、3H)4.22(s、3H)6.81(s、1H)6.88−6.96(m、2H)7.02(t、J=7.68Hz、1H)7.13(d、J=7.68Hz、1H)7.17(d、J=8.42Hz、1H)7.49(d、J=8.42Hz、1H)7.86(s、1H)7.90(s、1H)。
化合物番号50:(360MHz,CDCl)δppm 2.34(t、J=2.0Hz、3H)、2.72(s、3H)、3.92(s、3H)、6.90−6.95(m、2H)、6.97(dd、J=8.2、2.0Hz、1H)、7.01−7.08(m、2H)、7.16(d、J=6.9Hz、1H)、7.24(dd、J=8.4、0.7Hz、1H)、7.51(d、J=8.1Hz、1H)、7.82(td、J=8.5、6.0Hz、1H)、7.92(s、1H)、8.36(d、J=2.6Hz、1H)。化合物番号51:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.43(s、3H)2.47(s、3H)3.91(s、3H)5.46(q、J=9.03Hz、2H)6.85(s、1H)7.15(dd、J=8.42、1.83Hz、1H)7.22(d、J=1.83Hz、1H)7.30(s、1H)7.61(d、J=8.42Hz、1H)8.47(s、1H)9.11(s、1H)。
化合物番号52:(360MHz、CDCl)δppm 2.31(d、J=0.73Hz、3H)5.00(q、J=8.42Hz、2H)6.84(s、1H)6.93(q、J=1.46Hz、1H)7.03−7.09(m、2H)7.13(dd、J=7.32、0.73Hz、1H)7.20(dd、J=12.62、2.38Hz、1H)7.23−7.30(m、2H)7.66(t、J=1.46Hz、1H)8.03(s、1H)。
化合物番号53:(360MHz、DMSO−d)δppm 2.64(s、3H)3.84(s、3H)3.86(s、3H)6.34(d、J=1.83Hz、1H)6.98(t、J=7.86Hz、1H)7.06−7.16(m、2H)7.23−7.29(m、3H)7.35−7.43(m、4H)7.45(d、J=1.83Hz、1H)7.52(t、J=8.23Hz、1H)。
化合物番号54:(360MHz、CDCl)δppm 2.30(d、J=0.73Hz、3H)4.07(s、3H)5.01(q、J=8.42Hz、2H)6.60(d、J=8.05Hz、1H)6.89(t、J=1.10Hz、1H)7.12(dd、J=8.60、7.50Hz、1H)7.22−7.29(m、1H)7.44(d、J=8.42Hz、1H)7.56(s、1H)7.64(d、J=1.10Hz、1H)8.03(s、1H)8.05(d、J=7.32Hz、1H)。
化合物番号55:(360MHz、CDCld)δppm 2.31(s、3H)5.06(q、J=8.05Hz、2H)6.58(s、1H)6.94(s、1H)7.10(dd、J=8.60、2.38Hz、1H)7.19(dd、J=12.26、2.38Hz、1H)7.30(t、J=8.60Hz、1H)7.68(s、1H)8.25(s、1H)8.33(s、1H)8.83(s、1H)。
化合物番号56:(360MHz、CDCl)δppm 1.32(d、J=6.95Hz、6H)2.51(s、3H)2.96−3.13(m、J=13.79、6.89、6.89、6.89、6.89Hz、1H)3.93(s、3H)4.98(q、J=8.29Hz、2H)6.87(s、1H)7.02−7.14(m、3H)7.75(d、J=8.42Hz、1H)8.15(s、1H)8.58(s、1H)。
化合物番号57:(360MHz、DMSO−d)δppm 1.27(d、J=6.95Hz、6H)2.16(s、3H)3.05(spt、J=6.95Hz、1H)4.06(s、3H)5.47(q、J=9.15Hz、2H)7.13(s、1H)7.16(d、J=8.42Hz、1H)7.74(d、J=8.42Hz、1H)7.77(d、J=1.10Hz、1H)8.26(s、1H)8.57(s、1H)9.82(s、1H)。
【0349】
薬理学
A)γ分泌酵素調節活性についての本発明の化合物のスクリーニング
A1)方法1
スクリーニングは、1%非必須アミノ酸を補充された5%血清/Feを含有するGibcoにより提供されるダルベッコ変法イーグル培地/栄養素混合物F−12(DMEM/NUT−mix F−12)(HAM)(カタログ番号31330−38)中で増殖させた、野生型APP695を保有するSKNBE2細胞を使用して実施した。細胞はコンフルエンシー近くまで増殖させた。
【0350】
該スクリーニングは、Citronら(1997)Nature Medicine 3:67に記述されるところのアッセイを使用して実施した。簡潔には、細胞を化合物の添加1日前に約10細胞/mlで96ウェルプレートにプレーティングした。化合物は、1%グルタミン(Invitrogen、25030−024)を補充したUltraculture(Lonza、BE12−725F)中の細胞に18時間添加した。培地をAβ42およびAβtotalについて2種のサンドイッチELISAによりアッセイした。化合物の毒性は製造元のプロトコルに従ってWST−1細胞増殖試薬(Roche、1 644 807)によりアッセイした。
【0351】
細胞上清中のAβ42の量を定量するため、商業的に入手可能な酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)キットを使用した(Innotest(R) β−Amyloid(1−42)、Innogenetics N.V.、ベルギー・ゲント)。Aβ42 ELISAは本質的に製造元のプロトコルに従って実施した。簡潔には、標準(合成Aβ1−42の希釈)を、8000から3.9pg/mlまで(1/2希釈段階)の最終濃度でポリプロピレン製エッペンドルフ中で調製した。サンプル、標準およびブランク(100μl)を、該キットとともに供給される抗Aβ42被覆プレートに添加した(該捕捉抗体は該抗原のC末端を選択的に認識する)。プレートを、抗体−アミロイド複合体の形成を可能にするために25℃で3hインキュベートさせた。このインキュベーションおよびその
後の洗浄段階後に、選択的抗Aβ抗体複合物(ビオチニル化3D6)を添加し、そして、抗体−アミロイド−抗体複合物の形成を可能にするために最低1時間インキュベートした。インキュベーションおよび十分な洗浄段階後に、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合物を添加し、次いで30分後に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)/過酸化物混合物を添加して、基質の着色した生成物への転化をもたらした。この反応を硫酸(0.9N)の添加により停止し、そして色強度を450nmのフィルターを伴うELISAリーダーを用いる測光によって測定した。
【0352】
細胞上清中のAβtotalの量を定量するため、サンプルおよび標準を6E10被覆プレートに添加した。プレートを、抗体−アミロイド複合体の形成を可能にするために4℃で一夜インキュベートさせた。このインキュベーションおよびその後の洗浄段階後に選択的抗Aβ抗体複合物(ビオチニル化4G8)を添加し、そして抗体−アミロイド−抗体複合体の形成を可能にするために最低1時間インキュベートした。インキュベーションおよび十分な洗浄段階後に、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合物を添加し、次いで30分後に製造元の説明書(Pierce Corp.、イリノイ州ロックフォード)に従ってQuanta Blu蛍光発生性ペルオキシダーゼ基質を添加した。
【0353】
表3aに報告される値を得るため、S字状用量反応曲線を、コンピュータ化したカーブフィッティングにより解析し、阻害パーセントを化合物濃度に対しプロットした。XLfitの4パラメータ等式(モデル205)を使用してIC50を決定した。曲線の最大および最小をそれぞれ100および0に固定し、そしてヒル勾配(hill slope)を1に固定した。IC50は生物学的効果を50%阻害するのに必要とされる化合物濃度を表す(ここではそれはAβペプチドレベルが50%低下される濃度である)。
【0354】
IC50値を表3aに示す。すなわち
【0355】
【表3a】

【0356】
A2)方法2
スクリーニングは、1%非必須アミノ酸、l−グルタミン2mM、Hepes 15mM、ペニシリン50U/ml(単位/ml)およびストレプトマイシン50μg/mlを補充した5%血清/Feを含有するInvitrogenにより提供されるダルベッコ変法イーグル培地/栄養素混合物F−12(DMEM/NUT−mix F−12)(HA
M)(カタログ番号10371−029)中で増殖させた、野生型APP695を保有するSKNBE2細胞を使用して実施した。細胞はコンフルエンシー近くまで増殖させた。
【0357】
該スクリーニングは、Citronら(1997)Nature Medicine 3:67に記述されるところのアッセイの変法を使用して実施した。簡潔には、細胞を、多様な試験濃度の試験化合物の存在下に、1%グルタミン(Invitrogen、25030−024)、1%非必須アミノ酸(NEAA)、ペニシリン50U/mlおよびストレプトマイシン50μg/mlを補充したUltraculture(Lonza、BE12−725F)中10細胞/ウェルで384ウェルプレートにプレーティングした。細胞/化合物混合物を37℃、5%COで一夜インキュベートした。次の日に培地をAβ42およびAβtotalについて2種のサンドイッチイムノアッセイによりアッセイした。
【0358】
ABtotalおよびAβ42濃度を、Aphalisa技術(Perkin Elmer)を使用して細胞上清中で定量した。Alphalisaは、ストレプトアビジン被覆ドナービーズに結合させたビオチニル化抗体およびアクセプタービーズに複合させた抗体を使用するサンドイッチアッセイである。抗原の存在下で該ビーズは緊密に接近する。ドナービーズの励起が一重項酸素分子の放出を惹起し、これがアクセプタービーズでのエネルギー転移のカスケードを誘発して発光をもたらす。細胞上清中のAβ42の量を定量するために、Aβ42のC末端に特異的なモノクローナル抗体(JRF/cAβ42/26)をレセプタービーズに結合し、また、AβのN末端に特異的なビオチニル化抗体(JRF/AβN/25)をドナービーズと反応させるのに使用した。細胞上清中のAβtotalの量を定量するために、AβのN末端に特異的なモノクローナル抗体(JRF/AβN/25)をレセプタービーズに結合し、また、Aβの中央領域に特異的なビオチニル化抗体(ビオチニル化4G8)をドナービーズと反応させるのに使用した。
【0359】
表3bに報告される値を得るため、データを、試験化合物の非存在下で測定されたアミロイドβ42の最大量のパーセンテージとして計算した。S字状用量反応曲線を、非線形回帰分析を使用して解析し、対照のパーセンテージを化合物の対数濃度に対しプロットした。4パラメータ等式を使用してIC50を決定した。
【0360】
IC50値を表3bに示す(「n.d.」は測定されないを意味している)。すなわち
【0361】
【表3b−1】

【0362】
【表3b−2】

【0363】
B)in vivo有効性の実証
本発明のAβ42低下剤は、ヒトのような哺乳動物でADを処置するため、または、あるいは、限定されるものでないがマウス、ラット若しくはモルモットを挙げることができる動物モデルにおける有効性を実証するのに使用し得る。哺乳動物はADと診断されていなくてもよいか、若しくはADに対する遺伝的素因を有しなくてもよいが、しかし、それがADに苦しめられているヒトで見られるものに類似の様式でAβを過剰発現しかつ最終的に沈着するようなトランスジェニックでありうる。
【0364】
Aβ42低下剤はいずれの標準的形態でもいずれの標準的方法を使用しても投与し得る。例えば、限定されるものでないが、Aβ42低下剤は、経口で若しくは注入により服用
される液体、錠剤若しくはカプセル剤の形態にあり得る。Aβ42低下剤は血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)若しくは脳中のAβ42のレベルを大きく低下させるのに十分であるいかなる用量でも投与し得る。
【0365】
Aβ42低下剤の急性投与がin vivoでAβ42レベルを低下させることができるかどうかを確認するため、非トランスジェニックげっ歯類例えばマウス若しくはラットを使用した。あるいは、「スウェーデン型」バリアントを含有するAPP695を発現する2ないし3月齢のTg2576マウス、若しくは、ヒトアミロイド前駆体タンパク質の臨床変異体[V717I]のニューロン特異的発現を伴うFred Van Leuven博士(ルーベン大学、ベルギー)らにより開発されたトランスジェニックマウスモデル(Moecharsら、1999 J.Biol.Chem.274、6483)を使用し得る。若齢トランスジェニックマウスは脳中のAβの高レベルを有するがしかし検出可能なAβ沈着を有しない。およそ6〜8月齢で、該トランスジェニックマウスは脳中でβアミロイド(Aβ)の自発的進行性蓄積を表すことを開始し、最終的に鉤状回、海馬および皮質内のアミロイド斑をもたらす。Aβ42低下剤で処置した動物を検査し、そして処置されない若しくはベヒクルで処置されたものと比較し、そして可溶性Aβおよび全Aβの脳レベルを標準的技術により、例えばELISAを使用して定量することができた。処置期間は、数時間から数日まで変動し、そして、効果の発生の時間経過を一旦確立し得ればAβ42低下の結果に基づき調節した。
【0366】
in vivoでのAβ42低下を測定するための典型的プロトコルが示されるが、しかしそれは検出可能なAβのレベルを最適化するのに使用し得る多くの変形の1つにすぎない。例えば、Aβ42低下化合物を水中の20%のCaptisol(R)(βシクロデキストリンのスルホブチルエーテル)若しくは20%ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン中で処方した。該Aβ42低下剤を、一夜絶食動物に単回経口用量として若しくはいずれかの許容できる投与経路により投与した。4時間後に動物を殺しかつAβ42レベルを分析した。
【0367】
断頭およびEDTA処理収集チューブ中への全採血により血液を収集した。血液を1900gで4℃で10分(min)遠心分離し、そして血漿を回収しかつ後の分析のため急速凍結した。脳を頭蓋および後脳から取り出した。小脳を除去し、また、左および右半球を分離した。左半球は試験化合物レベルの定量分析のため−18℃で保存した。右半球はリン酸緩衝生理的食塩水(PBS)緩衝液ですすぎ、そして即座にドライアイス上で凍結させかつ生化学的アッセイのための均質化まで−80℃で保存した。
【0368】
マウス脳を、組織1グラムあたり10容量の、プロテアーゼ阻害剤(Roche−11873580001若しくは04693159001)を含有する0.4%DEA(ジエチルアミン)/50mM NaCl pH10(非トランスジェニック動物のため)若しくはトリス緩衝生理的食塩水(TBS)中0.1%3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチル−アンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)(トランスジェニック動物のため)に再懸濁した(例えば0.158gの脳について1.58mlの0.4%DEAを添加せよ)。全サンプルを20%出力(パルスモード)にて氷上で30秒間超音波処理した。ホモジェネートを221.300×gで50min遠心分離した。結果として得られる高速上清をその後新たなチューブに移し、そして場合によっては次の段階の前にさらに精製した。上清の一部分を10%0.5Mトリス−HClで中和し、そしてこれをAβtotalを定量するのに使用した。
【0369】
得られた上清をWater Oasis HLB逆相カラム(Waters Corp.、マサチューセッツ州ミルフォード)で精製して、その後のAβ検出前に脳ライセートから非特異的免疫反応性物質を除去した。真空マニホールドを使用して、真空圧を処置全
体で相応して調節するように、全部の溶液に1分あたりおよそ1mlの速度でカラムを通過させた。カラムは1mlのHOでの平衡化前に1mlの100%MeOHで前調整した。中和されていない脳ライセートをカラムに負荷した。負荷したサンプルをその後2回洗浄し、第一の洗浄は1mlの5%MeOHで、および第二の洗浄は1mlの30%MeOHで実施した。最後に、2%NHOHを含む90%MeOHの溶液を用いて、Aβをカラムからそして100×30mmガラスチューブ中へ溶出した。溶出液をその後1.5mlチューブに移し、そして高熱上のスピードバック濃縮装置中70℃で約1.5〜2h濃縮した。濃縮したAβをその後UltraCULTURE汎用無血清培地(Cambrex Corp.、メリーランド州ウォーカースビル)および製造元の推奨に従って添加されたプロテアーゼ阻害剤に再懸濁した。
【0370】
脳ホモジェネートの可溶性画分中のAβ42の量を定量するため、商業的に入手可能な酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)キットを使用した(例えばInnotest(R)β−Amyloid(1−42)、Innogenetics N.V.、ベルギー・ゲント)。Aβ42 ELISAはキットとともに提供されるプレートのみを使用して実施した。簡潔には、標準(合成Aβ1−42の希釈)を、25000から1.5pg/mlまでの範囲にわたる最終濃度でUltraculture中1.5mlエッペンドルフチューブ中で調製した。サンプル、標準およびブランク(60μl)を抗Aβ42被覆プレートに添加した(該捕捉抗体は該抗原のC末端を選択的に認識する)。プレートを、抗体−アミロイド複合体の形成を可能にするため4℃で一夜インキュベートさせた。このインキュベーションおよびその後の洗浄段階後に選択的抗Aβ抗体複合物(ビオチニル化検出抗体、例えばビオチニル化4G8(Covance Research Products、マサチューセッツ州デダム))を添加し、そして抗体−アミロイド−抗体複合体の形成を可能にするため最低1hインキュベートした。インキュベーションおよび十分な洗浄段階後に、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合物を添加し、次いで50min後に製造元の説明書(Pierce Corp.、イリノイ州ロックフォード)に従ってQuanta Blu蛍光発生性ペルオキシダーゼ基質を添加した。キネティックの読み取り(kinetic reading)を5分ごとに30min実施した(励起320nm/測定420nm)。脳ホモジェネートの可溶性画分中のAβtotalの量を定量するため、サンプルおよび標準をJRF/rAβ/2被覆プレートに添加した。該プレートを、抗体−アミロイド複合体の形成を可能にするため4℃で一夜インキュベートさせた。ELISAをその後Aβ42検出についてのとおり実施した。
【0371】
このモデルにおいて、未処置動物と比較して最低20%のAβ42低下が有利であることができる。
【0372】
該結果を表4に示す。すなわち
【0373】
【表4】

【0374】
C)γ分泌酵素複合体のノッチプロセシング活性に対する影響
ノッチの細胞を含まないアッセイ
ノッチ膜貫通ドメインはγ分泌酵素により切断されてノッチ細胞内C末端ドメイン(NICD)を遊離する。ノッチは発達過程で極めて重要な役割を演じているシグナル伝達タンパク質であり、そして従ってγ分泌酵素複合体のノッチプロセシング活性に対する影響を示さない化合物が好ましい。
【0375】
NICD産生に対する化合物の影響を監視するため、組換えノッチ基質(N99)を製造した。マウスノッチフラグメント(V1711−E1809)、N末端メチオニンおよびC末端FLAG配列(DYDDDDK)より構成されるノッチ基質を大腸菌(E.coli)で発現させ、そして抗FLAG M2アフィニティーマトリックスを含有するカラムで精製した。
【0376】
典型的なノッチの細胞を含まないアッセイは、0.3〜0.5μMノッチ基質、γ分泌酵素の濃縮調製物および1μMの試験化合物(本発明の化合物45)よりなった。対照は、(2S)−N−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)アセチル]―L−アラニル−2−フェニル−グリシン1,1−ジメチルエチルエステル(DAPT)若しくは(2S)−2−ヒドロキシ−3−メチル−N−[(1S)−1−メチル−2−オキソ−2−[[(1S)−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−メチル−2−オキソ−1H−3−ベンズアゼピン−1−イル]アミノ]エチル]−ブタンアミド(Semagacestat)のようなγ分泌酵素阻害剤(GSI)およびDMSOを包含し、DMSOの最終濃度は1%であった。組換えノッチ基質を17μM DTT(1,4−ジチオスレイトール)および0.02%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で前処理しかつ65℃で10min加熱した。基質、γ分泌酵素および化合物/DMSOの混合物を37℃で6ないし22時間(h)インキュベートした。6時間インキュベーションがNICDの最大量を生じさせるのに十分であり、そして切断生成物は追加の16h安定のままであった。反応生成物をSDS PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)およびウエスタンブロッティングのため処理した。ブロットを抗Flag M2抗体、次いでLI−COR赤外二次抗体でプロービングし、そしてOdyssey赤外画像化装置(LI−COR(R)Biosciences)で分析した。
【0377】
細胞を含まないノッチアッセイにおいて、いずれの試験化合物(本発明の化合物45)もγ分泌酵素によるC99の切断を阻害しなかった一方、NICDの産生は対照GSI(DAPT若しくはSemagacestat)により阻害された。従って、本発明の化合物45は、γ分泌酵素複合体のノッチプロセシング活性(NICDの産生)に対する影響を示さなかったことが示された。
【0378】
組成物実施例
これらの実施例を通じて使用されるところの「有効成分」(a.i.)は、そのいかなる立体化学異性体、その製薬学的に許容できる塩若しくはその溶媒和物も包含する式(I)の化合物;とりわけ例示される化合物のいずれか1種に関する。
【0379】
本発明の製剤のための配合の典型的実施例は後に続くとおりである。すなわち、
1.錠剤
有効成分 5ないし50mg
リン酸二カルシウム 20mg
乳糖 30mg
タルク粉 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
バレイショデンプン 全量200mg

2.懸濁剤
水性懸濁液は、各ミリリットルが1ないし5mgの有効成分、50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトールおよび1mlまでの水を含有するように、経口投与のため製造する。

3.注射剤
非経口組成物は、水中0.9%NaCl溶液若しくは10容量%プロピレングリコール中で1.5%(重量/容量)の有効成分を攪拌することにより製造する。

4.軟膏剤
有効成分 5ないし1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 全量100g
【0380】
本実施例において、有効成分は、同一量の本発明の化合物のいずれか、とりわけ同一量の例示される化合物のいずれかで置き換えることができる。
【0381】
合理的な変形は本発明の範囲からの逸脱とみなされるべきでない。かように記述される本発明が当業者により多くの方法で変動されうることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

若しくはその立体異性体[ここで
は、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルは独立に、ハロ、シアノ、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキル、および1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されており;
は、水素;シアノ;またはC1−4アルキルオキシ、ハロおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCH若しくはNであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
はCR若しくはNであり;
は、水素;ハロ;シアノ;C1−4アルキルオキシ;またはハロ、C1−4アルキルオキシおよびNRよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであり;
各Rは独立に水素;C1−4アルキル;若しくはC1−4アシルであるが;
但し、X、XおよびXの最大2個がNであり;
はCR若しくはNであり;Rは水素、ハロ若しくはC1−4アルキルオキシであり;
、AおよびAはそれぞれ独立にCH若しくはNであるが;但し、A、A、AおよびAの最大2個がNであり;
Hetは、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)
【化2】

を有する5員芳香族複素環であり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
は水素若しくはC1−4アルキルであり;
10は水素若しくはC1−4アルキルであり;
11は水素若しくはC1−4アルキルであり;
12はC1−4アルキルであり;
はO若しくはSであり;
はCH若しくはNである]
またはその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
が、ハロ、C1−4アルキルオキシ、シクロC3−7アルキルおよびフェニルよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキル;
シクロC3−7アルキル;テトラヒドロピラニル;1,3−ベンゾジオキソリル;またはフェニルであり;
各フェニルが独立に、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されており;
が、水素;シアノ;または1個若しくはそれ以上のNH置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
がCR若しくはNであり;とりわけXがCRであり;
が、水素;ハロ;シアノ;または1個若しくはそれ以上のNH置換基で場合によっては置換されているC1−4アルキルであり;
がCH若しくはNであり;
がCH若しくはNであり、ならびにAおよびAがCHであり;
Hetが、式(a−1)、(a−2)、(a−3)若しくは(a−4)を有する5員芳香族複素環であり;
10がC1−4アルキルであり;
11が水素であり;
が水素であり;
12がC1−4アルキルである、
請求項1に記載の化合物若しくはその立体異性体;
またはその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
が、1個のC1−4アルキルオキシ置換基で置換されているフェニルであるか;または、Rが、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で置換されているC1−6アルキルであり;
が水素であり;
、XおよびXがCHであり;
がCRであり;RがC1−4アルキルオキシであり;A、AおよびAがCHであり;
Hetが式(a−1)若しくは(a−2)であり;
がOであり;GがCHであり;
がC1−4アルキルであり;
10がC1−4アルキルであり;
が水素である、、
請求項1に記載の化合物若しくはその立体異性体、
またはその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
が、C1−4アルキルおよびC1−4アルキルオキシよりなる群からそれぞれ独立に選択される1個若しくはそれ以上の置換基で置換されているフェニルである、
請求項1に記載の化合物若しくはその立体異性体;
またはその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
が、1個若しくはそれ以上のハロ置換基で場合によっては置換されているC1−6アルキルである、
請求項1に記載の化合物若しくはその立体異性体;
またはその製薬学的に許容できる付加塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
化合物が、
そのいかなる立体化学異性体、
ならびにその製薬学的に許容できる付加塩および溶媒和物も包含する、
N−[3−メトキシ−4−(2−メチル−5−オキサゾリル)フェニル]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−インダゾル−7−アミン、およびN−[3−メトキシ−4−(4−メチル−1H−イミダゾル−1−イル)フェニル]−2−(3−メトキシフェニル)−3−メチル−2H−インダゾル−7−アミンを含んでなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
製薬学的に許容できる担体、および有効成分として治療上有効な量の請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
医薬品としての使用のための請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
アルツハイマー病、外傷性脳損傷、軽度認知障害、老化、認知症、レビー小体を伴う認知症、脳アミロイド血管症、多発脳梗塞性認知症、ダウン症候群、パーキンソン病に伴う認知症およびβアミロイドを伴う認知症から選択される疾患若しくは状態の処置若しくは予防における使用のための請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
疾患がアルツハイマー病である、請求項9に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−526078(P2012−526078A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509024(P2012−509024)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056074
【国際公開番号】WO2010/145883
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511257377)ジヤンセン・フアーマシユーチカルズ・インコーポレーテツド (7)
【Fターム(参考)】