説明

おにぎり包装機における気体充填装置

【課題】海苔の収容部に気体を効果的に充填し得るおにぎり包装機における気体充填装置を提供する。
【解決手段】2枚の帯フィルムにシート状の海苔を挟んでその周囲が部分シールされた帯状のフィルムFを製袋手段16によって略横U字状に成形し、その下流側において一側部で合掌状に重合して得た筒状のフィルムFの重合端縁部に縦シール手段18により縦シールし、また、フィルムFに供給した各おにぎり10,10の前後位置を横シール手段20で横シールすると共に切断し、おにぎり10の包装体を得る。縦シール手段18の上流側で、帯状のフィルムFの端縁部が重合する区間で2枚の帯フィルムの間に気体充填ノズルを挿入して海苔の収容部内に気体を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎりを密封包装する包装機における気体充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
おにぎりの包装に関しては、異物混入や衛生上の観点および生産の効率化その他の観点から、所定長さにカットされたフィルムシートによっておにぎりの外周を包み込んで包装するようにした従来の包装形態に代えて、密封包装でき、帯状のフィルムから連続的に包装品を得ることが可能な横形製袋充填機による包装が採用されるに至っている。横形製袋充填機では、原反ロールから引き出されて筒状に成形されたフィルム中におにぎりを所定間隔毎に供給し、その筒状のフィルムに縦シールを施すと共に、おにぎりを挟む前後位置においてフィルムの搬送方向と交差する方向に横シールを施すことで、おにぎりがピロー包装袋に収容された包装体を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
横形製袋充填機では、これまでのピロー包装袋内に収容されるおにぎりの対象が、海苔が予め巻き付けられた状態の、所謂海苔の直巻きおにぎりに限られており、乾燥した海苔をおにぎりと別々に収容した手巻きおにぎりとしての包装をなし得るものとはなっていない。このことから、横形製袋充填機によっておにぎりを食する際の開封時点まで、海苔の乾燥状態を維持可能な手巻きおにぎりの包装形態を得るようにしたものが希求されていた。また、このような密封包装可能な形態に加えて、更なる商品価値を高めた包装形態についての提案が期待されている。
【0004】
そこで、本件出願人が、横形製袋充填機により得ることができるおにぎりの包装形態として、2枚のフィルム間に海苔を挟んだシート状の袋によっておにぎりを包み、おにぎりの上方と左右との三方のフィルム重合部を夫々加熱溶着して密封し、海苔とおにぎりとの両収容部を別の密封室として形成し、両密封室の夫々または海苔の密封室に窒素ガス等の不活性ガスからなる気体を充填した包装形態を案出した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−36296号公報
【特許文献2】特願2009−115899号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の包装体によれば、袋内に充填した気体層によって、海苔およびおにぎりへの外圧からの保護や、開封時のフィルムとの密着による海苔の裂け等の防止、海苔の湿気防止等の効果を得ることができる。また、気体を不活性ガスとした場合においては、内容物の酸化、変色等を防止することが可能となる等、多くの効果を期待し得る。
【0007】
そして、本発明は、このような包装体を横形製袋充填機で得るに際し、海苔の収容部に気体を効果的に充填し得るおにぎり包装機における気体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るおにぎり包装機における気体充填装置は、
帯状のフィルムの長手方向に沿う両フィルム端縁部を側方で合掌状に重合して筒状に成形し、得られた筒状のフィルムの重合端縁部を縦シール手段で縦シールし、筒状のフィルム中に供給されたおにぎりの前後位置で横シールする包装機において、
前記帯状のフィルムは、長手方向に連続する2枚の帯フィルムに所定間隔毎にシート状の海苔を挟み、その海苔の周囲が部分シールされて海苔の収容部が形成され、前記各フィルム端縁部より前記海苔の収容部に向けた内方位置に形成された部分シール部により2枚の帯フィルムが重合し、
前記縦シール手段での縦シール位置よりフィルム搬送方向上流側の前記帯状のフィルムにおける各フィルム端縁部の重合区間において、該フィルム端縁部から前記2枚の帯フィルム間の内方に挿入した前記海苔の収容部に気体を充填する気体充填ノズルを備え、
該気体充填ノズルの配設位置の下流で前記筒状のフィルムの重合端縁部で重なる夫々の帯フィルムの対向面を前記縦シール手段で縦シールして密封するよう構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記気体充填ノズルを、前記帯状のフィルムのフィルム端縁部が重合する位置において上側で重合した2枚の帯フィルム間に挿入するよう配設したことを要旨とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記帯状のフィルムのフィルム端縁部が重合する位置において下側で重合した2枚の帯フィルム間に挿入され、前記海苔の収容部に気体を充填する第2の気体充填ノズルを配設したことを要旨とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、前記縦シール手段は、前記帯状のフィルムの両フィルム端縁部を挟持して重合状態で搬送する一対の送りローラと、該送りローラの下流側に配設され、前記筒状のフィルムの重合端縁部を挟持して各フィルムの対向面を加熱溶着する一対のシールローラとを備え、前記気体充填ノズルは、この送りローラとシールローラとの間で前記2枚の帯フィルム間に挿入するよう構成したことを要旨とする。
【0012】
請求項5に係る発明では、前記筒状のフィルム中に供給したおにぎりの収容部に気体を充填する気体充填手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に係る発明では、前記おにぎりの収容部に気体を充填する気体充填手段は、前記2枚の帯フィルム間に挿入される気体充填ノズルの上流または下流に近接する位置で前記帯状のフィルムのフィルム端縁部の外側から挿入されて前記おにぎりの収容部に気体を充填する気体充填ノズルから構成したことを要旨とする。
【0014】
請求項7に係る発明では、前記海苔とおにぎりの各収容部に気体を充填する複数の気体充填ノズルを、フィルム搬送方向に沿う上流側から下流側に向けて順に高低差を設けて配設したことを要旨とする。
【0015】
請求項8に係る発明では、前記気体は不活性ガスであることを要旨とする。
【0016】
請求項9に係る発明では、前記気体充填ノズルは、前記2枚の帯フィルム間に所定間隔毎に収容された海苔が到来するタイミングに合わせて、不活性ガスを海苔または海苔とおにぎりの収容部に充填するよう設定したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、横形製袋充填機で得られる包装体について、海苔が収容されて密封されることになる収容部に対して効果的に気体を充填することができる。
請求項2に係る発明によれば、帯状のフィルムの両フィルム端縁部が一側方で重合する位置において、上側で重合する2枚の帯フィルムの間から気体を充填するので、おにぎりが載置されて塞がれていない上部空間を介して海苔の収容部内に気体充填ができ、短時間で比較的少ない使用量による気体充填を達成できる。
請求項3に係る発明によれば、2枚の帯フィルムが重合する位置において上下のフィルム端縁部の夫々から気体を充填することで、フィルム搬送時においておにぎりの下面側に位置する海苔の収容部に対しても充填気体が回り込むようにすることができ、その充填効率を高めることができる。
請求項4に係る発明によれば、帯状のフィルムの両フィルム端縁部が送りローラとシールローラとにより挟持されて張った状態で搬送される2枚の帯フィルム間に気体充填ノズルを挿入することで、充填した気体がノズル挿入位置の周囲から外部に漏れ出てしまうことを抑制し得る。また、一対のシールローラで重合端縁部が加熱溶着によって封止されるので、充填した気体の筒状のフィルムの側方へ漏れることがない。
請求項5に係る発明によれば、おにぎりが収容される収容部に気体を充填して得られた包装体の外圧からの保護効果を更に高めることができる。
請求項6に係る発明によれば、例えばフィルム搬送方向の上流側から筒状のフィルム内を下流側に向けて延在する充填管路を有する気体充填ノズルを設けたものの如く、筒状のフィルム中に供給されたおにぎりが接触して位置ずれしたり、おにぎりが損傷してしまうことがなく、また充填管路を筒状のフィルム内に配置するためにおにぎりの外周縁から筒状のフィルムの内周縁までの空所を設ける必要がないので、おにぎりのサイズに対してだぶついた包装体となるようなことがない。
請求項7に係る発明によれば、気体充填ノズルを複数配置した場合でもフィルムの搬送を阻害することがなく良好に行ない得る。
請求項8に係る発明によれば、気体として不活性ガスを用いることで、得られる包装体に関して雑菌やカビ等の発生の防止、酸化および変退色防止効果が高まり、製造から消費期限までの期間を延長でき、それによっておにぎりの製造拠点から販売地区までの流通区域を拡大することが可能となる。
請求項9に係る発明によれば、不活性ガスの必要とされる充填量に対するノズルからの供給量を必要最小限にして、ガス消費量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例に係るおにぎり包装機をフィルムを一部省略して示す一部破断概略正面図である。
【図2】実施例に係るおにぎり包装機を示す概略斜視図である。
【図3】(a)は、実施例に係る気体充填装置の要部を示す概略平面図であり、(b)は、帯状のフィルムを示す概略平面図である。
【図4】実施例に係る気体充填装置の要部を示す概略正面図である。
【図5】気体充填ノズルを示す要部拡大正面図である。
【図6】気体充填ノズルとフィルムとの関係を示す要部拡大側面図である。
【図7】(a)は、実施例に係るおにぎり包装機で得られるおにぎりの包装体を示す概略斜視図であり、(b)は、同包装体の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るおにぎり包装機における気体充填装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0020】
実施例に係る気体充填装置が適用されるおにぎり包装機としての横形製袋充填機は、図1に示す如く、三角形のおにぎり10をベルト式の供給コンベヤ12に載置して所定間隔毎に供給し、フィルム供給源から引出された帯状のフィルムFが、その長手方向両端部が上下二つ折り状に折り曲げられて製袋手段16によって側方が開放する略横U字状に成形されて、製袋手段16の下流側において一側部で合掌状に重合して得た筒状のフィルムFの重合端縁部15に縦シール手段18により縦シールが施される。前記供給コンベヤ12によって供給された筒状のフィルムF中の各おにぎり10,10の前後位置で、横シール手段20で横シールを施すと共に切断し、おにぎりを袋詰め包装した包装体68を得るようにしている。また、縦シール手段18による縦シール位置より上流側に、筒状のフィルムFに気体を充填する気体充填部26が配設されている。
【0021】
前記帯状のフィルムFは、製袋手段16により筒状に成形された際に表面に位置する外側の帯フィルム28と、筒状のフィルムFに収容されたおにぎり10に面する内側の帯フィルム30とを重ね合わせて構成され、乾燥したシート状の海苔14が長手方向に連続する2枚の帯フィルム28,30の間に所定間隔毎に挟まれて収容されている(図3(b)参照)。内外の帯フィルム28,30の夫々は、両面熱溶着性フィルムが採用される。そして、2枚の帯フィルム28,30には、図3(b)に示す如く、各海苔14の各長辺(フィルム搬送方向と交差する辺)の外側に近接して長辺の延在方向に向けて所定間隔で両帯フィルム28,30の対向面同士を部分的に熱溶着した複数の横部分シール部(部分シール部)32aと、各短辺(フィルム搬送方向に沿う辺)の外側に近接して短辺の延在方向に所定間隔毎に両帯フィルム28,30の対向面同士を部分的に熱溶着した複数の縦部分シール部(部分シール部)32bとが形成され、これら部分シール部32a,32bによって外周が囲われた各海苔14が位置規制されて配置され、海苔14の収容部22を画成している。このようにして海苔14の収容部22は、これら横部分シール部32a,32aや縦部分シール部32b,32bおよび横部分シール部32aと縦部分シール部32bとの間に形成される空所Sを介して収容部22の外方と連通している。また縦部分シール部32bは、帯状のフィルムFの長手方向の端縁から海苔14の収容部側に向けて隔てた内方位置に設けられる。
【0022】
前記帯状のフィルムFを構成する内外の帯フィルム28,30は、ポリプロピレン等を基材とするプラスチックフィルムの熱溶着性のものや、和紙、あるいは擬似和紙等の基材にポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂層が積層された熱溶着性シート材等を用いることができる。
【0023】
前記供給コンベヤ12には、図2に示す如く、三角形のおにぎり10の底辺側がコンベヤ搬送方向と交差する方向の左右何れか一側方を向く寝た姿勢で搬送面に載置される。供給コンベヤ12の下流側には、側方に開放するコ字状の製袋手段16が配設される。そして、フィルム供給源から引出された帯状のフィルムFは、該製袋手段16により一側方に開口する略横U字状に成形され、該供給コンベヤ12の下流端から放出されるおにぎり10が、略横U字状に成形された帯状のフィルムF内における前記海苔14の収容位置に対応して順次載置されるようになっている。
【0024】
図1に示す如く、製袋手段16の出口から後述する横シール手段20におけるシール体56a,56bによる横シール位置の近傍までに亘り、おにぎり10が供給されたフィルムFを載置して搬送する搬送コンベヤ34が配設されている。
【0025】
図3(a)または図4に示す如く、前記搬送コンベヤ34によるフィルム搬送路の側方に、帯状のフィルムFの長手方向に沿う両フィルム端縁部42a,42bが合掌状に重合され筒状に成形されたフィルムFの重合端縁部15に縦シールを施す縦シール手段18が配設される。この縦シール手段18は、帯状のフィルムFの両フィルム端縁部42a,42bを挟持して連続回転駆動されることでフィルム搬送を行なう一対の送りローラ36,36と、該送りローラ36,36の下流側において得られた筒状のフィルムFの重合端縁部15を挟んで該重合端縁部15において重合する4枚のフィルムの対向面を夫々加熱溶着する一対のシールローラ40,40とが設けられる。これにより、フィルム搬送方向に沿って連続して密封された縦シールを施すようになっている。
【0026】
前記送りローラ36,36の上流側に近接して、一対のフィルムガイド44,44が上下に対向して配設されている。フィルムガイド44,44は、図4に示す如く、その対向辺が上流側から下流側に向けて相互に近接するよう傾斜し、帯状のフィルムFにおける上側と下側のフィルム端縁部42a,42bが、その傾斜辺44a,44aに案内されて送りローラ36,36の挟持部に向けて引込まれるよう構成される。また各フィルムガイド44は、傾斜辺44aの下流側端部に、図3(a)に示す如く、フィルム搬送方向と交差する外側方に向けて突設される丸棒からなるガイド片44bを備え、帯状のフィルムFにおけるフィルム端縁部42a,42bを略平行に近接した状態で送りローラ36,36に向けて案内し得るようになっている。
【0027】
前記搬送コンベヤ34の側方には、前記シールローラ40,40と筒状のフィルムFにおける海苔14およびおにぎり10の収容部側との間に、シールローラ40,40で挟持されて外側方へ延出する前記重合端縁部15の下流側への通過を許容し得る所定寸法で上下に離間する一対の保護板46,46が配設される。この保護板46,46は、シールローラ40,40からの熱が筒状のフィルムFならびに海苔14やおにぎり10の収容部側に伝わるのを抑制すると共に、重合端縁部15を直線状に案内して縦シールを良好に行ない得るように機能する。なお、図1において保護板46,46は、一部破断してシールローラ40,40および補助ローラ54,54(後述)が見えるようにしてある。
【0028】
前記送りローラ36,36とシールローラ40,40との間において、送りローラ36,36の下流側に近接する位置に、筒状のフィルムFにおける前記海苔14の収容部22およびおにぎり10の収容部24とに、窒素あるいは窒素と二酸化炭素の混合ガス等からなる不活性ガス(気体)を充填する気体充填部26における複数の気体充填ノズル48,50,52が配置されている。複数の気体充填ノズル48,50,52は、海苔14の収容部22に不活性ガスを充填する第1,第2の気体充填ノズル48,52とおにぎり10の収容部24に不活性ガスを充填する気体充填ノズル(気体充填手段)50であり、各充填ノズル48,50,52は、前記帯状のフィルFの両フィルム端縁部42a,42bが重合する位置において、フィルム搬送路の側方から前記帯状のフィルFの2枚に重合する各フィルムの間に挿入されて噴出孔48a,50a,52aがフィルム内方に臨むよう構成される。
【0029】
すなわち、海苔14の収容部22に気体を充填する前記第1の気体充填ノズル48は、図5および図6に示す如く、筒状のフィルムFにおいて、おにぎり10の下側に臨み重合端縁部15において下側で重合する2枚の帯フィルム28,30の対向面間に挿入されると共に、前記第2の気体充填ノズル52は、おにぎり10の上側に臨み筒状のフィルムFの重合端縁部15において上側で重合する2枚の帯フィルム28,30の対向面間に挿入され、両気体充填ノズル48,52から噴出される不活性ガスは、前記帯状のフィルムFにおける部分シール部32a,32bの間に形成された複数の空所Sを介して海苔14の収容部22に至るように充填される。また前記おにぎり10の収容部24に気体を充填する気体充填ノズル50は、重合する上下のフィルム端縁部42a,42bの間(上下に対向する内側の帯フィルム30,30の間)に挿入されて、該気体充填ノズル50から噴出される不活性ガスがおにぎり10の収容部24に至るように充填される。なお、海苔14の収容部用の前記第1と第2の気体充填ノズル48,52のフィルム端縁部42a,42bに対する挿入部は、図5に示すように扁平状に形成され、その挿入長は、前記縦部分シール部32bと干渉しない寸法に設定される(図3(a)参照)。
【0030】
前記各気体充填ノズルは、図5に示す如く、おにぎり用の気体充填ノズル50を挟んでフィルム搬送方向の上流側と下流側とに前記海苔用の第1,第2の気体充填ノズル48,52が夫々近接して配置され、一包装長毎の海苔14とおにぎり10の各収容部22,24に同時に不活性ガスを供給し得る。また3つの気体充填ノズル48,50,52は、前記フィルム端縁部42a,42bの帯フィルム28,30間および両フィルム端縁部42a,42b間に対する挿入位置が、上流側から下流側に向けて順に高くなるよう階段状に配置され、ノズル挿入位置を筒状のフィルムFの重合端縁部15が移動する際に、該重合端縁部15が上下方向に振られることがないよう構成される。
【0031】
なお、気体として窒素ガス等の不活性ガスを用いる実施例では、不活性ガスの無駄な消費を抑制する観点から、気体充填ノズル48,50,52の配設位置に海苔14およびおにぎり10の収容部22,24が到来するタイミングに合わせて、各気体充填ノズル48,50,52から不活性ガスを噴出するよう設定されていることが好ましい。
【0032】
前記気体充填部26による夫々の収容部22,24への気体の充填量は、海苔14やおにぎり10に対して帯フィルム28,30の全体が密着することなく、少なくとも海苔14やおにぎり10に加わる外圧を緩和し得る値が好ましいが、海苔14の収容部22のみに気体充填する場合にあっては、開封時に袋のフィルムと海苔14が密着して欠損してしまうことが防止できる程度の値に設定される等の適宜充填量であればよい。
【0033】
前記送りローラ36,36とシールローラ40,40との間には、図4に示す如く、該シールローラ40の上流側に近接する位置に、送りローラ36およびシールローラ40のローラ径より小径で、筒状のフィルムFの重合端縁部15を挟持するよう配設された一対の補助ローラ54,54が自由回転可能に支持されている。補助ローラ54,54は、筒状のフィルムFの重合端縁部15を挟持した状態でフィルムの搬送力を受けて回転することで、重合端縁部15の蛇行を防止し、またフィルム搬送休止時においてシールローラ40,40がフィルムの挟持を解除する際に前記送りローラ36,36とによって重合端縁部15の重合状態を維持する。
【0034】
前記縦シール手段18の下流側に、一対のシール体56a,56bを備える横シール手段20が配設されている。フィルムFが1包装長分搬送されるタイミングに合わせて筒状のフィルムFに供給された各おにぎり10,10の前後位置で筒状のフィルムFを挟持して横シールを施すと共に、シール体56aに内装したナイフにより切断する。また、シール体56a,56bが筒状のフィルムFを挟持する際に、おにぎり10の底辺側に臨む筒状のフィルムFの一側方に、一対の折込み爪60a,60aでフィルムを内側に折込んで折込み部62,62を成形し、図7に示す如く、袋詰めされたおにぎりの包装体68を得ることができる。
【0035】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る気体充填装置の作用について説明する。2枚の連続する帯フィルム28,30に所定間隔毎に海苔14を挟み、その海苔14の周囲を部分シールした帯状のフィルムFを用いて、該帯状のフィルムFをフィルム供給源から引出して製袋手段16により略横U字状に成形すると共に、その帯状のフィルムFの長手方向に沿う両フィルム端縁部42a,42bを側方で合掌状に重合して筒状に成形する。前記供給コンベヤ12に所定間隔毎に載置されて連続的に搬送されるおにぎり10は、製袋手段16を経て成形された筒状のフィルムF中の海苔14の収容位置に合致するよう順次送り込まれる。
【0036】
前記おにぎり10が供給されて、略横U字状となったフィルムFは、搬送コンベヤ34に載置されて搬送され、帯状のフィルムFの側方に臨む長手方向の上下のフィルム端縁部42a,42bが前記フィルムガイド44,44の傾斜辺44a,44aに案内されて相互に近接した状態で前記送りローラ36,36に引込まれ、該送りローラ36,36で挟持されて合掌状に重合した状態となって下流側へ搬送される。
【0037】
前記送りローラ36,36で挟持されて筒状に成形されたフィルムFの重合端縁部15は、図5および図6に示す如く、前記送りローラ36,36の下流側へ搬送される過程において気体充填ノズル48,50,52が、筒状のフィルムFのフィルム端縁部42a,42bが重合している上側の2枚の帯フィルム28,30の間、下側の2枚の帯フィルム28,30の間の夫々に挿入されて海苔14の収容部22に不活性ガスを充填し、また内側の2枚の帯フィルム30,30の重合する間に挿入されておにぎり10の収容部24に不活性ガスを充填する。この気体充填ノズル48,50,52からの噴出は、帯状のフィルムF中に収容した海苔14の位置とおにぎり10の位置とが合致したタイミングとなるようフィルムの送り位置との関係で噴出を所定間隔毎に行なうよう制御することが好ましい。前記第1,第2の気体充填ノズル48,52から噴出される不活性ガスは、海苔14を位置規制している前記縦横の部分シール部32a,32b間の空所Sを介して該海苔14の収容部22に至るように充填されるようになっている。
【0038】
実施例では、筒状のフィルムFにおける上下のフィルム端縁部42a,42bの夫々の帯フィルム28,30間に気体充填ノズル48,52を挿入して不活性ガスを噴出するよう構成しているから、おにぎり10が載置されて不活性ガスが回り難い下側の海苔14の収容部22に対しても不活性ガスが回り込むように充填でき、海苔14の収容部22に対する不活性ガスの充填効率を高めることができる。
【0039】
前記気体充填ノズル48,50,52の挿入位置は、帯状のフィルムFの両フィルム端縁部42a,42bが、前記移送ローラ36,36およびシールローラ40,40(また補助ローラ54,54)で挟持されて密着する重合状態で搬送される区間となっているから、フィルムで気体充填ノズル48,50,52の挿入部の周りが覆われるようになるので(図5参照)、各収容部22,24に充填される不活性ガスがノズル挿入位置の周囲から外部に漏れ出てしまうことを抑制し得る。また、各気体充填ノズル48,50,52の挿入部は扁平状に形成されているから、ノズル挿入部におけるフィルムとの間の隙間を小さくして、不活性ガスの漏れはより抑えられる。
【0040】
また3つの気体充填ノズル48,50,52は、前記フィルム端縁部42a,42bの帯フィルム28,30間および両フィルム端縁部42a,42b間に対する挿入位置が、上流側から下流側に向けて順に高くなる階段状の配置としているから、ノズル挿入位置を筒状のフィルムFの重合端縁部15が移動する際に、該重合端縁部15が上下方向に振られることがなく、複数のノズルを設ける場合においてフィルム搬送を円滑に行なうことができる。更に、気体充填ノズル48,50,52からの不活性ガスの噴出を、海苔14およびおにぎり10の各収容部22,24が到来するタイミングに合わせて行なうことで、不活性ガスの必要とされる充填量に対する気体充填ノズル48,50,52からの噴出量を必要最小限にして、ガス消費量を抑制することができる。
【0041】
前記気体充填ノズル48,50,52によって不活性ガスが各収容部22,24に充填された直後の筒状のフィルムFにおける重合端縁部15が、加熱されている前記シールローラ40,40によって挟持されつつ下流側へ搬送されることで、該重合端縁部15において重合する4枚のフィルムの夫々の対向面が加熱溶着して密封された縦シールが施されて連続帯状の縦方向シール部38が形成される。このように、重合端縁部15が加熱溶着によって封止されるので、充填した不活性ガスの筒状のフィルムFの側方への漏れを防止し得る。なお、シールローラ40,40に供給される直前の筒状のフィルムFの重合端縁部15は、フィルムの搬送力を受けて回転する前記補助ローラ54,54で挟持されているから、重合端縁部15の蛇行が防止されると共に、フィルム搬送休止時においてシールローラ40,40がフィルムの挟持を解除する際に前記送りローラ36,36とによって重合端縁部15の重合状態を維持することができる。
【0042】
フィルムFが1包装長分搬送されるタイミングに合わせて、前記横シール手段20の一対のシール体56a,56bが筒状のフィルムFを挟持して各おにぎり10,10の前後位置で横シールすると共に切断する。また、一対のシール体56a,56bが筒状のフィルムFを挟持する際に、前記折込み爪60a,60aによりおにぎり10の底辺側の上下流位置でフィルムを内側に折り込んで折込み部62,62が形成される。これにより、縦方向シール部38と横方向シール部58,58で海苔14およびおにぎり10の収容部22,24が夫々密封されて、この密封室64,66に別々に海苔14およびおにぎり10が収容されると共に、各密封室64,66に不活性ガスが充填された図7に示す如く袋詰めされたおにぎりの包装体68が得られる。
【0043】
得られた包装体68では、充填された気体により、海苔14とおにぎり10との夫々について外的圧力から保護できると共に、気体を不活性ガスとすることで鮮度を維持し得る包装体68を、横形製袋充填機によって連続生産することができる。
【0044】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されず、以下のようにも変更可能である。
(1) 3つ以上の気体充填ノズル48,50,52を配設する場合の配置は、上流側から下流側に向けて順に下位となる階段状に配置してもよく、この場合は、筒状のフィルムFにおける上側のフィルム端縁部42aに挿入配置する気体充填ノズル52を最上流側に位置させ、下側のフィルム端縁部42bに挿入配置する気体充填ノズル48を最下流側に位置させる。
(2) 海苔14の収容部22に不活性ガスを充填する気体充填ノズルは、おにぎり10の上側または下側のフィルム端縁部42a,42bの何れか一方の2枚の帯フィルム28,30間に挿入される1つの気体充填ノズルを用いる構成を採用できる。但し、1つの気体充填ノズルを用いる場合は、おにぎり10の上側のフィルム端縁部42aにおける2枚の帯フィルム28,30間に気体充填ノズルを挿入配置することが好ましい。この構成によれば、上側のフィルム端縁部42aにおける2枚の帯フィルム28,30間に挿入配置した気体充填ノズルから噴出される不活性ガスは、2枚重ねの帯フィルム28,30における筒状のフィルムFの上部空間から側方空間を経ておにぎり10が載置されていない筒状のフィルムFの下方位置を通り、下方の海苔14の収容部全体に至るように不活性ガスを送り込むことができる。
(3) 気体充填ノズル50によるおにぎり10が収容される収容部24への不活性ガスの充填は、筒状のフィルムFの給送方向上流側開口から下流側に向けておにぎり10に干渉しない経路を延在するよう気体充填ノズルを配置し、横シール手段20による横シール位置の所定上流位置に設けた噴出孔から行なう構成を採用し得る。
(4) 気体充填ノズル48,50,52の配設位置は、送りローラ36,36とシールローラ40,40との間に限らず、帯状のフィルムFにおける少なくとも上下のフィルム端縁部42a,42bにおける内外2枚の帯フィルム28,30が密着した状態で搬送される重合区間であれば、例えば送りローラ36,36より上流側等、その他の位置であってもよい。
(5) 実施例では、海苔14およびおにぎり10の収容部22,24が到来するタイミングに合わせて気体充填ノズル48,50,52から不活性ガスを噴出するようにしたが、気体は、窒素等からなる不活性ガスに代えて、空気その他、食品に無害なその他の気体を噴出するものであってもよく、連続して気体を噴出するよう設定されていてもよい。例えば、気体を乾燥空気とすることで、特に海苔の湿気を助長するようなことがなく、空気の充填によって前記した包装体68を得ることができる。また、海苔用の気体充填ノズル48,52と、おにぎり用の気体充填ノズル50とを異なる気体の供給源に接続することで、海苔14の収容部22およびおにぎり10の収容部24に充填する気体を異ならせる構成を採用し得る。
(6) 帯状のフィルムFを構成する帯フィルム28,30を重合する部分シール部32a,32bについては、熱溶着以外の、例えば接着剤によるシールが施されているものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 おにぎり,14 海苔,15 重合端縁部,18 縦シール手段
22 海苔の収容部,24 おにぎりの収容部,28 外側の帯フィルム
30 内側の帯フィルム,32a 横部分シール部(部分シール部)
32b 縦部分シール部(部分シール部),36 送りローラ,40 シールローラ
48 気体充填ノズル(海苔用の第1の気体充填ノズル)
50 気体充填ノズル(おにぎり用の気体充填手段)
52 気体充填ノズル(海苔用の第2の気体充填ノズル)
F フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフィルム(F)の長手方向に沿う両フィルム端縁部(42a,42b)を側方で合掌状に重合して筒状に成形し、得られた筒状のフィルム(F)の重合端縁部(15)を縦シール手段(18)で縦シールし、筒状のフィルム(F)中に供給されたおにぎり(10)の前後位置で横シールする包装機において、
前記帯状のフィルム(F)は、長手方向に連続する2枚の帯フィルム(28,30)に所定間隔毎にシート状の海苔(14)を挟み、その海苔(14)の周囲が部分シールされて海苔(14)の収容部(22)が形成され、前記各フィルム端縁部(42a,42b)より前記海苔(14)の収容部(22)に向けた内方位置に形成された部分シール部(32a,32b)により2枚の帯フィルム(28,30)が重合し、
前記縦シール手段(18)での縦シール位置よりフィルム搬送方向上流側の前記帯状のフィルム(F)における各フィルム端縁部(42a,42b)の重合区間において、該フィルム端縁部(42a,42b)から前記2枚の帯フィルム(28,30)間の内方に挿入した前記海苔(14)の収容部(22)に気体を充填する気体充填ノズル(52)を備え、
該気体充填ノズル(52)の配設位置の下流で前記筒状のフィルム(F)の重合端縁部(15)で重なる夫々の帯フィルム(28,30)の対向面を前記縦シール手段(18)で縦シールして密封するよう構成した
ことを特徴とするおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項2】
前記気体充填ノズル(52)を、前記帯状のフィルム(F)のフィルム端縁部(42a,42b)が重合する位置において上側で重合した2枚の帯フィルム(28,30)間に挿入するよう配設した請求項1記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項3】
前記帯状のフィルム(F)のフィルム端縁部(42a,42b)が重合する位置において下側で重合した2枚の帯フィルム(28,30)間に挿入され、前記海苔(14)の収容部(22)に気体を充填する第2の気体充填ノズル(48)を配設した請求項2記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項4】
前記縦シール手段(18)は、前記帯状のフィルム(F)の両フィルム端縁部(42a,42b)を挟持して重合状態で搬送する一対の送りローラ(36,36)と、該送りローラ(36,36)の下流側に配設され、前記筒状のフィルム(F)の重合端縁部(15)を挟持して各フィルムの対向面を加熱溶着する一対のシールローラ(40,40)とを備え、前記気体充填ノズル(48,52)は、この送りローラ(36,36)とシールローラ(40,40)との間で前記2枚の帯フィルム(28,30)間に挿入するよう構成した請求項1〜3の何れか一項に記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項5】
前記筒状のフィルム(F)中に供給したおにぎり(10)の収容部(24)に気体を充填する気体充填手段(50)を備えた請求項1〜4の何れか一項に記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項6】
前記おにぎり(10)の収容部(24)に気体を充填する気体充填手段(50)は、前記2枚の帯フィルム(28,30)間に挿入される気体充填ノズル(48,52)の上流または下流に近接する位置で前記帯状のフィルム(F)のフィルム端縁部(42a,42b)の外側から挿入されて前記おにぎり(10)の収容部(24)に気体を充填する気体充填ノズルから構成した請求項5記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項7】
前記海苔(14)とおにぎり(10)の各収容部(22,24)に気体を充填する複数の気体充填ノズル(48,50,52)を、フィルム搬送方向に沿う上流側から下流側に向けて順に高低差を設けて配設した請求項6記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項8】
前記気体は不活性ガスである請求項1〜7の何れか一項に記載のおにぎり包装機における気体充填装置。
【請求項9】
前記気体充填ノズル(48,52)は、前記2枚の帯フィルム(28,30)間に所定間隔毎に収容された海苔(14)が到来するタイミングに合わせて、不活性ガスを海苔(14)または海苔(14)とおにぎり(10)の収容部(22,24)に充填するよう設定した請求項8記載のおにぎり包装機における気体充填装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−1070(P2011−1070A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143547(P2009−143547)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】