説明

アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置

本発明は、医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置に関する。医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置において、ポリMEMSアクチュエータ(PMA)1の2次元マトリクスアレイが2次元システムにおいて構成され、各単一のアクチュエータが、前記マトリクス内の作動のパターンを生成することができるために、互いに独立に電気的に/電子的に操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体チップは、これらの製品に対する重要な土台になる。すべてのマイクロ流体装置において、流体の流れを制御する基本的な要望が存在し、すなわち、流体は、0.1mmの典型的な幅を持つチャネルからなるマイクロチャネルシステムを通って移送、混合、分離及び誘導されなければならない。様々な作動機構が開発されており、使用される。US2004124384A1は、マイクロバルブの開閉素子としてだが、静電変形可能薄膜を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、微細構造におけるプログラム可能な電気アクチュエータを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
提示された目的は、特許請求項1のフィーチャによりバイオセンサに対する電気ベースのマイクロ流体装置に対して達成される。
【0005】
このシステムの他の実施例は、従属請求項2−10において特徴づけられる。
【0006】
提示された目的は、特許請求項11の方法のフィーチャの特徴を示すことにより、特にバイオセンサに対するこのようなシステムを動作することに対しても達成される。
【0007】
この方法の他の実施例は、従属請求項12において特徴づけられる。
【0008】
医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置において、ポリMEMSアクチュエータ(PMA)の2次元マトリクスアレイは、2次元システムに構成され、各単一のアクチュエータが、前記マトリクスにおいて作動のパターンを生成することができるように互いに独立に電気的/電子的に操作される。各PMAの独立した作動可能性により、各作動パターンは、各種の選択された流体排出効果が達成されることができるように、生成される。これは、マイクロフラックスの非常に選択的な操作を最適化するために、バイオセンサ微細構造構成において使用するのに非常に有利なフィーチャである。
【0009】
有利な実施例は、前記マトリクスのアクチュエータが、列及び行に分割され、各列MEMが、一方の並列な電子ポートにおいて作動ドライバにより作動され、各列MEM(PMA)が、他方の並列な電子ポートにおいて選択ドライバにより作動され、これにより各アクチュエータが、列及び行を選択することによりアドレス指定されることができ、これにより交点における選択されたMEM(PMA)が、これらの電気2次元生成座標により作動されるものである。これにより、各単一PMAは、非常に容易かつ効果的に駆動又は作動されることができる。
【0010】
本発明の他の実施例は、前記マイクロ流体装置において所定の作動パターンにアクセスするように、アクチュエータドライバ及び選択ドライバに対する信号を操作する電圧を計算するために、電子計算及び操作手段を使用することにより、作動パターンの事前決定及び調整に対する容易な手段を使用する。
【0011】
本発明の他の有利な実施例は、各PMAが、箔電極及び作動電極からなり、前記作動電極が、トランジスタスイッチによりアクセスされ、前記トランジスタスイッチのベース接点が、前記行の各他のPMAに並列にスイッチ接続され、ソース/ドレイン接点の一方が、他の列PMAに並列に接続され、他方のソース/ドレイン接点が、前記PMAの作動電極に各々接続されるものである。このような薄膜トランジスタを使用することにより、前記システムは、共通基板又はキャリア上に完全に構成されることができる。
【0012】
これは、各箔電極が共通箔電極全体とガルバニック接触する他の実施例によりサポートされる。
【0013】
他の実施例において、微細構造内の温度センサ及び/又は流速計のような他の電子素子及び/又は発光ダイオードは、アレイ基板上に一体化される。これにより、前記アレイは、前記アレイの作動を最適化するために、局所センサによりサポートされることができる。
【0014】
他の実施例は、箔電極/作動電極構成に並列に、キャパシタのようなメモリ素子が、各PMAの操作状態のメモリを電子的に保持するために使用される。これにより、前記PMAの作動は、パルス信号によってのみ生成されることができる。前記キャパシタは、前記PMAの作動位置のメモリを保持する。
【0015】
前記PMAは、小さなコイル箔、又は小さな円筒形管等として形成又は開発されることができる。本質的なのは、これらの素子が、作動信号により変形され、これにより微細構造の空洞のチャネルを通って送りこんで流体を移動することができることである。
【0016】
最後に、電気マイクロ流体装置を動作する方法が、有利に使用され、ここで計算ユニット又は計算手段において、信号又は一連の信号Viが時間tの関数として計算され、PMA作動の所定のパターンを生成するために、前記アクチュエータドライバ及び前記選択ドライバの調整された操作により操作される。
【0017】
この方法の他の実施例は、他の使用される/一体化されるセンサ素子の信号が前述の操作信号の評価において認識されることにより与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】利用されることができる都合の良いポリママイクロアクチュエータ幾何構成を示す。
【図2】電気的フィーチャの回路プランとして本発明の第1の実施例を示す。
【図3】他の実施例を示す。
【図4】好適な実施例を示す。
【図5】TFTが二重ダイオード構成に対して交換される他の実施例を示す。
【図6】本発明の他の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の異なる実施例が、図1ないし図6に示される。
【0020】
利用されることができる都合の良いポリママイクロアクチュエータ幾何構成が、図1に示される。これは、我々の研究所で作成された、ポリマ薄膜2(この場合、アクリレート)及び導電性薄膜3(この場合、クロム)からなる二重層複合構造を示す。プロセスは、前記構造が上向きに曲がり、一端において付着されるように調整される。電圧差が、アクチュエータの下の電極4と、作動構造の一部である導電性薄膜3との間に印加される場合、静電力は、前記構造を前記基板に向けて引っ張る。結果的に、これは、前記基板上に広がり、平らになる。前記電圧が除去される場合、スラブは、弾性回復により元の曲がった形状に戻る。作動効果は双安定であり、前記アクチュエータ先端の位置は、印加電圧の関数である。この特定のPMA設計に対して、"アンロール"電圧Vunは11Vであり、"弾性回復"電圧Verは5Vである。これらの値は、前記PMAの寸法及び機械的性質に依存して典型的には1Vと100Vとの間で調整されることができる。
【0021】
図1にスケッチされた機械構成が、単に1つの可能な実施例であり、多くの他の幾何構成、すなわち直線ビーム、円筒形ロッド等が考えられると理解されるべきである。(生物学的)流体内の前記ポリママイクロアクチュエータの作動は、流体の流れ、すなわち流体操作を誘導する。効果的な流体の流れを生じる典型的な周波数は、1ないし100Hzである。効率的な流体操作(移送、混合、又は経路指定等)を達成するために、前記マイクロアクチュエータ又はこれらのグループが個別にアドレス指定されることができることが必須である。これは、複雑な流体流れパターンの作成を可能にする。前記アクチュエータ(のグループ)は、わずかに位相をずらして作動されることができ、移送流れを生じる集合的なアクチュエータの波のような運動を作成する。前記アクチュエータのグループの位相のずれた作動は、適切なタイミングで行われる場合、カオスの混合パターンを生じる。他の特定の流れパターンは、前記アクチュエータの制御された局所アドレス指定により同様に達成されることができる。
【0022】
これは、個別のポリママイクロアクチュエータ(のグループ)の位置において局所的な電界を作成する手段を要求し、すなわち前記電極は、個別にアドレス指定されなければならない。この説明は、アクティブマトリクス技術を使用して、この要件に対する解決法を提供する。大面積電子素子、及び特に例えば薄膜トランジスタ(TFT)を使用するアクティブマトリクス技術は、多くのディスプレイ効果、例えばLCD、OLED及び電気泳動の駆動に対するフラットパネルディスプレイの分野において一般的に使用されている。
【0023】
ここで、電気アクチュエータのアレイの制御は、特にバイオチップ又はバイオシステムのようなマイクロ流体装置において使用する、好ましくはポリMEM(微小電気機械)アクチュエータ(PMA)原理に基づいて、改良される。前記PMAアレイは、パッシブマトリクスアプローチを使用して制御されてもよい。好ましくは、前記PMAは、プログラム可能な電極アレイに基づく大面積電子素子を使用して制御される。より好ましくは、前記電極アレイは、アクティブマトリクスアレイの形式で構成される。しかしながら、これは、オプションとして、加熱素子、光センサ、温度センサ等のような他の感知素子のような追加の素子を有してもよい。
【0024】
前記装置は、前記ポリMEM素子の電気作動の様々な規定パターンを実現することができる。好ましくは、前記装置は、更に、前記ポリMEM素子の電気作動の制御可能な動的に変化可能な規定パターンの系列を実現することができる。好適な実施例において、導入部分に記載された1−100Hzの好適な周波数範囲において前記PMAのいずれかを個別に作動するように前記アクティブマトリクス装置の高いアドレス指定速度を使用することが望ましい。
【0025】
図2は、電気的フィーチャの回路プランとして本発明の第1の実施例を示す。この第1の実施例において、パッシブマトリクスアレイの形式で作動電極のセットにおける電圧の大きさを制御することによりポリMEM素子1の電気作動の規定パターンを生成することを提案する。この実施例において、前記電極のアレイは、外部電圧ドライバに接続されることができる。これは、図2において概略的に示される。このパッシブマトリクスレイアウトを実現するために、前記作動電極及び前記箔電極の両方が互いに斜めに向けられた線の形式で構成されることが必要である。図2の例において、前記作動電極は、列の形式で構成されており、前記箔電極は、行の形式で構成されている。パッシブマトリクスシステムが成功裏に動作するために、前記PMAが電圧閾値を示すことを必要とする。導入部に示されるように、この場合、約Vurの電圧が前記箔をアンロールするのに必要とされ、これにより、約Vtの電圧は、アンロールを開始するのに不十分である。
【0026】
上述の閾値の例を使用して、パッシブマトリクスPMAベースの電気移送システムを較正することが可能である。この例において、前記マトリクス内のあらゆるPMAは、PMAのアレイを形成するように行−箔電極4−及び列−作動電極3−の形式で構成される2つの電極を有する。
【0027】
前記作動電極に対する位置番号3及び前記箔電極に対する位置番号4は、図1における位置番号の命名と機能的に等しい。
【0028】
各行及び各列は、電圧源に個別に付着されることができる。例えば、前記行電極は、0VとVtとの間で切り替えることができる選択ドライバ10−例えばAMLCDに対するゲートドライバと同様な標準的なシフトレジスタ−に接続されることができる。前記列電極は、この場合、作動ドライバ20に接続される。作動ドライバ20は、単に、0V又は(Vur−Vt)レベルのいずれかを持ちうる出力を持つ、例えばパッシブ又はアクティブマトリクス液晶ディスプレイ(LCD)に対して使用される標準的な電圧データドライバであることができる。
【0029】
動作は以下のとおりである。
【0030】
静止状態において、全ての行電極は0Vにセットされる。この場合、前記電極間の電圧がVtを超えることができない(すなわち前記閾値より下である)ので、PMAはアンロールされることができない。
【0031】
所定のPMAをアンロールするために、所要のPMAを含むPMAの行に関連した行電極が、−Vtに切り替えられる。他の全ての行は0Vに保持される。
【0032】
前記PMAが位置する列電極の電圧は、+(Vur−Vt)のリリース電圧にセットされる。所要のPMAの電極間の電圧は、ここでVurであり、結果として前記PMAのアンロールを生じる。
【0033】
他の全ての列の電圧は、前記PMAをアンロールしない電圧(この例においては0V)に保持される。
【0034】
前記PMAがもはやアンロールされる必要がない場合、前記行電極は再び0Vにセットされ、この時点で前記PMAは再び巻き上がる。
【0035】
前記アレイ内の1より多い列に作動信号(電圧=Vur−Vt)を印加することにより所定の行内の1より多いPMAを同時に作動することも可能である(図2を参照)。他の行を作動し(行電圧−Vt)、前記アレイ内の1より多い列に作動信号(電圧=Vur−Vt)を印加することにより異なるラインのPMAを作動することが可能である。
【0036】
前記パッシブマトリクスアプローチの弱点は、異なる行のPMAを同時に及び個別に作動することが可能ではないことである。これは、実現されることができる作動パターンの数を制限する。
【0037】
図3は、他の実施例を示す。この実施例において、作動電極のセットにおける電圧の大きさを個別に制御することによりポリMEM素子1の電気作動の多数の規定パターンを生成することが提案される。
【0038】
最も単純な実施例において、前記電極のアレイは、外部電圧源から1以上の電極に電圧を経路指定するように設計された、単純なスイッチ11として大面積電子素子を使用して前記外部電圧源に接続されることができる。これは、図3(上)に示される。この実施例に対して、前記スイッチは、(薄膜)トランジスタ(TFT)スイッチ(図3下に示される)、ダイオードスイッチ又はMIM(金属−絶縁体−金属)ダイオードスイッチであることができ、1より多い個別の電極のアドレス指定は、周知のアクティブマトリクス駆動原理を使用して実行されることができる。
【0039】
トランジスタベースのアクティブマトリクスアレイの場合、単一のポリMEMアクチュエータ(PMA)を独立に制御する図示された装置の動作は、以下のとおりである。
【0040】
非アドレス指定状態において、全ての選択ラインは、前記スイッチが非導通である電圧にセットされる。この場合、PMAは制御されていない。
【0041】
所定のPMAを制御する(したがって巻き上げ又はアンロールさせる)ために、所要のPMAを含むコンパートメントのライン全体における前記スイッチは、(例えば選択信号を印加することにより)導通状態に切り替えられる。
【0042】
前記PMAが存在する列電極の制御信号(例えば電圧)は、所望のレベルにセットされる。この信号は、前記スイッチを通って前記PMAの前記作動電極に送られ、結果として前記PMAが形状を変化(例えばアンロール)する。
【0043】
他の全ての列の制御信号は、前記行の残りのPMAの形状を変更しない(この場合、巻き上げられた状態に留まる)レベルに保持される。
【0044】
他の全ての行の選択信号は、非選択状態に保持され、これにより他のPMAは、非導通スイッチを介して同じ電極に付着され、制御されない。
【0045】
前記PMAが所望の状態にセットされた後に、前記ライン内のスイッチは、再び非導通状態にセットされ、(前記PMAにかかる電圧が漏れ出し、前記PMAが再び巻き上がらない限り)前記PMAの形状の更なる変化を防ぐ。
【0046】
前記装置は、この場合、後に続く制御信号が初めの又は他のPMAの形状を変更するために必要とされ、上の動作シーケンスが繰り返されるまで、非アドレス指定状態に留まる。
【0047】
選択された期間中に前記アレイ内の1より多い列に制御信号を印加することにより所定の行内の1より多いPMAを同時に制御することも可能である。(前記選択ドライバを使用して)他の行を作動し、前記アレイ内の1より多い列に制御信号を印加することにより異なる行のPMAを順番に制御することが可能である。
【0048】
前記制御信号が存在する間のみ前記PMAが作動されるように前記システムをアドレス指定することが可能である。しかしながら、好適な実施例において、メモリ装置−例えば前記PMA電極に並列の記憶キャパシタ素子12又はトランジスタベースのメモリ素子−を前記PMAに組み込むことが有利であり、これにより前記制御信号は、前記選択期間が完了した後に記憶される(図4を参照)。これは、前記アレイにわたる如何なる点における多数のPMAを同時に巻き上げ形状又はアンロール形状のいずれかにすることを可能にする。もちろん、メモリ装置が利用可能である場合、第2の制御信号が、前記PMAを巻き上げ形状に戻すのに明確に必要とされる。
【0049】
好適な一連の実施例において、アクティブマトリクスPMA電気移送装置は、全てのPMAが独立に駆動されることができることを保証するために薄膜トランジスタ(TFT)技術を使用して実現される(図3を参照)。TFTは、薄膜大面積電子素子内の周知の切り替え素子であり、例えばフラットパネルディスプレイアプリケーションにおいて広範囲に及ぶ使用を見つけている。産業的に、TFTに対する主な製造方法は、アモルファスSi(a−Si)又は低温ポリ結晶Si(LTPS)技術のいずれかに基づくが、有機半導体のような他の技術又は(CdSeのような)他の非Siベース半導体技術が使用されることができる。
【0050】
TFTを使用するよりいくらか低いフレキシビリティを提供するが、技術的に負担がより少ない薄膜ダイオード技術又は金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオード技術を使用してアクティブマトリクスベースのPMA電気移送装置を実現することも可能である。
【0051】
図5は、TFTが二重ダイオード構成に対して交換される他の実施例を示す。TFTを使用するよりいくらか低いフレキシビリティを提供するが、技術的に負担がより少ない薄膜ダイオード技術を使用してアクティブマトリクスPMAベースの電気移送装置を実現することも可能である。(例えばアクティブマトリクスLCDに対して使用されている)ダイオードアクティブマトリクスアレイは、複数の既知の方法で駆動されることができ、前記方法の1つは、リセットを持つ二重ダイオード(D2R)アプローチである。
【0052】
このアクティブマトリクスアレイの画素回路が図5に示される。前記ダイオードマトリクスは、PMAごとに2つのダイオードを持ち、1つは制御ラインを介して前記アクチュエータ電極に制御データを提供し、1つは共通リセットラインを介して前記電極から制御データを除去する。前記ダイオードが非導通である電圧範囲であるブロック範囲は、外部電圧により決定され、したがって調整可能である。これは、より高い動作電圧PMAが必要とされる場合の主な利点である。より高い電圧は、ダイオードを直列に設けることにより(これは高い逆電圧における別個のダイオードの故障を防ぎ、前記電圧が前記ダイオードに対して分割されるので)容易に適合されることができる−図5を参照。外部接続の数は、行プラス列プラス1(前記リセットライン)の数に等しい。この回路は、ダイオード特性と独立であり、PIN又はショットキーダイオードが選択されることができる。前記回路は、追加のダイオードを直列又は並列で使用することにより短絡又は開回路エラーに対して冗長にされることができる(図5を参照)。オプションとして、前記行は、5つの電圧レベルを持つリセット方法を使用して駆動される。
【0053】
PIN(又はショットキー−IN)ダイオードは、単純な3層プロセスを使用して形成されることができる。アモルファス半導体層、pドープ内在領域及びnドープ領域のスタックは、垂直に向けられた上部金属ラインと底部金属ラインとの間に挟まれる。電気的性質は、ほとんど位置合わせの影響を受けない。
【0054】
図6は、本発明の他の実施例を示す。TFTを使用するよりいくらか低いフレキシビリティを提供するが、技術的に負担がより少ない金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオード13技術を使用してアクティブマトリクスPMAベースの電気移送装置を実現することも可能である。
【0055】
伝統的に、アクティブマトリクスLCDに対して使用されるMIMダイオード13アクティブマトリクスアレイは、実施例1において論じられるパッシブマトリクスと同様のレイアウトを持つ。しかしながら、MIMダイオードは、非線形抵抗素子として各構成要素と直列に差し込まれ、アクティブマトリクスアドレス指定を可能にする。
【0056】
このMIM装置は、2つの金属層を薄い絶縁層により分離することにより作成され(例は、Cr又はMo金属間に挟まれた水素化シリコン窒化物、又はTa金属電極間のTa2O5絶縁体である)、クロスオーバ構造の形式で好都合に実現される。前記MIMは、前記選択ライン又は前記制御データライン(図示)を前記作動電極に接続する。両方の金属層及び前記絶縁層は、同じ基板上で実現されることができる。このPMA接続は、第1の基板に対する(前記選択信号を提供する)前記箔に第2のライン電極を追加し、これを他の(より厚い)絶縁層を用いてクロスオーバとして分離することにより完成されることができる(図6)。
【0057】
図1のPMA装置は、前記装置をアンロールするように前記2つの電極に電圧を印加することにより機能する。図示された装置において、前記基板上の電極は絶縁体により覆われ、ポリマ上の電極は覆われない。したがって、これが動作する流体の電位に可能な限り近い後者の覆われていない電極の電圧を保持することが有利である。これは、(前記流体が水である場合に約2Vより上で生じる)電気分解及び他の電極腐食の発生を抑制する。アクティブマトリクス実施例の場合、これは、前記覆われていない電極が(例えば0Vに保持される)共通電極を有利に形成することができることを意味する。
【0058】
パッシブマトリクスの場合、前記覆われていない電極は、(ほとんどの時間に対して)非選択状態において0Vに保持され、ラインが実際に選択される場合(アドレス指定のフレームごとに一度のみ−典型的には時間1%より下)にのみ前記選択電圧を受ける前記選択電極を有利に形成することができる。これは、電気分解及び腐食を制限する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療、衛生及び健康製品、特にバイオチップ又はバイオシステムにおいて使用する、アクティブマトリクス原理を使用する電気ベースのマイクロ流体装置において、ポリMEMSアクチュエータ(PMA)の2次元マトリクスアレイが2次元システムにおいて構成され、各単一のアクチュエータが、前記マトリクスにおいて作動のパターンを生成することができるために、互いに独立に電気的/電子的に操作される、電気マイクロ流体装置。
【請求項2】
前記マトリクスのアクチュエータが列及び行に分割され、各列MEMが、一方の並列な電子ポートにおいて作動ドライバにより作動され、各列MEMが、他方の並列な電子ポートにおいて選択ドライバにより作動され、これにより各アクチュエータが、列及び行を選択することによりアドレス指定されることができ、これにより交点において選択されたMEMが、これらの電気2次元生成調整により作動されることを特徴とする、請求項1に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項3】
電子計算及び操作手段が、前記マイクロ流体装置において所定の作動パターンにアクセスするように、前記アクチュエータドライバ及び前記選択ドライバに対する電圧操作信号を計算するために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項4】
各PMAが、箔電極及び作動電極からなり、前記作動電極が、トランジスタスイッチによりアクセスされ、前記トランジスタスイッチのベース接点が、前記行の各他のPMAに並列にスイッチ接続され、ソース/ドレイン接点の一方が他の列PMAに並列に接続され、他方のソース/ドレイン接点が、前記PMAの前記作動電極に各々接続されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項5】
各箔電極が、共通の箔電極全体とガルバニック接触することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項6】
前記PMAアレイが、共通の基板上で構成又は一体化されることを特徴とする、請求項5に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項7】
温度センサ及び/又は流速計素子及び/又は発光ダイオードのような他の電子素子が、前記アレイ基板上に一体化されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項8】
箔電極/作動電極構成に並列に、キャパシタのようなメモリ素子が、各PMAの操作状態のメモリを電子的に保持するために使用されることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項9】
前記作動電極が、前記トランジスタスイッチの代わりに少なくとも二重ダイオード構成によりアクセスされることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項10】
前記作動電極が、前記トランジスタスイッチの代わりにMIM(金属−絶縁体−金属)ダイオード構成によりアクセスされることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の電気マイクロ流体装置を動作する方法において、計算ユニット又は計算手段において、時間の関数として信号又は信号の系列が、計算され、次いでPMA作動の所定のパターンを生成するために、前記アクチュエータドライバ及び前記選択ドライバの調整された操作により操作される、方法。
【請求項12】
他の使用/一体化されるセンサ素子の信号が、前述の操作信号の評価において認識されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500596(P2010−500596A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524277(P2009−524277)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053176
【国際公開番号】WO2008/020374
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】