説明

アゾベンゼン基ポリマーを利用した微細パターニング方法、及び前記微細パターニング方法を利用した窒化物系半導体発光素子の製造方法

【課題】アゾベンゼン基ポリマーを利用した微細パターニング方法、及び微細パターニング方法を利用した窒化物系半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルムを形成するステップと、アゾベンゼン基ポリマーフィルムに干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による微細パターンの表面凹凸を形成するステップと、表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルムをエッチングマスクとして利用し、被エッチング層をエッチングするステップと、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去するステップと、を含む微細パターニング方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターニング方法に係り、特に簡単かつ容易な方法で1μm以下のナノパターンを再現性よく反復して形成できる微細パターニング方法、及び前記微細パターニング方法を利用した窒化物系半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光リソグラフィを利用したパターニング方法は、まず、基板上にフォトレジスト膜を形成する工程、ソフトベーキング工程及び現像工程などの多段階の複雑な工程を経ねばならず、特に光を利用する工程であるため、1μm以下のパターニングを形成し難かった。
【0003】
そのため、新たなナノパターニング方式が紹介され、それらのうち現在最も注目されている二つの方法が、極紫外線(Extreme Ultraviolet:EUV)リソグラフィと電子ビームリソグラフィである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EUVリソグラフィの場合、露光させる光を、EUVを利用して基板上に微細なサイズのパターンを形成する方法であって、現在利用されている光リソグラフィ装備をそのまま利用できるという長所を有しているが、マスクやレンズを小型に作り難いという短所を有する。電子ビームリソグラフィの場合、基板上に電子ビームを直接照射してパターニングする方法であって、EUVリソグラフィよりさらに微細なパターンを形成できるという長所を有しているが、工程コストが高く、精巧に調節し難くて、素子の製造工程への適用が容易でないという短所を有する。
【0005】
前述した方法以外にも、ナノサイズのモールドを設けてプリンティングするようにパターニングするナノインプリント方法や、分子のセルフアセンブル性質を利用したセルフアセンブリ、または分子や原子を直接調整してパターニングを形成する分子または原子操作法などの方法が試みられている。しかし、それらのパターニング方法は、パターニングのために利用できる物質が制限的であり、再現性が不十分であり、特に1μm以下のナノパターンを形成するのが容易ではないという問題点を有している。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、前述した従来の技術の問題点を解消するためのものであって、簡単かつ容易な方法で1μm以下のナノパターンを再現性よく反復的に形成できる微細パターニング方法、及び前記微細パターニング方法を利用した窒化物系半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による微細パターニング方法は、被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルムを形成するステップと、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムに干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による微細パターンの表面凹凸を形成するステップと、前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルムをエッチングマスクとして利用し前記被エッチング層をエッチングするステップと、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去するステップと、を含む。
【0008】
また、本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法は、n型半導体層、活性層、p型半導体層、n−電極及びp−電極を備える窒化物系発光素子の製造方法において、前記n型半導体層、p型半導体層、n−電極及びp−電極よりなる群のうちいずれか一つの層を被エッチング層として選択して、前記被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルムを形成するステップと、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムに干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による微細パターンの表面凹凸を形成するステップと、前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルムをエッチングマスクとして利用し前記被エッチング層をエッチングすることによって、前記被エッチング層に光結晶構造の凹凸面を形成するステップと、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単かつ容易な方法で1μm以下の微細なパターンを再現性よく反復的に形成できる。したがって、既存の光リソグラフィ技術により形成され難かった1μm以下のナノパターンを容易に形成することができる。
【0010】
また、かかるナノパターニング技術を窒化物系半導体発光素子の製造に適用して、光出力及び光抽出効率が向上した光結晶構造の窒化物系半導体発光素子を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による微細パターニング方法、及び前記微細パターニング方法を利用した窒化物系半導体発光素子の製造方法の実施形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。この過程で、図面に示す層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示す。
【0012】
図1は、アゾベンゼン基ポリマーの光異性化反応を示す概略図であり、図2は、前記アゾベンゼン基ポリマーに干渉レーザビームを照射するための光学装置の概略図である。そして、図3は、本発明においてアゾベンゼン基ポリマーとして利用されるポリ ディスパース オレンジ3(PDO3:Poly Disperse Orange 3)の構造式を示す。
【0013】
図1に示すように、まず、本発明に利用されるアゾベンゼン基ポリマーの特性を詳細に説明する。アゾベンゼン基は、二つのベンゼン基が二つの窒素原子により互いに連結された化学構造を有するものであって、電子軌道の側面重畳により分子全体にわたり非局地化した芳香族化合物である。かかるアゾベンゼン基ポリマーは、光誘導線形配向特性を有することが広く知られている。ここで、光誘導線形配向特性とは、前記アゾベンゼン基ポリマーが線形偏光された光に露光される場合、入射光線の線偏光方向に対し垂直に配向する特性をいう。かかる光誘導線形配向特性を積極的に活用し、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムの表面に干渉レーザビームを照射する場合、前記アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動現象が誘導され、その結果、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムの表面に微細パターンの表面凹凸が形成される。
【0014】
かかるアゾベンゼン基ポリマーとして、分子量が数千ないし数十万の範囲にある物質を選択して利用できるが、分子量が多いほど露光に対する光物理的な挙動が遅く表れる。したがって、光物理的な挙動の制御のためには、適切な分子量のものを選択して使用することが望ましい。通常、1,000〜500,000g/モルの重量平均分子量を有するものを用いる。例えば、鎖の縺れが少ない特性を有する有機ガラスを使用する場合、露光される光に対する光物理的な挙動が速く表れるので、表面凹凸の形成が短時間に行われる。
【0015】
図2に示すように、干渉レーザビームを照射するための光学装置において、一般的に、光源としては、488nmのArレーザを利用する。線形に偏光されて出る光線は、λ/2波動面を通過しつつp偏光状態となり、空間フィルタ及びコリメーティングレンズを順次通過した後、サンプルに達する。このとき、コリメーティングレンズを通過した平行光のうち一部は直接サンプルに達し、その残りは鏡面で反射して前記サンプルに達する。ここで、前記λ/2波動面の光学材料は、p偏光または線形偏光面を0°ないし90°範囲内で回転させる特性を有したものならばよい。かかる特性を有する光学材料を使用する場合、表面凹凸をさらに効果的に形成できる。望ましくは、前記干渉レーザビームの照射方向を軸として、アゾベンゼン基ポリマーが形成された基板を回転させつつ露光工程を反復的に行う場合、2−D(Dimension)パターンまたは3−Dパターンのような多様な形態の表面凹凸が得られる。
【0016】
図4Aないし図4Gは、本発明による微細パターニング方法を示す工程図である。
【0017】
図4Aないし図4Cに示すように、その表面に微細パターニングを形成しようとする被エッチング層2を準備した後、前記被エッチング層2上にアゾベンゼン基ポリマー、例えばPDO3を塗布してアゾベンゼン基ポリマーフィルム4を形成する。前記アゾベンゼン基ポリマーの塗布のために、主にスピンコーティング方法が考慮されるが、その他のコーティング方法が適用されることもある。そして、前記被エッチング層2として、多様な材質の基板または物質層が利用され、特にその材質が制限される必要はない。例えば、前記被エッチング層2は、ITO(Indium Tin Oxide)またはFTO(Fluorine−doped Tin Oxide)で形成されうる。
【0018】
次いで、図2に示す光学装置を利用し前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム4に干渉レーザビームを照射することによって、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動による、微細パターンの表面凹凸を形成する。図4Cに示すように、かかる表面凹凸は、突出部4aと凹凸間隙4bとを備え、かかる凹凸構造についての理解を助けるために、表面凹凸を示す原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)写真を共に示す。図4Cの(a)は、原子顕微鏡写真であって、表面が波板形状であり、(b)は(a)の波についての概略断面図で、(c)は斜視図であって、表面が矩形の波板形状である。この明細書において、波板形状に、波の形状が矩形であるものも含まれる。前記微細パターン(例えば、図4Dにおいて、4bを意味する。)は、表面凹凸間隙のサイズが数十nmないし数千nmのパターンで形成され、望ましくは、1μm以下のパターンで形成されうる。そして、かかる微細パターンの周期(例えば、図4Dにおいて、4a+4bを意味する。)は、10μm以下に形成されることが望ましい。ここで、前記干渉レーザビームの照射方向を軸として、アゾベンゼン基ポリマーフィルム4を回転させつつ露光工程を反復的に行う場合、1−Dパターン、2−Dパターンまたは3−Dパターンなどの多様な形態の表面凹凸が得られる。
【0019】
図4D及び図4Eに示すように、前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルム4をエッチングマスクとして利用し、前記被エッチング層2を所定深さにエッチングする。具体的には、前記表面凹凸の突出部4aがマスクの役割を行い、前記凹凸間隙4bの形態に前記被エッチング層2にパターン2aが形成される。したがって、前記被エッチング層2には、数十nmないし数千nmのサイズのパターンが形成され、望ましくは、1μm以下のパターンが形成されうる。本明細書において、前記凹凸間隙4bの線幅及び前記被エッチング層2に形成されたパターンを、微細パターンまたはパターニングと称す。
【0020】
前記エッチング工程として、ドライエッチングまたはウェットエッチングなどの工程が適用され、具体的には、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)エッチング法、反応イオンエッチング法(Reactive Ion Etching:RIE)などが利用されうる。例示されたドライエッチング工程で、ハロゲン気体、メタン気体、水素気体、および四フッ化メタン気体よりなる群から選択された少なくとも一つを反応気体として選択してエッチングでき、前記気体の混合条件は、必要に応じて適切に調節されうる。
【0021】
図4F及び図4Gに示すように、常温〜425℃の温度範囲で熱処理して、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム4を分解または除去する。この温度範囲に設定することにより、アゾベンゼン基ポリマーフィルムを効率よく除去し得る。そして、かかる熱処理工程は、1ないし12時間行われ、望ましくは、多段階で行われる。この熱処理時間に設定することにより、アゾベンゼン基ポリマーフィルムを効率よく除去し得る。具体的に、前記熱処理工程は、常温から100℃まで30分間昇温させた後に1時間維持する第1ステップ、100℃から350℃まで30分間昇温させた後に5時間維持する第2ステップ、及び300℃から425℃まで30分間昇温させた後に2時間維持する第3ステップを含みうる。かかる多段階の熱処理工程により、熱処理過程で前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム4以外の他の物質層、すなわち被エッチング層2に対する熱的損傷を最少化できる。
【0022】
かかる工程過程により、前記被エッチング層2に1μm以下のナノパターン2aを容易に形成することが可能になった。特に、前記工程過程は、簡単かつ容易であるだけでなく、反復的に再現できるので、素子の製造に応用する場合に工程の信頼性を向上させる。図4Gに、かかるナノパターン2aを示すAFM写真を共に示す。図4Gの(a)は、原子顕微鏡写真であって、表面が波板形状であり、(b)は(a)の波についての概略断面図で、(c)は斜視図であって、表面が矩形の波板形状である。そして、図5は、図4Cで干渉レーザビームの照射によりアゾベンゼン基ポリマーフィルム4に形成される多様な形態の表面凹凸を示すAFM写真である。
【実施例】
【0023】
(実施例−微細パターニングの形成)
まず、アゾベンゼン基ポリマーとして、PDO3(図3を参照)を準備した。そして、前記PDO3をシクロヘキサノンに溶解して準備した溶液を、あらかじめ準備したITO層上にスピンコーティングして500nmの厚さに形成し、これから有機溶媒を除去するために100℃の真空オーブンで乾燥させて、PDO3フィルムを形成した。前記PDO3フィルムに、図2に示す光学装置を利用し、488nmのArレーザで1時間露光させて前記PDO3フィルムに表面凹凸を形成した。次いで、前記表面凹凸パターンのPDO3フィルムをエッチングマスクとして利用しITO層をエッチングした。前記ITO層のエッチングのために、ICPを利用し、このとき、1000Wattで2分間行われ、反応気体としてAr気体とCH気体とをそれぞれ9:1の体積比で混合して使用した。
【0024】
次いで、常温ないし425℃の温度範囲で熱処理して前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去した。具体的には、前記熱処理工程は、常温から100℃まで30分間昇温させた後に1時間維持する第1ステップ、100℃から350℃まで30分間昇温させた後に5時間維持する第2ステップ、及び300℃から425℃まで30分間昇温させた後に2時間維持する第3ステップで行った。
【0025】
図6Aないし図6Hは、本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法を示す工程図である。前述した微細パターニング方法は、窒化物系半導体発光素子の製造にそのまま適用されうる。具体的には、前記微細パターニング方法を利用し、光結晶構造の窒化物系半導体発光素子を製造でき、かかる光結晶構造は、発光素子の光出力及び光抽出効率を従来のものより向上させる。
【0026】
図6A及び図6Bに示すように、n型半導体層20、活性層30、p型半導体層40、n−電極50及びp−電極60を備える窒化物系発光素子の製造方法において、前記n型半導体層20、p型半導体層40、n−電極50及びp−電極60よりなる群のうちいずれか一つの層を被エッチング層として選択し、前記被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルム120を形成する。本実施例では、前記p−電極60を被エッチング層として選択した。本発明による窒化物系発光素子の製造方法において、前述した微細パターニング工程と重複する説明は簡単に述べる。
【0027】
図6Aに示すように、まず、あらかじめ準備された基板10、例えばSi,GaAs,SiC,GaNまたはサファイア基板上に同種(例えば、GaN基板上にGaN系の結晶層を成長)または異種の積層(例えば、サファイア基板上にGaN系の結晶層を成長)法によりn型半導体層20を形成する。前記n型半導体層20は、AlInGaN系III−V族窒化物半導体物質で形成するが、特にn−GaN層で形成することが望ましい。ここで、前記n型半導体層20は、HVPE(Halide or Hydride Vapor Phase Epitaxy)、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)、スパッタリングまたは蒸発法などの気相蒸着法で形成される。これらの方法は広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0028】
次いで、前記n型半導体層20上に活性層30及びp型半導体層40を順次形成する。ここで、同様に、前記活性層30及びp型半導体層40は、HVPE、MOCVDまたはMBEなどの多様な気相蒸着法により形成される。
【0029】
前記活性層30は、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)であるGaN系のIII−V族窒化物半導体物質で形成するが、特にInGaN層またはAlGaN層で形成することが望ましい。ここで、前記活性層30は、多重量子ウェル(Multi−Quantum Well:MQW)または単一量子ウェルのうちいずれか一つの構造で形成され、かかる活性層の構造は、本発明の技術的範囲を制限しない。例えば、前記活性層30は、GaN/InGaN/GaN MQWまたはGaN/AlGaN/GaN MQW構造で形成されることが最も望ましい。そして、前記p型半導体層40は、p−GaN系のIII−V族窒化物半導体物質で形成するが、特にp−GaN層またはp−GaN/AlGaN層で形成することが望ましい。
【0030】
次いで、前記p型半導体層40の上面の所定領域からn型半導体層20の所定深さまでをエッチングして、前記n型半導体層20にエッチング面を形成する。次いで、前記n型半導体層20のエッチング面及び前記p型半導体層40上に、導電性物質でn−電極50とp−電極60を形成する。望ましくは、前記n−電極50またはp−電極60は、透明な導電性(conductive)酸化物で形成される。前記透明な導電性酸化物は、ITO、ZITO(Zinc−doped Indium Tin Oxide)、ZIO(Zinc Indium Oxide)、GIO(Gallium IndiumOxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、FTO、AZO(Aluminium−doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium−doped Zinc Oxide)、InSn12またはZn1−xMgO(Zinc Magnesium Oxide、0≦x≦1)よりなる群から選択されたいずれか一つであり、具体的な例として、ZnIn,GaInO,ZnSnO,F−ドープSnO,Al−ドープZnO,Ga−ドープZnO,MgO,ZnOなどがある。本実施例では、前記p−電極60をITO物質で形成した。
【0031】
図6Bに示すように、ITO材質の前記p−電極60を被エッチング層として選択し、前記ITO層60上にPDO3を塗布してアゾベンゼン基ポリマーフィルム120を形成する。前述したように、前記アゾベンゼン基ポリマーの塗布のために、主にスピンコーティング法が考慮されるが、その他のコーティング法が適用されることもある。望ましくは、前記アゾベンゼン基ポリマーとして分子量が数千ないし数十万の範囲にある物質を選択して利用しうる。
【0032】
図6C及び図6Dに示すように、図2に示す光学装置を利用し前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム120に干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による、微細パターンの表面凹凸を形成する。かかる表面凹凸は、突出部120aと凹凸間隙120bとを備える。前記微細パターンは、数十nmないし数千nmのサイズのパターンで形成され、望ましくは、1μm以下のパターンで形成されうる。そして、かかる微細パターンの周期は、10μm以下に形成されることが望ましい。ここで、前記干渉レーザビームの照射方向を軸としてアゾベンゼン基ポリマーフィルム120が形成された基板10を回転させつつ露光工程を反復的に行う場合、1−Dパターン、2−Dパターンまたは3−Dパターンなどの多様な形態の表面凹凸が得られる。
【0033】
図6E及び図6Fに示すように、前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルム120をエッチングマスクとして利用し前記ITO層60をエッチングすることによって、前記ITO層60に光結晶構造の凹凸面を形成する。かかる前記光結晶構造の凹凸面60aは、前記活性層30内で発生する光を回折及び/又は散乱させて光の外部抽出効率を向上させ、特に発生した光の内部全反射を最小に抑制できる。したがって、窒化物系半導体発光素子の光出力及び抽出効率が、従来のものより向上する。
【0034】
図6G及び図6Hに示すように、常温ないし425℃の温度範囲で熱処理して、前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム120を分解または除去する。そして、かかる熱処理工程は、1ないし12時間行われ、望ましくは、多段階で行われうる。具体的には、前記熱処理工程は、常温から100℃まで30分間昇温させた後に1時間維持する第1ステップ、100℃から350℃まで30分間昇温させた後に5時間維持する第2ステップ、及び300℃から425℃まで30分間昇温させた後に2時間維持する第3ステップを含みうる。かかる多段階の熱処理工程を通じて、熱処理過程で前記アゾベンゼン基ポリマーフィルム120以外の他の物質層、すなわちn型半導体層20、活性層30、p型半導体層40、n−電極50及びp−電極60などに対する熱的損傷を最少化できる。
【0035】
かかる工程過程を通じて、前記ITO層60に1μm以下のナノパターン60aを容易に形成することが可能になって、光出力及び光抽出効率の向上した光結晶構造の窒化物系半導体発光素子が製造される。特に、前記工程過程は、簡単かつ容易であるだけでなく、反復的に再現されうるので、素子の製造に応用する場合、工程の信頼性を向上させる。図6Hに、かかるナノパターン60aを示すAFM写真を共に示す。図7は、本発明の実施形態によって製造された窒化物系半導体発光素子における注入電流による光出力を示すグラフである。
【0036】
以上、かかる本発明の理解を助けるために、幾つかの模範的な実施形態が説明され添付された図面に示されたが、かかる実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、前記実施形態から多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明は、図示されて説明された構造及び工程順序にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の技術思想を中心に保護されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、半導体素子の製造関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】アゾベンゼン基ポリマーの光異性化反応を示す概略図である。
【図2】アゾベンゼン基ポリマーに干渉レーザビームを照射するための光学装置の概略図である。
【図3】本発明において、アゾベンゼン基ポリマーとして利用されたPDO3の構造式である。
【図4A】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4B】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4C】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4D】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4E】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4F】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図4G】本発明による微細パターニング方法の一例を示す工程図である。
【図5】図4Cで干渉レーザビームの照射によりアゾベンゼン基ポリマーフィルムに形成されうる多様な形態の表面凹凸の例を示すAFM写真である。
【図6A】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6B】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6C】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6D】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6E】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6F】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6G】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6H】本発明による窒化物系半導体発光素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図7】本発明の実施形態によって製造された窒化物系半導体発光素子における注入電流による光出力の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
2 被エッチング層
2a パターン
4 アゾベンゼン基ポリマーフィルム
4a 突出部
4b 凹凸間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルムを形成するステップと、
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムに干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による微細パターンの表面凹凸を形成するステップと、
前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルムをエッチングマスクとして利用し、前記被エッチング層をエッチングするステップと、
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去するステップと、を含むことを特徴とする微細パターニング方法。
【請求項2】
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムの除去は、常温ないし425℃の温度範囲で熱処理により行われることを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項3】
前記熱処理は、1ないし12時間行われることを特徴とする請求項2に記載の微細パターニング方法。
【請求項4】
前記アゾベンゼン基ポリマーは、分子量が数千ないし数十万の範囲にある物質であることを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項5】
前記アゾベンゼン基ポリマーは、ポリ ディスパース オレンジ3(PDO3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項6】
前記干渉レーザビームは、488nmのArレーザで得られることを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項7】
前記微細パターンは、前記表面凹凸間隙のサイズが数十nmないし数千nmのパターンであることを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項8】
前記微細パターンの周期は、10μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の微細パターニング方法。
【請求項9】
前記微細パターンは、前記表面凹凸間隙のサイズが1μm以下のパターンであることを特徴とする請求項8に記載の微細パターニング方法。
【請求項10】
前記微細パターンは、1−Dパターン、2−Dパターンまたは3−Dパターンで形成されることを特徴とする請求項1に記載の微細パターニング方法。
【請求項11】
n型半導体層、活性層、p型半導体層、n−電極及びp−電極を備える窒化物系半導体発光素子の製造方法において、
前記n型半導体層、p型半導体層、n−電極及びp−電極よりなる群のうちいずれか一つの層を被エッチング層として選択して、前記被エッチング層上にアゾベンゼン基ポリマーフィルムを形成するステップと、
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムに干渉レーザビームを照射して、アゾベンゼン基ポリマーの光物理的な物質移動特性による微細パターンの表面凹凸を形成するステップと、
前記表面凹凸パターンのアゾベンゼン基ポリマーフィルムをエッチングマスクとして利用し前記被エッチング層をエッチングすることによって、前記被エッチング層に光結晶構造の凹凸面を形成するステップと、
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムを除去するステップと、を含むことを特徴とする窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記アゾベンゼン基ポリマーフィルムの除去は、常温ないし425℃の温度範囲で熱処理により行われることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記熱処理は、1ないし12時間行われることを特徴とする請求項12に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記アゾベンゼン基ポリマーは、分子量が数千ないし数十万の範囲にある物質であることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記アゾベンゼン基ポリマーは、ポリ ディスパース オレンジ3(PDO3)を含むことを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記干渉レーザビームは、488nmのArレーザで得られることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記微細パターンは、前記表面凹凸間隙のサイズが数十nmないし数千nmのパターンであることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記微細パターンの周期は、10μm以下であることを特徴とする請求項17に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記微細パターンは、前記表面凹凸間隙のサイズが1μm以下のパターンであることを特徴とする請求項18に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記微細パターンは、1−Dパターン、2−Dパターンまたは3−Dパターンで形成されることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記n−電極は、透明な導電性酸化物で形成されることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記p−電極は、透明な導電性酸化物で形成されることを特徴とする請求項11に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
【請求項23】
請求項11に記載の方法で製造されてなる窒化物系半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図4C】
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【図4G】
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【図5】
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【図6H】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−304585(P2007−304585A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120944(P2007−120944)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】