説明

アゾールカルボキサミド化合物又はその塩

【課題】優れたtrkA 受容体阻害作用に基づく、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、及び間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患、並びに疼痛を伴う各種疾患の治療及び/又は予防剤を提供すること。
【解決手段】チアゾール環又はオキサゾール環がカルボキサミドを介してベンゼン環、ピリジン環又はピラゾール環又はに結合することを特徴とする新規なアゾールカルボキサミド化合物又はその塩が、強力なtrkA 受容体阻害活性を有することを確認し、有効性、安全性に優れた、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、及び間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患、並びに疼痛を伴う各種疾患の治療及び/又は予防剤となりうることを見出して本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物、殊に過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、下部尿路疼痛、および疼痛を伴う各種疾患の治療用医薬組成物の有効成分として有用なアゾールカルボキサミド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
過活動膀胱は失禁の有無にかかわらず尿意切迫感を訴える病態であり、通常頻尿および夜間頻尿を伴う(非特許文献1)。現在その治療には主に抗コリン薬が使用され、一定の治療成績を示している。しかし、一方で口渇、便秘、かすみ目といった副作用の発現も知られているほか、尿閉の危険性もあるため、前立腺肥大患者や高齢者には使いづらいことが報告されている。また、抗コリン治療で有効性を示さない患者の存在も知られている。以上のことから、過活動膀胱に対する新規機序の薬剤への期待は大きい。
神経成長因子 (nerve growth factor;NGF) は神経栄養因子 (neurotrophic factor) と総称される液性因子の一つであり、生体内においてニューロンの発生、分化、機能維持に重要な役割を担っている。NGF の受容体は高親和性の trkA 受容体 (受容体型チロシンキナーゼ)と低親和性の p75 受容体が知られている。 p75 はすべての神経栄養因子と結合し、ニューロンの発生過程において、アポトーシスに関与していることが報告されているが、その役割は未だ充分に解明されていない。NGF と trkA 受容体のノックアウトマウスは同様のフェノタイプを示すことが知られており (非特許文献1)、NGF の生理作用は主に trkA 受容体を介して発現すると考えられている。
【0003】
過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者で膀胱の NGF レベルが上昇していることが知られており(非特許文献2)、NGF の膀胱内注入がラットの膀胱容量を減少させることや、頻尿モデルラットにおいて、NGF 阻害が排尿機能を改善するとの報告がなされている(非特許文献3)。また、間質性膀胱炎患者において NGF 阻害が頻尿、尿失禁を改善したとの報告(非特許文献4)があることから、trkA 受容体阻害剤は過活動膀胱、間質性膀胱炎、前立腺炎などの下部尿路疾患治療剤として有用であると考えられる。
【0004】
加えて、trkA 受容体阻害剤は作用機序が異なるため、抗コリン薬に特有の副作用の回避が期待できるほか、抗コリン治療で有効性を示さない患者に対しても効果が期待できる。また、本剤は知覚神経に作用してより強い自覚症状の改善効果が期待できる。更に頻尿モデルラットの排尿圧を低下させることなく病態改善効果を示すことが報告されており(非特許文献5)、前立腺肥大症患者や高齢者にも安全に投与できることが期待できる。
ヒトやラットへの NGF 投与により痛みが誘発されることや、trkA 受容体のノックアウトマウスで痛覚が欠如することが知られており、生体内において NGF は痛みの発現に強く関わっていると考えられている。NGF 阻害が坐骨神経損傷誘発疼痛モデル(非特許文献6)や膝関節損傷誘発疼痛モデル(非特許文献7)といった神経因性疼痛や炎症性疼痛などのモデル動物において有効性を示しており、trkA 受容体阻害剤は、下部尿路疼痛を伴う下部尿路疾患、変形性関節症などの各種疼痛に対する治療剤としても有用であると考えられる。
【0005】
上記のような化合物としては、インドロカルバゾール誘導体(非特許文献8)、ピロロカルバゾール誘導体(特許文献1)、ピラゾロン誘導体(特許文献2)、オキシインドール誘導体(特許文献3、4)、アザオキシインドール誘導体(特許文献5)、ピラゾリル縮合環化合物(特許文献6)、ピラゾール誘導体(特許文献7、8)、三環性誘導体(特許文献9)、ALE-0540(特許文献10)、ベンゾ[de]イソキノリン誘導体(特許文献11)、ベンゾ[lmn]フェナンスロリン誘導体(特許文献12)、ピロロトリアジン誘導体(特許文献13)が知られている。
【0006】
また、式(A)で示されるアゾールカルボキサミド化合物がtrkA受容体阻害剤として特許文献14に開示されているが、Qの置換されてもよい単環又は二環式の脂環式含窒素へテロ環基を有する点で、本発明化合物とは構造が異なる。
【化1】

(式中の記号の意味は当該公報を参照。)
【0007】
【特許文献1】国際公開パンフレットWO01/14380号
【特許文献2】国際公開パンフレットWO01/32653号
【特許文献3】国際公開パンフレットWO02/20479号
【特許文献4】国際公開パンフレットWO02/20513号
【特許文献5】国際公開パンフレットWO03/027111号
【特許文献6】特開2003-231687号公報
【特許文献7】国際公開パンフレットWO2005/049033号
【特許文献8】国際公開パンフレットWO2005/103010号
【特許文献9】国際公開パンフレットWO2005/076695号
【特許文献10】国際公開パンフレットWO01/78698号
【特許文献11】国際公開パンフレットWO2007/030939号
【特許文献12】国際公開パンフレットWO2007/030934号
【特許文献13】国際公開パンフレットWO2007/061882号
【特許文献14】国際公開パンフレットWO2007/123269号
【非特許文献1】「レビュー・イン・ザ・ニューロサイエンス(Reviews in the Neurosciences)」、(英国)、1997年、第8巻、p.13-27
【非特許文献2】「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ウロロジー(British Journal of Urology)」、(英国)、1997年、第79巻、p.572-7
【非特許文献3】「ニューロサイエンス(Neuroscience)」、(米国)、1997年、第78巻、第2号、p.449-59
【非特許文献4】「第99回米国泌尿器学会総会予稿集」、サンフランシスコ、2004年、#363
【非特許文献5】「ザ・ジャーナル・オブ・ウロロジー(The Journal of Urology)」、(米国)、2005年、第173巻、p.1016-21
【非特許文献6】「ペイン(Pain)」、(米国)、1999年、第81巻、p.245-55
【非特許文献7】「ペイン(Pain)」、(米国)、2005年、第116巻、p.8-16
【非特許文献8】「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、1999年、第59巻、p.2395-2401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように既存の過活動膀胱に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、および間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患治療剤は、有効性、安全性等の点で満足できるものはなく、有効性、安全性に優れた下部尿路疾患の治療剤の提供が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のように、trkA 受容体阻害剤は、口渇、尿閉等の副作用が少なく、安全性の高い下部尿路疾患治療剤となることが期待できる。そこで本発明者等は下部尿路疾患等の治療に有用な新規化合物を提供することを目的として、trkA 受容体阻害活性を有する化合物につき鋭意研究した。その結果、後記式(I)で示されるアゾールカルボキサミド化合物が強力な trkA 受容体阻害作用を有することを知見し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、式(I)の化合物又はその塩、並びに、式(I)の化合物又はその塩、及び賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化2】

(式中の記号は以下の意味を有する。
X:S又はO、
1
【化3】

1a:H、−OH、−O−低級アルキル又は−O−シクロアルキル、
1b:F又は−O−低級アルキル、
1c:H又は低級アルキル、
1d:−O−低級アルキルで置換されてもよい低級アルキル、
2:H、(F若しくは−O−低級アルキル)で置換されてもよい低級アルキル、3−テトラヒドロフリル又は4−テトラヒドロピラニル、
A:
【化4】

3:R3A又は−CH2−R3B
3A:−CO2Me又は下記環基、
【化5】

00:低級アルキル、
3B:−OH、−O−低級アルキル又は下記群から選択される環基、
【化6】

0:H又は低級アルキル、
m:1又は2、
a:H、F、フェニル又は−低級アルキレン−O−低級アルキル、
b:H又はF、
4: −O−低級アルキルで置換されてもよい低級アルキル。)
なお、特に記載がない限り、本明細書中のある化学式中の記号が他の化学式においても用いられる場合、同一の記号は同一の意味を示す。
【0010】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその塩を含有する過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、下部尿路疼痛、および疼痛を伴う各種疾患の治療用医薬組成物、即ち、式(I)の化合物又はその塩を含有する過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、下部尿路疼痛、および疼痛を伴う各種疾患の治療剤に関する。
また、本発明は、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、下部尿路疼痛、および疼痛を伴う各種疾患の治療用医薬組成物の製造のための式(I)の化合物又はその塩の使用、並びに、式(I)の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなる過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、下部尿路疼痛、および疼痛を伴う各種疾患の治療方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
式(I)の化合物又はその塩は、in vitroにおける強力なtrkA 受容体阻害活性、及びin vivoにおける強力なNGF阻害活性を有し、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、及び間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患、並びに疼痛を伴う各種疾患の治療及び/又は予防剤として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「低級」なる用語は、特に断らない限り、炭素数が1〜6(以下、C1-6と略す)の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。
「低級アルキル」とはC1-6アルキルであり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル等の直鎖状のアルキル、及びイソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、ネオペンチル等の分枝状のアルキルである。別の態様としては、C1-4アルキルであり、さらに別の態様としては、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。「低級アルキレン」とはC1-6アルキルの任意の水素原子を除去してなる2価基であり、例えば、メチレン、エチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、メチルエチレン、ジメチルメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ジメチルエチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン等である。別の態様としては、C1-3アルキレンであり、さらに別の態様としては、メチレン、エチレン、メチルメチレン、メチルエチレン、ジメチルメチレン又はトリメチレンである。
「シクロアルキル」とは、C3-10の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよい。別の態様としては、C3-8シクロアルキルであり、さらに別の態様としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。架橋を有するシクロアルキルとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アダマンチル等が挙げられる。
【0013】
「置換されてもよい」とは、「置換されていない」又は「同一又は異なる1〜5個の、好ましくは1若しくは2個の置換基で置換されている」ことを意味し、複数個の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても互いに異なっていてもよく、同一原子上で置換されてもよい。なお、式(I)においてmが2の場合、2つのR0、2つのRaは同一であっても互いに異なっていてもよく、それらが結合する環基の同一又は異なる炭素原子に結合してもよい。
【0014】
本発明における、式(I)の化合物のある態様を以下に示す。
(1)XがSである化合物。
(2)XがOである化合物。
(3)R1が基;
【化7】

である化合物。
(4)R1が、3位が−OH、−O−低級アルキル及び−O−シクロアルキルからなる群から選択される1つの基で置換されてもよいアゼチジノである化合物。
(5)R1が3−メトキシアゼチジノである化合物。
(6)R2が、(F若しくは−O−低級アルキル)で置換された低級アルキル、3−テトラヒドロフリル又は4−テトラヒドロピラニルである化合物。
(7)R2が、2−メトキシエチル、3−フルオロプロピル又は3−テトラヒドロフリルである化合物。
(8)Aが下記である化合物。
【化8】

(ここで、R3はR3A又は−CH2−R3Bであり、R3Aは−CO2Me又は環基;
【化9】

であり、R00はメチル又はエチルであり、R3Bは−O−低級アルキル又は下記群から選択される環基;
【化10】

であり、R0はH又はメチルであり、mは1又は2であり、RaはH、F、フェニル又はメトキシメチルであり、RbはH又はFである。)
(9)Aが下記である化合物。
【化11】

(10)上記(1)〜(9)に記載の基のうち、二以上の組み合わせである化合物。
上記(10)における組み合わせの態様としては、例えば、上記(1)、(5)、(7)及び(9)の組み合わせである式(I−A)の化合物が挙げられる。
【化12】

(式中の記号は以下の意味を有する。
5:下記群から選択される環基、
【化13】

6:2−メトキシエチル、3−フルオロプロピル又は3−テトラヒドロフリル。)
【0015】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。 また、式(I)の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0016】
さらに、本発明は、式(I)の化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えば、Prog. Med., 5, 2157-2161(1985)や、「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0017】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0018】
さらに、本発明は、式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0019】
(製造法)
式(I)の化合物及びその塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料乃至中間体の段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えば、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行なったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行なうことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0020】
(第1製法)
【化14】

本工程は、化合物(2)又はその反応性誘導体と、化合物(1)又はその塩とを、常法によりアミド化することにより、式(I)の化合物を製造する工程である。
化合物(2)の反応性誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル、tert-ブチルエステルなどの通常のエステル;酸クロリド、酸ブロミド等の酸ハライド;酸アジド;1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、p-ニトロフェノールやN-ヒドロキシスクシンイミド等との活性エステル;対称型酸無水物;アルキル炭酸ハライド等のハロカルボン酸アルキルエステル、ピバロイルハライド、p-トルエンスルホン酸クロリド等との混合酸無水物;塩化ジフェニルホスホリル、N-メチルモルホリンとを反応させて得られるリン酸系混合酸無水物等の混合酸無水物等が挙げられる。
化合物(2)を遊離酸で反応させる場合、あるいは活性エステルを単離せずに反応させる場合等は当業者が通常用いうるアミド化を採用することができるが、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)存在下、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)や、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、ジエチルホスホリルシアニド(DEPC)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、N,N,N',N'-テトラメチルフルオロホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスフェート(TFFH)等の縮合剤を作用させる方法、又はオキシ塩化リンをピリジン溶媒中で作用させる方法が好適に用いられる。
【0021】
特に本発明においては、酸クロリド法、活性エステル化剤と縮合剤との共存下に反応させる方法が、簡便である。
反応は使用する反応性誘導体や縮合剤等によっても異なるが、通常メチレンクロリド、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類;酢酸エチル(EtOAc)などのエステル類;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)やジメチルスルホキシド(DMSO)等の反応に不活性な有機溶媒中、冷却下、冷却乃至室温下あるいは室温乃至加熱下に行われる。
なお、反応に際して、化合物(1)を過剰に用いたり、N-メチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの塩基の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。また、ピリジン塩酸塩、ピリジン p-トルエンスルホン酸塩、N,N-ジメチルアニリン塩酸塩などの弱塩基と強酸からなる塩を用いてもよい。ピリジンは溶媒とすることもできる。
特に、THF、DMF等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基存在下に反応させるのが好適である。
【0022】
(第2製法)
【化15】

(上記式中、Lv1は脱離基を示し、好ましくはハロゲン、−SMe、−SOMe、−SO2Me、−SO3H又は−O−SO2CF3である。以下同様。)
本工程はチアゾール2位に脱離基を有する化合物(3)と1級又は2級アミン化合物(4)を反応させることにより、式(I)においてXがSである化合物(I−a)を製造する工程である。なお、化合物(3)は第1製法に準じて製造することができる。
本工程の求核置換反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、DMF、DMA、DMSO等の反応に不活性な有機溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、及び/又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基存在下に行うことができる。なお、反応を加速させるために、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン等の触媒を加えてもよい。また、有機塩基及び/又は無機塩基に代えて、化合物(4)を過剰に用いてもよい。反応は用いる塩基によって異なるが、冷却乃至室温下、室温下乃至加熱下、室温下乃至還流下に行うことができる。
【0023】
(第3製法)
【化16】

本工程は、化合物(5)と化合物(6)よりアミド化反応を行い、式(I)の化合物を製造する工程である。本工程のアミド化反応は第1製法に準じて行うことができる。
【0024】
(第4製法)
さらに、式(I)で示される種々の官能基を有する化合物は、第1製法、第2製法若しくは第3製法により得られた化合物から、公知のアルキル化、アシル化、置換反応、酸化、還元、加水分解等、当業者が通常採用しうる工程を任意に組み合わせることにより製造することができる。本工程は一段階の反応とは限らず、多段階の反応により構成される場合もある。また、これらの当業者が通常採用しうる工程は、式(I)の化合物に対する適用に限定されず、製造中間体に対して適用することもできる。
代表的な反応を以下に示す。
(1)アミノ化
式(I)の化合物のうち、二級アミン、三級アミンを有する化合物は、アルキルハライドやアルコールの有機スルホン酸エステルを有する化合物を原料として、他の一級アミン、二級アミンを有する化合物と反応させることにより製造できる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)を参考に実施できる。
(2)還元的アルキル化
式(I)の化合物のうち、二級アミン、三級アミンを有する化合物は、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤存在下、若しくは水素雰囲気下パラジウム炭素等による接触還元条件下、一級アミン若しくは二級アミンを有する化合物を原料として、アルデヒドやケトンと還元的アルキル化反応させることによりアルキル基を導入することができる。例えば、日本化学会編「実験化学講座(第4版)」20巻(1992年)(丸善)等に記載の方法が挙げられる。
(3)還元
式(I)の化合物のうち、一級アルコールを有する化合物は、対応するカルボキシル基又はエステル基を有する化合物の還元反応により製造できる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」26巻(1992年)(丸善)に記載の方法を参考に実施できる。
【0025】
式(I)の化合物の製造に使用する原料化合物は、例えば下記の方法、後記製造例に記載の方法、公知の方法若しくは当業者にとって自明の方法、又はそれらの変法を用いて製造することができる。
【0026】
(原料合成1)
【化17】

(上記式中、Rは低級アルキルを示す。以下同様。)
工程1
本工程は化合物(7)を加水分解して化合物(8)を製造する工程である。本工程の加水分解反応は、例えば前記の「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1999年)」に記載の脱保護反応に準じて行うことができる。
工程2
本工程は化合物(8)をアミド化して化合物(1)を製造する工程である。本工程のアミド化反応は第1製法に準じて行うことができる。
【0027】
(原料合成2)
【化18】

(上記式中、Lはカルボン酸の保護基を示す。以下同様。)
工程1
本工程は化合物(9)のチアゾール環2位にて置換反応を行い化合物(10)を製造する工程である。本工程の置換反応は第2製法と同様の方法で行うことができる。
工程2
本工程はカルボン酸エステル(10)を加水分解して化合物(2a)を製造する工程である。本工程の加水分解反応は原料合成1の工程1と同様の方法で行うことができる。
【0028】
(原料合成3)
【化19】

工程1
本工程は、チオ尿素若しくは尿素(11)に対し、ブロモピルビン酸エステル等に代表されるα-ハロケトンを作用させてチアゾール環若しくはオキサゾール環を構築する方法である。「Comprehensive Organic Chemistry」第4巻、Turchi編「Heterocyclic Compounds」第45巻又はPalmer編「Heterocyclic Compounds」第60巻 partAに記載された方法又はそれらに準じた方法を採用することができる。また、環化反応促進の為、無水トリフルオロ酢酸等の酸を添加するのが好ましい場合がある。
工程2
本工程は、カルボン酸エステル(12)を加水分解してカルボン酸(2)を製造する工程である。本工程の加水分解反応は原料合成1の工程1と同様の方法で行うことができる。
【0029】
(原料合成4)
【化20】

工程1
本工程はニトロ化合物(13)を還元して化合物(6)を製造する工程である。本工程のニトロ基の還元反応は当業者が通常採用しうるニトロ基の還元反応を用いることができる。例えば、還元鉄、塩化スズ等の還元剤を用いた還元反応や、パラジウム炭素、ロジウム炭素等を触媒とした水素添加反応が挙げられる。反応は、例えば日本化学会編「実験化学講座(第4版)」26巻(1992年)(丸善)に記載の方法を参考に実施できる。
工程2
本工程は、化合物(7)と化合物(2)よりアミド化反応を行い、化合物(14)を製造する工程である。本工程のアミド化反応は第1製法に準じて行うことができる。
工程3
本工程は化合物(14)を加水分解して化合物(5)を製造する工程である。本工程の加水分解反応は原料合成1の工程1と同様の方法で行うことができる。
【0030】
式(I)の化合物は、遊離化合物、その塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(I)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行なわれる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。
【0031】
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
試験例1 神経成長因子受容体(trkA受容体)発現細胞を用いたtrkA受容体阻害活性の測定実験
trkA受容体阻害活性は、リガンド依存的な細胞内カルシウム濃度の上昇を指標にして測定した。ヒトtrkA受容体を安定的に発現させたHEK293細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション社(American Type Culture Collection))を、実験前日に2X104細胞/ウェルとなるように、96ウェル(well) ポリ-D-リジン-コートプレート(商品名:バイオコートPDL96Wブラック/クリアー、日本ベクトンディッキンソン社)に分注し、37℃、5% 二酸化炭素(CO2)下にて、10%ウシ胎児血清(FBS)を含む培地(商品名:DMEM、インビトロジェン社)中、一晩培養する。培地をローディングバッファー(1.5μMの蛍光標識試薬(商品名:Fluo4-AM、同仁堂社)を含む洗浄溶液:ハンクスバランス塩溶液(HBSS)、20mM 2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)-水酸化ナトリウム(NaOH)、2.5mM プロベネシド、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA))に置き換え、室温で3時間静置した後、洗浄溶液をセットしたプレートウォッシャー(商品名:ELx405、バイオ-テック(BIO-TEK)インスツルメント社)にて細胞を洗浄する。洗浄溶液であらかじめ溶解、希釈した化合物を添加し、細胞内カルシウム(Ca)濃度測定システム(商品名:FLIPR、モレキュラーデバイス社)にセットする。5分後に最大反応の80%刺激に相当する神経成長因子(NGF、マウス由来2.5S、アロモン社)を添加し(最終濃度として約100-150ng/ml)、細胞内Ca濃度変化を測定する。細胞内Ca濃度変化の最大値と最小値の差を算出し、測定データとして保存した。NGF添加時を0%、バッファー添加時の応答を100%としたときに、50%阻害する濃度をIC50値として算出した。いくつかの実施例化合物の結果を下記表1に示す。表中Exは後記実施例化合物番号を示す(以下同様)。本試験の結果、本発明の下記代表化合物はtrkA受容体阻害作用を有することが確認された。
【表1】

【0032】
試験例2 ラットNGF誘発血管透過性亢進に対する化合物の阻害活性評価
化合物のin vivo NGF阻害活性を検討した。Wistar系雌性ラット(日本SLC社)に化合物(0.5% メチルセルロース溶液)10mg/3ml/kgもしくは溶媒(0.5% メチルセルロース溶液)3ml/kgを強制経口投与した。投与後60分若しくは90分にエーテル麻酔下において、生理食塩水もしくは1 μg/ml NGF(NGF、マウス由来 2.5S、アロモン社)を背部に50μl/siteで皮内投与し、直後に1% エバンスブルー溶液(生理食塩水に溶解)を尾静脈から3ml/kgで投与した。投与後10分の時点で背部皮膚を採取し、ホルムアミド中にて16時間振とうした。振とう後、ホルムアミド中に抽出されたエバンスブルーの吸光度を吸光度計(波長 620nm)で測定し、検量線法により濃度を算出した。NGF投与部位のエバンスブルー濃度から生理食塩水投与部位のエバンスブルー濃度を差し引いた値をNGF依存的な作用とし、溶媒投与群を100%とした時の化合物群の抑制率を算出した。結果を下記表2に示す。なお、表中NTは未評価であることを示す。本試験において、本発明の下記代表化合物はラットNGF誘発血管透過性亢進に対する優れた阻害作用を有することが確認された。
【表2】

【0033】
上記試験の結果、式(I)の化合物はin vitroにおける強力なtrkA受容体阻害活性、及びin vivoにおける強力なNGF阻害活性を有することが確認された。従って、頻尿状態の改善作用及び疼痛に対する改善作用を示すことは明らかであり(特許文献14参照)、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、及び間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患、並びに変形性関節症などの疼痛を伴う各種疾患の治療及び/又は予防剤として使用できる。
【0034】
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用賦形剤、薬剤溶担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0035】
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等のような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0036】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、又はポリソルベート80(局方名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0037】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0038】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回乃至複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0039】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例に基づき、式(I)の化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例として説明する。なお、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0041】
また、実施例、製造例及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。
Pre:製造例番号、Ex:実施例番号、Str:構造式、Syn:製法(実施例/製造例のうち、同様にして製造された製造例番号又は実施例番号を示す。ここでPは製造例を示し、Eは実施例を示す。例えば、製造例40の化合物は製造例1の化合物と同様にして製造したことを示し、実施例7の化合物は実施例4の化合物と同様にして製造したことを示す。また、複数の製法が記載されている場合はその順で反応を行って製造したことを示す。)、Dat:物理化学的データ(NMR1:DMSO-d6中の1H-NMRにおけるδ(ppm)、NMR2:CDCl3中の1H-NMRにおけるδ(ppm)、NMR3:CD3OD中の1H-NMRにおけるδ(ppm)、MS:質量分析値)、Sal:塩(記載のない化合物はフリー体であることを意味する。Fum:フマル酸塩、1.5Fum:1.5フマル酸塩、2Fum:2フマル酸塩)、Me:メチル、Et:エチル、nPr:n-プロピル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、Boc:tert-ブトキシカルボニル。
【0042】
製造例1
5-(ブロモメチル)-2-ニトロ安息香酸メチル200mgとDMF2mlの混合物に、モルホリン127μlを加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20-0:100)で精製し、5-(モルホリン-4-イルメチル)-2-ニトロ安息香酸メチル192mgを製造した。
製造例2
5-(モルホリン-4-イルメチル)-2-ニトロ安息香酸メチル190mgとメタノール3.8mlと水950μlの混合物に、鉄113mg及び塩化アンモニウム18mgを加え、80℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトろ過した後、酢酸エチルで洗浄した。ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-40:1)で精製し、固体を得た。このものをヘキサン-酢酸エチル混合溶媒(3:1)に懸濁させた後、ろ取することにより、2-アミノ-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル95mgを製造した。
【0043】
製造例3
3-メトキシアゼチジン塩酸塩 2.02gとDMA 20mlの混合物に、トリエチルアミン 6.59ml及び2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-カルボン酸メチル 3.50gを加え、100℃で6時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1-1:1)で精製し、2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボン酸メチル2.84gを製造した。
製造例4
2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボン酸メチル 2.83g、THF 30ml、及びメタノール 30mlの混合物に1M 水酸化ナトリウム水溶液 37.1mlを加え、室温で40時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、氷冷下1M塩酸で中和した後に溶媒を減圧留去した。残渣にエタノールを加え、析出した塩をろ別し、ろ液を減圧留去して2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボン酸 2.60gを製造した。
【0044】
製造例5
2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボン酸2.85gとDMF20mlの混合物に、2-アミノ-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル2.00g、HOBt1.72g、WSC・HCl 2.45g及びトリエチルアミン2.23mlを加え、50℃で4日間、80℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水80ml及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlを加えて16時間攪拌し、析出した固体をろ取して、2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル2.55gを製造した。
製造例6
2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル200mg、THF1ml及びメタノール1mlの混合物に、4M水酸化ナトリウム水溶液493μlを加え、50℃で13時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、1M塩酸493μlを加え、析出した固体をろ取して、2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸152mgを製造した。
製造例7
2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル 100mgと1,2-ジクロロエタン 2mlの混合物に、クロロギ酸エチル 30μlを加え、2時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、水を加えた後にクロロホルムを加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、5-(クロロメチル)-2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)安息香酸メチル 60mgを製造した。
【0045】
製造例8
1,3,3-トリメチルピペラジン二塩酸塩 305mgとDMF 7mlの混合物に炭酸セシウム 1.40gおよび5-(クロロメチル)-2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)安息香酸メチル 500mgを加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-[(2,2,4-トリメチルピペラジン-1-イル)メチル]安息香酸メチル 615mgを製造した。
製造例9
5-(ブロモメチル)-2-ニトロ安息香酸メチル4.00gと1,2-ジクロロエタン40mlの混合物に、エタノール1.71ml及び酸化銀5.00gを加え室温で16時間攪拌し、モルホリン5mlを加えてさらに3時間攪拌した。反応混合物にエタノール50mlを加えてセライトろ過し、ろ液を減圧留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1-8:1)で精製し、5-(エトキシメチル)-2-ニトロ安息香酸メチル880mgを製造した。
【0046】
製造例10
2-アミノ-5-(メトキシカルボニル)安息香酸 12.4gのDMF (60ml)溶液に、WSC・HCl 12.20g、HOBt 8.60g、トリエチルアミン 8.87ml及び2-メトキシエチルアミン 5.49mlを加え、室温で70時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1-1:3)で精製し、4-アミノ-3-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]安息香酸メチル 10.4gを製造した。
製造例11
(3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン塩酸塩2.50g、トルエン40ml及びTHF20mlの混合物に、トリエチルアミン2.50ml及びベンゾイルイソチオシアネート2.02mlを加え、室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣に水を加えた後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去してN-{[(3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン-4-イル]カルボノチオイル}ベンズアミド3.74gを製造した。
製造例12
N-{[(3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン-4-イル]カルボノチオイル}ベンズアミド3.73gとエタノール40mlの混合物に、9.8Mメチルアミン/メタノール溶液40mlを加え、室温で14時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製し、 (3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン-4-カルボチオアミド2.81gを製造した。
【0047】
製造例13
(3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン-4-カルボチオアミド2.80gとエタノール60mlの混合物に、α-ブロモピルビン酸エチル 1.75mlを滴下し、3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却した後、溶媒を減圧留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた15分攪拌した後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=8:1-2:1)で精製し、2-[(3S)-3-(メトキシメチル)モルホリン-4-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボン酸エチル3.09gを製造した。
製造例14
4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸安息香酸メチル 1.00 gとDMF 30 mlの混合物にに炭酸カリウム 2.42 g及び2-ブロモエチルメチルエーテル 0.61 mlを加え、室温で5時間攪拌した。反応混合物に水を加えた後、有機溶媒を減圧留去しクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1-90:10)で精製し、1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸メチル1.17 gを製造した。
製造例15
1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸メチル 1.17gのメタノール40 ml溶液にアルゴン雰囲気下10% パラジウム炭素 117 mgを加えた後、水素雰囲気下室温で1時間攪拌した。反応混合物をアルゴン置換後セライトろ過により触媒をろ別、ろ液を減圧留去して、4-アミノ-1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸メチル 782 mgを製造した。
【0048】
製造例16
5-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチル4.5gとトルエン45mlの混合物に、トリブチルビニルスズ5.54ml、トリ-o-トリルホスフィン1.16g及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム1.58gを加えて、100℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル50ml、フッ化カリウム5.03g及び水1mlを加えて30分攪拌した後、セライトろ過し、ろ液を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0-10:1)で精製し、2-ニトロ-5-ビニル安息香酸メチル4.54gを製造した。
製造例17
2-ニトロ-5-ビニル安息香酸メチル2.5gとメチレンクロリド75mlの混合物に、m-クロロ過安息香酸5.55gを加え、室温で15時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0-2:1)で精製し、2-ニトロ-5-オキシラン-2-イル安息香酸メチル1.55gを製造した。
製造例18
2-ニトロ-5-オキシラン-2-イル安息香酸メチル250mgとメタノール3mlの混合物に、2-(メチルアミノ)エタノール269μlを加え、室温で15時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルム-メタノール混合溶媒(5:1)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-10:1)で精製し、5-{1-ヒドロキシ-2-[(2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ] エチル}-2-ニトロ安息香酸メチル324mgを製造した。
【0049】
製造例19
5-{1-ヒドロキシ-2-[(2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ] エチル}-2-ニトロ安息香酸メチル320mg、トリフェニルホスフィン395mg及びTHF6.4mlの混合物に、氷冷下2.2Mアゾジカルボン酸ジエチル/トルエン溶液731μlを滴下した後、室温で15時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-10:1)で精製し、5-(4-メチルモルホリン-2-イル)-2-ニトロ安息香酸メチル 880mgを製造した。
製造例20
N-{2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]-4-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル}-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド2.92gと、1,2-ジクロロエタン75mlの混合物に、クロロギ酸1-クロロエチル949μlを加えて、3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1-97:3)で精製しN-{4-(クロロメチル)-2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド1.44gを製造した。
【0050】
製造例21
(S)-(-)-3-ピロリジノール 32.5 gのTHF(500 ml)溶液に、氷冷下イソシアン酸トリメチルシリル 45.0 gを加えて同温で30分間、室温で30分間攪拌した。反応混合物にメタノール40 mlを加えて室温でさらに30分間攪拌後、溶媒を減圧留去し、(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミド 48.55 gを製造した。
製造例22
(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキサミド 48.6 gのエタノール(500 ml)溶液にブロモピルビン酸エチル 95.8 gを加えて6時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧留去した後、水を加えて酢酸エチルで洗浄し、有機層を1M塩酸で洗浄した水層と合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、酢酸エチル、クロロホルムで抽出した。各有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して2-[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸エチル76.7 gを製造した。
製造例23
2-[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸エチル500 mgのDMF(5.1 ml)溶液に、氷冷下で水素化ナトリウム 125 mgを加え、室温で15分間攪拌した。反応混合物を氷冷し、ヨウ化メチル 0.17 mlを加えて室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1-12:1)で精製し、2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸エチル324 mgを製造した。
【0051】
製造例24
(2S)-4-{3-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]-4-[({2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-イル}カルボニル)アミノ]ベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチル 270mgの1,4-ジオキサン(6ml)溶液に4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液 1mlを加え、室温で4日間撹拌した。溶媒を減圧留去してN-(2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]-4-{[(3S)-3-メトキシピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド三塩酸塩 265mgを製造した。
製造例25
2-{[(2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-イル)カルボニル]アミノ}-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル10.0gとDMF50mlの混合物に、2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-カルボン酸10.4g、WSC・HCl 9.00g及びHOBt9.00gを加えて、室温で5日間攪拌した。反応混合物に水300ml及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlを加えて30分攪拌し、不溶物をろ取した。これにエタノール100mlを加えて加熱溶解後冷却し、析出した固体を濾取して2-{[(2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-イル)カルボニル]アミノ}-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル13.2gを製造した。
【0052】
製造例26
2-{[(2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-イル)カルボニル]アミノ}-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸メチル13.2g、メタノール100ml及びTHF250mlの混合物に、1M水酸化ナトリウム水溶液90mlを加えて室温で14時間攪拌した。反応混合物に1 M塩酸90mlを加えて中和し、析出した固体を濾取して2-{[(2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-イル)カルボニル]アミノ}-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸10.9gを製造した。
製造例27
2-{[(2-ブロモ-1,3-チアゾール-4-イル)カルボニル]アミノ}-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸10.9gとDMF220mlの混合物に、WSC・HCl 6.00g、HOBt 4.80g及び 2-メトキシエチルアミン3.48gを加え、室温で19時間攪拌した。反応混合物に水600ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液600mlを加えて1時間攪拌し、不溶物をろ取した。これにエタノール200mlを加えて加熱溶解後冷却し、析出した固体を濾取して2-ブロモ-N-{2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]-4-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル}-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド7.32gを製造した。
製造例28
3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボン酸 tert-ブチル 2.61gとn-ブチル ビニルエーテル 39mlの混合物に、酢酸パラジウム(II) 34mg、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン 50mg及びトリエチルアミン 0.21mlを加え、75℃で7日間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1)で精製し、3-(ビニルオキシ)アゼチジン-1-カルボン酸 tert-ブチル 2.00gを製造した。
【0053】
製造例29
アルゴン雰囲気下、メチレンクロリド10mlと1.0Mジエチル亜鉛/ヘキサン溶液 20mlの混合物を氷冷し、トリフルオロ酢酸1.54mlのメチレンクロリド(10ml)溶液を滴下し、氷冷下30分間撹拌した。次いでジヨードメタン1.61mlのメチレンクロリド(10ml)溶液を滴下して30分間撹拌した後に、3-(ビニルオキシ)アゼチジン-1-カルボン酸 tert-ブチル 1.99gのメチレンクロリド (30ml)溶液を滴下し、室温で15時間撹拌した。次いでトリエチルアミン4.87mlおよび二炭酸ジ-tert-ブチル2.62gを加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1-10:1)で精製し、3-(シクロプロピルオキシ)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル 406mgを製造した。
製造例30
3-(シクロプロピルオキシ)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル 400mgの1,4-ジオキサン (5ml)溶液に4M塩化水素/1,4-ジオキサン溶液1.5mlを加え、室温で15時間撹拌した後に、エタノール 5mlを加えて2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、3-(シクロプロピルオキシ)アゼチジン 塩酸塩 280mgを製造した。
製造例31
2-アミノ-5-{[(2S)-2-メチルモルホリン-4-イル]メチル}安息香酸メチル 300 mgのメタノール(5ml)溶液に、1M水酸化ナトリウム水溶液3.4 mlを加えて50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、当量の1M塩酸を加えた後、溶媒を減圧留去して、2-アミノ-5-{[(2S)-2-メチルモルホリン-4-イル]メチル}安息香酸を塩化ナトリウムとの混合物として得た。これにDMF 5 mlを加え、WSC・HCl 283 mg、HOBt 199 mg及びテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン 149 mgを加えて室温で20時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール= 97:3-92:8)で精製し、2-アミノ-5-{[(2S)-2-メチルモルホリン-4-イル]メチル}-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ベンズアミド 427 mgを製造した。
【0054】
製造例32
5-ブロモ-2-ニトロ安息香酸メチル5gとアセトニトリル75mlの混合物に、N-(ジフェニルメチレン)グリシンエチル5.14g、炭酸カリウム7.97g及び臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム620mgを加えて、15時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却した後、固体をろ別し、ろ液を減圧留去した。残渣にジエチルエーテルを加えて、析出した固体をろ別後、ろ液に1M塩酸を50ml加えて、室温で7時間攪拌した。反応混合物を分液ロートに移しジエチルエーテルで洗浄した後、水層に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え弱アルカリ性としてからメチレンクロリド150mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、二炭酸ジ-tert-ブチル8.39gを加えて、室温で5時間、40℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-30:1)で精製し、5-{1-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-エトキシ-2-オキソエチル}-2-ニトロ安息香酸メチル1.68gを製造した。
製造例33
5-{1-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-エトキシ-2-オキソエチル}-2-ニトロ安息香酸メチル1.80g、THF54ml及びメタノール9mlの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム267mgを加えて、室温で14時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えしばらく攪拌した後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0-1:1)で精製し、5-{1-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-ヒドロキシエチル}-2-ニトロ安息香酸メチル1.44gを製造した。
【0055】
製造例34
5-{1-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-ヒドロキシエチル}-2-ニトロ安息香酸メチル418mgに、4M塩化水素/ 酢酸エチル溶液4.18mlを加え、室温で1.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルム-メタノール混合溶媒(5:1)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-20:1)で精製し、5-(1-アミノ-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル150mgを製造した。
製造例35
5-(1-アミノ-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル150mgとメチレンクロリド1.5mlの混合物に、ベンジルオキシアセトアルデヒド94mg、酢酸358μl及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム159mgを加えて、室温で5時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-20:1)で精製し、5-(1-{[2-(ベンジロキシ)エチル]アミノ}-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル140mgを製造した。
【0056】
製造例36
5-(1-{[2-(ベンジロキシ)エチル]アミノ}-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル1.27gとメチレンクロリド25mlの混合物に、37%ホルムアルデヒド水溶液4.95g、酢酸2.13ml及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム791mgを加えて、室温で40分間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-30:1)で精製し、5-(1-{[2-(ベンジルオキシ)エチル](メチル)アミノ}-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル694mgを製造した。
製造例37
アルゴン雰囲気下、5-(1-{[2-(ベンジルオキシ)エチル](メチル)アミノ}-2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ安息香酸メチル690mgとメチレンクロリド28mlの混合物に、ペンタメチルベンゼン1.31gを加え、-78℃に冷却した後、1.0Mトリクロロボラン/n-ヘプタン溶液4.44mlを滴下し、-78℃で2時間攪拌した。反応混合物にメタノール1mlを加えて室温に昇温して15分間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-10:1)で精製し、5-{2-ヒドロキシ-1-[(2-ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]エチル}-2-ニトロ安息香酸メチル421mgを製造した。
【0057】
製造例1〜37の方法と同様にして、後記表に示す製造例40〜158の化合物を製造した。なお、製造例38及び39の化合物は後述の実施例1の方法と同様にして製造した。製造例化合物の構造、製造法及び物理化学的データを表3〜21に示す。
【0058】
実施例1
2-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-5-(モルホリン-4-イルメチル)安息香酸110mgとDMF2mlの混合物に、WSC・HCl 59mg、HOBt 41 mg、トリエチルアミン107μl及び(2R)-2-メトキシプロパン-1-アミン塩酸塩96mgを室温で加え、室温で17時間攪拌した後、50℃で4時間撹拌した。反応混合物に水を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1-30:1)で精製した。このものをエタノール1mlに懸濁し、フマル酸17mgを加えて攪拌後固体を濾取し、2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-N-[2-{[(2R)-2-メトキシプロピル]カルバモイル}-4-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド フマル酸塩66mgを製造した。
【0059】
実施例2
2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボン酸1.00gと1,2-ジクロロエタン 11mlの混合物に、氷冷下DMF3μlおよび二塩化オキザリル 1.11mlを加え、氷冷下1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮後、ピリジン 6ml及びメチレンクロリド 6mlを残渣に加え、4-アミノ-3-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]安息香酸メチル 892mg及び4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン 44mgを加え、室温で3日間撹拌した。反応混合物に水を加えた後クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1-30:1)で精製し、4-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルバモイル}アミノ)-3-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]安息香酸メチル 1.17gを製造した。
実施例3
4-({[2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-イル]カルボニル}アミノ)-3-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]安息香酸メチル 200mgのTHF (3ml)溶液に、氷冷下水素化ホウ素リチウム 20mgを加え、室温で3日間撹拌した。反応混合物に1M塩酸を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=40:1)で精製した。このものをエーテルに懸濁し、粉末を濾取・乾燥してN-{4-(ヒドロキシメチル)-2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}-2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド 40mgを製造した。
【0060】
実施例4
N-{4-(クロロメチル) -2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル] -1,3-チアゾール-4-カルボキサミド200mgとDMF2mlの混合物に、(8aR)-オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン67mg及び炭酸セシウム216mgを加え、室温で18時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後にクロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-10:1)で精製した。このものをエタノール2mlに懸濁し、フマル酸102mgを加えて攪拌後固体を濾取し、N-{4-[(8aR)-ヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イルメチル]-2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド 2フマル酸塩165 mgを製造した。
実施例5
N-(2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド塩酸塩 265mgと1,2-ジクロロエタン 7mlの混合物に、トリエチルアミン177μl、酢酸 242μl及び37%ホルムアルデヒド水溶液 200mgを加え、室温で30分間撹拌した後に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム 269mgを加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1-95:5)で精製した。このもの94mgをエタノール 1mlに溶解後、フマル酸 43mgを加えて室温で撹拌し、析出した固体を濾取・乾燥してN-(4-{[(3S)-3,4ジメチルピペラジン-1-イル]メチル}-2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル)-2-[(3S)-3-メトキシピロリジン-1-イル]-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド フマル酸塩 100mgを製造した。
【0061】
実施例6
2-ブロモ-N-{2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル] -4-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル}-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド200mgとDMA2mlの混合物に、N-エチルエタンアミン200μlを加え、100℃で20時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後に酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=99:1)で精製した。このものをエタノール1mlに溶解し、攪拌後析出した固体を濾取し、2-(ジエチルアミノ)-N-{2-[(2-メトキシエチル)カルバモイル] -4-(モルホリン-4-イルメチル)フェニル}-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド89mgを製造した。
【0062】
実施例1〜6の方法と同様にして、後記表に示す実施例7〜90の化合物を製造した。実施例化合物の構造を表22〜34に、製造法及び物理化学的データを表35〜39にそれぞれ示す。
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
【表10】

【0071】
【表11】

【0072】
【表12】

【0073】
【表13】

【0074】
【表14】

【0075】
【表15】

【0076】
【表16】

【0077】
【表17】

【0078】
【表18】

【0079】
【表19】

【0080】
【表20】

【0081】
【表21】

【0082】
【表22】

【0083】
【表23】

【0084】
【表24】

【0085】
【表25】

【0086】
【表26】

【0087】
【表27】

【0088】
【表28】

【0089】
【表29】

【0090】
【表30】

【0091】
【表31】

【0092】
【表32】

【0093】
【表33】

【0094】
【表34】

【0095】
【表35】

【0096】
【表36】

【0097】
【表37】

【0098】
【表38】

【0099】
【表39】

【産業上の利用可能性】
【0100】
式(I)の化合物又はその塩は、in vitroにおける強力なtrkA 受容体阻害活性、及びin vivoにおける強力なNGF阻害活性を有し、過活動膀胱を含む各種下部尿路疾患に伴う頻尿、尿意切迫感、尿失禁、及び間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの下部尿路疼痛を伴う各種下部尿路疾患、並びに疼痛を伴う各種疾患の治療及び/又は予防剤として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩。
【化21】

(式中の記号は以下の意味を有する。
X:S又はO、
1
【化22】

1a:H、−OH、−O−低級アルキル又は−O−シクロアルキル、
1b:F又は−O−低級アルキル、
1c:H又は低級アルキル、
1d:−O−低級アルキルで置換されてもよい低級アルキル、
2:H、(F若しくは−O−低級アルキル)で置換されてもよい低級アルキル、3−テトラヒドロフリル又は4−テトラヒドロピラニル、
A:
【化23】

3:R3A又は−CH2−R3B
3A:−CO2Me又は下記環基、
【化24】

00:低級アルキル、
3B:−OH、−O−低級アルキル又は下記群から選択される環基、
【化25】

0:H又は低級アルキル、
m:1又は2、
a:H、F、フェニル又は−低級アルキレン−O−低級アルキル、
b:H又はF、
4: −O−低級アルキルで置換されてもよい低級アルキル。)
【請求項2】
1が、3位が−OH、−O−低級アルキル及び−O−シクロアルキルからなる群から選択される1つの基で置換されてもよいアゼチジノである請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
式(I−A)の化合物又はその塩。
【化26】

(式中の記号は以下の意味を有する。
5:下記群から選択される環基、
【化27】

6:2−メトキシエチル、3−フルオロプロピル又は3−テトラヒドロフリル。)

【公開番号】特開2010−254641(P2010−254641A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108664(P2009−108664)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】