説明

アプリケーション処理装置及びアプリケーション処理方法並びにそのプログラム、組み込み機器

【課題】複数のアプリケーションプログラムを記憶するICカードにおいて、ユーザの手間と、そのICカードを用いた際の一連処理が終了するまでの時間の短縮を行うことのできるアプリケーション処理装置を提供する。
【解決手段】起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時に必要な認証のセキュリティレベルよりも、レベルの高い、またはそのレベル以上の、セキュリティレベルの認証が他のアプリケーションプログラムの利用時に既に行われていると判定した場合には、新たに起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時における認証処理を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアプリケーションプログラムをユーザの認証後に実行するアプリケーション処理装置及びアプリケーション処理方法並びにそのプログラム、組み込み機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のアプリケーションプログラムを記憶し、それぞれのアプリケーションプログラムの利用開始の指示を受け付ける度に、ユーザの認証を行うICカードが利用されている。例えばこのようなICカードを用いた例では、ICカードが銀行カード用のアプリケーションプログラムとクレジットカード用のアプリケーションプログラムを記憶しており、ATM(Automated Teller Machine)端末などに挿入された場合、当該ATM端末がICカードに対してどちらのアプリケーションプログラムを実行するかの指示を行い、その指示に基づいて、ICカードが、指示に対応するアプリケーションプログラムを自身の処理部内で起動させる。その際ICカードは、ATM端末から受信した認証情報を用いて認証処理を行う。またその後、他のアプリケーションプログラムの実行の指示を受け付けた場合には、再度、ATM端末から受信した認証情報を用いて認証処理を行い、認証が成功した場合には、次のアプリケーションプログラムの実行を処理する。そして、このようなICカードを用いた認証技術として特許文献1が開示されている。
【特許文献1】特開昭60−146361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のようなICカードを用いて、複数のアプリケーションプログラムを順に利用する場合には、その都度ユーザの認証が必要となる。従ってユーザは逐一、暗証番号や指紋などの暗証情報を入力する必要があり、ユーザの手間がかかっている。またその暗証情報を入力するための時間が必要となるが、そのようなICカードを用いた際の一連処理が終了するまでの時間の短縮が求められている。
【0004】
そこでこの発明は、複数のアプリケーションプログラムを記憶するICカードにおいて、ユーザの手間と、そのICカードを用いた際の一連処理が終了するまでの時間の短縮を行うことのできるアプリケーション処理装置及びアプリケーション処理方法並びにそのプログラム、組み込み機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段と、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段と、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を前記認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定する認証完了可否判定手段と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、を備えることを特徴とするアプリケーション処理装置である。
【0006】
また本発明は、上述のアプリケーション処理装置が、前記認証方式それぞれに対するセキュリティレベルを記憶する認証セキュリティレベル記憶手段と、を備え、前記認証完了可否判定手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式以外の認証方式であって、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式を、前記認証セキュリティレベル記憶手段に記録されているセキュリティレベルから判定し、当該判定した認証方式のうちの何れかの認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定し、前記アプリケーション実行手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了していない場合であっても、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式の認証が完了している場合には、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式による認証を中止して、当該実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上述のアプリケーション処理装置が、前記認証方式それぞれに対するセキュリティレベルを記憶する認証セキュリティレベル記憶手段と、を備え、前記認証完了可否判定手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式以外の認証方式であって、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証方式を、前記認証セキュリティレベル記憶手段に記録されているセキュリティレベルから判定し、当該判定した認証方式のうちの何れかの認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定し、前記アプリケーション実行手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了していない場合であっても、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証が完了している場合には、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式による認証を中止して、当該実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、アプリケーション処理装置におけるアプリケーション処理方法であって、記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付処理と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段から特定する認証完了可否判定処理と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行処理と、を有することを特徴とするアプリケーション処理方法である。
【0009】
また本発明は、アプリケーション処理装置のコンピュータを、記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段から特定する認証完了可否判定手段、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
また本発明は、記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段と、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段と、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を前記認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定する認証完了可否判定手段と、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、を備えることを特徴とする組み込み機器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時に必要な認証のセキュリティレベルよりも、レベルの高いセキュリティレベルの認証が、他のアプリケーションプログラムの利用時に既に行われていると判定した場合には、新たに起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時における認証処理を中止している。従って、ユーザは、ICカードに格納されている複数のアプリケーションプログラムの処理を順に行わせる場合に、既に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルが、その後に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルよりも高い場合、または同レベル以上である場合には、後から起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証を行うことなく、そのアプリケーションプログラムの処理を開始させることができる。従って、ユーザの認証時における、暗証番号の入力や、生体情報の入力が省略される可能性があり、ユーザの労力を軽減することができる。また、ATM端末などはユーザが並んで利用することが多いため、一人一人のユーザがATM端末を利用する時間を短くして、短時間に多くのユーザが利用できることが望ましい。上述の処理により、認証処理が省略される可能性があるため、このようなICカードを用いることで、一人一人のユーザがATM端末を利用する時間が短くなり、短時間で多くのユーザがATM端末を利用することができるため、これによりユーザの利便性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態によるICカード(アプリケーション処理装置)を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態によるICカードの構成を示すブロック図である。
この図において、符号1はIC(Integrated Circuit)カードである。そしてICカードは、図1に示すように、通信部11、アプリケーション処理部12、認証部13、アプリケーションプログラム記憶部14、認証方式記憶部15、アプリケーション属性記憶部16、認証状態記憶部17等の、各処理部と記憶部を備えている。
【0013】
図2は認証方式テーブルのデータ例を示す図である。
認証方式記憶部15は、図2で示すような認証方式テーブルを記憶している。この認証方式テーブルは、図2で示すように、所有者の認証方式の識別情報である所有者認証方式IDと、そのIDの所有者認証方式と、各認証方式のセキュリティレベルを対応付けて記憶している。なおセキュリティレベルは値が高くなるほどそのセキュリティレベルが高いものとする。
【0014】
図3はアプリケーション属性テーブルのデータ例を示す図である。
アプリケーション属性記憶部16は、図3で示すようなアプリケーション属性テーブルを記憶している。このアプリケーション属性テーブルは、図3で示すように、アプリケーション識別情報(プリケーション名)と、そのアプリケーション識別情報で示されるアプリケーションを利用する場合の認証方式を特定する認証方式識別情報(所有者認証方式ID)とを対応付けて記憶するものである。
【0015】
図4は認証状態テーブルのデータ例を示す図である。
認証状態記憶部17は、図4で示すような認証状態テーブルを記憶している。この認証状態テーブルは、図4で示すように、使用者認証方式IDと、その認証方式の認証が既に完了したか否かを判定するための認証済みフラグとを対応付けて記憶している。ここでフラグが「0」である場合は未認証、フラグが「1」である場合には認証済みを示す。
【0016】
そして、本実施形態のICカード1は、複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶し、認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する。そして、記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付け、次に、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを認証済みフラグから特定する。そして、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行する。
【0017】
また、認証方式それぞれに対するセキュリティレベルを記憶し、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式以外の認証方式であって、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式、または、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証方式を、記録されているセキュリティレベルから判定し、当該判定した認証方式のうちの何れかの認証方式に対する認証が完了したか否かを前認証済みフラグから特定する。そして、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了していない場合であっても、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式、または、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証方式の認証が完了している場合には、実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式による認証を中止して、当該実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行する処理を行う。
【0018】
次に、ICカードの各処理部による処理の詳細を説明する。
図5はICカードの処理フローを示す図である。
まず、ICカード1がATM端末などの装置に挿入される。ここで、ATM端末はタッチパネルなどから入力された情報や、ATM端末に接続された他の装置(指紋、虹彩、静脈などを読み取る生体情報読取装置など)から受信した情報を、ICカードへ送信する処理や、ICカード1に対してアプリケーションプログラムの起動指示を行う処理や、その他ICカードから受信した情報を用いて各種処理を行う。
【0019】
例えばATM端末はユーザから電子マネーAの利用開始の指示を受け付けた場合には、ICカード1に対して電子マネーAに対応するアプリケーションプログラムの起動指示を行う。すると、ICカード1のアプリケーション処理部12は、起動指示を受信し(ステップS1)、当該起動指示を受け付けたアプリケーションプログラムの所有者認証方式IDを、アプリケーション属性記憶部16で記憶するアプリケーション属性テーブルから読み取る(ステップS2)。電子マネーAのアプリケーションプログラムに対応する所有者認証方式IDは「0002」である。次にアプリケーション処理部12は、所有者認証方式IDに対応する認証済みフラグを、認証状態記憶部17の認証状態テーブルより読み取って、その認証済みフラグの値により、所有者認証方式ID「0002」の認証方式による認証が既に完了しているか否かを判定する(ステップS3)。つまり認証フラグが「0」であれば未認証、「1」であれば認証済みと判定する。次に、所有者認証方式ID「0002」の認証方式による認証が既に完了していれば、ICカード1の所有者の認証は完了であると判定し、電子マネーAに対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS4)。
【0020】
またステップS3において、所有者認証方式ID「0002」の認証方式による認証が未認証であれば、次に、ICカード1のアプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0002」の認証方式に対応するセキュリティレベルを、認証方式記憶部15で記憶する認証方式テーブルから読み取る(ステップS5)。なお、所有者認証方式ID「0002」の認証方式に対応するセキュリティレベルは「2」である。そして、アプリケーション処理部12はセキュリティレベル2より高いセキュリティレベル3の所有者認証方式IDを認証方式テーブルから読み取る(ステップS6)。ここでセキュリティレベル3の所有者認証方式IDは「0004」である。つまり所有者認証方式IDは「0004」の認証方式は暗証番号+静脈により認証を行う認証方式であり、所有者認証方式ID「0002」の静脈のみの認証よりもセキュリティレベルが高い。そして、ICカード1のアプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0004」の認証方式による認証が既に完了しているか否かを判定する(ステップS7)。
【0021】
そして、ステップS7において、アプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0004」の認証方式による認証が既に完了していない場合には、起動指示を受けた電子マネーAに対応する所有者認証方式ID「0002」の認証方式による認証の開始を、認証部13に指示する。そして、認証部13が所有者認証方式ID「0002」の認証方式による認証を開始する(ステップS8)。所有者認証方式ID「0002」の認証方式は、静脈認証であるため、ICカード1の認証部13は、通信部11を介して、ATM端末へ、静脈情報の送信を指示する。そしてATM端末1からユーザの静脈情報を受信すると、その静脈情報に基づいて認証処理を行う。そして、認証部13は、静脈認証による認証が完了し認証成功と判定すると、認証状態記憶部17で記憶する認証状態テーブルにおいて、所有者認証方式ID「0002」に対応する認証済みフラグを「0」から「1」へ更新する(ステップS9)。またアプリケーション処理部12は起動した電子マネーAのアプリケーションプログラムの処理を開始する。
【0022】
次に、ATM端末が電子マネーAの処理の終了を検出した後に、ユーザから、BBB会社クレジットカードの利用開始の指示を受けたとする。すると、ATM端末はICカード1に対してBBB会社クレジットカードに対応するアプリケーションプログラムの起動指示を行う。すると、ICカード1のアプリケーション処理部12は、起動指示を受信し(ステップS1の処理と同様)、起動指示を受け付けたアプリケーションプログラムの所有者認証方式IDを、アプリケーション属性記憶部16で記憶するアプリケーション属性テーブルから読み取る(ステップS2の処理と同様)。BBB会社クレジットカードのアプリケーションプログラムに対応する所有者認証方式IDは「0001」である。次にアプリケーション処理部12は、所有者認証方式IDに対応する認証済みフラグを読み取って、その認証済みフラグの値により、所有者認証方式ID「0001」の認証方式による認証が既に完了しているか否かを判定する(ステップS3の処理と同様)。そして、所有者認証方式ID「0001」の認証方式による認証が既に完了していれば、ICカード1の所有者の認証は完了であると判定し、BBB会社クレジットカードに対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS4の処理と同様)。
【0023】
またステップS4において、所有者認証方式ID「0001」の認証方式による認証が未認証であれば、次に、ICカード1のアプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0001」の認証方式に対応するセキュリティレベルを、認証方式記憶部15で記憶する認証方式テーブルから読み取る(ステップS5の処理と同様)。なお、所有者認証方式ID「0001」の認証方式に対応するセキュリティレベルは「1」である。そして、アプリケーション処理部12はセキュリティレベル1より高いセキュリティレベル2,3の所有者認証方式IDを認証方式テーブルから読み取る(ステップS6の処理と同様)。ここでセキュリティレベル2,3の所有者認証方式IDは「0002,0003,0004」である。そして、ICカード1のアプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0002,0003,0004」の認証方式による認証が既に完了しているか否かを判定する(ステップS7の処理と同様)。そして、アプリケーション処理部12は、所有者認証方式ID「0002,0003,0004」のいずれかの認証方式による認証が既に完了しているので(電子マネーAのアプリケーションプログラムの起動時の認証方式のセキュリティレベルが「2」であり、この認証が完了しており、その認証の認証方式ID「0002」の認証済みフラグが「1」となっている)、所有者認証方式ID「0001」の認証方式による認証、つまり暗証番号による認証を中止し、BBB会社クレジットカードに対応するアプリケーションプログラムを起動する(ステップS4の処理と同様)。
【0024】
つまり、上述の処理によれば、起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時に必要な認証のセキュリティレベルよりも、レベルの高いセキュリティレベルの認証が他のアプリケーションプログラムの利用時に既に行われていると判定した場合には、新たに起動指示を受けたアプリケーションプログラムの利用時における認証処理を中止している。従って、ユーザは、ICカードに格納されている複数のアプリケーションプログラムの処理を順に行わせる場合に、既に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルが、その後に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルよりも高い場合には、後から起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証を行うことなく、そのアプリケーションプログラムの処理を開始させることができる。従って、ユーザの認証時における、暗証番号の入力や、生体情報の入力が省略される可能性があり、ユーザの労力を軽減することができる。また、ATM端末などはユーザが並んで利用することが多いため、一人一人のユーザがATM端末を利用する時間を短くして、短時間に多くのユーザが利用できることが望ましい。上述の処理により、認証処理が省略される可能性があるため、このようなICカードを用いることで、一人一人のユーザがATM端末を利用する時間が短くなり、短時間で多くのユーザがATM端末を利用することができるため、ユーザの利便性を高くすることができる。なお、上述の処理において暗証番号や、静脈情報、虹彩情報などの認証情報は、事前にICカードに登録されている。ここで、複数のアプリケーションプログラムにおいて同一の認証方式および認証情報を登録しておいても良く、この場合には、一つの認証情報のみ事前に登録しておけばよいため、認証情報を登録・変更する手間を削減することができる。
【0025】
なお、上述の処理における、ICカード内の処理が、他の装置で行われるようにしても良い。また、上述のICカード内の処理が別の装置(例えばATM端末)内で行われるようにしても良い。また上述の処理においては、既に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルが、その後に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルよりも高い場合に、後から起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証を省略しているが、既に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベルが、その後に起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証のセキュリティレベル以上となった場合に、後から起動させたアプリケーションプログラムの利用時の認証を省略するようにしてもよい。つまり、セキュリティレベルが同じ認証方式の認証が既に完了している場合には、そのセキュリティレベルの認証方式を用いて認証するアプリケーションプログラムを、認証を省略して起動するようにしても良い。また、セキュリティレベルの低い認証が完了している場合であっても、一度認証が完了していれば、次のアプリケーションプログラムの実行時に、認証を省略して起動するようにしても良い。
【0026】
また上述の処理においてアプリケーションプログラムが起動した場合には、そのアプリケーション処理部12は、起動したアプリケーションプログラムを利用する場合の認証方式を変更する処理をATM端末からの指示に基づいて行うようにしても良い。この場合、ATM端末から認証方式の変更の指示を受け付けた場合には、アプリケーション処理部12は、アプリケーション属性テーブルにおいて、起動通のアプリケーションプログラムのアプリケーション名に対応する所有者認証方式IDを変更する。
【0027】
なお、上述のICカードは内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0028】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ICカードの構成を示すブロック図である。
【図2】認証方式テーブルのデータ例を示す図である。
【図3】アプリケーション属性テーブルのデータ例を示す図である。
【図4】認証状態テーブルのデータ例を示す図である。
【図5】ICカードの処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・ICカード
11・・・通信部
12・・・アプリケーション処理部
13・・・認証部
14・・・アプリケーションプログラム記憶部
15・・・認証方式記憶部
16・・・アプリケーション属性記憶部
17・・・認証状態記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段と、
前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段と、
前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を前記認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定する認証完了可否判定手段と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
を備えることを特徴とするアプリケーション処理装置。
【請求項2】
前記認証方式それぞれに対するセキュリティレベルを記憶する認証セキュリティレベル記憶手段と、を備え、
前記認証完了可否判定手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式以外の認証方式であって、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式を、前記認証セキュリティレベル記憶手段に記録されているセキュリティレベルから判定し、当該判定した認証方式のうちの何れかの認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定し、
前記アプリケーション実行手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了していない場合であっても、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベルより高い認証方式の認証が完了している場合には、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式による認証を中止して、当該実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケーション処理装置。
【請求項3】
前記認証方式それぞれに対するセキュリティレベルを記憶する認証セキュリティレベル記憶手段と、を備え、
前記認証完了可否判定手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式以外の認証方式であって、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証方式を、前記認証セキュリティレベル記憶手段に記録されているセキュリティレベルから判定し、当該判定した認証方式のうちの何れかの認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定し、
前記アプリケーション実行手段は、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了していない場合であっても、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式のセキュリティレベル以上の認証が完了している場合には、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式による認証を中止して、当該実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のアプリケーション処理装置。
【請求項4】
アプリケーション処理装置におけるアプリケーション処理方法であって、
記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付処理と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段から特定する認証完了可否判定処理と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行処理と、
を有することを特徴とするアプリケーション処理方法。
【請求項5】
アプリケーション処理装置のコンピュータを、
記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を、前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを、前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段から特定する認証完了可否判定手段、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
記憶する複数のアプリケーションプログラムのうち、何れかのアプリケーションプログラムの実行指示を受け付ける実行指示受付手段と、
前記複数のアプリケーションプログラムそれぞれの認証方式を記憶する認証方式記憶手段と、
前記認証方式それぞれに対する認証が完了したか否かを示す認証済みフラグを記憶する認証済み情報記憶手段と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムの認証方式を前記認証方式記憶手段から読み取って、当該認証方式に対する認証が完了したか否かを前記認証済み情報記憶手段に記録されている認証済みフラグから特定する認証完了可否判定手段と、
前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムに対応する認証方式の認証が完了している場合には、その認証方式による認証を中止して、前記実行指示を受け付けたアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
を備えることを特徴とする組み込み機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−122833(P2009−122833A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294339(P2007−294339)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】