説明

アマンタジンおよび浸透塩を含有する浸透デバイス

本発明の浸透デバイスは、アマンタジン塩および浸透塩を含有する単一コアを含み、ここで2つの塩は共通イオンを有する。アマンタジンの放出速度は、デバイスのコア中の浸透塩の量が増加することで、一次放出プロフィールからゼロ次、擬ゼロ次またはS字型放出プロフィールに変更される。浸透デバイスは制御された孔を有する半透膜を含み、この半透膜は必要に応じて、浸透塩と共に作用するように適合され、これは所定の薬物放出プロフィールを提供する。浸透塩は被覆される必要がなく、アマンタジン塩との混合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア中に活性薬物および浸透塩を含有する浸透デバイスであって、活性薬物の放出速度を低下させ、そして活性薬物の放出プロフィールをコア中の浸透塩の量を増加することによって変更させる浸透デバイスに関する。1つの実施形態において、浸透デバイスは、コア中に塩酸アマンタジンおよび塩化ナトリウムを含有する。コア中に存在する塩化ナトリウムの量に依存して、浸透デバイスは、塩酸アマンタジンのS字型(sigmoidal)、擬ゼロ次(pseudo−zero order)またはゼロ次(zero order)放出を提供し得る。
【背景技術】
【0002】
浸透デバイスは、長期間にわたって制御された様式で、使用環境に医薬、栄養素、食品、農薬、除草剤、殺菌剤、殺藻剤、化学試薬および当業者に公知の他のもののような有効活性剤を送達することに有用性を示している。公知のデバイスとしては、浸透圧を利用して浸透デバイスのコア中に含有した活性剤の放出を制御する錠剤、トローチ、丸薬またはカプセル、および他のものが挙げられる。いくつかの浸透デバイスはまた、使用環境において侵食を受けるか、または緩やかに溶解し、それによって活性剤を徐々に分配する1種またはそれ以上の物質を含有する層を含む。
【0003】
浸透デバイスの半透性壁を通過して外部液体に対して浸透圧勾配を示す浸透塩は、長い間、浸透デバイスのコア中で使用されてきた。Theeuwes et al.に対する米国特許第3,977,404号、同第4,008,719号、同第4,014,334号、同第4,034,758号および同第4,077,407、Zaffaroni et al.に対する同第4,036,227号および同第4,093,708号には、浸透塩を有効剤と混合して使用することが記載され、飽和溶液含有有効剤を形成する浸透塩で外部液体への有効剤の溶解性は制限され、デバイスから浸透圧によって送達される。この浸透塩は、浸透塩またはそれらの混合物と活性剤を、それらをリザーバに充填する前に均一または不均一に混合するか、またはそれらをリザーバに充填した後に自己混合させることによって使用される。実施中、浸透塩はデバイスの中に液体を引き込み、浸透塩の溶液を生成し、この浸透塩溶液は未溶解有効剤および溶解有効剤を伴って輸送してデバイスからデバイスの外部に送達される。Faourに対する米国特許第6,248,359号および同第6,599,532号ならびにFaour et al.に対する同第6,569,456号、同第6,572,890号、同第6,599,284号、同第6,599,532号、同第6,605,302号および同第6,613,357号ならびにVergez et al.に対する同第6,521,255号は、浸透塩がコア中の活性薬物の懸濁または溶解のいずれかを促進することを教示する。浸透塩は、浸透塩からの活性薬物の放出を制御するために浸透デバイスのコアに組み入れることができる。上で参照される明細書には、活性薬物の放出速度を低下させ、活性薬物の放出プロフィールをコア中の浸透塩の量を増加することによって、ある次(order)から別の次の放出プロフィールに、またはある形から別の形の放出プロフィールに変更させることは開示されていない。
【0004】
浸透デバイスからの活性剤の制御放出は、以下の多くの異なる放出プロフィールに従って生じ得る:一次、擬一次、ゼロ次、擬ゼロ次、S字型、遅延型、定速放出、パルス型およびそれらのいくつかの組み合わせ。代表的に、薬物は、浸透デバイスによって効果的に送達されるために、50〜300mg/mlの範囲内の溶解性を有さなければならない。
【0005】
非常に溶解性の高い薬物塩は、浸透デバイス中に処方することが困難であり得ることは一般的によく知られている。一般的に、薬物の溶解性が高くなればなるほど、浸透デバイスに処方することがますます困難となる。これは、薬物塩があまりにも瞬時に溶解しやすい傾向にあり、それにより薬物の時期尚早な放出(premature release)、薬物の負荷ダンピング(load dumping)または薬物の制御放出よりもむしろ急激な(rapid)放出をもたらすためである。McClelland et al.(Pharm.Res.(1991),8(1),88−92)に従って、≦50mg/mlの水溶性を有する薬物は、≧95%の薬物負荷がゼロ次速度式に従って放出されるような制御様式で、浸透デバイスによって放出されるべきである。高い水溶性(例えば、≧300mg/ml)を有する薬物は、非常に低い割合の薬物負荷のみがゼロ次速度式に従って放出されるような制御様式で、浸透デバイスによって放出されるべきである。従って、McClelland et al.は、一次からゼロ次に薬物プロフィールを変更しようとして、薬物溶解度の調節を提案する。McClelland et al.は、NaClが小型浸透ポンプを形成するために酢酸酪酸セルロースで被覆したNaCl結晶のような制御放出形態で存在しなければならないことを特に記載する。彼らは、「このポンプインポンプの設計は、塩酸ジルチアゼム核錠環境内での溶解性調節剤(塩化ナトリウム)の急減および大きな付随する濃度変化を防止するのに必要であった」ことを記載する。従って、McClelland et al.は、塩化ナトリウムによって得られた所望の効果は未被覆塩化ナトリウム結晶では達成できないことを教示する。McClelland et al.によると、明らかに、未被覆ナトリウムは、非常に早く溶解し、ジルチアゼムの放出速度を低下させる。
【0006】
浸透デバイスのコア内に生じる複雑な相互作用に起因して、非常に水溶性である薬物の溶解速度を制御し、そして低下させるように開発された一般的な適用アプローチはない。実際、いくつかの浸透デバイス賦形剤は、薬物放出を減速させるよりもむしろ加速させる。
【0007】
浸透デバイスにおけるオスマジェント(osmagent)としての塩化ナトリウムの使用は周知である。当該技術は、一般的に、オスマジェントの量が増加することにより、浸透圧が増加し、それにより浸透デバイスのコアからの薬物放出速度が増大することを教示する。先行技術は、二層コアまたは多層コアを有する浸透デバイスを開示し、この浸透デバイスにおいて、少なくとも1つの層はオスモポリマー(osmopolymer)または水膨潤性ポリマー(water swellable polymer)と組み合わせた塩化ナトリウムを含有する「押し出し(push)」層または「置換(displacement)」層である。NaClはポリマーマトリクス内に水を引き込む働きをし、これによりポリマーを湿らせ、そして膨張させる。
【0008】
塩化ナトリウムおよび他の賦形剤と組み合わせた薬物の薬学的に許容しうる塩を含有する単一コアを有する浸透デバイスは公知である。特に、当該技術では、以下のような、塩化ナトリウムおよび他の賦形剤と組み合わせた薬物を含有する単一コアを有する浸透デバイスを開示する:塩酸プソイドエフェドリン(Johnson et al.米国特許第6,537,573号中;Faour et al.米国特許第6,004,582号中;Hamel et al.米国特許第4,801,461号中;Chen et al.米国特許第5,458,887号、同第5,654,005号および同第5,558,879号中)、ベンラファキシン塩酸塩(venlafaxine hydrochloride)(Faour et al.米国特許第6,352,721号中)、レボキセチンメタンスルホン酸塩(reboxetine methane sulfonate)(Seroff et al.米国特許第6,387,403号中)、カルバマゼピン(Puthli et al.米国特許第6,534,090号中)、ロフェコキシブ(Faour et al.米国特許第6,491,949号中)、シサプリド一水和物(Faour et al.米国特許第6,004,582号中)、ニフェジピン(Kettelhoit et al.米国特許第6,294,201号中);または他の薬物(Chen et al.米国特許第5,736,159号および同第5,837,379号中)。当該技術ではまた、二層コアまたは多層コアを有する浸透デバイスで、層の1つが、薬物および賦形剤の中でも特に塩化ナトリウムを含有するデバイスが開示される(Wong et al.米国特許第5,785,994号中;Kuczynski et al.米国特許第5,866,164号中)。薬物含有層中に活性薬物および塩化ナトリウムを含有する二層コアを有する浸透デバイスは、以下に開示される:Faourに対する米国特許第6,352,721号(これは、それぞれベンラファキシン塩酸塩および塩化ナトリウム、シサプリドおよび塩化ナトリウムならびにニフェジピンおよび塩化ナトリウムを含有するコア層を含む3つの浸透デバイスについて教示する)、Guittard et al.に対する米国特許第5,674,895号、同第5,840,754号、同第5,912,268号、同第6,124,355号、同第6,262,115および米国特許出願公開20010005728ならびにGupta et al.に対する米国特許出願公開20010009995(これらは、オキシブチニンおよび塩化ナトリウムを含有するコア層を開示する);ならびにSeroff et al.に対する米国特許第6,387,403号(これは、レボキセチンメタンスルホン酸塩および塩化ナトリウムを含有するコア層を開示する)。Vergez et al.に対する国際公開WO03/039519およびWO03/039436は、コアの各層に薬物を含有する二層コアを含む浸透デバイスを開示する;塩化ナトリウムを含有する薬物層組成を例示される。多層コアを有する浸透デバイスは、Wong et al.に対する米国特許第5,785,994号に開示され、この特許において、1つの層はジルチアゼムHClのような薬物および賦形剤の中でも特に塩化カリウムを含有する。上記の特許の全てにおいて、浸透塩は、デバイス中に液体を引き込むことによってコアの浸透圧を増加させ、それにより活性薬物の溶液または懸濁液を生成させ、次いで増大した速度でデバイスから送達させるオスマジェントとして開示される。上記の特許は、活性薬物の放出速度を低下させ、そして活性薬物の放出プロフィールをコア中の浸透塩の量を増加することによって調節することを何ら開示していない。先行技術に開示されるような塩化ナトリウムおよび薬物の質量百分率は、非常に多様である。
【0009】
しかし、当該技術は、浸透デバイスにおけるNaClの使用に関して一貫していない:Ramakrishna et al.(Pharmazie(2001),56(12),958−962);およびLin et al.(J.Pharm.Sci.(2002),91(9),2040−2046)。
【0010】
従って、この領域の技術は予測不可能であり、薬物塩を含有する浸透ポンプにおいて塩化ナトリウムの量を増加することが、薬物塩の放出速度を減少または増大させるかどうかを、確信をもって、または先験的に予測することはできないことを意味する。このことは特定の薬物塩および浸透塩の組み合わせについて、とりわけ当てはまる。
【0011】
アマンタジンは、米国において、即放性(immediate release)の錠剤形態およびシロップ形態でSYMMETRELTMという商標でEndo Pharmaceutical Co.から市販されている。パーキンソン病、アルツハイマー病およびいくつかの型の痴呆の治療にアマンタジンを投与することは周知である。Physician’s Desk Reference 第56編 2002に言及されるように、気分障害の中でも特にうつ病に対するアマンタジン治療の副作用の存在は公知である。さらに、アマンタジンは多数の他の薬物と所望でない相互作用を受ける。
【0012】
Alza CorporationのAyer et al.に対する米国特許番号第6,217,905号、同第5,221,536号ならびに同第5,190,763号ならびにEdgren et al.に対する米国特許番号第5,192,550号および同第5,057,321号は、アマンタジンのような抗パーキンソン病薬を含有する二層浸透デバイス製剤を開示する。この実施形態において、コアは二層であり、そして薬物組成物および押し出し(push)組成物を含有する。塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化マグネシウムのような浸透塩は、押し出し組成物に含まれ得る。
【0013】
Alza CorporationのGuittard et al.に対する米国特許第5,358,721号は、アマンタジンのような抗ウイルス薬を含有する二層浸透デバイス製剤を開示する。この実施形態において、コアは二層であり、そして薬物組成物および押し出し組成物を含有する。塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化マグネシウムのような浸透塩は、押し出し組成物に含まれ得る。
【0014】
Rudnic et al.に対する米国特許番号第6,284,276号は、医薬送達の間、その完全な状態を維持し、そしてそれを通過させる通路を有する半透性壁および半透性壁内の組成物からなる浸透性医薬送達系を開示し、この開示において、この組成物は限られた溶解性の医薬品、医薬品の溶解性を高める非膨張剤および非膨張浸透剤からなる。276特許は、その浸透デバイスに使用するのに適切な薬物としてアマンタジンを記載する。
【0015】
浸透デバイスの分野において、薬物の放出プロフィールを変更することが、浸透デバイスが投与される患者において観察される臨床的利益に関する効能を有し得ることは公知である。投与されている薬物、治療されている疾患または障害、対象において観察される臨床反応および他の考慮すべきことに依存して、特定の制御放出プロフィールが、意図した臨床的利益を提供するために選択される。いくつかの状況において、ゼロ次放出プロフィールが好ましいが、他の状況において、一次放出プロフィールまたはS字型放出プロフィールが観察される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
所望の放出速度プロフィールを提供するための二層またはそれ以上の層を有する浸透デバイスの製造は、困難であり、そして特殊な製造機械が必要である。従って、以下の、制御放出投薬形態を提供することは当該技術における改良点となるものであり、この形態は容易に製造され、そして浸透デバイスのコア中の塩化ナトリウムの量を調節することにより活性剤の所望の溶性もしくは不溶性の塩酸塩のための所望の放出速度または放出速度プロフィールを生じさせるものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、制御様式でアマンタジンを放出する浸透デバイスを提供する。アマンタジンの放出速度は、コアに添加されるNaClのような浸透塩の量の増加に伴って減少する。アマンタジン塩および浸透塩は、共通イオンを有する。浸透塩それ自体は、放出速度制御コーティングで被覆されていない。浸透塩は結晶形態または粉末形態で存在し、そしてアマンタジンおよび他の賦形剤と混合して浸透デバイスのコア中に含有される。コアは、成分が均一または不均一に混合されている非層状単一コアである。
【0018】
本発明の1つの局面は、半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスを提供し、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a.該単一コアは、アマンタジン塩、浸透塩および少なくとも1種の他の薬学的に許容しうるな賦形剤の混合物を含有し;
b.該浸透塩は放出速度制御コーティングで被覆されておらず;
c.半透膜の浸透性は、浸透塩と共に作用するように適合され、浸透デバイスからのアマンタジン塩の放出プロフィールを制御し;
d.該アマンタジン塩および浸透塩は、共通イオンを有し;そして
e.アマンタジン塩は、一次、ゼロ次もしくは擬ゼロ次またはS字型制御放出プロフィールに従って放出され、必要に応じて、浸透デバイスが水性の使用環境に曝される場合、アマンタジン塩の放出はある期間遅延される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、1)アマンタジン塩が塩酸アマンタジン、無機塩または鉱酸塩であるものを包含する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、浸透塩がハロゲン化金属、ハロゲン化アルカリ金属または塩化ナトリウムであることを包含する。共通イオンは、例えば、イオンの中でも特に塩化物イオンであり得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、アマンタジン塩対浸透塩の質量比は、3:1〜70:1、4:1〜30:1、2:1〜30:1または2:1〜600:1の範囲である。
【0022】
いくつかの実施形態は、アマンタジンの種々の放出速度および/または放出プロフィールを提供する。例えば、浸透デバイスは、少なくとも4時間、少なくとも8時間または少なくとも12時間にわたるアマンタジン塩のゼロ次または擬ゼロ次放出を提供し得る;半透膜は、コア中の塩化ナトリウムと共に作用するように適合される浸透性を有し得るので、浸透デバイスはアマンタジンのS字型放出プロフィールを提供する;半透膜は、コア中の塩化ナトリウムと共に作用するように適合される浸透性を有し得るので、浸透デバイスはアマンタジンのゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールを提供する;半透膜は、コア中の塩化ナトリウムと共に作用するように適合される浸透性を有し得るので、浸透デバイスはアマンタジンの一次放出プロフィールを提供する;浸透デバイスは、アマンタジン塩のS字型放出プロフィール;またはそれらの組み合わせを提供する。
【0023】
アマンタジンの種々の放出速度または放出プロフィールは、変数の組み合わせによって達成することができる。例えば、半透膜は粘度の高い酢酸セルロースおよび粘度のより低い酢酸セルロースを含有し得る;半透膜が、酢酸セルロース(約7質量%〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性の)対酢酸セルロース全量の質量比0:1〜0.2:1を含有し、その結果浸透デバイスは、少なくとも4時間にわたってアマンタジン塩のゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールを提供する;半透膜が、酢酸セルロース(約7質量%〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性の)対酢酸セルロース全量の質量比0.2:1〜1:1を含有し、その結果浸透デバイスは、アマンタジン塩の一次放出プロフィールを提供する;または半透膜が、酢酸セルロース(約7質量%〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性の)対酢酸セルロース全量の質量モル比0:1〜1:1を含有し、その結果浸透デバイスは、アマンタジン塩のS字型放出プロフィールを提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、浸透デバイスは、薬物を即放するための第二の活性剤を含有する外部被覆を含む。外部被覆は迅速に放出するコートであり得る。迅速に放出する外部被覆中の第二の活性薬物は、抗うつ薬および抗不安薬からなる群から選択され得る。例示的なものとしては、シタロプラムが挙げられる。例示的な抗不安薬としては、ブスピロンが挙げられる。
【0025】
あるいは、または追加的に、浸透デバイスのいくつかの実施形態は、コア中に第二の活性薬物をさらに含有する。コア中の第二の活性薬物は、異なる抗パーキンソン病薬、すなわちアマンタジン以外の抗パーキンソン病薬であり得る。この場合において、コアは少なくともアマンタジンおよび異なる第二の抗パーキンソン病薬を含有する。コア中の第二の抗パーキンソン病薬は、ロピニロール、セレギリン、レボドパ、カルビドパ、レボドパとカルビドパとの組み合わせまたはそれらの組み合わせであり得る。
【0026】
本明細書中に開示される種々の実施形態の組み合わせは、本発明の範囲内にあるとされる。
【0027】
以下の図面は本明細書の一部であり、そして本発明の特定の局面をさらに明確に示すために盛り込まれる。本発明は、本明細書中の特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つまたはそれ以上を参照することによってより明確に理解され得る。
【0028】
本発明は、本明細書に提供される以下の定義を参照することによってより明確に理解され得る。
【0029】
「即放」(immediate release)とは、放出が始まってから数秒〜30分以内で環境に活性剤が放出され、および投与後、1秒〜15分以内に放出が始まることを意味する。
【0030】
「速放」(rapid release)とは、放出が始まってから1〜59分または1分〜3時間で環境に活性剤が放出されること、および投与後または投与後の遅延期間(時間のずれ)の終了後、数分で放出の開始が可能であることを意味する。
【0031】
「制御放出」(controlled release)とは、約8時間〜約12時間まで、16時間まで、18時間まで、20時間まで、1日まで、または1日より大までの長期間をかけて環境に活性剤が放出されることを意味する。制御放出は、投与後または投与後の遅延期間(時間のずれ)の終了後、数分で放出が開始され得る。
【0032】
「持続放出」(sustained release)とは、デバイスが投与される対象の血液または標的組織中で一定の薬物レベルを維持して活性剤を制御放出することを意味する。
【0033】
「徐放」(extended release)とは、長期間にわたって環境に投薬形態から活性剤を制御放出することを意味する。本明細書で使用される場合、用語「徐放」プロフィールとは、薬学の技術において広く認識されているような定義する。徐放投薬形態は、長期間にわたって実質的に一定速度で薬物を放出するか、または実質的に一定量の薬物を長期間にわたって付加的に放出する。以下の用語が薬学で使用されるように、薬物放出に関する用語「徐放」は、用語「制御放出」、「持続放出」(prolonged release)、「持続放出」または「徐放」(slow release)を包含する。
放出遅延であるが、制御放出である投薬形態は、薬物の放出遅延、次いで薬物の制御放出を提供するものである。放出遅延(delayed release)とは、投薬形態からの活性成分の放出が従来の即放性の製品からの放出よりも遅い時間で起こるように調節されている任意の製剤技術を意味する。言い換えると、薬物の制御放出の開始が、初期期間によって遅延される。遅延の期間は、一般的に約5分〜10時間、または30分〜10時間、または1時間〜10時間である。
【0034】
ゼロ次放出プロフィールは、単位時間当たり一定量の薬物を放出する投薬形態の放出プロフィールを特徴とする。擬ゼロ次放出プロフィールは、ゼロ次放出プロフィールに近似するものである。0≦a<t≦bの時間間隔で、その放出速度が一定のままである(または平均値±10%内で相対的に一定である)場合、溶解曲線はゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールを示す。以下の式に従う任意のプロフィール:
(M(t)/Mr)=k(t−a)n 0.9≦n≦1.1
は、以下の放出速度式:
(1/M)(dM/dt)=kn(t−a)n-1
を有する。
【0035】
例示的なゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールは図4にある。
S字型放出プロフィールは、制御様式であるが、第一放出期間では非常に遅く、次いで第二放出期間では早く、そして最後に第三放出期間では非常に遅く薬物を放出する投薬形態の放出プロフィールを特徴とし、放出プロフィールはS字に似る。両極端を除いてその放出速度が時間間隔(a,b)内で単一の極大に達する場合、溶解曲線は、0≦a<t≦bの一定の時間間隔内でS字型放出プロフィールを示す。これは、以下の式:
ワイブル関数
(M(t)/MT)=Winf{1−exp{−[(t−ti)/β]α}}パラメーター範囲:
l:0〜3
β:7〜12
α:1<α<3
inf:0.5〜1.1
によって決定して、放出速度が、a≦t<T*の間で時間の増加関数であり、かつ時間の減少関数であるように時点T*を考慮することに相当する。
【0036】
例示的なS字型放出プロフィールを図5に表す。
一次放出プロフィールは、単位時間当たりの薬物チャージの一定割合(a percentage of a drug charge)を放出する投薬形態の放出プロフィールを特徴とする。擬一次放出プロフィールは、一次放出プロフィールに近似するものである。放出速度が持続するモノトーンの時間の減少関数である場合、溶解曲線は、一定の時間間隔0≦a<t≦b内で一次または擬一次放出プロフィールを示す。特に、以下の式:
(M(t)/MT)=1−exp(−kt)
によって決定して、その放出速度が、残っている未溶解の薬物量に比例する場合はいつでも、溶解曲線は一次放出プロフィールを示す。
【0037】
Fickianまたは変則(anomalous)Fickian拡散制御放出式:
(M(t)/MT)=ktn,0.3≦n≦0.7
によって表されるように、薬物放出速度が時間と共に減少する場合、溶解曲線は擬一次放出プロフィールを示す。
【0038】
例示的な一次放出プロフィールを図6に表す。
「単一コア」とは、二層もしくはそれ以上の層または薄層に分かれていない浸透デバイスのコアを意味する。コアは、浸透デバイスの半透膜内に封入された組成物であると考えられる。コアの成分は、不均一混合物または均一混合物として存在してもよい。均一混合物は、製剤の組成がコアの部分の至るところで実質的に同じであるように全ての成分が完全に混合されているものである。コア成分を混合すること、および直接圧縮することの組み合わせ工程は、一般的に均一混合物を提供する。不均一混合物は、コア成分が2つまたはそれ以上のグループに分けられているものであり、このグループは、別々に処理され、2つまたはそれ以上の各々のブレンド(薬物を含有する少なくとも1つのブレンドおよび浸透塩を含有する少なくとも1つのブレンド)を形成する。次いで、ブレンドは一緒に混合され、そして圧縮され、単一コアを形成する。不均一混合物を、湿式造粒法、乾式造粒法、ペレット法またはそれらの組み合わせによって得ることができる。
【0039】
塩酸アマンタジンは、Northeast General Pharmaceutical Factory(Shenyang,China)のような会社から市販されている。本明細書中で使用される場合、用語「アマンタジン」とは、アマンタジンの遊離塩基または塩形態をいう。アマンタジン塩は、無機酸付加塩として存在し得る。アマンタジンの無機塩は、一般的に鉱酸塩である。塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩またはリン酸塩が有用である。アマンタジンの塩酸塩は、特に、本発明に従って使用するのに適切である。
【0040】
浸透塩は有機塩または無機塩であり、浸透塩およびアマンタジン塩は共通イオンを有する。「共通イオン」とは、アマンタジン塩および浸透塩が各々同一のイオンを有することを意味する。アマンタジン塩および浸透塩が実際に、同じイオンを共有することを意味しない。無機浸透塩は、代表的に、ハロゲン化金属、特に、ハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化土類金属(earth metal halide)、とりわけ塩化ナトリウムである。一例として、限定はしないが、塩酸アマンタジンおよびNaClは、共通の塩化物イオンを有する。
本発明の浸透デバイス錠剤の放出プロフィールは、コア中に存在する塩化ナトリウムの量に従って変化することになる。
【0041】
図1は、実施例1に記載される浸透デバイス錠剤についてのアマンタジンインビトロ溶解プロフィールを表す。インビトロでの試験は、USP Type II溶出装置(パドル)を用いて、蒸留水(900ml)中、1分間に50回転の固定撹拌速度で、温度を37±0.5℃に維持しながら行った。サンプルをガスクロマトグラフィーによって試験した。
【0042】
コーティング処方Aで被覆したコア中に0%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、A1 NaCl 0%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。放出プロフィールは、一次放出プロフィールに近似する。
【0043】
【表1】

【0044】
コーティング処方Aで被覆したコア中に10%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、A2 NaCl 10%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。放出プロフィールは、ゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールに近似する。
【0045】
【表2】

【0046】
コーティング処方Aで被覆したコア中に15%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、A3 NaCl 15%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。放出プロフィールは、ゼロ次放出プロフィールに近似する。
【0047】
【表3】

【0048】
コーティング処方Aで被覆したコア中に20%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、A4 NaCl 20%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。放出プロフィールは、ゼロ次放出プロフィールに近似する。
【0049】
【表4】

【0050】
コーティング処方Bで被覆したコア中に10%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、B1 NaCl 10%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。放出プロフィールは、第一の徐放相、次いでより早い放出相および最後の徐放相を有するS字型である。
【0051】
【表5】

【0052】
コーティング処方Bで被覆したコア中に20%の塩化ナトリウムを含有する6つの浸透デバイス錠剤(#1〜#6)について得られた放出プロフィール(図1、B2 NaCl 20%)を、以下の表に示す。この表は浸透デバイスが放出液体媒質に曝された場合を基準として、所定の時点で放出されるアマンタジンの量を詳述する。薬物放出の第二相の遅れの原因となる薬物放出がより遅く開始するものを除いて、放出プロフィールはB1の放出プロフィールと近似する。
【0053】
【表6】

【0054】
実施例1の浸透デバイス錠剤のコーティング処方Aで被覆したコア中の塩化ナトリウムの量が増加すると、アマンタジンの放出速度を低下させ、そしてアマンタジンの放出プロフィールが、図1に示されるように、一次放出プロフィールからゼロ次放出プロフィールに変更される(放出プロフィールA1 NaCl 0%、A2 NaCl 10%、A3 NaCl 15%およびA4 NaCl 20%)。実施例1のコーティング処方Bで被覆したコア中の塩化ナトリウムの量が増加すると、アマンタジンの放出速度が低下し、そしてアマンタジンの放出プロフィールが、図1に示されように、アマンタジンの制御放出の開始を遅延させることで変更される(放出プロフィールB1 NaCl 10%およびB2 NaCl 20%)。
【0055】
半透膜の浸透性は、浸透塩と共に作用するように適合され、浸透デバイスからのアマンタジン塩の放出プロフィールを制御することができる。上記の半透膜AおよびBの浸透性は異なる。半透膜Bの組成は、半透膜Bと浸透塩が共に作用して、最初に約1〜3時間の第一放出期間に薬物の非常に遅い制御放出、次いで約4〜5時間の第二放出期間に薬物のより早い制御放出、そして最後に8時間〜16時間の第三放出期間に薬物の違った速度の遅い制御放出を提供するようなものである。言い換えると、膜Bは薬物のS字型放出に影響を与える。半透膜Aの組成は、半透膜Aと浸透塩が共に作用して、約8〜10時間にわたって薬物のゼロ次放出または擬ゼロ次放出を提供し、実質的に全ての薬物を約10時間以内の放出するようなものである。
【0056】
半透膜の組成は、浸透性が異なる膜を提供するように適合され得る。膜Aの例示的な処方(実施例1)は、約85.7%〜98.3%の等級1セルロースエステルおよび約1.7%〜15.0%の可塑剤を含有する。
【0057】
膜Bの例示的な処方(実施例1)は、約33.3%〜61.2%の等級1の第一のセルロースエステル、約33.3%〜61.2%の等級2の第二のセルロースエステルおよび約1.7%〜15.0%の可塑剤を含有し、これらは膜コーティングの質量百分率として表される。
【0058】
コア中に種々の量の塩化ナトリウムおよび半透膜中に種々の量の2つの種々の酢酸セルロースポリマーを含有して製造された300mg強度(strength)のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤(実施例2)は、一次放出プロフィール、ゼロ次放出プロフィールおよびS字型放出プロフィールを含む対応する異なるアマンタジン放出プロフィールを提供する(図2および3、放出プロフィールはA〜Jである)。それぞれゼロ次もしくは擬ゼロ次、一次もしくは擬一次およびS字型放出プロフィールに対応する3つの範囲を規定した、非線形混合効果モデル(図7)を使用することによって、溶解曲線A〜Jは組成パラメーターに関連付けられた。コア中のアマンタジンHCl/NaClの質量比および半透膜中に存在する酢酸セルロースポリマーの全量に対する等級1酢酸セルロースポリマー(cellulose acetate polymer grade1)の質量比は、特徴的な溶解曲線型の3つの範囲を規定する。これらの範囲を規定する組成パラメーター境界を、以下の表に示す。
【0059】
【表7】

【0060】
半透膜中の酢酸セルロースの質量比は、半透膜中に存在する酢酸セルロースポリマーの全量に対する等級1酢酸セルロース(cellulose acetate grade1)の質量比として定義され、半透膜は規定量の等級1酢酸セルロース、可塑剤および規定量の等級2酢酸セルロース(cellulose acetate grade2)を含有する。従って、質量比0.2:1の酢酸セルロースは、半透膜中に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、20質量%の等級1酢酸セルロースおよび80質量%の等級2酢酸セルロースを含有する半透膜を定義する。質量比0:1の酢酸セルロースは、等級2酢酸セルロースおよび可塑剤を含有するが、等級1酢酸セルロースを含有しない半透膜を定義し、等級1酢酸セルロースが膜から除かれることを意味するか、または膜中の100質量%の酢酸セルロースが等級2酢酸セルロースであることを意味する。質量比1:1の酢酸セルロースは、半透膜中に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、100質量%の等級1酢酸セルロースを含有する半透膜を定義し、これにより膜は等級1酢酸セルロースおよび可塑剤を含有し、そして等級2酢酸セルロースを除く。可塑剤の質量は酢酸セルロースの質量比を決定するための計算に含まれないことに注意すべきである。上記の本文は等級1および等級2の酢酸セルロースに言及しているが、等級3酢酸セルロース(以下を参照のこと)が等級1または等級2の酢酸セルロースに代えて使用され得る。同様に、可塑剤に加えて、3つの異なるグレードの酢酸セルロースを半透膜に含有させることもまた可能である。
【0061】
組み合わせIの質量比を有する浸透デバイスが製造される場合、これらは、少なくとも4時間、少なくとも8時間または少なくとも12時間で、アマンタジンの一次または擬一次放出を提供する。組み合わせIの浸透デバイスは、アマンタジンHCl対NaClの質量比600:1〜30:1の範囲、そして酢酸セルロースの質量比0.2:1〜1:1の範囲で含有する。従って、半透膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて(すなわち、本明細書中に記載されるような他の成分を含有し得る半透膜それ自体の全量には基づいていない)、それぞれ等級1酢酸セルロースの質量百分率は20質量%〜100質量%の範囲であり得、そして等級2酢酸セルロースの質量百分率は80質量%〜0質量%の範囲であり得る。
【0062】
組み合わせIIの質量比を有する浸透デバイスが製造される場合、これらは、少なくとも4時間、少なくとも8時間または少なくとも12時間で、アマンタジン塩のゼロ次または擬ゼロ次放出を提供する。組み合わせIIの浸透デバイスは、アマンタジンHCl対NaClの質量比600:1〜30:1の範囲、そして酢酸セルロースの質量比0:1〜0.2:1の範囲で含有する。従って、半透膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、それぞれ等級1酢酸セルロースの質量百分率は0質量%〜20質量%の範囲であり得、そして等級2酢酸セルロースの質量百分率は100質量%〜80質量%の範囲であり得る。
【0063】
組み合わせIIIの質量比を有する浸透デバイスが製造される場合、これらは、アマンタジン塩のS字型放出プロフィールを提供する。組み合わせIIIの浸透デバイスは、アマンタジンHCl対NaClの質量比30:1〜2:1の範囲、そして酢酸セルロースの質量比0:1〜1:1の範囲で含有する。従って、半透膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、それぞれ等級1酢酸セルロースの質量百分率は0質量%〜100質量%の範囲であり得、そして等級1酢酸セルロースの質量百分率は100質量%〜0質量%の範囲であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、浸透デバイスは、アマンタジン塩対浸透塩の質量比4:1〜30:1の範囲を有し、半透膜は、等級1酢酸セルロース対酢酸セルロースの全量の質量比0.3:1〜0.7:1の範囲で含有し、そして浸透デバイスがアマンタジン塩のS字型放出プロフィールを提供する。
【0065】
蒸留水(900ml)中、1分間に50回転の固定撹拌速度で、37±0.5℃の温度に維持しながら、USP TypeII溶出装置(パドル)で試験した場合、本発明の特定の実施形態に従って製造した投薬形態は、好ましくは以下の溶解プロフィールを示す。
【0066】
【表8】

【0067】
本発明の浸透デバイスは、水溶性のおよび/または侵食可能なコーティングを含み得、このコーティングは不活性であるか、または薬物を含有する。このコーティングは、半透膜を被覆して包囲し、そしてコーティングの添加の前に通路が形成されている場合、膜中の予め形成されている全ての通路をふさぐ(plug)。水溶性および/または侵食可能なコーティングは、一般的に、使用環境において、少なくとも部分的に、および必要に応じて、実質的に完全に、水溶性または侵食可能である不活性かつ非毒性の物質を含む。不活性または薬物含有の水溶性コーティングに適切な物質の選択は、薬物含有コーティングからの所望の薬物放出速度および薬物含有コーティングに対するコアからの薬物送達の所望の分離に依存する。速溶性コートは、口腔および/または胃、十二指腸、空腸または上部小腸のような上部消化管中で溶解する。物質の例としては、Guittard et al.に対する米国特許4,576,604号およびGuittard et al.に対する同第4,673,405号およびFaour et alに対する同第6,004,582号ならびにテキストPharmaceutical Dosage Forms:Tablets Volume I,第二編(A.Lieberman.編 1989,Marcel Dekker,Inc.)に記載のものであり、これらの関連開示は、参照により本明細書に加入される。いくつかの実施形態において、速溶性コートは、唾液、胃液または酸性液に溶解する。
【0068】
本発明の水溶性および/または侵食可能なコーティングを製造するのに適切な物質としては、限定しないが、一例として、カラギーナン、フコイダン、ガティガム、トラガント、アラビノガラクタン、ペクチンおよびキサンタンのような水溶性多糖類ゴム;アルギン酸ナトリウム、トラガントナトリウム(sodium tragacanthin)および、ガティガムナトリウム(sodium gum ghattate)のような多糖類ゴムの水溶性塩;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのようなアルキル基が1〜7個の炭素原子の直鎖または分枝鎖である、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース;メチルセルロースのような合成水溶性セルロースベースの薄膜成形物質ならびにヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシブチルメチルセルロースからなる群から選択されるメンバーのようなそのヒドロキシアルキルメチルセルロース誘導体;クロスカルメロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースナトリウムのような他のセルロースポリマー;ならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。この目的に使用され得る他の薄膜成形物質としては、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチンとポリビニルピロリドンとのブレンド、ゼラチン、グルコース、糖類、ポビドン、コポビドン(copovidone)、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ビニルアセテート)コポリマーが挙げられる。水溶液コーティングは、水溶性コーティングの挙動を変更するか、または変更しない他の薬学的賦形剤を含有し得る。当業者は、上記の物質がフィルム形成ポリマーを包含することを理解する。
【0069】
水溶性/または侵食可能なコーティングに使用し得る他の物質としては、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース(MCC、FMC Corp.製のAvicel.TM.)、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)(60:40)コポリマー(Aldrich Chemical Co.製のEVAC)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、MMA、N,N’−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシカルボニルアミノ)−アゾベンゼンの存在下で合成されるHEMA:MMA:MAのターポリマー、アゾポリマー、腸溶性コーティング被覆時限放出システム(Pharmaceutical Profiles,Ltd.,UK製のTime Clock(R))が挙げられ、そしてペクチン酸カルシウムが水溶性コート中に含有され得る。
【0070】
半透性壁を被覆し、そして通路をブロックする不活性な水溶性および/または侵食可能なコートは、選択的溶解または侵食を介して通路のブロックを取り除き、浸透送達過程を開始させることのできる合成または天然の物質から製造される。このゆっくりまたは早く溶解する水溶性コートは、第一の外部液体に対しては非透過性であるが、第二の外部液体に可溶性であり得る。この特性は、核中の活性化合物の制御放出および選択放出の達成を促進し得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、不活性な水溶性および/または侵食可能なコートは、胃液、酸性液または極性液体のような第一の使用環境の液体に不溶であり、そして腸液、実質的にpHが中性もしくは塩基性の液体または非極性液体のような第二の使用環境の液体に可溶または侵食可能である。広範な種類の他のポリマー物質が、このような種々の溶解特性を有することが公知であり、そして水溶性コートに含有され得る。このような他のポリマー物質としては、限定しないが、一例として、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ポリ(ビニルアセテート)フタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP)、ポリ(メタクリレートエチルアクリレート)(1:1)コポリマー(MA−EA)、ポリ(メタクリレートメチルメタクリレート)(1:1)コポリマー(MA−MMA)、ポリ(メタクリレートメチルメタクリレート)(1:2) コポリマー、EudragitTML−30−D(MA−EA,1:1)、EudragitTML−100−55(MA−EA,1:1)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、CoatericTM(PVAP)、AquatericTM(CAP)、AQOATTM(HPMCAS)およびそれらの組み合わせが挙げられる。水溶性コートはまた、溶解補助剤、安定性調節剤および生体吸収性エンハンサーを含有し得る。
【0072】
不活性な水溶性および/または侵食可能なコート中に使用するための任意のポリマー物質は、胃液の作用に抵抗して半透性壁を介する浸透が起こらないようにするが、コア中の物質の1種またはそれ以上の物質が腸管内で可溶化し、これにより浸透ポンプによるコア中の薬物の送達を開始させる腸溶性物質を包含する。この必要条件に容易に適合する物質は、ステアリン酸マグネシウムおよび他の類似の賦形剤と混合した、Kollidon VA64という商標でBASFから販売されている物質のような、ポリ(ビニルピロリドン)−ビニルアセテートコポリマーである。水溶性および/または侵食可能なコートはまた、Kollidon K 30という商標でBASFから販売されているポビドンおよびMethocel E−15という商標でDowから販売されているヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し得る。これらの物質は、所望の溶液粘度に従って、種々の濃度のポリマーを有する溶液に調製し得る。例えば、KollidonTM K 30の10%P/V水溶液は20℃で約5.5〜8.5cpsの粘度を有し、そしてMethocelTM E−15の2%P/V水溶液は20℃で約13〜18cpsの粘度を有する。
【0073】
不活性な水溶性および/または侵食可能なコートはまた、胃液に対し実質的に耐性があり、そして腸または結腸のいずれかでの放出を促進する他の適切な物質も含有し得る。この目的のために、不活性な水溶性および/または侵食可能なコートは、胃内でおよび浸透デバイスが胃内に留まる間、溶解、崩壊またはその構造を変化することがない1種またはそれ以上の物質を含有し得る。胃内でその完全性を維持する代表的な物質としては、(a)ケラチン、ケラチンサンダラック−トルー、サロール(サリチル酸フェニル)、サロールβ−ナフチルベンゾエートおよびアセトタンニン、サロール+ペルーバルサム、サロール+トルー、サロール+マスチックガム、サロールとステアリン酸およびサロールとシェラックからなる群から選択されるメンバー;(b)ホルマリン処理タンパク質、ホルマリン処理ゼラチンおよびホルマリン処理架橋ゼラチンならびに交換樹脂からなる群から選択されるメンバー;(c)ミリスチン酸硬化ヒマシ油−コレステロール、ステアリン酸−羊脂、ステアリン酸トルーバルサムおよびステアリン酸−ヒマシ油からなる群から選択されるメンバー;(d)シェラック、アンモニア処理シェラック、アンモニア処理シェラック−サロール、シェラック−羊毛脂、シェラック−アセチルアルコール、シェラック−ステアリン酸−トルーバルサムおよびシェラックn−ステアリン酸ブチルからなる群から選択されるメンバー;(e)アビエチン酸、メチルアビクテート(methyl abictate)、ベンゾイン、トルーバルサム、サンダラック、マスチック+トルーおよびマスチック+アセチルアルコールからなる群から選択されるメンバー;(f)メタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルから合成されるアニオン系ポリマーで表わされるアクリル樹脂、メタクリルおよびメタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーアクリル樹脂、アルクアクリル酸(alkacrylic acid)およびアルクアクリル酸アルキルエステルのコポリマー、分子量150,000のジメチルアミノエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、分子量135,000のメタクリル酸−メチルメタクリレート 50:50コポリマー、分子量135,000のメタクリル酸−メチルメタクリレート 30:70コポリマー、分子量750,000のメタクリル酸−ジメチルアミノエチル−メタクリレート−エチルアクリレート、分子量1,000,000のメタクリル酸−メチルメタクリレート−エチルアクリレートおよび分子量550,000のエチルアクリレート−メチルメタクリレート−エチルアクリレートのようなアクリル樹脂;および(g)セルロースアセチルフタレート、セルロースジアセチルフタレート、セルローストリアセチルフタレート、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロースナトリウム、セルロースエステルフタレート、セルロースエーテルフタレート、メチルセルロースフタレート、セルロースエステル−エーテルフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロースのアルカリ塩、酢酸フタル酸セルロースのアルカリ土類塩、酢酸フタル酸セルロースのカルシウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのアンモニウム塩、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ポリビニルアセテートフタレートジエチルフタレート、フタル酸ジブチル、アルキルが1〜7個の直鎖および分枝鎖のアルキル基を含むフタル酸ジアルキル、アリールフタレートからなる群から選択されるメンバーを含有する腸溶性組成物、および当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0074】
浸透デバイスの半透膜は、使用環境からコアへの液体の通過に対して実質的に透過性であり、そしてコアからの活性剤の通過に対しては実質的に不透過性である物質から形成される。薬学技術において当業者に公知の半透性壁を形成する多くの一般的な物質が、この目的に適切である。物質の例としては、セルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルが挙げられる。しかし、本発明の浸透デバイスにおいて必要とされる他の物質と組み合わせて使用する場合、酢酸セルロース(CA)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)、特にPEG 400を含有する半透膜がうまく機能することが見出されている。このCAとPEGの特定の組み合わせにより、コア中の活性剤の十分制御された放出プロフィールを浸透デバイスに与え、そしてその化学的および物理的完全性を使用環境中で維持する半透膜が提供される。CA:PEGの割合は、一般的に、CA約50〜99質量%:PEG約50〜1質量%の範囲、およびCA約95質量%:PEG約5質量%の範囲である。この割合は透過性および最終的には浸透デバイスの放出プロフィールを変化させるために変更し得る。他の適切な物質としては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロースおよびそれらの組み合わせのようなセルロースアシレートの群から選択されるメンバーが挙げられ得る。多くの適切なポリマーは、アルゼンチン特許199,301号、米国特許第6004,582号および本明細書中で引用した参考文献に記載されたものを包含し、これらの開示は参照によって本明細書に加入される。
【0075】
代表的な物質としては、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリセルロースアロイレートなどからなる群から選択されるメンバーが挙げられる。ポリマーの例としては、1までのD.S.および21%までのアセチル含量を有する酢酸セルロース;32〜39.8%のアセチル含量を有する酢酸セルロース;1〜2のD.S.および21〜35%のアセチル含量を有する二酢酸セルロース;2〜3のD.S.および35〜44.8%のアセチル含量を有する三酢酸セルロース;などが挙げられる。さらに具体的なセルロースポリマーとしては、1.8のD.S.ならびに39.2〜45%のプロピオニル含量および2.8〜5.4%のヒドロキシル含量を有するプロピオン酸セルロース;1.8のD.S.、13〜15%のアセチル含量および34〜39%ブチリル含量を有する酢酸酪酸セルロース;2〜29%のアセチル含量、17〜53%のブチリル含量および0.5〜4.7%のヒドロキシル含量を有する酢酸酪酸セルロース;セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネートおよびセルローストリオクラノエートのような2.9〜3のD.S.を有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクラノエート、セルロースジペンタールのような2.2〜2.6のD.S.を有するセルロースジアシレートなどが挙げられる。さらなる半透性ポリマーとしては、アセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、低pHを有する使用環境に対する酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートジメチルアミノアセテート、半透性ポリアミド、半透性ポリウレタン、半透性スルホン化ポリスチレン、米国特許第3,173,876号、同第3,276,586号、同第3,541,005号、同第3,541,006号および同第3,546,142に開示されるようなポリアニオンとポリカチオンの共沈によって形成された交差結合選択的半透性ポリマー;LoebおよびSourirajanの米国特許第3,133,132号に開示されるような半透性ポリマー;軽い交差結合ポリスチレン誘導体;交差結合ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、交差結合ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)が挙げられる。これらおよび他のポリマーは、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第4,765,989号および同第4,160,020;ならびにHandbook of Common Polymers(Scott,J.R.and Roff,W.J.,編;1971;CRC Press,Cleveland,Ohio)に開示される。
セルロースエステルは、それらのセルロースの鎖長ならびに鎖に結合するエステル基の種類および数の点で異なる。酢酸セルロースについて、アセチル含量が増加すると、浸透性は低下する。等級1酢酸セルロースは、7〜10質量%のヒドロキシル基を含み、そしてASTM Method D 1343によって測定して200〜280秒の粘性を有する。等級2酢酸セルロースは、3〜5質量%のヒドロキシル基を含み、そして6〜45秒の粘性を有する。等級3酢酸セルロースは、3〜5%のヒドロキシル基を含み、そして100〜240秒の粘性を有する。
【0076】
半透膜の製造において使用するのに適切な酢酸セルロースのいくつかの例示的なグレードはまた、以下の表に記載され、これは一例として包含される。種々のグレードの酢酸セルロースは、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN,USA)から容易に入手可能である。
【表9】

*粘性はASTM D817(処方A)およびD1343に記載されるように測定し、これらの開示は参照によって本明細書に加入される。
【0077】
可塑剤は本発明のデバイスに含まれ、デバイスのコートまたはコア中に使用されるポリマーの性質および特性を変化させることができる。本明細書中で使用される場合、用語「可塑剤」とは、本発明で使用されるポリマーまたはバインダーを可塑化または軟化し得る全ての化合物を包含する。可塑剤は、ポリマーまたはバインダーの融点またはガラス転移温度(軟化温度)を低下可能であるべきである。低分子量PEGのような可塑剤は、一般的に、それらを含有しているポリマーの平均分子量の範囲を広くし、これによりそのガラス転移温度または軟化温度を低下させる。可塑剤はまた、一般的に、ポリマーの粘度を低下させる。可塑剤は本発明の浸透デバイスにある特定の好都合な物理的特性を与えることができる。
【0078】
本発明に有用な可塑剤として、限定しないが、一例として、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、オイル、有機小分子、脂肪族ヒドロキシル基を有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、単一ブロックポリマー、低分子量ポリ(エチレングリコール)、クエン酸エステル型可塑剤、トリアセチン、プロピレングリコールおよびグリセリンが挙げられ得る。このような可塑剤にはまた、エチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールおよび他のポリ(エチレングリコール)化合物、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、エチルグリコレート、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチルおよびアリルグリコレートが挙げられる。このような可塑剤は全て、AldrichまたはSigma Chemical Co.のような供給元から市販されている。可塑剤の組み合わせを本発明の処方中に使用してもよいこともまた意図され、そしてそれは本発明の範囲内にある。PEGベースの可塑剤は市販されているか、またはPoly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications(J.M.Harris,編;Plenum Press,NY)に開示されているような種々の方法により製造でき、その開示は参照により本明細書に加入される。
【0079】
本発明の代替の実施形態は、時間の経過と共に追加の通路を形成するため壁中にポア成形(体)を含む。
【0080】
コアの活性剤の放出は、活性剤の放出プロフィールが放出遅延、次いで制御放出を示すように、遅延させることができる。このようなデバイスは遅延制御放出デバイスと称される。
【0081】
本発明の浸透デバイスは、少なくとも1つの通路(ポア、穴または開口部)を含み、これは半透性壁の外部とデバイスのコアとを連絡させる。通路は、半透膜中に通路を形成する任意の公知の方法に従って形成され得る。このような方法としては、例えば、1)ビットまたはレーザーを半透膜に通してドリル穴を開けること;2)浸透デバイスが水性の使用環境にある場合、半透膜を形成する組成物内に水溶性物質を含ませ、ポアを形成させること;3)半透膜にパンチ穴を開けること;または4)半透性薄膜に穴を開けるためのピンを有する錠剤パンチを利用することが挙げられる。通路は、半透性壁および半透膜上に被覆された1種またはそれ以上の任意の他の薄膜、または半透膜とコアとの間を貫通し得る。通路は所望の形にすることができる。いくつかの実施形態において、通路はレーザードリルで穴を開けられ、そして卵形、楕円、スロット、スリット、十字型または円に形成される。
【0082】
浸透デバイスの半透膜中に通路を形成する方法は、Theeuwes et al.に対する米国特許第4,088,864号、Theeuwes et al.に対する同第4,016,880号、Theeuwes et al.に対する同第3,916,899号、Ayer et al.に対する同第4,285,987号、Wong et al.に対する同第4,783,337号、Chen et al.に対する同第5,558,879号、Hamel et al.に対する同第4,801,461号、Theeuwes et al.に対する同第3,845,770号、Faourに対するPCT国際公開WO 04/103349およびFaourに対する米国特許第6,809,288号に開示され、これらの開示は、参照によって本明細書に加入される。
【0083】
壁中に予め形成された通路は、代表的に、レーザーもしくはドリルによる穿孔のような機械的手段、または当業者に公知の任意の他の類似方法によって作り出される。通路は、一般的に、Theeuwes et al.‘864に開示されるものに類似する装置を使用して制御レーザー穿孔によって形成され、これらの全体の開示は参照によって本明細書に加入される。制御レーザー穿孔方法の特定の実施形態は、使用される機器に従って変わる。Theeuwes et al.‘864のレーザー機器は、本明細書中に記載されるように改変され、本発明に従う浸透デバイスを製造することができる。他の適切なレーザー機器、それらの使用方法は、Emerton et al.‘793およびRoy’771に開示され、これらの全体の開示は参照によって本明細書に加入される。Faour(米国付与前特許公開番号2002/0099361)の工程およびシステムをまた使用して、壁中に予め形成された通路および/またはエッチ(etch)を形成することができる。
【0084】
予め形成された通路は、デバイスを使用する間、そのサイズを実質的に維持するように製造され得るか、または投薬形態を使用する間、サイズが大きくなるように製造され得る。異なる大きさ、形および機能を有する予め形成された通路を使用することができる。
【0085】
壁中に予め形成された通路は、所定または任意の様式で溶解または断裂可能であり、拡大後、予め形成された通路の形を作って、所定のまたは任意に決められた形に近づけることができる。通路のサイズが大きくなる程度はまた、少なくとも1種の賦形剤の粘度、分子量または置換度に関連し得る。一般的に、少なくとも1種の賦形剤の粘度、分子量または置換度が大きくなると、通路のサイズが大きくなる程度も増大する。
【0086】
本発明に従うデバイスは、1つまたはそれ以上の予め形成された通路(2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の予め形成された通路を含む)を含み得る。複数の、予め形成された通路は一緒になって、使用している間に、コアから成分を制御放出し得るように適合させることのみが必要である。いくつかの実施形態において、膜は0.2mm〜0.8mmの範囲の直径を有する1つの予め形成された通路を含む。他の実施形態において、膜に存在する予め形成された通路の全面積は、0.12mm2〜2.1mm2の範囲である。
【0087】
本発明の浸透デバイスのコアは活性剤および浸透剤を含有し、そして本明細書中で議論されるような多くの他の物質をさらに含有することができる。存在する活性剤の量は、外部被覆について上記のように変動可能である。一般的に、活性剤は、非被覆コアの0.1〜99.9質量%の範囲の量で存在する。使用される活性剤および浸透デバイスの意図される使用に従って、変動することになる。
【0088】
本発明の浸透デバイスは、液体中に全体的にまたは部分的に溶解し得る、浸透に効果的な溶質または浸透剤(すなわち、オスマジェント)を含み得る。これらのオスマジェントは、コアからのアマンタジンの懸濁または溶解のいずれかを促進する。オスマジェントの例としては、有機および無機の化合物(例えば、塩、酸、塩基、キレート剤、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、亜硫酸ナトリウム、重炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、d−マンニトール、尿素、酒石酸、ラフィノース、スクロース、α−d−乳糖一水和物、グルコース、コハク酸マグネシウム、コハク酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、それらの組み合わせおよび当該分野で周知の他の類似もしくは同等の物質が挙げられる。Theeuwes et al.に対する米国特許第4,077,407号(この全体の開示が参照によって本明細書に加入される)は、適切なオスマジェントを開示する。
【0089】
1つまたはそれ以上の浸透性ポリマーはまた、活性剤の送達を促進するためにデバイスのコアに添加され得る。浸透性ポリマーは浸透デバイス分野の当業者に周知であり、そして特許および科学文献に十分に記載される。浸透性ポリマーの例としては、水と接触した際に膨張する親水性ポリマーが挙げられる。浸透性ポリマーは、植物起源もしくは動物起源または合成のものであってもよい。浸透性ポリマーの例としては、以下が挙げられる:分子量30,000〜5,000,000を有するポリ(ヒドロキシ−アルキルメタクリレート);分子量10,000〜360,000を有するポリ(ビニルピロリドン);アニオンヒドロゲルおよびカチオンヒドロゲル;高分子電解質複合体;低アセテート残基(low acetate residual)を有し、必要に応じてグリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドで架橋され、重合度200〜30,000を有するポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、交差結合寒天とカルボキシメチルセルロースとの混合物;ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物;カルボキシメチルセルロースナトリウム;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリエチレンオキシド;N−ビニルラクタム類のポリマー;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル;ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル;カロブゴム;ポリアクリル酸ゲル;ポリエステルゲル;ポリウレアゲル;ポリエーテルゲル;ポリアミドゲル;ポリペプチドゲル;ポリアミノ酸ゲル;ポリセルロース酸ゲル;カルボポール分子量250,000〜4,000,000を有する酸性カルボキシポリマー;Cyanamerポリアクリルアミド;交差結合インデン−マレイン酸無水物ポリマー;Good−RiteTM分子量80,000〜200,000を有するポリアクリル酸;PolyoxTM分子量100,000〜5,000,000を有するポリエチレンオキシドポリマー;デンプングラフトコポリマー;およびAqua−KeepsTMアクリル酸ポリマー多糖。これらの物質は、水または他の生体液に曝された場合、平衡状態になるまで膨潤または膨張する。この体膨張を使用して、製造の間に壁、殻またはコーティング中に形成されている開口部を通って薬剤を物理的な力で外に出す。不水溶性活性剤は、主として不溶性粒子として放出されるので、従ってバイオアベイラビリティーが制限される。浸透性ポリマーの例は、米国特許第5,422,123号;同第4,783,337号;同第4,765,989号;同第4,612,008号;同第4,327,725号;同第4,609,374号;同第4,036,228号;同第4,992,278号;同第4,160,020号;同第4,615,698号に開示される。浸透性ポリマーは、一般的に、非常に高い程度で膨潤または膨張し、通常2〜60倍の体積増加を示す。浸透性ポリマーは、交差結合であってもなくてもよい。1つの実施形態において、膨潤可能な親水性ポリマーは、共有結合またはイオン結合によって形成されている交差結合のような軽く交差結合される。
【0090】
本発明の浸透デバイスはまた、吸着剤、抗酸化剤、緩衝剤、着色料、着香料、甘味料、固結防止剤、バインダー、希釈剤、直接打錠賦形剤、錠剤崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、不透明化剤および/またはつやだし剤を含み得る。
【0091】
本明細書中で使用される場合、用語「吸着剤」とは、物理的または化学的(化学吸着)の手段により、その表面上に他の分子を保持し得る薬剤を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、粉末炭および活性炭ならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0092】
本明細書中で使用される場合、用語「抗酸化剤」とは、酸化を抑制し、従って、酸化過程による製剤の劣化を防止するために使用される薬剤を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸(hypophophorous acid)、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシラートおよびメタ重亜硫酸ナトリウムおよび当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0093】
本明細書中で使用される場合、用語「緩衝剤」とは、酸もしくはアルカリの希釈または添加の際、pHの変化に抵抗するために使用される化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性の酢酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの無水物および二水和物ならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語「甘味料」とは、製剤に甘味を付与するために使用される化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、アスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびスクロースならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0095】
本明細書中で使用される場合、用語「固結防止剤」とは、製造の間、打錠機のパンチやダイスへの錠剤成分のスティッキングを防止する薬剤を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、グリセリルベヘネート、PEG、硬化植物油、鉱油、ステアリン酸および当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「バインダー」とは、錠剤顆粒化において粉体粒子の接着をもたらすのに使用される物質を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮可能な糖(例えばNuTabTM)、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドンおよびアルファ化デンプンならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0097】
必要に応じて、本発明の浸透デバイス中にバインダーを含んでもよい。バインダーの例としては、アカシア、トラガント、ゼラチン、デンプン、セルロース物質(例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギン酸およびそれらの塩、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖類、ベントナイト、砂糖、転化糖、ポロキサマー(PLURONIC F68、PLURONIC F127)、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、非水溶媒中のセルロース誘導体、これらの組み合わせおよび当業者に公知の他のものが挙げられる。他のバインダーとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリエチレンオキシド、これらの組み合わせおよび当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0098】
本明細書中で使用される場合、用語「希釈剤」または「充填剤」とは、錠剤およびカプセルの製造において、所望のかさ、流動性および圧縮特性を与えるために充填剤として使用される不活性物質を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、スクロース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、ソルビトールおよびデンプンならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語「直接打錠賦形剤」とは、直接圧縮錠剤製剤において使用される化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、二塩基性リン酸カルシウム(例えばDitab)および当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0100】
本明細書中で使用される場合、用語「流動促進剤」とは、造粒の流動性を促進するために錠剤およびカプセル製剤に使用される薬剤を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、コロイド状シリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状シリコン、シリコンヒドロゲルおよび当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語「滑沢剤」とは、錠剤圧縮の間、摩擦を低減するために錠剤に使用される物質を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛ならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0102】
本明細書中で使用される場合、用語「不透明化剤」とは、カプセルまたは錠剤のコーティングに不透明性を付与するために使用される化合物を意味することを意図する。単独または着色料と組み合わせて使用してもよい。このような化合物としては、限定しないが、一例として、二酸化チタンおよび当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0103】
本明細書中で使用される場合、用語「錠剤つやだし剤」とは、被覆錠剤に魅力的な光沢を付与するために使用される化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、カルナウバロウおよびホワイトワックスならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0104】
本明細書中で使用される場合、用語「錠剤崩壊剤」とは、より容易に分散または溶解するより小さい粒子への固体塊の崩壊を促進するために固体投薬形態中に使用される化合物を意味することを意図する。錠剤崩壊剤の例としては、限定しないが、一例として、コーンスターチ、ポテトスターチ、それらのアルファ化デンプンおよび化工デンプンのようなデンプン;甘味料;ベントナイトのような粘土;微結晶セルロース(例えばAvicel);カルボキシメチルセルロースカルシウム;セルロースポリアクリリンカリウム(例えばAmberlite);アルギネート;デンプングルコール酸ナトリウム;寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、トラガントのようなゴム;および当業者に公知の他の物質が挙げられる。
【0105】
本明細書中で使用される場合、用語「着色料」とは、固体の医薬製剤(例えば、錠剤)に色を付与するために使用される化合物を意味することを意図する。このような化合物としては、限定しないが、一例として、FD&C Red No.3;FD&C Red No.20;FD&C Yellow No.6;FD&C Blue No.2;D&C Green No.5;D&C Orange No.5;D&C Red No.8;カラメルおよび酸化第二鉄;赤;他のFD&C染料およびブドウ皮抽出物、ビート赤粉末、ベータカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカのような天然着色剤;ならびに当業者に公知の他の物質が挙げられる。着色料の使用量は所望により変化する。
本明細書中で使用される場合、用語「着香料」とは、医薬製剤に好ましい香りおよびしばしばにおいを付与するために使用される化合物を意味することを意図する。矯味矯臭剤または着香料の例としては、合成のフレーバー油および着香芳香剤および/または天然オイル;植物、葉、花、果実などの抽出物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらとしてはまた、桂皮油、冬緑油、ハッカ油、チョウジ油、月桂樹油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ニクズク油、セージ油、苦扁桃油およびカシア油が挙げられる。他の有用なフレーバーとしては、バニラ、柑橘油(レモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツを含む)および果実エッセンス(リンゴ、ナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む)が挙げられる。特に有用であることが解っているフレーバーとしては、市販のオレンジ、グレープ、チェリーおよび風船ガムフレーバーおよびこれらの混合物が挙げられる。着香料の量は、所望の官能効果を含む種々の因子に依存し得る。フレーバーは当業者の所望の任意の量で存在する。特に好ましいフレーバーは、グレープフレーバーおよびチェリーフレーバーならびにオレンジのようなシトラスフレーバーである。
【0106】
本発明のデバイスはまた、浸透デバイスのコアまたは層の湿潤性または崩壊性を改良する、1種またはそれ以上の一般的に公知の界面活性剤または共溶媒を使用することができる。
【0107】
本発明の浸透デバイスはまた、オイル(例えば、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油のような固定油;オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸(isotearic acid)のような脂肪酸;ならびにオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドのような脂肪酸エステル)を含み得る。エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールのようなアルコール;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール;ポリ(エチレングリコール)450のようなエーテル;鉱油およびワセリンのような石油炭化水素;水またはこれらの混合物と、薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を用いるか、または用いることなく、これらを混合し得る。
【0108】
石鹸および合成洗浄剤は、洗剤組成物の界面活性剤およびビヒクルとして利用してもよい。適切な石鹸としては、脂肪酸のアルカリ金属、アンモニウムおよびトリエタノールアミン塩が挙げられる。適切な洗浄剤としては、カチオン系洗浄剤(例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライドおよびアルキルアミンアセテート);アニオン系洗浄剤(例えば、アルキルスルホネート、アリールスルホネートおよびオレフィンスルホネート、アルキルサルフェート、オレフィンサルフェート、エーテルサルフェートおよびモノグリセリドサルフェートならびにスルホスクシネート);非イオン系洗浄剤(例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)コポリマー);および両性洗浄剤(例えば、アルキルアミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩);ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0109】
上記していない種々の他の成分も、所望の活性剤放出プロフィールを最適化するために本発明の処方に添加することができ、このような成分としては、限定しないが、一例として、グリセリルモノステアレート、ナイロン、酢酸酪酸セルロース、d,l−ポリ(乳酸)、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、デンプン、誘導デンプン、アセチル化モノグリセリド、ゼラチンコアセルベート、ポリ(スチレン−マレイン酸)コポリマー、グリコワックス(glycowax)、ヒマシ油ワックス(castorwax)、ステアリルアルコール、パルミトステアリン酸グリセロール、ポリ(エチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、1,3−ブチレン−グリコールジメタクリレート、エチレングリコール−ジメタクリレートおよびメタクリレートヒドロゲルが挙げられる。
【0110】
医薬製剤分野で使用される化合物は、一般的に、種々の機能または目的にかなうと解されるべきである。従って、本明細書中で示した化合物が1回のみ言及されるか、または本明細書中で2つ以上の用語を定義するために使用される場合、その目的または機能は示された目的または機能のみに限定されると解釈すべきではない。
【0111】
本明細書で使用される語句「薬学的に許容しうる」とは、健全な医療上の判断の範囲において、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応もしくは他の問題または合併症を伴うことなくヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/リスク比に相応する、これらの化合物、物質、組成物および/または投薬形態をいう。
【0112】
各デバイスに組み込まれる治療化合物の量は、少なくとも1またはそれ以上の単位投与量であり、そして公知の薬学原則に従って選択され得る。治療化合物の有効量は、具体的に考慮される。用語「有効量」について、例えば、医薬に関しては、薬学的有効量が考慮されることは勿論である。薬学的有効量は、必要なまたは所望の治療反応を導き出すのに十分な薬物もしくは薬学的活性物質の量(amount)または量(quantity)であり、言い換えれば、患者に投与した場合に評価できる生物学的反応を導き出すのに十分な量である。
【0113】
本明細書中で使用される用語「単位投薬形態」とは、ある量の治療化合物を含有するデバイスを意味し、その量は1またはそれ以上の所定単位が単回治療投与として提供され得るものとする。
【0114】
本発明の浸透デバイスは、本明細書中に開示される方法または当業者に周知の方法に従って製造され得る。例えば、1つの製造技術に従って、コアを構成する活性剤および賦形剤を固体、半固体またはゼラチン状の形態に混合し、次いで湿潤させ、そして特定のスクリーンで篩い、顆粒を得る。次いで、顆粒を乾燥機で乾燥させ、そして例えば、パンチングにより圧縮し、未被覆コアを形成する。圧縮された未被覆化のコアを、次いで、壁を構成する適切な物質溶液で被覆する。その後、各コアを包囲する壁を、例えば、レーザー装置で穿孔し、前述の様式で予め形成された通路を形成する。必要とされる場合、薬物含有外部被覆はスプレーコーティングまたは圧縮コーティングとして壁に被覆を塗布し得る。所望である場合、本発明のデバイスは、所望の光沢、色、味または他の美的特性を得るために当該分野で一般的に行われているとおりに仕上げコートで被覆することができる。仕上げコートを製造するのに適切な物質は、当該分野周知であり、そして引用される参考文献の多くの開示中に記載されており、その内容は参照によって本明細書に加入される。
【0115】
本発明の投薬形態は、アマンタジン治療に反応する疾患、障害および/または症状の種々の治療方法に使用される。アマンタジン治療に反応する症状、障害および/または疾患としては、限定しないが、パーキンソン病、薬物性錐体外路反応(drug−induced extrapyramidal reaction)、および特に、ハイリスク患者(例えば、危険な公共奉仕の地位にある者、免疫抑制された患者、老人ホームに入っている者、ハイリスク患者との接触者および重症のインフルエンザA型ウイルス感染に罹っている者)における、インフルエンザA型ウイルスの種々の株に起因する感染症の徴候および症状が挙げられる。本発明の投薬形態はまた、アマンタジンと第二の薬物との組み合わせに反応する疾患、障害および/または症状の種々の治療方法に使用される。本発明は、制御放出様式のアマンタジンと即放または速放様式の抗うつ剤との組み合わせ投与(例えば、アマンタジンと、シタロプラム(実施例3)、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミンまたはエスシタロプラムとの組み合わせ)のための浸透デバイスを包含する。本発明はまた、1種またはそれ以上の異なる障害または疾患に関連する、所望でない振戦、運動不能症、運動障害または動作緩慢を改善するための、制御放出様式のアマンタジンと即放または速放様式の抗不安薬との組み合わせ投与(例えば、アマンタジンと、ブスピロン(実施例4)またはトラゾドン)のための浸透デバイスを包含する。本発明はまた、コアから制御放出される様式での、アマンタジンと第二の抗パーキンソン病薬との組み合わせ投与(例えば、アマンタジンと、ロピニロール、セレギリンまたはレボドパ・カルビドパ)のための浸透デバイスを包含する。用語「抗パーキンソン病薬」とは、パーキンソン病の治療において使用される当該技術で公知の薬物を意味する。
【0116】
一般的に、アマンタジン浸透デバイスの使用は、アマンタジン治療に反応する障害、疾患または症状を治療または予防する方法を提供し、この方法において、アマンタジン即放投薬形態と比較して、有害事象の罹患率でより低い(実施例5)。
【0117】
3つの制御放出浸透性アマンタジン処方(T1、T2およびT3)を、実施例7に従って製造した。制御放出浸透性アマンタジン処方T1は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/w未満のNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロース(7〜10%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する)を含有する。制御放出浸透性アマンタジン処方T2は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロースを含有する。制御放出浸透性アマンタジン処方T3は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/w未満の等級1酢酸セルロースを含有する。実施例8に開示される無作為化4ウェイ(way)クロスオーバーデザインを使用して、参照のような絶食条件下、浸透性アマンタジン処方T1、T2およびT3ならびに従来の即放錠剤(Endo Pharmaceuticals Inc.のSymmetrelR)の相対的なバイオアベイラビリティー(吸収の程度)を比較した。アマンタジンの薬物動態学的パラメーターの平均値を以下の表に示す。
【0118】
【表10】

驚くべきことに、本発明の浸透デバイス処方T1、T2およびT3から放出されたアマンタジンのバイオアベイラビリティーは、処方の組成に従って変化した。バイオアベイラビリティーは、以下の順序で減少した:T1>T2>T3。さらに、T2およびT3は、参照製品と比較して、所望されるバイオアベイラビリティーの最小値の80%を下回る平均バイオアベイラビリティーを得た。T1は、参照と比較して約87%のアマンタジンバイオアベイラビリティーを与えた。従って、本発明はまた、共通イオンを有するアマンタジン塩および塩を含有するコア、およびコアを包囲し、そして予め形成された開口部を有する半透膜を含む浸透デバイスから放出されるアマンタジンのバイオアベイラビリティーを変化させる方法を提供し、本方法は、コア中のアマンタジン塩対浸透塩の質量比を変更し、そして半透膜に存在する酢酸セルロースの全量に対する等級1酢酸セルロースの質量比を変更することを含み、ここで、半透膜は等級1酢酸セルロース、等級2酢酸セルロースおよび可塑剤を含有する。
【0119】
以下の実施例は網羅的であると考慮されるべきでなく、本発明によって意図される多くの実施形態のほんのわずかな例を説明するに過ぎない。本明細書中に記載される方法に従って、本発明の浸透デバイスを製造することができる。
【実施例】
【0120】
実施例1
コア中にコーティングA、および0、10、15および20%の塩化ナトリウムを含有する200mg強度のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤、ならびにコア中にコーティングB、および10および20%の塩化ナトリウムを含有する200mg強度のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤を、以下の一般的方法で製造した。塩酸アマンタジン(200mg)、希釈剤(70〜200mg)およびバインダー(18〜30mg)を、初めに、1000rpm未満でQuadro Comilを使用して別々に篩って一様な大きさにし、次いで8000rpm未満でスクリーン0020−0069を備えたFitz Millを使用して予め粉砕しておいた塩化ナトリウムと混合造粒機中で25分以内で混合し、均一粉末ブレンドを形成させた。継続的に混合しながら、精製水を粉末ブレンドに徐々に添加することによって造粒過程を開始すると、乾燥粉末成分の粘稠度が変化し顆粒となった。湿った顆粒を1000rpm未満の速度でQuadro Comilに通して篩い、次いで湿気をとるために50℃の固定床中で乾燥させた。次に、サイズを小さくするために、乾燥顆粒を2,000rpm未満でスクリーンR991μを備えるQuadro Comilを使用して粉砕する。次いで、100メッシュスクリーンを通して予め篩っておいた流動促進剤(0.2〜5mg)および滑沢剤(1〜7mg)の混合物を添加し、そして約15分間混合した。得られた混合物を直径8.0mmのパンチを備える圧縮機で圧縮し、未被覆コアを形成させた。未被覆コアの平均質量は、約300〜500mgであった。
【0121】
2つのコーティング組成物を製造した:アセトンと精製水のブレンド中セルロースエステル(18.0〜29.0mg)および低分子量可塑剤(0.5〜3mg)を含有するコーティング組成物A、ならびにアセトンと精製水のブレンド中2つの異なるセルロースエステル(各セルロースエステル(9.0〜15.0mg))の混合物および低分子量可塑剤(0.5〜3mg)を含有するコーティング組成物B。0、5、10および20%の塩化ナトリウムを含有する得られた未被覆コアの一部を、コーティング組成物Aで被覆し、次いで10および20%の塩化ナトリウムを含有する残りのコアをコーティング組成物Bで被覆した。膜コーティングは、約9.5〜32.0mgの重さがあった。
【0122】
次いで、各コアの膜コーティングをレーザー機器で穿孔し、半透性コートを通して0.2〜0.8mmの少なくとも1つの通路を形成させた。
【0123】
1つの実施形態において、バインダーは、ポリ(ビニルピロリドン)、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、ポリ(エチレングリコール)、グアーガム、多糖類、ベントナイト粘土、砂糖、ポロキサマー、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ポリ(プロピレングリコール)およびポリ(エチレンオキシド)からなる群から選択される;セルロースエステルは、酢酸セルロース、セルロースアシレート、セルロース脂肪酸エステルおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される;可塑剤は、ポリ(エチレングリコール)、低分子量ポリマー、クエン酸エステル、トリアセチン、プロピレングリコール、グリセリン、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチルおよびセバシン酸ジブチルからなる群から選択される;滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される;希釈剤は、微結晶セルロース、乳糖、スクロース、マンニトール、セルロース、デンプン、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される;そして流動促進剤は、コロイド状シリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状シリコンおよびシリコンヒドロゲルからなる群から選択される。
【0124】
実施例2
本明細書中に記載されるように、300mg強度のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤を製造した。浸透デバイス錠剤は、表示される量で以下の成分を含有する:
【0125】
【表11】

塩酸アマンタジン(300mg)、希釈剤1(20〜110mg)、希釈剤2(20〜60mg)、バインダー(15〜30mg)および浸透性ポリマー(0〜45mg)を、初めに、500rpm未満でQuadro Comilを使用して別々に篩って一様な大きさにし、次いで8000rpm未満でスクリーン0020−0069を備えたFitz Millを使用して予め粉砕しておいた塩化ナトリウム(0〜150mg)と混合造粒機中で5分以内で混合し、一様な粉末ブレンドを形成させた。継続的に混合しながら、精製水を粉末ブレンドに徐々に添加することによって造粒過程を開始すると、乾燥粉末成分の粘稠度が変化し顆粒となった。湿った顆粒を500rpm未満の速度でQuadro Comilに通して篩い、次いで湿気をとるために50℃の固定床中で乾燥させた。次に、サイズを小さくするために、乾燥顆粒を2,000rpm未満でスクリーンR991μを備えるQuadro Comilを使用して粉砕した。次いで、60メッシュスクリーンを通して予め篩っておいた流動促進剤(0.2〜5mg)および滑沢剤(1〜7mg)の混合物を添加し、そして約5分間混合した。得られた混合物を直径10〜12mmのパンチを備える圧縮機で圧縮し、未被覆コアを形成させた。未被覆コアの平均質量は、約300〜500mgであった。
【0126】
コーティング組成物を以下のように製造した:セルロースエステル1(0〜50mg)、セルロースエステル2(0〜50mg)および低分子量可塑剤(0.5〜3mg)をアセトンおよび精製水にブレンドした。ブレンドを未被覆コアにスプレーし、被覆コアを得た。膜コーティングは、約2.5〜80.0mgの重さがあった。次いで、各コアの膜コーティングをレーザー機器で穿孔し、半透性コートを通して0.2〜0.8mmの少なくとも1つの通路を形成させた。
1つの実施形態において、バインダーは、ポリ(ビニルピロリドン)、ポビドン、コポビドン(copolyvidone)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、ポリ(エチレングリコール)、グアーガム、多糖類、ベントナイト粘土、砂糖、ポロキサマー、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ポリ(プロピレングリコール)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリ(エチレンオキシド)からなる群から選択される;セルロースエステルは、酢酸セルロース、セルロースアシレート、セルロース脂肪酸エステルおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される;可塑剤は、ポリ(エチレングリコール)、低分子量ポリマー、クエン酸エステル、トリアセチン、プロピレングリコール、グリセリン、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチルおよびセバシン酸ジブチルからなる群から選択される;滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される;希釈剤は、微結晶セルロース、乳糖、スクロース、マンニトール、セルロース、デンプン、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される;そして流動促進剤は、コロイド状シリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状シリコンおよびシリコンヒドロゲルからなる群から選択される;そして浸透性ポリマーは、分子量30,000〜5,000,000を有するポリ(ヒドロキシ−アルキルメタクリレート)、分子量10,000〜360,000を有するポリ(ビニルピロリドン)、アニオンヒドロゲルおよびカチオンヒドロゲル、高分子電解質複合体、低アセテート残基を有し、必要に応じてグリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドと架橋し、そして重合度200〜30,000を有するポリ(ビニルアルコール)、メチルセルロース、交差結合寒天とカルボキシメチルセルロースの混合物、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、N−ビニルラクタム類のポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル、ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル、カロブゴム、ポリアクリル酸ゲル、ポリエステルゲル、ポリウレアゲル、ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル、ポリペプチドゲル、ポリアミノ酸ゲル、ポリセルロース酸ゲル、カルボポール分子量250,000〜4,000,000を有する酸性カルボキシポリマー、Cyanamer(ポリアクリルアミド)、交差結合インデン−マレイン酸無水物ポリマー、Good−RiteTM分子量80,000〜200,000を有するポリアクリル酸、PolyoxTM分子量100,000〜5,000,000を有するポリエチレンオキシドポリマー、デンプングラフトコポリマーおよびAqua−KeepsTM(アクリル酸ポリマー)多糖からなる群から選択される。
【0127】
実施例3
薬物含有外部被覆中にシタロプラムHBr(5、10および20mg強度)を含有する実施例1または2の浸透デバイス錠剤を、一般的な手順に従って製造する。臭化水素酸シタロプラム、フィルム形成ポリマー、錠剤崩壊剤および可塑剤を精製水に添加し、コーティング懸濁液を形成する。この懸濁液を穿孔したパンコーター(pan coater)中の錠剤にスプレーし、薬物充填被覆錠剤を得る。
精製水中にOpadryを含む仕上コートを薬物充填被覆錠剤に塗布し、アマンタジン制御放出−シタプラム即放浸透デバイス錠剤を得る。
【0128】
実施例4
薬物含有外部被覆中にブスピロンHCl(5、7.5および15mg強度)を含有する実施例1または2の浸透デバイス錠剤を、一般的な手順に従って製造する。
塩酸ブスピロン、フィルム形成ポリマー、錠剤崩壊剤および可塑剤をアセトンに添加し、コーティング懸濁液を形成する。この懸濁液を穿孔したパンコーター中の錠剤にスプレーし、薬物充填被覆錠剤を得る。
【0129】
精製水中にOpadryを含む仕上コートを薬物充填被覆錠剤に塗布し、アマンタジン制御放出−ブスピロン即放浸透デバイス錠剤を得る。
【0130】
実施例5
レボドパ(L−Dopa)治療関連変動を伴うパーキンソン病に罹っている患者において、アマンタジンCRに対する薬物動態学的−薬力学的、二重盲検、活性剤およびプラシーボ対照、無作為化、クロスオーバー、反復投与研究を行う。研究の目標は、定常状態における各処方のアマンタジン薬物動態学的プロフィールと運動症状変動を経験する患者におけるレボドパに対する臨床反応とを相互に関連付けることである。
【0131】
アマンタジンIR、CR(100、150、200、250または300mg)またはプラシーボを、定常状態レベルに達する少なくとも7日間、毎日朝に投与する。レボドパ/ドーパ脱炭酸酵素インヒビターの患者の個人用量を変更せずに行い、そして同時に毎日投与する。レボドパ、その代謝物およびアマンタジンの血漿濃度を定常状態で測定し、そして運動反応をUnified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)およびAbnormal Involuntary Movement Scale(AIMS)の運動部分を使用して定期的な間隔で定量化する。PET(陽電子放射断層撮影法)またはSPECT(単光子放射型コンピュータ断層撮影)のいずれかによる黒質線状体ドーパミン作用経路の画像を使用して、パーキンソン病の重症度とアマンタジンのPK−PD効果との相関関係をさらに定量化する。公知のアマンタジン有害事象(Aes)をまた、PK/PD (Aes)相関関係を確立するために評価する。
【0132】
集団の薬物動態学的−薬力学的モデルを使用して、アマンタジンおよびレバドパの血漿濃度と臨床反応とを関連付ける。アマンタジンの定常状態薬物動態学的パラメーター(AUC、Cmax、Cminまたは変動%)と、以下:UPDRスケール、AIMS、レボドパおよびその代謝物の薬物動態学的パラメーターまたはAesの発生率もしくは重症度の、いずれかの結果との用量比例関係は、PD患者におけるアマンタジンIRまたはCRの全身性濃度反応関係および用量関連様式における運動症状変動の改善または製品の安全性のプロフィールの改善における有効性の有意な証拠を示す。
【0133】
実施例6
本明細書中に記載されるように、100、150および300mg強度のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤を製造した。浸透デバイス錠剤は、表示される量で以下の成分を含有する:
【表12】

塩酸アマンタジン、希釈剤1、希釈剤2およびバインダーを、初めに、500rpm未満でQuadro Comilを使用して別々に篩って一様な大きさにし、次いで8000rpm未満でスクリーン0020−0069を備えたFitz Millを使用して予め粉砕しておいた塩化ナトリウムと混合造粒機中で5分以内で混合し、均一粉末ブレンドを形成させた。継続的に混合しながら、精製水を粉末ブレンドに徐々に添加することによって、造粒過程を開始すると、乾燥粉末成分の粘稠度が変化し顆粒となった。湿った顆粒を500rpm未満の速度でQuadro Comilに通して篩い、次いで湿気をとるために50℃の固定床中で乾燥させた。次に、サイズを小さくするために、乾燥顆粒を2,000rpm未満でスクリーンR991μを備えるQuadro Comilを使用して粉砕した。次いで、60メッシュスクリーンを通して予め篩っておいた流動促進剤および滑沢剤の混合物を添加し、そして約5分間混合した。得られた混合物を直径7〜10mmのパンチを備える圧縮機で圧縮し、未被覆コアを形成させた。100、150および300mgのアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤の平均コア質量は、それぞれ150、225および450mgである。
【0134】
コーティング組成物を以下のように製造した:セルロースエステル1、セルロースエステル2および低分子量可塑剤をアセトンおよび精製水にブレンドした。ブレンドを未被覆コアにスプレーし、被覆コアを得た。膜コーティングは、約8〜20mgの重さがあった。次いで、各コアの膜コーティングをレーザー機器で穿孔し、半透性コートを通して0.2〜0.8mmの少なくとも1つの通路を形成させた。
【0135】
1つの実施形態において、バインダーは、ポリ(ビニルピロリドン)、ポビドン、コポビドン(copolyvidone)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、ポリ(エチレングリコール)、グアーガム、多糖類、ベントナイト粘土、砂糖、ポロキサマー、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ポリ(プロピレングリコール)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリ(エチレンオキシド)からなる群から選択される;セルロースエステルは、酢酸セルロース、セルロースアシレート、セルロース脂肪酸エステルおよび酢酸フタル酸セルロースからなる群から選択される;可塑剤は、ポリ(エチレングリコール)、低分子量ポリマー、クエン酸エステル、トリアセチン、プロピレングリコール、グリセリン、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチルおよびセバシン酸ジブチルからなる群から選択される;滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛からなる群から選択される;希釈剤は、微結晶セルロース、乳糖、スクロース、マンニトール、セルロース、デンプン、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される;そして流動促進剤は、コロイド状シリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状シリコンおよびシリコンヒドロゲルからなる群から選択される。
【0136】
実施例7
3つの300mg強度のアマンタジンHCl浸透デバイス錠剤(処方T1、T2およびT3)を、実施例6に記載されるように製造した。制御放出浸透性アマンタジン処方T1は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/w未満のNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロース(7〜10%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する)を含有する。制御放出浸透性アマンタジン処方T2は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロースを含有する。制御放出浸透性アマンタジン処方T3は、未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaClおよび半透膜の質量に基づいて、25%w/w未満の等級1酢酸セルロースを含有する。
【0137】
12錠のT1処方について得られた平均インビトロ放出プロフィールを、以下の表および図8に示す。能力最小値および能力最大値は、処方T1より大きい範囲にわたるアマンタジンHClの放出に関して、それぞれおよその下限および上限についての放出プロフィールを表す。
【表13】

【0138】
12錠のT2処方について得られた平均インビトロ放出プロフィールを、以下の表および図8に示す。能力最小値および能力最大値は、本発明に従う処方T2より大きい範囲にわたるアマンタジンHClの放出に関して、それぞれおよその下限および上限についての放出プロフィールを表す。
【表14】

【0139】
12錠のT3処方について得られた平均インビトロ放出プロフィールを、以下の表および図8に示す。能力最小値および能力最大値は、本発明に従う処方T3より大きい範囲にわたるアマンタジンHClの放出に関して、それぞれおよその下限および上限についての放出プロフィールを表す。
【表15】

【0140】
実施例8
無作為化した4ウェイのクロスオーバーデザインを使用して、参照されるような絶食条件下、実施例7に従う3つの制御放出浸透性アマンタジン処方(T1、T2およびT3、1日に1回300mg)製品および従来の即放錠剤(Symmetrel、1日に3回100mg)の相対的なバイオアベイラビリティー(吸収の程度)を比較した。20人の健常な被験者を募集し、そして以下のスキームに従って4つの割り付け順序のいずれかに無作為に指定した。
【0141】
【表16】

薬物内容分析のために、血液サンプルを投与前および投与の0.5、1、1.5、2、3、5、8、8.5、9、9.5、10、11、13、16、16.5、17、17.5、18、19、21、24、30、36、48、72時間後に得た。4期間を終了した被験者20人中17人のサンプル(1748サンプル)を、アマンタジンについてGC−MSで分析した。
【0142】
薬物動態学的パラメーターを、WinNonlinTM Professional、バージョン4.0ソフトウェアを使用して、濃度−時間データから計算した。
【0143】
WinNonlinTM Professional、バージョン4.0ソフトウェアを使用して、統計解析を行った。対数変換(自然対数)薬物動態学的パラメーター(Cmax、AUClastおよびAUCinf)を分散分析(ANOVA)によって評価した。
上記は、本発明の特定の実施形態の詳細な説明である。開示した実施形態からの逸脱は本発明の範囲内でなされる可能性があり、そして自明な変更は当業者ならば思いつくことが認識される。本発明の開示に照らして、多くの変更が本明細書中に開示される特定の実施形態で、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様のおよび類似の結果がなお得られることを、当業者は理解すべきである。本発明の開示に照らして、過度の実験をすることなく、本明細書中に開示し、そして特許請求した実施形態の全ては、製造でき、そして実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】実施例1の例示的な製剤から放出されるアマンタジンのインビトロ放出プロフィールを表す。
【図2】実施例2の例示的な製剤から放出されるアマンタジンのインビトロ放出プロフィールを表す。
【図3】実施例2の例示的な製剤から放出されるアマンタジンのインビトロ放出プロフィールを表す。
【図4】アマンタジン放出についての他の例示的なインビトロ放出プロフィールを表す。
【図5】アマンタジン放出についての他の例示的なインビトロ放出プロフィールを表す。
【図6】アマンタジン放出についての他の例示的なインビトロ放出プロフィールを表す。
【図7】実施例2の製剤のアマンタジンHCl/NaCl(質量/質量)比および酢酸セルロース(7〜10%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性の)対酢酸セルロース全量の(質量/質量)比の限度に従って、一次、ゼロ次およびS字型放出プロフィールに対応する範囲を表す。
【図8】実施例7の例示的な製剤T1、T2およびT3から放出されたアマンタジンのインビトロ放出プロフィールを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、アマンタジン塩、浸透塩および少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該浸透塩は放出速度制御コーティングで被覆されておらず;
c)半透膜の浸透性は、浸透塩と共に作用するように適合され、浸透デバイスからのアマンタジン塩の放出プロフィールを制御し;
d)該アマンタジン塩および浸透塩は、共通イオンを有し;そして
e)アマンタジン塩は、ゼロ次、擬ゼロ次、一次、擬一次またはS字型制御放出プロフィールに従って1つまたはそれ以上の通路を通して放出され、必要に応じて、浸透デバイスが水性の使用環境に曝される場合、アマンタジン塩の放出はある期間遅延される;
上記浸透デバイス。
【請求項2】
アマンタジン塩が無機塩である、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項3】
アマンタジン塩が鉱酸塩である、請求項2に記載の浸透デバイス。
【請求項4】
アマンタジン塩が塩酸アマンタジンである、請求項3に記載の浸透デバイス。
【請求項5】
浸透塩がハロゲン化金属である、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項6】
浸透塩がハロゲン化アルカリ金属またはハロゲン化土類金属である、請求項5に記載の浸透デバイス。
【請求項7】
浸透塩が塩化ナトリウムである、請求項6に記載の浸透デバイス。
【請求項8】
アマンタジン塩が塩酸アマンタジンであり、かつ浸透塩が塩化ナトリウムである、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項9】
アマンタジン塩対浸透塩の質量比が30:1〜600:1の範囲であり、半透膜が等級1酢酸セルロース対酢酸セルロース全量の質量比0:1〜0.2:1を含有し、そして浸透デバイスがアマンタジン塩のゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールを少なくとも4時間提供する、請求項8に記載の浸透デバイス。
【請求項10】
アマンタジン塩対浸透塩の質量比が30:1〜600:1の範囲であり、半透膜が等級1酢酸セルロース対酢酸セルロース全量の質量比0.2:1〜1:1を含有し、そして浸透デバイスがアマンタジン塩の一次放出プロフィールを提供する、請求項8に記載の浸透デバイス。
【請求項11】
アマンタジン塩対浸透塩の質量比が2:1〜30:1の範囲であり、半透膜が等級1酢酸セルロース対酢酸セルロース全量の質量比0.1:1〜1:1を含有し、そして浸透デバイスがアマンタジン塩のS字型放出プロフィールを提供する、請求項8に記載の浸透デバイス。
【請求項12】
共通イオンが塩化物イオンである、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項13】
半透膜がコア中の塩化ナトリウムと共に作用するように適合される浸透性を有し、浸透デバイスがアマンタジンのS字型放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項14】
半透膜がコア中の塩化ナトリウムと共に作用するように適合される浸透性を有し、浸透デバイスがアマンタジンのゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールを提供する、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項15】
活性薬物を含有する外部被覆をさらに含む、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項16】
活性薬物が抗うつ剤である、請求項15に記載の浸透デバイス。
【請求項17】
抗うつ剤がシタロプラムである、請求項16に記載の浸透デバイス。
【請求項18】
活性薬物が抗不安薬である、請求項15に記載の浸透デバイス。
【請求項19】
抗不安薬がブスピロンである、請求項18に記載の浸透デバイス。
【請求項20】
コア中に第二の活性薬物をさらに含有する、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項21】
第二の活性薬物が抗パーキンソン病薬である、請求項2に記載の浸透デバイス。
【請求項22】
第二の抗パーキンソン病薬が、ロピニロール、セレギリンおよびレボドパ・カルビドパからなる群から選択される、請求項21に記載の浸透デバイス。
【請求項23】
第二の抗パーキンソン病薬がロピニロールである、請求項22に記載の浸透デバイス。
【請求項24】
第二の抗パーキンソン病薬がセレギリンである、請求項22に記載の浸透デバイス。
【請求項25】
第二の抗パーキンソン病薬がレボドパ・カルビドパである、請求項22に記載の浸透デバイス。
【請求項26】
半透膜が7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する等級1酢酸セルロースならびに3〜5質量%のヒドロキシル基および6.0〜45.0秒の粘性を有する等級2酢酸セルロースを含有する、請求項1に記載の浸透デバイス。
【請求項27】
酢酸セルロースが、7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する等級1酢酸セルロースならびに3〜5質量%のヒドロキシル基および6.0〜45.0秒の粘性を有する等級2酢酸セルロースを含有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の浸透デバイス。
【請求項28】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、塩酸アマンタジン、塩化ナトリウムおよび少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該塩化ナトリウムは放出速度制御コーティングで被覆されておらず;
c)半透膜は、7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する等級1酢酸セルロースならびに3〜5質量%のヒドロキシル基および6.0〜45.0秒の粘性を有する等級2酢酸セルロースを含有し;そして
d)塩酸アマンタジンが、以下:
【表1】

のようにコアから放出される、
上記浸透デバイス。
【請求項29】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、塩酸アマンタジン、塩化ナトリウムおよび少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該塩化ナトリウムは放出速度制御コーティングで被覆されておらず;
c)半透膜は、7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する等級1酢酸セルロースならびに3〜5質量%のヒドロキシル基および6.0〜45.0秒の粘性を有する等級2酢酸セルロースを含有し;そして
d)塩酸アマンタジンが、以下:
【表2】

のようにコアから放出される、
上記浸透デバイス。
【請求項30】
アマンタジン塩対浸透塩との質量比が4:1〜30:1の範囲であり、半透膜が等級1酢酸セルロース対酢酸セルロース全量の質量比0.3:1〜0.7:1を含有し、そして浸透デバイスがアマンタジン塩のS字型放出プロフィールを提供する、請求項8に記載の浸透デバイス。
【請求項31】
同じ用量の即放投薬形態と比較して、バイオアベイラビリティーが約87%より大きい、請求項30に記載の浸透デバイス。
【請求項32】
単一コアが未被覆コアの質量に基づいて、6%w/w未満のNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロース(7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する)を含有する、請求項8または27に記載の浸透デバイス。
【請求項33】
アマンタジンが以下のプロフィール:
【表3】

に従って放出される、請求項32に記載の浸透デバイス。
【請求項34】
単一コアが未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/wより多い等級1酢酸セルロース(7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する)を含有する、請求項8または27に記載の浸透デバイス。
【請求項35】
アマンタジンが以下のプロフィール:
【表4】

に従って放出される、請求項34に記載の浸透デバイス。
【請求項36】
単一コアが未被覆コアの質量に基づいて、6%w/wより多いNaCl、および半透膜の質量に基づいて、25%w/w未満の等級1酢酸セルロース(7〜10質量%のヒドロキシル基および200〜280秒の粘性を有する)を含有する、請求項8または27に記載の浸透デバイス。
【請求項37】
アマンタジンが以下のプロフィール:
【表5】

に従って放出される、請求項36に記載の浸透デバイス。
【請求項38】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、アマンタジン塩、浸透塩および少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該アマンタジン塩および浸透塩が共通イオンを有し;
c)該アマンタジン塩対浸透塩との質量比が600:1〜30:1の範囲であり;
d)該半透膜は、2つの異なるグレードの酢酸セルロースを含有し;そして
e)浸透デバイスが水性の使用環境に曝される場合、アマンタジン塩は、ゼロ次または擬ゼロ次放出プロフィールに従って1つまたはそれ以上の通路を通して放出される、
上記浸透デバイス。
【請求項39】
半透膜が、可塑剤、等級1酢酸セルロースおよび等級2酢酸セルロースを含有し、ここで該膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、それぞれ、等級1酢酸セルロースの質量比率は、0質量%〜20質量%であり、そして等級2酢酸セルロースの質量比率は、100質量%〜80質量%である、請求項38に記載の浸透デバイス。
【請求項40】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、アマンタジン塩、浸透塩および少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該アマンタジン塩および浸透塩が共通イオンを有し;
c)該アマンタジン塩対浸透塩との質量比が600:1〜30:1の範囲であり;
d)該半透膜は、2つの異なるグレードの酢酸セルロースを含有し;そして
e)浸透デバイスが水性の使用環境に曝される場合、アマンタジン塩は、一次または擬一次放出プロフィールに従って1つまたはそれ以上の通路を通して放出される、
上記浸透デバイス。
【請求項41】
半透膜が、可塑剤、等級1酢酸セルロースおよび等級2酢酸セルロースを含有し、ここで該膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、それぞれ、等級1酢酸セルロースの質量比率は、20質量%〜100質量%であり、そして等級2酢酸セルロースの質量比率は、80質量%〜0質量%である、請求項40に記載の浸透デバイス。
【請求項42】
半透膜によって包囲された単一コアを有する浸透デバイスであって、該半透膜は少なくとも1つのそれらを貫く通路を有し、ここで、
a)該単一コアは、アマンタジン塩、浸透塩および少なくとも1種の他の薬学的に許容しうる賦形剤の混合物を含有し;
b)該アマンタジン塩および浸透塩が共通イオンを有し;
c)該アマンタジン塩対浸透塩との質量比が30:1〜2:1の範囲であり;
d)半透膜は、2つの異なるグレードの酢酸セルロースを含有し;そして
e)浸透デバイスが水性の使用環境に曝される場合、アマンタジン塩は、S字型放出プロフィールに従って1つまたはそれ以上の通路を通して放出される、
上記浸透デバイス。
【請求項43】
半透膜が、可塑剤、等級1酢酸セルロースおよび等級2酢酸セルロースを含有し、ここで該膜に存在する酢酸セルロースの全量に基づいて、それぞれ、等級1酢酸セルロースの質量比率は、0質量%〜100質量%であり、そして等級2酢酸セルロースの質量比率は、100質量%〜0質量%である、請求項42に記載の浸透デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−517332(P2009−517332A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543685(P2007−543685)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/CR2005/000005
【国際公開番号】WO2006/089494
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(506418611)オスモティカ・コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】