説明

アミノメチル置換されたテトラサイクリン化合物

【課題】アミノメチル置換されたテトラサイクリン化合物、薬学的組成物、およびその使用法を提供する。
【解決手段】式(I)のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、プロドラッグ、およびエステル:式中、R1およびR2は、結合して環を形成する。


及び下記式で例示されるテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年7月12日に出願された表題「アミノメチル置換されたテトラサイクリン化合物」の米国特許仮出願第60/395,495号;および2002年3月8日に出願された表題「9-アミノ-メチル置換されたミノサイクリン化合物」の米国特許仮出願第60/362,654号に対する優先権を主張する。各々の上述した出願は、これらの全体においてここに参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テトラサイクリン系抗生物質の開発は、殺菌剤および/または静菌性の組成物を産生することができる微生物を検出するために、世界の大部分から回収された土壌検体の系統的なスクリーニングの直接的な結果であった。これらの新規の化合物の最初のものは、クロルテトラサイクリンの名前の下で1948年に紹介された。2年後に、オキシテトラサイクリンは、利用できるようになった。これらの化合物の化学構造の解明は、これらの類似性を確認し、1952年にこの群の第3のメンバー(テトラサイクリン)を製造するための解析の基礎を供給した。テトラサイクリン化合物の新たなファミリーは、以前のテトラサイクリンに存在する環に付着されたメチル基を有さず、1957年に調製され、1967年に公的に利用できるようになった。
【0003】
最近、異なった治療的条件および投与経路の下で有効な、新たなテトラサイクリン系抗生物質組成物の開発に研究者の努力が集まっている。当初導入されたテトラサイクリン化合物と同等か、またはより有効であることが判明し得る新たなテトラサイクリン類似体も、調査されている。例として、米国特許第3,957,980号(特許文献1);第3,674,859号(特許文献2);第2,980,584号(特許文献3);第2,990,331号(特許文献4);第3,062,717号(特許文献5);第3,557,280号(特許文献6);第4,018,889号(特許文献7);第4,024,272号(特許文献8);第4,126,680号(特許文献9);第3,454,697号(特許文献10);および第3,165,531号(特許文献11)があげられる。これらの特許は、薬学的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリン類似体組成物の範囲の代表である。
【0004】
歴史的に、これらの初期の開発および導入の直後、テトラサイクリンは、リケッチア;多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌;並びに封入体性結膜炎、およびオウム病を含むリンパ肉芽腫に応答性の薬剤に対して薬理学的に非常に有効であることが見出された。それゆえに、テトラサイクリンは、「広域性」抗生物質として既知になった。その後のこれらのインビトロ抗菌活性、実験感染での有効性、および薬理学的特性の確立により、クラスとしてのテトラサイクリンは、急速に治療目的に広く使われるようになった。しかし、主要なおよび少数の疾病および疾患のための広範囲にわたるテトラサイクリンの使用は、共生および病原性(たとえば、肺炎球菌およびサルモネラ)の両方の非常に感受性の高い細菌種の中にも、これらの抗生物質に対する耐性を直接引き起こした。テトラサイクリン耐性生物体の増加は、選択の抗生物質としてテトラサイクリンおよびテトラサイクリン類似体組成物の使用の全般的な減少を生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,957,980号
【特許文献2】米国特許第3,674,859号
【特許文献3】米国特許第2,980,584号
【特許文献4】米国特許第2,990,331号
【特許文献5】米国特許第3,062,717号
【特許文献6】米国特許第3,557,280号
【特許文献7】米国特許第4,018,889号
【特許文献8】米国特許第4,024,272号
【特許文献9】米国特許第4,126,680号
【特許文献10】米国特許第3,454,697号
【特許文献11】米国特許第3,165,531号
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
1つの態様において、本発明は、式(I)のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、プロドラッグ、およびエステルに関する:

式中、
R1およびR2は、結合して環を形成する。
【0007】
また、本発明は、少なくとも一部において、式:

のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグに関する。
【0008】
また、本発明は、少なくとも一部において、式(II)のテトラサイクリン化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する:

式中、
J1およびJ2は、J1またはJ2の少なくとも1つが水素でないという条件で、それぞれ独立して、水素、アリール、スルホニル、アシルであり、または結合して環を形成し;
J3およびJ4は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R9は、水素、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ、または-(CH2)0-3NR9cC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0009】
また、本発明は、少なくとも一部において、式(III)のテトラサイクリン化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩に関する:

式中:
J5およびJ6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたカルボニル、アルコキシチオカルボニルであり、または結合して環を形成し;
J7およびJ8は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0010】
また、本発明は、表1に示される式の化合物、並びにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する。
【0011】
また、本発明は、少なくとも一部において、式(I)、(II)、(III)、表1、または別の本明細書に記述した式のアミノメチルテトラサイクリン化合物を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、好ましくはミノサイクリン化合物の有効な量および薬学的に許容される担体を含む。
【0012】
もう1つの態様において、少なくとも一部において、被験者のテトラサイクリンに関連した状態を治療するために、本発明の(たとえば、式(I)、(II)、(III)、表1、または別の本明細書に記述した)アミノメチルテトラサイクリン化合物を使用する方法に関する。
【0013】
ある態様において、少なくとも一部において、本発明は、アミノアルキルテトラサイクリン化合物の合成のための方法に関する。本方法は、アミノアルキルテトラサイクリン化合物が形成されるように、適切な条件下でアミノアルキル化試薬とテトラサイクリン化合物を接触させる段階を含む。
【0014】
もう1つの態様において、本発明は、本発明のアミノアルキルテトラサイクリン化合物およびの本発明の方法によって合成されたアミノアルキルテトラサイクリン化合物を含む薬学的組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
ある態様において、本発明は、式(I)のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、プロドラッグ、およびエステルに関する:

式中、
R1およびR2は、結合して環を形成する。
【0016】
1つの態様において、R1およびR2は、結合して5員環または6員環を形成する。もう一つにおいて、R1およびR2は、結合して6員環を形成する。R1およびR2は、たとえば-(CH2)5-6、-(CH2)1-5-CH=CH-(CH2)1-5-、-(CH2)1-5-O-(CH2)1-5-、-(CH2)1-5-NR-(CH2)1-5、その他などの原子の鎖によって結合されてもよい。形成される環は、飽和してもよく、または不飽和でもよい。たとえば、R1およびR2は、結合して、ピペリジン環、モルフォリン環、ピリジン環、またはピラジニル環を形成してもよい。
【0017】
さらなる態様において、テトラサイクリン化合物は以下の化合物であり、または、これらの薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグである。


【0018】
1つの態様において、本発明は、式(II)のアミノメチルテトラサイクリン化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する:

式中:
J1およびJ2は、J1またはJ2の少なくとも1つが水素でないという条件で、それぞれ独立して、水素、アリール、スルホニル、アシルであり、または結合して環を形成し;
J3およびJ4は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R9は、水素、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ、または-(CH2)0-3NR9cC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0019】
ある態様において、テトラサイクリン化合物は、オキシテトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、およびR6'はCH3である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、デメクロサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'は水素であり、およびR7は塩素である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、メタサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6およびR6'は共にCH2である。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、ドキシサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'はCH3である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、クロロテトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'はCH3であり、およびR7は塩素である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6およびR6'はそれぞれ水素であり、およびR7は、N(CH3)2である)。さらなる態様において、式IのR5は、ヒドロキシル基であり、たとえばプロドラッグ部分で保護されている。プロドラッグ部分の例は、たとえば、アシルエステルおよびエステルを含む。特定の態様において、プロドラッグ部分は、アロイル、アルカノイル、またはアルカロイルであり、インビボでヒドロキシル基に切断されてもよく、または切断されなくてもよい。特定の態様において、R4は水素である。
【0020】
ある態様において、J3およびJ4は、水素である。もう1つの態様において、J1は置換されたまたは置換されていないアルキルであってもよい。また、J1はスルホニルであってもよく、またはJ1およびJ2は結合して環を形成してもよい。さらなる態様において、J1は、ヘテロアリールまたは置換されたカルボニルであってもよい。
【0021】
本発明の方法によって合成されるアミノアルキルテトラサイクリン化合物の例は、以下の式の化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含むが、これらに限定されない:


式中、
Rは置換されたまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、アルコキシであり;かつ、Yは、N、O、またはSである。
【0022】
もう1つの態様において、本発明のアミノアルキルテトラサイクリン化合物は、式(II)の化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩であってもよく:

式中:
J5およびJ6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたカルボニル、アルコキシチオカルボニルであり、または結合して環を形成し;
J7およびJ8は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アリール、アルキニル、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【0023】
ある態様において、テトラサイクリン化合物は、オキシテトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、およびR6'はCH3である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、デメクロサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'は水素であり、およびR7は塩素である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、メタサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6およびR6'は共にCH2である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、ドキシサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5はOHであり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'はCH3である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、クロロテトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6はOHであり、R6'はCH3であり、およびR7は塩素である)。もう1つの態様において、アミノアルキルテトラサイクリン化合物は、テトラサイクリン化合物である(たとえば、式中、R4はNR4'R4''であり、R4'およびR4''はそれぞれメチルであり、R5は水素であり、XはCR6R6'であり、R6およびR6'はそれぞれ水素であり、およびR7は、N(CH3)2である)。さらなる態様において、式IのR5は、ヒドロキシル基、たとえばプロドラッグ部分で保護されている。プロドラッグ部分の例は、たとえば、アシルエステルおよびエステルを含む。特定の態様において、プロドラッグ部分は、アロイル、アルカノイル、またはアルカロイルであり、インビボでヒドロキシル基に切断されてもよく、または切断されなくてもよい。特定の態様において、R4は水素である。
【0024】
ある態様において、J7およびJ8は、水素である。もう1つの態様において、J5は置換されたまたは置換されていないアルキルであってもよい。また、J5はスルホニルであってもよく、またはJ5およびJ6は結合して環を形成してもよい。さらなる態様において、J5は、ヘテロアリールまたは置換されたカルボニルであってもよい。
【0025】
本発明の方法によって合成されるアミノアルキルテトラサイクリン化合物の例は、以下の式の化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含むが、これらに限定されない:


式中、
Rは置換されたまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、アルコキシであり;かつ、Yは、N、O、またはSである。
【0026】
本発明のその他のアミノアルキルテトラサイクリン化合物は、表1に示してある。本発明は、表1に示した化合物の薬学的に許容されるエステル、塩、およびプロドラッグを含む。
【0027】
【表1】





【0028】
また、本発明は、少なくとも一部において、上記したものなどのアミノアルキルテトラサイクリン化合物の合成のための方法に関する。本方法は、アミノアルキルテトラサイクリン化合物を形成するために適切な条件下でアミノアルキル化試薬とテトラサイクリン化合物を接触させる段階を含む。
【0029】
「テトラサイクリン化合物」という用語には、テトラサイクリンと同様の環構造を有する多くの化合物を含む。テトラサイクリン化合物の例は:テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、サンサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、ケロカルジン(chelocardin)、ロリテトラサイクリン、リメサイクリン、アピサイクリン;クロモサイクリン、ガメサイクリン(guamecycline)、メグルサイクリン(meglucycline)、メフィルサイクリン(mepylcycline)、ペニメピサイクリン(penimepicycline)、ピパサイクリン(pipacycline)、エタモサイクリン(etamocycline)、ペニモサイクリン(penimocycline)、その他を含む。また、同様の4環構造を含むその他の誘導体および類似体が含まれる(W. Rogalski、「テトラサイクリンの化学修飾」を参照されたい、この全ての内容は、参照として本明細書に組み入れられるものとする)。表2は、テトラサイクリンおよび既知のその他のいくつかのテトラサイクリン誘導体を表す。
【0030】
【表2】

【0031】
本発明の方法を使用して修飾してもよいその他のテトラサイクリン化合物は、6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノ-ピラゾール;7-クロロ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;12α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;5-ヒドロキシ-6α-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-デジメチルアミノ-12α-デオキシアンヒドロテトラサイクリン;7-ジメチルアミノ-6-デメチル-6-デオキシ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリノニトリル;4-オキソ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン-4,6-ヘミケタール;4-オキソ-11a Cl-4-デジメチルアミノテトラサイクリン-4,6-ヘミケタール;5a,6-アンヒドロ-4-ヒドラゾン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドロキシイミノ-4-デジメチルアミノ 5a,6-アンヒドロテトラサイクリン;4-アミノ-4-デジメチルアミノ-5a,6-アンヒドロテトラサイクリン;4-メチルアミノ-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;4-ヒドラゾノ-11a-クロロ-6-デオキシ-6-デメチル-6-メチレン-4-デジメチルアミノテトラサイクリン;テトラサイクリン四級アンモニウム化合物;アンヒドロテトラサイクリンベタイン;4-ヒドロキシ-6-メチルプレテトラミド(pretetramides);4-ケトテトラサイクリン;5-ケトテトラサイクリン;5a,1laデヒドロテトラサイクリン;l1a Cl-6,12ヘミケタールテトラサイクリン;1la Cl-6-メチレンテトラサイクリン;6,13ジオールテトラサイクリン;6-ベンジルチオメチレンテトラサイクリン;7,11a-ジクロロ-6-フルオロ-メチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(α)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-フルオロ(β)-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-αアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;6-βアセトキシ-6-デメチルテトラサイクリン;7,13-エピチオテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;ピラゾロテトラサイクリン;テトラサイクリンの11aハロゲン;テトラサイクリンの12aホルミルおよびその他のエステル;テトラサイクリンの5,12aエステル;テトラサイクリンの10,12a-ジエステル;イソテトラサイクリン;12-a-デオキシアンヒドロテトラサイクリン;6-デメチル-12a-デオキシ-7-クロロアンヒドロテトラサイクリン;B-ノルテトラサイクリン;7-メトキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-デメチル-6-デオキシ-5a-エピテトラサイクリン;8-ヒドロキシ-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;モナルデン(monardene);クロモサイクリン;5aメチル-6-デメチル-6-デオキシテトラサイクリン;6-オキサテトラサイクリン、および6チア(thia)テトラサイクリンを含むが、これらに限定されない。
【0032】
「アミノアルキルテトラサイクリン化合物」という用語は、7位および/または9位にアミノアルキル置換基を有するテトラサイクリン化合物(たとえば、-CH2NR'R'')を含む。ある態様において、7位および/または9位の置換は、テトラサイクリン化合物が、その企図された機能を実施する能力(たとえば、テトラサイクリン化合物応答性の状態を治療する抗生物質として、その他)を増強する。「アミノアルキル化試薬」という用語は、テトラサイクリン化合物を接触させて、適切な条件下で、これと反応させてアミノアルキルテトラサイクリン化合物を形成することができる試薬を含む。アミノアルキル化試薬は、反応混合物に添加してもよく、またはインサイチューで形成されてもよい。アミノアルキル化試薬の例は、式(IV)の化合物を含むが、これらに限定されない:

式中、
Ra'およびRa''は、それぞれ独立して、水素またはハロゲンであり;
R'は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、またはハロゲンであり;かつ、
R''は、水素または選択的にR'に結合して4員環〜8員環を形成する。環は、選択的に、たとえばハロゲンと置換されてもよく、炭素および/または酸素、窒素、および硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよい。R'は、試薬が適切な条件下で本発明のテトラサイクリン化合物と反応するのを妨げない任意の置換基でさらに置換されてもよい。もう1つのさらなる態様において、R'は、たとえば非置換または置換された(たとえば、ハロゲンで、たとえば塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、その他)アルキルである。もう1つの態様において、R'は、アリール、たとえば非置換のまたは置換された(たとえば、ハロゲン(たとえば塩素、フッ素、臭素、その他)、ヒドロキシ、アルコキシ、エステル、アミノ、その他で)フェニルである。もう1つの態様において、Ra'およびRa''は、それぞれの水素である。アミノアルキル化試薬のその他の例は、N-ヒドロキシメチルフタリミド(hydroxymethylphthalimide)を含む。
【0033】
アミノアルキル化試薬の例は、

Y=CH2、CH2CH2、N、O、S、その他
を含むが、これらに限定されない。
【0034】
「適切な条件」という用語は、アミノアルキルテトラサイクリン化合物が形成されるように、アミノアルキル化試薬およびテトラサイクリン化合物が相互作用する条件を含む。ある態様において、適切な条件は、反応混合物にアミノアルキル化試薬を添加するより前に、または並行して酸でテトラサイクリン化合物を処理することを含む。単独でまたは組み合わせて使用されうる酸の例は、当技術分野において既知の酸、並びに硫酸、フッ化水素酸(HF)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、塩酸の水性エタノール溶液、酢酸、メタンスルホン酸、およびトリフルオロ酢酸(TFA)を含む。また、さらなる態様において、適切な条件は、生じるテトラサイクリン化合物を反応クエンチ剤(たとえば、水)で処理することを含んでもよい。
【0035】
以下に記載されている各々の反応は、上記したその他のテトラサイクリン化合物に適用してもよい。加えて、多くのスキームでは、9位でのテトラサイクリン化合物の置換を示すが、9位に保護基を使用して、同様の置換基を7位に付加することができる(たとえば、トランスブチルなど)。
【0036】
スキーム1は、アミノアルキルテトラサイクリン化合物が形成されるように、適切な条件下でのアミノアルキル化試薬とサンサイクリンの反応を表す。

【0037】
スキーム2は、5員環を含むアミノアルキル化試薬とテトラサイクリン化合物の2つのアミノアルキル化を示す。同様の反応は、6員環または7員環を有する試薬を用いて行うこともできる。

【0038】
下記のスキーム3に示したように、7-一置換のアミノメチルテトラサイクリンの合成は、酸などの当技術分野で認識された技術を使用して切断される保護基(すなわち、9-t-ブチル保護基)を使用して合成されてもよい。使用することができる酸の例は、HF、トリフルオロ酢酸(TFA)、H2SO4、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。このような方法で、7位での位置選択的なアミノメチル化が達成される。

【0039】
さらなる態様において、適切な条件は、反応混合物(これは、アミノアルキルテトラサイクリン化合物の中間体を含んでいてもよい)を誘導体化剤で、所望のアミノアルキルテトラサイクリン化合物が形成されるように二次的な適切な条件下において処理することをさらに含んでもよい。スキーム4の反応では、9位について示してあるが、反応は、テトラサイクリン化合物のその他の位置にも適用できる。さらなる誘導体化剤および二次的に適切な条件は、例えば化学的文献に見出されうる。たとえばR. C. LaRock、Comprehensive Organic Transformations(New York:VCH Publishers, Inc.、1989)およびその中に引用された引例を参照されたい。新化合物を形成するために一級アミンと反応することができる任意の試薬がありうる。多様な構造のいくつかの実施例を下記のスキーム4に示してある。

【0040】
たとえば、スキーム5では、酸クロリドを誘導体化する薬剤を反応混合物に添加して、所望のアミドアミノアルキルテトラサイクリン化合物を形成している(J. Am. Chem Soc. 71、2215(1949);J. Am. Chem. Soc. 108、1039(1986);Org. Syn. Coll. Vol. 4、339(1963);Org. Syn. Coll. Vol. 5、387(1973))。

【0041】
スキーム6は、所望のスルホンアミドアミノアルキル化合物が形成されるように、適切な塩化スルホニル誘導体化剤と、アミノアルキルテトラサイクリン化合物中間体の反応を表す(Org. Syn. Coll. Vol. 5、736、758(1973))。

【0042】
スキーム7は、カルバメートアミノアルキルテトラサイクリン化合物を形成させるための、アミノアルキルテトラサイクリン中間体と誘導体化剤の反応を表す。

【0043】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換されたアルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。アルキルという用語は、炭化水素バックボーンの1つもしくは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄、または亜リン酸原子、たとえば酸素、窒素、硫黄、もしくはリン(phosphorous)原子をさらに含み得るアルキル基をさらに含む。好ましい態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、そのバックボーンに6以下の数個の炭素原子(たとえば、直鎖についてはC1-C6、分枝鎖についてはC3-C6)、より好ましくは4以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、それらの環構造に4〜7炭素を有し、より好ましくは環構造に5または6個の炭素原子を有する。
【0044】
さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル」および「置換されたアルキル」を含み、後者は、炭化水素バックボーンの1つまたは複数の炭素に水素を置換する置換基を有するアルキル部分をいう。このような置換基は、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、アリールオキシ、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環芳香族化合物部分を含み得る。シクロアルキルは、たとえば上記した置換基でさらに置換することができる。「アルキルアリール」部分は、アリール(たとえば、フェニルメチル(ベンジル))で置換されたアルキルである。
【0045】
「アリール」という用語は、0〜4個の異種原子を含み得る5員および6員の単環の芳香族基、たとえば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどを含む、アリール基を含む。さらに、アリール基は、ナフチル、キノリル、インドリルなどの多環縮合された芳香族基を含む。また、環構造に異種原子を有するこれらのアリール基は、「アリール複素環」、「ヘテロアリール」、または「芳香族複素環」と呼んでもよい。芳香環は、1つまたは複数の環部位にこのような上記の通りの置換基で、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環芳香族化合物部分で置換することもできる。また、アリール基は、多環(たとえば、テトラリン)を形成させるために、芳香族ではない脂環式もしくは複素環式の環と融合または架橋することができる。
【0046】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、長さ中に不飽和の脂肪族基類似体を含み、上記したアルキルに置換することができるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。
【0047】
炭素数が指定されない限り、本明細書において使用される「低級アルキル」は、上記の通りのアルキル基であるが、そのバックボーン構造に1〜5個の炭素原子を有するものを意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を有する。
【0048】
「アルコキシアルキル」、「ポリアミノアルキル」、および「チオアルコキシアルキル」という用語は、上記記載されたとおりのアルキル基を含み、これは、炭化水素バックボーンの1つもしくは複数の炭素を置換する酸素、窒素、または硫黄原子、たとえば酸素、窒素、または硫黄原子をさらに含む。
【0049】
「多環の」または「多環ラジカル」という用語は、2つ以上の炭素が隣接する二つの環に共通である、2つ以上の環式の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)をいい、環は、たとえば「縮合環」である。隣接しない原子を介して結合された環は、「架橋された」環と名付ける。多環のそれぞれの環は、上記の通りの置換基など、たとえばハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環芳香族化合物部分で置換することもできる。
【0050】
「複素環式の環」という用語は、環の一部として1つまたは複数のヘテロ原子を含む環をいう。「複素環式の環」の例は、テトラヒドロフラン、フラン、エチレンオキサイド、ピロリジン、ピペリジン、チオフェン、およびピロールを含む。
【0051】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書に使用されるものとして、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、およびリンである。
【0052】
「二環式の環」という用語は、2つの原子が複数の環を共有する環を含む。二環式の環の例は、二環式ブタン、カンフェン、デカリン、およびフタルイミドを含む。
【0053】
「カルボニル」という用語は、酸素原子に二重結合された炭素を含む部分を含む。「置換されたカルボニル」という用語は、カルボニル基の炭素が別の炭素またはヘテロ原子にさらに結合された基を含む。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環芳香族化合物部分を含むが、これらに限定されない。
【0054】
「チオカルボニル」という用語は、硫黄原子に二重結合された炭素を含む部分を含む。「置換されたチオカルボニル」という用語は、カルボニル基の炭素が別の炭素またはヘテロ原子にさらに結合される基を含む。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環芳香族化合物部分を含むが、これらに限定されない。
【0055】
適切なアルカノイル基は、1個〜約4個、または5個のカルボニル基を有する基を含む。適切なアロイル基は、フェニルまたはその他の炭素環式のアリールなどのアリール基に置換基として1つまたは複数のカルボニル基を有する基を含む。適切なアルカロイル基は、フェニルアセチルなどのアリール基に置換基として1つまたは複数のアルキルカルボニル基を有する。適切な炭素環式のアリール基は、フェニル、ナフチルなどの6個以上の炭素を有する。適切なアリロイル基は、1つまたは複数のカルボニル基、典型的には1または2つのカルボニル基で置換された炭素環式のアリール基である。
【0056】
プロドラッグは、インビボで活性型に変換される化合物である(たとえば、R.B. Silverman、1992、"The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action"、Academic Press、第8章を参照されたい)。プロドラッグは、体内分布(たとえば、典型的には化合物をプロテアーゼの反応部位に入らないようにさせる化合物)または特定の化合物の薬物動態を変えるために使用することができる。たとえば、ヒドロキシル基は、たとえば、エステルを得るために、カルボン酸基でエステル化することができる。エステルが被検者に投与されると、エステルは酵素的にまたは非酵素的に、還元的によりもしくは加水分化により切断され、ヒドロキシル基を示す。プロドラッグは、インビボでエステラーゼによって、またはその他の機構によって、水酸基もしくはその他の有利な基に代謝される。プロドラッグおよびそれらの使用の例は、当技術分野において周知である(たとえば、Bergeら、(1977) "Pharmaceutical Salts"、J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチューで、または精製した化合物を適切なエステル化剤で遊離酸形態もしくはヒドロキシルに反応させることにより調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸での処理を経てエステルに変換することができる。プロドラッグの例は、置換されたおよび非置換の、分岐または分岐していない低級アルキルエステル部分、(たとえば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(たとえば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(たとえば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(たとえば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール-低級アルキルエステル(たとえば、ベンジルエステル)、置換された(たとえば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基で)アリールおよびアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミド、並びにヒドロキシアミドを含む。
【0057】
本発明の化合物の構造のいくつかは、不斉炭素原子を含むことに留意されたい。従って、キラル原子から生じる異性体(たとえば、全てのエナンチオマー、およびジアステレオマー)は、別に示さない限り、本発明の範囲内に含まれるものと理解される。このような異性体は、古典的な分離技術によって、および立体化学的に管理された合成によって、実質的に純粋な形態で得ることができる。
【0058】
また、本発明は、少なくとも一部において、本発明のアミノメチルテトラサイクリン化合物、たとえば、式(I)、(III)、(III)、表1、または本明細書に記述した別の化合物の有効な量を投与することにより、被検者、たとえば哺乳類、たとえばヒトのテトラサイクリン応答性の状態を治療する方法に関する。
【0059】
「テトラサイクリン化合物応答性の状態」または、「テトラサイクリン応答性の状態」は、本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば9-アミノメチルテトラサイクリン化合物を投与することにより、治療、予防、またはそうでなければ改善することができる状態を含む。テトラサイクリン化合物応答性の状態は、細菌、ウイルス、および真菌の感染(その他のテトラサイクリン化合物に耐性であるものを含む)、癌(たとえば、前立腺、胸部、大腸、肺黒色腫、およびリンパ癌、並びに米国特許第6,100,248号に記載されたものを含む(これらに限定されない)不必要な細胞の増殖によって特徴づけられるその他の障害)、関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性繊維症、神経疾患、並びにテトラサイクリン化合物が活性であることが見出されるその他の状態(例えば、米国特許第5,789,395号;第5,834,450号;第6,277,061号、および第5,532,227号を参照されたい(これらのそれぞれは、参照として本明細書に明確に組み入れられる))を含む。本発明の化合物は、下痢、尿路感染症、皮膚および皮膚構造の感染、耳、鼻端および咽喉の感染、創傷感染、乳腺炎などの重要な哺乳類および獣医学の疾患を予防または制御するために使用されることができる。加えて、本発明のテトラサイクリン化合物を使用して新生物を治療するための方法も、含まれる(van der Bozertら、Cancer Res.、48:6686-6690(1988))。さらなる態様において、テトラサイクリン応答性の状態は、細菌感染ではない。その他のテトラサイクリン化合物応答性の状態は、たとえば、米国特許出願第10/196,010号に記載されているものを含む。
【0060】
また、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、炎症性のプロセス関連状態(IPAS)を含む。「炎症性のプロセス関連状態」という用語は、炎症または炎症性の因子(たとえば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞の防御系、サイトカイン、脂質代謝産物、プロテアーゼ、毒性のラジカル、接着分子、その他)に関与するか、または異常な量、たとえば被検者に有益なように変化させるのに有利でありうる量で存在する領域に存在する状態を含む。炎症性のプロセスは、損傷に対する生組織の反応である。炎症の原因は、物理的損傷、化学物質、微生物、組織ネクローシス、癌、またはその他の薬剤によるものであってもよい。急性の炎症は、持続が短く、ほんの数日だけ続く。しかし、より長く持続する場合、これは慢性の炎症と称してもよい。
【0061】
IPASは、炎症性の疾患を含む。炎症性の疾患は、一般に熱、発赤、膨潤、疼痛、および機能喪失によって特徴づけられる。炎症性の疾患の原因の例は、微生物の感染(たとえば、細菌性の、および真菌性の感染)、物理的因子(たとえば、熱傷、照射、および傷害)、化学的薬剤(たとえば、毒素および腐食薬物質)、組織ネクローシス、および様々なタイプの免疫反応を含むが、これらに限定されない。
【0062】
炎症性の疾患の例は、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性および慢性の感染(ジフテリアおよび百日咳を含む細菌性のおよび真菌性のもの);急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、並びに鼻風邪を含むその他の呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);並びに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0063】
テトラサイクリン化合物応答性の状態は、NOに関連した状態を含む。「NOに関連した状態」という用語は、一酸化窒素(NO)または誘導性の一酸化窒素シンターゼ(iNOS)に関与または関連した状態を含む。NOに関連した状態は、異常な量のNOおよび/またはiNOSによって特徴づけられる状態を含む。好ましくは、NOに関連した状態は、本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば、式I、II、III、表1、または本明細書に記述した別の化合物を投与することによって治療することができる。米国特許第6,231,894号;第6,015,804号;第5,919,774号;および第5,789,395号に記載された障害、疾患、および状態も、NOが関連した状態に含まれる。これらの特許のそれぞれの全ての内容は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0064】
NOに関連した状態のその他の例は、マラリア、老化、糖尿、血管発作、神経変性疾患(たとえば、アルツハイマー病、ハンチントン病)、心臓病(たとえば、梗塞形成後の再灌流に関連した傷害)、若年型糖尿病、炎症性疾患、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性および慢性の感染症(細菌性の、ウイルス性の、および真菌性のもの);嚢胞性線維症;急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、並びに鼻風邪を含む呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎、および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);並びに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0065】
また、「炎症性プロセス関連状態」という用語は、1つの態様において、マトリックスメタロプロテイナーゼに関連した状態(MMPAS)を含む。MMPASは、異常な量のMMPまたはMMP活性によって特徴づけられる状態を含む。また、これらには、本発明の化合物、たとえば本明細書に記載されているもの、たとえば式Iの9-アミノメチルテトラサイクリン化合物を使用して治療されうるテトラサイクリン化合物応答性の状態を含む。
【0066】
マトリックスメタロプロテイナーゼに関連した状態(「MMPAS」)の例は、動脈硬化、角膜の潰瘍形成、気腫、骨関節炎、多発性硬化症(Liedtkeら、Ann. Neurol. 1998、44:35-46;Chandlerら、J. Neuroimmunol. 1997、72:155-71)、骨肉腫、骨髄炎、気管支拡張症、慢性肺閉塞性疾患、皮膚および目の疾病、歯周炎、骨粗鬆症、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、炎症性疾患、腫瘍増殖、および浸潤(Stetler-Stevensonら、Annu. Rev. Cell Biol. 1993、9:541-73;Tryggvasonら、Biochim. Biophys. Acta 1987、907:191-217;Liら、Mol. Carcinog. 1998、22:84-89)、転移、急性肺傷害、脳卒中、虚血、糖尿、大動脈または血管の動脈瘤、皮膚組織創傷、ドライアイ、骨および軟骨の分解(Greenwaldら、Bone 1998、22:33-38;Ryanら、Curr. Op. Rheumatol. 1996、8;238-247)を含むが、これらに限定されない。その他のMMPASは、米国特許第5,459,135号;第5,321,017号;第5,308,839号;第5,258,371号;第4,935,412号;第4,704,383号;第4,666,897号、およびRE第34,656号に記載されたものを含み、これらは参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0067】
もう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、癌である。本発明のテトラサイクリン化合物が治療するために有用でありうる癌の例は、全ての固体腫瘍、すなわち癌腫、たとえば腺癌および肉腫を含む。腺癌は、腺組織に由来するか、または腫瘍細胞が認識できる腺構造を形成する癌腫である。肉腫は、その細胞が原繊維または同種体様の胚性結合組織に包埋されている腫瘍を広く含む。本発明の方法を使用して治療してもよい癌腫の例は、前立腺癌、胸部、卵巣、精巣、肺、大腸、および胸部の癌腫を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、これらの腫瘍タイプの治療に限定されず、あらゆる器官系に由来するどのような固体腫瘍にも及ぶ。治療可能な癌の例は、大腸癌、膀胱癌、乳癌、黒色腫、卵巣悪性腫瘍、前立腺癌、肺癌、およびその他の様々な癌も含むが、これらに限定されない。また、本発明の方法は、たとえば前立腺、胸部、腎臓、卵巣、精巣、および大腸のものなどの腺癌における癌の増殖の阻害を引き起こす。
【0068】
ある態様において、本発明のテトラサイクリン応答性の状態は、癌である。本発明は、癌細胞増殖の阻害が起こるように、すなわち、細胞の増殖、侵襲性、転移、または腫瘍発生率が減少する、遅くなる、もしくは停止するように、テトラサイクリン化合物の有効な量を投与することにより、癌に罹患しているか、または罹患する危険のある被検者を治療するための方法に関する。阻害は、炎症性のプロセスの阻害、炎症性のプロセスのダウンレギュレーション、いくつかのその他の機構、または機構の組み合わせから生じてもよい。または、テトラサイクリン化合物は、癌再発を予防するために、たとえば外科的切除もしくは放射線療法後の残留する癌を治療するために有用であってもよい。本発明に従って有用なテトラサイクリン化合物は、これらが、その他の癌治療と組み合わせて実質的に非毒性であるので、特に有利である。さらなる態様において、さらなる態様において、本発明の化合物は、化学療法剤および放射線療法(これらに限定されない)などの標準的な癌治療法と組み合わせて投与してもよい。
【0069】
もう1つの治療的薬剤または治療「と組み合わせる」という用語は、テトラサイクリン化合物を他の薬剤または治療とともに同時投与すること、最初のテトラサイクリン化合物に続いて他の薬剤または治療を投与すること、および最初の他の薬剤または治療に続いてテトラサイクリン化合物を投与することを含む。他の薬剤は、当該分野において既知である、テトラサイクリン化合物応答性の状態を治療する、予防する、または減少するどのような薬剤であってもよい。さらに、他方の薬剤は、テトラサイクリン化合物の投与と組み合わせて投与されるときに、患者に対して有益などのような薬剤であってもよい。1つの態様において、本発明の方法によって治療される癌は、米国特許第6,100,248号;第5,843,925号;第5,837,696号;または第5,668,122号に記載されているものを含み、これらの全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0070】
もう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、糖尿病、たとえば若年型糖尿病、真正糖尿病、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性潰瘍、または他の糖尿病合併症である。さらなる態様において、タンパク質グリコシル化は、テトラサイクリン化合物の投与による影響を受けない。もう1つの態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、インシュリン療法(しかし、これに限定されない)などの標準的な糖尿病患者の治療法と組み合わせて投与される。さらなる態様において、IPASは、米国特許第5,929,055号;および第5,532,227号に記載された疾患を含み、参照としてこれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0071】
もう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、骨質量疾患である。骨質量疾患は、被検者の骨が、骨形成、修復、またはリモデリングが有利である疾患および状態である疾患を含む。たとえば、骨質量疾患は、骨粗鬆症(たとえば、骨強度および密度の減少)、骨折、外科的手順に関連した骨形成(たとえば、顔の再構成)、骨形成不全症(もろい骨の疾患)、低アルカリフォスファターゼ症、パジェット病、線維性骨異形成症、大理石骨病、骨髄腫骨疾患、および原発性上皮小体機能亢進症に関連するものなどの骨におけるカルシウムの欠乏を含む。骨質量疾患は、骨の形成、修復、またはリモデリングが被検者に有利である全ての状態、並びに本発明のテトラサイクリン化合物で治療することができる被検者の骨または骨格系と関連したその他の全ての疾患を含む。さらなる態様において、骨質量疾患は、米国特許第5,459,135号;第5,231,017号;第5,998,390号;第5,770,588号;RE第34,656号;第5,308,839号;第4,925,833号;第3,304,227号;および第4,666,897号に記載されたものを含み、これらのそれぞれは、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0072】
もう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、急性の肺傷害である。急性の肺傷害は、急性呼吸不全症候群(ARDS)、ポスト-ポンプ症候群(PPS)、および外傷を含む。外傷は、外因性の薬剤またはイベントによって引き起こされる生組織に対するあらゆる傷害を含む。外傷の例としては、挫滅傷害、硬い表面との接触、または切断もしくはその他の肺損傷を含むが、これらに限定されない。
【0073】
また、本発明は、本発明のテトラサイクリン化合物を投与することによって急性の肺傷害を治療するための方法に関する。
【0074】
また、本発明のテトラサイクリン応答性の状態は、慢性肺疾患を含む。本発明は、本明細書において記載されたものなどのテトラサイクリン化合物を投与することによって慢性肺疾患を治療するための方法に関する。本方法は、慢性肺疾患が治療されるように、被検者にテトラサイクリン化合物の有効な量を投与する段階を含む。慢性肺疾患の例は、喘息、嚢胞性繊維症、および気腫を含むが、これらに限定されない。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第5,977,091号;第6,043,231号;第5,523,297号;および第5,773,430号に記載されたものなどの急性および/または慢性の肺疾患を治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0075】
さらにもう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中である。また、本発明は、本発明のテトラサイクリン化合物の有効な量を投与することにより、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中を治療するための方法に関する。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第6,231,894号;第5,773,430号;第5,919,775号、または第5,789,395号に記載された疾患を治療するために使用され、参照として本明細書に組み入れられる。
【0076】
もう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、皮膚創傷である。本方法は、少なくとも一部において、急性の外傷傷害(たとえば、切断、熱傷、掻爬、その他)に対する上皮化された組織(たとえば、皮膚、粘膜)の治癒反応を改善するための方法に関する。本方法は、本発明のテトラサイクリン化合物(これは、抗菌活性を有していてもよく、または有していなくてもよい)を使用して、急性の創傷を治癒するように上皮化された組織の能力を改善する段階を含んでもよい。本方法は、治癒組織のコラーゲン蓄積速度を増大させうる。また、本方法は、MMPのコラーゲン分解活性および/またはゲラチン融解活性を減少させることにより、上皮化された組織のタンパク分解活性を減少させてもよい。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚の表面に(たとえば、局所的に)投与される。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚創傷、およびたとえば、米国特許第5,827,840号;第4,704,383号;第4,935,412号;第5,258,371号;第5,308,8391号;第5,459,135号;第5,532,227号;および第6,015,804号に記載されたものなどのその他のものを治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0077】
また、神経疾患を含むテトラサイクリン化合物応答性の状態の例は、アルツハイマー病、アルツハイマー病(ピック病など)に関連した痴呆、パーキンソン病、およびその他のレビ散在性小体疾患、老人性痴呆、ハンチントン病、ジルドラトゥーレット症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺、癲癇、およびクロイツフェルト-ヤコブ病などの精神神経性並びに神経変性疾患の両方;高血圧および睡眠障害などの自律神経機能疾患、並びにうつ病、精神分裂症、分裂情動性疾患、コルサコフ精神病、躁病、不安症疾患、または恐怖症疾患などの精神神経性疾患;学習障害または記憶障害、たとえば健忘症もしくは加齢に関連した記憶喪失、注意欠陥障害、情緒異常疾患、主要な抑うつ性疾患、躁病、強迫神経障害、精神賦活性物質の使用による疾患、不安症、恐怖症、恐慌性障害、並びに二極性情動障害、たとえば重篤な二極性感情(気分)疾患(BP-1)、二極性感情神経疾患、たとえば片頭痛および肥満症を含むが、これらに限定されない。さらなる神経疾患は、たとえば精神障害(DSM)であり、アメリカ精神医学連合の診断上および統計学的マニュアルに一覧を示したものを含み、最新のバージョンのものは、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0078】
さらにもう1つの態様において、テトラサイクリン化合物応答性の状態は、被検者(たとえば、大動脈のもしくは血管の動脈瘤その他を有するか、またはリスクを有する被検者)の血管組織における大動脈のまたは血管の動脈瘤である。テトラサイクリン化合物は、血管の動脈瘤の大きさを減少させることに有効であってもよく、または動脈瘤が予防されるように、動脈瘤の発症前に被検者に投与されてもよい。1つの態様において、血管組織は、動脈、たとえば大動脈、たとえば腹大動脈である。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第6,043,225号および第5,834,449号に記載された疾患を治療するために使用され、これらは、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0079】
細菌感染は、多種多様なグラム陽性およびグラム陰性菌によって引き起こされうる。本発明の化合物は、その他のテトラサイクリン化合物に耐性である生物体に対して、抗生物質として有用である。本発明のテトラサイクリン化合物の抗生の活性は、実施例2において、またはWaitz, J. A.、National Commission for Clinical Laboratory Standards、Document M7-A2、第10巻、第8号、pp. 13-20、第二版、Villanova、PA(1990)に記載されているインビトロの標準的なブロース希釈法を使用して決定してもよい。
【0080】
また、本発明のテトラサイクリン化合物は、たとえば、リケッチア多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌などのテトラサイクリン化合物;および鼠径リンパ肉芽腫、封入体結膜炎、オウム病に応答性の薬剤によって伝統的に治療される感染を治療するために使用されてもよい。テトラサイクリン化合物は、たとえば、肺炎菌(K. pneumoniae,)、サルモネラ菌(Salmonella)、E. ヒラエ(E. hirae)、A. バウマニー(A. baumanii)、B. カタルハリス(B. catarrhalis)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、緑膿菌(P. aeruginosa)、E. フェシウム(E. faecium)、大腸菌(E. coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、またはE. フェカリス(E. faecalis)の感染を治療するために使用されてもよい。1つの態様において、テトラサイクリン化合物は、その他のテトラサイクリン系抗生物質化合物に耐性である細菌感染を治療するために使用される。本発明のテトラサイクリン化合物は、薬学的に許容される担体と共に投与されてもよい。
【0081】
化合物の「有効量」という用語は、テトラサイクリン化合物応答性の状態を治療するまたは予防するために必要なまたは十分なその量である。有効な量は、患者の大きさおよび重量、疾患のタイプ、または特定のテトラサイクリン化合物のような要因に依存して変化し得る。たとえば、テトラサイクリン化合物の選択は、「有効な量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者であれば、前述の因子を研究して、過剰な実験をすることなく、テトラサイクリン化合物の有効な量に関する決定を行うことができると考えられる。
【0082】
ある態様において、本発明は本発明のテトラサイクリン化合物、たとえば、式(I)、(II)、(III)、表1、または本明細書に記述した別の化合物を含む薬学的組成物に関する。好ましくは、テトラサイクリン化合物は、有効な量、被検者、たとえば哺乳類、たとえばヒトにおいてテトラサイクリン応答性の状態を治療に有効な量で提供される。さらなる態様において、本発明の薬学的組成物は、適切な薬学的に許容される担体も含む。
【0083】
「薬学的に許容される担体」という用語は、テトラサイクリン化合物(類)と同時投与できる物質を含み、これによりこれらが意図する機能を実行すること、たとえばテトラサイクリン応答性の状態を治療するか、または予防することが可能となる。適切な薬学的に許容される担体は、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘稠性パラフィン、香料油、脂肪酸モノグリセリド、および脂肪酸ジグリセリド、石油エーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、その他を含むが、これらに限定されない。薬学的製剤は、殺菌することができ、必要に応じて補助剤、たとえば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、カラーリング、香料、および/または芳香薬物質、および本発明の活性化合物と有害な反応を生じないその他同種のものと混合することができる。
【0084】
性質が塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物は、種々の無機および有機酸と広範な種々の塩を形成することができる。性質が塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用してもよい酸は、非中毒性の酸付加塩を形成するもの、すなわち以下のものなどの薬学的に許容される陰イオンを含む塩である;塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパルモエート(palmoate)[すなわち1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸)]塩。このような塩は、被検者たとえば哺乳類に投与するために薬学的に許容されなければならないが、実際には初めに薬学的に許容されない塩として反応混合物から本発明のテトラサイクリン化合物を単離し、次いでアルカリ試薬での処理によって遊離塩基化合物に、後者を簡単に変換して戻し、その後に薬学的に許容される酸付加塩に、後者の遊離塩基を変換することが望ましいことが多い。本発明の塩基性化合物の酸付加塩は、実質的に等量の選択したミネラルまたは有機酸の、水性溶媒媒体または適切な有機溶媒、例えばメタノールまたはエタノール溶液で塩基化合物を処理することによって容易に調製される。溶剤の慎重な蒸発により、所望の固体の塩が容易に得られる。
【0085】
性質が酸性である本発明のテトラサイクリン化合物は、多種多様な塩基性塩を形成することができる。性質が酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基の塩を調製するための試薬として使用してもよい化学的塩基は、このような化合物と非中毒性の塩基性塩を形成するものである。このような非中毒性の塩基性塩は、アルカリ金属カチオン(たとえば、カリウムおよびナトリウム)、およびアルカリ土類金属カチオン(たとえば、カルシウムおよびマグネシウム)、N-メチルグルカミン-(メグルミン)などのアンモニウムまたは水溶性のアミン付加塩、並びに低級アルカノールアンモニウム、および薬学的に許容される有機アミンのその他の塩基性塩などのこのような薬学的に許容されるカチオンに由来するものを含むが、これらに限定されない。性質が酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、従来法によって薬学的に許容されるカチオンを形成していてもよい。したがって、これらの塩は、所望の薬学的に許容されるカチオンの水溶液で本発明のテトラサイクリン化合物を処理すること、および好ましくは減圧下で生じる溶液を乾燥状態に蒸発させることによって容易に調製されうる。または、本発明のテトラサイクリン化合物の低級アルキルアルコール溶液は、所望の金属のアルコキシドと混合し、その後に溶液を乾燥状態に蒸発してもよい。
【0086】
前述の実験例の章に特に記載されていない、本発明のその他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者にとって明らかと考えられる上記反応の組み合わせを使用して達成することができる。
【0087】
本発明のテトラサイクリン化合物およびこれらの薬学的に許容される塩は、経口、非経口、または局所的な経路のいずれかを経て投与することができる。一般に、これらの化合物は、最も望ましく、治療される被検者の重量および症状、並びに選択される特定の投与経路に応じて有効な用量で投与される。治療される被検者および該薬物に対するその個々の反応、並びに選択される薬学的製剤のタイプおよびこのような投与が行われる期間および間隔に応じて、変化をしてもよい。
【0088】
本発明の薬学的組成物は、被検者、たとえば哺乳類のテトラサイクリン応答性の状態を治療するために単独で、またはその他の既知の組成物と組み合わせて投与してもよい。被検者は、テトラサイクリン応答性の状態で苦しんでいるか、または苦しむリスクがあってもよい。被検者の例は、ペット(たとえば、ネコ、イヌ、白イタチ、その他)、飼育動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ、その他)、研究室動物(ラット、マウス、サル、その他)、および霊長類(チンパンジ、ヒト、ゴリラ)を含む。
【0089】
既知の組成物「と組み合わせる」という用語は、本発明の組成物および既知の組成物の同時投与、最初に本発明の組成物の投与に続いて既知の組成物の投与、および最初に既知の組成物に続いて本発明の組成物の投与を含むことが企図される。テトラサイクリン応答性の状態を治療するために当技術分野において既知のいずれの治療的組成物も、本発明の方法に使用することができる。
【0090】
本発明の化合物は、単独でまたは薬学的に許容される担体または希釈液と組み合わせて、すでに言及された経路のいずれによって投与されてもよく、投与は、単一または多回投与で行ってもよい。たとえば、本発明の新規の治療薬は、多種多様な異なる剤形で都合よく投与することができ、すなわちこれらは、タブレット、カプセル、ロゼンジ、トローチ、硬いキャンディ、粉末、噴霧、クリーム、軟膏、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射用の溶液、エリキシル、シロップなどの形態で種々の薬学的に許容される不活性な担体と組み合わせてもよい。このような担体は、固体の希釈液または充填剤、無菌の水性媒体類、および種々の非中毒性の有機溶剤、その他を含む。さらに、経口薬学的組成物は、適切に甘くすることができ、および/または風味をつけることができる。一般に、本発明の治療的に有効な化合物は、約5.0重量%〜約70重量%の範囲の濃度レベルのこのような剤形で存在する。
【0091】
経口投与については、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、およびグリシンなどの種々の賦形剤を含むタブレットを、デンプン(および好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、および特定の複合体シリケートなどの種々の崩壊剤と、ポリビニルピロリドン、シュークロース、ゼラチン、およびアカシア様の粒化結合剤と共に使用してもよい。その上、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤は、タブレット化のために非常に有用であることが多い。また、同様のタイプの固体組成物は、ゼラチンカプセルの充填剤として使用してもよく;この結合に好ましい材料は、ラクトースまたは乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールも含む。経口投与のために水性懸濁液および/またはエリキシルが要求されるときは、活性成分を種々のスイートニングまたは香料、着色料、もしくは色素を、および必要であれば、乳化剤および/または懸濁剤を同様に、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびこれらの種々の組み合わせなどの希釈液と共に、組み合わせてもよい。
【0092】
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋肉内の注射を含む)のためには、本発明の治療的な化合物のゴマ油もしくは落花生油溶液、または水性プロピレングリコール溶液を使用してもよい。水溶液は、必要に応じて最適に緩衝化されるべきであり(好ましくはpH8を超える)、最初に液状の希釈液を等張性にさせる。これらの水溶液は、静脈内注射目的に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内、および皮下の注射目的のために適している。無菌条件下でのこれらの全ての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術によって容易に達成される。非経口的適用のためには、適切な調製の例は、溶液、好ましくは油性溶液もしくは水溶液、並びに懸濁液、エマルジョン、または坐薬を含むインプラントを含む。治療的な化合物は、注射可能薬物と共に共通に使用される無菌の生理食塩水または塩類の5%のデキストロース溶液などの液体担体中に散在されるものなどの、多回または単一用量形式の無菌の形態で処方されてもよい。
【0093】
加えて、皮膚の炎症性症状を治療するときには、局所的に本発明の化合物を投与することも可能である。局所投与の方法の例は、経皮の、頬側、または舌下の適用を含む。局所適用については、治療的な化合物は、ゲル、軟膏、ローションまたはクリームなどの薬理学的に不活性な局所的な担体に、適切に混合させることができる。このような局所的な担体は、水、グリセリン、アルコール、プロピレングリコール、脂肪族アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油を含む。その他の可能な局所的な担体は、流動パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、95%エタノール、5%モノラウリン酸ポリオキシエチレン水溶液、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液などである。加えて、また、抗酸化剤、湿潤剤、粘性安定剤などの材料を必要に応じて添加してもよい。
【0094】
腸内の適用については、タルクおよび/または炭水化物担体結合剤等を有するタブレット、糖衣丸、またはカプセルが特に適しており、担体は、好ましくはラクトースおよび/またはトウモロコシデンプンおよび/またはジャガイモデンプンである。加糖の媒体が使用される場合には、シロップ、エリキシル等を使用することができる。徐放性組成物は、活性化合物が差動的に分解可能なコーティング、たとえばマイクロカプセル化、複数コーティング、その他によって保護されているものを含んで処方することができる。
【0095】
ヒト被験者の治療に加えて、本発明の治療的な方法は、たとえばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタなどの家畜類;ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウなどの家禽;ウマ;並びにイヌおよびネコなどのペットの治療のために有意な獣医学の適用もなされうる。また、本発明の化合物は、植物などの、非動物被検者を治療するために使用されてもよい。
【0096】
所与の治療に使用される活性化合物の実際の好ましい量は、利用される特定の化合物、処方される特定の組成物、適用の様式、投与の特定の部位、その他にしたがって変化することはいうまでもない。所与の投与プロトコルに最適な投与割合は、前述の指針に関して行われる従来の用量決定試験を使用して、当業者によって容易に確認することができる。
【0097】
一般に、治療のための本発明の化合物は、特定の態様において、従来のテトラサイクリン治療に使用される用量で被検者に投与されてもよい。たとえば、Physicians' Desk Referenceを参照されたい。たとえば、本発明の1つまたは複数の化合物の適切な有効量は、レシピエントの体重1キログラムにつき0.01〜100ミリグラム/日の範囲、好ましくはレシピエントの体重1キログラムにつき0.1〜50ミリグラム/日の範囲、より好ましくはレシピエントの体重1キログラムにつき1〜20ミリグラム/日の範囲である。望ましい用量は、1日1回適切に投与され、またはいくらかの副用量、たとえば2〜5の副用量を日またはその他の適切なスケジュールで適切な間隔で投与する。
【0098】
また、正常使用状況下におけるこれらの有効性を一般に確実にするために、通常の、従来から既知の注意がテトラサイクリンの投与に関してなされると理解される。特に、インビボでヒトおよび動物の治療的な治療のために使用するときに、開業医は、従来から既知の矛盾および毒作用を避けるために、全ての賢明な注意をするべきである。したがって、胃腸の窮迫および炎症において従来認識される有害反応、腎毒性、過敏性反応、血中の変化、並びにアルミニウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンによる生体吸収の減失は、従来の方法で順当に考慮されるべきである。
【0099】
本発明は、以下の実施例によってさらに図示されるが、これはさらなる限定として解釈されるべきでない。
【実施例】
【0100】
本発明の例証
実施例1:9-アミノメチルミノサイクリンおよびこれらの誘導体の合成
トリフルオロ酢酸(1L)をアルゴンおよびミノサイクリン下で2Lのフラスコに充填した。HCl(200g、1当量)およびN-ヒドロキシメチルフタルイミド(l00g)をフラスコに添加して攪拌した。一旦全ての固形物を溶解させて、H2SO4(200mL)を反応に添加した。反応は、5〜6時間で40〜50℃に加熱した。N-ヒドロキシメチルアミン(100g)を部分的に添加した。全ての出発原料が、2,9-ビス-アミノメチルフタルイミドミノサイクリンに変換されたことをHPLC解析で確認したときに、混合物を4Lのアセトンから沈殿させた。15〜20℃の発熱を観察した。1時間の攪拌後、固形物を濾過して、アセトン(200ml)によって洗浄し、ラテックスラバーダムを用いて乾燥した。固形物をメタノール(1L)/t-BME(2L)混合物に再びスラリー化して、トリエチルアミンを使用してpHを3にあわせた。固形物を濾過して、50mLのメタノールで洗浄した。収率は、97%の2,9-ビスアミノメチルフタルイミドミノサイクリンであった。
【0101】
2,9-ビス-アミノメチルフタルイミドミノサイクリン(100g)を2Mのメチルアミンのメタノール(10当量)溶液に懸濁した。反応を2〜3時間室温で撹拌し、出発原料の2,9-ビスアミノメチルミノサイクリンへの変換をポイントHPLC解析で確認した。反応混合物をt-BME(5体積)に注入し、30分間撹拌した。次に、懸濁液を濾過して、t-BME(200mL)で洗浄し、所望の産物、2,9-ビス-アミノメチルミノサイクリンを単離した。
【0102】
2,9-ビス-アミノメチルミノサイクリン(40g)を200mLの水/メタノール1/9にスラリー化して、トリフルオロ酢酸を液滴で添加することによってpHを3に合わせた。混合物を1〜2時間で40℃に加熱した。2,9-ビス-アミノメチルミノサイクリンの9-アミノメチルミノサイクリンへの加水分解をHPLC解析で確認するときに、反応を室温に戻して、トリエチルアミンを使用してpHを7にあわせた。イソプロピルアルコール(200mL)を添加して、固形物を沈降物させた。生成物を濾過して、50mLのIPA、続く100mLのジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して9-アミノメチルミノサイクリンを単離した。
【0103】
9-[(ベンジルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンジヒドロクロリド

1.0mmol(600mg)の9-(アミノメチル)-ミノサイクリンジヒドロクロリドおよび5mLのジメチルホルムアミドを0.2mmol(5mg)の三塩化インジウムおよび1.5mmol(160mg)のベンズアルデヒドに室温で添加した。30分の振盪の後、2mmol(424mg)のトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを添加して、反応をHPLCによってモニタリングした。1.5時間後、3当量のトリエチルアミンおよび1当量のトリアセトキシホウ化水素ナトリウム。反応を3時間後に完了した。溶剤を真空中で除去し、粗生成物を調製用HPLCによって精製して60mgの9-[(ベンジルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンジヒドロクロリドを得た。LCMS(MH+)=577。
【0104】
9-[(2,2,-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンジヒドロクロリド
9-ジメチルアミノミノサイクリン(200mg、1当量)、DMF、およびトリメチルアセトアルデヒド(45μl、1当量)を40mLのフラスコ中に合わせて撹拌した。次いで、トリエチルアミン(150μL、3当量)を添加した。数分間室温で攪拌後、NaBH(OAc)3(175mg、2当量)およびInCl3(9mg、0.1当量)を添加した。1時間後に、反応液は透明で赤かった。液体クロマトグラフィーにより、反応について単一の生成物を示した。反応をメタノールによって停止し、溶剤を除去して、生成物をカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0105】
9-[3,4-(メチレンジオキソ)フェニル-ウレイド]-メチルミノサイクリンジヒドロクロリド

0.25mmol(150mg)の9-(アミノメチル)-ミノサイクリンジヒドロクロリドおよび2当量のトリエチルアミンの3mLのジメチルホルムアミド溶液に、0.5mmol(81.5mg)の3,4-(メチレンジオキソ)フェニルイソシアネートを室温で添加した。反応が完了するまで(3時間)溶液を振盪した。溶剤を真空中で除去して、粗生成物を調製用HPLCによって精製して、66mgの9-[3,4-(メチレンジオキソ)フェニル-ウレイド]-メチルミノサイクリンジヒドロクロリドを得た。収率41%。LCMS(MH+)=650。
【0106】
9-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル-ウレイド]-メチルミノサイクリンジヒドロクロリド

0.25mmol(150mg)の9-(アミノメチル)-ミノサイクリンジヒドロクロリドおよび2当量のトリエチルアミンの3mLのジメチルホルムアミド溶液に0.5mmol(101.5mg)の4-(トリフルオロメトキシ)フェニルイソシアネートを室温で添加した。反応が完了するまで(3時間)溶液を振盪した。溶剤を真空中で除去して、粗生成物を調製用HPLCによって精製して、68mgの9-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル-ウレイド]-メチルミノサイクリンジヒドロクロリドを得た。収率39%。LCMS(MH+)=690。
【0107】
7-[(ビス-ジメトキシメチル-アミノ)-メチル]-サンサイクリンジヒドロクロリド

1.34mmol(1g)の7-(アミノメチル)-サンサイクリンジヒドロクロリドおよび2当量のトリエチルアミンの5mLジメチルホルムアミド溶液に、0.134mmol(29mg)の三塩化インジウムおよび2.68mmol(465mg)の60%のジメトキシアセトアルデヒド水溶液を室温で添加した。30分の振盪後、2.68mmol(568mg)のトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを添加して、反応をHPLCによってモニタリングした。反応を1時間後に完了した。溶剤を真空中で除去して、粗生成物を調製用HPLCによって精製して、100mgの7-[(ビス-ジメトキシメチル-アミノ)-メチル]-サンサイクリンジヒドロクロリドを得た。LCMS(MH+)=620。
【0108】
9-(2'-フェニル-エチル-1'-アミノ)-メチル]-ドキシサイクリン

N2雰囲気下で9-アミノメチルドキシサイクリンジヒドロクロリド(1.21g、2.21mmol)の撹拌したDMF(10mL)溶液をInCl3(0.076g、0.34mmol)およびフェニルアセトアルデヒドで処理した(0.511mL;4.4mmol)。反応のHPLCおよびLCMSモニタリングでは、12時間の期間にわたって出発原料の完全な消費を示した。生成物は、モノ-(主要物)およびビス-(微量物)置換されたアミノドキシサイクリンの両方であった。メタノール(10mL)を添加して反応を停止した。反応混合物をセライト(メタノール(2×5mL)で洗浄したセライト)のベッドを通して濾過し、合わせた有機層を約7〜8mLに濃縮し、エーテルで希釈した。生じるアモルファス固体を濾過して、エーテル(6×15mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して赤い粉末を得て、これを調製用HPLCによって精製した。最終生成物をHPLC、MS、および1H NMRの分光学的な方法によって特徴づけた。MS(m/z):理論値577.24;実測値578.17(M+1)。
【0109】
実施例2:インビトロ最小阻害濃度(MIC)アッセイ法
一般の細菌に対するテトラサイクリン誘導体化合物の有効性を決定するために、以下のアッセイ法を使用する。化合物それぞれ2mgに100μlのDMSOを溶解した。次いで、溶液を陽イオンを調整したミュラー・ヒントン・ブロース(CAMHB)に添加し、200μg/mlの最終化合物濃度にする。化合物溶液は、.098μg/mlの試験化合物濃度で50μL体積に希釈する。光学濃度(OD)の決定は、試験株の新しい対数期ブロース倍養液から行う。希釈は、1×106CFU/mlの最終的な菌体密度を達成するように作製する。OD=1において、異なる属の細胞密度は、ほぼ以下の通りである:
大腸菌(E. coli)1×109CFU/ml
黄色ブドウ球菌(S. aureus)5×108CFU/ml
エンテロコッカス(Enterococcus)属2.5×109CFU/ml
【0110】
50μlの細胞懸濁液をマイクロタイタープレートのそれぞれのウェルに添加する。最終細胞密度は、約5×105CFU/mlと考えられる。これらのプレートを35℃で約18時間、周囲空気インキュベーター内でインキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダーで読み、必要に応じて視覚的に検査する。MICは、増殖を阻害する化合物の最も低い濃度として定義される。
【0111】
同等物
当業者であれば、ルーチン実験を使用するだけで、本明細書に記載された特定の方法に対する多くの同等物を確認することが認識され、または、可能であると考えられる。このような同等物は、以下の請求項の範囲に包含されることが企図される。本明細書を通して引用した全ての参照、特許、および特許出願は、参照として本明細書に明白に組み入れられる。これらの特許の適切な成分、プロセス、および方法、並びにその他の文書の適用を、本発明およびこれらの態様のために選択されてもよい。
【0112】
本出願は、2001年6月29日に出願の国際公開公報第02/04406号の「9-S置換されたミノサイクリン化合物」に関し、この全ての内容は、参照として本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、プロドラッグ、およびエステル:

式中、
R1およびR2は、結合して環を形成する。
【請求項2】
R1およびR2が、結合して5員環を形成する、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項3】
R1およびR2が、結合して6員環を形成する、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項4】
R1およびR2が、結合して、ピペリジン環、モルフォリン環、ピリジン環、またはピラジニル環を形成する、請求項3記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項5】

である、請求項4記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項6】
下記式

のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグ。
【請求項7】
式(II)のテトラサイクリン化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグ:

式中、
J1およびJ2は、J1またはJ2の少なくとも1つが水素でないという条件で、それぞれ独立して、水素、アリール、スルホニル、アシルであり、または結合して環を形成し;
J3およびJ4は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11、およびR12は、それぞれ水素、またはプロドラッグ部分であり;
R5は、ヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R9は、水素、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールアルキル、アミノ、アリールアルケニル、アリールアルキニル、チオニトロソ、または-(CH2)0-3NR9cC(=Z')ZR9aであり;
Zは、CR9dR9e、S、NR9b、またはOであり;
Z'は、O、S、またはNR9fであり;
R9a、R9b、R9c、R9d、およびR9eは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【請求項8】
R4がNR4'R4''であり、XがCR6R6'であり;R2、R2'、R6、R6'、R8、R9、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素であり;R4'およびR4''が低級アルキルであり;かつ、R5がヒドロキシまたは水素である、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項9】
R4'およびR4''がそれぞれメチルであり、R5が水素である、請求項8記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項10】
J3およびJ4が水素である、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項11】
J1が置換されたまたは置換されていないアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項12】
J1がスルホニルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項13】
J1およびJ2が結合して環を形成する、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項14】
J1がヘテロアリールである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項15】
以下からなる群より選択されるテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグ:


式中、
Rは置換されたまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、アルコキシであり;かつ、Yは、N、O、またはSである。
【請求項16】
式(III)のテトラサイクリン化合物、およびこれらの薬学的に許容される塩:

式中:
J5およびJ6は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、スルホニル、アシル、アルコキシカルボニル、アルカミノカルボニル、アルカミノチオカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたカルボニル、アルコキシチオカルボニルであり、または結合して環を形成し;
J7およびJ8は、それぞれアルキル、ハロゲン、または水素であり;
Xは、CHC(R13Y'Y)、CR6'R6、C=CR6'R6、S、NR6、またはOであり;
R2、R2'、R4'、およびR4''は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アリール、複素環、芳香族複素環、またはプロドラッグ部分であり;
R4は、NR4'R4''、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシル、ハロゲン、または水素であり;
R2'、R3、R10、R11およびR12は、それぞれ水素またはプロドラッグ部分であり;
R5はヒドロキシル、水素、チオール、アルカノイル、アロイル、アルカロイル、アリール、芳香族複素環、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、アリールアルキル、アルキルカルボニルオキシ、またはアリールカルボニルオキシであり;
R6およびR6'は、それぞれ独立して、水素、メチレン、なし、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R7は、水素であり;
R8は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;
R13は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルであり;かつ、
Y'およびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、スルフヒドリル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、またはアリールアルキルである。
【請求項17】
R4がNR4'R4''であり、XがCR6R6'であり;R2、R2'、R6、R6'、R8、R10、R11、およびR12がそれぞれ水素であり;R4'およびR4''が低級アルキルであり;かつ、R5がヒドロキシまたは水素である、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項18】
R4'およびR4''がそれぞれメチルであり、R5が水素である、請求項17記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項19】
J7およびJ8が水素である、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項20】
J5が置換されたまたは置換されていないアルキルである、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項21】
J5がスルホニルである、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項22】
J5およびJ6が結合して環を形成する、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項23】
J5がヘテロアリールである、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項24】
J5が、置換されたカルボニルである、請求項16記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項25】
以下からなる群より選択される請求項16記載のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ:


式中、
Rは置換されたまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、アルコキシであり;かつ、Yは、N、O、またはSである。
【請求項26】
表1のテトラサイクリン化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項27】
有効量の請求項1〜26のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項28】
有効量がテトラサイクリン応答性の状態を治療するために有効である、請求項27記載の薬学的組成物。
【請求項29】
被験者におけるテトラサイクリン応答性の状態を治療するための方法であって、被検者が治療されるように、有効量の請求項1〜26のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物を該被検者に投与する段階を含む方法。
【請求項30】
テトラサイクリン応答性の状態が炎症プロセス関連状態である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
テトラサイクリン応答性の状態が、癌、肺傷害、眼障害、神経疾患、または脳卒中である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
テトラサイクリン応答性の状態が、細菌感染である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
細菌感染が、大腸菌関連である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
細菌感染が、黄色ブドウ球菌(S. aureus)関連である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
細菌感染が、E. フェカリス(E. faecalis)関連である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
細菌感染が、その他のテトラサイクリン系抗生物質に耐性である、請求項32記載の方法。
【請求項37】
細菌感染が、グラム陽性細菌関連である、請求項32記載の方法。
【請求項38】
細菌感染が、グラム陰性菌関連である、請求項32記載の方法。
【請求項39】
テトラサイクリン応答性の状態が、ウイルス性感染または真菌感染である、請求項29記載の方法。
【請求項40】
テトラサイクリン化合物が、薬学的に許容される担体と共に投与される、請求項29〜39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
被検者がヒトである、請求項29〜39のいずれか一項記載の方法。

【公開番号】特開2011−102296(P2011−102296A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242947(P2010−242947)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2003−574133(P2003−574133)の分割
【原出願日】平成15年3月10日(2003.3.10)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】