アルカリ電池におけるエネルギー、電力及び費用のバランスをとった埋め込み型の電極構造
円筒状又はプリズム状のアルカリ電池のような電池であって、高密度に波形をつけた内電極の幾何学形状を利用する高率放電用途の場合と比べて内電極及び外電極間の表面積を穏当なものとする曲線状の内電極構成を採用することにより、中間範囲の放電出力レベルにおける容量稼働率を大幅に向上させた当該電池を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年10月22日に出願した米国特許出願第10/904,097号に基づく優先権を主張するものである。この基礎米国特許出願は、2004年6月21日に出願の米国特許出願第10/710,135号、2004年6月18日に出願の米国特許出願第10/710,116号、2004年6月18日に出願の米国特許出願第10/710,116号、2004年5月14日に出願の米国特許出願第10/846,020号の一部継続出願であり、また、この基礎米国特許出願は、2003年9月2日に出願の米国仮特許出願第60/499,545号、2003年9月16日に出願の米国仮特許出願第60/503,298号、2003年10月21日に出願の米国仮特許出願第60/513,167号に基づく優先権を主張するものである。これら全ての出願は参考として本願明細書に引用するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、広くは電気化学電池に関するものである。より詳しくは、本発明は、アルカリ電池のような電気化学電池であって、電極構成部材間の表面界面領域を妥当なものとすることにより、高〜中間の電力放電レベルにおける電力及びエネルギー送出能力のバランスをとった電気化学電池に関するものである。
【0003】
発明の背景
二酸化マンガンカソード及び亜鉛アノードに基づくアルカリ電池は、コンシューマ向けの携帯型電子機器に広く用いられている。標準の円筒状フォーマット、例えばAAA、AA、C及びDサイズの主要なアルカリ電池には大きな市場が存在している。これらの製品には多数の利点がある。亜鉛及び二酸化マンガンは、安価で安全であり、環境にも優しく、またこの機構により良好なエネルギー密度が得られる。これらの標準的なアルカリ電池製品は、一連の電気製品に対する簡単且つ便利な汎用的な解決策をコンシューマに提供してきた。
【0004】
しかし、近年においては、PDA、MP3レコーダ及びプレーヤ、DVDプレーヤ並びにディジタルカメラといった新規な携帯型電子機器が急速に普及してきた。また、携帯型電子機器をより小さくより軽量にしようとする傾向もあり、それによれば搭載される電池のサイズが制限されてしまう。これらの新しい装置の多くにおける電力消費は、例えばトランジスターラジオのような従来の装置と比べて、連続的でより高い電流又はパルス電流を必要とするものである。通常のアルカリ電池、又は高級なアルカリ電池であっても、より高いドレイン率では、蓄積エネルギーを効率的に供給することができない。
【0005】
図1(部分A)は、種々のコンシューマ向け電子機器の負荷をシミュレートするための5つの放電条件(アメリカ規格協会試験、Reference ANSI C18.1M、Partl-2001に基づくもの)下において、市販の高級アルカリAA電池が供給しうる容量を示す。低ドレイン率(ラジオ/43オームの放電)におけるAAサイズのアルカリ「ボビン」電池は、その理論容量(約3Ah)のほぼ全てを供給する。中間の負荷(コンピューターゲーム/250mAの放電、自動玩具/3.9オームの放電)では、理論容量の約2/3になる。高ドレイン率(カメラのフラッシュ/1Aのパルス、デジタルカメラ/1Aの連続放電)では、理論容量の1/2しか提供できない。
【0006】
高率放電におけるこれらの非効率性は、通常のアルカリボビン電池構造の内部抵抗及び電気化学的制限に関係している。内部の充填処理や、電極のイオン導電率や、基本的な設計自体を最適化することにより、通常のアルカリボビン電池のエネルギー容量を向上させようとする多大な努力がなされてきた。
【0007】
図2に示すように、代表的な二酸化マンガン−亜鉛のアルカリボビン電池10は、円筒状の内部空間を規定するスチール缶12であって、任意に缶の内面に導電被膜を被覆した当該スチール缶12と、この缶12の中に圧入された複数の中空円筒ペレット16により形成されている二酸化マンガンカソード14と、このカソード14の中空内部に配置されたアノードゲルで形成された亜鉛アノード18と、これらアノード18及びカソード14を分離する円筒状セパレータ20といった主要ユニットを有する。この電池内に所定量加えられた水酸化カリウム、KOH、電解質の存在によりアノード及びカソード間がイオン導電性になる。
【0008】
缶12は底部において封止されており、正端子として作用する中心円形ピップ22を有する。この缶12の上端部は、電池封止アセンブリによりハーメチック封止されており、この電池封止アセンブリは、薄肉の金属シートにより形成された負口金24と、この負口金24に取り付けられており且つアノードゲル内に深く貫通してアノードと電気接触する電流コレクタネイル26と、缶12から負口金24を電気的に絶縁すると共にカソード及びアノード構造体を越えて形成されたガス空間を分離するプラスチックの頂部28とを有する。セパレータ20の材料は、積層材料又は複合材料或いはこれらの組合せから構成しうる。セパレータの材料は、代表的には、電解質で濡らすことができる吸収性の繊維シート材料を含むものとし、絶縁材料は、小さな粒子は通さないがイオン透過性を保持するものとする。
【0009】
ボビン電池の構造は、低コストで高速な製造を可能とする簡単な設計である。通常のボビン電池におけるアノード及びカソード間の表面積は、アノード及びカソード間にあるセパレータの円筒の幾何学な表面積により定められてしまう。つまり、ボビン電池では、真っ直ぐに介在するセパレータの円筒形状により構成されるアノード対カソードの界面の表面積(Si)は、必然的に、缶の円筒状壁部により形成される外側表面積(Se)より小さくなる[(Si)/(Se)<1]。
【0010】
電池分野において、電気化学電池の電極の表面積及び電極間の面積は、重要な設計要素として理解されたい。その理由は、アノード及びカソード間のイオンの質量移動流(通常は、電子の移動又は化学動力より遅い)が物理的プロセスを定める比率となりうるためである。アノード及びカソード間の表面積並びにイオン導電率だけではなく、電極内部の表面積及び細孔率も重要である。
【0011】
円筒状電池内の電極及び界面の面積を大きくしうる構成がある。ボビン電池の代わりに最も広く用いられている円筒状電池の設計は、スパイラルに巻回させた又はゼリーロールの構造であり、この構造は電池ハンドブックによく説明されている[D.Linden及びT.B.Reddy氏編McGraw−Hill第3版(2002)]。この構造においては、薄肉細条のアノード及びカソードがこれらの間にあるセパレータと共に互いに緊密に巻きついている。電極は数10ミリメートルもの薄さにすることができ、スパイラルに巻回させた円筒状電池においては、アノード対カソードの界面の表面積を、缶の円筒状壁部により形成される外側表面積の数倍にすることができる[(Si)/(Se)>>1]。界面の面積をより大きくすることは、更なる複雑性を伴い製造コストを犠牲にすることにより成り立つ。スパイラルに巻回させることにより、アノード、カソード及びセパレータを精度よく配列する必要が生じ、「ボビン」構造の電池よりも生産性が下がり、設備投資費用がより大きくなる。通常、スパイラルに巻回させる構成は材料の経済的利点を無駄にしてしまうおそれがあるためMnO2/Znアルカリ電池には適用されないが、リチウム黄鉄鉱(LiFeS2)電池のような非再充電システムや、再充電可能なニッケルカドミウム(NiCd)電池や、ニッケル水素(NiMH)電池といったより高級な電気化学システムに利用される。
【0012】
スパイラルに巻回させる構成の他の妥協点は、必要とされるセパレータ及び電流コレクタの量がより多くなり、この構成を採用しなければ活性材料が利用しうるはずの容積が占有されてしまうことである。標準寸法の円筒状電池の容積は決まっているため、エネルギー蓄量を最大にするには、活性材料及び電解質を最大にして形成するのが最も効率的である。ボビン電池においては、セパレータ含量が少なく電極が厚肉であることに加えて、真鍮ネイルのアノード電流コレクタと、円筒状の容器壁部との接触によるカソード電流コレクタとが、内部空間に著しく侵入することがない。
【0013】
従って、ボビンの構成からスパイラルに巻回させる構成に変更することにより、内部電極の表面積及び電力容量が増大するが、電池のエネルギー蓄量も少なくなってしまう。スパイラルに巻回させた構造によれば、20C程度の放電率において最も効率的にエネルギーを供給することができる(Cは、アンペア時を時間で割った電池の定格容量に等しい電流を意味する)。このような高率放電能力は、動力工具のような用途に対しては必須のものとなりうるが、通常のコンシューマ向け電子機器に対しては必要なものではない。ディジタルカメラのような装置でさえも、通常は1/3〜1C程度のより穏当な放電率で動作する。
【0014】
より費用のかかるスパイラルに巻回させた構成の電池は、多くの携帯型電子機器用途には過剰設計となるおそれがある。しかし、広いコンシューマ用途に対する汎用的な解決策という競争上の利点を有する亜鉛アノード及び水酸化カリウム電解質を具えるアルカリマンガン電池については、より高いドイレン率においてより良好なランタイムを有することが必要とされている。アルカリ電池に関する近年の特許文献の多くは、この問題を解決しようとするものである。
【0015】
電力容量を向上させるために、材料及び電極製剤による方策の他に、通常のボビン電池を変形してアノード及びカソード間の界面の面積を増大させようとする多くの方策が採用されてきた。例えば、米国特許第5,948,561号明細書(Urry氏)には、V字状に折り曲げた管状セパレータを分割するカソード活性材料を被着した二分導電プレートを使用することが開示されている。米国特許第6,261,717号明細書(Luo氏等)及び米国特許第6,514,637号明細書(Treger氏等)にも、カソードペレット内に成型される複数アノードキャビティを形成することが説明されている。米国特許第6,326,102号明細書(Getz氏)には、セパレータに入れたカソードペレットの内側及び外側の輪郭部分と接触する2つの分離亜鉛アノード構造体を有する比較的複雑なアセンブリが開示されている。米国特許第6,074,781号明細書(Jurca氏)及び米国特許第6,482,543号明細書(Shelekhin氏等)には、カソードペレットの内部に段差を付けること又はカソードペレットの内面に等高線を設けることが記載されている。米国特許第6,482,543号明細書(Shelekhin氏等)、米国特許第6,472,099号明細書(Lee氏等)及び米国特許第6,410,187号明細書(Luo氏等)には、枝分れ又は切れ込みを付けた内部電極構造体が開示されている。
【0016】
これら全ての設計戦略とも、効果的に増加させうる表面積に限界があり、通常のボビン電池における実用的な設計から逸脱した追加的な複雑性を伴うものである。あるものは、より大きな表面積を達成しうるが、電池のバランス変化を犠牲にしエネルギー含量が低減してしまう。複数キャビティ又は複数電極を用いる構成は、より複雑な電流コレクタ及び封止端部を必要とする。より複雑な幾何学形状にすると、方向的な条件が加わることとなり、組立てに際してより複雑な工具及び機械が必要になる。複雑な幾何学形状は、特に高速での製造においてセパレータを均一且つ堅実に形成するのが難しくなるおそれがあり、共形(コンフォーマル)の被膜を内側に設けるといった通常でないアプローチが必要になるおそれがある。
【0017】
例えば、枝分れ又は切れ込みを付けた構成では、切れ込みを薄肉にしないと表面積を増大させる能力が限定されてしまい、このようにするとセパレータ及び充填剤に均一にゲル化アノードを付けるのがより困難になってしまう。切れ込み又は枝分れを薄肉にせず且つ長くもしない場合には、表面積があまり大きくならず、アノード及びカソード構造の断面積の変化による電池バランスの変化をあまり効率的に行えないおそれがある。カソードペレットを整列させる場合や、切れ込み付けたペレットが破損した場合には製造が困難になるおそれがある。
【0018】
代表的なボビン電池及びスパイラルに巻回させた電極構成に関連する前述の問題は、電池の構造が円筒状である場合に限らない。製品の外形をより薄肉にし、電池のコンパートメント空間をより効率的に使用しようとすると、薄いプリズム状(方形)の電池フォーマット及び自由形態の電池フォーマットを使用する傾向に拍車がかかる。ボビン電池及びスパイラルに巻回させた電池構造の場合と類似する問題は、プラスチック電池に関しても存在しており、このことは例えばバッテリハンドブックに記載されている[D.Linden及びT.B.Reddy編McGraw−Hill第3版(2002)セクション2.3.11]。プリズム状電池の最も簡単な設計では、対向する一体成形のアノード及びカソードの物質が、介在するセパレータの境界を跨いでイオンを交換する。例えば、米国特許出願公開第2003/0157403号明細書(Shelekin氏等)には、対向する一体成形の電極物質を具える薄肉のIEC7/5F6サイズのアルカリ電池が記載されており、ここではアノード及びカソード間の界面の総面積が、電池の投影断面積より小さくなっている。従って、このような構成は、上述した電力特性の問題を解決するものではない。
【0019】
プリズム状電池構造における電力増大の為の2つの設計変形例が存在する。巻回させる電池構造は、電極の細条を平坦なマンドレルに巻回させた後、電池容器内に配置する前にこれを圧縮することで構成することができる。或いは又、アノード/カソードを交互に積層させた電極プレートのアセンブリにより電極が電池内で並列に接続されるようにすることで、プリズム状電池内の表面積を増大させることができる。しかし、これら方法の双方とも、簡単なボビン電池よりも複雑で製造に費用がかかる。
【0020】
プリズム状電池の場合には、内圧に関連して更な構成を検討する必要が生じる。アルカリ電池製品は、全ての予想された使用条件及び全ての充電状態下で、最大許容寸法内に維持されねばならない。これらの製品には安全通気孔が組み込まれているが、通常の広い使用条件下ではこれらは事実上封止されている。従って、アルカリ電池容器の壁部は、電池の電気化学変化に伴うガス発生又は膨張により生じるいかなる内圧をも収容するように十分に構成する必要がある。これに対応する構成として、ガス発生量の少ない亜鉛を使用したり、膨張に対する内部自由容積部を設けることがありうるが、この場合構成のバランスが容器の機械的強度に依存することになる。
【0021】
円筒状容器は、周方向への応力を一様に分散させて放射ひずみを低減させるように作用する効果的な圧力容器であり、このような円筒状のアルカリ電池では壁部の肉厚をわずか0.008”にすることができる。しかし、プリズム状の形態は内圧に対応するのに有効なものではなく、長い壁部の中間でゆがみが最大となる不均一な隆起が生じるおそれがある。容器の肉厚を増すことで容器の隆起を防止することができるが、このことにより活性電極物質が利用可能な内部容積が少なくなってしまう。
【0022】
従来技術の多くの欠点を説明してきたが、本発明は、特にこのような従来技術の欠点を解決することを目的とするものである。
【0023】
発明の開示
アノード及びカソード間の表面領域を増大させる電池構造を採用することにより、代表的な円筒状又はプリズム状のアルカリ電池の多量のエネルギー含量及びその他の特徴を維持しながら、中間範囲の放電電力レベルにおける容量稼働率を大幅に向上させた円筒状又はプリズム状のアルカリ電池のような電池を提供する。本願明細書において具体的に説明する本発明の原理によれば、本発明の特徴は、内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを有する電気化学電池にある。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置されており且つセパレータによりカプセル化された内電極を有する。この内電極は曲線状に構成されており、内電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。外電極は、内電極とイオン的に連絡し且つ電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡するようにハウジングの内部空間内に配置されている。
【0024】
本発明の他の例は、アノード及びカソード間の表面領域を増大させる電池構造を採用することにより、代表的な円筒状又はプリズム状のアルカリ電池の多量のエネルギー含量及びその他の特徴を維持しながら、高放電率における容量稼働率を大幅に向上させた円筒状又はプリズム状のアルカリ電池のような電池を提供することを目的としている。本願明細書において具体的に説明する本発明の原理によれば、本発明の特徴は、内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを具えている電気化学電池にある。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置されており且つセパレータによりカプセル化された内電極を有する。この内電極は折り曲げられた構成をしており、内電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。外電極の一部は、内電極とイオン的に連絡し且つ外電極の第1部分と電気的に連絡するようにハウジングの内部空間に配置されており、この外電極の第1部分は電池ハウジングの第1端子と接触している。
【0025】
本発明の特別な態様によれば、内電極は、曲線状幾何学形状に構成されており、ハウジングの内面は第1端子と電気的に連絡しており、この第1端子と外電極との間の電気的な連絡は、外電極とハウジングの内面とを接触させることで確立されており、内電極はアノードであり、外電極はカソードであり、第1端子は正極性を有し、第2端子は負極性を有している。
【0026】
本発明の他の観点によれば、内電極及び外電極が互いに結びついて内電極表面領域(Si)を規定し、電池ハウジングが更に、外面領域(Se)を規定する外面を更に有する。内電極表面領域対電池のハウジングの外面領域の比率(Si/Se)は、約2〜約8の範囲にある。
【0027】
本発明の更に他の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングと、このハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリとを有する。この電極アセンブリは、折り曲げられた構成を有し且つセパレータによりカプセル化された内電極と、この内電極の折り曲げられた構成と絡み合う折り曲げられた構成の外電極とを有する。この電極アセンブリは、当該電極アセンブリの外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0028】
本発明の更に別の観点によれば、電気化学電池は、内部空間と、第1端子と、第2端子とを規定する円筒状の電池ハウジングを有する。この電池は更に、このハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリを有する。この電極アセンブリは、一対の外電極と、セパレータによりカプセル化された内電極であってこれら外電極の間に配置された当該内電極とを有する。この電極アセンブリは、各電極が他方の電極と互いに絡み合うように折り曲げられた構成を有する。この電極アセンブリは、当該電極アセンブリの外延部が、円筒状の電池ハウジングに概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0029】
本発明の更に別の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングを有する。この電池は、線形幾何学形状に構成されてハウジングの内部空間に配置された内電極を更に有し、この内電極の断面積は当該内電極の外面領域より小さくなっている。この内電極はセパレータによりカプセル化されており、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。この電池は、ハウジングの内部空間に形成され配置された外電極材料を更に有し、内電極がこの外電極材料内に埋め込まれるようになっている。この外電極は、内電極とイオン的に連絡しており、電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0030】
本発明のまた別の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングを有する。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリを有する。この電極アセンブリは、セパレータによりカプセル化された内電極と外電極とを有する。これら電極は、一緒に絡み合って界面領域を形成しており、電極アセンブリの外延部が電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように圧縮されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0031】
本発明の原理による電気化学電池の製造方法も想定されている。本発明の特定の態様によれば、内部空間、第1端子及び第2端子を有する電池ハウジングを設けるステップと、ほぼ平坦な構成の内電極であって、セパレータによりカプセル化された当該内電極を設けるステップと、ほぼ平坦な構成の外電極を設けるステップと、この外電極を内電極に隣接して配置するステップと、これら内電極及び外電極を一緒に折り曲げて折り曲げ構成にするステップと、内電極を、これら電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成するステップと、これら電極をハウジングの内部空間内に配置することにより、外電極が当該電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡し、内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップとを有する電気化学電池の製造方法を提供する。
【0032】
アルカリ電池の電極半アセンブリ及び内電極の他の組立方法は、平面状の電極を曲線状幾何学形状に形成する処理を有する。この平面状の電極を、中空マンドレルにより握持し少なくとも1つの空間領域を有する所望の形態に回転させる。折り曲げた内電極は、電池容器の外電極材料のリング内側に配置することができ、その後、内側カソード材料を、少なくとも1つの空間領域に配置した中空マンドレル又はその他のノズルによりこの少なくとも1つの空間領域内に注入し、このカソード材料を充填したらこれを取り外すことができる。或いは又、電池ハウジング内に折り曲げた内電極を挿入する前に、内電極材料からなる細長状物質を少なくとも1つの空間領域内に挿入することができ、この内電極材料からなる細長状物質と内電極とを圧縮して、単一の電極半アセンブリとし、その後、これを電池容器の外電極材料のリング内に配置することができる。
【0033】
本発明の原理による他の方法も想定される。
【0034】
本発明の原理による電気化学電池の製造方法は、自動高速生産に容易に適用することができる。これらの1つ以上の方法は、通常のボビン電池製造工場におけるある種の単位操作を、同等の処理能力を維持しながらこの通常のボビン製造工程に類似した他の操作に置き換えることを想定しうるものである。
【0035】
本発明のこれらの及びその他の態様は、明細書、図面及び特許請求の範囲を検討することで明らかになるであろう。
【0036】
好適例の詳細な説明
本発明は多くの異なる形態を採用しうるものであり、図面及び明細書に説明する1つ以上の特定例は、本発明の原理を例示するものであり、本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0037】
本発明は、円筒状電池のような電池の簡単で効果的な構成であって、ボビンの構成とスパイラルに巻回させる構成との中間のバランスのよいエネルギー及び電力特性を有しながらも、上記構成の双方の利点、すなわち安価で製造が容易であり、且つ高い電力を具え、エネルギー効率に対する大きな内部容積利用率といった利点を保持する構成を提供するものである。本例において、このことは、より薄肉で高いイオン導電率の電極構造を利用すると共に、アノード対カソードの界面の面積を顕著に但しバランスのよく増加させることにより達成される。本発明は、AAA、AA、C、Dその他を含む種々の電池サイズに適用することができるバランスのよいアルカリ「改良」ボビン電池の構成を提供するものでもあり、それによりより高いドレイン率における利用可能な容量がより高くなると共に、好適なエネルギ貯蔵特性が保持される。
【0038】
本発明による容量がより高くなる利点は、図1に例示される。図1は、本発明により、より高いドレイン率におけるAAサイズの円筒状電池の稼働率プロファイルが市販の高率アルカリボビン電池と比べてよりバランスのよいものとなることを示している。図1の例においては、ANSI(アメリカ規格協会)のディジタルカメラ試験において理論容量の約50%即ち1.5Ahが得られると共に(図1の部分Aに示すように代表的な通常のボビン電池では25%である)、自動化玩具の場合のように穏当な比率(3.9オーム)の試験でも少なくとも同等の放電容量が達成されている。最も低い放電率においてのみ、見かけ上放電容量が下がるおそれがあることが示されているが、それでも通常のアルカリボビン電池の代表的な低ドレイン率の容量又は理論容量のまだ少なくとも70〜80%はある。従って、C/2〜C/3の放電率では理論容量の約50%以上の放電容量を得ることができ、C/10の放電率では理論容量の70%を超える放電容量を達成することができる。
【0039】
図3は、本発明の原理による電池の電圧曲線と、通常のアルカリ電池の電圧曲線とを、同じ放電条件下で比較したものである。図3から分かるように、本発明の原理に従う電池は、1アンペアの放電において1.0ボルトのカットオフまでに通常のアルカリ電池の約2倍の容量を提供するもので、これは3.9オームの抵抗を通じて放電を継続させた場合の累積容量にほぼ等しいものである。
【0040】
エネルギーと電力の比率をバランスのとれたものとする本発明の特徴を確かめる効果的な方法は、組立てた電池に対してある種の試験を行うことである。総容量送出能力を評価するために使用する特定の試験方法は、高い放電率で性能を評価した後に低い放電率で性能を評価する一連の放電ステップを有するものである。AAサイズの電池に対する試験は、(1)1.0Vの電圧カットオフまで1.0Aで連続的に放電するステップと、(2)30秒の開路試験を行うステップと、(3)0.8Vのカットオフまで1.0Aで連続的に放電するステップと、(4)30秒の開路試験を行うステップと、(5)0.7Vのカットオフまで3.9オームで放電を行うステップとを有する。この試験は、本願の出願人においてはDCC4STP2試験として識別されている。他のサイズの電池も同様に試験することができるが、電池サイズの容量に応じて電流レベルを増大又は低減させる。
【0041】
本発明を用いた電池と通常のボビン型アルカリ電池とに対してこの種の試験を行うことにより、これらの性能差をはっきりと立証することができる。容量送出比(CR)は、試験における送出総容積(CT)を、1.0Aにおいて1.0Vまで送出された容量(C1V)で割ることにより算出することができる。本発明は、効果的な線形幾何学形状及び薄肉の内電極を採用しているため(薄肉とは内電極の外面領域より断面積が大幅に小さいことを意味する)、容量比(CR)は通常のボビン型アルカリ電池において達成されるものより著しく高くなる。
【0042】
本発明の原理に従う電池装置が通常の電池に対して有する複数の性能上の利点を示してきた。本発明の原理に従う電池装置については以降に説明する。複数の図面を通じて同様の部分には同様の参照番号を付してある。図4A及び4Bは、本発明の可能な一実施態様である埋め込み内電極の構成を示すものである。
【0043】
図4A及び4Bを参照するに、電池30は、この電池30の内部空間31bを規定する電池ハウジング31aを有している。この電池ハウジング31aは、電池30の電気接続を構成し且つ電池30の他の素子と電気的に連絡している第1端子T1及び第2端子T2を有する。この電池30は、例えばアノードである内電極32を更に具えており、この内電極32は、星状の形態の線形幾何学構成とした薄肉断面32Aを有しており、複数の線形素子32Bを利用している。薄肉の断面(すなわち同様の平面における電池ハウジングの断面に対する線形素子の厚さ寸法)を有する線形素子又は他の類似素子を具える交差状その他の任意の幾何学形状のような他の線形幾何学構成を採用することができる。好適例において、内電極の厚さ寸法は、厚さ寸法の方向に平行に切り出した場合に、電池ハウジングの断面の最大スパンを跨いで延在する寸法より実質的に小さくなるようにする。好適例において、この内電極32は、活性材料、導電材料及び添加剤から形成した多孔性の固体押出複合材を有する。この内部には電流コレクタ33を設けることもできる。この内電極32は、ハウジング30の内部空間31bの中で配置されている。この内電極32は、セパレータ34によりカプセル化されており、ハウジング30の第2端子T2と電気的に連絡している。カソード材料のような外電極材料35は、ハウジングの内部空間31b内に形成及び配置されて外電極36が形成されており、それにより、その内側に内電極32が埋め込まれるようになっている。この外電極36は、内電極32とイオン的に連絡しており、電池ハウジング30の第1端子T1と電気的に連絡している。外電極内に内電極を埋め込むことにより、電極界面が規定されることになり、この電極界面は内電極の表面領域により更に規定することができる。図4A及び4Bに示すように、このような電極の幾何学形状により、アノード対カソードの界面の面積がバランスよく顕著に増加する。更に、内電極の薄肉の断面により、イオン導電率の高いより薄肉の電極構造体が得られる。電池の動作特性は、電極の幾何学形状を変更して電極間の界面の面積に影響を与えることで変化させることができる。
【0044】
内電極32を多孔質の固体構造体としているため、素子32Bは、従来技術における切れ込み又は枝分れを付けた構成より薄肉で長くすることができる。例えば、AA電池においては内電極32を、僅か0.040〜0.080インチの厚さの薄肉の素子32Bを有する形状に押出成形することができるが、通常のAAアルカリ電池の同等のアノードでは直径が約0.30インチとなる。この場合、内電極32は素子32Bの各側からアクセスしうるものとなり、最大有効拡散厚さは全厚さの半分に匹敵する。固体の内電極を用いることにより、(従来技術の構成のように狭い空所をゲルで満たす必要がなくなるため)より薄肉の幾何学形状の素子が得られるというだけでなく、(従来技術の構成のように複雑な幾何学形状の外電極の内面にセパレータを取付けることなく)共形に被覆したセパレータ34を、浸漬又は噴霧処理により内電極32の外面37に被着することもできる。この場合、外電極36は、内電極32が電池ハウジング31の外にある状態において又は内電極を電池ハウジング31内に配置した後で、内電極32を内部に入れたセパレータの周辺に被着することができる。ハウジング30内に外電極を被着させる例においては、線形幾何学形状の構成を有するアノードの形態の内電極32を、ハウジング31に挿入して、その後、このハウジングをカソード粉末で充填しプレスして埋め込み内電極32を形成することができる。
【0045】
電池ハウジング内に内電極及び外電極を埋め込む他の方法は、ハウジングの外側で電極を共に湾曲させ又は折り曲げて電極の幾何学形状を形成し、これら電極をハウジングに従う形状又は輪郭に成形して、その後これらを一緒にハウジング内に挿入する方法である。図5A〜5Dを参照するに、本発明の好適例は、簡単な幾何学形状の内電極から始めて、これをセパレータで被覆すると共に外電極材料で包囲し、更に電池容器に装着するのに必要とされる幾何学形状を形成することにより実施することができる。図5A〜5Cに示すように、電気化学電池40は、内部空間41bを規定する電池ハウジング41aを有する。この電池ハウジング41aは、電池40の電気接続を構成し且つ電池40の他の素子と電気的に連絡している第1端子T1及び第2端子T2を有する。図5Aを参照するに、この電池は更に、ハウジング41aの内部空間41b内に配置された電極アセンブリ42を有する。電極アセンブリ42は、セパレータ44によりカプセル化された内電極43と外電極45とを有する。これら内電極及び外電極は薄肉の断面を有しており、図5Dに示すような「W」字状の折り曲げられた構成、又はアコーデオンの折り目のような他の折り曲げられた構成を具えており、それによりこれらの各々がかみ合いようになっている。図5Cを参照するに、この電極アセンブリ42は、当該電極アセンブリ42の外延部46が、概ね電池ハウジング40の内面48によって規定される外形47に従うように形成されている。この内電極43は、ハウジング41aの第2端子T2と電気的に連絡しており、外電極45は、ハウジング41aの第1端子T1と電気的に連絡している。内面48は第1端子T1と電気的に連絡すると、外電極45とハウジング41aの内面48との間の接触により外電極45及び第1端子T1間の電気的な連絡を確立することができ好ましい。
【0046】
図5Dに示すように、内電極43はセパレータ44で包むかセパレータを共形に被覆するかして、その後外電極45ではさんで即ち組合わせて電極アセンブリ42を形成することができる。図5Cに示すように、次に、得られた電極アセンブリがハウジング41a内に嵌るように種々の幾何学形状に成形することができる。この場合、内電極及び外電極間の界面は、従来技術の構成の場合のように均一な円筒状にはならず、セパレータで被覆されたカプセル化内電極の表面は、通常のボビン電池の表面積より大きいが、通常のスパイラルに巻回させた電池の表面積より小さくなる複雑な形状となりうる。カプセル化された内電極は、通常のボビン電池より薄肉であるが、スパイラルに巻回させた電池ほど薄肉ではない。この構成によれば、表面積のバランスがより良好になるため、カプセル化された電極に使用されるセパレータ及び電流コレクタが、通常のスパイラルに巻回させた構成の場合より小さくなり、そのことにより、活性材料の利用可能な容積が増え、従ってエネルギー含量が増大する。
【0047】
図6に示す他の例では、内電極43及びセパレータ44を外電極材料に埋め込むことができる。このような例では、ハウジング41a内に内電極43を配置した後に、このハウジング内に外電極材料を設けプレスしてカソード材料内に埋め込まれた内電極43を形成することができる。或いは又、内電極43及びセパレータ44を、「W」字状の構成ような折り曲げ構成に折り曲げて、その後、概ねハウジング41aの形状に従う幾何学形状に成形することができる。その後、この内電極43は、電池ハウジング41aの形状に概ね従う幾何学形状に押出成形したカソード材料45内に埋め込むことができる。押出成形したカソード材料/埋め込みアノードにより、後で電池ハウジング41a内に配置しうる電極アセンブリが得られる。
【0048】
本発明は、アノード対カソードの界面の面積を増加させるもので、この電池容器又はハウジングの外面領域(Se)に対する内電極表面領域(Si)の比率、すなわち(Si)/(Se)を、AAA又はAAサイズの電池について2〜8の範囲(C又はDサイズのようなより大きい直径の電池についてはおそらくより高くなる)にすることができ、高放電率の特性が顕著に増大する。界面の面積が増大したことにより、内部抵抗が、等価な材料で構成したボビン電池のものの数分の一になる電池の構成が提供される。ここに記載した例において、1KHzで測定したインピーダンスは、通常のボビン電池の70%以下であった。電力及びエネルギー含量がバランスがより良好である、本発明は穏当な放電率において通常のボビン電池のの70〜80%を超えるエネルギー含量を保持すると共に、高電力における稼働率を増大させるものである。
【0049】
本発明の特定例では、通常のボビン電池の等価な内電極よりも平均厚さ測定値をより薄肉にした内電極を提供する。内電極の厚さをより薄肉にすることにより、断面寸法を長くして表面積を著しく増加させうるため、アノード対カソードの電池バランスをほぼ同じ最適状態に維持することができる。内電極の厚さ寸法が低減することにより、拡散距離がより短くなるため電池の電力容量が更に増大する。通常のAAサイズのアルカリボビン電池が有するカソードリングの壁厚は、約0.1〜0.15インチであり、アノードコアの厚さは約0.2〜0.3インチであるのに対し、本発明によるAAサイズのアルカリ電池の有するカソードの厚さは、約0.035〜0.070インチとすることができ、アノードの厚さは、僅か約0.020〜0.060インチとすることができる。
【0050】
本発明の他の利点は、高い放電率における内電極の稼働率が増大することである。通常のボビン電池は、内部の円筒状の幾何学形状のために、高い放電率における稼働率が低くなる。アノードの放電は、セパレータの内面から内径方向に放射状に進行するため、アノード対カソードの界面領域は絶えず減少することになる。この為、放電している内電極表面における電流密度が増えて、移動限界により放電反応のシャットダウンが生じることになる。表面積を増やし内電極を薄肉にすることにより、放電全体を通じての電流密度がより均一に維持されるようになり、内電極材料の稼働率が増大する。
【0051】
好適例において、内電極及び外電極の長手方向寸法は、容器の全内法高さから封止に必要な高さを引いたものにほぼ等しくなり、代表的には内法高さの少なくとも70%になるため、電極複合材料が容器の全長のほとんどを占めエネルギー含量が最大になる。外電極は、ハウジングの内面と直接接触するように形成するのが好ましく、この外電極からの電流収集は、主に金属ハウジングとの接点を介してこのハウジングから行う。内電極はセパレータに入れ、その後外電極マトリックス材料内に埋め込むか、又は内電極とともに形成又はこれにより挟み込み、絶縁リードを取出してハウジング内にこれを挿入し、それにより外電極がハウジングの内部表面と接触するようにする。
【0052】
本発明の実施例の多くが参照するMnO2 /亜鉛のアルカリ電池の場合には、亜鉛アノードを内電極とし、MnO2 カソードを外電極としてこれをハウジングの内面と接触させ正極接点とする。ここでは多くの例で特にアルカリ電池を想定しているが、本発明の原理は、他の電気化学電池及びフォーマットにも適用しうることを理解されたい。
【0053】
本発明の特定例では、二酸化マンガンカソードと、亜鉛アノードと、これらアノード及びカソード間のセパレータと、水性のアルカリ性水酸化カリウム電解質とを有する二酸化マンガン−亜鉛アルカリ電池が得られる。このアノードは、通常のボビン型のアノードよりも拡散距離が短い非円形の断面を有しているため、活性材料の容量が内断面を通じてより分散したものとなり、その累積断面周囲長は電池ハウジングの直径の2倍を超えるものとなる。アノードは、セパレータで包まれ、アノードとハウジングの内面との間の空間を均一に充填するカソードマトリックスに埋め込まれている。この電池では、電力対エネルギーの比率のバランスがとれ、高い放電率における容量稼働率が良好になる。このことは、AAサイズの電池の場合に、1Vまで1アンペアで放電させる試験において1.2Ahを超える結果が得られることで例証されている。
【0054】
一例において、本発明は、ほぼ平面状の又は平坦なセパレータでカプセル化した亜鉛アノードと、1又は2つの平面状カソードとをアコーデオンの折り目状に成型し、その後カソード/アノードアセンブリ全体を電池容器を満たすように成形した電池を提供する。
【0055】
このカソードの構造は、必要な物理的一体性及び電子的伝導率を有し、高速生産における取り扱いが可能であり、折り曲げ部の内側から電池の容器壁部まで良好な電子移動特性が得られるものである。このことは、複合カソードを、導電性充填剤、補強材料、バインダ又は担持ウェブと共に調製することで達成することができる。必要とされる機械的及び電気的特性を達成するための特別な手段として、カソード物質の外面に金属箔若しくはメッシュを被着させることにより、この金属構造がハウジングの内面に対する電気接点、及び折り曲げ部の内部に対する連続的な電気接続を構成するようにすることができる。
【0056】
前述の説明から明らかなように、本発明の原理による電気化学電池の製造方法も想定されている。本発明の特定の態様によれば、(A)内部空間と、第1端子と、第2端子とを有する電池ハウジングを設けるステップと、(B)薄肉でほぼ平坦な構成の内電極であって、セパレータによりカプセル化されている当該内電極を設けるステップと、(C)薄肉でほぼ平坦な構成の外電極を設けるステップと、(D)この外電極を内電極に隣接して配置するステップと、(E)これら内電極及び外電極を一緒に折り曲げて折り曲げた構成にするステップと、(F)内電極を、これら電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される外形に概ね従うように形成するステップと、(G)これら電極をハウジングの内側空間内に配置することにより、外電極が、当該電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡し、内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップとを有する電気化学電池の製造方法が提供される。
【0057】
本発明の他の特定の態様によれば、外電極をハウジング内に形成する場合の電気化学電池の製造方法も想定されている。この製造方法は、(A)内部空間と、第1端子と、第2端子とを有する電池ハウジングを設けるステップと、(B)線形幾何学形状の構成の薄肉断面を有し且つセパレータによりカプセル化された内電極を設けるステップと、(C)この内電極をハウジングの内側空間内に配置して、当該内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップと、(D)電池ハウジングの内部空間内に外電極材料を配置して、その中に内電極が埋め込まれるようにすると共に、外電極をハウジングの第1端子と電気的に連絡させるステップと、(E)電池ハウジングの内部空間内に配置したこの外電極をプレスするステップとを有する。
【0058】
その他の方法及び上記特定の方法の変型が本願発明の範囲内のものとして想定されていることは、ここに説明したことを検討すれば当業者に理解されることである。
【0059】
図7は、簡単な幾何学形状で方向性の要求の少ない部品から本発明の一実施形態を製造する一連のステップの手順を示す。図7(ステップI)において、平面状カソード/セパレータで包んだアノード/カソードの積層体を成形ダイに配置し、各カソード上の金属基板が積層体の外方に向くようにする。図7(ステップII)及び(ステップIII)において、成形ブレードをダイのキャビティに押し入れて積層体を折り曲げ成形する。図7(ステップIV)は、ハウジング又は缶に挿入する前の、積層体を圧縮成形する最終的な成形操作を示す。
【0060】
本発明による特定例では、好適例を得るための簡単な製造方法を提供する。特定例によれば、2つのカソードを、ダイパンチメタルの基板上に成形し、中央に配置したセパレータに入れたアノード構造体に隣接して配置する。このように配置することで、これら電極が組合わさり、電極の長手方向軸線に対して垂直な方向に適用される成形ダイにより成形される。最終的なダイは同心状のクラムシェル(貝殻状のもの)とし、円筒などの電池ハウジングの形状又は輪郭に従うように、電極の外延部を形成する。成形後、成形ダイを僅かに開いて、円柱状に形成した一体化電極を、この成形ダイに隣接して配置した電池ハウジング内に挿入する。このハウジング内に電極アセンブリを配置した後、追加的なKOH電解質を、ハウジングの開放頂部から加えて、次の操作手順に移行する際にこれが電極内に吸収されるようにする。この段階の一部組み立られた電池は、ハウジングの頂部から突出する中央に配置された絶縁アノードリードワイヤを有する。このリードは、プラスチックの底部封止部の中央を通過して底部カバーの内面に結合されており、封止部上で適切に配置されるよう指向されている。電池の封止及び仕上げ操作は、通常のボビン電池のものと同様である。
【0061】
本発明の改良された電池を形成するステップは、オートメーション化した高速の製造工程にも容易に転用することができる。このような成形手順としては、通常のボビン電池製造工場におけるある種の単位操作を、通常のボビン製造工程に類似した1つ以上のステップにより置き換えたものを想定しうる。カソード及びゲル化亜鉛アノードを混合する工程は、通常のボビン電池を製造する場合とかなり類似していると考えられる。ある種の変形ボビン電池組立工程の操作は、現在使用されている基本的な製造設備の形態を変更して同等の処理能力で実施することさえできる。
【0062】
本発明の原理を説明し例証するために複数の実施例を記載する。以下の実施例は、ディジタルカメラ用途においてより長いランタイムを提供しうる汎用のMnO2/ZnのAAサイズ電池、すなわち、通常のMnO2/ZnのAAサイズの電池と比べて、1Vまで1Aで放電させた際により多くの容量を提供しうる電池に関するものである。更に、電池のエネルギー含量は、穏当な比率(3.9オーム)の放電においてもなおかなりの容量が利用可能なように極端に妥協したものとはなっていない。これら実施例の電池は、0.8Vまで1Aで放電することにより試験し、電池電位が1Vに到達した際の容量を記録することによりANSIのディジタルカメラ試験をシミュレートした。30分放置した後、3.9オームにおいて0.7ボルトまで追加的に放電させるステップを行う。以下の表1に示す1Vまで1Aで放電させた際の容量(C1V)と、全送出容量(CT)と、容量比(CR)とは、高率及び低率の容量稼働効率を示す。表1のデータは、本発明の具体例に関するものであり、本発明により、低率の試験おける稼働率に影響を及ぼさずにディジタルカメラ試験における稼働率が増大することが示されており、従来技術に対する本発明の利点が立証されている。
【0063】
【表1】
【0064】
これら実施例は、標準サイズのNi被覆スチール缶のAAサイズの電池に関するものである。カソード製剤は任意の種類のものとすることができ、代表的には、EMD(γ−MnO2)と、導電性粉末と、バインダ及び電解質のような他の添加剤である残り部分とからなる主要なアルカリ電池のものとする。電解質は、通常4N〜12Nの水酸化カリウムの水性アルカリ溶液とする。電解質には、溶解した酸化亜鉛やZnOや界面活性剤及びその他の添加剤を含ませて、負電極内で活性化された亜鉛がガスを発生する量を抑制することができる。
【0065】
実施例1〜6で使用するMnO2 のカソード製剤は、重量基準で、69.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のアセチレンブラックと、2.6%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、22.4%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。混合処理は、Readco社のミキサー、ボールミル又は他の好適なミキサーで行った。このカソード前混合物は更に、1gのPTFE−30の懸濁液及び10gの9NのKOH溶液に対して100gの混合物となるような比率に混合して、ペースト特性を改善してNi基板に対する接着性を向上させた。標準基板は、アニールしていないエクスパンディッドメタル(Dexmet3 Ni5−077)とした。Carverプレス器において、7グラムのカソード製剤を基板上へ押圧し、約0.047インチの厚さのカソードアセンブリを得た。プレス処理の際に電解質の一部(約0.5〜1.0g)が失われた。
【0066】
実施例1
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を付けた埋め込み式」の構成に関するものである。この例では、アノードとして、多孔性の固体電鋳亜鉛を使用している。全ての実施例について図8〜11を参照しており、平面状の電鋳亜鉛を、約1.5”W×1.625”Hのアノード半アセンブリ51として使用している。この電鋳亜鉛アノード半アセンブリ51は、絶縁リード62を取付けた銀若しくは銅の薄肉金属基板64上に、酸化亜鉛/バインダスラリー63をペーストし、その後、アルカリ浴中で電鋳することにより形成した。その後、このアノード半アセンブリ51を洗浄し乾燥して、Scimat700/70セパレータ52のパウチで熱封止しアノードアセンブリ55を形成した。使用したアノードは乾燥状態で約4.7gであり、基板及びリードを含んだ乾燥状態で0.045インチの厚さであった。乾燥したアノードアセンブリ55を、緩やかな波形の「W」字状態53に折り曲げる前に、少なくとも1時間に亘り9NのKOHに浸漬した。パンチメタル基板54上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物56になるよう折り曲げ、波形積層体57の形態の電極アセンブリを得た。この波形積層体57を、電池ハウジング又は缶59に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒形状58にプレス成形した。電極積層体57の厚さは、成形後に缶59を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶59に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。この電極積層体を缶59に挿入した後、この缶59の上部に封止ビード60を成形した。アノードリード62を蓋63に取り付け、缶を封止して完全な電池64を形成した。
【0067】
実施例2
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、特にアノード半アセンブリにペースト亜鉛を使用した構成を説明するものである。アノードは、押出成形又はペースト処理を用いて亜鉛粉末からアノードシートを形成することで製造する。アノード半アセンブリは、粉末状の金属亜鉛若しくは亜鉛合金及び酸化亜鉛を、Kratonバインダ及びShellsol溶剤と共に混合することにより調製した。この混合物を、リードを取付けた厚さ0.002インチの穿孔銅箔基板上にペーストし、溶剤を蒸発させた。その後、この半アセンブリを、SM700/70セパレータで包んでアノードアセンブリを形成した。乾燥したアノードアセンブリは、緩やかな波形の「W」字状態に折返す前に、少なくとも1時間に亘り9NのKOHに浸漬した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物56になるよう折り曲げた。波形積層体57を、電池ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0068】
実施例3
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、亜鉛ゲルを使用してアノードアセンブリを形成した構成を説明するものである。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びそれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。リードを取り付けたアノード電流コレクタを、Scimat SM700/79のセパレータから調製したパウチ内に配置し、このパウチ内に7gのゲルを添加し、その後底部を加熱封止しアノードアセンブリを形成した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物になるよう折り曲げた。波形積層体を、電池ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0069】
実施例4
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、亜鉛ファイバを添加した亜鉛ゲルを使用してアノードアセンブリを形成する構成を説明するものである。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、5%のAlltrista 1/8”亜鉛ファイバと、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。リードを取り付けたアノード電流コレクタを、Scimat SM700/79のセパレータから調製したパウチ内に配置し、このパウチ内に7gのゲル/ファイバ混合物を添加し、その後底部を加熱封止しアノードアセンブリを形成した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物になるよう折り曲げた。波形積層体を、ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0070】
本発明による「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成の他の例も想定される。例えばアセンブリ及び工程を変えることができ、埋め込み式の「W」字状の構成の性能を最大化するために、アノードの重量、アノードの浸漬時間、圧縮比、カソード製剤、カソード基板及びカソードから缶への電流収集部を「微調整」することができる。ほぼ全ての電池は、従来の標準的な0.5インチの直径のダイに対して調整した0.515インチの直径の圧縮ダイにより製造したが、これは、主として組立中に流失する電解質が少なくなるという明確な知見に基づくものである。電池内に十分な電解質を保持することは、性能を向上させるために重要である。
【0071】
より最適な表面積を得るため及び容器の充填を最適化するために、上記実施例に説明したW字状の折り曲げ構造のものより、電極の長さ又は折り曲げの長さ及び数を変化させることもできる。2つの外側のカソードアセンブリを使用するのでなく、単一のカソードにより、セパレータに入れたアノードを包み、その後波形構造に折り曲げるともできる。表面積を増大させる他の手段としては、例えばカソード/アノード/カソード/アノード/カソードのような複数層のカソード及びアノードを使用して積層体としたものを波形にするものがある。
【0072】
プリズム状電池の実施例
上記の記載に基づけば、本発明の原理が、プリズム状を含む任意の種類の電池構成又は任意の自由な形態の電池構成においても実現しうるものであることが、当業者に理解されるだろう。しかし、更なる例示のために、複数のプリズム状電池の実施例を以下に詳細に説明する。
【0073】
図12A及び12Bを参照するに、ほぼ平坦な内電極100(図12A)と、ほぼ平坦な外電極102(図12B)とを用意する。図12Aに示す内電極100はアノードとして使用するために構成されており、亜鉛ゲル層106により包囲されており且つセパレータ108によりカプセル化されたアノード電流コレクタ104を有する。アノードに取り付けられた絶縁電気リード110がセパレータ108を通過しており、電池内の内電極との電気的接続を確立するようになっている。図12Bに示される外電極102は、カソードとして構成されており、カソード材料層112及び電流コレクタ114を有する。この外電極102は絶縁電気リード116を有し、電池内の外電極との電気接続を確立するようになっている。図12A及び12Bに示されるように、内電極をアノードとして構成するのが好ましく、外電極をカソードとして構成するのが好ましいが、内電極及び外電極の双方ともカソード又はアノードとして構成しうることを理解されたい。
【0074】
内電極及び外電極100及び102は、特定の用途に応じて多くの異なる形状に構成することができる。内電極及び外電極100及び102は、直線の周縁部を有するほぼ平坦な構造にするのが好ましい。この場合、電極100及び102を一緒に成形して、プリズム状の電池ハウジングのような特定の電池ハウジング(本明細書においては時折缶とも称する)内に装着されるようにすることができる。
【0075】
図13A〜13Cを参照するに、電極100及び102は、プリズム状の又は線形の電池ハウジングに追従するように折り曲げられて形成されている。特に図13Aを参照するに、好ましくは、電極100及び102は折り曲げられてこれらの間が一緒に緊密に接触しており、それにより電極アセンブリ120が形成されている。この特定例では、図13Aに示すように電極100及び102は、W字状の構成に折り曲げられている。しかし、ここに開示した他の実施例から明らかなように、電極100及び102は共に、これら電極100及び102間に界面領域が充分なものとなるのであれば、いかなる種類の構成に折り曲げることもできる。
【0076】
図13B及び13Cを参照するに、この電極アセンブリ120の電極100及び102は、外電極102の外延部122が、概ね電池ハウジング128の内面126によって規定される輪郭124に従うように形成されている。この特定例では、外電極102の外延部122は、ほぼ直線の輪郭に従うように押圧することで形成されている。図13Bに示すように、このような成形により、電池ハウジングの内部空間が殆ど使用されることになると共に、電池ハウジングの内面126と外電極102との間の表面接触も良好になり、それにより、内面126が電池の端子と電気的に連絡している例において電池の端子と外電極との電気接続が良好なものとなる。好適例においては、図13Bに示すように、電極102の外延部122は、電池ハウジングの内面126によって規定される輪郭124にほぼ従い、ほぼ空所のない接触が形成されるように成形されている。
【0077】
図14A〜14Bを参照するに、電極100及び102間を異なる折り曲げ構成にした他の実施例を示す。図14Aに示される電極100及び102は、図13Aに示されるように電極100及び102をW字状の構成に折り曲げるのではなく、三重の折り曲げ構成に折り曲げられて電極アセンブリ130を形成している。図14Bを参照するに、この電極アセンブリ130は、外電極102の外延部132が、概ね電池ハウジング138の内面136によって規定される輪郭134に従うように形成されている。図14Bに示すように、このような成形により、電池ハウジングの内部空間が殆ど使用されるようになると共に、電池ハウジングの内面136と外電極102との間にほぼ空所のない表面接触が得られる。
【0078】
図15A〜15Dを参照するに、第1組の内電極及び外電極140及び142が共に折り曲げられて第1電極アセンブリ144を形成しており、第2組の電極146及び148が共に折り曲げられて第2電極アセンブリ150を形成している更に他の実施例が示されている。この2つのアセンブリ構成は、図15B及び15Cに示すように1つ以上の内部構造部材152を有する電池ハウジング151と共に使用するのを促すものである。これらの構造部材152は、膨張及び内圧による電池ハウジングのゆがみ及び隆起を低減するのに用いられるもので、電池ハウジングの肉厚を厚くする必要をなくすものである。構造部材152は、Niをメッキしたスチールとするのが好ましい。これらの内部構造部材152は、電極アセンブリの導入前又はその後に、ハウジングの内面にスポット溶接することができ、支持体間のビーム長を効率的に短くする。このように、これらの内部構造部材は、膨張及び内圧によるケース壁部の偏向及び隆起を低減させる張力として作用しうる。この内部部材152は、いかなる場合にもハウジングの内面と接触するカソード物質から電気的に絶縁する必要はない。この種の構成により、より薄肉の壁部のハウジングが利用可能となり、それによりエネルギー含量が増大する。
【0079】
本発明によるプリズム状電池構造の動作特性の一部を説明する複数の実施例を説明する。これら実施例は、IEC7/5F6プリズム状のサイズ(6mm×17mm×67mm、0.33mmの壁厚、約15.74mm×63.80mm×4.95mmの内寸)の汎用MnO2/Zn電池に関するもので、これらは0.5〜2Aの放電において高容量を提供しうる。更に、電池のエネルギー含量は、低い比率から穏当な比率の放電においてなおかなりの容量が利用可能なように極端に妥協したものとはしていない。実施例の電池を試験したところ、データにより、本発明は、低放電率の試験における稼働率にほぼ影響を与えることなく、高放電率での稼働率が増大することが示されている。図16は、各実施例における放電曲線を示す。これら実施例は、規定の電池フォーマットに適した標準寸法のNi被覆スチール缶にパッケージしうる電池に関するものである。カソード製剤は任意の種類のものとすることができ、代表的には、EMD(γ−MnO2)と、導電性粉末と、バインダ及び電解質のような他の添加剤である残り部分とからなる主要なアルカリ電池のものとする。電解質は、通常4N〜12Nの水酸化カリウムの水性アルカリ溶液とする。電解質には、溶解した酸化亜鉛(ZnO)や界面活性剤及びその他の添加剤を含ませて、電極内で活性化された亜鉛がガスを発生する量を抑制することができる。
【0080】
実施例に使用したMnO2のカソード製剤は、重量基準で、72.6%のKerr−McGee High Drain EMDと、8.2%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、18.8%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。カソードの構造は、必要な物理的一体性及び電子的伝導率を有し、高速生産における取り扱いが可能であり、折り曲げ部の内側から電池の容器壁部まで良好な電子移動特性が得られるものである。このことは、複合カソードを、導電性充填剤、補強材料、バインダ又は担持ウェブと共に調製することで得ることができる。必要とされる機械的及び電気的特性を達成するための特別な手段として、カソード物質の外面に金属箔若しくはメッシュを被着させることにより、容器壁部に対する電気接点、及び折り曲げ部の内部に対する連続的な電気接続を構成するようにすることができる。混合処理は、Readco社のミキサー、ボールミル又は他の好適なミキサーで行い、Ni基板に対して接着する際に好適なペースト特性が得られるようにした。標準基板は、アニールしていないエクスパンディッドメタル(Dexmet3 Ni5-077)とした。
【0081】
以下の実施例では、電池のアノードアセンブリを形成するために亜鉛ゲルを利用した。
実施例5〜8において、内電極及び外電極の長手方向寸法は、容器の全内法高さから封止に必要な高さを引いたものにほぼ等しくなり、代表的には内法高さの少なくとも70%になるため、電極複合材料が容器の全長のほとんどを占めエネルギー含量が最大になる。プリズム状電池については、カソード重量を約11gとし、厚さを0.041インチとした。プレス処理の際に電解質の一部(約0.5〜1.0g)が失われた。
【0082】
実施例5
本発明の電極アセンブリを用いた試験用の電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ(アノード160、カソード162、ハウジング又はケース164)。カソードアセンブリの重量は、11.11gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出させた。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.22Ahの容量が得られた。
【0083】
実施例6
本発明の電極アセンブリを用いた第2の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、10.82gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出した。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.25Ahの容量が得られた。
【0084】
実施例7
本発明の電極アセンブリを用いた第3の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、10.14gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出した。この電池は、0.8Vに対して500mAの定電流で放電させると1.33Ahの容量が得られた。
【0085】
実施例8
本発明の電極アセンブリを用いた第4の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した、約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約4.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、11.57gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出させた。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.37Ahの容量が得られた。
【0086】
これら4つの実施例の電池に関する放電電圧曲線を図16に示す。上記の実施例の全てにおいて、0.8Vのカットオフまでの送出容量は、7/5F6フォーマットの標準構造のアルカリ電池から予想されるものより大きい。最近報告された0.8Vまで500mAで放電させた場合のこのサイズのプリズム状のアルカリ電池では、1.08Ahであったことを比較として示す。本発明による構成される電池は、15〜30%良好な容量を送出する。
【0087】
本発明の他の構成例も想定されている。例えばアセンブリ及び工程を変えることができ、埋め込み式の「U」字状の構成の性能を最大化するために、アノードの重量、アノードの浸漬時間、圧縮比、カソード製剤、カソード基板及びカソードから缶への電流収集部を「微調整」することができる。より最適な表面積を得るため及び容器の充填を最適化するために、上記実施例に説明したU字状の折り曲げ構造のものから、電極の長さ又は折り曲げの長さ及び数を変化させることもできる。
【0088】
他の実施例及び製造方法
前述した説明から当業者にとって明らかであるように、本発明の原理は、多くの異なる製造方法及びアセンブリにより多くの異なる実施形態に適用することができる。これらの原理及び本発明の広い範囲を更に例証するために、他の製造方法及び及びこれらの製造方法に関連する電池の実施例を説明する。
【0089】
前述したように、本発明の特定例の電池は、平面状の電極積層体を利用し、それを波形構造(又は他の折り曲げ構造)に折り曲げ、その後電池容器又はハウジングに装着されるように成形するものである。この種の実施例によれば、公知技術の簡単なボビン電池と比べて、アノード対カソードの界面の面積が増大し電力が増加することが示されている。この種類の電池の製造方法は既に説明したが、この種の構造を有する実施例は、費用効率がより高く且つ製造性がより高い他の方法によって形成することもできる。
【0090】
カソード材料製剤のような粒状形態の外電極材料を利用する方法が、より費用効率が良く製造性に優れることが示された。このような実施形態を更に例示するために、粒状形態の外電極材料を用いた種々の製造方法の実施例を詳細に説明する。
【0091】
カソード製剤のような外電極材料製剤は、粒状形態で容易に混合され、成形リング又はペレットへのプレス成形などの以降の処理を行う前の状態で電池容器の外部又は内部に簡易に貯蔵することができる。このような粒状形態の外電極材料を利用することにより、破損したペレット又は他の損失材料はいかなるものでも簡単に混合処理又は粒状化段階に戻して再処理することができ、それにより更に製造費用を低減することができる。これは、基板形態又はシート形態の外電極を使用する場合に対する重要な利点となる。その理由は、通常の外電極の基板構造とした場合には寸法的及び機械的一体性の制約によりスクラップ発生率が高くなるからである。
【0092】
図18Aを参照して、外電極材料の挿入成形を伴う方法を説明する。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。図18Aにて線図的に示すように、前述したようなセパレータに入れたアノード160を、成形ダイ162に配置する。スラリー又はペーストの形態の粒状又は粉末カソード材料164を、1つ以上の注入ポート165を介してダイ162に注入しアノード160を包囲する。ダイ162は、好ましくは通常の押出成形、圧縮成形、キャスティング又は押出技術により構成されたものであり、カソード材料164は、ダイ162内にカソード材料164を適切に充填しパッキングし及び分布させるのに充分な圧力を形成するピストン若しくはラム型のプレス又は関連技術分野において公知の他の任意の機構により、このダイ162に注入することができる。ダイに適切な量のカソード材料164を充填した後に、使用する特定の成形技術に応じてダイによる更なる圧縮を行い適切な密度及び寸法を有する電極アセンブリを形成する。例えば追加の電解質のような任意の数及び種類の添加剤は製造処理中の任意の段階で導入することができる。好適例では、前述したようにほぼ乾燥したペーストアノード構成を用いる。従って、電解質の追加と、成形体を収容するウェットカソード材料の追加使用とは、このようなペーストアノードの構成を用いることでバランスをとることができる。また、ダイ162は、任意の種類の成形処理、例えば注入若しくは圧縮成形、押出成形、キャスティングその他又はこれらの任意の組合せとすることができることを理解されたい。好適例においては、押出成形処理のダイ162を利用し、成形処理中に挿入した内電極を有する電極アセンブリを形成する。その後、得られた電極アセンブリを完全な電池の製造に利用する。
【0093】
図18Bは、この製造方法により形成した3つの電池の放電曲線を示す。これらの電池に使用したMnO2のカソード製剤は、重量基準で、72.6%のKerr−McGee High Drain EMDと、8.2%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、18.8%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製したセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。20mm×40mmのパウチを調製してV字状に折り曲げ、このV字状のアノードの周囲に10.8gのカソードを押出た。この電池を、0.8Vまで1Aの定電流で放電させると0.39Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.12Ahの累積容量が得られた。11.2gのカソードを押出成形して同様に構成した電池においては、0.8Vまで1Aの定電流で放電させた場合に、この電池により0.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させたら1.12Ahの累積容量が得られた。40mm×40mmのパウチを調製してW字状に折り曲げ、このW字状のアノードの周りに約12gのカソードを押出成形した電池については、この電池を0.8Vまで1Aの定電流で放電させると0.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.74Ahの累積容量が得られた。
【0094】
図19Aを参照して、更に他の電極形成方法を示す。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。この方法では、折り曲げ処理を行う前の一連のステップ又は段階において、セパレータに入れたアノードの周りに、粒状又は粉末のカソード材料をプレスして積層する。図19Aに示すように、第1段階において、カソード材料170の第1部分をダイ172内に秤量し、その後ほぼ平坦になるようプレスする。その後、プレスした第1部分のカソード材料170上に、セパレータに入れたアノード174を配置する。このアノード172上にカソード材料の残りの部分176を配置して、その後ほぼ平坦になるようにプレスして、図19Aに示すような「サンドイッチ」形態の半アセンブリ178を形成する。その後、この「サンドイッチ」半アセンブリ178を折り曲げて波形の形態に圧縮し、完全な電池の製造時にこれを電池容器内に挿入しうるようにする。
好適例においては、アノード172は波形その他の折り曲げ形態に予め折り曲げておき再度平坦化すると、最終的な成形をより容易に行うことができる。好適例においては、この成形段階を容易にするためにロータリプレスを利用することができる。
【0095】
図19Aに示す方法の変型例においては、所定の段階において、不織高分子膜のような可撓性の非金属基板を、得られる積層体の外側に配置されるようにダイに挿入することができ、それにより外電極に対する機械的な一体性を更に高めることができる。この不織基板に導電性カーボンインキを被覆して導電性とすることができる。
【0096】
図19Bは、この製造方法により形成した電池の放電曲線を示す。使用したMnO2のカソード予混合製剤は、重量基準で、56.5%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のSuperior Graphite ABG1010であるグラファイトと、0.3%のPTFE−30懸濁液と、38%の9NのKOHとから構成した。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した40mm×40mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。アノードはW字状に予め折り曲げておき、カソード材料はそれぞれ3.4gの3つのほぼ等しい部分に分割し、これらのそれぞれを、折り曲げたアノードのV字状の溝にプレスした。全重量が約2gの追加のカソードの小部分を、電極アセンブリをAAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために配置した0.520インチの圧縮ダイの内部の上面及び下面に被覆した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.0Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.9Ahの累積容量が得られた。
【0097】
図19Cは、図19Aに関して説明したのと同様の方法により形成した電池の放電曲線を示す。この電池においては、炭素被覆吸収体を、エクスパンディッドメタル基板ではなくカソード材料と関連させて利用した。重量基準で、71.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、6.6%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、21.6%の9NのKOHとの予混合物からなるカソード製剤を利用して、これらをプレスダイに平坦に載置した炭素被覆吸収体上にプレスした。合計で13.5gのカソード材料を2つの等しい部分に分けて使用した。カソード/アノード/カソードのサンドイッチをW字状に折り曲げ、0.520インチの圧縮ダイで圧縮した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.12Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームを跨いで更に放電させると1.76Ahの累積容量が得られた。
【0098】
図20Aは、更に別の製造方法及び関連する実施例を示す。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。本実施例において、カソード材料の第1部分を成形して、電池ハウジング185の壁部184の周りにリング182を形成する。カソードリング182は、通常のアルカリのボビン電池の製造工程において周知の方法で形成する。例えば、カソードリング182は、電池ハウジングの外部で成形することもできるし、又はハウジング内に直接成形することもできる。カソードリング182は、ハウジングの壁部184との良好な接触を確実にするために緻密化することもできる。この方法では、電池用の全カソード材料の一部、例えば全カソード材料の20〜60%を使用してリング182を形成する。このリング182はハウジング壁部184との有効な接点を確立し、ハウジング内にリングの内部空間を形成し、それによりセパレータ入れたアノードのような折り曲げ内電極188と接触する内面186も規定される。カソード材料の残りの部分190を折り曲げ内電極の周囲に分布させ、これらを一緒に圧縮して、リング182の輪郭に従う電極半アセンブリ192を形成する。その後、この半アセンブリを、電池の製造時に電池ハウジング185内のリング182に挿入することができる。
【0099】
図20B及び20Cは、図20Aに表した方法の代わりの形態を示すもので、ここでは電極半アセンブリ192を電池ハウジング185内に形成する。図20Bを参照するに、第1段階において、電池ハウジング185内にカソード材料の第1部分からカソードリング182を形成する。このカソードリング182は、当該技術分野において既知の方法によりハウジング内に成形する。カソードリング182は、ハウジングの壁部184との良好な接触を確実にするために緻密化することもできる。第2段階では、リング182により規定された内部空間のハウジング185に、予め成形したセパレータでカプセル化したアノード188を挿入する。第3段階において、電池ハウジング内の残りの空間にカソード材料の残り部分190を充填する。図20Cのステップ1は、例えばダイDにより予め成形したセパレータでカプセル化したアノード188の形成処理と、それを電池ハウジング185内のリング182の内部空間に挿入する処理とを示している。図20Cのステップ2は、電池ハウジング185内のアノード188の折り目の間へのカソード材料インジェクタ194の挿入を示している。ステップ3は、カソード材料によりハウジング185を充填して、このインジェクタ194をハウジング185から出す処理を示す。従って、本実施例においてはアセンブリを有するハウジングを用いて大部分の成形ステップを実行する。
【0100】
図20Dは、図20A〜20Cに関して説明した方法により形成した2つの電池の放電曲線を示す。同心リングを形成するのに用いたMnO2 のカソード予混合製剤は、重量基準で、89%のKerr−McGee High Drain EMDと、6%Superior Graphite ABG1010グラファイトと、5%の9NのKOHとの予混合物からなるものとした。この材料から、各々高さ0.394インチで内径0.4インチの4つのリングを調製した。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した40mm×40mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。アノードはW字状に予め折り曲げておく。重量基準で、56.5%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.3%のPTFE−30懸濁液と、38%の9NのKOHとの予混合物からなる第2カソード製剤を用いて内部カソード部を形成した。この第2カソード材料をそれぞれ2.3gの3つのほぼ等しい部分に分割し、これらのそれぞれを、折り曲げたアノードのV字状の溝にプレスし、この電極アセンブリ全体を、AAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために0.520インチの圧縮ダイに配置した。同様にして調製した2つの電池を、1Vまで1Ampの定電流で放電させると0.7〜1.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると2.05〜2.2Ahの累積容量が得られた。
【0101】
図20Eは、図20A〜20Cに関して説明したのと同様の方法により形成した電池の放電曲線を示す。この電池は、カソードリングを形成しアノードパウチを設ける図20A〜20Cに関して説明したのと同じ方法で形成した。重量基準で、71.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、6.6%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、21.6%の9NのKOHとの予混合物からなるカソード製剤を用いて、内部カソード部を形成した。このカソード材料を、平坦ダイにおいて37.000psi(1psi=6.89475KPa)で約0.3mmの厚さにプレスして、その後、幅6mm×長さ41.4mmの棒に切断した。これら棒を、折り曲げたアノードのV字状の溝に配置し、この電極アセンブリ全体を、AAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために0.40インチの圧縮ダイに配置した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.08Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると2.23Ahの累積容量が得られた。
【0102】
ディジタルカメラのような多くの家電用途では高電力放電容量を有するアルカリ電池が求められるが、例えば時計及びラジオといったある種の用途では、中間範囲の電力放電容量を増大させた電池を利用するのが好ましい場合もある。アルカリ電池の中間比率の放電容量を増やすために、高密度に波形をつけたもの又はW字状の構造の代わりに、上述した高電力電池で使用した内電極の電極アセンブリの構造を利用することができる。より具体的には、内電極及び外電極間の界面領域を、高率放電容量に対して中率放電容量を増大させるよう構成することができる。このような中間範囲の電力構成によれば、電極の電流コレクタ及び電池を構成するのに用いるセパレータの量が少なくなる。これらの材料が減ることにより、電池の製造費用が少なくなり、同時に追加の活性物質を挿入するために電池内で利用可能な容積が増える。電池の構造中により多くの活性物質を利用することにより、電池のエネルギー含量が増える。
【0103】
電池のエネルギーを増やすことと、その電力を低減させることとの間の妥協点は、内電極及び外電極間の表面積の量を適切に低減することにより得ることができる。内電極について高密度の波形構造、例えばW字状の構造を使用する代わりに、あまり密度の高くない構造の他の幾何学構造、例えば、c字状、n字状、o字状、s字状、u字状、v字状、w字状及びz字状のような曲線状の幾何学形状を利用することができる。
【0104】
曲線状に成形した内電極及び外電極、即ちを電極アセンブリを、電池ハウジング内へ埋め込むのは、上記の任意の方法を用いることができる。図23〜25は、種々の曲線状に成形した内電極を組み込んだ複数の電極アセンブリを示しており、ここでは、内部のカソード部を、1つ(O字状の構成)、2つ(S字状の構成)又は3つ(V字状の構成)に離間した領域又は折り曲げ部に分割している。これらの曲線状の形状を使用することにより、アルカリ電池の円筒軸線に沿って見た場合にW字状の構成内に規定される空間領域がより大きくより開いたものとなるめ、(インジェクタ又は材料の注入による)外電極材料の挿入が容易になるという追加の利点が得られる。
【0105】
中間範囲の電力構成とした曲線状に成形した内電極と、高密度に波形をつけた、すなわちW字状の構成の高電力内電極とを、長さL及び内径0.4インチつまり内周3.19cm(π×内径)のカソードリングを組み込んだ通常のボビン電池(図21に示す)と比較する。
【0106】
図22を参照するに、幅4cmの平面を有する高密度に波形をつけられた内電極を組み込んだ電池は、W字状に構成されている。この内電極の表面積は、8Lcm2(内電極の2つの側面×4.0cm×L)である。
【0107】
図23を参照するに、幅3cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、O字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、6Lcm2(内電極の2つの側面×3.0cm×L)である。
【0108】
図24を参照するに、幅3.7cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、S字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、7.4Lcm2(内電極の2つの側面×3.7cm×L)である。
【0109】
図25を参照するに、幅2cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、V字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、4Lcm2(内電極の2つの側面×2.0cm×L)である。
【0110】
図21〜25に示す各電極アセンブリ構造の界面の面積の比率を比較して以下に示す。
【0111】
この表から分かるように、いくつかの曲線状の幾何学形状(特にv字状及びo字状に構成した内電極)では、より高密度にw字状に構成した内電極と比べて界面の面積が著しく小さくなっている。内電極材料、例えば使用するアノード電流コレクタ及びセパレータ材料が少なくなることに関連して製造費用がかからなくなることに加えて、図23〜25の曲線状幾何学形状により、より大きな開口部を介して、外電極材料、例えば粒状又は細長状の内電極物質を挿入するのが容易になる。
【0112】
内電極の形状に関わりなく、内電極を覆うセパレータの外面上に薄肉の多孔性導電被膜、例えば炭素を被着して容器壁部へ向かう経路を構成することにより、外電極の内側部及び外側部間の電子流を増大させることができる。
【0113】
中率放電用途のための容量を増大させたアルカリ電池に関連する本発明の原理及び範囲を更に説明するために、複数の例を以下に示す。
【0114】
以下の全ての実施例は、外電極が二酸化マンガンを含むカソードであり、内電極が亜鉛を含むアノードであるAAサイズのアルカリ電池構造を参照するものである。この内電極は、アルカリ電池の所望の放電容量に適した折り曲げた曲線状の形状を規定する。この外電極は、2つの異なる部分から形成されており、外側部分は、電池容器の壁部と接触する環状リングの積層体であり、内側部分は、折り曲げられた内電極により規定される折り曲げ部又は離間領域内に成形された1以上の細長状物質である。或いは又、外電極の内側部分は、内電極の曲線形状により規定された離間領域内に注入した粒状カソード材料とすることもできる。外電極の内側部分は、折り目部分の外縁付近の外電極の外側リング部分に操作可能に接続されているため、外電極物質は連続的になっている。この外電極は、金属電流コレクタを有していない。
【0115】
例えばリング外側部分と、例えばカソードである外電極の内側部分との双方について、種々の製剤、重量及び寸法を採用することができる。これらのパラメータは、外側及び内側部分のアノード対カソードの表面接触領域積並びに放電容量の割当てを規定する。このように、これらパラメータにより、電池の使用目的、すなわち、高率放電容量や中率放電容量という観点から当該電池の性能が最適化されるよう調整することができる。
【0116】
以下の実施例においては、内側カソード製剤は、71.4%のEMDと、6.6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、21.6%のKOHと、0.4%のPTFE懸濁液とである。以下の実施例の内電極は、約64.5%の亜鉛粉末と、35%のKOH溶液と、0.5%のゲル化剤とから成る6.5gの亜鉛ゲルとする。この内電極は、Scimat 700/78及び31/08のセパレーター材料からなる熱封止二重層のパウチ内に設けられている。このパウチは、絶縁銅リードを有する穿孔スズ被覆スチール箔の電流コレクタも包囲している。この絶縁銅リードは、パウチから現れ電池の負端子までを接続している。パウチの幅は、リングの内側に嵌るようにした種々の幾何学な折り曲げ構造に対応するようにするとともに、電極全体での放電の効率化に欠かせない外電極の内側及び外側部分の良好な接触がなされうるように様々に変更する。
【0117】
アルカリ電池を組立てる方法は、粒状カソード材料の物質を環状ダイ内にプレスしてリングペレットを形成する処理を有する。3〜4つのペレットを電池容器に挿入してカソードの外側部分を形成するのが好ましい。ゲルを充填したアノードパウチは、所望の構成に予め折り曲げておき、9NのKOH溶液に浸漬する。内側カソード材料を圧縮及び成形して、所望の重量及び寸法の細長状物質を形成し、これらをアノードパウチの緩やかな折り曲げ部分に配置する。アノード/内側部分カソードアセンブリを円筒圧縮ダイに配置しプレスし、カソードリングの内法寸法にほぼ一致する円筒体を形成する。追加の9NのKOH電解質を添加して、アノード接続部を負端子封止部に溶着し、電池を封止する。
【0118】
種々の曲線状内電極を組み込んだアルカリ電池の複数の実施例を以下に説明する。
【0119】
実施例9
O字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.5gのペレットからなり、このペレットは、内径0.420”で外径0.525”であり、89%のEMDと、6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mmで幅28mmであり、開いた円筒体に形成する。内側カソード物質は、約6gの単一ロッド状物質である。
【0120】
実施例10
S字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.7gのペレットからなり、このペレットは、内径0.420”で外径0.525”であり、89%のEMDと、6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mm及び幅34mmであり、うねったS字状に形成する。内側カソード物質は半円形断面の2本の棒であり、全重量は約4.4gである。
【0121】
実施例11
W字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.5gのペレットからなり、このペレットは、内径0.436”で外径0.527”であり、89%のEMDと、8%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mm及び幅39mmであり、うねった波形W字状に形成する。内側カソード物質は方形断面の3つの平坦な棒であり、全重量は約4.35gである。
【0122】
実施例12
炭素被覆パウチを具えるS字状の内電極−電池は実施例10と同様のものとするが、アノードパウチは、KOHに浸漬するのではなく、セパレータに炭素被覆を被着する組立処理中に、9NのKOH50ml中に5gのABG1010グラファイトを加えて調製したスラリーに浸漬する。
【0123】
実施例13
炭素被覆パウチを具えるW字状の内電極−電池は実施例11と同様のものとするが、アノードパウチは、KOHに浸漬するのではなく、セパレータに炭素被覆を被着する組立処理中に、9NのKOH50ml中に5gのABG1010グラファイトを加えて調製したスラリーに浸漬する。
【0124】
これら実施例のアルカリ電池を、以下の条件の下で電気的に試験した。すなわち、1.0Vまで1Aで放電を行い、2秒間休止し、0.8Vまで1Aで放電を行い、30分休止し、0.8Vまで3.9オームで放電を行い、2秒間休止し、0.7Vまで3.9オームで放電を行うものである。この試験は、高率及び中率の双方の放電容量を評価するものである。これらのアルカリ電池の実施例に関する詳細を表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
図26は、種々の内電極幾何学形状を有する実施例9、10及び11の電池の性能を比較する放電曲線のプロットであり、特にアノード及びカソード間の界面領域を増大させることにより、どのように高率放電容量の性能が向上するかを示している。性能の向上は、カソードリングの炭素含量を増やすこと及びペレット壁部をより薄肉にすることに関係しうることに注目されたい。ペレット壁部をより薄肉にするという構成により、外側(リング)並びに(外側リング及びアノードの折り曲げ部内の)内側カソード物質間に電気活性材料をより良好に分布させうるようになり、電解質に対して追加的な内側容積が利用可能になる。
【0127】
図27は、S字状の内電極を有する電池であって、炭素被覆パウチを具える実施例12の電池と、炭素被覆パウチを具えていない実施例10の電池とを比較するものである。図28は、W字状の内電極を有する電池であって、炭素被覆パウチを具える実施例13の電池と、炭素被覆パウチを具えていない実施例11の電池とに関する同様のプロットである。埋め込み金属電流コレクタが存在しない場合において、セパレータ上に炭素被覆を設けることにより、内側及び外側カソード物質間の導電性が向上し、高率及び及び低率放電容量性能の双方が向上する。
【0128】
図29及び30は、より開いた幾何学形状、例えばS字状を用いて曲線形状を組み込んだ内電極半アセンブリを有する電池を組立てるため他の方法を示すものである。S字状の電極により得られるより開いた幾何学形状により、W字状の電極の場合と比べて、電極半アセンブリのより大きい内部間隙(離間領域)内に外電極の内側部分を挿入するのが容易になる。
【0129】
S字状の内電極及び電極半アセンブリを参照した場合において、この組立方法は、平面状電極100をマンドレルにより保持し、所望の形態(図29A及び29B参照)に回転させる図29〜30に示されるステップを有する。この平面状電極100は、外側接点に対して回転させることもできるし、漏斗状オリフィスを通じて下方に配置することもできる。形成処理が終わったら、折り曲げた内電極100は、電池容器104(図29C参照)の外電極材料102のリング内側に配置することができ、その後、カソード材料106の内側部分を、空所に配置した中空マンドレル又はその他のノズルにより空所に導入し、カソード材料がその中に充填されたらこれを引り外す。
【0130】
或いは又、電池ハウジング104内に折り曲げた内電極100を挿入する前に、内側電極材料106の細長状物質をより開いた空隙に挿入することができ(図30A参照)、折り曲げた内電極100及び内電極材料106の細長状物質を圧縮して、単一の電極半アセンブリ108とし(図30B参照)、その後、外電極材料102のリング内及び電池容器104内に配置する(図30C参照)。
【0131】
ここに説明した粒状カソード材料を用いる多くの例は、電解質の追加と追加ウェットカソード材料の使用とのバランスを取るために、(ほぼ乾燥した)ペーストアノード構成を採用するのが好ましいことを理解されたい。電解質により生じる内側アノード構成のいかなる膨張によっても、電極アセンブリの公差部分が緊密化され、アノード内電極及び外電極材料間が確実に良好に接触するようになり電池の性能に有利である。
【0132】
特定の実施例を図示し説明してきたが、本発明の精神から大きく逸脱することなく多くの変更例を想定することができ、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、現在の市販の高級AA電池(従来技術)及び本発明による実施例のAA電池に対して種々のANSI型試験を行った際のおおよその放電容量をAhで表すグラフである。
【図2】図2は、ボビン型構造を有する代表的な円筒状電池の断面図である。
【図3】図3は、本発明による実施例の1Aの放電における電池電位対放電容量を従来技術の市販電池と比較して示すグラフである。
【図4】図4A及び4Bは、それぞれ、線形幾何学形状の内電極を組み込んだ本発明の実施例を示す正面断面図及び平面断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明による波形に折り曲げた電極アセンブリを組み込んだ好適例の平面断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの実施例の一部を示す正面断面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aの実施例のアセンブリを示す線図である。
【図5D】図5Dは、本発明の原理による、ハウジング内に装着されるように形成する前の電極アセンブリを示す斜視図である。
【図6】図6は、カソード材料に埋め込まれた波形折り曲げアノードを有する本発明の原理による実施例を示す平面断面図である。
【図7】図7は、本発明の原理による組立手順の種々の段階を示す線図である。
【図8】図8は、本発明の原理によるアセンブリを示す線図である
【図9】図9は、本発明の原理によるアセンブリを示す線図である
【図10】図10は、本発明の原理による、ハウジング内に装着されるように形成する前の電極アセンブリを示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の原理による実施例の組立図である。
【図12A】図12Aは、本発明の原理による内電極アセンブリの組立図である。
【図12B】図12Bは、本発明の原理による外電極アセンブリの組立図である。
【図13A】図13Aは、本発明による折り曲げた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図13B】図13Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図13Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図13C】図13Cは、図13Bの実施例の一部を示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、本発明による折り曲げた電極アセンブリの他の実施例を示す平面断面図である。
【図14B】図14Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図14Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図15A】図15Aは、本発明による1対の折り曲げた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図15B】図15Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図15Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図15C】図15Cは、本発明の原理による図15Bのプリズム状電池を示す組立図である。
【図15D】図15Dは、図15Cのプリズム状電池の組立状態を示す斜視図である。
【図16】図16は、本明細書に説明する実施例5、6、7及び8のプリズム状電池に関する電池放電曲線を表すグラフである。
【図17A】図17Aは、本発明による実施例5、6、7及び8に用いた折り曲げた電極アセンブリの例を示す平面断面図である。
【図17B】図17Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図17Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図18A】図18Aは、本発明の原理による製造方法の観点を示す線図である。
【図18B】図18Bは、図18Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図19A】図19Aは、本発明の原理による製造方法の観点を示す線図である。
【図19B】図19Bは、図19Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図19C】図19Cは、図19Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図20A】図20Aは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【図20B】図20Bは、本発明の原理による製造方法により製造される電池の種々の段階を示す線図である。
【図20C】図20Cは、図20Bに示す電池を製造する際の種々のステップを示す線図である。
【図20D】図20Dは、図20A〜20Cの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図20E】図20Eは、図20A〜20Cの方法と同様にして製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図21】図21は、通常のボビン電池を示す平面断面図である。
【図22】図22は、高電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図23】図23は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図24】図24は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図25】図25は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図26】図26は、実施例9、10及び11により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図27】図27は、実施例10及び12により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図28】図28は、実施例11及び13により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図29】図29A〜Cは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【図30】図30A〜Cは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年10月22日に出願した米国特許出願第10/904,097号に基づく優先権を主張するものである。この基礎米国特許出願は、2004年6月21日に出願の米国特許出願第10/710,135号、2004年6月18日に出願の米国特許出願第10/710,116号、2004年6月18日に出願の米国特許出願第10/710,116号、2004年5月14日に出願の米国特許出願第10/846,020号の一部継続出願であり、また、この基礎米国特許出願は、2003年9月2日に出願の米国仮特許出願第60/499,545号、2003年9月16日に出願の米国仮特許出願第60/503,298号、2003年10月21日に出願の米国仮特許出願第60/513,167号に基づく優先権を主張するものである。これら全ての出願は参考として本願明細書に引用するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、広くは電気化学電池に関するものである。より詳しくは、本発明は、アルカリ電池のような電気化学電池であって、電極構成部材間の表面界面領域を妥当なものとすることにより、高〜中間の電力放電レベルにおける電力及びエネルギー送出能力のバランスをとった電気化学電池に関するものである。
【0003】
発明の背景
二酸化マンガンカソード及び亜鉛アノードに基づくアルカリ電池は、コンシューマ向けの携帯型電子機器に広く用いられている。標準の円筒状フォーマット、例えばAAA、AA、C及びDサイズの主要なアルカリ電池には大きな市場が存在している。これらの製品には多数の利点がある。亜鉛及び二酸化マンガンは、安価で安全であり、環境にも優しく、またこの機構により良好なエネルギー密度が得られる。これらの標準的なアルカリ電池製品は、一連の電気製品に対する簡単且つ便利な汎用的な解決策をコンシューマに提供してきた。
【0004】
しかし、近年においては、PDA、MP3レコーダ及びプレーヤ、DVDプレーヤ並びにディジタルカメラといった新規な携帯型電子機器が急速に普及してきた。また、携帯型電子機器をより小さくより軽量にしようとする傾向もあり、それによれば搭載される電池のサイズが制限されてしまう。これらの新しい装置の多くにおける電力消費は、例えばトランジスターラジオのような従来の装置と比べて、連続的でより高い電流又はパルス電流を必要とするものである。通常のアルカリ電池、又は高級なアルカリ電池であっても、より高いドレイン率では、蓄積エネルギーを効率的に供給することができない。
【0005】
図1(部分A)は、種々のコンシューマ向け電子機器の負荷をシミュレートするための5つの放電条件(アメリカ規格協会試験、Reference ANSI C18.1M、Partl-2001に基づくもの)下において、市販の高級アルカリAA電池が供給しうる容量を示す。低ドレイン率(ラジオ/43オームの放電)におけるAAサイズのアルカリ「ボビン」電池は、その理論容量(約3Ah)のほぼ全てを供給する。中間の負荷(コンピューターゲーム/250mAの放電、自動玩具/3.9オームの放電)では、理論容量の約2/3になる。高ドレイン率(カメラのフラッシュ/1Aのパルス、デジタルカメラ/1Aの連続放電)では、理論容量の1/2しか提供できない。
【0006】
高率放電におけるこれらの非効率性は、通常のアルカリボビン電池構造の内部抵抗及び電気化学的制限に関係している。内部の充填処理や、電極のイオン導電率や、基本的な設計自体を最適化することにより、通常のアルカリボビン電池のエネルギー容量を向上させようとする多大な努力がなされてきた。
【0007】
図2に示すように、代表的な二酸化マンガン−亜鉛のアルカリボビン電池10は、円筒状の内部空間を規定するスチール缶12であって、任意に缶の内面に導電被膜を被覆した当該スチール缶12と、この缶12の中に圧入された複数の中空円筒ペレット16により形成されている二酸化マンガンカソード14と、このカソード14の中空内部に配置されたアノードゲルで形成された亜鉛アノード18と、これらアノード18及びカソード14を分離する円筒状セパレータ20といった主要ユニットを有する。この電池内に所定量加えられた水酸化カリウム、KOH、電解質の存在によりアノード及びカソード間がイオン導電性になる。
【0008】
缶12は底部において封止されており、正端子として作用する中心円形ピップ22を有する。この缶12の上端部は、電池封止アセンブリによりハーメチック封止されており、この電池封止アセンブリは、薄肉の金属シートにより形成された負口金24と、この負口金24に取り付けられており且つアノードゲル内に深く貫通してアノードと電気接触する電流コレクタネイル26と、缶12から負口金24を電気的に絶縁すると共にカソード及びアノード構造体を越えて形成されたガス空間を分離するプラスチックの頂部28とを有する。セパレータ20の材料は、積層材料又は複合材料或いはこれらの組合せから構成しうる。セパレータの材料は、代表的には、電解質で濡らすことができる吸収性の繊維シート材料を含むものとし、絶縁材料は、小さな粒子は通さないがイオン透過性を保持するものとする。
【0009】
ボビン電池の構造は、低コストで高速な製造を可能とする簡単な設計である。通常のボビン電池におけるアノード及びカソード間の表面積は、アノード及びカソード間にあるセパレータの円筒の幾何学な表面積により定められてしまう。つまり、ボビン電池では、真っ直ぐに介在するセパレータの円筒形状により構成されるアノード対カソードの界面の表面積(Si)は、必然的に、缶の円筒状壁部により形成される外側表面積(Se)より小さくなる[(Si)/(Se)<1]。
【0010】
電池分野において、電気化学電池の電極の表面積及び電極間の面積は、重要な設計要素として理解されたい。その理由は、アノード及びカソード間のイオンの質量移動流(通常は、電子の移動又は化学動力より遅い)が物理的プロセスを定める比率となりうるためである。アノード及びカソード間の表面積並びにイオン導電率だけではなく、電極内部の表面積及び細孔率も重要である。
【0011】
円筒状電池内の電極及び界面の面積を大きくしうる構成がある。ボビン電池の代わりに最も広く用いられている円筒状電池の設計は、スパイラルに巻回させた又はゼリーロールの構造であり、この構造は電池ハンドブックによく説明されている[D.Linden及びT.B.Reddy氏編McGraw−Hill第3版(2002)]。この構造においては、薄肉細条のアノード及びカソードがこれらの間にあるセパレータと共に互いに緊密に巻きついている。電極は数10ミリメートルもの薄さにすることができ、スパイラルに巻回させた円筒状電池においては、アノード対カソードの界面の表面積を、缶の円筒状壁部により形成される外側表面積の数倍にすることができる[(Si)/(Se)>>1]。界面の面積をより大きくすることは、更なる複雑性を伴い製造コストを犠牲にすることにより成り立つ。スパイラルに巻回させることにより、アノード、カソード及びセパレータを精度よく配列する必要が生じ、「ボビン」構造の電池よりも生産性が下がり、設備投資費用がより大きくなる。通常、スパイラルに巻回させる構成は材料の経済的利点を無駄にしてしまうおそれがあるためMnO2/Znアルカリ電池には適用されないが、リチウム黄鉄鉱(LiFeS2)電池のような非再充電システムや、再充電可能なニッケルカドミウム(NiCd)電池や、ニッケル水素(NiMH)電池といったより高級な電気化学システムに利用される。
【0012】
スパイラルに巻回させる構成の他の妥協点は、必要とされるセパレータ及び電流コレクタの量がより多くなり、この構成を採用しなければ活性材料が利用しうるはずの容積が占有されてしまうことである。標準寸法の円筒状電池の容積は決まっているため、エネルギー蓄量を最大にするには、活性材料及び電解質を最大にして形成するのが最も効率的である。ボビン電池においては、セパレータ含量が少なく電極が厚肉であることに加えて、真鍮ネイルのアノード電流コレクタと、円筒状の容器壁部との接触によるカソード電流コレクタとが、内部空間に著しく侵入することがない。
【0013】
従って、ボビンの構成からスパイラルに巻回させる構成に変更することにより、内部電極の表面積及び電力容量が増大するが、電池のエネルギー蓄量も少なくなってしまう。スパイラルに巻回させた構造によれば、20C程度の放電率において最も効率的にエネルギーを供給することができる(Cは、アンペア時を時間で割った電池の定格容量に等しい電流を意味する)。このような高率放電能力は、動力工具のような用途に対しては必須のものとなりうるが、通常のコンシューマ向け電子機器に対しては必要なものではない。ディジタルカメラのような装置でさえも、通常は1/3〜1C程度のより穏当な放電率で動作する。
【0014】
より費用のかかるスパイラルに巻回させた構成の電池は、多くの携帯型電子機器用途には過剰設計となるおそれがある。しかし、広いコンシューマ用途に対する汎用的な解決策という競争上の利点を有する亜鉛アノード及び水酸化カリウム電解質を具えるアルカリマンガン電池については、より高いドイレン率においてより良好なランタイムを有することが必要とされている。アルカリ電池に関する近年の特許文献の多くは、この問題を解決しようとするものである。
【0015】
電力容量を向上させるために、材料及び電極製剤による方策の他に、通常のボビン電池を変形してアノード及びカソード間の界面の面積を増大させようとする多くの方策が採用されてきた。例えば、米国特許第5,948,561号明細書(Urry氏)には、V字状に折り曲げた管状セパレータを分割するカソード活性材料を被着した二分導電プレートを使用することが開示されている。米国特許第6,261,717号明細書(Luo氏等)及び米国特許第6,514,637号明細書(Treger氏等)にも、カソードペレット内に成型される複数アノードキャビティを形成することが説明されている。米国特許第6,326,102号明細書(Getz氏)には、セパレータに入れたカソードペレットの内側及び外側の輪郭部分と接触する2つの分離亜鉛アノード構造体を有する比較的複雑なアセンブリが開示されている。米国特許第6,074,781号明細書(Jurca氏)及び米国特許第6,482,543号明細書(Shelekhin氏等)には、カソードペレットの内部に段差を付けること又はカソードペレットの内面に等高線を設けることが記載されている。米国特許第6,482,543号明細書(Shelekhin氏等)、米国特許第6,472,099号明細書(Lee氏等)及び米国特許第6,410,187号明細書(Luo氏等)には、枝分れ又は切れ込みを付けた内部電極構造体が開示されている。
【0016】
これら全ての設計戦略とも、効果的に増加させうる表面積に限界があり、通常のボビン電池における実用的な設計から逸脱した追加的な複雑性を伴うものである。あるものは、より大きな表面積を達成しうるが、電池のバランス変化を犠牲にしエネルギー含量が低減してしまう。複数キャビティ又は複数電極を用いる構成は、より複雑な電流コレクタ及び封止端部を必要とする。より複雑な幾何学形状にすると、方向的な条件が加わることとなり、組立てに際してより複雑な工具及び機械が必要になる。複雑な幾何学形状は、特に高速での製造においてセパレータを均一且つ堅実に形成するのが難しくなるおそれがあり、共形(コンフォーマル)の被膜を内側に設けるといった通常でないアプローチが必要になるおそれがある。
【0017】
例えば、枝分れ又は切れ込みを付けた構成では、切れ込みを薄肉にしないと表面積を増大させる能力が限定されてしまい、このようにするとセパレータ及び充填剤に均一にゲル化アノードを付けるのがより困難になってしまう。切れ込み又は枝分れを薄肉にせず且つ長くもしない場合には、表面積があまり大きくならず、アノード及びカソード構造の断面積の変化による電池バランスの変化をあまり効率的に行えないおそれがある。カソードペレットを整列させる場合や、切れ込み付けたペレットが破損した場合には製造が困難になるおそれがある。
【0018】
代表的なボビン電池及びスパイラルに巻回させた電極構成に関連する前述の問題は、電池の構造が円筒状である場合に限らない。製品の外形をより薄肉にし、電池のコンパートメント空間をより効率的に使用しようとすると、薄いプリズム状(方形)の電池フォーマット及び自由形態の電池フォーマットを使用する傾向に拍車がかかる。ボビン電池及びスパイラルに巻回させた電池構造の場合と類似する問題は、プラスチック電池に関しても存在しており、このことは例えばバッテリハンドブックに記載されている[D.Linden及びT.B.Reddy編McGraw−Hill第3版(2002)セクション2.3.11]。プリズム状電池の最も簡単な設計では、対向する一体成形のアノード及びカソードの物質が、介在するセパレータの境界を跨いでイオンを交換する。例えば、米国特許出願公開第2003/0157403号明細書(Shelekin氏等)には、対向する一体成形の電極物質を具える薄肉のIEC7/5F6サイズのアルカリ電池が記載されており、ここではアノード及びカソード間の界面の総面積が、電池の投影断面積より小さくなっている。従って、このような構成は、上述した電力特性の問題を解決するものではない。
【0019】
プリズム状電池構造における電力増大の為の2つの設計変形例が存在する。巻回させる電池構造は、電極の細条を平坦なマンドレルに巻回させた後、電池容器内に配置する前にこれを圧縮することで構成することができる。或いは又、アノード/カソードを交互に積層させた電極プレートのアセンブリにより電極が電池内で並列に接続されるようにすることで、プリズム状電池内の表面積を増大させることができる。しかし、これら方法の双方とも、簡単なボビン電池よりも複雑で製造に費用がかかる。
【0020】
プリズム状電池の場合には、内圧に関連して更な構成を検討する必要が生じる。アルカリ電池製品は、全ての予想された使用条件及び全ての充電状態下で、最大許容寸法内に維持されねばならない。これらの製品には安全通気孔が組み込まれているが、通常の広い使用条件下ではこれらは事実上封止されている。従って、アルカリ電池容器の壁部は、電池の電気化学変化に伴うガス発生又は膨張により生じるいかなる内圧をも収容するように十分に構成する必要がある。これに対応する構成として、ガス発生量の少ない亜鉛を使用したり、膨張に対する内部自由容積部を設けることがありうるが、この場合構成のバランスが容器の機械的強度に依存することになる。
【0021】
円筒状容器は、周方向への応力を一様に分散させて放射ひずみを低減させるように作用する効果的な圧力容器であり、このような円筒状のアルカリ電池では壁部の肉厚をわずか0.008”にすることができる。しかし、プリズム状の形態は内圧に対応するのに有効なものではなく、長い壁部の中間でゆがみが最大となる不均一な隆起が生じるおそれがある。容器の肉厚を増すことで容器の隆起を防止することができるが、このことにより活性電極物質が利用可能な内部容積が少なくなってしまう。
【0022】
従来技術の多くの欠点を説明してきたが、本発明は、特にこのような従来技術の欠点を解決することを目的とするものである。
【0023】
発明の開示
アノード及びカソード間の表面領域を増大させる電池構造を採用することにより、代表的な円筒状又はプリズム状のアルカリ電池の多量のエネルギー含量及びその他の特徴を維持しながら、中間範囲の放電電力レベルにおける容量稼働率を大幅に向上させた円筒状又はプリズム状のアルカリ電池のような電池を提供する。本願明細書において具体的に説明する本発明の原理によれば、本発明の特徴は、内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを有する電気化学電池にある。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置されており且つセパレータによりカプセル化された内電極を有する。この内電極は曲線状に構成されており、内電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。外電極は、内電極とイオン的に連絡し且つ電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡するようにハウジングの内部空間内に配置されている。
【0024】
本発明の他の例は、アノード及びカソード間の表面領域を増大させる電池構造を採用することにより、代表的な円筒状又はプリズム状のアルカリ電池の多量のエネルギー含量及びその他の特徴を維持しながら、高放電率における容量稼働率を大幅に向上させた円筒状又はプリズム状のアルカリ電池のような電池を提供することを目的としている。本願明細書において具体的に説明する本発明の原理によれば、本発明の特徴は、内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを具えている電気化学電池にある。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置されており且つセパレータによりカプセル化された内電極を有する。この内電極は折り曲げられた構成をしており、内電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。外電極の一部は、内電極とイオン的に連絡し且つ外電極の第1部分と電気的に連絡するようにハウジングの内部空間に配置されており、この外電極の第1部分は電池ハウジングの第1端子と接触している。
【0025】
本発明の特別な態様によれば、内電極は、曲線状幾何学形状に構成されており、ハウジングの内面は第1端子と電気的に連絡しており、この第1端子と外電極との間の電気的な連絡は、外電極とハウジングの内面とを接触させることで確立されており、内電極はアノードであり、外電極はカソードであり、第1端子は正極性を有し、第2端子は負極性を有している。
【0026】
本発明の他の観点によれば、内電極及び外電極が互いに結びついて内電極表面領域(Si)を規定し、電池ハウジングが更に、外面領域(Se)を規定する外面を更に有する。内電極表面領域対電池のハウジングの外面領域の比率(Si/Se)は、約2〜約8の範囲にある。
【0027】
本発明の更に他の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングと、このハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリとを有する。この電極アセンブリは、折り曲げられた構成を有し且つセパレータによりカプセル化された内電極と、この内電極の折り曲げられた構成と絡み合う折り曲げられた構成の外電極とを有する。この電極アセンブリは、当該電極アセンブリの外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0028】
本発明の更に別の観点によれば、電気化学電池は、内部空間と、第1端子と、第2端子とを規定する円筒状の電池ハウジングを有する。この電池は更に、このハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリを有する。この電極アセンブリは、一対の外電極と、セパレータによりカプセル化された内電極であってこれら外電極の間に配置された当該内電極とを有する。この電極アセンブリは、各電極が他方の電極と互いに絡み合うように折り曲げられた構成を有する。この電極アセンブリは、当該電極アセンブリの外延部が、円筒状の電池ハウジングに概ね従うように形成されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0029】
本発明の更に別の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングを有する。この電池は、線形幾何学形状に構成されてハウジングの内部空間に配置された内電極を更に有し、この内電極の断面積は当該内電極の外面領域より小さくなっている。この内電極はセパレータによりカプセル化されており、ハウジングの第2端子と電気的に連絡している。この電池は、ハウジングの内部空間に形成され配置された外電極材料を更に有し、内電極がこの外電極材料内に埋め込まれるようになっている。この外電極は、内電極とイオン的に連絡しており、電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0030】
本発明のまた別の観点によれば、電気化学電池は、内面と、第1端子と、第2端子とを規定する電池ハウジングを有する。この電池は更に、ハウジングの内部空間内に配置された電極アセンブリを有する。この電極アセンブリは、セパレータによりカプセル化された内電極と外電極とを有する。これら電極は、一緒に絡み合って界面領域を形成しており、電極アセンブリの外延部が電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように圧縮されている。この内電極は、ハウジングの第2端子と電気的に連絡しており、外電極は、ハウジングの第1端子と電気的に連絡している。
【0031】
本発明の原理による電気化学電池の製造方法も想定されている。本発明の特定の態様によれば、内部空間、第1端子及び第2端子を有する電池ハウジングを設けるステップと、ほぼ平坦な構成の内電極であって、セパレータによりカプセル化された当該内電極を設けるステップと、ほぼ平坦な構成の外電極を設けるステップと、この外電極を内電極に隣接して配置するステップと、これら内電極及び外電極を一緒に折り曲げて折り曲げ構成にするステップと、内電極を、これら電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される輪郭に概ね従うように形成するステップと、これら電極をハウジングの内部空間内に配置することにより、外電極が当該電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡し、内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップとを有する電気化学電池の製造方法を提供する。
【0032】
アルカリ電池の電極半アセンブリ及び内電極の他の組立方法は、平面状の電極を曲線状幾何学形状に形成する処理を有する。この平面状の電極を、中空マンドレルにより握持し少なくとも1つの空間領域を有する所望の形態に回転させる。折り曲げた内電極は、電池容器の外電極材料のリング内側に配置することができ、その後、内側カソード材料を、少なくとも1つの空間領域に配置した中空マンドレル又はその他のノズルによりこの少なくとも1つの空間領域内に注入し、このカソード材料を充填したらこれを取り外すことができる。或いは又、電池ハウジング内に折り曲げた内電極を挿入する前に、内電極材料からなる細長状物質を少なくとも1つの空間領域内に挿入することができ、この内電極材料からなる細長状物質と内電極とを圧縮して、単一の電極半アセンブリとし、その後、これを電池容器の外電極材料のリング内に配置することができる。
【0033】
本発明の原理による他の方法も想定される。
【0034】
本発明の原理による電気化学電池の製造方法は、自動高速生産に容易に適用することができる。これらの1つ以上の方法は、通常のボビン電池製造工場におけるある種の単位操作を、同等の処理能力を維持しながらこの通常のボビン製造工程に類似した他の操作に置き換えることを想定しうるものである。
【0035】
本発明のこれらの及びその他の態様は、明細書、図面及び特許請求の範囲を検討することで明らかになるであろう。
【0036】
好適例の詳細な説明
本発明は多くの異なる形態を採用しうるものであり、図面及び明細書に説明する1つ以上の特定例は、本発明の原理を例示するものであり、本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0037】
本発明は、円筒状電池のような電池の簡単で効果的な構成であって、ボビンの構成とスパイラルに巻回させる構成との中間のバランスのよいエネルギー及び電力特性を有しながらも、上記構成の双方の利点、すなわち安価で製造が容易であり、且つ高い電力を具え、エネルギー効率に対する大きな内部容積利用率といった利点を保持する構成を提供するものである。本例において、このことは、より薄肉で高いイオン導電率の電極構造を利用すると共に、アノード対カソードの界面の面積を顕著に但しバランスのよく増加させることにより達成される。本発明は、AAA、AA、C、Dその他を含む種々の電池サイズに適用することができるバランスのよいアルカリ「改良」ボビン電池の構成を提供するものでもあり、それによりより高いドレイン率における利用可能な容量がより高くなると共に、好適なエネルギ貯蔵特性が保持される。
【0038】
本発明による容量がより高くなる利点は、図1に例示される。図1は、本発明により、より高いドレイン率におけるAAサイズの円筒状電池の稼働率プロファイルが市販の高率アルカリボビン電池と比べてよりバランスのよいものとなることを示している。図1の例においては、ANSI(アメリカ規格協会)のディジタルカメラ試験において理論容量の約50%即ち1.5Ahが得られると共に(図1の部分Aに示すように代表的な通常のボビン電池では25%である)、自動化玩具の場合のように穏当な比率(3.9オーム)の試験でも少なくとも同等の放電容量が達成されている。最も低い放電率においてのみ、見かけ上放電容量が下がるおそれがあることが示されているが、それでも通常のアルカリボビン電池の代表的な低ドレイン率の容量又は理論容量のまだ少なくとも70〜80%はある。従って、C/2〜C/3の放電率では理論容量の約50%以上の放電容量を得ることができ、C/10の放電率では理論容量の70%を超える放電容量を達成することができる。
【0039】
図3は、本発明の原理による電池の電圧曲線と、通常のアルカリ電池の電圧曲線とを、同じ放電条件下で比較したものである。図3から分かるように、本発明の原理に従う電池は、1アンペアの放電において1.0ボルトのカットオフまでに通常のアルカリ電池の約2倍の容量を提供するもので、これは3.9オームの抵抗を通じて放電を継続させた場合の累積容量にほぼ等しいものである。
【0040】
エネルギーと電力の比率をバランスのとれたものとする本発明の特徴を確かめる効果的な方法は、組立てた電池に対してある種の試験を行うことである。総容量送出能力を評価するために使用する特定の試験方法は、高い放電率で性能を評価した後に低い放電率で性能を評価する一連の放電ステップを有するものである。AAサイズの電池に対する試験は、(1)1.0Vの電圧カットオフまで1.0Aで連続的に放電するステップと、(2)30秒の開路試験を行うステップと、(3)0.8Vのカットオフまで1.0Aで連続的に放電するステップと、(4)30秒の開路試験を行うステップと、(5)0.7Vのカットオフまで3.9オームで放電を行うステップとを有する。この試験は、本願の出願人においてはDCC4STP2試験として識別されている。他のサイズの電池も同様に試験することができるが、電池サイズの容量に応じて電流レベルを増大又は低減させる。
【0041】
本発明を用いた電池と通常のボビン型アルカリ電池とに対してこの種の試験を行うことにより、これらの性能差をはっきりと立証することができる。容量送出比(CR)は、試験における送出総容積(CT)を、1.0Aにおいて1.0Vまで送出された容量(C1V)で割ることにより算出することができる。本発明は、効果的な線形幾何学形状及び薄肉の内電極を採用しているため(薄肉とは内電極の外面領域より断面積が大幅に小さいことを意味する)、容量比(CR)は通常のボビン型アルカリ電池において達成されるものより著しく高くなる。
【0042】
本発明の原理に従う電池装置が通常の電池に対して有する複数の性能上の利点を示してきた。本発明の原理に従う電池装置については以降に説明する。複数の図面を通じて同様の部分には同様の参照番号を付してある。図4A及び4Bは、本発明の可能な一実施態様である埋め込み内電極の構成を示すものである。
【0043】
図4A及び4Bを参照するに、電池30は、この電池30の内部空間31bを規定する電池ハウジング31aを有している。この電池ハウジング31aは、電池30の電気接続を構成し且つ電池30の他の素子と電気的に連絡している第1端子T1及び第2端子T2を有する。この電池30は、例えばアノードである内電極32を更に具えており、この内電極32は、星状の形態の線形幾何学構成とした薄肉断面32Aを有しており、複数の線形素子32Bを利用している。薄肉の断面(すなわち同様の平面における電池ハウジングの断面に対する線形素子の厚さ寸法)を有する線形素子又は他の類似素子を具える交差状その他の任意の幾何学形状のような他の線形幾何学構成を採用することができる。好適例において、内電極の厚さ寸法は、厚さ寸法の方向に平行に切り出した場合に、電池ハウジングの断面の最大スパンを跨いで延在する寸法より実質的に小さくなるようにする。好適例において、この内電極32は、活性材料、導電材料及び添加剤から形成した多孔性の固体押出複合材を有する。この内部には電流コレクタ33を設けることもできる。この内電極32は、ハウジング30の内部空間31bの中で配置されている。この内電極32は、セパレータ34によりカプセル化されており、ハウジング30の第2端子T2と電気的に連絡している。カソード材料のような外電極材料35は、ハウジングの内部空間31b内に形成及び配置されて外電極36が形成されており、それにより、その内側に内電極32が埋め込まれるようになっている。この外電極36は、内電極32とイオン的に連絡しており、電池ハウジング30の第1端子T1と電気的に連絡している。外電極内に内電極を埋め込むことにより、電極界面が規定されることになり、この電極界面は内電極の表面領域により更に規定することができる。図4A及び4Bに示すように、このような電極の幾何学形状により、アノード対カソードの界面の面積がバランスよく顕著に増加する。更に、内電極の薄肉の断面により、イオン導電率の高いより薄肉の電極構造体が得られる。電池の動作特性は、電極の幾何学形状を変更して電極間の界面の面積に影響を与えることで変化させることができる。
【0044】
内電極32を多孔質の固体構造体としているため、素子32Bは、従来技術における切れ込み又は枝分れを付けた構成より薄肉で長くすることができる。例えば、AA電池においては内電極32を、僅か0.040〜0.080インチの厚さの薄肉の素子32Bを有する形状に押出成形することができるが、通常のAAアルカリ電池の同等のアノードでは直径が約0.30インチとなる。この場合、内電極32は素子32Bの各側からアクセスしうるものとなり、最大有効拡散厚さは全厚さの半分に匹敵する。固体の内電極を用いることにより、(従来技術の構成のように狭い空所をゲルで満たす必要がなくなるため)より薄肉の幾何学形状の素子が得られるというだけでなく、(従来技術の構成のように複雑な幾何学形状の外電極の内面にセパレータを取付けることなく)共形に被覆したセパレータ34を、浸漬又は噴霧処理により内電極32の外面37に被着することもできる。この場合、外電極36は、内電極32が電池ハウジング31の外にある状態において又は内電極を電池ハウジング31内に配置した後で、内電極32を内部に入れたセパレータの周辺に被着することができる。ハウジング30内に外電極を被着させる例においては、線形幾何学形状の構成を有するアノードの形態の内電極32を、ハウジング31に挿入して、その後、このハウジングをカソード粉末で充填しプレスして埋め込み内電極32を形成することができる。
【0045】
電池ハウジング内に内電極及び外電極を埋め込む他の方法は、ハウジングの外側で電極を共に湾曲させ又は折り曲げて電極の幾何学形状を形成し、これら電極をハウジングに従う形状又は輪郭に成形して、その後これらを一緒にハウジング内に挿入する方法である。図5A〜5Dを参照するに、本発明の好適例は、簡単な幾何学形状の内電極から始めて、これをセパレータで被覆すると共に外電極材料で包囲し、更に電池容器に装着するのに必要とされる幾何学形状を形成することにより実施することができる。図5A〜5Cに示すように、電気化学電池40は、内部空間41bを規定する電池ハウジング41aを有する。この電池ハウジング41aは、電池40の電気接続を構成し且つ電池40の他の素子と電気的に連絡している第1端子T1及び第2端子T2を有する。図5Aを参照するに、この電池は更に、ハウジング41aの内部空間41b内に配置された電極アセンブリ42を有する。電極アセンブリ42は、セパレータ44によりカプセル化された内電極43と外電極45とを有する。これら内電極及び外電極は薄肉の断面を有しており、図5Dに示すような「W」字状の折り曲げられた構成、又はアコーデオンの折り目のような他の折り曲げられた構成を具えており、それによりこれらの各々がかみ合いようになっている。図5Cを参照するに、この電極アセンブリ42は、当該電極アセンブリ42の外延部46が、概ね電池ハウジング40の内面48によって規定される外形47に従うように形成されている。この内電極43は、ハウジング41aの第2端子T2と電気的に連絡しており、外電極45は、ハウジング41aの第1端子T1と電気的に連絡している。内面48は第1端子T1と電気的に連絡すると、外電極45とハウジング41aの内面48との間の接触により外電極45及び第1端子T1間の電気的な連絡を確立することができ好ましい。
【0046】
図5Dに示すように、内電極43はセパレータ44で包むかセパレータを共形に被覆するかして、その後外電極45ではさんで即ち組合わせて電極アセンブリ42を形成することができる。図5Cに示すように、次に、得られた電極アセンブリがハウジング41a内に嵌るように種々の幾何学形状に成形することができる。この場合、内電極及び外電極間の界面は、従来技術の構成の場合のように均一な円筒状にはならず、セパレータで被覆されたカプセル化内電極の表面は、通常のボビン電池の表面積より大きいが、通常のスパイラルに巻回させた電池の表面積より小さくなる複雑な形状となりうる。カプセル化された内電極は、通常のボビン電池より薄肉であるが、スパイラルに巻回させた電池ほど薄肉ではない。この構成によれば、表面積のバランスがより良好になるため、カプセル化された電極に使用されるセパレータ及び電流コレクタが、通常のスパイラルに巻回させた構成の場合より小さくなり、そのことにより、活性材料の利用可能な容積が増え、従ってエネルギー含量が増大する。
【0047】
図6に示す他の例では、内電極43及びセパレータ44を外電極材料に埋め込むことができる。このような例では、ハウジング41a内に内電極43を配置した後に、このハウジング内に外電極材料を設けプレスしてカソード材料内に埋め込まれた内電極43を形成することができる。或いは又、内電極43及びセパレータ44を、「W」字状の構成ような折り曲げ構成に折り曲げて、その後、概ねハウジング41aの形状に従う幾何学形状に成形することができる。その後、この内電極43は、電池ハウジング41aの形状に概ね従う幾何学形状に押出成形したカソード材料45内に埋め込むことができる。押出成形したカソード材料/埋め込みアノードにより、後で電池ハウジング41a内に配置しうる電極アセンブリが得られる。
【0048】
本発明は、アノード対カソードの界面の面積を増加させるもので、この電池容器又はハウジングの外面領域(Se)に対する内電極表面領域(Si)の比率、すなわち(Si)/(Se)を、AAA又はAAサイズの電池について2〜8の範囲(C又はDサイズのようなより大きい直径の電池についてはおそらくより高くなる)にすることができ、高放電率の特性が顕著に増大する。界面の面積が増大したことにより、内部抵抗が、等価な材料で構成したボビン電池のものの数分の一になる電池の構成が提供される。ここに記載した例において、1KHzで測定したインピーダンスは、通常のボビン電池の70%以下であった。電力及びエネルギー含量がバランスがより良好である、本発明は穏当な放電率において通常のボビン電池のの70〜80%を超えるエネルギー含量を保持すると共に、高電力における稼働率を増大させるものである。
【0049】
本発明の特定例では、通常のボビン電池の等価な内電極よりも平均厚さ測定値をより薄肉にした内電極を提供する。内電極の厚さをより薄肉にすることにより、断面寸法を長くして表面積を著しく増加させうるため、アノード対カソードの電池バランスをほぼ同じ最適状態に維持することができる。内電極の厚さ寸法が低減することにより、拡散距離がより短くなるため電池の電力容量が更に増大する。通常のAAサイズのアルカリボビン電池が有するカソードリングの壁厚は、約0.1〜0.15インチであり、アノードコアの厚さは約0.2〜0.3インチであるのに対し、本発明によるAAサイズのアルカリ電池の有するカソードの厚さは、約0.035〜0.070インチとすることができ、アノードの厚さは、僅か約0.020〜0.060インチとすることができる。
【0050】
本発明の他の利点は、高い放電率における内電極の稼働率が増大することである。通常のボビン電池は、内部の円筒状の幾何学形状のために、高い放電率における稼働率が低くなる。アノードの放電は、セパレータの内面から内径方向に放射状に進行するため、アノード対カソードの界面領域は絶えず減少することになる。この為、放電している内電極表面における電流密度が増えて、移動限界により放電反応のシャットダウンが生じることになる。表面積を増やし内電極を薄肉にすることにより、放電全体を通じての電流密度がより均一に維持されるようになり、内電極材料の稼働率が増大する。
【0051】
好適例において、内電極及び外電極の長手方向寸法は、容器の全内法高さから封止に必要な高さを引いたものにほぼ等しくなり、代表的には内法高さの少なくとも70%になるため、電極複合材料が容器の全長のほとんどを占めエネルギー含量が最大になる。外電極は、ハウジングの内面と直接接触するように形成するのが好ましく、この外電極からの電流収集は、主に金属ハウジングとの接点を介してこのハウジングから行う。内電極はセパレータに入れ、その後外電極マトリックス材料内に埋め込むか、又は内電極とともに形成又はこれにより挟み込み、絶縁リードを取出してハウジング内にこれを挿入し、それにより外電極がハウジングの内部表面と接触するようにする。
【0052】
本発明の実施例の多くが参照するMnO2 /亜鉛のアルカリ電池の場合には、亜鉛アノードを内電極とし、MnO2 カソードを外電極としてこれをハウジングの内面と接触させ正極接点とする。ここでは多くの例で特にアルカリ電池を想定しているが、本発明の原理は、他の電気化学電池及びフォーマットにも適用しうることを理解されたい。
【0053】
本発明の特定例では、二酸化マンガンカソードと、亜鉛アノードと、これらアノード及びカソード間のセパレータと、水性のアルカリ性水酸化カリウム電解質とを有する二酸化マンガン−亜鉛アルカリ電池が得られる。このアノードは、通常のボビン型のアノードよりも拡散距離が短い非円形の断面を有しているため、活性材料の容量が内断面を通じてより分散したものとなり、その累積断面周囲長は電池ハウジングの直径の2倍を超えるものとなる。アノードは、セパレータで包まれ、アノードとハウジングの内面との間の空間を均一に充填するカソードマトリックスに埋め込まれている。この電池では、電力対エネルギーの比率のバランスがとれ、高い放電率における容量稼働率が良好になる。このことは、AAサイズの電池の場合に、1Vまで1アンペアで放電させる試験において1.2Ahを超える結果が得られることで例証されている。
【0054】
一例において、本発明は、ほぼ平面状の又は平坦なセパレータでカプセル化した亜鉛アノードと、1又は2つの平面状カソードとをアコーデオンの折り目状に成型し、その後カソード/アノードアセンブリ全体を電池容器を満たすように成形した電池を提供する。
【0055】
このカソードの構造は、必要な物理的一体性及び電子的伝導率を有し、高速生産における取り扱いが可能であり、折り曲げ部の内側から電池の容器壁部まで良好な電子移動特性が得られるものである。このことは、複合カソードを、導電性充填剤、補強材料、バインダ又は担持ウェブと共に調製することで達成することができる。必要とされる機械的及び電気的特性を達成するための特別な手段として、カソード物質の外面に金属箔若しくはメッシュを被着させることにより、この金属構造がハウジングの内面に対する電気接点、及び折り曲げ部の内部に対する連続的な電気接続を構成するようにすることができる。
【0056】
前述の説明から明らかなように、本発明の原理による電気化学電池の製造方法も想定されている。本発明の特定の態様によれば、(A)内部空間と、第1端子と、第2端子とを有する電池ハウジングを設けるステップと、(B)薄肉でほぼ平坦な構成の内電極であって、セパレータによりカプセル化されている当該内電極を設けるステップと、(C)薄肉でほぼ平坦な構成の外電極を設けるステップと、(D)この外電極を内電極に隣接して配置するステップと、(E)これら内電極及び外電極を一緒に折り曲げて折り曲げた構成にするステップと、(F)内電極を、これら電極の外延部が、電池ハウジングの内部空間により規定される外形に概ね従うように形成するステップと、(G)これら電極をハウジングの内側空間内に配置することにより、外電極が、当該電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡し、内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップとを有する電気化学電池の製造方法が提供される。
【0057】
本発明の他の特定の態様によれば、外電極をハウジング内に形成する場合の電気化学電池の製造方法も想定されている。この製造方法は、(A)内部空間と、第1端子と、第2端子とを有する電池ハウジングを設けるステップと、(B)線形幾何学形状の構成の薄肉断面を有し且つセパレータによりカプセル化された内電極を設けるステップと、(C)この内電極をハウジングの内側空間内に配置して、当該内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡するようにするステップと、(D)電池ハウジングの内部空間内に外電極材料を配置して、その中に内電極が埋め込まれるようにすると共に、外電極をハウジングの第1端子と電気的に連絡させるステップと、(E)電池ハウジングの内部空間内に配置したこの外電極をプレスするステップとを有する。
【0058】
その他の方法及び上記特定の方法の変型が本願発明の範囲内のものとして想定されていることは、ここに説明したことを検討すれば当業者に理解されることである。
【0059】
図7は、簡単な幾何学形状で方向性の要求の少ない部品から本発明の一実施形態を製造する一連のステップの手順を示す。図7(ステップI)において、平面状カソード/セパレータで包んだアノード/カソードの積層体を成形ダイに配置し、各カソード上の金属基板が積層体の外方に向くようにする。図7(ステップII)及び(ステップIII)において、成形ブレードをダイのキャビティに押し入れて積層体を折り曲げ成形する。図7(ステップIV)は、ハウジング又は缶に挿入する前の、積層体を圧縮成形する最終的な成形操作を示す。
【0060】
本発明による特定例では、好適例を得るための簡単な製造方法を提供する。特定例によれば、2つのカソードを、ダイパンチメタルの基板上に成形し、中央に配置したセパレータに入れたアノード構造体に隣接して配置する。このように配置することで、これら電極が組合わさり、電極の長手方向軸線に対して垂直な方向に適用される成形ダイにより成形される。最終的なダイは同心状のクラムシェル(貝殻状のもの)とし、円筒などの電池ハウジングの形状又は輪郭に従うように、電極の外延部を形成する。成形後、成形ダイを僅かに開いて、円柱状に形成した一体化電極を、この成形ダイに隣接して配置した電池ハウジング内に挿入する。このハウジング内に電極アセンブリを配置した後、追加的なKOH電解質を、ハウジングの開放頂部から加えて、次の操作手順に移行する際にこれが電極内に吸収されるようにする。この段階の一部組み立られた電池は、ハウジングの頂部から突出する中央に配置された絶縁アノードリードワイヤを有する。このリードは、プラスチックの底部封止部の中央を通過して底部カバーの内面に結合されており、封止部上で適切に配置されるよう指向されている。電池の封止及び仕上げ操作は、通常のボビン電池のものと同様である。
【0061】
本発明の改良された電池を形成するステップは、オートメーション化した高速の製造工程にも容易に転用することができる。このような成形手順としては、通常のボビン電池製造工場におけるある種の単位操作を、通常のボビン製造工程に類似した1つ以上のステップにより置き換えたものを想定しうる。カソード及びゲル化亜鉛アノードを混合する工程は、通常のボビン電池を製造する場合とかなり類似していると考えられる。ある種の変形ボビン電池組立工程の操作は、現在使用されている基本的な製造設備の形態を変更して同等の処理能力で実施することさえできる。
【0062】
本発明の原理を説明し例証するために複数の実施例を記載する。以下の実施例は、ディジタルカメラ用途においてより長いランタイムを提供しうる汎用のMnO2/ZnのAAサイズ電池、すなわち、通常のMnO2/ZnのAAサイズの電池と比べて、1Vまで1Aで放電させた際により多くの容量を提供しうる電池に関するものである。更に、電池のエネルギー含量は、穏当な比率(3.9オーム)の放電においてもなおかなりの容量が利用可能なように極端に妥協したものとはなっていない。これら実施例の電池は、0.8Vまで1Aで放電することにより試験し、電池電位が1Vに到達した際の容量を記録することによりANSIのディジタルカメラ試験をシミュレートした。30分放置した後、3.9オームにおいて0.7ボルトまで追加的に放電させるステップを行う。以下の表1に示す1Vまで1Aで放電させた際の容量(C1V)と、全送出容量(CT)と、容量比(CR)とは、高率及び低率の容量稼働効率を示す。表1のデータは、本発明の具体例に関するものであり、本発明により、低率の試験おける稼働率に影響を及ぼさずにディジタルカメラ試験における稼働率が増大することが示されており、従来技術に対する本発明の利点が立証されている。
【0063】
【表1】
【0064】
これら実施例は、標準サイズのNi被覆スチール缶のAAサイズの電池に関するものである。カソード製剤は任意の種類のものとすることができ、代表的には、EMD(γ−MnO2)と、導電性粉末と、バインダ及び電解質のような他の添加剤である残り部分とからなる主要なアルカリ電池のものとする。電解質は、通常4N〜12Nの水酸化カリウムの水性アルカリ溶液とする。電解質には、溶解した酸化亜鉛やZnOや界面活性剤及びその他の添加剤を含ませて、負電極内で活性化された亜鉛がガスを発生する量を抑制することができる。
【0065】
実施例1〜6で使用するMnO2 のカソード製剤は、重量基準で、69.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のアセチレンブラックと、2.6%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、22.4%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。混合処理は、Readco社のミキサー、ボールミル又は他の好適なミキサーで行った。このカソード前混合物は更に、1gのPTFE−30の懸濁液及び10gの9NのKOH溶液に対して100gの混合物となるような比率に混合して、ペースト特性を改善してNi基板に対する接着性を向上させた。標準基板は、アニールしていないエクスパンディッドメタル(Dexmet3 Ni5−077)とした。Carverプレス器において、7グラムのカソード製剤を基板上へ押圧し、約0.047インチの厚さのカソードアセンブリを得た。プレス処理の際に電解質の一部(約0.5〜1.0g)が失われた。
【0066】
実施例1
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を付けた埋め込み式」の構成に関するものである。この例では、アノードとして、多孔性の固体電鋳亜鉛を使用している。全ての実施例について図8〜11を参照しており、平面状の電鋳亜鉛を、約1.5”W×1.625”Hのアノード半アセンブリ51として使用している。この電鋳亜鉛アノード半アセンブリ51は、絶縁リード62を取付けた銀若しくは銅の薄肉金属基板64上に、酸化亜鉛/バインダスラリー63をペーストし、その後、アルカリ浴中で電鋳することにより形成した。その後、このアノード半アセンブリ51を洗浄し乾燥して、Scimat700/70セパレータ52のパウチで熱封止しアノードアセンブリ55を形成した。使用したアノードは乾燥状態で約4.7gであり、基板及びリードを含んだ乾燥状態で0.045インチの厚さであった。乾燥したアノードアセンブリ55を、緩やかな波形の「W」字状態53に折り曲げる前に、少なくとも1時間に亘り9NのKOHに浸漬した。パンチメタル基板54上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物56になるよう折り曲げ、波形積層体57の形態の電極アセンブリを得た。この波形積層体57を、電池ハウジング又は缶59に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒形状58にプレス成形した。電極積層体57の厚さは、成形後に缶59を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶59に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。この電極積層体を缶59に挿入した後、この缶59の上部に封止ビード60を成形した。アノードリード62を蓋63に取り付け、缶を封止して完全な電池64を形成した。
【0067】
実施例2
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、特にアノード半アセンブリにペースト亜鉛を使用した構成を説明するものである。アノードは、押出成形又はペースト処理を用いて亜鉛粉末からアノードシートを形成することで製造する。アノード半アセンブリは、粉末状の金属亜鉛若しくは亜鉛合金及び酸化亜鉛を、Kratonバインダ及びShellsol溶剤と共に混合することにより調製した。この混合物を、リードを取付けた厚さ0.002インチの穿孔銅箔基板上にペーストし、溶剤を蒸発させた。その後、この半アセンブリを、SM700/70セパレータで包んでアノードアセンブリを形成した。乾燥したアノードアセンブリは、緩やかな波形の「W」字状態に折返す前に、少なくとも1時間に亘り9NのKOHに浸漬した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物56になるよう折り曲げた。波形積層体57を、電池ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0068】
実施例3
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、亜鉛ゲルを使用してアノードアセンブリを形成した構成を説明するものである。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びそれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。リードを取り付けたアノード電流コレクタを、Scimat SM700/79のセパレータから調製したパウチ内に配置し、このパウチ内に7gのゲルを添加し、その後底部を加熱封止しアノードアセンブリを形成した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物になるよう折り曲げた。波形積層体を、電池ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0069】
実施例4
本実施例は、図5A〜5Dに示す「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成であって、亜鉛ファイバを添加した亜鉛ゲルを使用してアノードアセンブリを形成する構成を説明するものである。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、5%のAlltrista 1/8”亜鉛ファイバと、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。リードを取り付けたアノード電流コレクタを、Scimat SM700/79のセパレータから調製したパウチ内に配置し、このパウチ内に7gのゲル/ファイバ混合物を添加し、その後底部を加熱封止しアノードアセンブリを形成した。パンチメタル基板上に被着した2つの平面状MnO2カソードと、9NのKOHに浸漬して被覆部を設けたKC16吸収体とを、アノードの各側にカソードが存在するように配置して、かみ合った状態の「W」字状物になるよう折り曲げた。波形積層体を、ハウジング又は缶に挿入する前に、0.500インチ〜0.515インチの直径のボアを有する圧縮ダイにおいて円筒状にプレス成形した。電極積層体の厚さは、成形後に缶を充填するのに薄肉になりすぎないように、或いは厚肉すぎて缶に挿入する際に過剰に圧縮されて多孔性及び電解質が損なわれないよう調整する。電極積層体を缶に挿入した後、この缶の上部に封止ビードを成形した。アノードリードを蓋に取り付け、缶を封止して完全な電池を形成した。
【0070】
本発明による「波形の折り曲げ部を設けた埋め込み式」の構成の他の例も想定される。例えばアセンブリ及び工程を変えることができ、埋め込み式の「W」字状の構成の性能を最大化するために、アノードの重量、アノードの浸漬時間、圧縮比、カソード製剤、カソード基板及びカソードから缶への電流収集部を「微調整」することができる。ほぼ全ての電池は、従来の標準的な0.5インチの直径のダイに対して調整した0.515インチの直径の圧縮ダイにより製造したが、これは、主として組立中に流失する電解質が少なくなるという明確な知見に基づくものである。電池内に十分な電解質を保持することは、性能を向上させるために重要である。
【0071】
より最適な表面積を得るため及び容器の充填を最適化するために、上記実施例に説明したW字状の折り曲げ構造のものより、電極の長さ又は折り曲げの長さ及び数を変化させることもできる。2つの外側のカソードアセンブリを使用するのでなく、単一のカソードにより、セパレータに入れたアノードを包み、その後波形構造に折り曲げるともできる。表面積を増大させる他の手段としては、例えばカソード/アノード/カソード/アノード/カソードのような複数層のカソード及びアノードを使用して積層体としたものを波形にするものがある。
【0072】
プリズム状電池の実施例
上記の記載に基づけば、本発明の原理が、プリズム状を含む任意の種類の電池構成又は任意の自由な形態の電池構成においても実現しうるものであることが、当業者に理解されるだろう。しかし、更なる例示のために、複数のプリズム状電池の実施例を以下に詳細に説明する。
【0073】
図12A及び12Bを参照するに、ほぼ平坦な内電極100(図12A)と、ほぼ平坦な外電極102(図12B)とを用意する。図12Aに示す内電極100はアノードとして使用するために構成されており、亜鉛ゲル層106により包囲されており且つセパレータ108によりカプセル化されたアノード電流コレクタ104を有する。アノードに取り付けられた絶縁電気リード110がセパレータ108を通過しており、電池内の内電極との電気的接続を確立するようになっている。図12Bに示される外電極102は、カソードとして構成されており、カソード材料層112及び電流コレクタ114を有する。この外電極102は絶縁電気リード116を有し、電池内の外電極との電気接続を確立するようになっている。図12A及び12Bに示されるように、内電極をアノードとして構成するのが好ましく、外電極をカソードとして構成するのが好ましいが、内電極及び外電極の双方ともカソード又はアノードとして構成しうることを理解されたい。
【0074】
内電極及び外電極100及び102は、特定の用途に応じて多くの異なる形状に構成することができる。内電極及び外電極100及び102は、直線の周縁部を有するほぼ平坦な構造にするのが好ましい。この場合、電極100及び102を一緒に成形して、プリズム状の電池ハウジングのような特定の電池ハウジング(本明細書においては時折缶とも称する)内に装着されるようにすることができる。
【0075】
図13A〜13Cを参照するに、電極100及び102は、プリズム状の又は線形の電池ハウジングに追従するように折り曲げられて形成されている。特に図13Aを参照するに、好ましくは、電極100及び102は折り曲げられてこれらの間が一緒に緊密に接触しており、それにより電極アセンブリ120が形成されている。この特定例では、図13Aに示すように電極100及び102は、W字状の構成に折り曲げられている。しかし、ここに開示した他の実施例から明らかなように、電極100及び102は共に、これら電極100及び102間に界面領域が充分なものとなるのであれば、いかなる種類の構成に折り曲げることもできる。
【0076】
図13B及び13Cを参照するに、この電極アセンブリ120の電極100及び102は、外電極102の外延部122が、概ね電池ハウジング128の内面126によって規定される輪郭124に従うように形成されている。この特定例では、外電極102の外延部122は、ほぼ直線の輪郭に従うように押圧することで形成されている。図13Bに示すように、このような成形により、電池ハウジングの内部空間が殆ど使用されることになると共に、電池ハウジングの内面126と外電極102との間の表面接触も良好になり、それにより、内面126が電池の端子と電気的に連絡している例において電池の端子と外電極との電気接続が良好なものとなる。好適例においては、図13Bに示すように、電極102の外延部122は、電池ハウジングの内面126によって規定される輪郭124にほぼ従い、ほぼ空所のない接触が形成されるように成形されている。
【0077】
図14A〜14Bを参照するに、電極100及び102間を異なる折り曲げ構成にした他の実施例を示す。図14Aに示される電極100及び102は、図13Aに示されるように電極100及び102をW字状の構成に折り曲げるのではなく、三重の折り曲げ構成に折り曲げられて電極アセンブリ130を形成している。図14Bを参照するに、この電極アセンブリ130は、外電極102の外延部132が、概ね電池ハウジング138の内面136によって規定される輪郭134に従うように形成されている。図14Bに示すように、このような成形により、電池ハウジングの内部空間が殆ど使用されるようになると共に、電池ハウジングの内面136と外電極102との間にほぼ空所のない表面接触が得られる。
【0078】
図15A〜15Dを参照するに、第1組の内電極及び外電極140及び142が共に折り曲げられて第1電極アセンブリ144を形成しており、第2組の電極146及び148が共に折り曲げられて第2電極アセンブリ150を形成している更に他の実施例が示されている。この2つのアセンブリ構成は、図15B及び15Cに示すように1つ以上の内部構造部材152を有する電池ハウジング151と共に使用するのを促すものである。これらの構造部材152は、膨張及び内圧による電池ハウジングのゆがみ及び隆起を低減するのに用いられるもので、電池ハウジングの肉厚を厚くする必要をなくすものである。構造部材152は、Niをメッキしたスチールとするのが好ましい。これらの内部構造部材152は、電極アセンブリの導入前又はその後に、ハウジングの内面にスポット溶接することができ、支持体間のビーム長を効率的に短くする。このように、これらの内部構造部材は、膨張及び内圧によるケース壁部の偏向及び隆起を低減させる張力として作用しうる。この内部部材152は、いかなる場合にもハウジングの内面と接触するカソード物質から電気的に絶縁する必要はない。この種の構成により、より薄肉の壁部のハウジングが利用可能となり、それによりエネルギー含量が増大する。
【0079】
本発明によるプリズム状電池構造の動作特性の一部を説明する複数の実施例を説明する。これら実施例は、IEC7/5F6プリズム状のサイズ(6mm×17mm×67mm、0.33mmの壁厚、約15.74mm×63.80mm×4.95mmの内寸)の汎用MnO2/Zn電池に関するもので、これらは0.5〜2Aの放電において高容量を提供しうる。更に、電池のエネルギー含量は、低い比率から穏当な比率の放電においてなおかなりの容量が利用可能なように極端に妥協したものとはしていない。実施例の電池を試験したところ、データにより、本発明は、低放電率の試験における稼働率にほぼ影響を与えることなく、高放電率での稼働率が増大することが示されている。図16は、各実施例における放電曲線を示す。これら実施例は、規定の電池フォーマットに適した標準寸法のNi被覆スチール缶にパッケージしうる電池に関するものである。カソード製剤は任意の種類のものとすることができ、代表的には、EMD(γ−MnO2)と、導電性粉末と、バインダ及び電解質のような他の添加剤である残り部分とからなる主要なアルカリ電池のものとする。電解質は、通常4N〜12Nの水酸化カリウムの水性アルカリ溶液とする。電解質には、溶解した酸化亜鉛(ZnO)や界面活性剤及びその他の添加剤を含ませて、電極内で活性化された亜鉛がガスを発生する量を抑制することができる。
【0080】
実施例に使用したMnO2のカソード製剤は、重量基準で、72.6%のKerr−McGee High Drain EMDと、8.2%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、18.8%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。カソードの構造は、必要な物理的一体性及び電子的伝導率を有し、高速生産における取り扱いが可能であり、折り曲げ部の内側から電池の容器壁部まで良好な電子移動特性が得られるものである。このことは、複合カソードを、導電性充填剤、補強材料、バインダ又は担持ウェブと共に調製することで得ることができる。必要とされる機械的及び電気的特性を達成するための特別な手段として、カソード物質の外面に金属箔若しくはメッシュを被着させることにより、容器壁部に対する電気接点、及び折り曲げ部の内部に対する連続的な電気接続を構成するようにすることができる。混合処理は、Readco社のミキサー、ボールミル又は他の好適なミキサーで行い、Ni基板に対して接着する際に好適なペースト特性が得られるようにした。標準基板は、アニールしていないエクスパンディッドメタル(Dexmet3 Ni5-077)とした。
【0081】
以下の実施例では、電池のアノードアセンブリを形成するために亜鉛ゲルを利用した。
実施例5〜8において、内電極及び外電極の長手方向寸法は、容器の全内法高さから封止に必要な高さを引いたものにほぼ等しくなり、代表的には内法高さの少なくとも70%になるため、電極複合材料が容器の全長のほとんどを占めエネルギー含量が最大になる。プリズム状電池については、カソード重量を約11gとし、厚さを0.041インチとした。プレス処理の際に電解質の一部(約0.5〜1.0g)が失われた。
【0082】
実施例5
本発明の電極アセンブリを用いた試験用の電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ(アノード160、カソード162、ハウジング又はケース164)。カソードアセンブリの重量は、11.11gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出させた。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.22Ahの容量が得られた。
【0083】
実施例6
本発明の電極アセンブリを用いた第2の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、10.82gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出した。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.25Ahの容量が得られた。
【0084】
実施例7
本発明の電極アセンブリを用いた第3の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、10.14gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出した。この電池は、0.8Vに対して500mAの定電流で放電させると1.33Ahの容量が得られた。
【0085】
実施例8
本発明の電極アセンブリを用いた第4の試験用電池を製造して試験した。亜鉛ゲルは、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、デンプン及びこれらの誘導体のような好適なゲル化剤と共に、粉末状金属亜鉛若しくは亜鉛合金と、任意には酸化亜鉛とを含むものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した、約28mm×62mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約4.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。60mm×62mmのエクスパンディッドメタル基板上へ被覆した平面状MnO2カソードにより、図17A及び17Bに示す折り曲げ構成を用いてアノードを包んだ。カソードアセンブリの重量は、11.57gであった。各基板に溶接されたアノード及びカソードリードは、それぞれケースの反対側の端部から導出させた。この電池は、0.8Vまで500mAの定電流で放電させると1.37Ahの容量が得られた。
【0086】
これら4つの実施例の電池に関する放電電圧曲線を図16に示す。上記の実施例の全てにおいて、0.8Vのカットオフまでの送出容量は、7/5F6フォーマットの標準構造のアルカリ電池から予想されるものより大きい。最近報告された0.8Vまで500mAで放電させた場合のこのサイズのプリズム状のアルカリ電池では、1.08Ahであったことを比較として示す。本発明による構成される電池は、15〜30%良好な容量を送出する。
【0087】
本発明の他の構成例も想定されている。例えばアセンブリ及び工程を変えることができ、埋め込み式の「U」字状の構成の性能を最大化するために、アノードの重量、アノードの浸漬時間、圧縮比、カソード製剤、カソード基板及びカソードから缶への電流収集部を「微調整」することができる。より最適な表面積を得るため及び容器の充填を最適化するために、上記実施例に説明したU字状の折り曲げ構造のものから、電極の長さ又は折り曲げの長さ及び数を変化させることもできる。
【0088】
他の実施例及び製造方法
前述した説明から当業者にとって明らかであるように、本発明の原理は、多くの異なる製造方法及びアセンブリにより多くの異なる実施形態に適用することができる。これらの原理及び本発明の広い範囲を更に例証するために、他の製造方法及び及びこれらの製造方法に関連する電池の実施例を説明する。
【0089】
前述したように、本発明の特定例の電池は、平面状の電極積層体を利用し、それを波形構造(又は他の折り曲げ構造)に折り曲げ、その後電池容器又はハウジングに装着されるように成形するものである。この種の実施例によれば、公知技術の簡単なボビン電池と比べて、アノード対カソードの界面の面積が増大し電力が増加することが示されている。この種類の電池の製造方法は既に説明したが、この種の構造を有する実施例は、費用効率がより高く且つ製造性がより高い他の方法によって形成することもできる。
【0090】
カソード材料製剤のような粒状形態の外電極材料を利用する方法が、より費用効率が良く製造性に優れることが示された。このような実施形態を更に例示するために、粒状形態の外電極材料を用いた種々の製造方法の実施例を詳細に説明する。
【0091】
カソード製剤のような外電極材料製剤は、粒状形態で容易に混合され、成形リング又はペレットへのプレス成形などの以降の処理を行う前の状態で電池容器の外部又は内部に簡易に貯蔵することができる。このような粒状形態の外電極材料を利用することにより、破損したペレット又は他の損失材料はいかなるものでも簡単に混合処理又は粒状化段階に戻して再処理することができ、それにより更に製造費用を低減することができる。これは、基板形態又はシート形態の外電極を使用する場合に対する重要な利点となる。その理由は、通常の外電極の基板構造とした場合には寸法的及び機械的一体性の制約によりスクラップ発生率が高くなるからである。
【0092】
図18Aを参照して、外電極材料の挿入成形を伴う方法を説明する。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。図18Aにて線図的に示すように、前述したようなセパレータに入れたアノード160を、成形ダイ162に配置する。スラリー又はペーストの形態の粒状又は粉末カソード材料164を、1つ以上の注入ポート165を介してダイ162に注入しアノード160を包囲する。ダイ162は、好ましくは通常の押出成形、圧縮成形、キャスティング又は押出技術により構成されたものであり、カソード材料164は、ダイ162内にカソード材料164を適切に充填しパッキングし及び分布させるのに充分な圧力を形成するピストン若しくはラム型のプレス又は関連技術分野において公知の他の任意の機構により、このダイ162に注入することができる。ダイに適切な量のカソード材料164を充填した後に、使用する特定の成形技術に応じてダイによる更なる圧縮を行い適切な密度及び寸法を有する電極アセンブリを形成する。例えば追加の電解質のような任意の数及び種類の添加剤は製造処理中の任意の段階で導入することができる。好適例では、前述したようにほぼ乾燥したペーストアノード構成を用いる。従って、電解質の追加と、成形体を収容するウェットカソード材料の追加使用とは、このようなペーストアノードの構成を用いることでバランスをとることができる。また、ダイ162は、任意の種類の成形処理、例えば注入若しくは圧縮成形、押出成形、キャスティングその他又はこれらの任意の組合せとすることができることを理解されたい。好適例においては、押出成形処理のダイ162を利用し、成形処理中に挿入した内電極を有する電極アセンブリを形成する。その後、得られた電極アセンブリを完全な電池の製造に利用する。
【0093】
図18Bは、この製造方法により形成した3つの電池の放電曲線を示す。これらの電池に使用したMnO2のカソード製剤は、重量基準で、72.6%のKerr−McGee High Drain EMDと、8.2%のKS−15グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、18.8%の9NのKOHとを予め混合させたものとした。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製したセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。20mm×40mmのパウチを調製してV字状に折り曲げ、このV字状のアノードの周囲に10.8gのカソードを押出た。この電池を、0.8Vまで1Aの定電流で放電させると0.39Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.12Ahの累積容量が得られた。11.2gのカソードを押出成形して同様に構成した電池においては、0.8Vまで1Aの定電流で放電させた場合に、この電池により0.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させたら1.12Ahの累積容量が得られた。40mm×40mmのパウチを調製してW字状に折り曲げ、このW字状のアノードの周りに約12gのカソードを押出成形した電池については、この電池を0.8Vまで1Aの定電流で放電させると0.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.74Ahの累積容量が得られた。
【0094】
図19Aを参照して、更に他の電極形成方法を示す。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。この方法では、折り曲げ処理を行う前の一連のステップ又は段階において、セパレータに入れたアノードの周りに、粒状又は粉末のカソード材料をプレスして積層する。図19Aに示すように、第1段階において、カソード材料170の第1部分をダイ172内に秤量し、その後ほぼ平坦になるようプレスする。その後、プレスした第1部分のカソード材料170上に、セパレータに入れたアノード174を配置する。このアノード172上にカソード材料の残りの部分176を配置して、その後ほぼ平坦になるようにプレスして、図19Aに示すような「サンドイッチ」形態の半アセンブリ178を形成する。その後、この「サンドイッチ」半アセンブリ178を折り曲げて波形の形態に圧縮し、完全な電池の製造時にこれを電池容器内に挿入しうるようにする。
好適例においては、アノード172は波形その他の折り曲げ形態に予め折り曲げておき再度平坦化すると、最終的な成形をより容易に行うことができる。好適例においては、この成形段階を容易にするためにロータリプレスを利用することができる。
【0095】
図19Aに示す方法の変型例においては、所定の段階において、不織高分子膜のような可撓性の非金属基板を、得られる積層体の外側に配置されるようにダイに挿入することができ、それにより外電極に対する機械的な一体性を更に高めることができる。この不織基板に導電性カーボンインキを被覆して導電性とすることができる。
【0096】
図19Bは、この製造方法により形成した電池の放電曲線を示す。使用したMnO2のカソード予混合製剤は、重量基準で、56.5%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のSuperior Graphite ABG1010であるグラファイトと、0.3%のPTFE−30懸濁液と、38%の9NのKOHとから構成した。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した40mm×40mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。アノードはW字状に予め折り曲げておき、カソード材料はそれぞれ3.4gの3つのほぼ等しい部分に分割し、これらのそれぞれを、折り曲げたアノードのV字状の溝にプレスした。全重量が約2gの追加のカソードの小部分を、電極アセンブリをAAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために配置した0.520インチの圧縮ダイの内部の上面及び下面に被覆した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.0Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると1.9Ahの累積容量が得られた。
【0097】
図19Cは、図19Aに関して説明したのと同様の方法により形成した電池の放電曲線を示す。この電池においては、炭素被覆吸収体を、エクスパンディッドメタル基板ではなくカソード材料と関連させて利用した。重量基準で、71.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、6.6%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、21.6%の9NのKOHとの予混合物からなるカソード製剤を利用して、これらをプレスダイに平坦に載置した炭素被覆吸収体上にプレスした。合計で13.5gのカソード材料を2つの等しい部分に分けて使用した。カソード/アノード/カソードのサンドイッチをW字状に折り曲げ、0.520インチの圧縮ダイで圧縮した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.12Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームを跨いで更に放電させると1.76Ahの累積容量が得られた。
【0098】
図20Aは、更に別の製造方法及び関連する実施例を示す。本例において、外電極材料はカソードとして作用する。本実施例において、カソード材料の第1部分を成形して、電池ハウジング185の壁部184の周りにリング182を形成する。カソードリング182は、通常のアルカリのボビン電池の製造工程において周知の方法で形成する。例えば、カソードリング182は、電池ハウジングの外部で成形することもできるし、又はハウジング内に直接成形することもできる。カソードリング182は、ハウジングの壁部184との良好な接触を確実にするために緻密化することもできる。この方法では、電池用の全カソード材料の一部、例えば全カソード材料の20〜60%を使用してリング182を形成する。このリング182はハウジング壁部184との有効な接点を確立し、ハウジング内にリングの内部空間を形成し、それによりセパレータ入れたアノードのような折り曲げ内電極188と接触する内面186も規定される。カソード材料の残りの部分190を折り曲げ内電極の周囲に分布させ、これらを一緒に圧縮して、リング182の輪郭に従う電極半アセンブリ192を形成する。その後、この半アセンブリを、電池の製造時に電池ハウジング185内のリング182に挿入することができる。
【0099】
図20B及び20Cは、図20Aに表した方法の代わりの形態を示すもので、ここでは電極半アセンブリ192を電池ハウジング185内に形成する。図20Bを参照するに、第1段階において、電池ハウジング185内にカソード材料の第1部分からカソードリング182を形成する。このカソードリング182は、当該技術分野において既知の方法によりハウジング内に成形する。カソードリング182は、ハウジングの壁部184との良好な接触を確実にするために緻密化することもできる。第2段階では、リング182により規定された内部空間のハウジング185に、予め成形したセパレータでカプセル化したアノード188を挿入する。第3段階において、電池ハウジング内の残りの空間にカソード材料の残り部分190を充填する。図20Cのステップ1は、例えばダイDにより予め成形したセパレータでカプセル化したアノード188の形成処理と、それを電池ハウジング185内のリング182の内部空間に挿入する処理とを示している。図20Cのステップ2は、電池ハウジング185内のアノード188の折り目の間へのカソード材料インジェクタ194の挿入を示している。ステップ3は、カソード材料によりハウジング185を充填して、このインジェクタ194をハウジング185から出す処理を示す。従って、本実施例においてはアセンブリを有するハウジングを用いて大部分の成形ステップを実行する。
【0100】
図20Dは、図20A〜20Cに関して説明した方法により形成した2つの電池の放電曲線を示す。同心リングを形成するのに用いたMnO2 のカソード予混合製剤は、重量基準で、89%のKerr−McGee High Drain EMDと、6%Superior Graphite ABG1010グラファイトと、5%の9NのKOHとの予混合物からなるものとした。この材料から、各々高さ0.394インチで内径0.4インチの4つのリングを調製した。スズ被覆スチール基板を含むScimat SM700/79のセパレータから調製した40mm×40mmのセパレータパウチに、65%の亜鉛粉末と、34.5%のKOHと、0.5%のカルボポールとから成る約6.5gの亜鉛ゲル製剤を充填し、アノードアセンブリを形成した。アノードはW字状に予め折り曲げておく。重量基準で、56.5%のKerr−McGee High Drain EMDと、5.2%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.3%のPTFE−30懸濁液と、38%の9NのKOHとの予混合物からなる第2カソード製剤を用いて内部カソード部を形成した。この第2カソード材料をそれぞれ2.3gの3つのほぼ等しい部分に分割し、これらのそれぞれを、折り曲げたアノードのV字状の溝にプレスし、この電極アセンブリ全体を、AAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために0.520インチの圧縮ダイに配置した。同様にして調製した2つの電池を、1Vまで1Ampの定電流で放電させると0.7〜1.05Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると2.05〜2.2Ahの累積容量が得られた。
【0101】
図20Eは、図20A〜20Cに関して説明したのと同様の方法により形成した電池の放電曲線を示す。この電池は、カソードリングを形成しアノードパウチを設ける図20A〜20Cに関して説明したのと同じ方法で形成した。重量基準で、71.4%のKerr−McGee High Drain EMDと、6.6%のSuperior Graphite ABG1010グラファイトと、0.4%のPTFE−30懸濁液と、21.6%の9NのKOHとの予混合物からなるカソード製剤を用いて、内部カソード部を形成した。このカソード材料を、平坦ダイにおいて37.000psi(1psi=6.89475KPa)で約0.3mmの厚さにプレスして、その後、幅6mm×長さ41.4mmの棒に切断した。これら棒を、折り曲げたアノードのV字状の溝に配置し、この電極アセンブリ全体を、AAサイズの缶に挿入する前に圧縮するために0.40インチの圧縮ダイに配置した。この電池を、1Vまで1Aの定電流で放電させると1.08Ahの容量が得られ、0.7Vまで3.9オームの抵抗を跨いで更に放電させると2.23Ahの累積容量が得られた。
【0102】
ディジタルカメラのような多くの家電用途では高電力放電容量を有するアルカリ電池が求められるが、例えば時計及びラジオといったある種の用途では、中間範囲の電力放電容量を増大させた電池を利用するのが好ましい場合もある。アルカリ電池の中間比率の放電容量を増やすために、高密度に波形をつけたもの又はW字状の構造の代わりに、上述した高電力電池で使用した内電極の電極アセンブリの構造を利用することができる。より具体的には、内電極及び外電極間の界面領域を、高率放電容量に対して中率放電容量を増大させるよう構成することができる。このような中間範囲の電力構成によれば、電極の電流コレクタ及び電池を構成するのに用いるセパレータの量が少なくなる。これらの材料が減ることにより、電池の製造費用が少なくなり、同時に追加の活性物質を挿入するために電池内で利用可能な容積が増える。電池の構造中により多くの活性物質を利用することにより、電池のエネルギー含量が増える。
【0103】
電池のエネルギーを増やすことと、その電力を低減させることとの間の妥協点は、内電極及び外電極間の表面積の量を適切に低減することにより得ることができる。内電極について高密度の波形構造、例えばW字状の構造を使用する代わりに、あまり密度の高くない構造の他の幾何学構造、例えば、c字状、n字状、o字状、s字状、u字状、v字状、w字状及びz字状のような曲線状の幾何学形状を利用することができる。
【0104】
曲線状に成形した内電極及び外電極、即ちを電極アセンブリを、電池ハウジング内へ埋め込むのは、上記の任意の方法を用いることができる。図23〜25は、種々の曲線状に成形した内電極を組み込んだ複数の電極アセンブリを示しており、ここでは、内部のカソード部を、1つ(O字状の構成)、2つ(S字状の構成)又は3つ(V字状の構成)に離間した領域又は折り曲げ部に分割している。これらの曲線状の形状を使用することにより、アルカリ電池の円筒軸線に沿って見た場合にW字状の構成内に規定される空間領域がより大きくより開いたものとなるめ、(インジェクタ又は材料の注入による)外電極材料の挿入が容易になるという追加の利点が得られる。
【0105】
中間範囲の電力構成とした曲線状に成形した内電極と、高密度に波形をつけた、すなわちW字状の構成の高電力内電極とを、長さL及び内径0.4インチつまり内周3.19cm(π×内径)のカソードリングを組み込んだ通常のボビン電池(図21に示す)と比較する。
【0106】
図22を参照するに、幅4cmの平面を有する高密度に波形をつけられた内電極を組み込んだ電池は、W字状に構成されている。この内電極の表面積は、8Lcm2(内電極の2つの側面×4.0cm×L)である。
【0107】
図23を参照するに、幅3cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、O字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、6Lcm2(内電極の2つの側面×3.0cm×L)である。
【0108】
図24を参照するに、幅3.7cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、S字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、7.4Lcm2(内電極の2つの側面×3.7cm×L)である。
【0109】
図25を参照するに、幅2cmの平面を有する内電極を組み込んだ電池は、V字状の曲線に構成されている。この内電極の表面積は、4Lcm2(内電極の2つの側面×2.0cm×L)である。
【0110】
図21〜25に示す各電極アセンブリ構造の界面の面積の比率を比較して以下に示す。
【0111】
この表から分かるように、いくつかの曲線状の幾何学形状(特にv字状及びo字状に構成した内電極)では、より高密度にw字状に構成した内電極と比べて界面の面積が著しく小さくなっている。内電極材料、例えば使用するアノード電流コレクタ及びセパレータ材料が少なくなることに関連して製造費用がかからなくなることに加えて、図23〜25の曲線状幾何学形状により、より大きな開口部を介して、外電極材料、例えば粒状又は細長状の内電極物質を挿入するのが容易になる。
【0112】
内電極の形状に関わりなく、内電極を覆うセパレータの外面上に薄肉の多孔性導電被膜、例えば炭素を被着して容器壁部へ向かう経路を構成することにより、外電極の内側部及び外側部間の電子流を増大させることができる。
【0113】
中率放電用途のための容量を増大させたアルカリ電池に関連する本発明の原理及び範囲を更に説明するために、複数の例を以下に示す。
【0114】
以下の全ての実施例は、外電極が二酸化マンガンを含むカソードであり、内電極が亜鉛を含むアノードであるAAサイズのアルカリ電池構造を参照するものである。この内電極は、アルカリ電池の所望の放電容量に適した折り曲げた曲線状の形状を規定する。この外電極は、2つの異なる部分から形成されており、外側部分は、電池容器の壁部と接触する環状リングの積層体であり、内側部分は、折り曲げられた内電極により規定される折り曲げ部又は離間領域内に成形された1以上の細長状物質である。或いは又、外電極の内側部分は、内電極の曲線形状により規定された離間領域内に注入した粒状カソード材料とすることもできる。外電極の内側部分は、折り目部分の外縁付近の外電極の外側リング部分に操作可能に接続されているため、外電極物質は連続的になっている。この外電極は、金属電流コレクタを有していない。
【0115】
例えばリング外側部分と、例えばカソードである外電極の内側部分との双方について、種々の製剤、重量及び寸法を採用することができる。これらのパラメータは、外側及び内側部分のアノード対カソードの表面接触領域積並びに放電容量の割当てを規定する。このように、これらパラメータにより、電池の使用目的、すなわち、高率放電容量や中率放電容量という観点から当該電池の性能が最適化されるよう調整することができる。
【0116】
以下の実施例においては、内側カソード製剤は、71.4%のEMDと、6.6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、21.6%のKOHと、0.4%のPTFE懸濁液とである。以下の実施例の内電極は、約64.5%の亜鉛粉末と、35%のKOH溶液と、0.5%のゲル化剤とから成る6.5gの亜鉛ゲルとする。この内電極は、Scimat 700/78及び31/08のセパレーター材料からなる熱封止二重層のパウチ内に設けられている。このパウチは、絶縁銅リードを有する穿孔スズ被覆スチール箔の電流コレクタも包囲している。この絶縁銅リードは、パウチから現れ電池の負端子までを接続している。パウチの幅は、リングの内側に嵌るようにした種々の幾何学な折り曲げ構造に対応するようにするとともに、電極全体での放電の効率化に欠かせない外電極の内側及び外側部分の良好な接触がなされうるように様々に変更する。
【0117】
アルカリ電池を組立てる方法は、粒状カソード材料の物質を環状ダイ内にプレスしてリングペレットを形成する処理を有する。3〜4つのペレットを電池容器に挿入してカソードの外側部分を形成するのが好ましい。ゲルを充填したアノードパウチは、所望の構成に予め折り曲げておき、9NのKOH溶液に浸漬する。内側カソード材料を圧縮及び成形して、所望の重量及び寸法の細長状物質を形成し、これらをアノードパウチの緩やかな折り曲げ部分に配置する。アノード/内側部分カソードアセンブリを円筒圧縮ダイに配置しプレスし、カソードリングの内法寸法にほぼ一致する円筒体を形成する。追加の9NのKOH電解質を添加して、アノード接続部を負端子封止部に溶着し、電池を封止する。
【0118】
種々の曲線状内電極を組み込んだアルカリ電池の複数の実施例を以下に説明する。
【0119】
実施例9
O字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.5gのペレットからなり、このペレットは、内径0.420”で外径0.525”であり、89%のEMDと、6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mmで幅28mmであり、開いた円筒体に形成する。内側カソード物質は、約6gの単一ロッド状物質である。
【0120】
実施例10
S字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.7gのペレットからなり、このペレットは、内径0.420”で外径0.525”であり、89%のEMDと、6%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mm及び幅34mmであり、うねったS字状に形成する。内側カソード物質は半円形断面の2本の棒であり、全重量は約4.4gである。
【0121】
実施例11
W字状の内電極−外側カソード物質は、4つの1.5gのペレットからなり、このペレットは、内径0.436”で外径0.527”であり、89%のEMDと、8%のグラファイト(Superior Graphite ABG1010)と、5%のKOH混合とからプレスされたものである。アノードパウチは、高さ約41mm及び幅39mmであり、うねった波形W字状に形成する。内側カソード物質は方形断面の3つの平坦な棒であり、全重量は約4.35gである。
【0122】
実施例12
炭素被覆パウチを具えるS字状の内電極−電池は実施例10と同様のものとするが、アノードパウチは、KOHに浸漬するのではなく、セパレータに炭素被覆を被着する組立処理中に、9NのKOH50ml中に5gのABG1010グラファイトを加えて調製したスラリーに浸漬する。
【0123】
実施例13
炭素被覆パウチを具えるW字状の内電極−電池は実施例11と同様のものとするが、アノードパウチは、KOHに浸漬するのではなく、セパレータに炭素被覆を被着する組立処理中に、9NのKOH50ml中に5gのABG1010グラファイトを加えて調製したスラリーに浸漬する。
【0124】
これら実施例のアルカリ電池を、以下の条件の下で電気的に試験した。すなわち、1.0Vまで1Aで放電を行い、2秒間休止し、0.8Vまで1Aで放電を行い、30分休止し、0.8Vまで3.9オームで放電を行い、2秒間休止し、0.7Vまで3.9オームで放電を行うものである。この試験は、高率及び中率の双方の放電容量を評価するものである。これらのアルカリ電池の実施例に関する詳細を表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
図26は、種々の内電極幾何学形状を有する実施例9、10及び11の電池の性能を比較する放電曲線のプロットであり、特にアノード及びカソード間の界面領域を増大させることにより、どのように高率放電容量の性能が向上するかを示している。性能の向上は、カソードリングの炭素含量を増やすこと及びペレット壁部をより薄肉にすることに関係しうることに注目されたい。ペレット壁部をより薄肉にするという構成により、外側(リング)並びに(外側リング及びアノードの折り曲げ部内の)内側カソード物質間に電気活性材料をより良好に分布させうるようになり、電解質に対して追加的な内側容積が利用可能になる。
【0127】
図27は、S字状の内電極を有する電池であって、炭素被覆パウチを具える実施例12の電池と、炭素被覆パウチを具えていない実施例10の電池とを比較するものである。図28は、W字状の内電極を有する電池であって、炭素被覆パウチを具える実施例13の電池と、炭素被覆パウチを具えていない実施例11の電池とに関する同様のプロットである。埋め込み金属電流コレクタが存在しない場合において、セパレータ上に炭素被覆を設けることにより、内側及び外側カソード物質間の導電性が向上し、高率及び及び低率放電容量性能の双方が向上する。
【0128】
図29及び30は、より開いた幾何学形状、例えばS字状を用いて曲線形状を組み込んだ内電極半アセンブリを有する電池を組立てるため他の方法を示すものである。S字状の電極により得られるより開いた幾何学形状により、W字状の電極の場合と比べて、電極半アセンブリのより大きい内部間隙(離間領域)内に外電極の内側部分を挿入するのが容易になる。
【0129】
S字状の内電極及び電極半アセンブリを参照した場合において、この組立方法は、平面状電極100をマンドレルにより保持し、所望の形態(図29A及び29B参照)に回転させる図29〜30に示されるステップを有する。この平面状電極100は、外側接点に対して回転させることもできるし、漏斗状オリフィスを通じて下方に配置することもできる。形成処理が終わったら、折り曲げた内電極100は、電池容器104(図29C参照)の外電極材料102のリング内側に配置することができ、その後、カソード材料106の内側部分を、空所に配置した中空マンドレル又はその他のノズルにより空所に導入し、カソード材料がその中に充填されたらこれを引り外す。
【0130】
或いは又、電池ハウジング104内に折り曲げた内電極100を挿入する前に、内側電極材料106の細長状物質をより開いた空隙に挿入することができ(図30A参照)、折り曲げた内電極100及び内電極材料106の細長状物質を圧縮して、単一の電極半アセンブリ108とし(図30B参照)、その後、外電極材料102のリング内及び電池容器104内に配置する(図30C参照)。
【0131】
ここに説明した粒状カソード材料を用いる多くの例は、電解質の追加と追加ウェットカソード材料の使用とのバランスを取るために、(ほぼ乾燥した)ペーストアノード構成を採用するのが好ましいことを理解されたい。電解質により生じる内側アノード構成のいかなる膨張によっても、電極アセンブリの公差部分が緊密化され、アノード内電極及び外電極材料間が確実に良好に接触するようになり電池の性能に有利である。
【0132】
特定の実施例を図示し説明してきたが、本発明の精神から大きく逸脱することなく多くの変更例を想定することができ、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、現在の市販の高級AA電池(従来技術)及び本発明による実施例のAA電池に対して種々のANSI型試験を行った際のおおよその放電容量をAhで表すグラフである。
【図2】図2は、ボビン型構造を有する代表的な円筒状電池の断面図である。
【図3】図3は、本発明による実施例の1Aの放電における電池電位対放電容量を従来技術の市販電池と比較して示すグラフである。
【図4】図4A及び4Bは、それぞれ、線形幾何学形状の内電極を組み込んだ本発明の実施例を示す正面断面図及び平面断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明による波形に折り曲げた電極アセンブリを組み込んだ好適例の平面断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの実施例の一部を示す正面断面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aの実施例のアセンブリを示す線図である。
【図5D】図5Dは、本発明の原理による、ハウジング内に装着されるように形成する前の電極アセンブリを示す斜視図である。
【図6】図6は、カソード材料に埋め込まれた波形折り曲げアノードを有する本発明の原理による実施例を示す平面断面図である。
【図7】図7は、本発明の原理による組立手順の種々の段階を示す線図である。
【図8】図8は、本発明の原理によるアセンブリを示す線図である
【図9】図9は、本発明の原理によるアセンブリを示す線図である
【図10】図10は、本発明の原理による、ハウジング内に装着されるように形成する前の電極アセンブリを示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の原理による実施例の組立図である。
【図12A】図12Aは、本発明の原理による内電極アセンブリの組立図である。
【図12B】図12Bは、本発明の原理による外電極アセンブリの組立図である。
【図13A】図13Aは、本発明による折り曲げた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図13B】図13Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図13Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図13C】図13Cは、図13Bの実施例の一部を示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、本発明による折り曲げた電極アセンブリの他の実施例を示す平面断面図である。
【図14B】図14Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図14Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図15A】図15Aは、本発明による1対の折り曲げた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図15B】図15Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図15Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図15C】図15Cは、本発明の原理による図15Bのプリズム状電池を示す組立図である。
【図15D】図15Dは、図15Cのプリズム状電池の組立状態を示す斜視図である。
【図16】図16は、本明細書に説明する実施例5、6、7及び8のプリズム状電池に関する電池放電曲線を表すグラフである。
【図17A】図17Aは、本発明による実施例5、6、7及び8に用いた折り曲げた電極アセンブリの例を示す平面断面図である。
【図17B】図17Bは、本発明の原理によるプリズム状の電池ハウジング内に配置された、折り曲げ形成された図17Aの電極アセンブリを示す平面断面図である。
【図18A】図18Aは、本発明の原理による製造方法の観点を示す線図である。
【図18B】図18Bは、図18Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図19A】図19Aは、本発明の原理による製造方法の観点を示す線図である。
【図19B】図19Bは、図19Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図19C】図19Cは、図19Aの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図20A】図20Aは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【図20B】図20Bは、本発明の原理による製造方法により製造される電池の種々の段階を示す線図である。
【図20C】図20Cは、図20Bに示す電池を製造する際の種々のステップを示す線図である。
【図20D】図20Dは、図20A〜20Cの方法により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図20E】図20Eは、図20A〜20Cの方法と同様にして製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図21】図21は、通常のボビン電池を示す平面断面図である。
【図22】図22は、高電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図23】図23は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図24】図24は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図25】図25は、中間範囲の電力放電レベルを得ることを目的とした本発明の原理による折り曲げられた電極アセンブリの実施例を示す平面断面図である。
【図26】図26は、実施例9、10及び11により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図27】図27は、実施例10及び12により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図28】図28は、実施例11及び13により製造された電池の性能特性を示すグラフである。
【図29】図29A〜Cは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【図30】図30A〜Cは、本発明の原理による製造方法の観点及び関連する実施例を示す線図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングと、
−前記内部空間内に配置された電極半アセンブリと
を有する電気化学電池であって、
前記電極半アセンブリは、
−少なくとも1つの空間領域を規定する曲線幾何学形状に構成されている実質的に平坦な材料を有する内電極と、
−前記内電極の周囲に形成された外電極アセンブリであって、前記電極半アセンブリの外延部が、前記電池ハウジングの内部空間により規定された輪郭に実質的に従うようにする当該外電極アセンブリと、
−前記内電極をカプセル化しているセパレータと
を有している当該電気化学電池において、
前記外電極アセンブリが、前記内電極とイオン的に連絡し且つ前記電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡しており、前記内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡している電気化学電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記内電極の曲線状幾何学形状は、c字状、n字状、o字状、s字状、u字状、v字状、w字状及びz字状からなる群から選択された形状を有する電気化学電池。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学電池において、
この電池は、セパレータを被覆している多孔性導電被膜を更に有する電気化学電池。
【請求項4】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記セパレータは、炭素が被覆されたものである電気化学電池。
【請求項5】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記外電極アセンブリは、内側部分及び外側部分を有し、これらの各部分が電子活性カソード材料物質を有する電気化学電池。
【請求項6】
請求項5に記載の電気化学電池において、
前記内側部分対外側部分の物質量の比率は、実質的に0.5〜2.0の範囲にある電気化学電池。
【請求項7】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記電池ハウジングの内面は前記第1端子と連絡しており、この内面及び外電極アセンブリ間の接触により、前記内側部分及び外側部分と前記第1端子との間の電気的な連絡が確立されるようになっている電気化学電池。
【請求項8】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記内電極はアノードを形成しており、前記外電極アセンブリはカソードを形成しており、前記第1端子は正極性を有し、前記第2端子は負極性を有する電気化学電池。
【請求項9】
請求項8に記載の電気化学電池において、
前記アノードは亜鉛を含む電気化学電池。
【請求項10】
請求項8に記載の電気化学電池において、
前記カソードは二酸化マンガンを含む電気化学電池。
【請求項11】
−内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを設けるステップと、
電極半アセンブリを形成するステップであって、この電極半アセンブリが、
少なくとも1つの空間領域を規定する曲線幾何学形状に構成されている実質的に平坦な材料を有する内電極、
前記内電極の周囲に形成された外電極アセンブリであって、前記電極半アセンブリの外延部が、前記電池ハウジングの内部空間により規定された外形に実質的に従うようにする当該外電極アセンブリ、及び
前記内電極をカプセル化しているセパレータを具えるようにする当該ステップと
を有する電気化学電池の製造方法において、
−前記内部空間内に前記電極半アセンブリを配置する電気化学電池の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
−カソード材料を所望の形状に圧縮するステップと、
−この圧縮したカソード材料を、前記内電極の少なくとも1つの空間領域内に挿入するステップと、
−この圧縮したカソード材料及び内電極を、前記電池ハウジング内に挿入するステップと
を更に有する電気化学電池の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
−プレスしたカソード材料物質から成るリングペレットを設けるステップと、
−前記電池ハウジング内に複数のリングペレットを挿入し、外電極アセンブリの外側部分を形成するステップと、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に、前記内電極を挿入するステップと、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に内側カソード材料を挿入し、この内側カソード材料により、前記内電極の曲線状の構成により規定される少なくとも1つの空間領域を実質的に充填するステップと
を有する電気化学電池の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電気化学電池の製造方法において、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に挿入された内側カソード材料と、前記外電極アセンブリの外側部分のプレスされたカソード材料との物質割合が実質的に0.5〜2.0の範囲にある電気化学電池の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
前記セパレータは、炭素が被覆されたものである電池。
【請求項16】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
内電極に9NのKOH溶液を被覆するステップを更に有する電気化学電池の製造方法。
【請求項1】
−内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングと、
−前記内部空間内に配置された電極半アセンブリと
を有する電気化学電池であって、
前記電極半アセンブリは、
−少なくとも1つの空間領域を規定する曲線幾何学形状に構成されている実質的に平坦な材料を有する内電極と、
−前記内電極の周囲に形成された外電極アセンブリであって、前記電極半アセンブリの外延部が、前記電池ハウジングの内部空間により規定された輪郭に実質的に従うようにする当該外電極アセンブリと、
−前記内電極をカプセル化しているセパレータと
を有している当該電気化学電池において、
前記外電極アセンブリが、前記内電極とイオン的に連絡し且つ前記電池ハウジングの第1端子と電気的に連絡しており、前記内電極が電池ハウジングの第2端子と電気的に連絡している電気化学電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記内電極の曲線状幾何学形状は、c字状、n字状、o字状、s字状、u字状、v字状、w字状及びz字状からなる群から選択された形状を有する電気化学電池。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学電池において、
この電池は、セパレータを被覆している多孔性導電被膜を更に有する電気化学電池。
【請求項4】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記セパレータは、炭素が被覆されたものである電気化学電池。
【請求項5】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記外電極アセンブリは、内側部分及び外側部分を有し、これらの各部分が電子活性カソード材料物質を有する電気化学電池。
【請求項6】
請求項5に記載の電気化学電池において、
前記内側部分対外側部分の物質量の比率は、実質的に0.5〜2.0の範囲にある電気化学電池。
【請求項7】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記電池ハウジングの内面は前記第1端子と連絡しており、この内面及び外電極アセンブリ間の接触により、前記内側部分及び外側部分と前記第1端子との間の電気的な連絡が確立されるようになっている電気化学電池。
【請求項8】
請求項1に記載の電気化学電池において、
前記内電極はアノードを形成しており、前記外電極アセンブリはカソードを形成しており、前記第1端子は正極性を有し、前記第2端子は負極性を有する電気化学電池。
【請求項9】
請求項8に記載の電気化学電池において、
前記アノードは亜鉛を含む電気化学電池。
【請求項10】
請求項8に記載の電気化学電池において、
前記カソードは二酸化マンガンを含む電気化学電池。
【請求項11】
−内面と、第1端子と、第2端子とを有する内部空間を規定する電池ハウジングを設けるステップと、
電極半アセンブリを形成するステップであって、この電極半アセンブリが、
少なくとも1つの空間領域を規定する曲線幾何学形状に構成されている実質的に平坦な材料を有する内電極、
前記内電極の周囲に形成された外電極アセンブリであって、前記電極半アセンブリの外延部が、前記電池ハウジングの内部空間により規定された外形に実質的に従うようにする当該外電極アセンブリ、及び
前記内電極をカプセル化しているセパレータを具えるようにする当該ステップと
を有する電気化学電池の製造方法において、
−前記内部空間内に前記電極半アセンブリを配置する電気化学電池の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
−カソード材料を所望の形状に圧縮するステップと、
−この圧縮したカソード材料を、前記内電極の少なくとも1つの空間領域内に挿入するステップと、
−この圧縮したカソード材料及び内電極を、前記電池ハウジング内に挿入するステップと
を更に有する電気化学電池の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
−プレスしたカソード材料物質から成るリングペレットを設けるステップと、
−前記電池ハウジング内に複数のリングペレットを挿入し、外電極アセンブリの外側部分を形成するステップと、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に、前記内電極を挿入するステップと、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に内側カソード材料を挿入し、この内側カソード材料により、前記内電極の曲線状の構成により規定される少なくとも1つの空間領域を実質的に充填するステップと
を有する電気化学電池の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電気化学電池の製造方法において、
−前記外電極アセンブリの外側部分の内側に挿入された内側カソード材料と、前記外電極アセンブリの外側部分のプレスされたカソード材料との物質割合が実質的に0.5〜2.0の範囲にある電気化学電池の製造方法。
【請求項15】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
前記セパレータは、炭素が被覆されたものである電池。
【請求項16】
請求項11に記載の電気化学電池の製造方法において、
内電極に9NのKOH溶液を被覆するステップを更に有する電気化学電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【公表番号】特表2007−537573(P2007−537573A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513116(P2007−513116)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035187
【国際公開番号】WO2005/117189
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500033759)リチャージャブル バッテリー コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035187
【国際公開番号】WO2005/117189
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500033759)リチャージャブル バッテリー コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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