説明

アルギナーゼ活性促進剤およびそれを含有する皮膚外用剤

【課題】少量でも皮膚中のアルギナーゼ活性を調節して皮膚に継続的に保湿効果を与えることができ、しかも安全性および安定性に優れたアルギナーゼ活性促進剤を提供する。
【解決手段】桔梗(キキョウ)の抽出エキスを有効成分として含有するアルギナーゼ活性促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルギナーゼ活性促進剤およびそれを含有する皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、保湿作用を発揮させる効果に優れ、しかも安全性に優れたアルギナーゼ活性促進剤およびそれを含有する化粧料、医薬品等の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はアルギナーゼ活性促進剤およびそれを含有する皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、保湿作用を発揮させる効果に優れ、しかも安全性に優れたアルギナーゼ活性促進剤およびそれを含有する化粧料、医薬品等の皮膚外用剤に関する。
【0003】
通常、人の皮膚表面は皮脂膜に覆われていて水分の蒸散が適度に抑制されている。そして、皮膚の水分を適切な範囲に保つことは皮膚の健康の面から見て非常に大切なことであり、水分が不足すると肌荒れ等を生じやすくなる。そこで、化粧料、医薬品等のいわゆる外皮に適応される「皮膚外用剤」においては肌荒れ防止、改善の為にグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸塩、ヒアルロン酸等の酸性ムコ多糖類、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体、蛋白加水分解物、植物抽出物、尿素等の保湿成分の配合が行われてきた。しかしながらこれらの保湿成分を用いた手法は皮膚表面においてその物質の物理化学的な保湿の性質を利用しているだけであり、その物質の皮膚細胞におよぼす生理的な機能に基づくものではない。また、多く配合すると不快なべたつきを有することとなり感触が好まれないことがある。さらに、これらの保湿成分は皮膚より除去されると効果は消失するため、その効果は一過性であると言わざるを得ない。そのため、皮膚細胞に働きかけ保湿成分の産生を促す薬剤の開発が望まれていた。アルギナーゼはアルギニンをオルニチンと尿素に加水分解する尿素サイクル中の酵素であり、脊椎動物の肝臓、腎臓などをはじめ生物界に広く分布している。ヒト皮膚においてもその存在は古くから知られており、表皮細胞の増殖に関連したポリアミン生合成やプロリン生合成のためのオルニチン供給酵素として知られている。
【0004】
特許文献1においてはこのアルギナーゼの皮膚中での生理機能を皮膚の天然保湿因子(NMF)成分である“尿素”の産生に関連づけており、特定の生薬エキスとして“木通”の抽出エキスが皮膚中のアルギナーゼ活性を調節して皮膚に継続的に保湿効果を与えることが報告されている。“尿素”は高い保湿能を有するだけでなく、角質溶解剥離作用や角質柔軟化作用を有する皮膚にとって重要な成分であり、昔から化粧料や医薬品等の皮膚外用剤に多く配合されている成分である。しかし、水と反応して分解し易く、分解するとアンモニアと炭酸ガスを生じることから、臭気や安全性に問題を生じ易かった。さらに、尿素を配合した皮膚外用剤は特有の刺激感を有する為、使用部位が限定されるという欠点を有していた。一方、このアルギナーゼ活性促進剤を使用すると“尿素”の皮膚内生成を高めることにより、これらの問題を解決しながら“尿素”自体の有効性を発揮することが可能であり、さらにはその効果の持続性が期待できることから、非常に有用な手段と考えられる。そのため、より少量でより高い効果を発揮でき、しかも安全性および安定性に優れたアルギナーゼ活性促進剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−7581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決し、少量でも皮膚中のアルギナーゼ活性を調節して皮膚に継続的に保湿効果を与えることができ、しかも安全性および安定性に優れたアルギナーゼ活性促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、(1)a.桔梗(キキョウ)の抽出エキスを有効成分として含有するアルギナーゼ活性促進剤、(2)a.(1)記載のアルギナーゼ活性促進剤を乾燥残留物として0.0001〜5重量%、b.炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体を0.01〜50重量%含有することを特徴とする皮膚外用剤、(3)b.炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体としてcis−9−オクタデセン酸が80重量%以上でありかつcis−9−不飽和脂肪酸が85重量%以上である脂肪酸またはその誘導体を含有する(2)記載の皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアルギナーゼ活性促進剤は、少量でも皮膚中のアルギナーゼ活性を調節して皮膚に継続的に保湿効果を与えることができ、しかも安全性および安定性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いられる桔梗の抽出エキスとは、キキョウ科キキョウ属「桔梗(キキョウ)」学名:PlatycodongrandiflorumA.D.C.の茎を刈り取り掘り起こした根を水洗し、そのまま陽乾するか、皮を剥いで乾燥したもの(生薬名:キキョウ、キキョウコン)から各種溶媒で抽出したエキスである。なお、この桔梗にはプラチコジンD,A,C、ポリガラシンDなどのサポニン、α−スピナステロールおよびその配糖体、イヌリン、ベツリンなどの成分が含まれており、漢方では咳止め、去痰および化膿性疾患や扁桃炎、咽喉炎、蓄膿症に適用されている(日本薬草全書新日本法規出版)。桔梗エキスの抽出方法としては、炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコールおよび水から選ばれる1種または2種以上の溶媒と共に加熱還流あるいは浸漬して抽出するが、好ましくは水またはエタノール、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の溶媒で抽出したものであり、更に好ましくは水で抽出したものである。なお、本発明の桔梗の抽出エキスとは抽出溶液そのもの、もしくはその濃縮物をいう。
【0010】
本発明の皮膚外用剤においてaである桔梗抽出エキスの配合量は、組成物全量中に乾燥残留物として0.0001〜5重量%であることが好ましく、0.0005〜3重量%であることが更に好ましい。0.0001重量%未満では保湿効果、肌荒れ改善効果および臭気安定性改善効果が発揮され難く、5重量%を超えると経時安定性に問題を生じたり、コスト的に不利になる。ただし、本発明でいう乾燥残留物とは通常抽出エキスを105℃で乾燥するかまたは減圧乾固して溶媒を除去した時の残留物である溶質を指すが、抽出溶媒が不揮発性の場合にはガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により溶媒量を定量した値から溶質量を計算値として求め、乾燥残留物量と見なす。
【0011】
b成分である炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体において、炭素数6〜22のカルボン酸は、炭素数6〜22の直鎖または分岐の1価または多価カルボン酸であり、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、1,8−オクタンジカルボン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、cis−9−オクタデセン酸、cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、エイコサン酸、ドコサン酸等が挙げられ、その誘導体としては、1価または多価アルコールとのエステル、アンモニアや有機アミンとの脱水縮合物であるアミド等がある。さらに、これらカルボン酸を還元して得られるアルコールおよびそのアルコールと1価または多価アルコールとのエーテルや無機酸、有機酸とのエステル等が挙げられる。ただし、本発明においてはb.成分は上記成分の中で特に親油性の成分であり、具体的にはHLBが8以下の非イオン性界面活性剤または油性成分である。b成分として好ましいものは、炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体がcis−9−オクタデセン酸80重量%でありかつcis−9−不飽和脂肪酸85重量%である脂肪酸またはその誘導体であり、更に好ましいものはcis−9−オクタデセン酸85重量%でありかつcis−9−不飽和脂肪酸90重量%である脂肪酸またはその誘導体である。cis−9−不飽和脂肪酸とは脂肪酸骨格にcis−9−の二重結合を含むものである。ただし、脂肪酸組成はガスクロマトグラフ測定による面積比により求めることとする。
【0012】
本発明の皮膚外用剤においてb.成分である炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体の配合量は組成物全量中に0.01〜50重量%であり、好ましくは0.1〜30重量%である。0.01重量%未満では十分な保湿効果の持続性、肌荒れ防止および肌荒れの改善効果が得られなく、50重量%を超えると感触が悪くなったり刺激を有することがあり好ましくない。
【0013】
本発明のアルギナーゼ活性促進剤は、皮膚外用剤に配合して好適に使用することができ、化粧料、医薬品等に使用することができる。なお、本発明においては、化粧料や医薬品等の皮膚外用剤に常用されている添加剤を本発明の性能を損なわない範囲で配合することも可能である。例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素系油、牛脂、豚脂、魚油等の天然油脂、エステル油、ロウ、直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体、セラミド、コレステロール、蛋白誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチン等の油性基剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤、せっけん、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルザルコシン塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩等の両性界面活性剤、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシド等の半極性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アルキルアミン、アミドアミン等の塩酸塩または酢酸塩、無機顔料、パール顔料、金属粉末顔料、有機顔料、ジルコニウム等の顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸等の水溶性高分子、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の無機塩または有機塩、pH調製剤である酸およびアルカリ、殺菌剤、キレート剤、抗酸化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、香料等を配合できる。
【実施例】
【0014】
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
(桔梗抽出エキスの調製)
1.水抽出エキス
乾燥後粉砕した30gの桔梗に300mlの水を加え70℃で3時間加熱し、その後、濾過により抽出液から不溶物を除去し、得られた濾液を減圧乾固して桔梗水抽出エキスを得た。
2.エタノール抽出エキス
乾燥後粉砕した30gの桔梗に300mlのエタノールを加え、70℃で3時間加熱し、その後、濾過により抽出液から不溶物を除去し、得られた濾液を減圧乾固して桔梗エタノール抽出エキスを得た。
(木通抽出エキスの調整)
1.水抽出エキス
乾燥後粉砕した30gの木通に300mlの水を加えて70℃で3時間加熱し、その後、濾過により抽出液から不溶液を除去し、得られた濾液を減圧乾固して得られた木通抽出エキスを得た。
【0015】
実施例1:培養細胞によるアルギナーゼ活性促進効果
マウス表皮細胞(PAM212)を直径10cmの培養皿内に蒔き、培養皿内が細胞で完全に覆われる程度まで培養を継続した(培地:ダルベッコ変法イーグル培地+牛胎児血清10%)。その後、各植物の抽出エキスを培地(ダルベッコ変法イーグル培地+牛胎児血清1%)中濃度が抽出エキス乾燥残留物として0〜0.05重量%となるように添加し、3日間培養した。培養後、その培地と細胞を回収し、培地中のアルギナーゼの反応により生じた尿素量と、細胞中のアルギナーゼ活性量を測定した。各濃度ポイントはすべて5点づつ行った。細胞中のアルギナーゼ活性量の測定は細胞を1mLの25mMトリス−塩酸緩衝液(pH=7.5)中でホモジナイズしたホモジネートを用いて測定した。ホモジネート0.05mlを1.5mLの栓付きのマイクロチューブに移し取り、0.04mLの0.1ML−アルギニン溶液を添加し37℃にて3時間インキュベートした。インキュベート終了後0.01mLの60%過塩素酸を添加、混和し酵素反応を停止させ10000Gで遠心分離を行い得られた上清の尿素量を培地中の尿素量と同様の方法にて測定し、1時間当たり1マイクロモルの尿素を産生する量をアルギナーゼ1ユニットとした。培地中の尿素量、細胞内のアルギナーゼ活性とも無添加の場合を100として5点の平均値を算出した。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
表1より桔梗の抽出エキスは培養細胞レベルにおいてアルギナーゼ活性の促進作用に優れており、特に低濃度における効果は木通抽出物より明らかに優れていた。
【0018】
実施例2および比較例1:ヘアレスマウス塗布試験によるアルギナーゼ活性促進剤の効果
次に動物を使用した試験においても同様の作用を示すかどうかを調べるために、次のような試験を行った。星野実験動物より購入した6週齢の雄性ヘアレスマウス(各群10匹)を用い0.01%の桔梗の水抽出エキスを含む50%エタノール溶液200μLを塗布し、その後この塗布を1日2回の頻度で30日間連続して行った。塗布期間終了後、SKICON−200(IBS社製)を用いて皮表角層水分含量を測定した後、マウス皮膚を採取し0.24M塩化アンモニウム(pH=9.4)中に0℃で30分間浸した後、ピンセットを用いて真皮より剥離し表皮のみを採取した。採取した表皮を湿重量の19倍量の生理緩衝食塩水でホモジナイズした後、遠心分離を行い、その上清の尿素量とアルギナーゼ活性量を測定した。尿素量は和光純薬工業株式会社製の尿素窒素−テストワコーを用い取り扱い説明書通りに使用した。培地0.02mLと発色試液(発色原液Aと発色原液Bを5:1で混合したもの)5mLを混和し沸騰水浴中で25分間加熱後、流水中で冷却し分光光度計を用い530nmの吸光度を測定し、別に求めた尿素の検量線より培地中の尿素量を算出した。アルギナーゼ活性量の測定は培養細胞のアルギナーゼ活性の測定と同様の方法で行った。同様に0.01%の桔梗エタノール抽出エキスを含む50%エタノール溶液の塗布群も試験した。さらに、抽出エキスを含まない50%エタノールのみの塗布群と疑似操作だけ群を比較例として用い、疑似塗布群を100として各群の皮表角層水分含量と表皮ホモジネート中の尿素量とアルギナーゼ活性量をもとめた。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
表2の結果から明らかなように本発明の桔梗の抽出エキスはヘアレスマウス表皮のアルギナーゼ活性を上昇させて尿素量を増やし、角層水分量を増大させた。また、本試験において呉茱萸の抽出エキスを塗布した部位に、たとえば炎症性の過敏反応の発生、例えば紅斑の発生等の副作用は全く見られなかった。そのことから桔梗の抽出エキスが副作用を呈さない範囲内で有効にアルギナーゼ活性を促進し、尿素量の産生を増大させて角層水分含量を増大させることが確認された。
【0021】
実施例3〜5および比較例2
表3に示すクリームである皮膚外用剤を調製し、下記の方法により評価を行った。結果を表3に示す。
(1)保湿効果の持続性
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚外用剤を使用し、2時間後の肌のうるおいについて下記のように判定し、20名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を保湿効果の持続性の良好な化粧料であると評価した。
2点:使用直後と変わらず肌が十分うるおっていると感じた場合。
1点:使用直後と比べてやや肌のうるおいが足りないと感じた場合。
0点:使用直後と比べて肌のうるおいが足りないと感じた場合。
(2)肌荒れ改善効果
肌荒れを生じた10名の女性(25才〜35才)をパネラーとし、皮膚外用剤を一日2回ずつ連続2週間使用した時の肌の状態について下記のように判定し、10名の平均値を求めて、平均値1.5点以上を肌荒れ改善効果のある化粧料であると評価した。
2点:肌荒れが明らかに治ってきたと感じた場合。
1点:肌荒れがやや治ってきたと感じた場合。
0点:肌荒れ改善効果が全くないと感じた場合。
(3)経時安定性
皮膚外用剤を透明ガラス容器に密封して−5℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存したときの状態を調査し、下に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がなくブツ等も生じない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において僅かに沈殿を生じるか僅かに分離が見られる。または僅かにブツ、ダマを生じている。)
×:安定性不良(いずれの温度においても明らかに沈殿を生じるか分離する。またはブツやダマを生じる。)
(4)臭気安定性
皮膚外用剤を透明ガラス容器に密封して−5℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存したときの臭気変化を調査し、下記に示す3段階で評価を行った。
○:安定性良好(臭気の変化がほとんどない。)
△:安定性やや不良(やや臭気が変化し、若干異臭が発生している。)
×:安定性不良(明らかに臭気が変化し、異臭が発生している。)
【0022】
【表3】

【0023】
注1;EXTRA OS−85(日本油脂(株)製)<脂肪酸組成:cis−9−ヘキサデセン酸1重量%、cis−9−オクタデセン酸87重量%、cis−9、cis−12−オクタデセン酸3重量%、ヘキサデカン酸3重量%、オクタデカン酸6重量%>
注2;NOFABLE EO−85S(日本油脂(株)製)<脂肪酸組成:cis−9−ヘキサデセン酸1重量%、cis−9−オクタデセン酸88重量%、cis−9、cis−12−オクタデセン酸2重量%、ヘキサデカン酸4重量%、オクタデカン酸5重量%>
【0024】
実施例3〜5より、本発明の皮膚外用剤は肌の保湿効果の持続性および肌荒れ改善効果に優れるとともに安定性にも優れていた。比較例2では桔梗抽出エキスの代わりに木通抽出エキスを配合していることから肌荒れ改善効果、経時安定性および臭気安定性が悪くなっている。
【0025】
実施例6〜8および比較例3
表4に示す化粧水である皮膚外用剤を調製し、評価(1)、(2)および(4)は実施例3〜5の方法により、そして(3)経時安定性については下記の方法により評価を行なった。結果を表4に示す。
(3)経時安定性
皮膚外用剤を透明ガラス容器に密封して0℃、25℃および40℃で3ヶ月間保存し、その外観を観察して、下記に示す3段階で評価した。
○:安定性良好(いずれの温度でも外観の変化がない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干おり、沈殿を生じるかまたは若干着色を生じる。)
×:安定性不良(いずれかの温度においてもおり、沈殿を生じるかまたは分離する。もしくは着色が著しい。)
【0026】
【表4】

【0027】
注1;EXTRA OS−85(日本油脂(株)製)<脂肪酸組成:cis−9−ヘキサデセン酸1重量%、cis−9−オクタデセン酸87重量%、cis−9、cis−12−オクタデセン酸3重量%、ヘキサデカン酸3重量%、オクタデカン酸6重量%>
注2;NOFABLE EO−85S(日本油脂(株)製)<脂肪酸組成:cis−9−ヘキサデセン酸1重量%、cis−9−オクタデセン酸88重量%、cis−9、cis−12−オクタデセン酸2重量%、ヘキサデカン酸4重量%、オクタデカン酸5重量%>
【0028】
実施例6〜8より、本発明の皮膚用外用剤は肌の保湿効果の持続性および肌荒れ改善効果に優れるとともに安定性に優れていた。比較例3では桔梗抽出エキスの代わりに木通抽出エキスを配合していることから、肌荒れ改善効果と臭気安定性が悪くなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.桔梗(キキョウ)の抽出エキスを有効成分として含有するアルギナーゼ活性促進剤。
【請求項2】
a.請求項1記載のアルギナーゼ活性促進剤を乾燥残留物として0.0001〜5重量%、b.炭素数6〜22のカルボン酸またはその誘導体を0.01〜50重量%含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2011−126914(P2011−126914A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60950(P2011−60950)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【分割の表示】特願2000−218129(P2000−218129)の分割
【原出願日】平成12年7月19日(2000.7.19)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】