説明

アレーアンテナ装置

【課題】アレーアンテナ装置においてグレーティングローブの発生を防止する。
【解決手段】上層基板1及び下層基板2上にパターン化されたアンテナ素子21A,21Bと給電線路10とを備えたアレーアンテナ装置において、各アンテナ素子21A,21Bに対して、2分の1波長未満の位置に位置するように無給電素子32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波、準ミリ波帯、ミリ波帯などで使用されるアレーアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波、準ミリ波帯、ミリ波帯などにおける無線通信では、通信の高品質化をはかるために、複数のアンテナ素子と複数の無線通信回路を用いる高利得アンテナ装置が多く用いられている。アンテナ装置を高利得にすると、受信側の受信電力が上がり、相対的に通信距離を大きくとることが可能となる。
【0003】
高利得な特性を得るためには、アンテナ装置の放射面の表面積を大きくする事が大切であり、アンテナ装置のアレー化により面積を大きくする例が多い。また、このとき、すべてのアンテナ素子を同じ位相で励振させることが重要である。
【0004】
アレー化する際に、複数のアンテナ素子への分岐給電のための給電線路の損失を少なくする目的で、簡易な線路構成をとることが多い。また、全てのアンテナ素子を同位相で励振させるために、対称構造を用いたり、並列給電を用いることが多い。従来技術として、特許文献1のように、1つの下部アンテナ素子からの電磁結合により2つの上部アンテナ素子へ給電する構造や、特許文献2のように、並列給電構造で簡易な線路構造にすることが挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−244727号公報。
【特許文献2】特開1997−307338号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、アレーアンテナ装置の給電回路構造には様々な問題が挙げられる。一般的にアンテナ素子間隔は、送受信する電波の自由空間波長に対して2分の1とすることが一番効率がよい。アンテナ素子間隔が2分の1波長より小さいと、十分な面積がとれず、所望の高利得が得られない。少なくとも、給電線路とアンテナ素子が増加した分の導体損、誘電体損を補える分だけはアレー化による高利得を図らなければならない。また、アンテナ素子間隔が2分の1波長より大きいと、放射の同位相面が可視域に複数見られることによるグレーティングローブが生じる。グレーティングローブは、アンテナ素子の指向性では抑えられない。グレーティングローブにより、メインローブの利得劣化だけでなく、実際の伝搬環境下で干渉波を受信する可能性を高くする。
【0007】
特許文献1のように1つの下部アンテナ素子から2つの上部アンテナ素子への電磁結合を行う形であると、アンテナ素子間隔を小さくしないと、2つの上部アンテナ素子と結合ができない。そのため、2素子設けることによる利得上昇が大きく望めない。
【0008】
逆に、特許文献2のような並列給電構造の場合は、電界面(給電線路方向の面)に対しては、アンテナ素子上の電流方向が逆位相になるので、励振位相を同じにするためには、電界面方向の2つのアンテナ素子の給電で180度反転させなければならない。このとき、給電線路基板の比誘電率が低い場合は逆位相を得るための給電線路差を与えるには、アンテナ素子間隔を2分の1波長より大きくしなければならなくなる。そのため、グレーティングローブが生じる。
【0009】
本発明の目的は、以上の課題を解決し、グレーティングローブの発生を抑えながら、高利得であるアレーアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアレーアンテナ装置によれば、
基板上にパターン化された複数のアンテナ素子と給電線路とを備えたアレーアンテナ装置において、
上記複数のアンテナ素子のうちで、最も近接したアンテナ素子との素子間隔が所定距離以上であるアンテナ素子の組の各アンテナ素子に対して、上記距離未満の位置に位置するように第1の無給電素子を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記アレーアンテナ装置は、2つのアンテナ素子を備え、
上記第1の無給電素子は上記2つのアンテナ素子の中間の位置に設けられたことを特徴とする。
【0012】
また、上記アレーアンテナ装置は、4つのアンテナ素子を備え、
上記4つのアンテナ素子が四角形の頂点に位置し、上記第1の無給電素子は、上記四角形の対角線の交点に設けられたことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記アレーアンテナ装置は、偶数個のアンテナ素子を備え、
上記偶数個のアンテナ素子が、直交する格子の格子点に位置し、
最も近接した4つのアンテナ素子を頂点として含む各四角形の対角線の交点においてそれぞれ上記第1の無給電素子を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記アレーアンテナ装置において、
上記基板は、上記複数のアンテナ素子のそれぞれに対応する複数のスロット開口を有する接地導体を備え、
上記複数のアンテナ素子は上記接地導体の一方の面上に設けられ、上記給電線路は上記接地導体の他方の面上に設けられ、
上記各アンテナ素子は、上記各スロット開口を介して上記給電線路に電磁的に結合されて給電されることを特徴とする。
【0015】
また、上記アレーアンテナ装置において、上記複数のアンテナ素子の上方にそれぞれ第2の無給電素子をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
上記アレーアンテナ装置は、レドームをさらに備え、
上記第1の無給電素子は上記レドームの内側の面に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2つのアンテナ素子を備えたアレーアンテナ装置において、見かけ上のアンテナ素子間隔が小さくなり、グレーティングローブの発生を抑えることが可能となる。また、本発明によれば、4つ又はそれより多い偶数個のアンテナ素子を備えたアレーアンテナ装置において、直交する2方向で見かけ上のアンテナ素子間隔が小さくなり、磁界面及び電界面の両方においてグレーティングローブの発生を抑えることが可能となる。
【0018】
また、本発明によれば、給電線路とアンテナ素子とを接地導体を挟んで分離することにより、第1の無給電素子の設けられる面積が大きくなるため、設計の自由度が大きくなる。また、第1の無給電素子のサイズによる指向性成形も可能となる。さらに、複数のアンテナ素子の上方にそれぞれ第2の無給電素子をさらに備えたことにより、アンテナ素子面を分けることができるだけでなく、アンテナの動作周波数帯域を大きくすることが可能となる。またさらに、第1の無給電素子をレドームの内側の面に設けたことにより、第1の無給電素子の設けられる面積をさらに大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0020】
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る2素子アレーアンテナ装置の上面図であり、図2は、図1のA−A’線における断面図であり、図3は、図1の2素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【0021】
本実施例の2素子アレーアンテナ装置は、誘電体2層及び導体3層を含む多層基板構造を構成するように、2枚の基板(例えば、1枚の両面基板と1枚の片面基板)を、接着剤やプリプレグ、熱圧着等で貼り合わせた構造を有する。以下の説明では、上側の誘電体層を上層基板1と呼び、下側の誘電体層を下層基板2と呼ぶ。下層基板2の下面における最下層の導体層を接地導体3とし、上層基板1及び下層基板2に挟まれた内層の導体層に、給電線路10のストリップ導体11,12,13,14A,14Bと、2つのアンテナ素子21A,21Bとをパターン形成により構成し、上層基板1上の上面の導体層に、無給電素子31A,31B,32をパターン形成により構成している。本実施形態の構造では、最下層全面を接地導体3としている。アンテナ素子21A,21Bは、実質的に正方形形状の輪郭を有するパッチアンテナであり、正方形の各辺が図1乃至図3に示すx軸及びy軸と平行になるように、x方向に所定間隔を有して(本実施例では、アンテナ素子21Aがアンテナ素子21Bに対して−x方向に位置するように)並置される。また、アンテナ素子21A,21Bはそれぞれ、正方形の対応する1辺(本実施例では−x側の辺)のほぼ中央に近接した位置に、給電点P21A,P21Bを有する。また、給電線路10は、ストリップ導体11,12,13,14A,14Bと接地導体3とから構成されるマイクロストリップ線路である。詳しくは、給電線路10は、インピーダンス変換器として動作するストリップ導体12の部分をストリップ導体11,13の部分が挟んで延在するようにストリップ導体11,12,13の部分を備え、給電線路10におけるストリップ導体11の部分は、無線通信回路(図示せず。)に接続される。ストリップ導体13は、アンテナ素子21A,21Bにそれぞれ接続するように−x方向と+x方向とに分岐したストリップ導体14A,14Bに接続されている。ストリップ導体14A,14Bは、x方向に延在し、中央の部分でストリップ導体13に接続された1本のストリップ導体である。ストリップ導体14Aは、アンテナ素子21Aの給電点P21Aに+x側から接続するように、アンテナ素子21Aの正方形領域に貫入して設けられ、ストリップ導体14Bは、アンテナ素子21Bの給電点P21Bに−x側から接続するように設けられる。
【0022】
このとき、給電線路10におけるストリップ導体14A,14Bの部分の特性インピーダンス及び線路幅は、アンテナ素子21A,21Bの動作中心周波数での入力インピーダンスに合わせて決定される。アンテナ素子21A,21Bのインピーダンスが並列で付加されているので、給電線路10におけるストリップ導体11の部分(すなわち、無線通信回路に接続された部分)の特性インピーダンスと整合をとるために、ストリップ導体12の部分をインピーダンス変換器として用いている。一例としては、ストリップ導体12の部分を、4分の1波長整合器として構成する。アンテナ素子21A,21Bは並列接続されているので、アンテナ部の入力インピーダンス(すなわち、給電線路10におけるストリップ導体13の部分への入力インピーダンス)は、各アンテナ素子のインピーダンスの半分となる。無線通信回路に接続された部分の特性インピーダンスと整合をとるためには、アンテナ部の入力インピーダンスと無線通信回路に接続された部分の特性インピーダンスの積の平方根値を、4分の1波長整合器(すなわち、給電線路10におけるストリップ導体12の部分)の特性インピーダンスとし、特性インピーダンスに合うようにストリップ導体12の線路幅を決定している。また、ストリップ導体12の長さは、線路内波長に対して4分の1となるようにしている。
【0023】
上層基板1上の上面の導体層において、アンテナ素子21A,21Bの上方にそれぞれ位置するように、正方形形状の無給電素子31A,31Bが設けられている。アンテナ素子21Aと無給電素子31Aは整合のために微小な差で大きさを異ならせており、各々の中心位置が合うように垂直方向である図面内z方向に積み重ねている。アンテナ素子21Bと31Bも同様である。パッチアンテナは狭帯域特性であるが、無給電素子31A,31Bを付加したことにより広帯域動作をもたらすことができる。
【0024】
本実施例において、アンテナ素子21A,21Bは互いに逆方向から給電されている。そのため、各アンテナ素子21A,21Bに同位相で給電すると、基板正面方向(図1乃至図3の+z方向)では励振が逆位相となり低利得となる。そのため、逆位相となるように、給電線路10におけるストリップ導体14A,14Bの部分で、位相差に相当する線路長差を与えなければならない。アンテナ装置には低誘電率基板を用いることが多いが、低誘電率基板を用いると線路内波長が大きくなるので、線路長差を与えた場合にはアンテナ素子21A,21Bの素子間隔が大きくなる。素子間隔が大きくなって、所定距離、すなわち自由空間波長の2分の1を越えると、放射指向性にグレーティングローブが生じる。アンテナ素子21A,21B自体は広いビーム幅の放射指向性を有するので、グレーティングローブをエレメントファクタで抑えるのは困難である。グレーティングローブが生じると所望の通信以外の干渉波の影響が大きくなり、通信品質の劣化を招く。
【0025】
そこで、上層基板1の上面の導体層において、各アンテナ素子21A,21Bに対して2分の1波長未満の位置に位置するように、アンテナ素子21A,21Bの中間の位置の上方(すなわち、無給電素子31A,31Bの素子間中心)に、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子32を設ける。無給電素子32は、アンテナ素子21A,21Bの上方にある無給電素子31A,31Bと比べると励振が弱く、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくすることが可能となるので、放射指向性のメインローブへの影響を小さくしながらも、グレーティングローブが抑圧される。
【0026】
本実施例のアレーアンテナ装置を送信アンテナとして使用する際には、信号処理された信号が無線通信回路から給電線路10に供給される。この信号が、給電線路10におけるインピーダンス変換器の部分を通り、次いで並列分岐されて、給電線路10におけるストリップ導体14A,14Bの部分へと分配される。そして分配された信号はそれぞれのアンテナ素子21A,21Bに給電される。そして、信号は、アンテナ素子21A,21Bから、アンテナ素子21A,21Bにそれぞれ結合された無給電素子31A,31Bに放射され、無給電素子31A,31Bから再放射される。本実施例のアレーアンテナ装置を受信アンテナとして用いる場合は、この逆に動作し、受信信号を給電線路10から無線通信回路へと伝達する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る4素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。本実施例の4素子アレーアンテナ装置は、第1の実施例の2素子アレーアンテナ装置の上層基板1、下層基板2及び接地導体3と同様に、上層基板101、下層基板102及び接地導体103を備えて構成される。上層基板101及び下層基板102に挟まれた内層の導体層に、給電線路110のストリップ導体111,112,113,114,115A〜115Dと、4つのアンテナ素子121A〜121Dとをパターン形成により構成し、上層基板101上の上面の導体層に、無給電素子131A〜131D,132をパターン形成により構成している。各アンテナ素子121A〜121Dは、実質的に正方形形状の輪郭を有するパッチアンテナであり、正方形の各辺が図4に示すx軸及びy軸と平行になるようにそれぞれ配置される。アンテナ素子121A,121Cは、アンテナ素子121B,121Dに対して−x方向に位置するようにそれぞれ配置され、アンテナ素子121A,121Bは、アンテナ素子121C,121Dに対して+y方向に位置するようにそれぞれ配置される。従って、アンテナ素子121A〜121Dは、x軸及びy軸と平行な辺を有する四角形(すなわち長方形又は正方形)の頂点に位置するように配置される。また、アンテナ素子121A〜121Dはそれぞれ、正方形の対応する1辺(本実施例では−y側の辺)のほぼ中央に近接した位置に、給電点P121A〜P121Dを有する。また、給電線路110は、第1の実施例の給電線路10と同様にマイクロストリップ線路である。給電線路110は、インピーダンス変換器として動作するストリップ導体112の部分をストリップ導体111,113の部分が挟んで延在するようにストリップ導体111,112,113の部分を備え、ストリップ導体113は、x方向に延在するストリップ導体114の中央に接続されて+x方向と−x方向とに分岐し、ストリップ導体114の一端は、アンテナ素子121A,121Cにそれぞれ接続するように+y方向と−y方向とに分岐したストリップ導体115A,115Cに接続され、ストリップ導体114の他端は、アンテナ素子121B,121Dにそれぞれ接続するように+y方向と−y方向とに分岐したストリップ導体115B,115Dに接続されている。ストリップ導体115A,115Cは、y方向に延在し、中央の部分でストリップ導体114の一端に接続された1本のストリップ導体であり、ストリップ導体115B,115Dもまた、y方向に延在し、中央の部分でストリップ導体114の他端に接続された1本のストリップ導体である。ストリップ導体115Aは、アンテナ素子121Aの給電点P121Aに−y側から接続するように設けられ、ストリップ導体115Bは、アンテナ素子121Bの給電点P121Bに−y側から接続するように設けられ、ストリップ導体115Cは、アンテナ素子121Cの給電点P121Cに+y側から接続するように、アンテナ素子121Cの正方形領域に貫入して設けられ、ストリップ導体115Dは、アンテナ素子121Dの給電点P121Dに+y側から接続するように、アンテナ素子121Dの正方形領域に貫入して設けられる。アンテナ素子121A〜121Dが以上のように給電されることにより、各アンテナ素子121A〜121Dから放射される電波は図4のz−x面に沿って磁界面を有し、z−y面に沿って電界面を有する。さらに、広帯域化のために、上層基板101上の上面の導体層において、アンテナ素子121A〜121Dの上方にそれぞれ位置するように、正方形形状の無給電素子131A〜131Dが設けられている。
【0028】
このとき、電界面の方向(y方向)に並置された2つのアンテナ素子121A,121Cについては、第1の実施例の2素子アレーアンテナ装置と同様の動作をするので、発生するグレーティングローブを抑圧するという同様の課題が生じる。アンテナ素子121B,121Dについても同様である。また、磁界面の方向(x方向)においても、アンテナ素子の間隔を広げた場合には電界面の方向と同様にグレーティングローブが生じるので、これを抑圧する課題が生じる。
【0029】
そこで、2素子アレーアンテナ装置のときと同様に、グレーティングローブ抑圧用の追加の無給電素子132を設ける。上層基板101の上面の導体層において、各アンテナ素子121A〜121Dに対して2分の1波長未満の位置に位置するように、アンテナ素子121A〜121Dの中心が形成する四角形の対角線の交点の上方(すなわち、無給電素子131A〜131Dの中心が形成する四角形の頂点を結んだ対角線の交点)に、無給電素子132の中心を合わせて配置する。これにより、電界面の方向及び磁界面の方向の両方に対して、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくなるので、全方位においてグレーティングローブの発生を防止することが可能となる。
【0030】
ここで、本実施例の4素子アレーアンテナ装置によるグレーティングローブの抑圧について説明するために、図5乃至図9を参照して、その解析結果を示す。図5は、図4の下層基板102上の回路の寸法を示す平面図である。3次元電磁界解析ソフトを用いて、本実施例の場合と、従来技術の場合とについて、その放射指向性の計算を行った。
【0031】
図5において、上層基板101及び下層基板102の誘電率を3.0とし、誘電正接を0.002とする。上層基板101及び下層基板102のサイズは10mm×10mm×0.125mmであり、基板上において素子等が形成されている領域のサイズは実質的に4mm×4mmである。給電線路110におけるストリップ導体111の部分の幅を0.233mmにすると、ほぼ50オームの特性インピーダンスとなる。ストリップ導体112は長さ1.123mm及び幅0.200mmを有し、給電線路110のこの部分は、前述のようにインピーダンス変換器として動作する。また、ストリップ導体113は、幅0.4mm及び長さ0.545mmを有し、給電線路110のこの部分もまたインピーダンス変換器として動作する。ストリップ導体113の部分から−x方向と+x方向とに分岐したストリップ導体114の部分はそれぞれ、幅0.4mm及び長さ1.238mmを有する。ストリップ導体114の部分の両端から+y方向と−y方向とに分岐したストリップ導体115A〜115Dの部分はそれぞれ、幅0.125mmを有し、各ストリップ導体115A,115Bにおいて、ストリップ導体114に接続された部分からアンテナ素子121A,121Bまでの距離は1.275mmであり、各ストリップ導体115C,115Dにおいて、ストリップ導体114に接続された部分からアンテナ素子121C,121Dまでの距離は0.125mmである。アンテナ素子121A,121Bのサイズを1.30mm×1.30mmとし、アンテナ素子121C,121Dのサイズを1.15mm×1.15mmとしている。各アンテナ素子121A,121Bの給電点P121A,P121Bは、−y側の辺のほぼ中央から素子の内側に向かって0.2mmの位置にあり、各アンテナ素子121C,121Dの給電点P121C,P121Dは、−y側の辺のほぼ中央から素子の内側に向かって0.105mmの位置にある。また、アンテナ素子121A〜121Dの上には無給電素子131A〜131Dがあり、無給電素子131A,131Bのサイズを1.25mm×1.25mmとし、無給電素子131C,131Dのサイズを1.24mm×1.24mmとしている。このときのアンテナ素子121A〜121Dの中心間隔は、電界面の方向(y方向)において3.0mmであり、磁界面の方向(x方向)において3.0mmである。この素子間隔は、設計周波数を60GHzとすると、自由空間波長で0.6波長となり半波長以上に相当する。ストリップ導体114からアンテナ素子121C,121Dまでの距離を考慮すると、これ以上アンテナ素子間隔を縮めることは困難である。前述のように、グレーティングローブの発生を防ぐために、アンテナ素子121A〜121Dの中心を結んだ対角線の交点に中心を合わせて、正方形形状の無給電素子132を配置する。無給電素子132のサイズを1.25mm×1.25mmとしている。
【0032】
比較のために、従来技術の一例として、無給電素子132を持たない4素子アレーアンテナ装置の解析結果を示す。図8及び図9は、従来技術の4素子アレーアンテナ装置の電界面(z−y面)及び磁界面(z−x面)内の放射指向性の解析結果をそれぞれ示すグラフである。図8及び図9の解析において、アンテナ装置の構成は、無給電素子132を持たないことを除いて、図4及び図5の4素子アレーアンテナ装置と同じである。図8及び図9からわかるように、アンテナ素子の中心間隔が3.0mmであることにより、メインローブに対して、約−10dBの大きなグレーティングローブが発生している。
【0033】
これに対し、図6及び図7は、図4及び図5の4素子アレーアンテナ装置の電界面(z−y面)及び磁界面(z−x面)内の放射指向性の解析結果をそれぞれ示すグラフである。図6及び図7を参照すると、図8及び図9で生じていたグレーティングローブの発生を防止できていることが確認できる。従って、無給電素子132を備えた効果が表れているといえる。
【0034】
図10は、本発明の第1の実施形態の第3の実施例に係る多素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。アレーアンテナ装置のアンテナ素子の数は、2素子や4素子に限定されるものではなく、6素子以上であってもよい。本実施例では、上層基板201と下層基板202との間の導体層において、16個のアンテナ素子221A〜221Pを、図10のx方向に等間隔で4個並び、y方向に等間隔で4個並ぶように、直交する格子の格子点に配置する。また、給電線路210を図10のように配置することにより、z−y面が電界面になり、z−x面が磁界面になる。詳しくは、給電線路210は、アンテナ素子221A,221B,221E,221Fを含む第1の素子群と、アンテナ素子221C,221D,221G,221Hを含む第2の素子群と、アンテナ素子221I,221J,221M,221Nを含む第3の素子群と、アンテナ素子221K,221L,221O,221Pを含む第4の素子群とのそれぞれに向かって分岐し、各素子群においても、当該素子群に含まれる各アンテナ素子に向かって、第2の実施例の給電線路110と同様に分岐して接続される。給電線路210は、第1及び第2の実施例の給電線路10,110と同様に、ストリップ線路と接地導体203とから構成されたマイクロストリップ線路であり、給電線路210はまた、必要に応じて1つ又は複数のインピーダンス変換器を備えていてもよい。上層基板201の上面の導体層において、アンテナ素子221A〜221Pの上方に無給電素子231A〜231Pを配置する。上層基板201の上面の導体層において、最も近接した4つのアンテナ素子(例えば、アンテナ素子221A,221B,221E,221Fの組や、アンテナ素子221B,221C,221F,221Gの組など)の中心を頂点として含む四角形(すなわち長方形又は正方形)の対角線の交点の上方に、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子232A〜232Iの素子中心を合わせるように配置する。この構造により、6素子以上のアンテナ素子を備えた多素子アレーアンテナ装置においても、すべてのアンテナ素子間隔を見かけ上小さくすることができ、グレーティングローブの発生を防止することが可能となる。
【0035】
本実施形態において、アンテナ素子をパッチアンテナとしているが、素子構成は限定されるものではなく、プリント配線基板上に形成される任意のアンテナ装置に適用可能である。また素子形状においても長方形及び正方形に限定するものではなく、円形又は他の多角形などにも適用可能である。また、アンテナ素子数についても以上の実施例の場合に限定せず、偶数個であればよく、無給電素子は、最も近接したアンテナ素子との素子間隔が所定距離以上であるアンテナ素子の組の各アンテナ素子に対して、上記距離未満の位置に位置するように設けられる。また、同様に無給電素子数及び基板の層数も限定しない。
【0036】
第2の実施形態.
図11は、本発明の第2の実施形態の第1の実施例に係る2素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。本発明の実施形態に係るアレーアンテナ装置は、第1の実施形態に係るアレーアンテナ装置のようにマイクロストリップ線路による共平面型の給電を用いることに限定せず、以下説明するようなスロット開口321A,321Bを介した電磁結合型の給電を用いてもよい。
【0037】
本実施例の2素子アレーアンテナ装置もまた、誘電体2層及び導体3層を含む多層基板構造を構成し、以下の説明では、上側の誘電体層を上層基板301と呼び、下側の誘電体層を下層基板302と呼ぶ。上層基板301及び下層基板302に挟まれた内層の導体層に、スロット開口321A,321Bを備えた接地導体303を形成し、下層基板302の下面における最下層の導体層に、給電線路310のストリップ導体311,312A,312Bをパターン形成により構成し、上層基板301上の上面の導体層に、アンテナ素子331A,331B及び無給電素子332をパターン形成により構成している。アンテナ素子331A,331Bは、実質的に正方形形状の輪郭を有するパッチアンテナであり、正方形の各辺が図11に示すx軸及びy軸と平行になるように、x方向に所定間隔を有して(本実施例では、アンテナ素子331Aがアンテナ素子331Bに対して−x方向に位置するように)並置される。また、アンテナ素子331A,331Bの下方にはそれぞれ、接地導体303のスロット開口321A,321Bが設けられ、各アンテナ素子331A,331Bは、スロット開口321A,321Bを介して、接地導体303を挟んで反対側の給電線路310に電磁的に結合されて給電される。給電線路310は、ストリップ導体311,312A,312Bと接地導体303とから構成されるマイクロストリップ線路である。給電線路310におけるストリップ導体311の部分は、無線通信回路(図示せず。)に接続される一方、ストリップ導体312A,312Bに分岐して接続され、ストリップ導体312A,312Bは、その先端が、スロット開口321A,321Bにそれぞれ近接して交差するように配置されている。給電線路310はさらに、インピーダンス変換器として動作する部分を備えていてもよい。本実施例のアレーアンテナ装置を送信アンテナとして使用する際には、無線通信回路から供給された送信信号が、給電線路310を介して、給電線路310におけるスロット開口321A,321Bに近接した部分(すなわち、各ストリップ導体312A,312Bの先端)まで伝達され、スロット開口321A,321Bを介して電磁結合によりアンテナ素子331A,331Bに給電される。本実施例のアレーアンテナ装置を受信アンテナとして用いる場合は、この逆に動作する。本実施例においても第1の実施形態と同様に、給電線路310の分配構造上、アンテナ素子間隔が大きくなることがある。そのため、上層基板301の上面の導体層において、アンテナ素子331A,331Bの中間の位置(素子間中心)に、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子332を設ける。無給電素子332は、アンテナ素子331A,331Bに比べると励振が弱く、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくすることが可能となるので、放射指向性のメインローブへの影響を小さくしながらも、グレーティングローブが抑圧される。本実施例のような電磁結合型の給電では、給電線路310とアンテナ素子部が別の層に分離されるので、放射指向性のチルト等の乱れが無いという利点がある。
【0038】
図12は、本発明の第2の実施形態の第2の実施例に係る4素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。本実施例の4素子アレーアンテナ装置は、第1の実施例の2素子アレーアンテナ装置の上層基板301、接地導体303及び下層基板302と同様に、上層基板401、接地導体403及び下層基板402を備えて構成される。上層基板401及び下層基板402に挟まれた内層の導体層に、スロット開口421A〜421Dを備えた接地導体403を形成し、下層基板402の下面における最下層の導体層に、給電線路410をパターン形成により構成し、上層基板401上の上面の導体層に、アンテナ素子431A〜431D及び無給電素子432をパターン形成により構成している。各アンテナ素子431A〜431Dは、実質的に正方形形状の輪郭を有するパッチアンテナであり、正方形の各辺が図12に示すx軸及びy軸と平行になるようにそれぞれ配置される。アンテナ素子431A,431Cは、アンテナ素子431B,431Dに対して−x方向に位置するようにそれぞれ配置され、アンテナ素子431A,431Bは、アンテナ素子431C,431Dに対して+y方向に位置するようにそれぞれ配置される。従って、アンテナ素子431A〜431Dは、x軸及びy軸と平行な辺を有する四角形(すなわち長方形又は正方形)の頂点に位置するように配置される。また、アンテナ素子431A〜431Dの下方にはそれぞれ、接地導体403のスロット開口421A〜421Dが設けられ、各アンテナ素子431A〜431Dは、スロット開口421A〜421Dを介して、接地導体403を挟んで反対側の給電線路410に電磁的に結合されて給電される。給電線路410は、第1の実施形態の第2の実施例に係る給電線路110(図4及び図5を参照)と同様に分岐するように構成されたマイクロストリップ線路であり、給電線路410の分岐された先端は、アンテナ素子431A〜431Dに電磁的に結合するように、スロット開口421A〜421Dにそれぞれ近接して交差するように配置されている。さらに、上層基板401の上面の導体層において、アンテナ素子431A〜431Dの中心が形成する四角形の対角線の交点に、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子432の中心を合わせて配置する。本実施例のような電磁結合型の給電では、給電線路410とアンテナ素子部が別の層に分離されるので、放射指向性のチルト等の乱れが無いという利点がある。
【0039】
本実施形態においても、基板の層数に関して限定せず、また、アンテナ素子数についても2個及び4個に限定せず、偶数個であればよい。さらに、スロット開口の形状に関しても限定せず、給電線路とアンテナ素子との間で電磁結合を達成可能な形状であれば任意のスロット開口を利用可能である。
【0040】
第3の実施形態.
図13は、本発明の第3の実施形態に係る2素子アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。第1及び第2の実施形態において説明したように、アンテナ素子の上方に必ずしも無給電素子は必要ではない。無給電素子はアンテナ装置を広帯域化するために必要な素子であって、信号帯域が狭帯域である場合は不要である。
【0041】
本実施例の2素子アレーアンテナ装置は、アンテナ素子の上方における無給電素子を省いたことにより、上層基板も省略された構成を有する。本実施例のアレーアンテナ装置は、誘電体1層及び導体2層を含む両面基板として構成され、以下、誘電体層を基板502と呼ぶ。基板502の下面全面の導体層を接地導体503とし、基板502の上面の導体層に、給電線路510のストリップ導体511,512,513,514A,514Bと、2つのアンテナ素子521A,521Bと無給電素子522とをパターン形成により構成している。アンテナ素子521A,521Bは、第1の実施形態の第1の実施例に係るアンテナ素子21A,21Bと同様のパッチアンテナであるが、給電点P521A,P521Bを、図13の−y側の辺のほぼ中央に近接した位置に有するという点で異なる。また、給電線路510は、ストリップ導体511,512,513,514A,514Bと接地導体503とから構成されるマイクロストリップ線路である。詳しくは、給電線路510は、第1の実施形態の第1の実施例に係るストリップ導体11,12,13の部分と同様のストリップ導体511,512,513の部分を備え、ストリップ導体513は、アンテナ素子521A,521Bに−y側からそれぞれ接続するように分岐したストリップ導体514A,514Bに接続されている。このとき、給電線路510に与えられる面積が小さい場合や、給電線路510に整合回路等の付加的な回路が接続された場合、アンテナ素子521A,521Bの間隔は大きくなる。アンテナ素子間隔が所定距離、すなわち2分の1波長を越える場合には、グレーティングローブが生じる。そこで、上層基板1の上面の導体層において、アンテナ素子521A,521Bの中間の位置(素子間中心)に、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子522の中心を合わせて配置する。無給電素子522を配置したことにより、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくすることが可能となるので、グレーティングローブが抑圧される。
【0042】
本実施形態においては、単純な構成である2素子アレーアンテナ装置について説明しているが、素子数については、偶数個であれば限定しない。本実施形態のようにアンテナ素子521A,521Bの上方に無給電素子を持たない構成は、第1及び第2の実施形態に係る任意の実施例の構成にも適用可能である。
【0043】
第4の実施形態.
図14は、本発明の第4の実施形態に係るレドーム付き2素子アレーアンテナ装置の構成を示す断面図である。アンテナ装置、もしくは送受信回路が付属されたフロントエンドモジュールにおいては、カバーであるレドームを配置することが多い。この場合、グレーティングローブ抑圧用の無給電素子は、基板上にではなく、このレドームに設けてもよい。
【0044】
本実施形態は、第1の実施形態の第1の実施例に係る2素子アレーアンテナ装置にレドーム41を付加した構成を有する。図14は、図1のA−A’線に相当する位置における断面図を示す。レドーム41は、アレーアンテナ装置の外部からの保護を目的に被せるものである。レドーム41には低誘電率材料を用い、その厚みを、誘電率を考慮した実効波長の4分の1とすることで、放射に対する影響を小さくすることが可能となる。このとき、アンテナ素子21A,21Bの中間の位置(素子間中心)の上方に配置すべきグレーティングローブ抑圧用の無給電素子を、上層基板1の上面にではなく、レドーム41の内側の面にパターニングされた無給電素子42として形成する。給電線路10から供給された高周波信号は、分岐した給電線路10のストリップ導体14A,14Bの部分を介してアンテナ素子21A,21Bを励振し、無給電素子31A,31Bにより再放射されてレドーム41上の空間に伝達される。このとき、レドーム41に配置された無給電素子42により、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくしてグレーティングローブを抑圧する。ただし、アレーアンテナ装置に平面アンテナを用いる場合、低背なモジュールもしくはアンテナ装置を実現することを目的とするので、レドーム41のz方向の高さも低くする必要があるが、見かけ上のアンテナ素子間隔を小さくするためには、レドーム41の高さは自由空間波長の2分の1波長以下でなければならない。
【0045】
本実施形態においても、アンテナ素子数や、基板の層数については図14の構成に限定しない。また、本実施形態の構成を他の実施形態又は実装例に適用してもよく、例えば、第3の実施形態のアレーアンテナ装置にレドームを付加し、その無給電素子522に代えて、レドームの内側の面に無給電素子を形成してもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明の各実施形態に係るアレーアンテナ装置によれば、基板上にパターン化された複数のアンテナ素子と給電線路とを備えたアレーアンテナ装置において、上記複数のアンテナ素子のうちで、最も近接したアンテナ素子との素子間隔が所定距離以上であるアンテナ素子の組の各アンテナ素子に対して、上記距離未満の位置に位置するように第1の無給電素子を備えたことを特徴とする。本発明によれば、2つのアンテナ素子を備えたアレーアンテナ装置において、見かけ上のアンテナ素子間隔が小さくなり、グレーティングローブの発生を抑えることが可能となる。また、本発明によれば、4つ又はそれより多い偶数個のアンテナ素子を備えたアレーアンテナ装置において、直交する2方向で見かけ上のアンテナ素子間隔が小さくなり、磁界面及び電界面の両方においてグレーティングローブの発生を抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の各実施形態に係るアレーアンテナ装置は、高周波通信システム等の分野で有用に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態の第1の実施例に係る2素子アレーアンテナ装置の上面図である。
【図2】図1のA−A’線における断面図である。
【図3】図1の2素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第2の実施例に係る4素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【図5】図4の下層基板102上の回路の寸法を示す平面図である。
【図6】図4及び図5の4素子アレーアンテナ装置の電界面(z−y面)内の放射指向性の解析結果を示すグラフである。
【図7】図4及び図5の4素子アレーアンテナ装置の磁界面(z−x面)内の放射指向性の解析結果を示すグラフである。
【図8】従来技術の4素子アレーアンテナ装置の電界面(z−y面)内の放射指向性の解析結果を示すグラフである。
【図9】従来技術の4素子アレーアンテナ装置の磁界面(z−x面)内の放射指向性の解析結果を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施形態の第3の実施例に係る多素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の第1の実施例に係る2素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の第2の実施例に係る4素子アレーアンテナ装置の分解構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る2素子アレーアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るレドーム付き2素子アレーアンテナ装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1,101,201,301,401…上層基板、
2,102,202,302,402…下層基板、
3,103,203,303,403,503…接地導体、
10,110,210,310,410,510…給電線路、
11,12,13,14A,14B,111,112,113,114,115A〜115D,311,312A,312B,511,512,153,514A,514B…ストリップ導体、
21A,21B,121A〜121D,221A〜221P,331A,331B,431A〜431D,521A,521B…アンテナ素子、
P21A,P21B,P121A〜P121D,P521A,P521B…給電点、
31A,31B,32,42,131A〜131D,132,231A〜231P,232A〜232I,332,432,522…無給電素子、
41…レドーム、
321A,321B,421A〜421D…スロット開口、
502…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にパターン化された複数のアンテナ素子と給電線路とを備えたアレーアンテナ装置において、
上記複数のアンテナ素子のうちで、最も近接したアンテナ素子との素子間隔が所定距離以上であるアンテナ素子の組の各アンテナ素子に対して、上記距離未満の位置に位置するように第1の無給電素子を備えたことを特徴とするアレーアンテナ装置。
【請求項2】
2つのアンテナ素子を備え、
上記第1の無給電素子は上記2つのアンテナ素子の中間の位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
【請求項3】
4つのアンテナ素子を備え、
上記4つのアンテナ素子が四角形の頂点に位置し、上記第1の無給電素子は、上記四角形の対角線の交点に設けられたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
【請求項4】
偶数個のアンテナ素子を備え、
上記偶数個のアンテナ素子が、直交する格子の格子点に位置し、
最も近接した4つのアンテナ素子を頂点として含む各四角形の対角線の交点においてそれぞれ上記第1の無給電素子を備えたことを特徴とする請求項1記載のアレーアンテナ装置。
【請求項5】
上記基板は、上記複数のアンテナ素子のそれぞれに対応する複数のスロット開口を有する接地導体を備え、
上記複数のアンテナ素子は上記接地導体の一方の面上に設けられ、上記給電線路は上記接地導体の他方の面上に設けられ、
上記各アンテナ素子は、上記各スロット開口を介して上記給電線路に電磁的に結合されて給電されることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置。
【請求項6】
上記複数のアンテナ素子の上方にそれぞれ第2の無給電素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置。
【請求項7】
レドームをさらに備え、
上記第1の無給電素子は上記レドームの内側の面に設けられたことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載のアレーアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−89217(P2009−89217A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258444(P2007−258444)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】