説明

アンテナ一体型移動体情報提供装置およびそれを用いる車載装置

【課題】小型化および搭載性の向上を図りつつ、機能拡張時におけるコストの増加を抑制するアンテナ一体型移動体情報提供装置およびそれを用いる車載装置を提供する。
【解決手段】
ケーシング10内に制御部11、アンテナ素子12、現在位置取得部13および記憶部14を設けてアンテナ一体型ロケータ1をモジュール化する。このとき、制御部11で実行する処理を現在位置取得部13で取得した現在位置を含む移動体情報の提供に絞り込み、小型且つ廉価なマイクロコンピュータを使用する。また、車載装置としてのナビゲーション装置をアンテナ一体型ロケータ1から提供される移動体情報に基づいてナビゲーション機能を実行する構成とし、ナビゲーション機能を拡張する場合であっても設計変更する必要のない現在位置を取得する回路を設けずに回路規模を縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング内にアンテナ素子と一体に収容され現在位置などの移動体情報を外部の制御装置に提供するアンテナ一体型移動体情報提供装置およびそれを用いる車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工衛星から送信される例えばGPS信号などの測位用データを受信して移動体の現在位置を取得する現在位置取得部を設け、取得した現在位置に基づいて各種のアプリケーションを実行する制御装置を備えた車載装置が知られている。このような車載装置としては、経路案内やマップマッチングなどを行うナビゲーション装置や、例えば省エネ運転を支援するために車両の挙動を制御する車両制御装置などがある。これらの車載装置は、例えば設置スペースが限られた車両に搭載されることなどから、メイン基板に機能を集約することにより小型化および搭載性の向上を図っている。
【0003】
さて、ナビゲーション装置には、例えば表示部がダッシュボードなどに収納されるいわゆるハイダウェイ型ナビゲーション装置や、特許文献1に開示されているようなアンテナを一体に設けたアンテナ一体型ナビゲーション装置などがある。以下、ハイダウェイ型ナビゲーション装置をHAナビと称し、アンテナ一体型ナビゲーション装置をアンテナ一体型ナビと称する。
【0004】
しかしながら、例えばHAナビ装置の場合、アンテナを別途接続する必要があることから、アンテナを設置するスペースの確保や高周波信号を伝達するアンテナケーブルの煩雑な引き回しが必要となる。一方、アンテナ一体型ナビの場合、アンテナや現在位置を取得する現在位置取得部などをメイン基板に集約することからメイン基板が大形化する。その結果、メイン基板を収容する本体の大形化が避けられない。つまり、従来構成の車載装置の場合、小型化および搭載性の向上に対してまだ改善の余地がある。
【0005】
また、このような制御装置は、通常は同一規格の測位用データに基づいて現在位置を取得している。すなわち、現在位置取得部の機能は、制御装置の種類つまりアプリケーションの種類が変わったとしても同一である。しかし、上記のようにメイン基板に機能を集約した構成の場合、アプリケーション機能を拡張するとき、本来変更する必要がない現在位置取得部などまで再設計することになり、コストの増加を招くおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−91082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、小型化および搭載性の向上を図りつつ、機能拡張時におけるコストの増加を抑制するアンテナ一体型移動体情報提供装置およびそれを用いる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明では、ケーシング内にアンテナ素子、現在位置取得部、通信部および制御部を設け、制御部は、現在位置取得部で取得した現在位置を含む移動体情報を、ケーシングの外部に設けられた外部の制御装置に対して提供する。この場合、制御部は、移動体情報の提供に関する通信部の制御など、比較的負荷が小さい処理を実行する。このように制御部の負荷を低減することにより、処理能力が比較的限定された小型のマイクロコンピュータを採用することができ、ケーシングの小型化および搭載性の向上を図ることができる。
【0009】
また、制御部では負荷の大きい処理を行わないことから、制御部に用いるマイクロコンピュータに比較的廉価なものを利用することができ、コストを低減することができる。また、上記したようにアンテナ素子と現在位置取得部との間において増幅器などの部品点数を削減できることから、コストの増加を抑制することができる。
【0010】
また、アンテナ素子と現在位置取得部とを同一の基板に設けているので、それらを別の基板に設ける場合に比べて増幅器や周辺回路などの部品点数を削減でき、基板の小型化ひいては体格の小型化を図ることができる。この場合、アンテナ素子と現在位置取得部とを基板の反対の面に設けているので、現在位置取得部から発生するノイズがアンテナ素子に与える影響を抑制することができる。
【0011】
また、通信部を介して外部の制御装置に対して移動体情報を提供するので、外部の制御装置は、自身で現在位置を検出する回路などを備える必要がない。そのため、外部の制御装置の機能を拡張するような場合であっても、通信部とのインターフェースさえ用意しておけばよく、現在位置を取得する回路などの再設計の必要がない。したがって、外部の制御装置における機能拡張時のコストの増加を抑制することができる。また、外部の制御装置の回路部品の部品点数を削減できることにより、外部の制御装置の小型化をも図ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、制御部は、移動体の移動状態も含めた移動体情報を外部の制御装置に対して提供する。この移動状態とは、例えばジャイロセンサにより検知する移動体の方位や加速度センサにより検知する移動体の加速度など、移動体の移動状態を示す情報である。これにより、外部の制御装置に対して提供される移動体情報充実し、外部の制御装置で実行されるアプリケーションの種類を拡張することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、移動体情報に加えて、記憶部が記憶しているデータを外部の制御装置へ提供する。記憶部が記憶しているデータとしては、例えば地図データや音楽データなど外部の制御装置において利用されるデータ、あるいは、外部の制御装置で実行されるコンピュータプログラム本体などである。これにより、外部の制御装置の種類に応じて様々なデータを提供することができ、汎用性および利便性を向上させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、制御装置は、アンテナ一体型移動体情報提供装置から提供される移動体情報を利用するアプリケーションを実行する。このため、現在位置を取得する回路などを備える必要がない。これにより、回路部品の部品点数を削減することができる。したがって、小型化および車両への搭載性の向上を図ることができる。また、アプリケーションの機能を拡張する場合であっても、移動体情報の取得に関しては回路の再設計などを行う必要がない。したがって、機能拡張時におけるコストの増加を抑制することができる。
【0015】
請求項5記載の発明では、アンテナ一体型移動体情報提供装置から移動体情報に加えて各種のデータが提供され、制御装置は、移動体情報およびデータを利用してアプリケーションを実行する。この場合、提供されるデータは、地図データなどアプリケーションで利用するデータの他に、制御装置が実行するコンピュータプログラム本体も含まれる。これにより、アプリケーションプログラムを記憶する記憶手段および現在位置を取得する回路を備える必要がなく、回路部品の部品点数を削減することができる。したがって、小型化および車両への搭載性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータおよびナビゲーション装置の構成を示す概略図
【図2】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータの回路部品の実装状態を模式的に示す図で、(A)は基板の表面側の配置を示す図、(B)は基板の裏面側の配置を示す図
【図3】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータの回路部品の実装状態を模式的に示す斜視図で、(A)は基板を表面側から見た斜視図、(B)は基板を裏面側から見た斜視図
【図4】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータのナビゲーション装置への取り付け状態を模式的に示す斜視図
【図5】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータの登録処理の流れを示す概略図
【図6】第1実施形態によるアンテナ一体型ロケータおよびナビゲーション装置における通信処理の流れを示す概略図
【図7】第2実施形態による図1相当図
【図8】第3実施形態による図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明によるアンテナ一体型移動体情報提供装置およびそれを用いる車載装置の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する複数の実施形態では実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるアンテナ一体型移動体情報提供装置および車載装置としてのナビゲーション装置を図1から図6を参照しながら説明する。以下、アンテナ一体型移動体情報提供装置をアンテナ一体型ロケータと称する。また、本実施形態では移動体として車両を想定している。
【0018】
図1に示すように、アンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2は、測位用データを送信する人工衛星3とともに車両用のいわゆる衛星航法システム4を構成している。アンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2は、図示しない車両に搭載されている。アンテナ一体型ロケータ1は、ケーシング10内に、制御部11、アンテナ素子12、現在位置取得部13および記憶部14を備えている。制御部11は、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成されており、ROMなどに記憶されているコンピュータプログラムに従ってアンテナ一体型ロケータ1全体を制御する。制御部11は、内蔵回路として、通信部15、I/O16、内蔵メモリ17、AD変換器18を有している。通信部15は、USB(Universal Serial Bus)規格の通信インターフェースで構成されている。通信部15は、外付けの物理層IC19(PHY)を介して、ナビゲーション装置2との間で各種のデータを通信する。なお、物理層IC19は、制御部11に内蔵されている構成であってもよい。I/O16は、制御部11と現在位置取得部13または記憶部14との間でデータの入出力を行うインターフェースである。I/O16は、制御部11と現在位置取得部13との間はUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)あるいはSPI(Serial Peripheral Interface)のシリアル通信によるデータ通信をサポートし、制御部11と記憶部14との間ではSDIOまたはSPIによるデータ通信をサポートしている。
【0019】
内蔵メモリ17は、不揮発性且つ読み書き可能な半導体メモリであるいわゆるフラッシュメモリで構成されている。この内蔵メモリ17には、例えば制御部11で実行されるコンピュータプログラムなどが記憶されている。なお、内蔵メモリ17は、ROMや記憶部14などと共用してもよい。AD変換器18は、周知のアナログ−デジタル変換器で構成されている。AD変換器18は、ジャイロセンサ20(GYRO)や加速度センサ21から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。ジャイロセンサ20は移動体に相当する図示しない車両の方位を検知し、加速度センサ21は車両の加速度を検知する。制御部11は、AD変換器18にてジャイロセンサ20および加速度センサ21で検知した車両の移動状態を取得する。すなわち、制御部11、ジャイロセンサ20および加速度センサ21は、特許請求の範囲の移動状態取得部に相当する。なお、移動状態取得部は、ジャイロセンサ20や加速度センサ21に加えて、車両の移動状態を検知する他のセンサ類を有していてもよい。
【0020】
アンテナ素子12は、人工衛星3から送信される測位用データを受信して現在位置取得部13に受け渡す。この場合、アンテナ素子12で受信した測位用データの高周波信号は、低雑音アンプ22(LNA)で増幅され、表面弾性波フィルタ23(SAW)で中心周波数付近の信号が抽出された後、RF信号として現在位置取得部13に入力される。
現在位置取得部13は、入力されたRF信号を制御部11により設定された設定値に基づいて変換し、現在位置を取得する。具体的には、現在位置取得部13は、内蔵回路として図示しないRFダウンコンバータ回路、ベースバンド処理回路および入出力インターフェース回路を有している。現在位置取得部13は、表面弾性波フィルタ23から入力されたRF信号をこれらの内蔵回路で処理することにより、現在位置を取得する。つまり、現在位置取得部13は、いわゆるGNSS(Global Navigation Satellite System)用のICで構成されている。この場合、現在位置取得部13は、制御部11によって予め設定された条件に基づいて現在位置を取得する。なお、これらRFダウンコンバータ回路やベースバンド処理回路を内蔵する現在位置取得部13の基本的な処理の内容は例えばGPS受信機などで一般的に用いられている周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0021】
本実施形態の場合、アンテナ素子12および現在位置取得部13は、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、ComPASS(Community-bus Planning Aid Simulation System)の規格に対応した人工衛星3から送信される測位用データの受信および現在位置の取得が可能である。なお、使用する航法衛星システムの規格が予め1つに決定されている場合などには、アンテナ素子12および現在位置取得部13にその規格のみに対応したものを用いてもよい。
【0022】
記憶部14は、eMMC(Embedded MultiMediaCard)規格の不揮発性半導体メモリで構成されおり、例えば数十ギガバイト程度といった大容量のデータの記憶が可能である。記憶部14は、ナビゲーション装置2で利用される地図データを記憶している。この地図データには、例えば地図画面を表示するための地図描画用データ、マップマッチングや経路探索あるいは経路誘導などの処理に必要な道路データ、地名や地域などを表示するための地名データ、地図データにおける位置情報を示すノードデータ、各ノードの接続状態を示すリンクデータなどの各種のデータが含まれている。また、記憶部14は、記憶されているデータの読み出しだけでなく、通信部15を介して受信した各種のデータの書き込みにも対応している。つまり、記憶部14は、ナビゲーション装置2から受信したデータを記憶することも可能に構成されている。
【0023】
これら制御部11、アンテナ素子12、現在位置取得部13および記憶部14を構成する各回路部品は、図2および図3に示すように、1枚の基板24に実装されている。基板24は、長手方向が約40mm、短手方向が約20mmの矩形状に形成されている。基板24の片面側には、高さが約3mm程度のアンテナ素子12および記憶部14が設けられている。以下、アンテナ素子12および記憶部14が設けられている面を基板24の表面とし、アンテナ素子12と反対側の面を基板24の裏面とする。基板24の裏面には、低雑音アンプ22、表面弾性波フィルタ23、現在位置取得部13および制御部11が設けられている。なお、図2および図3では、物理層IC19の図示を省略している。この基板24は、図4に示すように、ケーシング10に収容されている。また、ケーシング10は、小型化を図るために回路部品を実装した基板24を収容できる最小限の大きさに形成されている。このため、本実施形態の場合、ケーシング10は、概ね長さ40mm、幅20mm、高さ25mm程度の外観視が直方体形状に形成されている。
【0024】
アンテナ素子12は、図2および図3に示すように、現在位置取得部13や制御部11とは反対側の面において、基板24の長手方向の一方の端部に設けられている。本実施形態の場合、アンテナ素子12は、基板24の図示左方の端部側に設けられている。つまり、アンテナ素子12は、上記したように高周波信号の受信用であることから、イズの発生源になり易い現在位置取得部13や制御部11とは反対側の面に実装されている。この場合、アンテナ素子12とともに基板24の表面に設けられている記憶部14は、アンテナ素子12へのノイズの影響を抑えるため全面シールド加工されている。アンテナ素子12は、基板24に設けられているビア25を介して基板24の裏面側に設けられている低雑音アンプ22に接続されている。
【0025】
低雑音アンプ22は、表面弾性波フィルタ23を介して現在位置取得部13に接続されている。つまり、基板24において、アンテナ素子12、低雑音アンプ22、表面弾性波フィルタ23および現在位置取得部13は、互いに近接して設けられている。また、ジャイロセンサ20は、低雑音アンプ22に隣接した位置に設けられている。これは、ジャイロセンサ20および低雑音アンプ22は電源系統が同じであること、また、ジャイロセンサ20そのものはそれほどノイズを発生しないため高周波信号に与える影響が少ないことによる。
【0026】
現在位置取得部13は、低雑音アンプ22および表面弾性波フィルタ23と近接させるため、基板24の裏面の長手方向の中央付近に設けられている。本実施形態では、現在位置取得部13は、水晶振動子やチップ抵抗などの周辺部品26を1パッケージに封止したSIP(System In Package)型のパッケージIC27として形成されている。また、制御部11は、アンテナ素子12と反対側の基板24の裏面においてアンテナ素子12から離れた位置すなわち基板24の長手方向におけるアンテナ素子12と反対側の端部に設けられている。つまり、ノイズの発生源になり易い制御部11は、基板24の裏面において図示右方の端部側に設けられている。つまり、本実施形態では、ノイズの影響を抑制したいアンテナ素子12と、ノイズの発生源になり易い制御部11および現在位置取得部13とは、互いに基板24の反対側に設けられている。これら、現在位置取得部13および制御部11は、基板24に設けられている図示しないグランドプレーンに接触した状態で設けられており、動作時における放熱が促されている。
【0027】
制御部11よりもさらに図示右方の端部には、ケーブルコネクタ27が設けられている。ケーブルコネクタ27には、ケーシング10の外部に引き出される接続ケーブル28が接続される。接続ケーブル28は、USB規格の信号を伝送するため、信号線と電源線とを内包している。接続ケーブル28の基板24と反対側の端部には、ナビゲーション装置2と接続するためのUSBコネクタ29が設けられている。アンテナ一体型ロケータ1への電源供給、およびアンテナ一体型ロケータ1とナビゲーション装置2との間のデータの通信は、1本の接続ケーブル28で行われる。
【0028】
このような構成のアンテナ一体型ロケータ1は、図4示すようにケーシング10に収容され、ナビゲーション装置2の本体30に取り付けられている。
ナビゲーション装置2は、図1に示すように、外部の制御装置に相当する制御装置31、表示部32および移動体情報取得部33を備えている。制御装置31は、図示しないCPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成され、ナビゲーション装置2全体を制御する。制御装置31は、例えば経路探索やマップマッチングなどの処理および表示部32への地図画面や経路案内などの表示処理を行う。また、制御装置31は、表示部32の近傍に設けられている図示しない操作スイッチ類や表示部32の画面に対応して設けられているタッチパネルなどから、ユーザの操作入力を受け付ける処理なども行う。つまり、ナビゲーション機能のうち比較的負荷の大きい経路探索や地図画面の表示などの処理は、ナビゲーション装置2の制御装置31により実行されている。移動体情報取得部33は、USB規格の通信インターフェースを有しており、アンテナ一体型ロケータ1から提供される移動体情報を取得する。
【0029】
次に上記した構成のアンテナ一体型ロケータ1の作用について説明する。以下に説明する各処理はアンテナ一体型ロケータ1側では主として制御部11により実行され、ナビゲーション装置2側では主として制御装置31により実行されるものの、説明の簡略化のためアンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2を主体として説明する。なお、ナビゲーション装置2で実行されるナビゲーション機能そのものは周知の技術と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0030】
アンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2は、その利用に先立って互いに登録を行う。この場合、図5に示す登録処理において、まず、アンテナ一体型ロケータ1は、ナビゲーション装置2にプラグインされる(S101)。ここで、プラグインとは、例えば図4に示すようにアンテナ一体型ロケータ1がナビゲーション装置2に取り付けられ、接続ケーブル28にて接続した状態を意味している。通常、ナビゲーション装置2への取り付けおよび接続ケーブル28による接続は、通常は電源がオフされた状態で行われる。そのため、以下の処理は、アンテナ一体型ロケータ1がプラグインされ、ナビゲーション装置2の電源がオンされたときに行われる処理である。
【0031】
ナビゲーション装置2は、アンテナ一体型ロケータ1がプラグインされたことを認識すると(S201)、プラグイン確認信号を送信する(S202)。アンテナ一体型ロケータ1は、ナビゲーション装置2からのプラグイン確認信号を受信すると、登録要求信号を送信する(S102)。登録要求信号とは、アンテナ一体型ロケータ1の識別番号や対応する測位用データの規格など移動体情報を利用するための設定情報、および記憶部14に記憶しているデータの種類などである。ナビゲーション装置2は、登録要求信号を受信すると、アンテナ一体型ロケータ1を登録し(S203)、登録確認信号を送信する(S204)。そして、アンテナ一体型ロケータ1は、登録確認信号を受信すると、ナビゲーション装置2を登録する(S103)。
【0032】
このように、アンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2は、登録処理においてを登録し合うことにより、相互利用が可能になる。この場合、登録処理が完了した場合には電源がオフされてもその登録を記憶し続けるようにしてもよいし、アンテナ一体型ロケータ1が取り外されていないかを確認するために電源がオンされたときに毎回行ってもよい。また、アンテナ一体型ロケータ1の記憶部14にナビゲーション装置2で実行するナビゲーションプログラム本体を記憶している場合には、登録処理の時点においてナビゲーション装置2に対してナビゲーションプログラム本体のダウンロードが実施される。なお、ナビゲーションプログラム本体のダウンロードは、初回の登録処理時のみに行い電源がオフされてもナビゲーション装置2で記憶してもよいし、電源がオンされたときに更新データがあるかないかを確認するようにしてもよい。
【0033】
アンテナ一体型ロケータ1は、上記の登録処理が完了すると、図6に示す移動体情報提供処理を実行する。また、ナビゲーション装置2は、ナビゲーションプログラムの実行を開始すると、地図画面の表示などの図示しないメイン処理を実行するとともに、図6に示す移動体情報取得処理を実行する。
【0034】
アンテナ一体型ロケータ1は、移動体情報提供処理を実行すると、ナビゲーション装置2からの移動体情報の要求があるか否かを判定する(S111)。ナビゲーション装置2は、周知の経路探索処理などにおいて、表示部32の地図画面上に車両の現在位置や進行方向を示す現在位置マークを表示する。この場合、ナビゲーション装置2は、車両の現在位置および方位の情報すなわち移動体情報を必要とする。そこで、アンテナ一体型ロケータ1が接続されたことを認識したナビゲーション装置2は、車両の現在位置などの移動体情報が必要になると、アンテナ一体型ロケータ1に対して移動体情報要求信号を送信する(S211)。そして、アンテナ一体型ロケータ1は、ナビゲーション装置2からの移動体情報要求信号を受信すると、すなわち、移動体情報の要求があると判定すると(S111:YES)、車両の現在位置および方位を移動体情報として送信する(S112)。続いて、ナビゲーション装置2は、アンテナ一体型ロケータ1から移動体情報を受信すると、現在位置を更新する(S212)。これにより、ナビゲーション装置2は、最新の現在位置を取得する。
【0035】
現在位置を更新すると、ナビゲーション装置2は、地図データが必要であるか否かを判定する(S213)。通常、ナビゲーション装置2は、表示部32に表示する範囲よりも広い範囲の地図画面をメモリなどに一時的に展開しておき、車両の現在位置に応じてその表示領域を変更している。この場合、車両がメモリに展開している地図画面よりも外側へ進行するとき、あるいは目的地までの全行程を表示したいときなど、メモリに展開している地図画面では表示が行えない状況が起こり得る。
【0036】
そこで、ナビゲーション装置2は、新たな地図データが必要になったと判定すると(S213:YES)、アンテナ一体型ロケータ1に対して地図データ要求信号を送信する(S214)。すなわち、ナビゲーション装置2は、アンテナ一体型ロケータ1に対して地図データのアップデートを依頼する。この地図データ要求信号には、例えば、車両の進行方向すなわち走行中の道路における前方の位置を示すデータやユーザが指定した位置を示すデータなどが含まれている。アンテナ一体型ロケータ1は、地図データ要求信号を受信すると(S113:YES)、地図データ要求信号に含まれる情報に基づいて必要な地図データをナビゲーション装置2に対して送信する(S114)。そして、地図データを受信したナビゲーション装置2は、地図データを更新した後(S215)、地図画面や現在位置マークおよび目的地までの経路などを表示しているナビゲーション画面を更新する(S216)。
【0037】
アンテナ一体型ロケータ1は、地図データを送信した後、ステップS111に移行して移動体情報提供処理を繰り返し実行する。また、アンテナ一体型ロケータ1は、移動体情報や地図データの要求が無かった場合にも(S111:NO、S113:NO)、ステップS111に移行する。一方、ナビゲーション装置2は、ナビゲーション画面を更新すると、ステップS211に移行して移動体情報取得処理を繰り返し実行する。なお、アンテナ一体型ロケータ1側では、ナビゲーション装置2からの移動体情報の要求が無い場合であっても現在位置取得部13による最新の現在位置の取得が行われている。また、ナビゲーション装置2側では、メイン処理などが繰り返し行われている。
【0038】
このように、アンテナ一体型ロケータ1は、人工衛星3から送信された測位用データに基づいて現在位置を取得し、ナビゲーション装置2からの要求に応じて、移動体情報および車両の移動状態のデータをナビゲーション装置2に提供する。また、ナビゲーション装置2は、アンテナ一体型ロケータ1から提供される移動体情報を利用してナビゲーション機能を実行する。
【0039】
以上説明した本実施形態によるアンテナ一体型ロケータ1およびナビゲーション装置2によれば、以下のような効果を得ることができる。
アンテナ一体型ロケータ1は、ケーシング10内にアンテナ素子12、現在位置取得部13、通信部15および制御部11を設けている。そして、制御部11は、現在位置取得部13で取得した現在位置を含む移動体情報を、ケーシング10の外部に設けられた例えばナビゲーション装置2などの車載装置に対して提供する。すなわち、アンテナ一体型ロケータ1は、移動体情報を提供する機能をモジュール化した構成となっている。このため、各種の車載装置にプラグインするだけで移動体情報を提供することができる。
【0040】
アンテナ一体型ロケータ1の制御部11は、移動体情報の提供に関する通信部15の制御など、比較的負荷が小さい処理を実行する。このため、制御部11は、必要なハードウェア機能が絞り込まれていることから、比較的小型のマイクロコンピュータで構成することができる。したがって、制御部11の小型化ひいてはケーシング10を含めたアンテナ一体型ロケータ1の体格の小型化を図ることができる。また、アンテナ一体型ロケータ1の小型化を図っていることから、車両への搭載性も向上する。
アンテナ素子12と現在位置取得部13とを同一の基板24に設けているので、それらを別の基板24に設けた場合のように基板24毎に低雑音アンプ22などの増幅器を設ける必要がない。これにより、周辺回路部品も含めた総部品点数を削減でき、基板24の小型化ひいてはケーシング10の小型化を図ることができる。
【0041】
アンテナ素子12を基板24の表面に設け、現在位置取得部13をアンテナ素子12と反対側の面に設けている。つまり、アンテナ一体型ロケータ1では、ノイズの影響を抑制したい回路部品とノイズの発生源になり易い回路部品とが、それぞれ基板24の反対側に実装されている。これにより、制御部11や現在位置取得部13から発生するノイズがアンテナ素子12に与える影響を抑制することができる。また、ケーブルコネクタ27を基板24の裏面においてアンテナ素子12から最も離れた位置に設けているので、接続ケーブル28を伝わってケーシング10内に入り込むおそれのある外部ノイズの影響を抑制することができる。
【0042】
アンテナ一体型ロケータ1の制御部11は、上記したように現在位置取得部13で取得した位置情報などの提供と記憶部14に記憶されているデータの提供とを主として行っている。すなわち、制御部11では、複雑な演算処理などは行われていない。このため、制御部11は、必要とされる処理能力が比較的低いことから、制御部11を構成するマイクロコンピュータに比較的廉価なものを利用することができ、コストを低減することができる。また、アンテナ素子12と現在位置取得部13との間において増幅器などの部品点数を削減できることから、さらにコストを低減することができる。
アンテナ一体型ロケータ1と車載装置とは、ケーブルにより接続されている。つまり、アンテナ一体型ロケータ1とナビゲーション装置2とは、必ずしも同じ場所に設置する必要はない。このため、アンテナ一体型ロケータ1の設置場所を適宜変更することができ、車両への搭載性が向上する。
【0043】
ナビゲーション装置2のような車載装置は、上記したように、アンテナ一体型ロケータ1から移動体情報を提供する。換言すると、アンテナ一体型ロケータ1に接続されるナビゲーション装置2は、自身で現在位置を検出する回路などを備える必要がなく、移動体情報を取得するための通信インターフェースを備えていればよい。このため、ナビゲーション装置2で実行されるアプリケーション機能を追加あるいは拡張する場合であっても、現在位置を取得する回路などの再設計の必要がない。したがって、ナビゲーション装置2の機能拡張時のコストの増加を抑制することができる。また、ナビゲーション装置2側の部品点数を削減できることから、小型化をも図ることができる。勿論、ナビゲーション装置2の製造コストも削減することができる。
【0044】
アンテナ一体型ロケータ1の制御部11は、ジャイロセンサ20で検知した車両の方位や加速度センサ21で検知した車両の加速度などの移動状態も含めて移動体情報として提供する。これにより、移動体情報として提供可能な情報が充実し、ナビゲーション機能以外の機能にも適用でき、アプリケーションの種類を拡張することができる。
アンテナ一体型ロケータ1は、移動体情報に加えて、記憶部14が記憶しているデータもナビゲーション装置2に対して提供する。また、アンテナ一体型ロケータ1は、地図データ以外にもナビゲーションプログラム本体の提供も可能である。そして、記憶部14は、eMMC規格の数十ギガバイト程度の大容量のデータを記憶可能である。このため、ナビゲーション装置2は、アンテナ一体型ロケータ1から提供されるデータを利用することにより、自身で記憶手段を備える必要が無くなる。これにより、ナビゲーション装置2側の部品点数を削減することができる。したがって、アンテナ一体型ロケータ1だけでなく、ナビゲーション装置2の小型化および車両への搭載性の向上を図ることができる。
【0045】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるアンテナ一体型ロケータおよび車載装置としての車両制御装置を図7を参照しながら説明する。第2実施形態では、主に、車載装置の種類すなわちアンテナ一体型ロケータから提供される移動体情報を利用するアプリケーションの種類が第1実施形態と異なっている。
【0046】
図7に示すように、第2実施形態のアンテナ一体型ロケータ40は、第1実施形態のアンテナ一体型ロケータ1とほぼ同一の構成である。ただし、車両制御装置41は、第1実施形態のナビゲーション装置2とは異なり大容量の地図データを記憶する必要性が少ない。そのため、アンテナ一体型ロケータ40は、車両制御装置41に提供するデータが内蔵メモリ17の容量に収まる場合、記憶部14を設けなくてもよい。勿論、必要となるデータが内蔵メモリ17に収まらない場合には、記憶部14を設けてもよい。また、本実施形態のアンテナ一体型ロケータ40は、車両制御装置41との通信方式としていわゆる車載LANの1つであるCAN(Controller Area Network)を採用している。そのため、アンテナ一体型ロケータ40は、車両制御装置41以外の車載機42との間の通信も可能になっている。つまり、複数の車載装置においてアンテナ一体型ロケータ40から提供される移動体情報を共有することが可能である。なお、通信方式は、CANに限らず他の車載LANの規格を採用してもよい。
【0047】
車両制御装置41は、いわゆるエンジン制御ECU(Electronic Control Unit)であり、外部の制御装置に相当する制御装置43および移動体情報取得部44を備えている。制御装置43は、第1実施形態の制御装置31と実質的に同じ構成である。また、移動体情報取得部44は、USB規格ではなくCANを採用しているものの、その実質的な機能は第1実施形態の移動体情報取得部33と同じである。本実施形態の場合、制御装置43は、図示しないエンジンへの燃料の噴射量の制御や図示しないアクセルの踏み込み量に応じたアクセル開度の調整などを行うとともに、車両制御装置41全体を制御する。車両制御装置41における移動体情報の利用形態としては、例えば省エネ運転支援や安全運転支援のアプリケーションが考えられる。以下、エンジンの制御を例示して説明するが、本発明は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の場合には走行用モータの制御に応用できることは勿論である。
【0048】
アンテナ一体型ロケータ40は、内蔵メモリ17または記憶部14に、測位演算プログラムを記憶している。この測位演算プログラムは、移動体情報に基づいて、例えば道路の勾配や曲率半径などを演算するためのプログラムである。アンテナ一体型ロケータ40は、第1実施形態と同様に、利用に先立って車両制御装置41に登録される(図5参照)。このとき、アンテナ一体型ロケータ40は、車両制御装置41に対して測位演算プログラムをダウンロードする。すなわち、測位演算プログラムは、車載装置である車両制御装置41によって実行されるプログラムである。このように、本実施形態においても、アンテナ一体型ロケータ40は、移動体情報および測位演算プログラムの提供などの比較的負荷の小さい処理のみを実行する。
【0049】
一方、車両制御装置41は、アンテナ一体型ロケータ40からダウンロードした測位演算プログラムを実行することにより、道路の勾配や曲率半径などを演算により算出する。そして、車両制御装置41は、例えば勾配が下りの場合やカーブに進入する場合などにアクセル開度を小さくする。あるいは、車両制御装置41は、燃料噴射量を低減する。これにより、無駄な燃料の消費が抑えられて燃費が向上するとともに、不用意に車速が上昇してしまうおそれが低減される。
【0050】
このように、移動体情報を提供するアンテナ一体型ロケータ40を車両制御装置41などの既存の車載装置に適用することにより、省エネ運転の支援や安全運転の支援を行うことができる。すなわち、車載装置の機能を、コストの大幅な上昇を招くことなく、拡張することができる。
また、本実施形態の場合、アンテナ一体型ロケータ40と車両制御装置41との間の接続にはCANを採用していることから、複数の車載装置で移動体情報を利用することができる。勿論、各車載装置に取り付ける場合であっても、アンテナ一体型ロケータ40の小型化が図られていることから車両への搭載性を損なうことがない。
【0051】
また、アンテナ一体型ロケータ40から測位演算プログラムをダウンロードするので、一般的には測位機能を備えていない車両制御装置41などにおいても移動体情報を利用したアプリケーションを実行することができる。これにより、車両制御装置41の付加価値を高めることができる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるアンテナ一体型ロケータおよび車載装置としてのドライブアルバム装置を図8を参照しながら説明する。第3実施形態では、車載装置の種類すなわちアンテナ一体型ロケータから提供される移動体情報を利用するアプリケーションの種類が第1実施形態と異なっている。
図8に示すように、第3実施形態のアンテナ一体型ロケータ50は、第1実施形態のアンテナ一体型ロケータ1と実質的に同一の構成である。アンテナ一体型ロケータ50は、内蔵メモリ17あるいは記憶部14に、ドライブアルバム装置51で実行されるアルバムプログラムを記憶している。
【0053】
ドライブアルバム装置51は、外部の制御装置に相当する制御装置52、移動体情報取得部53、表示部54、カメラ55、スピーカ56およびマイク57を備えている。制御装置52および移動体情報取得部53の構成は、第1実施形態の制御装置31および移動体情報取得部33と実質的に同じである。制御装置52は、車両の走行時あるいは停車時における画像を撮影可能ないわゆるドライブレコーダに類似した機能を実行するとともに、ドライブアルバム装置51全体を制御する。ドライブアルバム装置51は、例えばカメラ55により車両の内部または外部を動画または静止画で撮影し、スピーカ56から音楽データを再生出力し、マイク57から音声を記録する。また、ドライブアルバム装置51は、撮影した動画または静止画を表示部54に表示する。なお、カメラ55、スピーカ56およびマイク57の数は、1個に限らず複数であってもよい。
【0054】
アンテナ一体型ロケータ50は、第1実施形態と同様に、利用に先立ってドライブアルバム装置51に登録される(図5参照)。このとき、アンテナ一体型ロケータ50は、ドライブアルバム装置51に対してアルバムプログラムをダウンロードする。ドライブアルバム装置51は、図示しないメイン処理とともに、ダウンロードしたアルバムプログラムを実行する。このとき、ドライブアルバム装置51の表示部54には、画像の記録を開始するための例えば「REC」のアイコンが表示される。ユーザは、例えば「REC」アイコンをタッチ操作することにより、画像の撮影を開始する。撮影が開始されると、ドライブアルバム装置51は、撮影データと、アンテナ一体型ロケータ50から提供された移動体情報に基づく現在位置などの情報とを対応付けて記憶する。記憶された撮影データは、ユーザが任意に再生可能になっている。また、ドライブアルバム装置51は、カーオーディオ装置などで再生されている音楽データも現在位置などの情報に対応付けて記憶する。これにより、例えば同じ道路を走行したときに以前の走行時に再生していた音楽データを自動で再生することができる。
【0055】
このように、撮影データや再生されている音楽データと現在位置などの移動体情報とを対応付けて記憶することにより、例えば旅行をしたときの画像データなどを記録するようなアルバム機能を追加することができる。また、現在位置と音楽データとを対応付けて記憶することにより、同じ道路を走行したときに同じ音楽を再生するいわゆるジュークボックスのような機能も持たせることができる。
【0056】
小型のアンテナ一体型ロケータ50をユーザが取り外し可能な位置に設け、撮影データなどをアンテナ一体型ロケータ50の記憶部14に記憶するようにするとよい。これにより、画像データを記憶したアンテナ一体型ロケータ50を車両から取り外すことができ、ユーザは、自宅でも画像データを再生することができる。この場合、USB規格の通信インターフェースを利用していることから、容易にユーザのコンピュータに接続することができる。
【0057】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した各実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
アンテナ一体型ロケータ接続する車載装置の種類は各実施形態にて例示したものに限定されない。アンテナ一体型ロケータは、上記したように小型且つ低コスト化が図られているため、様々な車載装置に接続することができる。
【0058】
また、アンテナ一体型ロケータを接続する外部の制御装置としては、車載装置の制御装置などに限らず例えば携帯型GPS端末などの制御装置であってもよい。
アンテナ一体型ロケータと外部の制御装置と間のデータ通信に有線による通信方式を採用した例を示したが、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信による通信方式を採用してもよい。これにより、アンテナ一体型ロケータおよび外部の制御装置は、接続ケーブル28が不要になること、また、設置場所を問わなくなることなどから、取り扱いを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、1、40、50はアンテナ一体型ロケータ(アンテナ一体型移動体情報提供装置)、2はナビゲーション装置(車載装置)、3は人工衛星、10はケーシング、11は制御部(制御部、移動状態取得部)、12はアンテナ素子、13は現在位置取得部、14は記憶部、15は通信部、20はジャイロセンサ(移動状態取得部)、21は加速度センサ(移動状態取得部)、24は基板、31、43、52は制御装置(外部の制御装置)、33、44、53は移動体情報取得部、41は車両制御装置(車載装置)、42は車載機(車載装置)、51はドライブアルバム装置(車載装置)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに収容され、人工衛星から送信される測位用データを受信するアンテナ素子が設けられた基板と、
前記基板の前記アンテナ素子と反対の面に設けられ、前記アンテナ素子で受信した前記測位用データに基づいて移動体の現在位置を取得する現在位置取得部と、
前記ケーシングに収容され、前記現在位置取得部で取得した現在位置を含む情報である移動体情報の通信を行う通信部と、
前記ケーシングに収容され、前記通信部による通信を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ケーシングの外部に設けられ前記移動体情報を利用するアプリケーションを実行する外部の制御装置に対して、前記通信部を介して前記移動体情報を提供することを特徴とするアンテナ一体型移動体情報提供装置。
【請求項2】
前記ケーシングに収容され、前記移動体の少なくとも方位を含む移動状態を取得する移動状態取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記移動状態取得部で取得した前記移動体の移動状態を前記移動体情報に含めて前記外部の制御装置へ提供することを特徴とする請求項1記載のアンテナ一体型移動体情報提供装置。
【請求項3】
前記ケーシングに収容され、前記移動体情報に加えて前記外部の制御装置へ提供するデータを記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載のアンテナ一体型移動体情報提供装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載のアンテナ一体型移動体情報提供装置と接続され、
前記アンテナ一体型移動体情報提供装置から提供される移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
前記移動体情報取得部で取得した前記移動体情報を利用するアプリケーションを実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項3記載のアンテナ一体型移動体情報提供装置と接続され、
前記アンテナ一体型移動体情報提供装置から提供される移動体情報を取得する移動体情報取得部と、
前記アンテナ一体型移動体情報提供装置から提供されるデータを取得するデータ取得部と、
前記移動体情報取得部で取得した前記移動体情報および前記データ取得部で取得した前記データを利用してアプリケーションを実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−127789(P2012−127789A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279245(P2010−279245)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】