説明

イオンチャネルにおける変異

イオンチャネル機能不全に関連する障害に対して素因がある被験体を同定する方法であって、前記被験体におけるイオンチャネルサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つが、配列番号1〜134のうちの1つに示されるような変異事象を含むか否かを確認する工程を包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンチャネルとしての生物学的機能を有するタンパク質における変異と、そしてより詳細には、このような変異であって、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病(驚愕過多)(hyperekplexia)、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群(phobic obsessive symptoms)、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症(congenital stationary night blindness)、および全色盲)のような疾患に関連する、変異に関する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、脳障害の多様な集積を構成し、人口のうち約3%に対して、その一生のうちのある時点で影響する(Annegers,1996)。てんかん発作は、中枢神経系のニューロンの集団の発火の障害によって生じる挙動における突発性の変化として規定することができる。このことは、種々の程度の不随意性の筋収縮、およびしばしば意識の喪失を生じる。てんかんの症状は、特徴的な症状、発作のタイプ、原因、発症年齢、およびEEGパターンに基づいて、40を超える異なるタイプに分類されている(Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy,1989)。しかし、全ての症状に対して共通である単一の特徴は、発作(痙攣)として、ときどき、または予測不能、その両方で発現される、ニューロンの興奮性の持続性の増大である。
【0003】
罹患した個体の約40%において、てんかんの病因論に対する遺伝的な寄与が存在すると推定されている(Gardiner,2000)。てんかん発作は、最終的にはニューロンの同調性を損なう、多数の分子的異常(逸脱)のエンドポイントであり得るので、てんかんについての遺伝的基礎は、異種であり得る。表現型の一部としててんかんを含む200を超えるメンデル(法則)の疾患がある。これらの疾患においては、発作(痙攣)は、脳の構造または機能における妨害のような神経学的関与を裏付ける症状である。対照的に、多数の「純粋な(pure)」てんかん症状がまた存在し、ここではてんかんは、罹患した個体における唯一の兆候である。これらは、特発性と称されて、全てのてんかん症例の60%より多くを占める。
【0004】
特発性のてんかんは、さらに部分的に分割されて、サブタイプに一般化されている。部分てんかん(焦点てんかん、または局所てんかん)の発作は、局部的な皮質の放電から生じ、その結果、筋肉の特定の群のみが関与して、意識は保持され得る。しかし、全身性てんかんでは、EEGの放電は、焦点を示さず、それによって脳の全ての皮質下領域が関与する。全身性てんかんが、頻繁に遺伝されるという観察は理解できるが、遺伝的欠陥(おそらく脳において恒常的に発現される)が、部分的痙攣(発作)を生じる機構は、ほとんど不明である。
【0005】
分子遺伝的領域は、多数の遺伝された神経学的障害(筋ジストロフィー、家族性神経障害、および脊髄小脳変性症など)の分類、診断、および生物学的理解において目覚しい進歩を生じた。これらの障害は、全て、珍しいかまたはまれであり、そして単純なメンデルの遺伝を有する。対照的に、一般的な神経学的疾患は、てんかんと同様、複雑な遺伝を有し、ここでは、その遺伝は、複数の遺伝子(環境的影響と時に相互作用する)によって決定される。複雑な遺伝を有する障害における分子遺伝的進歩は、今日まで、かなり遅れていた(Todd,1999)。
【0006】
ほとんどの分子遺伝的進歩は、連続的な3段階のプロセスによって得られる。第一に、臨床的に相同な障害を決定し、そしてその遺伝の様式を決定する。第二に、その障害を有する、注意深く特徴付けられた臨床的集団において、連鎖解析を実施する。連鎖解析は、特定の障害の染色体局在が、総ゲノムの約0.5%に狭められるプロセスである。連鎖の知識によっては、異常な遺伝子についてゲノム中のどこかを探すための重要なてがかり以外に、固有の生物学的見識は与えられない。第三に、ポジショナルクローニング、またはポジショナル候補アプローチのようなストラテジーを用いて、異常な遺伝子、および連鎖領域内でのその特定の変異を特定する(Collins,1995)。
【0007】
複雑な遺伝を有する障害における連鎖研究には、陰性の結果、および陽性の知見を再現できないことがつきまとっていた。複合性の障害の遺伝学において、現在の文献には、欲求不満の感覚が広がっている。注意深く実施された大規模な研究(多発性硬化症および糖尿病を含む障害の数百の兄弟姉妹対(sibpair)を含む)は、本質的に陰性であった(Bell、およびLathrop,1996;Lernmark、およびOtt,1998)。新しい観点は、このような障害が、効果の小さい多くの遺伝子の合計に起因するというもの、およびこれらの遺伝子の同定は、非常に大規模の関連研究でのみ可能であり得るというものである。ゲノム全体に基づくこのような研究は現在、マーカーセットが不完全であること、および計算上の限界に起因して、現在のところ不可能である。
【0008】
特発性全身性てんかん(IGE)は、遺伝されたヒトのてんかんの最も通常の群であり、単純な遺伝は有さない。他の複合性の障害と同様、IGEにおける連鎖研究によって、議論の余地があり、かつ相反する主張が生じた。以前の著者らは、この疾患についての多因子性モデル、多遺伝子モデル、主働遺伝子(オリゴジーン)モデル、または2つの遺伝子座モデルの可能性を示唆した(Andermann,1982;Doose、およびBaier、1989;Greenbergら、1988a;1992;Janzら,1992)。
【0009】
IGEの2つの広範な群が現在公知である−古典的な特発性全身性てんかん(Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy,1989)、および熱性痙攣プラス(GEFS)を伴う全身性てんかんの新しく認識された遺伝的症候群(Scheffer、およびBerkovic,1997;Singhら、1999)。
【0010】
古典的なIGEは、多数の臨床的に認識可能だが、重複するサブ症候群(sub−syndrome)に分割され、このサブ症候群としては、小児期欠神てんかん、若年性欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかんなどが挙げられる(Commission on Classification and Terminology of the International League Against Epilepsy,1989;Rogerら、1992)。このサブ症候群は、発現の年齢および発作(痙攣)のタイプのパターン(欠神、ミオクローヌス、および強直間代性)によって特定される。ある患者、特に強直間代性の痙攣のみを有する患者は、特異的に認識されたサブ症候群に一致しない。これらを別の症候群としてみなすが、ただし、それらは神経生物学的連続体の一部であることを認識しているという議論が、以前に提示されている(Berkovicら、1987;1994;Reutens、およびBerkovic,1995)。
【0011】
GEFSは、多世代の大家族を通じてもともと認識されたが、それは、種々のサブ症候群を含む。熱性痙攣プラス(FS)は、小児が3ヶ月〜6年の年齢範囲の外側で生じる熱性痙攣を有するか、または関連の熱性の強直間代性痙攣を有する、サブ症候群である。多くの家系の一員が、古典的な熱性痙攣(convulsion)症候群とは識別不能である表現型を有しており、そして幾人かは、さらなる欠神性、ミオクローヌス性、弛緩性、または複合した部分的痙攣を伴うFSを有する。GEFSスペクトルの重篤な終局としては、ミオクローヌス失立てんかんが挙げられる。
【0012】
30歳までのてんかんの累積頻度(ある時点でてんかんに罹患した割合)は、1.5%である(Hauserら、1993)。IGEの累積的頻度についての正確な推定は不可能である。疫学的研究において、てんかんを下位分類するための試みがなされたが、IGEのほとんどは診断されず、多くの場合、未分類である。これは、おそらく、症例が、まれにしかてんかん専門医によって直接検討されていないためである。専門家によってみられた診療所または診療室の系列において、ほとんどの症例は、分類可能であり、そしてIGEは、症例の約25%を占める。このことは、人口の約0.3%が、ある時点でIGEに罹患するということを示唆する。
【0013】
非近交系の集団において、古典的なIGEを有する多くの患者は、兄弟姉妹として散発するようであり、親は、通常罹患しない。臨床的に罹患していない家系の一員に対する系統的なEEG研究によって、コントロールに比べて、全身性てんかん様放電の年齢依存性の発現の増大が示される。さらに、臨床的なIGEを有する集団の約0.3%に対して、系統的なEEG研究によって、健常な小児の約1%が、意識のあるままで、全身性てんかん様放電を有することが示唆される(Cavazzutiら、1980;Okuboら、1994)。
【0014】
古典的なIGEの発端者の第一親等の親類の約5〜10%が、痙攣(発作)を有しており、この罹患した親類は、通常、IGE表現型または熱性痙攣を有する。2〜4の罹患した個体を有する核家族が、よく認識されており、そして3世代の家系、または祖父母−孫の対が時折観察される(Italian League Against Epilepsy Genetic Collaborative Group,1993)が、4以上の世代にまたがって拡大する複数の罹患した個体を有する家系は、非常にまれである。
【0015】
しかし、GEFSについて、不完全な浸透を伴う常染色体優性遺伝を示す、多数の多世代の大家族が公知である。古典的なIGEに対してと同様に、散発性の症例、およびGEFS表現型を有する小家族の解析は、単純なメンデルの遺伝を示唆しない。実際、母方および父方のてんかんの既往がある、双系遺伝が、GEFS、および古典的IGE家系の両方で観察されている(Singhら、1999;Italian League Against Epilepsy Genetic Collaborative Group,1993)。
【0016】
古典的なIGE、またはGEFSを有する単一の家系内で、罹患した個体はしばしば異なるサブ症候群を有する。罹患した親類が、その発端者に近いほど、それらのサブ症候群はより類似しており、そして兄弟姉妹はしばしば類似のサブ症候群を有する(Italian League Against Epilepsy Genetic Collaborative Group,1993)。頻度は低いものの、ほとんど、または全ての既知の罹患した個体が、1つの古典的なIGEサブ症候群(例えば、小児期欠神てんかん、または若年性ミオクローヌスてんかん)を有する家系が観察される(Italian League Against Epilepsy Genetic Collaborative Group,1993)。
【0017】
重要なことに、サブ症候群は、IGEに罹患した一卵性双生児において同一である。対照的に、罹患した二卵性双生児は、同じサブ症候群を有することも、または異なるサブ症候群を有することもあり得る。古典的なIGEおよびGEFSサブ症候群は、別々に分かれる傾向である(Singhら、1999)。
【0018】
いくつかの近交系コミュニティーにおける血統の分析によって、若年性ミオクローヌスてんかん、およびIGEの他の形態についての劣性遺伝が強力に示される(Panayiotopoulos、およびObeid,1989;Berkovicら、2000)。このような家系においては、サブ症候群は、非近交系の家系由来の罹患した兄弟姉妹対においてよりも、罹患した兄弟姉妹においてかなり類似である。近年、連鎖解析によって確認された、常染色体劣性遺伝によるIGEの乳幼児型を有する家系が、イタリアで報告された(Zaraら、2000)。
【0019】
古典的IGEの分子遺伝におけるほとんどの研究は、若年性ミオクローヌスてんかんのサブ症候群において行われており、ここでは、染色体6p上のHLA領域に近位か、またはその領域内の遺伝子座が、1988年に最初に報告されている(Greenbergら、1988b)。この知見は、2つの共同する研究室によって、別々の患者サンプルにおいて、支持され、そして引き続いて、それらの家系のいくつか(ただし全てではない)において、若年性ミオクローヌスてんかんの6p遺伝子座についてのさらなる証拠が3つのグループによって提供された。しかし、遺伝的欠陥は、見出されておらず、そしてこの遺伝子(単数または複数)の正確な遺伝子座は、HLA領域との関係において、議論の余地が残っている。第6染色体に対する連鎖の強力な証拠が、若年性ミオクローヌスてんかんを有する単一の大きい家系の研究から得られたが、この血統においては、この遺伝子座は完全に、HLA領域の外側である。15q染色体上の遺伝子座はまた、若年性ミオクローヌスてんかんについて示唆されているが、他の2つの研究によっては確認されなかった。
【0020】
概して、欠神てんかん、または他の形態の特発性全身性てんかんを有する患者におけるHLA領域中の推定の染色体6p遺伝子座の研究の結果は、陰性であった。主な例外は、意識下に強直間代性痙攣発作(若年性ミオクローヌスてんかんに密接に関連するサブ症候群)を有する発端者の研究によって、6pに対する連鎖が示唆されるということである。
【0021】
小児期欠神てんかんの古典的寛解のための連鎖は得難いままであるが、持続性の欠神(若年性ミオクローヌスてんかん表現型へ進化する)を有する家系においては、1p染色体に対する連鎖が主張されている。持続性の欠神、および強直間代性痙攣発作を有するインド人の血統は、8q24に連鎖し得る。この領域に対する連鎖はまた、サブ症候群にかかわらず、IGEにおけるノンパラメトリックな解析によって示唆されたが、別の研究では確認されなかった。単一の研究において報告されたIGEについての他の遺伝子座としては、3p14、8p、18、および可能性としては5pが挙げられる。イタリアで報告された劣性で遺伝された幼児期発現IGEの珍しい例は、単一の家系において16pにマッピングする。
【0022】
従って、複雑な遺伝を有するほとんどの障害と同様に、古典的なIGEの遺伝学に対する文献は、混乱しており、かつ矛盾している。この混乱のうちのいくつか、およびおそらくはかなりのものが、異質性に起因しており、これはIGEの多数の遺伝子座の可能性を伴う。上記で概説された研究は、原則的に複数の小家系において実施されるので、サンプル内、およびサンプル間の異質性は、あり得ることである。上記で報告された連鎖の全て、もしくはいくつかが、IGEについての関連の遺伝子を保有することが見出されるか、またはどれもがそうでないかは、依然として決定されるべき状態で残っている。上記で概説された研究のほとんどが、メンデルの遺伝を想定する解析方法を用いた(この仮定は、非近交系のコミュニティーについては正しくない)。いくつかの研究では、(常染色体劣性の、常染色体優性の)マルチモデルを用いた。パラメトリック連鎖解析は、複合性の疾患を解析する、ある状況において信頼することができるが、それは、強度精神病における連鎖に対する文献によって強調されたような擬似的な知見をもたらし得る(Risch、およびBotstein,1996)。
【0023】
GEFSが関与する限りでは、強力な常染色体優性遺伝子の臨床的証拠を有する、まれな多世代の大家族における連鎖解析によって、染色体19q、および2qにおける遺伝子座が実証された。19q、および2qの両方のGEFS遺伝子座は、独立して確認された大家族において確認されており、そして遺伝的欠陥が同定されている。19qに連鎖する家系は、公知であり、そしてニューロンのナトリウムチャネルのβ1サブユニット(SCN1B)の遺伝子における変異が、同定されている(Wallaceら、1998)。この変異は、この調節性サブユニットの重大なジスルフィド架橋の損失を生じ、そしてインビトロにおいて機能の損失を生じる。2qに連鎖した家系がまた公知であり、ニューロンのナトリウムチャネルの細孔形成αサブユニット(SCN1A)における変異が同定されている(PCT/AU01/01648;Wallaceら、2001b;Escaygら、2000)。GEFSを有する、より一般的な小家族における研究によって、今日まで、これらまたは他の変異は明らかになっていない。
【0024】
GEFSにおけるSCN1B、およびSCN1Aの変異に加えて、大家族の研究を通じて、ヒトの特発性てんかんについて、他の4つの遺伝子欠陥が発見されている。ニューロンのニコチン性アセチルコリンレセプターのα4サブユニット(CHRNA4)における変異は、常染色体優性の夜間型前頭葉てんかんの焦点てんかん症候群において生じる(オーストラリア特許、AU−B−56247/96;Steinleinら,1995)。GABAレセプター(GABRG2)のγ2サブユニットにおける変異は、小児期欠神てんかん、熱性痙攣(熱性痙攣プラスを含む)、およびミオクローヌスてんかんにおいて同定されている(PCT/AU01/00729;Wallaceら、2001a)。結局、2つのカリウムチャネル遺伝子(KCNQ2、およびKCNQ3)における変異が、良性の家族性新生児痙攣において同定された(Singhら、1998;Biervertら、1998;Charlierら、1998)。最初は、IGEの特別な形態とみなされたが、この珍しい症候群はおそらく、遺伝性の焦点てんかんの形態である。
【0025】
これらの研究に加えて、他の遺伝子における変異が、てんかんの原因であることが特定されている。これらとしては、ニューロンのニコチン性アセチルコリンレセプターのβ2サブユニット(CHRNB2)(PCT/AU01/00541;Phillipsら、2001)、およびGABAレセプターのデルタサブユニット(GABRD)における変異が挙げられる(PCT/AU01/00729)。
【0026】
ヒトIGEに近似する多数のマウスモデルが公知である。これらのマウス変異体は、欠神発作、または強直間代性痙攣を伴う、一般化された棘波(spike−and−wave)放電に加えて、運動失調を有する。カルシウムチャネルサブユニット遺伝子における劣性変異は、嗜眠性変異(CACNB4)、不安定/傾き変異(CACNA1A)、および夢想家変異(CACNG2)において見出されている。徐波てんかんマウス変異体は、ナトリウム/水素交換遺伝子において変異を有し、これはpH感受性イオンチャネルに対する重要な下流効果を有し得る。
【0027】
ヒトおよびマウスの文献によって、この特発性てんかんが、電位開口型(例えば、SCN1A、SCN1B、KCNQ2、KCNQ3)、またはリガンド依存性型(例えば、CHRNA4、CHRNB2、GABRG2、GABRD)のイオンチャネルサブユニットにおける変異を伴うチャネル異常症の家系を含むことが、ここで示唆される。これらのチャネルは代表的には、異なる染色体上の遺伝子によって特定される、多数のサブユニットから構成される。イオンチャネルサブユニットの化学量論、および高次構造は、まだ十分に理解されていないが、その多くは、種々の組み合わせで複数のサブユニットを有する。
【0028】
他の神経/生理学的な障害において、イオンチャネルの関与がまた観察されている(Dworakowska、およびDolowy、2000に概説された)。電位開口型のナトリウムチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、および塩素イオンチャネル、ならびにリガンド依存性チャネル(例えば、アセチルコリンおよびGABAレセプター)における変異は、高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、および心不整脈のような生理学的障害をもたらし得る。イオンチャネル変異に関連するてんかん以外の神経学的障害としては、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病(驚愕過多)、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、ならびに神経因性疼痛、炎症性疼痛、および慢性疼痛/急性疼痛が挙げられる。いくつかの腎障害(例えば、バーター症候群、多発性嚢胞腎、およびデント病)、分泌障害(例えば、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、および嚢胞性繊維症)、および視覚障害(例えば、先天性停在夜盲症、および全色盲)がまた、イオンチャネルにおける変異に関連し得る。
【発明の開示】
【0029】
PCT/AU01/00872(その開示は、本明細書において参考として援用される)に記載された特発性全身性てんかん(IGE)の新しい遺伝的モデルにおいて、ほとんどの古典的IGE、およびGEFSの症例は、マルチサブユニットのイオンチャネルにおける2つの変異体の組み合わせに起因すると想定されている。これらは代表的には、点変異(ポイントミューテーション)であり、これが機能の微妙な変化を生じる。重大な前提条件は、異なるサブユニット対立遺伝子(「二遺伝子モデル(digenic model)」)における2つの変異体(通常は、ただし排他的ではない)が、IGEの臨床的発現に必要であるということである。さらに、以下のことが提案されている:
a)多数の異なる変異したサブユニット対が、IGEの原因であり得る。2つの変異したサブユニットの組み合わせが、約30%の浸透度を有するIGE遺伝子型をもたらす。
b)変異したサブユニットの全ての対立遺伝子頻度は、約8%である。人口の約15%が、1つ以上の変異したサブユニット遺伝子を有し、そして1%が、2つ以上の変異したサブユニットを有すると計算された。
c)サブ症候群は、変異したサブユニット対の特定の組み合わせによって主として決定されるが、さらに影響の小さい、1つ以上の他の遺伝子(イオンチャネルサブユニットを含む)が、表現型を改変し得る。
d)古典的IGEを生じる変異したサブユニットの組み合わせは、GEFSを生じる組み合わせとは大きく異なるが、いくつかのサブユニットは、両方の症候群に関与し得る。
e)単一の「機能の変化(change of function)」の変異を有する個体は、IGEを有さないが、このような変異は、単純な熱性痙攣(IGEの発端者の親類において頻度の増大が観察される)に寄与し得る。
【0030】
より重篤な機能的結果(例えば、SCN1Bにおけるジスルフィド架橋、またはGEFSのSCN1Aの細孔形成領域におけるアミノ酸置換を破壊する)を有するサブユニット変異は、60〜90%の浸透度を有する常染色体優性全身性てんかんを生じることが、このモデルによってまた提唱される。GEFSにおける正確なサブ症候群は、他のイオンチャネルサブユニットにおけるわずかな対立遺伝子のバリエーション、または変異によって決定される。このような「重篤な(severe)」変異は、まれ(対立遺伝子頻度<0.01%)であるが、GEFSのまれな原因である。それらは非常にまれにしか、またはおそらく決して古典的IGEを生じない。
【0031】
従って、イオンチャネルサブユニットにおける分子変化の同定は、遺伝的改変体であって、単独で、または組み合わせ(二遺伝子モデルに基づく)て、てんかん表現型、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の神経/生理学的障害を生じる、遺伝的改変体の解明に向かう重要な工程である。
【0032】
本発明者らは、てんかんを有する個体において、イオンチャネルのサブユニットをコードする遺伝子における多数の新規な変異体または改変体を同定した。各々の分子欠陥について、当業者は、哺乳動物におけるイオンチャネルの一部としての生物学的機能を有するタンパク質をコードする単離された核酸分子であって、ここで点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群より選択される変異事象が、イオンチャネルの機能化に影響するように生じた核酸分子を提供できることが理解される。ある場合には、この単一の変異は単独で、てんかんの表現型、またはイオンチャネル機能不全に関連した他の神経/生理学的障害を生じる。
【0033】
単一の変異が単独で、いわゆるてんかん表現型を生じない場合、哺乳動物におけるイオンチャネルの一部として生物学的機能を有するタンパク質をコードする、1つ以上のさらなる単離された核酸分子であって、ここで点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群より選択される変異事象が、イオンチャネルの機能化に影響するように生じた核酸分子が提供される。インビボにおける各々の単離された核酸分子における変異の累積的な影響は、この哺乳動物において、てんかん、または別の神経/生理学的障害を生じることである。この変異は、同じイオンチャネルに属するタンパク質サブユニットをコードする核酸分子にあってもよいし、また異なるイオンチャネルに属するタンパク質サブユニットをコードする核酸分子にあってもよい。
【0034】
代表的には、このような改変体は、点変異であり、そしてイオンチャネルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、もしくは塩素イオンチャネルのような電位開口型チャネルであるか、またはnAChR/GABAスーパーファミリーのレセプターのメンバーのようなリガンド依存性チャネル、あるいはその機能的フラグメント、もしくは相同体である。
【0035】
変異は、イオンチャネルサブユニットの非コード領域における変異(例えば、サブユニット遺伝子の発現のレベルに影響するプロモーター領域における変異、mRNAプロセシングの間のサブユニットの正確なスプライシングに影響するイントロン配列における変異、またはmRNAの翻訳もしくは安定性に影響し得る5’もしくは3’非翻訳領域における変異)を含んでもよい。変異はまた、イオンチャネルサブユニットのコード領域にあってもよく、そして好ましくは、そのコード領域にある(例えば、コードされたタンパク質におけるアミノ酸変化を生じ得るヌクレオチド変異、またはアミノ酸変化を生じないが、mRNAの安定性に影響し得るヌクレオチド変異)。
【0036】
変異の組み合わせは、表1に同定された組み合わせから選択され得るが、それに限定はされない。
【0037】
従って、本発明の1つの局面において、イオンチャネル機能不全に関連する障害に対して素因がある被験体を同定する方法が提供される。この方法は、この被験体におけるイオンチャネルサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つが、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象を含むか否かを確認する工程を包含する:


【0038】
さらなる局面において、イオンチャネル機能不全に関連する障害に対して素因がある被験体を同定する方法が提供される。この方法は、この被験体におけるイオンチャネルサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つが、配列番号1〜72のうちの1つに示されるような変異事象を含むか否かを確認する工程を包含する。
【0039】
本発明の別の局面において、変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子であって、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象を生じている核酸分子が提供される:


【0040】
本発明のさらなる局面において、変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子であって、配列番号1〜72のうちの1つに示されるような変異事象を生じている核酸分子が提供される。
【0041】
この変異事象は、単独か、またはイオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変と組み合わせてのいずれかで、てんかんの表現型、および/またはイオンチャネル機能不全に関連する1つ以上の他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を生じるようにイオンチャネルの機能化を破壊する。
【0042】
本発明の別の局面において、変異KCNQ2サブユニットをコードする単離された核酸分子であって、変異事象がKCNQ2サブユニットのC末端ドメインで生じており、てんかん表現型を生じるように、サブユニットカルモジュリン結合親和性の破壊に導く、単離された核酸分子が提供される。
【0043】
本発明の1つの形態において、変異は、KCNQ2サブユニットのエキソン8またはエキソン15にあり、そしてアミノ酸位置353におけるアルギニン残基のグリシン残基での置換、またはアミノ酸位置619におけるロイシン残基のアルギニンでの置換を生じる。R353G変異は、配列番号44に示されるようなKCNQ2コード配列の1057位置でのCからGのヌクレオチド置換の結果として生じる。L619R変異は、配列番号47に示されるようなKCNQ2コード配列の1856位置でのTからGのヌクレオチド置換の結果として生じる。
【0044】
本発明のさらなる形態において、変異は、KCNQ2サブユニットのエキソン11またはエキソン14にあり、そしてアミノ酸位置430におけるアルギニン残基の終止コドンでの置換、またはアミノ酸位置570におけるアルギニン残基のセリンでの置換を生じる。R430X変異は、配列番号45に示されるようなKCNQ2コード配列の1288位置でのCからTのヌクレオチド置換の結果として生じる。R570S変異は、配列番号46に示されるようなKCNQ2コード配列の1710位置でのAからTのヌクレオチド置換の結果として生じる。
【0045】
好ましくは、これらの変異は、良性の家族性新生児発作(BFNS)の表現型を生じる。
【0046】
本発明のさらなる局面において、2つ以上の単離された核酸分子の組み合わせであって、各々が表1に提示されるような新規な変異事象を有する核酸分子の組み合わせが、提供される。インビボにおいて各々の単離された核酸分子におけるこの変異の累積的な影響は、この哺乳動物において、上記のようなイオンチャネル機能不全に関連したてんかん、または別の障害を生じることである。
【0047】
本発明の特に好ましい実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号1〜72のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列を有する。この配列は、配列表1に示される新規なDNA変異または改変体に相当する。
【0048】
本発明の別の局面において、配列番号1〜72に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つを含む単離された核酸分子が提供される。
【0049】
本発明の別の局面において、配列番号1〜72に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つからなる単離された核酸分子が提供される。
【0050】
本発明のヌクレオチド配列は、種々の目的のために当該分野で受け入れられた方法を用いて操作され得る。これらとしては、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現の改変が挙げられるがこれらに限定されない。遺伝子フラグメントのPCR再構築、および合成オリゴヌクレオチドの使用によって、本発明のヌクレオチド配列の操作が可能になる。例えば、オリゴヌクレオチド媒介性の部位特異的突然変異誘発は、新しい制限部位を生じるさらなる変異を誘導し、発現パターンを変更し、スプライス改変体を生じることなどができる。
【0051】
遺伝子コードの縮重の結果として、多数のポリヌクレオチド配列(そのいくつかは、任意の公知のポリヌクレオチド配列、および天然に存在する遺伝子に対して最小の類似性を有し得る)が、生成され得る。従って、本発明は、可能性のあるコドン選択に基づく組み合わせを選択することによってなされ得る、ポリヌクレオチド配列の各々、そしてあらゆる可能性のあるバリエーションを包含する。これらの組み合わせは、本発明のポリヌクレオチド配列に対して適用されるような標準的なトリプレット(三つ組み)の遺伝的コードと一致してなされ、そしてこのような改変の全ては、特異的に開示されているとみなされるべきである。
【0052】
本発明の核酸分子は、代表的にはDNA分子であり、そしてcDNA、ゲノムDNA,合成型、および混合ポリマー(センス鎖およびアンチセンス鎖の両方)を含み、そして、化学的に、もしくは生化学的に改変されてもよく、または当業者によって理解されるとおり、天然でないか、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含んでもよい。このような改変としては、標識、メチル化、インターカレーター、アルキレーター、および改変された連鎖が挙げられる。ある場合には、本発明のポリヌクレオチド配列のコドン用法ではなく、実質的に異なるコドン用法を保有するヌクレオチド配列を生じることが有利であるかもしれない。例えば、特定の真核生物宿主、または原核生物宿主におけるペプチドの発現の率(特定のコドンが、宿主によって利用される頻度と一致する)が増大するように、コドンが選択されてもよい。コードされたアミノ酸配列を変更することなしに、ヌクレオチド配列を変更する他の理由としては、天然に存在する変異した配列から生じる転写物よりも望ましい特性(例えば、半減期の延長)を有するRNA転写物の生成が挙げられる。
【0053】
本発明はまた、合成化学によって、本発明の核酸配列の生成を全体的に包含する。合成配列は、発現ベクターおよび細胞系(適切な宿主に挿入されたコード配列の転写的コントロールおよび翻訳的コントロールのために必要なエレメントを含む)に挿入してもよい。これらのエレメントは、本発明のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を可能にする、調節配列、プロモーター、5’および3’非翻訳領域、ならびに特定の開始シグナル(例えば、ATG開始コドン、およびKozakコンセンサス配列)を含んでもよい。完全なコード配列(開始コドンおよび上流の調節配列を含む)が、適切な発現ベクターに挿入された場合、さらなるコントロールシグナルは、必要でないかもしれない。しかし、コード配列、またはそのフラグメントのみが挿入される場合、上記のような外因性の翻訳コントロールシグナルは、ベクターによって提供されるはずである。このようなシグナルは、種々の起源(天然および合成の両方)のシグナルであってもよい。発現の効率は、用いた特定の宿主細胞系について適切なエンハンサーを包含することによって増強され得る(Scharfら、1994)。
【0054】
本発明はまた、本明細書に記載の配列の相補体である核酸分子を包含する。
【0055】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、またはその改変体由来の精製されたポリペプチドまたはタンパク質の調製を可能にする。これを行うために、宿主細胞を上記のような新規な核酸分子を用いて形質転換してもよいし、または2つ以上の変異イオンチャネルサブユニットをコードする核酸分子を用いて形質転換してもよい。変異体サブユニットが、同じイオンチャネルの一部を形成する場合、2つ以上の変異体サブユニットを含むレセプタータンパク質が単離され得る。この変異体サブユニットが、異なるイオンチャネルのサブユニットである場合、宿主細胞は、2つ以上の変異体レセプタータンパク質を発現する。代表的には、この宿主細胞は、本発明によるDNA分子、または詳細には、2つ以上の変異体イオンチャネルサブユニットをコードするDNA分子を含む発現ベクターを用いてトランスフェクトされる。種々の発現ベクター/宿主系を利用して、本発明のポリペプチドをコードする配列を含ませ、かつ発現させることができる。これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌のような微生物;酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を用いて感染された昆虫細胞系;またはマウスもしくは他の動物もしくはヒトの組織細胞系。哺乳動物細胞はまた、ワクシニアウイルス発現系を用いてタンパク質を発現するために用いられてもよい。本発明は、使用される宿主細胞またはベクターによって制限されない。
【0056】
本発明のポリヌクレオチド配列、またはその改変体は、細胞株中で安定に発現されて、哺乳動物系における組み換えタンパク質の長期間の産生を可能にする。本発明のポリペプチドをコードする配列は、発現ベクター(同じベクター上にまたは別のベクター上にウイルスの複製起点、および/または内因性発現エレメント、および選択マーカー遺伝子を含んでもよい)を用いて細胞株中に形質転換されてもよい。選択マーカーは、選択性の因子に対する耐性を付与し、そしてその存在によって、その導入された配列を首尾よく発現する細胞の増殖および回復が可能になる。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に対して適切な組織培養技術を用いて増殖することができる。
【0057】
形質転換された細胞によって生成されたタンパク質は、用いられた配列、および/またはベクターに依存して、分泌されてもよいし、または細胞内に保持されてもよい。当業者によって理解されるとおり、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、原核生物または真核生物の細胞膜を通じたタンパク質の分泌を指向するシグナル配列を含むように設計されてもよい。
【0058】
さらに、宿主細胞株は、それが挿入された配列の発現を調節する能力、またはこの発現されたタンパク質を所望の様式でプロセシングする能力について選択され得る。ポリペプチドのこのような改変としては、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、およびアシル化が挙げられるがこれらに限定されない。「プレプロ(prepro)」型のタンパク質の翻訳後切断はまた、タンパク質の標的化、折り畳み、および/または活性を特定するために用いることができる。翻訳後活性について特定の細胞機構および特徴的な機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHO細胞、またはHeLa細胞)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection(ATCC))から入手可能であり、外来タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするために選択することができる。
【0059】
この遺伝子の大量のタンパク質産物が必要である場合(例えば、抗体産生のために)、このタンパク質の高レベルの発現を指向するベクター(例えば、T5、またはT7誘導性バクテリオファージプロモーターを含有するベクター)が用いられてもよい。本発明はまた、このタンパク質の重要な機能的ドメインを含む融合タンパク質を生成および単離するのにおいて、上記の発現系の使用を包含する。これらの融合タンパク質は、結合、構造的、および機能的研究のために、ならびに適切な抗体の生成のために用いられる。
【0060】
融合タンパク質としてこのタンパク質を発現および精製するために、別のペプチド(例えば、グルタチオンスクシニルトランスフェラーゼ)をコードするヌクレオチド配列を含むベクターに、適切なcDNA配列を挿入する。融合タンパク質は、発現され、そして真核生物細胞、または原核生物細胞から回収される。次いで、この融合タンパク質は、融合ベクター配列に基づいて、アフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。次いで、この所望のタンパク質は、この融合タンパク質の酵素的な切断によって得られる。
【0061】
本発明のポリペプチドのフラグメントはまた、固相技術を用いる直接ペプチド合成によって生成され得る。自動化された合成は、ABI 431Aペプチドシンセサイザー(Peptide Synthesizer)(Perkin−Elmer)を用いることによって達成され得る。このタンパク質の種々のフラグメントは、別々に合成されて、次いで、合わされて全長分子を生成することができる。
【0062】
本発明はまた、哺乳動物においてイオンチャネルとして生物学的機能を有するポリペプチドであって、ここで置換、欠失、短縮、挿入、および再配列からなる群より選択される変異事象が、イオンチャネルの機能化に影響するように生じている、ポリペプチドに関する。ある場合には、この単一の変異単独で、てんかん表現型またはイオンチャネル機能不全に関連する神経障害/生理的な障害が生じる。
【0063】
単一の変異単独でてんかん表現型を生じない場合、たとえば、哺乳動物におけるイオンチャネルの一部としての生物学的機能を有する、1つ以上のさらなる単離された哺乳動物ポリペプチドであって、置換、欠失、短縮、挿入、および再配列からなる群より選択された変異事象が、イオンチャネルの機能化に影響するように生じたポリペプチドが、提供される。インビボにおける各々の単離された哺乳動物ポリペプチドにおける変異の累積的効果は、この哺乳動物においててんかんまたは他の神経障害/生理的な障害を生じることである。この変異は、上記のような同じイオンチャネルに属するポリペプチドサブユニットにあってもよいが、異なるイオンチャネルに属するポリペプチドサブユニットにあってもよい。
【0064】
代表的には、この変異は、アミノ酸置換であり、このイオンチャネルは、ナトリウムチャネル、カリウムチャネル、カルシウムチャネル、もしくは塩素イオンチャネルのような電位開口型チャネルであるか、またはnAChR/GABAスーパーファミリーのレセプターのメンバーのようなリガンド依存性チャネル、あるいはそれらの機能的フラグメント、もしくは相同体である。
【0065】
変異の組み合わせは、表1に示された組み合わせから選択されるが、それらに限定されない。
【0066】
本発明のさらなる局面において、変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチドであって、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象を生じている、ポリペプチドが提供される:

【0067】
本発明のさらなる局面において、変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチドであって、このポリペプチドが配列番号73〜95に記載のアミノ酸配列を有するように変異事象が生じた、ポリペプチドが提供される。この変異事象は、イオンチャネルの機能化を破壊して、てんかん、および/またはイオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の表現型を発生させる。
【0068】
本発明の特に好ましい実施形態において、この単離されたポリペプチドは、配列番号73〜95のいずれか1つに示されるようなアミノ酸配列を有する。この配列は、DNA変異がアミノ酸変化を生じる場合について表1に示された新規なアミノ酸変化に相当する。
【0069】
本発明のなお別の局面によれば、変異KCNQ2サブユニットである、単離されたポリペプチドであって、変異事象がKCNQ2サブユニットのC末端ドメインで生じており、てんかん表現型を生じるように、サブユニットのカルモジュリン結合親和性の破壊に導く、単離されたポリペプチドが提供される。
【0070】
本発明の1つの形態において、この変異は、アルギニン残基がグリシン残基で置換されるか、またはロイシン残基がアルギニン残基で置換されるかである置換である。好ましくは、この置換は、それぞれ、配列番号92および95に例示されるような、R353GおよびL619R転位である。
【0071】
本発明のさらなる形態において、この変異はアルギニンの終止コドンへの置換またはアルギニンのセリンによる置換を生じる。好ましくは変異は、それぞれ配列番号93および94に例示されるような、R430XおよびR570S転位である。
【0072】
本発明のなおさらなる局面において、2つ以上の単離されたポリペプチドの組み合わせであって、各々が表1に示される新規な変異事象を有するポリペプチドの組み合わせが、提供される。インビボにおける各々の単離されたポリペプチド分子における変異の累積的効果は、この哺乳動物において、上記のような、てんかん、またはイオンチャネル機能不全に関連する別の障害を発生させることである。
【0073】
本発明の特に好ましい実施形態において、この単離されたポリペプチドは、配列番号73〜95のいずれか1つに示されるようなアミノ酸配列を有する。この配列は、表1に示された新規なアミノ酸変化に相当する。
【0074】
本発明のなお別の局面によれば、配列番号73〜95のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが提供される。
【0075】
本発明のなお別の局面によれば、配列番号73〜95のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが提供される。
【0076】
本発明のさらなる別の局面によれば、ポリペプチドを調製する方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:
(1)ポリペプチド産生のために有効な条件下で、上記のような核酸分子を含む発現ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞を培養する工程;および
(2)変異体イオンチャネルサブユニットを回収する工程。
【0077】
この変異体イオンチャネルサブユニットは、野生型であるか、またはそれ自体変異体サブユニットであるチャネルを構成する、他のサブユニットを用いて組み立てられることができ、それによって組み立てられたイオンチャネルは収集される。
【0078】
本発明のなお別の局面によれば、上記のプロセスの産物であるポリペプチドが提供される。
【0079】
次いで、実質的に精製されたタンパク質またはそのフラグメントを、さらなる生化学的分析において用いて、二次構造および三次構造を確立することができる。このような方法論は、当該分野において公知であり、そして以下が挙げられるがそれに限定されない:タンパク質、もしくはこのタンパク質を組み込んでいる組み立てられたイオンチャネルの結晶のX線結晶学、または核磁気共鳴(NMR)による方法論。構造の決定によって、全体として、または特定のサブユニットタンパク質(以下の薬物スクリーニングを参照のこと)との相互作用を通じて、イオンチャネルと相互作用するか、全体的なイオンチャネルタンパク質荷電構成を変更するか、もしくは他のタンパク質との相互作用を変化するか、または細胞におけるその機能を変更する医薬品の合理的な設計が可能になる。
【0080】
本発明の一部として包含される変異体イオンチャネルサブユニットが、さらなる適用(正常または変異した遺伝子または遺伝子産物のいずれかの存在についてスクリーニングおよび検出するための種々のハイブリダイゼーションおよび免疫学的アッセイを含む)において有用であることが理解される。本発明は、てんかん、ならびにイオンチャネル機能不全に関連した他の障害の処置のための治療方法を可能にし、そしてまたてんかん、ならびにイオンチャネル機能不全に関連した他の障害の診断または予後のための方法を可能にする。
【0081】
治療適用
本発明のなお別の局面によれば、てんかん、ならびにイオンチャネル機能不全に関連した他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法が提供される。この方法は、このイオンチャネルが、上記のようなチャネルを含むサブユニット中に変異を含む場合、このような処置の必要な被験体に対して、イオンチャネルもしくはイオンチャネルサブユニットの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターを投与する工程を包含する。このような変異事象は、同じまたは異なるイオンチャネルのサブユニット(代表的には、表1に同定されたもの)において、単独で発現される場合、または1つ以上のさらなる変異と組み合わせて発現される場合、この障害の原因であり得る。
【0082】
本発明のなお別の局面において、てんかん、ならびにイオンチャネル機能不全に関連した他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のための医薬の製造におけるイオンチャネルまたはイオンチャネルサブユニットの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターの使用が提供される。このイオンチャネルは、上記のように、サブユニット(チャネルを含む)中に変異を含む。この変異は上記のような、同じまたは異なるイオンチャネルのサブユニットにおいて、単独で発現される場合、または第二の変異と組み合わせて発現される場合、上記障害の原因である。
【0083】
1つの局面において、適切なアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターは、本発明の変異を含むイオンチャネル(単数または複数)に対して野生型機能を回復するか、または変異体チャネル(単数または複数)が細胞機能に対して有する影響を無効にする。
【0084】
当該分野で周知の方法を用いて、変異体イオンチャネルを用い、この疾患の原因であるこの変異体チャネルに特異的な抗体を生成すること、または薬剤のライブラリーをスクリーニングしてこの変異体イオンチャネルに結合する薬剤を同定することができる。
【0085】
1つの局面において、本発明の変異体イオンチャネル、または変異体イオンチャネルサブユニットに特異的に結合する抗体は、薬剤を、変異体イオンチャネルを発現する細胞または組織にもたらすために、アゴニスト、アンタゴニスト、もしくはモジュレーターとして直接、または標的機構または送達機構として間接的に用いることができる。
【0086】
本発明のなおさらなる局面において、上記のようなポリペプチドと免疫学的に反応性であるが、野生型イオンチャネル、またはそのイオンチャネルサブユニットとは反応性でない抗体が提供される。
【0087】
詳細には、チャネルを含むサブユニットにおける変異であって、単独で発現された場合、または同じ、もしくは異なるイオンチャネルのサブユニットにおいて1つ以上の他の変異と組み合わせて発現された場合、てんかん、またはイオンチャネル機能不全に関連する別の障害の原因である変異、を含む、組み立てられたイオンチャネルに対する抗体が、提供される。このような抗体は、当業者に理解されるように、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および単鎖抗体を含むがこれに限定されない。
【0088】
抗体の産生のために、ウサギ、ラット、ヤギ、マウス、ヒト、などを含む種々の宿主が、上記のようなポリペプチド、または免疫原性特性を有するその任意のフラグメントもしくはオリゴペプチドを用いる注射によって免疫されてもよい。免疫学的応答を増大するためには、種々のアジュバントが用いられ得、これにはフロイントのアジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、およびリゾレシチンのような界面活性物質が挙げられるがこれらに限定されない。ヒトにおいて用いられるアジュバントとしては、BCG(桿菌、Calmette−Guerin)、およびCorynebacterium parvumが挙げられる。
【0089】
変異体イオンチャネルに対して抗体を誘導するために用いたオリゴペプチド、ペプチド、またはフラグメントは、少なくとも5アミノ酸、そしてより好ましくは、少なくとも10アミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。これらのオリゴペプチド、ペプチド、またはフラグメントは、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部に対して同一であり、そして小型の、天然に存在する分子のアミノ酸配列全体を含むことがまた好ましい。イオンチャネルアミノ酸の短いストレッチは、別のタンパク質(例えば、KLH)のストレッチと融合されてもよく、そしてキメラ分子に対する抗体が生成されてもよい。
【0090】
変異体イオンチャネルに対するモノクローナル抗体は、任意の技術(連続的な細胞株培養によって抗体分子の生成を提供する)を用いて調製することができる。これらとしては、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBVハイブリドーマ技術が挙げられるがこれらに限定されない(例えば、Kohlerら、1975;Kozborら、1985;Coteら、1983;Coleら、1984を参照のこと)。
【0091】
生成されたモノクローナル抗体としては、マウス由来の抗体、ヒト化抗体、および完全ヒト抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
抗体は、文献に開示されるように、リンパ球集団においてインビボ産生を誘導することによって、または免疫グロブリンライブラリーもしくは高度に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって生成されてもよい(例えば、Orlandi ら、1989;Winter、およびMilstein、1991を参照のこと)。
【0093】
変異体イオンチャネルに特異的な結合部位を含む抗体フラグメントがまた生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって生成されたF(ab’)2フラグメント、およびこのF(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成されたFabフラグメントが挙げられる。あるいは、Fab発現ライブラリーを構築して、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にすることができる(例えば、Huseら、1989を参照のこと)。
【0094】
種々のイムノアッセイをスクリーニングに用いて、所望の特異性を有する抗体を同定することができる。特異性の確立されたポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを用いる、競合的結合または免疫放射定量測定法についての多くのプロトコールが当該分野で周知である。このようなイムノアッセイは代表的に、イオンチャネルとその特定の抗体との間の複合体形成の測定を含む。2つの、妨害しないイオンチャネルエピトープに対して反応性の抗体を利用する、2つの部位の、モノクローナルに基づくイムノアッセイが好ましいが、競合的結合アッセイもまた使用することができる。
【0095】
本発明のさらなる局面において、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法が提供される。この方法は、このような処置の必要な被験体に対して、上記の核酸分子のいずれか1つの相補体(アンチセンス)であり、そして本発明の変異体イオンチャネルサブユニットをコードするmRNAにハイブリダイズするRNA分子をコードする、単離された核酸分子を投与する工程を包含する。
【0096】
本発明のなおさらなる局面において、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連した他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のための医薬の製造における、単離された核酸分子であって、本発明の核酸分子の相補体(アンチセンス)であり、そして本発明の変異体イオンチャネルサブユニットをコードするmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードする単離された核酸分子の使用が提供される。
【0097】
代表的には、本発明のポリヌクレオチドの相補体(アンチセンス)を発現するベクターが、このような処置の必要な被験体に対して投与されてもよい。細胞または組織へのベクターの導入のためには多くの方法が利用可能であり、そしてインビボ、インビトロ、およびエキソビボにおける使用に等しく適切である。エキソビボ治療のためには、患者から採取した幹細胞にベクターを導入して、同種移植のためにクローン増殖させて、その同じ患者中に戻してもよい。トランスフェクションによる送達、リポソーム注射による送達、またはポリカチオン性アミノポリマーによる送達は、当該分野で周知の方法を用いて達成できる。(例えば、Goldmanら、1997を参照のこと)。
【0098】
追加のアンチセンス又は遺伝子標的化サイレンシング方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用、アンチセンスRNAの注入、アンチセンスRNA発現ベクターのトランスフェクションおよびRNA干渉(RNAi)又は短い干渉性RNA(siRNA)の使用を含むが、これらに限定されない。さらに、DNAザイムやリボザイムの如き触媒性核酸分子も遺伝子サイレンシングのために用いられることができる(Breaker及びJoyce,1994;Haseloff及びGerlach,1988)。これらの分子は伝統的なアンチセンスアプローチにおけるようにそれらの標的mRNA分子に単に結合するよりも、それらの標的mRNA分子を開裂することによって機能する。
【0099】
さらなる局面において、適切なアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターとしては、ペプチド、リンペプチド、または小型の有機化合物もしくは無機化合物を含んでもよく、これが上記のようなチャネルを含むサブユニットにおいて変異を含むイオンチャネルの野生型活性を回復し得る。
【0100】
治療適用に適切なペプチド、リンペプチド、または小型の有機化合物もしくは無機化合物は、下記のような薬物スクリーニング適用において、本発明の核酸およびペプチドを用いて同定することができる。これらのスクリーニングから同定された分子はまた、この分子が、これらの変異および本発明の変異によって課される機能的欠乏の基礎にある共通部分を補正することができる場合、他のイオンチャネルサブユニット遺伝子変異を担持する罹患した個体における治療適用に利用することができる。
【0101】
従って、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害を処置する方法が提供され、この方法は、イオンチャネルの適切なアゴニスト、アンタゴニスト、またはモジュレーターであり、そして本発明の変異体イオンチャネルサブユニットを用いて同定された、化合物を投与する工程を包含する。
【0102】
ある場合には、処置のための適切なアプローチは、併用療法であってもよい。これは、正常なレベルまで野生型イオンチャネル形成のレベルを回復することができる野生型イオンチャネルサブユニットの投与と組み合わせて、本発明の変異体イオンチャネル、またはイオンチャネルサブユニットに対する抗体または相補体(アンチセンス)を投与して、その機能的影響を阻害する工程を包含することができる。本発明の野生型イオンチャネルサブユニットは、相補体投与について上で記載されたような、遺伝子治療アプローチを用いて投与することができる。
【0103】
従って、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害を処置する方法が提供される、この方法は、野生型イオンチャネルサブユニットの投与と組み合わせた、本発明の変異体イオンチャネル、またはイオンチャネルサブユニットに対する抗体または相補体(アンチセンス)の投与を包含する。
【0104】
本発明のなお別の局面において、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害を処置するための医薬の製造における、野生型イオンチャネルサブユニットの使用と組み合わせた、本発明の変異体イオンチャネル、またはイオンチャネルサブユニットに対する抗体または相補体の使用が提供される。
【0105】
さらなる実施形態において、本発明の任意のアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、抗体、相補配列、またはベクターは、他の適切な治療剤と組み合わせて投与されてもよい。適切な薬剤の選択は、従来の薬学的原理に従って、当業者によって行うことができる。治療剤の併用は、相乗的に作用して、上記の種々の障害の処置または予防を達成することができる。このアプローチを用いて、各々の薬剤の低用量を用いても治療効力が達成可能になり、従って、有害な副作用の可能性が低下される。
【0106】
上記の任意の治療方法を、このような治療の必要な任意の被験体(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む)に適用することができる。
【0107】
薬物スクリーニング
本発明のなお別の局面によれば、本発明のペプチド、詳細には、精製された変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチド、およびこれらを発現する細胞と同様に、本発明の核酸分子は、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連した他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のための候補薬物のスクリーニングのために有用である。
【0108】
なおさらに、本発明は、候補の薬学的化合物のスクリーニングのためのポリペプチド複合体の使用を提供する。
【0109】
なおさらに、本発明は、ハイスループットスクリーニング技術が使用される用途を提供する。
【0110】
本発明によってスクリーニングできる化合物としては、ペプチド(例えば、可溶性ペプチド)、リンペプチド、および小型の有機分子または無機分子(例えば、天然の産物、または合成化学ライブラリー、およびペプチド模倣物)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0111】
1つの実施形態において、スクリーニングアッセイとしては、競合的結合アッセイにおける、細胞ベースのアッセイを挙げることができる。このアッセイは、本発明のポリペプチドまたはフラグメントを発現する組み換え分子で安定に形質転換されている真核生物宿主細胞、または原核生物宿主細胞を利用する。結合アッセイは、特定の変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチド、もしくは変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチドを組み込むイオンチャネルと、試験されている化合物との間の複合体の形成を測定するか、または特定の変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチド、もしくは変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチドを組み込むイオンチャネルと、その相互作用剤またはリガンドとの間の複合体の形成を、試験されている化合物が阻害または回復する程度を測定する。
【0112】
本発明は、形質転換された細胞、トランスフェクトされるかもしくは注入された卵母細胞、またはトランスジェニック動物、もしくは遺伝子標的化(ジーンターゲティングされた)(ノックイン)動物(形質転換された宿主を参照のこと)のような変異したイオンチャネルサブユニットを保有する動物モデルにおいて、本発明のポリペプチドを使用することによって、化合物をスクリーニングするために特に有用である。薬物候補を、単一の変異体イオンチャネルサブユニット、または変異体イオンチャネルサブユニットの組み合わせを発現する(適切な野生型イオンチャネルサブユニットがまた、レセプター組み立てのために発現されるべきである)、培養された細胞に添加してもよく、変異体イオンチャネルサブユニットまたは変異体イオンチャネルサブユニットの組み合わせのいずれかを用いてトランスフェクトまたは注入された(適切な野生型イオンチャネルサブユニットがまた、レセプター組み立てのために注入されなければならない)、卵母細胞に添加してもよく、あるいは変異体イオンチャネルまたは変異体イオンチャネルの組み合わせを含む動物モデルに投与されてもよい。試験化合物が、変異体イオンチャネル活性を調節する能力を決定することは、当該分野で公知の多数の技術によって達成され得る。これらの技術としては、例えば、野生型イオンチャネルを含む細胞または動物の電流に比べて、チャネルの電流(例えば、カルシウムイオンフラックス、塩素イオンフラックス、ナトリウムイオンフラックス、カリウムイオンフラックス)に対する影響を測定することが挙げられる。細胞における電流は、多数のアプローチ(パッチクランプ技術(Hamillら、1981に記載の方法)が挙げられる)によって、または当該分野で公知である蛍光に基づくアッセイ(Gonzalezら、1999を参照のこと)を用いて測定することができる。より正常なレベルに電流を変更する候補薬物は、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害を処置または防止するために有用である。
【0113】
非細胞ベースのアッセイも、本発明のポリペプチド、もしくは本発明のポリペプチドを組み込むイオンチャネルと、それらの相互作用剤との間の結合を阻害または回復することができる化合物を同定するために使用されることができる。かかるアッセイは当該技術分野では公知であり、例えばAlphaScreen技術(PerkinElmer Life Sciences,MA,USA)を含む。この適用は、各相互作用パートナーが抗体を介して別個のビーズに結合されるようにビーズを使用することに基づいている。各パートナーの相互作用はビーズを近接状態にもたらし、レーザー励起が多数の化学反応を開始させて最終的に光シグナルを発する蛍光発色団に導く。変異体イオンチャネルサブユニット、もしくは変異体サブユニットを組み込むイオンチャネルと、その相互作用剤との結合を阻害する候補化合物は、発光の損失を生じ、一方、変異体イオンチャネルサブユニット、もしくは変異体サブユニットを組み込むイオンチャネルと、その相互作用剤との結合を回復する候補化合物は、積極的な発光を生じるであろう。これらのアッセイは最終的に候補化合物の同定及び単離を可能にする。
【0114】
ハイスループット薬物スクリーニング技術としては、WO84/03564に記載されたような方法も使用することができる。小型ペプチドの試験化合物が、固体基板上で合成されて、変異体イオンチャネルサブユニットポリペプチド、または変異体イオンチャネル結合についてアッセイされてもよい。次いで、結合した変異体イオンチャネルまたは変異体イオンチャネルサブユニットのポリペプチドが、当該分野で周知の方法によって検出される。この技術のバリエーションにおいて、本発明の精製されたポリペプチドを、プレート上で直接コーティングして、相互作用する試験化合物を特定することができる。
【0115】
本発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイであって、変異体イオンチャネルと特異的に結合し得る中和抗体が、それに対する結合について試験化合物と競合するアッセイの使用を意図する。この様式においては、変異体イオンチャネルの1つ以上の抗原決定基を共有する任意のペプチドの存在を、抗体を用いて検出することができる。
【0116】
本発明のポリペプチドはまた、コンビナトリアルライブラリー技術の結果として開発された化合物をスクリーニングするために用いることができる。これによって、多数の異なる物質をそれらのポリペプチドの活性を調節する能力について試験する方法が提供される。ポリペプチド機能のモジュレーターとして特定された物質は、現実にはペプチドであっても、または非ペプチドであってもよい。非ペプチド「小分子」は、しばしば、多くのインビボにおける薬学的適用について好ましい。さらに、この物質の模倣物は、薬学的用途のために設計されてもよい。公知の薬学的に活性な化合物(「リード(lead)」化合物)に基づく模倣物の設計は、新規な医薬品の開発への通常のアプローチである。このことは、もとの活性な化合物が、合成することが困難かもしくは高価である場合、またはそれが不適切な投与方法をもたらす場合に、しばしば、所望され得る。模倣物の設計においては、目的の特性を決定するのにおいて重要である、もとの活性な化合物の特定の部分を同定する。化合物の活性領域を構成する、これらの部分または残基は、そのファルマコフォア(pharmacophopre)として公知である。一旦見出されれば、このファルマコフォア構造は、X線回折データ、およびNMRを含む、ある範囲の情報源からのデータを用いて、その物理的特性に従ってモデル化される。次いで、テンプレート分子(そこにファルマコフォアを模倣する化学基が付加されてもよい)が、選択される。その模倣物が、容易に合成されるように、薬理学的に受容可能である可能性が高いように、インビボで分解されないように、そしてリード化合物の生物学的活性を保持するように、その選択は行われ得る。インビボにおける、または臨床的な試験のために有用な1つ以上の最終模倣物を選択するために、さらなる最適化または改変が実行されてもよい。
【0117】
標的特異的な抗体を単離すること、次いでその結晶構造を理解することもまた可能である。原則的に、このアプローチは、ファルマコフォアを生じ、引き続く薬物設計は、上記のように、これに基づいてもよい。機能的な薬理学的に活性な抗体に対して抗イディオタイプ抗体(抗−id)を生成することによって、タンパク質結晶学を完全に回避することが可能であるかもしれない。ある鏡像の鏡像として、抗−idの結合部位は、もとのレセプターの類似体であることが期待される。次いで、この抗idを用いて、化学的に、または生物学的に生成されたペプチドバンクからペプチドを単離することができた。
【0118】
薬物スクリーニングのためのさらに別の方法は、構造に基づく、合理的な薬物設計に拠る。本発明のポリペプチドの三次元構造、またはこれらのポリペプチドを組み込むイオンチャネルの三次元構造の決定によって、生物学的に活性なリード化合物を同定するために構造に基づく薬物設計が可能になる。
【0119】
多数の適用によって(この適用のいくつかとしては、X線結晶学およびNMRのような実験的モデルが挙げられる)、そして/またはタンパク質データバンク(Protein Databank)(PDB)のような構造的データベースのインシリコ研究から、三次元構造モデルを生成することができる。さらに、三次元構造モデルは、ポリペプチドの一次配列に基づく、多数の公知のタンパク質構造予測技術(例えば、SYBYL−Tripos Associated,St.Louis,MO)、新規の(de novo)タンパク質構造設計プログラム(例えば、MODELER−MSI Inc.,San Diego,CA,またはMOE−Chemical Computing Group,Montreal,Canada)、またはアブイニシオ(ab initio)法(例えば、米国特許第5331573号、および同第5579250号を参照のこと)を用いて決定することができる。
【0120】
一旦、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体の三次元構造が決定されれば、構造に基づく薬物開発技術を使用して、これらの三次元構造に基づく生物学的に活性な化合物を設計することができる。このような技術は、当該分野で公知であり、そしてDOCK(University of California、San Francisco)、またはAUTODOCK(Scripps Research Institute,La Jolla,California)のような例を含む。計算上のドッキングプロトコールによって、予測タンパク質モデルに基づくタンパク質活性に重要であるとみなされる活性部位(単数または複数)が同定される。次いで、Available Chemical Directory(ACD)のような分子データベースを、タンパク質モデルを補完する分子についてスクリーニングする。
【0121】
これらのような方法を用いて、可能性のある臨床的な薬物候補を同定して、計算上ランク付けして、代表的な「ウェットラボ(wet lab)」の薬物スクリーニング方法に関連する時間および費用を軽減することができる。
【0122】
上記のようなスクリーニング手順によって同定された、そして本発明の変異体核酸およびポリペプチドの使用に基づく化合物をまた、他のイオンチャネルサブユニット変異体を含む罹患した個体における他の遺伝子の変異によって課される機能的欠陥を補正する影響について、試験することができる。
【0123】
このような化合物は、これらの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物がそうであるように、本発明の一部を形成する。
【0124】
薬学的調製物
スクリーニングアッセイから特定され、かつイオンチャネルを野生型活性に回復させることが示された化合物を、上記のように、治療上有効な用量で患者に投与して、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連した他の障害を処置または寛解させることができる。治療上有効な量とは、障害の症状の寛解を生じるのに十分な化合物の量をいう。
【0125】
このような化合物の毒性および治療効力は、細胞培養、または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定することができる。次いで、これらの研究から得られたデータを、ヒトにおける使用のためにある範囲の投薬量の処方において用いることができる。
【0126】
本発明による使用のための薬学的組成物は、周知の、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または安定化剤を用いて、従来の様式において処方されてもよい。受容可能なキャリア、賦形剤、または安定化剤は、使用される投薬量および濃度において非毒性であり、そして以下を含む:リン酸、クエン酸、および他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマーを含む結合剤;アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン);単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトール、またはソルビトール);ナトリウムのような塩形成対イオン;および/または非イオン性界面活性剤(例えば、Tween、Pluronics、またはポリエチレングリコール(PEG))。
【0127】
本発明による使用のための薬学的組成物の処方は、提案された投与経路に基づく。投与の経路としては、以下が挙げられてもよいがこれらに限定されない:吸入投与、ガス吸入(口または鼻のいずれかを通じた)投与、経口投与、口腔投与、直腸投与、または非経口投与。
【0128】
診断的適用および予後的適用
イオンチャネルサブユニットをコードするポリヌクレオチド配列を、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後のために用いることができる。従って、これらの障害、またはこれらの障害に対する素因の診断または予後において本発明の一部として組み込まれた核酸分子の使用が意図される。表1に挙げられた新規な変異事象を組み込む核酸分子を、この目的のために用いることができる。
【0129】
診断または予後目的で用いられ得るポリペプチドとしては、オリゴヌクレオチド配列、ゲノムDNAならびに相補的RNAおよびDNA分子が挙げられる。このポリヌクレオチドは、生物学的サンプルにおける遺伝子発現を検出および定量するために用いることができる。診断または予後のために用いられるゲノムDNAは、血液、組織生検、外科的標本、または剖検材料に存在するような体細胞から得ることができる。このDNAは、単離されて、特定の配列の検出のために直接用いられてもよいし、または解析の前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されてもよい。同様に、RNA、またはcDNAを、PCR増幅の有無にかかわらず、用いることができる。特定の核酸配列を検出するために、特定のオリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーション、制限酵素消化、およびマッピング、PCRマッピング、RNAse保護、ならびに種々の他の方法を用いることができる。特定の配列に対して特異的なオリゴヌクレオチドは、化学的に合成されて、放射性標識を付与されまたは非放射性標識を付与され、膜もしくは他の固体支持体に固定された個々のサンプルにまたは溶液中の個々のサンプルにハイブリダイズされることができる。本発明の変異体イオンチャネル遺伝子のいずれか一つの存在、不存在または過剰発現は、次にオートラジオグラフィー、蛍光測定法または比色測定法の如き方法を使用して可視化されることができる。
【0130】
さらなる診断または予後アプローチでは、本発明のヌクレオチド配列は、関連する障害、特に前述の障害の存在を検出するアッセイにおいて有用であることができる。ヌクレオチド配列は標準的な方法で標識付与され、患者からの体液または組織サンプルにハイブリダイゼーション複合体の形成のために好適な条件下で添加されることができる。好適なインキュベーション時間の後、サンプルは洗浄され、シグナルは定量化されて標準値と比較される。もし患者サンプル中のシグナルの量がコントロールのサンプルと比較して有意に変化していれば、サンプル中のヌクレオチド配列の変化したレベルの存在は関連する障害の存在を示す。かかるアッセイは、動物を用いた研究におけるまたは臨床試験における特定の処置方法の効率を評価するために、または個々の患者の処置を監視するためにも使用されることができる。
【0131】
てんかんおよび上述のような本発明のイオンチャネルサブユニット変異体または改変体に関連する他の障害の診断または予後のための基礎を与えるため、各遺伝子のヌクレオチド配列は正常な組織と病気の組織との間で比較され、患者が変異体遺伝子を発現しているかどうかが確立されることができる。
【0132】
本発明のイオンチャネルサブユニット遺伝子の異常発現と関連する障害の診断または予後のための基礎を与えるため、発現についての正常なまたは標準的なプロフィールが確立される。これは、動物またはヒトの正常な被験体から採取された体液または細胞抽出物を、関連するイオンチャネルサブユニット遺伝子をコードする配列またはそのフラグメントと、ハイブリダイゼーションまたは増幅のために好適な条件下で組合せることによって達成することができる。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験体から得られた値を、既知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが使用された実験からの値と比較することによって定量化されることができる。イオンチャネルサブユニット遺伝子の発現についての正常なまたは標準的なプロフィールを同定する別の方法は、定量的RT−PCR研究を通したものである。正常な個体の体細胞から単離されたRNAは逆転写され、関連する遺伝子に対して特異的なオリゴヌクレオチドを使用したリアルタイムPCRが実行されて遺伝子の正常な発現レベルが確立される。これらの例の両方で得られた標準値は、障害の徴候を示している患者からのサンプルから得られた値と比較されることができる。標準値からの偏差は、障害の存在を確立するために使用される。
【0133】
一旦、障害の存在が確立されて処置プロトコールが開始されると、ハイブリダイゼーションアッセイまたは定量的RT−PCR研究は規則的に繰返され、患者における発現レベルが正常な被験体で観察される適切なレベルになり始めたかどうかが決定される。継続的なアッセイから得られた結果は、数日から数ヶ月までの範囲の期間にわたる処置の有効性を示すために使用されることができる。
【0134】
本発明のさらなる局面によれば、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後における、上記のようなポリペプチドの使用が提供される。
【0135】
診断アッセイまたは予後アッセイが、イオンチャネルを構成するタンパク質に基づいている場合、種々のアプローチが可能である。例えば、イオンチャネルを形成する正常なタンパク質および変異体タンパク質の電気泳動の移動度における相違をモニタリングすることによって、診断または予後が可能である。このようなアプローチは、変異体であって、荷電置換が存在する変異体か、または挿入、欠失もしくは置換が、得られたタンパク質の電気泳動移動度において有意な変化を生じた変異体を同定するのにおいて特に有用である。あるいは、診断または予後は、正常なタンパク質および変異体のタンパク質のタンパク質分解性切断パターンにおける相違、種々のアミノ酸残基のモル比の相違に基づくか、または遺伝子産物の変更した機能を実証する機能的アッセイによってもよい。
【0136】
別の局面において、変異体イオンチャネルに特異的に結合する抗体は、障害の診断または予後のために、あるいは完全なイオンチャネル、またはイオンチャネルのアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、もしくはインヒビターを用いて処置されている患者をモニターするためのアッセイにおいて使用することができる。診断目的または予後目的のために有用な抗体は、治療について上記されたのと同じ様式で調製することができる。イオンチャネルの診断アッセイまたは予後アッセイとしては、ヒトの体液または細胞もしくは組織の抽出物において、変異体イオンチャネルを検出するための抗体および標識を利用する方法が挙げられる。抗体は、改変の有無に関わらず用いることができ、そしてレポーター分子の共有結合または非共有結合によって標識されてもよい。
【0137】
変異体イオンチャネルの存在を測定するための種々のプロトコールとしては、ELISA、RIA、およびFACSが挙げられるがこれらに限定されず、そしてこれらは、当該分野において公知であり、そして障害を診断または予後するための基礎を提供する。変異体イオンチャネル、または変異体イオンチャネルの組み合わせの発現は、試験哺乳動物被験体、好ましくはヒトから採取した体液、または細胞抽出物を、イオンチャネル(単数または複数)に対する抗体と、複合体形成に適切な条件下で合わせることによって確立される。複合体形成の量は、種々の方法によって、好ましくは光度計による方法によって定量することができる。変異体イオンチャネルに特異的な抗体は、この変異体イオンチャネルを発現する個体にのみ結合して、野生型チャネルしか発現しない個体(すなわち、正常個体)には結合しない。これによって、この障害を診断するための基礎が確立される。
【0138】
一旦、個体が障害を有すると診断または予後されれば、上記のような有効な処置を開始してもよい。処置は、イオンチャネルサブユニット変異の組み合わせを改めるように指向されてもよいし、または1つの変異に指向されてもよい。
【0139】
マイクロアレイ
さらなる実施形態において、本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列のいずれかに由来する、完全なcDNA、オリゴヌクレオチド、またはさらに長いフラグメントを、マイクロアレイにおけるプローブとして用いることができる。このマイクロアレイは、障害の遺伝的基礎を理解するために、本発明の一部を形成するイオンチャネルサブユニットにおける遺伝的改変体、変異、および多形性の同定を通じて、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害の診断または予後のために用いられてもよいし、または治療剤の活性を発達させて、モニターするために用いられてもよい。
【0140】
本発明のさらなる局面によれば、特定のイオンチャネルサブユニットヒト変異の同定の結果として生成された遺伝的に改変された非ヒト動物モデルから得られた組織材料(以下を参照のこと)、詳細には、本発明に記載された材料は、マイクロアレイ実験において用いることができる。これらの実験を実施して、正常なコントロール組織に対して疾患組織における、特定のイオンチャネルサブユニットの発現のレベルまたは全組織ライブラリーからの任意のcDNAクローンの発現のレベルを特定することができる。2つの組織の間の遺伝子(イオンチャネルサブユニットを含む)の発現レベルにおけるバリエーションによって、動物モデルにおいて存在するもとのイオンチャネルサブユニット変異の原因または結果のいずれかとして、疾患過程におけるそれらの関与の可能性が示される。これらの実験は、遺伝子機能を決定するために、障害の遺伝的基礎を理解するために、障害を診断または予後するために、そして治療剤の活性を発達およびモニターするために用いられてもよい。マイクロアレイは、当該分野で公知の方法を用いて調製、使用、および解析することができる(例えば、Schenaら、1996;Hellerら、1997を参照のこと)。
【0141】
形質転換された宿主
本発明はまた、表1に挙げられたような新規なイオンチャネル変異体または改変体を含む核酸分子を含む、遺伝的に改変された(ノックアウト、ノックイン、およびトランスジェニック)、非ヒト動物モデルの生成を提供する。これらの動物は、イオンチャネルの機能の研究のために、イオンチャネルサブユニットにおける変異体の組み合わせが相互作用して、疾患を生じる機構、および組織の発達に対するこれらの変異体の影響を研究するために、候補の薬学的化合物のスクリーニングのために、変異体イオンチャネルまたは変異体イオンチャネルの組み合わせを発現する外植された哺乳動物細胞培養物の作製のために、ならびに可能性のある治療介入の評価のために有用である。
【0142】
本発明の動物モデルにおける使用のために適切な動物種としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ラット、マウス、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、および非ヒト霊長類(例えば、サル、およびチンパンジー)。初期の研究について、遺伝的に改変されたマウスおよびラットは、これらの動物のノックイン、ノックアウト、またはトランスジェニックを作成するのにおける相対的な容易さ、それらの維持の容易さ、およびそれらのより短い寿命のおかげで、非常に所望される。特定の研究のために、トランスジェニック酵母、または無脊椎動物が適切であり、かつ好ましいかもしれない。なぜなら、それらは迅速なスクリーニングを可能にし、そして取り扱いがかなり容易になるからである。長期間の研究については、非ヒト霊長類は、それらのヒトとの類似性に起因して所望され得る。
【0143】
変異したイオンチャネルについての動物モデル、または変異の組み合わせを組み込んでいる動物モデルを作成するため、いくつかの方法が使用されてもよい。これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:相同な動物遺伝子における特定の変異の生成、野生型ヒト遺伝子および/または相同組み換えによるヒト化された動物遺伝子の挿入、野生型もしくは変異体もしくは人工的プロモーターエレメントを用いる、ゲノムもしくはミニ遺伝子cDNA構築物としての変異体(単一または複数)ヒト遺伝子の挿入、あるいは相同組み換えによる内因性遺伝子の人工的に改変されたフラグメントの挿入。この改変としては、以下が挙げられる:変異体の停止コドンの挿入、DNA配列の欠失、またはCreリコンビナーゼのような酵素によって認識された組み換えエレメント(loxP部位)の包含。
【0144】
インビボでの遺伝子機能の獲得の研究用のトランスジェニックマウスを作成するため、本発明のいかなる変異体イオンチャネルサブユニット遺伝子も卵細胞微小注入の如き標準的な技術を使用してマウスの生殖系中に挿入されることができる。遺伝子機能の獲得は、遺伝子およびそのタンパク質産物の過剰発現、または調査下の遺伝子の変異の遺伝的補完を意味することができる。卵細胞注入のためには、一コピー以上の変異体遺伝子が受精直後のマウス卵細胞の前核中に挿入されることができる。この卵細胞は次に、偽妊娠養母中に再移植される。生きて生まれたマウスは、関連のあるヒトイオンチャネルサブユニット遺伝子配列の存在についてテールDNA分析を使用して統合性についてスクリーニングされることができる。トランス遺伝子(transgene)はYAC,BAC,PACまたは他の染色体DNAフラグメントとして注入される完全なゲノム配列、天然のプロモーターまたは異種プロモーターを有するcDNA、またはコーディング領域の全ておよび最適な発現のために必要であると見出されている他の要素を含むミニ遺伝子であることができる。
【0145】
ノックアウトマウスまたはノックインマウスを作成するために、マウス胚性幹(ES)細胞中の相同組換えを通した遺伝子標的化を適用することができる。ノックアウトマウスはインビボでの遺伝子機能の喪失を研究するために作成され、ノックインマウス(こちらの方が好ましい)は、機能獲得の研究を可能とするために、または特定の遺伝子変異の効果を研究するために作成される。ノックインマウスはトランスジェニックマウスと似ているが、前者では組み込み部位およびコピー数が規定されている。
【0146】
ノックアウトマウスを作成するためには、遺伝子標的化ベクターは、それらがマウスゲノム中の関連するイオンチャネルサブユニット遺伝子のタンパク質コード配列を削除(ノックアウト)するように設計されることができる。対照的に、ノックインマウスは、関連するイオンチャネルサブユニット遺伝子を含有する遺伝子標的化ベクターをマウスゲノム中の規定された遺伝子座中に組み込むことによって作成されることができる。両方の適用について、相同組換えは相同DNA配列を認識して二重交差によりそれらを変換する特定のDNA修復酵素によって触媒される。
【0147】
遺伝子標的化ベクターは、通常、電気穿孔法を使用してES細胞中に導入される。ES細胞組み込み体は次に、標的化ベクター上に存在する抗生物質抵抗性遺伝子を介して単離され、続いて遺伝子型を分類され、調査下の遺伝子が関心のある位置に組み込まれたES細胞クローンが同定される。好適なES細胞は次に、生殖系を通して伝えられ、新規のマウス系統を作り出す。
【0148】
遺伝子を削除すると初期胚致死を生ずる場合には、条件付き遺伝子標的化法が使用されることができる。これは、遺伝子が一時的かつ空間的に制御された様式で削除されることを可能にする。上述のように、好適なES細胞は生殖系を通して伝えられて新規のマウス系統を作り出すが、遺伝子の実際の削除は成体マウスで組織特異的にまたは時間的に制御された様式で行われる。条件付き遺伝子標的化法は、cre/lox系の使用によって最も一般的に達成される。酵素creは、loxPに隣接するDNAがcreによって認識されて削除されるように34塩基対のloxP配列を認識することができる。トランスジェニックマウスでの組織特異的なcreの発現は、遺伝子標的化されたマウスをcreトランスジェニックマウスと交配させることによって組織特異的なノックアウトマウスの作成を可能にする。ノックアウトは「deleter」マウスを使用してもしくは誘導性cre遺伝子を有するトランスジェニックマウス(例えばテトラサイクリン誘導性cre遺伝子を有するトランスジェニックマウス)を使用してあらゆる組織で行うことができ(Schwenkら、1995)、またはノックマウスは例えばCD19−creマウスの使用を通して組織特異的に行うことができる(Rickertら、1997)。
【0149】
一旦、特定のイオンチャネルサブユニットに特定の変異体を含むノックイン動物が作成されれば、2つ以上のイオンチャネル変異の組み合わせを含有する子孫を作成するために、このような動物の間で交配の組み合わせを開始してもよい。これらの動物は、ここでヒトIGE症例を生じることが提唱されている変異の組み合わせを効果的に模倣する。これらの動物モデルは、変異したイオンチャネルの組み合わせに関連するような疾患の程度および機構を研究するために、そして候補の治療化合物のスクリーニングのために引き続いて用いることができる。
【0150】
本発明のなお別の局面によれば、候補の薬学的化合物のスクリーニングについて上記されたような(上記の薬物スクリーニングを参照のこと)、遺伝的に改変された非ヒト動物の使用が提供される。これらの動物はまた、上記のようなてんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する他の障害の処置のための、上記のように本発明から同定された化合物を含む、候補の薬学的化合物の評価(例えば、治療効率、毒性、代謝)のために有用である。
【0151】
多数の先行技術の刊行物が本明細書において引用されているが、この引用文献は、これらの任意の文書が、当該分野、オーストラリア、または任意の他の国において、共通の一般的知識の一部を形成するということを承認しないということが明確に理解される。
【0152】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、「含む、包含する(comprise、comprises)」、および「含んでいる、包含している(comprising)」という用語は、文脈においてその他を必要とする場合を除いて、非排他的な意味で用いられる。
【0153】
本発明は、明確化および理解の目的のために、ある程度詳細に記載されているが、本明細書に記載された実施形態および方法に対して種々の改変および変更が、本明細書に開示された本発明の概念の範囲から逸脱することなくなされ得ることは当業者に明白である。
【0154】
図面の簡単な記述
本発明の好ましい形態を、単に例示の目的で、以下の実施形態および添付の図面を参照して、ここで記載する。
図1は、イオンチャネルサブユニット化学量論、および複数対単一のイオンチャネルサブユニット変異の影響の例を提示する。図1A:代表的なチャネルは、3つの異なるタイプの5つのサブユニットを有し得る。図1B:非近交系集団において、特発性全身性てんかんのような複雑な疾患は、2つ(またはそれ以上)の異なるサブユニット遺伝子における変異に起因するかもしれない。各々のサブユニット遺伝子の対立遺伝子の1つだけが異常であるので、発現されたサブユニットの半分が変異を有する。図1C:近交系集団において、単一のサブユニット遺伝子の両方の対立遺伝子が罹患しており、そのため全ての発現されたサブユニットが変異する。図1D:常染色体優性障害は、重篤な機能的結果を生じる単一のイオンチャネルサブユニット変異に起因するかもしれない。
図2は、カリウムチャネルを構成するKCNQ2イオンチャネルサブユニットにおいて同定された変異の位置を示す。M:ミスセンス変異;T:短縮変異;F:フレームシフト変異;S:スプライシング部位変異。
図3は、てんかんの血統の例であって、ここでこの血統を構成する個体についてのイオンチャネルサブユニットの変異プロフィールが、決定されはじめている例を示す。IGE個体における新規なイオンチャネルサブユニット変異および改変の同定が、組み合わせられて障害を生じ得る方法を例示するために、これらの例が用いられている。
図4は、R353GおよびL619R KCNQ2変異体のツーハイブリッド分析の結果を示す。酵母は、空のDB(BAIT)プラスミド(DBLeu)で形質転換され、Aに示されるようなDB−Q2C wt、DB−Q2C R353G変異体またはDB−Q2 L619R変異体、およびAD−CaM(TARGET)ベクターがギャップ修復によって導入された。酵母コントロール株(Invitrogen(商標))は比較のためにすべてのプレートに含められた。コントロール1は相互作用を有さない。コントロール2は弱い相互作用を有する。コントロール3は少し強い相互作用を有する。コントロール4は強い相互作用を有する。コントロール5は極めて強い相互作用を有する。Bは、−leu −tryp選抜培地での形質転換された酵母およびコントロールの増殖を示す。酵母は、もしそれらがDBプラスミドを含むなら−leuで増殖することができ、もしそれらがADプラスミドを含むなら−trypで増殖することができる。Cは、48時間後の−leu −tryp −his +40mM 3ATでの形質転換された酵母およびコントロールの増殖を示す。酵母はもしhisレポーター遺伝子がBAITプラスミドとTARGETプラスミドの間の相互作用によって活性化されるなら−his+3ATで増殖することができる。D−Fは、BAITプラスミドとTARGETプラスミドの間の相互作用のためのLacZフィルターアッセイを示し、写真は2時間後に(D)、7時間後に(E)および24時間後に(F)撮影された。BAITプラスミドとTARGETプラスミドの間の相互作用によるβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子の活性化はコロニーの暗い外観に導く。
図5は、R353GおよびL619R KCNQ2変異体を使用したCaM親和性実験の結果を示す。棒グラフは、KCNQ2C−CaM結合効率の尺度としてのβ−ガラクトシダーゼ活性についてのCPRGアッセイからの値を示す。棒グラフ中の各バーの面積はBAITのCaM結合効率に等しい。破線はステューデントのt検定による統計学的比較を示し、*はP<0.01を示し、**はP<0.001を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0155】
カリウムチャネルは、イオンチャネルの最も多様なクラスである。シー・エレガンス(C.elegans)のゲノムは、約80の異なるカリウムチャネル遺伝子をコードし、そして哺乳動物においてはおそらくより多くカリウムチャネル遺伝子が存在する。約10個のカリウムチャネル遺伝子は、ヒト疾患において変異されることが公知であり、そしてカリウムチャネルのKCNQ遺伝子サブファミリーの4つのメンバーを含む。KCNQタンパク質は、6つの膜貫通ドメイン、細孔の選択性フィルターを形成する単一のPループ、電圧センサーとしておそらく作用する、正に荷電された4つの膜貫通ドメイン、ならびに細胞内のアミノ末端およびカルボキシル末端を有する。このC末端は長く、そして保存された「Aドメイン(A domain)」を含み、その後に、サブユニット組み立てに関与すると考えられる短いストレッチが続く。
【0156】
4つのKCNQサブユニットは、機能的なカリウムチャネルを形成するために組み合わされると考えられる。5つの公知のKCNQタンパク質全てが、インビトロにおいてホモマー性のチャネルを形成してもよく、そしてヘテロマーの形成は、特定の組み合わせに限定されるようである。例えば、中央神経系で優勢に発現されるKCNQ2およびKCNQ3は、ヘテロマルチマー性のチャネルを形成し、このチャネルはニューロンのムスカリン性制御電流(M電流)を媒介し、Mチャネル(またはM型Kチャネル)としても知られている。M電流は、ゆっくりと活性化する、非不活性カリウムコンダクタンスであり、ニューロンの興奮特性およびシナプス入力に対するそれらの応答性を決定することによってニューロンの興奮性を制御することが知られている(Wangら、1998)。これは活性ポテンシャル開始のための域値に近い電圧で活性な唯一の電流であるので、M電流はニューロンの興奮性に対して主要な影響力を有する。
【0157】
ナトリウムチャネル(αサブユニット)、およびカルシウムチャネルは、カリウムチャネルサブユニットから発展したと考えられ、そしてそれらは、各々が、1つの分子として共有結合された4つのドメインから構成され、各々のドメインは、カリウムチャネルを形成するように会合するサブユニットの1つと等価である。ナトリウムチャネルおよびカルシウムチャネルの4つのドメインの各々が、6つの膜貫通セグメントから構成される。
【0158】
電位開口型ナトリウムチャネルは、ニューロン、心臓、および骨格筋線維(組織特異的アイソフォームを発現する)における電気的興奮を生成するために必要である。ナトリウムチャネルは、細孔形成αサブユニット、および修飾的なβ1サブユニットのヘテロマーであり、ニューロンのチャネルにさらなるβ2サブユニットを有する。ナトリウムチャネルαサブユニットをコードする10の遺伝子、および異なるβサブユニットをコードする3つの遺伝子が、これまでのところ同定されている。ナトリウムチャネルのβサブユニットは、αサブユニットと会合して細孔のいずれかの部分を形成するということはないが、それらはα細孔形成サブユニットが機能する方法に影響する。
【0159】
ナトリウムチャネルと同様に、カルシウムチャネルは、単一の細孔形成αサブユニット(今日までに、その少なくとも6つのタイプが同定されている)、およびいくつかのアクセサリー(付帯的)サブユニット(4つのβ、1つのγ、および1つのα2−δ遺伝子を含む)から構成される。これらのサブユニットの多くがまた、複数のスプライス改変体をコードし、これによってこのファミリーのイオンチャネルのレセプターサブユニットの多様性が追加される。
【0160】
nAChR/GABAスーパーファミリーにおけるイオンチャネルは、理論上の5量体チャネルを示す。γアミノ酪酸(GABA)は、中枢神経系における最も豊富な阻害性の神経伝達物質である。GABA作動性の阻害は、レセプターの2つの主なクラスである、タイプA(GABA−A)、およびタイプB(GABA−B)によって媒介される。GABA−Bレセプターは、Gタンパク質に結合されたレセプターのクラスのメンバーであり、二次的なメッセンジャーカスケードを介して、種々の阻害性効果を媒介する。GABA−Aレセプターは、迅速な阻害を媒介するリガンド依存性塩素イオンチャネルである。
【0161】
GABA−Aチャネルは、16の別々だが、関連した、サブユニットをコードする遺伝子を有する。それらは、配列同一性に基づいて、αサブユニット、βサブユニット、γサブユニット、δサブユニット、εサブユニット、ζサブユニット、およびπサブユニットに分類される。6つのαサブユニット(α1〜α6)、3つのβサブユニット(β1〜β3)、および3つのγサブユニット(γ1〜γ3)が存在する。各々のGABA−Aレセプターは、5つのサブユニットを含み、これは、少なくとも理論上は、これらのサブユニットのいずれかから選択されてもよい。
【0162】
ニューロンのニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)は、異種の5量体から構成され、この5量体は、αサブユニット、またはαおよびβサブユニット(α2〜α9;β2〜β4)の種々の組み合わせを含む。αサブユニットは、アミノ酸位置192、および193における隣接するシステイン残基によって、ならびにこれらのシステイン残基の欠失によるβサブユニットによって特徴付けられる。それらは、脳全体にわたって差示的に発現されるリガンド依存性イオンチャネルであり、中枢神経系のニューロンの間の速い、興奮性の伝達を媒介するか、またはそれらの前シナプス性の位置からの神経伝達を調節すると仮定された生理学的にかつ薬理学的に異なるレセプターを形成する。
【0163】
ニワトリおよびラットにおいて、優勢なnAChRサブタイプは、α4およびβ2サブユニットから構成される。サブユニットの膜貫通2(M2)セグメントは、αヘリックスとして配列されて、神経伝達物質開口型イオンチャネルの壁に寄与する。チャネルが閉じられる場合に、高度に保存されたM2ロイシン残基突出の側鎖が内側になるような方式で、αヘリックスは、ねじられて位置するようである。AChは、M2のアミノ酸残基の会合を変更することによって、高次構造の変化を生じると考えられる。チャネルの開口は、アミノ酸残基の側鎖を形成するゲートの回転に起因するようである;保存された極性のセリンおよびトレオニンは、開口チャネルにおいて重要なゲートを形成し得る。
【実施例】
【0164】
実施例1:イオンチャネルにおける変異の同定
引用された以前の研究(その開示は、本明細書において参考として援用される、Wallaceら、1998;PCT/AU01/00581;Wallaceら、2001b;オーストラリア特許AU−B−56247/96;Steinleinら、1995;PCT/AU01/00541;Phillipsら、2001;PCT/AU01/00729;PCT/AU01/01648;PCT/AU02/00910;Wallaceら、2001a)によって、てんかんに関連する多数のイオンチャネルサブユニットにおける変異が、同定されている。これらとしては、電位開口型のイオンチャネルサブユニット(例えば、SCN1A,SCN1B、KCNQ2、KCNQ3)、またはリガンド依存型のイオンチャネルサブユニット(例えば、CHRNA4、CHRNB2、GABRG2、GABRD)が挙げられる。イオンチャネル遺伝子におけるさらなる変異を同定するため、イオンチャネルを含むサブユニットを、てんかん患者における分子欠陥についてスクリーニングした。
【0165】
ヒトゲノムプロジェクト(Human Genome Project)から入手可能なヒトゲノム配列を用いて、各々のサブユニット遺伝子についてのゲノム組織化を特徴付けた。一般的な散発的IGEサブタイプ、例えば、若年性ミオクローヌスてんかん(JME)、小児期欠神てんかん(CAE)、若年性欠神てんかん(JAE)、を有するてんかん、ならびに全身性強直性間代性痙攣(TCS)を有するてんかんの大量のサンプルにおいて、一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)解析を用いて、配列変化について、各々の遺伝子を引き続いてスクリーニングした。次いで、臨床的な観察を、種々の疾患状態に関与する変異体サブユニットの組み合わせを確立するために、特徴付けられた分子欠陥と比較して、これによって、これらの疾患状態の各々について確証された薬物標的を得ることができる。これによって、各々の患者に存在する遺伝的欠陥に対する新規な薬物処置の基礎が得られる。
【0166】
イオンチャネルサブユニットの各々についてのコード配列を、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)から入手可能なデータベースに存在するヒトゲノム配列と整列させた。BLASTNアルゴリズムを代表的には、配列アラインメントについて用いて、決定されている各々の遺伝子のゲノム組織化(イントロン−エキソン構造)を得た。イオンチャネルサブユニットについてのゲノム配列が利用可能でない場合、関連のイオンチャネルサブユニットを含むBACまたはPACを、これらのクローンを含む高密度フィルターのスクリーニングを通して同定して、引き続き配列決定した。
【0167】
各々のイオンチャネルサブユニットについての全体的ゲノム配列の利用可能性によって、各々のエキソンにまたがるイントロン性のプライマーの設計が容易になった。これらのプライマーを、ハイスループットSSCPスクリーニング、および直接DNA配列決定の両方に用いた。
【0168】
実施例2:SSCPスクリーニングのサンプル調製
てんかんに罹患した個体の大集団に対して、注意深い臨床的な表現型特定を行い、それらの家族歴に関するさらなるデータを収集した。血液収集、および引き続く実験手順におけるその使用のために、各々の個体からインフォームドコンセントをとった。臨床的な表現型は、古典的なIGE症例、ならびにGEFS+、および熱性痙攣症例を包含していた。
【0169】
製造業者の説明書に従ってQIAamp DNA Blood Maxiキット(Qiagen)を用いるか、またはWymanおよびWhite(1980)に適合された手順によって、収集した血液からDNAを抽出した。ストックしたDNAサンプルは、1μg/μlの濃度で保管した。
【0170】
SSCP解析のための調製において、スクリーニングされるべきサンプルを、30ng/μlの濃度で96ウェルプレートに整えた。この96ウェル形式におけるエキソン特異的PCR反応を調製するために、これらのマスタープレートを引き続いて用いた。
【0171】
実施例3:イオンチャネル遺伝子における配列変更の特定
96ウェルプレートを構成する個体において、特定のイオンチャネルエキソンのSSCP解析、その後のSSCPバンドシフトの配列決定を実施して、配列の変更を特定した。
【0172】
SSCPのために用いたプライマーを、HEXを用いてその5’末端で標識して、代表的なPCR反応を総容積10μl中で実施した。全てのPCR反応は、以下を含んだ:67mM Tris−HCl(pH 8.8);16.5mM(NHSO;6.5μM EDTA;1.5mM MgCl;200μMの各々のdNTP;10% DMSO;0.17mg/ml BSA;10mM βメルカプトエタノール;5μg/mlの各々のプライマー、および100 U/ml Tag DNAポリメラーゼ。PCR反応は、主として94℃30秒間、60℃30秒間、および72℃30秒間の10サイクル、その後の94℃30秒間、55℃30秒間、および72℃30秒間の25サイクルを用いて実施した。最終伸長反応をその後に72℃10分間続けた。
【0173】
10〜20μlのローディング色素であって、50%(v/v)のホルムアミド、12.5mM EDTA、および0.02%(w/v)のブロモフェノールブルーを含有する色素を添加して、反応を終了させ、引き続いてこれを、35:1(アクリルアミド:ビス−アクリルアミド)の架橋結合比を有し、かつ2%グリセロールを含有する非変性4%ポリアクリルアミドゲル上で泳動した。ゲルの厚みは100μm、幅は168mm、そして長さは160mmであった。ゲルを1200ボルト、および約20mA、18℃で泳動し、そして製造業者の説明書に従って、GelScan 2000システム(Corbett Research,Australia)で解析した。
【0174】
高次構造の変化を示すPCR産物を、引き続いて配列決定した。この第一は、関連の個体由来のアンプリコンの再増幅(この場合に用いたプライマーは、5’HEX標識を含まない)、その後の、製造業者の手順に基づいて、QiaQuick PCRプレップ(Qiagen)を用いる配列決定のための、PCR増幅したテンプレートの精製を含んだ。精製したアンプリコンを配列決定するために用いたプライマーは、最初の増幅工程に用いたプライマーと同一であった。各々の配列決定反応のために、25ngのプライマーおよび100ngの精製したPCRテンプレートを用いた。製造業者の説明に従って、全ての配列決定反応に、BigDye配列決定キット(ABI)を用いた。その産物をABI377シーケンサーで泳動して、EditViewプログラムを用いて分析した。
【0175】
表1は、スクリーニングされたイオンチャネルサブユニットにおいて同定された新規な配列変化を示す。
【0176】
実施例4:二遺伝子モデル実験
ある場合には、イオンチャネル単独における単一の変異では、てんかん表現型を生じるには不十分である。しかし二遺伝子モデル(PCT/AU01/00872)によって提唱されるような、変異(各々がイオンチャネルにおける機能のわずかな変化を付与する)の組み合わせは、てんかん表現型を生じるのには十分であるかもしれない。
【0177】
以前に同定されたイオンチャネルサブユニットにおける変異および改変を用いて、二遺伝子モデルは、大家族のパラメーター解析を通じて確証することができる。ここでは、2つの異常な対立遺伝子が、期せずして同時分離し、変異(同時に作用して、てんかん表現型を生じる)を同定する。これらの大家族における注意深い臨床的表現型のストラテジーを、二遺伝子仮説に基づく連鎖解析と一緒にすれば、IGEに関連したイオンチャネルにおける変異の同定が可能になることが予想される。IGEにおける分子遺伝的研究が、二遺伝子仮説を用いて成功する場合、このようなアプローチは、複雑な遺伝を伴う他の障害についてのモデルとして役立ち得る。
【0178】
二遺伝子仮説によって、罹患した個体の間の遺伝的関連が近いほど、公開されたデータと一致して(Italian League Against Epilepsy Genetic Collaborative Group,1993)、サブ症候群がより類似することが予測される。この理由は、関連が遠いほど、同じ組み合わせの変異したサブユニットを共有する可能性が低くなるからである。
【0179】
一卵性双生児は、同じ対の変異したサブユニット、および同じマイナー対立遺伝子を有し、そのためサブ症候群は同一である。同じサブ症候群を有する、罹患した兄弟姉妹の対(二卵性双生児を含む)はまた、同じ対の変異したサブユニットを有するが、マイナー対立遺伝子における相違は、一卵生双生児よりも少ない類似性に結び付く。いくつかの兄弟姉妹の対および二卵性双生児は、全く異なるサブ症候群を有する;親が、彼らの間に2つ以上の変異した対立遺伝子を有する場合、これは、変異したサブユニットの異なる組み合わせに起因する。
【0180】
近交系集団において、常染色体劣性マウスモデルにおける観察に似ている、特別な状況が存在する。ここで、二遺伝子モデルの2つの変異した対立遺伝子は、同じであり、従って真の常染色体劣性障害を生じる。全ての罹患した個体は、同じ対の変異した対立遺伝子、および同様の遺伝子的背景を有するので、表現型は非常に類似である。
【0181】
非近交系の集団において、集団の約1%が、IGE表現型(2変異した対立遺伝子)を有し、そして0.3%が臨床的にIGEを発現する。これらのほとんどが、2つの異なるチャネルサブユニットにおいて変異を有する。第一親等に対するリスクが10%未満であるので、このような集団において、ほとんどの症例が、「散発性(sporadic)」であるようである。
【0182】
例えば、3つのIGE遺伝子座(A,B、C)があり、各々の遺伝子における異常な対立遺伝子(a、b、c)の頻度が0.027であり、正常な対立遺伝子(a、b、c)の頻度が0.973であるとしよう。そうであれば、遺伝子座Aにおける遺伝子型aa、aa、a、およびaaの分布は、それぞれ0.0263(0.027×0.973)、0.0263、0.0007、および0.9467であり、そして遺伝子座BおよびCについても同様である。この集団においては、0.8485が、変異した対立遺伝子を有さず(0.9467)、0.1413が、変異した対立遺伝子を1つ有し(aまたはbまたはc;0.0263×0.9467×6)、0.0098が、2つの異常な対立遺伝子を有し(0.0020、2つの同じ異常な対立遺伝子、0.0078、2つの異なる異常な対立遺伝子)、そして0.00037が2つ以上の異常な対立遺伝子を有する。従って、この集団において、0.01、つまり1%が、2つ以上の異常な対立遺伝子(IGE遺伝子型)を有し、異常な対立遺伝子の総頻度は0.08である(3×0.027)。
【0183】
家族のリスクおよび罹患した対における対立遺伝子のパターンを決定するために、集団交配の頻度分布および2つ以上の異常な対立遺伝子を有する子供の割合を決定しなければならない。異常な対立遺伝子を有さない交配の頻度(0×0)は、0.72(0.8485)であり、1×0、および0×1交配については、0.24(2×0.8485×0.1413)であり、1×1交配については、0.020であり、そして2×0、および0×2交配については0.0166である、などなど。交配のこの分布から、2つ以上の異常な対立遺伝子を有する子供の頻度は、0.01であることが示され得る。例えば、0×2および2×0の交配は、この0.01頻度の0.0033に寄与する(0.0166[交配頻度]×0.2[2つ以上の異常な対立遺伝子を有する子供を生じる交配の機会])。
【0184】
親のリスクを決定するために、2つの異常な対立遺伝子(IGE表現型)を有する小児のうち0.49が1×1交配(ここで親は罹患していない)に由来し、0.33が2×0および0×2の交配に由来することなどが示され得る。2×0および0×2交配について、親の半分は、IGE表現型を有しており、親のリスクに対して0.16(0.33/2)に寄与する(ここでIGE表現型の親の総リスクが0.258である)。罹患した親−子供の対に寄与する他の交配は、2×1、1×2、3×0、0×3などである。
【0185】
IGE表現型の兄弟姉妹のリスクは、0.305である。例えば、2×0、および0×2の交配は、兄弟姉妹のリスクに対して0.08寄与する(0.33[2つの異常な対立遺伝子を有する子供の割合]×0.25[2つ以上の異常な対立遺伝子を有する子供を生じる交配の機会])。同様に、子孫のリスクは、2つの異常な対立遺伝子を有する個体と、一般的集団とを交配することによって0.248であると決定された。従って、30%の浸透度において、発端者の親についてのIGE表現型のリスクは、0.77であり、兄弟姉妹については0.091であり、子孫については0.074である。
【0186】
罹患した兄弟姉妹の対が85%の症例において同じ異常な対立遺伝子対を共有することが示され得る。この理由は、全ての罹患した兄弟姉妹の対の44%が1×1交配に由来し、そして23%が0×2、および2×0の交配に由来する(ここで全ての罹患した兄弟姉妹は、同じ表現型を有する)ためである。対照的に、24%は1×2交配に由来し、そして9%は、3×1、および2×2の交配などに由来する(ここで罹患した兄弟姉妹の遺伝子型はときどき異なる)。
【0187】
罹患した親−子供の対について、表現型はわずか58%においてのみ同一である。罹患した親−子供の対のうち、43%が0×2交配(ここでは、表現型は同一である)に由来するが、38%は、0×3に、そして17%は1×2(ここでは、交配種のほとんどが異なる罹患した表現型を生じる)に由来する。
【0188】
二遺伝子モデルに基づいて、ほとんどの古典的IGEおよびGEFSの症例が、マルチサブユニットイオンチャネルにおける2つの変異の組み合わせに起因すると想定されている。これらは代表的には、点変異(ポイントミューテーション)であり、機能のわずかな変化を生じる。重要な仮定は、異なるサブユニット対立遺伝子における、2つの変異(通常、ただし、排他的ではない)(「二遺伝子モデル(digenic model)」が、IGEの臨床的な発現に必要であるということである。
【0189】
同様の表現型が、2つ(またはそれ以上)の異なるサブユニットにおける変異の組み合わせによって(非近交系集団)、または同じサブユニットの2つ(またはそれ以上)の対立遺伝子における同じ変異によって(近交系集団)、生じ得るという仮説は、信じ難いかもしれない。しかし、図1に示される理論的な5量体チャネルに対して二遺伝子仮説を付与することによって、非近交系集団におけるIGEは、ααββΔ、ααββΔ、またはααββΔ(変異したサブユニットは、によって示される)のようなサブユニットの組み合わせに起因する。近交系集団において、ααββΔ、またはααββΔの組み合わせは、IGE表現型を生じ得る。本発明者らは、変異が、対立遺伝子の発現の低下を生じないこと、ならびに変更されたイオンチャネル興奮性、および結果としてのIGE表現型(2つの異なる対立遺伝子における変異によって生じた)が、1つのサブユニットの両方の対立遺伝子における同じ変異によって生じたものと同様であるということを仮定する。最終的に、より重篤な機能的結果(例えば、SCN1Bにおけるジスルフィド結合の破壊、またはGEFSについてのSCN1Aの細孔形成領域におけるアミノ酸置換)をともなうサブユニット変異が、60〜90%の浸透度を有する常染色体優性の全身性てんかんを生じる。このような「重篤な(severe)」変異は、まれ(対立遺伝子頻度<0.01%)であり、そしてGEFSのまれな原因である。それらは非常にまれにしか古典的IGEを生じないか、またはおそらく決して生じない。
【0190】
古典的なIGEおよびGEFS表現型の相対的な別々の分離は、本発明者らの逸話的な臨床観察である(Singhら、1999)が、この分離は絶対的ではない。この分離は、以前の家族、およびDooseおよび共同研究者のEEG研究によって支持され、彼らは、「タイプA」、および「タイプB」(本発明者らは、それぞれGEFSおよび古典的IGE表現型と見積もることができる)の責任を記載した(Doose、およびBaier,1987)。
【0191】
二遺伝子モデルによって、罹患した兄弟姉妹の対は、症例のうち85%で同じ遺伝子を共有するが、それらは残りの15%において少なくとも1つの異なる対立遺伝子を有することが予測される。対照的に、3つの遺伝子座モデルにおいて同じ対立遺伝子を共有するのは、親−子供対のわずか58%である。従って、親−子供の対よりも兄弟姉妹の対の間で、より類似度の大きい症状が存在するはずである。このことは、発現の年齢および痙攣(発作)のタイプによって、最も客観的に測定される。
【0192】
熱性痙攣またはIGEのリスクについての推定は相対的に変化する。推定は、兄弟姉妹については5%〜10%に、子孫については4%〜6%に、親については3%〜6%に、そして祖父母については2〜3%におよぶ。過小評価が生じるかもしれない。なぜなら、若年者、および親、そして詳細には祖父母におけるIGEの兆候は、若い時点では彼ら自身の痙攣(発作)について気付かないかもしれないからである。てんかんをともなう兆候が存在する場合、そしててんかんが、軽度でかつ認識されていない場合、このことは特にあてはまる。罹患していない若い子供(その幾人かは青年期にIGEを発症する)をカウントする場合、兄弟姉妹および子孫のリスクの過小評価が生じる。過剰評価は、痙攣(発作)の誤診またはIGEに関連しない痙攣(例えば、外傷または腫瘍に起因する)を含むことによって生じることもある。
【0193】
常染色体優性モデルにおいて、罹患した親類についてのリスクは比例的に低下する(第一親等について50%、第二親等について25%など)。全ての主働遺伝子(オリゴジーン)または多遺伝子(ポリジーン)のモデルについて、リスクはより急速に低下する。3つの遺伝子座を有する二遺伝子モデルについて、リスクは、兄弟姉妹について9.1%、子孫について7.4%、親について7.7%である。家族の再発率の厳密な測定であって、注意深い表現型特定および加齢関連リスク推定を用いる測定は、二遺伝子モデルからの予測と比較されてもよく、これを行うことが提唱される。
【0194】
ハプロタイプ分布に関して、IGEファミリーに対する情報量は少ない。例えば、単一の家族におけるパラメトリック連鎖によって(Fongら、1998)、そして複数の小家族におけるノンパラメトリック解析によって(Zaraら、1995)、決定されるとおり、8q上の遺伝子座についていくつかの証拠がある。興味深いことに、後者の研究においては、8qハプロタイプは、しばしば、罹患していない親由来であった。これは、二遺伝子モデルと完全に適合しており、そしてこの様式のおける他のデータセットの評価は、仮説を試験するために用いられてもよく、これを行うことが提唱される。
【0195】
てんかんを有する1つの大型の家族であって、2つの主な表現型が、小児期欠神てんかん(CAE)、および熱性痙攣(FS)である、家族の解析後に、FSの遺伝は、常染色体優性であり、浸透度75%であることが見出された。しかし、この家族におけるCAEの遺伝は、単純なメンデル遺伝ではなく、2つ以上の遺伝子の包含を伴う複雑な遺伝が示唆された。この大家族の力を用いて、CAEの複雑な遺伝をさらに検討した。
【0196】
この家族(CAE、FS、およびFS+を有する個体が、罹患しているとみなされた)の連鎖解析によって、5q染色体上の連鎖の検出、およびこの領域に位置するGABRG2遺伝子(R43Q)における変異の同定が得られた(Wallaceら、2001a;PCT/AU01/00729)。この家族におけるFS単独を有する試験された10例の個体全てが、この変異を有し、そしてこの家族における7例のCAEに罹患した個体がまた、変異を有した。CAEに罹患した個体におけるIGEの二遺伝子モデルを試験するため、CAEに罹患したと考えられる個体のみを用いて、この家族の全ゲノムスクリーニングを再解析した。FASTLINK v4.0を用いて、連鎖解析を実施し、2ポイントロッドスコアを算出したが、50%の浸透度および2%の表現型模写(フェノコピー)率が想定され、FSまたはFS+を有する個体は、未知としてコードされた。1より大きいロッドスコアを生じるマーカーを、表現型模写(フェノコピー)率なしで、そしてこの家族におけるCAEについて観察された浸透度(30%)で再解析した。この解析からの結果によって、染色体14q22−q23(lod 3.4)に対する有意な連鎖が明らかになった。これによって、この家族におけるCAEに罹患した個体を用いた第二の遺伝子座分離についての強力な証拠が提供される。GABRG2変異は、FSを生じるのに十分であるが、二遺伝子モデルによって提唱されるとおり、CAE表現型は、GABRG2変異、および14q遺伝子座にマッピングする遺伝子において生じる変異の両方に起因すると考えられる。
【0197】
IGEの散発性症例、およびより小さい家族に属する、罹患した個体に対する二遺伝子モデル(ここでは、遺伝子型特定および連鎖解析は、疾患遺伝子特定に対して実行可能なアプローチではない)の適用のために、これらの個体におけるイオンチャネル遺伝子の直接変異解析が、上記のように実行された。表1に、これらの個体の変異解析スクリーニングを通してこれまでに同定された新規な遺伝的変更の指標が、提供される。図2によって、カリウムチャネルKCNQ2遺伝子に関して、これらの変異のいくつかがどこに生じたかを示す例が提供される。
【0198】
IGE個体におけるイオンチャネルサブユニット中の新規な変異および改変の同定によって、二遺伝子仮説をさらに試験する資源が得られ、そして変異プロフィールは、同じ個体において観察される多数のサブユニット変化について蓄積するための出発点である。図3は、これらのプロフィールのいくつかに由来する結果を示す。
【0199】
図3Aは、3世代の家族であって、個体III−1が、ミオクローヌス失立てんかんを有し、かつSCN3A遺伝子におけるN43del変異、およびSCN1A遺伝子におけるA1067T変異を含む、家族を示す。個体I−1はまた、SCN3A変異を有するが、この変異単独では、この個体においててんかんを生じるのには十分ではない。SCN3A変異は、母親側の祖父から遺伝された可能性が高いが、SCN1A変異は、父親から生じる可能性が高い。両親は、罹患していないが、これらのサブユニットにおける変異の存在についてさらにスクリーニングされなければならない。個体II−1は、この個体において既に同定されたSCN3A変異と協力して作用する、まだ同定されていないイオンチャネルサブユニット変異を含む可能性が高い。
【0200】
図3Bは、別の3世代の家族であって、個体III−1が、上記と同じSCN3AおよびSCN1A変異の組み合わせに起因して、ミオクローヌス失立てんかんを有する家族であり、この家族では、両親が熱性痙攣を有するが、これは、このモデルによって提唱されるような、各々の親において変異が1つだけ存在することに起因する可能性が最も高い。これは、図4Aにおける個体II−2、およびII−3(やはり、これらの遺伝子の各々における変異の1つを含む)とは対照的である。これらの個体は、表現型が正常であるが、これは各々の症例におけるこれらの変異の不完全な浸透度に起因する可能性が最も高い。
【0201】
図3Cは、多世代の大家族であって、個体IV−5が、SCN3AおよびGABRG2サブユニットの両方において変異を有する家族を示す。このモデルに提唱されるように、これらは、組み合わせれば、乳児期の重篤なミオクローヌスてんかんを生じるが、単独では熱性痙攣を生じ(III−3、およびIV−4におけるGABRG2変異)るか、または影響がない(III−2におけるSCN3A変異)。
【0202】
従って、これらの例によって、罹患した個体におけるイオンチャネルサブユニットの変異体解析研究から決定されるとおり二遺伝子モデルが例示され、そしてイオンチャネルサブユニットをコードする遺伝子における遺伝的変更を同定する必要性が強調される。
【0203】
実施例5:イオンチャネルおよびイオンチャネルサブユニットの分析
本発明の変異体イオンチャネルおよび変異体イオンチャネルサブユニットの構造および機能は、様々な分子生物学的研究を使用して決定されることができる。これらの研究は、イオンチャネルサブユニットがイオンチャネルの機能に影響を与えるメカニズムについての手掛かりを与えるかもしれない。例えば、変異体イオンチャネルと相互作用するタンパク質(または相互作用がイオンチャネルサブユニット中の変異によって妨げられるタンパク質)を同定することは、変異の結果として妨げられる分子メカニズムを決定するのに役立つかもしれない。酵母ツーハイブリッド系などの手法はかかる相互作用タンパク質を発見して同定するために使用されることができる。
【0204】
酵母ツーハイブリッド手法の背後にある原理は、酵母を含む多くの真核生物の転写活性化因子は二つの別個のモジュールドメインからなるということである。第一のドメインは、特定のプロモーター配列に結合するDNA結合ドメインであり、第二のドメインは、RNAポリメラーゼII複合体にDNA結合部位の下流の遺伝子を転写するように指示する活性化ドメインである。両ドメインが転写活性化のために必要であり、それぞれのドメイン単独では転写を活性化することができない。酵母ツーハイブリッド手法では、関心のある遺伝子またはその一部(BAIT)は、それがDNA結合ドメインを有するペプチドへの融合体として発現するようなやり方でクローニングされる。cDNAライブラリーからの遺伝子の如き第二の遺伝子(単数または複数)(TARGET)は、それが活性化ドメインへの融合体として発現されるようにクローニングされる。関心のあるタンパク質とその結合パートナーとの相互作用は、活性化ドメインと一緒のDNA結合ペプチドをもたらし、レポーター遺伝子の転写を開始する。第一のレポーター遺伝子は、相互作用タンパク質を含む酵母細胞について選択するであろう(このレポーターは通常、選択培地での増殖に必要な栄養遺伝子である)。第二のレポーターは、確認のために使用され、相互作用タンパク質に応答して発現されるが、それは増殖のためには通常必要でない。
【0205】
KCNQ2相互作用
てんかんの原因となる多数のKCNQ2変異体の同定(本研究で同定したKCNQ2変異体を含む)にもかかわらず、転換の原因となる基礎的な生物学的メカニズムは大部分が特徴付けられないままである。これらのメカニズムの同定に向けて、KCNQ2の大きな細胞内C−末端領域が酵母ツーハイブリッド手法を使用して他のタンパク質との相互作用についてスクリーニングされた。C−末端はKCNQ2タンパク質の63%を占め、他のKCNQサブユニットにも共通し、保存された「Aドメイン」を含む(Jentsch,2000;Schwakeら、2000)。この「Aドメイン」は、サブユニット相互作用に関与し、並びに少なくともKCNQ1でサブユニット会合に関連してきた他の遠位の短い保存された領域に関与すると考えられている(Jentsch,2000;Schmittら、2000)。
【0206】
A)酵母ツーハイブリッド分析
酵母ツーハイブリッドスクリーニングは、ProQuest(商標)Two−Hybrid SystemをGateway(商標)Technology(Invitrogen(商標))と共に、製造者の手引きに従って使用して行われた。KCNQ2 C−末端エントリー(BAIT)クローンはpENTR Directional TOPO(登録商標)Cloning Kit(Invitrogen(商標))を使用して作成された。以下のプライマーが、ヒトKCNQ2の配列(Genbankアクセッション番号NM 172107)に基づいてKCNQ2の細胞内C−末端領域を増幅するために設計された:

1611塩基対のクローニングされたフラグメントは、KCNQ2タンパク質のアミノ酸373−382に対応するエクソン10a(本発明者らが増幅したすべてのクローンに見出される)を含んでいた。余分の30塩基対(10アミノ酸)が本発明者らの番号付けには含まれていた。PCR生成物はTOPO(登録商標)Cloning反応を介してpENTR/D−TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen(商標))中に製造者の指示に従ってクローニングされた。配列の確認後、KCNQ2 cDNAフラグメントは、DNA Bindingドメイン(DB)Gateway(商標)Destination Vector(Invitrogen(商標))であるpDEST(商標)32中にサブクローニングされた。
【0207】
Gateway(商標)技術(ResGen(商標)、Invitrogen(商標))を使用したProQuest(商標)Two−Hybridヒト脳cDNA Library(TARGET)は製造者の指示に従って増幅された。プラスミドDNAは、HiSpeed Plasmid Maxi Kit(Qiagen)を製造者の指示に従って使用して細胞ペレットから精製された。
【0208】
DBLeu(空のBAITベクター)およびDB−KCNQ2野生型(wt)C−末端BAITの両方は、酵母株Mav203中に形質転換され、ロイシンを欠く最小選択培地に播種された。二重化が行われ、そこでは空のライブラリーTARGET(pAD)ベクターが各BAITに加えて共形質転換され、ロイシン(−leu)およびトリプトファン(−tryp)を欠く最小選択培地に播種された。酵母コントロール株(Invitrogen(商標))はすべてのプレートに含められた。ネガティブコントロールとして使用されたコントロール1は空プラスミドpPC97およびpPC86を含んでいた。コントロール2は、比較的弱い相互作用を発現するpPC97−RBおよびpPC86−E2F1を有していた。コントロール3は、少し強い相互作用を有しかつプラスミドシャッフリングのためのコントロールを与えるドロソフィラ(Drosophila)DPをコードするプラスミド(pPC97)およびドロソフィラE2Fをコードするプラスミド(pPC86)を含んでいた。コントロール4は、比較的強い相互作用を発現するpPC97−FosおよびpPC86−Junを含んでおり、コントロール5は、全長GAL4pをコードするpCL1プラスミドおよび空のpPC86を有しており、ポジティブコントロールとして使用された。
【0209】
構築物は、Invitrogen(商標)の指示に従ってhisおよびβ−galレポーター遺伝子の自己活性化についてテストされた。
【0210】
酵母ツーハイブリッドスクリーニングのため、匹敵する酵母細胞はスクリーニングされるべき各BAIT(DB−KCNQ2 wt C−末端構築物)について調製され、31μgのProQuest(商標)Two−Hybridヒト脳AD(活性化ドメイン)−cDNA Libraryで形質転換され、ロイシン(−leu)、トリプトファン(−tryp)およびヒスチジン(−his)を欠き3−アミノトリアゾール(+3AT)を含む最小選択培地に播種された。各スクリーニングからのポジティブコロニーはPCRで増幅され、BAITを含む新しい酵母細胞に導入され、ツーハイブリッド相互作用表現型について再テストされた。二つ以上のPCR生成物を生じたものまたは再テストでポジティブとならなかったものは系統的に削除された。再テストされたポジティブコロニーはABI−PRISM(登録商標) BigDye(商標)Terminators v3.0技術を使用して配列決定された。一旦、同定されると、潜在的な相互作用剤の配列は、それがえじき(BAIT)構築物のGal 4p−ADコーディング配列と同じ翻訳フレームを有することが確認された。
【0211】
ProQuest(商標)Two−Hybridヒト脳cDNA Libraryからの約3×10個のクローンは、DB−Q2C wt BAITとの相互作用についてスクリーニングされた。発見された1039個のポジティブAD−cDNAのうち、再テストされて続いて配列決定されたすべてが普遍的なCa2+結合タンパク質であるカルモジュリン(CaM)をコードするCALM2遺伝子として同定された。
【0212】
KCNQ2のC−末端領域とCaMとの間の相互作用も他の研究によって報告されている(Wen and Levitan,2002;Yus−Najeraら、2002;Gamper and Shapiro,2003)。哺乳類では、CaMタンパク質は三つの真のメンバーCALM1,CALM2およびCALM3からなるマルチジーンファミリーによってコードされている。CaM転写物の非コード領域の中に目立った相同性は観察されず、コドン使用頻度は同一のタンパク質をコードする三つのCaM mRNAの間で最大に分化している。マルチジーンファミリーの存在は遺伝子発現のレベルで堅固で複雑なレベルの制御コントロールを与えるという仮説が立てられている(Palfiら、2002)。CaM遺伝子は発達中にCNSで異なって発現され、CaM遺伝子の異なる制御はすべての細胞内ドメインでのCaMタンパク質レベルの一時的および空間的忠実性を維持するために必要であるように見える。CaMと関連した基本的なハウスキーピング機能に加えて、それは特殊化されたニューロン機能(例えば神経伝達物質の合成および放出、神経突起の伸長、長期間の強化(potentiation)および軸素輸送にも関与している(Palfiら、2002)。
【0213】
B)CaM−KCNQ2相互作用に対するてんかん関連のKCNQ2変異の影響
本発明のC−末端変異がCaM結合に影響を与えたことを評価するため、同定された変異のうちの二つの(R353GおよびL619R)は変異誘発によってDB−Q2C構築物中に導入され、酵母ツーハイブリッド手法を使用してCaMとの相互作用について再分析された。
【0214】
以下のプライマーがpDEST(商標)32−KCNQ2 C−末端BAIT構築物中にc1057C→G(R353G)およびc1856T→G(L619R)変化を導入するために使用された。

【0215】
重複するPCR生成物は、初期クローニングからのTOPO(登録商標)クローニング融和性KCNQ2Fプライマーおよび変異誘発リバースプライマー、並びに初期クローニングからのKCNQ2Rプライマーおよび変異誘発フォワードプライマーを使用して生成された。生成物はゲル抽出されて精製され、初期KCNQ2 F&Rプライマーを使用した第二ラウンドのPCRに供された。これらの生成物もゲル抽出されてTOPO(登録商標)システム(上述の通り)を介してpDEST(商標)32BAITベクター中にクローニングされた。変異体BAITは配列を確認された。
【0216】
各DB−Q2C変異体とCaMの間の相互作用は次に酵母ツーハイブリッドアッセイによってテストされ、DB−Q2 wtとの相互作用と比較された。初期スクリーニングからの三つの異なるPCR増幅されたCaMポジティブクローンは、DB−Q2C wt,DB−Q2C変異体またはネガティブコントロールとして使用された空DBLeuベクターを発現する酵母株中のえじき(BAIT)ベクター(pPC86)中にギャップ修復(20)によって再導入された。
【0217】
DB−Q2C wtおよび変異体とのCaM相互作用は次にHIS3およびLacZリポーター遺伝子の発現によって評価された。
【0218】
HIS3選択プレートで増殖が見られないこと(図4C)およびLacZフィルターアッセイで青い読取りが見られないこと(図4D−Fにおいて暗い四角として見られる)によってわかるように、Q2C R353G変異体はCaMと相互作用しなかった。他方、HIS3選択プレートでの増殖(図4C)およびLacZフィルターアッセイでの青い読取りによってわかるように、DB−Q2C L619R変異体はなおCaMと相互作用していることが示された。興味深いことに、DB−Q2C L619R変異体はDB−Q2C wtよりHIS3選択プレートでの大きい増幅レベルすら示し、またLacZフィルターアッセイで一層速くかつ一層強く染色されたように見えた。これらのことはCaMとこの変異体の間の強い相互作用を示唆する。
【0219】
β−gal活性を一層良く定量するため、液体培地中の高感度基質クロロフェノールレッド−β−D−ガラクトピラノシド(CPRG)を使用して第二アッセイが行われた。DB−Q2C/AD−CaM相互作用の親和性がβ−gal活性単位の観点から測定された。ゼロ値はLacZリポーター遺伝子の発現がないこと、従って相互作用がないことを示す。
【0220】
CPRGアッセイにおいて、0.05単位のβ−gal活性値(図5)は空のBAITベクター複製物とは有意に異なり(P<0.01、ステューデントのt検定)、DB−Q2C wtとCaMとの相互作用を確認した。
【0221】
LacZフィルターアッセイで観察されるように、CPRGアッセイはwt複製物と比較してQ2C R353G変異体とCaMとの間の相互作用における有意な差異を示した(P<0.01、ステューデントのt検定、図4)。
【0222】
これらの結果は、R353G変異はKCNQ2 C−末端ドメインの構造配座を、これがもはやCaMに結合できないように変化させるということ、およびこの一つの点の変異が相互作用を廃止させるのに十分であるということを示唆する。CaM結合を廃止することにより、R353G変異はチャネルの減少した開放によるインビボでのM−電流の障害を導くことができる。
【0223】
対照的に、L619R Q2C変異体についてのCPRGアッセイはwt複製物より有意に高いレベルのβ−gal活性単位(0.26単位)を示した(P<0.001、ステューデントのt検定、図5)。この発見は、L619R変異はKCNQ2 C−末端ドメインに対するCaM結合親和性が約5倍増大するようなやり方でタンパク質の配座を変化させるということを示す。CaMに対する増大された親和性は、複合体がカルシウムシグナル伝達に対する応答として配座を正常に変化させる能力に影響を与えるかもしれない。代わりに、KCNQ2 L619R変異体チャネルに対するCaMの結合の目立った増大は、正常なニューロン阻害/興奮バランスの破壊を介してMチャネル機能にとって有害であるかもしれず、てんかんと関連する発作、特にBFNSを生じるかもしれない。CaMは興奮性神経伝達経路および阻害性神経伝達経路の両方に関与していることが知られており(Ohya and Botstein,1994)、CaM自体に対する一時的かつ空間的な制限はこれらの反対の反応を堅固に制御することを可能にするであろうと提案されている(Toutenhoofd and Strehler,2000)。従って、KCNQ2 L619R変異は局所的なCaMプールの破壊を導くことができ、結果としてうまくバランスがとれた興奮性神経伝達系および阻害性神経伝達系を破壊することができるであろう。
【0224】
これらの結果は、てんかんの病因における、特にBFNS症候群におけるCaMを暗に示す。ニューロンの興奮性におけるKCNQ2−CaM相互作用の関与および特発性てんかんとのその関連を十分に解明するためにはさらなる研究が必要であるが、これらのデータは、この相互作用の機能不全が幾人かのBFNS患者における異常型のニューロン興奮を導くことを示唆する。それ故、カルモジュリン遺伝子(および他のイオンチャネル相互作用遺伝子)はてんかんおよびイオンチャネルの機能不全に関連する他の障害における変異の標的でありうる。イオンチャネル相互作用遺伝子中の変異が単独で発現されると、または一つ以上の他のイオンチャネル変異もしくはイオンチャネル相互作用遺伝子変異と組合せて発現されると(二遺伝子モデルに基づいて)、障害を生ずるかもしれない。イオンチャネル相互作用遺伝子およびタンパク質の本質は、これらのパートナーも医薬開発の標的であることができるように研究されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明の変異体イオンチャネルレセプターサブユニットは、てんかん、およびイオンチャネル機能不全に関連する障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、および全色盲)の診断および処置において有用である。







【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】イオンチャネルサブユニット化学量論、および複数対単一のイオンチャネルサブユニット変異の影響の例を提示する。
【図2】カリウムチャネルを構成するKCNQ2イオンチャネルサブユニットにおいて同定された変異の位置を示す。
【図3】てんかんの血統の例であって、ここでこの血統を構成する個体についてのイオンチャネルサブユニットの変異プロフィールが、決定されはじめている例を示す。
【図4】R353GおよびL619R KCNQ2変異体のツーハイブリッド分析の結果を示す。
【図5】R353GおよびL619R KCNQ2変異体を使用したCaM親和性実験の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンチャネル機能不全に関連する障害に対して素因がある被験体を同定する方法であって、前記被験体におけるイオンチャネルサブユニットをコードする遺伝子の少なくとも1つが、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象を含むか否かを確認する工程を包含する方法:


【請求項2】
前記被験体由来のcDNAが、配列番号1〜72のうちの1つに示される配列を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体由来のcDNAが、配列番号1〜72のうちの1つに示される配列を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を前記被検体において生じる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を前記被検体において発生させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を生じる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を発生させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子であって、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象が生じている単離された核酸分子:


【請求項9】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子であって、それに由来するcDNAが、配列番号1〜72のうちの1つに示される配列を含む請求項8に記載の単離された核酸分子。
【請求項10】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子であって、それに由来するcDNAが、配列番号1〜72のうちの1つに示される配列を有する請求項8に記載の単離された核酸分子。
【請求項11】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を生じる請求項8〜10のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子。
【請求項12】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を発生させる請求項8〜10のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子。
【請求項13】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を生じる請求項8〜10のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子。
【請求項14】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変体と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を発生させる請求項8〜10のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットをコードする単離された核酸分子。
【請求項15】
配列番号1〜72に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つを含む単離された核酸分子。
【請求項16】
配列番号1〜72に示されるヌクレオチド配列のいずれか1つからなる単離された核酸分子。
【請求項17】
変異体KCNQ2サブユニットをコードする単離された核酸分子であって、変異事象がKCNQ2サブユニットのC末端ドメインで生じており、てんかん表現型を生じるように、サブユニットのカルモジュリン結合親和性の破壊に導く、単離された核酸分子。
【請求項18】
変異事象がエキソン8、エキソン11、エキソン14またはエキソン15で生じている請求項17に記載の単離された核酸分子。
【請求項19】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチドであって、以下の表に示される変異事象からなる群から選択される変異事象が生じている単離されたポリペプチド:

【請求項20】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチドであって、配列番号73〜95のうちの1つに記載のアミノ酸配列を含む請求項19に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項21】
変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチドであって、配列番号73〜95のうちの1つに記載のアミノ酸配列を有する請求項19に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項22】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を生じる請求項19〜21のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチド。
【請求項23】
前記変異事象は、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の他の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を発生させる請求項19〜21のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチド。
【請求項24】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、てんかんの表現型を生じる請求項19〜21のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチド。
【請求項25】
前記変異事象は、前記イオンチャネルサブユニット遺伝子における1つ以上のさらなる変異または改変体と組み合わせて発現されたときに、組み立てられたイオンチャネルの機能化を破壊して、イオンチャネル機能不全に関連した1つ以上の障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を発生させる請求項19〜21のいずれか一項に記載の変異体または改変体のイオンチャネルサブユニットである、単離されたポリペプチド。
【請求項26】
配列番号73〜95のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項27】
配列番号73〜95のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる単離されたポリペプチド。
【請求項28】
変異体KCNQ2サブユニットである単離されたポリペプチドであって、変異事象がKCNQ2サブユニットのC末端ドメインで生じており、てんかん表現型を生じるように、サブユニットのカルモジュリン結合親和性の破壊に導く、単離されたポリペプチド。
【請求項29】
請求項19〜28のいずれか一項に規定されるポリペプチドを含むイオンチャネルサブユニットを含有する組み立てられた哺乳動物のイオンチャネルである単離されたポリペプチド複合体。
【請求項30】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項31】
請求項30に記載の少なくとも一つの発現ベクターを含む細胞。
【請求項32】
二つ以上の発現ベクターを含む請求項31に記載の細胞。
【請求項33】
少なくとも1つのイオンチャネル型を含む細胞であって、各イオンチャネル型が請求項19〜28のいずれか一項に記載の少なくとも1つの変異体ポリペプチドを組入れている細胞。
【請求項34】
二つ以上の変異体ポリペプチドを組み入れているイオンチャネルを含む請求項33に記載の細胞。
【請求項35】
各々が一つ以上の変異体ポリペプチドを組み入れている二つ以上のイオンチャネル型を含む請求項33に記載の細胞。
【請求項36】
以下の工程を包含するポリペプチドを調製する方法:
(1)ポリペプチド産生のために有効な条件下で、請求項31〜35のいずれか一項に記載の細胞を培養する工程;および
(2)ポリペプチドを回収する工程。
【請求項37】
請求項36の方法によって調製されたポリペプチド。
【請求項38】
請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載の単離されたポリペプチドと、または請求項29に記載の単離されたポリペプチド複合体と免疫学的に反応性である抗体。
【請求項39】
モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはFabフラグメント、(Fab′)2フラグメント、Fvフラグメントを含む抗体フラグメント、単鎖抗体および単一ドメイン抗体からなる群から選択される請求項38に記載の抗体。
【請求項40】
てんかんを処置する方法であって、このような処置の必要な被検体に対して請求項38または39に記載の抗体を投与することを含む方法。
【請求項41】
てんかんの処置のための医薬の製造における、請求項38または39に記載の抗体の使用。
【請求項42】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項38または39に記載の抗体を投与する工程を包含する方法。
【請求項43】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置するための医薬の製造における、請求項38または39に記載の抗体の使用。
【請求項44】
てんかんを処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事象の組み合わせを含むイオンチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターを投与する工程を包含する方法。
【請求項45】
てんかんの処置のための医薬の製造における、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象を含むイオンチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターの使用。
【請求項46】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事象の組み合わせを含むイオンチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターを投与する工程を包含する方法。
【請求項47】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置するための医薬の製造における、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象を含むイオンチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターの使用。
【請求項48】
てんかんを処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体(アンチセンス)であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードする、単離されたDNA分子を投与する工程を包含する方法。
【請求項49】
てんかんの処置のための医薬の製造における、請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードする、DNA分子の使用。
【請求項50】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体(アンチセンス)であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードする、単離されたDNA分子を投与する工程を包含する方法。
【請求項51】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置するための医薬の製造における、請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードする、DNA分子の使用。
【請求項52】
てんかんを処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項38または39に記載の抗体、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事情の組み合わせを含むイオンチャネルのアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターまたは請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードするDNA分子を、野生型イオンチャネルサブユニットと組み合わせて投与する工程を包含する方法。
【請求項53】
てんかんの処置のための医薬の製造における、請求項38または39に記載の抗体、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事情の組み合わせを含むイオンチャネルのアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターまたは請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードするDNA分子の、野生型イオンチャネルサブユニットと組み合わせでの使用。
【請求項54】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置する方法であって、このような処置の必要な被験体に対して、請求項38または39に記載の抗体、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事情の組み合わせを含むイオンチャネルのアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターまたは請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードするDNA分子を、野生型イオンチャネルサブユニットと組み合わせて投与する工程を包含する方法。
【請求項55】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)を処置するための医薬の製造における、請求項38または39に記載の抗体、請求項19〜28のいずれか一項に規定される、変異事象または事情の組み合わせを含むイオンチャネルのアンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターまたは請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の相補体であり、そして請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズするRNA分子をコードするDNA分子の、野生型イオンチャネルサブユニットと組み合わせでの使用。
【請求項56】
候補薬剤のスクリーニングのための請求項8〜18のいずれか一項記載の核酸分子の使用。
【請求項57】
てんかんの処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の使用。
【請求項58】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項8〜18のいずれか一項に記載の核酸分子の使用。
【請求項59】
候補薬剤のスクリーニングのための請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載のポリペプチドまたは請求項29に記載のポリペプチド複合体の使用。
【請求項60】
てんかんの処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載のポリペプチドまたは請求項29に記載のポリペプチド複合体の使用。
【請求項61】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載のポリペプチドまたは請求項29に記載のポリペプチド複合体の使用。
【請求項62】
候補薬剤のスクリーニングのための請求項31〜35のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【請求項63】
てんかんの処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項31〜35のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【請求項64】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項31〜35のいずれか一項に記載の細胞の使用。
【請求項65】
請求項56〜64のいずれか一項に記載の使用を通して特定される化合物。
【請求項66】
請求項65に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
【請求項67】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の単離された核酸分子を含む遺伝的に改変された非ヒト動物。
【請求項68】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の二つ以上の単離された核酸分子を含む遺伝的に改変された非ヒト動物。
【請求項69】
動物がラット、マウス、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、および非ヒト霊長類(例えば、サル、およびチンパンジー)からなる群から選択される請求項67または68に記載の遺伝的に改変された非ヒト動物。
【請求項70】
以下の工程を包含する、二つ以上のイオンチャネル変異の組み合わせを含む非ヒト形質転換動物の作成方法:
(1)請求項8〜18のいずれか一項に記載の第一の核酸分子を含む非ヒト形質転換動物を作成し;
(2)請求項8〜18のいずれか一項に記載の第二の核酸分子を含む一つ以上の追加の非ヒト形質転換動物を作成し;そして
(3)ヒトの疾患の原因であるイオンチャネル変異の組み合わせを効果的に模倣する二つ以上のイオンチャネル変異の組み合わせを含む子孫を作成するために交配の組み合わせを実行する。
【請求項71】
請求項70の方法によって作成された非ヒト形質転換動物。
【請求項72】
候補薬剤のスクリーニングのための請求項67〜69のいずれか一項に記載の遺伝的に改変された非ヒト動物または請求項71に記載の非ヒト形質転換動物の使用。
【請求項73】
てんかんの処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項67〜69のいずれか一項に記載の遺伝的に改変された非ヒト動物または請求項71に記載の非ヒト形質転換動物の使用。
【請求項74】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の処置のために有用な候補薬剤のスクリーニングのための請求項67〜69のいずれか一項に記載の遺伝的に改変された非ヒト動物または請求項71に記載の非ヒト形質転換動物の使用。
【請求項75】
てんかんの診断または予後のための請求項8〜18のいずれか一項に記載の単離された核酸分子の使用。
【請求項76】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後のための請求項8〜18のいずれか一項に記載の単離された核酸分子の使用。
【請求項77】
てんかんの診断または予後のための請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載のポリペプチドまたは請求項29に記載のポリペプチド複合体の使用。
【請求項78】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後のための請求項19〜28のいずれか一項または請求項37に記載のポリペプチドまたは請求項29に記載のポリペプチド複合体の使用。
【請求項79】
てんかんの診断または予後のための請求項38または39に記載の抗体の使用。
【請求項80】
イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後のための請求項38または39に記載の抗体の使用。
【請求項81】
以下の工程を包含する、てんかんの診断または予後のための方法:
(1)被検体からDNAを得る;そして
(2)前記被検体からのイオンチャネルの一つ以上のサブユニットのDNAを対応する天然のサブユニットのDNAと比較する;
ここで、請求項8〜18のいずれか一項に記載の一つ以上のDNA分子の特定はてんかんまたはそれに対する素因の徴候である。
【請求項82】
以下の工程を包含する、イオンチャネル機能不全に関連した障害(以下を包含するが、それに限定されない:高カリウム血症性周期性四肢麻痺、または低カリウム血症性周期性四肢麻痺、筋緊張症、悪性高熱症、筋無力症、心不整脈、突発性運動失調、片頭痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症(精神分裂病)、ビックリ病、不安、抑うつ、恐怖強迫性症候群、神経因性疼痛、炎症性疼痛、慢性疼痛/急性疼痛、バーター症候群、多発性嚢胞腎、デント病、乳幼児高インスリン血症性低血糖症、嚢胞性繊維症、先天性停在夜盲症、または全色盲)の診断または予後のための方法:
(1)被検体からDNAを得る;そして
(2)前記被検体からのイオンチャネルの一つ以上のサブユニットのDNAを対応する天然のサブユニットのDNAと比較する;
ここで、請求項8〜18のいずれか一項に記載の一つ以上のDNA分子の特定は前記障害またはそれに対する素因の徴候である。
【請求項83】
各DNAフラグメントが配列決定され、配列が比較される請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
DNAフラグメントが制限酵素分析に供される請求項81または82に記載の方法。
【請求項85】
DNAフラグメントがSSCP分析に供される請求項81または82に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−501601(P2007−501601A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522183(P2006−522183)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001051
【国際公開番号】WO2005/014863
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(502386053)バイオノミックス リミテッド (13)
【Fターム(参考)】