説明

イオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法

【課題】本発明は、イオン注入された表層よりも深層の影響をより低減し、イオン注入量をより精度よく測定し得るイオン注入量測定装置および該方法を提供する。
【解決手段】本発明のイオン注入量測定装置Daは、光源部1aおよび変調部2aによってイオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光をイオン注入半導体SMに照射し、測定波生成部6で生成された測定波をイオン注入半導体SMに照射し、検出部10aによってイオン注入半導体SMで反射された測定波の反射波を検出し、イオン注入量演算部142aによって、検出部10aの検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体の表層にイオン注入された物質の総量であるイオン注入量を測定するイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクスの進展により、半導体は、製品に適った適宜な特性が与えられ、様々な製品に応用されている。半導体には、導電型(n型、p型)や電気抵抗率等の特性を変えるために、一般に、所定の物質がイオン注入される。例えば、半導体がシリコン(Si)である場合には、シリコンには、ドーパントとして、例えば、ボロン(ホウ素、B)、リン(P)およびヒ素(As)等がイオン注入される。このイオン注入は、通常、ドーパントをイオン化し、このイオン化されたドーパントを電気的に加速し、この加速したドーパントのイオンを半導体に打ち込むことによって行われ、半導体の表層にドーパントがイオン注入される。そして、このイオン注入された物質の総量であるイオン注入量が半導体の特性に影響するため、このイオン注入量の測定は、半導体の品質管理上、重要である。
【0003】
このイオン注入量を測定するイオン注入量測定装置は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示のイオン注入量測定装置は、表層にイオン注入がなされた半導体であるイオン注入物におけるイオン注入量の測定を行うイオン注入量測定装置であって、前記イオン注入物の測定部に対し電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記イオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短く、かつ前記イオン注入物のバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を前記測定部に照射する励起光照射手段と、前記励起光の照射により変化する、前記イオン注入物からの前記電磁波の反射波の強度を検出する電磁波強度検出手段と、前記電磁波強度検出手段による検出強度に基づいて前記測定部における光励起キャリアの寿命の指標値を検出する光励起キャリア寿命指標値検出手段と、前記光励起キャリアの寿命の指標値と前記イオン注入量との対応関係が予め設定された指標値・イオン注入量対応情報と前記光励起キャリア寿命指標値検出手段の検出値とに基づいて前記イオン注入物におけるイオン注入量を導出するイオン注入量導出手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−212341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置のように、反射電磁波の強度に基づいて光励起キャリアの寿命を測定することによって、光励起キャリアの寿命と相関関係にあるイオン注入量を測定する方法は、電磁波(マイクロ波)の波長が数ミリ以上と長いため、イオン注入された表層のみを選択的に照射することができない。したがって、前記反射電磁波は、イオン注入された表層のみの影響を受けるだけではなく、それよりも深層の影響も受けてしまう。このため、前記特許文献1に開示のイオン注入量測定装置では、イオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短い励起光が用いられている。
【0006】
しかしながら、このようにイオン注入物に対する浸透長が該イオン注入物の表層におけるイオン注入深さよりも短い励起光が用いられても、光励起キャリアは、深さ方向にも拡散するため、この観点による前記深層の影響を、前記反射電磁波は、まだ含んでいる。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、イオン注入された表層よりも深層の影響をより低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができるイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるイオン注入量測定装置は、イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射する励起光照射部と、前記測定対象のイオン注入半導体に所定の測定波を照射する測定波照射部と、前記測定対象のイオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波を検出する反射波検出部と、前記反射波検出部の検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるイオン注入量演算部とを備えることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明の他の一態様にかかるイオン注入量測定方法は、イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射する励起光照射工程と、前記測定対象のイオン注入半導体に所定の測定波を照射する測定波照射工程と、前記測定対象のイオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波を検出する反射波検出工程と、前記反射波検出工程の検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるイオン注入量演算工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
測定対象のイオン注入半導体に励起光が照射されると、光励起キャリアが発生し、この光励起キャリアは、再結合によって消滅する。この光励起キャリアの寿命(ライフタイム)は、イオン注入量と相関し、イオン注入量が多いほど、光励起キャリアの寿命は、短くなる。また、光励起キャリアは、フリーキャリアの吸収効果によって例えばマイクロ波等の電磁波と相互作用し、イオン注入半導体で反射された電磁波の反射波は、光励起キャリアの寿命と相関し、光励起キャリアの寿命が短いほど、前記励起光の照射によって変化する前記反射波の強度におけるピークが小さくなる、あるいは、光励起キャリアの寿命が短いほど、前記反射波の強度がピーク値から所定値まで減衰する減衰時間が短くなる。したがって、イオン注入量は、光励起キャリアの寿命を介して、前記反射波と相関することになる。
【0011】
ここで、この光励起キャリアの寿命は、その発生から消滅までの時間であり、光励起キャリアは、再結合によって消滅するから、光励起キャリアの寿命は、再結合速度によって表すことができる。この再結合速度は、半導体の表層において生じる表面再結合速度Sと半導体の表層より深層において生じるバルク再結合速度とに分けることができる。一方、イオン注入半導体において、イオン注入によって注入されるイオンの表面からの平均的な到達距離であるイオン注入深さ(イオン注入されている領域の平均的な深さ)は、通常、約10nmないし約1μm程度である。したがって、イオン注入量は、表層での光励起キャリアの寿命を表す表面再結合速度Sと高い相関を示すと考えられ、イオン注入量は、表面再結合速度Sを測定することによって測定され得る。
【0012】
また、光励起キャリアの拡散は、深さ方向(Z方向)の一次元拡散であると仮定した場合には、拡散方程式は、次の式1となる。
dN/dt=−N/τ
+D・d(2N)/d(z2)
+g・exp(−α・z)exp(jωt) ・・・(1)
前記式1において、Nは、光励起キャリアのキャリア密度であり、Dは、光励起キャリアの拡散係数であり、ωは、変調角周波数であり、τは、光励起キャリアのライフタイム(キャリア寿命)であり、αは、励起光の吸収係数であり、そして、gは、励起光条件(強度)に依存する定数である。
【0013】
前記式1より、光励起キャリアの拡散長Lは、次の式2によって与えられ、角周波数ωに依存するものである。すなわち、深さ方向の拡散長Lは、角周波数ωによって変化させることができる。例えば、シリコンである場合、拡散係数D=10cm/Sかつτ=100μSとすると、周波数f=100kHzである場合(ω=2πf)には、深さ方向の拡散長L=約100μmであり、周波数f=1MHzである場合(ω=2πf)には、深さ方向の拡散長L=約20μmである。このように角周波数ωを制御することによって、深さ方向の拡散領域を制御することが可能である。
L=(D/(jω+1/τ))1/2 ・・・(2)
前記表面再結合速度Sは、表層での光励起キャリアの寿命に相関するから、光励起キャリアの拡散長Lと関係すると考えられ、この光励起キャリアの拡散長Lは、角周波数ω、すなわち変調周波数fによって制御される。したがって、前記励起光の変調周波数fの変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性は、表面再結合速度Sと相関すると考えられる。このため、表面再結合速度Sを介して、イオン注入量は、前記反射波の変調周波数依存特性と相関することとなる。そして、前記反射波の変調周波数依存特性は、前記励起光の変調周波数fを変化させることによって、すなわち、光励起キャリアの拡散長Lを制御することによって求めているので、前記拡散長Lよりも深層の影響が低減されていると考えられる。このため、前記反射波の変調周波数依存特性との相関を利用して、前記反射波の変調周波数依存特性に基づいて求めたイオン注入量は、イオン注入された表層よりも深層の影響がより低減され、より精度の高い測定値となる。
【0014】
以上より、上記構成のイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法は、前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるので、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができる。
【0015】
また、他の一態様では、上述のイオン注入量測定装置において、好ましくは、前記イオン注入量演算部は、互いに異なる複数の変調周波数に対して前記測定波検出部で検出された複数の反射波の強度に基づいて前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求める。
【0016】
この構成によれば、例えば変調周波数を走査することによって互いに異なる複数の変調周波数に対して前記測定波検出部で検出された複数の反射波の強度を測定する場合には、これによって多数の測定結果が得られるので、測定結果に最も適合する前記反射波の変調周波数依存特性がより適確に求められるから、より精度よくイオン注入量が求められる。
【0017】
また、前記反射波の変調周波数依存特性は、後述するように、前記変調周波数fの角周波数をω(=2πf)とし、光励起キャリアの寿命(ライフタイム)をτとする場合に、ωτ=1に相当する変調周波数fで屈曲する比較的単純なプロファイルである。このため、変調周波数を走査しなくても比較的少ない複数の変調周波数に対する反射波の強度を測定することによって、前記反射波の変調周波数依存特性を特定することが可能である。したがって、この構成によれば、比較的少数、例えば、2、3個の変調周波数に対する反射波の強度を測定することによって前記反射波の変調周波数依存特性を特定することができ、この特定した前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めることができる。このため、このような構成のイオン注入量測定装置は、より短い測定時間でイオン注入量を測定することができる。
【0018】
また、他の一態様では、これら上述のイオン注入量測定装置において、好ましくは、前記励起光照射部は、互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分を含む励起光を照射し、前記反射波検出部は、前記互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分のそれぞれに対応する複数の反射波の強度を検出する。
【0019】
このような構成では、互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分を含む励起光が測定対象のイオン注入半導体へ一度に照射され、前記互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分のそれぞれに対応する複数の反射波の強度が検出される。このため、このような構成のイオン注入量測定装置は、一度の照射で実質的に、互いに異なる複数の変調周波数に対して前記測定波検出部で検出された複数の反射波の強度が得られるから、より短い測定時間でイオン注入量を測定することができる。
【0020】
また、他の一態様では、これら上述のイオン注入量測定装置において、好ましくは、前記励起光照射部は、前記測定対象のイオン注入半導体に対する浸透長が互いに異なる2個の第1および第2励起光を照射し、前記イオン注入量演算部は、前記第1励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射した場合における前記反射波検出部で検出した反射波の第1強度と前記第2励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射した場合における前記反射波検出部で検出した反射波の第2強度との比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求める。
【0021】
このような構成では、相対的に短い浸透長の励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射することによって、比較的表層の情報を主に含む反射波の検出結果が得られるとともに、相対的に長い浸透長の励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射することによって、比較的深層の情報を主に含む反射波の検出結果が得られる。このため、両者の比の変調周波数依存特性を求めることによって、表層の情報と深層の情報とを弁別することができ、このような構成のイオン注入量測定装置は、より精度よくイオン注入量を測定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかるイオン注入量測定装置およびイオン注入量測定方法は、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態におけるイオン注入量測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のイオン注入量測定装置における励起光および反射波の各強度の変化を説明するための図である。
【図3】イオン注入量と信号強度との関係を示す図である。
【図4】変調周波数と光励起キャリア数との関係を示す図である。
【図5】第2実施形態におけるイオン注入量測定装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態におけるイオン注入量測定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】所定波長の励起光における変調周波数と光励起キャリア数との関係を示す図である。
【図8】2波長の励起光における変調周波数と光励起キャリア数比との関係を示す図である。
【図9】光励起キャリアの寿命の相違による、2波長の励起光における変調周波数と光励起キャリア数比との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
本実施形態におけるイオン注入量測定装置Dは、所定のイオンをイオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体(測定試料)SMにおけるイオン注入量を測定する装置である。このイオン注入量測定装置Dは、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光をイオン注入半導体SMに励起光照射部によって照射するとともに、このイオン注入半導体SMに所定の測定波を測定波照射部によって照射する。そして、このイオン注入量測定装置Dは、このイオン注入半導体SMで反射された前記測定波の反射波を反射波検出部によって検出し、イオン注入量演算部によって、前記反射波検出部の検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるものである。このように本実施形態のイオン注入量測定装置Dおよびこれに実装されたイオン注入量測定方法は、前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるので、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができる。このようなイオン注入量測定装置Dおよびこれに実装されたイオン注入量測定方法の実施の一形態を第1ないし第3実施形態として以下により詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
まず、本実施形態の構成について説明する。第1実施形態におけるイオン注入量測定装置Daは、例えば、図1に示すように、光源部1aと、変調部2aと、反射鏡3aと、導波管アンテナ4と、E−Hチューナ5と、測定波生成部6と、分岐部7と、サーキュレータ8と、合波部(ミキサ)9と、検出部10aと、同期信号生成部11aと、入力部12と、出力部13と、演算制御部14aと、記憶部15aと、ステージ駆動部16と、ステージ部17と、導波管18とを備えて構成される。
【0027】
光源部1aは、演算制御部14aの制御に従って、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を放射するための装置である。光源部1aは、イオン注入半導体SMに励起光を照射することによって光励起によるキャリア(電子と正孔(ホール)、光励起キャリア)をイオン注入半導体SMに生じさせる。光源部1aは、例えばランプと波長フィルタとを備えた光源装置等であってもよいが、本実施形態では、比較的大きな出力が得られる、レーザ光を発光するレーザ光源装置を備えて構成される。光源部1aは、例えば、赤外線領域における所定波長のレーザ光を放射する赤外線レーザ装置、可視光領域における所定波長のレーザ光を放射する可視光レーザ装置、および、紫外線領域における所定波長のレーザ光を放射する紫外線レーザ光装置等である。光源部1aの波長は、例えば、測定対象であるイオン注入半導体SMの種類に応じて適宜に選択される。光源部1aから射出された励起光は、変調部2aに入射される。
【0028】
測定対象のイオン注入半導体SMは、所定のイオンをイオン注入された例えばシリコンウェハ等の半導体ウェハである。半導体ウェハにおける例えば導電型(n型、p型)や電気抵抗率等の特性を変えるために、例えば前記半導体ウェハがシリコン(Si)である場合には、ドーパントとして、例えばボロン(ホウ素、B)、リン(P)およびヒ素(As)等のイオンが前記所定のイオンとして適宜に選択される。イオン注入は、例えば、厚さ0.8mm〜1mm程度のシリコンウェハに、その表面から約10nmないし約1μm程度の深さで行われる。ここで、イオン注入の深さは、注入されるイオンの種類、イオン注入の際のイオンの加速エネルギー、イオン注入角度およびイオン注入する半導体の種類を主因として決定される。イオン注入の深さは、例えば、SIMS(2次イオン質量分析)等によって測定することができる。
【0029】
変調部2aは、同期信号生成部11aを介して演算制御部14aの制御に従って、光源部1aから入射された励起光の強度を周期的に変調するための装置である。変調部2aは、例えば、入射光の光強度を変調する種々の方式の光変調器のうちのいずれかの光変調器を備えて構成される。光源部1aから射出された励起光は、変調部2aによって強度変調されるので、光源部1aは、連続光(CW光)を射出する光源装置であってよい。
【0030】
同期信号生成部11aは、演算制御部14aの制御に従って、所定の周波数(例えば、1kHz〜数MHz程度)の同期信号を生成するための装置であり、例えば、発振器等を備えて構成される。同期信号生成部11aは、演算制御部14aの制御に従って生成した同期信号を変調部2aおよび検出部10aへそれぞれ出力する。したがって、変調部2aでは、光源部1aから射出された励起光は、この同期信号に同期するように強度変調される。
【0031】
反射鏡3aは、変調部2aから射出された強度変調が施された励起光(強度変調励起光)を反射することによって、前記強度変調励起光をイオン注入半導体SMへ向けてその光路を約90度曲げる光学素子である。なお、変調部2aから射出された強度変調励起光が直接イオン注入半導体SMへ照射されるように、光源部1aおよび変調部2aが配置される場合には、反射鏡3aは、省略することができる。
【0032】
このような光源部1a、変調部2a、反射鏡3a、同期信号生成部11aおよび演算制御部14aを備えることによって、イオン注入量測定装置Daは、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光(強度変調励起光)をイオン注入半導体SMへ照射することができる。より具体的には、光源部1aから放射された所定波長の励起光は、変調部2aに入射され、図2の上段に示すように、同期信号生成部11aから変調部2aに入力された同期信号に同期した周波数fで強度変調される。この強度変調が施された周波数fのパルス状の強度変調励起光は、変調部2aから射出され、反射鏡3aによってその光路が約90度曲げられて後述するように導波管アンテナ4を通過して、イオン注入半導体SMへ照射される。前記周波数fは、演算制御部14aが同期信号生成部11aで生成される同期信号の周波数を制御することによって調整され、所定値に制御される。なお、図2の上段は、励起光を示し、その下段は、反射マイクロ波を示す。図2の横軸は、時間軸であり、上段の縦軸は、光強度であり、下段の縦軸は、反射マイクロ波の強度である。
【0033】
このように光源部1a、変調部2a、反射鏡3a、同期信号生成部11aおよび演算制御部14aは、前記励起光照射部の一例に相当する。
【0034】
測定波生成部6は、演算制御部14aの制御に従って、所定の測定波を生成する装置である。本実施形態のイオン注入量測定装置Daは、光励起キャリアの寿命に基づいてイオン注入量を求めるものであって、前記光励起キャリアの生成消滅過程で生じる半導体の導電率変化を測定波の強度変化で取り出すため、前記所定の測定波は、電磁波であればよい。本実施形態では、前記所定の測定波は、マイクロ波であり、測定波生成部6は、マイクロ波を生成するマイクロ波発振器を備えて構成される。このマイクロ波発振器は、例えば、周波数26GHzのガンダイオード等である。測定波生成部6は、分岐部7を介してサーキュレータ8の1個の端子に接続され、測定波生成部6から放射された測定波は、分岐部7を介してサーキュレータ8に入射される。
【0035】
分岐部7は、測定波生成部6で生成された測定波の一部を分岐して分岐波として射出する装置であり、例えば、分岐導波管である。分岐部7の入力端子は、測定波生成部6に接続され、分岐部7の一方の出力端子は、合波部9に接続され、分岐部7の他方の出力端子は、サーキュレータ8の一の端子に接続される。測定波生成部6で生成された測定波は、この分岐部7でその一部が分岐されて分岐波として合波部9へ射出され、残余の測定波がサーキュレータ8へ射出される。
【0036】
サーキュレータ8は、3つ以上の端子(ポート)を持ち、非可逆的に、一の端子の入力をサイクリックに他の端子へ出力するものであり、本実施形態では、3個の第1ないし第3端子を備え、第1端子に入射された測定波を第2端子へ射出し、第2端子に入射された後述の測定波の反射波を第3端子へ射出する光学素子である。サーキュレータ8の第1端子は、上述したように、分岐部7の他方の出力端子に接続され、その第2端子は、導波管18に接続され、そして、その第3端子は、合波部9に接続される。
【0037】
導波管18は、測定波および測定波の反射波を導く伝播路を形成する部材であり、その一方端部にサーキュレータ8の第2端子が接続され、その他方端部に導波管アンテナ4が接続される。
【0038】
導波管アンテナ4は、導波管18を伝播して来た測定波をイオン注入半導体SMへ放射するとともに、イオン注入半導体SMと相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を受信して導波管18へ導くアンテナである。導波管アンテナ4は、イオン注入半導体ウェハSMの法線方向に沿って配設されており、一方端部が導波管18に接続され、他方端部に開口部4aを備えている。この開口部4aは、測定波をイオン注入半導体SMへ放射するとともに、イオン注入半導体SMと相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を受信するための開口である。そして、導波管アンテナ4の一方端部には、反射鏡3aから来た強度変調励起光を導波管アンテナ4内に案内するための開口部4bを備えている。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、導波管アンテナ4は、マイクロ波アンテナである。
【0039】
E−Hチューナ5は、サーキュレータ8と導波管アンテナ4との間における導波管18に介設され、イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波(測定波の反射波)を検出部10aでより良好に検出することができるように、測定波の磁界と電界とを調整するインピーダンス整合装置である。
【0040】
これら分岐部7、サーキュレータ8、導波管18、導波管アンテナ4およびE−Hチューナ5は、本実施形態では測定波がマイクロ波であることから、マイクロ波用の各装置であり、例えば、それぞれ、マイクロ波分岐導波管(マイクロ波導波管分配器)、マイクロ波用サーキュレータ、マイクロ波導波管、マイクロ波アンテナ、マイクロ波用E−Hチューナ等である。
【0041】
合波部(ミキサ)9は、検出部10aに接続され、分岐部7で分岐された測定波の分岐波と、イオン注入半導体ウェハSMで反射された測定波の反射波とを合波して検出波として射出する装置である。本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、合波部9は、マイクロ波合波導波管(マイクロ波導波管合波器)である。図2の上段に示すように、イオン注入半導体SMに照射される励起光が所定の周波数fで強度変調している場合には、合波部9により検出される測定波の反射波における強度も、図2の下段に示すように、前記励起光の強度変調に同期して、すなわち、同じ周波数fで変化する。なお、図2には、方形波状(矩形波状)に強度変調した励起光の例が示されているが、励起光の波形は、これに限定されるものではなく、例えば正弦波状等の他の波形形状であってもよい。
【0042】
検出部10aは、演算制御部14aに接続され、検出波の強度を検出する装置であって、検出波から前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅(変化幅)を検出する装置である。検出部10aは、本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、マイクロ波検出器を備えるとともに、検出波から前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅(変化幅)を検出するために、ロックインアンプをさらに備えている。このロックインアンプには、同期信号生成部11aで生成された前記同期信号が入力され、この同期信号を参照信号として、マイクロ波検出器によって検出された検出波の検出信号(電気信号)から、前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅がこのロックインアンプによって検出される。この検出結果は、検出部10aから演算制御部14aに入力される。なお、検出部10aは、必要に応じて検出結果の信号を増幅する増幅器を備えてもよい。
【0043】
このような測定波生成部6、分岐部7、サーキュレータ8、導波管18、E−Hチューナ5および導波管アンテナ4を備えることによって、イオン注入量測定装置Daは、測定波を、本実施形態ではマイクロ波をイオン注入半導体SMへ照射することができる。また、このような分岐部7を備えることによって、イオン注入量測定装置Daは、測定波をイオン注入半導体SMに照射する前に前記測定波の一部を分岐して分岐波として合波部9へ射出することができる。また、導波管アンテナ4、E−Hチューナ5、導波管18、サーキュレータ8、合波部9および検出部10aを備えることによって、イオン注入量測定装置Daは、イオン注入半導体SMで反射された測定波の反射波(イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波)を検出することができる。より具体的には、測定波生成部6で生成された測定波は、分岐部7に入射され、2つに分配されて分岐する。この一方の測定波は、分岐波として合波部9に入射される。そして、他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管18(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ4を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ4、導波管18(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部9に入射される。合波部9では、前記分岐波と前記反射波とが合波され、検出波として検出部10aへ射出される。そして、検出部10aでは、同期信号生成部11aから入力された同期信号を参照信号として、検出波から前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。この検出結果は、検出部10aから演算制御部14aに入力される。
【0044】
このように測定波生成部6、分岐部7、サーキュレータ8、導波管18、E−Hチューナ5および導波管アンテナ4は、前記測定波照射部の一例に相当する。そして、このように導波管アンテナ4、導波管18、E−Hチューナ5、サーキュレータ8、合波部9および検出部10aは、前記反射波検出部の一例に相当する。
【0045】
入力部12は、演算制御部14aに接続され、外部から当該イオン注入量測定装置Daにコマンド(命令)やデータ等を入力するための装置であり、出力部13は、演算制御部14aに接続され、入力部12から入力されたコマンドやデータおよび演算制御部14aの演算結果(例えばイオン注入量等)等を出力するための装置である。
【0046】
記憶部15aは、イオン注入量測定装置Daの各部を当該機能に応じて制御するための制御プログラムやイオン注入量を検出部10aの検出結果に基づいて求めるイオン注入量演算プログラム等の各種の所定のプログラム、および、前記所定のプログラムの実行に必要なデータ等の各種の所定のデータ等を記憶するものである。記憶部15aは、機能的に、特性情報記憶部151aを備えている。
【0047】
特性情報記憶部151aは、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性およびこの反射波の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を予め記憶するものである。前記反射波の変調周波数依存特性およびこの反射波の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係は、例えば、複数のサンプルを予め実測することによって予め求められ、特性情報記憶部151aに予め記憶される。
【0048】
演算制御部14aは、イオン注入量測定装置Daの各部を当該機能に応じて制御する回路であり、そして、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるイオン注入量を検出部10aの検出結果に基づいて求めるものである。演算制御部14aは、例えば、記憶部15aに記憶されている所定のプログラムを読み出して実行することによって所定の制御処理や所定の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)およびこの周辺回路を備えて構成される。演算制御部14aは、機能的に、測定波制御部141と、イオン注入量演算部142aと、変調周波数制御部143と、ステージ制御部144とを備えている。
【0049】
測定波制御部141は、測定波生成部6の駆動を制御するものである。イオン注入量演算部142aは、検出部10aの検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいて、特性情報記憶部151aに記憶されている前記反射波の変調周波数依存特性およびこの反射波の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を参照することで、イオン注入半導体SMのイオン注入量を求めるものである。変調周波数制御部143は、同期信号生成部11aで生成される同期信号の周波数を制御することによって、変調部2aで強度変調される励起光の変調周波数fを制御するものである。ステージ制御部144は、測定対象のイオン注入半導体SMにおける所定の測定箇所を測定するために、測定対象のイオン注入半導体SMが厚さ方向に直交する水平方向に移動するように、ステージ部17を駆動するステージ駆動部16の動作を制御するものである。
【0050】
ステージ駆動部16は、ステージ部17を駆動するものである。ステージ部17は、演算制御部14aによって制御されるステージ駆動部16によって駆動され、測定箇所を変更するために、水平方向に測定対象のイオン注入半導体SMを移動する装置である。ステージ部17は、例えば、XYステージ等を備えて構成される。イオン注入半導体SMは、ステージ部17上に直接的に載置されてもよく、また後述するように図1に破線で図示される導体部材21を介してステージ上に間接的に載置されてもよい。
【0051】
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、測定したいイオン注入半導体SMが測定対象の被測定試料としてステージ部17上に配置される。
【0052】
そして、演算制御部14aの制御に従って光源部1aは、連続光(CW光)の励起光を射出し、この射出された励起光は、変調部2aに入射される。演算制御部14aの変調周波数制御部143は、所定周波数の同期信号を同期信号生成部11aに生成させ、この生成された同期信号は、検出部10aおよび変調部2aに入力される。この同期信号によって変調部2aでは、光源部1aからの励起光が、同期信号に同期して変調周波数fで強度変調され、例えば図2の上段に示す変調周波数fの方形波状の励起光(強度変調励起光)となる。この強度変調された強度変調励起光は、反射鏡3aおよび導波管アンテナ4を介して前記光照射領域に向けて射出される。
【0053】
また、演算制御部14aにおける測定波制御部141の制御に従って測定波生成部6によって測定波が生成され、この生成された測定波は、分岐部7に入射され、分岐部7で分岐される。分岐された一方の測定波は、分岐波として合波部9へ入射される。一方、前記分岐された他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管18(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ4を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ4、導波管18(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部9に入射される。合波部9では、前記分岐波と前記反射波とが合波され、例えば図2の下段に示すような検出波が検出部10aへ射出される。検出部10aでは、検出波の強度が検出される。すなわち、同期信号生成部11aからの同期信号を参照信号として、検出波の検出信号から、前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。この検出結果は、検出部10aから演算制御部14aのイオン注入量演算部142aに入力される。
【0054】
これによって励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射している場合に測定波をこのイオン注入半導体SMに照射していれば、変調周波数fに対応する、励起光による検出波の強度が検出部10aで検出され、演算制御部14aに取り込まれる。通常では、測定波が測定対象のイオン注入半導体SMに照射され、測定波をイオン注入半導体SMに照射しながら変調周波数fで強度変調された励起光を照射することによって、検出波の強度変化が測定される。
【0055】
ここで、検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)、例えば図2の下段に示すピーク値△Iは、図3に示すように、イオン注入量の増大に従って単調に減少するプロファイルとなる。これは、イオン注入によって半導体表層に化学的な変化や構造的な変化が生じるが、これら変化(総称して「ダメージ」と称する)は、イオン注入量の増大に伴って増大し、その結果、表面再結合速度Sが大きくなるためである。この図3によって、イオン注入量は、検出波の信号強度に基づいて検出可能であることが理解される。なお、図3は、変調周波数f=10kHzの場合である。図3の横軸は、/cmで表される単位面積あたりのイオン注入量であり、その縦軸は、反射波の信号強度である。1EXは、1×10を意味する。
【0056】
そして、検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)は、図4に示すように、初めは変調周波数fが増大するように変化しても変化しない所定の一定値であるが、変調周波数fが或る所定値になると、変調周波数fの増大に従って単調に減少する。なお、図4では、検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)は、光励起キャリアのトータル数で表されている。つまり、或る関数Hとすると、(トータル光励起キャリア数)=H(反射波の強度)であり、検出波の信号強度が大きければ、光励起キャリアのトータル数は、多く、逆に、検出波の信号強度が小さければ、光励起キャリアのトータル数は、少ない。この図4に示すように、前記励起光の変調周波数fの変化に対する前記反射波の強度(図4ではトータル光励起キャリア数)の変化である前記反射波の変調周波数依存特性は、変調周波数fの所定値で屈曲するプロファイルとなる。この変調周波数fの増大に従って検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)が減少し始める変調周波数fの前記所定値は、ωτ=1(ω=2πf)に相当するものである。そして、図4に示すように、この前記反射波の変調周波数依存特性は、表面再結合速度Sに依存しており、表面再結合速度Sの増大に従って検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)は、小さくなる。なお、図4は、励起光として赤外線領域の光を用いた場合における結果を示し、細い実線は、表面再結合速度S=1の場合の結果であり、破線は、表面再結合速度S=10の場合の結果であり、一点鎖線は、表面再結合速度S=100の場合の結果であり、二点差線は、表面再結合速度S=1000の場合の結果であり、そして、太い実線は、表面再結合速度S=10000の場合の結果である。なお、図4の横軸は、Hzで表される変調周波数fであり、その縦軸は、光励起キャリアのトータル数である。
【0057】
したがって、特性情報記憶部151aに、図4に示す前記反射波の変調周波数依存特性および前記反射波の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を予め記憶させ、変調周波数制御部143によって複数の変調周波数fの励起光をイオン注入半導体SMに照射させ、その反射波から検出部10aによって複数の検出波の信号強度を求め、これら変調周波数fと検出波の信号強度との複数の組に対応する前記反射波の変調周波数依存特性を、特性情報記憶部151aに記憶されている前記反射波の変調周波数依存特性から検索し、この探索した前記反射波の変調周波数特性に対応するイオン注入量を、特性情報記憶部151aに記憶されている前記反射波の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係から検索して求めることによって、イオン注入量測定装置Daは、イオン注入量を求めることができる。
【0058】
なお、特性情報記憶部151aには、例えば、図4に示すような、予め求めた前記反射波の変調周波数依存特性の曲線(特性曲線)のうち、複数のサンプリング点について、変調周波数fと前記反射波の強度との組がそれぞれ求められ、これら求められた複数の組が前記反射波の変調周波数依存特性として記憶されてもよく、また例えば、前記特性曲線があるいは前記特性曲線を近似した近似式が前記反射波の変調周波数依存特性として記憶されてもよい。
【0059】
ここで、イオン注入量を求める場合において、イオン注入量演算部142aは、変調周波数fを走査することで互いに異なる複数の変調周波数fに対して検出部10aで検出された複数の反射波の強度に基づいて前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めてよい。このように変調周波数fを走査することによって変調周波数fと前記反射波の強度との組が多数求められるので、測定結果に最も適合する前記反射波の変調周波数依存特性がより適確に求められるから、より精度よくイオン注入量が求められる。
【0060】
あるいは、イオン注入量演算部142aは、互いに異なる複数の変調周波数f、例えば数個、より具体的には比較的少数の2個または3個等の変調周波数fに対して検出部10aで検出された複数(この例では2個または3個等)の反射波の強度に基づいて前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めてもよい。前記反射波の変調周波数依存特性は、図4に示すように、ωτ=1に相当する変調周波数fで屈曲する比較的単純なプロファイルである。このため、変調周波数fを上述のように走査しなくても比較的少ない複数の変調周波数fに対する反射波の強度を測定することによって、前記反射波の変調周波数依存特性を特定することが可能である。したがって、このような構成では、比較的少数、例えば、2、3個等の変調周波数fに対する反射波の強度を測定することによって前記反射波の変調周波数依存特性を特定することができ、この特定した前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めることができる。このため、このような構成のイオン注入量測定装置Daは、より短い測定時間でイオン注入量を測定することができる。
【0061】
なお、この場合において、前記反射波の変調周波数依存特性は、上述のようにωτ=1(ω=2πf)に相当する変調周波数fで屈曲するプロファイルであることから、この屈曲点の前後に前記2個の変調周波数fが設定されてもよい。あるいは、ωτ=1(ω=2πf)に相当する変調周波数fより大きい値で前記2個の変調周波数fが設定されてもよい。
【0062】
以上より、本実施形態のイオン注入量測定装置Daは、前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるので、イオン注入された表層よりも深層の影響を低減し、イオン注入量をより精度よく測定することができる。
【0063】
次に、別の実施形態について説明する。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態におけるイオン注入量測定装置Dbは、例えば、図5に示すように、光源部1aと、変調部2bと、ミラ3aと、導波管アンテナ4と、E−Hチューナ5と、測定波生成部6と、分岐部7と、サーキュレータ8と、合波部(ミキサ)9と、検出部10bと、同期信号生成部11bと、入力部12と、出力部13と、演算制御部14aと、記憶部15aと、ステージ駆動部16と、ステージ部17と、導波管18とを備えて構成される。
【0065】
第1実施形態のイオン注入量測定装置Daは、変調周波数fと前記反射波の強度との組を複数測定するために、測定ごとに変調周波数fを変えて前記反射波の強度を測定したが、第2実施形態のイオン注入量測定装置Dbは、互いに異なる複数の変調周波数fnで変調されている複数の光成分を含む励起光を照射し、前記互いに異なる複数の変調周波数fnで変調されている複数の光成分のそれぞれに対応する複数の反射波の強度を検出することによって、1回の測定で変調周波数fと前記反射波の強度との組を複数測定するものである。例えば、変調周波数fと前記反射波の強度との組をk個測定する場合には、第1実施形態のイオン注入量測定装置Daでは、測定ごとに変調周波数fnを、変調周波数f1、変調周波数f2、・・・、変調周波数fkのように変えた各励起光で、前記反射波の強度をそれぞれ測定することになるが、第2イオン注入量測定装置Dbでは、フーリエ変換した場合にk個の変調周波数成分fn(n=1、2、・・・、k)を含む変調周波数fで変調した1個の励起光で、前記反射波の強度をそれぞれ測定することになる。なお、kは、2以上の整数である。
【0066】
このため、第2実施形態のイオン注入量測定装置Dbでは、このような変調を行う変調部1b、このような同期信号を生成する同期信号生成部11bおよびこのような反射波の強度を検出する検出部10bが第1実施形態のイオン注入量測定装置Daと異なり、他の構成は、同様である。このため、第2実施形態のイオン注入量測定装置Dbにおける光源部1a、ミラ3a、導波管アンテナ4、E−Hチューナ5、測定波生成部6、分岐部7、サーキュレータ8、合波部(ミキサ)、入力部12、出力部13、演算制御部14a、記憶部15a、ステージ駆動部16、ステージ部17および導波管18は、第1実施形態のイオン注入量測定装置Daとそれぞれ対応する構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
同期信号生成部11bは、演算制御部14aの制御に従って、互いに異なる複数の変調周波数fnに対応する互いに異なる複数の周波数成分fn(n=1、2、・・・、k)を含む同期信号を生成するための装置である。同期信号生成部11nは、演算制御部14aの制御に従って生成したこの同期信号を変調部2bおよび検出部10bへそれぞれ出力する。
【0068】
変調部2bは、変調部2aと同様に光変調器等を備えて構成され、同期信号生成部11bを介して演算制御部14aの制御に従って、光源部1aから入射された励起光の強度を変調するための装置である。
【0069】
そして、検出部10bは、第1実施形態の検出部10aと同様に、演算制御部14aに接続され、検出波の強度を検出する装置であって、検出波から前記複数の周波数成分fnに同期した各信号成分の振幅(変化幅)をそれぞれ検出する装置である。検出部10bは、本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、マイクロ波検出器を備えるとともに、検出波から前記励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅(変化幅)を検出するために、ロックインアンプをさらに備えている。このロックインアンプには、同期信号生成部11bで生成された同期信号が入力され、この同期信号を参照信号として、マイクロ波検出器によって検出された検出波の検出信号(電気信号)から、前記励起光に含まれる複数の光成分の各強度変調にそれぞれ同期した各信号成分の振幅がこのロックインアンプによってそれぞれ検出される。これら各検出結果は、検出部10bから演算制御部14aに入力される。なお、検出部10bは、必要に応じて各検出結果の信号をそれぞれ増幅する増幅器を備えてもよい。
【0070】
このような構成の第2実施形態のイオン注入量測定装置Dbでは、1回の測定で、互いに異なる複数の変調周波数fnで変調されている複数の光成分を含む励起光がイオン注入半導体SMへ照射され、前記互いに異なる複数の変調周波数fnで変調されている複数の光成分のそれぞれに対応する複数の反射波の強度が検出部10bで検出され、これら各検出結果が検出部10bから演算制御部14aのイオン注入量演算部142aへ入力される。上記例では、1回の測定で、k個の変調周波数fn(n=1,2、・・・、k)でそれぞれ変調されている光成分を含む励起光がイオン注入半導体SMへ照射され、k個の変調周波数fn(n=1,2、・・・、k)でそれぞれ変調されている光成分のそれぞれに対応する反射波の各強度が検出部10bでそれぞれ検出され、これら各検出結果が検出部10bから演算制御部14aのイオン注入量演算部142aへ入力される。そして、イオン注入量演算部142aでは、k個の変調周波数fn(n=1,2、・・・、k)に対して検出部10bで検出された反射波のk個の強度に基づいて前記反射波の変調周波数依存特性が求められ、この求められた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量が求められる。
【0071】
このように第2実施形態のイオン注入量測定装置Dbでは、一度の照射で実質的に、互いに異なる複数の変調周波数fnに対して検出部10bで検出された複数の反射波の強度が得られるから、より短い測定時間でイオン注入量を測定することができる。
【0072】
次に、別の実施形態について説明する。
【0073】
(第3実施形態)
まず、本実施形態の構成について説明する。第3実施形態におけるイオン注入量測定装置Dcは、例えば、図6に示すように、光源部1cと、変調部2cと、ミラ3cと、導波管アンテナ4と、E−Hチューナ5と、測定波生成部6と、分岐部7と、サーキュレータ8と、合波部9と、検出部10cと、同期信号生成部11cと、入力部12と、出力部13と、演算制御部14bと、記憶部15cと、ステージ駆動部16と、ステージ部17と、導波管18とを備えて構成される。
【0074】
第1実施形態のイオン注入量測定装置Daは、1個の周波数(波長)の励起光をイオン注入半導体SMに照射することによってイオン注入半導体SMのイオン注入量を測定したが、第3実施形態のイオン注入量測定装置Dcは、測定対象のイオン注入半導体SMに対する浸透長が互いに異なる2個の第1および第2励起光をイオン注入半導体SMへ照射し、前記第1励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第1強度と前記第2励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第2強度との比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるものである。
【0075】
このため、例えば互いに浸透長の異なる第1および第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMへ照射するために、この第3実施形態のイオン注入量測定装置Dcでは、前記光源部1cは、例えば第1光源部1c−1および第2光源部1c−2を備え、前記変調部2cは、例えば第1変調部2c−1および第2変調部2c−2を備え、そして、ミラ3bは、ダイクロイックミラ3c−2と、反射鏡3c−1、3c−3とを備えている。ここでは、第1実施形態と異なる構成について以下に説明し、同様の構成については、その説明を省略する。
【0076】
第1および第2光源部1c−1、1c−2は、第1実施形態の光源部1aと同様に、演算制御部14cの制御に従って、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有する励起光を放射するための装置である。そして、第3実施形態では、第1および第2光源部1c−1、1c−2は、それぞれ、互いに浸透長が異なる励起光を放射する。浸透長とは、光が照射される表面から、その光の光強度が入射強度の1/eとなる地点までの距離(深さ)であり、通常、光の波長が長いほど浸透長も長くなる(大きくなる、深くなる)。半導体に光を照射した場合に、この光(入射光)は、前記半導体内へ浸透するが、その浸透長は、入射光の波長に依存する。このため、より具体的には、第1および第2光源部1c−1、1c−2は、それぞれ、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有し、互いに異なる波長(周波数)の光を放射する。例えば、第1光源部1c−1は、紫外線領域における所定波長のレーザ光を放射する紫外線レーザ装置であり、第2光源部1c−2は、可視光領域における所定波長のレーザ光を放射する可視光レーザ装置である。あるいは、第1光源部1c−1は、赤外線領域における所定波長のレーザ光を放射する赤外線レーザ装置であり、第2光源部1c−2は、可視光領域における所定波長のレーザ光を放射する可視光レーザ装置である。あるいは、第1光源部1c−1は、紫外線領域における所定波長のレーザ光を放射する紫外線レーザ装置であり、第2光源部1c−2は、赤外線領域における所定波長のレーザ光を放射する赤外線レーザ光装置等である。本実施形態では、第1光源部1c−1は、紫外線レーザ装置であり、第2光源部1c−2は、赤外線レーザ光装置等である。第1光源部1c−1から射出された第1励起光は、第1変調部2c−1に入射され、第2光源部1c−2から射出された第2励起光は、第2変調部2c−2に入射される。
【0077】
第1および第2変調部2c−1、2c−2は、第1実施形態の変調部2aと同様であり、同期信号生成部11cを介して演算制御部14cの制御に従って、光源部1cから入射された各励起光の強度を周期的にそれぞれ変調するための装置である。より具体的には、第1変調部2c−1は、第1光源部1c−1からの第1励起光を変調周波数fでその強度を変調し、第2変調部2c−2は、第2光源部1c−2からの第2励起光を変調周波数fでその強度を変調する。第1変調部2c−1から射出された強度変調された第1励起光は、反射鏡3c−1およびダイクロイックミラ3c−2を介して反射鏡3c−3へ入射され、第2変調部2c−2から射出された強度変調された第2励起光は、ダイクロイックミラ3c−1を介して反射鏡3c−2へ入射される。
【0078】
同期信号生成部11cは、第1実施形態の同期信号生成部11aと同様であり、演算制御部14cの制御に従って、所定の周波数の同期信号を生成するための装置である。そして、本実施形態では、第1および第2変調部2c−1、2c−2で第1および第2励起光をそれぞれ強度変調するべく、同期信号生成部11cは、前記生成した同期信号を第1および第2変調部2c−1、2c−2のそれぞれへ出力する。
【0079】
ミラ3cの反射鏡3c−1は、第1変調部2c−1から射出された強度変調が施された励起光(第1強度変調励起光)を反射することによって、前記第1強度変調励起光をダイクロイックミラ3c−2へ向けてその光路を約90度曲げる光学素子である。ミラ3cのダイクロイックミラ3c−2は、特定波長の光を反射するとともに、その特定波長を除く他の波長の光を透過する光学素子であり、前記特定波長は、本実施形態では、第1光源部1c−1によって放射される第1励起光の波長に設定される。このため、ダイクロイックミラ3c−1は、反射鏡3c−1からの第1強度変調励起光を反射することによって、前記第1強度変調励起光を反射鏡3c−3へ向けてその光路を約90度曲げるとともに、第2変調部2c−2から射出された強度変調が施された励起光(第2強度変調励起光)をそのまま透過させて反射鏡3c−3へ進行させる。ミラ3cの反射鏡3c−3は、ダイクロイックミラ3c−2で反射された第1強度変調励起光およびダイクロイックミラ3c−2を透過した第2強度変調励起光を反射することによって、前記第1および第2強度変調励起光をイオン注入半導体SMへ向けてその光路を約90度曲げる光学素子である。
【0080】
このような光源部1c、変調部2c、ミラ3c、同期信号生成部11cおよび演算制御部14cを備えることによって、イオン注入量測定装置Dcは、測定対象のイオン注入半導体SMにおけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、前記イオン注入半導体SMに対する互いに浸透長の異なる第1および第2励起光をイオン注入半導体SMへ照射することができる。より具体的には、第1光源部1c−1から放射された所定波長の第1励起光(本実施形態では紫外光)は、第1変調部2c−1に入射され、同期信号生成部11cから第1変調部2c−1に入力された同期信号に同期した変調周波数fで強度変調され、この強度変調が施された変調周波数fのパルス状の第1強度変調励起光は、反射鏡3c−1、ダイクロイックミラ3c−2、反射鏡3c−3および導波管アンテナ4を介して、イオン注入半導体SMへ照射される。一方、第2光源部1c−2から放射された所定波長の第2励起光(本実施形態では赤外光)は、第2変調部2c−2に入射され、同期信号生成部11cから第2変調部2c−2に入力された同期信号に同期した変調周波数fで強度変調され、この強度変調が施された変調周波数fのパルス状の第2強度変調励起光は、ダイクロイックミラ3c−2、反射鏡3c−3および導波管アンテナ4を介して、イオン注入半導体SMへ照射される。
【0081】
このように光源部1c、変調部2c、ミラ3c、同期信号生成部11cおよび演算制御部14cは、測定対象のイオン注入半導体SMに対する浸透長が互いに異なる2個の第1および第2励起光を照射する励起光照射部の一例に相当する。
【0082】
検出部10cは、第1実施形態の検出部10aと同様であり、演算制御部14cに接続され、検出波の強度を検出する装置であって、検出波から前記第1および第2励起光の強度変調に同期した各信号成分の振幅(変化幅)をそれぞれ検出する装置である。検出部10cは、本実施形態では、測定波がマイクロ波であることから、マイクロ波検出器を備えるとともに、検出波から前記第1および第2励起光の強度変調に同期した各信号成分の振幅(変化幅)を検出するために、ロックインアンプをさらに備えている。このロックインアンプには、同期信号生成部11cで生成された同期信号が入力され、この同期信号を参照信号として、マイクロ波検出器によって検出された検出波の検出信号(電気信号)から、前記第1励起光の強度変調にそれぞれ同期した信号成分の振幅がこのロックインアンプによって検出され、また、前記第2励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅がこのロックインアンプによって検出される。検出結果は、検出部10cから演算制御部14cに入力される。なお、検出部10cは、必要に応じて検出結果の信号をそれぞれ増幅する増幅器を備えてもよい。
【0083】
このような導波管アンテナ4、E−Hチューナ5、導波管18、サーキュレータ8、合波部9および検出部10cを備えることによって、イオン注入量測定装置Dcは、前記第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合において、イオン注入半導体SMで反射された測定波の反射波(イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波)を検出することができ、前記第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合において、イオン注入半導体SMで反射された測定波の反射波(イオン注入半導体SMで相互作用を受けた測定波)を検出することができる。より具体的には、測定波生成部6で生成された測定波は、分岐部7に入射され、2つに分配されて分岐する。この一方の測定波は、分岐波として合波部9に入射される。そして、他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管18(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ4を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ4、導波管18(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部9に入射される。合波部9では、前記分岐波と前記反射波とが合波され、検出波として検出部10cへ射出される。そして、検出部10cでは、前記第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合では、同期信号生成部11cから入力された同期信号を参照信号として、検出波から前記第1励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出され、また、前記第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合では、同期信号生成部11cから入力された同期信号を参照信号として、検出波から前記第2励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。より具体的には、上述の例では、検出部10cでは、同期信号生成部11cから入力された同期信号を参照信号として、検出波から前記第1強度変調励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出されるとともに、同期信号生成部11cから入力された同期信号を参照信号として、検出波から前記第2強度変調励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。これら各検出結果は、検出部10cから演算制御部14cに入力される。
【0084】
そして、記憶部15cは、機能的に、特性情報記憶部151cを備える点を除き、第1実施形態の記憶部15aと同様である。特性情報記憶部151cは、前記第1励起光を前記測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における前記検出部cで検出した反射波の第1強度と前記第2励起光を前記測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における前記検出部cで検出した反射波の第2強度との比であって、前記第1および第2励起光の変調周波数fの変化に対する前記比の変化である前記比の変調周波数依存特性およびこの比の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を予め記憶するものである。前記比の変調周波数依存特性およびこの比変調周波数依存特性とイオン注入量との関係は、例えば、複数のサンプルを予め実測することによって予め求められ、特性情報記憶部151cに予め記憶される。
【0085】
演算制御部14cは、イオン注入量演算部142aに代えてイオン注入量演算部142cを備える点を除き、第1実施形態の演算制御部14aと同様である。イオン注入量演算部142cは、前記第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第1強度と前記第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第2強度との比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量第1実施形態のイオン注入量演算部142aと同様に、検出部10cの検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいて、特性情報記憶部151cに記憶されている前記比の変調周波数依存特性およびこの比の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を参照することで、イオン注入半導体SMのイオン注入量を求めるものである。
【0086】
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、測定したいイオン注入半導体SMが測定対象の被測定試料としてステージ部17上に配置される。
【0087】
前記第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における反射波の第1強度を測定する場合には、次のように動作する。すなわち、演算制御部14cの制御に従って第1光源部1c−1は、連続光(CW光)の第1励起光を射出し、この射出された第1励起光は、第1変調部2c−1に入射される。演算制御部14cの変調周波数制御部143は、所定周波数の同期信号を同期信号生成部11cに生成させ、この生成された同期信号は、検出部10cおよび第1変調部2c−1に入力される。この同期信号によって第1変調部2c−1では、第1光源部1c−1からの第1励起光が、同期信号に同期して変調周波数fで強度変調され、例えば図2の上段に示す変調周波数fの方形波状の励起光(第1強度変調励起光)となる。この強度変調された第1強度変調励起光は、反射鏡3c−1、ダイクロイックミラ3c−2、反射鏡3c−3および導波管アンテナ4を介して、前記光照射領域に向けて射出される。また、演算制御部14cにおける測定波制御部141の制御に従って測定波生成部6によって測定波が生成され、この生成された測定波は、分岐部7に入射され、分岐部7で分岐される。分岐された一方の測定波は、分岐波として合波部9へ入射される。一方、前記分岐された他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管18(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ4を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ4、導波管18(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部9に入射される。合波部9では、前記分岐波と前記反射波とが合波され、例えば図2の下段に示すような検出波が検出部10cへ射出される。検出部10cでは、検出波の強度が検出される。すなわち、同期信号生成部11cからの同期信号を参照信号として、検出波の検出信号から、前記第1励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。この検出結果は、検出部10cから演算制御部14cのイオン注入量演算部142cに入力される。これによって第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射している場合に測定波をこのイオン注入半導体SMに照射していれば、変調周波数fに対応する、第1励起光による検出波の強度が検出部10cで検出され、演算制御部14cに取り込まれる。通常では、測定波が測定対象のイオン注入半導体SMに照射され、測定波をイオン注入半導体SMに照射しながら変調周波数fで強度変調された第1強度変調励起光を照射することによって、検出波の強度変化が測定される。
【0088】
また、前記第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射した場合における反射波の第2強度を測定する場合には、次のように動作する。すなわち、演算制御部14cの制御に従って第2光源部1c−2は、連続光(CW光)の第2励起光を射出し、この射出された第2励起光は、第2変調部2c−2に入射される。演算制御部14cの変調周波数制御部143は、所定周波数の同期信号を同期信号生成部11cに生成させ、この生成された同期信号は、検出部10cおよび第2変調部2c−2に入力される。この同期信号によって第2変調部2c−2では、第2光源部1c−2からの第2励起光が、同期信号に同期して変調周波数fで強度変調され、例えば図2の上段に示す変調周波数fの方形波状の励起光(第2強度変調励起光)となる。この強度変調された第2強度変調励起光は、ダイクロイックミラ3c−2、反射鏡3c−3および導波管アンテナ4を介して、前記光照射領域に向けて射出される。また、演算制御部14cにおける測定波制御部141の制御に従って測定波生成部6によって測定波が生成され、この生成された測定波は、分岐部7に入射され、分岐部7で分岐される。分岐された一方の測定波は、分岐波として合波部9へ入射される。一方、前記分岐された他方の測定波は、サーキュレータ8、導波管18(E−Hチューナ5を含む)および導波管アンテナ4を介して、測定対象のイオン注入半導体SMにおける測定波照射領域(光照射領域)に照射される。イオン注入半導体SMで反射した測定波(反射波)は、導波管アンテナ4、導波管18(E−Hチューナ5を含む)およびサーキュレータ8を介して合波部9に入射される。合波部9では、前記分岐波と前記反射波とが合波され、例えば図2の下段に示すような検出波が検出部10cへ射出される。検出部10cでは、検出波の強度が検出される。すなわち、同期信号生成部11cからの同期信号を参照信号として、検出波の検出信号から、前記第1励起光の強度変調に同期した信号成分の振幅が検出される。この検出結果は、検出部10cから演算制御部14cのイオン注入量演算部142cに入力される。これによって第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射している場合に測定波をこのイオン注入半導体SMに照射していれば、変調周波数fに対応する、第2励起光による検出波の強度が検出部10cで検出され、演算制御部14cに取り込まれる。通常では、測定波が測定対象のイオン注入半導体SMに照射され、測定波をイオン注入半導体SMに照射しながら変調周波数fで強度変調された第2強度変調励起光を照射することによって、検出波の強度変化が測定される。
【0089】
そして、検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)、例えば図2の下段に示すピーク値△Iは、図7に示すように、励起光が紫外光(例えば波長375nm)である場合も励起光が赤外光(例えば波長903nm)である場合もともに、初めは変調周波数fが増大するように変化しても変化しない所定の一定値であるが、変調周波数fが或る所定値になると、変調周波数fの増大に従って単調に減少する。なお、図7は、図4と同様に、検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)は、光励起キャリアのトータル数で表されている。この図7に示すように、第1励起光および第2励起光ともに、前記励起光の変調周波数fの変化に対する前記反射波の強度(図7ではトータル光励起キャリア数)の変化である前記反射波の変調周波数依存特性は、変調周波数fの所定値で屈曲するプロファイルとなる。この変調周波数fの増大に従って検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)が減少し始める変調周波数fの前記所定値は、ωτ=1(ω=2πf)に相当するものである。そして、図7に示すように、第1励起光および第2励起光ともに、この前記反射波の変調周波数依存特性は、表面再結合速度Sに依存しており、表面再結合速度Sの増大に従って検出波の信号強度(すなわち反射波の強度)は、小さくなる。なお、図7において、細い実線は、表面再結合速度S=1の場合の結果であり、破線は、表面再結合速度S=10の場合の結果であり、一点鎖線は、表面再結合速度S=100の場合の結果であり、二点差線は、表面再結合速度S=1000の場合の結果であり、そして、太い実線は、表面再結合速度S=10000の場合の結果である。なお、図7(A)は、励起光が紫外光(UV光)である場合を示し、図7(B)は、励起光が赤外光(IR光)である場合を示す。図7の横軸は、Hzで表される変調周波数fであり、その縦軸は、光励起キャリアのトータル数である。
【0090】
そして、浸透長は、紫外光の方が赤外光よりも短い。例えば、上記波長375nmの紫外光の浸透長は、約10nmであり、波長903nmの赤外光の浸透長は、約50μmである。このため、励起光として紫外光をイオン注入半導体SMに照射した場合に得られる反射波は、表層のイオン注入量により敏感であると考えられ、比較的表層の情報を主に含むものである。また、励起光として赤外光をイオン注入半導体SMに照射した場合に得られる反射波は、比較的深層の情報を主に含むものである。そこで、本実施形態のイオン注入量測定装置Dcは、同一の変調周波数fにおいて、前記第1励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第1強度と前記第2励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第2強度との比について、前記励起光の変調周波数fの変化に対する前記比の変化である比の変調周波数依存特性を求め、この求められた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めている。例えば、図8には、赤外光の励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第2強度に対する紫外光の励起光をイオン注入半導体SMに照射した場合における検出部10cで検出した反射波の第1強度の比(=(UV光での第1強度)/(IR光での第2強度))について、それらの変調周波数fの変化に対する前記比の変化である比の変調周波数依存特性が示されている。なお、図8は、図7に示す測定結果から得られた前記比の変調周波数依存特性である。前記比の変調周波数依存特性は、表面再結合速度Sに依存していることが図8から理解される。なお、図8において、細い実線は、表面再結合速度S=1の場合の結果であり、破線は、表面再結合速度S=10の場合の結果であり、一点鎖線は、表面再結合速度S=100の場合の結果であり、二点差線は、表面再結合速度S=1000の場合の結果であり、そして、太い実線は、表面再結合速度S=10000の場合の結果である。なお、図8の横軸は、Hzで表される変調周波数fであり、それらの縦軸は、各光励起キャリア間でのトータル数の比である。後述の図9も同様である。
【0091】
したがって、特性情報記憶部151cに、図8に示す前記比の変調周波数依存特性および前記比の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係を予め記憶させ、変調周波数制御部143によって複数の変調周波数fの第1励起光をイオン注入半導体SMに照射させ、その反射波から検出部10cによって複数の検出波の第1信号強度を求めるとともに、変調周波数制御部143によって複数の変調周波数fの第2励起光をイオン注入半導体SMに照射させ、その反射波から検出部10cによって複数の検出波の第2信号強度を求め、これら変調周波数fと検出波の第1および第2信号強度との複数の組に対応する前記比の変調周波数依存特性を、特性情報記憶部151cに記憶されている前記比の変調周波数依存特性から検索し、この探索した前記比の変調周波数特性に対応するイオン注入量を、特性情報記憶部151cに記憶されている前記比の変調周波数依存特性とイオン注入量との関係から検索して求めることによって、イオン注入量測定装置Dcは、イオン注入量を求めることができる。
【0092】
なお、特性情報記憶部151cには、例えば、図8に示すような、予め求めた前記比の変調周波数依存特性の曲線(特性曲線)のうち、複数のサンプリング点について、変調周波数fと前記比との組がそれぞれ求められ、これら求められた複数の組が前記比の変調周波数依存特性として記憶されてもよく、また例えば、前記特性曲線があるいは前記特性曲線を近似した近似式が前記比の変調周波数依存特性として記憶されてもよい。
【0093】
また、イオン注入量を求める場合において、イオン注入量演算部142cは、変調周波数fを走査することで互いに異なる複数の変調周波数fに対して検出部10cで検出された複数の反射波の第1および第2強度に基づいて前記比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めてよい。このように変調周波数fを走査することによって変調周波数fと前記反射波の第1および第2強度との組が多数求められるので、測定結果に最も適合する前記比の変調周波数依存特性がより適確に求められるから、より精度よくイオン注入量が求められる。
【0094】
あるいは、イオン注入量演算部142cは、互いに異なる複数の変調周波数f、例えば数個、より具体的には比較的少数の2個または3個等の変調周波数fに対して検出部10cで検出された複数(この例では2個または3個等)の反射波の第1および第2強度に基づいて前記比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めてもよい。このような構成では、比較的少数、例えば、2、3個等の変調周波数fに対する反射波の第1および第2強度を測定することによって前記比の変調周波数依存特性を特定することができ、この特定した前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めることができる。このため、このような構成のイオン注入量測定装置Dcは、より短い測定時間でイオン注入量を測定することができる。
【0095】
ここで、前記比の変調周波数依存特性は、図9に示すように、光励起キャリアの寿命τにも依存するが、変調周波数fが例えば約10000Hz以上の高周波では光励起キャリアの寿命τに依存しないので、変調周波数fは、このような前記比の変調周波数依存特性が光励起キャリアの寿命τに依存しないような高周波数に設定されてもよい。
【0096】
以上より、本実施形態のイオン注入量測定装置Dcでは、相対的に短い浸透長の第1励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射することによって、比較的表層の情報を主に含む反射波の検出結果が得られるとともに、相対的に長い浸透長の第2励起光を測定対象のイオン注入半導体SMに照射することによって、比較的深層の情報を主に含む反射波の検出結果が得られる。このため、両者の比の変調周波数依存特性を求めることによって、表層の情報と深層の情報とを弁別することができ、本実施形態のイオン注入量測定装置Dcは、より精度よくイオン注入量を測定することができる。
【0097】
また、上述の第1ないし第3実施形態において、信号強度を大きくするために、図1、図5および図6に破線で示すように、イオン注入量測定装置D(Da、Db、Dc)は、測定対象のイオン注入半導体SMとステージ部17との間に配置される導体部材21をさらに備えてもよい。導体部材21は、例えばアルミニウム、ステンレスおよび鉄等の金属またはその他の導体で形成される板状部材である。このようにイオン注入半導体SMにおける測定波が照射される側とは反対側に配置される導体部材21をさらに備えることによって、イオン注入半導体SMにおける前記反対側の面(イオン注入半導体SMにおける測定波が照射される面を表面とすればその裏面)では電場がゼロとなるような定在波が形成される。そして、イオン注入半導体SMにおける測定したい測定箇所の表面と、導体部材21の表面との間には、前記測定箇所に前記定在波のいわゆる節を一致させない距離だけ空けられる。このため、このような構成のイオン注入量測定装置Dは、測定波が照射される側の面(表面)近傍で反射する測定波の反射波の強度を、イオン注入半導体SMの前記反対側の面(裏面)近傍で反射する測定波の反射波の強度よりも大きくすることができ、測定感度をより向上させることができる。そして、より好ましくは、イオン注入半導体SMにおける測定箇所の表面と、導体部材21の表面との距離は、その間の媒質における測定波の波長の略1/4の距離またはその距離に前記測定波の波長の整数倍を加えた距離である。このように構成することによって、前記測定箇所に前記定在波のいわゆる腹を略一致させることができ、このような構成のイオン注入量測定装置Dは、測定感度をさらにより向上させることができる。
【0098】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0099】
D、Da、Db、Dc イオン注入量測定装置
1a、1c 光源部
2a、2b、2c 変調部
4 導波管アンテナ
6 測定波生成部
7 分岐部
9 合波部
10a、10b、10c 検出部
11a、11b、11c 同期信号生成部
14a、14c 演算制御部
15a、15c 記憶部
142a、142c イオン注入量演算部
151a、151c 特性情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射する励起光照射部と、
前記測定対象のイオン注入半導体に所定の測定波を照射する測定波照射部と、
前記測定対象のイオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波を検出する反射波検出部と、
前記反射波検出部の検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるイオン注入量演算部とを備えること
を特徴とするイオン注入量測定装置。
【請求項2】
前記イオン注入量演算部は、互いに異なる複数の変調周波数に対して前記測定波検出部で検出された複数の反射波の強度に基づいて前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めること
を特徴とする請求項1に記載のイオン注入量測定装置。
【請求項3】
前記励起光照射部は、互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分を含む励起光を照射し、
前記反射波検出部は、前記互いに異なる複数の変調周波数で変調されている複数の光成分のそれぞれに対応する複数の反射波の強度を検出すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン注入量測定装置。
【請求項4】
前記励起光照射部は、前記測定対象のイオン注入半導体に対する浸透長が互いに異なる2個の第1および第2励起光を照射し、
前記イオン注入量演算部は、前記第1励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射した場合における前記反射波検出部で検出した反射波の第1強度と前記第2励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射した場合における前記反射波検出部で検出した反射波の第2強度との比の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記比の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めること
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のイオン注入量測定装置。
【請求項5】
イオン注入された半導体である測定対象のイオン注入半導体におけるバンドギャップ以上のエネルギーを有するとともに、強度を周期的に変調した励起光を前記測定対象のイオン注入半導体に照射する励起光照射工程と、
前記測定対象のイオン注入半導体に所定の測定波を照射する測定波照射工程と、
前記測定対象のイオン注入半導体で反射された前記測定波の反射波を検出する反射波検出工程と、
前記反射波検出工程の検出結果に基づいて、前記励起光の変調周波数の変化に対する前記反射波の強度の変化である前記反射波の変調周波数依存特性を求め、この求めた前記反射波の変調周波数依存特性に基づいてイオン注入量を求めるイオン注入量演算工程とを備えること
を特徴とするイオン注入量測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26443(P2013−26443A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159944(P2011−159944)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(000130259)株式会社コベルコ科研 (174)
【Fターム(参考)】