説明

イムノフィリンおよびカルシウムチャネル活性を調整するためのイムノフィリンリガンドおよび方法

カルシウムチャネル活性のモジュレーターとしてのイムノフィリンリガンドおよびその使用を開示する。カルシウムチャネル機能障害に関連する状態(例えば、神経変性障害および心血管障害)のスクリーニング方法、治療方法、および予防方法も開示する。1つの実施形態では、ラパマイシンのmTOR結合領域を改変したイムノフィリンリガンドは、FKBP52および電位開口型L型カルシウムチャネル、特に、L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットの活性を減少させることが示されている。かかる活性の減少は、神経突起伸長およびニューロンの生存の同時増加に関連することが示されている。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノフィリンリガンドと、(i)イムノフィリンもしくはその機能的フラグメントおよび/または(ii)カルシウムチャネルサブユニットもしくはその機能的フラグメントの一方あるいは両方とを含む精製複合体。
【請求項2】
前記イムノフィリンリガンドが、ラパマイシン骨格の1位および4位にヘテロ原子置換基を有するラパマイシンアナログである、請求項1に記載の精製複合体。
【請求項3】
前記イムノフィリンリガンドが、式I:
【化12】

(式中、
およびRは異なる独立した基であり、ORおよびN(R3’)(R3’’)からなる群より選択されるか、
およびRは異なり、単結合を介して連結し、OおよびNRからなる群より選択され、
、R3’、およびR3’’は、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、置換C〜Cシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、
およびR4’は、
(a)H、OH、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、およびハロゲンからなる群より独立して選択されるか、または、
(b)共にOと二重結合を形成し、
、R、およびRは、H、OH、およびOCHからなる群より独立して選択され、
およびRは、(i)単結合を介して連結し、且つCHであるか、(ii)二重結合を介して連結し、且つCHであり、
15は、C=O、CHOH、およびCHからなる群より選択され、nは1または2である)を有するラパマイシンアナログまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の精製複合体。
【請求項4】
前記ラパマイシンアナログのRがOであり、RがNRである、請求項3に記載の精製複合体。
【請求項5】
前記ラパマイシンアナログのRがORであり、RがN(R3’)(NR3’’)である、請求項3に記載の精製複合体。
【請求項6】
前記ラパマイシンアナログのR、R3’、またはR3’’が、アリールまたは置換アリールである、請求項3に記載の精製複合体。
【請求項7】
前記ラパマイシンアナログのアリールまたは置換アリールが、構造:
【化13】

(式中、
10、R11、R12、R13、およびR14は、H、C〜Cアルキル、置換C〜Cアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、アシル、OH、O(アルキル)、O(置換アルキル)、O(アリール)、O(置換アリール)、O(アシル)、NH、NH(アルキル)、NH(置換アルキル)、NH(アリール)、NH(置換アリール)、およびNH(アシル)からなる群より独立して選択される)である、請求項6に記載の精製複合体。
【請求項8】
前記イムノフィリンリガンドが、
【化14】

からなる群より選択されるラパマイシンアナログである、請求項1に記載の精製複合体。
【請求項9】
前記イムノフィリンが、図12A〜12Dに示すアミノ酸配列(配列番号11〜14)と少なくとも95%同一であるか、または同一である配列を有するFKBP52またはその機能的フラグメントである、請求項1に記載の精製複合体。
【請求項10】
前記カルシウムチャネルサブユニットが、図11A〜11Jに示すアミノ酸配列(配列番号1〜10)と少なくとも95%同一であるか、または同一である配列を有する電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントである、請求項1に記載の精製複合体。
【請求項11】
図12A〜12Dに示すアミノ酸配列(配列番号11〜14)を有するFKBP52をコードするヌクレオチド配列を含む第1の組換え核酸および/または図11A〜11Jに示すアミノ酸配列(配列番号1〜10)を有する電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含む第2の組換え核酸を含む組換え宿主細胞。
【請求項12】
請求項1に記載の精製複合体に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
試験化合物と(i)イムノフィリンおよび/または(ii)電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットの一方または両方とを含む複合体の形成を増加させる試験化合物の同定方法であって、
該複合体の形成が可能な条件下でイムノフィリンもしくはその機能的フラグメントおよび/またはβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントを試験化合物と接触させる工程、
該試験化合物の存在下で基準と比較して該複合体の存在を検出する工程
を含み、
該基準中の該複合体のレベルと比較した、該試験化合物の存在下での該複合体のレベルの増加が、該試験化合物が複合体形成を増加させることを示す、方法。
【請求項14】
前記サンプルが細胞溶解物、再構成された系であり、培養物または動物対象中の細胞を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複合体形成の増加を、該複合体の物理的形成の増加、シグナル伝達の変化、カルシウムチャネル活性の減少、またはニューロン活性の変化の1つ以上の検出によって決定する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ニューロン活性の変化を、生存、分化、または神経突起伸長の1つ以上の増加として検出する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試験化合物が天然に存在するかまたは改変したS.hygroscopicusから得たポリケチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法によって同定された化合物。
【請求項19】
イムノフィリンリガンドと、(i)イムノフィリンまたはその機能的バリアントおよび/または(ii)カルシウムチャネルサブユニットまたはその機能的バリアントの一方または両方とを含む複合体の形成を増加させる方法であって、該複合体の形成を増加させる条件下で、イムノフィリンもしくはその機能的フラグメントおよび/または電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントをイムノフィリンリガンドと接触させる工程を含む、方法。
【請求項20】
前記接触工程が細胞溶解物、再構成した系、または培養物もしくは動物対象中の細胞において起こる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞中の電位開口型カルシウムチャネル活性および/またはFKBP52活性を減少させる方法であって、イムノフィリンリガンドとFKBP52またはそのフラグメントおよび/またはそのサブユニットまたはそのフラグメントの一方または両方との間で結合を可能にする条件下で、FKBP52またはその機能的フラグメントおよび/または電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントの一方または両方を発現する細胞をイムノフィリンリガンドと接触させ、それにより、該カルシウムチャネル活性を阻害する工程を含む、方法。
【請求項22】
前記接触工程が、前記イムノフィリンリガンドを培養物中の哺乳動物の神経細胞または心血管細胞に添加する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触工程が、前記イムノフィリンリガンドと前記FKBP52またはそのフラグメントおよび/またはそのサブユニットまたはそのフラグメントの一方または両方との間に複合体を形成するのに十分な量で該イムノフィリンリガンドを対象に投与することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記対象に投与された前記イムノフィリンの量を、in vitroで複合体形成を誘導するのに必要なイムノフィリンリガンドの量を試験することによって決定する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
L型カルシウムチャネル機能障害に関与する障害に関連する1つ以上の症状を有するリスクがあるか、またはそれを有する対象を同定する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、神経変性障害または心血管障害を罹患した哺乳動物である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記イムノフィリンリガンドを、L型カルシウムチャネルアンタゴニストと組み合わせて投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記イムノフィリンリガンドが、ラパマイシン骨格の1位および4位にヘテロ原子置換基を有するラパマイシンアナログである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記ラパマイシンアナログが、式I:
【化15】

(式中、
およびRは異なる独立した基であり、ORおよびN(R3’)(R3’’)からなる群より選択されるか、
およびRは異なり、単結合を介して連結し、OおよびNRからなる群より選択され、
、R3’、およびR3’’は、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、置換C〜Cシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、
およびR4’は、
(a)H、OH、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、およびハロゲンからなる群より独立して選択されるか、
(b)共にOと二重結合を形成し、
、R、およびRは、H、OH、およびOCHからなる群より独立して選択され、
およびRは、(i)単結合を介して連結し、且つCHであるか、(ii)二重結合を介して連結し、且つCHであり、
15は、C=O、CHOH、およびCHからなる群より選択され、nは1または2である)またはその薬学的に許容可能な塩を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ラパマイシンアナログが、
【化16】

からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記FKBP52またはその機能的フラグメントが、図12A〜12Dに示すアミノ酸配列(配列番号11〜12)と少なくとも95%同一であるか、または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントが、図11A〜11Jに示すアミノ酸配列(配列番号1〜10)と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
神経突起伸長および/または神経細胞の生存を刺激する方法であって、該神経細胞をイムノフィリンリガンドと接触させる工程を含み、該イムノフィリンリガンドが、1つ以上の以下:(i)カルシウムシグナル伝達経路の少なくとも1つの成分の発現または活性の下方制御、(ii)FKBP52活性または発現の減少、(iii)L型カルシウムチャネルの活性または発現の減少または阻害、(iv)糖質コルチコイド受容体シグナル伝達の活性化、(v)イムノフィリンリガンド、FKBP52および/またはβ1サブユニットを含む複合体の形成の誘導、および/または(vi)カルシウム誘導性細胞死からのニューロンの保護、を誘発する濃度で存在する、方法。
【請求項34】
前記接触工程が、前記イムノフィリンリガンド、およびFKBP52および/またはβ1サブユニットの一方または両方を含む複合体を形成するのに十分な量での前記イムノフィリンリガンドの対象への投与を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象に投与された前記イムノフィリンの量を、in vitroで複合体形成を誘導するのに必要なイムノフィリンリガンドの量を試験することによって決定する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
L型カルシウムチャネル機能障害に関与する障害に関連する1つ以上の症状を有するリスクがあるか、またはそれを有する対象を同定する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する障害を治療する方法であって、イムノフィリンリガンドと、イムノフィリンもしくはその機能的フラグメントおよび/またはカルシウムチャネルサブユニットもしくはその機能的フラグメントの一方または両方とを含む複合体を形成するのに十分な量で該イムノフィリンリガンドを対象に投与し、それにより、該障害を治療する工程を含む、方法。
【請求項38】
前記対象に投与された前記イムノフィリンの量を、in vitroで複合体形成を誘導するのに必要なイムノフィリンリガンドの量を試験することによって決定する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
L型カルシウムチャネル機能障害に関与する障害に関連する1つ以上の症状を有するリスクがあるか、またはそれを有する対象を同定する工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、神経変性障害または心血管障害を罹患した哺乳動物である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、卒中、パーキンソン病、癲癇、アンギナ、心不整脈および虚血からなる群より選択される障害を罹患した哺乳動物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、片頭痛、神経因性疼痛、急性疼痛、気分障害、統合失調症、鬱病、不安、小脳性運動失調症、遅発性ジスキネジー、高血圧症、および尿失禁からなる群より選択される障害を罹患した哺乳動物である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記イムノフィリンリガンドを、L型カルシウムチャネルアンタゴニストと組み合わせて投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記イムノフィリンリガンドが、式I:
【化17】

(式中、
およびRは異なる独立した基であり、ORおよびN(R3’)(R3’’)からなる群より選択されるか、
およびRは異なり、単結合を介して連結し、OおよびNRからなる群より選択され、
、R3’、およびR3’’は、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、置換C〜Cシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、
およびR4’は、
(a)H、OH、O(C〜Cアルキル)、O(置換C〜Cアルキル)、O(アシル)、O(アリール)、O(置換アリール)、およびハロゲンからなる群より独立して選択されるか、
(b)共にOと二重結合を形成し、
、R、およびRは、H、OH、およびOCHからなる群より独立して選択され、
およびRは、(i)単結合を介して連結し、且つCHであるか、(ii)二重結合を介して連結し、且つCHであり、
15は、C=O、CHOH、およびCHからなる群より選択され、nは1または2である)を有するラパマイシンアナログまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項33または請求項37のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記ラパマイシンアナログが、
【化18】

からなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記イムノフィリンが、図12A〜12Dに示すアミノ酸配列(配列番号11〜14)と少なくとも95%同一であるか、または同一であるアミノ酸配列を有するFKBP52またはその機能的フラグメントである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記カルシウムチャネルサブユニットが、図11A〜11Jに示すアミノ酸配列(配列番号1〜10)と少なくとも95%同一であるか、または同一であるアミノ酸配列を有する電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットまたはその機能的フラグメントである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
神経細胞の神経突起伸長を刺激する方法であって、該神経細胞を、電位開口型L型カルシウムチャネルのβ1サブユニットのアンタゴニストおよび/またはFKBP52のアンタゴニストの一方または両方と、該β1サブユニットまたはFKBP52の活性または発現を減少させる条件下で接触させる工程を含む、方法。
【請求項49】
前記神経細胞が、ドーパミン作動性細胞、コリン作動性細胞、皮質細胞、および脊髄細胞からなる群より選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記アンタゴニストが、β1サブユニットおよび/またはFKBP52と複合体を形成するイムノフィリンリガンドである、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記アンタゴニストが、カルシウムチャネルβサブユニットまたはFKBP52の転写のインヒビターである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記アンタゴニストが抗体である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療のための薬物の製造におけるイムノフィリンリガンドの使用。
【請求項54】
前記イムノフィリンリガンドが、ラパマイシン骨格の1位および4位にヘテロ原子置換基を有するラパマイシンアナログである、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療のためのL型カルシウムチャネルアンタゴニストと組み合わせたイムノフィリンリガンドの使用。
【請求項56】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療のための薬物の製造における請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載のように同定した化合物の使用。
【請求項57】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療で用いるイムノフィリンリガンド。
【請求項58】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療で用いるイムノフィリンリガンドおよびL型カルシウムチャネルアンタゴニストを含む組成物。
【請求項59】
L型カルシウムチャネル機能障害に関連する状態の予防または治療で用いる請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載のように同定した化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公表番号】特表2010−521419(P2010−521419A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547211(P2009−547211)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/002656
【国際公開番号】WO2008/094147
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】