説明

インターホン装置

【課題】 外出していても訪問者があったことを容易に確認できるようにする。
【解決手段】 親機1において、外出時にモード選択スイッチ13aをON状態にして、ANDゲート13dの一方の入力端子をハイレベルにしておく。訪問者が子機2のチャイムスイッチ21aを押すと、チャイムスイッチ部21からハイレベルの信号が出力されるので、ANDゲート13dからハイレベルの信号が出力されて電話番号登録メモリ12bの読出制御端子REに与えられる。電話番号登録メモリ12bは、登録していた外出先の電話機4または携帯している携帯電話5の電話番号を読み出して通話ダイヤル部12dに与える。通話ダイヤル部12dが、その電話番号の電話機4または携帯電話5を呼び出す。これにより、訪問者は、子機2のマイク22およびスピーカ24を用いて、電話機4または携帯電話5のいずれか一方で外出者と会話することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電話機能を利用して離間した場所から不在中の訪問者と通話できるインターホン装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インターホンとして、構内の連絡用に用いられる事務用や産業用のインターホンや住宅等で訪問者が訪問したことを知らせる呼出し用のインターホン等、各種のインターホンが普及している。
【0003】特に、呼出し用のインターホンは、訪問者が建屋外部に設けられた外部装置のチャイムスイッチを押すと、建屋内部に設けられた内部装置のスピーカがチャイム音を発し、これにより訪問者による呼出しが行われる。居住者等の建屋内にいる者が、その呼出しに応答すると、外部装置および内部装置のマイクを兼ねるスピーカを介して訪問者と会話することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、留守にしているときには、訪問者がチャイムスイッチを押しても、訪問者が居住者等と会話することができない。このため、訪問者が居住者等と面会することができず、訪問が無駄になることから、双方にとって不利益を被ることになる。また、訪問者がメモでも残さない限り、訪問者が来たことは居住者等にはわからない。訪問者のメモが残されていたとしても、居住者等が必要に応じて訪問者に連絡するという手間がかかる。
【0005】また、訪問者が配達人であれば、配達物を訪問先に渡すことができないだけでなく、次の配達可能日をその場で確認することもできない。この場合は、配達先に配達可能日を連絡してもらうようにメモを残すこともできるが、その連絡に煩わしさを伴う。しかも、配達先から連絡がもらえなかった場合は、配達可能日が不明のまま再度配達しに訪れなければならない。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、外出していても訪問者があったことを容易に確認することができるインターホン装置を提供することを主な目的としており、さらには、訪問者が居住者等の不在時に居住者等と会話できるようにしたインターホン装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のインターホン装置は、訪問者が呼出し操作するための呼出スイッチおよび建屋内部に設けられる親機との間で通話するための外部通話手段を有し、建屋外部に設けられる子機と、上記呼出スイッチの操作によって呼び出し音を発生する呼出音発生手段および上記子機との間で通話するための内部通話手段を有する親機とを備えたインターホン装置において、上記の課題を解決するために、上記親機が、予めアクセス先のアクセス番号を記憶し、上記呼出スイッチが操作されると記憶しているアクセス番号を読み出すアクセス番号記憶手段と、上記スイッチが操作されると読み出されたアクセス番号に基づいて上記子機とアクセス先とを接続する接続手段とを有していることを特徴としている。
【0008】上記の構成では、訪問者が、子機において呼出スイッチを操作すると、アクセス番号記録手段からアクセス番号が読み出される。すると、接続手段は、そのアクセス番号のアクセス先と子機とを接続する。これにより、アクセス先が電話機等の通信機である場合、訪問者が子機からアクセス先の外出者と直接会話することができる。また、アクセス先が電子メールのメールボックスである場合、訪問者がボイスメール等の形態で外出者にメッセージを残すことができる。
【0009】上記のインターホン装置においては、上記親機が、上記呼出スイッチの操作による上記接続手段による接続動作を許可または禁止する接続制御手段を備えていることが好ましい。このような構成では、制御手段によって、外出するときに接続手段による接続動作を許可しておく一方、外出しないときに接続手段による接続動作を禁止しておけば、外出しないときに訪問者が呼出スイッチを操作しても接続手段による接続動作が行われない。
【0010】また、上記のインターホン装置においては、上記親機が、上記接続手段による接続動作が完了していないことを上記子機を介して報知する報知手段を有していることが好ましい。このように構成することによって、訪問者が呼出スイッチを操作してしばらくの間親機から何ら応答がなくても、報知手段が接続手段による接続動作が完了していないことを訪問者に報知するので、訪問者を留まらせることができる。
【0011】また、上記のインターホン装置においては、上記子機が、パスワードを入力するパスワード入力手段を有し、上記親機が、予め設定されたパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、設定されたパスワードと入力されたパスワードとを比較する比較手段と、両パスワードが一致したときのみ上記接続手段による接続動作を許可する接続許可手段とを有していることが好ましい。このような構成では、パスワード記憶手段により記憶されたパスワードと、パスワード入力手段によって入力されたパスワードとが、比較手段によって比較される。その結果、両者が一致すると接続許可手段によって接続手段による接続動作が許可されて、子機とアクセス先とが接続される。それゆえ、パスワードを知る訪問者のみがアクセス先とアクセスすることができる。
【0012】また、上記のインターホン装置においては、上記子機が、訪問者の画像を読み取って上記親機に出力する画像読取手段を有していることが好ましい。これにより、子機が接続手段によってアクセス先と接続されたときに、訪問者の画像をもアクセス先に送信することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図1R>1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0014】本実施の形態に係るインターホン装置は、図1に示すように、建屋内部に設けられる親機1と、建屋外部に設けられる子機2とを備えている。
【0015】子機2は、チャイムスイッチ部21と、マイク22と、増幅回路23と、スピーカ24と、ビデオカメラ25とを有している。
【0016】チャイムスイッチ部21は、チャイムスイッチ21aおよび抵抗21bからなっている。抵抗21bは、一端が電源に接続されるとともに、他端が接地されている。呼出スイッチとしてのチャイムスイッチ21aは、一端が抵抗21bの接地側の端部に接続され、他端が後述するANDゲート13d・13eの一方の入力端子に接続されている。このチャイムスイッチ部21は、チャイムスイッチ21aが押されない状態(OFF状態)でローレベルの信号を親機1側に出力する一方、チャイムスイッチ21aが押された状態(ON状態)でハイレベルの信号を親機1に出力する。
【0017】外部通話手段としてのマイク22は、子機2側の音声を取り込んで音声信号として親機1に送出する変換器である。増幅回路23は、親機1の後述するマイク11cからの音声信号を増幅する回路である。外部通話手段としてのスピーカ24は、増幅回路23で増幅された音声信号を音に変換する変換器である。画像読取手段としてのビデオカメラ25は、子機2を覗き込んだ訪問者の画像を撮影してビデオ信号として親機1に送出する。
【0018】親機1は、インターホン部11、電話機能部12および選択回路13を備えている。
【0019】インターホン部11は、増幅回路11aと、スピーカ11bと、マイク11cと、表示処理部11dと、ディスプレイ11eと、チャイム音発生部11fとを有している。
【0020】増幅回路11aは、子機2のマイク22からの音声信号を増幅する回路である。内部通話手段としてのスピーカ11bは、増幅回路11aで増幅された音声信号を音声に変換する変換器である。内部通話手段としてのマイク11cは、親機1側の音声を取り込んで音声信号として子機2に送出する変換器である。
【0021】表示処理部11dは、子機2のビデオカメラ25からのビデオ信号の画像をディスプレイ11eに表示するために必要な処理を行う回路や、表示データを展開するビデオRAM等を有している。ディスプレイ11eは、表示処理部11dからの表示用信号に基づいて子機2で取り込まれた画像を表示する表示デバイスである。このディスプレイ11eは、薄型に構成できる平板型ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)が好適である。
【0022】呼出音発生手段としてのチャイム音発生部11fは、後述するANDゲート13eからのハイレベルの信号によってチャイム音を発生する。このため、チャイム音発生部11fは、図示はしないが、チャイム信号を発生する回路と、そのチャイム信号を音声に変換するスピーカとを有している。
【0023】電話機能部12は、プッシュボタン部12aと、電話番号登録メモリ12bと、圧縮処理部12cと、通話ダイヤル部12dと、切替スイッチ12eとを有している。
【0024】プッシュボタン部12aは、少なくとも電話番号を入力しうる0〜9の番号のボタンを有している。また、プッシュボタン部12aは、親機1が電話機として使用できるように、番号ボタン以外の各種のボタンを有していてもよい。
【0025】アクセス番号記憶手段としての電話番号登録メモリ12bは、プッシュボタン部12aから入力されたアクセス番号としての電話番号を記憶するメモリであって、一般の電話機において電話番号を登録するメモリとほぼ同等の機能を有している。ただし、この電話番号登録メモリ12bは、読出制御端子REがハイレベルであるときのみ電話番号を読み出す。
【0026】圧縮処理部12cは、子機2におけるビデオカメラ25からのビデオ信号を後述する公衆電話回線3で伝送可能な情報量に減少させるように、所定の圧縮方法で圧縮する。
【0027】接続手段としての通話ダイヤル部12dは、電話番号登録メモリ12bから読み出された電話番号に基づいてDTMF(Dual Tone Multiplexed Frequency) 等のトーン信号を発生する回路である。この通話ダイヤル部12dで発生したトーン信号は、公衆電話回線3に設けられる図示しない交換機に送出される。
【0028】切替スイッチ12eは、プッシュボタン部12aと、電話番号登録メモリ12bまたは通話ダイヤル部12dとの接続を切り替えるスイッチである。切替スイッチ12eがプッシュボタン部12aと電話番号登録メモリ12bとを接続するときは、プッシュボタン部12aにより入力された電話番号が電話番号登録メモリ12bに書き込まれて電話番号の登録が行われる。切替スイッチ12eがプッシュボタン部12aと通話ダイヤル部12dとを接続するときは、プッシュボタン部12aにより入力された電話番号が通話ダイヤル部12dに入力される(通常の電話をかける動作)。
【0029】このように、切替スイッチ12eを設けることによって、プッシュボタン部12aを、通常の電話使用時の電話番号入力および電話番号の登録で共用することができる。
【0030】選択回路13は、モード選択スイッチ13aと、抵抗13bと、インバータ13cと、ANDゲート13d・13eとを有している。
【0031】抵抗13bは、一端が電源に接続され、他端がモード選択スイッチ13aの一端、インバータ13cの入力端子およびANDゲート13eの他方の入力端子に接続されている。モード選択スイッチ13aの他端は接地され、インバータ13cの出力端子はANDゲート13dの他方の入力端子に接続されている。接続制御手段としてのモード選択スイッチ13cは、通常モードと留守モードとを切り替えるためのスイッチである。
【0032】通常モードは、子機2のチャイムスイッチ21aが押されると、親機1がチャイム音発生部11fにてチャイム音を発生して通常のインターホンとして動作するモードである。一方、留守モードは、子機2のチャイムスイッチ21aが押されると、親機1がチャイム音発生部11fにてチャイム音を発生せずに、登録された電話番号にダイヤルする電話機として動作するモードである。
【0033】ANDゲート13dの出力端子は、電話番号登録メモリ12bの読出制御端子REに接続され、ANDゲート13eの出力端子は、前述のチャイム音発生部11fに接続されている。
【0034】親機1と子機2との間は、音声や映像等の信号を伝送するための接続線を介して接続されているが、 Bluetooth(登録商標)等の無線通信で信号を伝送してもよい。
【0035】ここで、親機1および子機2の外観構成について説明する。
【0036】図2に示すように、親機1は、一般の電話の受話器に相当するハンドセット15を有している。このハンドセット15は、親機1の左側にセットされ、受話部15aおよび送話部15bを有している。受話部15aには、前述のスピーカ11bが内蔵される一方、送話部15bには、前述のマイク11cが内蔵されている。
【0037】また、親機1におけるハンドセット15の受話部15aの右側には、ディスプレイ11eが組み込まれている。さらに、親機1におけるハンドセット15の送話部15bの右側には、プッシュボタン部12a、切替スイッチ12e、モード選択スイッチ13a、切替スイッチ14c等が設けられている。
【0038】子機2は、例えば、建屋外壁の玄関付記に取り付けられる。図3に示すように、この子機2には、上部にビデオカメラ25が内蔵されており、その下側にスピーカ24およびマイク22が内蔵されている。また、スピーカ24のさらに下側には、チャイムスイッチ21aが設けられている。
【0039】続いて、上記のように構成されるインターホン装置の動作について説明する。
【0040】まず、インターホン装置で電話をかける場合、電話機能部12における切替スイッチ12eがプッシュボタン部12aと通話ダイヤル部12dとを接続する。これにより、プッシュボタン部12aで入力された電話番号が通話ダイヤル部12dに与えられ、通話ダイヤル部12dが電話番号を公衆電話回線3における交換機に送出する。
【0041】訪問者が呼出しを行う場合、インターホン装置は次のように動作する。
【0042】まず、電話番号の登録を行うために、切替スイッチ12eがプッシュボタン部12aと電話番号登録メモリ12bとを接続している。この状態で、プッシュボタン部12aから電話番号を入力すると、そのデータが電話番号登録メモリ12bに書き込まれる。
【0043】また、選択回路13において、モード選択スイッチ13aが押されていないOFF状態の通常モードでは、インバータ13cの入力端子側がハイレベルとなるので、インバータ13cの出力端子側、すなわちANDゲート13dの一方の入力端子側がローレベルとなる。一方、ANDゲート13eの一方の入力端子側はハイレベルとなっている。
【0044】この状態で、子機2において、チャイムスイッチ21aが訪問者によって押されてONすると、ハイレベルの信号がチャイムスイッチ部21から親機1に出力される。しかしながら、ANDゲート13dへの一方の入力がローレベルであるため、このハイレベルの信号は、電話番号登録メモリ12bの読出制御端子REに与えられる。このため、電話番号登録メモリ12bに登録された電話番号は読み出されない。また、ANDゲート13eへの一方の入力がハイレベルであるため、上記のハイレベルの信号は、チャイム音発生部11fに入力される。これによって、チャイム音発生部11fはチャイム音を発生する。
【0045】一方、選択回路13において、モード選択スイッチ13aが押されているON状態の留守モードでは、インバータ13cの入力端子側がローレベルとなるので、インバータ13cの出力端子側、すなわちANDゲート13dの一方の入力端子側がハイレベルとなる。一方、ANDゲート13eの一方の入力端子側はローレベルとなっている。
【0046】この状態で、子機2において、チャイムスイッチ21aが訪問者によって押されてONすると、ハイレベルの信号がチャイムスイッチ部21から親機1に出力される。すると、ANDゲート13dへの一方の入力がハイレベルであるため、子機2からのハイレベルの信号が、電話番号登録メモリ12bの読出制御端子REに与えられる。これにより、電話番号登録メモリ12bから、登録された電話番号が読み出される。また、ANDゲート13eへの一方の入力がローレベルであるため、ANDゲート13eからのローレベルの信号が、チャイム音発生部11fに入力される。これによって、チャイム音発生部11fはチャイム音を発生しない。
【0047】この場合、上記のように読み出された電話番号が通話ダイヤル部12dに入力されると、通話ダイヤル部12dがその電話番号を交換機に通知する。これにより、交換機が親機1側の回線を公衆電話回線3(携帯電話5については公衆電話回線3に設けられた基地局6)を通じて相手先の回線につないで、アクセス先としての電話機4または携帯電話5の電話番号を呼び出す。このとき、訪問者の訪問先の居住者等は、外出先で電話機4または携帯電話5にでると、子機2から親機1を通じて訪問者と通話が可能になる。
【0048】この状態では、訪問者が子機2のマイク22に向かって話すと、その音声信号が親機1に送出されるとともに、訪問者の顔がビデオカメラ25によって撮影されて、そのビデオ信号が親機1に送出される。親機1では、子機2からのビデオ信号が圧縮処理部12cで圧縮されて通話ダイヤル部12dに入力される。通話ダイヤル部12dでは、子機2からの音声信号と圧縮されたビデオ信号とが多重化されて回線に出力される。したがって、相手側の電話機4または携帯電話5が受信画像を表示できるタイプの機種であれば、電話機4または携帯電話5で訪問者と会話ができるとともに、訪問者の顔を見ることもできる。
【0049】このように、本実施の形態のインターホン装置では、モード選択スイッチ13aを押して留守モードに切り替えて外出することにより、訪問者がチャイムスイッチ21aを押せば、自動的に外出先の電話機4または携帯している携帯電話5が呼び出される。これにより、自宅等への不意の訪問者と外出先で会話することができ、訪問者の訪問が無駄になることはない。特に、訪問者が配達人である場合、再度の配達日等の通知を外出先から伝えることができる。また、本インターホン装置を公的な施設(企業等の建屋)に設置し、アクセス先を警備会社等に設定しておけば、休日等で誰もいない場合に訪問者が訪れてチャイムスイッチ21aを操作すれば、警備会社の電話機4または携帯電話5が呼び出される。これにより、訪問者は、警備会社の担当者に訪問の意図を伝えることができる。
【0050】なお、訪問者がチャイムスイッチ21aを押してから、外出先で電話機4または携帯電話5とつながるまでにはしばらく時間がかかるので、訪問者はその間に応答がないことから留守であると判断して立ち去るおそれがある。このような場合、電話がつながっても、訪問者と会話することができない。
【0051】このような不都合に対しては、図1に示すように、ANDゲート13dの出力信号がハイレベルになると、音声メッセージを出力するメッセージメモリ11g(報知手段)をインターホン部11に設けておけばよい。これにより、留守モードが設定されている状態でチャイムスイッチ21aが押されると、メッセージメモリ11gから子機2に音声信号が出力され、例えば、「外出先の電話につないでいます。もう少しお待ち下さい。」というメッセージがスピーカ24で再生される。また、図示はしないが、ANDゲート13dのハイレベルの出力信号によって、表示メッセージを親機1から子機2に送出し、子機2の表示部に同様なメッセージを表示させてもよい。
【0052】ところで、外出しているときに、セールスやいたずら等の対応の不要な訪問者に対してまでもチャイムスイッチ21aが押される度に電話機4または携帯電話5が呼び出されると、外出者に煩わしさを与えてしまう。したがって、対応が必要な訪問者に対してのみ電話機4または携帯電話5が呼び出されるようにすることが好ましい。これを実現するためのインターホン装置の変形例を図4に示す。
【0053】このインターホン装置では、予め設定されたパスワードと訪問者が入力したパスワードが一致したときのみ、電話機4または携帯電話5が呼び出されるように構成されている。具体的には、親機1が、インターホン部11、電話機能部12および選択回路13に加えて、さらにパスワード部14を備える一方、子機2がパスワード入力部26を備えている。
【0054】パスワード部14は、パスワード登録メモリ14aと、コンパレータ14bと、切替スイッチ14cとを有している。
【0055】パスワード記憶手段としてのパスワード登録メモリ14aは、プッシュボタン部12aから入力されたパスワードを記憶するメモリである。このパスワード登録メモリ14aは、ANDゲート13eからのハイレベル信号が読出制御端子REに入力されると、登録されたパスワードを読み出す。
【0056】パスワード登録メモリ14aに登録されるパスワードの形態は、複数桁の数字を組み合わせが最も一般的であるが、その他の形態、例えば、アルゴリズムパスワードであってもよい。アルゴリズムパスワードは、与えられた数字等に対して所定のアルゴリズムにしたがって演算等を施すことにより得られた結果である。アルゴリズムパスワードを使用する際には、アルゴリズムそのものを記憶しておく必要がある。アルゴリズムパスワードを用いる場合は、ある基本数字とそれに対して施す演算等の所定のアルゴリズムとが併せてパスワード登録メモリ14aに登録されている。
【0057】比較手段としてのコンパレータ14bは、子機2におけるパスワード入力部26で入力されたパスワードとパスワード登録メモリ14aから読み出されたパスワードと比較して、両者が一致したときに比較出力端子からハイレベルの一致信号を出力する。
【0058】切替スイッチ14cは、前述の切替スイッチ12eの代わりに設けられるスイッチであって、プッシュボタン部12aと、パスワード登録メモリ14a、電話番号登録メモリ12bまたは通話ダイヤル部12dとの接続を切り替えるスイッチである。切替スイッチ14cがプッシュボタン部12aと電話番号登録メモリ12bまたは通話ダイヤル部12dとの接続を切り替える機能は、切替スイッチ12eのその機能と同等である。また、切替スイッチ14cがプッシュボタン部12aとパスワード登録メモリ14aとを接続するときは、プッシュボタン部12aにより入力されたパスワードがパスワード登録メモリ14aに書き込まれてパスワードの登録が行われる。
【0059】このように、切替スイッチ14cを設けることによって、プッシュボタン部12aを、通常の電話使用時の電話番号入力、電話番号の登録およびパスワード入力で共用することができる。
【0060】また、選択回路13は、ANDゲート13fをさらに備えている。接続許可手段としてのANDゲート13fは、一方の入力端子がANDゲート13dに接続され、他方の入力端子がコンパレータ14bの比較出力端子に接続され、出力端子が電話番号登録メモリ12bの読出制御端子REに接続されている。
【0061】パスワード入力部26は、数字等で構成されるパスワードを入力するためにテンキーと、入力したパスワードを表示するための表示部とを少なくとも有している。このパスワード入力部26は、入力されたパスワードをパスワードデータとして親機1に送出する。
【0062】上記のように構成されるインターホン装置において、パスワードを登録する際には、まず、切替スイッチ14cがプッシュボタン部12aとパスワード登録メモリ14aとを接続している。この状態で、プッシュボタン部12aからパスワードを入力すると、そのパスワードがパスワード登録メモリ14aに書き込まれる。
【0063】選択回路13におけるモード選択スイッチ13aがONしている状態で子機2のチャイムスイッチ21aがONすると、ANDゲート13eからのハイレベルの信号がパスワード登録メモリ14aに入力される。すると、パスワードがパスワード登録メモリ14aから読み出されてコンパレータ14bに入力される。一方、子機2では、パスワード入力部26に表示される。パスワード入力部26は、チャイムスイッチ21aのONによってパスワードの入力を促すメッセージを表示する。訪問者が、これにしたがってパスワードを入力すると、そのパスワードが親機1のコンパレータ14bに入力される。
【0064】コンパレータ14bが、入力された両パスワードを比較し、両者が一致したときにハイレベルの一致信号を出力する。ANDゲート13fは、ANDゲート13dからのハイベルの信号と、上記の一致信号とが入力されるので、電話番号登録メモリ12bにハイレベルの信号を与える。これによって、登録された電話番号が電話番号登録メモリ12bから読み出され、通話ダイヤル部12dがその電話番号に基づいて電話機4または携帯電話5を呼び出す。
【0065】なお、上記のインターホン装置においては、チャイムスイッチ21aがONしたときに、パスワードがパスワード登録メモリ14aから読み出されるので、そのときコンパレータ14bへの登録パスワードの入力タイミングと、後にパスワード入力部26からコンパレータ14bへのパスワードの入力タイミングとにずれが生じる。このような不都合に対しては、パスワード登録メモリ14aから読み出されたパスワードをラッチ等によって一時的に保持しておき、パスワード入力部26からパスワードが入力されたタイミングに同期して、保持しておいたパスワードをコンパレータ14bに読み出すようにすればよい。
【0066】また、上記のインターホン装置においては、チャイムスイッチ21aがONしたときに、ANDゲート13dの出力端子がハイレベルとなるので、その後にパスワードがパスワード入力部26からコンパレータ14bに入力されて、コンパレータ14bから一致信号が出力されるときには、ANDゲート13dの出力端子がローレベルに変化している。このため、ANDゲート13fの出力端子をハイレベルにすることができず、電話登録メモリ12bから電話番号を読み出すことができない。このような不都合を回避するには、チャイムスイッチ21aのON状態を所定期間(少なくともコンパレータ14bから一致信号が出力されるまでの期間)維持するための保持回路が設けられる。
【0067】ところで、上記のインターホン装置において、パスワードとしてアルゴリズムパスワードを用いる場合、インターホン装置は次のように動作する。まず、パスワード登録メモリ14aから読み出された基本数字をパスワード入力部26に表示させる。訪問者は、記憶しておいたアルゴリズムにしたがったパスワードを入力する。また、このパスワードが、パスワード登録メモリ14aから読み出されたパスワードとコンパレータ14bの比較により一致すれば、上記の場合と同様にして、電話機4または携帯電話5の呼出しが行われる。
【0068】このように、上記のインターホン装置によれば、特定の訪問者にのみパスワードを教えることによって、その訪問者のみが訪問先の居住者等と会話することができる。これにより、訪問者の全てに対して電話での対応をする必要がなくなり、煩わしさから解放される。
【0069】ただし、対応が必要な配達人等の不特定の訪問者にパスワードを教えることはできないので、このインターホン装置では、そのような訪問者と対応することはできない。したがって、どのような訪問者と対応するかによって、パスワードを用いるか用いないかを決定する必要がある。パスワードを用いないようにするには、パスワード部14の動作を不能にする構成が付加される。
【0070】具体的には、親機1において、コンパレータ14bが接続されるANDゲート13fの入力端子をハイレベルにプルアップする回路、および上記の入力端子とこの回路またはコンパレータ14bとの接続を切り替えるスイッチが設けられる。また、子機2においては、パスワード入力部26を動作させない構成、例えばチャイムスイッチ21aのONのトリガをパスワード入力部26に入力させない回路が設けられる。
【0071】なお、本実施の形態では、電話による会話を行う構成について説明したが、本インターホン装置を用いれば、電子メールを利用して訪問者からのメッセージを残すことも可能である。例えば、通話ダイヤル部12dからの音声データをISDN等のデジタル回線を介してインターネット上に設けられたメールボックスにボイスメールとして記憶させる。この方法では、訪問者が外出者と直接会話することはできないが、外出者が帰宅時にボイスメールを聞くことによって、訪問者があったことを容易に確認することができる。この場合、電話登録メモリ12bの代わりに、メールアドレスをアクセス番号として登録するメモリが設けられる。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明のインターホン装置は、訪問者が呼出し操作するための呼出スイッチおよび建屋内部に設けられる親機との間で通話するための外部通話手段を有し、建屋外部に設けられる子機と、上記呼出スイッチの操作によって呼び出し音を発生する呼出音発生手段および上記子機との間で通話するための内部通話手段と、予めアクセス先のアクセス番号を記憶し、上記呼出スイッチが操作されると記憶しているアクセス番号を読み出すアクセス番号記憶手段と、上記スイッチが操作されると読み出されたアクセス番号に基づいて上記子機とアクセス先とを接続する接続手段とを有している構成である。
【0073】これにより、アクセス先が電話機等の通信機である場合、訪問者が子機からアクセス先の外出者と直接会話することができる。また、アクセス先が電子メールのメールボックスである場合、訪問者がボイスメール等の形態で外出者にメッセージを残すことができる。したがって、外出者が外出中に自宅等に訪れた訪問者があったことを容易に確認することができるという効果を奏する。
【0074】上記のインターホン装置においては、上記親機が、上記呼出スイッチの操作による上記接続手段による接続動作を許可または禁止する接続制御手段を備えていることによって、外出するときに接続手段による接続動作を許可しておく一方、外出しないときに接続手段による接続動作を禁止しておけば、外出しないときに訪問者が呼出スイッチを操作しても接続手段による接続動作が行われない。したがって、外出するときのみ訪問者によるアクセス先のアクセスの可否を容易に設定することができるという効果を奏する。
【0075】また、上記のインターホン装置においては、上記親機が、上記接続手段による接続動作が完了していないことを上記子機を介して報知する報知手段を有していることによって、訪問者が呼出スイッチを操作してしばらくの間親機から何ら応答がなくても、報知手段が接続手段による接続動作が完了していないことを訪問者に報知するので、訪問者を留まらせることができる。したがって、訪問者がアクセス先とより確実にアクセスすることができるという効果を奏する。
【0076】また、上記のインターホン装置においては、上記子機が、パスワードを入力するパスワード入力手段を有し、上記親機が、予め設定されたパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、設定されたパスワードと入力されたパスワードとを比較する比較手段と、両パスワードが一致したときのみ上記接続手段による接続動作を許可する接続許可手段とを有していることによって、パスワードを知る訪問者のみがアクセス先とアクセスすることができる。したがって、訪問者によるアクセス先へのアクセスを所望通りに制限することができるという効果を奏する。
【0077】また、上記のインターホン装置においては、上記子機が、訪問者の画像を読み取って上記親機に出力する画像読取手段を有していることによって、子機が接続手段によってアクセス先と接続されたときに、訪問者の画像をもアクセス先に送信することができる。アクセス先で訪問者を確認することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るインターホン装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記インターホン装置の親機の外観構成を示す正面図である。
【図3】上記インターホン装置の子機の外観構成を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る変形例のインターホン装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 親機
2 子機
4 電話機(アクセス先)
5 携帯電話(アクセス先)
11b スピーカ(内部通話手段)
11c マイク(内部通話手段)
11f チャイム音発生部(呼出音発生手段)
11g メッセージメモリ(報知手段)
12b 電話番号登録メモリ(アクセス番号記憶手段)
12d 通話ダイヤル部(接続手段)
13a モード選択スイッチ(接続制御手段)
13f ANDゲート(接続許可手段)
14a パスワード登録メモリ(パスワード記憶手段)
14b コンパレータ(比較手段)
21a チャイムスイッチ(呼出スイッチ)
22 マイク(外部通話手段)
24 スピーカ(外部通話手段)
25 ビデオカメラ(画像読取手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】訪問者が呼出し操作するための呼出スイッチおよび建屋内部に設けられる親機との間で通話するための外部通話手段を有し、建屋外部に設けられる子機と、上記呼出スイッチの操作によって呼び出し音を発生する呼出音発生手段および上記子機との間で通話するための内部通話手段を有する親機とを備えたインターホン装置において、上記親機が、予めアクセス先のアクセス番号を記憶し、上記呼出スイッチが操作されると記憶しているアクセス番号を読み出すアクセス番号記憶手段と、上記スイッチが操作されると読み出されたアクセス番号に基づいて上記子機とアクセス先とを接続する接続手段とを有していることを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】上記親機が、上記呼出スイッチの操作による上記接続手段による接続動作を許可または禁止する接続制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン装置。
【請求項3】上記親機が、上記接続手段による接続動作が完了していないことを上記子機を介して報知する報知手段を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のインターホン装置。
【請求項4】上記子機が、パスワードを入力するパスワード入力手段を有し、上記親機が、予め設定されたパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、設定されたパスワードと入力されたパスワードとを比較する比較手段と、両パスワードが一致したときのみ上記接続手段による接続動作を許可する接続許可手段とを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインターホン装置。
【請求項5】上記子機が、訪問者の画像を読み取って上記親機に出力する画像読取手段を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインターホン装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−171351(P2002−171351A)
【公開日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−366000(P2000−366000)
【出願日】平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】