説明

インプラントに対する構造的コーティングおよびその製造方法

本発明は、前駆体セラミック化合物(例えば、ゾル−ゲル)を基盤とした、パウダー充填セラミックコーティングの製造方法に関する。前記コーティングは、有利な程度の表面粗さを有し、生理的条件下でマトリックスまたは充填材から活性物質が溶出される。また、本発明は、本発明の製造方法にしたがって製造できるインプラントに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントへの、パウダー充填セラミックコーティングの製造方法、および、コーティングされたインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
インプラントの表面の性質は、前記インプラントの生体許容性および生体適合性に重要である。第一に、前記表面のテクスチャーまたは形態は、前記インプラント上での新しい細胞の成長に重要である。第二に、活性物質の放出により、望ましい細胞の成長を促進可能であり、または、感染を引き起こし、前記インプラントの拒絶原因とさえなる可能性のある外来細菌等、望ましくない細胞のクラスターの成長を阻害可能である。
【0003】
これらの理由から、先行技術において、ゾル・ゲル法により製造され、活性物質を放出するコーティングが、開発されてきた。この活性物質の放出は、例えば、特許文献1に開示されているように、抗菌効果を有する可能性がある。しかし、その使用は、ゾルに溶解可能な金属塩、有機塩に限られている。
【0004】
インプラントのテクスチャーを自然条件に適応させるために、特許文献2には、ゾル・ゲル法におけるリン酸カルシウムパウダーの使用により形成される、粒状材料の形態をした骨代替材料が、開示されている。この粒状材料は、インプラント上にコーティングできるが、例えば、プラズマ溶射法等の高価な方法によって適用させなければならない。
【0005】
類似した材料としては、DOTコーティングが、特許文献3においても開示されている。明確な表面のテクスチャーを有する積層構造としての適用は、記述されていない。標的を設定した表面のテクスチャー加工も不可能である。さらに、前記材料は、有機パウダーを含む、ポリ珪酸をベースとする複合材料を含む。しかし、この材料は、有機成分であるため、保存時の安定性が低く、また、医学分野の慣用技術であるガンマ線照射殺菌法による殺菌が困難であるという欠点を有する。病院における他の殺菌手段も、前記材料を132℃に熱した結果、有機成分が分解するという事実により、妨げられる。しかも、前記材料中に存在する抗生物質または重合体等の活性物質は、ガンマ線によって発生するラジカルにより破壊され、または不活化される可能性がある。
【0006】
特許文献4は、ゾル・ゲル法により製造される、インプラントに対する抗菌酸化チタニウムコーティングを開示している。この適用例では、使用される前記金属塩は、ゾル・ゲルマトリックス中に均一かつ完全に溶解しており、固体粒子としては存在しておらず、したがって表面のテクスチャーを加工することは不可能である。
【0007】
特許文献5は、例えば、ゾル・ゲル法により製造される粒子状の材料を開示している。ゾル・ゲル法を実行しつつ粒子を添加することについては、記載が無い。さらに、前記材料は、硬化を目的として800〜1500℃に熱しなければならない。
【0008】
パウダー充填材を使用しない簡便なゾル・ゲル法が、非特許文献1によって公知となっている。
【0009】
最後に、抗菌成分を産生するための抗生物質を補充できる多孔性材料が、非特許文献2によって公知となっている。この材料は、前記材料の高度な多孔性のために、インプラントをコーティングするには不適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ公開特許第10243132A1号公報
【特許文献2】国際公開WO2004/103421号パンフレット
【特許文献3】ドイツ公開特許第102004012411A1号公報
【特許文献4】ドイツ公開特許第10243132B4号公報
【特許文献5】ドイツ公開特許第60022197T2号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M. Jokinenら、J. Biomed. Mater. Res.,42,295−302,(1998).
【非特許文献2】M. Tellerら、Key Engineering Materials,Vols.284−286,415−418,(2005).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の工程全てが、意図的に表面のテクスチャーを加工し、活性物質の放出を調整することが不可能であるという欠点を有する。
【0013】
そこで、本発明は、基材上のコーティング表面のテクスチャー形態の意図的な調整、および、活性物質の放出の調整を可能にするコーティング製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、下記の工程を含む、インプラントにおける粒子が充填された酸化金属コーティングの製造方法によって達成される。
(a)有機溶媒と有機金属前駆体との混合物を提供する工程、
(b)調製物を調製するために、工程(a)の前記混合物に、粒子状の充填材を添加する工程、
(c)工程(b)で調製された調製物を、インプラントにコーティングを提供するために、前記インプラントに適用する工程、および、
(d)前記適用したコーティングを乾燥する工程
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、インプラントが製造可能な方法であって、インプラントにおける、充填された、生体適合性を有する酸化金属コーティングの製造方法が提供される。生理学的条件下では、前記コーティングおよび/または前記充填材から環境中に、活性物質が放出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、コーティングの模式図である。異なる粒子サイズ、異なる量で充填材を導入することにより、意図的に表面の形態を適合でき、意図的に活性物質を放出させることができる。図1は、充填材粒子2が保持されている酸化マトリックス3が適用されている基材を示す。この場合、前記充填材粒子の直径は、前記酸化マトリックスの厚み4の5倍を超えない。前記充填材粒子のサイズが異なることにより、表面粗さを異なる程度にすることを達成でき、それは図1(a)と図1(b)とを比較することにより明らかである。
【図2】図2は、異なる量のリン酸カルシウムパウダー(ヒドロキシアパタイト)を含むコーティング表面の電子顕微鏡写真を示す。前記写真は、提供されたゾルの全重量を基準として、1重量%(図1(a))、3重量%(図1(b))および8重量%(図1(c))である、実施例1にしたがって製造された充填材の内容を示す。
【図3】図3は、異なる量のリン酸カルシウムパウダー(ヒドロキシアパタイト)で充填されたコーティングからの、生理的条件下(図2参照)でのカルシウムイオンの放出を示す。ペトリディッシュのポリスチレン(PS)は、参考材料(100%)として使用した。
【図4】図4は、異なる量のリン酸カルシウムパウダー(ヒドロキシアパタイト)(図2参照)で充填されたコーティング上で48時間培養したマウス胎仔骨芽細胞(MC3T3−E1)の細胞数の変化を示す。
【図5】図5の図5(a)から(c)は、異なる量の酸化チタニウムパウダーを含むコーティング表面の電子顕微鏡写真を示す。前記写真は、提供されたゾルの全重量を基準として、0.5重量%(図5(a))、3重量%(図5(b))および6重量%(図5(c))である充填材の内容を示す。
【図6】図6は、異なる量の酸化チタニウムパウダーで充填したコーティング(図5参照)上で48時間培養したマウス胎仔骨芽細胞(MC3T3−E1)の細胞数およびミトコンドリア活性の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第一の観点によると、本発明は、インプラントにおける粒子が充填された酸化金属コーティングの製造方法であって、下記の工程を含む製造方法を提供する。
(a)有機溶媒と有機金属前駆体との混合物を提供する工程、
(b)調製物を調製するために、工程(a)の前記混合物に、粒子状の充填材を添加する工程、
(c)工程(b)で調製された調製物を、インプラントにコーティングを提供するために、前記インプラントに適用する工程、および、
(d)前記適用したコーティングを乾燥する工程
【0018】
基材、特にインプラントをコーティングする本発明の製造方法は、下記の工程を含む。混合物が最初に調製され、前記混合物は、低粘度懸濁液であり、有機溶媒、有機金属前駆体、ならびに任意的に水および/または酸を含むゾルとして知られている。充填材は、この混合物に添加される。
【0019】
微細に分散した方式で前記充填材が分布することを確実にすることを目的の一部として、分散剤を添加する。この分散剤としては、例えば、低分子量カルボン酸のアルキロールアンモニウム塩、酸性基を有する共重合体、色素アフィン基を有する共重合体液、色素アフィン基を有するアクリレート共重合体、色素アフィン基を有する高分子量ブロック共重合体、または基本的な色素アフィン基を有するアクリレート共重合体の溶液があげられる。
【0020】
本発明において、「ゾル」という用語は、固体物質が擬集体を形成せずに非常に微細に分散した状態で液体媒質中に分散している、コロイド溶液として理解されなければならない。すなわち、前記固体物質は、本質的に分子または原子レベル(ゾル粒子の直径は、30nm未満であり、好ましくは、10nm未満である)で分散している。前記有機金属化合物は、ナノメートル単位で分散しているため、前記ゾルは、ナノ懸濁液と言ってもよい。ゾル・ゲル法により、前記ゾルから製造した酸化コーティングは、マトリックスまたは酸化マトリックスと言ってもよい。
【0021】
本発明において、「充填材」という用語は、テクスチャーを提供する要素として働くこと、および/または、活性物質の放出による治療効果を有すること、の少なくともいずれか一方の特定の形態の添加剤として理解されなければならない。前記充填材は、生理的条件下で、安定であっても、分解可能であってもよい。金属、金属合金、ガラス、セラミック、無機活性物質、難溶性塩、特に難溶性塩の結晶、または、それらの組合せを、前記充填材として使用できる。
【0022】
前記粒子状の充填材は、不溶性であってもよく、多孔性であってもよく、また、異なる程度の多孔率を有する、すなわち、多孔率勾配を有していてもよい。また、前記充填材は、部分的に吸収性であってもよい。
【0023】
本発明において、充填材として使用されることが好ましい金属および金属合金としては、例えば、銀、銅、カルシウム、マグネシウムまたは亜鉛等の元素金属、および、真鍮等の金属合金があげられる。
【0024】
本発明において、充填材として使用されることが好ましいセラミック材料またはセラミックとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化シリコン、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の酸化物または窒化物があげられ、またガラスおよびガラスセラミック、好ましくは生理的条件下で溶解もしくは分解するガラスおよびガラスセラミック等があげられる。
【0025】
「活性物質」という用語は、前記充填材が形成される要素、および、前記充填材に物理的もしくは化学的に結合し、または、前記活性物質中に封入されている有機または無機の治療活性成分の両方のイオンとして理解されなければならない。前記イオンとしては、例えば、カルシウム、亜鉛、銀、銅またはマグネシウムイオンがあげられる。これらのイオンを含む、または、これらのイオンを放出可能な粒子も使用可能である。
【0026】
前記活性物質は、前記酸化マトリックスから放出されてもよい。さらに、例えば、金属塩の形態で、金属イオンを前記ゾルに添加してもよい。前記ゾルを基材に適用する場合、前記金属イオンは、前記マトリックスに導入され、生理的条件下で再び放出される。この種の金属塩は、前記充填材に加えて導入される。
【0027】
本発明において、「インプラント」という用語は、すなわち、人間医学の分野において、患者に、または、すなわち獣医学の分野において、動物に、移植されるのに適した基材として理解されなければならない。これらのインプラントとしては、例えば、カテーテル、骨形成材、人工器官、外部/内部固定器、爪、ねじおよび/またはワイヤー、心臓弁、人工血管およびシャント、顔面手術/プラスチックインプラント、中耳インプラント、歯科インプラント等があげられる。
【0028】
本発明において、「生理的条件および病理的条件」という用語は、患者に移植されたインプラントの環境において優性である条件として理解されなければならない。本発明において、前記の用語は、この種の移植されたインプラントに接触する可能性のある全ての体液を含み、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、洗浄液、消毒剤溶液等、体液に代わるものとして使用される可能性のある他の緩衝液をも含む。
【0029】
本発明の製造方法により、好ましくは、純粋に無機コーティングが製造される。この無機コーティングは、有機溶媒または有機重合化合物等の有機材料を含まない。前記コーティングに含まれる有機材料は、例えば、焼却工程等の加熱工程により除去されても良い。
【0030】
本発明において、前記コーティングの厚みは、数百nmの範囲であり、好ましくは約50〜10,000nmの範囲であり、好ましくは100〜5,000nmの範囲であり、より好ましくは150〜1,500nmの範囲である。特に前記層の薄い性質、および、前記層における充填材物質の割合が低いことから、前記層の基材への接着が、顕著に改善できる。
【0031】
前記充填材粒子のサイズは、最大値を超えてはいけない。前記有機金属前駆体または先駆体から製造される前記マトリックスは、前記基材を覆い、前記充填材粒子を取り囲む接着剤として働く。前記充填材粒子のサイズは、前記マトリックスの厚みの5倍、好ましくは3倍を超えてはならない。前記粒子サイズが、前記マトリックスの厚みの5倍を超えている場合、前記コーティングは、結果的に基材として充分に固定されず、取り付けた際には分離するおそれがある。
【0032】
粒子サイズと前記マトリックス層の厚みとの比率により、表面粗さを意図的に調整することができる。この種の充填材粒子:マトリックスの厚みの比率により、前記充填材粒子が前記コーティングから突き出て、微細なスケールでは粗い不均等な表面を形成する。前記表面のR値は、好ましくは0.01〜10μmであり、好ましくは0.1〜5μmであり、より好ましくは0.2〜1.5μmである。細胞は、従来の滑らかまたはショットブラストを施したインプラント表面よりも、この粗い表面に定着しやすい。
【0033】
粒子状の充填材の導入により、前記表面をテクスチャー加工することができる。前記テクスチャーは、例えば、前述の表面粗さ、粒子サイズ、粒子サイズ分布および粒子量等の微細な粗さの形態で意図的に製造される。
【0034】
前記充填材粒子のサイズは、好ましくは0.01〜10μmであり、好ましくは0.1〜5μmであり、最も好ましくは0.2〜1.5μmである。前記充填材粒子のサイズは、狭いサイズ範囲内に分布する。この場合、前記粒子のd50値は、好ましくは3.5μm未満であり、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。前記d50値は、全粒子の50%のサイズが当てはまる粒子サイズの閾値である。この方法で、均等な表面粗さを有する均一な表面が達成できる。
【0035】
前記充填材量は、15重量%以下の範囲内であり、好ましくは0.005〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜8重量%であり、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。したがって添加量は、合わせて100%となる前駆体材料および溶媒の全重量を基準とする。
【0036】
「マトリックスの厚み」という用語は、ゾル・ゲル法の結果生じる酸化マトリックスの厚みに過ぎないと理解されなければならない。対照的に、全コーティングの厚みは、導入された粒子をも含む。前記粒子は、マトリックスの中に埋め込まれており、そのマトリックスの厚みは、好ましくは20〜500nmであり、好ましくは50〜300nmであり、より好ましくは20〜200nmの厚みである。この点から言えば、粒子サイズとマトリックスの厚みとの比率も、前述のように考慮に入れるべきである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、コーティングの工程は、何回も行うことが可能である。この場合、前述の範囲内の厚みを有する層を毎回適用させる。複数の層の全厚みが、個々の層の厚みの倍数である。すなわちその場合、層の厚みの範囲が、単一の層の前述した厚みの倍数である。異なる層中の充填材は、異なっていてもよく、同一であってもよい、濃度もまた、活性物質の放出のための勾配を達成するために、層ごとに異なっていてもよい。例えば、最初は抗菌効果を有する物質を放出し、つぎに、あらかじめ決定した時間後、骨成長を促進する活性成分を放出する等の、異なる活性物質を異なる層に補充できる。このように、活性物質を異なる時間に放出することは、異なる要請に応じて個々に適用可能である。
【0038】
本発明において、金属製のインプラント、金属合金製、プラスチック材料製、ガラス製のインプラント、セラミック製のインプラント、複合材料、骨代替材料、またはこれらの組合せのいずれもインプラントとして使用してよい。好ましいインプラントとして、例えば、カテーテル、骨形成プレート、人工器官、外部/内部固定器、爪、ねじおよび/またはワイヤー、心臓弁、人工血管およびシャント、顔面手術/プラスチックインプラント、中耳インプラント、歯科インプラント等があげられる。
【0039】
本発明において、インプラントとして使用されることが好ましい金属および金属合金は、例えば、チタニウム、鋼鉄、鉄、および/または、合金鋼、鉄合金、チタニウム合金、好ましくはTiAl6V4もしくはTiAl6Nb7、CoCr合金、および/または、骨形成鋼鉄、好ましくはAISI316L、および、銀、銅、カルシウム、マグネシウムもしくは亜鉛等の元素金属があげられる。
【0040】
本発明において、インプラントとして使用されることが好ましいプラスチック材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリアミド類、ポリウレタン類、ポリシロキサン類、ポリシロキサンエラストマー類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリスルホン、ポリサッカライド類およびポリラクチド類等の重合体があげられる。
【0041】
本発明において、インプラントとして使用されることが好ましいセラミック材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化シリコン等の酸化物または窒化物、例えば、ヒドロキシアパタイトのようなリン酸カルシウム、ガラスおよびガラスセラミック、好ましくは生理的条件下で溶解もしくは分解するガラスおよびガラスセラミック等があげられる。
【0042】
骨代替材料としては、自家インプラント、同種インプラント、異種インプラントまたは人工骨代替材料が使用されることが好ましい。
【0043】
前記充填材を含み、水と実質的に同等の粘度を有する混合物を、基材に適用する。これは、浸漬コーティング、回転コーティング、ドクターブレード法、印刷もしくは塗布、または、先行技術に属する他の方法によって達成されてもよい。
【0044】
前記混合物に含まれる前駆体は、酸素原子によって金属に配位している、−ORリガンドを有する多座配位型の有機金属化合物であることが好ましく、Rは、直鎖または分枝鎖のアルキル残基であり、好ましくは炭素鎖長2〜8である。あるいは、または、これに加えて、本発明においては、やはり好ましくは2〜8の炭素原子を有するだけでなく、炭素鎖長12以下のより長いアルキル鎖をも有する、不飽和アルキル残基(アルケニル残基)、および/もしくは、酸素および/もしくは窒素を含むアルキル残基、もしくは、アルケニル残基をも、紫外線硬化性等の特定の適用のために使用してもよい。酸素と配位した適切なアルキル残基としては、例えば、具体的には、エチル−、n−プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル−、イソブチル−、n−ペンチル−および/またはイソペンチル残基があげられる。
【0045】
適切なアルケニル残基としては、例えば、アクリレート、メタクリレートまたは長鎖型アルキル鎖または二重結合を有する分枝鎖型アルキル鎖があげられる。主鎖の好ましい長さは、炭素数2〜12であり、側鎖の好ましい長さは、炭素数2〜6である。
【0046】
酸素置換型および窒素置換型の適切なアルキルおよび/またはアルケニル残基としては、例えば、前述の要請を満たすが、エーテル基、ケト基、またはアミノ基をも有する炭素鎖をベースとする残基があげられる。
【0047】
本発明において、使用できる前駆体としては、例えば、テトラブトキシチタネート、チタニウムイソブトキシチタネート、チタニウムテトラプロピレート、チタニウムテトライソプロピレート、チタニウムテトラアセチルアセトネート、チタニウムテトラエトキシチタネート、または、化学的に安定な場合には、シリコン、ジリコニウムもしくはアルミニウムをベースとする同等の物質があげられる。したがって、「酸化金属」という言葉は、具体的には、前述の金属であるチタニウム、シリコン、ジリコニウムおよびアルミニウムの酸化物を指すものと理解されなければならない。
【0048】
炭素原子2〜8の鎖長を有する、直鎖または分枝鎖のアルコールは、有機溶媒として使用されることが好ましく、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたは前述のアルコールの組合せがあげられ、なかでもエタノールおよびn−ブタノールが特に好ましい。本発明において、使用可能な他の有機溶媒としては、環状、芳香族および/もしくは複素環式芳香族の炭化水素、またはそれらの誘導体であり、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランもしくはジオキサンがあげられ、ベンゼン、トルエンおよび/またはテトラヒドロフランが特に好ましい。前記有機溶媒は、当業者であれば、使用する金属塩または有機金属化合物に応じて適宜選択できる。本発明によれば、前述の溶媒のいかなる混合物もまた使用できる。
【0049】
水および/または好ましくは鉱酸である酸もまた、調製物に任意的に含まれていてよい。好ましくは、硝酸が、鉱酸として使用される。しかし、それに加え、または、それに代えて、塩酸、硫酸、リン酸、または、クエン酸、トリフルオロ酢酸若しくは酢酸等の有機酸等の他の酸を使用してもよい。
【0050】
酸を使用する場合、前記酸の濃度は、好ましくは、使用する有機金属前駆体の1〜50モル%であり、好ましくは、2〜20モル%であり、より好ましくは、8〜10モル%である。
【0051】
前記溶媒の濃度は、好ましくは、有機金属前駆体モル量の5〜50倍であり、より好ましくは、15〜40倍であり、さらに好ましくは、20〜35倍である。
【0052】
前述の調製物が、好ましくはゾルの形態で、前記基材に適用される間またはその後、本発明において、前記ゾルは、溶液を蒸発させること、および/または、化学量論的抽出比率を調整することで、凝固した、寸法的には安定だが容易に変形可能なシステムまたはゲルに変換することが可能であり、前記充填材は、凝固したシステムまたはゲル中で均一に分散する。
【0053】
そして、前記乾燥工程が実行され、その後、コーティングされたインプラントが、直接使用できる。乾燥は、酸素、窒素、アルゴン、または、空気中で行ってよい。前記乾燥工程は、室温(25℃)と100℃との間で行われることが好ましく、より好ましくは、室温と50℃との間である。前記乾燥工程は、大気圧下または減圧下(真空)で行われてもよい。前記乾燥工程は、凍結乾燥工程として、または、超臨界乾燥条件下で行うことも可能である。その後の熱処理は、コーティングの機械的安定化または緻密化の目的で行われ、例えば、好ましくは、コーティングを約500℃に熱することで、前記コーティングがセラミック化する。前記インプラントが、プラスチック材料で作られている場合、前記インプラントは、好ましくは、より弱く熱せられる。
【0054】
この後に、100〜1,000℃、好ましくは200〜800℃、より好ましくは400〜600℃にコーティングを熱する工程が続いてもよい。この熱処理工程は、前記乾燥工程と別に行ってもよいし、同時に行ってもよい。適用されたコーティングにおける基材の滞留時間は、この場合、温度そのものほど重要ではない。前記滞留時間は、例えば、前記熱処理工程中の基材の種類および基材の挙動に依存する。セラミック等のより丈夫な基材は、例えば、熱処理中により膨張する金属よりも、加熱および冷却をより早く行ってもよい。しかし、限界温度を超えるとマトリックスが変化するため、得られる温度は重要である。
【0055】
前記乾燥工程は、超臨界条件下、好ましくはオートクレーブ中で任意的に行われる。本明細書において、「超臨界条件」という用語は、使用される溶媒が、物理的に定義される臨界点を超えた密度減少により液体状態から気体状態へと変換され、そのために、相の境界を形成することなく層から除去される所定のオートクレーブ容量での圧力−温度−時間のプロフィールであると理解されなければならない。
【0056】
本製造方法の具体的な利点は、典型的なゲルである、ゲル型のナノメートルスケールのポア構造が保持でき、それにより、非常に高度に特異的なコーティング表面が形成されることである。これにより、第一に、充填材からのイオン放出速度にさらに影響し、第二に、テクスチャー加工した多孔性の表面を形成することにより、骨芽細胞または繊維芽細胞等の体細胞の成長に肯定的な影響を与えることが可能になる。
【0057】
本発明の製造方法によれば、希釈により、または、複数の相を提供することにより、コーティングから溶出される活性物質の濃度を、正確に確立することが可能である。複数の相を提供することによりコーティングの効果を高めることができるのは、より多量の活性物質を提供できるからである。単一および/または二つの層のコーティングが好ましい。
【0058】
本発明によれば、前述の工程(a)から(d)を繰り返すことにより、すなわち、前記混合物を提供し、前記調製物を調製し、前記調製した調製物をインプラントに適用し、前記適用したコーティングを乾燥する工程を、一つまたは複数の追加の層が前記インプラント上に製造されるように、一度以上行うことにより、多数の層のコーティングが製造される。前記インプラントを100〜1,000℃の温度に熱する工程は、前述の方法の工程が完了する度に、または、前記製造方法の終了時に一度、任意的に行ってよい。
【0059】
前記充填材または活性物質もまた、多数の層のコーティングの場合、各々のコーティング中に均一に分散される。
【0060】
下記にいくつか実施例を記載するが、これによって本発明は何ら制限されない。
【0061】
実施例中の下記の図面には、参考例が記載されている。
【実施例】
【0062】
[実施例1]
ヒドロキシアパタイト充填材によるコーティング
69.5gのテトラブトキシチタネートを、室温で、500gのn−ブタノールに溶解させ、2時間攪拌した。つぎに、提供されたゾルの全重量(569.5g)を基準として、17.1g(3重量%に相当)の市販のリン酸カルシウムパウダー(Merck社、D50<2μm)を少しずつ添加した。1重量%の分散剤(DB194、無水物、Byk Chemie社、ウェーゼル)を、分散目的で添加し、さらに2時間攪拌した。
【0063】
つぎに、ガラス試料を1.5mm/sの抜去速度で浸漬することによって、前記試料をコーティングした。それを室温で1時間乾燥させ、前記コーティングを500℃で10分間、セラミック化(焼成)した。前記コーティングの電子顕微鏡写真を図2(b)に示す。
【0064】
3重量%のリン酸カルシウムパウダーに代えて、1重量%および8重量%のリン酸カルシウムパウダーを含む調製物を、上述の記載に従って調製し、ガラスに適用した。図2(a)および図2(c)は、それぞれ、1重量%および8重量%のリン酸カルシウムパウダーのコーティングの電子顕微鏡写真である。
【0065】
前述で明記した実施例1にしたがって、コーティングを、TiA16V4、チタニウム、ステンレスおよびプラスチック材料ポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)に適用した。セラミック化の工程は、前記PMMAコーティングにおいては省いたが、その代わり、乾燥工程後に120℃で1時間焼きなました。
【0066】
[実施例2]
酸化チタニウム充填材によるコーティング
41.7gのテトラブトキシチタネートを、室温で、300gのn−ブタノール中に溶解させ、2時間攪拌した。提供されたゾルの全重量(569.5g)を基準として、1.71g(0.5重量%に相当)、10.26g(3重量%に相当)および20.52g(6重量%に相当)の市販のリン酸カルシウムパウダー(Alfa Aesar社、カルルスルーエ;D50:0.3μm)を少しずつ添加した。1重量%の分散剤(DB194、無水物、Byk Chemie社、ウェーゼル)を分散の目的で添加し、さらに2時間攪拌した。
【0067】
つぎに、1.5mm/sの抜去速度で浸漬することによって、前記ガラス試料をコーティングした。つぎに、それを室温で1時間乾燥させ、前記コーティングを500℃で10分間、セラミック化した。前述で明記した実施例2にしたがって、コーティングを、TiA16V4、チタニウム、ステンレス、酸化ジルコニウムおよびプラスチック材料ポリメチルメタクリル樹脂(PMMA)に適用した。前記セラミック化工程は、前記PMMAコーティングにおいては省いたが、その代わり、前記乾燥工程後に120℃で1時間焼きなました。
【0068】
[実施例3]
作用機序の記述
パウダー充填コーティングの作用機序を明らかにするために、実施例1に従って、ガラス基材(板状、直径14.5mm)に、異なる量の市販カルシウムパウダー(Merck社、D50<2μm)を含むコーティングを提供した。一方は、生理的条件下でのカルシウム放出を決定し、他方は、得られた表面上での細胞増殖を、充填したパウダーの機能として決定した。
【0069】
カルシウム量の測定
光度計試験によってカルシウム濃度を決定した。これは、O−クレゾールフタレインコンプレクソン(CPC、Fa.Fluka社)がアルカリpHでカルシウムと反応することによる複合体の形成に関与している。形成された色素複合体の紫色は、575nmの吸光度で測定した。CPC試薬は、以下のように調製した。625mgの8−ヒドロキシキノリン(Fluka社)を25mlのジメチルスルホキシド(Serva社)に溶解し、つぎに、10mgのO−CPCおよび250μlの36%塩酸(Fluka社)を添加し、250mlの蒸留水を追加した。ジメチルアミン緩衝液を調製するために、2mlのジメチルアミンおよび25mgの塩化カリウムを40mlの蒸留水に溶解し、つぎに体積が50mlになるように蒸留水を追加した。試験のために、50μlのサンプル、標準品およびブランク(純粋な溶解緩衝液)を、2.5mlのPSマイクロセル(Brand社)に提供し、960μlの蒸留水を添加した。つぎに、1mlのCPC試薬および1mlのジエチルアミン緩衝液を各ケースにおいてピペットを用いて添加、混合し、そして、5分間のインキュベーション後、分光光度計(Beckmann Coulter社)で測定した。濃度を測定するために、カルシウム標準品を用いた。
【0070】
細胞試験の条件
培養用培地:90% PRMI1640(=2.05mmol/L グルタミン含有血清)、10% FCS(ウシ胎仔血清);インキュベーション:48時間、37℃、5% 二酸化炭素、静置培養、暗条件)
細胞系:MC3T3−E1(マウス胎仔骨芽細胞)
培養器:24ウェルペトリディッシュ、ポリスチレン製
接種数:120,000細胞/mlおよびウェル、G1期
【0071】
細胞増殖:トリプシン処理(300μlのトリプシン/EDTA)を37℃の培養振盪器中で8分間行い、酵素反応は、700μlの培養用培地を入れて止めた。細胞数は、コールター・カウンターで測定した。
ミトコンドリア活性:WST試験(Roche社、マンハイム)を行った。
【0072】
図3は、放出されるカルシウム量が、充填したパウダーに比例して増えることを示す。これはまた、前記充填材がマトリックス中に機械的に固定された状態で結合しているにも関わらず、周囲の媒質との交換が起こり、活性成分が、ゾル−ゲルマトリックス内で活性化していることを示す。カルシウムイオンの放出(図3)と細胞試験(図4)との比較により、前記コーティングからのカルシウム放出と細胞増殖が比例関係にあることが明確に示された。6重量%以上のパウダー量では、飽和状態に達し、細胞増殖はそれ以上刺激されなかった。しかし、プラトーに達することにより、前記効果は、放出されたカルシウムイオンにのみ関連し、パウダー量の違いによって生じた形態変化には関連しないことが示された。なぜなら、そうでなければ、6重量%と8重量%との間で、細胞数の有意な増加が観察されたからである。
【0073】
図6は、細胞数の変化およびミトコンドリア活性を、導入したパウダー量の関数として示す。酸化チタニウム充填材の場合、活性物質は全く放出されていないので、細胞増殖の度合いの違いは、本発明においては、表面形態の変化によって起こった。異なる表面のテクスチャーを、図5に示す。6重量%の酸化チタニウム充填材による充填度合いでは、均一な表面を形成できないので、細胞数およびミトコンドリア活性は、3%のパウダーしか充填していないサンプルと比較すると、濃度に応じて細胞数およびミトコンドリア活性が減少した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントにおける粒子が充填された酸化金属コーティングの製造方法であって、
(a)有機溶媒と有機金属前駆体との混合物を提供する工程、
(b)調製物を調製するために、工程(a)の前記混合物に、粒子サイズが0.01〜10μmである粒子状の充填材を添加する工程、
(c)工程(b)で調製された調製物を、インプラントにコーティングを提供するために、前記インプラントに適用する工程、および、
(d)前記適用したコーティングを乾燥する工程
を含み、
前記工程(b)における前記調製物の調製時に、前記粒子状の充填材は、前記工程(a)の前記混合物の前記前駆体材料および前記溶媒の全重量を基準として、重量割合が15%を超えないことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記混合物が、さらに、水および/または鉱酸、好ましくは硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、有機酸、好ましくはクエン酸、トリフルオロ酢酸もしくは酢酸、または、それらの混合物を含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記混合物が、さらに分散剤を含む請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記溶媒が、C〜Cの直鎖状もしくは分枝状アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびtert−ブタノール、または、環状、芳香族もしくは複素環式芳香族の炭化水素、好ましくはベンゼンもしくはトルエン、またはそれらの混合物である請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記有機金属前駆体が、多座配位型金属原子、ならびに、酸素原子およびRによって金属原子と配位する−ORリガンドを有する有機金属化合物であり、Rが、1つ以上の酸素および/または窒素原子が任意的に挿入且つ/または置換されたC〜Cのアルキル基またはアルキレン基である請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記有機金属前駆体が、テトラエトキシチタネート、テトラ(n−プロポキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チタネート、テトラ(イソブトキシ)チタネート、テトラ(tert−ブトキシ)チタネート、テトラエトキシオルトケイ酸塩、テトラ(n−ブトキシ)オルトケイ酸塩、テトラ(イソブトキシ)オルトケイ酸塩およびテトラ(tert−ブトキシ)オルトケイ酸塩からなる群から選択される請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記有機金属前駆体の前記金属原子が、チタニウム、シリコン、アルミニウムおよびジルコニウム元素から選択される請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記充填材が、金属から形成され、好ましくは銅もしくは銀、金属合金、好ましくは真鍮、プラスチック材料、ガラスおよびガラスセラミック、好ましくは生理的条件下で溶解するガラスおよびガラスセラミック、セラミック、好ましくは酸化チタニウムまたはリン酸カルシウム、特に好ましくはヒドロキシアパタイト、複合材料、難溶性塩および/またはこれらの材料の組合せである請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(b)における前記調製物中の充填材量が、前記有機金属前駆体および前記溶媒の混合物の全重量を基準として15重量%以下であり、好ましくは0.005〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜8重量%である請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記充填材が、生理的条件下で活性物質を放出可能性のある請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記活性成分が、イオンであり、好ましくはカルシウム、亜鉛、銀、銅もしくはマグネシウムイオン、または、治療活性物質、好ましくは抗生物質である請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記インプラントが、カテーテル、骨形成材、人工器官、外部固定器、内部固定器、爪、ねじもしくはワイヤー、心臓弁、人工血管もしくはシャント、顔面手術/プラスチックインプラント、中耳インプラントまたは歯科インプラントである請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記インプラントが、金属、金属合金、ガラス、セラミック、プラスチック材料、複合材料または骨代替材料である請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記金属または金属合金が、チタニウム、鋼鉄、鉄、鋼鉄、鉄、チタニウム、および/もしくはCoCr合金、好ましくはTiAl6V4もしくはTiAl6Nb7、骨形成鋼鉄、好ましくはAISI316L、
または、前記プラスチック材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリアミド類、ポリウレタン類、ポリシロキサン類、ポリシロキサンエラストマー類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリスルホン、ポリサッカライドおよび/もしくはポリラクチド類等であることを特徴とする請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
前記適用が、浸漬コーティング、回転コーティング、ドクターブレード法による適用、印刷もしくは塗布である請求項1から14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記乾燥工程が、空気中、不活性ガス中、好ましくは窒素ガス中もしくは希ガス中、または超臨界乾燥条件下で行われる請求項1から15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記工程(d)後、適用した前記コーティングを、さらなる工程(e)において、100〜1000℃で加熱し、好ましくは200〜800℃、最も好ましくは400〜600℃である請求項1から16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記工程(b)の前記調製物をゾル形態で適用し、前記充填材が均一に分散された前記ゾルが、前記工程(c)における適用工程の間またはその後に、前記充填材が均一に分散されたゲルに変化する請求項1から17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記工程(d)の前記乾燥工程および前記工程(e)の任意の加熱工程の後、層の厚みが50〜1000nm、好ましくは50〜500nm、より好ましくは150〜300nmとなる層の厚みを得るために、前記工程(b)の前記調製物が適用される請求項1から18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記工程(b)〜(d)および前記任意の工程(e)が、複数回行われる請求項1から19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(b)による前記調製物の前記充填材量が、異なるコーティングが異なる濃度の充填材を含むように、各回で異なる請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
適用された異なる前記コーティングが異なる充填材を含む請求項20または21記載の製造方法。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の製造方法により製造できるコーティングを有するインプラント。
【請求項24】
前記コーティングに含まれる前記活性物質が、生理的条件下で周囲の媒質に溶出可能であることを特徴とする請求項23記載のインプラント。
【請求項25】
前記層の厚みが50〜1000nm、好ましくは50〜500nm、より好ましくは150〜300nmである請求項23または24記載のインプラント。
【請求項26】
前記各コーティングにおいて、前記充填材が、均一に分散されている請求項23から25のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項27】
前記コーティングに含まれる前記充填材が、カルシウム、亜鉛、銀、銅、マグネシウムイオンを含む請求項23から26のいずれか一項に記載のインプラント。
【請求項28】
患者への移植のための、請求項23から27のいずれか一項に記載のインプラントの使用。
【請求項29】
獣医学分野における移植のための、請求項23から27のいずれか一項に記載のインプラントの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−501309(P2010−501309A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526115(P2009−526115)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059115
【国際公開番号】WO2008/025840
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(505097734)ビオサー−エントヴィックルングス−ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】