説明

インホイールモータ駆動装置

【課題】飛び石等による破損の心配がなく、加工も容易な冷却及び内部潤滑油の流路を有するインホイールモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】車輪の駆動力を発生するモータ部Aを前記車輪内に有するインホイールモータ駆動装置において、内部冷却用の冷却水路又は潤滑油用の油路の流路を構成する配管61、62を、前記モータ部Aのハウジング22にインサート成形により形成したものであり、前記ハウジング22は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属の鋳造品からなり、前記配管61、62は、鋳造の際に、配管となるパイプ材を鋳込んで形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インホイールモータ駆動装置、特に装置の冷却及び内部潤滑油の流路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインホイールモータ駆動装置101は、例えば、特開2009−174593号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
図6に示すインホイールモータ駆動装置101は、モータ側回転部材106を回転駆動するモータ部103と、前記モータ側回転部材106の回転を減速して車輪側回転部材108に伝達する減速部105と、前記車輪側回転部材108に固定連結される車輪ハブ109を有する車輪ハブ軸受部104とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−174593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記インホイールモータ駆動装置101には、通常、内部冷却用の冷却水路107及び潤滑油用の油路110が必要である。
【0006】
従来、内部冷却用の冷却水路107及び潤滑油用の油路110は、モータ部103のハウジング102を後加工することにより形成しているが、冷却水路107や油路110の形成には、加工工数が掛かり、冷却水路107や油路110の流路が細い場合には、加工が困難である。
【0007】
また、モータ部103のハウジング102の外部の外周面に、流路を形成した場合には、飛び石、接触等で、流路を形成する配管が破損して、液体が流出する恐れがある。
【0008】
そこで、この発明は、飛び石等による破損の心配がなく、加工も容易な冷却及び内部潤滑油の流路構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、この発明は、車輪の駆動力を発生するモータ部を前記車輪内に有するインホイールモータ駆動装置において、内部冷却用の冷却水路又は潤滑油用の油路の流路を構成する配管を、前記モータ部のハウジングにインサート成形により形成したものである。
【0010】
前記ハウジングは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属の鋳造品からなり、前記配管は、鋳造の際に、配管となるパイプ材を鋳込んで形成することができる。
【0011】
前記配管は、モータ部の冷却用の液体が流れる冷却用配管として使用することができる。
【0012】
冷却用配管は、モータ部の外部に連通させることができる。
【0013】
冷却用配管は、モータ部のハウジングの円周方向に1周又は螺旋状に配置することが好ましい。
【0014】
前記配管は、潤滑油が流れる潤滑用配管としても使用することができる。
【0015】
前記潤滑用配管は、モータ部の冷却用としても使用することができる。
【0016】
前記潤滑用配管は、装置外部に連通させずに、装置内部で循環するように設ける。
【0017】
前記潤滑用配管は、径方向及び車軸方向に配置する。
【0018】
前記冷却用配管と潤滑用配管は、片方のみを設けてもよいが、両方を設けることが好ましい。
【0019】
前記潤滑用配管内の潤滑油を循環させる内蔵ポンプが装置内に設置することが好ましい。
【0020】
内蔵ポンプの回転数が、モータ部の減速部を備えないものにおいては、モータ部の回転数と同一で、モータ部の減速部を備えるものにおいては、モータ部の回転数と異なるように設定される。
【発明の効果】
【0021】
この発明は、以上のように、内部冷却用の冷却水路又は潤滑油用の油路の流路を構成する配管を、前記モータ部のハウジングにインサート成形により形成しているので、飛び石等の破損の心配がなく、細い流路のものも簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の概略断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置にインサート成形される冷却用配管の全体図である。
【図3】インホイールモータ駆動装置を有する電気自動車の概略平面図である。
【図4】図3の電気自動車後方から見た図である。
【図5】図1の実施形態の減速部の概略縦断面図である。
【図6】従来のインホイールモータ駆動装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車11は、図3に示すように、シャーシ12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、左右の後輪14それぞれに駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを備える。後輪14は、図4に示すように、シャーシ12のホイールハウジング12aの内部に収容され、懸架装置(サスペンション)12bを介してシャーシ12の下部に固定されている。
【0024】
懸架装置12bは、左右に伸びるサスペンションアームによって後輪14を支持すると共に、コイルスプリングとショックアブソーバとを含むストラットによって、後輪14が地面から受ける振動を吸収してシャーシ12の振動を抑制する。さらに、左右のサスペンションアームの連結部分には、旋回時等に車体の傾きを抑制するスタビライザーが設けられる。なお、懸架装置12bは、路面の凹凸に対する追従性を向上し、駆動輪の駆動力を効率良く路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させることができる独立懸架式とするのが望ましい。
【0025】
この電気自動車11は、ホイールハウジング12a内部に、左右の後輪14それぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャーシ12上にモータ、ドライブシャフト、およびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の駆動輪の回転をそれぞれ制御することができるという利点を備えている。
【0026】
一方、この電気自動車11の走行安定性を向上するために、ばね下重量を抑える必要がある。また、さらに広い客室スペースを確保するために、インホイールモータ駆動装置21の小型・軽量化が求められる。
【0027】
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させるモータ部Aと、モータ部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bからの出力を駆動輪14に伝える車輪ハブ軸受部Cとを備え、図4に示すように電気自動車11のホイールハウジング12a内に取り付けられる。
【0028】
前記モータ部Aのハウジング22は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属の鋳造品であり、鋳造の際に、インサート成形によりパイプ材を鋳込み、内部冷却用の冷却水路又は潤滑油用の油路の流路を構成する配管を形成している。
【0029】
前記配管は、モータ部Aの冷却用の液体が流れる冷却用配管61と、潤滑油が流れる潤滑用配管62とからなる。
【0030】
冷却用配管61は、モータ部Aの外部に連通するように、ハウジング22から外部に引き出されている。
【0031】
冷却用配管61は、モータ部Aのハウジング22の円周方向に配置され、一周よりも、図2に示すように、螺旋状に配置することが好ましい。
【0032】
前記潤滑用配管62は、モータ部Aの冷却用として使用することもできる。
【0033】
前記潤滑用配管62は、装置外部に連通させずに、装置内部で循環するように設けている。
【0034】
前記潤滑用配管62は、径方向及び車軸方向に配置されている。
【0035】
前記潤滑用配管62内の潤滑油は、内蔵ポンプ51によって循環している。
【0036】
内蔵ポンプ51の回転数は、モータ部Aの減速部Bを備えないものにおいては、モータ部Aの回転数と同一に設定されるが、実施形態のようにモータ部Aの減速部を備えるものにおいては、モータ部Aの回転数と異なるように設定される。
【0037】
モータ部Aは、モータ部Aのハウジング22に固定されるステータ23と、ステータ23の内側に径方向の隙間を空けて対向する位置に配置されるロータ24と、ロータ24の内側に固定連結されてロータ24と一体回転するモータ側回転部材24bとを備えるラジアルギャップモータである。モータ側回転部材24bは、モータ部Aのハウジング22に対して転がり軸受36a、36bによって回転自在に支持されている。
【0038】
モータ側回転部材24bは、モータ部Aの駆動力を減速部Bに伝達するためにモータ部Aから減速部Bにかけて配置されている。モータ側回転部材24bは、中空構造で、減速部Bの入力軸25が嵌合固定され、入力軸25には偏心部25a、25bが設けられている。2つの偏心部25a、25bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消し合うために、180°位相を変えて設けられている。
【0039】
減速部Bは、偏心部25a、25bに回転自在に保持される公転部材としての曲線板26a、26bと、減速部ハウジング22b上の固定位置に保持され、曲線板26a、26bの外周部に係合する外周係合部材としての複数の外ピン27と、曲線板26a、26bの自転運動を車輪側回転部材28に伝達する運動変換機構と、偏心部25a、25bに隣接する位置にカウンタウェイト29とを備える。また、減速部Bには、減速部Bに潤滑油を供給する減速部潤滑機構が設けられている。
【0040】
車輪側回転部材28は、フランジ部28aと軸部28bとを有する。フランジ部28aの端面には、車輪側回転部材28の回転軸心を中心とする円周上の等間隔に内ピン31を固定する穴が形成されている。また、軸部28bはハブ輪32に嵌合固定され、減速部Bの出力を車輪14に伝達する。車輪側回転部材28のフランジ部28aと入力軸25とは、転がり軸受36cによって回転自在に支持されている。
【0041】
曲線板26a、26bは、図5に示すように、外周部にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形を有し、一方側端面から他方側端面に貫通する複数の貫通孔30aを有する。貫通孔30aは、曲線板26a、26bの自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、後述する内ピン31を受入れる。また、貫通孔30bは、曲線板26a、26bの中心に設けられており、偏心部25a、25bに嵌合する。
【0042】
曲線板26a、26bは、転がり軸受41によって偏心部25a、25bに対して回転自在に支持されている。この転がり軸受41は、偏心部25a、25bの外径面に嵌合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪部材と、曲線板26a、26bの貫通孔30bの内径面に直接形成された外側軌道面と、内側軌道面および外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ44と、隣接する円筒ころ44の間隔を保持する保持器(図示省略)とを備える円筒ころ軸受である。
【0043】
外ピン27は、入力軸25の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられる。曲線板26a、26bが公転運動すると、曲線形状の波形と外ピン27とが係合して、曲線板26a、26bに自転運動を生じさせる。ここで、外ピン27は、針状ころ軸受によって減速部ハウジング22bに対して回転自在に支持されている。これにより、曲線板26a、26bとの間の接触抵抗を低減することができる。
【0044】
カウンタウェイト29は、円板状で、中心から外れた位置にモータ側回転部材25と嵌合する貫通孔を有し、曲線板26a、26bの回転によって生じる不釣合い慣性偶力を打ち消すために、各偏心部25a、25bに隣接する位置に偏心部と180°位相を変えて配置される。
【0045】
運動変換機構は、車輪側回転部材28に保持された複数の内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成される。内ピン31は、車輪側回転部材28の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に設けられており、その軸方向一方側端部が車輪側回転部材28に固定されている。また、曲線板26a、26bとの摩擦抵抗を低減するために、曲線板26a、26bの貫通孔30aの内壁面に当接する位置に針状ころ軸受が設けられている。
【0046】
貫通孔30aは、複数の内ピン31それぞれに対応する位置に設けられ、貫通孔30aの内径寸法は、内ピン31の外径寸法(「針状ころ軸受を含む最大外径」を指す。以下同じ。)より所定分大きく設定されている。
【0047】
減速部潤滑機構は、減速部Bに潤滑油を供給するものであって、潤滑油路52と、潤滑油給油口53と、潤滑油排出口54と、潤滑油貯留部55と、内蔵ポンプ51とを備える。
【0048】
潤滑油路52は、入力軸25の内部を軸線方向に沿って延びている。また、潤滑油供給口53は、偏心部25a、25bに設けられている。
【0049】
また、減速部Bの位置における減速部ハウジング22bの少なくとも1箇所には、減速部Bの内部の潤滑油を排出する潤滑油排出口54が設けられている。また、潤滑油排出口54と潤滑油路52とを接続する潤滑用配管62がモータ部Aのハウジング22の内部に設けられている。そして、潤滑油排出口54から排出された潤滑油は、潤滑用配管62を経由して潤滑油路52に還流する。
【0050】
車輪ハブ軸受部Cは、車輪側回転部材28に固定連結された車輪14を取付けるハブ輪32と、ハブ輪32を減速部Bのケース22bに対して回転自在に保持する固定輪33とを備える。ハブ輪32は、円筒形状の中空部32aとフランジ部32bとを有する。フランジ部32bにはボルト32cによって車輪14が固定連結される。また、車輪側回転部材28の軸部28bの外径面にはスプラインおよび雄ねじが形成されている。また、ハブ輪32の中空部32aの内径面にはスプライン穴が形成されている。そして、ハブ輪32の内径面に車輪側回転部材28を螺合し、先端をナット32dでとめることによって、両者を締結している。
【0051】
ハブ輪32は、中空部32aの外面に車輪取付けフランジ32bが一体形成されている。中空部32aの車両アウター側の外径面には、アウター側軌道面が一体に形成され、中空部32aの車両インナー側の外径面に、外面にインナー側軌道面を有する内輪32eを嵌合している。
【0052】
固定輪33は、内周面に、ハブ輪32のアウター側軌道面とインナー側軌道面に対向するアウター側軌道面とインナー側軌道面を有し、外周面に、固定用フランジ33aを有する。
【0053】
ハブ輪32と固定輪33の対向するアウター側軌道面とインナー側軌道面間には、複列の玉34が収容されている。
【0054】
固定輪33の固定用フランジ33aと減速部ハウジング22bとは、ボルト71によって締結されている。また、減速部ハウジング22bとモータ部Aのハウジング22とは、ボルト72によって締結されている。
【0055】
ハブ輪32と固定輪33の対向するアウター側軌道面とインナー側軌道面間には、複列の玉34が収容されている。
【0056】
以下、インホイールモータ駆動装置21の作動原理について説明する。
モータ部Aは、例えば、ステータ23のコイルに交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けて、永久磁石または磁性体によって構成されるロータ24が回転する。これにより、ロータ24にモータ側回転部材24bを介して接続された入力軸25が回転すると、曲線板26a、26bは入力軸25の回転軸心を中心として公転運動する。このとき、外ピン27が、曲線板26a、26bの曲線形状の波形と係合して、曲線板26a、26bを入力軸25の回転とは逆向きに自転運動させる。
【0057】
貫通孔30aに挿通する内ピン31は、曲線板26a、26bの自転運動に伴って貫通孔30aの内壁面と当接する。これにより、曲線板26a、26bの公転運動が内ピン31に伝わらず、曲線板26a、26bの自転運動のみが車輪側回転部材28を介して車輪ハブ軸受部Cに伝達される。
【0058】
このとき、入力軸25の回転が減速部Bによって減速されて車輪側回転部材28に伝達されるので、低トルク、高回転型のモータ部Aを採用した場合でも、駆動輪14に必要なトルクを伝達することが可能となる。
【0059】
なお、前記構成の減速部Bの減速比は、外ピン27の数をZA、曲線板26a、26bの波形の数をZBとすると、(ZA−ZB)/ZBで算出される。図5に示す実施形態では、ZA=12、ZB=11であるので、減速比は1/11と、非常に大きな減速比を得ることができる。
【0060】
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速部Bを採用することにより、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を得ることができる。また、外ピン27および内ピン31に針状ころ軸受を設けたことにより、曲線板26a、26bとの間の摩擦抵抗が低減されるので、減速部Bの伝達効率が向上する。
【0061】
前記の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21を電気自動車11に採用することにより、ばね下重量を抑えることができる。その結果、走行安定性に優れた電気自動車11を得ることができる。
【0062】
また、前記の実施形態においては、潤滑油供給口53を偏心部25a、25bに設けた例を示したが、これに限ることなく、入力軸25の任意の位置に設けることができる。ただし、転がり軸受41に安定して潤滑油を供給する観点からは、潤滑油供給口53は偏心部25a、25bに設けるのが望ましい。
【0063】
また、前記の実施形態においては、減速部Bの曲線板26a、26bを180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
【0064】
また、前記の実施形態における運動変換機構は、車輪側回転部材28に固定された内ピン31と、曲線板26a、26bに設けられた貫通孔30aとで構成される例を示したが、これに限ることなく、減速部Bの回転を車輪ハブ32に伝達可能な任意の構成とすることができる。例えば、曲線板に固定された内ピンと、車輪側回転部材に形成された穴とで構成される運動変換機構であってもよい。
【0065】
なお、前記の実施形態における作動の説明は、各部材の回転に着目して行ったが、実際にはトルクを含む動力がモータ部Aから駆動輪に伝達される。したがって、上述のように減速された動力は高トルクに変換されたものとなっている。
【0066】
また、前記の実施形態における作動の説明では、モータ部Aに電力を供給してモータ部Aを駆動させ、モータ部Aからの動力を駆動輪14に伝達させたが、これとは逆に、車両が減速したり坂を下ったりするようなときは、駆動輪14側からの動力を減速部Bで高回転低トルクの回転に変換してモータ部Aに伝達し、モータ部Aで発電しても良い。さらに、ここで発電した電力は、バッテリーに蓄電しておき、後でモータ部Aを駆動させたり、車両に備えられた他の電動機器等の作動に用いたりしてもよい。
【0067】
また、前記の各実施形態においては、モータ部Aにラジアルギャップモータを採用した例を示したが、これに限ることなく、任意の構成のモータを適用可能である。例えばハウジングに固定されるステータと、ステータの内側に軸方向の隙間を空けて対向する位置に配置されるロータとを備えるアキシアルギャップモータであってもよい。
【0068】
また、前記の各実施形態においては、減速部Bにサイクロイド減速機構を採用したインホイールモータ駆動装置21の例を示したが、これに限ることなく、任意の減速機構を採用することができる。例えば、遊星歯車減速機構や平行軸歯車減速機構等が該当する。また、この発明は、減速機がないインホイールモータユニット(モータダイレクト駆動)においても適用可能である。
【0069】
さらに、図3に示した電気自動車11は、後輪14を駆動輪とした例を示したが、これに限ることなく、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等をも含むものとして理解すべきである。
【0070】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
21 インホイールモータ駆動装置
A モータ部
B 減速部
C 車輪ハブ軸受部
22 ハウジング
22b 減速部ハウジング
32 ハブ輪
33 固定輪
51 内蔵ポンプ
61 冷却用配管
62 潤滑用配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の駆動力を発生するモータ部を前記車輪内に有するインホイールモータ駆動装置において、内部冷却用の冷却水路又は潤滑油用の油路の流路を構成する配管が、前記モータ部のハウジングにインサート成形により形成されているインホイールモータ駆動装置。
【請求項2】
前記ハウジングが軽金属の鋳造品からなり、鋳造の際に、配管となるパイプ材を鋳込んだことを特徴とする請求項1記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項3】
前記配管が、モータ部の冷却用の液体が流れる冷却用配管として使用されている請求項1又は2記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項4】
冷却用配管がモータ部の外部に連通している請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項5】
冷却用配管が、モータ部のハウジングの円周方向に1周又は螺旋状に配置されている請求項3又は4に記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項6】
前記配管が、潤滑油が流れる潤滑用配管として使用されている請求項1又は2記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項7】
前記潤滑用配管が、モータ部の冷却用としても使用されている請求項6に記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項8】
前記潤滑用配管は、装置外部に連通させずに、装置内部で循環するように設けている請求項6又は7記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項9】
前記潤滑用配管は、径方向及び車軸方向に配置されている請求項6〜8のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項10】
前記冷却用配管と潤滑用配管の両方が設置されている請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項11】
前記潤滑用配管内の潤滑油を循環させる内蔵ポンプが装置内に設置されている請求項6〜10のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
【請求項12】
内蔵ポンプの回転数が、モータ部の減速部を備えないものにおいては、モータ部の回転数と同一で、モータ部の減速部を備えるものにおいては、モータ部の回転数と異なるように設定されている請求項6〜11のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171420(P2012−171420A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33703(P2011−33703)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】