説明

ウィンドウおよびドアシステムのための一体化された絶縁押出物と押出技術

一体化された絶縁体を有する押出プラスチックプロファイル材、そのような生成物を押出す方法、およびそのようなプラスチック押出物で作られた窓およびドア。プラスチック押出物は、実質的にIR透過性のアクリルキャップと顔料を含む、低熱蓄積性のキャップストックシステムを含む。一体化された絶縁体を有する押出プラスチックプロファイル材は公知のプラスチック押出技術を使用してリサイクル可能であり、公知の窓およびドア製造において十分に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一体化された絶縁体を有する押し出されたプラスチックプロファイル、およびそのような生成物を押し出すための方法および装置に関する。
【0002】
背景技術
粉砕された木製品は、長期間、明かり採り窓、デッキ、日よけ用ブラインド、シャッター、デッキプレートおよび改造のための基材として使用されてきた。歴史的に、ポンデローザマツ、モミ、レッドウッド、杉、および他の針葉樹の品種の軟材は、住宅内部の窓枠、住宅内部のドア枠、住宅内部のサイディング、外側のデッキ、および外側のシャッターの製造に関して使われてきた。このタイプの木製品には、本来、高い曲げ弾性率、良好なねじ保持特性、容易な加工性(たとえば粉砕特性、切断特性)、容易な塗装性、および長年の低コストという固有の利点がある。また、逆に、このタイプの木製品は、厳しい気候での乏しい耐候性、潜在的な昆虫侵入性(たとえばシロアリ)、および高い熱伝導性が欠点である。さらに、原木資産が不十分になり、対応する高い材料コストを引き起こした。
【0003】
あるいはまた、住宅の窓およびドアフレーム、および商業施設の窓およびドアフレームとして、他の材料、特に押出アルミニウムが使用され、使用され続けている。このタイプの金属製品は、本来高い曲げ弾性率と容易な塗装性という有利な特性を持っているが、高い熱伝導性がまた欠点でもある。
【0004】
粉砕木材製品と押出アルミニウムの両方の高い熱伝導性は、窓類工業(fenestration industry)の窓とドア製品には特に不利であった。住宅ハウジングの増加するエネルギーコスト、エネルギーの使用に関する増大する認識および関心のため、建築基準法、製品検定要件、熱効率のよい住宅ハウジングの窓とドア製品の購買に助成金を支給する奨励プログラムからの政府の規制圧力、および一般市場からのより熱効率の優れた窓とドア製品に対する要求がある。
【0005】
製粉された木製品と金属製品の先に説明した難点に対応して、窓類工業は原料としてポリ塩化ビニル(PVC)を特に採用した。ウィンドウ・フレームに製造された中空でまっすぐな押出し物は、特に低価格端の領域で大きな成功を収めた。まっすぐで中空なPVC(しばしば「ビニル窓」と呼ばれる)から作られた窓フレームとサッシは、塗装されたポンデローザマツ窓、またはアルミニウム押出物と比較して優れた熱伝導率を示した。さらに、発泡された中実のポリマー押出物は、木製窓フレームとサッシを置き換えるために使用された。発泡されたポリマー押出物は、堅さなどの物理的性質の改良、および/または押出物のコストを削減するために、木粉や滑石などの有機または無機のフィラーを含むことができる。
【0006】
押出アルミニウム窓およびドアフレームの高い熱伝導性のため、および直線上の中空PVCから形成されたビニル窓の熱特性をさらに改良するために、窓類工業は押出物の中空な内部の部分に発泡体の断熱材を挿入した。この絶縁は、中空な押出物の内部のポケットまたは部屋(chamber)の中の自由な大気を減少させることによって、窓またはドアフレームの熱特性をかなり改良し、したがって、窓全体の熱特性を改良できる。押出物の部屋の中のこの自由な大気は、押出物の内側の壁と外側の壁との温度差により、キャビティ内の空気の循環を引き起こし、関連する窓からの対流による熱の損失をもたらすため、押出物の壁を通した顕著な熱伝達を引き起こす。中空体中の絶縁体は、この対流による熱伝達を抑えるか、または排除できる。窓またはドアフレーム押出物内のどのポケットまたは部屋がそのような断熱から一番多くの利益を得るかについての決定は、窓押出物および窓の具体的な形状に依存し、熱断熱およびサンプル試験に基づいてケースバイケースで決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に使用された従来技術における発泡断熱材の1つは、しばしばStyrofoamと呼ばれる低密度ブロックポリスチレンに基づく発泡体であり、それは切断又は他の方法で、窓またはドアの枠組押出物の中の希望のポケットまたは部屋にフィットするようなサイズにされる。実質的に部屋をいっぱいにすれば、そのようなポリスチレンブロックは良好な絶縁を示すだろうが、この適切なフィットを達成するのは、重要な不都合をもたらす。窓またはドアの枠組押出物の中のポケットまたは部屋が、標準または規格化されたサイズではないので、通常、ポリスチレンがブロックまたはシートから切断され、スクラップを出したり、絶縁体を浪費することとなる。ポリスチレン断熱材の外側と部屋の間のクリアランスがきつ過ぎる場合には、窓またはドアの枠組押出しの中でポケットまたは部屋にポリスチレン断熱材を挿入するのは難しい場合があるが、絶縁と押出し物との間の大き過ぎる空気ギャップは熱特性を低下させるだろう。したがって、これはかなり労働集約的で高価なプロセスである場合がある。
【0008】
第2の従来技術の発泡断熱材は、低密度、CFCを含まない、半剛体のポリウレタンフォームである。これが典型的には、2つの成分を混ぜる設備を使用する、現場発泡プロセスである。2つの成分の混合物は、絶縁されるべき部屋の中に射出され、膨張する。この従来技術発泡断熱材の例は、ミズーリ州、セントルイスのFutura Coatingsによって販売されるFOAMSEAL(登録商標) P12844/FSAである。このプロセスは、窓またはドアのメーカーの人件費のかかる別の工程である。さらに、ポリスチレンフォームとポリウレタンフォームの両方とも、窓フレームを作る押出アルミニウムまたは直線状PVCとは異なる別々の素材であり、母材をリサイクルすることをより難しくする。
【0009】
前記のように、木枠とサッシで作られた窓の利点は、容易に任意の色にそれらを染めるか塗料を塗ることができることである。したがって、木枠とサッシの色は、家の外側の色にアクセントをつけるか、または対照をなすように選ぶことができた。従来技術のPVC生成物は、典型的には白、ベージュまたは他の赤外線を容易に吸収しない色でのみ利用可能であり、そのため押出物を歪めるほど十分な熱を蓄積しない。典型的には、これらの単一色の押出物は軽い色合いとパステル色に見え、熱蓄積は問題でなく、また必要される顔料の量は押出物のコストを過度に大きくしない。
【0010】
当然のように、木または押出アルミニウムで利用可能な「ハンターグリーン」や「青銅」などの暗色の窓およびドアプロファイルは、そのような生成物の市場において長く望まれていた大きな利点であった。本明細書において暗色と呼ぶとき、一般に、Lh値が13と40の間にある色をいう。例えば、ASTM4726−02に従えば、焦げ茶色はLhが13から33、ahが−1.0から6.0、bhが1.0から6.5の間の色として定義される。濃緑はAAMA308−02に従えば、Lhが20から40、ahが−20から−2、bhが−2.0から4.0の間の色として定義される。発明者は、赤色はLhが20から30、ahが13から23,bhが6から12の間の色として定義する。
【0011】
中空なビニルプロファイルと中実の発泡ポリマー樹脂押出物に薄いキャップストックレイヤを適用するのは当技術分野で周知である。典型的に、キャップストックレイヤは色づけ、耐候性、費用対効果に優れた外観を達成する目的のために適用される。これは、頻繁に、製造者が低いコストの素材を使用するのを許容して、したがって、全体としての製造コストを削減する。しかしながら、過去においては、PVC中空または発泡押出物に適用できる有用な色スペクトルは、過度の熱蓄積を起こさず、その結果製品の歪みを引き起こさない色および顔料システムに制限されていた。
【0012】
本出願の譲受人は、「暗色の中実または発泡されたプロファイル材のための、低熱蓄積キャップストックおよび押出技術」の名称の同時係属中である米国特許出願11/291、494も譲り受けている。この出願は、NIR反射性ではなく有意にNIR透明性の暗色のキャップストックの製造を可能とし、NIR反射率についてはNIR反射性の基体に頼り、中空なPVC押出物上の暗色のキャップストックを容認する。この出願の開示は本明細書中に参考として援用される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の開示
したがって、本発明の目的は、一体化された発泡断熱材を有する押出物を提供することである。本発明の押出物は、窓類工業における使用に適した第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物を含み、これは少なくとも1つの中空な内部部分を含み、一定の異形断面を有し、不定の長さを有する。第2の熱可塑性樹脂で形成された一体化される絶縁体は、前記の実質的に構造的な押出物の中空部分を満たし、好適な実施例では、この一体化される絶縁体は、発泡され、この発泡体がさらに押出物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含むようにされる。第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂は相溶性(compatible)であり、一緒にリサイクルすることができ、該構造的な押出物と一体化される絶縁体は、押出しダイを通して共押出されて、本発明の押出し物を形成する。より好ましい実施例では、第3の熱可塑性樹脂の暗色のキャップストックを含み、第3の熱可塑性樹脂は有意に太陽の赤外線を伝播し、少なくとも構造的な押出物の一部分をカバーし、暗色のキャップストックは1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満である。代替の実施態様では、よりコストの安い熱可塑性樹脂原料で構造的な押出物の一部分を作るために、第4の熱可塑性樹脂を含む。
【0014】
本発明の更なる目的は、作動的にウィンドウ・フレームにインストールされたガラスパックを含む住宅、または、商業用構造物に使用される窓を提供することである。該ウィンドウ・フレームはさらに上記の段落で説明した本発明の押出物とその実施態様を含む。
【0015】
本発明の更なる目的は、上記の段落に記載された一体化された発泡絶縁体の製造方法を提供することであり、該方法は、窓類工業で構造部品における使用に適している第1の熱可塑性樹脂を第1の押出機に供給し、一体化された絶縁体に適当な第2の熱可塑性樹脂を第2の押出機を供給し、第1の押出機と第2の押出機から押出ダイに排出し、押出物を押し出すことを含み、該押出しダイは窓類工業での使用に適している第1の熱可塑性樹脂で形成された、少なくとも1つの中空部分を有する一定の異形断面を有する不定長さの構造的な押出物を形成し、該構造的な押出物の中空部分を実質的に、第2の熱可塑性樹脂で作られた一体化される絶縁体で満たすことを含む。好適な実施例では、一体化された絶縁体の第2の熱可塑性樹脂は、さらに本発明の押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含むように発泡され、賦形される。更なる好適な実施例では、本発明の方法は、太陽の赤外線を有意に透過する第3の熱可塑性樹脂を第3の押出機へ供給して、第3の押出機から押出しダイに排出し、第3の熱可塑性樹脂が、1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満の厚さの暗色のキャップストックレイヤを、第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物の表面に形成するようにすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の方法で使用されるタイプの押出ラインの正面図である。
【図2】図2は本発明の方法の好適な実施例における使用のためのマルチプレート押出しダイの川下側の分解図である。
【図3】図3は図2に示されていたマルチプレート押出しダイのプレートの1つの様々な熱可塑性樹脂供給原料の流れを示す図である。
【図4】図4は図2に示されていたマルチプレート押出しダイのプレートの1つの様々な供給原料の流れを示す図である。
【図5】図5は図2に示されていたマルチプレート押出しダイのプレートの1つの様々な供給原料の流れを示す図である。
【図6】図6は図2に示されていたマルチプレート押出しダイのプレートの1つの様々な供給原料の流れを示す図である。
【図7】図7は図2に示されていたマルチプレート押出しダイのプレートの1つでの使用のための2つの可能なダイ・オリフィスの断面図である。
【図8】図8は、一体化された絶縁体の代替の実施態様を示す、本発明の押出物の異形断面を示す図である。
【図9】図9は本発明の押出物の好適実施例の実施例の右上方向からの透視図であり、本発明の一体化された絶縁体の有るものと無いものを示す、本発明の押出物の好ましい実施例であり、不定の長さの中央で切断されている。
【図10】図10は本発明の押出物の異なる好適実施例の実施例の右上方向からの透視図であり、本発明の一体化された絶縁体の有るものと無いものを示す、本発明の押出物の好ましい実施例であり、不定の長さの中央で切断されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の最適な実施形態
本発明の押出し物は、窓類工業における使用に適した第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物であって、少なくとも1つの中空な内部の部分を含み、一定の異形断面を有し、不定の長さ(indefinite length)を有する押出物に関する。第2の熱可塑性樹脂で形成された一体化された絶縁体は、実質的に構造的な押出物の中空部分を満たし、好適な実施例では、一体化された絶縁体は発泡され、この発泡体はさらに押出物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含んでいる。第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂は相溶性であり、一緒に再生利用可能であり、構造的な押出物と一体化された絶縁体は、押出しダイを通して共押出され、本発明の押出し物を形成する。さらに好ましい実施態様では、さらに太陽の赤外線を有意に透過する第3の熱可塑性樹脂の暗色のキャップストックを含み、これは少なくとも構造的な押出物の一部分をカバーし、暗色のキャップストックは1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満の厚さを有し、より好ましくは1インチの1000分の4(0.102mm)から1000分の8(0.203mm)の間の厚さを有する。代替の実施態様は、構造的な押出物の一部分を作るために第4の熱可塑性樹脂を含んでいる。
【0018】
上記の段落に記載された一体化された絶縁体押出物の製造方法は、プラスチック押出ラインの使用を必要とし、窓類工業で使用される構造構成要素の使用に適した第1の熱可塑性樹脂を第1の押出機に供給し、一体化された絶縁体に適している第2の熱可塑性樹脂を第2の押出機に供給し、第1および第2の押出機から押出物を押し出す押出ダイに排出することを含む。この押出しダイは窓類工業で使用されるに好適な、第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物を形成し、該押出物は少なくとも1つの中空の内部部分を含み、一定の異形断面を有し、不定の長さで延び、実質的に第2の熱可塑性樹脂で形成された一体化された押出物で、該構造的な押出物の中空部分を実質的に満たす。好適な実施態様では、一体化されたな絶縁体の第2の熱可塑性樹脂は発泡され、さらに本発明の押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含むように賦形される。更なる好適な実施態様では、本発明の方法は、太陽の赤外線を有意に透過する第3の熱可塑性樹脂を第3の押出機へ供給して、第3の押出機から押出しダイに排出し、該構造的な押出物の表面に、1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満の厚さ、好ましくは1インチの1000分の4(0.102mm)から1000分の8(0.203mm)の間の厚さを有する暗色のキャップストックレイヤを形成する。更なる代替の実施態様は、構造的な押出物の部分を作るために第4の押出機で押し出される第4の熱可塑性樹脂を含むことができる。該部分は、たとえば風雨にさらされない構造的な押出物の部分、または住宅または商業施設構造物での使用のために本発明の押出物を窓に製造したときに、典型的には見えない部分構造的な押出物の部分などである。このような場合には、おそらくTi0などの紫外線安定性のために添加物を必要としないので、または色均一性などについての緩められた要求のために、第4の熱可塑性樹脂はそれほど高価でないことができる。
【0019】
上で議論した様々な押出機に加えて、適切な較正装置、引き取り装置、および切断装置が上記の説明した本発明の押出物および方法において必要である。さらに、押出物較正プロセスの間に付与された圧力は、好適な実施例の暗色のキャップストックレイヤを含む顔料系の見かけの色に影響を与えることがある。したがって、また、本発明はそれらの圧力を排除して、したがって生成物が押出機較正装置から出た後に、熱を加えることによって、一貫した視覚的な色を提供する手段を提供する。
【0020】
押出物の熱蓄積性能の調整は本質的には3つの手段で行われる。まず最初に、暗色のキャップストックの厚さは、IR吸収を最小にするように操作される。NIRが最初に暗色のキャップストックを通り抜けて、それが基体で反射された暗色のキャップストックから出てくるからである。また、キャップストックの視覚的な色彩を保存する方法でこの操作をしなければならない。第2に、基体は、必要なIR反射率を提供するように操作され、最も一般的にはTi0の量を操作するが、他の基体成分の寄与も考慮される。第3に、特定のカラーを付与するのに必要である暗色のキャップストックにおける顔料は、それらのNIRの吸収を最小にするために最適化されるべきである。実際には、特定のキャップストック/色/基体の組み合わせについて、機能的な最終生成物をもたらすように、3つの手段のすべてを最適化しなければならない。
【0021】
暗色のキャップストック素材のための好ましくて役に立つ顔料およびキャップ材料の組み合わせは、ラニアカラー社(Lanier Color Company)から利用可能であり、所望のIRと耐候性特性を示すようにされる。すなわち、顔料系が実質的にNIR透過性であり、そのような顔料が以下で議論される本発明の実施例で使用される。暗色のキャップストックのボデイはKaneka社のXM20である。これは押出物グレードのアクリルである。このアクリルは、ASTM D1238で230℃、3.8kg質量で、約13g/10分から20g/10分の間のメルトインデックス値を有する。
この有用なラニア顔料システムはブラック・ベース顔料を使用し、希望の特定の色と彩度(例えば、深緑色または青銅)を達成するために他の顔料を加えることができる。これはカラーハウスと当業者によってよく理解される。色素系が全体として実質的にNIR透過性であれば、個々の顔料はNIR反射性であって透過性であっても良い。好ましいラニア顔料系、または実質的にNIRに対して透過性である代替え物は、本発明における使用に適して、本発明の生成物を達成できる。暗色のキャップストックはソリッドカラーであることができ、または木目調もしくは他のテクスチャーを有する外観であることができる。さらに、同様のNIR透過性の色素系に基づく実質的にNIR透過性のタッチアップペイント(touch-up paints)を、ウィンドウ・フレームの角溶接で発生することがある暗色のキャップストックにおける目立たないかすり傷またはギャップを修理するのに使用できる。
【0022】
発明者は、現在住宅のウィンドウ・フレームで使用されているPVC直線状生成物が、本発明のための適当な構造的な押出物であると信じている。一体化された絶縁体のための適当な配合物は以下の表1に示される。
【0023】
【表1】

【0024】
この配合物に、当業者は典型的に適当な発泡剤を、望ましくは0.4g/cc未満、より望ましくは0.2から0.4g/ccの密度を達成する十分な量を加えるだろう。当業者にはよく知られているように、発泡剤の量とタイプは使用される押出装置、プロセス条件、および具体的な押出物の形状および詳細により決定される。発明者はColor Matrix "Foamazol F-92" を発泡剤として使用していた。
【0025】
図1は本発明のプロセスを実施するのに適当な押出ライン10を示す。本発明のプロセスの実施態様における使用に適する押出ラインは10は少なくとも2つの押出機からなり、それらはプレミキサー16に接続されるフィードカラム14を有する供給ホッパ12を含む主押出機20(第1の押出機)を含む。また、ポート18は発泡剤のような微量成分をフィードカラム14へ添加する。あるいはまた、ホッパー19で直接プレ−ミキサー16にそのような微量成分を加えることができる。プレ−ミキサー16に達する成分は、直接一次押出機20の入り口に送られる。本質的には主押出機のために上で説明したものと同じ特徴を持っている、一体化されたな絶縁押出機(第2の押出機)および、好適な実施例における暗色のキャップストック押出機(第3の押出機)、および更なる実施態様における代替の構造的な押出物押出機(第4の押出機)がさらに開示される。
【0026】
以下で図2を参照してさらにマルチプレートダイアセンブリ22について説明する。マルチプレートダイアセンブリ22は、主押出機20の出口で、主押出機20に動作可能に取り付けられる。参照番号24によって、マルチプレートダイアセンブリ22を出た押出物が示される。押出物24はついで較正装置26に入いる。これはプラスチックのプロファイル(異形材)押出物に使用される通常のタイプのものであり、押出物24の最終形態を作るサイザープレート(sizer plates)と、押出物24を冷却して固めるためのスプレーノズルを有する。
【0027】
押出物24は較正装置26を出た後に、熱処理チューブ28に入いる。熱処理チューブ28は長さ約3フィート(9.45m)のPVCパイプで作ることができ、押出物24がそれを簡単に通り抜けるようなクリアランスを許容する直径であることができる。望ましくは、熱処理チューブ28の入り口と出口では、チューブの中と押出物24の上に熱風を吹き付けるためにライスターヒーター(leister heater)30を備える。あるいはまた、熱処理チューブ28はIR加熱管により、押出物24の外表面を加熱できる。さらに、ライスターヒーター30はヒートガン、IRヒーター、放射線ヒーター、および熱処理チューブ28の内部、したがって押出物24の表面を加熱することができる他の装置で置き替えることができる。押出物24の曲がりが重要ではない場合には、熱の処理チューブ28はライスターヒーター30またはその同等物で置換することができる。熱処理チューブ28は必要に応じて使用され、曲がりを修正したり、以下で説明する表面色問題を修正するために使用され、いつも使用されるというわけではないことが理解されるべきである。押出物24は、当技術分野で長期間使用されている完全に従来の押出装置である、引き取り装置32と切断装置34に続く。
【0028】
熱処理チューブ28の1つの目的は、暗色のキャップストックにおける「ストリーキング(streaking)」の出現を排除するためである。精査すると押出物24の長さ方向に発生する異なる色合いの縞模様がストリーキングである。カラーストリーキングが全くなければ熱の処理チューブ28またはその置き換え物は必要でないことが理解されるべきである。このストリーキングは、暗色のキャップストックの表面で形成されたストレスによって引き起こされると信じられており、キャリブレーションおよびクーリングプロセスにおいて必然的に暗色のキャップストックの表面が較正装置26の内部表面に接触し、その表面部分が最も急速により冷却され、押出物の内部部分が比較的ゆっくり冷却されることによる。このストリーキングは最も典型的には赤い色合いのものである。暗色のキャップストックの表面の熱処理で容易にこのストリーキングを取り除くことができる。また先に説明した熱処理チューブを使用すると、押出物24の全表面を加熱して、その結果、直接押出物24の表面に熱気を吹きつけた場合のような押出物の半面だけを加熱することによって引き起こされる場合がある、押出物24の曲がりまたはお辞儀を防止することができる。押出物24の表面をほぼ約145°F(62.8℃)から150°F(65.6℃)に加熱することにより、本明細書に開示された暗色のキャップストックで観測されたカラーストリーキングを取り除くことができる。またチューブの中へ約225°F(107.2℃)の空気をライスターヒーター30で吹き込むと、所望の145°F(62.8℃)から150°F(65.6℃)へ押出物24の表面温度を上げることがわかった。
【0029】
図2は本発明の方法の好適な実施例における使用のためのマルチプレートダイアセンブリ22の個々のプレートの川下側の分解図である。図2は個々のダイ・プレート36、38、40および42と、本発明の押出し物を製造するための様々な中間プレートからなる、マルチプレートダイアセンブリ22の分解図を示す。そのようなダイの使用方法は熱可塑性樹脂の押出技術における当業者には周知である。図2に示されるマルチプレートダイアセンブリ22は、従来の二軸スクリュー押出機などのような、複数の従来の押出機で使用されることが意図される。それぞれは熱可塑性樹脂供給原料の供給速度を大きくするためのミキサーまたはホッパー、ホッパー内の供給原料混合物の温度を制御するための予熱器とホッパーを接続するための配管を備える。一体化された絶縁体のために第2の熱可塑性樹脂が使用される場合には、任意に、発泡される成分のための発泡剤を導入するための入り口が設けられる。それぞれの押出機の複数のスクリュウの部屋は、一体化された絶縁体押出物の実施態様を製造するために、図2に示される金型プレートの適切な入り口に接続される。
【0030】
図2に最もよく見られるように、上記の押出機のひとつ(図示されない)は、マルチプレートダイアセンブリ22を通して構造的な押出し物を形成するための第1の熱可塑性樹脂の導入のために、導入プレート36に流体的に連通される。図3、4、5、および6は、構造的な押出物を形成するための第1の熱可塑性樹脂の流れと、中空で薄い壁のPVC押出物と組み合わされた一体化された絶縁体を形成する第2の熱可塑性樹脂の流れを示している。
【0031】
マルチプレートダイアセンブリ22のプレート38の中のおよそ中点の流れは図3に示されている。一体化された絶縁体46を形成するために適当な、たとえば表1に記載の配合物である第2の熱可塑性樹脂を導入するための、第2の押出機の出口からの入口44、および構造的な押出物50、52のための第1の熱可塑性樹脂のための入口48が、図2および3に示されている。上で説明したように、構造的な押出物の部分は、低いコストの第4の熱可塑性樹脂から成ることができて、この例示の押出物では第4の押出機から、図示されていない入り口から、入り口44と同様にして50に供給されることができる。52での構造的な押出物の部分、または構造的な押出物50、52のすべてが、マルチプレートダイアセンブリ22の入口48を通って、第1の押出機の出口から供給される。構造的な押出物50、52が流れる複数のチャンネルは、流れを均等化するのを助けるように賦形され、構造的な押出物50、52の内部への一体化された絶縁46の挿入を許容する。
【0032】
マルチプレートダイアセンブリ22のプレート40(図2に示される)の中のおよそ中点の流れは図4に示されている。構造的な押出物50、52が意図している最終形態の形状に大きく近づく。構造的な押出物50、52の内部に、意図している一体化された絶縁体46を見ることができる。
【0033】
マルチプレートダイアセンブリ22のプレート42(図2に示す)の入り口が、一体化された絶縁体46の好適な実施例として図5に示されている。マルチプレートダイアセンブリ22のプレート42(図2に示す)の出口が、一体化された絶縁体46の好適な実施例として図6に示されている。一体化された絶縁体46の典型的な好適な実施例の最終形状は、図9と10の2つの異なったウィンドウ構成要素押出物に示される。一体化された断熱材46は、プレート42り入り口から始まって、図5に示すように「リボン」または「ストランド」のグループに壊れる。図6に示されたように、プレート42の出口では、一体化された絶縁体46は、第2の熱可塑性樹脂の22個の個々のストランドである。一体化された断熱材は、そのような性能が必要ではない場所では、第2の押出機を加えないことで押出物から容易に取り除くことができ、コストを節約できる。これは、さらなるダイまたはツールのコストを要することなく、一体化された絶縁体を含まないコストのより低い押出物のオプションを許容する。
【0034】
この好適な実施態様では、図6に最もよく示されるように、一体化された絶縁体46の個々のストランドは発泡剤のため、およびマルチプレートダイアセンブリ22のプレート42での出口での低い圧力のため膨張する。好適な実施態様では、一体化された絶縁体46の個々のストランドはそれらが互いに一杯になり、網目状になるまで膨張する。ここで押出物の長さ方向に延びる一連のエアポケット54を、一体化された発泡絶縁体中に残すことができる。一体化された絶縁体46の流れが大きすぎるか、または発泡が激しすぎる場合には、ストランドは互いに強く押し合い、エアポケットが残らないだろう。
【0035】
図7はマルチプレートダイアセンブリ22のプレート42の内部の様子の、部分的な断面図を示している。入り口の側は左側の56に示され、出口側は58で示される。プレート42を通る一体化された絶縁体46の個々のストランドの流れを示している。出口オリフィスのサイズは60で示され、望ましくは、0.08(2.03mm)から0.10インチ(2.54mm)であり、オリフィスは典型的には構造的な押出物50、52の壁から0.08(2.03mm)から0.10インチ(2.54mm)離れている。示された左側のバージョンは、典型的には「発泡していない」バージョンと呼ばれ、一体化された絶縁体46の個々のストランドの最大の流れを許容する。右側のバージョンには、ダイの壁と平行な部分であるダイ・ランド62がある。そのようなダイ・ランド62は、一体化された絶縁体46の個々のストランドへの抗力を大きくするのに役立ち、プレート42を通る流速を低下させる。ダイ・ランド62を短くすることによって、一体化された絶縁体46の個々のストランドの流れを大きくすることができ、マルチプレートダイアセンブリ22の「チューニング」を許容し、図9と10に示されるエアポケット54の形成と保持を許容する。
【0036】
発明者は、0.08(2.03mm)から0.10インチ(2.54mm)の間のオリフィスと、0.08(2.03mm)から0.10インチ(2.54mm)離れたマルチプレートダイアセンブリ22のプレート42を出た一体化された絶縁体46の個々のストランドが、0.05(1.27mm)〜0.2(5.08mm)インチのダイ・ランドを必要とすることを見いだした。ダイ・ランドの前のオリフィスの角度が重要であることは知られていなかった。
【0037】
図8は可能な一体化された絶縁体46の2つの代替の実施態様を示している。エアポケットを残して、部分的に一緒になった個々のストランドを押出すことの代わりに、ダイ・プレート内のオリフィスは幅の狭いスロットであるだろう。複数のエアポケットと一体化された絶縁体46の全体としての低密度であることを許容するために、これらのスロットを配置できる。
【0038】
構造的な押出物50、52と一体化された絶縁体は、標準の中空なPVC押出物絶縁体を一緒に粉砕することにより容易にリサイクルすることができ、粉砕された素材にアスピレータを使用することにより、実質的に低密度の一体化された絶縁体を回収できる。再生されて実質的に均一な構造的な押出物素材は、押出プロセスで、再利用できる。
【0039】
本発明のプロセスと押出物の一体化された絶縁体46は、実質的に商業的に利用可能なポリエチレンとポリウレタン絶縁体生成物に匹敵するか、または凌駕している。本発明の押出物と三重の板ガラスパックで作られた窓は、実質的に0.3U−要素の現在のEnergyStar(登録商標)の要求を超えている0.15U−要素R6.5の窓であった。完成状態の窓への本発明の押出物の製造は、実質的により良い性能を提供する一方、標準の中空PVCの窓の製造方法の工程の追加や変更を要求しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓類工業における使用に適した第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物であって、少なくとも1つの中空な内部部分を含み、一定の異形断面を有し、不定の長さを有する構造的な押出物、
前記の構造的な押出物の中空部分に実質的に満たされた、第2の熱可塑性樹脂で形成された一体化される絶縁体、
ここで第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂は相溶性であり、一緒にリサイクルすることができ、該構造的な押出物と一体化される絶縁体は、押出しダイを通して共押出される、一体化された絶縁体を含む押出物。
【請求項2】
一体化された絶縁体の第2の熱可塑性樹脂が発泡され、さらに押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含む、請求項1記載の一体化された絶縁体を含む押出物。
【請求項3】
熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂が塩化ポリビニル(PVC)樹脂で構成される、請求項2記載の一体化された絶縁体を含む押出物。
【請求項4】
有意に太陽の赤外線を伝播する第3の熱可塑性樹脂で形成される暗色のキャップストックを含み、該キャップストックは該構造的な押出物の少なくとも一部をカバーし、該暗色のキャップストックは1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満の厚さであり、該第1の熱可塑性樹脂は、ベース樹脂100重量部当たり8から11部のTiOを含む、請求項3記載の一体化された絶縁体を含む押出物。
【請求項5】
該暗色のキャップストックは1インチの1000分の4(0.102mm)から1000分の8(0.203mm)の厚さであり、該第1の熱可塑性樹脂は、ベース樹脂100重量部当たり8から11部のTiOを含む、請求項4記載の一体化された絶縁体を含む押出物。
【請求項6】
作動的にウィンドウ・フレームにインストールされたガラスパックを含み、該フレームが、
窓類工業における使用に適した第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物であって、少なくとも1つの中空な内部部分を含み、一定の異形断面を有し、不定の長さを有する構造的な押出物、
前記の構造的な押出物の中空部分に実質的に満たされた、第2の熱可塑性樹脂で形成された一体化される絶縁体を含み、
ここで第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂は相溶性であり、一緒にリサイクルすることができ、該構造的な押出物と一体化される絶縁体は、押出しダイを通して共押出される、住宅または商業施設において使用される窓。
【請求項7】
一体化された絶縁体の第2の熱可塑性樹脂が発泡され、さらに押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含む、請求項6記載の住宅または商業施設において使用される窓。
【請求項8】
熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂が塩化ポリビニル(PVC)樹脂で構成される、請求項7記載の住宅または商業施設において使用される窓。
【請求項9】
有意に太陽の赤外線を伝播する第3の熱可塑性樹脂で形成される暗色のキャップストックを含み、該キャップストックは該構造的な押出物の少なくとも一部をカバーし、該暗色のキャップストックは1インチ(25.4mm)の約100分の1(0.254mm)未満の厚さであり、該第1の熱可塑性樹脂は、ベース樹脂100重量部当たり8から11部のTiOを含む、請求項8記載の住宅または商業施設において使用される窓。
【請求項10】
該暗色のキャップストックは1インチの1000分の4(0.102mm)から1000分の8(0.203mm)の厚さであり、該第1の熱可塑性樹脂は、ベース樹脂100重量部当たり8から11部のTiOを含む、請求項9記載の住宅または商業施設において使用される窓。
【請求項11】
窓類工業で構造部品における使用に適している第1の熱可塑性樹脂を第1の押出機に供給すること、
一体化された絶縁体に適当な第2の熱可塑性樹脂を第2の押出機に供給し、
第1の押出機と第2の押出機から押出ダイに排出し、押出物を押し出し、
窓類工業での使用に適している第1の熱可塑性樹脂で形成された、少なくとも1つの中空部分を有する一定の異形断面を有する不定長さの構造的な押出物を形成し、
該構造的な押出物の中空部分を、第2の熱可塑性樹脂で作られた一体化される絶縁体で実質的に満たすことを含む、一体化された発泡絶縁体を有する押出物の製造方法。
【請求項12】
一体化された絶縁体の第2の熱可塑性樹脂が発泡され、さらに押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットを含む、請求項11記載の一体化された発泡絶縁体を有する押出物の製造方法。
【請求項13】
一体化された絶縁体内で押出し物の長さ方向に延びる複数のエアポケットが、0.05(1.27mm)から0.2(5.08mm)インチの間のダイランドを有する、複数の別個の出口を有する押出ダイにより形成される、請求項12記載の一体化された発泡絶縁体を有する押出物の製造方法。
【請求項14】
有意に太陽の赤外線を伝播する第3の熱可塑性樹脂を第3の押出機に供給し、第3の押出機から押出ダイに排出し、該第3の熱可塑性樹脂が約100分の1インチ(0.254mm)よりも薄いキャップストック層を、第1の熱可塑性樹脂で形成された構造的な押出物の表面上に形成することをさらに含む、請求項13記載の一体化された発泡絶縁体を有する押出物の製造方法。
【請求項15】
押出ダイが暗色のキャップストック部分を約1000分の8インチ(0.203mm)未満の層に形成し、第1の熱可塑性樹脂がベース樹脂100重量部当たり8から11部のTiOを含む、請求項14記載の一体化された発泡絶縁体を有する押出物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−511409(P2013−511409A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539876(P2012−539876)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/003008
【国際公開番号】WO2011/062632
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(512131885)ミクロン インダストリーズ インク. (1)
【Fターム(参考)】