説明

ウェーハの骨組貯蔵ボックス

【課題】ウェーハの運搬過程中、ウェーハが受ける衝撃力を低下させることにより、効果的にウェーハの破損率を低下させ、製造コストを下げるウェーハの骨組貯蔵ボックスを提供する。
【解決手段】本発明により提供されるウェーハの骨組貯蔵ボックスは、ウェーハを収容するものであって、収容空間22を有する本体21と、該収容空間22の底面に形成され、これにより該本体21の強度を補強する複数の突起部23と、該収容空間22の底面上に設置される複数の防震素子24と、該本体21に結合されるカバー26とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェーハの骨組貯蔵ボックスに関し、特に、ウェーハの破損率を低下させるウェーハの骨組貯蔵ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造において、多くの異なった製造プロセスが包含される。製造プロセスと製造プロセスとの間には、ウェーハの貯蔵と運搬との作業が必要となるが、この場合ウェーハの骨組貯蔵ボックスを使用してウェーハの貯蔵を行わなければならない。
【0003】
図1は、従来のウェーハ貯蔵ボックスの構造見取図である。図においてウェーハ貯蔵ボックス11は、複数のウェーハ12を貯蔵するためのプラスチック・ボックスであり、貯蔵される該ウェーハ12の数量は、ウェーハ貯蔵ボックスの容量の如何により決定される。そして、各ウェーハ12の間には、単にスポンジ・クッション13が間隔をとるために設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もし、このウェーハ貯蔵ボックス11をウェーハの貯蔵用として貯蔵を行えば、ウェーハ12の表面とスポンジ・クッション13との間の摩擦により静電気を生じ、ウェーハ12の品質に影響を及ぼす。この他に、運搬の過程において、不注意による衝撃により、ウェーハの破損率が増加し、知らないうちに多くのウェーハ12を浪費してしまい、製造コストが増加することとなる。
【0005】
したがって、出願人はこの従来の技術の欠点に鑑み、鋭意に試験と研究とを重ねた結果、ついに本発明の「ウェーハの骨組貯蔵ボックス」を案出した。
【0006】
本発明の主たる目的は、ウェーハの運搬過程中、ウェーハが受ける衝撃力を低下させることにより、効果的にウェーハの破損率を低下させ、製造コストを下げるウェーハの骨組貯蔵ボックスを提供することにある。
【0007】
本発明の次の目的は、あらゆる半導体の製造プロセスに応用でき、つまり、ウェーハの半製品又はウェーハの製品を問わず、いずれも本発明のウェーハ貯蔵ボックスに収容できる、ウェーハの骨組貯蔵ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明により提供されるウェーハの骨組貯蔵ボックスは、ウェーハを収容するものであって、収容空間を有する本体と、該収容空間の底面に形成され、これにより該本体の強度を補強する複数の突起部と、該収容空間の該底面上に設置される複数の防震素子と、該本体に結合されるカバーと、を備えていることを特徴とする。(請求項1に対応)
上記本発明のウェーハ骨組貯蔵ボックスにおいて、該ウェーハの外部には該ウェーハを固定するための骨組が設置されており、該ウェーハの上表面には保護膜が貼付されており、該保護膜はにかわ膜であり、及び/又は、該ウェーハは静電気袋中に被覆され、そして該突起部及び該防震素子上に設置される、ことを特徴とする。(請求項2に対応)
また、上記本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスにおいて、該本体には使用者が指で該ウェーハ骨組貯蔵ボックスを取り出せると共に、該ウェーハ骨組貯蔵ボックスの重量を減少させるための複数の貫通孔が穿設されており、及び/又は、該貫通孔は本体の隅に穿設されている、ことを特徴とする。(請求項3に対応)
また、上記本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスにおいて、該本体は少なくとも1つの切欠を有しており、及び/又は、該本体は透明材質により製造されている、ことを特徴とする。(請求項4に対応)
また、本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスにおいて、該突起部はリング状リブ・ストリップであり、及び/又は、該防震素子は防震クッションである、ことを特徴とする。(請求項5に対応)
該カバーは透明材質により製造されていることを特徴とする。(請求項6に対応)
また、上記本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスにおいてさらに、該カバー上に設置されたストリップ・コード、チップ、又は磁気カードが設けられており、これにより該ウェーハを識別することを特徴とする。(請求項7に対応)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図2(a)は本発明の好適な実施形態のウェーハの骨組貯蔵ボックス(Frame Storage Box;FSB)の構造見取図である。図において該ウェーハの骨組貯蔵ボックスは本体21とカバー26とを備えており、その内、カバー26は本体21に結合されている。本体21には収容空間22があり、そして収容空間の底面には本体21の強度を補強する複数のリング状リブ・ストリップ23が形成されている。この他に、収容空間22の底面上にはさらに、複数の防震クッション24が形成され、ウェーハを運搬する過程中、ウェーハが受ける外部からの衝撃力を低下させることができる。したがって、効果的にウェーハの破損率を低下させ、製造コストを低下させる。
【0011】
本体21の4隅には使用者が指で該ウェーハの骨組貯蔵ボックスを容易に取れ、且つ、該ウェーハの重量を減少させるように、4個の貫通孔25が穿設されている。また、本体21は2個の切欠27を有しており、これにより使用者がウェーハの骨組貯蔵ボックスのたんす(cabinet:図示せず)から容易に取り出せるようにしている。
【0012】
図2(b)はウェーハににかわ膜を貼った後、静電気袋中に置いた状態を示す見取図である。ウェーハ28を該ウェーハの骨組貯蔵ボックスに置く前に、該ウェーハの外周に骨組29を設けてウェーハ28を固定しなければならない。次にウェーハ28の上表面ににかわ膜210を貼り付けた後、ウェーハ28を静電気袋211中に被覆してから該ウェーハ貯蔵ボックスに、図2(c)のように置くことができる。しかる後、カバー26を被せ、ウェーハの運搬を行う。
【0013】
本発明の本体21及びカバー26はいずれも透明材質により製造されたものであるので、使用者はカバー26を開けなくても該ウェーハの骨組貯蔵ボックス内にウェーハがあるか否かを知ることができる。この他に、本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスはサイズのみを改変すれば各種の異なったサイズのウェーハ(例えば12”又は8”)を収容することができる。また、本発明のウェーハ貯蔵ボックスは更にカバー26上に設置されたストリップ・コード31を備えており、走査器を利用してストリップ・コード31を走査することにより、ウェーハ28を識別することができる(図3(a)参照)。当然ながら図3(b)に示すように、チップ読取装置(図示せず)でカバー26上に設置されたチップ32を読取ることにより、該ウェーハを識別することができる。又は磁気カード読取装置(図示せず)により、カバー26上に設置された磁気カード33を読取ることにより該ウェーハを識別することができる(図3(c)参照)。
【0014】
要するに、本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスを使用すればウェーハを運搬する過程中においてウェーハが受ける外部からの衝撃力を低下させることができるので、効果的にウェーハの破損率を低下させ、製造コストを節約することができる。かつ、本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックスはすべての半導体製造プロセスに応用されることができ、つまり、ウェーハの半製品又は製品を問わず、いずれも本発明のウェーハの骨組貯蔵ボックス内に収容することができる。したがって、本発明は効果的に先行技術の欠点を改善することができるので、産業価値を有し本発明の目的を達成することができる。
【0015】
上記発明の実施の形態は、本発明をより理解するように挙げたもので、当然本発明の技術思想はこれに限定されず、添付クレームを逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾及び置換等はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のウェーハ貯蔵ボックスの構造見取図。
【図2(a)】本発明の好適な実施形態のウェーハ骨組貯蔵ボックスの構造見取図。
【図2(b)】本発明の好適な実施形態において、ウェーハににかわ膜を貼付した後、静電気袋中に置いた見取図。
【図2(c)】本発明の好適な実施形態において、ウェーハが静電気袋に被覆された後、ウェーハの骨組貯蔵ボックスに収容された見取図。
【図3(a)】本発明の好適な実施形態のウェーハの骨組貯蔵ボックスのカバー上にストリップ・コードを設置した見取図。
【図3(b)】本発明の好適な実施形態のウェーハの骨組貯蔵ボックスのカバー上にチップを設置した見取図。
【図3(c)】本発明の好適な実施形態のウェーハの骨組貯蔵ボックスのカバー上に磁気カードを設置した見取図。
【符号の説明】
【0017】
11…ウェーハ貯蔵ボックス、12…ウェーハ、13…スポンジ・クッション、21…本体、22…収容空間、23…リング状リブ・ストリップ、24…防震クッション、25…貫通孔、26…カバー、27…切欠、28…ウェーハ、29…骨組、210…にかわ膜、211…静電気袋、31…ストリップ・コード、32…チップ、33…磁気カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを収容するものであって、
収容空間を有する本体と、
前記収容空間の底面に形成され、これにより前記本体の強度を補強する複数の突起部と、
前記収容空間の前記底面上に設置される複数の防震素子と、
前記本体に結合されるカバーと、
を備えていることを特徴とするウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項2】
前記ウェーハの外部には該ウェーハを固定するための骨組が設置されており、
前記ウェーハの上表面には保護膜が貼付されており、
前記保護膜はにかわ膜であり、及び/又は、
前記ウェーハは静電気袋中に被覆され、そして前記突起部及び前記防震素子上に設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項3】
前記本体には使用者が指で前記ウェーハの骨組貯蔵ボックスを取り出せると共に該ウェーハの骨組貯蔵ボックスの重量を減少させるための複数の貫通孔が穿設されており、及び/又は、
前記貫通孔は該本体の隅に穿設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項4】
前記本体は少なくとも1つの切欠を有しており、及び/又は、
該本体は透明材質により製造されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項5】
前記突起部はリング状のリブ・ストリップであり、及び/又は、
前記防震素子は防震クッションである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項6】
前記カバーは透明材質により製造されている、ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。
【請求項7】
前記ウェーハの骨組貯蔵ボックスにはさらに、前記カバー上に設置されたストリップ・コード、チップ又は磁気カードが設けられており、これにより該ウェーハを識別することを特徴とする請求項1に記載のウェーハの骨組貯蔵ボックス。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【公開番号】特開2006−128590(P2006−128590A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−602(P2005−602)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(504286612)寳晶科技股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】