説明

ウェーハアルカリ電池

薄板状構造のウェーハアルカリ電池を開示する。該電池は、前記電池の境界表面の少なくとも大部分を含む、1対の対向する側部を有し、前記対向する側部の間に短電池寸法を画定する。該電池は、積層構造を形成するように1つに結合されたアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含む。該電池は、アノード材料およびカソード材料を収める単一プラスチックフレームまたは別個の2つのプラスチックフレームを含む。アノード集電体は、フレームへの結合を改善するために、耐アルカリ性金属酸化物被膜を形成する封止金属であらかじめコーティングされてもよい。アノードアセンブリは、その中に、通常は亜鉛を含むアノード材料を有しており、カソードアセンブリは、その中に、通常は二酸化マンガンを含むカソード材料を有する。電池は、耐久性があり、好ましくは剛性で、細長い漏れブロック経路を有し、電解質漏れを起こさない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ薄板状の構成を有する、面積対厚さのアスペクト比が大きいウェーハアルカリバッテリに関する。本発明は、アノードまたはカソード集電体が、結合を改善するために耐アルカリ性金属酸化物被膜を形成する封止金属であらかじめコーティングされた、ウェーハアルカリ電池に関する。本発明は、アノードが亜鉛を含み、カソードが二酸化マンガンを含む、ウェーハアルカリ電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアルカリ電気化学電池は、亜鉛を含むアノードと二酸化マンガンおよびアルカリ電解質を含むカソードとを有する。電池は、通常、円筒形の外部ハウジングから形成される。新しい電池は、約1.6ボルトの開回路電圧(EMF)を有し、中程度の供給状態(medium drain service)(100〜300ミリアンペア)において典型的な平均動作時電圧約1.0〜1.2ボルトを有する。まず、拡大させた開口端部とその反対側の閉口端部によって、円筒形ハウジングを形成させる。電池内容物を充填した後、絶縁グロメットと負端子エンドキャップを備えたエンドキャップ組立体をハウジング開口端部に挿入する。開口端は、ハウジング縁部を絶縁グロメットの縁部に被せて圧着して緊密な封止をもたらすために絶縁グロメットの周りにハウジングを径方向に圧縮することにより閉じられる。絶縁グロメットは、負側のエンドキャップを電池ハウジングから電気的に絶縁する。反対側の閉口端部のところで、電池ハウジングの一部によって正端子を形成させる。
【0003】
従来の円筒形アルカリ電池は、一般的に認識可能な様々なサイズ、即ち、AAAA、AAA、AA、C、およびDサイズ電池で入手可能である。同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/722,879号(2003年11月26日出願)には、電池内容物が固体金属ケーシングに収められた薄板状電池が記載されている。該金属ケーシングは、閉止端と反対側の開口端とを有する一体型の主要表面を有する。電池内容物は、開口端に挿入され、次いで該開口端がエンドキャップで封止される。エンドキャップは、金属スカートと、プラスチック絶縁グロメットと、グロメット内に配置された金属支柱またはリベットを備えるように設計される。金属スカートは、絶縁グロメットの周りに圧縮され、グロメットは、金属支柱の周りに圧縮されて、両方の境界面に耐アルカリシールを形成する。次いで、エンドキャップアセンブリの金属スカートが溶接によって金属ケーシングに接合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
望ましい電池厚が、より小さく例えば約6mmよりもはるかに小さくなるにつれて、そのような電池にアノード材料およびカソード材料を充填することがますますより困難になってくる。故に、約6mm未満例えば約0.5mm〜6mm、望ましくは約1.5〜4mmの電池厚で容易に製作可能であり、電池内容物で充填可能である扁平または薄板状アルカリ電池に対する必要性がある。これによって、薄い角柱型のアルカリ電池が、薄いリチウムイオン電池のような薄い充電式電池により通常電力供給される小型の電子デバイス用の一次(非充電式)電源としてまたはバックアップ電源として利用可能になる。また、電池化学および内部構成要素の適切な調節によって、薄い充電式アルカリ電池を構築することもできる。近年、携帯型ラジオ、オーディオプレイヤー、および通信デバイスなどの多くの電子デバイスが、より小さく、より薄くなっている。故に、そのような小さい電子デバイスで使用するための、全厚の小さい、薄い薄板状のウェーハ電池が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1次アルカリ電気化学電池は、通常、亜鉛アノード活物質、アルカリ電解質、二酸化マンガンカソード活物質、および電解質透過性セパレータフィルム、通常はセルロースまたはセルロース繊維若しくはポリビニルアルコール繊維のフィルムが含まれる。アノード活物質は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはアクリル酸コポリマーのナトリウム塩のような従来のゲル化剤および電解質と混合させた、亜鉛粒子を挙げることができる。ゲル化剤は、亜鉛粒子を懸濁させ、かつ各粒子が接触し合うよう維持する働きをする。通常、アノード活物質に挿入された導電性金属ツメは、負端子エンドキャップに電気的に接続されたアノード集電体の役割を果たす。電解質は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化リチウムの水溶液にすることができる。カソードは、通常、電気伝導度を高めるために、導電性添加物、通常はグラファイト材料と混合された電気化学的活物質として、粒子状二酸化マンガンが含まれる。所望により、少量のポリマー結合剤、例えば、ポリエチレン結合剤、およびチタン含有化合物のような他の添加物を、カソードに加えることもできる。
【0006】
カソードで使用される二酸化マンガンは、好ましくは、硫酸マンガンおよび硫酸の液槽の直接電気分解によって製造される、電解二酸化マンガン(EMD)である。EMDは、高密度且つ高純度であるので望ましい。EMDの電気伝導度(1/固有抵抗)は、かなり低い。個々の二酸化マンガン粒子間の電気伝導度を改善するために、導電性材料がカソード混合物に添加される。そのような導電性添加物は、また、二酸化マンガン粒子と、従来の円筒形アルカリ電池ではカソード集電体の役割も果たす電池ハウジングとの間の電気伝導度を改善する。適した導電性添加物には、例えば、グラファイト、グラファイト状材料、アセチレンブラックを含めたカーボンブラックのような導電性炭素粉末を挙げることができる。好ましくは、導電性材料は、薄片状結晶の天然グラファイト、若しくは薄片状結晶の合成グラファイト、或いは膨張若しくは剥離グラファイトまたはグラファイト状炭素ナノ繊維、およびそれらの混合物を含む。
【0007】
現在、MP3オーディオプレイヤーおよびミニディスク(MD)プレイヤーのような小さな電子デバイスに電力供給するために使用される、小さいサイズの方形の充電式バッテリが利用可能である。これらのバッテリは、通常は小さく、幾分チューインガムのパックのサイズの、方形(直方体)である。本明細書で使用する時、「直方体」という用語は、その通常の幾何学的定義、即ち、「直平行六面体」を意味するものとする。そのようなバッテリは、例えば、国際電気標準会議(IEC)によって規定された該バッテリについての標準サイズに従って、充電式ニッケル金属水素化物(NiMH)サイズF6または7/5F6サイズの直方体の形態をとることができる。F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、長さ35.7mm(ラベルを含まない)である。長さを約48.0mmほどの大きさにすることができる、F6サイズの変形形態がある。7/5−F6サイズは、6.0mmの厚さと17.0mmの幅と67.3mmの長さとを有する。MP3オーディオプレイヤーまたはミニディスク(MD)プレイヤーのような小型のデジタルオーディオプレイヤーに電力供給するために使用される時には、F6または7/5F6 NiMH充電式バッテリの平均動作時電圧は、約1.0〜1.2ボルトであり通常約1.12ボルトである。
【0008】
ミニディスク(MD)プレイヤーに電力供給するために使用される時には、バッテリは、約200〜250ミリアンペアの割合で消耗する。電池の消耗率は、デジタルオーディオMP3プレイヤーに電力を供給する目的で使われる場合で、典型的には約100ミリアンペアである。
【0009】
小さいサイズの直方体形(直平行六面体)ニッケル金属水素化物バッテリと同じサイズおよび形状の小さい扁平なアルカリバッテリがあることが望ましく、それによって、ミニディスクやMP3プレイヤーなどの小さい電子デバイスに電力供給するために、その小さいアルカリサイズバッテリをニッケル金属水素化物バッテリと交換可能に使用できるようになる。
【0010】
また、前述したように、全厚が6mm未満、例えば、約0.5〜6mm、好ましくは約1.5〜4mmのウェーハアルカリ電池があることも望ましい。
【0011】
ウェーハ電池が、電解質の可能性を最小限に抑える、または大幅に低減するように設計されることが望ましい。参考文献、M・ハル(M.Hull)、H・ジェイムズ(H.James)、「アルカリ電池は何故漏れるか(Why Alkaline Cells Leak)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electrochemical Society)、第124巻、第3号、1977年3月、332〜329頁)、およびS・デイヴィス(S.Davis)、M・ハル(M.Hull)、「アルカリ電池漏れの態様(Aspects of Alkaline Cell Leakage)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electro-chemical Society)、第125巻、第12号、1978年12月)では、OH−イオンを形成するような吸着された水分の存在下での負の外部電池端子上で大気中の酸素の電気化学的還元の観点から、アルカリ電池漏れの一態様が説明されている。次いで、これら電気化学的に発生したOHイオンは、K(HO)またはNa(HO)のような水和した正イオンを引き付ける。K(HO)またはNa(HO)イオンは、電池内部で発生し、負のシール表面をまたいで電池外部へと移動して、水分を吸着したフィルム内の電気的中性を維持する。最終的結果として、KOHまたはNaOH電解質を電池内部から端子表面に引き寄せることになり、したがって、そのような電解質の電池内部から端子表面への泳動または沿面泳動を事実上促進することになる。
【0012】
また、そのような薄いウェーハ電池が、電力消費の大きいデバイス用の長寿命電源として役立つように十分な活物質を含有することも望ましい。したがって、薄いことに加えて、ウェーハ電池は、また、かなりの割合でかなりの時間にわたって電気エネルギーを供給するための十分な活物質を含有するように、投影面積および十分に大きい内部容積を有するべきである。
【0013】
以下の議論では、ウェーハ電池は、薄い薄板状の単電池を意味するものとする。電池は、その表面のうちの1つ以上が、平らな表面、または湾曲した表面若しくはランダムに歪んだ表面であってよい。電池は、均一な厚さであってよく、またはその厚さが地点によって異なってもよい。電池は、任意の点、軸、若しくは平面に関して対称または非対称であってよい。電池の「設置面積」は、電池の可能な向きすべてが考慮されている時に、任意の平面上の電池の最大直交投影面積として定義される。
【0014】
電池の縁部とは、外表面であり、そのうちの1つ以上が、電池の形状に応じて厚さ寸法を構成することになる。厚さが一定でない電池の場合、厚さは、いずれか所与の点で最大値をもつことになる。電池の面とは、該電池の設置面積を画定し、且つ名目上垂直な厚さ軸を有する、一外表面である。電池が扁平で均一な厚さの場合、どの面の面積も電池設置面積に等しくなる。電池が湾曲している、若しくは不均一な厚さである、またはその両方である場合、どの面の面積も、電池設置面積に合致する、またはそれを上回る可能性がある。同様に、電池の縁部は、均一な厚さである必要はない。
【0015】
そのようなウェーハ電池が、例えば側部のうちの少なくとも1つが多角形、或いは円形、卵形、または少なくとも部分的に曲線状である、様々な全体形状およびサイズに一致するように、容易に製造されることが望ましい。
【0016】
故に、6mm未満の小さい電池厚であっても電池内容物の容易な挿入が可能なように、そのようなウェーハ電池を容易に製造されるようにすることが望ましい。ウェーハ電池は、更に、発生したガスによる内圧に耐え、機械的誤用および取扱いによる損傷を起こさず、シール不具合に起因した電解質漏れを防ぐように、十分に頑丈で耐久性がなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の主態様は、1次または2次ウェーハアルカリ電池を対象とする。該ウェーハ電池は、電気エネルギー源の役割を果たすように設計され、負端子および正端子と、前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含む。対向する側部は、いずれかの地点でそれらの間に平均短電池寸法(厚さ)を画定する。該電池は、積層構造を形成するように1つに結合されたアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含む。
【0018】
一態様では、電池を、その中の導電性要素と非導電性要素との間に様々なシール境界面を含んだ、ほぼ薄板状の構成にすることができる。アルカリ電解質に対して耐性のあるシーラントが、これらの境界面内に配置される。シーラントを含むシール境界面は、機械的な設計特徴によって、または構造用接着剤を用いて、剥離力および剪断力から保護される。電池内部から2つの電池端子のいずれかへの潜在的漏れ経路が、確実にバッテリ厚さ寸法よりもかなり大きくなるようにするために、新規の電池設計および上包み(over-wrap)設計が使用される。
【0019】
主態様では、本発明のウェーハアルカリ電池は、亜鉛を含むアノードと、二酸化マンガンを含むカソードと、アルカリ電解質、好ましくは水酸化カリウム水溶液とを有する。ただし、ウェーハアルカリ電池は、他の活物質のアノードおよびカソードを有してよく、また、他のアルカリ電解質が可能である。例えば、アノードは、亜鉛、カドミウム、または水素貯蔵合金(metal hydride alloy)を含んでよく、カソードは、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル、酸化銀(AgO若しくはAgO、単独若しくは混合で)、酸化銅(CuO)、酸化銀銅(silver copper oxide)(AgCuO若しくはAgCu、単独若しくはそれらの混合で、またはMnOとの混合で)を含んでよい。以上に列挙したアノード材料は、それぞれ、以上に列挙したカソード材料それぞれと組み合わせることができる。アルカリ電解質は、電解質が電池内部から移動する傾向を低減する、水酸化ナトリウム、または水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を含んでよい。ウェーハ電池は、また、充電式バッテリの形態であってもよい。
【0020】
アノードアセンブリ内またはカソードアセンブリ内にはセパレータ層が含まれており、そのセパレータ層は、イオン透過性のフィルム、膜、または不織布であってよい。別の方法として、セパレータ層は、アノードアセンブリとカソードアセンブリとの間に位置してもよく、また一部の実施形態では、アノードアセンブリとカソードアセンブリとの合わせ面によって形成されたシール領域の一部分に突き出てもよい。
【0021】
特定の実施形態では、電池は、直方体形である。電池は、薄い厚さでよく、例えば、約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、通常は約1.5〜4mmである。
【0022】
本発明の主態様では、アノードアセンブリは、前記アノードのためのハウジングを含み、カソードアセンブリは、前記カソードのためのハウジングを含む。セパレータ層は、反対側のアセンブリに面するようにアノードアセンブリ若しくはカソードアセンブリ内に配置されてよく、または、セパレータは、これら2つのアセンブリの間に配置されてよい。アノードアセンブリおよびカソードアセンブリは、好ましくは、アノード活物質とカソード活物質との間に位置するセパレータとともに接着結合されて、耐久性のある、好ましくは堅い、小型の積層構造を形成する。
【0023】
本発明の一態様では、アノードアセンブリの一部を形成するアノードハウジングは、アノードキャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性のある有機ポリマー材料、例えばプラスチック製のアノードフレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。アノード集電シートは、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。アノード材料は、前記アノード集電シートと接触するように、前記アノードキャビティに挿入される。アノード集電シートは、導電性であり、好ましくは、銅、黄銅(銅と亜鉛との合金)、青銅(銅とスズとの合金)、スズ若しくは亜鉛の金属、または、亜鉛、スズ、銀、インジウム若しくはビスマス若しくはそれらの金属の組み合わせでめっきされた銅若しくは黄銅の金属である。
【0024】
カソードアセンブリの一部を形成するカソードハウジングは、カソードキャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製のカソードフレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。カソード集電シートは、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。カソード材料は、前記カソード集電シートと接触するように、カソードキャビティに挿入される。カソード集電シートは、好ましくはニッケル、ニッケルめっき鋼、または炭素コーティングされた金属シートであり、好ましくは、炭素コーティング若しくは炭化されたニッケルシートである。或いは、カソード集電シートは、ニッケルでめっきまたは被覆された、冷延鋼製であってよい。ニッケルに炭素を重ねてもよく、またはコバルト層を重ね、次いでそのコバルトの上に炭素層を重ねてもよい。他の実施形態では、カソード集電体に炭素を重ね、次いで炭素含有塗料でコーティングしてもよい。
【0025】
他の態様では、別個のアノードフレームおよびカソードフレームの代わりに単一のフレームを使用してもよい。そのような実施形態では、好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成には、アノード材料およびカソードを単一フレームの両側に詰め入れることができ、個々のフレームを1つに結合させる必要が避けられるという利点がある。
【0026】
本発明の積層ウェーハ電池構造の利点は、非常に小さいサイズ、例えば1cmから、非常に大きいサイズ、例えば600cmまでに及ぶ、本質的にあらゆる設置面積の、ただし全厚が小さい、例えば約1.5〜6mm、通常約1.5〜4mmの電池を、容易に製作できることである。電池厚は、更に小さくすることができ、例えば、約0.5mmほどの小ささにすることができる。したがって、電池を、全厚の小さい電子デバイスのキャビティに容易に嵌め込むことができる。積層電池構造の他の利点は、本質的にあらゆる所望の全体形状、例えば、多角形、卵形、円形、曲線状、または一部が多角形で一部が曲線状の形状にも作製できることである。本発明の積層電池は、耐久性があり、緊密に結合されるので、高温/低温の気候および高湿/低湿の雰囲気に曝すことができ、それでも電解質漏れを起こさない。
【0027】
本発明のウェーハ電池では、電解質漏れの可能性が3つの方法によって低減される。
1)電池内部とアノード集電シートおよびカソード集電シートとの間に、非常に緊密に結合された、本質的に電解質不透過性のシールを作り出すことによる方法。
2)電池内の電解質が電池から脱出するために通らなければならない、非常に長い曲がりくねった経路(漏れブロック経路)を作り出すことによる方法。全漏れブロック経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から露出した電池端子までの距離を加えた合計からなる。
3)露出した外部負接点の表面積を最小限まで削減し、それによって外部負接点表面上での全体的なOH発生速度を低減することによる方法。
【0028】
電解質漏れ低減方法1に関して、緊密に結合された電解質不透過性シールは、本発明のウェーハ電池では、好ましくは、フレーム縁部とアノード集電シートおよびカソード集電シートそれぞれの縁部との間に段階的な接着剤シールを用いて達成される。段階的シールは、集電シートをそれぞれのフレームに結合させるためにプラスチックフレームの縁部に沿って並置された(隣に並べられた)配置で、異なる接着剤の少なくとも2つのコーティングを含む。外側の接着剤コーティングは、好ましくはエポキシのような構造型接着剤である。そのような接着剤は、積層電池構成に構造強度を付与する。内側のコーティングは、好ましくは接着剤シーラントであり、それは、例えば、ポリアミド若しくは機能化されたポリエチレン、またはアスファルトであってよい。そのようなシーラントコーティングは、全体的な結合を改善するが、その主要な機能は、電解質を密封することである。別の方法として、構造用接着剤に加えて、または構造用接着剤の代わりに、リベットを使用することもでき、リベット間のフレームの部分にシーラントコーティングを適用することができる。
【0029】
アノード集電シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面における封止特性は、アノード集電シートをアノードフレームに結合させるために接着剤が使用される前に、アノード集電シートの内側表面を封止金属の薄層であらかじめコーティングすることにより改善できることが確認されている。故に、アノード集電体表面を直接接触させる代わりに、前述の段階的接着剤のような接着剤は、アノード集電シート上にあらかじめコーティングされた封止金属に接触することになる。このことは、封止特性、特に、アノード集電シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面における接着剤シールの長期的な強度および結合均一性を改善することが確認されている。
【0030】
上述のようにプラスチックアノードフレーム表面は、アノード集電シートに、前記プラスチックアノードフレーム表面とアノード集電シートとの間の接着剤を用いて結合される。単一の均質な接着剤を使用してもよいが、以上に示したように段階的な封止を用いることが好ましく、即ち、アノードフレームとアノード集電シートとの間の境界面のところで横方向の並列配置にある2つの異なる接着剤が結合されることが好ましい。接着剤と接触しているアノード集電体表面の部分が、特定の封止金属であらかじめコーティングされる場合、または或いはアノード集電シート自体が、そのような封止金属から構成される場合、接着剤/金属の境界面が、長期にわたって、例えば何年にもわたって、より良好に劣化に耐えられることが確認されている。故に、プラスチックアノードフレームとアノード集電シートとの間の強力で均一な結合は、長期にわたって維持されて、そのような境界面を通じた電解質漏れの可能性を低減する。
【0031】
例としてアノード集電シートが、以上に列挙したように銅、黄銅、青銅、スズ、または亜鉛製の場合、マグネシウム、ジルコニウム、またはチタンが、プラスチックアノードフレームをアノード集電体に結合させる接着剤と接触するアノード集電体表面の部分の上にあらかじめコーティングされるべき、好ましい封止金属である。(マグネシウム若しくはジルコニウムは、銅または黄銅製の集電シートに特に好ましい封止金属であることが確認されている。)故に、接着剤が、均質な接着剤であるか段階的接着剤であるかを問わずプラスチックアノードフレームをアノード集電シートに結合させるために使用され、前記接着剤は、集電シートの面する表面(通常は電池内部に面する内側表面)上にあらかじめコーティングされたマグネシウム若しくはジルコニウム封止金属と直接接触することになる。封止金属と接着剤との間のそのような境界面結合は、長期にわたって劣化に耐えるように思われ、したがって、アノード集電シートが封止金属であらかじめコーティングされない場合に比べて、より良好にアルカリウェーハ電池のプラスチックアノードフレームとアノード集電シートとの間の結合を維持する。
【0032】
マグネシウム若しくはジルコニウムなどの好ましい封止金属は、それらの純元素形態であるが、マグネシウム若しくはジルコニウムの合金も使用できるので、封止金属を純元素金属だけに制限しようとするものではない。そのような場合、合金の主構成成分としてマグネシウム若しくはジルコニウムまたはそれらの組み合わせを有することが好ましい。ただし、マグネシウム若しくはジルコニウムまたはそれらの組み合わせが、合金の微量構成成分である場合にも、また利益を得ることができる。
【0033】
封止金属は、必ずしもこれらに限定するものではないが、真空蒸着、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助下プラズマ蒸着(jet assisted plasma deposition)、焼結、低温金属溶射、爆発溶射(detonation gun spraying)、高速酸素燃料溶射、電気めっき(非水性電解質から)などの従来技術を用いて、または溶融めっき(hot dipping)(アノード集電シートを溶融封止金属槽に浸漬すること)によって、薄いコーティングでアノード集電シートに適用されてよい。封止金属は、好ましくは約0.10ミクロン〜50ミクロンの間、例えば約3ミクロンの均一な厚さで、アノード集電シートの内側表面に適用されてよい。
【0034】
マグネシウム若しくはジルコニウムは、本発明のアルカリウェーハ電池の状況で使用するのに好ましい封止金属であるが、また、プラスチックアノードフレームをアノード集電体に結合させるために接着剤がそれらに適用される前に、同様の有益な結果をもたらす同様の方法で、他の金属をアノード集電体表面上のプレコートとして使用することもできる。そのような封止金属を列挙すれば、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、およびイットリウム(Y)、並びにランタニド系列元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)が挙げられる。これらの元素のうち、利用可能性、機能、およびコストの総合的因子を考慮すれば、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)が好ましい。
【0035】
本発明は、アノードフレームについていずれか特定のプラスチックまたはポリマー材料だけに制限することは意図されていない。アノードフレームは、そのプラスチック材料に耐久性があり、そのプラスチック材料が一般にアルカリ電解質による侵食に耐える限り、多種多様なプラスチック材料から構成されてよい。アノードフレームに好ましい材料は、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。
【0036】
一般に、新しく製作された金属シートまたは金属構造は、周囲空気に曝された時に、それらの表面上に自然金属酸化物または金属水酸化物被膜を急速に発達させる。そのような自然金属酸化物または水酸化物被膜は、微量の水および酸素が完全に存在しない、純粋な不活性ガスの存在する実質的な真空中で一時的に除去できるにすぎず、その除去は困難である。接着剤または接着シーラント材料が、そのような表面に適用される時には、自然金属酸化物または金属水酸化物被膜を化学的に含む接着結合が、形成される。金属シート若しくは金属構造上の自然金属酸化物または金属水酸化物被膜の存在は、接着剤でコーティングされたプラスチック表面を金属構造に化学的に結合させる重要な役割を果たす。即ち、接着剤と金属酸化物または金属水酸化物との間の化学結合が、結合プロセスにおいて形成される。このことは、一般に、プラスチックアノードフレームをアノード集電シートに結合させる際に好ましい、以上に列挙した段階的接着シーラントを含む本質的にすべての接着剤または接着シーラントに当てはまる。しかしながら、そのようなプラスチックと金属との結合のいずれかの部分が、アルカリウェーハ電池内で、または一般的に任意のアルカリ電池においてアルカリ電解質に曝される場合、自然金属酸化物または金属水酸化物が浸食を受けて、結合を徐々に弱めることがある。ある金属酸化物または金属水酸化物は、他の金属酸化物よりもアルカリ電解質への溶解性が低いという主な理由により、前記金属酸化物または金属水酸化物は、他の金属酸化物または金属水酸化物よりもアルカリ電解質による侵食を受けにくいことが確認されている。
【0037】
以上に列挙した封止金属、特にマグネシウムおよびジルコニウムが、アノード集電シートの表面上にコーティングされた時に、該集電シートの表面上に酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム被膜を発達させることが見出されている。そのような酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム被膜は、自然金属酸化物被膜よりも、アルカリ電解質の存在下での溶解性が低い。例えば、アノード集電シートが銅または銅の合金(黄銅若しくは青銅など)製の場合、集電シートの表面上に発達する酸化マグネシウム若しくは水酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム被膜は、自然酸化物被膜、例えば、酸化銅、または酸化銅+酸化亜鉛、または酸化銅+酸化スズよりも、アルカリ電解質への溶解性が低い。この点に関して、マグネシウム若しくはジルコニウムまたは以上に列挙した封止金属のうちの他のものなどの封止金属で、アノード集電シートをあらかじめコーティングする工程は、言うまでもなく該集電シート自体が、封止金属から形成される場合を除き、該アノード集電シートがそのようにあらかじめコーティングされない場合に比べて、アルカリ性環境において金属集電体に対する境界面の接着結合をより良好に維持する。
【0038】
接着剤対金属の境界面結合が、徐々に劣化し得る別の道筋は、結合されている金属の表面上の天然の金属酸化物または金属水酸化物被膜が、前記被膜が存在する環境に起因した酸化または還元を受ける場合である。本発明のウェーハアルカリ電池の状況でプラスチックアノードフレームをアノード集電シートに結合させる点に関して、天然の酸化物または水酸化物被膜は、該酸化物または水酸化物中の天然の金属が、亜鉛に比べてより正の電気化学ポテンシャルを有する場合、アノード内の亜鉛により還元される傾向を有することがある。より低級の酸化物へのまたは金属自体への還元は、体積収縮および劣化、または金属との境界面結合内の接着剤の喪失を引き起こす。好ましい金属であるマグネシウムおよびジルコニウムを含め、以上に列挙した封止金属は、亜鉛に比べてより負の電位を有しており、したがって亜鉛によって還元されることがない。故に、通常銅若しくは銅合金(黄銅若しくは青銅)またはスズ製の金属集電体をマグネシウム若しくはジルコニウムなどの封止金属であらかじめコーティングする工程は、接着剤対金属の境界面結合を劣化から保護する。これは、マグネシウムおよびジルコニウムなど、以上に列挙した封止金属の酸化物または水酸化物が、亜鉛アノード材料との直接接触により、または電解質の共通主要部において亜鉛アノード電位で保持される時に還元されないからである。
【0039】
以上で定義した封止金属は、電池の構成に関わらず、一般的にアルカリ電池に当てはまる。本明細書で定義されるアルカリ電池は、「その中でアルカリ電解質を使用している1次電池または充電式電池である電気化学電池」である。電解質は、通常、水酸化カリウム水溶液を含むが、他のアルカリ性構成成分、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化リチウムまたはそれらの混合物を含んでもよい。また、金属/空気電池、例えば、一般的に補聴器に使用されるボタン電池の形態の亜鉛/空気電池も、亜鉛アノード活物質との混合でアルカリ電解質を使用するので、アルカリ電池である。亜鉛/空気電池は、また、細長い円筒形構成または他の構成の形態であってもよく、それらすべては、それらの中でアルカリ電解質を使用することから、アルカリ電池と見なされてもよい。市販のアルカリ電池は、通常はゲル化剤およびアルカリ電解質と混合された微粒子の形態の亜鉛を含むアノードを通常有する。カソードは、カソード活物質として二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケルなどを通常含んでよい。そのような電池は、前記電池の中でアルカリ電解質を使用することからアルカリ電池と見なされる。
【0040】
アルカリ電池は、例えば金属ツメ、カップ形の金属部材または金属シートなどの通常細長い金属部材の形態をしたアノード集電体を有する。本明細書で使用する時、用語「アノード集電体」は、アノードの少なくとも一部分と接触する部分と電池の負端子と接触する別の部分とを有する通常は金属製の、電気的に伝導性の部材である。アノード集電体は、アノードから電池の負端子への連続的な電子伝導性の経路を提供する。一部のアルカリ電池、例えば亜鉛/空気ボタン電池などのアルカリボタン電池では、アノードケース自体がアノード集電体の役割を果たす。アルカリ電池では、アノード集電体の一部分は、アノード集電体を電池の正側から電気的に絶縁する通常は有機ポリマー若しくはプラスチック材料製の電気的に絶縁性の部材を通過する、または該電気的に絶縁性の部材に接する。これは、当該技術分野において、しばしば「負の貫通配線部分」と呼ばれる。アノード集電体の一部分(負の貫通配線)は、通常、接着性物質(例えば、アスファルトまたはポリアミド系シーラント)で絶縁部材に結合され、前記アノード集電体の一部と前記絶縁部材との間に良好な密着を提供する。アノード集電体の前記部分(負の貫通配線部分)を、以上で定義した本発明の封止金属、特にマグネシウム、ジルコニウム、またはチタンであらかじめコーティングすることにより、アノード集電体と絶縁部材との間の接着結合は、アノード集電体の前記部分がそのように封止金属であらかじめコーティングされない場合に比べてより耐アルカリ性となり、一般に経時的により良好に劣化に耐えるようになる。別の方法として、絶縁部材に結合される全体または部分としてのアノード集電体自体が、封止金属から形成されてもよい。この方法では、アノード集電体と絶縁部材との間の接着性密着が改善され、前記アノード集電体と前記電体絶縁部材との間を通じた電解質漏れの可能性が低減される。
【0041】
電解質漏れ低減方法2に関し、これは、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を低減するために、長さを増大させた、または比較的長い妨害経路を設けるものである。この点において、いずれかの活性電極の縁部からそれに対応するバッテリ外部の端子接点まで測定される潜在的な漏れ経路の長さを、全体的な電池厚よりもかなり大きくなるように設定することが望ましいことが確認されている。本明細書の好ましい実施形態では、潜在的な漏れ経路(漏れブロック経路)とバッテリ厚との比は、1.5よりも大きく、より好ましくは2よりも大きい。
【0042】
これは、別々に、または協働する形で使用できる、異なる2つの手段によって達成される。
【0043】
第1の手段では、プラスチックフレームの幅が第1の漏れブロック経路Aを提供する。プラスチックフレームの幅(漏れブロック経路A)は、フレームの内側周縁部(バッテリ活物質および電解質と接触している)からその外側周縁部まで測定され、ほぼ電池の厚さ寸法ほどの長さまたはそれよりも長くなるように設定すべきである。故に、厚さ3mm(1/8”)の電池では、フレームの幅(A)は、望ましくは約3mm(1/8”)以上である。漏れを防止するためにフレーム幅(漏れブロック経路A)を最大限まで増大させることが望ましいが、このことが、電池内の活物質に利用可能な内部容積を犠牲にすることになることが認識されよう。したがって、所与の電池設置面積(アノードフレーム若しくはカソードフレームの面に平行またはほぼ平行な電池側部)について、妥当な量の活物質を電池に詰め込むことのできる、フレーム幅の上限が存在する。
【0044】
第2の手段では、プラスチックフレームの露出した縁部すべてと、更に2つの導電性エンドプレート(集電シート)の表面の大部分(フレームの外側周縁部からある距離に位置する、各エンドプレート上の小さい端子接点領域だけは除く)とを含めて、電池の外部表面が、望ましくは、シーラントによって電池の外部表面に接着されたプラスチックフィルムで被覆される。好ましい実施形態では、露出した接点、例えば負接点が、フレームのすべての外縁部から最大可能距離のところで導電性エンドプレート上に配置される。したがって、少なくとも電池厚と同程度の長さの、アノードフレームの外側周縁部から露出した負接点までの距離Bが画定される。距離Bは、第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)の長さを画定する。距離Bは、好ましくは第1および第2の重ね合わされた収縮フィルムラップバンドを含み、好ましくは前記のラップバンド間および第1のラップと電池の表面との間にシーラントを有するフィルムラップまたはテープにより横切られる。第1のフィルムバンドと電池との間のシーラントおよび2つのフィルムバンド間のシーラントは、優れた電解質遮断特性を得るために役立ち、経路Bに沿っての電解質の漏れの変化を防ぎまたは大きく遅延させる。第1のプラスチックフィルムラップは、好ましくは、電池の周囲(縁部)の周りに付与されたプラスチック管の収縮バンド(周囲バンド)である。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ方向に平行に向けられている。収縮後、このバンドは、すべての縁部と導電性エンドプレートのかなりの部分とを含めた、シーラントを支承する外部表面の大部分を覆って接着される。電池端子接点領域は除く(剥き出しのままにする)。したがって、潜在的な漏れ経路は、更に、フレームの外側周縁部から電池端子の近傍に向かって延長される。
【0045】
第2のプラスチックフィルムラップ、好ましくはプラスチック管の収縮バンド(横方向バンド)が、第1のバンドに対して直角に電池に付与される。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ寸法に対して垂直に向けられている。第2の収縮ラップ(横方向バンド)は、密接に収縮されて、残りの露出表面の大部分を被覆する。横方向バンドには、外側の金属エンドプレート上の、シーラントが存在しない接点領域と位置合わせされた、穿孔されたまたは切り抜かれた小さい穴が設けられていて、電池端子を露出させる。第1および第2の収縮ラップバンド(周囲バンドおよび横方向バンド)は、併せて、電池端子を除いた電池の外部表面全体を被覆する。
【0046】
耐漏れ性を更に強めるために、第2の横方向バンドを付与する前に、第1の収縮ラップバンド(周囲バンド)の外部表面が、追加シーラントでコーティングされることもあり得、従って第1のバンド(周囲バンド)の外部と第2のバンド(横方向バンド)との間の封止を効果的にする。これによって、確実に、漏れた電解質のために残っている出口点が、露出した電池接点だけになる。
【0047】
1つに結合された別個のアノードフレームおよびカソードフレームが存在する場合、本明細書で言及する第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)を、アノードフレーム周縁部の幅、即ち、フレーム内の中空スペースを取り囲むフレーム縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義することができる。(ただし、類推により、電池のカソード側ではカソードフレームの幅が第1のブロック経路Aを決定することが理解されよう。)アノード材料とカソード材料との両方を収める単一の共通フレームが存在する場合、第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)は、この共通フレームの縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義される。前述した第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)は、アノードフレームの外側周縁部境界から電池表面上の露出した負接点までの距離として測定される。総電解質漏れブロック経路A+Bは、望ましくは電池厚の少なくとも約1.5〜4倍であり、非常に大きい設置面積を有する電池では更に大きくなり得る。
【0048】
漏れ低減方法3に関し、これは、電池設置面積の総面積に比べ、外部の負接点の面積を最小限に抑えることによって達成される。故に、負接点の外部表面のできる限り多くを被覆することにより、シーラントおよびプラスチックフィルムを使用することにより、露出された接点面積と電池設置面積との比が最小限に抑えられる。好ましくは、この比は、5%未満(設置面積1cm〜14.5cmの電池の場合)、より好ましくは1%未満(設置面積14.5cm〜603cmの電池の場合)、最も好ましくは0.1%未満(設置面積603cm以上の電池の場合)である。
【0049】
ここに記載の配置は、正方形、長方形、多角形、円形、若しくは楕円形のような様々な形状、および平らでも湾曲していてもよい表面を有する、本発明のウェーハ電池に適用可能である。
【0050】
全漏れ経路は、フレーム幅にフレームの外縁部から電池端子までの距離を加えた和からなる。本発明の好ましい実施形態では、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも2倍である。より好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも3倍であり、最も好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも4倍である。電池外部をシーラントおよびプラスチックフィルムで被覆することにより、潜在的な漏れ経路は、更にフレームの外側周縁部から電池端子まで延長される。本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、21.6cm×27.9cm若しくは603cm(約8.5in×11in若しくは93.5in)またはそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。
【0051】
他の態様では、ウェーハ電池は、電池の短寸法を画定する該電池の対向する側部間を完全に通り抜ける、1以上の穴を有してよい。前記穴のいずれか1つを画定する境界表面は、好ましくはいずれの他のそのような穴の境界表面とは交わらないか、または触れていない。各穴を画定する境界表面は、また電池の短寸法を画定する対向する側部間の電池の外縁表面として定義されるような、電池の外側周縁部とは交わらないか、または触れていない。方形のウェーハ電池(直方体)では、穴は、望ましくは、電池の短寸法をそれらの間に画定する該電池の対向する2つの平行側部に垂直に向き合ってもよい。穴は、対称または非対称であってよい。具体的には、長方形のウェーハ電池の前記2つの対向する側部間の電池軸に沿って中央に配置された穴は、ウェーハ電池が電力供給されるべきデバイスに連結されたシャフト上に便利に挿入されることを可能にする。
【0052】
本発明の代表的なウェーハアルカリ電池10を図1に示す。図1の実施形態では、電池は、隅角部が丸み付けされた、全体的に方形の形状をしている。電池10は、電池の主要部を形成する2つの対向する方形薄板状表面20’および80’と、それらの間にある2対の対向する方形端面とを有しており、その1対が端面110a、110bであり、第2の対が端面110cおよび110dである。対向する薄板状表面20’および80’は、好ましくは互いに平行である。対向する端面110aおよび110bは、好ましくは互いに平行であり、対向する端面110cおよび110dは、好ましくは図1に示したように互いに平行である。故に、電池10は、隅角部が丸み付けされた直方体(直平行六面体)の形状である。
【0053】
対向する薄板状表面20’および80’が、他の形状、例えば多角形であってもよく、また円形若しくは楕円形であってもよく、様々な表面積の、曲線状の周囲、または一部が曲線状の周囲であってもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、方形電池だけに限定されるものではない。対向する薄板状表面20’および80’は、平行でなくてもよい。故に、望むなら、電池は、厚さが一定でなくてもよい。対向する薄板状表面20’および80’は、平らでなくてもよい。故に、望むなら、電池は、一定の厚さまたは一定ではない厚さで、単一曲率または2重曲率をもつことができる。単一曲率の電池は、例えば、図9Bおよび9Cに示されている。図9Bでは、電池は、上面20’から見下ろした時に、内側に湾曲している(凹面)。図9Cでは、電池は、上面20’から見下ろした時に、外側に湾曲している(凸面)。図9Cでは、電池は、また、一端110aでは、反対側の端部110bよりも薄い。また同様に、端部11Oaでの電池の幅は、反対側の端部110bでの幅とは異なるものであってよい。図9Cでは、電池の幅は、端部110aでは、反対側の端部110bでの幅よりも小さい。電池表面は、また、多重曲率の表面であってもよい。図9Aでは、2重(鞍状(saddle))曲率の電池が示されている。
【0054】
例えば図1Aに示したように、電池の薄板状構造が形成された後、1つ以上のプラスチックフィルムバンドを電池の表面に適用することができる。バンドは、好ましくは熱収縮性プラスチック材料製であり、望ましくはポリ塩化ビニルフィルム製である。図8Aに示したように、電池端子接点領域25および26を除いた電池の外側が、初めにシーラント120(後述するような接着剤シーラントB)の第1の外層で被覆される。次いで、第1の熱収縮ラップ、即ち、収縮プラスチックの周囲フィルムバンド210が、電池の周縁部の周りに適用される(図8B)。バンド210は、好ましくは、中空の内部212を画定する閉じた主要表面211から形成される。フィルムバンド210が、電池の表面上に熱収縮される時、フィルムバンド210の主要部211は、電池表面上に折り重なり第1の外側シーラント層120に接着する(図8C)。シーラント120の一部分は、端子接点領域25を除く中央部(図8C)で露出したままである。外側シーラント121(後述する接着剤シーラントB)の第2の層が、周囲の収縮プラスチックバンド210の外表面に適用されるが、電池の周縁部では所望により該シーラント121を省略してもよい。次いで、第2の熱収縮ラップ、即ち、収縮プラスチックの横フィルムバンド220が、収縮プラスチックの周囲バンド210に垂直に適用されて、残りの露出した薄板状表面20’および80’を被覆する。横フィルムバンド220が電池表面上に熱収縮されると、該フィルムバンドは、第2のシーラント層121と接触する。したがって、横方向バンド220は、周囲バンド210を覆って適用された第2のシーラント層121に接着する。横方向バンド220は、また、薄板状表面20’および80’に適用された、ただし収縮プラスチックの周囲バンド210によって被覆されていなかった、第1のシーラント120の露出部分(図8C)にも接着する。横方向バンド220には、薄板状表面20’上の端子接点領域25を露出させる穴222と、薄板状表面80’上の反対側の端子接点領域26を露出させるバンド220の反対側の面上の同様の穴(図示せず)とが設けられている。例えば図2に示される特定の実施形態では、端子接点領域25は、電池の負端子を提供し、反対側の接点領域26は、正端子を提供する。横方向バンド220の小さい部分は、横方向バンド220が、周囲バンド210上に収縮した後に、バンド220の開口端のところに小さい孔または窓224をもたらす。下層の周囲バンド210の小さい部分が、窓224を通じて露出した状態で示されている(図8E)。
【0055】
好ましくは、電池10の全厚が小さく、例えば約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、より典型的には約1.5〜4mmである。
【0056】
電池10(図1)の具体的な構成は、図1Aに切欠図で、図2および図3にそれぞれ縦断面図および横断面図で示されている。電池10は、初めにアセンブリ30A(図4A)のようなアノードアセンブリを形成し、次いでアセンブリ70A(図4B)のようなカソードアセンブリを形成することを特徴とする。次いで、アノードアセンブリ30Aおよびカソードアセンブリ70Aが、好ましくは接着剤によって互いに結合されて、完成した電池を形成する。完成した電池は、好ましくはシーラントでコーティングされ、好ましくは熱収縮性ポリ塩化ビニル製のプラスチックフィルム200で、好ましくは2回包まれる。プラスチックフィルム200に熱が加えられて、電池のラベルを形成する。他の種類の外側フィルムラップ200が使用可能であり、例えば、接着剤コーティングされたプラスチックフィルムおよび熱収縮性ポリオレフィン若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがある。前述したように、外側フィルムラップ200は、好ましくは2重ラップを含み、即ち、電池の周縁部の周りに適用された第1のフィルムバンド210と、第1のフィルム210を覆って横方向に適用された第2のラップ220とを含む。
【0057】
しかしながら、場合によっては、初めに横方向フィルムバンドを適用し、2番目に周囲バンドを適用することが望ましいこともあり得る。横方向バンドは、両方の集電体プレート外面の少なくとも一部分を被覆するフィルム材料の閉じたループを含んでよい。別の方法として、横方向バンドは、両方の集電体プレート外面の少なくとも一部分を被覆するフィルム材料の折り畳まれた小片を含み、電池の厚さ寸法を含む縁部の一部分上に折り重ねられてもよい。別の方法として、横方向バンドは、2つの別個のフィルム片を含んでもよく、各々が、各集電体プレート外面の少なくとも一部分を被覆する。
【0058】
接着剤またはシーラントは、様々な構成要素に好ましい位置でコーティングまたは適用される。接着剤およびシーラントの一般的な種類について説明し、特に好ましいものを指定する。ただし、特定の接着剤およびシーラントの代替が可能であることが理解され、したがって、本発明を本明細書に提示したものだけに制限しようとするものではない。本明細書に記載のウェーハ電池10の実施形態を形成する際に使用される接着剤/シーラントには、3つの種類がある。
【0059】
接着剤A:これは、主に、結合される構成要素に保持強度を付与する構造用接着剤である。接着剤Aにエポキシ系接着剤を使用することが好ましい。好ましいエポキシ接着剤は、例えば、3M社(3M Company)から2216の商品名で入手可能な2成分エポキシからなるものであってよい。また、単成分の、3Mから非金属充填エポキシ2214(non-metallic filled epoxy 2214)の商品名で入手可能な熱活性型エポキシ、または3MからLC−1211の商品名で入手可能なUV開始型アクリレート接着剤、または3MからAF−111 スコッチ・ウェルドフィルム接着剤(AF-111 Scotch-Weld film adhesive)の商品名で入手可能なフィルム接着剤であってもよい。
【0060】
接着剤シーラントB:これは、構成要素を1つに結合させるのに役立ち、また同時にシーラントの役割も果たす、即ち、アルカリ電解質を密封し、且つその透過を妨害する働きをする、粘着性接着剤である。接着剤シーラントBは、好ましくは、粘着性ポリアミドを含む溶剤系溶液として適用される。或いは、シーラントBは、グラフト側基(grafted side groups)をもつポリエチレンである機能化されたポリエチレンを含んでもよい。好ましい機能化されたポリエチレン接着剤シーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商標名J−43接着剤(J-43 adhesive)として入手可能である。或いは、アスファルトであってもよい。ポリアミド樹脂を含む溶剤系溶液の形態の好ましいシーラントBは、スペシャリティ・ケミカルズ社(Specialty Chemicals Co.)から商品名スペックシール(Specseal)として販売されている。粘着性ポリアミド樹脂を含む他の好ましい溶剤系溶液は、商標名REAMID−100およびVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)またはコグニス社(Cognis Corp.)から)。そのような接着剤構成成分は、望ましくは低分子量の熱可塑性ポリアミド樹脂である。好ましいポリアミド樹脂は、商標名REAMID−100およびVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)またはコグニス社(Cognis Corp.)から)。これらの樹脂は、室温でゲルであって、分子量約390の二量体化脂肪酸であり、且つ二量体化脂肪酸とジアミンとの反応生成物である。より高分子量のポリアミド系接着剤構成成分を使用できるが、低分子量の構成成分は、選択される好ましい溶剤中により容易に溶解するので好ましい。接着剤構成成分は、所望の粘度になるように溶剤に溶解される。イソプロパノールまたはトルエンのような様々な溶剤、並びに溶剤の混合物を使用することができる。好ましくは、取扱時に比較的無害な性質であるので、イソプロパノールが溶剤として使用される。ポリアミドは、水酸化カリウム電解質による化学的侵食に耐えるという、さらなる利点を有する。ジェットスプレー方法を含めた従来のスプレーコー
ティング技術を使用して、接着剤を電池構成要素に適用することができる。接着剤は、電池のポリマー構成要素の所望の表面間、電池の金属構成要素の表面間、または電池のポリマー構成要素の表面と電池の金属構成要素の表面との間に接着剤シールをもたらすように適用することができる。
【0061】
接着剤C:この接着剤は、主に同一のまたは類似のプラスチック材料製の2つのプラスチック構成要素を結合させるために使用される。好ましい接着剤は、それ故にまた結合されるべきプラスチック材料と同一のポリマーベースも有する。例えば、結合されているプラスチック材料が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である場合、好ましい接着剤は、やはりポリスチレン接着剤樹脂を含有する。そのような接着剤は、適した溶剤に溶解した接着剤樹脂を含む溶剤系溶液の形態で便利に適用することができる。
【0062】
本発明の特定の実施形態について記載する際、特に指示のない限り、接着剤は、以上で指定した接着剤A、B、またはCを参照することによって与えられる。
【0063】
好ましいアノードアセンブリ30A(図4A)は、外側周縁部33aと内側周縁部37とを有する好ましくは有機ポリマー材料、例えばプラスチック製のアノードフレーム30を含む。内側周縁部37は、中空の内部スペース33bを取り囲む。アノードフレーム30は、好ましくは、耐久性があり、更に可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。アノードアセンブリ30Aは、また、アノード材料40と、アノード集電シート20と、セパレータシート50とを含む。故に、アノードフレーム30は、アノード40のためのハウジングの一部分を形成し、アノード集電シート20と電池の正側との間の接触を妨げる絶縁封止部材の役割も果たす。所望により、セパレータシートを、カソードアセンブリ70Aの一部として含めてもよく、またはアノードアセンブリとカソードアセンブリとの間の別個の物体として含めてもよい。組立時には、集電シート20を、フレーム30の後側部に接着結合させることができる(図4A)。そのような実施形態(図4A)では、フレーム30とそれに結合したアノード集電シート20とが、事実上、アノード材料40のためのハウジングを形成する。好ましい集電シート20は、銅製である。シート20は、望ましくは厚さ約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の間である。集電シート20は、好ましくは、フレームの外縁部に隣接する構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)とフレームの内縁部に隣接したシーラント材料のバンド20b(前述の接着剤シーラントB)とからなる段階的シールを用いて、フレーム30の後側に固定され封止される。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。接着剤層の厚さを制御するために、スペーサビーズを構造用接着剤に組み込むことができる。次いで、アノード材料40を、集電シート20に押し当てられた配置になるようにフレーム30内の内部スペース33bに挿入することができる。フレーム30には、フレームの内縁を形成する陥凹レッジ(ledge)36を設けてよい。陥凹レッジ36は、好ましくは接着剤37でコーティングされる。接着剤37は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、または3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ36に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。セパレータシート50の縁部がレッジ36に接して配置され、且つ接着剤コーティング37によって該レッジに結合されるように、セパレータシート50をアノード材料40上に被せて挿入してよい。或いは、超音波または熱および圧力溶接法によって、セパレータシート50の縁部をレッジ36に溶接してもよい。したがって、完成したアノードアセンブリ30は、集電シート20およびセパレータ50がフレーム30の両側に結合した、集電シート20に押し当てられたアノード材料40を含む積層構造の形態である。
【0064】
好ましいカソードアセンブリ70A(図4B)は、外側周縁部73aと内側周縁部77とを有する、好ましくは有機ポリマー材料、例えばプラスチック製のカソードフレーム70を含む。内側周縁部77は、中空の内部スペース73bを取り囲む。カソードフレーム70は、好ましくは、耐久性があり、更に可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム70に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニルプラスチックである。カソードアセンブリ70Aは、また、カソード材料60とカソード集電シート80とを含む。カソード集電シート80は、望ましくはニッケルめっき鋼シートであり、好ましくは、ニッケルの上を炭素層が覆う、ニッケルめっき鋼である。鋼シートは、通常、冷延鋼であってよい。他の適したカソード集電シート80は、米国特許第6,555,266B1号に開示されているような、ニッケル層をコバルト層が覆い、コバルトを炭素塗料層が覆う、ニッケルめっき鋼シートであってよい。他の適したカソード集電体は、エッチングされ、炭化され、炭素塗料コーティングでコーティングされた、純ニッケルシートである。ニッケルシートは、望ましくは約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の間の厚さを有してよい。ニッケルシート上の炭素コーティングは、例えば、米国特許第6,555,266号に記載されているような、溶剤系コーティング法によって適用されてよい。ニッケルシートは、該ニッケルシートを高温で動作している炉に通過させることによって炭化されてよく、その際、揮発した炭素前駆体から炭素がニッケル表面上に蒸着する。ニッケル表面上に炭素を蒸着させて炭化ニッケル表面を形成する後者の技術については、米国特許第2,051,828号(ウィリアム・F・デスター(William F. Dester)、1936年8月25日)に記載されている。アルカリ電池における炭化ニッケル集電体の使用については、米国特許第3,713,896号(ラルフ・H・フェルダケ(Ralph H. Feldhake)、1970年8月19日)に記載されている。
【0065】
組立時には、集電シート80をフレーム70の後側部に接着結合させてよい(図4B)。かかる実施形態(図4B)では、フレーム70とそれに結合したカソード集電シート80とが、事実上、カソード材料60のためのハウジングを形成する。集電シート80は、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤のバンド70a(前述の接着剤A)と、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料のバンド70b(前述の接着剤シーラントB)とからなる段階的シールを好ましくは用いて、フレーム70の後側の縁部73aに結合されてよい。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。次いで、カソード材料60を、集電シート80に押し当てられた配置になるようにフレーム70内の内部スペース73bに挿入することができる。したがって、完成したカソードアセンブリ70aは、集電シート20に押し当てられたカソード材料60を含む、ただしカソード材料60の一部分が露出した、積層構造の形態である。
【0066】
次いで、アノードアセンブリ30Aをカソードアセンブリ70Aに接着固定して、アノード材料40とカソード材料60とが互いに向き合い、且つそれらの間にセパレータ50が存在する、単一積層電池構造10を形成することができる(図1A)。アノードアセンブリ30Aおよびカソードアセンブリ70Aは、接着剤をアノードフレーム30の露出された前側部(図4A)に適用することにより、互いに都合よく結合される。アノードフレーム30(外縁部33aと内縁部37との間)は、通常、接着剤が適用されるのに十分な空間を許容する約3mm〜6mm(1/8〜1/4インチ)の幅であってよい。接着剤32は、望ましくは、フレーム30のプラスチック材料と同じ部類由来の接着剤樹脂を含有する。故に、フレーム30が耐衝撃性ポリスチレン製の場合、好ましい接着剤32は、耐衝撃性ポリスチレンのトルエン溶液である。或いは、フレームがABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)若しくはPVC(ポリ塩化ビニル)から作製される場合、これらのプラスチックポリマーのトルエン溶液または他の溶剤溶液を使用してよい。接着剤32がアノードフレーム30の前部に付与された後、アノードフレーム30は、カソードフレーム70上に押圧され、故に図1〜3に示された完成された電池10を形成する結合された積層構造を形成するためにアノードアセンブリ30Aをカソードアセンブリ70aに接着結合させる。図1A、図2、および図3に最もよく示されている完成した電池10は、堅く、頑丈で、且つ小型である。結合された積層電池構成は、電池内容物をその中に保持する、緊密に封止された電池をもたらす。図2および図3に示したように、電池は、1層または2層のシーラントでコーティングされ、1層または2層のプラスチックフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルの熱収縮性フィルムで包まれてよい。フィルムに熱が加えられると、該フィルムは、電池の境界表面の周りで収縮してラベルを形成する。
【0067】
本発明の一態様は、電池内部から電解質が外部脱出点に到達するまでに通る長い漏れ経路が設けられるように、電池を設計することである。(これは、様々な電池構成要素に前述の接着剤および接着剤シーラントを与えることに加えて実施される。)故に、本発明のウェーハ電池10は、フレーム30および70(または、図7Aおよび図7Bに示した単一フレームの実施形態の場合にはフレーム130)が、好ましくは少なくとも総電池厚と同じ大きさの、フレーム縁部幅(例えば、図4Aに示した縁部33aと37との間、または図4Bに示した縁部73aと77との間、または図7Bに示した縁部130aと137との間)をもつように設計される。これは、例えば図2に示したように、電解質が電池内部からフレームの外端まで通る、比較的長い第1の漏れブロック経路「経路A」をもたらす。次いで、外側の熱収縮性フィルムラップ200(図8A〜8Eに示したように2重のフィルムラップ210および220を含んでもよい)が、第2の漏れブロック経路「経路B」をもたらす。ブロック経路Bは、フレーム(例えば、フレーム30)の外側周縁部から距離「B」(図2)のところにある導電性エンドプレート(例えば、エンドプレート20)上に配置された露出端子接点(例えば、端子接点25)からの距離として定義され、それは、少なくともフレーム幅と同じ長さの距離、即ち、電池厚にほぼ等しいまたはそれ以上の距離である。この状況では、総電解質漏れブロック経路A+B(図2)は、好ましくは電池厚の少なくとも2倍である。漏れブロック経路AおよびBに対するのと同一の定義が、図7Aおよび図7Bに示した本発明の単一フレーム130の実施形態にも同様に当てはまることが理解されよう。
【0068】
本発明の電池10に好ましい放電レートは、例えば、約15〜45ミリワット/cm(13.5〜40.5ミリアンペア/cm)ほどの大きさであってよい。(平方センチメートル面積は、アノード/カソード境界面での面積に基づく。)全体寸法が幅4cm×長さ8cm×厚さ3mmの典型的なウェーハ電池10は、電流ドレインレート(current drain rate)約1〜1,000ミリアンペア、好ましくは約10ミリアンペア〜100ミリアンペアに対応し得る。
【0069】
図5Aおよび図5Bに示された代替的な実施形態では、完成された電池の構造上の一体性が、アノードフレーム30およびカソードフレーム70を、それぞれのフレーム縁部33aおよび73aの隣の突出したリベットを含むように一体成型することにより、強められることがあり得る。そのような一体成型されたリベット35が、アノードフレーム30の後面縁部から突き出る様子が示されている。同様に、一体成型されたリベットが、カソードフレーム70の後面縁部から突き出る様子が示されている。アノード集電シート20は、アノードフレーム30上の突出リベット35と対合するための孔22をその縁部に沿って設ける。同様に、カソード集電シート80には、その縁部に沿って、カソードフレーム70上の突出リベット75と対合するための孔82を設けることができる。したがって、リベット35を孔22に挿通することによって、アノード集電シート20をアノードフレーム30に固定することができ、リベット75を孔82に挿通することによって、カソード集電シート80をカソードフレーム70に固定することができる。次いで、リベットヘッドに熱と圧力を加えることによって、該リベットヘッドをピーニング処理(peened)(積層化)することができる。望ましくは、アノード集電シート上のリベット孔22間のスペースおよびカソード集電シート上のリベット孔82間のスペースにも、シーラントを適用してよい。そのような目的のために好ましいシーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商品名J−43接着剤(J-43 Adhesive)として入手可能であるような、粘着性のある機能化されたポリエチレン樹脂を有する溶剤系シーラントであってよい。図6Aおよび図6Bに示した実施形態では、アノードフレームに沿った突出リベット35は、アノードフレーム30の縁部に沿った浅い窪んだスペース38から突き出る陥凹した基部を有してよい。そのような構成によって、リベットヘッドがアノード集電シート20の孔22に挿入されて積層化された後で、該リベットヘッドを該アノード集電シートの表面よりも低い水平面に下げることができる。同一の陥凹リベットヘッド構成を、カソードフレーム70から突き出るリベット75に使用してよい。
【0070】
図4Aおよび図4Bに示した実施形態、並びに図5Aおよび図5Bに示したリベットを備えた実施形態にしたがって、電池10を作製した。図4Aおよび図4Bに示されたアノードアセンブリおよびカソードアセンブリを使用する特定の構成では、電池は、全厚2.8mm、幅38mm(1.5インチ)、長さ38mm(1.5インチ)を有していた。電池を、約0.6ボルトのカットオフ電圧まで77.5〜0.775ミリワット/cmの様々な一定レートで放電させた(面積は、アノードとカソードとの間の境界面積に基づく)。約0.6ボルトのカットオフまでの放電サイクルの間、平均負荷電圧は、約1.1ボルトであった。したがって、前述のワット密度範囲は、電流ドレイン密度約70.5〜0.705ミリアンペア/cmとなる。この放電範囲では、電池は、元の厚さの最大約10%の厚さまで膨らんだ。電池は、破裂せず、電解質の漏れもなかった。電子デバイスのバッテリキャビティ内で電池が密接に膨張しすぎないようにするために、公称10%の電池膨張を見込むように、該バッテリキャビティを電池よりも十分に大きく設計すること、または電池をキャビティ開口部よりも厚さが十分に小さくなるように設計することが推奨される。
【0071】
他の好ましいウェーハ電池の実施形態(図7Aおよび図7B)では、図4Aおよび図4Bの実施形態に示した2つのフレーム30および70の代わりに、単一フレーム130を使用してよい。好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成は、アノード材料40およびカソード60を単一フレーム130の両側に詰め込み可能であり、個々のフレームを互いに結合させる必要性を回避するという利点がある。図7Bに最も良く示されている単一フレーム130は、中空の内部スペース133bを取り囲む内側周縁部132を有する。図7Aおよび図7Bに示した単一フレームの実施形態の状況では、アノードアセンブリは、アノード集電体20と、アノード40と、セパレータ50と、フレーム130の上側とを含む。カソードアセンブリは、カソード集電体80と、カソード60と、同じフレーム130の下側とを含む。アノード集電体20およびカソード集電体80は、フレーム130の両側に結合されて、薄板状電池構成を形成する。
【0072】
単一フレームを使用する実施形態のための電池構成(図7Aおよび図7B)を達成するには、接着剤137が、フレーム130の内縁に沿って陥凹レッジ136に適用される(図7B)。
【0073】
接着剤137は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、または3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ136に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。
【0074】
セパレータシート50は、接触接着剤137によって陥凹レッジ136に結合される。或いは、接着剤を使用せずに、熱および圧力によって、または超音波によって、セパレータシート50を陥凹レッジ136に直接溶接してもよい。
【0075】
カソード60は、セパレータシート50の露出した側部の上に押圧される。次いで、カソード集電シート80の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、該集電シート80がカソード60に被せて適用される。段階的接着剤80aおよび80bは、図7Aおよび図7Bから推測されるように、カソード集電体80をフレーム130の下側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0076】
アノード40は、セパレータシート50の反対側の露出した側部上に押し出され、または押圧される。次いで、アノード集電シート20が、該集電シート20の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、アノード40に被せて適用される。段階的接着剤130Aおよび130bは、図7Aのようにアノード集電体20をフレーム130の上側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0077】
段階的シールは、好ましくはフレーム130の外縁部133aと内縁部137との間に適用される。段階的シールは、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤のバンド130a(前述の接着剤A)と、シーラント材料のバンド130b(接着剤シーラントB)(フレームの内縁部に隣接)とを含んでよい。均質な組成の単一の接着剤が、段階的シールの代わりにフレーム130の外縁部133aと内縁部137との間に適用されてもよいが、段階的シールが好ましく、前記段階的シールは、電解質を密封するためのより優れたシステムをもたらすからである。
【0078】
同様の段階的接着剤を、フレーム130の反対側の側部に適用してよく、またはカソード集電シート80の縁部に沿って適用してよい。後者は、図7Bに示されている。段階的接着剤は、カソード集電シート80の外縁部に隣接した構造用接着剤80a(前述の接着剤A)と、カソード集電シート80の内縁部に隣接したシーラント材料のバンド80b(前述の接着剤シーラントB)とを含む。段階的接着剤の代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的接着剤が好ましい。
【0079】
非限定例として、38mm×76mm(1.5インチ×3.0インチ)の設置面積サイズのウェーハ薄型電池10(厚さ4mm)の場合、典型的な動作時電流ドレインは、約1ミリアンペア〜約2,000ミリアンペア、一般的に約10〜250ミリアンペア、より一般的に約10〜100ミリアンペアであり得る。一般に、本発明の電池10のサイズをより大きくすれば(厚さではなく、それらのアノード/カソード境界面積に関して)、ますます高くなる電流ドレイン需要において該電池が良好な性能を示すことができることが理解されよう。
【0080】
特定のタイプの亜鉛粉末合金、亜鉛粒径、および特定のタイプのアノード集電体の場合、水素ガスがカソードへと拡散し、且つカソード材料によって酸化されて水を形成できるよりも速く、アノードが水素ガスを生成することがある。したがって、何らかの形態のガス管理システムが必要なことがある。具体的には、蓄積した水素ガスを排気するためのシステムが必要なことがある。これは、例えば、米国特許第4,105,831号(ポラロイド社(Polaroid Corporation))によって開示されているのと同様に、その長さ全体にわたって配置された多孔質インサートを有するガス透過性ポリマーのチューブの形態をとることができ、該チューブは、アノードキャビティを横切り、プラスチックフレームの外縁部を越えたところで終端する。
【0081】
アノード集電シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における封止特性は、アノード集電シート20をプラスチックフレーム30に結合させるために接着剤が適用される前に、アノード集電シートの内側表面を封止金属の薄層であらかじめコーティングすることにより改善可能である。故に、アノード集電体表面を直接接触させる代わりに、前述の段階的接着剤20aおよび20bのような接着剤が、アノード集電シート20上にあらかじめコーティングされた封止金属300(図10A)と接触することになる。このことは、封止特性、特にアノード集電シートとプラスチックアノードフレームとの間の境界面における接着剤シールの長期的な強度および均一性を改善することが確認されている。別の方法として、接着剤が封止金属300とプラスチックフレーム20との間に前記の2つを互いに結合させるように、アノード集電シート20は、それ自体、封止金属300から形成されてもよい。
【0082】
前述したウェーハ電池の実施形態の図1〜9Cは、電池の保管時にも通常使用時にも電池に十分な封止をもたらすが、本明細書ではシールの付加的な改善が提示される。改善が、主にアノードアセンブリ例えばアノードアセンブリ30A(図4A)を含む封止構成要素に関して説明されるてあろう。しかしながら、そのような改善は、カソードアセンブリ例えばカソードアセンブリ70Aを含む封止構成要素にも同様に適用可能であることが理解されよう。
【0083】
前述のように1以上の接着剤、例えば段階的接着剤シール20aおよび20b(図4A)が、アノード集電シート20をフレーム縁部30に結合させるために使用されてもよい。例えば、アノードフレーム30の外縁部33aに隣接した構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)と該フレームの内縁部37に隣接したシーラント材料のバンド20b(前述の接着剤シーラントB)が、図4Aに示されるように適用されてもよい。均質な組成の単一の接着剤が段階的接着剤シールの代わりに適用されてもよいが、段階的シールが、好ましく、段階的シールは、アノード集電シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面に電解質を密封するための、より優れたシステムをもたらすからである。
【0084】
アノード集電シート20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における封止特性は、接着剤20aおよび20bのような接着剤が、アノード集電体に適用される前に、アノード集電体20の内側表面を封止金属300の薄層(図10A)であらかじめコーティングすることにより改善可能であることが確認されている。故に、アノード集電体20表面を直接接触させる代わりに、接着剤20aおよび20bのような接着剤が、アノード集電シート20上にあらかじめコーティングされた封止金属300に接触することになる。このことは、封止特性、特にアノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間の境界面における接着剤シールの長期的な強度および結合均一性を改善することが確認されている。
【0085】
一例として、アノード集電シート20が前述に列挙したような銅、黄銅、青銅、スズ、または亜鉛製の場合、マグネシウム、ジルコニウム、またはチタンは、プラスチックアノードフレーム30をアノード集電シート20に結合させる接着剤、例えば段階的接着剤20aおよび20bと接触するアノード集電体表面の部分の上にあらかじめコーティングされるべき好ましい封止金属である。(マグネシウムまたはジルコニウムは、銅または黄銅製の集電シートに特に好ましい封止金属であることが確認されている。)故に、均質な接着剤または段階的接着剤いずれかの接着剤が、プラスチックアノードフレームをアノード集電シートに結合させるために接着剤が使用され、前記接着剤は、集電シートの対面する表面(通常は内側表面)上にあらかじめコーティングされたマグネシウム若しくはジルコニウム封止金属と直接接触することになる。封止金属コーティングと接着剤との間のそのような境界面は、長期(例えば、多数年)にわたっての劣化に耐えるように思われ、従って、アノード集電シートが、封止金属であらかじめコーティングされない場合に比べて、より良好にアルカリウェーハ電池のプラスチックアノードフレームとアノード集電シートとの間の結合を維持する。
【0086】
マグネシウム若しくはジルコニウムは、本発明のアルカリウェーハ電池10の状況で使用するのに好ましい封止金属300であるが、接着剤がプラスチックアノードフレームをアノード集電体に結合させるためにアノード集電体表面に適用される前に、他の金属が、アノード集電体表面上のプレコートとして同様の方法で使用可能である。そのような封止金属の目録として、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、およびイットリウム(Y)、並びにランタニド系列元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)が挙げられる。これらの元素のうち、利用可能性、機能、およびコストの総合的因子を考慮すれば、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびイットリウム(Y)が好ましい。
【0087】
封止金属は、約0.10〜50.0ミクロンの、通常は約1〜5ミクロンの、例えば約3ミクロンの均一な厚さでアノード集電シート20の内側表面に適用されてもよい。別の方法として、アノード集電シート20は、それ自体封止金属から形成されてもよい。そのような場合、アノード集電シートは、通常約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の厚さを有してよい。
【0088】
好ましい封止金属300は、それらの純元素形態であるが、封止金属の合金、例えば、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、およびイットリウム(Y)の合金も使用可能であるので、封止金属を純金属だけに制限しようとするものではない。そのような場合、純粋な封止金属、例えばマグネシウム若しくはジルコニウムまたは合金の主構成成分としてのそれらの組み合わせを有することが好ましい。しかしながら、純粋な封止金属が、合金の微量構成成分である場合にも、その上利益を得ることができる。非限定例として、望ましい具体的なマグネシウム合金は、次の通りである:2%のMgと残部にCuとの均質な合金、または5%のMgと残部にCuとの均質な合金、または20%のMgと残部にCuとを含有する合金4800A(Alloy 4800 A)(ニューヨーク州ニューヨーク、ベルモント・メタルズ(Belmont Metals))。
【0089】
従来技術が、アノード集電シート20またはカソード集電シート80の表面を封止金属でコーティングするために使用可能である。そのような従来技術は、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射、高速酸素燃料溶射、電気めっき(非水性電解質から)、または溶融めっき(hot dipping)(アノード集電シートを溶融封止金属槽に浸漬すること)が挙げられる。
【0090】
アノード集電シート20上に封止金属300をコーティングする工程は、集電シート20がそのようにコーティングされない場合に比べてアルカリ性環境においてより良好に、集電シート20とプラスチックフレーム30との間の接着結合を維持することが確認されている。このことは、そのような封止金属コーティングにより形成される天然の金属酸化物被膜が、本質的にアルカリ電解質に不溶性であるという事実に少なくとも部分的に起因すると考えられている。従って、そのような天然の酸化物を化学的に含む接着結合は、アルカリ性環境に曝された時でも劣化に耐える。別の方法として、アノード集電シート20は、それ自体、封止金属またはそれらの合金から形成されてもよい。更に、前述で列挙した封止金属は、それらの酸化物および水酸化物が、亜鉛などのアノード活物質の存在下で還元されないという特性を有する。そのような特性はまた、アノード集電シート20とプラスチックフレーム30(図4Aおよび図10B)との間の境界面結合の強度および均一性を維持する働きもする。
【0091】
アノード集電シート20の内側表面上で封止金属コーティング300を用いるアノードアセンブリ30A(図4A)の様々な実施形態が、図10A〜10Gに示されている。多数の異なる封止金属コーティングを使用してよいが、最も望ましいのは、マグネシウム若しくはジルコニウム金属のコーティングであると確認されている。封止金属コーティング300は、望ましくはその純元素形態で、例えばアノード集電体20の内側表面上のマグネシウム若しくはジルコニウム金属の薄いコーティングで適用されるが、封止金属はまた、合金の形態、望ましくはマグネシウムの合金若しくはジルコニウムの合金の形態であってもよい。アノード集電体20の内側表面全体を封止金属でコーティングする必要はない。しかしながら、封止金属300が使用される時には、該封止金属は、1以上の接着剤シーラント、例えば段階的シーラント20aおよび20bが、図10Aに示したようにそれに適用されることになる、アノード集電体20の内側表面の少なくとも一部分の上にあらかじめコーティングされるべきである。故に、封止金属コーティングは、通常、フレーム30に面するアノード集電体20の内側表面の一部分を被覆するように、周囲方向に適用される。
【0092】
アノードフレーム30(フレーム境界)は、通常、接着剤を適用するのに十分な空間をもたらす約3mm〜6mm(1/8〜1/4インチ)の幅であってよい。アノード集電体20の内側表面上での封止金属300の使用は、フレーム30の幅が、小さくなるにつれて、即ち、3mm(1/8インチ)に近づくにつれて、またはより少なくなるにつれて、アノードアセンブリ30Aの封止特性を強める特定の有用性を示す。
【0093】
図10A〜10Gは、本発明の封止金属300の使用を組み込んだアノードアセンブリ30Aの様々な実施形態の例である。
【0094】
図10Aは、段階的接着剤シーラント20aおよび20bに面するアノード集電体20の部分が、封止金属300であらかじめコーティングされていることを除いて、図4Aに示されたものに類似のアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。この実施形態に好ましい封止金属300は、元素マグネシウム若しくはジルコニウムを含む。封止金属コーティング300をアノード集電体20の内側表面の周辺囲に、段階的接着剤シーラント20aおよび20bの全幅に直接面する集電体の前記内側表面の部分にちょうど沿って適用することが好ましい。この方法では、そのように所望された場合、アノード材料40への封止金属表面の直接の露出が回避可能である。マグネシウムのコーティングは、亜鉛を含むアノード40に直接露出可能であるが、そのような亜鉛アノード40へのジルコニウムのコーティングの直接露出は、状況によっては電池のガス発生(cell gassing)に寄与することがあり得、従って回避されるべきである。
【0095】
元素マグネシウム若しくはジルコニウムなどの封止金属コーティング300(図10A)は、真空金属被覆によるなどの従来技術によりアノード集電体20の内側表面に適用されてよい。しかしながら、封止金属300をアノード集電体20に適用する他の従来の方法が使用可能である。例えば、封止金属は、スパッタリング、イオンめっき、プラズマ蒸着、ジェット補助されたプラズマ蒸着、焼結、低温金属溶射、爆裂銃溶射(detonation gun spraying)、高速酸素燃料溶射、電気めっき(非水性電解質から)の技術を用いて、または溶融めっき(アノード集電体を溶融封止金属槽に浸漬すること)により適用されてよい。好ましくは元素マグネシウム若しくはジルコニウムの封止金属300は、好ましくは約0.10〜50ミクロンの、例えば約3ミクロンの均一な厚さでアノード集電シート20の内側表面に適用されてよい。元素マグネシウム若しくはジルコニウムが好ましいが、封止金属300は、好ましくはマグネシウム若しくはジルコニウム(または両方供に)が合金の大部分の構成成分を成す、マグネシウム若しくはジルコニウムの合金であってもよい。
【0096】
図10Aに示された好ましい集電シート20は、銅製である。しかしながら、アノード集電体20は、望ましくはまた黄銅若しくは青銅製であってもよい。集電シート20は、望ましくは厚さで約0.152〜0.254mm(6〜10mil)である。単一の接着剤が、使用されてもよいが、段階的接着剤20aおよび20bをアノードフレーム30の上側に適用することが好ましい。段階的接着剤は、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤のバンド20a(前述の接着剤A)と、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料のバンド20b(前述の接着剤シーラントB)とを含む。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。次いで、接着剤でコーティングされたフレームが、アノード集電体300と段階的接着剤20および20bとの間の境界面を形成する封止金属300と接触するように、アノード集電体の縁部に適用される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、またはポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。図10Aに示されたセパレータ50は、アルカリ電池セパレータにおいて従来使用される材料製であってよい。セパレータ50は、例えば、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートから構成されてよい。
【0097】
図10Bは、銅の集電体20が同一または類似の厚さのマグネシウム若しくはジルコニウムシーティングの集電体で完全に置き換えられている、アノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。即ち、集電体20の厚さは、望ましくは約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の間である。マグネシウム若しくはジルコニウム集電シート20の使用は、銅の集電体の内側表面のいずれかの部分をマグネシウム若しくはジルコニウムなどの封止金属で別個にコーティングする必要性を回避する。この実施形態(図10B)では、亜鉛アノード40への露出が、ジルコニウム金属の電池の保管時または通常動作時の電池のガス発生(cell gassing)を増加することがあり得るので、マグネシウムのアノード集電体20の使用が、好ましい。しかしながら、接着剤シーラント20aおよび20bとマグネシウム若しくはジルコニウムの境界面は、多数年に及ぶ長期間の電池の保管および使用にわたって、集電体20とプラスチックフレーム30との間に優れた結合を保証する。好ましい段階的接着剤20aおよび20bを含めた残りの構成要素は、図10Aの実施形態を参照して記載したものと同一である。
【0098】
図10Cは、銅シーティング20の内側表面全体の下にあるマグネシウムの封止金属コーティング300を伴う銅製の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。マグネシウムのコーティング300は、銅シート20の下に、通常約0.10〜50ミクロン、例えば約3ミクロンの厚さを有してよい。シーティング20と300とを組み合わせた厚さは、約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の間である。アノードフレーム30に適用された好ましい段階的接着剤20aおよび20bを含む残りの構成要素は、図10Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0099】
図10Dは、周縁部に隣接した銅シート20の内側表面までジルコニウム金属の薄層で周囲方向にコーティングされた銅製の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。ジルコニウム層は、銅のアノード集電シート20の下面に、接着剤20aと20bとを組み合わせた幅、即ち、ほぼアノードフレーム30の幅に相当する、厚さ約3ミクロンで適用される。アノードフレーム(フレーム境界)30の幅と必然的にジルコニウム封止金属300の幅とは、通常約3mm〜6mm(1/8〜1/4インチ)であってよい。この実施形態は、段階的接着剤20aおよび20bにジルコニウム接触表面を提供する利点を有するが、それでもジルコニウムを直接には亜鉛アノード材料40に曝さない。前述のように、ジルコニウム封止金属と亜鉛アノード材料40との間の直接接触を回避することが好ましく、そのような直接接触は、電池のガス発生に寄与する虞があるからである。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを含む残りの構成要素は、図10Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0100】
図10Eは、ジルコニウム金属の集電体20を備えたアノードアセンブリ30Aの実施形態を示す。ジルコニウム金属集電体20は、プラスチックフレーム30と集電シート20とが1つに結合される時、段階的接着剤20aおよび20bと直接接触する。即ち、ジルコニウム製の集電シート20が、それ自体接着剤20aおよび20bに対する封止金属の役割を果たす。しかしながら、ジルコニウム集電体20の内側表面の中央部分は、銅の薄い層28でコーティングまたはめっきされ、そのため亜鉛アノード40が、電池のガス発生の可能性を低減するためにジルコニウムではなく前記銅の層28に直接曝される。この実施形態では、ジルコニウム集電体20は、望ましくは約0.152〜0.254mm(6〜10mil)の間の厚さを有してよく、下にある銅の層28は、通常約0.5〜5ミクロン、例えば約3ミクロンの厚さを有してよい。前述のように、アノードフレーム縁部30の幅と、必然的に接着剤20aおよび20bと接触する組み合わされた領域とは、通常約3mm〜6mm(1/8〜1/4インチ)の間であってもよい。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを含む残りの構成要素は、図10Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0101】
図10Fおよび図10Gは、アノード集電体20が、マグネシウム封止金属の薄い層300から形成される、実施形態を示す。マグネシウムの層は、マグネシウム/ポリマーフィルム積層体を形成するための従来の真空金属被覆技術により、ポリマーフィルム250、好ましくはポリイミドフィルム上にコーティングされてよい。段階的接着剤20aおよび20bは、図10Fおよび図10Gに示されるようにプラスチックフレーム30をマグネシウム層20に結合させる。ポリマーフィルム250は、下にあるマグネシウム層に保護コーティングを提供する。マグネシウム層20は、通常約5〜50ミクロン(0.2〜2.0mil)の厚さを有してよく、ポリマーフィルム250は、望ましくは約0.50〜5.0milの厚さを有してよい。アノード端子接点(負端子)を提供するには、マグネシウム/ポリマーフィルム積層体のタブ部分310は、電池縁部から延びてもよく、それ自体の上に捲り上げてもよく、従って図10Fに示されるようにマグネシウム層300の一部分を露出する。タブ310内のマグネシウム層300の露出された部分(図10F)は、電池の負端子の役割を果たすことができる。
【0102】
別の方法として、マグネシウム層300の一部分は、ポリマーフィルム250から離して露出させてもよく、図10Gに示されるように負端子接点タブ310を形成するように電池縁部から突き出させてもよい。図10Fおよび図10Gに示される実施形態は、付加的にアノード集電体20を封止金属でコーティングする必要なくして、アノード集電体20と段階的接着剤20aおよび20bとの間に直接的接触をもたらすという利点を有する。即ち、集電体20がそれ自体、封止金属300、即ちマグネシウムから形成される。図10Fに示される実施形態はまた、研磨材または酸性流体などの厳しい外部要素との直接的接触からマグネシウム封止金属300を保護するための保護フィルム層を提供し、尖った器具による穿刺などの機械的誤用から薄いマグネシウム層を保護する。アノードフレーム30に適用される好ましい段階的接着剤20aおよび20bを含む残りの構成要素は、図10Aの実施形態を参照して記載されたものと同一である。
【0103】
アノード集電体20が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの多層金属シートとを含むフィルム積層体から形成される、他の実施形態が、可能である。多層金属シートは、本質的に非封止金属からなる金属基膜と、本質的に該金属基膜の少なくとも一部分を被覆する封止金属からなる前記金属基膜上のコーティングとを含んでよい。
【0104】
先行する実施形態は、積層体構造を有する扁平なアルカリ電池の封止構造非圧着シールおよび扁平な負の集電体での封止金属の使用に関して記載された。しかしながら、ロッド、シリンダまたはカップ形のアノード(負)集電体を使用する従来のアルカリ電池構造が、封止の一体性を改善するために封止金属を都合良く使用することもあり得ることが理解されよう。そのような構造では、封止金属は、負の集電体の表面上に位置し、、絶縁封止部材(例えば、プラスチック絶縁グロメット若しくは封止ワッシャ)と、前記封止金属と前記絶縁封止部材との間に配置される様々なシーラントまたは接着剤を伴って対向する。任意に、圧着力がシールアセンブリ内で負の集電体と絶縁グロメットとの間に適用される、そのような従来のアルカリ電池構造、例えば円筒形若しくはボタン電池では、接着剤またはシーラントは、完全に省かれてもよい。この場合、負の集電体は、望ましくは封止金属であらかじめコーティングしてよく、またはそれ自体封止金属から構成されてもよい。集電体の表面上の封止金属の天然の酸化物または水酸化物被膜の不溶性および非還元性は、付加的なシーラント−接着剤の適用がない場合でも封止の一体性を改善する。
【0105】
故に、アノード(負)集電体を前記アノード集電体と絶縁シール部材の一部分との間に封止金属を用いることにより得られる絶縁シール部材の一部分(負のパススルー部分)に結合させる工程の改善は、構成に関わらず一般的にアルカリ電池に適用されることが意図されている。(図4Aに記載された実施形態では、ハウジングアノード40に加えて、フレーム30も、アノード集電シート20と電池のカソード60若しくは電池の正側との間の接触を妨げる絶縁封止部材の役割を果たす。)
【0106】
例えば、代表的な米国特許第4,740,435号に示されている円筒形のアルカリ電池内の、絶縁シール部材12(プラスチックの上部)を貫通する延長されたアノード集電体ツメ15の部分は、前記集電体ツメ15が、アスファルトシーラント17(または同等のもの)で絶縁封止部材12に結合される前に、本発明の封止金属であらかじめコーティングまたは被覆可能である。例えば米国特許公開2002−0192545−A1に示される亜鉛/空気ボタン電池では、絶縁シール部材172に接するアノードケーシング側壁163(アノード集電体)の外側表面の部分は、該アノードケーシング163が、前記絶縁封止部材に結合される前に、本発明の封止金属であらかじめコーティング可能である。本発明に記載されたような目的に好ましい封止金属は、マグネシウム、ジルコニウム、およびチタンであるが、封止金属は、また、以上で定義された列挙から選択可能である。
【0107】
アノード集電体の前記部分(負の貫通配線部分)を、前述で定義された封止金属、特に、マグネシウム、ジルコニウム、またはチタンであらかじめコーティングすることにより、アノード集電体と絶縁部材との間の接着結合は、アノード集電体の前記部分が、そのように封止金属であらかじめコーティングされない場合に比べて、より耐アルカリ性となり、一般に経時的により良好に劣化に耐える。別の方法として、全体的に、アノード集電体自体が、または絶縁部材と結合される部分がそれ自体、封止金属から形成されてもよい。この方法では、アノード集電体と絶縁部材との間の接着剤シールが改善され、それらを通じた電解質漏れの可能性が低減される。
【0108】
バッテリの外部負端子の電気接点の品質を改善するために、負の接点端子を被覆若しくは構成する封止金属表面の部分またはその一部は、銅若しくはニッケルなどの優れた接触特性を有する別の金属でめっきまたはコーティングされてもよい。
【0109】
負の活物質と直接接触する、または電池内部の電池電解質、例えば亜鉛およびKOH電解質に直接曝される可能性のある、封止金属表面のいずれかの部分からのガス発生率を低減するために、封止金属表面のその部分またはそのいずれかの一部分が、ある状況のもとで封止金属自体よりも低いガス発生特徴を有する場合のある別の金属でコーティングされてもよい。例えば、そのような他の金属は、銅、スズ、インジウム、亜鉛、またはそれらの合金であってよい。
【0110】
封止金属、例えばマグネシウム若しくはジルコニウムまたは前述の指定された封止金属のいずれかはまた、アルカリ電解質に不溶性であり、亜鉛アノード活物質により還元されない酸化物または水酸化物以外の、同一の封止金属を含有する化合物でコーティング可能である、本発明の他の実施形態が可能である。例えば、アノード集電シート20の形態で使用されるかまたは銅若しくは黄銅などのアノード集電シート上のコーティングとして使用されるマグネシウムなどの封止金属はそれ自体、保護層でコーティング可能である。そのような保護層は、光学部品をオーバーコーティングするために使用されるもののような、真空蒸着技術により適用されるフッ化マグネシウム(MgF)被膜であってよい。
【0111】
また、ウェーハ電池10について他の構成も可能であり、本発明の概念内にある。例えば、ウェーハ電池10は、その中央を通る連続穴(図示せず)を有してよく、その際、かかる穴は、電池の短寸法に沿って対向する側部20’および80’間を完全に通り抜ける。(側部20’および80’は、図1に示されるように、前記側部の間に電池の短寸法を画定する。)かかる穴は、様々な寸法であってよく、中央に位置してもまたは中央から外れていてもよい。そのような実施形態の利点は、ウェーハ電池10が電池が中央に位置されることを命令する電力供給されているデバイス、例えば小さい回転デバイスなどに連結されたシャフト上に、固定可能であることである。
【0112】
ウェーハ電池10は、電池の2つの対向する側部20’および80’間を完全に通り抜ける、そのような複数の連続穴を有することができる。穴は、同一の寸法または異なる寸法であってよく、対称または非対称に配置されてよい。具体的には、アノードフレーム30と別個のカソードフレーム70(図1A〜5B)とを、または共通のアノードフレームとカソードフレーム130(図7A〜9C)とを有するウェーハ電池10の実施形態はまた、対向する側部20’および80’間を通り抜ける1以上のそのような連続穴を有することができる。図1に示されたウェーハ電池10の実施形態では、かかる穴は、通常対向する平行な側部20’および80’に対して垂直に位置合わせされ、これらの側部を完全に通り抜けるであろう。
【0113】
ウェーハ電池10は、外側周辺表面、例えば図1に示されるように表面110a、110b、110c、および110dを有する。対向する側部20’および80’間を通り抜ける穴は、側部20’および80’間の電池内の内側周辺表面により画定される。そのような内側周辺表面は、穴の境界を画定する。故に、ウェーハ電池10が、対向する側部20’と80’と間を通り抜けるそのような穴を有する時には、外側および内側周辺表面は、どの地点でも互いに触れずまたは交わらない。同様に、対向する側部20’と80’と間を完全に通り抜ける複数の穴が存在する時には、外側周辺表面110、110b、110c、および110d(図1)と、各穴に1つずつの、複数の内側周辺表面とが存在することになる。即ち、穴の各々は、別個の内側周辺表面により画定される境界を有する。外側および内側周辺表面のいずれも、どの地点でも前記周辺表面のいずれの他のものと触れずまたは交わらない。
【0114】
代表的な電池の化学組成
以下の、アノード40、カソード60、およびセパレータ50の化学組成に関する電池組成についての説明は、前述の実施形態で開示した代表的なウェーハ電池10に適用可能である。
【0115】
前述の電池10では、カソード60は、二酸化マンガンと電解質とを含み、アノード40は、亜鉛と、ゲル化剤と、電解質とを含む。電解質水溶液は、KOHと酸化亜鉛との従来の混合物を含む。アノード材料40は、水銀フリーの(水銀無添加の)亜鉛合金粉末を含有するゲル化した混合物の形態にすることができる。即ち、電池は、重量当たり亜鉛の約100ppm未満の総水銀含有量を有し、好ましくは重量当たり亜鉛の50ppm未満の水銀を含有する。また、電池は、好ましくは、鉛が添加されておらず、したがって本質的に無鉛であり、即ち、総鉛含有量は、アノード中の総亜鉛量の30ppm未満、望ましくは15ppm未満である。そのような混合物は、通常、KOH電解質水溶液、ゲル化剤(例えば、ノベオン(Noveon)(旧B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich))から商標名CARBOPOL C940として入手可能なアクリル酸コポリマー)、および界面活性剤(例えば、ローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)から商標名GAFAC RA600として入手可能な有機リン酸エステル系界面活性剤)を含有することができる。このような混合物は、単に実例として与えるにすぎず、本発明を制限しようとするものではない。亜鉛アノード用の他の代表的なゲル化剤は、米国特許第4,563,404号に開示されている。
【0116】
本発明の電池10に利用するためのカソード60は、望ましくは、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載されている種類の軟質または半固体カソードである。ただし、例えばカソードの約87〜93重量%の二酸化マンガン含有量を有する、より従来型の固体二酸化マンガンカソードも、やはり使用できることが理解されよう。それでも、軟質または半固体カソードが、それらをカソードフレーム70内のキャビティ73bへと容易に成型できることから、本発明のウェーハ電池に利用するのに望ましいことが確認されている。更に、電池の耐用期間中、カソード集電体80の露出表面と密接且つ均一な接触を維持することが見出されたので、本発明の接着固定された電池の状況では、そのような軟質または半固体カソードが好ましい。接着剤によって積層化された本発明の電池10では、固体カソードをカソード集電体と密接且つ均一に接触した状態に保持するための強い圧縮力が存在せず、そのような接触は、時間が経つといくらか緩むことがある。故に、軟質または半固体カソードが好ましい。
【0117】
本明細書で使用する時、用語「半固体」は、広く、真の固体と真の液体との間の中間的性質のすべての物理状態に及ぶものとする。故に、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、一般にパテおよびペーストに関係付けられる、柔らかい質感およびレオロジー特性を有する物理状態を包含するものとする。本明細書で使用する時、半固体材料は(これだけに限定するものではないが、例えば)、液体のように自由流動性ではないが、一般に該材料を導管内で移動させるのに外力を必要とする材料を包含する。また、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、押出可能であり、且つ外力を受けて破砕することなく変形できる材料にも当てはまるものとする。
【0118】
本発明のウェーハ電池で使用するのに望ましい半固体カソード60は、以下のような、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載の特性および組成範囲を有することができる。
【0119】
したがって、本発明の電池10用の半固体カソード60は、望ましくは、該カソードの80重量%未満、好ましくは該カソードの約40〜80重量%、典型的には約45〜78重量%、より典型的には45〜70重量%の量の二酸化マンガンを含む。二酸化マンガンを含む半固体カソードは、パテ若しくはペースト、または測定可能な粘度を有する高粘性材料の形態であってよい。
【0120】
軟質カソード60は、通常、該カソードの約45〜78重量%、より典型的には該カソードの約45〜70重量%のMnO(EMD)と、カーボンブラック(シャウィンガン(Shawingan)アセチレンブラック、より好ましくは、WO9703133に記載されているような、ベルギーのティムカル(Timcal)から得られるMM131またはMM179のような黒鉛化カーボンブラック)と、KOH電解質水溶液(7〜9規定)とを含む。好ましくは、また、少量のグラファイトも添加される。有利には、カーボンブラックは、好ましくは半固体カソードの約4〜15重量%含まれる。カーボンブラックは、半固体カソードの伝導度を増大させ、カソードを半固体状態に維持するための内部の網状構造をもたらす。カーボンブラックは、また、電解質吸収体の役割も果たしており、アルカリ電解質溶液を固定化するので、自由な流体電解質が明らかではなくなる。グラファイトは、カソードの約1重量%〜10重量%で含まれてよく、カソードの伝導度を改善する。望ましくは、本発明の半固体カソードは、また、水酸化カリウムを含む電解質溶液も含む。半固体カソードは、また、ポリテトラフルオロエチレンのような結合剤も含んでよく、望ましくは該カソードの約0〜2重量%含む。所望により、稠度(consistency)を調節するために、サザンクレイプロダクツ社(Southern Clay Products Company)のラポナイトRDS粘土(Laponite RDS clay)のような粘土を2重量%未満加えてもよい。
【0121】
半固体カソード60は、多孔率約30〜70%、好ましくは約35〜70%、より好ましくは約40〜70%であってよい。本明細書では、多孔率は、非固体材料、即ち電解質+空気から構成される、カソードの体積分率を意味するものと理解される。また、半固体カソード60は、望ましくは、全カソードの重量%として、アルカリ電池用の固体MnO含有カソードで従来使用されるよりも高い電解質含有量を有してよい。半固体カソード材料60は、全カソード材料の約6〜18重量%のKOH含有量(純粋)と、約9〜27重量%の総水分含有量とを有してよい。KOHに関して本明細書および実施例で使用する時、KOH(純粋)という用語は、計算の目的で、純粋な無水KOH含有量である(即ち、水を含めない)。
【0122】
カソード多孔率は、電解質、他の液体、および封じ込められた空気(固体の孔隙内に封じ込められた液体および空気の体積を含める)が占める体積を決定し、その体積をカソードの見掛体積で除して100を乗じることによって計算してよい。(見掛体積は、試料の外部境界内に含まれる試料の全体積である。)カソード多孔率は、固体がカソードへと混合される前に、従来のヘリウム置換法によって初めに各固体の実密度を得ることによって、簡便に計算してよい。(各固体の実密度は、固体試料の重量を、その実体積、即ち、固体試料の見掛体積から封じ込められた空気が占める体積を減じた体積で除したものである。)次いで、カソードへと混合すべき固体の各重量をそれぞれの実密度で除して、カソード中の固体の実体積を得る。全体としてのカソードの見掛体積から固体の実体積を差し引き、この差をカソードの見掛体積で除し、100を乗じて、多孔率%を得る。
【0123】
電解二酸化マンガンは、通常約1〜100μm、望ましくは約20〜60μmの平均粒径を有する。グラファイトは、通常、天然、合成、若しくは膨張グラファイト、またはそれらの混合物の形態である。グラファイトは、また、グラファイト状炭素ナノ繊維を、単独で、または、天然、合成、若しくは膨張グラファイトとの混合で含むこともできる。そのようなカソード混合物は、例示を目的としたものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0124】
アノード材料40は、亜鉛合金粉末62〜72重量%(合金およびめっき材料として200〜500ppmのインジウムを含有する99.9重量%亜鉛)、38重量%のKOHと約2重量%のZnOとを含むKOH水溶液、ノベオン(Noveon)から商標「CARBOPOL C940」として市販される架橋アクリル酸ポリマーゲル化剤(例えば0.5〜2重量%)、および、任意で、グレイン・プロセシング社(Grain Processing Co.)から商標「ウォーターロックA−221(Waterlock A-221)」として市販される、デンプン骨格鎖上にグラフトされた加水分解ポリアクリロニトリル(0.001〜0.5重量%)、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から商標RM−510として入手可能な、有機リン酸エステル界面活物質RA−600またはジオニル(dionyl)フェノールリン酸エステル界面活性剤(10〜100ppm)を含む。本明細書で使用する時、亜鉛という用語は、亜鉛を非常に高濃度で含む、例えば亜鉛を少なくとも99.9重量%含む亜鉛合金粉末を包むと理解されるものとする。そのような亜鉛合金材料は、電気化学的には本質的に純粋な亜鉛として機能する。
【0125】
本発明の薄板状アルカリ電池10のアノード40に関して、亜鉛粉末の平均粒径は、望ましくは約1〜350μm、望ましくは約1〜250μm、好ましくは約20〜250μmである。通常、亜鉛粉末は、平均粒径約150μmであってよい。アノード40における亜鉛粒子は、針状または球状の形状のものにすることができる。アノード中の亜鉛のかさ密度(bulk density)は、アノード1立方センチメートル当たり亜鉛約1.75〜2.2グラムである。アノード中の電解質水溶液の体積%は、好ましくはアノードの約69.2〜75.5体積%である。
【0126】
電池10は、EMDの容量mA・hr(EMD1g当たり410mA・hrに基づく)を亜鉛の容量mA・hr(亜鉛1g当たり820mA・hrに基づく)によって除すと約1になるように、従来式にバランスをとることができる。ただし、カソードが過剰になるように電池のバランスをとることによって、完全放電時のバルジング(deep discharge bulging)を低減することができる。故に、電池のバルジングを低減するために、EMDの理論総容量を亜鉛の理論総容量で除すと、約1.03〜1.10、望ましくは約1.05〜1.08、好ましくは約1.07になるように、電池10のバランスをとることができる。
【実施例】
【0127】
試験電池の実施例1
図1〜3に示した正方形構成の試験電池10を調製した。試験電池10は、長さ38mm(1.5インチ)、幅38mm(1.5インチ)、全厚2.8mmであった。アノード集電体20は、銅製で、カソード集電体80は、ニッケル製であった。電池10を、電池の外表面に適用されるラベル200なしに試験した。アノード40およびカソード60は、以下の組成であった。
【表1】

注:
1.亜鉛粒子は、平均粒径約150μmであり、総インジウム含量約200ppmをもたらすようにインジウムで合金且つめっきした。
2.HO中3重量%のローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)からの有機リン酸エステル系界面活性剤溶液RM510。
3.電解質溶液は、合計で電解質溶液の約1.5重量%を成すゲル化剤ウォーターロックA221(Waterlock A221)およびカーボポールC940(Carbopol C940)と、約2重量%のZnOとを含有した。
【表2】

注:
1.グラフマックスMP12ドゥ天然グラファイト(Grafmax MP12 du natural graphite)、ナショナル・デ・グラファイト(Nacional De Grafite)より。アノードプラスチックフレームは、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)プラスチック材料から構成され、約0.76mmの厚さであった。カソードプラスチックフレームは、HIPSプラスチック材料から構成され、約1.52mmの厚さであった。セパレータ50は、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートを含んだ。カソードは、1.61gのMnOを有した。アノード、カソード、電解質、およびセパレータは、電池の外部体積の約37%を構成した。
【0128】
一連の電力需要にわたって電池の性能の指示を与える以下の方法で、電池を放電させた。
【0129】
新しい電池10を、初めに、電力ドレイン500ミリワット(454ミリアンペア)で、カットオフ電圧約0.6ボルトまで放電させた。測定された容量は、37.1mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を250ミリワット(227ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、100.4mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を100ミリワット(90.9ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、90.19mW・hrであった。次いで、同じ電池を、各放電間で1時間休ませて、15ミリワット、10ミリワット、および5ミリワットで、カットオフ0.6ボルトまで増分的に放電させた。最後の3つの放電の増分容量は、それぞれ30.99、106.28、および8.87mW・hrであった。
【0130】
放電試験が完了した後、電池をバルジングおよび漏れについて調べた。電池が、全厚で約10%、即ち、約2.8mmから3.1mmの厚さに膨張したことが確認された。電解質の漏れは認められなかった。
【0131】
試験電池の実施例2−マグネシウムアノード集電シートを使用
図1〜3に示した正方形構成の試験電池10を調製した。試験電池10は、38mm(1.5インチ)の長さ、38mm(1.5インチ)の幅であった。図4Aに示されたアノードアセンブリ30A構成を使用して、アノード集電シート20としてマグネシウム箔を用いて、電池は構築された。マグネシウム箔集電体20を使用して完成されたアノードアセンブリ30Aが、図10Bに示される。マグネシウム箔20は、0.25mm(0.01インチ)の厚さであり、99.9%(金属ベース)の純度を有していた。カソード集電シート80は、ニッケル製であった。
【0132】
マグネシウムアノード集電シート20は、0.76mm(0.030インチ)の厚さ、6.35mm(0.25インチ)の幅の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側に固定して封止された(図4Aおよび図10B)。マグネシウムアノード集電シート20は、図4Aおよび図10Bに示されたように、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤のバンド20a(3Mのスコッチ・ウェルド2216エポキシ接着剤(Scotch-Weld 2216 Epoxy Adhesive))と、フレームに隣接したシーラント材料のバンド20b(中国のハルビン・ジンシン社(Harbin Jinxin Company)のJ−43シーラント)とから構成される段階的シールを用いることにより固定された。組み立てる前に、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側は、炭化ケイ素研磨材で軽く研磨され、コロナ処理された。次いで、実施例1に記載された組成の1.67gのアノード材料40は、フレーム30内の内部スペース33b内に貼り付けた(図4A)。ポリビニルアルコール繊維を含む不織布層に接着結合されたセロファンから構成されるセパレータ50は、フレーム30の内側縁部の陥凹レッジ36上に、不織布側を陥凹レッジ上にして置かれた。次いで、熱および圧力がセパレータとプラスチックフレーム30との間の結合を得るために陥凹レッジ36と接触しているセパレータ50に付加された。完成されたアノードアセンブリは、図10Bに最もよく示されている。
【0133】
同様の方法で、カソードアセンブリ70A(図4B)が1.52mm(0.060インチ)の厚さ、3.175mm(0.125インチ)の幅の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)カソードフレーム70と、0.15mm(0.006インチ)の厚さの酸エッチング処理されたニッケル箔から構成されるカソード集電シート80とを用いて準備された。酸エッチング処理されたニッケル集電シート80は、フレームの外縁部73aに隣接した構造用接着剤のバンド70a(3Mのスコッチ・ウェルド2216エポキシ接着剤(Scotch-Weld 2216 Epoxy Adhesive))と、フレーム内縁部77に隣接したシーラント材料のバンド20b(中国のハルビン・ジンシン社(Harbin Jinxin Company)のJ−43シーラント)とから構成される段階的シールを用いることにより、フレーム70の裏側に接着結合された。組み立てる前に、プラスチックフレーム70の裏側は、炭化ケイ素研磨材で軽く研磨され、コロナ処理された。次いで、エッチング処理されたニッケル集電シート80の内表面は、伝導性の炭素系コーティング(アチソン(Acheson)のエレクトロダグ109B(Electrodag 109B))でコーティングされた。
【0134】
以下の組成の軟質(半固体)カソードが調製された:
【表3】

【0135】
この軟質カソード3.640gは、フレーム70内の内部スペース73b内に貼り付けられた。
【0136】
次いで、図4Aのアノードアセンブリ30A(図10Bに完成状態で示されている)は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)フレーム30および70の自由表面両方に溶媒系セメント(IPS社(IPS Corp.)のウェルド・オン4807(Weld-On 4807))を付与することにより、カソードアセンブリ70A(図4B)に接着固定されて、単一積層電池を形成した。
【0137】
組み立てた後、電池のOCVは、1.558Vと測定された。次いで、電池を60℃で保管した。
【0138】
この温度で40日間保管した後の検査は、マグネシウム集電シート20が、プラスチックフレーム30の裏側に固定されて且つ封止されていた場所では、漏れまたは層間剥離を示さなかった。(60℃で約40日間の電池の保管は、周囲温度(22℃)で約1〜2年の保管と同等と推定される。)
【0139】
アノード集電体のためにマグネシウムシート封止金属を含むこの実施例2の電池は、アノード集電体内に封止金属を含まない実施例1の新しい電池よりも、(アノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間に形成された接合部からの電解質漏れが検出されるまで)60℃において少なくとも2週間長く保管された。
【0140】
試験電池の実施例3 − ジルコニウムアノード集電シートを使用
電池が、試験電池の実施例2に記載されたように、ただし、実施例2のマグネシウム箔の代わりにアノード集電シート20として0.25mm(0.01インチ)の厚さのジルコニウム箔(金属ベースで99.5%)を使用して準備された。電池は、1.68gのアノード材料40と、3.131gの軟質カソード60とを用いて組み立てられた。他の電池構成要素は、すべて、実施例2に記載されたものと同一であった。
【0141】
組み立てた後、電池のOCVは、1.556Vと測定された。次いで、電池を60℃で保管した。
【0142】
この温度で40日間保管した後の検査は、ジルコニウム集電シート20が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)プラスチックフレーム30の裏側に固定されて封止されていた場所では、漏れまたは層間剥離を示さなかった。(60℃で約40日間の電池の保管は、周囲温度(22℃)で約1〜2年の保管と同等と推定される。)
【0143】
アノード集電体のためにジルコニウムシート封止金属を含むこの実施例3の電池は、アノード集電体内に封止金属を含まない実施例1のフレッシュな電池よりも、(アノード集電体20とプラスチックアノードフレーム30との間に形成された接合部からの電解質漏れが検出されるまで)60℃において少なくとも2週間長く保管された。
【0144】
本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、約21.6cm×27.9cm若しくは603cm(約8.5in×11in若しくは93.5in)またはそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。より複雑なフレーム設計に関わる本発明の他の実施形態は、本発明の概念内にある。例えば、ウェーハ電池を、フレーム内に内部パーティション若しくはリブを設けて構築し、それによってアノードフレームまたはカソードフレームの内部を多数の容積に細分することもできる。これらの内部リブを、接着剤、段階的シール(隣に並べられた配置のシーラントコーティングおよび接着剤コーティング)、またはシーラントとリベットとによってエンドプレートに取り付けることによって、全体的な電池構造を機械的に補強して、より大きい剛性および耐曲げ性を与えることができる。この特徴は、面積の大きい電池の場合に特に有用であり、最も外側の周囲シールに、電池エンベロープの曲げまたはねじりに起因した剪断または剥がれによる故障に対する追加的な保護をもたらす。
【0145】
本発明の好ましい実施形態が具体的な実施形態を参照して記載されたが、他の実施形態が可能であり、特許請求の範囲内にあることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明のウェーハ電池の一実施形態の斜視図。
【図1A】2重フレーム構成を有する図1のウェーハ電池の実施形態の切欠断面図。
【図2】部位線2−2に沿った図1の電池の横断立面図。
【図3】部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図4A】アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図4B】カソードアセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図5A】リベット付きアノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図5B】リベット付きカソードアセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図6A】リベットがアノードプラスチックフレームからアノード集電シートの孔を通って突き出る様子を示す、図5Aのアノードアセンブリの断面図。
【図6B】リベットヘッドがアノード集電シートの表面よりも下方にくるように積層された様子を示す、図5Aのアノードアセンブリの断面図。
【図7A】単一フレーム構成を有する図1のウェーハ電池の第2の実施形態の切欠断面図。
【図7B】アノードアセンブリおよびカソードアセンブリを構成する諸構成要素を示す、図7Aのウェーハ電池の実施形態の分解図。
【図8A】電池縁部の周りに嵌め込まれる前の収縮性周囲フィルムバンドを示す斜視図。
【図8B】収縮性周囲フィルムバンドが電池縁部の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8C】周囲フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図8D】横収縮性フィルムバンドが周囲フィルムバンドに被せて電池の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8E】横フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図9A】複曲面を有するウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図9B】単曲面を有するウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図9C】曲面を有する不均一な厚さのウェーハ電池の実施形態を示す斜視図。
【図10A】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10B】アノード集電体として本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10C】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10D】アノード集電体上のコーティングとして本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10E】アノード集電体として本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10F】プラスチックフィルム上にコーティングされた本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図10G】プラスチックフィルム上にコーティングされた本発明の封止金属を用いる別の実施形態における、アノードアセンブリを構成する諸構成要素を示す部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、負端子および正端子と、アノードおよびカソードと、アノード集電体とを含むアルカリ電池であって、前記集電体の第1の部分は、前記アノードと接触しており、前記集電体の第2の部分は、前記負端子と接触しており、前記集電体の第3の部分は、電気的に絶縁性の部材に当接しており、改良点が、
前記絶縁性の部材に接する前記集電体の前記第3の部分の表面の少なくとも一部分が、封止金属を含むこと、
からなることを特徴とする、アルカリ電池。
【請求項2】
前記集電体の前記第3の部分の少なくとも一部分が、前記電気絶縁性部材に前記一部分と前記電気的絶縁部材との間の接着性材料により結合されており、そのために前記集電体が、前記絶縁部材に結合された時に、前記接着性材料の少なくとも一部分が、前記封止金属の少なくとも一部分に接触する、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項3】
前記アノード集電体が、金属を含んでおり、前記封止金属が、重量で前記金属の大部分の構成成分を含む、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項4】
前記アノード集電体が、本質的に前記封止金属からなる、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項5】
前記アノード集電体の前記第3の部分の表面の少なくとも一部分が、前記封止金属であらかじめコーティングされる、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項6】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記封止金属を含む、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの金属層とを含む、フィルム積層体を含む、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項7】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記封止金属から本質的になる、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの金属層とを含む、フィルム積層体を含む、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項8】
前記封止金属が、周囲空気に曝された時にその表面上に同じ金属の酸化物および同じ金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有しており、前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項9】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、本質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項10】
前記アノードが、電池が放電される時に電気化学反応を経るアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記アノード活物質に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有し、そのために前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属の化合物が、前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質により還元されない、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項11】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属の化合物が前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されないように、前記亜鉛に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有する、請求項8に記載のアルカリ電池。
【請求項12】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド系列元素、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項13】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、スカンジウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項14】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項15】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項16】
前記電気的に絶縁性の部材が、有機ポリマー材料を含む、請求項1に記載のアルカリ電池。
【請求項17】
前記接着剤が、エポキシ、ポリアミド、機能化されたポリエチレン、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項2に記載のアルカリ電池。
【請求項18】
前記接着剤が、エポキシおよびアスファルトからなる群から選択される、請求項2に記載のアルカリ電池。
【請求項19】
負端子および正端子、並びに前記電池の境界表面の少なくとも大部分を含む1対の対向する側部を含むウェーハアルカリ電池であって、前記対向する側部は、前記対向する側部の間に短電池寸法を画定しており、前記短電池寸法は、約0.5〜6mmであり、前記電池は、積層構造を形成する互いに固定されたアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含んでおり、前記アノードアセンブリは、アノード材料を含んでおり、前記カソードアセンブリは、前記カソードアセンブリ内にカソード材料を含んでおり、
前記アノードアセンブリは、前記アノードのためのハウジングを含んでおり、前記カソードアセンブリは、前記カソードのためのハウジングを含んでおり、前記アノードおよびカソードアセンブリは、積層構造を形成するために前記アノードアセンブリと前記カソードアセンブリとの間のセパレータに接着結合されており、
前記アノードハウジングは、アノードフレームを含んでおり、前記アノードフレームは、アノードキャビティの境界を画定する内側周縁部と前記アノードフレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有しており、前記フレームは、前記周縁部を含む前側部と反対側の後側部とを有しており、前記アノードハウジングは、接着性材料により前記アノードフレームの後側部に結合されたアノード集電シートを更に含んでおり、そのために前記アノード集電シートが、電池の外表面境界に面しており、アノード材料は、前記アノード集電シートと接触するように前記アノードキャビティ内に配置されており、
前記アノード集電シートの少なくとも一部分が、封止金属であらかじめコーティングされるか、または封止金属を含み、そのために前記アノード集電シートが、前記アノードフレームに結合された時に、前記接着性材料の少なくとも一部分が、前記封止金属の少なくとも一部分に接触する、ウェーハアルカリ電池。
【請求項20】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記封止金属から本質的になる、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの金属シートとを含むフィルム積層体を含む、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項21】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの多層金属シートとを含むフィルム積層体を含んでおり、前記多層金属シートが、非封止金属から本質的になる金属基膜と、前記金属基膜の少なくとも一部分を覆う封止金属から本質的になる、前記金属基膜上のコーティングとを含む、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項22】
前記封止金属が、周囲空気に曝された時に前記封止金属の表面上に同じ金属の酸化物および同じ金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有しており、前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項23】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、前記封止金属でコーティングされていない前記集電体の表面上に形成される前記金属酸化物または前記金属水酸化物よりもアルカリ電解質への溶解性が低い、請求項22に記載のアルカリ電池。
【請求項24】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属酸化物または前記金属水酸化物が、本質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項22に記載のアルカリ電池。
【請求項25】
前記アノードが、電池が放電される時に電気化学反応を経るアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記アノード活物質に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有し、そのために前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質により還元されない、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項26】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記亜鉛に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有し、そのために前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛により還元されない、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項27】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド系列元素、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項28】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、およびイットリウム、並びにそれらの合金からなる群から選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項29】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項30】
前記アノードフレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項31】
前記接着剤が、エポキシ、ポリアミド、機能化されたポリエチレン、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項32】
前記接着剤が、エポキシおよびアスファルトからなる群から選択される、請求項19に記載のアルカリ電池。
【請求項33】
アノード材料が、亜鉛、カドミウム、および水素吸蔵合金からなる群から選択され、カソード材料は、MnO、NiOOH、AgO、AgO、CuO、AgCuO、AgCu、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載のウェーハ電池。
【請求項34】
前記電池が、1次アルカリ電池であり、アノード材料は、亜鉛を含んでおり、カソード材料が、二酸化マンガンを含む固体と前記固体との混合状態にある水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、カソードは、約45%〜70%の多孔率を有する半固体である、請求項19に記載の電池。
【請求項35】
カソード材料が、黒鉛化カーボンブラックを更に含む、請求項34に記載の電池。
【請求項36】
カソード材料が、黒鉛化カーボン繊維を更に含む、請求項34に記載の電池。
【請求項37】
カソードハウジングが、カソードフレームを含んでおり、前記カソードフレームが、カソードキャビティの境界を画定する内側周縁部とカソードフレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有しており、前記フレームが、前記周縁部を含む前側部と反対側の後側部とを有しており、前記カソードハウジングは、電池の外表面境界に面するように接着剤により前記カソードフレームの後側部に結合されたカソード集電シートを更に含んでおり、カソード材料が、前記カソード集電シートと接触するように前記カソードキャビティ内に配置されており、前記カソード集電シートの少なくとも一部分が、封止金属であらかじめコーティングされ、そのために前記カソード集電シートが、前記カソードフレームに結合された時に、前記封止金属が、前記接着剤と接触する、請求項19に記載の電池。
【請求項38】
それらの間に電池の短寸法を画定する前記側部は、互いに平行な1対の対向する側部を含む、請求項19に記載の電池。
【請求項39】
前記電池の全厚は、約0.5〜6mmであり、前記1対の側部は、対向する側部であり、前記全厚は、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項38に記載の電池。
【請求項40】
電池の周囲の少なくとも一部分は、多角形である、請求項19に記載の電池。
【請求項41】
電池の周囲の少なくとも一部分は、曲線状である、請求項19に記載の電池。
【請求項42】
前記電池外表面の少なくとも一部分は、曲率を有する、請求項19に記載の電池。
【請求項43】
前記外表面の少なくとも一部分は、複合曲率を有する、請求項19に記載の電池。
【請求項44】
電池の外側から見た時に、前記電池外表面の一部分は、凸曲率を有し、前記外表面の別の部分は、凹曲率を有する、請求項19に記載の電池。
【請求項45】
電池の厚さが、均一ではない、請求項19に記載の電池。
【請求項46】
前記電池が、立方体形である、請求項19に記載の電池。
【請求項47】
電池は、外側周辺表面と内側周辺表面とを有しており、前記外側および内側周辺表面は、いずれの地点でも互いに触れず、または交わらず、内側周辺表面は、それらの間に短電池寸法を画定する電池の前記対向する側部の両方を完全に通り抜ける連続穴の境界を画定する、請求項19に記載の電池。
【請求項48】
電池が、外側周辺表面と複数の内側周辺表面とを有しており、前記周辺表面のいずれも、いずれの地点でも前記周辺表面の他のものと触れずまたは交わらず、内側周辺表面が、複数の連続穴を画定しており、各連続穴が、前記対向する側部の間に短電池寸法を画定する電池の前記対向する側部の両方を完全に通り抜ける、請求項19に記載の電池。
【請求項49】
前記電池が、剛構造である、請求項19に記載の電池。
【請求項50】
負端子および正端子、並びに前記電池の境界表面の少なくとも大部分を含む1対の対向する側部を含む1次アルカリ電池であって、前記対向する側部は、前記対向する側部の間に短電池寸法を画定しており、前記電池は、アノードアセンブリとカソードアセンブリとを含む積層構造を形成しており、前記アノードアセンブリは、亜鉛を含むアノード材料のためのハウジングを含んでおり、前記カソードアセンブリは、二酸化マンガンを含むカソード材料のためのハウジングを含んでおり、前記アノードハウジングおよびカソードハウジングのそれぞれは、共通ユニットフレームを含んでおり、前記共通フレームは、前記アノードハウジングおよびカソードハウジングのそれぞれの少なくとも一部分を形成しており、前記アノードハウジングは、電池の外表面境界に面するように接着性物質により前記共通フレームの後側部に結合されたアノード集電シートを更に含んでおり、アノード材料は、前記アノード集電シートと接触するように前記アノードキャビティ内に配置されており、
前記共通フレームは、前記フレームの第1の側部にアノードキャビティと前記フレームの反対側の第2の側部にカソードキャビティとを画定する内側周縁部を有しており、前記アノード材料は、前記フレームの第1の側部で前記アノードキャビティ内に配置されており、前記カソード材料は、前記フレームの反対側の第2の側部で前記カソードキャビティ内に配置されており、
前記アノード集電シートの少なくとも一部分が、封止金属であらかじめコーティングされた金属シートを含むか、または封止金属を含み、そのために前記アノード集電シートが、前記フレームに結合された時に、前記接着性物質の少なくとも一部分が、前記封止金属の少なくとも一部分に接触する、1次アルカリ電池。
【請求項51】
前記アノード集電体は、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記封止金属から本質的になる、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの金属シートとを含む、フィルム積層体を含む、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項52】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの多層金属シートとを含むフィルム積層体を含んでおり、前記多層金属シートが、非封止金属から本質的になる金属基膜と、前記金属基膜の少なくとも一部分を覆う封止金属から本質的になる、前記金属膜上のコーティングとを含む、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項53】
前記封止金属が、周囲空気に曝された時にその表面上に同じ金属の酸化物および同じ金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有しており、前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項54】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、前記封止金属でコーティングされていない前記集電体の表面上に形成される酸化物被膜よりもアルカリ電解質への溶解性が低い、請求項53に記載のアルカリ電池。
【請求項55】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、本質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項53に記載のアルカリ電池。
【請求項56】
前記アノードが、電池が放電される時に電気化学反応を経るアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記アノード活物質に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有しており、そのために前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質によって還元されない、請求項53に記載のアルカリ電池。
【請求項57】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記亜鉛活物質に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有しており、そのために前記封止金属の表面上に存在する封止金属化合物の被膜が、前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されない、請求項53に記載のアルカリ電池。
【請求項58】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド系列元素、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項59】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、およびイットリウム、並びにそれらの合金からなる群から選択される、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項60】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項61】
前記共通フレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項62】
前記接着剤が、エポキシ、ポリアミド、機能化されたポリエチレン、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項63】
前記接着剤が、エポキシおよびアスファルトからなる群から選択される、請求項50に記載のアルカリ電池。
【請求項64】
カソード材料が、二酸化マンガンを含む固体と前記固体との混合状態にある水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、カソードが、約45%〜70%の多孔率を有する半固体である、請求項50に記載の電池。
【請求項65】
前記積層構造が、前記アノード材料と前記カソード材料との間にセパレータを有する、請求項50に記載の電池。
【請求項66】
前記アノードハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記共通フレームの前記第1の側部に結合されたアノード集電シートを更に含んでおり、前記アノード材料は、前記アノード集電シートと接触している、請求項50に記載の電池。
【請求項67】
前記カソードハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの前記反対側の第2の側部に結合されたカソード集電シートを更に含んでおり、前記カソード材料が、前記カソード集電シートと接触している、請求項50に記載の電池。
【請求項68】
電池の前記1対の対向する側部が、互いに平行である、請求項50に記載の電池。
【請求項69】
前記電池が、立方体形である、請求項50に記載の電池。
【請求項70】
前記電池が、剛構造である、請求項50に記載の電池。
【請求項71】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmの間であり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項50に記載の電池。
【請求項72】
負端子および正端子、並びに前記電池の境界表面の少なくとも大部分を含む1対の対向する側部を含む1次アルカリ電池であって、前記対向する側部が、前記対向する側部の間に短電池寸法を画定しており、前記電池が、互いに結合されて積層構造を形成するアノードアセンブリとカソードアセンブリとを含んでおり、前記アノードアセンブリは、亜鉛を含むアノード材料とアルカリ電解質とを含んでおり、前記カソードアセンブリは、二酸化マンガンを含むカソード材料とアルカリ電解質とを含んでおり、
前記アノードアセンブリは、アノードフレームを含んでおり、前記アノードフレームは、アノードキャビティの境界を画定する内側周縁部とアノードフレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有しており、前記フレームは、前記周縁部を含む前側部と反対側の後側部とを有しており、前記アノードアセンブリは、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合されたアノード集電シートを更に含んでおり、アノード材料は、前記アノード集電シートと接触するように前記アノードキャビティに挿入されており、
前記アノード集電シートは、前記アノード集電シートに面する前記アノードフレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された実質的に異なる接着剤である第1および第2の接着剤を用いて、前記アノードフレームの幅に沿って結合されており、
前記アノード集電シートの少なくとも一部分が、封止金属であらかじめコーティングされた金属シートまたは封止金属を含み、そのために前記アノード集電シートが、前記アノードフレームに結合された時に、前記第1および第2の接着剤が、前記封止金属の少なくとも一部分と接触する、1次アルカリ電池。
【請求項73】
前記アノード集電体が、少なくとも1つのポリマーフィルム層と、前記封止金属から本質的になる、前記ポリマーフィルム層上の少なくとも1つの金属シートとを含むフィルム積層体を含む、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項74】
前記封止金属が、周囲空気に曝された時に前記封止金属の表面上に同じ金属の酸化物および同じ金属の水酸化物のうちの少なくとも1つを含む金属被膜化合物を形成するという特性を有しており、前記金属被膜化合物が、アルカリ電解質による侵食に耐える、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項75】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、前記封止金属でコーティングされていない前記集電体の表面上に形成される酸化物被膜または水酸化物被膜よりもアルカリ電解質への溶解性が低い、請求項74に記載のアルカリ電池。
【請求項76】
前記封止金属の表面上に形成される前記金属被膜化合物が、本質的にアルカリ電解質に不溶性である、請求項74に記載のアルカリ電池。
【請求項77】
前記アノードが、電池が放電される時に電気化学反応を経るアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記アノード活物質に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有しており、そのために前記封止金属の表面上に存在する前記金属被膜化合物が、前記アルカリ電解質の存在下で前記アノード活物質により還元されない、請求項74に記載のアルカリ電池。
【請求項78】
前記アノードが、亜鉛を含むアノード活物質を含んでおり、前記封止金属が、前記亜鉛に比べてより負の電気化学ポテンシャルを有しており、そのために前記封止金属の表面上に存在する前記封止金属化合物が、前記アルカリ電解質の存在下で前記亜鉛によって還元されない、請求項74に記載のアルカリ電池。
【請求項79】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタニド系列元素、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項80】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、およびイットリウム、並びにそれらの合金からなる群から選択される、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項81】
前記封止金属が、マグネシウム、ジルコニウム、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項82】
前記アノードフレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項83】
前記接着剤が、エポキシ、ポリアミド、機能化されたポリエチレン、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項84】
前記接着剤が、エポキシおよびアスファルトからなる群から選択される、請求項72に記載のアルカリ電池。
【請求項85】
第1の接着剤が、前記アノードフレームの外側周縁部の最も近くに適用され、主に、前記アノードフレームと前記アノード集電シートとの間に構造性強度を付与する構造性接着剤の役割を主に果たしており、第2の接着剤が、前記アノードフレームの内側周縁部のより近くに適用され、前記アノードフレームと前記アノード集電シートとの間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、また電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項72に記載の電池。
【請求項86】
前記第1の接着剤が、エポキシおよびUV開始型アクリレート接着剤からなる群から選択され、前記第2の接着剤が、粘着性ポリアミド、機能化されたポリエチレン接着剤、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項85に記載の電池。
【請求項87】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚は、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項72に記載の電池。
【請求項88】
前記電池の全厚が、約1.5〜6mmであり、前記全厚は、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項72に記載の電池。
【請求項89】
前記電池が、剛構造である、請求項72に記載の電池。
【請求項90】
カソードは、二酸化マンガンを含む固体と前記固体との混合状態にある水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、カソードは、約45%〜70%の多孔率を有する半固体である、請求項72に記載の電池。
【請求項91】
カソード材料は、黒鉛化カーボンブラックを更に含む、請求項90に記載の電池。
【請求項92】
カソード材料は、黒鉛化カーボン繊維を更に含む、請求項90に記載の電池。
【請求項93】
前記カソードアセンブリは、カソードフレームを含んでおり、前記カソードフレームは、カソードキャビティの境界を画定する内側周縁部とカソードフレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有しており、前記フレームは、前記周縁部を含む前側部と反対側の後側部とを有しており、前記カソードアセンブリは、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合されたカソード集電シートを更に含んでおり、カソード材料は、前記カソード集電シートと接触するように前記カソードキャビティ内に配置されており、
前記カソード集電シートは、前記カソード集電シートに面する前記カソードフレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された異なる接着剤である第1および第2の接着剤を用いて、前記カソードフレームの幅に沿って結合される、請求項72に記載の電池。
【請求項94】
第1の接着剤が、前記カソードフレームの外側周縁部の最も近くに適用され、前記カソードフレームと前記カソード集電シートとの間に構造性強度を付与する構造性接着剤の役割を主に果たしており、第2の接着剤が、前記カソードフレームの内側周縁部のより近くに適用されており、前記第2の接着剤が、前記カソードフレームとカソード集電シートとの間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、また電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項93に記載の電池。
【請求項95】
前記第1の接着剤が、エポキシおよびUV開始型アクリレート接着剤からなる群から選択され、前記第2の接着剤は、粘着性ポリアミド、機能化されたポリエチレン接着剤、およびアスファルトからなる群から選択される、請求項94に記載の電池。
【請求項96】
前記アノードおよびカソードフレームが、有機ポリマー材料を含む、請求項93に記載の電池。
【請求項97】
前記電池が、水酸化カリウム水溶液を含むアルカリ電解質を含む、請求項72に記載の電池。
【請求項98】
前記電池を形成する前記積層構造が、熱収縮性プラスチックフィルムで包まれる、請求項72に記載の電池。
【請求項99】
封止金属の下にある金属シートが、銅、黄銅、青銅、亜鉛、スズ、若しくはモネル、または前記銅、黄銅、青銅、亜鉛、スズ、若しくはモネルでめっきされた鋼基材を含む、請求項72に記載の電池。
【請求項100】
カソード集電シートが、炭素コーティングされた金属シートを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項101】
カソード集電シートが、炭素コーティングされたニッケルシートを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項102】
カソード集電シートが、炭素コーティングされてエッチングされたニッケルシートを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項103】
カソード集電シートが、ニッケル層でめっきされた鋼とニッケルの上の炭素コーティングとを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項104】
カソード集電シートが、ニッケル−コバルト層でめっきされた鋼とニッケル−コバルトの上の炭素層とを含む、請求項93に記載の電池。
【請求項105】
カソード集電シートが、炭素コーティングされた金属シートを含んでおり、下層の金属シートが、意図的に粗面化された質感を有する、請求項93に記載の電池。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【公表番号】特表2008−509539(P2008−509539A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525646(P2007−525646)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/026828
【国際公開番号】WO2006/020419
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】