説明

ウエザーストリップとその製造方法

【課題】エプトシーラー等の別物シール材の貼着作業を廃止しても同等の機能を発揮できるウエザーストリップの構造を提供する。
【解決手段】ドアサッシュ1bに圧接することになるドアグラスラン2のコーナー型成形部2Eにおける底壁部5に、高発泡軟質シール材13を両側のソリッド材14とともにインサート成形法にて埋設してある。高発泡軟質シール材13は、既存のエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称されるものと同等のゴムまたは熱可塑性エラストマーのスポンジ状の高発泡体である。ソリッド材14が介在していることによって底壁部5の基材と高発泡軟質シール材14との接着性および形状保持性も良好なものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアグラスランやドアウエザーストリップに代表されるようなウエザーストリップの構造とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用ドアの周囲に装着されてドア閉時に車体側のドア開口縁部に弾接することになるドアウエザーストリップにあっては、押出成形された一般部同士をコーナー型成形部にて閉ループ状に接続しているものであるが、そのコーナー型成形部の取付基部には成形時の中子を抜き取るための中子抜き穴の設定が不可避であることから、型成形後に隙間の閉塞やシール性の確保を目的として、当該部分にエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称される高発泡で軟質且つ低比重のスポンジ状のシール材を貼着することが行われている。
【0003】
ところが、このようないわゆる別物シール材の貼着は手作業に頼らざるを得ないことから、かかるシール材の貼着を不要にした技術が特許文献1にて提案されている。
【0004】
この特許文献1の記載によれば、コーナー部を型成形するときに、コーナー部の取付基部とそれぞれルーフ部と縦辺部の取付基部とが連続するように接続され、コーナー部の取付基部に所定の材料を注入することで低比重スポンジ部を一体的に加硫接着により形成するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、型成形による低比重スポンジ部の成形では、発泡状態ひいては比重の制御に限界があり、ばらつきも大きいことから、期待したほどの高発泡で且つ低比重のスポンジ部を一体に成形することができず、なおも改善の余地を残している。
【0007】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、先に述べたような手作業でのいわゆる別物シール材の貼着作業を廃止できて、しかも高発泡で且つ軟質の紐状の高発泡軟質シール材を一体に成形したウエザーストリップとその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基本的には、請求項1に記載のように、金型に樹脂材料またはゴム系材料を注入することで成形されるウエザーストリップの構造であって、相手側部材と圧接する部分に、紐状の高発泡軟質シール材を当該高発泡軟質シール材とウエザーストリップの基材との間に介在するソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする。
【0009】
ここで、高発泡軟質シール材とは、先に述べたエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称されるものと同等のゴムまたは熱可塑性エラストマーのスポンジ状の高発泡体をいう。また、高発泡軟質シール材以外にソリッド材を介在させているのは、高発泡軟質シール材の金型内での潰れ変形防止を図るとともに、ウエザーストリップの基材に対する高発泡軟質シール材の接着性を確保するためである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、ウエザーストリップは、ドアサッシュの内側に装着されてドアガラスを受容することになる断面略コ字状のドアグラスランであって、ドアグラスランの一般部同士を接続しているコーナー型成形部の底壁部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、ウエザーストリップは、車両用ドアの周囲に装着されてドア閉時に車体側のドア開口縁部に弾接することになるドアウエザーストリップであって、ドアウエザーストリップの一般部同士を接続しているコーナー型成形部の取付基部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ウエザーストリップは、車体側のドア開口縁部に装着されてドア閉時にそのドアに弾接することになるボディサイドウエザーストリップであって、ボディサイドウエザーストリップの一般部同士を接続しているコーナー型成形部のシールリップに、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載のウエザーストリップの製造方法であって、高発泡軟質シール材とソリッド材とを予め一体成形しておき、これらの高発泡軟質シール材とソリッド材とをインサートとして金型の製品形状部空間に位置決めした上で、その製品形状部空間にコーナー型成形部となるべき材料を注入してコーナー型成形部を成形することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、ウエザーストリップは、フロントフェンダのエンジンルーム側の内側面に配設されてフード閉時にそのフードサイド部が弾接してエンジンルーム内外をシールするフードサイドウエザーストリップであって、上部に中空状のシールリップを備えたカバープレートの下部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする。
【0015】
この場合、より具体的には、請求項7に記載のように、シールリップは、カバープレートの上部に着脱可能に装着されているものとする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のウエザーストリップの製造方法であって、高発泡軟質シール材とソリッド材とを予め一体成形しておき、これらの高発泡軟質シール材とソリッド材とをインサートとして金型の製品形状部空間に位置決めした上で、その製品形状部空間にカバープレートとなるべき材料を注入してカバープレートを成形することを特徴とする。
【0017】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ウエザーストリップそのものを金型にて成形する際に、予めインサートとして金型内にセットした紐状の高発泡軟質シール材がソリッド材とともに一体化されて埋設され、ウエザーストリップの一部として一体成形されることになる。これにより、必然的にウエザーストリップの一部に高発泡軟質シール材が付帯することになり、先に述べたような手作業でのいわゆる別物シール材の貼着作業を廃止できることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ウエザーストリップにはそのウエザーストリップと一体に成形された高発泡軟質シール材が付帯しているので、手作業でのいわゆる別物シール材の貼着作業を廃止できる。また、ウエザーストリップ単独でそれに付帯している高発泡軟質シール材の機能が発揮されるので、従来の別物シール材を貼着した場合と同等の機能、すなわちシール機能および隙間閉塞機能等を十分に確保できる。
【0019】
さらに、高発泡軟質シール材とともにソリッド材が介在していることによって、ウエザーストリップに対する高発泡軟質シール材の接着性も良好であり、所期の機能を安定して維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るウエザーストリップが適用される自動車のドアの概略構造を示す説明図。
【図2】本発明に係るウエザーストリップの第1の実施の形態を示し、図1に示したドアグラスランにおけるコーナー型成形部の拡大斜視図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面説明図。
【図4】図2に示したコーナー型成形部を成形するための金型の一例を示す要部拡大説明図。
【図5】本発明に係るウエザーストリップの第2の実施の形態を示し、図1に示したドアウエザーストリップにおけるコーナー型成形部の拡大斜視図。
【図6】図5のB−B線に沿う拡大断面説明図。
【図7】本発明に係るウエザーストリップの第3の実施の形態を示し、ボディサイドウエザーストリップにおけるコーナー型成形部の拡大斜視図。
【図8】図7のC−C線に沿う拡大断面説明図。
【図9】自動車の前側斜視図。
【図10】図9のF部におけるフード開時の要部斜視図。
【図11】図10のD−D線に沿う拡大断面説明図。
【図12】図11の要部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係るウエザーストリップが適用される自動車のドアの概略構造を示している。
【0022】
同図に示すように、ドア本体1aとともにドア1を形成しているドアサッシュ1bの内周側には断面略コ字状をなすドアグラスラン2が装着されていて、そのドアグラスラン2にてドアガラス3を昇降可能に案内支持しつつ車室内外をシールしている。また、ドアサッシュ1bの外周側にはそのドアサッシュ1bおよびドア本体1aを囲繞するようにして閉ループ状にドアウエザーストリップ4が装着されている。そして、ドア閉時にドアウエザーストリップ4が車体側のドア開口縁部に弾接することで車室内外をシールすることになる。なお、図1ではドアグラスラン2の形状を明確化するためにドアサッシュ1bそのものを透視的に描いている。
【0023】
図2〜4は本発明に係るウエザーストリップの第1の実施の形態として先のドアグラスラン2の例を示している。
【0024】
図1のほか図2から明らかなように、ドアグラスラン2はドアサッシュ1bの内周に装着されてドアガラス3を昇降可能に受容するもので、一般部(押出成形部)であるところのルーフ相当部2Aと同じく一般部(押出成形部)前後の縦辺部2B,2Cとが同じく前後のコーナー型成形部2D,2Eを介して接続されているものである。
【0025】
図2は図1の後側のコーナー型成形部2Eを車室内側から見た拡大図を、図3は図2のA−A線に沿う断面図をそれぞれ示しており、ドアグラスラン2は、底壁部5とその両側の車室内側および車室外側の側壁部6,7を含んでなる断面略コ字状の本体部8と、それぞれの側壁部6,7の先端から本体部8のコ字状空間内側に向けて斜めに突出形成されたインナシールリップ9およびアウタシールリップ10と、底壁部5に近い部分に突出形成されたボトムシールリップ11とを備えている。そして、ルーフ相当部2Aと後側の縦辺部2Cとが接合線12a,12bをもってコーナー型成形部2Eとそれぞれ接続されている。
【0026】
コーナー型成形部2Eのうちその底壁部5には、図3に示すように、紐状の高発泡軟質シール材13をソリッド材14とともに埋設してある。これらの高発泡軟質シール材13およびソリッド材14は、コーナー型成形部2Eの一方の接合線12aから他方の接合線12bに及んでいて、実質的にコーナー型成形部2Eの長手方向全長にわたって配設されているとともに、底壁部5の表裏両面にわずかに突出するかたちで露出している。
【0027】
この高発泡軟質シール材13は、先に述べたエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称されるものと同等のゴムまたは熱可塑性エラストマーのスポンジ状で且つ低比重の高発泡体であって、高発泡軟質シール材13の両面にゴムまたは熱可塑性エラストマーのソリッド材14を一体的に押出成形により予備成形した上で、そのソリッド材14を接合部として後述するインサート成形法にて底壁部5の一部として一体に形成してある。なお、押出成形による低比重の高発泡体の成形は、型成形による場合に比べ発泡状態ひいては比重の制御が可能であり、ばらつきも小さい。
【0028】
この場合、底壁部5を含んでなる型成形部2Eはソリッド材14と親和性の良い材料、例えばゴムまたは熱可塑性エラストマーあるいはそれらの発泡体(いわゆるスポンジ状のもの)で形成される。
【0029】
そして、図3に示すように、ドアグラスラン2を相手側のドアサッシュ1bに嵌合させて装着したときには、上記高発泡軟質シール材13およびソリッド材14を含んだ底壁部5がドアサッシュ1bに圧接することになる。
【0030】
なお、かかるコーナー型成形部2Eの構造は、図1に示した前側のコーナー型成形部2Dについても基本的に同様である。
【0031】
このようなドアグラスラン2を成形するには、周知のように、コーナー型成形部2Eを成形するための金型の製品形状部空間に一般部(押出成形部)であるルーフ相当部2Aおよび縦辺部2Cの端部をそれぞれ差し込み、残された製品形状部空間にコーナー型成形部2Eとなるべき材料を注入することで、ルーフ相当部2Aと縦辺部2Cとを接続するようにしてコーナー型成形部2Eが成形される。
【0032】
その際に、図4に示すように、複数の金型要素からなる金型15の製品形状部空間Rの一部に、紐状の高発泡軟質シール材13の両面に予めソリッド材14を貼り合わせたものをインサートとして位置決めしておき、それに続いてコーナー型成形部2Eとなるべき材料を注入して、コーナー型成形部2Eを高発泡軟質シール材13およびソリッド材14とともに一体に成形するものとする。
【0033】
つまり、ソリッド材14を接合部として、底壁部5の一部に高発泡軟質シール材13およびソリッド材14を含むかたちでコーナー型成形部2Eを成形する。高発泡軟質シール材13の両面に予めソリッド材14を一体的に押出成形してあることで、材料の注入圧力を受けても高発泡軟質シール材13が変形しにくく形状保持性もしくは保形性が良く、また底壁部5と高発泡軟質シール材13との接着性も良好なものとなる。
【0034】
したがって、このような構造のドアグラスラン2によれば、コーナー型成形部2Eの長手方向全長にわたってその底壁部5に高発泡軟質シール材13が配置されていることによって、従来のように別物シール材を貼着することなしに、高発泡軟質シール材13による所期の機能が発揮されることになる。ちなみに、従来は、底壁部5のうち高発泡軟質シール材13と同等位置に型成形後に手作業にて別物シール材を貼着していたことになる。これにより、本実施の形態では、高発泡軟質シール材13はその特性として柔軟性および形状追従性に優れているので、図3のようにドアサッシュ1b側の取付面形状に忠実に倣うようにして密着し、必要な十分はシール性と隙間閉塞機能等が発揮されることになる。
【0035】
図5,6は本発明に係るウエザーストリップの第2の実施の形態として先のドアウエザーストリップ4の例を示している。
【0036】
図1から明らかなように、ドアウエザーストリップ4はドアサッシュ1bおよびドア本体1aの周囲に閉ループ状に装着されているもので、一般部(押出成形部)であるルーフ相当部4Aとそれ以外の一般部(押出成形部)4Bとが図示外の前側のコーナー型成形部と後側のコーナー型成形部4Cを介して接続されているものである。
【0037】
図5は図1のコーナー型成形部4Cを車室外側から見た拡大図を、図6は図5のB−B線に沿う断面図をそれぞれ示しており、ドアウエザーストリップ4は、その一般部4A,4Bでは中空状の取付基部16と中空シールリップ17とを備えているのに対して、ルーフ相当部4Aでは中空状の取付基部18と中空シールリップ19のほか舌片状のシールリップ20およびサブシールリップ21を備えている。そして、このような断面形状が異なるルーフ相当部4Aとそれ以外の一般部4Bとをコーナー型成形部4Cにて断面形状を徐変させながら滑らかに連続させてある。
【0038】
ここで、ルーフ相当部4Bを含む一般部4Aはコーナー型成形部4Cとともにゴムまたは熱可塑性エラストマーにて形成されるが、図5から明らかなように、ルーフ相当部4Aにおける取付基部18の隅部には、ゴムまたは熱可塑性エラストマーの発泡体(いわゆるスポンジ状のもの)からなる軟質なシールビード部22を形成してある。
【0039】
コーナー型成形部4Cでは、図6に示すように、取付基部18の中空部と中空シールリップ19の中空部とが連続したものとなるように中子を併用して成形することになるため、図5に示すように、成形後にコーナー型成形部4Cの底壁部18には中子抜き取りのための中子抜き穴23の存在が不可避となる。
【0040】
そして、コーナー型成形部4Cのうちその取付基部18には、中子抜き穴23と干渉しないように、紐状の高発泡軟質シール材13をソリッド材14とともに埋設してある。これらの高発泡軟質シール材13およびソリッド材14は、図5に示すようにコーナー型成形部4Cの一方の接合線24aから他方の接合線24bに及んでいて、実質的にコーナー型成形部4Cの長手方向全長にわたって配設されているとともに、取付基部18の表裏両面にわずかに突出するかたちで露出している。この高発泡軟質シール材13は、先に述べたエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称されるものと同等のゴムまたは熱可塑性エラストマーのスポンジ状で且つ低比重の高発泡体であって、高発泡軟質シール材13の両面ににゴムまたは熱可塑性エラストマーのソリッド材14を一体的に押出成形により予備成形した上で、そのソリッド材14を接合部としてインサート成形法にて取付基部18の一部として一体に形成してある。
【0041】
この場合、取付基部18を含んでなるコーナー型成形部4Cはソリッド材14と親和性の良い材料、例えばゴムまたは熱可塑性エラストマーあるいはそれらの発泡体(いわゆるスポンジ状のもの)で形成される。また、図5に示すように、先に述べたルーフ相当部4A側のシールビード部22と、コーナー型成形部4Cの底壁部18における高発泡軟質シール材13との連続性を確保するために、コーナー型成形部4Cの成形後に事後的に高発泡軟質シール材13を延長するかたちで、わずかながら従来のエプトシーラーと称されるスポンジ状で且つ低比重の高発泡体25が貼り付けられる。
【0042】
そして、図6に示すように、ドアウエザーストリップ4のコーナー型成形部4Cを相手側のドアサッシュ1bに嵌合させて装着したときには、上記高発泡軟質シール材13およびソリッド材14を含んだ取付基部18がドアサッシュ1bに圧接することになる。
【0043】
なお、かかるコーナー型成形部4Cの構造は、図1では隠れている前側のコーナー型成形部についても基本的に同様である。
【0044】
このようなドアウエザーストリップ4を、上記高発泡軟質シール材13およびソリッド材14をインサートとして成形するには、基本的には図4に示したドアグラスラン2の場合と同様の成形法による。
【0045】
したがって、従来では高発泡軟質シール材13と同等位置にコーナー型成形部4Cの成形後に事後的に別物シール材を手作業にて貼り付ける必要があるのに対して、この別物シール材の貼付作業を廃止できる当該第2の実施の形態であるドアウエザーストリップ4においても、先の第1の実施の形態と同様の効果が得られることになる。
【0046】
図7,8は本発明に係るウエザーストリップの第3の実施の形態としてボディサイドウエザーストリップ(ウエルトボディサイドウエザーストリップ)30の例を示している。
【0047】
図7から明らかなように、ボディサイドウエザーストリップ30はドア1側ではなく車体側のドア開口縁部に閉ループ状または不完全な閉ループ状に装着されるもので、ドア閉時において図1に示したドアウエザーストリップ4よりも車室内側にてドアサッシュ1bおよびドア本体1aの一部と弾接して車室内外をシールすることになる。
【0048】
そして、断面略U字状のウエルト部31と中空シールリップ32とからなる一般部30A,30B同士が、同じく断面略U字状のウエルト部31とシールリップ33とからなるコーナー型成形部30Cにて接合線34a,34bをもって接続されている。ただし、一般部30A,30Bでは主要素であるシールリップが中空シールリップ32であるのに対して、コーナー型成形部30Cではシールリップが中空状ではなく、舌片状のシールリッ33となっている。このコーナー型成形部30Cにおけるシールリップ33の内側面には、図8に示すように、紐状の高発泡軟質シール材13をソリッド材14とともに埋設してある。これは、ドア開閉時のシールリップ33の撓み変形による離着音および打音の発生を抑制するためである。
【0049】
これらの高発泡軟質シール材13およびソリッド材14は、コーナー型成形部30Cの一方の接合線34aから他方の接合線4bに及んでいて、実質的にコーナー型成形部30Cの長手方向全長にわたって配設されている。この高発泡軟質シール材13は、先に述べたエプトシーラーあるいはコーキングスポンジと称されるものと同等のゴムまたは熱可塑性エラストマーのスポンジ状で且つ低比重の高発泡体であって、高発泡軟質シール材13にゴムまたは熱可塑性エラストマーのソリッド材14を一体的に押出成形により予備成形した上で、そのソリッド材14を接合部として先に述べたインサート成形法にてシールリップ33の内側面に一体に形成してある。
【0050】
この場合、シールリップ33を含んでなる型成形部30Cはソリッド材14と親和性の良い材料、例えばゴムまたは熱可塑性エラストマーあるいはそれらの発泡体(いわゆるスポンジ状のもの)で形成される。
【0051】
したがって、従来では高発泡軟質シール材13と同等位置にコーナー型成形部30Cの成形後に事後的に別物シール材を手作業にて貼り付ける必要があるのに対して、この別物シール材の貼付作業を廃止できる当該第3の実施の形態であるボディウエザーストリップ30においても、先の第1,第2の実施の形態と同様の効果が得られることになる。
【0052】
図9〜12は本発明に係るウエザーストリップの第4の実施の形態としてフードサイドウエザーストリップ41の例を示している。
【0053】
図9〜11に示すように、自動車のフード40の左右両サイド部には、エンジンルームからの熱の吹き出し等を防止するためにフードサイドウエザーストリップ41が配設される。このフードサイドウエザーストリップ41は、車体側のフードリッジパネルあるいはフロントフェンダ42の端末部内側面に前後方向に沿って樹脂製のカバープレート43を配設し、このカバープレート43の上面の取付フランジ部43aにシールリップとしてゴム等からなる中空状のシールラバー45を取り付けたものである。
【0054】
シールラバー45は、図12に示すように、カバープレート43側に予め一体に形成してある複数のクリップ46にシールラバー45側の取付穴47を嵌合・係止させることで着脱可能に固定される。フード40の閉時には、図11に示すように、フードインナパネル40aがシールラバー45に弾接することでエンジンルームの内外がシールされることになる。
【0055】
他方、カバープレート43はエンジンルーム内に露出しているフロントフェンダアーチ48等のパネル塗色を覆い隠して見栄えの向上を図るために、当該フロントフェンダアーチ48の上部を広くカバーリングしていて、その下端の着座フランジ部43bはフロントフェンダアーチ48に着座させてある。そして、この着座フランジ部43bに、車体振動に伴う異音発生防止および隙間発生防止の観点から、先の各実施の形態と同様の高発泡軟質シール材13を採用してある。
【0056】
より具体的には、カバープレート43を、金型を用いた射出成形等にて成形する際に、高発泡軟質シール材13の両面にゴムまたは熱可塑性エラストマーのソリッド材14を一体的に押出成形により予備成形した上で、そのソリッド材14を接合部として先に述べたインサート成形法にて着座フランジ部43aの一部として一体に形成してある。
【0057】
したがって、従来では高発泡軟質シール材13と同等位置にカバープレート43の成形後に事後的に別物シール材を手作業にて貼り付ける必要があるのに対して、この別物シール材の貼付作業を廃止できる当該第4の実施の形態であるフードサイドウエザーストリップ41においても、先の各実施の形態と同様の効果が得られることになる。
【符号の説明】
【0058】
1…ドア
1b…ドアサッシュ
2…ドアグラスラン
2E…コーナー型成形部
3…ドアガラス
4…ドアウエザーストリップ
5…底壁部
4C…コーナー型成形部
13…高発泡軟質シール材
14…ソリッド材
15…金型
18…取付基部
30…ボディサイドウエザーストリップ
30C…コーナー型成形部
33…シールリップ
41…フードサイドウエザーストリップ
43…カバープレート
45…シールラバー(シールリップ)
R…製品形状部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に樹脂材料またはゴム系材料を注入することで成形されるウエザーストリップの構造であって、
相手側部材と圧接する部分に、紐状の高発泡軟質シール材を当該高発泡軟質シール材とウエザーストリップの基材との間に介在するソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とするウエザーストリップ。
【請求項2】
ウエザーストリップは、ドアサッシュの内側に装着されてドアガラスを受容することになる断面略コ字状のドアグラスランであって、
ドアグラスランの一般部同士を接続しているコーナー型成形部の取付基部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする請求項1に記載のウエザーストリップ。
【請求項3】
ウエザーストリップは、車両用ドアの周囲に装着されてドア閉時に車体側のドア開口縁部に弾接することになるドアウエザーストリップであって、
ドアウエザーストリップの一般部同士を接続しているコーナー型成形部の取付基部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする請求項1に記載のウエザーストリップ。
【請求項4】
ウエザーストリップは、車体側のドア開口縁部に装着されてドア閉時にそのドアに弾接することになるボディサイドウエザーストリップであって、
ボディサイドウエザーストリップの一般部同士を接続しているコーナー型成形部のシールリップに、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする請求項1に記載のウエザーストリップ。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載のウエザーストリップの製造方法であって、
高発泡軟質シール材とソリッド材とを予め一体成形しておき、
これらの高発泡軟質シール材とソリッド材とをインサートとして金型の製品形状部空間に位置決めした上で、その製品形状部空間にコーナー型成形部となるべき材料を注入してコーナー型成形部を成形することを特徴とするウエザーストリップの製造方法。
【請求項6】
ウエザーストリップは、フロントフェンダのエンジンルーム側の内側面に配設されてフード閉時にそのフードサイド部が弾接してエンジンルーム内外をシールするフードサイドウエザーストリップであって、
上部に中空状のシールリップを備えたカバープレートの下部に、紐状の高発泡軟質シール材をソリッド材とともにインサート成形によって埋設してあることを特徴とする請求項1に記載のウエザーストリップ。
【請求項7】
シールリップは、取付プレートの上部に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項6に記載のウエザーストリップ。
【請求項8】
請求項7に記載のウエザーストリップの製造方法であって、
高発泡軟質シール材とソリッド材とを予め一体成形しておき、
これらの高発泡軟質シール材とソリッド材とをインサートとして金型の製品形状部空間に位置決めした上で、その製品形状部空間にカバープレートとなるべき材料を注入してカバープレートを成形することを特徴とするウエザーストリップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−40966(P2012−40966A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184628(P2010−184628)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】