説明

ウエハー容器をパージする方法

【課題】ウエハー容器内を容易にパージできる方法を提供する。
【解決手段】ウエハー容器の内部と外部を連通する流路と、該ウエハー容器の外側に露出した着座面と、を提供する弾性材で作られたグロメット124,125にパージガス源を連結する段階、及びパージガスをウエハー容器に導入する段階を備えた方法で達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2004年4月18日に出願され、弾性フィルタ/弁カートリッジ付きウエハー容器という名称の米国仮特許出願第60/563528号に対し優先権を主張している。
【0002】
本発明は、基板容器に関するものである。より詳細に述べれば、本発明は流体用流路を備えた基板容器に関するものである。
【0003】
背景技術
通常、搬送容器はシリコンウエハや磁性ディスクの加工の前、間及び後において一括して該ウエハーやディスクを搬送及び/又は貯蔵するのに利用される。前記ウエハーは集積回路へと加工され、ディスクはコンピュータ用の磁性記憶ディスクへと加工されることができる。ウエハー、ディスク、基板といった用語はこの記載中においては置換可能に用いられており、これらの用語はいずれも他に特に示されていないかぎり、半導体ウエハー、磁性ディスク、フラットパネル基板や他の同様な基板を推し得る。
【0004】
ウエハーディスクの集積回路チップへの加工には、ディスクを様々な加工場所で加工し、貯蔵し、加工段階間で搬送する多数の段階がしばしば含まれる。ディスクの極めてデリケートで微粒子や化学物質によって汚染され易い性質のため、処理工程の間適切に保護することが不可欠である。ウエハー容器はこの必要な保護のために用いられてきた。加えて、ディスクの加工は通常自動化されているので、ロボットによるウエハーの取り出し及び挿入を伴うため、加工装置に対して正確にディスクを配置することが必要である。ウエハー容器の2つ目の目的は、搬送中にウエハーディスクを確実に保持することである。他に特に示されていないかぎり、ウエハー容器、搬送容器、カセット、輸送/貯蔵容器などの用語は、この記載中において置換可能である。
【0005】
半導体ウエハーや磁性ディスクの加工中において、微粒子の存在や発生は非常に重要な汚染問題となる。半導体産業において汚染は損失が生じる最大の原因の一つと捉えられている。集積回路の寸法が小さくなりつづけるにつれて、集積回路を汚染し得る微粒子の大きさも小さくなって、汚染の最小化をより重要としている。微粒子の形態をとる汚染物質は、搬送容器をウエハーやディスク、容器のふた、囲み部、貯蔵棚、他の搬送容器、加工設備などに対するこすれやひっかきのような摩擦によって生じ得る。加えて、埃のような粒子は開口部やふたおよび/または囲み部の接合部から囲み部内に混入する。このように、ウエハー容器の重要な機能はこのような汚染物質から内部のウエハーを保護することである。
【0006】
容器は通常、ウエハー又はディスクをスロットの中に軸方向に整列させ、スロット内に該ウエハーやディスクを保持し、それらの周縁でもしくは近くで該ウエハーやディスクを保持するように構成されている。ウエハーやディスクは一般的に容器から半径方向上方もしくは横方向に取り出すことができる。容器は下部の開口部を有するシェルと開口した底部へ係止するためのドア、及び、ドアに載せられた別個のキャリヤを有する。SMIFポッドとして知られるこの構造は、本出願の出願人によって所有されており、両者ともに参照によってここに導入する米国特許第4,995,430号及び同4,815,912号に記載されている。加えて、FOUPsもしくはFOSBsとして知られているウエハー搬送容器組立体は、前面開口部およびこの前面開口部に対し係止するドアを有することができ、例えば参照によってここに導入する米国特許第6,354,601号、同5,788,082号、同6,010,008号に記載されている。ある形態においては、汚染物質を含むであろう周囲の空気を置換するために、底部のふた又はドア、若しくは前部のドア又は容器の一部分にウエハー搬送容器組立体内部へと窒素や他の浄化ガスといった気体の流入及び/または排出を容易にするための開口部または流路が設けられている。
【0007】
以前の容器は、パージの間に容器組立体に入る特定の汚染物質の量を減少させるためにフィルタ状の栓を採用していた。しかしながら、従来の作動部材、すなわちフィルタと、シール材のハウジングとの間の従来の取付けと密封は硬質プラスチックのハウジングとO−リングとによって行われている。当該技術分野で知られているウエハー容器はまた、その流路を流体の供給源と加圧または減圧源と結びつけるための様々な接続または連結機構を利用している。このような取付けとシールは複雑な形態の特殊な部品を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公開公報第4,995,430号
【特許文献2】米国特許公開公報第4,815,912号
【特許文献3】米国特許公開公報第6,354,601号
【特許文献4】米国特許公開公報第5,788,082号
【特許文献5】米国特許公開公報第6,010,008号
【発明の概要】
【0009】
発明のある一つの側面によって改良されたウエハー容器は、開いた側または底を持つ囲み部と、前記開いた側または底を密閉しするとともに囲み部または容器を形成するドアと、容器内部に収容される複数のウエハー支持容器を有している。前記ウエハー容器や他の基板を外気から隔離する連続的な囲み部を形成するため、前記ドアは囲み部と接合する。容器は囲み部への入出用流路を形成するアクセス構造を少なくとも一つ有する。シール用グロメットは流体密封的な係合において、前記アクセス構造内に配置されている。前記グロメットの外向面は流導管の内向面に対するほぼ流体密封性のシールを構築する。ある実施例において、グロメットは例えば円筒状の穴のような流路を形成する。関連する実施例においてはグロメットが、ウエハー容器の内部と流体源または減圧源用のノズル又は突起部との流体密封的な接続を容易にすることができる接触面を有する。グロメットの内部シール用表面は流路を形成するであろう。
【0010】
任意に、グロメットを通る流路は、ほぼ全体または全体的にその中に収容される少なくとも一つの作動部材を有する。前記作動部材は、ウエハー容器の内部と外部とを接続又は接触させるいかなる部品、サブアッセンブリ、装置にすることができる。作動部材の例には、弁、フィルタ、センサー、栓及びこれらの組み合わせが含まれる。前記作動部材は、内部シール用表面に対する流体密封的な係合内にある。
【0011】
ある実施例においては、作動中、ウエハー容器組立体の内部へと好ましくない化学物質や微粒子が入ることを阻止するために、アクセス構造に対するシールをグロメットは維持する。このように、ウエハー容器の内外間における流体の全ての流れは、グロメットによって形成された流路内を通るよう制限される。流体の流れの種類は、ウエハー容器組立体の内部へと入る、例えば窒素のようなパージ用ガスの導入も含む。
【0012】
流体の流れは作動部材によって更に制限することができる。例えば、作動部材が特殊なフィルタであれば、流路を通る気体はフィルタをも通過しなければならない。作動部材が逆止弁である他の例の場合、流路を通る流体の流れは、特定の方向への流れへと更に制限される。ある実施例では、グロメットを通る流路がフィルタと逆止弁を有する。この実施例においては、フィルタリングと流方向指定の両方の機能が果たされる。他の実施例では、作動部材が着脱可能な栓であり、栓が挿入されている時はいかなる流体も流路を流れることを許されない。
【0013】
別の実施例では、作動部材がセンサーを有している。実用的なセンサーの種類には、温度センサー、流量センサー、圧力センサー、ガス濃度センサー、物質検出計、及び近接センサーが含まれる。これら及び他の作動部材として用いられるセンサーのうち、(流量センサーのような)幾つかのものは流通を容認するが、(圧力センサーのような)他のものは栓としても機能するであろう。
【0014】
製造過程において、アクセス構造、シール用グロメット、及び作動部材の統一規格の使用はモジュール化を可能にする。このように、それぞれが特殊な作動部材を有する様々なウエハー容器の製品ラインのため、ウエハー容器組立体のハウジングは、共通の囲み部全体の複数の場所に位置するアクセス構造をそなえた、限られた数の同一の囲み部部品を有することができる。各アクセス構造はシール用グロメットを有しており、その中のいくつかは(流路のない)ブランキングタイプであり、他のアクセス構造は様々な内蔵作動部材を備えたシール用グロメットを有することができる。シール用グロメットは様々な作動部材と予め組み立てることができ、作動カートリッジサブアッセンブリとして貯蔵しておくことができる。
【0015】
本発明の上述した実施例の利点及び特徴は、グロメット構造は弾性体を提供し、これは貫通穴を有するほぼ円筒状の形状であり、その穴も円筒状である。その穴は挿入された作動部品の長さの、全体又はほぼ全体を含むのに十分な長さである。グロメットはその軸に対し垂直な平面を少なくとも一つは有するのが好ましい。そのような面はパージ装置の一部である突起部やノズルのための着座として効果的に利用できる。体積としては、グロメットはその中の作動部品より大きいのが好ましい。グロメットの断面積は軸方向に延びる穴の断面積より大きいため、軸平面に断面積を有する。グロメットは内部を通る軸方向に延びた開口部又は穴の直径よりも長い軸方向長さを有する。O−リングがほぼ円形の断面図を示すのに対し、グロメットは非円形断面と、円筒状の内向面と、円筒状の外向面と平面状の端面とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aはウエハー容器と底部用ふたと囲み部を有するウエハー容器組立体の分解斜視図である。図1Bはウエハー容器と側部用ふたと囲み部からなるウエハー容器組立体の他の実施例の分解斜視図である。
【図2】図2は底部用ふたの底面に位置する構造を表す底部用ふたの一例の下面図である。
【図3】図3は本開示の実施例によるグロメットの一例と作動部材の一例の図である。
【図4】図4はシール用グロメットと作動部材を有するウエハー容器組立体用のふた、またはドアの一例の分解斜視図である。
【図5】図5A及びBはグロメットと少なくとも一つの作動部材をそれぞれ組み込んだ作動サブアッセンブリの構成を図示している。図5Cは流導管内への作動サブアセンブリの組み立て例を図示している。
【図6】図6A及びBは本開示の一実施例による気体パージ用装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例の詳細な説明
図1Aは、ウエハー容器102、底部104及び囲み部106を有するウエハー容器組立体100の一例を図示している。底部104はウエハー容器102を外気108から隔離することができる内部空間を形成するために囲み部106と密封的に係合するためのものである。図1に示すように、ウエハー容器102はその内部に複数のシリコンウエハを保持し、位置を決めるための複数の構成部材110を有することができる。通常、構成部材110は隣接するウエハーとの接触が最小となるようシリコンウエハを保持し位置決めし、これによって、シリコンウエハの加工及び/または輸送中に起こり得るウエハーの損傷を減らすことができる。図1Bは、開口した前部104、前部ドア105、及び囲み部107を有しFOUPsまたはFOSBとして知られる他の形状のウエハー容器組立体103を図示している。ウエハーWは開口した前部から水平方向に取り出すことができる。内部側に形成されたスロットはウエハーを保持する。シールを備えた前部ドア105は、外気から隔離された内部空間を形成するために囲み部107と密封的に係合する。ウエハー容器の構造は、参照によってここに導入する、例えばバートら(Bhatt et al. )の複合基板キャリヤ(Composite Substrate Carrier)という名称の米国特許第6,428,729号に記載されている。加えて、前開口部及びそこに係止するドアを有し、FOUPsまたはFOSBsとして知られるウエハー搬送容器は本出願の出願人によって所有され、参照によってここに導入する、例えば米国特許第6,354,601号、同5,788,082号、同6,010,008号に記載されている。グロメット124、125用の受容構造109が囲み部の底壁中にあり得る。
【0018】
図2はウエハー容器セクション120の一例である。一つの形式の実施例において、セクション120はウエハー容器の側部のふた、底部のふた若しくはドアである。他形式の実施例においては、セクション120は取り外しができず、開くことのできない壁面である。セクション120は開口部122、123の形をしたアクセス構造と、開口部122、123の内部に設置されたグロメット124、125、及び複数の状態用開口部126を有して描かれている。ウエハー容器と接続するための探針や他のモニタ要素のようなセンサーのための構造を提供するため、一般に、複数の状態用開口部126がふた部120上の望む場所に配置できる。例えば、センサーと特定の状態用開口部126との間の接続はウエハー処理段階等の状態に関する情報を提供することができる。
【0019】
ある実施例においては、開口部122はセクション120の内側への流体の移動を円滑にし、これによって、ウエハー容器内部への気体や他の流体の導入を円滑にすることができる。同様に、開口部123はウエハー容器内にある気体や流体が外気に排出できるようにセクション120を通じたウエハー容器の外部への流体の移動を与える。つまりこの実施例においては、開口部122は流入口であり、開口部123は流出口である。図2に描かれている実施例はセクション120に二つの開口部122、123を有するが、セクション120に4、5、6、それ以上のアクセス構造を有する実施例も想定しており、それらもこの開示の範囲内のものである。
【0020】
図2に示すように、グロメット124は開口部122を密閉するために開口部122の内部に設置されており、グロメット125は開口部123を密閉するために開口部123の内部に設置されている。以下に説明するように、グロメット124、125はそれぞれ対応する開口部122、123の内部に対するシールを形成し、グロメットを通る少なくとも一つの穴もしくは流路を提供する。ある実施例においては、グロメット124、125の本体がそれぞれ開口部122、123の内部の特徴と一致する断面形状をとっており、対応する開口部152、153を密閉し実質的に塞ぐ大きさにされている。当業者は、開口部122、123の断面の形状と大きさが、特定のウエハー容器に対する気体の流れの要件と操作圧によって導き出されることを認識するであろう。関連する実施例(図示しない)においては、グロメット124が二つの異なる流路を有している。
【0021】
図3はグロメット124、125の一つの実施例を示している。この実施例によるグロメット124、125は、ほぼ円筒状の本体128を有する。一つの形式の実施例において、本体128は必要な密閉特性を有するゴム、シリコン、もしくは他の種類の弾性体や重合体によって形成されている。本体128は円筒状の壁の外側に沿って環状に配されたシール用の特徴構造を任意的に備える。グロメット124、125は本体128の中央を通る穴132も有する。穴132を形成する本体128の内向面は、穴132内に少なくとも部分的に位置する作動部材134に対してシールするため、任意的にシール用の特徴構造(図示しない)を有する。
【0022】
一実施例において、作動部材132は逆止弁のような弁である。他の実施例においては、作動部材132は流体用フィルタである。また他の実施例においては、作動部材132は温度センサーや流量センサー、圧力センサー、ガス濃度センサー、物質検出計、近接センサーといったセンサーである。別の実施例では、作動部材132は単に流路204を流体が通るのを防ぐための栓である。
【0023】
図4はふた部150の一例を図示している。ふた部150は、ふた用囲み部170、係止部材172,174、カム176及び外側ふたセクション178を含む。カム176は係止部材172,174と連結しており、カム176の回転が係止部材172、174を作動させ、これによって突起180がハウジング170にある開口部182を通って突出すると共に、ハウジング170を他の囲み部(図示しない)にロックする。外側ふたセクション178は係止部材172,174とカム176の上に組み付けられている。ふた部150もアクセス構造160,161を備える。アクセス構造160は流入用開口部152と流導管157を含む。アクセス構造161は流出用開口部153と流導管158を有する。流導管157,158はそれぞれ、ウエハー容器の外側から内側へかけてのふた部150の厚みを通って延びる高さを有するほぼ円筒状の壁を有している。
【0024】
流導管157,158は作動サブアッセンブリ162、163をそれぞれ保持する。図5A、5Bは作動サブアッセンブリ162,163をより詳細に図示している。作動サブアッセンブリ162は流入用サブアッセンブリであり、本体202と穴205を有するグロメット154を含む。作動サブアッセンブリ162はさらに、穴204に挿入できる逆止弁211と、フィルタ210を有する。フィルタ210の実施例は、HEPAろ過のような適した技術の粒子フィルタや同様のものを含む。作動サブアッセンブリ163は本体203と穴205を有するグロメット155を含む排出用サブアッセンブリである。任意に、作動サブアッセンブリ162、163は、作動カートリッジとしてそれぞれの構成部品を予め組み付けられたものである。
【0025】
図5Cは作動部分組立品162の流導管157への組み付けを図示している。フィルタ210はグロメット154の底部と流導管157の保持面164との間で定位置に保持される。グロメット154は流導管157内部に装着されて、流導管157の内壁と共にシールを形成する。逆止弁211はグロメット154を通る流路204内に密封可能に装着され、図5Cに示されるように下向きの流れが許容されるように調整されている。
【0026】
上述したとおり、ふた部150またはウエハー容器組立体のセクション120のような囲み部のいずれの部位にある開口部152、153もこの開示にあるグロメットによって密閉することができる。ある実施例において、グロメットは囲み部内に位置し、囲み部の長軸方向に延びる穴を有する本体を含む。加えて、この開示のグロメットの実施例は、穴に設置された作動部材を含むことができる。作動部材は、穴を通る気体や他の流体の流れを調節できる逆止弁やフィルタ、センサー、それらの組み合わせを有することができる。ウエハー搬送容器のドアと/または囲み部上の流入口と流出口の両方を密閉するためにグロメットを用いることができるように、この開示中で採用されている逆止弁は、穴の内部で方向付けられ得る。加えて、以下に記述するように、グロメット本体の設計によってはさらにO−リングなどを付け加える必要なく、開口部の密閉を容易にする。この開示のグロメットの実施例はグロメット本体、逆止弁と/またはフィルタを組み合わせて一体のカートリッジとすることができ、これによって全体的にグロメットの密封性を向上させ、ウエハー搬送容器組立体のより簡単な構成を可能とする。幾つかの実施例においては、グロメットの軸方向の長さは約1/8インチ(3.175×10-3m)から1インチ(2.54×10-2m)であり、他の実施例では、約3/8インチ(9.525×10-3m)から3/4インチ(1.905×10-2m)である。加えて、この開示のグロメットの実施例は約1/4インチ(6.35×10-3m)から1.5インチ(3.81×10-2m)の直径であり、他の実施例においては、約1/2インチ(1.27×10-2m)から3/4インチ(1.905×10-2m)の直径である。当業者は、さらに別の範囲のグロメットの軸方向の長さと直径が想定され、かつこの開示の範囲内のものであることを認識するであろう。
【0027】
グロメットは多くの方法によって従来技術のO−リングと区別することができる。例えば、グロメット構造は弾性体を提供し、これは貫通穴を有するほぼ円筒状の形状であり、その穴も円筒状である。その穴は挿入された作動部品の長さの、全体又はほぼ全体を含むのに十分な長さである。グロメットはその軸に対し垂直な平面を少なくとも一つは有するのが好ましい。そのような面はパージ装置の一部である突起部やノズルのための着座面として効果的に利用できる。体積としては、グロメットはその中の作動部品より大きいのが好ましい。グロメットの断面積は軸方向に延びる穴の断面積より大きいため、軸平面に断面積を有する。グロメットは内部を通る軸方向に延びた開口部又は穴の直径よりも長い軸方向長さを有する。O−リングがほぼ円形の断面図を示すのに対し、グロメットは非円形断面と、円筒状の内向面と、円筒状の外向面と平面状の端面とを有する。
【0028】
図6Aと6Bは、この開示中の実施例における気体パージ用装置を表す断面図である。例示したグロメット300、302は、内部308と外部310を有する例示したウエハー容器のアクセス構造304と306にそれぞれ設置されている。アクセス構造304,306はウエハー容器の壁部またはドア312内に形成されており、それぞれパージ用ポートとして機能している。アクセス構造304は、グロメット300と密封可能に係合するための特別な形状を有する支持体314を有する。同様に、グロメット302と係合するための形状を有する支持体316をアクセス構造306は有する。図に示すように、グロメット300と302は、支持体314と316の特定の内部表面との流体密封接触を作るための様々なシール用特徴構造318、320を有している。
【0029】
図6Aは流入装置を図示しており、図6Bは流出装置を図示している。それぞれの装置について流れの方向が示されている。図6Aの流入装置もグロメット300と保持構造314との接触面間に位置し、流体密閉されたフィルタ322を含んでいる。図6Aの流入装置は、示されている流れ方向にのみ流体が移動するようにするために設置された一方向弁組立体324を含む。同じように、図6Bの流出装置も、図示された流れ方向にのみ流体を移動させるために設置された一方向弁組立体326を有している。弁組立体324、326は、グロメット300と302の穴によって形成される流路328と330の内部にそれぞれ流体密閉される。グロメット300と302は、流路328と330内部に弁組立体324,326を定位置に確実に保持するため、保持構造332、334を有する。ある種の実施例においては、一方向弁324と326は、弁本体336、338と、外側密閉用リング340、342と、内側密閉用リング344、346と、可動ピストン348、350と、付勢用バネ352,354とを有している。
【0030】
作動中において、ウエハー容器の内部308に存在する空気すなわち気体を新しく導入した空気、気体もしくは他の流体によって置換するパージ作業の間に、流入装置と流出装置は協調して機能することができる。一つの実施例では、図6Bに図示したように減圧源360と内部空間308とが流出用ノズル362によって連結される。流出用ノズルはグロメット302の接触面364と接続するようになっている。グロメット302内に流出用ノズルによって下向きの力が生じると、グロメット302は圧縮するが、保持構造316のシール用内部表面と弁組立体326の外部表面それぞれとのシールは維持する。ある実施例においては、グロメット302と保持構造316との間のシールと弁組立体326は、流出用ノズル362によってグロメット302に加えられる下向きの力によって実際に改善され、あるいはより効果的になっている。
【0031】
減圧源360と内部空間308とが連結しているため、内部空間308に存在する流体は図6Bの流出口を通ってウエハー容器から吸引され、置換用流体がフィルタ322と図6Aの流入口を通って引き込まれる。関連する実施例(図示しない)において、流出用ノズル362と似た形状であり、流出用ノズル362が流出口用グロメット302と連結しているのと同じ様式で流入口用グロメット300と連結している流入用ノズルによって、置換用流体供給源(図示しない)が内部空間308と繋がっている。別の実施例(図示しない)においては、グロメット302に流出用ノズルは連結しておらず、圧縮された置換用流体が流入用ノズルにより内部空間308へと運ばれる。この実施例では、置換された流体は図6Bの流出口から単純に排出される。
【0032】
グロメット300と302は通常、グロメットが密閉するために設計された開口部同じ断面形状を有している。例えば、ある実施例において、グロメット300,302はほぼ円形断面を有するほぼ円筒状の形をしている。しかしながら、当業者は、多様なグロメットの形状がこの開示の想定内にあることを認識するであろう。
【0033】
ある実施例では、グロメット300と302は同一の部品である。関連する実施例において、弁組立体324と326は同一の部品である。それ故ある種の実施例においては、同じ部品を用いて流入口と流出口の開口部の両方を密閉するために、この開示の部品を用いることができる。
【0034】
他の実施例では、保持構造332、334が弁組立体324、326を保持するのと同じまたは類似の方法によって、フィルタ322のようなフィルタを安定に保持するための付加的な保持構造(図示しない)をこの開示のグロメットはさらに有することができる。このように、予め組み立てた作動サブアッセンブリは、グロメット、弁、フィルタを一体のサブアッセンブリに組み込むことができる。
【0035】
この開示のグロメットのグロメット本体、フランジ、及びその他の部品は、重合体やエラストマを含む半導体加工用途への使用に適した素材によって構成されている。幾つかの実施例において、グロメット本体とフランジはフルオロエラストマーで構成されている。フルオロエラストマーの例はデュポン ダウ エラストマーズ(Dupont Dow Elastomers)からビトン(登録商標)(Viton(R))の商品名で販売されているものが挙げられる。それに加えていくつかの実施例においては、基板容器の内部から弾性材を隔離するため、グロメット本体またはグロメットがその表面を覆うフルオロ重合体や他の不活性重合体を有することができる。一般的に重合体やフルオロ重合体によるコーティングは弾性グロメットの密封性を維持するようにある程度の柔軟性を有しているべきである。
【0036】
上記の実施例は説明を意図するものであり、限定するものではない。追加の実施例が請求項の範囲内にある。この発明は特定の実施例を参照して説明したが、当業者は本発明の精神と範囲から逸脱することなく形態と内容についての変更がなされることを認識するであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハー容器をパージする方法であって、
穴を形成する内向面を有するグロメットと、前記穴の中に少なくとも部分的に配置された作動部材と、を有するウエハー容器を選択する段階、ここで、前記グロメットは弾性材料で作られており、前記穴は流路を形成しており、前記作動部材は前記穴の内向面において弾性材料とシール係合しており、前記グロメットはウエハー容器の外側に露出した弾性部を有しており、前記弾性部は着座面を提供しており、
前記弾性部の着座面をパージ用ノズルに接触させる段階、
前記ノズルからの力で前記弾性部を圧縮することによって、前記グロメットをパージ源と連結する段階、及び
パージガスをウエハー容器に導入する段階
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ウエハー容器がドアと下向きの面を有するグロメットとを有しており、
前記ウエハー容器の下から前記グロメットを前記ノズルと係合する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グロメットの軸に対して垂直である前記グロメットの一面に前記ノズルを係合する段階を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ノズルの接触部は、前記グロメットの穴の周囲であり且つ該穴から径方向に離間していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ウエハー容器をパージする方法であって、
ドアを有する開閉式の容器とグロメットとを備えるウエハー容器を選択する段階、ここで、前記グロメットは弾性材料で作られており、前記グロメットは軸と一面と内部を貫通する開口部とを有し、前記グロメットは前記容器の外部から内部への流路を提供しており、前記グロメットの一面は前記軸に垂直な平面であり且つ前記流路の周囲に位置しており、
前記グロメットの一面をパージ用ガス源に連結する段階、
ノズルからの力で前記グロメットの弾性材料を前記グロメットの平面上に軸方向に圧縮することによって、前記流路の径方向外側において前記グロメットと前記ノズルとの間をシールする段階、及び
前記容器の内部にある少なくとも一部のガスを前記パージ用ガス源からのガスで置換する段階
を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記容器の内部にあるガスを置換する段階は、真空によって前記ウエハー容器の内部にあるガスを吸い出すことによって行われることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ノズルの接触箇所は、前記グロメットの穴の周囲であり且つ該穴から径方向に離間していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記グロメットの軸に垂直な前記グロメットの平面に前記ノズルを係合する段階を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記作動部材は逆止弁であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記グロメット内の逆止弁によってパージ用ガスの流れを制御する段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ウエハー容器の外部に露出したグロメットを有するウエハー容器をパージする方法であって、パージ源とグロメットとを接続する段階と、ウエハー容器内部にパージ用の気体を注入する段階とを含む方法。
【請求項12】
ウエハー容器にパージ用逆止弁を固定する方法であって、グロメットの穴に逆止弁を挿入し、グロメットをウエハー容器の受容構造に挿入することを含む方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−181930(P2011−181930A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42017(P2011−42017)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2007−508637(P2007−508637)の分割
【原出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】