ウエーハの剥離方法及びその装置
【課題】薄板化のため支持基板に貼り付けたウエーハを損傷しないように確実かつ短時間で剥離できるようにしたウエーハの剥離方法及び装置を提供する。
【解決手段】加熱により発泡・分解して接着力が低下する接着剤を用いてウエーハ2を支持基板3に貼り付ける。このウエーハと支持基板の貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置し、その上方からチャック6を降下させる。チャック6のチャック面から測定用流体を吹き出し、ウエーハ面との間から流出する測定用流体の流量若しくは流体圧の変化に基づきチャックの降下位置を制御する。デマウントステージ5とチャック6からの加熱により接着剤を発泡・分解させた後、ウエーハを吸着保持するチャック6を上昇させてウエーハを支持基板から剥離
する。
【解決手段】加熱により発泡・分解して接着力が低下する接着剤を用いてウエーハ2を支持基板3に貼り付ける。このウエーハと支持基板の貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置し、その上方からチャック6を降下させる。チャック6のチャック面から測定用流体を吹き出し、ウエーハ面との間から流出する測定用流体の流量若しくは流体圧の変化に基づきチャックの降下位置を制御する。デマウントステージ5とチャック6からの加熱により接着剤を発泡・分解させた後、ウエーハを吸着保持するチャック6を上昇させてウエーハを支持基板から剥離
する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを薄板化処理するために、支持基板に貼り合わせて研削、研磨処理を行った後、該支持基板からウエーハを剥離するためのウエーハの剥離方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン、化合物、SiC、サファイア等の材料で作られたウエーハにデバイスを形成した後にウエーハの裏面を研削する薄板化技術が進んでいるが、この薄板化の際にウエーハを補強するためテープを用いる方法と支持基板を用いる方法が知られている。テープを用いる方法は、ウエーハのデバイス面にテープを貼り、このテープ貼りしたテープ面をチャックで吸着してウエーハを保持し、研削、研磨している。一方、支持基板を用いる方法は、接着剤をウエーハ若しくは支持基板に塗布してウエーハを支持基板に接着し、この支持基板を吸着保持して研削、研磨処理を行っている。これらの方法は、歩留まりやランニングコスト、生産性等に応じて適宜選択されるが、支持基板方法は、接着剤で支持基板に確実に接着して保持できるため、ウエーハ薄板化の極限である約10μm程度まで研削、研磨することができ、広く採用されている。
【0003】
従来、支持基板に貼り合わせたウエーハを剥離するには、支持基板とウエーハをそれぞれ吸着保持し、両者を分離する方向に移動させて支持基板からウエーハを剥離している(例えば特許文献1参照)。加熱により発泡・分解する接着剤を用いてウエーハを接着した支持基板の場合には、支持基板の下面を吸着保持し接着剤を加熱するデマウントステージと、デマウントステージに向けて降下し接着剤を加熱して発泡・分解させ支持基板上のウエーハを吸着保持して垂直に上昇するチャックが用いられている。このチャックは上下動モータ等により構成されるチャック駆動部で昇降され、該チャック駆動部により、ウエーハに近接する位置までチャックを降下させてからウエーハを吸着し、その後上昇するよう制御されているが、この降下位置は一定してない。すなわち、支持基板に貼り合わせた薄板化後のウエーハの厚みは、研削、研磨量により微妙に変化するし、支持基板自体の厚さも支持基板のサイズや材質により例えば10〜25mmの範囲で変わってくるので、デマウントステージに支持基板を載置したときのウエーハ面の高さが変化する。そのため、チャックの降下位置をデマウントステージに対して一定の位置に規定しておくと、ウエーハ面にチャックが当ってウエーハ面に損傷を与えたり、ウエーハ面との間隔が広すぎて確実にウエーハを吸着できなくなるおそれがあるから、剥離操作のたびに降下位置の設定を変えなければならなくなる。そこで、実際には、最初の段階で、チャック面がウエーハ面に影響を与えないような安全な隙間(例えば1.0〜2.0mm)を存する位置まで高速で急接近(急降下)させ、その後損傷を与えないでウエーハを吸着できるようチャックに真空作用を働かせながら極めて超低速でチャックを徐徐に降下させ、ウエーハを吸着するようにしている。そのため、従来の方法では、吸着までに多くの時間、例えば約15〜25secもかかることになり、支持基板から剥離すべきウエーハの枚数が多くなると、この剥離時間は無視できず、無駄な時間となって生産性に大きな影響を与えていた。
【0004】
なお、一般に間隙を測定する測定器として、レーザや超音波を利用した測定器が知られており、そのような測定器を用いて間隙を計測しながら降下させることも考えられるが、本発明のようなウエーハの剥離装置にそのような測定器を用いることは実際にはむずかしい。すなわち、これらの測定器はレーザや超音波の検出器を測定面に対向するような位置に設置する必要があり、本発明のようなウエーハ剥離装置に用いるためにはこの検出器をチャック若しくはデマウントステージに設けなければならない。しかし、チャックやデマウントステージは上記したようにウエーハを支持基板に接着している接着剤を発泡・分解するため、接着剤の種類により約80〜500℃、例えば約250℃程度に加熱されるから、検出器が損傷してしまうからである。
【0005】
さらに、従来のチャックは、チャック駆動部の可動部分に直結されているので、可動部分に摩耗等を生じて、がた(遊び)が発生すると、チャック駆動部の可動部分を予め定めた降下位置まで移動するよう制御したとしても実際には可動部分ががたの分だけ降下位置より下に下がることになるから、それに伴いチャックは最初に定めた定位置より下に降下し、チャック面がウエーハ面に当接してチャック駆動部からの機械的押圧力がウエーハ面に作用し、ウエーハに損傷を与える危険もある。
【0006】
また、加熱により発泡・分解して接着力が低下する接着剤は、接着剤の種類によっても相違するが十分に分解するまでに通常約6.0sec程度かかるので、従来のウエーハ剥離装置ではウエーハを吸着保持したチャックを上昇させるとき、予め定めた上昇設定位置まで超低速の一定スピードで上昇させてこの間に接着剤の分解が終了するようにし、その後に高速で上昇するよう位置制御しているので、上昇動作にも約15〜20sec程度の時間を要していた。そのため、このような操作もウエーハ剥離作業に時間がかかる原因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−268051号公報(段落0002〜段落0009、請求項1、図2、図19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決課題は、支持基板に接着剤で接着され薄板化されたウエーハを剥離する際に、ウエーハに損傷を与えることなく短時間でチャックによりウエーハを吸着保持して剥離することができ、剥離作業を短時間で処理し生産性を向上することができるようにしたウエーハの剥離方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記ように支持基板とウエーハの貼り合わせ体の厚さが相違している場合であっても、チャックを高速で降下してウエーハに最接近させるためには、レーザや超音波を利用した測定器を用いずに、降下の都度、チャック面とウエーハ面の距離を測定し、この測定結果に基づいてチャックの降下量を制御すればよい。一般に、二つの平面板を接近可能に対向させ、一方の平面板側から対向間隙にエアー、ガス等の流体を噴出させながら平面板を近づけた場合、二つの平面板間の間隔が広いときには流体は大きく流れ、流体圧は低くなり、狭い場合にはそれより減少して流れ、流体圧は高くなる。このように間隙の広狭に応じて二つの平面板間から流出するエアー等の流量や流体圧の変化は、二つの平面板間の距離にほぼ対応して減少し若しくは増大する方向に変化する。
【0010】
本発明は上記の如き流量や流体圧の変化現象を利用した発明であって、チャックを昇降させるチャック駆動部を有し、ウエーハが接着された支持基板に向けて該チャックを降下し、該チャック及び支持基板を加熱して接着剤を発泡・分解させてウエーハを支持基板から剥離するウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からウエーハ面に向かって測定用流体を噴出し、該測定用流体の流量や流体圧を測定し、該測定値に基づいて上記チャック駆動部による降下動を制御し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したら上記チャック面に真空吸着作用を働かせてウエーハを吸着保持し、上記測定用流体の噴出を停止し、チャックを上昇させてウエーハを支持基板から剥離することを特徴とするウエーハの剥離方法が提供され、上記課題が解決される。
【0011】
また、本発明によれば、ウエーハが接着された支持基板を保持するデマウントステージと、該デマウントステージの上方に設けられウエーハを吸着保持するチャックと、該チャックをデマウントステージに向けて昇降させる上下動用モータを含むチャック駆動部を具備し、上記デマウントステージ及びチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させウエーハを支持基板から剥離するウエーハ剥離装置において、上記チャックのチャック面にウエーハ面に向けて測定用流体を噴出する開口を形成し、開口と測定用流体供給源の間に該開口から流出する流体の流量や流体圧を測定するセンサーを設け、該センサーの測定値に基づき上記モータの駆動を制御してチャックを降下し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したらチャック駆動部によるチャックの降下を停止し、ウエーハをチャックで吸着保持することを特徴とするデマウントチャック装置が提供され、上記課題が解決される。
【0012】
さらに本発明によれば、ウエーハをチャックで吸着保持する際、チャック駆動部による機械的押圧力が作用しないよう上記チャックは上昇可能にチャック駆動部に垂下され、チャック側を軽加重にしてウエーハを吸着保持できるように上記ウエーハ剥離方法及び装置が提供され、上記課題が解決される。
【0013】
また、ウエーハを吸着したチャックを上昇させる際、上下動用モータにかかる負荷トルクをウエーハサイズ毎に管理し、負荷が大きい間はチャックをゆっくりと上昇させ、負荷が少なくなったら高速でチャックを上昇させるようにした上記ウエーハ剥離方法及び装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のように構成され、加熱すると発泡・分解して接着力が低下する接着剤を用いてウエーハを支持基板に貼り合わせ、ウエーハの裏面を研削して薄板化した後、ウエーハと支持基板の貼り合わせ体をデマウントステージに載置し、該デマウントステージに向けてチャックを降下して支持基板に貼り付けられたウエーハと対向させ、該デマウントステージとチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させた後、上記ウエーハを吸着してチャックを垂直方向に移動させてウエーハを支持基板から剥離するようにしたウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からガス、エアー等の測定用流体を吹き出し、その流量や流体圧を測定し、その測定値に基づいてチャックの移動を制御するようにしたから、支持基板の厚さや研削等の相違によりウエーハ面の位置(高さ)が変化してもチャック面とウエーハ面の間に安全な間隙を存して確実にチャックを所定の降下位置まで降下させることができる。したがって、チャックの降下動を早くすることができ、従来の方法、装置に比べて短時間で剥離作業を行うことができる。
【0015】
また、上記チャックをチャック駆動部の可動部分に上昇可能に垂下したから、チャック駆動部の可動部分にがた(遊び)が発生して所定の降下位置よりも可動部分が下方に降下するようなことがあっても、チャックは上記測定用流体の流体圧で上昇してチャック駆動部からの機械的押圧力をウエーハに及ぼさないようにでき、ウエーハの損傷を防止することができる。そして、この際チャックの重量をバランサー機構により軽減させると、上記測定用流体の作用(圧力)でチャックを浮上させることが容易となり、ウエーハ面にチャック面が当接することを確実に阻止でき、一層安全である。
【0016】
さらに、ウエーハを吸着後チャックを上昇させる際、チャック駆動部の上下動用モータに作用する負荷トルクを測定し、トルクが大きい間は上下動用モータをゆっくりと駆動してチャックを低速で上昇させ、このトルクが所定のトルクより小さくなったら、上下動用モータを高速駆動し、チャックを高速で上昇させるようにすると、従来のように所定の高さまでゆっくりとチャックを上昇させてその後に急上昇させる位置制御による方法、装置に比べて早い段階で接着剤の分離を確認してチャックを高速で上昇させることができるから、剥離作業の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示し、側面から見た説明図。
【図2】正面から見た説明図。
【図3】平面から見た説明図。
【図4】デマウントステージの断面図。
【図5】チャック駆動部のフレームとチャックのストッパー間に隙間が生じた状態の説明図。
【図6】チャック面から測定用流体を噴出しながらチャックが降下している状態の説明図。
【図7】チャックがウエーハを吸着して上昇している状態の説明図。
【図8】チャックが上方定位置まで上昇している状態の説明図。
【図9】チャック駆動部によりチャックが下方定位置まで降下した状態の説明図。
【図10】チャック面より測定用流体を噴出しながら降下した状態の説明図。
【図11】ウエーハを吸着してチャックが下方定位置まで上昇した状態の説明図。
【図12】チャックが載置台方向に移動し、載置台に近接する位置に降下した状態の説明図。
【図13】ウエーハを載置台に移載した後、チャックが下方定位置まで上昇した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3は、本発明の一実施例を示し、装置本体1と、装置本体の側方に設けられウエーハ2と支持基板3の貼り合わせ体4を保持するデマウントステージ5と、該デマウントステージの上方に昇降可能に設けられウエーハを吸着保持するチャック6と、剥離したウエーハを載置するようデマウントステージの横方向に設けられた載置台7と、上記チャックを縦移動レール8に沿って上下方向に移動させるよう装置本体1に設けられたチャック駆動部9と、剥離したウエーハを載置台7方向(横方向)に移動するよう装置本体1を横移動レール10に沿って移動させる左右駆動部11が設けられている。上記チャック駆動部9はスライドベアリング12を介して縦移動レール8に取り付けられたフレーム13と、上下動用モータ14、ボールねじ軸15、ボールねじナット16等の駆動機構を含み、上下動用モータ14を回転させることによりフレーム13をμ単位で上下動させることができるよう制御する。なお、上記縦移動レール等の適宜箇所にはリミットスイッチ(図示略)を設けてあり、該リミットスイッチによりフレームの上方のオーバーリミット位置及び下方のオーバーリミット位置を規制している。
【0019】
上記ウエーハを支持基板に接着する接着剤は、好ましくは加熱すると発泡・分解して接着力が低下する接着剤が用いられる。この接着剤を用いて一枚若しくは複数枚のウエーハ2を支持基板3に貼り合わせ、ウエーハの裏面を研削し薄板化した後、ウエーハと支持基板の貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置し、該デマウントステージにおいてウエーハと支持基板の貼り合わせ体を上記接着剤が完全に発泡・分解しない程度の高温度まで昇温しておく。そして、上記接着剤が発泡・分解する温度まで加熱されたチャック6をウエーハに近接させ、該ウエーハを加熱しつつ吸着し、該チャックからの伝導熱により接着剤を充分に発泡・分解させてから、上記チャックを垂直方向若しくは垂直後横方向にスライドさせてウエーハ2を支持基板3から剥離するよう操作される。
【0020】
上記デマウントステージ5は、図4に示すように、支持基板3とウエーハ2の貼り合わせ体4を収納した収納用治具17を載置する間接板18と、該間接板18の下方に設けられたヒータブロック19を有する。該ヒータブロックは、間接板を加熱して上記貼り合わせ体4の接着剤を昇温できるよう、例えば50〜250℃の範囲で加熱調節できるようにしてあり、これにより上記支持基板3を介して接着剤の温度が発泡・分解温度よりも低い温度、例えば発泡・分解温度の約20〜70%程度になるように温度調整する。この温度は、接着剤の種類により適宜の温度に設定される。
【0021】
なお、上記貼り合わせ体4は、収納用治具17に収められ、ウエーハを剥離する際、上記間接板18に吸着保持されるが、吸着に先立ってウエーハ2とチャック6の位置決めをする際は、容易に調整できるようデマウントステージ5には収納用治具17を浮上させるためのエアーベアリング機構が設けられている。このエアーベアリング機構種々に構成してもよいが、実施例においては、図4に示すように、間接板18の上面を凹ませて間接板18と収納用治具17の間に、加圧空間を形成し、該空間に面して間接板18及び収納用治具17にはエアーの流路18a、17aをそれぞれ形成してある。そして、収納用治具17を間接板18に載せた状態で、上記加圧空間に圧力流体供給源21から圧力エアー等の圧力流体を吹き出して収納用治具17を少し浮上させ、該収納用治具17に設けた取手22をつかんで収納用治具17を手動で軽く回転等して剥離すべきウエーハ2がチャック6に対向する位置になるよう位置合わせできるようにしてある。その後、ウエーハの位置が決まったら電磁弁23を切り替え、真空ポンプ24に連絡して上記流路に真空作用を働かせ、収納用治具17及び支持基板3を吸着してチャック6とウエーハ2を所定の剥離位置に保持し、この状態で剥離操作を行う。このようにすれば、ウエーハの位置決めが容易にできるし、間接板と収納用治具の接触面に損傷を与えることもなく、その上真空作用を働かせたとき、収納用治具を間接板と支持基板により両面からサンドイッチ状態に挟着できるから、安定状態に確実に保持することができる。なお、説明の都合上、図1、図4においては1つの電磁弁23を示してあるが、実際には圧力流体供給源21側と真空ポンプ24側にそれぞれ電磁弁(図示略)を設け、これらの電磁弁を適宜に制御している。
【0022】
上記チャック6は、チャック駆動部9からの機械的押圧力がウエーハ2に直接伝達しないようチャック駆動部9のフレーム13に上昇可能に垂下されている。図1において、チャック6は、上部にヒータブロック25と該ヒータブロックに連結されたスプラインシャフト等のチャック軸26を有している。上記フレーム13のアーム部27にはチャック軸26を上下動可能に保持するスプラインナット等の保持部(軸受部)28が設けられている。この際、図に示す実施例のようにチャック軸26をスプラインシャフトに形成し、保持部28をスプラインナットに形成すると、チャック軸26の回転が確実に阻止され、かつ上下動に支障を生じることもない。上方の保持部28からさらに上方に突出するチャック軸26の上端にはストッパー29が設けられている。通常の状態において、該ストッパー29がアーム部27、図においては上方のスプラインナットのフランジ30に当る位置までチャック6は自重で降下しているので、チャック駆動部のフレーム13が昇降するとき、該チャック6はフレーム13と共に昇降する。しかし、チャック6を上方へ押圧する力が作用すると、該チャック軸26は保持部28内を摺動してフレームの位置にかかわらず上昇し、上記ストッパー29とスプラインナットのフランジ30間に隙間が生じるように構成されている(図5参照)。
【0023】
上記の構成によりチャック側の重量はかなりの重量、例えば約7kg程度になるので、その重量を軽減し、チャック側の重量がバランサー側より若干重くなるような重量、例えばチャック側の重量が約100〜500g程度になるようバランスさせるためのバランサー機構が設けられている。バランサー機構としては、錘や渦巻きばね等を用いた種々の構成にすることができが、図に示す実施例では、コイルばねを用いた機構が採用されている。すなわち、図1に示すように、フレーム13の上方に逆L字状の吊下アーム31を起立し、この吊下アーム31に2つのガイドローラ32を設け、該ガイドローラ32に一端がチャック軸26の上端に連結されたワイヤ等の連結索33を掛け渡して他端を下方に導き、その下端側にコイルばね34を連結し、該コイルばね34をフレーム13の下方に設けたフック金具35に連結してチャック6の荷重をコイルばね34で軽減できるようにしてある。コイルばねの強さは、連結索33とコイルばね34の間に長手方向に複数の掛止孔(図示略)を有する2枚の掛止板36を設け、適宜位置の掛止孔にボルトを挿入して2枚の掛止板を連結し、その連結位置を長手方向に変えたり、線径や長さの相違する複数のコイルばねを用意し、適宜付け換えることにより調整できるようにしてある。また、上記コイルばね34の他端側のフックに連結するフック金具35をフレーム13に対して上下に移動できるように設け、この移動量をダイヤル37で制御し、スケール38によりフック金具35の位置を表示して調整程度を表示できるようにしてある。
【0024】
上記チャック6のチャック面6aには、チャック面6aに真空作用を働かせると共に該チャック面6aとウエーハ面2aの間にエアーや窒素ガス等の測定用流体を噴出すことができるよう開口39が形成されている。この開口39は、真空用の開口と噴出用に開口を別々に設けてもよいが、図に示す実施例では同じ開口を利用している。この開口39に通じる流路40は、電磁弁41を介して圧力流体供給源(測定用流体供給源)42側に通じる流路43と真空ポンプ44側に通じる流路45に接続されており、圧力流体供給源側の流路43には該流路を流れる測定用流体の流量を測定する図示するような流量センサーや流体圧を測定する圧力センサー(図示略)等のセンサー46が設けられている。なお、説明の都合上、上記圧力流体供給源42は、上記デマウントステージの圧力流体供給源21と別々に表示したが、圧力流体としてエアー等の共通の流体を使用するときは、これらの供給源は同一でよい。また、1つの電磁弁41を示してあるが、実際には流路43と流路45にそれぞれ電磁弁(図示略)を設け、これらの電磁弁を適宜に制御している。
【0025】
そして、上記センサー46による測定値に基づき、上記上下動用モータ14の駆動を制御するよう制御回路が設けられている。図6に示すように、この制御回路によるチャック6の降下は、チャック面6aとウエーハ面2aの間隙47の変化に応じて両面間から流出する測定用流体の流出量や流体圧がどのように変化するかを予め測定し、流出量や流体圧(センサーによる測定値)と上記間隙の関係をデータ化して制御回路に記憶しておき、流量の場合には測定値が大きいときは上下動用モータによるチャックの降下が大きく、測定値の減少に応じて降下がゆっくりとなり、チャック面6aとウエーハ面2aが離れている最小間隙(最下降位置)に対応する値を検出したら上下動用モータによる降下を停止するよう制御する。なお、間隙の減少に伴って上記チャックに作用する測定用流体からの流体圧は次第に大きくなるから、流体圧に準じて同様の作用を奏するように制御すればよい。上記チャック駆動部9のフレーム13の可動部分等が磨耗等の原因でがたを生じチャックの最下降位置より下方にフレーム13が降下するような事態になったとき、上述のようにチャック側の重量が軽減されているので、増大する上記流体圧によりチャックは若干浮上し、チャック面6aがウエーハ面2aにぶつからないようにできる。このときチャック軸26のストッパー29とチャック駆動部のスプラインナットのフランジ30間には図5に示すような隙間が生じるが、この寸法は数ミリあってもよい。
【0026】
また、上記上下動用モータ14には、図7に示すようにウエーハ2を吸着したチャック6を上昇させる際、ウエーハの大きさや接着剤の分解の進み具合によりモータ14に与える負荷の程度を測定できるよう負荷トルクを測定するためトルク測定器48を設けることが好ましい。このトルク測定器48からの測定値の変化と接着剤の分解の程度の変化を予めウエーハの大きさ毎に測定してデータ化し、上記制御回路に記憶しておく。そして、ウエーハ2を吸着したチャック6が上昇する際、測定値が充分に接着剤の分解が進行していない値のとき(負荷トルクが大きいとき)は上記上下動用モータ14の駆動を遅くし、充分接着剤が分解した値(負荷トルクが小さく)になったら上下動用モータ14を早く駆動し高速でチャック6を上昇させるような回路を上記制御回路に組み込んである。
【0027】
上記装置によりウエーハを剥離するには、図8に示すように、チャックが上方定位置、例えば約70mm程度の高さにあるとき、デマウントステージ5にウエーハ2と支持基板3の貼り合わせ体4を収納した収納用治具17を載置し、剥離すべきウエーハをチャックの下面に対応させる。そして、図9に示すように、チャック駆動部の上下動用モータを駆動してウエーハ2に影響を与えないで位置合わせしやすい位置である下方定位置、例えばウエーハ面2aから約1mm程度の高さまで、チャックを急降下させる。この位置でデマウントステージから圧力エアーを噴出しエアーベアリング作用で重量を軽減させた状態の収納用治具を回転させ、ウエーハとチャックの位置決めをする。その後、電磁弁23により流路を切り替え、デマウントステージからの圧力エアーの噴出を停止してデマウントステージの間接板18に真空を作用させ、収納用治具17及び支持基板3を間接板18に吸着し、接着剤を加熱する。なお、このような下方定位置までチャックを降下させる前にウエーハとチャックの位置決めをしてもよい。
【0028】
この安全な下方定位置までチャックが降下したら、チャック6のチャック面6aからエアー等の測定用流体を、例えば約3リットル/min程度の流量で噴出し、その流出量や流体圧を流量センサーや圧力センサー等のセンサー46で測定しながら、上記上下動用モータ14の駆動を制御し、チャック6をさらに降下させる。下降中に測定用流体の流量が最も少なくなった時点若しくは流体圧が最も大きくなった時点まで降下すると、例えば流量センサーが約1.0〜1リットル/min程度の流量を検知するとチャック面6aとウエーハ面2aの間隙47は約0.5〜0.05mm程度になるので、ウエーハの吸着を開始する(図10)。このとき、電磁弁41を切り替えてウエーハを吸着すると同時に測定用流体の噴出を停止させるが、この際好ましくは、吸着してから約0.5秒程度の遅延時間をおいて噴出を停止させるとよい。実際のこのような制御は、上述したように、流路43、42に電磁弁をそれぞれ設けておくことにより容易に制御することができる。
【0029】
その後、上下動用モータ14によりチャック6を上記下方定位置まで上昇させる(図11)。このとき上記のようにモータ14にかかる負荷をトルク測定器48で測定し、ウエーハの大きさに応じて充分に接着剤が分解したことを示す測定値になるまではゆっくり上昇させ、この測定値を検出したら、高速で上昇させるとよい。なお、図に示す実施例はチャックを垂直上昇してウエーハを剥離しているが、スライド剥離する場合は、例えばウエーハを吸着したらチャックを約20μm上昇させた後に横方向に約50mmスライドさせ、次に約10μm上昇させて横方向に約50mmスライドさせるというように上昇とスライドを小刻みに繰り返して所望の高さまで上昇させつつスライドさせればよい。
【0030】
上記のようにしてウエーハ2を剥離したチャック6は載置台7方向に移動され、載置台7部分で降下し、吸着を解除してチャック面6aからパフエアーを吹き出してウエーハを載置台7に移載する(図12)。なお、パフエアーは、上記流路43とは別に適宜の電磁弁を介して上記圧力供給源側に通じる流路を設けておき、適時電磁弁を切り替えて吹き出すように制御すればよい。その後、チャック6を上記下方定位置まで上昇し(図13)、図9に示す位置まで横移動させる。そして、図9に示す状態で、次に剥離すべきウエーハ2がチャック6に対応する位置になるよう収納用治具17を浮かせながら回転して位置合わせする。すべてのウエーハを剥離したら、チャックは図8に示す上方定位置まで上昇され、支持基板を取り出し、次に剥離すべき貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置する。
【0031】
上記のようにしてウエーハを次々と剥離することができ、従来約15〜20secかかっていたウエーハ吸着までの時間を約1.0〜2.0secに短縮でき、ウエーハ面に損傷を与えることもなく、短時間で吸着することができ、従来の方法、装置に比べて生産性を約3倍に向上させることができた。また、チャックがウエーハを吸着し接着剤を発泡・分解した状態でチャックを上昇させるとき、従来の方法、装置では接着剤の分解の程度にかかわらず一律に超低速の一定スピードで上昇させ、所定の上昇位置まで上昇してから高速で上昇させるよう位置制御されていたので、約15〜25secかかっていたが、上記のようにウエーハサイズ毎にトルク管理したことにより接着剤の分解の程度がモータにかかる負荷トルクで判断でき、ウエーハが剥離した時点で高速上昇させることにより、この時間を約5sec以内に短縮することができた。
【符号の説明】
【0032】
1 装置本体
2 ウエーハ
3 支持基板
4 貼り合わせ体
5 デマウントステージ
6 チャック
7 載置台
9 チャック駆動部
13 フレーム
14 上下動用モータ
17 収納用治具
18 間接板
19 ヒータブロック
25 ヒータブロック
26 チャック軸
29 ストッパー
34 コイルばね
35 フック金具
36 掛止板
46 センサー
48 トルク測定器
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを薄板化処理するために、支持基板に貼り合わせて研削、研磨処理を行った後、該支持基板からウエーハを剥離するためのウエーハの剥離方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン、化合物、SiC、サファイア等の材料で作られたウエーハにデバイスを形成した後にウエーハの裏面を研削する薄板化技術が進んでいるが、この薄板化の際にウエーハを補強するためテープを用いる方法と支持基板を用いる方法が知られている。テープを用いる方法は、ウエーハのデバイス面にテープを貼り、このテープ貼りしたテープ面をチャックで吸着してウエーハを保持し、研削、研磨している。一方、支持基板を用いる方法は、接着剤をウエーハ若しくは支持基板に塗布してウエーハを支持基板に接着し、この支持基板を吸着保持して研削、研磨処理を行っている。これらの方法は、歩留まりやランニングコスト、生産性等に応じて適宜選択されるが、支持基板方法は、接着剤で支持基板に確実に接着して保持できるため、ウエーハ薄板化の極限である約10μm程度まで研削、研磨することができ、広く採用されている。
【0003】
従来、支持基板に貼り合わせたウエーハを剥離するには、支持基板とウエーハをそれぞれ吸着保持し、両者を分離する方向に移動させて支持基板からウエーハを剥離している(例えば特許文献1参照)。加熱により発泡・分解する接着剤を用いてウエーハを接着した支持基板の場合には、支持基板の下面を吸着保持し接着剤を加熱するデマウントステージと、デマウントステージに向けて降下し接着剤を加熱して発泡・分解させ支持基板上のウエーハを吸着保持して垂直に上昇するチャックが用いられている。このチャックは上下動モータ等により構成されるチャック駆動部で昇降され、該チャック駆動部により、ウエーハに近接する位置までチャックを降下させてからウエーハを吸着し、その後上昇するよう制御されているが、この降下位置は一定してない。すなわち、支持基板に貼り合わせた薄板化後のウエーハの厚みは、研削、研磨量により微妙に変化するし、支持基板自体の厚さも支持基板のサイズや材質により例えば10〜25mmの範囲で変わってくるので、デマウントステージに支持基板を載置したときのウエーハ面の高さが変化する。そのため、チャックの降下位置をデマウントステージに対して一定の位置に規定しておくと、ウエーハ面にチャックが当ってウエーハ面に損傷を与えたり、ウエーハ面との間隔が広すぎて確実にウエーハを吸着できなくなるおそれがあるから、剥離操作のたびに降下位置の設定を変えなければならなくなる。そこで、実際には、最初の段階で、チャック面がウエーハ面に影響を与えないような安全な隙間(例えば1.0〜2.0mm)を存する位置まで高速で急接近(急降下)させ、その後損傷を与えないでウエーハを吸着できるようチャックに真空作用を働かせながら極めて超低速でチャックを徐徐に降下させ、ウエーハを吸着するようにしている。そのため、従来の方法では、吸着までに多くの時間、例えば約15〜25secもかかることになり、支持基板から剥離すべきウエーハの枚数が多くなると、この剥離時間は無視できず、無駄な時間となって生産性に大きな影響を与えていた。
【0004】
なお、一般に間隙を測定する測定器として、レーザや超音波を利用した測定器が知られており、そのような測定器を用いて間隙を計測しながら降下させることも考えられるが、本発明のようなウエーハの剥離装置にそのような測定器を用いることは実際にはむずかしい。すなわち、これらの測定器はレーザや超音波の検出器を測定面に対向するような位置に設置する必要があり、本発明のようなウエーハ剥離装置に用いるためにはこの検出器をチャック若しくはデマウントステージに設けなければならない。しかし、チャックやデマウントステージは上記したようにウエーハを支持基板に接着している接着剤を発泡・分解するため、接着剤の種類により約80〜500℃、例えば約250℃程度に加熱されるから、検出器が損傷してしまうからである。
【0005】
さらに、従来のチャックは、チャック駆動部の可動部分に直結されているので、可動部分に摩耗等を生じて、がた(遊び)が発生すると、チャック駆動部の可動部分を予め定めた降下位置まで移動するよう制御したとしても実際には可動部分ががたの分だけ降下位置より下に下がることになるから、それに伴いチャックは最初に定めた定位置より下に降下し、チャック面がウエーハ面に当接してチャック駆動部からの機械的押圧力がウエーハ面に作用し、ウエーハに損傷を与える危険もある。
【0006】
また、加熱により発泡・分解して接着力が低下する接着剤は、接着剤の種類によっても相違するが十分に分解するまでに通常約6.0sec程度かかるので、従来のウエーハ剥離装置ではウエーハを吸着保持したチャックを上昇させるとき、予め定めた上昇設定位置まで超低速の一定スピードで上昇させてこの間に接着剤の分解が終了するようにし、その後に高速で上昇するよう位置制御しているので、上昇動作にも約15〜20sec程度の時間を要していた。そのため、このような操作もウエーハ剥離作業に時間がかかる原因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−268051号公報(段落0002〜段落0009、請求項1、図2、図19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決課題は、支持基板に接着剤で接着され薄板化されたウエーハを剥離する際に、ウエーハに損傷を与えることなく短時間でチャックによりウエーハを吸着保持して剥離することができ、剥離作業を短時間で処理し生産性を向上することができるようにしたウエーハの剥離方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記ように支持基板とウエーハの貼り合わせ体の厚さが相違している場合であっても、チャックを高速で降下してウエーハに最接近させるためには、レーザや超音波を利用した測定器を用いずに、降下の都度、チャック面とウエーハ面の距離を測定し、この測定結果に基づいてチャックの降下量を制御すればよい。一般に、二つの平面板を接近可能に対向させ、一方の平面板側から対向間隙にエアー、ガス等の流体を噴出させながら平面板を近づけた場合、二つの平面板間の間隔が広いときには流体は大きく流れ、流体圧は低くなり、狭い場合にはそれより減少して流れ、流体圧は高くなる。このように間隙の広狭に応じて二つの平面板間から流出するエアー等の流量や流体圧の変化は、二つの平面板間の距離にほぼ対応して減少し若しくは増大する方向に変化する。
【0010】
本発明は上記の如き流量や流体圧の変化現象を利用した発明であって、チャックを昇降させるチャック駆動部を有し、ウエーハが接着された支持基板に向けて該チャックを降下し、該チャック及び支持基板を加熱して接着剤を発泡・分解させてウエーハを支持基板から剥離するウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からウエーハ面に向かって測定用流体を噴出し、該測定用流体の流量や流体圧を測定し、該測定値に基づいて上記チャック駆動部による降下動を制御し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したら上記チャック面に真空吸着作用を働かせてウエーハを吸着保持し、上記測定用流体の噴出を停止し、チャックを上昇させてウエーハを支持基板から剥離することを特徴とするウエーハの剥離方法が提供され、上記課題が解決される。
【0011】
また、本発明によれば、ウエーハが接着された支持基板を保持するデマウントステージと、該デマウントステージの上方に設けられウエーハを吸着保持するチャックと、該チャックをデマウントステージに向けて昇降させる上下動用モータを含むチャック駆動部を具備し、上記デマウントステージ及びチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させウエーハを支持基板から剥離するウエーハ剥離装置において、上記チャックのチャック面にウエーハ面に向けて測定用流体を噴出する開口を形成し、開口と測定用流体供給源の間に該開口から流出する流体の流量や流体圧を測定するセンサーを設け、該センサーの測定値に基づき上記モータの駆動を制御してチャックを降下し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したらチャック駆動部によるチャックの降下を停止し、ウエーハをチャックで吸着保持することを特徴とするデマウントチャック装置が提供され、上記課題が解決される。
【0012】
さらに本発明によれば、ウエーハをチャックで吸着保持する際、チャック駆動部による機械的押圧力が作用しないよう上記チャックは上昇可能にチャック駆動部に垂下され、チャック側を軽加重にしてウエーハを吸着保持できるように上記ウエーハ剥離方法及び装置が提供され、上記課題が解決される。
【0013】
また、ウエーハを吸着したチャックを上昇させる際、上下動用モータにかかる負荷トルクをウエーハサイズ毎に管理し、負荷が大きい間はチャックをゆっくりと上昇させ、負荷が少なくなったら高速でチャックを上昇させるようにした上記ウエーハ剥離方法及び装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のように構成され、加熱すると発泡・分解して接着力が低下する接着剤を用いてウエーハを支持基板に貼り合わせ、ウエーハの裏面を研削して薄板化した後、ウエーハと支持基板の貼り合わせ体をデマウントステージに載置し、該デマウントステージに向けてチャックを降下して支持基板に貼り付けられたウエーハと対向させ、該デマウントステージとチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させた後、上記ウエーハを吸着してチャックを垂直方向に移動させてウエーハを支持基板から剥離するようにしたウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からガス、エアー等の測定用流体を吹き出し、その流量や流体圧を測定し、その測定値に基づいてチャックの移動を制御するようにしたから、支持基板の厚さや研削等の相違によりウエーハ面の位置(高さ)が変化してもチャック面とウエーハ面の間に安全な間隙を存して確実にチャックを所定の降下位置まで降下させることができる。したがって、チャックの降下動を早くすることができ、従来の方法、装置に比べて短時間で剥離作業を行うことができる。
【0015】
また、上記チャックをチャック駆動部の可動部分に上昇可能に垂下したから、チャック駆動部の可動部分にがた(遊び)が発生して所定の降下位置よりも可動部分が下方に降下するようなことがあっても、チャックは上記測定用流体の流体圧で上昇してチャック駆動部からの機械的押圧力をウエーハに及ぼさないようにでき、ウエーハの損傷を防止することができる。そして、この際チャックの重量をバランサー機構により軽減させると、上記測定用流体の作用(圧力)でチャックを浮上させることが容易となり、ウエーハ面にチャック面が当接することを確実に阻止でき、一層安全である。
【0016】
さらに、ウエーハを吸着後チャックを上昇させる際、チャック駆動部の上下動用モータに作用する負荷トルクを測定し、トルクが大きい間は上下動用モータをゆっくりと駆動してチャックを低速で上昇させ、このトルクが所定のトルクより小さくなったら、上下動用モータを高速駆動し、チャックを高速で上昇させるようにすると、従来のように所定の高さまでゆっくりとチャックを上昇させてその後に急上昇させる位置制御による方法、装置に比べて早い段階で接着剤の分離を確認してチャックを高速で上昇させることができるから、剥離作業の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示し、側面から見た説明図。
【図2】正面から見た説明図。
【図3】平面から見た説明図。
【図4】デマウントステージの断面図。
【図5】チャック駆動部のフレームとチャックのストッパー間に隙間が生じた状態の説明図。
【図6】チャック面から測定用流体を噴出しながらチャックが降下している状態の説明図。
【図7】チャックがウエーハを吸着して上昇している状態の説明図。
【図8】チャックが上方定位置まで上昇している状態の説明図。
【図9】チャック駆動部によりチャックが下方定位置まで降下した状態の説明図。
【図10】チャック面より測定用流体を噴出しながら降下した状態の説明図。
【図11】ウエーハを吸着してチャックが下方定位置まで上昇した状態の説明図。
【図12】チャックが載置台方向に移動し、載置台に近接する位置に降下した状態の説明図。
【図13】ウエーハを載置台に移載した後、チャックが下方定位置まで上昇した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3は、本発明の一実施例を示し、装置本体1と、装置本体の側方に設けられウエーハ2と支持基板3の貼り合わせ体4を保持するデマウントステージ5と、該デマウントステージの上方に昇降可能に設けられウエーハを吸着保持するチャック6と、剥離したウエーハを載置するようデマウントステージの横方向に設けられた載置台7と、上記チャックを縦移動レール8に沿って上下方向に移動させるよう装置本体1に設けられたチャック駆動部9と、剥離したウエーハを載置台7方向(横方向)に移動するよう装置本体1を横移動レール10に沿って移動させる左右駆動部11が設けられている。上記チャック駆動部9はスライドベアリング12を介して縦移動レール8に取り付けられたフレーム13と、上下動用モータ14、ボールねじ軸15、ボールねじナット16等の駆動機構を含み、上下動用モータ14を回転させることによりフレーム13をμ単位で上下動させることができるよう制御する。なお、上記縦移動レール等の適宜箇所にはリミットスイッチ(図示略)を設けてあり、該リミットスイッチによりフレームの上方のオーバーリミット位置及び下方のオーバーリミット位置を規制している。
【0019】
上記ウエーハを支持基板に接着する接着剤は、好ましくは加熱すると発泡・分解して接着力が低下する接着剤が用いられる。この接着剤を用いて一枚若しくは複数枚のウエーハ2を支持基板3に貼り合わせ、ウエーハの裏面を研削し薄板化した後、ウエーハと支持基板の貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置し、該デマウントステージにおいてウエーハと支持基板の貼り合わせ体を上記接着剤が完全に発泡・分解しない程度の高温度まで昇温しておく。そして、上記接着剤が発泡・分解する温度まで加熱されたチャック6をウエーハに近接させ、該ウエーハを加熱しつつ吸着し、該チャックからの伝導熱により接着剤を充分に発泡・分解させてから、上記チャックを垂直方向若しくは垂直後横方向にスライドさせてウエーハ2を支持基板3から剥離するよう操作される。
【0020】
上記デマウントステージ5は、図4に示すように、支持基板3とウエーハ2の貼り合わせ体4を収納した収納用治具17を載置する間接板18と、該間接板18の下方に設けられたヒータブロック19を有する。該ヒータブロックは、間接板を加熱して上記貼り合わせ体4の接着剤を昇温できるよう、例えば50〜250℃の範囲で加熱調節できるようにしてあり、これにより上記支持基板3を介して接着剤の温度が発泡・分解温度よりも低い温度、例えば発泡・分解温度の約20〜70%程度になるように温度調整する。この温度は、接着剤の種類により適宜の温度に設定される。
【0021】
なお、上記貼り合わせ体4は、収納用治具17に収められ、ウエーハを剥離する際、上記間接板18に吸着保持されるが、吸着に先立ってウエーハ2とチャック6の位置決めをする際は、容易に調整できるようデマウントステージ5には収納用治具17を浮上させるためのエアーベアリング機構が設けられている。このエアーベアリング機構種々に構成してもよいが、実施例においては、図4に示すように、間接板18の上面を凹ませて間接板18と収納用治具17の間に、加圧空間を形成し、該空間に面して間接板18及び収納用治具17にはエアーの流路18a、17aをそれぞれ形成してある。そして、収納用治具17を間接板18に載せた状態で、上記加圧空間に圧力流体供給源21から圧力エアー等の圧力流体を吹き出して収納用治具17を少し浮上させ、該収納用治具17に設けた取手22をつかんで収納用治具17を手動で軽く回転等して剥離すべきウエーハ2がチャック6に対向する位置になるよう位置合わせできるようにしてある。その後、ウエーハの位置が決まったら電磁弁23を切り替え、真空ポンプ24に連絡して上記流路に真空作用を働かせ、収納用治具17及び支持基板3を吸着してチャック6とウエーハ2を所定の剥離位置に保持し、この状態で剥離操作を行う。このようにすれば、ウエーハの位置決めが容易にできるし、間接板と収納用治具の接触面に損傷を与えることもなく、その上真空作用を働かせたとき、収納用治具を間接板と支持基板により両面からサンドイッチ状態に挟着できるから、安定状態に確実に保持することができる。なお、説明の都合上、図1、図4においては1つの電磁弁23を示してあるが、実際には圧力流体供給源21側と真空ポンプ24側にそれぞれ電磁弁(図示略)を設け、これらの電磁弁を適宜に制御している。
【0022】
上記チャック6は、チャック駆動部9からの機械的押圧力がウエーハ2に直接伝達しないようチャック駆動部9のフレーム13に上昇可能に垂下されている。図1において、チャック6は、上部にヒータブロック25と該ヒータブロックに連結されたスプラインシャフト等のチャック軸26を有している。上記フレーム13のアーム部27にはチャック軸26を上下動可能に保持するスプラインナット等の保持部(軸受部)28が設けられている。この際、図に示す実施例のようにチャック軸26をスプラインシャフトに形成し、保持部28をスプラインナットに形成すると、チャック軸26の回転が確実に阻止され、かつ上下動に支障を生じることもない。上方の保持部28からさらに上方に突出するチャック軸26の上端にはストッパー29が設けられている。通常の状態において、該ストッパー29がアーム部27、図においては上方のスプラインナットのフランジ30に当る位置までチャック6は自重で降下しているので、チャック駆動部のフレーム13が昇降するとき、該チャック6はフレーム13と共に昇降する。しかし、チャック6を上方へ押圧する力が作用すると、該チャック軸26は保持部28内を摺動してフレームの位置にかかわらず上昇し、上記ストッパー29とスプラインナットのフランジ30間に隙間が生じるように構成されている(図5参照)。
【0023】
上記の構成によりチャック側の重量はかなりの重量、例えば約7kg程度になるので、その重量を軽減し、チャック側の重量がバランサー側より若干重くなるような重量、例えばチャック側の重量が約100〜500g程度になるようバランスさせるためのバランサー機構が設けられている。バランサー機構としては、錘や渦巻きばね等を用いた種々の構成にすることができが、図に示す実施例では、コイルばねを用いた機構が採用されている。すなわち、図1に示すように、フレーム13の上方に逆L字状の吊下アーム31を起立し、この吊下アーム31に2つのガイドローラ32を設け、該ガイドローラ32に一端がチャック軸26の上端に連結されたワイヤ等の連結索33を掛け渡して他端を下方に導き、その下端側にコイルばね34を連結し、該コイルばね34をフレーム13の下方に設けたフック金具35に連結してチャック6の荷重をコイルばね34で軽減できるようにしてある。コイルばねの強さは、連結索33とコイルばね34の間に長手方向に複数の掛止孔(図示略)を有する2枚の掛止板36を設け、適宜位置の掛止孔にボルトを挿入して2枚の掛止板を連結し、その連結位置を長手方向に変えたり、線径や長さの相違する複数のコイルばねを用意し、適宜付け換えることにより調整できるようにしてある。また、上記コイルばね34の他端側のフックに連結するフック金具35をフレーム13に対して上下に移動できるように設け、この移動量をダイヤル37で制御し、スケール38によりフック金具35の位置を表示して調整程度を表示できるようにしてある。
【0024】
上記チャック6のチャック面6aには、チャック面6aに真空作用を働かせると共に該チャック面6aとウエーハ面2aの間にエアーや窒素ガス等の測定用流体を噴出すことができるよう開口39が形成されている。この開口39は、真空用の開口と噴出用に開口を別々に設けてもよいが、図に示す実施例では同じ開口を利用している。この開口39に通じる流路40は、電磁弁41を介して圧力流体供給源(測定用流体供給源)42側に通じる流路43と真空ポンプ44側に通じる流路45に接続されており、圧力流体供給源側の流路43には該流路を流れる測定用流体の流量を測定する図示するような流量センサーや流体圧を測定する圧力センサー(図示略)等のセンサー46が設けられている。なお、説明の都合上、上記圧力流体供給源42は、上記デマウントステージの圧力流体供給源21と別々に表示したが、圧力流体としてエアー等の共通の流体を使用するときは、これらの供給源は同一でよい。また、1つの電磁弁41を示してあるが、実際には流路43と流路45にそれぞれ電磁弁(図示略)を設け、これらの電磁弁を適宜に制御している。
【0025】
そして、上記センサー46による測定値に基づき、上記上下動用モータ14の駆動を制御するよう制御回路が設けられている。図6に示すように、この制御回路によるチャック6の降下は、チャック面6aとウエーハ面2aの間隙47の変化に応じて両面間から流出する測定用流体の流出量や流体圧がどのように変化するかを予め測定し、流出量や流体圧(センサーによる測定値)と上記間隙の関係をデータ化して制御回路に記憶しておき、流量の場合には測定値が大きいときは上下動用モータによるチャックの降下が大きく、測定値の減少に応じて降下がゆっくりとなり、チャック面6aとウエーハ面2aが離れている最小間隙(最下降位置)に対応する値を検出したら上下動用モータによる降下を停止するよう制御する。なお、間隙の減少に伴って上記チャックに作用する測定用流体からの流体圧は次第に大きくなるから、流体圧に準じて同様の作用を奏するように制御すればよい。上記チャック駆動部9のフレーム13の可動部分等が磨耗等の原因でがたを生じチャックの最下降位置より下方にフレーム13が降下するような事態になったとき、上述のようにチャック側の重量が軽減されているので、増大する上記流体圧によりチャックは若干浮上し、チャック面6aがウエーハ面2aにぶつからないようにできる。このときチャック軸26のストッパー29とチャック駆動部のスプラインナットのフランジ30間には図5に示すような隙間が生じるが、この寸法は数ミリあってもよい。
【0026】
また、上記上下動用モータ14には、図7に示すようにウエーハ2を吸着したチャック6を上昇させる際、ウエーハの大きさや接着剤の分解の進み具合によりモータ14に与える負荷の程度を測定できるよう負荷トルクを測定するためトルク測定器48を設けることが好ましい。このトルク測定器48からの測定値の変化と接着剤の分解の程度の変化を予めウエーハの大きさ毎に測定してデータ化し、上記制御回路に記憶しておく。そして、ウエーハ2を吸着したチャック6が上昇する際、測定値が充分に接着剤の分解が進行していない値のとき(負荷トルクが大きいとき)は上記上下動用モータ14の駆動を遅くし、充分接着剤が分解した値(負荷トルクが小さく)になったら上下動用モータ14を早く駆動し高速でチャック6を上昇させるような回路を上記制御回路に組み込んである。
【0027】
上記装置によりウエーハを剥離するには、図8に示すように、チャックが上方定位置、例えば約70mm程度の高さにあるとき、デマウントステージ5にウエーハ2と支持基板3の貼り合わせ体4を収納した収納用治具17を載置し、剥離すべきウエーハをチャックの下面に対応させる。そして、図9に示すように、チャック駆動部の上下動用モータを駆動してウエーハ2に影響を与えないで位置合わせしやすい位置である下方定位置、例えばウエーハ面2aから約1mm程度の高さまで、チャックを急降下させる。この位置でデマウントステージから圧力エアーを噴出しエアーベアリング作用で重量を軽減させた状態の収納用治具を回転させ、ウエーハとチャックの位置決めをする。その後、電磁弁23により流路を切り替え、デマウントステージからの圧力エアーの噴出を停止してデマウントステージの間接板18に真空を作用させ、収納用治具17及び支持基板3を間接板18に吸着し、接着剤を加熱する。なお、このような下方定位置までチャックを降下させる前にウエーハとチャックの位置決めをしてもよい。
【0028】
この安全な下方定位置までチャックが降下したら、チャック6のチャック面6aからエアー等の測定用流体を、例えば約3リットル/min程度の流量で噴出し、その流出量や流体圧を流量センサーや圧力センサー等のセンサー46で測定しながら、上記上下動用モータ14の駆動を制御し、チャック6をさらに降下させる。下降中に測定用流体の流量が最も少なくなった時点若しくは流体圧が最も大きくなった時点まで降下すると、例えば流量センサーが約1.0〜1リットル/min程度の流量を検知するとチャック面6aとウエーハ面2aの間隙47は約0.5〜0.05mm程度になるので、ウエーハの吸着を開始する(図10)。このとき、電磁弁41を切り替えてウエーハを吸着すると同時に測定用流体の噴出を停止させるが、この際好ましくは、吸着してから約0.5秒程度の遅延時間をおいて噴出を停止させるとよい。実際のこのような制御は、上述したように、流路43、42に電磁弁をそれぞれ設けておくことにより容易に制御することができる。
【0029】
その後、上下動用モータ14によりチャック6を上記下方定位置まで上昇させる(図11)。このとき上記のようにモータ14にかかる負荷をトルク測定器48で測定し、ウエーハの大きさに応じて充分に接着剤が分解したことを示す測定値になるまではゆっくり上昇させ、この測定値を検出したら、高速で上昇させるとよい。なお、図に示す実施例はチャックを垂直上昇してウエーハを剥離しているが、スライド剥離する場合は、例えばウエーハを吸着したらチャックを約20μm上昇させた後に横方向に約50mmスライドさせ、次に約10μm上昇させて横方向に約50mmスライドさせるというように上昇とスライドを小刻みに繰り返して所望の高さまで上昇させつつスライドさせればよい。
【0030】
上記のようにしてウエーハ2を剥離したチャック6は載置台7方向に移動され、載置台7部分で降下し、吸着を解除してチャック面6aからパフエアーを吹き出してウエーハを載置台7に移載する(図12)。なお、パフエアーは、上記流路43とは別に適宜の電磁弁を介して上記圧力供給源側に通じる流路を設けておき、適時電磁弁を切り替えて吹き出すように制御すればよい。その後、チャック6を上記下方定位置まで上昇し(図13)、図9に示す位置まで横移動させる。そして、図9に示す状態で、次に剥離すべきウエーハ2がチャック6に対応する位置になるよう収納用治具17を浮かせながら回転して位置合わせする。すべてのウエーハを剥離したら、チャックは図8に示す上方定位置まで上昇され、支持基板を取り出し、次に剥離すべき貼り合わせ体4をデマウントステージ5に載置する。
【0031】
上記のようにしてウエーハを次々と剥離することができ、従来約15〜20secかかっていたウエーハ吸着までの時間を約1.0〜2.0secに短縮でき、ウエーハ面に損傷を与えることもなく、短時間で吸着することができ、従来の方法、装置に比べて生産性を約3倍に向上させることができた。また、チャックがウエーハを吸着し接着剤を発泡・分解した状態でチャックを上昇させるとき、従来の方法、装置では接着剤の分解の程度にかかわらず一律に超低速の一定スピードで上昇させ、所定の上昇位置まで上昇してから高速で上昇させるよう位置制御されていたので、約15〜25secかかっていたが、上記のようにウエーハサイズ毎にトルク管理したことにより接着剤の分解の程度がモータにかかる負荷トルクで判断でき、ウエーハが剥離した時点で高速上昇させることにより、この時間を約5sec以内に短縮することができた。
【符号の説明】
【0032】
1 装置本体
2 ウエーハ
3 支持基板
4 貼り合わせ体
5 デマウントステージ
6 チャック
7 載置台
9 チャック駆動部
13 フレーム
14 上下動用モータ
17 収納用治具
18 間接板
19 ヒータブロック
25 ヒータブロック
26 チャック軸
29 ストッパー
34 コイルばね
35 フック金具
36 掛止板
46 センサー
48 トルク測定器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックを昇降させるチャック駆動部を有し、ウエーハが接着された支持基板に向けてチャックを降下し、該チャック及び支持基板を加熱して接着剤を発泡・分解させてウエーハを支持基板から剥離するウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からウエーハ面に向かって測定用流体を噴出し、該測定用流体の流量若しくは流体圧を測定し、該測定値に基づいて上記チャック駆動部による降下動を制御し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したら上記チャック面に真空吸着作用を働かせてウエーハを吸着保持し、上記測定用流体の噴出を停止し、チャックを上昇させてウエーハを支持基板から剥離することを特徴とするウエーハの剥離方法
【請求項2】
上記チャックは、チャック駆動部による押圧力が作用しないよう上昇可能にチャック駆動部に垂下されている請求項1に記載のウエーハの剥離方法。
【請求項3】
上記チャックには、チャックの重量を軽減させるようバランサー機構が設けられている請求項2に記載のウエーハの剥離方法。
【請求項4】
上記チャック駆動部は上下動用モータを含み、上記チャックがウエーハを吸着保持して上昇する際、モータに作用するトルクを測定し、接着剤が分解した際の測定値を検出したら該モータを高速駆動してチャックを高速で上昇させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のウエーハの剥離方法。
【請求項5】
ウエーハが接着された支持基板を保持するデマウントステージと、該デマウントステージの上方に設けられウエーハを吸着保持するチャックと、該チャックをデマウントステージに向けて昇降させる上下動用モータを含むチャック駆動部を具備し、上記デマウントステージ及びチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させウエーハを支持基板から剥離するウエーハ剥離装置において、上記チャックのチャック面にウエーハ面に向けて測定用流体を噴出する開口を形成し、開口と測定用流体供給源の間に開口から流出する流体の流量若しくは流体圧を測定するセンサーを設け、該センサーの測定値に基づき上記モータの駆動を制御してチャックを降下し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したらチャック駆動部によるチャックの降下を停止し、ウエーハをチャックで吸着保持することを特徴とするウエーハ剥離装置。
【請求項6】
上記チャック駆動部は、チャックを保持するアーム部を有し、該チャックは上昇可能に該アーム部に垂下されている請求項5に記載のウエーハ剥離装置。
【請求項7】
上記チャックとチャック駆動部の間にはチャックの重量を軽減させるバランサー機構が設けられている請求項6に記載のウエーハ剥離装置。
【請求項8】
上記チャック駆動部の上下動用モータには、上記チャックがウエーハを吸着保持して上昇する際、該モータに作用するトルクを測定するトルク測定器が設けられ、接着剤が分解した際の測定値を検出したらモータを高速駆動してチャックを高速で上昇させることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載のウエーハの剥離装置。
【請求項9】
上記デマウントステージには、ウエーハとチャックの位置を位置決めする際、支持基板を浮上させて支持基板を調整できるようエアーベアリング機構が設けられている請求項5に記載のウエーハ剥離装置。
【請求項1】
チャックを昇降させるチャック駆動部を有し、ウエーハが接着された支持基板に向けてチャックを降下し、該チャック及び支持基板を加熱して接着剤を発泡・分解させてウエーハを支持基板から剥離するウエーハの剥離方法において、上記チャックのチャック面からウエーハ面に向かって測定用流体を噴出し、該測定用流体の流量若しくは流体圧を測定し、該測定値に基づいて上記チャック駆動部による降下動を制御し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したら上記チャック面に真空吸着作用を働かせてウエーハを吸着保持し、上記測定用流体の噴出を停止し、チャックを上昇させてウエーハを支持基板から剥離することを特徴とするウエーハの剥離方法
【請求項2】
上記チャックは、チャック駆動部による押圧力が作用しないよう上昇可能にチャック駆動部に垂下されている請求項1に記載のウエーハの剥離方法。
【請求項3】
上記チャックには、チャックの重量を軽減させるようバランサー機構が設けられている請求項2に記載のウエーハの剥離方法。
【請求項4】
上記チャック駆動部は上下動用モータを含み、上記チャックがウエーハを吸着保持して上昇する際、モータに作用するトルクを測定し、接着剤が分解した際の測定値を検出したら該モータを高速駆動してチャックを高速で上昇させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のウエーハの剥離方法。
【請求項5】
ウエーハが接着された支持基板を保持するデマウントステージと、該デマウントステージの上方に設けられウエーハを吸着保持するチャックと、該チャックをデマウントステージに向けて昇降させる上下動用モータを含むチャック駆動部を具備し、上記デマウントステージ及びチャックからの加熱により接着剤を発泡・分解させウエーハを支持基板から剥離するウエーハ剥離装置において、上記チャックのチャック面にウエーハ面に向けて測定用流体を噴出する開口を形成し、開口と測定用流体供給源の間に開口から流出する流体の流量若しくは流体圧を測定するセンサーを設け、該センサーの測定値に基づき上記モータの駆動を制御してチャックを降下し、チャック面とウエーハ面が所定の間隔に達した際の測定値を検出したらチャック駆動部によるチャックの降下を停止し、ウエーハをチャックで吸着保持することを特徴とするウエーハ剥離装置。
【請求項6】
上記チャック駆動部は、チャックを保持するアーム部を有し、該チャックは上昇可能に該アーム部に垂下されている請求項5に記載のウエーハ剥離装置。
【請求項7】
上記チャックとチャック駆動部の間にはチャックの重量を軽減させるバランサー機構が設けられている請求項6に記載のウエーハ剥離装置。
【請求項8】
上記チャック駆動部の上下動用モータには、上記チャックがウエーハを吸着保持して上昇する際、該モータに作用するトルクを測定するトルク測定器が設けられ、接着剤が分解した際の測定値を検出したらモータを高速駆動してチャックを高速で上昇させることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載のウエーハの剥離装置。
【請求項9】
上記デマウントステージには、ウエーハとチャックの位置を位置決めする際、支持基板を浮上させて支持基板を調整できるようエアーベアリング機構が設けられている請求項5に記載のウエーハ剥離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−49443(P2012−49443A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192242(P2010−192242)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(502334711)
【出願人】(000182638)秀和工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(502334711)
【出願人】(000182638)秀和工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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