説明

エアバッグ装置の配設構造

【課題】ルーフライニングとは別のトリム部材でエアバッグ装置を覆う場合に、ルーフライニングとトリム部材との合わせ部の見栄えを良くすることができるエアバッグ装置の配設構造の提供。
【解決手段】車両の開口部近傍にこの開口部に沿って配設されて車室内に展開可能なエアバッグ装置20の配設構造であって、車体11のルーフパネル25の車室内側に配置されるルーフライニング22と、ルーフライニング22とともに車体11を覆うトリム部材23とを備え、トリム部材23でエアバッグ装置20を被覆するとともに、トリム部材23とルーフライニング22との間に衝撃吸収部材72を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部近傍に沿って配設されて車室内に展開可能なエアバッグ装置の配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の開口部近傍に沿って配設されて車室内に展開可能なエアバッグ装置の配設構造に関する技術として、車体側に衝撃吸収部材を固定し、その車室内側にエアバッグ装置を配設して、これらをルーフライニングで覆う構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−225658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、エアバッグ装置をルーフライニングで覆うものであると、エアバッグ装置は、展開時にルーフライニングを変形させながら展開しなければならず、円滑な展開ができない可能性があった。このため、ルーフライニングとは別のトリム部材を回動容易に設けて、このトリム部材でエアバッグ装置を覆うことでエアバッグ装置を円滑に展開させることを考えた。しかし、このような構造を採用すると、ルーフライニングとトリム部材との合わせ部が位置ずれ等して見栄えが悪くなる可能性があった。
【0004】
したがって、本発明は、ルーフライニングとは別のトリム部材でエアバッグ装置を覆う場合に、ルーフライニングとトリム部材との合わせ部の見栄えを良くすることができるエアバッグ装置の配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両(例えば実施形態における車両10)の開口部(例えば実施形態におけるドア開口部14)近傍に該開口部に沿って配設されて車室内に展開可能なエアバッグ装置(例えば実施形態におけるエアバッグ装置20)の配設構造であって、車体(例えば実施形態における車体11)のルーフパネル(例えば実施形態におけるルーフパネル25)の車室内側に配置されるルーフライニング(例えば実施形態におけるルーフライニング22)と、該ルーフライニングとともに前記車体を覆うトリム部材(例えば実施形態におけるトリム部材23)とを備え、該トリム部材で前記エアバッグ装置を被覆するとともに、前記トリム部材と前記ルーフライニングとの間に衝撃吸収部材(例えば実施形態における衝撃吸収部材72)を設けてなることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記衝撃吸収部材に前記トリム部材を係合させる係合部(例えば実施形態における係合部76)を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記係合部は、前記衝撃吸収部材に形成されたリブ(例えば実施形態における縦リブ74)の位置から延設されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記係合部は、所定量変形した状態で前記トリム部材への係合状態が維持されることを特徴としている。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記衝撃吸収部材を、前記ルーフライニング上に一体的に固定したことを特徴としている。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記ルーフライニングの車外側端末を意匠面の裏面側に折り返すとともに、前記衝撃吸収部材に前記車外側端末を内方から支持する支持部(例えば実施形態における当接板部81)を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記支持部の支持面(例えば実施形態における支持面81a)が、前記係合部と略直交する方向に形成されることを特徴としている。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記衝撃吸収部材の前記係合部側に、前記係合部と係合する車体側支持部(例えば実施形態における取付板部47)と当接可能な裏当て部(例えば実施形態における裏当て板部88)を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、車体のルーフパネルの車室内側に配置されるルーフライニングと、エアバッグ装置を被覆するトリム部材との間に衝撃吸収部材が設けられているため、この衝撃吸収部材によってルーフライニングとトリム部材との位置合わせを行うことができる。したがって、ルーフライニングとトリム部材との合わせ部の見栄えを良くすることができる。また、ルーフライニングとトリム部材との間に衝撃吸収部材が設けられているため、ルーフライニングとトリム部材との摩擦で生じる鳴きの発生を抑制することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、衝撃吸収部材にトリム部材を係合させる係合部を備えているため、トリム部材のルーフライニングからの離間を抑制し、トリム部材とルーフライニングとの合わせ部の隙間を小さい状態に維持することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、係合部が、衝撃吸収部材に形成されたリブの位置から延設されているため、係合部の根元剛性をリブによって高めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、係合部が、所定量変形した状態でトリム部材への係合状態が維持されるため、トリム部材を係合部の付勢力でルーフライニングに押し付けることができる。したがって、トリム部材とルーフライニングとの間に発生する隙間をなくすことができ、さらに外観性が向上する。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、衝撃吸収部材を、ルーフライニング上に一体的に固定したため、ルーフライニングおよび衝撃吸収部材の組み付けおよび位置合わせが容易となる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、比較的柔らかな材料で形成されているため車室内側・車室外側に変形することにより組み付け時に寸法のバラツキが発生しやすくトリム部材との間に隙間が発生しやすいルーフライニングの車外側端末を、比較的硬質な衝撃吸収部材の支持部を用いて変形を抑制することにより、端末部の位置決め性能を向上し、外観品質を良好に保つことができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、支持部の支持面が、係合部と略直交する方向に形成されるため、係合部と近接して配置されるルーフライニングの車外側端末を位置決めすることができ、寸法のバラツキを大幅に軽減し、ルーフライニングの車外側端末の位置合わせ精度を向上することができる。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、衝撃吸収部材の係合部側に、係合部と係合する車体側支持部と当接可能な裏当て部を設けたため、ルーフライニングの移動をさらに規制することができ、意匠面に段差が発生することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態のエアバッグ装置の配設構造を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、車両へ取り付けた状態の方向を用いて説明する。
【0022】
図1は、車両10を右斜め後方から見た斜視図であり、車両10には、その車体11のルーフ12の両側部に、側部ドア13で開閉されるドア開口部(開口部)14の上縁を構成する左右一対のルーフサイドレール15がドア開口部14に沿って車両前後方向に延在するように設けられており、これらドア開口部14近傍のルーフサイドレール15の車室内側に、車室内にカーテン状に展開する長尺状のエアバッグ16が車両前後方向に沿うようにそれぞれ配設されている。
【0023】
各エアバッグ16の車両前後方向の後部には、ガスを発生させてエアバッグ16を膨張展開させるインフレータ17がそれぞれ設けられており、エアバッグ16とインフレータ17とでエアバッグ装置20が構成されている。
【0024】
図2は、図1に示す右側のルーフサイドレール15の位置を車室内側から見たもので、図1に示すルーフサイドレール15は、図2に示すルーフライニング22の端末部と、ルーフライニング22とは別のトリム部材23とで覆われている。
【0025】
図3は、図2のA−A断面図である。車体11のルーフ12の側部側は、金属製のルーフパネル25と、このルーフパネル25に接合される金属製の閉断面構造のルーフサイドレール15とを有しており、ルーフサイドレール15の車室内側のインナパネル26に上記したエアバッグ装置20を含むエアバッグモジュール28が取り付けられている。
【0026】
このエアバッグモジュール28は、金属製のブラケット30と、ブラケット30側に配置されてブラケット30に組み付けられる合成樹脂製のベース部材31と、ベース部材31のブラケット30とは反対側に配置されてブラケット30に組み付けられる(組付構造は図示略)上記したエアバッグ装置20と、ブラケット30とでベース部材31を挟持するようにクリップ部32で組み付けられる合成樹脂を主体としたアシストグリップ33と、エアバッグ装置20のブラケット30とは反対側に配置されて、図4に示す複数の金属製のヒンジ部材34を介してブラケット30に組み付けられる合成樹脂製の上記したトリム部材23とを有している。ここで、ヒンジ部材34の車室内側にトリム部材23が図示略のリベット等で固定され、ヒンジ部材34の車室外側がブラケット30にボルト35およびウエルドナット36で固定される。なお、ブラケット30に取り付けられた状態でトリム部材23とベース部材31とが略筒状をなし、その内側にエアバッグ装置20が収納されることになり、その結果、トリム部材23がエアバッグ装置20を被覆する。
【0027】
このようなエアバッグモジュール28は、図5に示すように、そのブラケット30に挿通されるボルト37がルーフサイドレール15のインナパネル26を通ってその車室外側のウエルドナット38に螺合されることでルーフサイドレール15のインナパネル26に固定される。
【0028】
ルーフサイドレール15の下縁部には、ゴム製のシール部材40が取り付けられている。このシール部材40は、ルーフサイドレール15の下側のドア開口部14と図1に示す側部ドア13との隙間をシールするものである。
【0029】
上記したルーフライニング22は、車体11のルーフパネル25の車室内側に配置されることになり、このルーフライニング22の端末部が、図2に示すように、エアバッグモジュール28の取付部分を覆うようにしてトリム部材23に合わせられることになる。その際にアシストグリップ33を車室内側に露出させる開口部42がルーフライニング22の端末部に形成されている。ここで、アシストグリップ33は、図3に示すようにベース部材31の延設部43を介してブラケット30に取り付けられており、この延設部43がブラケット30等を覆いつつルーフライニング22の開口部42から車室内側に露出する。
【0030】
図4および図5に示すように、トリム部材23は、下部側が車室外側に位置するように湾曲して車室内側の意匠面を構成する主板部45と、主板部45の上縁部から車室外側に突出する段差板部46と、段差板部46の車室外側の端部から上方に突出する取付板部(車体側支持部)47とを有しており、図3に示すように、ルーフライニング22の開口部42の形成位置においては、取付板部47が形成されておらず、段差板部46がそのまま車室外側に延長されてベース部材31の延設部43に係合している。つまり、段差板部46の車室外側の端部に上側に突出する爪部48が形成されており、この爪部48が延設部43に形成された係合穴50を乗り越えることで段差板部46が延設部43に係合されている。図5に示すように、ベース部材31の取付板部47には、車両前後方向に長い矩形状の取付穴49が形成されている。
【0031】
延設部43は、上記した係合穴50と、アシストグリップ33のクリップ部32を挿通させる挿通穴51とが形成されて開口部42を塞ぐベース板部52と、ベース板部52の湾曲する上部の車室内側端部から上方に延出する上方延出板部53と、上方延出板部53の上端部からベース板部52とは反対側に延出する取付板部54とを有しており、取付板部54には車両前後方向に長い矩形状の取付穴55が形成されている。なお、ベース部材31の挿通穴51に挿通されたクリップ部32は、ブラケット30の係合穴56に係合することになり、これによりアシストグリップ33とベース部材31とがブラケット30に一体化される。
【0032】
ルーフライニング22は、合成樹脂製の板状のベース部材60とその車室内側を覆う表皮61とを有しており、開口部42側の内周縁部には、ルーフライニング22の車外側端末を車室内側の意匠面に対し裏面側つまり車室外側に折り返した形状の折返部62が形成されていて、この折返部62近傍の車幅方向内側に合成樹脂製の係合部材64が接着あるいは溶着等で固定されている。この係合部材64には、車両前後方向に沿う姿勢で上方に延出する基板部65と、基板部65の先端から車幅方向外側に突出する爪部66とを有する係合爪67が形成されており、この係合爪67がベース部材31の取付板部54の取付穴55に係合する。この係合時に折返部62がベース部材31の上方延出板部53に当接する。
【0033】
図4および図5に示すように、ルーフライニング22の開口部42が形成されていない端末部にも、車室外側に折り曲げられた形状の折返部70が形成されており、ルーフライニング22は、この折返部70でトリム部材23の段差板部46に当接する。
【0034】
ここで、図5に示すように、ルーフライニング22と車体11のルーフパネル25との間には、これらが近づく方向の衝撃を吸収する衝撃吸収部材72が設けられている。この衝撃吸収部材72は、図6に示すように、車両前後方向沿って延在する上下一対の横リブ73に上下方向に沿って延在する複数の縦リブ74が配置された格子状の衝撃吸収部75と、この衝撃吸収部75の縦リブ74の位置から縦リブ74の延長上に延設された係合部76とを有しており、係合部76をルーフライニング22の開口部42が形成されていない端末部に位置させた状態でルーフライニング22のベース部材60上に接着あるいは溶着等で一体的に固定されている。
【0035】
係合部76は、図5に示すように、衝撃吸収部75から車両前後方向に沿う姿勢で車幅方向外側に延出する延出板部78と、この延出板部78の先端から車両前後方向に沿う姿勢でルーフライニング22に対し垂直方向に屈曲延出する立板部79と、この立板部79の先端から車両前後方向に沿う姿勢でルーフライニング22に沿って延出してルーフライニング22の折返部70に当接する支持板部80と、立板部79および支持板部80からこれらに対し垂直に延出してルーフライニング22に当接する当接板部(支持部)81とを有している。ここで、衝撃吸収部材72は、衝撃吸収部75、延出板部78および当接板部81においてルーフライニング22に接合されることになり、その結果、当接板部81は、ルーフライニング22の車外側端末を内方から支持する。当接板部81の折返部62を支持する先端側の支持面81a)は折返部62に合わせて係合部76の延在方向に対し略直交する方向に形成されている。
【0036】
さらに、係合部76は、支持板部80から垂直に延出する係合爪84を有している。この係合爪84は、車両前後方向に沿う姿勢で支持板部80から垂直に延出する基板部85と、基板部85の先端部から衝撃吸収部75とは反対側に突出する爪部86と、基板部85の爪部86とは反対側の面から支持板部80にかけてこれらに対し垂直をなして延出する補強板部87とを有しており、補強板部87は、支持板部80側ほど基板部85からの高さが高くなる傾斜形状をなしている。
【0037】
加えて、係合部76は、延出板部78から垂直に立ち上がって衝撃吸収部75と係合爪84とを結ぶリブ状の裏当て板部(裏当て部)88を有しており、この裏当て板部88は、衝撃吸収部75の縦リブ74の延長上に形成されている。
【0038】
そして、ルーフライニング22の端末部は、折返部70をトリム部材23の段差板部46に当接させた状態で、衝撃吸収部材72の係合部76の係合爪84をトリム部材23の取付板部47の取付穴49に係合させる。このとき、係合爪76は、爪部86を取付板部47の車室外側に位置させるとともに、基板部85の補強板部87とは反対側の面で取付穴49の一側の側面に当接し、補強板部87の係合爪76とは反対側の傾斜面で取付穴49の逆側の側面に当接することになる。しかも、このとき、衝撃吸収部材72の裏当て板部88がトリム部材23の取付板部47に当接することになる。また、このとき基板部85は弾性変形した状態でトリム部材23への係合状態が維持可能であり、その結果、ルーフライニング22の折返部70をトリム部材23の段差板部46に押し付けることができる。
【0039】
以上の結果、トリム部材23とルーフライニング22との間に、衝撃吸収部材72の係合部76が設けられることになり、この係合部76は、衝撃吸収部材72に形成された縦リブ74の位置から延設している。
【0040】
以上に述べた本実施形態のエアバッグ装置20の配設構造によれば、車体11のルーフパネル25の車室内側に配置されるルーフライニング22と、エアバッグ装置20を被覆するトリム部材23との間に衝撃吸収部材72の係合部76が設けられているため、この衝撃吸収部材72の係合部76によってルーフライニング22とトリム部材23との位置合わせを行うことができる。つまり、衝撃吸収部材72の係合部76をトリム部材23に係合させることで、トリム部材23のルーフライニング22からの離間を抑制し、トリム部材23とルーフライニング22との合わせ部の隙間を小さい状態に維持することができる。したがって、ルーフライニング22とトリム部材23との合わせ部の建付けを良くし見栄えを良くすることができる。同様に、ルーフライニング22とブラケット30との位置合わせと、トリム部材23とブラケット30との位置合わせとについても良好に行うことができる。
【0041】
また、ルーフライニング22とトリム部材23との間に衝撃吸収部材72の係合部76が設けられているため、ルーフライニング22とトリム部材23との摩擦で生じる鳴きの発生を抑制することができる。
【0042】
加えて、ルーフライニング22とルーフパネル25との間に配置される衝撃吸収部材72に係合部76を形成したため、部品点数を増やすことなく、ルーフライニング22とトリム部材23との合わせ部の見栄えを良くすることができる。
【0043】
また、係合部76が、衝撃吸収部材72に形成された縦リブ74の位置から延設されているため、係合部76の剛性を縦リブ74で高めることができる。
【0044】
加えて、係合部76が、所定量変形した状態でトリム部材23への係合状態が維持されるため、トリム部材23を係合部76の変形による付勢力でルーフライニング22に押し付けることができる。したがって、トリム部材23とルーフライニング22との間に発生する隙間をなくすことができ、さらに外観性が向上する。
【0045】
さらに、衝撃吸収部材72を、ルーフライニング22上に一体的に固定したため、ルーフライニング22および衝撃吸収部材72の組み付けおよび位置合わせが容易となる。
【0046】
加えて、比較的柔らかな材料で形成されているため車室内側・車室外側に変形することにより組み付け時に寸法のバラツキが発生しやすくトリム部材23との間に隙間が発生しやすいルーフライニング22の車外側端末を、比較的硬質な衝撃吸収部材72の当接板部81を用いて変形を抑制することにより、端末部の位置決め性能を向上し、外観品質を良好に保つことができる。
【0047】
また、当接板部81の支持面81aが、係合部76と略直交する方向に形成されるため、係合部76と近接して配置されるルーフライニング22の車外側端末を位置決めすることができ、寸法のバラツキを大幅に軽減し、ルーフライニング22の車外側端末の位置合わせ精度を向上することができる。
【0048】
加えて、衝撃吸収部材72の係合部76側に、係合部76と係合するトリム部材23の取付板部47と当接可能な裏当て板部88を設けたため、ルーフライニング22の移動をさらに規制することができ、意匠面に段差が発生することを防ぐことができる。
【0049】
なお、エアバッグ装置20は、車両衝突時に例えば所定以上の重力加速度が検出される等の展開条件が整うとインフレータ17が点火し、折り畳まれた状態のエアバッグ16がインフレータ17の発生するガスで下方に延出するように膨張する。すると、エアバッグ16は、展開中にトリム部材23の主板部45の下部に衝突してこれを車室内側に押圧することになり、この押圧力で、トリム部材23が、その上端部に接合された逆U字状のヒンジ部材34を開くように変形させながら下部を車室内側に移動させるように回動する。これにより、トリム部材23がその下部をベース部材60の下部から離間させるように開き、これにより形成された隙間から、エアバッグ16が下方車室内側へ展開し、乗員の車室外側に位置して乗員を保護する。
【0050】
以上に述べた実施形態において、衝撃吸収部75の縦リブ74の位置から係合部76を延設させたが、図6に二点鎖線で示すように、縦リブ74が形成されていない縦リブ74間の位置から係合部76を延設させても良く、このように構成すれば、係合部76の弾性を大きく設定できる。
【0051】
また、上記実施形態では、エアバッグ16の展開時にトリム部材23をブラケット30に対して容易に揺動させるために金属製のヒンジ部材34を設けたが、他の種々のヒンジ構造を適用可能である。
【0052】
さらに、上記実施形態では、ブラケット30に内装材としてアシストグリップ33を取り付ける場合を例にとり説明したが、アシストグリップ33以外に、空調の吹出口や室内灯をブラケット30に取り付けても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、側部ドア13で開閉されるドア開口部14の近傍に配置されるカーテンエアバッグ装置20を例にとり説明したが、テールゲートで開閉されるテールゲート開口部の近傍に設けられるカーテンエアバッグ装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態のエアバッグ装置の配設構造が適用された車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のエアバッグ装置の配設構造が適用された車両の車室内を示す部分側面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図6】本発明の一実施形態のエアバッグ装置の配設構造に用いられる衝撃吸収部材を示す正面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 車両
11 車体
14 ドア開口部(開口部)
20 エアバッグ装置
22 ルーフライニング
23 トリム部材
25 ルーフパネル
72 衝撃吸収部材
74 縦リブ(リブ)
76 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部近傍に該開口部に沿って配設されて車室内に展開可能なエアバッグ装置の配設構造であって、
車体のルーフパネルの車室内側に配置されるルーフライニングと、
該ルーフライニングとともに前記車体を覆うトリム部材とを備え、
該トリム部材で前記エアバッグ装置を被覆するとともに、
前記トリム部材と前記ルーフライニングとの間に衝撃吸収部材を設けてなることを特徴とするエアバッグ装置の配設構造。
【請求項2】
前記衝撃吸収部材に前記トリム部材を係合させる係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項3】
前記係合部は、前記衝撃吸収部材に形成されたリブの位置から延設されていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項4】
前記係合部は、所定量変形した状態で前記トリム部材への係合状態が維持されることを特徴とする請求項2または3に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項5】
前記衝撃吸収部材を、前記ルーフライニング上に一体的に固定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項6】
前記ルーフライニングの車外側端末を意匠面の裏面側に折り返すとともに、
前記衝撃吸収部材に前記車外側端末を内方から支持する支持部を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項7】
前記支持部の支持面が、前記係合部と略直交する方向に形成されることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグ装置の配設構造。
【請求項8】
前記衝撃吸収部材の前記係合部側に、前記係合部と係合する車体側支持部と当接可能な裏当て部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエアバッグ装置の配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−179192(P2008−179192A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12547(P2007−12547)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】