説明

エッチングによる薄層ソーラーモジュールの端部除去

本発明は、この目的に適したエッチングペーストを塗布し、反応が完了した際に適切な方法でペースト残渣を除去するまたは基板表面を洗浄することによる、「ソーラーモジュール」の湿式化学的な端部除去のために局所的に実施可能な迅速かつ安価な方法に関する。この目的のために新規に開発されたエッチングペーストがこの方法において用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この目的に適したエッチングペーストを塗布し、反応が完了した際に適切な方法でペースト残渣を除去するまたは基板表面を洗浄することによる、ソーラーモジュール/電池(solar modules/cells)の湿式化学的な端部除去のために局所的に実施可能な迅速かつ安価な方法に関する。この目的のために新規に開発されたエッチングペーストがこの方法において用いられる。
【背景技術】
【0002】
薄層ソーラーモジュール/電池の工業的生産は、とりわけガラスシート、プラスチックフィルムもしくはシートおよび/または鋼板であることができる、主に不活性な(ここで大面積の鋼鉄製シートは例外である)大面積担体材料上において、現在、行われている。後のソーラーモジュール/電池を特徴づける不活性な担体材料上への全領域の機能性薄層の配置後および間、ソーラーモジュールの機能性かつ活性な層は、全ての領域上にとどまる担体材料を有する個々のソーラー電池に有利に分けられる。
【0003】
以下の文脈において、用語「ソーラーモジュール」は、当業者に用語「薄層光起電装置(thin-layer photovoltaics)」として一般に理解される全ての光起電要素(photovoltaic components)について一般的用語として一般に用いられる、薄層ソーラーモジュールおよび複数の電気的に接続された薄層ソーラー電池の設備と同義に用いられる。典型的な「ソーラーモジュール」は、基板からみて下記の細区分を有する薄層機能性層の積層体から構成されている(図1参照):
a)(透明)電極
b)異なるようにドープされたおよび任意にドープされない半導体層ならびに最終的にいわゆるpinおよびnip構造
c)さらなる電極。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、説明されたソーラーモジュールの対応する概略構造を示す。
【図2】図2は、Hans-Gunther WagemannおよびHeinz Eschrichにより、 Photovoltaik [Photovoltaics], 1st Edn., 2007, B. G. Teubner Verlag, Wiesbaden, Germany中で説明され、描写されたソーラーモジュールのカプセル封入の概略図を示す。各々の場合において、図1および2で一般的に概説されたこの構造からの逸脱が、可能である。
【0005】
「ソーラーモジュール」を組み立てた後、軽微な機械的損傷に対しておよびまた風化作用の結果としての化学的−物理的腐食に対して、それをしたがって保護するために、担体材料によって区切られていない表面(すなわち、機能性薄層の配置を特徴とする表面)を封し、カプセル封入することが必要である(図2参照)。この目的のために、封される表面は、通常、同様の寸法および形状の極めて耐性のあるポリマーコーティング、プラスチックフィルムもしくはガラスシート、またはまさに挙げた複数の要素の連続で被覆される。表面の封止は、多成分接着剤を用いての接着結合によりおよび/またはこの目的に適したポリマーを用いた積層により、ソーラーモジュールの端部において担体材料に接着されている。この目的のために、担体材料への多層積層の接着を確実にすると同時に、端部位置を介して「ソーラーモジュール」全体に作用し得る化学的−物理的影響に対して「ソーラーモジュール」を保護するために、担体材料の端部は、約1〜2センチメーターにおいて配置された機能性層積層体が存在しないものでなければならない。さらなる文脈において、用語「基板」は、エッチングペーストが塗布される系を意味すると解される。担体材料の端部領域の1から2センチメートル幅の機能性層積層体の除去を、下記の本文において「端部除去(edge deletion)」という。
【0006】
端部除去は、現在、サンドブラスト、回転研削砥石を用いた端部領域の研削および/またはレーザーシステムを用いて、工業的に実施されている。
全ての方法は、第1に、サンドジェットおよびまた後に残った一部の層積層体の残渣の結果としての微粒子の不純物によるモジュール表面全体の大面積の汚染(contamination)、第2に除去した端部の隣接領域における焼結現象の固有の不利を有している。加えて、レーザー技術は、高い投資費用によって特徴づけられる。
【発明の概要】
【0007】
目的
したがって、本発明の目的は、上述した不利を回避する簡単かつ安価な方法を提供することである。また、本目的は、さらに本方法を実施するのに必要な組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の説明
本課題が、この目的に適したエッチングペーストを塗布し、反応が完了した際に適切な方法でペースト残渣を除去するまたは基板表面を洗浄することによる、「ソーラーモジュール」の湿式化学的な端部除去を迅速かつ安価に行うことのできる方法により、簡単な方法で解決されることができることを見出した。本発明は、対応して同様に、この方法に用いられることのできる新規なペーストに関する。
【0009】
本発明は、さらに、(微小)電子、光起電および微小電子機械(MEMS)要素中のシリコンおよび金属層の両方の構造体化に用いられることのできるエッチングペーストに関する。これに関連して、光起電要素は、特におよび好ましく、一般に薄層ソーラーモジュール/電池および結晶ソーラー電池を意味すると解される。本発明に基づき、これらはまた、これに関連して、そのような要素の、好ましくは「ソーラーモジュール」の製造に処理される必要のある、構造体化されるべき薄層を意味すると解される。
【0010】
本明細書において、例として、しかし包括的でなく、下記を挙げることができる:
交差指接触構造を有するまたは有しない後部接触(rear-contacted)結晶ソーラー電池、MWT、EWT、PERC、PERLおよびPERTソーラー電池、埋込接触(buried contacts)を有するソーラー電池、シリコンウェーハおよびソーラー電池の端部絶縁(edge insulation)、片面エッチングおよび引き続く研磨により処理されるウェーハ、薄層ソーラー電池の薄層ソーラーモジュールからの分離(separation)および隔離(isolation)、「ソーラーモジュール」および電池の製造におけるビアのエッチング、薄膜トランジスタ(TFT)、液晶(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、有機発光ダイオード(OLED)ならびに接触感受性容量性および抵抗性センサの技術に基づいた表示、伝達および照明素子の製造中における構造化工程。
【0011】
驚くべきことに、1ステップで機能性層積層体を同時にエッチングするのに適したペースト状のエッチング混合物を開発することが可能であった。続いて、粘着性のペースト残渣は、簡単な方法で基板表面から除去されることができ、「ソーラーモジュール」の担体材料は、清浄とされることができる。このようにして、ペーストで湿らされた端部に直接隣接する隣接領域における機能性薄層を損傷させることなく、端部除去を実施することが可能である。本発明に係るペースト組成物は、有利に、それ自体として保存安定であり、それは本発明に係るエッチングペーストが使用者によってさらなる用心もせずに用いられることができることを意味する。
【0012】
結果として、本開発は、上述した機能性層の積層体の同時エッチングに用いられることのできるエッチングペーストの形態での安定化ペースト状エッチング混合物に関し、ここで、エッチングされるべき層は、種々の材料、例えば、ドープされたおよびドープされていないシリコンおよび金属層ならびにそれらの派生物などからなることができる。対応する金属層は、Al、Ag、Cu、Ni、Cr、Mo、Ta、Ti、W、Zn、Ti、Ti、Ni、Ta、Tiからなることができる。エッチングされるべき層は、また酸化物または混合酸化物、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO、indium zinc oxide)、酸化インジウム(IO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO、aluminium zinc oxide)、酸化亜鉛(ZO)または同様の酸化物などであることができる。一方で、これらは、また、c−Si、a−Siおよびμ−Si層、いわゆるpinもしくはnip層積層体などのドープされたまたはドープされていない半導体層、またはGeおよびこの合金からなる層、またはGaAsおよびこの三元および四元混合物からなる層、または一般のII−IV族およびII−VI族半導体[2]からなる層であってもよい。
【0013】
ソーラー電池の製造方法で通常用いられるエッチンペーストを用いて各々の場合選択的に特定の層をエッチングすることのみが可能であるのに対し、驚くべきことに、本発明に係るペーストを用いて金属層およびまたドープされていてもよい半導体層の両方、しかしまた上述した酸化物および混合酸化物層をも1ステップでエッチングすることが可能である。したがって、有利な方法で、本発明に係るエッチングペーストを用いて「ソーラーモジュール」の端部の層を1ステップで除去することが可能である。
【0014】
本方法を実施するために、エッチングペーストは、端部除去の目的で、「ソーラーモジュール」の端部領域に、当業者に知られた方法で、好ましくはディスペンサーによって配置される。エッチング工程を促進させるために、エッチングペーストが供給された基板の活性化および熱処理が任意に行われる。温度上昇によって、反応のより迅速な開始が起こるだけでなく、引き続くエッチング溶媒の乾燥(完全に)および抑制が促進される。熱処理の間、150℃の最大温度は、超えるべきでない。
【0015】
エッチングは、好ましくは30〜100℃の範囲の温度で行われ、エッチング操作を終了させ、ペースト残渣を除去するために引き続き温度を上げてもよい。好ましい手順では、ペースト残渣を、エッチングステップ後に、洗浄するまたは吹き飛ばす、および100〜145℃の範囲の昇温にて完全に乾燥させることにより除去する。しかしながら、ペースト残渣を除去するために洗浄ステップがまた直接エッチングに引き続いてもよい。
【0016】
さらに、軽度のエッチングと機械的に「ソーラーモジュール」を安定化させる担体材料の続く粗化を行うことも、必須ではないが可能である。これは、カプセル封入のための次の製造工程で説明される多層積層材の増強された接着を達成するために望まれることがある。
【0017】
ペースト残渣は、基板表面から、当業者に知られた適切な洗浄方法により、例えば、圧縮空気の噴射、気体の加圧噴射、蒸気の噴射、または水蒸気もしくは有機溶媒およびこれらの混合物で飽和された圧縮空気の噴射により、あるいは、気体の加圧噴射により、溶媒蒸気、超低温エアゾール(例えば、CO噴流中の雪状CO)の噴射により、水、有機溶媒ならびに水を含むおよび含まないの有機溶剤の混合物の集中噴射により、吹き飛ばすことにより、除去することができる。全ての洗浄溶液は、より詳細に下記に挙げられるこの目的に適した添加物を含んでいてもよい。さらに基板表面は、さらなる添加剤、例えば、界面活性剤、界面活性剤、錯化剤およびキレート剤の混合物、抑泡剤ならびに機能性塩などを任意に含んでいてもよい、水、有機溶媒、水を含むまたは除くこれらの混合物を用いた位置特異的ブラシおよびスポンジ洗浄により、洗浄ユニットを通過させることにより洗浄されることができる。次の上述したすすぎ媒体を用いた精密なすすぎが、次に行われることができる。
【0018】
これらの洗浄ステップ後、十分に洗浄された表面領域が得られる。僅かなペースト不純物が表面に残存している場合、それらは、それら自体が上述したカプセル封入材料を用いた「ソーラーモジュール」の機能化、塗布、硬化および/または積層をさらに害することがないことが分かる。
【0019】
本発明は、したがって、エッチングペーストの形態の安定化ペースト状エッチング組成物に関する。このペーストは、積層体の形態に積層されたシリコンおよび金属層のエッチングに適しており、したがって、「ソーラーモジュール」の端部除去に極めて特に適している。
【0020】
本発明に係るこれらのエッチングペーストは、以下の成分を含んでいてもよい:
水、ならびに任意に、
有機溶媒および溶媒混合物、
無機および有機酸化剤、
無機および有機酸、
高分子無機および有機増粘剤、
ゲル化剤、網目形成成分および充填剤、
チキソトロープ剤およびレオロジー調整剤、
任意に、錯化剤およびキレート剤、
ならびに隠蔽剤、
任意に、表面活性物質、および流動助剤(flow assistants)および界面活性剤、
任意に、脱泡剤および消泡剤。
有機溶媒は、好ましくはDMSO、NMPなどである。これらの溶媒は単独でおよび混合物として用いられることができる。
【0021】
上述したように、本発明に係るエッチングペーストは、酸化剤を含んでいてもよい。HNO、H、NaO、KO、Na、(NH、K、K18および例えばNaBO2*および[2NaCO3*3H]などの無機ぺルオキソ化合物、HClO、NaClO、KClO、HBrO、NaBrO、KBrO、HIO、NaIO、KIO、KHIO、Cr、NaCr、KCr、KMnO、NaNO、KNO、NHNO、NaClO、HClO、セレン酸塩(SeO2−)、CHCOH、および有機ぺルオキソ化合物、Ce(NO、Ce(SO、(NHCe(NOなど、ならびにこれらの混合物が、好ましく用いられる。
【0022】
本発明に係るペースト中に存在し得る無機および有機酸は、好ましくは、HNO、HPO、HSO、HSiF、HBF、HPF、HPOF、HPO、HF、NHF、HCOOH、CHCOOHおよびCCOOHならびにこれらの混合物の群から選択される酸である。しかしながら、同様の作用を有する酸がまた存在していてもよい。
【0023】
加えて、錯化剤およびキレート剤が、ペースト中に添加剤として存在していてもよい。好ましくは、HPO、HF、NHF、NHHF、HSiF、HBF、HPOF、HPOおよびTitriplex I〜VIIIの群から選択されるキレート剤を使用する。しかしながら、これらのホスホン酸−誘導体化同族体(Dequest(登録商標)、Briquest(登録商標))などもまた好適であり得る。これらの錯化剤およびキレート剤は、ペーストに個別にまたは混合物として添加されることができる。特に好ましくは、HPO、NHF、NHHFおよび同様の化合物ならびにこれらの混合物を使用する。
【0024】
好ましい錯化剤およびキレート剤は、特に好ましくは、本発明に係る組成物中でHNO、H、NaO、KO、Na、(NH、K、K18の群から選択される酸化剤とともに用いられる。酸化物の群から、極めて特に好ましくは、また、HNOおよびHである。
【0025】
さらなる添加剤、例えば増粘剤、架橋剤、界面活性剤および他の添加剤などと組み合わせてHPO、NHHFおよびHNOを含む組成物は、特に有効であり、特に安定であることが判明した。HPO、NHHFおよびHNOが重量に基づいて7:1:1.5〜10:1:3.5の範囲の混合比で存在し、ここで重量が各々の場合において85%HPOおよび65%HNOに関するものである組成物が、また本明細書において特に有利であることが判明した。同時に組成物が安定である特に良好なエッチング結果は、HPO、NHHFおよびHNOが重量に基づいて7.5:1:1.8〜9:1:3の範囲の混合比で存在する組成物で得られた。
【0026】
増粘剤、特にポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニルおよびポリオレフィン粒体を付加的に含む組成物が特に安定であることが判明した。上述した重量比でのHPO、NHHFおよびHNOおよび適量のポリビニルピロリドン、ポリオレフィン粒体およびアミノ官能化ポリアクリル酸を含む組成物が極めて特に好適であることが判明した。
【0027】
さらに、表面活性物質が存在してもよい。これらは、好ましくはアニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性界面活性剤の群から選択される。これらの表面活性物質は、個別にまたは混合物状で存在してもよい。
特に好ましくは、界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムおよび脂肪酸エトキシラート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど、ならびにこれらの混合物などである。
【0028】
オクタノール、ポリジメチルシランおよび同様の作用を有する類似の物質ならびにこれらの混合物が、好ましくは脱泡剤および消泡剤として存在してもよい。
【0029】
本発明に係る組成物のペースト状の軟度を達成するために、高分子無機および有機増粘剤、ゲル化剤、ならびに網目形成成分、例えばポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリアクリルアミドなど、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル、デンプン、例えばペクチン、キサンタン、カルビン(carubin)、Rhoximat、アラビアガム、キサンタンガム、アガロース、寒天などの(ヘテロ)多糖類、およびゼラチンならびにベントナイトなどが添加される。端部除去のためには、対応する増粘剤が個別にまたは混合物として存在するエッチングペーストを使用することができる。
【0030】
ペースト中で使用されることのできる高分子無機および有機充填剤は、修飾されたまたは修飾されていない高度分散焼成シリカゲル、フレームブラック(flame black)およびグラファイト、プラスチック製ワックスおよび粒剤、ガラスビーズおよびガラス破片、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ベントナイトなどならびにこれらの混合物である。
【0031】
本発明に係るエッチングペーストの単純な実施態様は、好ましくは、溶媒、酸化剤、無機酸、錯化剤またはキレート剤、ならびに増粘剤および充填剤からなるが、ここで上述した全ての要素が存在しなければならないものではない。
【0032】
上述したようにこの組成物のエッチングペーストは、機能性薄層の積層体の1ステップでのエッチングに適しており、ここで、層積層体は、下記の構造を有していてもよい:担体材料/下部電極/異なるようにドープされたおよびドープされていない半導体層/上部電極。
【0033】
所望するならば、これらのペーストは、同時にまた担体材料の初期エッチングおよび粗化に適している。特定の例として、担体材料は、下部電極に対応し得る。同時に、上部電極は、処理されるべき「ソーラーモジュール」の特定の実施態様中の下部電極と同一であってもよい。
【0034】
下部電極は、透明であってもよく、好ましくは、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム(IO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛(ZO)または同様の酸化物からなり、一方で上部電極は、好ましくはAl、Ag、Cu、Ni、Cr、Mo、Ta、Ti、V、Wおよびさらなる合金成分を有する前記要素の合金からなり、これらのうちいくつかは、本明細書中では特定されず、2重、3重金属層であり、ここで1つの層は、挙げた群およびこれらの合金からの少なくとも1種の金属を含み、そして最終的に上述した酸化物または混合酸化物導体材料を含む。
【0035】
「ソーラーモジュール」の層構造のドープされたおよびドープされていない半導体層は、好ましくは、ドープされたまたはドープされていないa−Siおよびμ−Si(p−i−nおよびn−i−p)からなり、しかし挙げた2種の材料に限定される必要はなく、また結晶シリコンのドープされたまたはドープされていない層を有していてもよい。対応する層は、付加的に、Geおよびこの合金、GaAsおよびこの三元および四元混合物、または一般のIII−IV族およびII−IV族半導体からなっていてもよい。
【0036】
本発明に係るエッチングペーストは、「ソーラーモジュール」の残存する有効表面上に妨害汚染物を残すことなく、担体層の範囲において、1ステップで「ソーラーモジュール」の端部において全てのこれらの層を清浄に除去するのに有利に適している。
【0037】
本エッチング方法を実施するために、上述したペーストの成分に基づいて処方される本発明に係るペーストは、スクリーン印刷、ステンシル印刷、分配(dispensing)、分配噴射(dispense jetting)により、または類似の塗布方法により、エッチングされる基板上に塗布され、および配置されることができる。
【0038】
本発明に係るペーストは、簡単な方法で「ソーラーモジュール」の端部が除去されることを可能とする。端部除去を行うためのエッチングステップ後に取り残されるペースト残渣は、表面から、適切な洗浄方法、例えば、圧縮空気の噴射、気体の圧縮噴射、水蒸気の噴射、水蒸気もしくは有機溶媒またはこれらの混合物で飽和された圧縮空気または圧搾気体の噴射、溶媒蒸気、超低温エアゾール(例えば、CO噴流中の雪状CO)の噴射、水、有機溶媒ならびに水を含むおよび含まない有機溶剤の混合物の集中噴射、全ては下記により詳細に説明される添加物を含む、により吹き飛ばすことにより、ならびにさらには、さらなる添加剤、例えば、界面活性剤、界面活性剤と錯化剤とキレート剤との混合物、抑泡剤および機能性塩などを任意に含んでいてもよい、水、有機溶媒、水を含むまたは除くこれらの混合物を用いた位置特異的ブラシおよびスポンジ洗浄により、洗浄ユニットを通過させ、および、続く上述したすすぎ媒体を用いて精密にすすぐことなどにより、簡単な方法で除去することができる。
【0039】
さらに、端部除去のために本発明に基づいて用いられることのできるエッチングペーストは、また、(微小)電子、微小電子機械、および光起電要素を構造体化するための、層または層積層体の形態の上述したドープしたもしくはドープされていない透明な酸化物層または金属層の構造体化に適していることが見出された。
【0040】
本発明に係るエッチングペーストは、好ましくは、交差指接触構造を有するまたは有しない後部接触結晶ソーラー電池の、埋込接触を有するソーラー電池、MWT、EWT、PERC、PERLおよびPERTソーラー電池の、ウェーハ端部の構造体化に、ならびに、結晶ソーラー電池の端部絶縁に、シリコンウェーハの片面エッチングおよび研磨に、薄層ソーラー電池の薄層ソーラーモジュールからの分離および隔離に、薄層ソーラーモジュールおよび電池の製造におけるビアのエッチングに、薄膜トランジスタ(TFT)、液晶(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、有機発光ダイオード(OLED)および接触感受性容量性および抵抗性センサの技術に基づいた表示、伝達および照明素子の製造中における構造化工程に、特に適している。
【0041】
文献:
[1] Hans-Gunther Wagemann, Heinz Eschrich, Photovoltaik [Photovoltaics], 1st Edn., 2007, B. G. Teubner Verlag, Wiesbaden, Germany
[2] A. F. Bogenschutz, Atzpraxis fur Halbleiter [Etching Practice for Semiconductors], 1st Edn., 1967, Carl-Hanser-Verlag, Munchen, Germany
【実施例】
【0042】
例:
よりよい理解のために、および本発明を説明するために、本発明の保護の範囲内にある例が下記に与えられる。これらの例は、また、可能な変法を説明する役目を果たす。しかしながら、説明した発明の原理の一般的な有効性のため、例は、本出願の保護の範囲をもっぱらこれらに限縮するのに適してはいない。
【0043】
例で与えられる温度は常に℃で示される。言うまでもなく、明細書中、およびまた例中の両方において、組成物中の加算された要素の量は常に合計100%となる。
例1:
ペーストを50.2gのHNO(33%)、10.6gのNHHF、4gのキサンタンガムおよび10.6gのイソプロパノールから、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
ペーストをガラス/AZO/aSi/Alでできている「ソーラーモジュール」へ塗布する。層積層体をホットプレート上で3分間100℃にてエッチングする。ペーストを120℃で乾燥させた後、ペースト残渣を圧縮空気の集中噴射を用いて2分間にわたって吹き飛ばす。後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。
【0044】
例2:
ペーストを170gのHPO(85%)、20mlの水、10mlのHNO(65%)、20gのポリビニルピロリドン、3gのヒドロキシエチルセルロース、2.3gのポリオキシエチレンラウリルエーテル、3gのポリオキシエチレンステアリルエーテルおよび5.2gのフレームブラックから、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
次に、
a)ペーストをガラス上のアルミニウム層に塗布し、60℃にて2分間エッチングし、
そして、
b)ペーストをガラス上のMo/Alの2重層に塗布し、60℃にて10分間エッチングする。
次に、ペースト残渣を水の噴射を用いて洗い流す。両方の場合において、金属層の構造体化が起こる。後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。
【0045】
例3:
ペーストを170gのHPO(85%)、20gのNHHF、20mlの水、10mlのHNO(65%)、20gのポリビニルピロリドン、3gのヒドロキシエチルセルロース、2.3gのポリオキシエチレンラウリルエーテルまたは3gのポリオキシエチレンステアリルエーテルおよび5.2gのフレームブラックから、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
次に、
a)ペーストをガラス上のアルミニウム層に塗布し、60℃にて2分間エッチングし、
そして、
b)ペーストをガラス上のMo/Alの2重層に塗布し、60℃にて10分間エッチングする。
エッチングが完了するときに、ペースト残渣を水の噴射を用いて洗い流す。両方の場合において、金属層の構造体化が起こる。後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。
【0046】
例4:
ペーストを50gのHPO(85%)、6gのNHHF、10mlのHNO(65%)、5gのポリビニルピロリドン、1gのポリオキシエチレンラウリルエーテル、1gのポリオキシエチレンステアリルエーテルおよび5gのポリオレフィン粒体から、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
ペーストをガラス/AZO/aSi/Alでできている「ソーラーモジュール」へ塗布し、層積層体のエッチングをホットプレート上で5分間50℃にて行う。ペーストを120℃で2分間乾燥させた後、ペースト残渣を圧縮空気の集中噴射を用いて吹き飛ばす。後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。
【0047】
例5:
ペーストを50gのHPO(85%)、6gのNHHF、10mlのHNO(65%)、5gのポリビニルピロリドンおよび5gのポリオレフィン粒体から、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
ペーストをガラス/AZO/aSi/Alでできている「ソーラーモジュール」へ塗布する。このようにして処理された「ソーラーモジュール」をホットプレート上で、5分間、50℃の温度で温めて、層積層体のエッチングを行う。ペーストを120℃で2分間乾燥させた後、ペースト残渣を圧縮空気の集中噴射を用いて吹き飛ばす。
後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。
【0048】
例6:
ペーストを50gの85%HPO、6gのNHHF、10mlの65%HNO、3gのポリビニルピロリドン、3gのアミノ官能化ポリアクリル酸および6gのポリオレフィン粒体から、強く攪拌することにより成分を互いに順次混合することにより、調製する。
ペーストをガラス/AZO/aSi/Alでできている「ソーラーモジュール」へ塗布する。このようにして処理された「ソーラーモジュール」をホットプレート上で、5分間、50℃の温度で温めて、層積層体のエッチングを行う。ペーストを120℃で2分間乾燥させた後、ペースト残渣を圧縮空気の集中噴射を用いて吹き飛ばす。
後のエッチングされた構造中の2点の間の伝導率の測定は、>30Mohmの抵抗を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラー電池の湿式化学的端部除去のための方法であって、エッチングペーストを基板表面の端部に局所的に塗布し、反応が完了した際にペースト残渣を除去し、任意に適切な方法で基板表面を洗浄し、乾燥することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
エッチングステップにおいて、エッチングペーストを基板表面の端部に約1〜2センチメートルの幅で塗布することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコン、a−Siおよびμ−Si(P−i−nおよびn−i−p)層などのドープされたおよびドープされていない半導体層、またはGeおよびこの合金からなる層、またはGaAsおよびこの三元および四元混合物からなる層、または、III−IV族およびII−IV族半導体からなる層、ならびに、Al、Ag、Cu、Ni、Cr、Mo、Ta、Ti、V、W、Zn、Ti、Ni、Ta、Tiなどの金属または金属合金からなる層、ならびに/あるいは酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム(IO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛(ZO)または同様の酸化物などの酸化物もしくは混合酸化物または同様の酸化物からなる層、
を1エッチングステップでエッチングすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エッチングを、30〜100℃の範囲の温度で行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ペースト残渣を、エッチングステップ後に、洗浄するまたは吹き飛ばす、および100〜150℃の範囲の昇温にて完全に乾燥させることにより、除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
85%HPO、NHHFおよび65%HNOを重量に基づいて7:1:1.5〜10:1:3.5の範囲の比で含む安定なペースト組成物。
【請求項7】
85%HPO、NHHFおよび65%HNOを重量に基づいて7.5:1:1.8〜9:1:3の範囲の比で含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ポリビニルピロリドンおよびポリオレフィン粒体を、増粘剤として含む請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリビニルピロリドン、ポリオレフィン粒体およびアミノ官能化ポリアクリル酸を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のペースト組成物の、「ソーラーモジュール」の端部除去への使用。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のペースト組成物の、
シリコン、a−Siおよびμ−Si(P−i−nおよびn−i−p)層などのドープされたおよびドープされていない半導体層、またはGeおよびこの合金からなる層、またはGaAsおよびこの三元および四元混合物からなる層、
またはII−IV族およびII−VI族半導体からなる層、
ならびに、Al、Ag、Cu、Ni、Cr、Mo、Ta、Ti、V、W、Zn、Ti、Ni、Ta、Tiなどの金属または金属合金からなる層、
ならびに/あるいは酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム(IO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化亜鉛(ZO)などの酸化物もしくは混合酸化物、または同様の酸化物からなる層のエッチングへの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−501530(P2012−501530A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524220(P2011−524220)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005653
【国際公開番号】WO2010/022849
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】