説明

エポキシ化触媒、前記触媒の調製方法及びオレフィンオキシドの製造方法

触媒の製造方法を含めて、担体及び該担体上に担持されている銀、レニウム助触媒、第1共促進剤及び第2共促進剤を含み、a)担体上に担持されているレニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1mmol/kgを超え;b)第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され;c)第2共促進剤はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され;d)担体上に担持されている第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は触媒の重量に対して最大で5.0mmol/kgであり;e)担体は細孔直径範囲が0.01〜200μm、比表面積が0.03〜10m/g、細孔容積が0.2〜0.7cm/gであって、担体の中央細孔直径が0.1〜100μmである単峰性、双峰性または多峰性細孔径分布を有し、10〜80%の吸水率を有しているオレフィンのエポキシ化用触媒;オレフィン及び酸素を含む供給物を前記触媒の存在下で反応させることによるオレフィンオキシドの製造方法;並びに1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化触媒、前記触媒の調製方法、及びオレフィンオキシド、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンのエポキシ化では、オレフィン及び酸素を含有する供給物をエポキシ化条件下で触媒と接触させる。オレフィンは酸素と反応して、オレフィンオキシドを形成する。オレフィンオキシド、及び典型的には未反応供給物及び燃焼生成物を含有する生成物の混合物が生ずる。
【0003】
オレフィンオキシドは水と反応して1,2−ジオール、二酸化炭素と反応して1,2−カーボネート、アルコールと反応して1,2−ジオールエーテル、またはアミンと反応してアルカノールアミンを形成し得る。よって、1,2−ジオール、1,2−カーボネート、1,2−ジオールエーテル及びアルカノールアミンは、最初オレフィンをエポキシ化し、次いで形成されたオレフィンオキシドを水、二酸化炭素、アルコールまたはアミンを用いて変換させることを含む多段階方法により製造され得る。
【0004】
オレフィンエポキシ化触媒は、典型的には担体上に通常1つ以上の追加元素と一緒に担持させた銀成分を含む。US 4,766,105は、銀、アルカリ金属、レニウム、及び硫黄、モリブデン、タングステン、クロム及びその混合物から選択されるレニウム共促進剤を担体上に担持させて含むエチレンオキシド触媒を開示している。US 4,766,105に記載されているエチレンオキシド触媒は1つ以上の触媒特性の改善を与える。
【0005】
触媒性能は選択性、活性及び運転中の安定性に基づいて評価され得る。選択性は所望のオレフィンオキシドを生ずる、変換されたオレフィンの割合である。触媒の経時的使用に伴い、変換されるオレフィンの割合が通常時間とともに低下し、オレフィンオキシド生成のレベルを一定に維持するために反応温度を上昇させることになる。
【0006】
選択性はエポキシ化方法の経済的魅力をかなりの程度決定する。例えば、エポキシ化方法の選択性が1%改善されると、大規模エチレンオキシドプラントの年間運転コストは大幅に低下し得る。更に、活性及び選択性が許容値でより長く維持され得ると、装入された触媒は反応器中により長く保持され、より多くの生成物が得られる。選択性、活性、並びに選択性及び活性の長期間にわたる維持(すなわち、安定性)が若干でも改善されると、プロセス効率の点でかなりの利益が生ずる。
【0007】
EO触媒の選択性、活性及び/または安定性に影響を与えるための1つの手段は、ある特性(例えば、特定範囲の細孔径分布及び/または表面積)を有する特定の担体を使用することである。特定の担体を選択すると、選択性または活性がいろいろ変化する。EO触媒の選択性に影響を与えるための別の手段は、担体上に配する触媒の成分を調節することである。次の特許/特許出願公開明細書は、担体の違いまたは触媒成分に対する変化に基づく改善されたEO触媒に関する:US 4,242,235、US 4,740,493、US 4,766,105、US 7,507,844、US 7,507,845、US 7,560,577、US 7,560,411、US 2009/0281118、US 2009/0062556、US 2008/0081920、US 2008/0306289、US 2009/0131695、及びUS 2009/0198076。更なる改善が、特に改善された選択性及び改善された安定性を生ずるEO触媒を開発するために要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,766,105号明細書
【特許文献2】米国特許第4,242,235号明細書
【特許文献3】米国特許第4,740,493号明細書
【特許文献4】米国特許第4,766,105号明細書
【特許文献5】米国特許第7,507,844号明細書
【特許文献6】米国特許第7,507,845号明細書
【特許文献7】米国特許第7,560,577号明細書
【特許文献8】米国特許第7,560,411号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2009/0281118号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0062556号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2008/0081920号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2008/0306289号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2009/0131695号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2009/0198076号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、改善された選択性のみならず、改善された安定性を示すオレフィンのエポキシ化用触媒を提供する。この改善は特定の触媒組成物に対して特定の担体を選択すると得られ、前記担体は細孔径分布に関して単峰性、双峰性または多峰性であり得る。特に、本発明は、特定担体及び該担体上に担持されている銀、レニウム助触媒、第1共促進剤及び第2共促進剤を含むオレフィンのエポキシ化用触媒を提供し、
a)担体上に担持されているレニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1mmol/kgを超え;
b)第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され;
c)第2共促進剤はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され;
d)担体上に担持されている第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は触媒の重量に対して最大で5.0mmol/kgであり;
e)担体は主に細孔直径範囲が0.01〜200μm、比表面積が0.03〜10m/g、細孔容積が0.2〜0.7cm/gであって、担体の中央細孔直径が0.1〜100μmである単峰性、双峰性または多峰性細孔径分布を有するα−アルミナであり、ならびに10〜80%の吸水率を有している。
【0010】
本発明は、特定の担体上に銀、レニウム助触媒、第1共促進剤及び第2共促進剤を担持させることを含むエポキシ化用触媒の製造方法をも提供し、
a)担体上に担持されているレニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1mmol/kgを超え;
b)第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され;
c)第2共促進剤はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され;
d)担体上に担持されている第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は触媒の重量に対して最大で5.0mmol/kgであり;
e)前記担体は主に細孔直径範囲が0.01〜200μm、比表面積が0.03〜10m/g、細孔容積が0.2〜0.7cm/gであって、担体の中央細孔直径が0.1〜100μmである単峰性、双峰性または多峰性細孔径分布を有するα−アルミナであり、ならびに10〜80%の吸水率を有している。
【0011】
本発明は、オレフィンを本発明に従って調製したエポキシ化触媒の存在下で酸素と反応させることを含むオレフィンのエポキシ化方法をも提供する。
【0012】
更に、本発明は、オレフィンを本発明に従ってエポキシ化する方法によりオレフィンオキシドを得、オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンに変換することを含む1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンの製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に従う1mmol/kg触媒を超える量のレニウム助触媒、触媒有効量の銀、及び最大で、全量5.0mmol/kg触媒の第1共促進剤及び第2共促進剤を含む高選択性エポキシ化触媒は、本発明に従わない類似触媒に比して触媒性能の予期せぬ改善、特に初期選択性の改善を示す。更に、触媒は、触媒性能を最大とするように選択した特定担体(この担体は単峰性、双峰性または多峰性として特徴づけられ得る)を用いて調製される。
【0014】
担体特性
本明細書中で使用されている「表面積」は、Journal of the American Chemical Society,60(1938)p.309−316に記載されている窒素BET(ブルナウアー(Brunauer)、エメット(Emmett)及びテラー(Teller))方法により測定される表面積を指すと理解される。本発明の担体は0.03〜10m/gの表面積を有する。
【0015】
本明細書中で使用されている吸水率はASTM C393に従って測定されると見なされ、吸水率は担体の重量に対する担体の細孔中に吸収され得る水の重量として表示される。本発明の担体は10から80%の吸水率を有する。
【0016】
細孔径分布は、液体水銀を担体の細孔中に押し込む慣用の水銀圧入ポロシメトリーデバイスにより測定され得る。より小さい細孔中に水銀を押し込むためにはより大きい圧力が必要であり、圧力の測定値が圧入させる細孔中の容積増分に対応して、また増分容積の細孔サイズに対応して増加していく。本明細書中で使用されている細孔径分布、中央細孔直径及び細孔容積は、Micromeretics Autopore 9200モデル(130°接触角、0.480N/mの表面張力を有する水銀、及び適用した水銀圧縮に対する補正)を用いて2.1×10Paの圧力まで水銀圧入ポロシメトリーにより測定される。本明細書中で使用されている中央細孔直径は、全細孔容積の半分がより大きい細孔直径を有している細孔中に含まれており、全細孔容積の半分がより小さい細孔直径を有している細孔中に含まれている細孔直径である。本発明の担体は0.01〜200μmの細孔直径範囲を有し、担体の中央細孔直径は0.1〜100μmである。
【0017】
本明細書中で「d50」と称されている中央粒径はHoriba LA900粒径分析器により測定され、記述されている中央粒径よりも大きい粒子及び小さい粒子の等球体積が等しい粒子直径を表す。この方法は、超音波処理により粒子を分散させ、よって二次粒子を一次粒子に分解することを含む。この音波処理は、d50値の更なる変化が認められなくなるまで継続され、Horiba LA900粒径分析器を使用したときには典型的には5分間の音波処理が必要である。
【0018】
本明細書中で使用されている細孔容積(ml/g)、表面積(m/g)及び吸水率(g/g)は別段の記述がない限り担体の重量に対して規定されている。
【0019】
各種担体の例
US 2009/0062556に記載されている担体
単峰性担体の1例は、開示内容を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2009/0062556号に記載されている。’556出願では、担体は1μm未満の小さい細孔及び5μmを超える大きい細孔の絶対容積を全くまたは殆ど有していない。「1μm未満の小さい細孔の絶対容積が全くまたは殆どない」とは、前記細孔の細孔容積が0.20ml/g未満であることを意味する。「5μmを超える大きい細孔の絶対容積が全くまたは殆どない」とは、前記細孔の細孔容積が0.20ml/g未満であることを意味する。一般的に、この担体では直径が1ミクロン未満の細孔の細孔容積が0.20ml/g未満であり、直径が5ミクロンを超える細孔の細孔容積が0.20ml/g未満である。特に、該発明の担体では全細孔容積が0.2ml/gから0.7ml/g、表面積が約0.3から約3.0m/g、直径が1から5μmの細孔の細孔容積が少なくとも40%、中央細孔直径が1から5μmであり、直径が5μmを超える細孔の細孔容積が0.20ml/g未満であり、直径が1μm未満の細孔の細孔容積が0.20ml/g未満である。
【0020】
US 2009/0177016に記載されている担体
本発明において使用するのに有用な1つの担体が、開示内容を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2009/0177016号に開示されている。ここに開示されている担体は少なくとも1m/gの表面積、及び0.2から10μmの範囲の直径を有する細孔が全細孔容積の少なくとも70%を占め、前記細孔は合わせて担体の重量に対して少なくとも0.27ml/gの細孔容積を与えるような細孔径分布を有している。担体の調製方法は、%wは混合物中のα−アルミナの全重量に基づくとして、a)50から90%wの10を超え、100μmまでの平均粒径(d50)を有する第1粒状α−アルミナ;及びb)10から50%wの1から10μmの平均粒径(d50)を有する第2粒状α−アルミナからなる混合物を形成し、混合物を成形体に成形し、その成形体を焼成して担体を形成することを含む。
【0021】
US 2009/0131695に記載されている担体
この発明によれば、別の有用な担体は、全細孔容積の少なくとも80%が0.1から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれ、0.1から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれている細孔容積の少なくとも80%が0.3から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれているような細孔径分布を有する。前記担体は、開示内容を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2009/0131695号に開示されている。0.1から10μmの範囲の直径を有する細孔が全細孔容積の少なくとも85%、特に少なくとも90%を占めるような細孔径分布が好ましい。細孔径分布は、0.1μm未満の直径を有する細孔が典型的には全細孔容積の10%未満、より典型的には最大で5%しか占めていないことである。該発明は0.1μm未満の直径を有する細孔が全細孔容積の0%に達していなくとも近づくことが考えられる。
【0022】
該担体は0.5μmを超える中央細孔直径を有し得る。典型的には、中央細孔直径は最大で2.1μmである。
【0023】
US 7,507,577に記載されている担体
双峰性または多峰性細孔径分布の多くの例は、開示内容を参照により本明細書に組み入れるUS 7,507,577中に見つけることができる。’577特許には、触媒のために使用しようとする担体の細孔径分布は0.01〜100μmの細孔直径の範囲中に存在する少なくとも2つのピークを有している。上記した少なくとも2つのピークの少なくとも1つのピークは0.01〜1.0μm、好ましくは0.04〜0.8μm、より好ましくは0.1〜0.5μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmの細孔直径の範囲に存在する。好ましくは、少なくとも1つのピークが0.01〜1.0μmの範囲に存在すると、触媒成分を微細な高分散状態で担持することが容易となる。
【0024】
担体の細孔のサイズは特に限定されないが、中央細孔直径は好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜4.0μm、更により好ましくは0.3〜3.0μm、特に好ましくは0.4〜1.5μmである。’577特許によれば、0.1μm以上の中央細孔直径は、エチレンオキシドの製造中生成物ガスを保持することにより生ずるエチレンオキシドのその後の酸化を抑制し得る。一方、10μm以下の中央細孔直径は担体に実用強度を付与し得る。
【0025】
US 7,507,845、2008/0081920、2009/0198076に記載されている担体
開示内容を参照により本明細書に組み入れる米国特許第7,507,845号及び米国特許出願公開第2008/0081920号も双峰性担体を開示している。これらでは、固体支持体は約0.01μmから約5μmの範囲の平均直径を有する細孔の第1の峰を有している。好ましくは、細孔の第1の峰は約0.1μmから約4μmの範囲の平均直径を有している。この場合、支持体は細孔の第1の峰とは異なる細孔の第2の峰を有しており、細孔の第2の峰は約5μmから約30μmの範囲の平均直径を有している。好ましくは、細孔の第2の峰は約5μmから約20μmの範囲の平均直径を有している。通常、細孔の第1の峰は全細孔容積のおおよそ最大で約50%を構成し、第2の峰は全細孔容積の少なくとも約50%を与える。別の実施形態では、細孔の第1の峰は全細孔容積の最大で約45%を構成し、第2の峰は全細孔容積の少なくとも約55%を与える。別の実施形態では、細孔の第1の峰は全細孔容積の最大で約40%を構成し、第2の峰は全細孔容積の少なくとも約60%を与える。開示内容を参照により本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2009/0198076号は関連出願であり、細孔の少なくとも2つの峰を有する担体を検討している。
【0026】
担体の他の記載
本発明のEO触媒に対して有用な単峰性、双峰性及び多峰性担体の更なる例は、参照により本明細書に組み入れるUS 4,242,235、US 4,740,493及びUS 4,766,105中に見つけることができる。当業者は本明細書中に示されている限定は改善された結果を得るために最適化され得ることを理解している。
【0027】
他の担体特性
本発明のある実施形態では、担体は非小板形態を示す。本明細書中で使用されている用語「非小板形態」は、走査型電子顕微鏡により2000倍で画像を得たときの担体の形態及び前記画像中に実質的に平らな表面を有する構造物が実質的に存在しないことを指す。前記構造物が「実質的に存在しない」とは、構造物の最大で25%しか実質的に平らな表面を有していないことを意味する。「実質的に平ら」とは、表面の曲率半径が表面の最大寸法の長さの少なくとも2倍であることを意味する。実質的に平らな表面を有する構造物は典型的には最大で4:1のアスペクト比を有し、構造物のアスペクト比は構造物の最大寸法/最小寸法の比である。用語「構造物」は担体を形成すべく一緒に融合または結合される担体材料の個々の粒子に相当するように示され得る担体中の構造体を指す。
【0028】
担体は広範囲の材料をベースとし得る。前記材料は天然または人工の無機材料であり得、耐火材料、炭化ケイ素、クレー、ゼオライト、チャーコール及び炭酸アルカリ土類金属(例えば、炭酸カルシウム)が含まれ得る。アルミナ、マグネシア、ジルコニア及びシリカのような耐火材料が好ましい。最も好ましい材料はα−アルミナである。典型的には、担体は少なくとも85重量%、より典型的には少なくとも90重量%のα−アルミナを含む。
【0029】
通常、担体は粒子が一緒に焼結するまで粒状成分を高温で焼成することにより調製され得る。一般的に、添加した結合材から結合ポストを形成するかまたは焼結させることにより粒子が一緒に結合するまで焼成は継続され得るが、担体の吸水率が低下するポイントを超えるまで継続させないことが好ましい。
【0030】
焼成プロセスでバーンアウト材料を使用しても使用しなくてもよい。バーンアウト材料は当業界で公知である(例えば、F F Y Wang(編),“Treatise on Materials Science and Technology”,9巻,(New York,1976),p.79−81;またはJ S Reed,“Introduction to the Principles of Ceramic Processing”,(New York,1988),p.152以降を参照されたい)。バーンアウト材料は、担体調製の未加工、すなわち未焼成相(例えば、成形体を例えば押出しにより成形する相)の間構造の保存を高めるために使用され得る。バーンアウト材料は焼成の間に除去される。バーンアウト材料を使用すると、担体の吸水率をそれほど低下させることなくより完全に焼結させることもできる。バーンアウト材料は、典型的にはできるだけ少量の残留物しか残さずに蒸発または燃焼する微細な固体有機材料である。
【0031】
結合材、すなわち粒子を一緒に結合するために適用される焼結時間を短縮させる材料を使用することも通常得策である。結合材は担体表面の少なくとも一部上にコーティングを形成し得、これにより担体表面はより受容性となる。結合材は結晶性シリカ含有組成物の形成を阻害する結晶阻害剤を含むシリカ含有組成物をベースとし得る。
【0032】
結合材として使用するためのシリカ含有組成物はケイ酸アルカリ金属結合材、または好ましくはケイ酸アルカリ土類金属結合材からなり得る。結合材は更にアルミナ水和物及び場合によりチタン成分及び/またはジルコニウム成分を含み得る。
【0033】
本発明において使用するためのアルミナ担体は、異なる粒状α−アルミナと場合により更にケイ酸アルカリ土類金属結合材の混合物を形成した後、混合物を成形体に成形し、成形体を典型的には1200から1550℃の温度で焼成して担体を形成することを含む方法により調製することが適当であり得ることを知見した。
【0034】
アルミナ粒子は市場購入可能であり、または例えば粗い材料を粉砕及び篩い分け操作にかけることにより簡単に調製され得る。実施形態では、小さい粒子は大きい粒子から粉砕により調製され得、次いで粉砕または非粉砕粒子を合わせる。別の実施形態では、大きい粒子及び小さい粒子の所望混合物は比較的大きい粒子を粒子の混合物が所望の双峰性粒径分布を有する程度まで粉砕することにより形成され得る。
【0035】
ケイ酸アルカリ土類金属結合材はケイ酸アルカリ土類金属、例えばケイ酸カルシウム、または好ましくはケイ酸マグネシウムからなり得る。ケイ酸アルカリ土類金属はタルク、蛇紋石、輝石、角閃石やかんらん石のような天然材料の形態であってもよい。ケイ酸アルカリ土類金属に加えてまたはその代わりに、ケイ酸アルカリ土類金属結合材はアルカリ土類金属化合物及びシリカ化合物の組合せからなり得る。適当なアルカリ土類金属化合物はアルカリ土類金属塩、例えば硝酸塩または硫酸塩、特に硝酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムである。適当なシリカ化合物はシリカゾル、沈降シリカ、非晶質シリカ、非晶質アルカリ金属シリカまたは非晶質アルミノケイ酸アルカリ金属である。非晶質シリカ化合物が好ましい。ケイ酸アルカリ土類金属結合材の量は、混合物中のα−アルミナの全重量に対するアルカリ土類金属酸化物及びSiOとしてのケイ酸塩の全重量として計算して、0.2から10重量%の範囲であることが適当であり得る。
【0036】
ケイ酸アルカリ土類金属結合材は追加成分としてアルミナ水和物を含んでいても含んでいなくてもよい。適当なアルミナ水和物は例えばギブサイト、バイヤライトまたはダイアスポアである。好ましいアルミナ水和物はベーマイトである。アルミナ水和物の量は、混合物中のα−アルミナの全重量に対する酸化アルミナAlの重量として計算して、0.1から15重量%、好ましくは0.2から10重量%の範囲が適当であり得る。
【0037】
ケイ酸アルカリ土類金属結合材は追加成分としてジルコニウム成分を固体成分または液体成分として含んでいても含んでいなくてもよい。適当なジルコニウム成分は二酸化ジルコニウム、及び焼成すると二酸化ジルコニウムに変換するジルコニウム化合物である。前記ジルコニウム化合物は硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニルまたは塩基性炭酸ジルコニルのような塩であり得る。ジルコニウム成分の量は、混合物中のα−アルミナ全重量に対する二酸化ジルコニウムZrOの重量として計算して、適当には0から10重量%、より適当には0.2から5重量%の範囲であり得る。
【0038】
ケイ酸アルカリ土類金属結合材は追加成分としてチタン成分を含んでいても含んでいなくてもよい。適当なチタン成分は二酸化チタン、硫酸チタニル、シュウ酸チタニル、塩化チタニル、有機チタネート、及び焼成すると二酸化チタンに変換する他の化合物である。アルミナ水和物は幾つかの場合にはチタン化合物で汚染されていることがあり、チタン成分の源として作用する。チタン成分の量は、混合物中のα−アルミナの全重量に対する二酸化チタンTiOの重量として計算して、適当には0から5重量%、より適当には0から1重量%の範囲であり得る。
【0039】
好ましい実施形態では、担体は開示内容を参照により本明細書に組み入れるUS 7,560,411に記載されているような担体へのフルオリド含有化学種及び強度増強添加剤をも含有している。フルオリド−鉱化担体はフッ素を担体に配合することにより得られる。本発明の目的のためには、フルオリド−鉱化担体は、組合せをか焼したときフルオリドを典型的にはフッ化水素として遊離し得るフッ素含有化学種とα−アルミナまたはα−アルミナ前駆体を組合せ、その組合せをか焼することにより得られる。か焼する前に、組合せを例えば押出しまたは噴霧により成形体に形成してもよい。か焼を好ましくは約1,200℃未満、より好ましくは約1,100℃未満で行う。か焼を好ましくは約900℃を超える、より好ましくは約1,000℃を超える温度で行う。温度が1,200℃を上回るならば、遊離するフルオリドの量が過剰であり得、担体の形態が悪影響を受ける恐れがある。フッ素含有化学種を担体に導入する方法は限定的でなく、フッ素含有化学種を担体に配合するための公知の方法及びこの方法から得られるフルオリド−鉱化担体が本発明のために使用され得る。例えば、US 3,950,507及びUS 4,379,134はフルオリド−鉱化担体を調製するための方法を開示しており、参照により組み入れられる。典型的には、担体に添加されるフッ素含有化学種の量は、フッ素含有化学種を配合しようとする担体材料の重量に対する使用したフッ素元素の重量として計算して、少なくとも約0.1重量%であり、典型的には約5重量%以下である。多くの場合、フッ素含有化学種は約0.2から約3重量%の量で使用される。より多くの場合には、フッ素含有化学は約0.25から約2.5重量の量で使用される。これらの量は最初添加した化学種の量を指し、最終的に完成担体中に存在し得る量を必ずしも反映していない。
【0040】
本発明の利点は、フルオリド−鉱化担体またラメラまたは小板タイプの形態を有する粒状マトリックスを有する担体に担体の破砕強度または耐摩耗性を向上させるために役立つ添加剤が配合されていることである。強度増強添加剤は、担体に配合したとき担体の破砕強度を増加させ、または耐摩耗性を改善させる化学種である。強度増強添加剤を約1,200℃未満、より好ましくは約1,100℃未満の温度でか焼することにより担体のアルミナ結晶構造、例えばフルオリド−鉱化担体のアルミナ結晶構造に簡単に配合することが適当である。担体との相互作用を強化して強度増強効果をもたらすように強度増強添加剤は典型的には比較的低い揮発性を有するフルオリド化学種を形成し得ることが好ましい。強度増強添加剤はジルコニウム化学種、ランタニド族化学種、II族金属種、無機ガラス及びその混合物からなる群から選択され得る。
【0041】
ある実施形態では、ケイ酸アルカリ金属結合材はケイ酸アルカリ金属、例えば非晶質ケイ酸ナトリウムまたはリチウムからなり得る。
【0042】
バーンアウト材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、炭水化物、ガム、小麦粉、タンパク質、リグニン、樹脂、ワックス、アルコール及びエステルの群から選択され得る。α−アルミナ担体を調製する場合、バーンアウト材料の量は、混合物中のα−アルミナの全重量に対して適当には0.2から10重量%、より適当には0.5から5重量%の範囲であり得る。バーンアウト材料の選択は本発明にとって重大なことではないと考えられる。また、α−アルミナ担体を用いる本発明の実施において、バーンアウト材料を担体の調製において使用しなくてもよい。
【0043】
また、担体粒子はその大きさが一般的には、内部に担体粒子を堆積させようとするエポキシ化反応器の寸法により決定される、成形体の形態で調製されることが好ましい。しかしながら、通常、粉末、台形、円筒、鞍、球、ドーナツ等の形態の成形体のような粒子を使用することが非常に好都合であることが知見されている。円筒は充実または中空、まっすぐまたは曲がっていてもよく、ほぼ同じ5から10mmの長さ及び断面直径を有している。
【0044】
成形体は混合物から慣用の成形方法(例えば、噴霧、噴霧乾燥、凝集またはプレス)により形成され得るが、混合物を押し出すことにより形成することが好ましい。適用可能な方法について、例えば参照により本明細書に組み入れるUS−A−5145824、US−A−5512530、US−A−5384302、US−A−5100859及びUS−A−5733842を参照し得る。前記成形方法、特に押出しを容易とするために、混合物を混合物の重量に基づいて最高約30重量%、好ましくは2から25重量%の押出し助剤及び/または有機結合剤とコンパウンドすることが適当であり得る。押出し助剤(用語「加工助剤」とも称される)及び有機結合剤は当業界で公知である(例えば、“Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”,第4版,5巻,p.610以降を参照されたい)。適当な例は、石油ゼリー、水素化油、合成アルコール、合成エステル、グリコール、澱粉、ポリオレフィンオキシドまたはポリエチレングリコールであり得る。混合物にホウ酸を例えば混合物の重量に基づいて最高0.5重量%の量、より典型的には0.01から0.5重量%の量添加してもよい。ホウ酸を存在させることにより、焼成後の担体中の浸出性アルカリ金属イオンの量を減少させ得る。混合物を押出し可能とするために十分な水を混合物に添加してもよい(以下に使用されている用語「混合物の重量」は添加した水の重量を除いた全混合物の重量を意味する)。
【0045】
成形体は、焼結作用により及び/または場合により混合物に配合した結合材から形成される結合ポストの形成によりアルミナ粒子を一緒に結合させるのに十分に高い温度で乾燥し、焼成され得る。通常、乾燥は20から400℃、好ましくは30から300℃、典型的には最長100時間、好ましくは5分間から50時間の間実施し得る。典型的には、乾燥は混合物が2重量%未満の水しか含有しない程度まで実施する。通常、焼成は少なくとも1200℃、好ましくは1250から1550℃の温度で、典型的には最長約8時間、好ましくは2から6時間の間実施し得る。乾燥及び焼成は任意の雰囲気中、例えば空気、窒素またはヘリウム、或いはその混合物中で実施され得る。特に成形体が有機材料を含んでいるときには、焼成を少なくとも部分的または完全に酸化雰囲気(例えば、酸素含有雰囲気)中で実施することが好ましい。
【0046】
担体上に他の触媒成分を担持させる前に可溶性残渣を除去するために担体を洗浄したならば、触媒の性能を強化し得る。一方、未洗浄の担体もうまく使用し得る。担体を洗浄するための有用な方法は、流出水の導電率が更に低下しなくなるまで担体を高温の脱イオン水を用いて連続的に洗浄することを含む。脱イオン水の適当な温度は80から100℃の範囲(例えば、90℃または95℃)である。参照により本明細書に組み入れるWO−00/15333及びUS−B−6368998を参照し得る。
【0047】
銀触媒の調製
銀触媒の調製は当業界で公知であり、公知方法が本発明の実施の際に使用され得る触媒の調製に対して適用され得る。担体上に銀を担持させる方法は、担体または担体本体にカチオン性銀及び/または錯体化銀を含有する銀化合物を含浸させ、還元して金属銀粒子を形成することを含む。前記方法の更なる説明については、参照により本明細書に組み入れるUS−A−5380697、US−A−5739075、US−A−4766105及びUS−B−6368998を参照し得る。適当には、担体上に銀を担持させるために銀分散液(例えば、銀ゾル)が使用され得る。
【0048】
カチオン性銀の金属銀への還元は触媒を乾燥するステップ中になされ得、よって還元それ自体は別の方法ステップを必要としない。これは銀含有含浸溶液が還元剤(例えば、オキサレート、ラクテートまたはホルムアルデヒド)を含んでいる場合であり得る。
【0049】
触媒の重量に対して少なくとも10g/kgの銀含量の触媒を使用することにより適切な触媒活性が得られる。好ましくは、触媒は10から500g/kg、より好ましくは50から450g/kg、例えば105g/kg、120g/kg、190g/kg、250g/kgまたは350g/kgの量の銀を含む。本明細書中で使用されている触媒の重量は、別段の定めがない限り、担体及び触媒成分、例えば銀、レニウム助触媒、第1及び第2共促進剤、並びにもしあるならば追加元素の重量を含めた触媒の全重量であると見なされる。
【0050】
本発明において使用するための触媒は、触媒の重量に対して1mmol/kgを超える量で担体上に担持されているレニウム助触媒成分を追加的に含む。レニウム助触媒は、好ましくは少なくとも1.25mmol/kg、より好ましくは少なくとも1.5mmol/kg、最も好ましくは少なくとも2mmol/kg触媒の量で存在し得る。レニウム助触媒は、好ましくは触媒の重量に対して最大で500mmol/kg、より好ましくは最大で50mmol/kg、最も好ましくは最大で10mmol/kgの量で存在し得る。レニウム助触媒は、好ましくは触媒の重量に対して1.25から50mmol/kg、より好ましくは1.75から25mmol/kg、最も好ましくは2から10mmol/kgの範囲の量で存在し得る。レニウム助触媒を担体上に堆積させ得る形態は本発明にとって重要でない。例えば、レニウム助触媒は適当には酸化物として、または塩または酸形態のオキシアニオン(例えば、レニウム酸塩または過レニウム酸塩)として提供され得る。
【0051】
本発明において使用するための触媒は追加的に第1共促進剤成分を含む。第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され得る。第1共促進剤が硫黄を元素として含むことが特に好ましい。
【0052】
本発明において使用するための触媒は追加的に第2共促進剤成分を含む。第2共促進剤成分はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され得る。第2共促進剤成分はタングステン及び/またはモリブデン、特にタングステンを元素として含むことが特に好ましい。第1共促進剤及び第2共促進剤成分を担体上に堆積させ得る形態は本発明にとって重要でない。例えば、第1共促進剤及び第2共促進剤成分は適当には酸化物として、または塩または酸形態のオキシアニオン(例えば、タングステン酸塩、モリブデン酸塩または硫酸塩)として提供され得る。
【0053】
担体上に担持される第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は、触媒の重量に対する元素(すなわち、硫黄、リン、ホウ素、タングステン、モリブデン及び/またはクロムのすべて)の全量として計算して、最大で5.0mmol/kgである。第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は、好ましくは最大で4.0mmol/kg、より好ましくは最大で3mmol/kg触媒であり得る。第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は、好ましくは少なくとも0.1mmol/kg、より好ましくは少なくとも0.5mmol/kg、最も好ましくは少なくとも1mmol/kg触媒であり得る。
【0054】
ある実施形態において、第1共促進剤/第2共促進剤のモル比は1を超え得る。この実施形態において、第1共促進剤/第2共促進剤のモル比は好ましくは少なくとも1.25、より好ましくは少なくとも1.5、最も好ましくは少なくとも2、特に少なくとも2.5であり得る。第1共促進剤/第2共促進剤のモル比は最大で20、好ましくは最大で15、より好ましくは最大で10であり得る。
【0055】
ある実施形態において、レニウム助触媒/第2共促進剤のモル比は1を超え得る。この実施形態において、レニウム助触媒/第2共促進剤のモル比は好ましくは少なくとも1.25、より好ましくは少なくとも1.5であり得る。レニウム助触媒/第2共促進剤のモル比は最大で20、好ましくは最大で15、より好ましくは最大で10であり得る。
【0056】
好ましくは、触媒は追加元素をも担体上に担持して含み得る。適当な追加元素は窒素、フッ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム、ゲルマニウム及びその混合物から選択され得る。好ましくは、アルカリ金属はリチウム、カリウム、ルビジウム、セシウムから選択される。最も好ましくは、アルカリ金属はリチウム、カリウム及び/またはセシウムである。好ましくは、アルカリ土類金属はカルシウム、マグネシウム及びバリウムから選択される。追加元素は触媒中に好ましくは触媒の重量に対して0.01から500mmol/kg、より好ましくは0.05から100mmol/kgの全量で存在させ得る。追加元素は任意の形態で存在させ得る。例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩または水酸化物が適当である。例えば、リチウム化合物は水酸化リチウムまたは硝酸リチウムであり得る。
【0057】
全触媒組成物(担体+添加した触媒成分)に対するカリウムの目標値を選択することが重要である。例えば目標のカリウムの水抽出量が触媒の重量に対して10mmol/gならば、目標のカリウムレベルは担体のカリウムレベルを測定し、触媒含浸中に十分な追加のカリウムを目標カリウムレベルが得られるまで添加することにより達成される。ナトリウムを添加するための類似方法が適正な目標レベルを達成するために適用され得る。典型的に担体中にこれら不純物を含有していないことを除いて、リチウム及びセシウムも同様に処理され得る。そうしたならば、目標のために同一手順を使用し得る。
【0058】
触媒中の水抽出カリウムの量は、触媒から抽出され得る範囲の量であると見なされる。抽出は、触媒の2gサンプルを25gずつの脱イオン水中で100℃で5分間加熱することにより3回抽出し、合わせた抽出物中のカリウムの量を公知方法(例えば、原子吸光分析)を用いて測定することを含む。
【0059】
本明細書中で使用されている触媒中に存在するアルカリ金属の量及び担体中に存在する酸浸出性成分の量は、別段の定めがない限り、触媒または担体から100℃で脱イオン水で抽出され得る範囲の量であると見なされる。抽出方法は、触媒または担体の10gサンプルを20mlずつの脱イオン水中で100℃で5分間加熱することにより3回抽出し、合わせた抽出物中の当該金属を公知方法(例えば、原子吸光分析)を用いて測定することを含む。
【0060】
本明細書中で使用されている触媒中に存在するアルカリ土類金属の量及び担体中に存在する酸浸出性成分の量は、別段の定めがない限り、触媒または担体から100℃で脱イオン水中10%w 硝酸で抽出され得る範囲の量であると見なされる。抽出方法は、触媒または担体の10gサンプルを100mlずつの10%w 硝酸と30分間沸騰させる(1気圧、すなわち101.3kPa)ことにより3回抽出し、合わせた抽出物中の当該金属を公知方法(例えば、原子吸光分析)を用いて測定するすることを含む。参照により本明細書に組み入れるUS−A−5801259を参照されたい。
【0061】
エポキシ化方法
本発明のエポキシ化方法はいろいろなやり方で実施され得るが、気相方法として、すなわち供給物を気相中で典型的には充填床中に固体材料として存在している触媒と接触させる方法として実施することが好ましい。通常、前記方法を連続方法として実施する。
【0062】
本発明のエポキシ化方法において使用するためのオレフィンは任意のオレフィン、例えば芳香族オレフィン(例えば、スチレン)、または場合により共役されているジオレフィン(例えば、1,9−デカジエンまたは1,3−ブタジエン)であり得る。典型的には、オレフィンはモノオレフィン(例えば、2−ブテンまたはイソブテン)である。好ましくは、オレフィンはモノ−α−オレフィン(例えば、1−ブテンまたはプロピレン)である。最も好ましいオレフィンはエチレンである。適当には、オレフィンの混合物を使用し得る。
【0063】
供給物中に存在させるオレフィンの量は広範囲から選択され得る。典型的には、供給物中に存在させるオレフィンの量は全供給物に対して最大で80mol−%である。好ましくは、同じ基準で0.5から70mol−%、特に1から60mol−%の範囲である。本明細書中で使用されている供給物は触媒と接触させる組成物であると見なされる。
【0064】
本発明のエポキシ化方法は空気または酸素をベースとし得る。“Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”,第3版,9巻,1980,p.445−447を参照されたい。空気をベースとする方法では空気または酸素を多く含む空気を酸化剤のソースとして使用し、酸素をベースとする方法では高純度(少なくとも95mol−%)または超高純度(少なくとも99.5mol−%)酸素を酸化剤のソースとして使用する。酸素をベースとする方法の更なる説明については、参照により組み入れるUS−6040467を参照し得る。現在、多くのエポキシ化プラントは酸素ベースであり、これが本発明の好ましい実施形態である。
【0065】
供給物中に存在させる酸素の量は広範囲から選択され得る。しかしながら、実際には、酸素を通常可燃性状況を避ける量で適用する。適用される酸素の量は、典型的には全供給物の1から15mol−%、より典型的には2から12mol−%の範囲内である。
【0066】
可燃性域を避けるために、供給物中に存在させる酸素の量をオレフィンの量が増加するにつれて低下させ得る。実際の安全操作範囲は供給物の組成に加えて反応条件(例えば、反応温度及び圧力)にも依存する。
【0067】
所望するオレフィンオキシドの形成に対する選択性を増加させ、オレフィンまたはオレフィンオキシドの二酸化炭素及び水への望ましくない酸化を抑制するために反応調節剤を供給物中に存在させてもよい。多くの有機化合物、特に有機ハロゲン化物及び有機窒素化合物が反応調節剤として使用され得る。窒素酸化物、有機ニトロ化合物(例えば、ニトロメタン、ニトロエタン及びニトロプロパン)、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンまたはアンモニアも使用し得る。オレフィンエポキシ化の操作条件下で窒素含有反応調節剤は硝酸エステルまたは亜硝酸エステルの前駆体、すなわち所謂硝酸エステルまたは亜硝酸エステル形成化合物であるとしばしば見なされる。窒素含有反応調節剤の更なる説明については、参照により本明細書に組み入れるEP−A−3642及びUS−A−4822900を参照し得る。
【0068】
有機ハロゲン化物、特に有機ブロミド、より特に有機クロリドが好ましい反応調節剤である。好ましい有機ハロゲン化物はクロロ炭化水素またはブロモ炭化水素である。より好ましくは、有機ハロゲン化物はメチルクロリド、エチルクロリド、エチレンジクロリド、エチレンジブロミド、ビニルクロリドまたはその混合物の群から選択される。最も好ましい反応調節剤はエチルクロリド、ビニルクロリド及びエチレンジクロリドである。
【0069】
適当な窒素酸化物は一般式NO(式中、xは1〜2の範囲である)を有し、例えばNO、N及びNが含まれる。適当な有機窒素化合物はニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン、硝酸エステル及び亜硝酸エステル、例えばニトロメタン、1−ニトロプロパンまたは2−ニトロプロパンである。好ましい実施形態では、硝酸エステルまたは亜硝酸エステル形成化合物、例えば窒素酸化物及び/または有機窒素化合物を有機ハロゲン化物、特に有機クロリドと一緒に使用する。
【0070】
反応調節剤は通常、供給物中に全供給物に対して最高0.1mol−%(例えば、0.0l×l0−4から0.01mol−%)のような少量使用するとき有効である。特にオレフィンがエチレンであるとき、反応調節剤を全供給物に対して0.l×l0−4から500×10−4mol−%、特に0.2×l0−4から200×l0−4mol−%の量で供給物中に存在させることが好ましい。
【0071】
オレフィン、酸素及び反応調節剤に加えて、供給物は1つ以上の任意成分、例えば二酸化炭素、不活性ガス及び飽和炭化水素を含有し得る。二酸化炭素はエポキシ化方法における副生成物である。しかしながら、二酸化炭素は通常触媒活性に対して悪影響を有する。典型的には、供給物中に全供給物に対して25mol−%を超える、好ましくは10mol−%を超える二酸化炭素の量を避ける。全供給物に対して3mol−%未満、好ましくは2mol−%未満、特に0.3から1mol−%未満の範囲の二酸化炭素の量を使用し得る。営業運転では、全供給物に対して少なくとも0.1mol−%または少なくとも0.2mol−%の二酸化炭素の量を供給物中に存在させ得る。30から90mol−%、典型的には40から80mol−%の量の不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)を供給物中に存在させてもよい。適当な飽和炭化水素はメタン及びエタンである。飽和炭化水素を存在させる場合、全供給物に対して最高80mol−%、特に最高75mol−%の量で存在させ得る。飽和炭化水素をしばしば少なくとも30mol−%、よりしばしば少なくとも40mol−%の量存在させる。飽和炭化水素は酸素可燃限界を高めるために供給物に添加され得る。
【0072】
エポキシ化方法は広範囲から選択される反応温度を用いて実施され得る。反応温度は、好ましくは150から325℃の範囲、より好ましくは180から300℃の範囲である。
【0073】
エポキシ化方法を1000から3500kPaの範囲の反応器入口圧力で実施することが好ましい。“GHSV”、すなわち気体時空間速度は、1時間あたりに1単位容積の充填触媒を通過する通常温度及び圧力(0℃,1気圧、すなわち101.3kPa)の気体の単位容積である。エポキシ化方法が充填触媒床を伴う気相方法である場合、GHSVは好ましくは1500から10000Nl/(1.h)の範囲である。好ましくは、方法を0.5から10kmolの生成されるオレフィンオキシド/m触媒/時、特に0.7から8kmolの生成されるオレフィンオキシド/m触媒/時(例えば、5kmolの生成されるオレフィンオキシド/m触媒/時)の範囲の作業量で実施する。本明細書中で使用されている「作業量」は1時間あたり1単位容積の触媒あたりで生成されるオレフィンオキシドの量であり、選択性は変換されたオレフィンのモル量に対する形成されたオレフィンオキシドのモル量である。方法を生成物の混合物中のオレフィンオキシド分圧が5〜200kPaの範囲(例えば11kPa、27kPa、56kPa、77kPa、136kPa及び160kPa)である条件で実施することが適当である。本明細書中で使用されている用語「生成物の混合物」はエポキシ化反応器の出口から回収される生成物を指すと理解される。
【0074】
生成されるオレフィンオキシドは当業界で公知の方法を用いて、例えば反応器出口流からのオレフィンオキシドを水中に吸収し、場合により水溶液からオレフィンオキシドを蒸留により回収することにより回収され得る。オレフィンオキシドを含有している水溶液の少なくとも一部は、オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンに変換させるための後続方法において適用され得る。
【0075】
オレフィンオキシドの他の化学物質への変換
エポキシ化方法で生成されたオレフィンオキシドは1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンに変換され得る。本発明はオレフィンオキシドを生成するためのより魅力的な方法を提供するので、オレフィンオキシドを本発明に従って生成し、その後得られたオレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネート、及び/またはアルカノールアミンの製造において使用することを含むより魅力的な方法を同時に提供する。
【0076】
1,2−ジオールまたは1,2−ジオールエーテルへの変換は、例えばオレフィンオキシドを適当には酸性または塩基性触媒を用いて水と反応させることを含み得る。例えば、大量の1,2−ジオール及び少量の1,2−ジオールエーテルを製造するためには、オレフィンオキシドを酸触媒(例えば、全反応混合物に基づいて0.5〜1.0%wの硫酸)の存在下、50〜70℃及び1バール絶対での液相反応において、または130〜240℃及び20〜40バール絶対で、好ましくは触媒の非存在下での気相反応において10倍モル過剰の水と反応させ得る。このような大量の水の存在は1,2−ジオールの選択的形成を促進し得、発熱反応に対するシンクとして機能して反応温度のコントロールを助け得る。水の比率が低下すると、反応混合物中の1,2−ジオールエーテルの割合が増加する。こうして製造される1,2−ジオールエーテルはジエーテル、トリーテル、テトラエーテルまたはそれに続くエーテルであり得る。別の1,2−ジオールエーテルは、水の少なくとも一部をアルコール、特に第1級アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)で置換することによりオレフィンオキシドをアルコールを用いて変換することにより製造され得る。
【0077】
オレフィンオキシドは、オレフィンオキシドを二酸化炭素と反応させることにより対応する1,2−カーボネートに変換され得る。所望ならば、1,2−ジオールは、その後1,2−カーボネートを水またはアルコールと反応させて1,2−ジオールを形成することにより製造し得る。適用される方法については、参照により本明細書に組み入れるUS−6080897を参照する。
【0078】
アルカノールアミンへの変換は、例えばオレフィンオキシドをアンモニアと反応させることを含み得る。モノアルカノールアミンの製造を促進させるためには典型的には無水アンモニアが使用される。オレフィンオキシドのアルカノールアミンへの変換において適用される方法については、例えば参照により本明細書に組み入れるUS−A−4845296を参照することができる。
【0079】
1,2−ジオール及び1,2−ジオールエーテルは、多くの種類の工業分野、例えば食品、飲料、タバコ、化粧品、熱可塑性ポリマー、硬化性樹脂系、洗剤、伝熱システム等の分野で使用され得る。1,2−カーボネートは希釈剤として、特に溶媒として使用され得る。アルカノールアミンは例えば天然ガスの処理(「スイートニング」)において使用され得る。
【0080】
別段の定めがない限り、本明細書中に挙げられている低分子量有機化合物、例えばオレフィン、1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネート、アルカノールアミン及び反応調節剤は典型的には最大で40個の炭素原子、より典型的には最大で20個の炭素原子、特に最大で10個の炭素原子、より特に最大で6個の炭素原子を有している。本明細書中で規定されている炭素原子の数の範囲(すなわち、炭素数)は範囲の限界を特定する数を含む。
【0081】
本発明を概説的に説明してきたが、以下の実施例を参照することにより更なる理解を得ることができる。これらの実施例は例示のみの目的で提示されており、別段の定めがない限り限定的であると意図されない。
【実施例】
【0082】
実施例1−ストック銀溶液の調製
本実施例は、実施例2において触媒Aを調製するために使用されるストック銀含浸溶液の調製を記載している。
【0083】
銀−アミン−オキサレートストック溶液を次の手順により調製した。
【0084】
5リッター容量のステンレススチールビーカーにおいて、試薬級水酸化ナトリウム(415g)を脱イオン水(2340ml)中に溶解し、温度を50℃に調節した。
【0085】
4リッター容量のステンレススチールビーカーにおいて、高純度“Spectropure”の硝酸銀(1699g)を脱イオン水(2100ml)中に溶解し、温度を50℃に調節した。
【0086】
50℃の溶液温度を維持しながら、硝酸銀溶液に水酸化ナトリウム溶液を撹拌しながらゆっくり添加した。この混合物を15分間撹拌した。所要により水酸化ナトリウム溶液を添加することにより溶液を10を超えるpHに維持した。
【0087】
混合ステップで生じた沈殿から水を除去し、ナトリウム及び硝酸イオンを含有している水の導電率を測定した。除去された量に等しい量の新鮮な脱イオン水を銀溶液に添加した。溶液を40℃で15分間撹拌した。除去した水の導電率が90μmho/cm未満になるまで方法を繰り返した。次いで、新鮮な脱イオン水(1500ml)を添加した。高純度のシュウ酸二水和物(630g)を約100gずつ添加した。温度を40℃(±5℃)に維持し、溶液のpHが長期間7.8以下に下がらないように最後のシュウ酸二水和物(130g)の添加の間pHをモニターした。
【0088】
この混合物から水を除去すると、高濃縮された銀含有スラリーが残った。シュウ酸銀スラリーを30℃に冷却した。
【0089】
30℃以下の温度を維持しながら、92重量% エチレンジアミン(8% 脱イオン水)(699g)を添加した。最終溶液を触媒Aを調製するためのストック銀含浸溶液として使用した。
【0090】
実施例2−触媒の調製
触媒A:
触媒Aをインシピエント・ウェットネス技術により調製し、触媒Aの最終組成は細孔容積含浸に基づいて計算して、17.2%wの銀、2mmol/kgのRe、0.6mmol/kgのW、2mmol/kgのS、19mmol/kgのLi、及び5.6mmol/kgのCsから構成されていた。これらの値は触媒の重量に対する。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体、及び該担体上に担持されている銀、レニウム助触媒、第1共促進剤及び第2共促進剤を含むオレフィンのエポキシ化用触媒であって、
a)担体上に担持されているレニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1mmol/kgを超え;
b)第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され;
c)第2共促進剤はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され;
d)担体上に担持されている第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は触媒の重量に対して最大で5.0mmol/kgであり;
e)前記担体は細孔直径範囲が0.01〜200μm、比表面積が0.03〜10m/g、細孔容積が0.2〜0.7cm/gであって、前記担体の中央細孔直径が0.1〜100μmである単峰性、双峰性または多峰性細孔径分布を有し、ならびに10〜80%の吸水率を有している
前記触媒。
【請求項2】
レニウム助触媒の量は触媒の重量に対して少なくとも1.25mmol/kgである、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
レニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1.25から50mmol/kgの範囲である、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
フルオリド含有化学種及び強度増強添加剤が担体に配合されている、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記フルオリド含有化学種はアンモニウムフルオリドである、請求項4に記載の触媒。
【請求項6】
前記強度増強添加剤はジルコニウム化学種、ランタニド族化学種、カルシウム化学種、マグネシウム化学種、無機ガラス及びその混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の触媒。
【請求項7】
更に窒素、フッ素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウム、タリウム、トリウム、タンタル、ニオブ、ガリウム及びゲルマニウム、及びその混合物から選択される追加元素を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
触媒の重量に対して1.25から10mmol/kgの範囲のカリウムの水抽出量を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
前記担体は少なくとも1m/gの表面積、及び0.2から10μmの範囲の直径を有する細孔が全細孔容積の少なくとも70%を占め、ならびに該細孔は合わせて担体の重量に対して少なくとも0.27ml/gの細孔容積を与えるような細孔径分布を有している、請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
前記担体は0.5μmを超える中央細孔直径、及び全細孔容積の少なくとも80%が0.1から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれ、ならびに0.1から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれている細孔容積の少なくとも80%が0.3から10μmの範囲の直径を有する細孔中に含まれる細孔径分布を有している、請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
前記担体は水銀ポロシメトリーにより測定される細孔径分布において、0.01〜100μmの細孔直径範囲に少なくとも2つの対数微分細孔容積分布ピークを有し、ならびに前記ピークの少なくとも1つのピークは0.01〜1.0μmの細孔直径範囲に存在し、各ピークは0.2cm/g以上の対数微分細孔容積分布の最大値である、請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
前記担体は約0.01mから約5μmの範囲の平均直径を有する細孔の第1の峰及び約5μmから約30μmの範囲の平均直径を有する細孔の第2の峰の双峰性細孔径分布を有している、請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
前記担体が、0.20ml/g未満の、直径1ミクロン未満の細孔からの細孔容積、0.20ml/g未満の、直径5ミクロンを超える細孔からの細孔容積、および全細孔容積の少なくとも40%の、直径1ミクロンから直径5ミクロンの細孔からの細孔容積を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項14】
担体上に銀、レニウム助触媒、第1共促進剤及び第2共促進剤を担持させることを含むオレフィンのエポキシ化用触媒の製造方法であって、
a)担体上に担持されているレニウム助触媒の量は触媒の重量に対して1mmol/kgを超え;
b)第1共促進剤は硫黄、リン、ホウ素及びその混合物から選択され;
c)第2共促進剤はタングステン、モリブデン、クロム及びその混合物から選択され;
d)担体上に担持されている第1共促進剤及び第2共促進剤の全量は触媒の重量に対して最大で5.0mmol/kgであり;
e)前記担体は細孔直径範囲が0.01〜200μm、比表面積が0.03〜10m/g、細孔容積が0.2〜0.7cm/gであって、前記担体の中央細孔直径が0.1〜100μmである単峰性、双峰性または多峰性細孔径分布を有し、ならびに10〜80%の吸水率を有している
前記方法。
【請求項15】
オレフィン及び酸素を含む供給物を請求項1に記載の触媒の存在下で反応させることによるオレフィンオキシドの製造方法。
【請求項16】
オレフィンはエチレンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
オレフィンオキシドを1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンに変換させることを含む1,2−ジオール、1,2−ジオールエーテル、1,2−カーボネートまたはアルカノールアミンの製造方法であって、前記オレフィンオキシドが請求項16に記載のオレフィンオキシドの製造方法により製造されている、前記方法。

【公表番号】特表2013−521119(P2013−521119A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556112(P2012−556112)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026039
【国際公開番号】WO2011/109215
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】