説明

エレベータの群管理制御システムおよび方法

【課題】建物内における各階床の利用者数が変動した場合でも、複数のエレベータ装置による輸送効率の向上を可能とする。
【解決手段】複数のエレベータ装置と、複数のエレベータ装置が設置された建物内のエレベータ乗場を含む入場管理区域への入場者が立ち入ることを許可された階床である利用許可階を表す利用階床情報を受け取る利用階床情報受信装置と、利用階床情報受信装置によって受信された利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を積算する利用者数計数装置とを備える。また、利用者数計数装置によって計数された各階床の利用者数に基づいて、複数のエレベータ装置それぞれの着床階を設定する着床階設定装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のエレベータ装置の着床階を設定するエレベータの群管理制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物にエレベータを設置する場合には、利用人数等の建物内の交通需要等を予測して、エレベータの設置台数を決定する。また、建物の階床数が多い高層の建物の場合には、エレベータ利用者の待ち時間を少なくするために、複数のエレベータ装置の着床階を、低層階ゾーンと高層階ゾーンに分けることが多い。複数のエレベータ装置を運転する場合、複数のエレベータ装置による輸送効率を上げることは重要な課題である。
【0003】
特許文献1には、乗り場呼びと乗りかごの情報を収集し、収集した結果を学習することによって、複数のエレベータ装置による輸送効率を上げるエレベータの運行管理装置が開示されている。特許文献1に開示されたエレベータの運行管理装置では、学習部は、乗り場呼び収集部および乗りかご情報収集部の情報を学習し、時計部を用いて時間帯、交通需要ごとの各階の交通需要を収集してサービス分割部に送る。交通需要が所定値以上であれば、ゾーン交通量計算部は、サービス分割部が分割したゾーンごとにエレベータ装置1台あたりの交通量を計算し、調整部は、各ゾーンのサービス階床を前記ゾーン交通量計算部の計算結果が均等になるように調整する。調整後の各ゾーンの着床階およびエレベータ台数を分割階床テーブルに記録し、判定部でサービス分割を行う時間帯、交通需要であると判定したとき、割当て制御部が、テーブルに基づきサービスエレベータを決定する。すなわち、特許文献1に開示された発明においては、各階の交通需要を収集するために、乗り場呼びの回数を積算することによって乗り場呼び情報を収集するとともに、乗りかごの情報を収集し、収集した結果を学習することが必要である。また、交通需要を乗り場呼びの回数で判定すると、実際の待合い人数と一致しない場合もある。
【0004】
特許文献2には、エレベータ装置の乗りかごの行先階ごとに複数のバンクに区分されている場合に、エレベータ利用者が戸惑う可能性を低減させることによって、複数のエレベータ装置による輸送効率を上げるエレベータバンク案内装置が開示されている。特許文献2に開示されたエレベータバンク案内装置は、読取装置と、案内制御装置と、案内器とを含む。読取装置は、利用者の携帯端末から行先階情報を読み取り、行先階情報を案内制御装置に入力する。案内制御装置は、入力された行先階情報に基づいて、利用者の行先階に応じた所望のバンクを選定し、バンク案内器に利用者を案内動作させる。複数のバンクは予め設定されており、同一のバンクに案内された利用者が増加すると、そのバンクの乗場が混雑する事態を回避することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−208140号公報
【特許文献2】特開2007−320758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、建物内における各階床の利用者数が変動した場合にも、複数のエレベータ装置による輸送効率の向上を可能とするエレベータの群管理制御システムまたは方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によるエレベータの群管理制御システムは、複数のエレベータ装置と、複数のエレベータ装置が設置された建物内のエレベータ乗場を含む入場管理区域への入場者が立ち入ることを許可された階床である利用許可階を表す利用階床情報を受け取る利用階床情報受信装置と、利用階床情報受信装置によって受信された利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を積算する利用者数計数装置とを備える。本システムは、また、利用者数計数装置によって計数された各階床の利用者数に基づいて、複数のエレベータ装置それぞれの着床階を設定する着床階設定装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図である。
【図2】第1の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態におけるエレベータ装置の着床階の設定例を表す図である。
【図4】第1の実施形態における各階床の利用者数の推移の一例を表す図である。
【図5】第2の実施形態の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図である。
【図6】第2の実施形態における各階床の利用者数の推移の一例を表す図である。
【図7】第3の実施形態における着床階の設定例である。
【図8】第4の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図である。
【図9】第4の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図10】第5の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図である。
【図11】第5の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図12】第6の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図である。
【図13】第6の実施形態における動作の一例を表すフローチャートである。
【図14】第6の実施形態における着床階情報の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態の説明を行う。尚、それぞれの図において、同一の部分または対応する部分には同一の参照符号を付すとともに、重複した説明は省略する。また、添付する図面は、それぞれの実施形態に関連する機能要素と、それらの関連を示すものであって、構成要素の物理的配置あるいは物理的構成を表すものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1ないし図4を参照しながら説明を行う。図1に、第1の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図を示す。また、図2に、第1の実施形態における動作の一例を表すフローチャートを示す。本実施形態において、エレベータ乗場は入場管理区域内にある。一般者が立ち入ることができる区域から入場管理区域に入るためには、例えば、RFIDを内蔵するキーまたはカード等を対応する読み取り装置によって読み取らせ、あるいは指紋等を認証する生体認証装置によって認証を受ける必要がある。このような認証を行う装置は、例えば、建物の出入り口がある階床の出入り口と、その階床のエレベータ乗場の間に設けられる。入場検出装置102は、S202で、入場管理区域に入場するための開錠操作が行われたことを検出する。以下、本明細書において、入場検出装置102が設置されている階床を、出入り口階と呼ぶことがある。開錠操作が行われたことを表す検出情報は、入場検出装置102から利用階検出装置104に伝達される。利用階検出装置104は、開錠操作の際に入場者を特定し、特定した入場者の予め登録された利用許可階を特定する。
【0011】
本明細書において、ある者の利用許可階は、その者が立ち入ることを許可された階床を意味する。エレベータが設置されている建物にオフィスが含まれ、入場者が、その建物に入居するオフィスに勤務する者である場合には、入場者の執務場所がある階床、業務上関係がある部署のある階床、共用会議室のある階床、食堂施設がある階床および建物の出入り口がある階床を利用許可階とすることができる。入場者が、その建物に入居するオフィスに勤務する者ではない場合には、建物の出入り口近傍または建物がある敷地の出入り口近傍に設けられた受付で登録された階床を利用許可階とすることができる。また、エレベータが設置されている建物が共同住宅である場合には、入場者が、その建物に入居する者である場合には、入場者の家がある階床、共用施設のある階床、および建物の出入り口がある階床を利用許可階とすることができる。したがって、ある一人の者の利用許可階の数は1に限られず、多くの場合、複数である。
【0012】
入場検出装置102と利用階検出装置104は入退場管理システムを構成する。入退場管理システムの利用階検出装置104は、特定した利用許可階に基づき、S204で、利用階を判定する。すなわち、特定した利用許可階を利用許可階とする者が入場管理区域に入場しているときには、その入場者の利用許可階を利用階と判定する。利用階検出装置104は、判定した利用階の情報を利用階床情報受信部106に伝達する。
【0013】
S206で、利用階床情報受信部106は、利用階検出装置104によって判定された利用階床情報を受け取り、受け取った利用階床情報に基づき利用階を認識し、認識した利用階の情報を利用者数計数装置108に伝達する。
【0014】
一例として、管理区域内に6台のエレベータ装置112が設置され、それぞれのエレベータ装置112は1階から11階の各階床に着床可能であり、出入り口階が1階である場合について説明する。また、エレベータ装置112のうち第1号機〜第3号機は1階〜6階の各下層階に、第4号機〜第6号機は1階および6階〜11階の各上層階に着床するように初期設定されているものとする。この場合、6階が乗り継ぎ階となる。この状態におけるそれぞれのエレベータ装置112の着床階の設定を図3(a)に示す。尚、本願において、着床階は、あるエレベータ装置112の乗り場において乗り場呼びが発生するか、または乗りかごから行き先階を指定する乗りかご呼びが発生したときに、それらの呼びに応答して乗りかごが着床可能な階床を意味する。換言すれば、あるエレベータ装置112の着床階ではない階床の乗り場呼びボタンが押下されても、そのエレベータ装置112の乗りかごは非着床階には停止せず、あるエレベータ装置112の乗りかご内の乗りかご呼びボタンでそのエレベータ装置112の着床階ではない階床が指定されても、そのエレベータ装置112の乗りかごは非着床階には停止しない。図3において、横方向はエレベータ装置112の第1号機〜第6号機を表し、縦方向は1階〜11階の階床を表す。図中で「○」は着床階を表し、「|」は非着床階すなわち非停止階を表す。初期状態において、第1号機〜第3号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は1階〜6階の下層階のゾーンに、第4号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は6階〜11階の各上層階のゾーンと1階に設定されている。すなわち、この場合には、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階は下層階のゾーンと上層階の2つのゾーンに分けられている。但し、出入り口階である1階は、いずれのエレベータ装置112も着床する。ここで、本願において、「ゾーン」は、出入り口階を除く着床階が、例えば、6階〜11階のように、連続している着床階の区間を意味する。尚、上記の想定は具体的な説明を行うためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0015】
例えば、執務場所が4階であり、業務上関係がある部署が5階にある者Aが時刻tに入場管理区域に入場したときには、利用者数計数装置108は、4階、5階、および建物の出入り口があり入場検出装置102が設置されている1階を利用階床情報受信部106から利用階床情報として受け取り、S208で、4階、5階、および1階の利用者数を、それぞれ1ずつ増加させる。すなわち、時刻tにおけるX階の利用者数をN(t)で表すと、時刻tにおける各階床の利用者数は図4に示すように、N(t)=N(t)=N(t)=1、N(t)=N(t)=N(t)=N(t)=N(t)=N(t)=N10(t)=N11(t)=0と計数される。利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数は着床階設定装置110に伝達され、S210で、着床階設定装置110は、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数に基づいて、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。この時点では管理区域への入場者はAだけであるため、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は、例えば、初期設定のままとする。着床階設定装置110によって設定された1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階の情報は、それぞれのエレベータ装置112に伝達され、それぞれのエレベータ装置112は、伝達された着床階情報に応じて運転を行う。処理は、その後、S202に戻り、前述した動作が繰り返される。
【0016】
S202で、出入り口階に設置された入場検出装置102によって、時刻tにおいて、例えば、執務場所が10階であり、業務上関係がある部署が9階にある者Bの入場管理区域への入場が検出されると、利用者数計数装置108は、9階、10階、および建物の出入り口階である1階を利用階検出装置104から利用階床情報として受け取り、S208で、9階、10階、および1階の利用者数を、それぞれ1ずつ増加させる。この結果、時刻tにおける各階床の利用者数は図4に示すように、N(t)=N(t)=N(t)=N10(t)=1、N(t)=N(t)=N(t)=N(t)=N(t)=N11(t)=0、N(t)=2と計数される。前述したように、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数は着床階設定装置110に伝達され、S210で、着床階設定装置110は、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数に基づいて、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。この時点では管理区域への入場者はAおよびBだけであるため、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は、例えば、初期設定のままとする。着床階設定装置110によって設定された1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階の情報は、それぞれのエレベータ装置112に伝達され、それぞれのエレベータ装置112は、伝達された着床階情報に応じて運転を行う。処理は、その後、S202に戻り、前述した動作が繰り返される。
【0017】
時刻tにおける各階床の利用者数が図4に示すように、N(t)=17、N(t)=19、N(t)=20、N(t)=18、N(t)=21、N(t)=20、N(t)=22、N(t)=16、N10(t)=19、N11(t)=17、およびN(t)=90である状態で、時刻tj+1に、執務場所が7階であり、業務上関係がある部署が8階にある者Cの入場管理区域への入場が検出されると、利用者数計数装置108は、7階、8階、および建物の出入り口階である1階を利用階検出装置104から利用階床情報として受け取り、S208で、7階、8階、および1階の利用者数を、それぞれ1ずつ増加させ、N(tj+1)=21、N(tj+1)=23、N(tj+1)=91とする。7階、8階、および1階以外の利用者数は、時刻tにおける値のままである。この時点で、下層階ゾーンのうち、2階〜6階の利用者数の合計は95名、上層階ゾーンのうち、7階〜11階の利用者数の合計は96名であり、ほぼ等しい。下層階ゾーンの階床の利用者数の合計と、上層階ゾーンの階床の利用者数の合計が、ほぼ等しい状態を保っているため、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は、初期設定のままとする。すなわち、第1号機〜第3号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は1階〜6階の下層階ゾーンに、第4号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は6階〜11階の各上層階ゾーンと1階に設定されたままである。
【0018】
時刻tにおける各階床の利用者数が図4に示すように、N(t)=23、N(t)=26、N(t)=25、N(t)=23、N(t)=27、N(t)=49、N(t)=47、N(t)=46、N10(t)=49、N11(t)=48、およびN(t)=173であるとする。この時点で、下層階ゾーンのうち、2階〜6階の利用者数の合計は124名、上層階ゾーンのうち、7階〜11階の利用者数の合計は239名であり、下層階ゾーンの階床の利用者数の合計と、上層階ゾーンの階床の利用者数の合計が、かなり異なっている。下層階ゾーンの階床の利用者数の合計と、上層階ゾーンの階床の利用者数の合計との比は、ほぼ1:2となっている。この段階で、着床階設定装置110は、第1号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階を、初期設定から変更する。下層階ゾーンの階床の利用者数の合計と、上層階ゾーンの階床の利用者数の合計との比は、ほぼ1:2となっているため、第1号機〜第6号機のエレベータ装置112のうち、例えば、図3(b)に示すように、第1号機と第2号機は1階〜6階の各下層階に、第4号機〜第6号機は1階および6階〜11階の各上層階に着床するように着床階の設定を変更する。この場合、着床階の設定が変更されるのは第3号機のみであり、第3号機の着床階は、1階〜6階の各下層階から、1階および6階〜11階の各上層階に変更される。
【0019】
尚、利用階床情報受信部106、利用者数計数装置108、着床階設定装置110、エレベータ装置112の制御部は、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができる。このことは、本明細書で説明を行う、すべての実施形態においても同様である。
【0020】
以上、具体的な場合を想定して、本実施形態の構成および動作の説明を行った。しかし、本実施形態は前述した内容に限定されるものではない。例えば、時刻tにおける各階床の利用者数が図4に示すようになったとき、図3(c)に示すように、1号機と第2号機は1階〜7階の各下層階に、第4号機〜第6号機は1階および7階〜11階の各上層階に着床するように着床階の設定を変更することもできる。また、以上の説明においては、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を、下層階のゾーンと上層階の2つのゾーンに分けた場合について述べたが、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を2を超える数のゾーンに分けることもできる。但し、出入り口階、例えば1階は、いずれのエレベータ装置112も着床する。
【0021】
尚、前述の説明において、利用者数計数装置108は、出入り口階、例えば1階の利用者数も計数したが、いずれのエレベータ装置112も出入り口階に着床するため、出入り口階の利用者数は必ずしも計数する必要はない。
【0022】
本実施形態によれば、例えば、上層階ゾーンと低層階ゾーンの利用者数に顕著な相違が発生した場合、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階の設定を調整することによって、エレベータ装置112の輸送効率を向上し、柔軟な対応を行うことができる。
【0023】
以降、いくつかの他の実施形態について述べるが、繁雑さを避けることによって理解を容易にするために、本実施形態と異なる点を中心に説明を行う。
【0024】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図5、図6および図2を参照しながら説明を行う。第2の実施形態においては、入場管理区域への入場者が立ち入ることを許可された階床である利用許可階を表す利用階床のみならず、一旦、入場した者が入場管理区域から退出したときに退場者の利用階床も考慮して、それぞれの階床の利用者数を計数する点が、第1の実施形態とは異なる。図5に、第2の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図を示す。図5に示す構成例は、図1に示した構成例に退出検出装置502が付加されている点を除くと、図1に示した構成例と同一である。但し、後ほど説明するように、利用階床情報受信部106および利用者数計数装置108の機能、動作が第1の実施形態におけるものとは異なる。退出検出装置502は、一旦、入場した者によって入場管理区域から退出するための開錠操作が行われたことを検出する。退出検出装置502は、例えば、入場管理区域の出入り口がある階床のエレベータ乗場と、入場管理区域の出入り口との間に設けられる。図2に示すS202において、入場検出装置102または退出検出装置502は、それぞれ、入場管理区域に入場または退出するための開錠操作が行われたことを検出する。開錠操作が行われたことを表す検出情報は、入場検出装置102および退出検出装置502から利用階検出装置104に伝達される。利用階検出装置104は、開錠操作の際に入退場者を特定し、特定した入退場者の予め登録された利用許可階を特定する。
【0025】
入場検出装置102、退出検出装置502および利用階検出装置104は入退場管理システムを構成する。入退場管理システムの利用階検出装置104は、特定した利用許可階に基づき、S204で、利用階を判定する。すなわち、特定した利用許可階を利用許可階とする者が入場管理区域に入場または入場管理区域から退出したときに、その入退場者の利用許可階を利用階と判定する。利用階検出装置104は、判定した利用階の情報を利用階床情報受信部106に伝達する。
【0026】
S206で、利用階床情報受信部106は、利用階検出装置104によって判定された入退場者の利用階床情報を受け取り、受け取った利用階床情報に基づき入退場者の利用階を認識し、認識した利用階の情報を利用者数計数装置108に伝達する。
【0027】
S208で、利用者数計数装置108は、利用階床情報受信部106から受信した利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を計数する。入場管理区域に入場した者がいるときには、第1の実施形態の説明で述べたように、入場者の利用許可階の利用者数を1ずつ増加させる。入場管理区域から退出した者がいるときには、退出者の利用許可階の利用者数を1ずつ減少させる。時刻tまでの各階床の利用者数が、第1の実施形態の説明に用いた図4と同様であるとする。すなわち、時刻tにおける各階床の利用者数は、N(t)=17、N(t)=19、N(t)=20、N(t)=18、N(t)=21、N(t)=20、N(t)=22、N(t)=16、N10(t)=19、N11(t)=17、およびN(t)=90であるとする。この状態で、時刻tj+1に、時刻tに入場管理区域へ入場した者Bが入場管理区域から退出したことが検出されると、利用者数計数装置108は、Bの利用許可階の利用者数を1ずつ減少させる。すなわち、Bの利用許可階は9階、10階および1階であるから、利用者数計数装置108は、S208で、9階、10階、および1階の利用者数を、それぞれ1ずつ減少させ、図6に示すように、N(tj+1)=15、N10(tj+1)=18、およびN(tj+1)=89とする。9階、10階、および1階以外の利用者数は、時刻tにおける値のままである。
【0028】
利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数は着床階設定装置110に伝達され、S210で、着床階設定装置110は、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数に基づいて、エレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。第1の実施形態の説明における想定例と同様な場合、すなわち、管理区域内に6台のエレベータ装置112が設置され、それぞれのエレベータ装置112は1階から11階の各階床に着床可能であり、出入り口階が1階であり、エレベータ装置112のうち第1号機〜第3号機は1階〜6階の各下層階に、第4号機〜第6号機は1階および6階〜11階の各上層階に着床するように初期設定されている場合について説明する。尚、これらの想定は具体的な説明を行うためのものであり、本発明を限定するものではない。時刻tj+1の時点で、下層階ゾーンのうち、2階〜6階の利用者数の合計は95名、上層階ゾーンのうち、7階〜11階の利用者数の合計は94名であり、ほぼ等しい。下層階ゾーンの階床の利用者数の合計と、上層階ゾーンの階床の利用者数の合計が、ほぼ等しい状態を保っているため、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は、初期設定のままとする。すなわち、第1号機〜第3号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は1階〜6階の下層階ゾーンに、第4号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は6階〜11階の各上層階ゾーンと1階に設定されたままである。下層階ゾーンのうち2階〜6階の利用者数の合計と、上層階ゾーンのうち7階〜11階の利用者数の合計の値が、ほぼ等しい状態から、顕著に異なる状態になったときには、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階を、初期設定から異なる設定に変更する。
【0029】
以上、本実施形態の構成および動作の説明を行ったが、本実施形態は前述した内容に限定されるものではない。第1の実施形態の説明で述べたように、例えば、あるエレベータ装置112は1階〜7階の各下層階に、他のエレベータ装置112は1階および7階〜11階の各上層階に着床するように着床階の設定を変更することもできる。また、以上の説明においては、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を、下層階のゾーンと上層階の2つのゾーンに分けた場合について述べたが、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を2を超える数のゾーンに分けることもできる。但し、出入り口階、例えば1階は、いずれのエレベータ装置112も着床する。
【0030】
また、前述の説明において、利用者数計数装置108は、出入り口階、例えば1階の利用者数も計数したが、いずれのエレベータ装置112も出入り口階に着床するため、出入り口階の利用者数は必ずしも計数する必要はない。
【0031】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、入場管理区域に人が入場したときのみならず、入場管理区域から人が退出したときにも、エレベータ装置の輸送効率を向上することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
第2の実施形態について図7を参照しながら説明を行う。前述した第1の実施形態および第2の実施形態の説明においては、一例として、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を、例えば、下層階ゾーンと上層階ゾーン等の複数のゾーンに分け、着床階設定装置110は、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数に基づいて、エレベータ装置112それぞれの着床階をいずれかのゾーンに属する階床に設定している。これに対し、本実施形態においては、着床階設定装置110は、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数分布に基づいて、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を、図3に例を示したような複数のゾーンに分けるか、間欠的とするかを切り替える。ここで、本願において、着床階が間欠的であることは、出入り口階を除く着床階が、例えば、3階、5階、7階、9階、11階のように離散的であり、着床階の間に、例えば2階、4階、6階、8階、10階等の、非着床階が少なくとも1階床あることを意味する。他の点は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態における着床階の設定例を図7に示す。図7(a)は、時刻tにおける各階床の利用者数の計数値を示したものである。尚、各階床の利用者数は第1の実施形態および第2の実施形態の説明において述べた利用者数計数装置108によって計数される。出入り口階である1階を除き、利用者数が最も多い階床は11階で、その利用者数N11(t)は48名であり、利用者数が最も少ない階床は9階で、その利用者数N(t)は36名である。出入り口階である1階を除いた他の階床の利用者数は36から48の範囲に分布している。この場合、利用者数が最も多い11階の利用者数と、利用者数が最も少ない9階の利用者数との比は4:3であり、利用者数が最も多い階床の利用者数と利用者数が最も少ない階床の利用者数は、ほぼ等しいと判断することができる。また、出入り口階である1階を除いた他の階床の利用者数の分布に顕著な偏りはない。各階床の利用者数分布に顕著な偏りがない場合には、第1の実施形態および第2の実施形態の説明において例示したように、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を複数のゾーンに分けることができる。複数のエレベータ装置112それぞれの着床階の複数ゾーン分けの一例を図7(b)に示す。
【0034】
時刻tの後、時刻tにおける各階床の利用者数の計数値が図7(c)に示すように変化したとする。この時点では、出入り口階である1階を除き、利用者数が最も多い階床は11階で、その利用者数N11(t)は83名であり、利用者数が最も少ない階床は9階で、その利用者数N(t)は27名である。利用者数が最も多い11階の利用者数と、利用者数が最も少ない9階の利用者数との比は約3:1であり、利用者数が最も多い階床の利用者数と利用者数が最も少ない階床の利用者数に大きな差があると判断することができる。また、出入り口階である1階を除いた階床の利用者数の分布は、図7(a)に示した利用者数分布と比較すると、顕著な偏りがあると判断することができる。このように各階床の利用者分布に顕著な偏りが発生したとき、着床階設定装置110は、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を複数のゾーン分けから、少なくとも一部のエレベータ装置112の着床階を間欠的に切り替える。複数のエレベータ装置112のうちの少なくとも一部のエレベータ装置112の着床階を間欠的に切り替えた後の複数のエレベータ装置112の着床階の設定例を図7(d)に示す。図7(d)に示す複数のエレベータ装置112の着床階の設定例において、第1号機は1階〜11階すべての階床を着床階とし、第2号機は1階、2階、4階、5階、7階、8階、10階、および11階を着床階とし、第6号機は1階および11階を着床階とするように設定されている。第1号機を除く、第2号機〜第6号機の着床階は間欠的に切り替えられている。また、各階床に着床するエレベータ装置112の数は、各階床の利用者分布に対応するように設定されている。
【0035】
時刻tの後、各階床の利用者数が図7(a)に示したような各階床の利用者数分布に顕著な偏りがない状態になったときは、着床階設定装置110は、少なくとも一部のエレベータ装置112の着床階を間欠的に設定した状態から、例えば、図7(b)に示したように、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を複数のゾーン分けに切り替える。
【0036】
本実施の形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態による効果に加えて、利用者数が多い階床に着床するエレベータ装置の数を多くし、利用者数が少ない階床に着床するエレベータ装置の数を少なくするように設定することによって、各階床の利用者数の分布に応じてエレベータ装置の輸送効率を向上することができる。
【0037】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について図8および図9を参照しながら説明を行う。第4の実施形態においては、第1の実施形態または第2の実施形態に利用階学習装置802が付加されており、着床階設定装置110は、利用階学習装置802から出力される利用階床学習情報に基づいて、複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。これらの点を除く第4の実施形態の構成および動作は、第1の実施形態または第2の実施形態の構成および動作と同一である。尚、利用階学習装置802は、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができる。このことは、本明細書で説明を行う、すべての実施形態においても同様である。
【0038】
図8に、第2の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に利用階学習装置802が付加された本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図を示す。尚、本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例は、図1に示した第1の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に利用階学習装置802を付加した形態としてもよい。また、図9に、第4の実施形態における動作の一例を表すフローチャートを示す。第4の実施形態における動作は、図2を参照しながら説明を行った第1の実施形態または第2の実施形態におけるS202ないしS210の動作に、利用階を記憶し、学習する動作が付加されており、S202ないしS208の動作は第1の実施形態または第2の実施形態における動作と同一である。
【0039】
S208で、利用者数計数装置108が、利用階床情報受信部106から受信した利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を計数した後、利用階学習装置802は、S909で、各階床の利用者数と利用階床情報を受信した時間帯とを利用者数計数装置108から受け取り、記憶装置に保存する。一実施形態において、「時間帯」は曜日、休日の情報を含む。利用階学習装置802は、さらに、記憶装置に保存した各階床の利用者数と利用階床情報を受信した時間帯の履歴に基づいて、各階床の利用者数と時間帯との関係を学習する。利用階学習装置802の学習結果である利用階床学習情報は着床階設定装置110に出力され、着床階設定装置110は、S210で、利用階床学習情報に基づいて、時間帯ごとに複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。
【0040】
複数のエレベータ装置112が設置されている建物に1または複数のオフィスがある場合には、オフィスの始業時間帯、始業から昼休みまでの就業時間帯、昼休みの時間帯、昼休みが終わった後の就業時間帯、オフィスの終業時間帯および終業時間以降の時間帯によって各階床の利用者数が、かなり変動する場合が多い。また、オフィスの就業日における各時間帯における各階床の利用者数は余り変動しない傾向がある。したがって、利用階学習装置802の学習結果である利用階床学習情報に基づいて、着床階設定装置110が時間帯ごとに複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定することは有効であると考えられる。
【0041】
複数のエレベータ装置112が設置されている建物が集合住宅である場合には、入居者の出勤時間帯、登校時間帯、帰宅時間帯、日頃の買い物に行く時間帯によって各階床の利用者数が、かなり変動する場合が多い。また、平日における各時間帯における各階床の利用者数は余り変動しない傾向がある。したがって、利用階学習装置802の学習結果である利用階床学習情報に基づいて、着床階設定装置110が時間帯ごとに複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定することは、エレベータ装置112が設置されている建物が集合住宅である場合にも、有効であると考えられる。
【0042】
また、各階床の利用者数の時間的な変化は、平日と休日とでは異なる。さらに、各階床の利用者数の時間的な変化が曜日によって異なることもある。したがって、利用階学習装置802の学習結果である利用階床学習情報に基づいて、着床階設定装置110が平日、休日あるいは曜日を含めた時間帯ごとに複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定することは有効であると考えられる。
【0043】
本実施の形態によれば、第1の実施形態および第2の実施形態による効果に加えて、利用階学習装置802の学習結果である利用階床学習情報に基づいて、時間帯ごとに複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定することによって、エレベータ装置の輸送効率を向上することができる。
【0044】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について図10および図11を参照しながら説明を行う。第5の実施形態においては、第1の実施形態ないし第4の実施形態に、管理区域への入場者のエレベータ利用に関連する特徴を検出する入場者特徴検出装置1002と、入場者の特徴に応じて、入場者の利用階におけるエレベータ装置の戸開時間および戸閉に関連する動作の少なくとも一方を変更するドア動作変更装置1004とが付加されている。これらの点を除く本実施形態の構成および動作は、第1の実施形態ないし第4の実施形態の構成および動作と同一である。尚、入場者特徴検出装置1002とドア動作変更装置1004は、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができる。このことは、本明細書で説明を行う、すべての実施形態においても同様である。
【0045】
図10に、第4の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に入場者特徴検出装置1002とドア動作変更装置1004とが付加された本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図を示す。尚、本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例は、第1の実施形態ないし第3の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に入場者特徴検出装置1002とドア動作変更装置1004とを付加した形態としてもよい。また、図11に、図10に示した構成例における動作の一例を表すフローチャートを示す。図10に示した構成例における図11に示した動作は、図9を参照しながら説明を行った第4の実施形態における動作に、管理区域への入場者のエレベータ利用に関連する特徴を判定してから、当該入場者の利用階におけるエレベータ装置のドア動作を設定までの動作が付加されており、S202ないしS210の動作は図9を参照しながら説明した第4の実施形態における動作と同一である。尚、図11に示した動作から、S909における各階床の利用者数と時間帯との関係を学習する動作を削除した動作形態も実施可能である。この場合の動作形態は、前述した第1の実施形態ないし第3の実施形態における動作に、管理区域への入場者のエレベータ利用に関連する特徴を判定してから、当該入場者の利用階におけるエレベータ装置のドア動作を設定までの動作が付加された形態となる。
【0046】
入場検出装置102によって、S202で、入場管理区域に入場するための開錠操作が行われたことを検出されると、以降、前述したS202ないしS210の動作が実行される。S202ないしS210の動作に並行して、S1102ないしS1108の動作が実行される。すなわち、S202で、入場管理区域に入場するための開錠操作が行われたことを検出されると、S1102で、入場者特徴検出装置1006は、入場者のエレベータ利用に関連する特徴を検出する。本願において、入場者のエレベータ利用に関連する特徴とは、入場者がエレベータ装置の乗りかごに乗降する際に通常の迅速さで乗降可能な能力を備えているか否かの特徴をいう。一例として、高齢者、年少者、視覚もしくは身体が不自由な人の中には、エレベータ装置の乗りかごに乗降する際に通常の迅速さで乗降できない特徴を備えていると推定される。例えば、RFIDを内蔵するキーまたはカード等に、カード等の所持者の年齢または所持者が持つ障害が記録されている場合には、入場管理区域に入る際にカード等を対応する読み取り装置によって読み取ることによってカード等の所持者の年齢等を認識し、入場者のエレベータ利用に関連する特徴を検出することができる。この場合、入場者特徴検出装置1006の機能は、前述した入場検出装置102に含めることもできる。
【0047】
入場者特徴検出装置1006によって検出された入場者のエレベータ利用に関連する特徴の情報は利用階検出装置104に伝達され、利用階検出装置104は、入場者の特定した利用許可階に基づいて判定した利用階情報とともに、入場者特徴検出装置1006から受信した入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報を入場者特徴情報受信部1002に伝達する。入場者特徴情報受信部1002は、S1104で、入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報と、入場者の利用階情報を、利用階検出装置104から受信する。入場者特徴情報受信部1002は、受信した入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報と、入場者の利用階情報を、ドア動作変更装置1004に転送する。
【0048】
一方、前述したように、着床階設定装置110は、S210で、利用者数計数装置108によって計数された各階床の利用者数に基づいて、1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階を設定する。ドア動作変更装置1004は、S1106で、入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報と当該入場者の利用階情報を入場者特徴情報受信部1002から、設定された1号機〜6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階情報を着床階設定装置110から受信する。ドア動作変更装置1004は、さらに、受信した入場者の利用階情報とエレベータ装置112それぞれの着床階情報から、当該入場者の利用階床に着床するエレベータ装置112を特定する。次にS1108で、ドア動作変更装置1004は、特定したエレベータ装置112の当該入場者の利用階床におけるドア動作を、当該入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報に応じて設定し、設定したドア動作をS1106で特定したエレベータ装置112に指示する。例えば、入場者が高齢者、年少者、視覚もしくは身体が不自由な人である場合には、入場者の利用階におけるエレベータ装置112のドア開放持続時間(戸開時間)を通常よりも長くするか、または戸閉速度を通常よりも遅くするか、または戸閉時に警告音を鳴らすように指示を出す。入場者の利用階におけるエレベータ装置112の戸開時間を通常よりも長くするとともに、戸閉速度を通常よりも遅くしてもよい。さらに、戸閉時に警告音を鳴らすようにしてもよい。このようにして、入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報に応じて、入場者の利用階におけるエレベータ装置112の戸開時間および戸閉に関連する動作の少なくとも一方を変更することができる。
【0049】
以上説明を行った本実施形態は、様々な形態に変形することができる。例えば、ドア動作変更装置1004は、入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報を、利用階検出装置104を介することなく、入場者特徴情報受信部1002から受信し、当該入場者の利用階情報は、利用階床情報受信部106等を介して、着床階設定装置110から受信するようにしてもよい。
【0050】
また、入場者の利用階床に着床するエレベータ装置112を特定することなく、ドア動作変更装置1004は、入場者の利用階床におけるドア動作を、当該入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報に応じて設定し、すべてのエレベータ装置112に指示する。この場合、当該入場者の利用階床に着床しないエレベータ装置112については、ドア動作変更装置1004からの指示は無意味であり、無視される。
【0051】
さらに、エレベータ装置112の乗り場、乗りかごに車椅子利用者用の呼び登録ボタンが備えられている場合には、それぞれのエレベータ装置において車椅子利用者である入場者の利用階におけるエレベータ装置112の戸開時間および戸閉に関連する動作の少なくとも一方を変更することができる。乗り場に設けられた車椅子利用者用の乗り場呼び登録ボタンが押下されると、乗り場呼び登録信号はエレベータ装置112の主制御装置に伝達される。乗り場呼び登録信号を受信した主制御装置は、乗り場呼びが発出されたことと乗り場呼びが発出された階床の情報を、そのエレベータ装置112の乗りかごを制御する乗りかご制御装置に伝達する。乗りかごが、乗り場呼びが発出された階床に着床し停止すると、乗りかご制御装置はドアを開放し、戸開時間が通常よりも長くなるように制御する。乗りかご内に設けられた車椅子利用者用の乗りかご呼び登録ボタンが押下されると、乗りかごは乗りかご呼びに対応する行き先階に向け走行し、行き先階に着床し停止すると、乗りかご制御装置はドアを開放し、戸開時間が通常よりも長くなるように制御するか、または戸閉速度を通常よりも遅くするように制御する。戸開時間が通常よりも長くなるように、かつ、戸閉速度を通常よりも遅くするように制御してもよい。
【0052】
尚、以上の本実施形態の説明においては戸開速度について言及していないが、入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報に応じて、さらに、戸開速度を変更してもよい。
【0053】
本実施形態によれば、第1の実施形態ないし第4の実施形態の効果に加えて、入場者のエレベータ利用に関連する特徴に応じて、エレベータ利用に関するきめ細かな制御を行うことができる。
【0054】
(第6の実施形態)
第6の実施形態について図12および図13を参照しながら説明を行う。第6の実施形態においては、第1の実施形態ないし第5の実施形態に、エレベータ装置の着床階を管理区域への入場者に報知する表示装置あるいはアナウンス装置等の報知装置と、報知装置を制御する報知制御装置とが付加されている。これらの点を除く本実施形態の構成および動作は、第1の実施形態ないし第5の実施形態の構成および動作と同一である。尚、報知制御装置は、通常、マイクロコンピュータ、ROM、RAMまたは磁気記憶装置等のハードウェア資源と、制御に必要なソフトウェアを含む、いわゆる組み込みシステムによって実装することができる。
【0055】
図12に、第4の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に報知制御装置1202と、報知装置1204もしくは1206が付加された本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例を説明するための模式図を示す。ここで、報知装置1204はそれぞれのエレベータ装置112に含まれる表示装置またはアナウンス装置である。報知装置1204はそれぞれのエレベータ装置112の乗り場および乗りかごの少なくとも一方に備えられる。報知装置1206はエレベータ装置112の乗り場がある区域に1または複数設けられる表示装置またはアナウンス装置である。報知装置1204および報知装置1206の両方を設ける必要は必ずしもなく、いずれか一方の報知装置を設けた構成としてもよい。尚、本実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例は、第1の実施形態ないし第3の実施形態または第5の実施形態にしたがったエレベータの群管理制御システムの構成例に報知制御装置1202と、報知装置1204もしくは1206を付加した形態としてもよい。また、図13に、図12に示した構成例における動作の一例を表すフローチャートを示す。図12に示した構成例における図13に示した動作は、図9を参照しながら説明を行った第4の実施形態における動作に、報知制御装置1202が、着床階設定装置110によって設定された複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を表す着床階情報を受信し、報知装置1204もしくは1206に、着床階情報のうち各報知装置に関連する情報を報知するように報知装置に指示する動作が付加されており、S202ないしS210の動作は図9を参照しながら説明した第4の実施形態における動作と同一である。尚、図13に示した動作から、S909における各階床の利用者数と時間帯との関係を学習する動作を削除した動作形態も実施可能である。この場合の動作形態は、前述した第1の実施形態ないし第3の実施形態または第5の実施形態における動作に、報知制御装置1202が、着床階設定装置110によって設定された複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を表す着床階情報を受信し、報知装置1204もしくは1206に、着床階情報のうち各報知装置に関連する情報を報知するように報知装置に指示する動作が付加された形態となる。
【0056】
入場検出装置102によって、S202で、入場管理区域に入場するための開錠操作が行われたことを検出されると、以降、前述したS202ないしS210の動作が実行される。次にS1312で、報知制御装置1202は、着床階設定装置110によってS210で設定された複数のエレベータ装置112それぞれの着床階を表す情報である着床階情報を受信する。また、報知制御装置1202は、受信した着床階情報のうち少なくとも各報知装置に関連する情報を報知するように報知装置1204または1206に指示する。
【0057】
図3を参照しながら一例を説明する。図3(a)に示す状態においては、第1号機〜第3号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は1階〜6階の下層階のゾーンに、第4号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は6階〜11階の各上層階のゾーンと1階に設定されている。このとき、報知制御装置1202は、第1号機〜第3号機のエレベータ装置112の報知装置1204に、設定された着床階が1階〜6階であることを報知するように指示する。報知制御装置1202は、また、第4号機〜第6号機の報知装置1204に、設定された着床階が6階〜11階と1階であることを報知するように指示する。この結果、3号機のエレベータ装置112の乗り場および乗りかごの少なくとも一方に設けられた表示装置1204には、例えば、図14(a)示す情報が表示される。エレベータ装置112の着床階の設定が図3(b)に示す状態においては、第1号機および第2号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は1階〜6階の下層階のゾーンに、第3号機〜第6号機のエレベータ装置112それぞれの着床階は6階〜11階の各上層階のゾーンと1階に設定されている。この結果、3号機のエレベータ装置112の乗り場および乗りかごの少なくとも一方に設けられた表示装置1204には、例えば、図14(b)示す情報が表示される。尚、報知制御装置1202は、第1号機〜第6号機のエレベータ装置112すべての報知装置1204に着床階情報を伝達し、それぞれの報知装置1204は受信した着床階情報から当該報知装置に関連する着床階情報のみを報知するようにしてもよい。
【0058】
報知制御装置1202が、エレベータ装置112の乗り場がある区域に1または複数設けられる報知装置1206に着床階情報を報知させる指示を行った場合の、報知装置1206における表示例を図14(c)および(d)に示す。図14(c)は、エレベータ装置112の着床階の設定が図3(a)に示す状態における表示例であり、図14(d)は、エレベータ装置112の着床階の設定が図3(b)に示す状態における表示例である。
【0059】
本実施形態によれば、第1の実施形態ないし第5の実施形態の効果に加えて、入場者がエレベータを利用する際に、どのエレベータ装置が利用可能であるかを容易に知ることができる。
【0060】
以上述べた実施形態によれば、エレベータ装置が設置された建物内における各階床の利用者数が変動した場合に、各階床の利用者数に応じて複数のエレベータ装置それぞれの着床階を動的に設定することによって、複数のエレベータ装置による輸送効率の向上が可能となる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
102…入場検出装置、 104…利用階検出装置、 106…利用階床情報受信部、
108…利用者数計数装置、 110…着床階設定装置、 112…エレベータ装置、
502…退出検出装置、 802…利用階学習装置、
1002…入場者特徴情報受信部、 1004…ドア動作変更装置、
1006…入場者特徴検出装置、 1202…報知制御装置、
1204、1206…報知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータ装置と、
前記複数のエレベータ装置が設置された建物内のエレベータ乗場を含む入場管理区域への入場者が立ち入ることを許可された階床である利用許可階を表す利用階床情報を受け取る利用階床情報受信装置と、
この利用階床情報受信装置によって受信された前記利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を積算する利用者数計数装置と、
前記利用者数計数装置によって計数された各階床の利用者数に基づいて、前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を設定する着床階設定装置と
を備えることを特徴とするエレベータの群管理制御システム。
【請求項2】
前記利用階床情報受信装置は、前記入場管理区域から退場した者の利用階床情報を、さらに、受け取り、
前記利用者数計数装置は、前記積算したそれぞれの階床の利用者数から、前記入場管理区域から退場した者に対応する利用階床の利用者数を、さらに、減算することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項3】
前記着床階設定装置は、前記利用者数計数装置によって計数された各階床の利用者数分布に基づいて、前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を複数のゾーンに分けるか、前記複数のエレベータ装置のうち少なくとも一部のエレベータ装置の着床階を間欠的とするかを切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項4】
前記システムは、前記利用者数計数装置によって計数された各階床の利用者数と前記利用階床情報を受信した時間帯とを記憶するとともに前記各階床の利用者数と前記時間帯との関係を学習する利用階学習装置を、さらに、備え、
前記着床階設定装置は、前記利用階学習装置から出力される利用階床学習情報に基づいて、時間帯ごとに前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項5】
前記システムは、
前記管理区域への入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報を受信する入場者特徴情報受信装置と、
前記入場者特徴情報受信装置によって受信された前記エレベータ利用に関連する入場者の前記特徴情報に応じて、前記入場者の利用階における前記エレベータ装置の戸開時間および戸閉に関連する動作の少なくとも一方を変更するドア動作変更装置と
を、さらに、備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項6】
前記システムは、
報知装置と、
前記報知装置を制御する報知制御装置とを、さらに、備え、
前記着床階設定装置は、設定した前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を表す着床階情報を、前記報知制御装置に伝達し、
前記報知制御装置は、受信した前記着床階情報のうち少なくとも前記報知装置に関連する情報を、前記報知装置に報知させる指示を出すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項7】
複数のエレベータ装置が設置された建物内のエレベータ乗場を含む入場管理区域への入場者が立ち入ることを許可された階床である利用許可階を表す利用階床情報を受け取る利用階床情報受信ステップと、
この利用階床情報受信ステップにおいて受信された前記利用階床情報に基づいて、それぞれの階床の利用者数を積算する利用者数計数ステップと、
この利用者数計数ステップにおいて計数された各階床の利用者数に基づいて、前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を設定する着床階設定ステップと
を含むことを特徴とするエレベータの群管理制御方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記入場管理区域から退場した者の利用階床情報を受け取るステップを、さらに、含み、
前記利用者数計数ステップは、前記積算したそれぞれの階床の利用者数から、前記入場管理区域から退場した者に対応する利用階床の利用者数を減算するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載のエレベータの群管理制御方法。
【請求項9】
前記着床階設定ステップは、前記利用者数計数ステップにおいて計数された各階床の利用者数分布に基づいて、前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を複数のゾーンに分けるか、前記複数のエレベータ装置のうち少なくとも一部のエレベータ装置の着床階を間欠的とするかを切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエレベータの群管理制御方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記利用者数計数ステップにおいて計数された各階床の利用者数と前記利用階床情報を受信した時間帯とを記憶するとともに前記各階床の利用者数と前記時間帯との関係を学習する利用階学習ステップを、さらに、含み、
前記着床階設定ステップにおいては、前記利用階学習ステップにおいて取得された利用階床学習情報に基づいて、時間帯ごとに前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階が設定されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエレベータの群管理制御方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記管理区域への入場者のエレベータ利用に関連する特徴情報を受信する入場者特徴情報受信ステップと、
前記入場者特徴情報受信ステップにおいて受信された前記エレベータ利用に関連する入場者の前記特徴情報に応じて、前記入場者の利用階における前記エレベータ装置の戸開時間および戸閉に関連する動作の少なくとも一方を変更するドア動作変更ステップと
を、さらに、含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエレベータの群管理制御方法。
【請求項12】
前記方法は、
報知装置を制御する報知制御ステップを、さらに、含み、
前記報知制御ステップにおいては、前記着床階設定ステップにおいて設定された前記複数のエレベータ装置それぞれの着床階を表す着床階情報のうち少なくとも前記報知装置に関連する情報を、前記報知装置に報知させる指示を出すことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のエレベータの群管理制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−229101(P2012−229101A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99297(P2011−99297)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】