説明

エレベータ制御装置、監視システム、検索再生プログラム、入退室管理システム

【課題】非認証者がいずれの階で降車したのかを報知するエレベータ制御装置及びこれを用いた監視システム、検索再生プログラム、入退室管理システムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のエレベータ制御装置1は、乗客が行先階を登録する行先階登録手段11と、行先階登録手段11への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段15と、エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段12と、計測手段12の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段13と、運転制御手段15で演算した降車予定人数と降車人数検知手段13で検出した降車人数とを降車階毎に比較し、降車人数が降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非認証者を検知するエレベータ制御装置と、これを用いたセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯上の理由から、利用するには個人認証を必要とするエレベータがある。しかしながら、認証者の後に非認証者が続いて乗車してしまう“共連れ”という物理セキュリティホールがあった。これに対し、認証者の数と実際の乗車人数を比較することによって非認証者を検知し、エレベータの運転を制約するシステムが特許文献1〜5に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−237837号公報
【特許文献2】特開2005−263363号公報
【特許文献3】特開2006−168930号公報
【特許文献4】国際公開第2007/034560号
【特許文献5】国際公開第2009/008057号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の非認証者を検知するシステムでは、非認証者のエレベータへの乗車を検知した場合に、エレベータのドアを開けたままに制御したり行先階を登録できないようにし、エレベータを出発させない、あるいはエレベータの出発を遅らせる、という制約を加えて防犯性を向上させている。そのため、非認証者を検知すると他の階の乗客もそのエレベータを利用することが出来なくなったり、エレベータの到着が遅れることにより不便を強いられるという課題がある。一方で、エレベータを出発させてしまうと非認証者は別の階へ移動することができるが、移動してしまった非認証者への対策については言及されていない。
【0005】
そこで、本発明は上述の問題点に鑑み、非認証者がいずれの階で降車したのかを報知するエレベータ制御装置及びそれを用いたセキュリティシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータ制御装置は、乗客が行先階を登録する行先階登録手段と、行先階登録手段への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段と、エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段と、計測手段の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段と、運転制御手段で演算した降車予定人数と降車人数検知手段で検出した降車人数とを降車階毎に比較し、降車人数が降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段と、を備える。
【0007】
又、本発明の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、各階の映像の中から非認証者の降車階の映像に注意を喚起する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0008】
又、本発明の検索再生プログラムは、監視システムの録画映像に、階と時刻に対応したIDを付与する手順と、監視システムがエレベータ制御装置から受信した非認証者の降車階と降車時刻に対応したIDが付与された映像を、監視システムが録画した映像から抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0009】
又、本発明のビルの各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムは、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信した場合、降車階の部屋の出入口の開錠を許可しない。これにより、非認証者の移動を防ぎ、防犯性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエレベータ制御装置は、乗客が行先階を登録する行先階登録手段と、行先階登録手段への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段と、エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段と、計測手段の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段と、運転制御手段で演算した降車予定人数と降車人数検知手段で検出した降車人数とを降車階毎に比較し、降車人数が降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段と、を備える。本発明のエレベータ制御装置は非認証者の降車階を検知して外部の監視システムに発報するため、建物の防犯性が向上する。また、非認証者を検知してもエレベータを通常通り運行させるため、使用者に不便を強いることがない。
【0011】
又、本発明の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、各階の映像の中から非認証者の降車階の映像に注意を喚起する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0012】
又、本発明の検索再生プログラムは、監視システムの録画映像に、階と時刻に対応したIDを付与する手順と、監視システムがエレベータ制御装置から受信した非認証者の降車階と降車時刻に対応したIDが付与された映像を、監視システムが録画した映像から抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0013】
又、本発明のビルの各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムは、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信した場合、降車階の部屋の出入口の開錠を許可しない。これにより、非認証者の移動を防ぎ、防犯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1のエレベータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1のエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】人数検知方法の説明図である。
【図4】人数検知方法の説明図である。
【図5】人数検知方法の説明図である。
【図6】人数検知方法の説明図である。
【図7】人数検知方法の説明図である。
【図8】人数検知方法の説明図である。
【図9】光電センサの一例を示す図である。
【図10】人数検知方法の説明図である。
【図11】人数検知方法の説明図である。
【図12】人数検知方法の説明図である。
【図13】実施の形態2のエレベータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図14】実施の形態2のエレベータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】属性検知方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、本実施の形態に係るエレベータ制御装置1の構成を示すブロック図である。図1のエレベータ制御装置1は、行先階登録手段11、計測手段12、降車人数検知手段13、発報手段14、運転制御手段15を備えている。これらの手段の内、ハードウェアである行先階登録手段11、計測手段12以外の各手段は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
【0016】
行先階登録手段11は、エレベータの乗客が行先階を登録する装置で構成され、各乗客の行先階を出力する。計測手段12は、エレベータに設置されている重量センサで構成され、積載重量を計測する。降車人数検知手段13は、計測手段12の計測結果を基にエレベータからの降車人数を降車が発生した階毎に算出する。発報手段14は、非認証者が降車したことをビルの物理セキュリティシステム等の外部システムへ発報する。運転制御手段15は、行先階登録手段11における行先階の登録状況から各階の降車予定人数を演算する。
【0017】
すなわち、実施の形態1のエレベータ制御装置1は、乗客が行先階を登録する行先階登録手段11と、行先階登録手段11への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段15と、エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段12と、計測手段12の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段13と、運転制御手段15で演算した降車予定人数と降車人数検知手段13で検出した降車人数とを降車階毎に比較し、降車人数が降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段14と、を備える。このように、非認証者の侵入階をエレベータの外部システムへ発報するため、外部システムはその情報を受けて防犯対策を施すことができ、ビルの防犯性や作業効率を向上することができる。また、非認証者を発見したとしてもエレベータの運転に制約を加えないので、一般の乗客はエレベータを通常通り利用することができる。
【0018】
<動作>
次に、図1に示した人数検知装置1の動作について図2に沿って説明する。図2は、本実施の形態のエレベータ制御装置1の動作を示すフローチャートである。
【0019】
まず、乗客は行先階登録手段11を用い、乗場から行先階をエレベータに登録する(ステップST101)。行先階登録手段11は、例えばテンキーの形式で行先階を入力することが可能な構成であり、エレベータを利用する乗客は全員、行先階登録手段11にて行先階を登録する。あるいは、行先階登録手段11はICタグリーダによって構成され、エレベータを利用する乗客は全員、予め所持しているICタグをICタグリーダに読み込ませるようにしてもよい。行先階登録手段11をICタグリーダとする場合、行先階登録手段11はICタグ内の情報から行先階を決定し、エレベータ制御装置へ行先階を登録する。行先階を登録したりICタグをかざす等、エレベータを利用する際の認証手順が予め定まっており、こうした本来の手順を踏襲しない乗客を本実施の形態では非認証者として扱う。
【0020】
なお、こうした認証動作は乗場で行わなくても良く、エレベータに乗車後、エレベータ内にて全員が行先階を登録したり、ICタグをかざすことによって認証を受けても良い。
【0021】
また、ICタグ以外の認証方法として、例えば、顔画像・全身画像・指紋・声紋・静脈・虹彩・パスワードなどの情報によって認証を行い、行先階登録手段11が各情報から行先階を決定し、エレベータ制御装置へ行先階を登録することとしても良い。
【0022】
次に、運転制御手段15は、行先階登録手段11に登録された各乗客の行先階から各階での降車予定人数を演算する(ステップST102)。乗客はエレベータが到着したら乗車し(ステップST103)、エレベータが自分の行先階に到着したら各自降車する(ステップST104)。降車が発生すると、降車人数検知手段13は、計測手段12の計測結果から当該階での降車人数を演算する(ステップST105)。
【0023】
そして、発報手段14は、運転制御手段15から当該階での降車予定人数を得、降車人数検知手段13から当該階の降車人数を得、両者を比較する(ステップST106)。降車予定人数より降車人数が大きな値であった場合、当該階で降車した人物の中に非認証者が含まれていると判断し、ビルの物理セキュリティシステムなどの外部システムに、非認証者が当該階に侵入したことを発報する(ステップST107)。
【0024】
<降車人数推定>
ステップST105にて降車人数検知手段13が降車人数を推定する方法について、以下に詳述する。図3は、計測手段11が計測するエレベータの積載重量W(i)の時系列変化の一例を示した図であり、降車人数検知手段13は計測手段11からこのような計測結果を受信する。図において横軸は時刻t(i)、縦軸は積載重量W(i)を示しており、エレベータに2人が乗車した後2人が降車した場合を示している。降車人数検知手段13は、式(1)により積載重量W(i)の差分間隔毎の変化を演算し、時間差分データWdiff(i)を作成する。
【0025】
【数1】

【0026】
ここで、Δiは差分間隔を表している。こうして作成された時間差分データWdiff(i)の時系列変化の一例を図4に示す。図において横軸は時刻t(i)、縦軸は時間差分データWdiff(i)を示している。上方向に凸の波形は積載重量が増加したことを示し、エレベータ内に人が乗車したことを意味する。逆に、下方向に凸の波形は積載重量が減少したことを示し、エレベータ内から人が降車したことを意味する。図中の閾値A〜Fについては後述する。
【0027】
図5は、1人が乗車したときのエレベータの積載重量W(i)から作成された、標準モデルの時間差分データWm(i)の時系列変化を示す。降車人数検知手段13は、時間差分データWdiff(i)の時系列変化が下方向に凸の波形であり降車が発生したことを示している場合は、例えば予め保持している標準モデルの時間差分データWm(i)の値を負にして時間軸方向に走査し、時間差分データWdiff(i)の時系列変化と標準モデルの時間差分データWm(i)の時系列変化との類似度を表す式(2)の正規化相互相関関数z(τ)を演算する。
【0028】
【数2】

【0029】
ここで、τは基準となる時刻t(i)からのずれ量を示し、Wm(バー)は標準モデルの時間差分データWm(i)の平均を示し、Wdiff(バー)は受信した時間差分データWdiff(i)の平均を示す。基準となる時刻は任意に選択することができ、例えば現在のt(i)でも良い。そして、相互相関関数z(τ)の値が予め保持している閾値Soverlap以上となった回数を降車人数とする。時間差分データWdiff(i)の時系列変化が上方向に凸の波形である場合には、同様の方法から乗車人数を演算することができる。このように、標準モデルの時間差分データWm(i)を使用して乗車人数や降車人数を推定する方法を人数推定方法1とする。
【0030】
また、降車人数検知手段13は、上記人数推定方法1とは異なる次の人数推定方法2によって降車人数を推定しても良い。すなわち、ステップST105において、降車人数検知手段13は時間差分データWdiff(i)の0以上の値の所定の位置に閾値を設定し、時間差分データWdiff(i)が閾値以上になった回数を乗車人数とする。例えば、図4のCの位置に閾値を設定した場合、時間差分データWdiff(i)が閾値C以上になった回数は2回であるため、降車人数検知手段13は乗車人数を2人と推定する。一方、降車人数検知手段13は時間差分データWdiff(i)の0以下の値で所定の位置に閾値を設定し、時間差分データWdiff(i)が閾値以下になった回数を降車人数とする。
【0031】
この人数推定方法2は、人数推定方法1のように降車人数検知手段13がモデル波形Wm(i)を予め保持しておく必要がなく、モデル波形Wm(i)との類似度を演算する必要がないことから、使用する演算リソース量を少なくすることが出来るという利点がある。
【0032】
また、降車人数検知手段13は、人数推定方法1,2とは異なる人数推定方法3により乗車人数と降車人数を推定しても良い。
【0033】
すなわち、ステップST105において、降車人数検知手段13は時間差分データWdiff(i)の0以上の値で所定の閾値を複数設定し、時間差分データWdiff(i)が閾値以上になった回数を各閾値毎にカウントして、最も多くカウントされた回数を乗車人数と推定する。同様に、時間差分データWdiff(i)の0以下の値で所定の閾値を複数設定し、時間差分データWdiff(i)が閾値以下になった回数を各閾値毎にカウントして、最も多くカウントされた回数を降車人数と推定する。
【0034】
例えば、降車人数検知手段13は、図4に示す時間差分データWdiff(i)を作成すると、図中に示す閾値A,B,C,D,E,Fのように所定の閾値を複数個設定し、時間差分データWdiff(i)が各閾値以上になった回数を乗車人数の推定候補としてカウントする。図6は、そのカウント結果の一例を示す図である。図4に示した時間差分データWdiff(i)が閾値Aを超えるのは1回(乗車人数1人)、閾値Bを超えるのは2回(2人)、閾値Cを超えるのは2回(2人)、閾値Dを超えるのは2回(2人)、閾値Eを超えるのは3回(3人)、閾値Fを超えるのは2回(2人)である。図6に示すように乗車人数の推定候補2人のカウント値が4と最も多いので、降車人数検知手段13は乗車人数を2人と推定する。
【0035】
一方、乗客が降車した場合も同様に、降車人数検知手段13は時間差分データWdiff(i)の0以下の値で所定の閾値を複数設定し、時間差分データWdiff(i)が閾値以下になった回数を各閾値毎にカウントすることにより、降車人数を推定できる。
【0036】
この人数推定方法3は、降車人数検知手段13がモデル波形Wm(i)を予め保持しておく必要がなく、モデル波形Wm(i)との類似度を演算する必要がないことから人数推定方法1よりも演算リソース量が少なく、1つの閾値で降車人数をカウントする人数推定方法2よりも精度良く乗車人数と降車人数を推定できるという利点がある。
【0037】
また、降車人数検知手段13は、人数推定方法1〜3とは異なる次の人数推定方法4により乗車人数や降車人数を推定しても良い。すなわち、降車人数検知手段13はエレベータのドアを乗客が通過したとき、通過を感知する光電センサの感知回数を通過人数とする。この場合、光電センサは計測手段11に含まれているものとする。1回の感知時間が短い場合はノイズであり、通過人数として計数しないよう感知時間による制限を設けても良い。このようにして通過人数を検出する方法を通過人数検出方法1とする。
【0038】
そして、降車人数検知手段13は積載重量W(i)から乗客の進行方向を検出する。図7は積載重量W(i)から乗客の進行方向を検出する方法を説明する図であり、図7(a)は積載重量W(i)の時系列変化、図7(b)は検出した進行方向を示している。図7に示すグラフの所定の期間[t(i),t(i−x)](xは変数であり、自然数)に着目し、降車人数検知手段13は、W(i)−W(i−x)<Y1を満たすとき、所定の時間[t(i),t(i−x)]はエレベータから降車中であると検出する。ここでY1は予め定める閾値である。また降車人数検知手段13は、W(i)−W(i−x)>Y2を満たすとき、所定の期間[t(i),t(i−x)]はエレベータへ乗車中であると検出する。ここでY2は、予め定められたY1とは異なる閾値である。x、Y1,Y2は、予め降車人数検知手段13によって保持されている。このようにして進行方向を検出する方法を進行方向検出方法1とする。
【0039】
そして、降車人数検知手段13は求めた通過人数と進行方向とを付き合わせて、エレベータの乗車人数と降車人数を検出する。図8(a)に通過人数の検出結果を、図8(b)に進行方向の検出結果を示す。図8に示すように、降車中であると推定されている期間[t(i),t(i−x)]に通過人数が1人と推定されている場合、その期間の降車人数を1人とする。しかし、通過人数を推定するための光電センサと進行方向を推定する重量センサはセンサ系列が異なるため、互いの時系列データに時間差が生じ、重量センサが降車中であると推定した期間[t(i),t(i−x)]に光電センサが通過人数を1人と検出するとは限らない。そこで、通過人数が検出された期間に進行方向が不明(以下、「不」という)である場合、通過人数の出力時刻を±Z(Zは自然数)の範囲でずらすことにより、進行方向が乗車方向(以下、「乗」という)又は降車方向(以下、「降」という)と一致するか否かを探索する。探索した結果「降」と一致した場合は、降車人数を1人と出力する。仮に、通過人数の出力時刻を±Zの範囲でずらしても進行方向が「乗」または「降」と一致しない場合は、予め降車人数検知手段13が保持するルールに沿って、乗車人数をN(Nは自然数)人、降車人数をM(Mは自然数)人と出力する。
【0040】
図8において通過人数が検出された時刻において進行方向が「不」である場合、通過人数の出力時刻を±Zの範囲でずらす例を説明したが、進行方向の出力期間[t(i),t(i−x)]を±Zの範囲でずらしても同様の効果が得られる。ここで変数Zは、降車人数検知手段13によって保持されているものとする。
【0041】
ステップST105において降車人数検知手段13が人数推定方法4により乗車人数や降車人数を推定する場合、降車人数検知手段13は通過人数検出方法1とは異なる通過人数検出方法2で通過人数を検出しても良い。図9は、ドアの近傍に複数個並べて設けられる光電センサを示す図である。図10は、光電センサの感知結果を示す図である。図10(a)は、図9に示した光電センサの感知結果の時系列変化を示すグラフであり、横軸は時刻、縦軸は光電センサの設置位置を示している。図10(b)は、光電センサ24の感知結果の累積数の時系列変化を示す図であり、横軸は時刻、縦軸は感知結果累積数を示している。図では、光電センサが感知した位置を黒点で示している。ドアを人が通過すると、図10(a)に示すような感知結果が得られる。ここで、光電センサの設置位置に予め範囲Pn(nは自然数)を設ける。例えば範囲P1において、N1(N1は自然数)個以上の光電センサがM1(M1は自然数)回連続して感知したことを通過開始条件S1とする。所定の範囲P1,P2は、必ずしも同一の範囲である必要はない。降車人数検知手段13は、通過開始条件S1が満たされてから通過終了条件E1が満たされるまでの間に利用者が通過したと判断し、通過人数を1人と検出する。
【0042】
また、図10(b)に示す感知結果累積数にも予め範囲Qn(nは自然数)を定める。例えば範囲Q1において、N3(N3は自然数)個以上の光電センサがM3(M3は自然数)回連続して感知したことを通過開始条件S2とする。また、例えば所定の範囲Q2において、N4(N4は自然数)個以上のセンサがM4(M4は自然数)回連続して感知しなかったことを通過終了条件E2とする。所定の範囲Q1,Q2は、必ずしも同一の範囲である必要はない。降車人数検知手段13は、通過開始条件S2が満たされてから通過終了条件E2が満たされるまでの間に利用者が通過したと判断し、通過人数を1人と推定する。2つの通過開始条件S1,S2のいずれか一方を適用しても良いし、両方を適用しても良い。また2つの通過終了条件E1,E2のいずれか一方を適用しても良いし、両方を適用しても良い。このように通過人数を検出する方法を通過人数検出方法2とする。Pn,Qn,Nn(nは自然数),Mn(nは自然数)は、降車人数検知手段13によって保持されているものとする。
【0043】
また、ステップST105において、降車人数検知手段13が人数推定方法4により乗車人数や降車人数を推定する場合、降車人数検知手段13は、進行方向検出方法1とは異なる進行方向検出方法2で進行方向を検出しても良い。図11は、進行方向検出方法2を説明する図であり、進行方向検出方法2では積載重量の時間差分データWdiff(i)から進行方向を検出する。図11(a)は、計測手段12の重量センサが計測した積載重量W(i)の時系列変化を示すグラフであり、図11(b)は、積載重量W(i)の時系列変化から演算される時間差分データWdiff(i)の時系列変化を示すグラフである。図11(a),(b)の横軸はともに時刻t(i)を示す。図11(a)の縦軸は積載重量W(i)を示しており、図11(b)の縦軸は積載重量W(i)の時間差分データWdiff(i)を示している。図11(b)に示す時間差分データWdiff(i)は、積載重量が減少するとマイナスの値を示し、積載重量が増加するとプラスの値を示し、積載重量に変化がないと零の値を示すという特性がある。そこで、時間差分データWdiff(i)がマイナスの値を示してから再び零の値を示すまでの期間[t(i),t(i−x)]に降車が発生していると検出する。また、時間差分データWdiff(i)がプラスの値を示してから再び零の値を示すまでの期間に乗車が発生していると検出する。このようにして進行方向を検出する方法を進行方向検出方法2とする。
【0044】
また、降車人数検知手段13が人数推定方法4により乗車人数や降車人数を推定する場合、降車人数検知手段13は、進行方向検出方法1,2とは異なる進行方向検出方法3で進行方向を検出してもよい。図12は、二対の光電センサを進行方向に対して前後に設置した様子を示す平面図である。第1の光電センサを時刻t(i−x)に感知した後に、第2の光電センサを時刻t(i)に感知した場合、利用者は期間[t(i),t(i−x)]に、図12の紙面に向かって左から右へ進行したと検出する。第2の光電センサを感知した後に第1の光電センサを感知すると、利用者は図12の紙面に向かって右から左へと進行したと検出する。このようにして進行方向を検出する方法を進行方向検出方法3とする。ただし、進行方向検出方法3によって進行方向を検出する場合、光電センサを進行方向に対して前後に複数個設置する必要がある。
【0045】
図9では、光電センサをドア近傍に複数個並べて設置した様子を示しているが、図9は説明を簡易にするため模式的に示した図であり、光電センサは乗場側又はエレベータ側のどちらに設置されていても良い。また光電センサは、必ずしも乗場側やエレベータ側の目視可能な位置に設置する必要はない。例えば、一般的にエレベータのドアは乗場側のドアとエレベータ側のドアによって構成されており、光電センサは乗場側のドアとエレベータ側のドアとの間に設置されていても良い。また、光電センサは必ずしも各乗場に1つずつ設置する必要はなく、エレベータ側のドアに装着され、エレベータの移動と共に光電センサも移動し、各階で乗客の通過を感知できるようにしても良い。また、光電センサは一般的に発光端子と受光端子とによって構成されるが、発光端子と受光端子は必ずしも1対1に対応している必要はない。発光側がビームを広角に発射することで、1つの発光端子と複数の受光端子とで複数の計測結果を測定することが可能であり、そのような光電センサを用いても本発明を実施することが可能である。
【0046】
<外部システム>
次に、本実施の形態のエレベータ制御装置を用いた外部システムについて説明する。外部システムとして、例えばビル内の監視カメラの映像を視聴する監視システムがある。このような監視システムは、非認証者が侵入したことを受け、各階の中から非認証者が侵入した階の画像を画面の前面に出したり、当該階の画像枠を光らせたり、音を鳴らしたり、音声で非認証者の侵入を連絡したり、監視画面を変化させたりすることによって、非認証者が降車した階の映像を際立たせ、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。また、監視画像の録画を一時的に高密度にするといった対策を施すことも出来る。
【0047】
すなわち、実施の形態1の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、各階の映像の中から非認証者の降車階の映像に注意を喚起する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0048】
また、当該監視システムは、エレベータ制御装置1から非認証者の降車階を受信し、非認証者の降車階の映像を高密度に録画する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0049】
また、監視システムが、非認証者が降車した階及びその発生時刻を保存しておけば、監視システムの録画映像から特定のシーンを検索し、検索されたシーンの発生時刻を指定して再生する監視システム用の検索再生プログラムを用いる場合、当該時刻に非認証者が降車/乗車したという情報で検索することが容易になり、非認証者が写された映像を効率的に検索して表示することができる。例えば検索再生プログラムでは、監視システムが録画した映像に、階と時刻に対応したIDを付与しておき、監視システムがエレベータ制御装置1の発報手段14から受信した非認証者の降車階とその発生時刻に対応したIDが付与された映像を、録画映像から抽出し再生する。
【0050】
さらに、別の外部システムとして、例えばエレベータ内を撮影し、撮影映像を録画装置に録画する監視システムがある。非認証者が降車/乗車したことをエレベータ制御装置1の発報手段14から受信した監視システムは、非認証者が降車/乗車した時刻を画像と一緒に保存しておけば、後で映像を再生したときに当該時刻に降車/乗車した人物を非認証者として特定することができ、防犯性の向上に繋がる。あるいは、録画映像から特定のシーンを検索し、検索されたシーンの発生時刻を指定して再生する監視システム用の検索再生プログラムを用いる場合、当該時刻に非認証者が降車/乗車したという情報で検索することが容易になり、非認証者が降車/乗車する際の映像を効率的に検索して表示することができる。例えば検索再生プログラムでは、監視システムが録画したエレベータ内の映像に、時刻に対応したIDを付与しておき、監視システムがエレベータ制御装置1の発報手段14から受信した非認証者の降車/乗車時刻に対応したIDが付与された映像を、録画映像から抽出し再生する。
【0051】
すなわち、実施の形態1の監視システムは、ビル内やエレベータ内の撮影画像を録画する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、非認証者の降車階及び降車時刻を保存する。これにより、検索再生プログラムを用いて録画画像を再生する場合、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0052】
また、実施の形態1の検索再生プログラムは、監視システムの録画映像に、階と時刻に対応したIDを付与する手順と、監視システムがエレベータ制御装置から受信した非認証者の降車階と降車時刻に対応したIDが付与された映像を、監視システムが録画した映像から抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0053】
別の外部システムとして、例えば各階の各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムがある。非認証者が所定の階に降車したことをエレベータ制御装置1の発報手段14から受信した入退室管理システムは、非認証者が降車した階の各部屋や、機密度の高い部屋の出入口の開錠を一時的に許可しないといった対策を施し、防犯性を向上させることが出来る。
【0054】
すなわち、実施の形態1の入退室管理システムは、ビルの各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信した場合、降車階の部屋の出入口の開錠を許可しない。これにより、非認証者の移動を防ぎ、防犯性を向上させることができる。
【0055】
<応用例>
乗客は、通常建物に入ってから別の階へ移動する時にエレベータを利用する。そのため、建物の入口がある階への侵入にはエレベータを利用しないので、上述したエレベータ制御装置及び外部システムでは検知できない。そこで次のような応用例がある。
【0056】
エレベータには2つの出入口を持つものがある。そこで、利用者が建物の入口がある階へ入場する際には、エレベータを呼んでエレベータの一方の出入口から乗車し、そのままもう一方の出入口から降車することによって建物内に入場する。このように、エレベータと建物の入口を兼用することにより、図1に示したエレベータ制御装置を用いて、建物の入口がある階への侵入に対しても防犯性を向上させることが出来る。
【0057】
<効果>
実施の形態1のエレベータ制御装置によれば、既に述べたとおり以下の効果を奏する。すなわち、実施の形態1のエレベータ制御装置1は、乗客が行先階を登録する行先階登録手段11と、行先階登録手段11への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段15と、エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段12と、計測手段12の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段13と、運転制御手段15で演算した降車予定人数と降車人数検知手段13で検出した降車人数とを降車階毎に比較し、降車人数が降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段14と、を備える。このように、非認証者の侵入階をエレベータの外部システムへ発報するため、外部システムはその情報を受けて防犯対策を施すことができ、ビルの防犯性や作業効率を向上することができる。また、非認証者を発見したとしてもエレベータの運転に制約を加えないので、一般の乗客はエレベータを通常通り利用することができる。
【0058】
また、実施の形態1の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、各階の映像の中から非認証者の降車階の映像に注意を喚起する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0059】
また、当該監視システムは、エレベータ制御装置1から非認証者の降車階を受信し、非認証者の降車階の映像を高密度に録画する。これにより、非認証者の特定を容易にし、防犯性が向上する。
【0060】
また、実施の形態1の監視システムは、ビル内やエレベータ内の撮影画像を録画する監視システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信し、非認証者の降車階及び降車時刻を保存する。これにより、検索再生プログラムを用いて録画画像を再生する場合、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0061】
また、実施の形態1の検索再生プログラムは、監視システムの録画映像に、階と時刻に対応したIDを付与する手順と、監視システムがエレベータ制御装置から受信した非認証者の降車階と降車時刻に対応したIDが付与された映像を、監視システムが録画した映像から抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、降車階と降車時刻から容易に非認証者が写された映像を再生する事ができ、非認証者の特定が容易になる。
【0062】
別の外部システムとして、例えば各階の各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムがある。非認証者が所定の階に降車したことをエレベータ制御装置1の発報手段14から受信した入退室管理システムは、非認証者が降車した階の各部屋や、機密度の高い部屋の出入口の開錠を一時的に許可しないといった対策を施し、防犯性を向上させることが出来る。
【0063】
また、実施の形態1の入退室管理システムは、ビルの各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムであって、エレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信した場合、降車階の部屋の出入口の開錠を許可しない。これにより、非認証者の移動を防ぎ、防犯性を向上させることができる。
【0064】
(実施の形態2)
実施の形態1のエレベータ制御装置は、非認証者を発見するとその降車階を外部のシステムに発報するが、非認証者に関する情報については言及していない。そこで、実施の形態2では非認証者の情報を取得し、それを防犯性の向上に生かす方法について説明する。
【0065】
<構成>
図13は、本発明の実施の形態2のエレベータ制御装置2の構成を示すブロック図である。実施の形態2のエレベータ制御装置2は、実施の形態1のエレベータ制御装置1と構成が類似しているため、構成が異なる部分についてのみ説明し、対応する箇所には同一の参照符を付して実施の形態1と共通する説明は省略する。
【0066】
エレベータ制御装置2は、行先階登録手段11、計測手段12、降車人数検知手段13、発報手段14、運転制御手段15、属性処理手段21を備える。これらの手段のうち、ハードウェアである行先階登録手段11、計測手段12を除いて、各手段13,14,15,21はマイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
【0067】
属性処理手段21は、非認証者の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報を演算する。発報手段14は、非認証者が所定の階に降車したことに加え、属性処理手段21で演算された属性情報も外部システムに発報する。
【0068】
すなわち、実施の形態2のエレベータ制御装置2は、計測手段12の計測結果から、乗客の身長・体重・歩行速度・年齢のうち少なくとも一つ以上を属性情報として取得する属性処理手段21をさらに備え、発報手段14は属性処理手段21から属性情報を受け、非認証者の降車階で降車した乗客の属性情報を外部に発報する。非認証者を含む乗客の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報を外部システムへ発報することが可能なので、外部システムで、非認証者に対するより詳細な情報を扱うことができるようになり、防犯性がさらに向上する。
【0069】
<動作>
図14は、エレベータ制御装置2の動作の処理手順を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートのステップST201〜ステップST205の処理は、前述の図2に示すフローチャートのステップST101〜ステップST105の処理と同一であるため、ステップST201〜ステップST205の処理の説明は省略する。
【0070】
ステップST206において、属性処理手段21は、計測手段12の計測結果や降車人数検知手段13の推定結果から、降車/乗車した乗客の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報を演算する。図15は、図9に例示した光電センサから得られる計測結果である。横軸は時刻を示し、縦軸は光電センサの設置位置を示している。光電センサが感知した位置は黒点で示している。光電センサが設置されたドアを人物が通過すると図15のような計測結果が得られ、これから人物の身長(H)を求めることができる。また、ドアを通過しきるのに要する距離をドアの通過に要した移動時間(L)で割れば、移動速度を求めることができる。ドアを通過しきるのに要する距離は、予め属性処理手段21に保持されているものとする。
【0071】
また、移動速度から人物の年齢を推定することができる。年齢の推定方法としては、例えば年齢と移動速度から年齢を推定するための式を予め保持しておき、属性処理手段21にて移動速度から年齢を演算しても良い。また、属性処理手段21は、計測手段12から図7に示したような積載重量W(i)のデータを取得し、期間[t(i),t(i−x)]の間の積載重量W(i)の減少/増加量を人物の体重とすることもできる。または、属性処理手段21は降車人数検知手段13から図11(b)に示したような積載重量の時間差分データWdiff(i)を取得し、1つの凸型波形(0から始まり0に戻るまでの波形)の積分値を人物の体重としても良い。これは、時間差分データの1つの凸型波形の積分値はその区間の積載重量の変化量に等しい、という時間差分データの特性を利用したものである。
【0072】
ステップST207において、発報手段14は運転制御手段15からその階での降車予定人数を得て、降車人数検知手段13からその階の降車人数を得る。そして、降車予定人数より降車人数が大きな値であった場合、ステップST208に進む。
【0073】
ステップST208において、発報手段14は、ビルの物理セキュリティシステムなどの外部システムに非認証者が降車した階を発報する。その際、ステップST206で属性処理手段21が演算した非認証者の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報も同時に発報する。
【0074】
また、本実施の形態のエレベータ制御装置2は、非認証者/認証者の区別無く属性情報を演算するので、ステップST207において発報手段14は、非認証者以外の属性情報も発報して良い。
【0075】
<外部システム>
次に、本実施の形態のエレベータ制御装置2を用いた外部システムについて説明する。外部システムとして、例えば、ビル内の監視カメラの画像を視聴できる監視システムがある。この監視システムは、非認証者の侵入情報に加えその人物の属性情報を、非認証者の降車階の画像と同時に画面に出すことができる。また、音声により属性情報をアナウンスすることも可能になる。
【0076】
すなわち、実施の形態2に記載の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から乗客の属性情報を受信し、非認証者の降車階の映像に関連した属性情報を外部に出力する。これにより、非認証者の特定が早まり、より防犯性を向上できる。
【0077】
また、監視カメラの映像を録画している場合、その録画装置に人物の属性情報を発報し、録画装置の映像と共に属性情報を保存しておくことにより、後でその録画画像を再生して非認証者を特定したときに非認証者の属性情報も知ることができ、その後の非認証者の発見が容易になるので、非認証者への対策を施して防犯性を向上させることができる。あるいは、録画映像から特定の状況を検索し、検索した状況が発生した時刻を指定して再生する監視システム用の検索再生ソフトウェアを用いる場合、人物の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報から録画映像を検索することが可能になり、検索者の作業を効率化することができる。
【0078】
また、別の外部システムとして、例えば、エレベータ内を撮影し、その撮影画像を録画装置に録画する監視システムがある。監視システムは、非認証者が降車/乗車した情報に加え、人物の属性情報を画像と一緒に保存しておけば、後で画像を再生したときに、非認証者として特定した上で属性情報も知ることができ、防犯性を向上することができる。あるいは、録画した映像の中から、特定のシーンを検索して、その時刻から再生する監視システム用の検索再生ソフトウェアを用いる場合、人物の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報によって検索することが容易になり、検索者の作業を効率化することができる。
【0079】
すなわち、実施の形態2の監視システムは、ビル内又はエレベータ内の撮影画像を録画する監視システムであって、エレベータ制御装置2の発報手段14から乗客の属性情報を受信し、属性情報を保存する。これにより、後でその録画画像を再生して非認証者を特定したときに非認証者の属性情報も知ることができ、その後の非認証者の発見が容易になるので、非認証者への対策を施して防犯性を向上させることができる。
【0080】
また、実施の形態2の検索再生プログラムは、上述の監視システムの録画映像に、当該映像に映っている乗客の属性情報に対応したIDを付与する手順と、所定の属性情報に対応したIDが付与された映像を抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、人物の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報によって映像を検索することができ、効率的に非認証者の映像を再生することが可能になる。
【0081】
また、監視システムが、ビル内の複数の監視カメラの画像を録画しており、各カメラの画像を解析して、人物の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報を推定することが可能な場合、エレベータ制御装置2から発報される属性情報とビル内の監視カメラの画像とを比較して同一の人物であると特定できると共に、それぞれの属性情報を演算するためのデータを計測した場所(エレベータの乗車階/降車階や、カメラの設置位置)と演算された時刻から、その人物のビル内の移動経路を特定し追跡することができる。これにより、被害推定場所や逃走経路を特定することが容易になり、非認証者の発見に貢献できると共に、ビルの防犯対策の向上に役立たせて防犯性を向上することもできる。
【0082】
すなわち、実施の形態2の監視システムは、ビル内の複数の箇所の撮影画像を録画し、画像を解析して画像中の人物の身長・体重・歩行速度・年齢の内、少なくとも1つ以上を属性情報として推定する監視システムであって、エレベータ制御装置2から受信した乗客の属性情報と画像解析で得た属性情報とを比較し、同一人物の属性情報であると判断した場合に、画像解析を行った映像の撮影場所と撮影時刻から、人物のビル内の移動経路を特定する。これにより、被害推定場所や逃走経路を特定することが容易になり、非認証者の発見に貢献できると共に、ビルの防犯対策の向上に役立たせて防犯性を向上することもできる。
【0083】
<効果>
実施の形態2のエレベータ制御装置2によれば、既に述べた通り、実施の形態1の効果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、実施の形態2のエレベータ制御装置2は、計測手段12の計測結果から、乗客の身長・体重・歩行速度・年齢のうち少なくとも一つ以上を属性情報として取得する属性処理手段21をさらに備え、発報手段14は属性処理手段21から属性情報を受け、非認証者の降車階で降車した乗客の属性情報を外部に発報する。非認証者を含む乗客の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報を外部システムへ発報することが可能なので、外部システムで、非認証者に対するより詳細な情報を扱うことができるようになり、防犯性がさらに向上する。
【0084】
実施の形態2の監視システムによれば、既に述べたように以下の効果を奏する。すなわち、実施の形態2の監視システムは、ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、エレベータ制御装置から乗客の属性情報を受信し、非認証者の降車階の映像に関連した属性情報を外部に出力する。これにより、非認証者の特定が早まり、より防犯性を向上できる。
【0085】
また、実施の形態2の別の監視システムは、ビル内又はエレベータ内の撮影画像を録画する監視システムであって、エレベータ制御装置2の発報手段14から乗客の属性情報を受信し、属性情報を保存する。これにより、後でその録画画像を再生して非認証者を特定したときに非認証者の属性情報も知ることができ、その後の非認証者の発見が容易になるので、非認証者への対策を施して防犯性を向上させることができる。
【0086】
また、実施の形態2の検索再生プログラムは、上述の監視システムの録画映像に、当該映像に映っている乗客の属性情報に対応したIDを付与する手順と、所定の属性情報に対応したIDが付与された映像を抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させる。これにより、人物の身長・体重・歩行速度・年齢などの属性情報によって映像を検索することができ、効率的に非認証者の映像を再生することが可能になる。
【0087】
また、実施の形態2の別の監視システムは、ビル内の複数の箇所の撮影画像を録画し、画像を解析して画像中の人物の身長・体重・歩行速度・年齢の内、少なくとも1つ以上を属性情報として推定する監視システムであって、エレベータ制御装置2から受信した乗客の属性情報と画像解析で得た属性情報とを比較し、同一人物の属性情報であると判断した場合に、画像解析を行った映像の撮影場所と撮影時刻から、人物のビル内の移動経路を特定する。これにより、被害推定場所や逃走経路を特定することが容易になり、非認証者の発見に貢献できると共に、ビルの防犯対策の向上に役立たせて防犯性を向上することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1,2 エレベータ制御装置、11 行先階登録手段、12 計測手段、13 降車人数検知手段、14 発報手段、15 運転制御手段、21 属性処理手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客が行先階を登録する行先階登録手段と、
前記行先階登録手段への登録状況から各階での降車予定人数を演算する運転制御手段と、
エレベータ内の積載重量を計測する重量センサを備える計測手段と、
前記計測手段の計測結果に基づき各階での降車人数を検知する降車人数検知手段と、
前記運転制御手段で演算した前記降車予定人数と前記降車人数検知手段で検出した前記降車人数とを降車階毎に比較し、前記降車人数が前記降車予定人数よりも多い場合に非認証者が当該階で降車したとみなし、当該階を非認証者の降車階として外部に発報する発報手段と、を備えるエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記計測手段の計測結果から、乗客の身長・体重・歩行速度・年齢のうち少なくとも一つ以上を属性情報として取得する属性処理手段をさらに備え、
前記発報手段は前記属性処理手段から前記属性情報を受け、(前記非認証者の降車階で降車した)乗客の前記属性情報を外部に発報することを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、
請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置から前記非認証者の降車階を受信し、各階の映像の中から前記非認証者の降車階の映像に注意を喚起することを特徴とする、監視システム。
【請求項4】
ビル内の撮影画像を視聴する監視システムであって、請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置から前記非認証者の降車階を受信し、前記非認証者の降車階の映像を高密度に録画することを特徴とする、監視システム。
【請求項5】
ビル内又はエレベータ内の撮影画像を録画する監視システムであって、請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置から前記非認証者の降車階を受信し、前記非認証者の降車階及び降車時刻を保存することを特徴とする、監視システム。
【請求項6】
請求項5に記載の監視システムが録画した映像に、階と時刻に対応したIDを付与する手順と、
前記監視システムが請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置から受信した非認証者の降車階と降車時刻に対応したIDが付与された映像を、前記監視システムが録画した映像から抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させるための検索再生プログラム。
【請求項7】
ビルの各部屋の出入口の施錠を管理する入退室管理システムであって、
請求項1又は2に記載のエレベータ制御装置から非認証者の降車階を受信した場合、前記降車階の部屋の出入口の開錠を許可しないことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項8】
請求項2に記載のエレベータ制御装置から乗客の前記属性情報を受信し、前記非認証者の降車階の映像に関連した前記属性情報を外部に出力することを特徴とする、請求項3に記載の監視システム。
【請求項9】
請求項2に記載のエレベータ制御装置から乗客の前記属性情報を受信し、前記属性情報を保存することを特徴とする、請求項5に記載の監視システム。
【請求項10】
請求項9に記載の監視システムが録画した映像に、当該映像に映っている乗客の属性情報に対応したIDを付与する手順と、
所定の属性情報に対応したIDが付与された映像を抽出し再生する手順と、をコンピュータに実行させるための検索再生プログラム。
【請求項11】
ビル内の複数の箇所の撮影画像を録画し、各画像を解析して画像中の人物の身長・体重・歩行速度・年齢の内、少なくとも1つ以上を属性情報として推定する監視システムであって、
請求項2に記載のエレベータ制御装置から受信した乗客の前記属性情報と前記画像解析で得た属性情報とを比較し、同一人物の属性情報であると判断した場合に、前記画像解析を行った映像の撮影場所と撮影時刻から、前記人物のビル内の移動経路を特定することを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−68469(P2011−68469A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221756(P2009−221756)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】