エンコーダ、アクチュエータ
【課題】センサの設置姿勢を変更したとしても、ケーブルの引き回しや取付用ブラケットの変更が不要なエンコーダを提供する。
【解決手段】エンコーダ60は、一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケール61と、スケール61の側方に配置される原点識別部62と、スケール61及び原点識別部62に対して対向可能に配置されるセンサ本体部64と、を備え、センサ本体部64は、スケール61のパターンを読み取る第一素子66と原点識別部62を読み取る2つの第二素子67と筐体70とを有し、第一素子66が筐体70の中央に配置され、2つの第二素子67が筐体70の中央Cに対して点対称又は線対称となる位置に配置される。
【解決手段】エンコーダ60は、一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケール61と、スケール61の側方に配置される原点識別部62と、スケール61及び原点識別部62に対して対向可能に配置されるセンサ本体部64と、を備え、センサ本体部64は、スケール61のパターンを読み取る第一素子66と原点識別部62を読み取る2つの第二素子67と筐体70とを有し、第一素子66が筐体70の中央に配置され、2つの第二素子67が筐体70の中央Cに対して点対称又は線対称となる位置に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、回転型モータの固定子側と回転子(可動子)側を直線状に引き伸ばしたように構成され、電気エネルギを直線運動するための推力に変換する。直線的な推力が得られるリニアモータは、移動体を直線運動させる一軸のアクチュエータとして用いられる。
【0003】
リニアモータの一例として、複数の板形の磁石を直線状に並べた磁石部(固定部)とこの磁石部に対向して配置される複数のコイルを有するコイル部(可動部)とを有するものが知られている(特許文献1参照)。
コイルは、例えば、U・V・W相の三相を順次繰り返し配列した状態で可動部本体に支持される。これらのコイルに120度ずつ位相が異なる三相電流を流すと、コイルの軸線方向に移動する移動磁界が発生する。
そして、コイルを有する可動部は、移動磁界により磁石部との間に発生する推力を得て、移動磁界の速さに同期し磁石部に対して直線運動を行う。
【0004】
可動部の移動位置などを検出するために、磁気を利用したエンコーダなどが用いられる。エンコーダは、固定部に取り付けられる磁気スケールと、可動部に取り付けられる磁気センサを有する。そして、磁気センサのMR素子やホール素子で磁気スケールを検出することにより、可動部の移動位置などが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−245474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の磁気センサは、薄箱形の筐体を有しており、この筐体に、MR素子、ホール素子、ケーブル及び取付用インターフェース(ネジ穴など)が設けられる。磁気センサ等の機器は、小型化・軽量化・低コスト化が一般に要請されるため、MR素子やホール素子、ケーブル及び取付用インターフェースの配置は必ずしも最適ではない。
したがって、磁気センサの設置姿勢を変更すると、ケーブルの引き回しが困難になったり、磁気センサ取付用ブラケットを取り替えなければならなくなったりする等の問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、センサ本体部の設置姿勢を変更したとしても、ケーブルの引き回しや取付用ブラケットの変更が不要なエンコーダ及びこれを用いたアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエンコーダは、一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケールと、前記スケールの側方に配置される原点識別部と、前記スケール及び前記原点識別部に対して対向可能に配置されるセンサ本体部と、を備えるエンコーダにおいて、前記センサ本体部は、前記スケールのパターンを読み取る第一素子と前記原点識別部を読み取る2つの第二素子と筐体とを有し、前記第一素子が前記筐体の中央に配置され、前記2つの第二素子が前記筐体の中央に対して点対称又は線対称となる位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るアクチュエータは、表面にN極とS極を着磁された磁石部と、複数のコイルを前記磁石部に対向して配列したコイル部と、前記磁石部の磁界と前記コイルに流れる電流とにより前記磁石部と前記コイル部と相対移動させる駆動部と、前記磁石部と前記コイル部の相対位置を検出するエンコーダ部と、前記エンコーダ部からの検出信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備えるアクチュエータにおいて、前記エンコーダ部として、本発明に係るエンコーダを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサ本体部の設置姿勢(取り付け方向)を変更した場合であっても、スケールに対する第一素子の配置は不変であるため、センサ取付用ブラケットを代えることなく、第一素子によりスケールを良好に検出することができる。
本発明によれば、センサ本体部の設置姿勢を任意に設定できるので、ケーブルの取り回しの自由度が高まり、ケーブルチェーンなどを効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の概略構成を示す斜視図である。
【図2】ベース及びテーブルを示す拡大斜視図(一部断面図)である。
【図3】アクチュエータの概略構成を示す断面図である。
【図4】コイル部を示す斜視図である。
【図5】リニアガイドの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るエンコーダ(センサ本体部)の構成を示す正面図、上面図、底面図及び側面図である。
【図7】センサ本体部の第一設置姿勢を示す図である。
【図8】センサ本体部の第二設置姿勢を示す図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の概略構成を示す上面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の変形例を示す上面図である。
【図11】従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【図12】従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【図13】センサ本体部の変形例を示す正面図、上面図、底面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るアクチュエータA(リニアモータ5)の概略構成を示す斜視図である。
図2は、ベース10及びテーブル20を示す拡大斜視図(一部断面図)である。
図3は、リニアモータ5の概略構成を示す断面図である。
【0013】
アクチュエータAは、リニアモータ5と、リニアモータ5を駆動する駆動部80と、駆動部80及び磁気センサ64に接続されてリニアモータ5を制御する制御部90と、を備える。
リニアモータ5は、一方向(X方向)に細長く伸びるベース10と、ベース10に対して摺動自在に設けられたテーブル20と、からなる。
また、ベース(固定部)10とテーブル(移動部)20の間には、一対のリニアガイド50が設けられ、ベース10に対してテーブル20が円滑に摺動可能である。
【0014】
ベース10に対するテーブル20の位置・速度・加速度は、リニア磁気エンコーダ60により検出される(図3参照)。リニア磁気エンコーダ60は、例えば、1μm程度の分解能を有している。
リニア磁気エンコーダ(エンコーダ、エンコーダ部)60は、ベース10の外側面に取り付けられた磁気スケール61と、原点用磁石62と、テーブル20の下面に取り付けられた磁気センサ64等とから構成される。
【0015】
磁気スケール(スケール)61は、細長い矩形の磁性体からなり、その上面をN極とS極が交互に一定のピッチ(例えば2mm)になるように着磁した(所定のパターンが形成された)ものである。
磁気スケール61は、ベース10の側壁部12の外面側(外側面)に、ベース10の長手方向(X方向)に沿って密着配置される。
【0016】
原点用磁石(原点識別部)62は、薄くて小さな矩形の磁性体からなり、その厚み方向にN極とS極を着磁したものである。
原点用磁石62は、磁気スケール61の側方に、僅かに隙間を空けて近接配置される。原点用磁石62は、ベース10の外側面において、磁気スケール61の上方側(+Z方向側)に配置される。原点用磁石62のX方向の取り付け位置は、任意に設定される。
【0017】
磁気スケール61には、可撓性マグネットが用いられる。磁気スケール61は、強い磁力を有する第一シート1と、第一シート1の裏面に溶着された弱い磁力を有する第二シート2の二層構造に形成されたボンド磁石である。第一シート1の表面(上面)にN極とS極を交互に一定のピッチで長手方向に沿って着磁される。
そして、磁気スケール61は、ベース10の長手方向(X方向)に沿って固定される。具体的には、裏面側の第二シート2をベース10の底壁部11の間に両面テープや接着剤を配置して密着固定する。これにより、表側の第一シート1が磁気スケールとして機能する。
なお、磁気スケール61は、一層構造であってもよい。
【0018】
磁気センサ(センサ本体部)64は、MR素子(第一素子)66とホール素子(第二素子)67を有する。
磁気センサ64は、MR素子66により磁気スケール61の磁気を検出し、磁気スケール61に沿って相対移動することで正弦波信号を出力する。
磁気センサ64は、ホール素子67により原点用磁石62の磁気を検出し、検出信号を出力する。この検出信号が得られた位置は、磁気スケール61の基準位置(原点)に設定される。
磁気センサ64(MR素子66、ホール素子67)が検出した信号は、不図示の信号処理部を介して、制御部90に送られる。そして、制御部90は磁気センサ64からの信号に基づいて、駆動部80に対して位置指令を出す。駆動部80は、制御部90からの位置指令に基づいてテーブル20が指令位置に移動するように、コイル部40に電流を供給する。このようにして、リニアモータ5の制御が行われる。
【0019】
リニアモータ5の制御方法としては、フィードバック制御等が行われる。すなわち、テーブル20が検出したテーブル20の位置情報、速度情報、加速度情報を制御部90に送り、目標値(指令値)との差分を算出し、テーブル20の位置、速度、加速度が目標値に近づくようにコイル部40の3つのコイル41に対する三相交流電流を制御する。
【0020】
ベース10は、細長い矩形の底壁部11と、この底壁部11の幅方向(Y方向)の両端に垂直に設けられた一対の側壁部12とから形成される。ベース10は、例えば、鉄鋼等の磁性体材料又はアルミニウム等の非磁性体材から形成される。
ベース10の底壁部11の上面には、複数のマグネットが配列された磁石部30が取り付けられる。
また、ベース10の側壁部12のそれぞれの上面には、リニアガイド50の軌道レール51が一軸方向に沿って配置される。この2本の軌道レール51は平行に配置され、それぞれ2つの移動ブロック52が取り付けられる。
【0021】
テーブル20は、アルミニウム等の非磁性材料からなり、矩形の板状に形成される。
テーブル20の下面20bの四隅には、リニアガイド50の移動ブロック52が取り付けられる。そして、この移動ブロック52は、上述した2本の軌道レール51に取り付けられる。すなわち、テーブル20は、一対のリニアガイド50により、ベース10に直線運動可能に支持される。
【0022】
また、テーブル20の下面のうち、4つの移動ブロック52の間には、3つのコイル41等からなるコイル部40が吊り下げられる。この3つのコイル41は三相コイル(電機子)として機能する。
そして、ベース10に取り付けられた磁石部30と、テーブル20に取り付けられたコイル部40との間には、ギャップgが設定される。このギャップgは、テーブル20が一対のリニアガイド50によりベース10に対して直線運動しても一定に維持される。
【0023】
磁石部30は、コイル部40に向けて磁界を発生させるものである。具体的には、磁石部30は、細長い矩形板状に形成された磁石であり、その表面(上面)がN極とS極を交互に一定のピッチでベース10の長手方向(X方向)に沿って着磁したものである。
【0024】
磁石部30は、薄板状の磁石プレート31と、磁石プレート31上に一列に並べられる複数の板状の永久磁石32と、から構成される。永久磁石32は、保磁力の高いネオジウム磁石などの希土類磁石である。永久磁石32の表側にはN極又はS極の一方、裏側には残りの一方が形成される。長手方向にN極とS極が交互に形成されるように、N極の永久磁石とS極に永久磁石が磁石プレート31上に交互に並べられる。永久磁石21は接着などで磁石プレート31に固定される。
磁石部30は、ベース10の長手方向(X方向)に沿って固定される。具体的には、磁石プレート31をベース10の底壁部11に密着固定する。これにより、永久磁石32からコイル部40に向けて磁界を発生させる。
【0025】
図4は、コイル部40を示す斜視図である。
テーブル20の下面の中央部には、三相コイルとして機能する3つのコイル41とコア42からなる電機子としてのコイル部40が取り付けられる。コア42の材質は、ケイ素鋼等の磁性体である。コア42は、三相コイル(コイル41)に発生する磁界を強める3つの櫛歯42a,42b,42cを有する。
3つのコイル41は、コア42の3つの櫛歯42a,42b,42cの周囲にそれぞれ巻かれ、U相コイル41a、V相コイル41b、W相コイル41cとなる。3つのコイル41は、テーブル20の移動方向に沿って並べられる。
【0026】
そして、3つのコイル41には、120度ずつ位相が異なる三相交流電流が流される。
これにより、コイル部40から進行磁界が発生する。これにより、磁石部30に発生する磁界との作用により、コイル部40(テーブル20)に推力が発生する。
コイル部40の3つのコイル41に流れる電流は、駆動部80によって制御される。
【0027】
図5は、リニアガイド50の構成を示す斜視図を示す。
リニアガイド50は、ベース10の側壁部12の上面に取り付けられた軌道レール51を有する。
軌道レール51には、長手方向に所定のピッチで複数の取付け孔51bが開けられる。
取付け孔51bにボルトを通し、ボルトをベース10の側壁部12のねじ孔にねじ込むことによって、軌道レール51が側壁部12に固定される。
軌道レール51には、長手方向に沿ってボール55が転がる複数条のボール転走溝51aが形成される。ボール転走溝51aの断面形状は、ボール55の半径よりも僅かに大きい単一の円弧からなるサーキュラーアーク溝形状、または二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状である。
ボール転走溝51aは、軌道レール51の側面だけでなく、軌道レール51の上面にも形成されている。軌道レール51の上面にボール転走溝51aを形成することで、リニアガイド50の垂直方向の剛性を高めることができる。
【0028】
移動ブロック52は、軌道レール51を跨る鞍形状に形成される。移動ブロック52には、軌道レール51のボール転走溝51aに対向する負荷ボール転走溝52aが形成されると共に、負荷ボール転走溝52aを含むボール循環路が形成される。
移動ブロック52の一軸方向の各端面にはエンドプレート53が取り付けられる。ボール循環経路は、負荷ボール転走溝52aと、負荷ボール転走溝52aと平行に伸びるボール戻し路52bと、エンドプレート53に形成されて負荷ボール転走溝52aの端部とボール戻し路52bの端部とを接続するU字状の方向転換路53cと、から構成され、全体がサーキット状に形成される。
そして、ボール循環経路には複数のボール55が配列・収容される。
移動ブロック52には、テーブル20を取り付けるための取付けねじ52dが加工される。そして、移動ブロック52は、テーブル20の下面20bにねじ止めされる。
【0029】
軌道レール51に対して移動ブロック52を相対的に移動させると、軌道レール51のボール転走溝51aと移動ブロック52の負荷ボール転走溝52aとの間に介在されたボール55が転がり運動する。負荷ボール転走溝52aの一端まで転がったボール55は、方向転換路53cに導かれ、ボール戻し路52b及び反対側の方向転換路53cを経由した後、負荷ボール転走溝52aの他端に戻される。軌道レール51と移動ブロック52との間にボール55を介在させることによって、軌道レール51に対して移動ブロック52が移動するときの抵抗を低減できる。
【0030】
次に、磁気センサ64の詳細構成について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る磁気センサ64の構成を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。
図7は、磁気センサ64の第一設置姿勢を示す図である。図8は、磁気センサ64の第二設置姿勢を示す図である。図7及び図8は、磁気センサ64を同一方向から見た図である。
【0031】
磁気センサ64は、薄箱形(薄型直方体形状)のセンサ筐体70を有している。
センサ筐体70は、最も面積の大きい一対の面(主面70s1,70s2)のうちの一方の面(主面70s1)に、MR素子66を有する。MR素子66は、主面70s1の中央(中心C)に配置される。
【0032】
主面70s1の四隅のうちの対向する2箇所(隅)には、ホール素子67(67a,67b)が配置される。ホール素子67a,67bは、主面70s1の中心Cに対して点対称となる位置に配置される。
【0033】
センサ筐体70の長手方向の側面(側面70t1,70t2)のうちの一方の面(側面70t1)には、電源供給及び信号出力用のセンサケーブル68が接続される(引き出される)。
センサケーブル68は、側面70(一つの側面)t1の長手方向の中央に接続される。つまり、センサケーブル68は、主面70s1側から見て、中心Cを通り側面70t1,70t2に直交する中心線CL上に接続される。そして、センサケーブル68は、中心線CLに沿って引き出される。
【0034】
センサ筐体70の短手方向の一対の側面(一対の面)70u1,70u2には、センサ筐体70を他の部材に取り付けるための取付用インターフェース72a,72bが設けられる。
取付用インターフェース(取付用部位)72a,72bは、それぞれの側面70u1,70u2に形成された一対のネジ穴73である。取付用インターフェース72a,72bは、主面70s1側から見て、中心Cに対して点対称となる位置に配置される。つまり、側面70u1に形成された一対のネジ穴73と側面70u2に形成された一対のネジ穴73は、中心Cに対して点対称となる位置に形成される。
【0035】
磁気センサ64(センサ筐体70)は、テーブル20の下面20bに、センサブラケット75を介して取り付けられる。
センサブラケット75は、矩形の板金のうち、向き合う辺側(端部)を同一方向に直角に折り曲げて形成した部材である。折り曲げた部位には、ボルト用貫通孔(不図示)が形成される。
そして、センサブラケット75は、折り曲げた部位の一方がテーブル20の下面20bに対してボルト締結により固定され、折り曲げた部位の他方がセンサ筐体70の側面70u1,70u2(取付用インターフェース72a,72b)に対してボルト締結により固定される。
【0036】
図7,図8に示すように、第一設置姿勢及び第二設置姿勢では、センサ筐体70は、主面70s1が磁気スケール61に対して僅かな隙間を空けて平行になるように、テーブル20に取り付けられる。
【0037】
図7に示すように、第一設置姿勢では、センサ筐体70の側面70u1がセンサブラケット75に対してボルト締結により固定される。つまり、取付用インターフェース72aを用いて、磁気センサ64がセンサブラケット75を介してテーブル20に取り付けられる。
したがって、第一設置姿勢では、センサ筐体70の側面70t1は、テーブル20の移動方向(磁気スケール61の長手方向)であるX方向のうち、図中左側(−X方向)を向くことになる。つまり、磁気センサ64を主面70s2側から見ると、磁気センサ64のセンサケーブル68が図中左側(−X方向)に向けて引き出される。
【0038】
一方、図8に示すように、第二設置姿勢では、センサ筐体70の側面70u2がセンサブラケット75に対してボルト締結により固定される。つまり、取付用インターフェース72bを用いて、磁気センサ64がセンサブラケット75を介してテーブル20に取り付けられる。
したがって、第二設置姿勢では、センサ筐体70の側面70t1は、テーブル20の移動方向(磁気スケール61の長手方向)であるX方向のうち、図中右側(+X方向)を向くことになる。磁気センサ64を主面70s2側から見ると、磁気センサ64のセンサケーブル68が図中右側(+X方向)に向けて引き出される。
【0039】
このように、磁気センサ64は、2つの取付用インターフェース72a,72bを有している。2つの取付用インターフェース72a,72bは、センサ筐体70の中心Cに配置されたMR素子66を基準にして点対称となる位置に配置されている。
このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、磁気スケール61に対するMR素子66の配置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(MR素子66)により磁気スケール61を良好に検出することができる。
【0040】
また、磁気センサ64は、2つのホール素子67(67a,67b)を有している。2つのホール素子67a,67bは、センサ筐体70の中心Cに対して点対称となる位置に配置されている。
このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、原点用磁石62に対する2つのホール素子67のZ方向の配置は同一(不変)であり、いずれか一方のホール素子67が必ず対向することになる。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(ホール素子67)により原点用磁石62を検出することができる。
【0041】
また、磁気センサ64は、センサケーブル68が側面70t1の中央に取り付けられている。このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、上下方向(Z方向)におけるセンサケーブル68の接続位置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、Z方向におけるセンサケーブル68の引き回しが変わらないので、センサブラケット75を代えることなく、そのまま使用することができる。
【0042】
図9は、本発明の第二実施形態に係るアクチュエータBを示す概略図である。図10は、アクチュエータBの変形例を示す概略図である。
図11,図12は、従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【0043】
アクチュエータBは、1つのベース10に対して2つテーブル121,122が摺動可能である。テーブル121,122(第一移動部、第二移動部)は、上述したテーブル20と同一構成である。
2つのテーブル121,122には、それぞれ磁気センサ164,165(第一センサ本体部、第二センサ本体部)が設けられている。磁気センサ164,165は、上述した磁気センサ64と同一構成である。
磁気センサ164,165は、同一形状のセンサブラケット75(図9において不図示)を介してテーブル121,122にそれぞれ取り付けられる。
【0044】
磁気センサ164,165は、ベース10の外側面に取り付けられた1つ(共通)の磁気スケール61を検出する。
原点用磁石62(図9において不図示)は、磁気センサ164,165に対して一対一に用意してもよいし、1つだけ用意してもよい。
【0045】
テーブル121,122とベース10の間には、磁気センサ164,165のそれぞれのセンサケーブル68を別個に収容するケーブルチェーン131,132がそれぞれ配置される。
ケーブルチェーン131,132は、センサケーブル68を収容する部材であって、一端(移動端)がテーブル121,122に固定され、他端(固定端)がベース10に固定されて、Z方向に重なるようにU字形に折れ曲がっている。そしてテーブル121,122がベース10に対して移動すると、ケーブルチェーン131,132の移動端がテーブル121,122に伴ってX方向に移動して、ケーブルチェーン131,132の全体がキャタピラ状に動作(移動)する。
なお、図9,図10では、ケーブルチェーン131,132の固定端側(ベース10側)の図示を省略している。
【0046】
上述したように、磁気センサ64は、センサブラケット75を代えることなく、設置姿勢(取り付け方向)を、特段の支障もなく、容易に変更(任意に設定)することができる。
このため、アクチュエータBでは、磁気センサ164,165のセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)をテーブル121,122からベース10に至るまでにおいて任意に設定することができる。つまり、磁気センサ164,165のセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が高い。
【0047】
具体的には、図9,図10に示すように、2つの磁気センサ164,165の設置姿勢を異ならせて、ケーブルチェーン131,132の設置姿勢も異ならせることができる。
そして、ケーブルチェーン131,132の設置姿勢も異ならせたとしても、ケーブルチェーン131,132をアクチュエータBの幅方向において重ねなくても干渉が避けられる。このため、ケーブルチェーン131,132は、効率的(省スペース)に配置される。
【0048】
一方、従来のアクチュエータにおいては、磁気センサの設置姿勢(取り付け方向)を変更すると、センサブラケットを代える必要がある等の様々な支障が発生する。このため、2つの磁気センサの設置姿勢が同一となるように設置しなければならない。
このため、従来のアクチュエータにおいては、2つの磁気センサのセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)を、テーブル121,122からベース10に至るまでにおいて任意に設定できない。つまり、2つの磁気センサのセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が殆どない。
したがって、図11,図12に示すように、2つのケーブルチェーン131,132は、干渉を避けるためにアクチュエータ(ベース10)の幅方向において重なるように配置される。つまり、2つのケーブルチェーン131,132は、無駄なスペースを有して配置される。
【0049】
このように、アクチュエータBでは、2つの磁気センサ164,165を用いているものの、センサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が高いので、ケーブルチェーン131,132等の設置スペースの効率化が容易に図られる。
【0050】
図13は、磁気センサの変形例を示す正面図、上面図、底面図及び側面図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。
なお、磁気センサ64と同一の部材等には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
磁気センサ(センサ本体部)264では、MR素子66がセンサ筐体70の中心Cではなく、中心線CL上に配置される。
また、2つのホール素子67(67a,67b)は、中心線CLに対して線対称となる位置に配置される。
さらに、側面70u1,70u2に設けられる取付用インターフェース72a,72bも、中心線CLに対して線対称となる位置に配置される。
【0052】
このため、図9,図10に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、磁気スケール61に対するMR素子66のZ方向の配置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(MR素子66)により磁気スケール61を検出することができる。
【0053】
また、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、原点用磁石62に対する2つのホール素子67のZ方向の配置は同一(不変)であり、いずれか一方のホール素子67が必ず対向する。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(ホール素子67)により原点用磁石62を検出することができる。
【0054】
上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
磁気センサ64では、MR素子66がセンサ筐体70の中心Cに配置される場合には、2つのホール素子67及び2つの取付用インターフェース72を中心Cに対して点対称の位置に配置したが、これに限らない。2つのホール素子67や2つの取付用インターフェース72を、中心線CLを基準にした線対称の位置に配置してもよい。
【0056】
磁気センサ264では、MR素子66がセンサ筐体70の中心線CL上に配置される場合には、2つのホール素子67及び2つの取付用インターフェース72を中心線CLに対して線対称の位置に配置したが、これに限らない。2つのホール素子67や2つの取付用インターフェース72を、中心Cを基準にした点対称の位置に配置してもよい。
【0057】
磁気センサ64,95では、2つのホール素子67(67a,67b)を設ける場合について説明したが、これに限らない。センサ筐体70の主面70s1の複数箇所に、ホール素子67を取り付ける部位を形成し、この複数箇所の取り付け部位に対して1つのホール素子67を選択的に配置するようにしてもよい。
【0058】
取付用インターフェース72は、一対のネジ穴73に限らない。ネジ穴73が3つ以上あってもよい。また、ボルトを挿通する貫通孔などを用いてもよい。
また、取付用インターフェース72は、側面70u1,70u2に限らず、主面70s1,70s2や側面70t1,70t2に形成してもよい。
また、取付用インターフェースの数は2つに限らない。複数の面に複数の取付用インターフェースを設ける場合であってもよい。
【0059】
磁気スケール61及び磁気センサ64(MR素子66、ホール素子67)を用いる場合に限らず、光学式スケール及び光学式センサを用いる場合であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
5…リニアモータ、 10…ベース(固定部)、 20…テーブル(移動部)、 30…磁石部、 40…コイル部、 60…リニア磁気エンコーダ(エンコーダ、エンコーダ部)、 61…磁気スケール(スケール)、 62…原点用磁石(原点識別部)、 64…磁気センサ(センサ本体部) 66…MR素子(第一素子)、 67…ホール素子(第二素子)、 68…センサケーブル、 70…センサ筐体、 70s1…主面、 70t1…側面(一つの側面)、 70u1,70u2…側面(一対の面)、 72a,72b…取付用インターフェース(取付用部位)、 75…センサブラケット、 80…駆動部、 90…制御部、 121…テーブル(第一移動部)、 122…テーブル(第二移動部)、 131,132…ケーブルチェーン、 164…磁気センサ(第一センサ本体部)、 165…磁気センサ(第二センサ本体部)、 264…磁気センサ(センサ本体部)、 A,B…アクチュエータ、 C…中心、 CL…中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、回転型モータの固定子側と回転子(可動子)側を直線状に引き伸ばしたように構成され、電気エネルギを直線運動するための推力に変換する。直線的な推力が得られるリニアモータは、移動体を直線運動させる一軸のアクチュエータとして用いられる。
【0003】
リニアモータの一例として、複数の板形の磁石を直線状に並べた磁石部(固定部)とこの磁石部に対向して配置される複数のコイルを有するコイル部(可動部)とを有するものが知られている(特許文献1参照)。
コイルは、例えば、U・V・W相の三相を順次繰り返し配列した状態で可動部本体に支持される。これらのコイルに120度ずつ位相が異なる三相電流を流すと、コイルの軸線方向に移動する移動磁界が発生する。
そして、コイルを有する可動部は、移動磁界により磁石部との間に発生する推力を得て、移動磁界の速さに同期し磁石部に対して直線運動を行う。
【0004】
可動部の移動位置などを検出するために、磁気を利用したエンコーダなどが用いられる。エンコーダは、固定部に取り付けられる磁気スケールと、可動部に取り付けられる磁気センサを有する。そして、磁気センサのMR素子やホール素子で磁気スケールを検出することにより、可動部の移動位置などが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−245474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の磁気センサは、薄箱形の筐体を有しており、この筐体に、MR素子、ホール素子、ケーブル及び取付用インターフェース(ネジ穴など)が設けられる。磁気センサ等の機器は、小型化・軽量化・低コスト化が一般に要請されるため、MR素子やホール素子、ケーブル及び取付用インターフェースの配置は必ずしも最適ではない。
したがって、磁気センサの設置姿勢を変更すると、ケーブルの引き回しが困難になったり、磁気センサ取付用ブラケットを取り替えなければならなくなったりする等の問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、センサ本体部の設置姿勢を変更したとしても、ケーブルの引き回しや取付用ブラケットの変更が不要なエンコーダ及びこれを用いたアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエンコーダは、一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケールと、前記スケールの側方に配置される原点識別部と、前記スケール及び前記原点識別部に対して対向可能に配置されるセンサ本体部と、を備えるエンコーダにおいて、前記センサ本体部は、前記スケールのパターンを読み取る第一素子と前記原点識別部を読み取る2つの第二素子と筐体とを有し、前記第一素子が前記筐体の中央に配置され、前記2つの第二素子が前記筐体の中央に対して点対称又は線対称となる位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るアクチュエータは、表面にN極とS極を着磁された磁石部と、複数のコイルを前記磁石部に対向して配列したコイル部と、前記磁石部の磁界と前記コイルに流れる電流とにより前記磁石部と前記コイル部と相対移動させる駆動部と、前記磁石部と前記コイル部の相対位置を検出するエンコーダ部と、前記エンコーダ部からの検出信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、を備えるアクチュエータにおいて、前記エンコーダ部として、本発明に係るエンコーダを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサ本体部の設置姿勢(取り付け方向)を変更した場合であっても、スケールに対する第一素子の配置は不変であるため、センサ取付用ブラケットを代えることなく、第一素子によりスケールを良好に検出することができる。
本発明によれば、センサ本体部の設置姿勢を任意に設定できるので、ケーブルの取り回しの自由度が高まり、ケーブルチェーンなどを効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の概略構成を示す斜視図である。
【図2】ベース及びテーブルを示す拡大斜視図(一部断面図)である。
【図3】アクチュエータの概略構成を示す断面図である。
【図4】コイル部を示す斜視図である。
【図5】リニアガイドの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るエンコーダ(センサ本体部)の構成を示す正面図、上面図、底面図及び側面図である。
【図7】センサ本体部の第一設置姿勢を示す図である。
【図8】センサ本体部の第二設置姿勢を示す図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の概略構成を示す上面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係るアクチュエータ(リニアモータ)の変形例を示す上面図である。
【図11】従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【図12】従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【図13】センサ本体部の変形例を示す正面図、上面図、底面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るアクチュエータA(リニアモータ5)の概略構成を示す斜視図である。
図2は、ベース10及びテーブル20を示す拡大斜視図(一部断面図)である。
図3は、リニアモータ5の概略構成を示す断面図である。
【0013】
アクチュエータAは、リニアモータ5と、リニアモータ5を駆動する駆動部80と、駆動部80及び磁気センサ64に接続されてリニアモータ5を制御する制御部90と、を備える。
リニアモータ5は、一方向(X方向)に細長く伸びるベース10と、ベース10に対して摺動自在に設けられたテーブル20と、からなる。
また、ベース(固定部)10とテーブル(移動部)20の間には、一対のリニアガイド50が設けられ、ベース10に対してテーブル20が円滑に摺動可能である。
【0014】
ベース10に対するテーブル20の位置・速度・加速度は、リニア磁気エンコーダ60により検出される(図3参照)。リニア磁気エンコーダ60は、例えば、1μm程度の分解能を有している。
リニア磁気エンコーダ(エンコーダ、エンコーダ部)60は、ベース10の外側面に取り付けられた磁気スケール61と、原点用磁石62と、テーブル20の下面に取り付けられた磁気センサ64等とから構成される。
【0015】
磁気スケール(スケール)61は、細長い矩形の磁性体からなり、その上面をN極とS極が交互に一定のピッチ(例えば2mm)になるように着磁した(所定のパターンが形成された)ものである。
磁気スケール61は、ベース10の側壁部12の外面側(外側面)に、ベース10の長手方向(X方向)に沿って密着配置される。
【0016】
原点用磁石(原点識別部)62は、薄くて小さな矩形の磁性体からなり、その厚み方向にN極とS極を着磁したものである。
原点用磁石62は、磁気スケール61の側方に、僅かに隙間を空けて近接配置される。原点用磁石62は、ベース10の外側面において、磁気スケール61の上方側(+Z方向側)に配置される。原点用磁石62のX方向の取り付け位置は、任意に設定される。
【0017】
磁気スケール61には、可撓性マグネットが用いられる。磁気スケール61は、強い磁力を有する第一シート1と、第一シート1の裏面に溶着された弱い磁力を有する第二シート2の二層構造に形成されたボンド磁石である。第一シート1の表面(上面)にN極とS極を交互に一定のピッチで長手方向に沿って着磁される。
そして、磁気スケール61は、ベース10の長手方向(X方向)に沿って固定される。具体的には、裏面側の第二シート2をベース10の底壁部11の間に両面テープや接着剤を配置して密着固定する。これにより、表側の第一シート1が磁気スケールとして機能する。
なお、磁気スケール61は、一層構造であってもよい。
【0018】
磁気センサ(センサ本体部)64は、MR素子(第一素子)66とホール素子(第二素子)67を有する。
磁気センサ64は、MR素子66により磁気スケール61の磁気を検出し、磁気スケール61に沿って相対移動することで正弦波信号を出力する。
磁気センサ64は、ホール素子67により原点用磁石62の磁気を検出し、検出信号を出力する。この検出信号が得られた位置は、磁気スケール61の基準位置(原点)に設定される。
磁気センサ64(MR素子66、ホール素子67)が検出した信号は、不図示の信号処理部を介して、制御部90に送られる。そして、制御部90は磁気センサ64からの信号に基づいて、駆動部80に対して位置指令を出す。駆動部80は、制御部90からの位置指令に基づいてテーブル20が指令位置に移動するように、コイル部40に電流を供給する。このようにして、リニアモータ5の制御が行われる。
【0019】
リニアモータ5の制御方法としては、フィードバック制御等が行われる。すなわち、テーブル20が検出したテーブル20の位置情報、速度情報、加速度情報を制御部90に送り、目標値(指令値)との差分を算出し、テーブル20の位置、速度、加速度が目標値に近づくようにコイル部40の3つのコイル41に対する三相交流電流を制御する。
【0020】
ベース10は、細長い矩形の底壁部11と、この底壁部11の幅方向(Y方向)の両端に垂直に設けられた一対の側壁部12とから形成される。ベース10は、例えば、鉄鋼等の磁性体材料又はアルミニウム等の非磁性体材から形成される。
ベース10の底壁部11の上面には、複数のマグネットが配列された磁石部30が取り付けられる。
また、ベース10の側壁部12のそれぞれの上面には、リニアガイド50の軌道レール51が一軸方向に沿って配置される。この2本の軌道レール51は平行に配置され、それぞれ2つの移動ブロック52が取り付けられる。
【0021】
テーブル20は、アルミニウム等の非磁性材料からなり、矩形の板状に形成される。
テーブル20の下面20bの四隅には、リニアガイド50の移動ブロック52が取り付けられる。そして、この移動ブロック52は、上述した2本の軌道レール51に取り付けられる。すなわち、テーブル20は、一対のリニアガイド50により、ベース10に直線運動可能に支持される。
【0022】
また、テーブル20の下面のうち、4つの移動ブロック52の間には、3つのコイル41等からなるコイル部40が吊り下げられる。この3つのコイル41は三相コイル(電機子)として機能する。
そして、ベース10に取り付けられた磁石部30と、テーブル20に取り付けられたコイル部40との間には、ギャップgが設定される。このギャップgは、テーブル20が一対のリニアガイド50によりベース10に対して直線運動しても一定に維持される。
【0023】
磁石部30は、コイル部40に向けて磁界を発生させるものである。具体的には、磁石部30は、細長い矩形板状に形成された磁石であり、その表面(上面)がN極とS極を交互に一定のピッチでベース10の長手方向(X方向)に沿って着磁したものである。
【0024】
磁石部30は、薄板状の磁石プレート31と、磁石プレート31上に一列に並べられる複数の板状の永久磁石32と、から構成される。永久磁石32は、保磁力の高いネオジウム磁石などの希土類磁石である。永久磁石32の表側にはN極又はS極の一方、裏側には残りの一方が形成される。長手方向にN極とS極が交互に形成されるように、N極の永久磁石とS極に永久磁石が磁石プレート31上に交互に並べられる。永久磁石21は接着などで磁石プレート31に固定される。
磁石部30は、ベース10の長手方向(X方向)に沿って固定される。具体的には、磁石プレート31をベース10の底壁部11に密着固定する。これにより、永久磁石32からコイル部40に向けて磁界を発生させる。
【0025】
図4は、コイル部40を示す斜視図である。
テーブル20の下面の中央部には、三相コイルとして機能する3つのコイル41とコア42からなる電機子としてのコイル部40が取り付けられる。コア42の材質は、ケイ素鋼等の磁性体である。コア42は、三相コイル(コイル41)に発生する磁界を強める3つの櫛歯42a,42b,42cを有する。
3つのコイル41は、コア42の3つの櫛歯42a,42b,42cの周囲にそれぞれ巻かれ、U相コイル41a、V相コイル41b、W相コイル41cとなる。3つのコイル41は、テーブル20の移動方向に沿って並べられる。
【0026】
そして、3つのコイル41には、120度ずつ位相が異なる三相交流電流が流される。
これにより、コイル部40から進行磁界が発生する。これにより、磁石部30に発生する磁界との作用により、コイル部40(テーブル20)に推力が発生する。
コイル部40の3つのコイル41に流れる電流は、駆動部80によって制御される。
【0027】
図5は、リニアガイド50の構成を示す斜視図を示す。
リニアガイド50は、ベース10の側壁部12の上面に取り付けられた軌道レール51を有する。
軌道レール51には、長手方向に所定のピッチで複数の取付け孔51bが開けられる。
取付け孔51bにボルトを通し、ボルトをベース10の側壁部12のねじ孔にねじ込むことによって、軌道レール51が側壁部12に固定される。
軌道レール51には、長手方向に沿ってボール55が転がる複数条のボール転走溝51aが形成される。ボール転走溝51aの断面形状は、ボール55の半径よりも僅かに大きい単一の円弧からなるサーキュラーアーク溝形状、または二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状である。
ボール転走溝51aは、軌道レール51の側面だけでなく、軌道レール51の上面にも形成されている。軌道レール51の上面にボール転走溝51aを形成することで、リニアガイド50の垂直方向の剛性を高めることができる。
【0028】
移動ブロック52は、軌道レール51を跨る鞍形状に形成される。移動ブロック52には、軌道レール51のボール転走溝51aに対向する負荷ボール転走溝52aが形成されると共に、負荷ボール転走溝52aを含むボール循環路が形成される。
移動ブロック52の一軸方向の各端面にはエンドプレート53が取り付けられる。ボール循環経路は、負荷ボール転走溝52aと、負荷ボール転走溝52aと平行に伸びるボール戻し路52bと、エンドプレート53に形成されて負荷ボール転走溝52aの端部とボール戻し路52bの端部とを接続するU字状の方向転換路53cと、から構成され、全体がサーキット状に形成される。
そして、ボール循環経路には複数のボール55が配列・収容される。
移動ブロック52には、テーブル20を取り付けるための取付けねじ52dが加工される。そして、移動ブロック52は、テーブル20の下面20bにねじ止めされる。
【0029】
軌道レール51に対して移動ブロック52を相対的に移動させると、軌道レール51のボール転走溝51aと移動ブロック52の負荷ボール転走溝52aとの間に介在されたボール55が転がり運動する。負荷ボール転走溝52aの一端まで転がったボール55は、方向転換路53cに導かれ、ボール戻し路52b及び反対側の方向転換路53cを経由した後、負荷ボール転走溝52aの他端に戻される。軌道レール51と移動ブロック52との間にボール55を介在させることによって、軌道レール51に対して移動ブロック52が移動するときの抵抗を低減できる。
【0030】
次に、磁気センサ64の詳細構成について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る磁気センサ64の構成を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。
図7は、磁気センサ64の第一設置姿勢を示す図である。図8は、磁気センサ64の第二設置姿勢を示す図である。図7及び図8は、磁気センサ64を同一方向から見た図である。
【0031】
磁気センサ64は、薄箱形(薄型直方体形状)のセンサ筐体70を有している。
センサ筐体70は、最も面積の大きい一対の面(主面70s1,70s2)のうちの一方の面(主面70s1)に、MR素子66を有する。MR素子66は、主面70s1の中央(中心C)に配置される。
【0032】
主面70s1の四隅のうちの対向する2箇所(隅)には、ホール素子67(67a,67b)が配置される。ホール素子67a,67bは、主面70s1の中心Cに対して点対称となる位置に配置される。
【0033】
センサ筐体70の長手方向の側面(側面70t1,70t2)のうちの一方の面(側面70t1)には、電源供給及び信号出力用のセンサケーブル68が接続される(引き出される)。
センサケーブル68は、側面70(一つの側面)t1の長手方向の中央に接続される。つまり、センサケーブル68は、主面70s1側から見て、中心Cを通り側面70t1,70t2に直交する中心線CL上に接続される。そして、センサケーブル68は、中心線CLに沿って引き出される。
【0034】
センサ筐体70の短手方向の一対の側面(一対の面)70u1,70u2には、センサ筐体70を他の部材に取り付けるための取付用インターフェース72a,72bが設けられる。
取付用インターフェース(取付用部位)72a,72bは、それぞれの側面70u1,70u2に形成された一対のネジ穴73である。取付用インターフェース72a,72bは、主面70s1側から見て、中心Cに対して点対称となる位置に配置される。つまり、側面70u1に形成された一対のネジ穴73と側面70u2に形成された一対のネジ穴73は、中心Cに対して点対称となる位置に形成される。
【0035】
磁気センサ64(センサ筐体70)は、テーブル20の下面20bに、センサブラケット75を介して取り付けられる。
センサブラケット75は、矩形の板金のうち、向き合う辺側(端部)を同一方向に直角に折り曲げて形成した部材である。折り曲げた部位には、ボルト用貫通孔(不図示)が形成される。
そして、センサブラケット75は、折り曲げた部位の一方がテーブル20の下面20bに対してボルト締結により固定され、折り曲げた部位の他方がセンサ筐体70の側面70u1,70u2(取付用インターフェース72a,72b)に対してボルト締結により固定される。
【0036】
図7,図8に示すように、第一設置姿勢及び第二設置姿勢では、センサ筐体70は、主面70s1が磁気スケール61に対して僅かな隙間を空けて平行になるように、テーブル20に取り付けられる。
【0037】
図7に示すように、第一設置姿勢では、センサ筐体70の側面70u1がセンサブラケット75に対してボルト締結により固定される。つまり、取付用インターフェース72aを用いて、磁気センサ64がセンサブラケット75を介してテーブル20に取り付けられる。
したがって、第一設置姿勢では、センサ筐体70の側面70t1は、テーブル20の移動方向(磁気スケール61の長手方向)であるX方向のうち、図中左側(−X方向)を向くことになる。つまり、磁気センサ64を主面70s2側から見ると、磁気センサ64のセンサケーブル68が図中左側(−X方向)に向けて引き出される。
【0038】
一方、図8に示すように、第二設置姿勢では、センサ筐体70の側面70u2がセンサブラケット75に対してボルト締結により固定される。つまり、取付用インターフェース72bを用いて、磁気センサ64がセンサブラケット75を介してテーブル20に取り付けられる。
したがって、第二設置姿勢では、センサ筐体70の側面70t1は、テーブル20の移動方向(磁気スケール61の長手方向)であるX方向のうち、図中右側(+X方向)を向くことになる。磁気センサ64を主面70s2側から見ると、磁気センサ64のセンサケーブル68が図中右側(+X方向)に向けて引き出される。
【0039】
このように、磁気センサ64は、2つの取付用インターフェース72a,72bを有している。2つの取付用インターフェース72a,72bは、センサ筐体70の中心Cに配置されたMR素子66を基準にして点対称となる位置に配置されている。
このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、磁気スケール61に対するMR素子66の配置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(MR素子66)により磁気スケール61を良好に検出することができる。
【0040】
また、磁気センサ64は、2つのホール素子67(67a,67b)を有している。2つのホール素子67a,67bは、センサ筐体70の中心Cに対して点対称となる位置に配置されている。
このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、原点用磁石62に対する2つのホール素子67のZ方向の配置は同一(不変)であり、いずれか一方のホール素子67が必ず対向することになる。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(ホール素子67)により原点用磁石62を検出することができる。
【0041】
また、磁気センサ64は、センサケーブル68が側面70t1の中央に取り付けられている。このため、図7,図8に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、上下方向(Z方向)におけるセンサケーブル68の接続位置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、Z方向におけるセンサケーブル68の引き回しが変わらないので、センサブラケット75を代えることなく、そのまま使用することができる。
【0042】
図9は、本発明の第二実施形態に係るアクチュエータBを示す概略図である。図10は、アクチュエータBの変形例を示す概略図である。
図11,図12は、従来のアクチュエータの例を示す概略図である。
【0043】
アクチュエータBは、1つのベース10に対して2つテーブル121,122が摺動可能である。テーブル121,122(第一移動部、第二移動部)は、上述したテーブル20と同一構成である。
2つのテーブル121,122には、それぞれ磁気センサ164,165(第一センサ本体部、第二センサ本体部)が設けられている。磁気センサ164,165は、上述した磁気センサ64と同一構成である。
磁気センサ164,165は、同一形状のセンサブラケット75(図9において不図示)を介してテーブル121,122にそれぞれ取り付けられる。
【0044】
磁気センサ164,165は、ベース10の外側面に取り付けられた1つ(共通)の磁気スケール61を検出する。
原点用磁石62(図9において不図示)は、磁気センサ164,165に対して一対一に用意してもよいし、1つだけ用意してもよい。
【0045】
テーブル121,122とベース10の間には、磁気センサ164,165のそれぞれのセンサケーブル68を別個に収容するケーブルチェーン131,132がそれぞれ配置される。
ケーブルチェーン131,132は、センサケーブル68を収容する部材であって、一端(移動端)がテーブル121,122に固定され、他端(固定端)がベース10に固定されて、Z方向に重なるようにU字形に折れ曲がっている。そしてテーブル121,122がベース10に対して移動すると、ケーブルチェーン131,132の移動端がテーブル121,122に伴ってX方向に移動して、ケーブルチェーン131,132の全体がキャタピラ状に動作(移動)する。
なお、図9,図10では、ケーブルチェーン131,132の固定端側(ベース10側)の図示を省略している。
【0046】
上述したように、磁気センサ64は、センサブラケット75を代えることなく、設置姿勢(取り付け方向)を、特段の支障もなく、容易に変更(任意に設定)することができる。
このため、アクチュエータBでは、磁気センサ164,165のセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)をテーブル121,122からベース10に至るまでにおいて任意に設定することができる。つまり、磁気センサ164,165のセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が高い。
【0047】
具体的には、図9,図10に示すように、2つの磁気センサ164,165の設置姿勢を異ならせて、ケーブルチェーン131,132の設置姿勢も異ならせることができる。
そして、ケーブルチェーン131,132の設置姿勢も異ならせたとしても、ケーブルチェーン131,132をアクチュエータBの幅方向において重ねなくても干渉が避けられる。このため、ケーブルチェーン131,132は、効率的(省スペース)に配置される。
【0048】
一方、従来のアクチュエータにおいては、磁気センサの設置姿勢(取り付け方向)を変更すると、センサブラケットを代える必要がある等の様々な支障が発生する。このため、2つの磁気センサの設置姿勢が同一となるように設置しなければならない。
このため、従来のアクチュエータにおいては、2つの磁気センサのセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)を、テーブル121,122からベース10に至るまでにおいて任意に設定できない。つまり、2つの磁気センサのセンサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が殆どない。
したがって、図11,図12に示すように、2つのケーブルチェーン131,132は、干渉を避けるためにアクチュエータ(ベース10)の幅方向において重なるように配置される。つまり、2つのケーブルチェーン131,132は、無駄なスペースを有して配置される。
【0049】
このように、アクチュエータBでは、2つの磁気センサ164,165を用いているものの、センサケーブル68の引き回し(敷設経路)の選択の自由度が高いので、ケーブルチェーン131,132等の設置スペースの効率化が容易に図られる。
【0050】
図13は、磁気センサの変形例を示す正面図、上面図、底面図及び側面図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は底面図、(d)は側面図である。
なお、磁気センサ64と同一の部材等には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
磁気センサ(センサ本体部)264では、MR素子66がセンサ筐体70の中心Cではなく、中心線CL上に配置される。
また、2つのホール素子67(67a,67b)は、中心線CLに対して線対称となる位置に配置される。
さらに、側面70u1,70u2に設けられる取付用インターフェース72a,72bも、中心線CLに対して線対称となる位置に配置される。
【0052】
このため、図9,図10に示すように、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、磁気スケール61に対するMR素子66のZ方向の配置は同一(不変)である。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(MR素子66)により磁気スケール61を検出することができる。
【0053】
また、磁気センサ64の設置姿勢(取り付け方向)が第一設置姿勢,第二設置姿勢のいずれの場合であっても、原点用磁石62に対する2つのホール素子67のZ方向の配置は同一(不変)であり、いずれか一方のホール素子67が必ず対向する。したがって、磁気センサ64の設置姿勢を変更した場合であっても、センサブラケット75を代えることなく、磁気センサ64(ホール素子67)により原点用磁石62を検出することができる。
【0054】
上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
磁気センサ64では、MR素子66がセンサ筐体70の中心Cに配置される場合には、2つのホール素子67及び2つの取付用インターフェース72を中心Cに対して点対称の位置に配置したが、これに限らない。2つのホール素子67や2つの取付用インターフェース72を、中心線CLを基準にした線対称の位置に配置してもよい。
【0056】
磁気センサ264では、MR素子66がセンサ筐体70の中心線CL上に配置される場合には、2つのホール素子67及び2つの取付用インターフェース72を中心線CLに対して線対称の位置に配置したが、これに限らない。2つのホール素子67や2つの取付用インターフェース72を、中心Cを基準にした点対称の位置に配置してもよい。
【0057】
磁気センサ64,95では、2つのホール素子67(67a,67b)を設ける場合について説明したが、これに限らない。センサ筐体70の主面70s1の複数箇所に、ホール素子67を取り付ける部位を形成し、この複数箇所の取り付け部位に対して1つのホール素子67を選択的に配置するようにしてもよい。
【0058】
取付用インターフェース72は、一対のネジ穴73に限らない。ネジ穴73が3つ以上あってもよい。また、ボルトを挿通する貫通孔などを用いてもよい。
また、取付用インターフェース72は、側面70u1,70u2に限らず、主面70s1,70s2や側面70t1,70t2に形成してもよい。
また、取付用インターフェースの数は2つに限らない。複数の面に複数の取付用インターフェースを設ける場合であってもよい。
【0059】
磁気スケール61及び磁気センサ64(MR素子66、ホール素子67)を用いる場合に限らず、光学式スケール及び光学式センサを用いる場合であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
5…リニアモータ、 10…ベース(固定部)、 20…テーブル(移動部)、 30…磁石部、 40…コイル部、 60…リニア磁気エンコーダ(エンコーダ、エンコーダ部)、 61…磁気スケール(スケール)、 62…原点用磁石(原点識別部)、 64…磁気センサ(センサ本体部) 66…MR素子(第一素子)、 67…ホール素子(第二素子)、 68…センサケーブル、 70…センサ筐体、 70s1…主面、 70t1…側面(一つの側面)、 70u1,70u2…側面(一対の面)、 72a,72b…取付用インターフェース(取付用部位)、 75…センサブラケット、 80…駆動部、 90…制御部、 121…テーブル(第一移動部)、 122…テーブル(第二移動部)、 131,132…ケーブルチェーン、 164…磁気センサ(第一センサ本体部)、 165…磁気センサ(第二センサ本体部)、 264…磁気センサ(センサ本体部)、 A,B…アクチュエータ、 C…中心、 CL…中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケールと、
前記スケールの側方に配置される原点識別部と、
前記スケール及び前記原点識別部に対して対向可能に配置されるセンサ本体部と、
を備えるエンコーダにおいて、
前記センサ本体部は、前記スケールのパターンを読み取る第一素子と前記原点識別部を読み取る2つの第二素子と筐体とを有し、
前記第一素子が前記筐体の中央に配置され、
前記2つの第二素子が前記筐体の中央に対して点対称又は線対称となる位置に配置されることを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記センサ本体部は、前記筐体の一対の面に、他の部材に取り付けるための取付用部位がそれぞれ形成され、
前記取付用部位が前記筐体の中央に対して点対称となる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記センサ本体部は、前記筐体の一つの側面に、前記第一素子と前記第二素子に接続するケーブルが取り付けられ、
前記ケーブルが前記一つの側面の中央に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
表面にN極とS極を着磁された磁石部と、
複数のコイルを前記磁石部に対向して配列したコイル部と、
前記磁石部の磁界と前記コイルに流れる電流とにより前記磁石部と前記コイル部と相対移動させる駆動部と、
前記磁石部と前記コイル部の相対位置を検出するエンコーダ部と、
前記エンコーダ部からの検出信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
を備えるアクチュエータにおいて、
前記エンコーダ部として、請求項1から3のいずれか一項に記載のエンコーダを用いることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記コイル部を有する移動部は、前記磁石部を有する固定部に対して個別に相対移動可能な第一移動部と第二移動部を有し、
前記第一移動部と前記第二移動部に、前記エンコーダ部のセンサ本体部がそれぞれ設置され、
前記第一移動部に取り付けられた第一センサ本体部と前記第二移動部に取り付けられた第二センサ本体部は、同一形状のブラケットを介して、異なる取り付け姿勢で取り付けられることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第一移動部及び前記第二移動部から前記固定部の間に、前記第一センサ本体部及び前記第二センサ本体部からのケーブルを別個に収容するケーブルチェーンがそれぞれ配置され、
前記ケーブルチェーンが前記固定部の幅方向において重ならない位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項1】
一方向に向けて所定のパターンが形成されたスケールと、
前記スケールの側方に配置される原点識別部と、
前記スケール及び前記原点識別部に対して対向可能に配置されるセンサ本体部と、
を備えるエンコーダにおいて、
前記センサ本体部は、前記スケールのパターンを読み取る第一素子と前記原点識別部を読み取る2つの第二素子と筐体とを有し、
前記第一素子が前記筐体の中央に配置され、
前記2つの第二素子が前記筐体の中央に対して点対称又は線対称となる位置に配置されることを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記センサ本体部は、前記筐体の一対の面に、他の部材に取り付けるための取付用部位がそれぞれ形成され、
前記取付用部位が前記筐体の中央に対して点対称となる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記センサ本体部は、前記筐体の一つの側面に、前記第一素子と前記第二素子に接続するケーブルが取り付けられ、
前記ケーブルが前記一つの側面の中央に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
表面にN極とS極を着磁された磁石部と、
複数のコイルを前記磁石部に対向して配列したコイル部と、
前記磁石部の磁界と前記コイルに流れる電流とにより前記磁石部と前記コイル部と相対移動させる駆動部と、
前記磁石部と前記コイル部の相対位置を検出するエンコーダ部と、
前記エンコーダ部からの検出信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、
を備えるアクチュエータにおいて、
前記エンコーダ部として、請求項1から3のいずれか一項に記載のエンコーダを用いることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
前記コイル部を有する移動部は、前記磁石部を有する固定部に対して個別に相対移動可能な第一移動部と第二移動部を有し、
前記第一移動部と前記第二移動部に、前記エンコーダ部のセンサ本体部がそれぞれ設置され、
前記第一移動部に取り付けられた第一センサ本体部と前記第二移動部に取り付けられた第二センサ本体部は、同一形状のブラケットを介して、異なる取り付け姿勢で取り付けられることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第一移動部及び前記第二移動部から前記固定部の間に、前記第一センサ本体部及び前記第二センサ本体部からのケーブルを別個に収容するケーブルチェーンがそれぞれ配置され、
前記ケーブルチェーンが前記固定部の幅方向において重ならない位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−72742(P2013−72742A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211774(P2011−211774)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
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