説明

エンボス加工された交差積層フィルム

【課題】設置方向に依存しない耐湿フィルムを提供する。
【解決手段】耐湿フィルムは、建築構造物を覆う。前記フィルムは、平面を形成する撓曲可能な膜と、前記平面の外方に伸びる前記膜に形成された第1の複数の離間別体エンボス部とを含む。前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成される。前記行は平行であると共に相互に離間されかつ前記列は平行であると共に相互に離間される。前記フィルムを作成する方法およびツールも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス(浮き出し模様)加工された交差積層フィルムもしくはシートの構成に関する。より詳細には本発明は、交差配向された2枚のフィルムから成る積層体であって建築物用防湿壁として使用される立体的な機能表面材料を形成すべくエンボス加工されたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋などの建築物の構築においては、家屋の骨組みと、たとえば羽目板もしくは下見板などの外側カバーとの間に湿気および空気に対する障壁が用いられる。これらの障壁は、骨組みもしくは内壁と家屋外側カバーとの間における建築物の領域内へと湿気が浸入するのを防止すべく用いられる。
【0003】
家屋の外側カバーと骨組みもしくは壁部との間における湿気の進入は問題である。たとえば、建築物の一定の領域における水分の存在に対しては、“かび”や菌類が関係する。故に、(大量の水および湿気もしくは復水として)水分が進入もしくは浸入するのを防止するだけでなく、かかる水分を内側壁部から案内することにより、排水を増進すると共に貯溜を防止して“かび”および菌類の成長に対する可能性を低減する障壁を創案すべく相当の努力が為されてきた。
【0004】
“家屋包装体”とも称される障壁材料は、骨組みの被覆表面と外側カバーもしくは外装材との間に設置されることで、湿気浸入に対する二次的保護層を提供する。この耐候障壁機能は更に増進されて湿気の排出および空気の流れを促進することで、基材および骨組み材料の湿潤が生じ易い壁部アセンブリへと水分が更に浸入する可能性が低減される。これらの領域において湿気レベルが高まると“かび”の成長および/または木材の腐食が助長され、最終的には構造損壊の可能性が高まる。
【0005】
最近、湿気の排出を促進する滴下用溝または排水用溝を含む家屋包装体用の障壁材料が開発されてきた。但し、これらの溝は方向に依存する。すなわち前記材料が適切に機能すべく(すなわち適切に排水を行うべく)該材料の幾何学的構造、および、該材料に形成される溝の幾何学的構造および“形状”の故に、該材料は構造物または建築物上で一定の方向に設置されねばならない。前記材料が不適切に設置された場合、液体が貯溜し続けることがあると共に湿気もしくは液体の浸入が生じることがある。
【0006】
更に、公知の家屋包装体用材料は織成材料から形成される。これらの材料は大きな引き裂き抵抗を付与し易く、建設業界においては非常に好適である。しかし、かかる材料は製造に費用が掛かることがあると共に、典型的には、不織材料よりも(水蒸気と対照的に液状水分が)更に浸透し易い。
【特許文献1】米国特許第6,284,344号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
故に、高レベルの耐湿性を有する家屋包装体用材料に対する要望が在る。好適にはかかる材料は、該材料が設置される構造物の内部区域から水分を案内させることができる構造を有する。更に望ましくはかかる材料は、該材料が構造物上に設置される配向に依存せずに機能するものである。最も望ましくはかかる材料は、高い引き裂き抵抗と高い全体的強度とを有することで、多様な建設状況および多様な現場で使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
耐湿性の家屋包装用フィルムは建築構造物を覆うべく構成される。前記家屋包装体は、平面を形成する撓曲可能な膜から形成され、前記平面の外方に伸びる前記膜に形成された第1の複数の離間別体エンボス部を有する。前記エンボス部は(概略的な)x方向には行がかつ(概略的な)y方向には列が形成される。好適には、複数の行および複数の列が形成される。前記行は相互に離間されかつ前記列は相互に離間される。最も好適な家屋包装体において、前記行および列は非直線状である。
【0009】
かかる家屋包装用材料は、該材料が設置される構造物の内部区域から水分を案内させることができる構造と組み合わされた高レベルの耐湿性を有する。かかる材料は、該材料が構造物上に設置される方向に依存せずに機能すると共に、高い引き裂き抵抗と高い全体的強度とを有することで、多様な建設状況および多様な現場での使用が許容される。
【0010】
好適な家屋包装体において、前記行は平行湾曲パターンで形成されかつ前記列は平行湾曲パターンで形成される。最も好適には、(xおよびy方向の両方において)前記湾曲は正弦波パターンである。本発明の家屋包装体は、第1方向において前記平面に対して横方向に形成された第1の複数の離間別体エンボス部と、前記第1方向とは逆の第2方向において前記平面の外方に伸びる前記膜に形成された第2の複数の離間別体エンボス部とを有する。前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成される。前記行および列は非直線状である。かかるパターンにおいて前記第1の複数のエンボス部の前記行および列は、前記第2の複数のエンボス部の行および列により相互に離間される。前記第1の複数の離間別体エンボス部の各々の間、および、前記第2の複数の離間別体エンボス部の各々の間には、エンボス加工されない中立スペースが配設される。本発明のエンボス部は、平行四辺形を底面とする切頭四角錐形状を有する。
【0011】
好適なフィルムは、第1配向プラスチック層および第2配向プラスチック層を有する多層積層体として形成された撓曲可能な膜である。前記配向プラスチック層は、0°を含まない0°〜180°の角度で相互に交差する。好適には前記層は他のプラスチック層の配向に対して40°〜140°の角度であり、最も好適には、前記層は相互に約90°の配向角度である。
【0012】
かかる膜は、ポリオレフィン、好適にはポリエチレンである第1および第2プラスチック層を有する。前記各プラスチック層間には接合媒体が配設されることができる。
【0013】
撓曲可能な耐湿フィルムを形成する方法は、当該第1配向プラスチック層および第2配向プラスチック層の配向が0°を含まない0°〜180°の角度で相互に交差する第1配向プラスチック層および第2配向プラスチック層を積層して、平面を形成する撓曲可能な膜を形成するステップを含む。前記方法は、前記平面の外方に伸びるべく前記撓曲可能な膜に第1の複数の離間別体エンボス部を形成するステップを含む。前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成される。好適な方法において、前記行および列は非直線状である。
【0014】
好適な方法においては、前記形成ステップにおいて、前記第1の複数の離間別体エンボス部は第1方向において前記平面に対して横方向に形成されると共に、前記第1方向とは逆の第2方向において前記平面の外方に伸びるべく前記膜には第2の複数の離間別体エンボス部が形成される。かかる方法において、前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成される。好適には、前記行および列は非直線状であり、かつ、前記第1の複数のエンボス部の行および列は前記第2の複数のエンボス部の行および列により相互に離間される。
【0015】
エンボス部を形成するツールは、交互配置の第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1行と第2方向エンボス突出部(該第2方向エンボス部は実際には凹部である)および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行とを形成すべく当該ローラから伸びる複数のエンボス加工用突出部を有するローラを含む。前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1行は第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1列を形成すべく配設され、前記第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行は第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る交互配置の第2列を形成すべく配設される。本発明のツールにおいて、前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る第1行ならびに第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る第2行は非直線状でありかつ相互に平行であると共に、前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る第1列ならびに前記第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る第2列は非直線状でありかつ相互に平行である。本発明のツールは、反転した輪郭を有する第2の反転ローラを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、各請求項と関連する以下の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。
【0017】
当業者であれば、以下の詳細な説明および添付図面を一読すれば本発明の利益および利点は更に容易に明らかとなろう。
【0018】
本発明は種々の形態における実施例が可能であるが、図面に示されると共に以下に記述されるのは現在において好適な実施例であり、本開示は発明の例示と見做されると共に、本発明を説明された特定実施例に限定することを意図するものでないことは理解される。
【0019】
本明細書の本項の表題すなわち“発明の詳細な説明”は米国特許庁の要件に関するものであり、本明細書中に開示された主題を制限することを意味するものでなく又は制限すると推論されてはならないことを理解すべきである。
【0020】
次に各図および図8を簡単に参照すると、エンボス加工された交差積層フィルム10すなわち本発明の原理を具現する家屋包装体の一実施例が示される。家屋包装用フィルム10は、図11において建築物B上に位置して示される。家屋包装用材料10は高レベルの耐湿性を有すると共に、以下に記述される如く、該材料と該材料が設置される構造物との接合面から離間させるべく水分を案内するのを許容する構造もしくは機能表面を有する。
【0021】
家屋包装用材料10は、たとえば下側に位置する家屋構造上に家屋羽目板が着座する箇所に形成される隆起部に沿う貯溜もしくは貯水を排除する排斥効果と、包装体10の表面から湿気(たとえば水分)が排出されるのを許容する方向に依存しない溝12(図8参照)との両方を提供する機能表面を有する。
【0022】
包装材料10は、好適には、結晶性ポリマから単軸配向されたフィルムの交差積層体である。かかる材料は、優れた引き裂き抵抗を含む多数の有用な特性を呈することが知られている。配向性もしくは“傾斜切断された”多層プラスチック・フィルムの一例は、本発明と同様に本出願人に譲渡されると共に言及により本明細書中に援用されるバーンズ等の特許文献1に開示されている。
【0023】
好適な材料は、テキサス州、ヒューストンのITW VALERON(登録商標)社から市販されているVALERON(登録商標)ブランドのフィルムである。図16を参照すると(ウェブとも称される)フィルム14は、当該フィルム層16、18の各々が収集されるローラに対して所定角度にて分子配向を獲得すべく連続的螺旋で押出し成形かつ傾斜切断された2つのフィルム層16、18の交差積層体から形成されたポリオレフィン、好適には高密度ポリエチレン(HDPE)である。傾斜切断されたフィルム16、18は次に、好適には該フィルム層16、18間の接着剤もしくはポリマ20により交差積層されてウェブ14を形成する。前記エンボス加工された家屋包装用フィルムにおいては、ポリエチレン・テレフタレート(PET)などの他の不織材料および同時押出し成型されたポリマ材料の使用が企図される。
【0024】
図16に見られる如く第1フィルム層16の配向の方向は、層16、18の配向が非平行である如く所定角度αにて、第2フィルム層18の配向の方向と交差している。すなわち、各フィルム層の配向は、0°を含まない0°〜180°の角度αで相互に交差する。図16に見られる如く、層16の配向は線22にて表され、層18の配向は線24にて表される。角度αは、約40°〜約140°の範囲、好適には約78°〜約104°の範囲とされることができる。最も好適な配向角度は、フィルム16、18が相互に直交して配向される様に約90°である。好適な積層ウェブ14は、約0.08mm(0.0032インチもしくは3.2ミル)〜約0.10mm(4.0ミル)の厚みを有する。ウェブ14は勿論、所望の用途次第で他の厚さを有すべく形成されることができるが、これらのウェブ・ゲージもしくは厚みは従来の住宅建築に対して良好に機能することが確認されている。
【0025】
交差積層に続き、ウェブ14には機能表面が形成される。ウェブ14をエンボス加工することにより本発明の表面が形成されることでフィルム10が形成される。フィルム10の平面P10に対し、ウェブ14の各方向にはエンボス部が形成される。すなわち(図5および図8の図面の平面である)フィルム10の平面P10に対し、エンボス部は紙面から手前に(説明目的で、これは正のエンボス部30と称される)かつ紙面の向こう側へと(負のエンボス部34)が形成される。ウェブ14の表面を見ると前記エンボス部は正のエンボス部30および負のエンボス部34を形成するが、それらに対してはエンボス加工されない中立区域32が在る。エンボス部30、34は、フィルム10のz方向に形成される。当業者であれば、フィルム10の一方の“側”で正のエンボス部30として視認されるものは、フィルム10の他の側では負のエンボス部34として視認されることを理解し得よう。
【0026】
エンボス部30、34は、フィルム10のx方向(すなわち概略的に26で示された行)およびy方向(すなわち概略的に28で示された列)の両方において所定パターンで構成される。本発明のフィルム10においては、行26および列28のいずれも直線状でない。むしろ図示された如く行26および列28は、以下で論じられる如く正弦波パターンで配設されて別体にエンボス加工30、34された要素から形成される。各行26および各列28は、交互配置の正のエンボス部30および中立平面区域もしくは領域32、または、負のエンボス部34および中立平面領域32から形成され、また、行26(もしくは列28)は各区域(すなわち各エンボス部30、34または各中立領域32)が異なる区域に隣接する様に交互配置される。すなわち、各行26および各列28における区域の半分は中立領域32であることから、行26(および列28)は、中立領域32は共通縁部を共有しないが(それらの夫々の角隅部にて接触して)相互に交互配置される如く、相互に形成される。
【0027】
たとえば図8を参照すると行RA(エンボス部RA1〜RA10)の負のエンボス部は、中立スペースRAS1、RAS2、RAS3によりその行において隣接する負のエンボス部から離間される。以下同様。(すなわちRA1はRA2から離間され、RA2はRA3から離間される。以下同様。)また、行RAの負のエンボス部は、行RCの負のエンボス部から中立平面領域CAS1、CCS1により離間される。以下同様。各列に対しては、同一パターンが追随する。すなわち、列CAの負のエンボス部(エンボス部CA1〜CA10)は、その列における隣接エンボス部から中立平面領域CAS1、CAS2、CAS3により離間される。以下同様。(すなわちCA1はCA2から離間される。以下同様。)また列CAの負のエンボス部は、列CCの負のエンボス部から中立平面領域CBS1、CBS2により離間される。以下同様。示された如くフィルム10は、少なくとも2本の行R(たとえばRA、RB、RC)および少なくとも2本の列C(たとえばCA、CB、CC)を有する。図面からは、本発明のフィルム10が、“スペース”の約25%が正のエンボス部であり、“スペース”の約25%が負のエンボス部であり、“スペース”の約50%が中立平面領域もしくはスペースであるチェッカー盤状の外観(市松模様)を有して形成されることが理解される。
【0028】
行26を形成するエンボス部30、34は列28を形成するエンボス部30、34であることから、エンボス部30、34の各々は行表示および列表示を有し、この様にしてマトリクスを形成することも明らかである。
【0029】
図5に見られる如く行26および列28は、湾曲パターンで又は湾曲経路を有して形成される。すなわち行26および列28は、直線状ラインを形成しない(直線状でない)。むしろ行26および列28は好適には、正弦波パターンを有して形成される。企図された包装体10において正弦曲線は、約51mm(2.0インチ)のピッチと、約6.35mm(0.25インチ)のピーク間振幅とを有する。エンボス部30、34は、約1.27mm(0.05インチ(50ミル))の側部長さl30と、約0.9mm(0.035インチ(約35ミル))の深さd30を有して形成される。エンボス部の“密度”は、(51mm(2インチ)パターンに基づく)反復パターン毎に一辺当たりで約40個のエンボス部30、34、または、25.8平方センチ(4平方インチ)当たり約1600個のエンボス部(または6.45平方センチ(1平方インチ)当たり約400個のエンボス部)である。企図されたフィルム10においてエンボス部30、34は各々、平行四辺形の基部を有する切頭四角錐として形成される(図10参照)。すなわちエンボス部30、34は、約15°の角度αにて(中立平面P32から離間する)上方向において内方に傾斜する実質的に等しい長さの4個の側部l30(必ずしも正方形ではなく平行四辺形であり、たとえば図3を参照)を有して形成される。
【0030】
図1、図2および図7にはエンボス加工フィルム10を形成するひとつのツール36が示され、図7はエンボス加工ローラ38の2つの区域を示している。ローラ38により、図5のフィルム10における中立スペース32に対応する基準もしくは中立平面P32が形成される。その場合にローラ38からは、中立平面P32から約0.9mm(35ミル)の高さもしくは距離d42で突出部42が外方に伸びる。突出部42は、中立平面P32に直交するラインに対して約15°の角度βにて内方に傾斜する側部44を備えた切頭四角錐形状を有して形成される。突出部42の頂部46は平坦であり、突出部42間の(中立平面P32における)谷部48は平坦である。理解される如く、“突出部”42は負のエンボス部34を形成する。
【0031】
突出部42に加えてローラ38には、正のエンボス部30を形成する凹所50も形成される。凹所50は突出部42に関して鏡像関係で形成される。すなわち凹所50は、(中立平面P32に対応する)平坦基部52と、中立平面P32に直交するラインに対して約15°の角度βで形成された側部54とを有する。
【0032】
フィルム10自体が、その交差積層構造の故に増進された強度および引き裂き抵抗を呈する。当業者であれば、プラスチック層の配向は製造中に前記フィルムに対して付与される特性であることを認識し得よう。典型的には、ポリマが溶融されると共に押出し成形機の金型からバブル形態で押出し成形される。該フィルムは次に、たとえば環状の空気リングを用いて冷却される(吹き出しフィルム・プロセス)。冷却されたバブルは潰されて巻き取り用平面材が形成され、これは次に延伸される。それが、前記フィルムを“配向”させる押出しおよび延伸操作である。本質的に、前記押出しおよび延伸プロセスの結果として、長鎖ポリマ分子は配向もしくは方向付けされる。その様に作成されて配向された巻き取り用平面材は次に傾斜切断され、配向角度は機械方向に対して所望角度である単一層のフィルムが作成される。
【0033】
図12には、フィルム10を作成する(全体として60で示された)ひとつのプロセスが部分的かつ模式的に示される。前記プロセスの(押出し積層プロセスとして参照される)フィルム形成部分においては、はさみローラ66の近傍にてプラスチック層16、18間に接合もしくは接着シール材料20を塗布すべく位置された接合材料塗布器64により、交差配向積層フィルム16、18に相互に塗布すべくステーション62が用いられる。代替的にプラスチック層16、18は、接合もしくはシール層を使用せずに相互に直接的に配設されることができる。但し、企図されたフィルムにおいては、プラスチック層16、18の間に接合層20が配設され、この接合層20は低密度のポリエチレンなどの媒体から形成される。
【0034】
このプロセスは撓曲可能で交差積層されたフィルムもしくは膜14を形成し、これは次に第2(エンボス加工)ステーション68へと搬送され、そこで膜14はエンボス加工ローラ38、40のニップ70内へと供給されてエンボス加工フィルム10が形成される。フィルム10は透過用の孔が明けられ、水蒸気の通過は許容するが液状水分の通過は許容しない。
【0035】
前記材料に関し、押出し積層に対する代替策として接着積層が使用されることができることも企図される。かかるプロセスにおいては、(たとえばポリウレタンなどの)ポリマ接着系が使用されることが予見される。但し、他のポリマ接着系も企図される。必要なら、(接着剤から)溶媒などを除去すべく一定配列の乾燥炉が使用されることができる。
【0036】
図13から図15には、代替的なエンボス加工パターン110が示される。この実施例110において行126および列128は、(エンボス部130、134の各対の)隣接する行または列が隣接する行126または列128に対して交互配置される様に離間される。
【0037】
たとえば第2行126Bにおけるエンボス部は第4行126Dおよび第6行126Fにおけるエンボス部に対して列的に整列されるが、(相互に列的に整列された)第1行126A、第3行126C、第5行126Eなどにおけるエンボス部に対しては交互配置される。同様に、第1列128Aにおけるエンボス部は、第3列128Cなどにおけるエンボス部と行的に整列されるが、第2列128B、第4列128Dなどにおけるエンボス部からは交互配置される。
【0038】
エンボス部130、134は、細長い中央区画138を備えて湾曲されもしくは丸形とされた上側および下側端部136を有する立体的で細長い楕円形として形成される。実質的にエンボス部130、134は、競技場の様な形状を有する。図14に見られる如く、ウェブ110の平面に直交する方向(すなわち断面)において見たときにエンボス部130、134は、平坦化された頂部142および谷部144を備えた湾曲側壁140を有する。
【0039】
本発明の家屋包装体10、110は、公知の障壁材料において形成される連続溝形式と異なり、ウェブ14において別体に離間された構成30、34、130、134により形成される。本発明の家屋包装用フィルム10、110は、該フィルムが構造物B上に設置される方向に依存せずに機能する。最も望ましくは、かかる材料10、110は高い引き裂き抵抗と高い全体的強度を有することで、全ての建設状況および全ての現場における使用が許容される。
【0040】
特定のエンボス加工パターン、輪郭、形状および配向が記述されたが、本発明に依れば種々の他のパターン、輪郭、形状および配向が企図されると共に本発明の有効範囲内であることは理解される。
【0041】
本明細書中で言及された全ての特許は、本開示の本文において言及が詳細に為されたか否かを問わず、言及したことにより本明細書中に援用される。
【0042】
前記開示において、“ひとつの(a,an)”という単語は、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。逆に、適切な場合、複数形の項目に対する一切の言及は単数を包含するものとする。
【0043】
前記からは、本発明の新規な概念の精神および有効範囲から逸脱せずに多くの改変および変形が為されることができることが理解される。図示された特定実施例に関しては何らの限定も意図されずまたは推論されるべきでないことは理解される。本開示は、添付の各請求項の有効範囲内に収まる全てのかかる改変を該請求項により包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のエンボス加工された交差積層式の家屋包装用フィルムを形成する同様に本発明のひとつの形態を具現化したツール(一対のローラ)の斜視図である。
【図2】前記ツールのエンボス加工要素箇所の形成を模式的に示したものである。
【図3】前記ツールのエンボス加工要素の位置、パターンおよび構成を示す図である。
【図4】二重正弦波エンボス加工パターンが形成されたフィルムの一実施例を示す図である。
【図5】図4のフィルムの拡大図である。
【図6】図5のフィルムの拡大図である。
【図7】図5および図6に示されたフィルムを作成すべく使用されるエンボス加工ツールの断面図である。
【図8】フィルムシートの一部を示す図である。
【図9】図8の9−9線に沿う前記シートの断面図である。
【図10】図8の10−10線に沿う前記シートの断面図である。
【図11】前記エンボス加工された交差積層式の家屋包装用フィルムが設置された建築物の模式図である。
【図12】前記家屋包装用フィルムを形成するプロセスの概略図である。
【図13】フィルムに代替的なエンボス部を形成する代替的ツールの一部の拡大図である。
【図14】前記代替的フィルムの断面図である。
【図15】前記代替的フィルムの頂部もしくは底部表面の図である。
【図16】本発明の前記フィルムにおいて使用される多層積層体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
α 所定角度
B 建築物
C 列
CA 列
CA1〜CA10 エンボス部
CAS1 中立平面領域/中立スペース
CAS2、CAS3 中立スペース
CBS1、CBS2 中立平面領域
CC 列
CCS1 中立平面領域
30 深度
42 高さ/距離
30 側部長さ
10 平面
32 中立平面
R 行
RA 行
RA1〜RA10 エンボス部
RAS1、RAS2、RAS3 中立スペース
RC 行
10 エンボス加工された交差積層フィルム/家屋包装体
12 方向に依存しない溝
14 フィルム/膜
16 第1フィルム層/プラスチック層
18 第2フィルム層/プラスチック層
20 接着剤/接合材料
22、24 線
26 行
28 列
30 正のエンボス部
32 中立平面区域/中立スペース
34 負のエンボス部
36 ツール
38、40 エンボス加工ローラ
42 突出部
44 側部
46 頂部
48 谷部
50 凹所
52 平坦基部
54 側部
62 ステーション
64 接合材料塗布器
66 はさみローラ
68 ステーション
70 ニップ
110 代替的なエンボス加工パターン/家屋包装体
126 列
126A 第1行
126B 第2行
126C 第3行
126D 第4行
126E 第5行
126F 第6行
128 列
128A 第1列
128B 第2列
128C 第3列
128D 第4列
130 エンボス部
134 エンボス部
136 上側および下側端部
138 細長い中央区画
140 湾曲側壁
142 頂部
144 谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を形成する撓曲可能な膜と、
前記平面の外方に伸びる前記膜に形成された第1の複数の離間別体エンボス部であって、該エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成され、前記行は相互に離間されかつ前記列は相互に離間される第1の複数の離間別体エンボス部と、を備える、建築構造物を覆う耐湿フィルム。
【請求項2】
前記行および列は非直線状である、請求項1に記載の耐湿フィルム。
【請求項3】
前記行は平行湾曲パターンで形成されかつ前記列は平行湾曲パターンで形成される、請求項2に記載の耐湿フィルム。
【請求項4】
前記湾曲パターンは正弦波パターンである、請求項3に記載の耐湿フィルム。
【請求項5】
前記エンボス部は平行四辺形形状を有して形成される、請求項1に記載の耐湿フィルム。
【請求項6】
前記第1の複数の離間別体エンボス部は第1方向において前記平面に対して横方向に形成されると共に、該エンボス部は、前記第1方向とは逆の第2方向において前記平面の外方に伸びる前記膜に形成された第2の複数の離間別体エンボス部を含み、
前記エンボス部はx方向においては少なくとも2行でかつy方向においては少なくとも2列で形成され、前記行は相互に離間されると共に前記列は相互に離間され、前記行および列は非直線状であり、
前記第1の複数のエンボス部の前記行および列は、前記第2の複数のエンボス部の行および列により相互に離間される、請求項1に記載の耐湿フィルム。
【請求項7】
前記第1の複数の離間別体エンボス部の各々の間のエンボス加工されない中立スペースを含む、請求項1に記載の耐湿フィルム。
【請求項8】
前記第1の複数の離間別体エンボス部の各々の間のエンボス加工されない中立スペースと前記第2の複数の離間別体エンボス部の各々の間のエンボス加工されない中立スペースとを含む、請求項6に記載の耐湿フィルム。
【請求項9】
前記撓曲可能な膜は、第1配向プラスチック層と第2配向プラスチック層とを有する多層積層体であり、
前記各プラスチック層の配向は、0°を含まない0°〜180°の角度で相互に交差する、請求項1に記載の耐湿フィルム。
【請求項10】
前記第1プラスチック層の配向は前記第2プラスチック層の配向に対して40°〜140°で選択された角度である、請求項9に記載の耐湿フィルム。
【請求項11】
前記第1および第2層は約90°の角度で相互に交差する、請求項10に記載の耐湿フィルム。
【請求項12】
前記第1および第2プラスチック層はポリオレフィンである、請求項9に記載の耐湿フィルム。
【請求項13】
前記ポリオレフィンはポリエチレンである、請求項12に記載の耐湿フィルム。
【請求項14】
前記各プラスチック層間に配設された接合媒体を更に備える、請求項9に記載の耐湿フィルム。
【請求項15】
交互配置の第1方向エンボス部および中立スペースから成る交互配置の第1行、および、第2方向エンボス部および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行が形成された撓曲可能な耐湿膜を備え、
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る交互配置の第1行は、第1方向エンボス部および中立スペースから成る交互配置の第1列を形成すべく配設されると共に、前記第2方向エンボス部および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行は、第2方向エンボス部および中立スペースから成る交互配置の第2列を形成すべく配設され、
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る第1行ならびに前記第2方向エンボス部および中立スペースから成る第2行は、相互に平行であると共に、前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る第1列ならびに前記第2方向エンボス部および中立スペースから成る第2列は相互に平行である、耐湿フィルム。
【請求項16】
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る第1行ならびに前記第2方向エンボス部および中立スペースから成る第2行は非直線状であり、
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る第1列ならびに前記第2方向エンボス部および中立スペースから成る第2列は非直線状である、請求項15に記載の耐湿フィルム。
【請求項17】
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る非直線状の第1行、ならびに第2方向エンボス部および中立スペースから成る非直線状の第2行は、相互に平行であると共に第1パターンであり、
前記第1方向エンボス部および中立スペースから成る非直線状の第1列、ならびに第2方向エンボス部および中立スペースから成る非直線状の第2列は、相互に平行であると共に第2パターンである、請求項16に記載の耐湿フィルム。
【請求項18】
前記第1および第2パターンは正弦波状である、請求項17に記載の耐湿フィルム。
【請求項19】
前記エンボス部は平行四辺形の輪郭を有する、請求項15に記載の耐湿フィルム。
【請求項20】
前記膜は、第1配向プラスチック層と第2配向プラスチック層とを有する多層積層体であり、
前記各プラスチック層の配向は、0°を含まない0°〜180°の角度で相互に交差する、請求項15に記載の耐湿フィルム。
【請求項21】
配向が0°を含まない0°〜180°の角度で相互に交差する第1配向プラスチック層および第2配向プラスチック層を相互に積層して、平面を形成する撓曲可能な膜を形成するステップと、
前記平面の外方に伸びるべく前記撓曲可能な膜に第1の複数の離間別体エンボス部を形成するステップであって、該エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成され、前記行は相互に離間されかつ前記列は相互に離間されるステップとを備える、
撓曲可能な耐湿フィルムを形成する方法。
【請求項22】
前記行および列は非直線状である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記形成ステップにおいて、前記第1の複数の離間別体エンボス部は第1方向において前記平面に対して横方向に形成されると共に、前記第1方向とは逆の第2方向において前記平面の外方に伸びるべく前記膜には第2の複数の離間別体エンボス部が形成され、
前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成され、
前記第1の複数のエンボス部の行および列は前記第2の複数のエンボス部の行および列により相互に離間される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記行および列は非直線状である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
家屋包装用フィルムの平面の外方に伸びるべく該フィルムに第1の複数の離間別体エンボス部を形成するステップであって、前記エンボス部はx方向においては少なくとも2行でかつy方向においては少なくとも2列で形成され、前記行は相互に離間されると共に前記列は相互に離間されるステップを備える、
家屋包装用フィルムにおける水分または復水の排水性を改善する方法。
【請求項26】
前記形成ステップにおいて、前記第1の複数の離間別体エンボス部は第1方向において前記フィルムの前記平面に対して横方向に形成されると共に、前記第1方向とは逆の第2方向において前記フィルムの前記平面の外方に伸びる第2の複数の離間別体エンボス部が前記フィルムに形成され、
前記エンボス部はx方向には行がかつy方向には列が形成され、
前記第1の複数のエンボス部の行および列は前記第2の複数のエンボス部の行および列により相互に離間される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記行および列は非直線状である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
交互配置の第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1行と第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行とを形成すべく当該ローラから伸びる複数のエンボス加工用突出部を有するローラを備え、
前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1行は第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る交互配置の第1列を形成すべく配設され、かつ、前記第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る中間の交互配置の第2行は第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る交互配置の第2列を形成すべく配設され、
前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る第1行ならびに第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る第2行は相互に平行であると共に、前記第1方向エンボス突出部および中立スペースから成る第1列ならびに前記第2方向エンボス凹部および中立スペースから成る第2列は相互に平行である、
ウェブに複数のエンボス部を形成するツール。
【請求項29】
前記エンボス突出部および中立スペースの行および前記エンボス突出部および中立スペースの列は非直線状であり、かつ、相互に平行である、請求項28に記載のツール。
【請求項30】
反転した輪郭を有する第2ローラを含む、請求項28に記載のツール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2007−518595(P2007−518595A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545665(P2006−545665)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038821
【国際公開番号】WO2005/065941
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】