説明

オイルストレーナの製造方法

【課題】広い濾過面積及び高い濾過機能が確保されたオイルストレーナを安価に提供する。
【解決手段】内周面全体に複数条の縦溝35形成用の突条23を周方向に所定のピッチで有する凹部17bを第1型17に形成する。また、凹部17bを周方向に複数の分割空間に分割する第1スライド型27と、凹部17bの内周面と対向する外周面に複数条の横溝37形成用の突条31を進退方向に所定のピッチで有する第2スライド型29とを凹部17b内に進退可能に配置する。第1スライド型27と第2スライド型29とを凹部17b内に前進させた型閉じ状態で、両突条23,31の交差部に隙間が生じないようにしてキャビティ33内に溶融樹脂を充填し、溶融樹脂が固化した後、第1スライド型27を凹部17b内から後退させ、次いで第2スライド型29を凹部17b中心方向に移動させてその突条31を凹部17bの突条23から離間させた後、凹部17b内から後退させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の樹脂製本体部と該本体部の内部に配設された樹脂製濾過部とを備え、オイルを上記本体部の内部を一端側から他端側に通過させる過程で濾過部により濾過するオイルストレーナの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状オイルストレーナ本体の一端に第1ハウジングを一体に張出形成し、板状のフィルタが内部に形成された第2ハウジングを上記第1ハウジングにヒンジを介して組み付けるようにした樹脂製オイルストレーナが開示されている。
【0003】
特許文献2には、一端側が開口した袋状のフィルタに係合部を設け、該係合部を筒状オイルストレーナ本体の内面に係合させることにより、オイルストレーナ本体にフィルタを組み付けるようにした樹脂製オイルストレーナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−153712号公報
【特許文献2】特開2001−120920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献2では、オイルストレーナ本体とフィルタとが別部材で構成されているので、それぞれ専用の成形型で成形しなければならず、製造コストが高くなっている。また、特許文献1,2では、オイルストレーナ本体とフィルタとの組付け作業が必要であり、これによっても製造コストが高くなっている。
【0006】
しかも、上記特許文献1では、フィルタが板状であり、かつオイルストレーナ本体の開口を覆うように設けられていて小さいため、オイルの濾過面積を広く確保することができない。
【0007】
さらに、上記特許文献1では、両ハウジングの成形誤差や組付け誤差等によってヒンジ部分に隙間が生じると、この隙間からオイルが出入りして濾過機能が低下するおそれがある。また、上記特許文献2でも、フィルタ及びオイルストレーナ本体の成形誤差等によってフィルタとオイルストレーナ本体内面との間に隙間が生じると、この隙間からオイルが出入りして濾過機能が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、広い濾過面積及び高い濾過機能が確保されたオイルストレーナを安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、筒状の本体部と袋状の濾過部とが一体になったオイルストレーナを製造することを特徴とする。
【0010】
具体的には、本発明は、両端が開口した筒状の樹脂製本体部と、該本体部の内部に配設され、断面積が開口端部側から反開口端部側に亘って反開口端部側よりも狭くならないように有底の筒形又は一端が開口したシェル状の錐形に形成されているとともに、上記本体部の内部を一端側と他端側とに分断するように開口端部周縁で本体部に一体に連続する樹脂製濾過部とを備え、オイルを上記本体部の内部を一端側から他端側に通過させる過程で濾過部により濾過するオイルストレーナの製造方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記本体部の内外面及び濾過部の外面を成形する第1型及び第2型と、上記濾過部の内面を成形するスライド型とを備え、上記第1型及び第2型の一方には、内周面全体に複数条の縦溝形成用の突条を周方向に所定のピッチで有する凹部が形成され、上記スライド型は、上記凹部内に進退可能に配置され、凹部内を周方向に複数の分割空間に分割する第1スライド型と、上記各分割空間に進退可能にかつ当該進退方向と交差する方向に移動可能に配置され、上記凹部の内周面と対向する外周面に複数条の横溝形成用の突条を上記進退方向に所定のピッチで有する第2スライド型とからなる成形型を用意し、上記第1スライド型と第2スライド型とを上記凹部内に前進させた型閉じ状態で、上記両突条の交差部に隙間が生じないようにしてキャビティ内に溶融樹脂を充填し、該溶融樹脂が固化した後、上記第1スライド型を上記凹部内から後退させ、次いで第2スライド型を凹部中心方向に移動させてその突条を上記凹部の突条から離間させた後、該凹部内から後退させ、濾過部の外周面全体に複数条の縦溝が上記凹部の突条により形成されるとともに、内周面全体に複数条の横溝が上記第2スライド型の突条により環状に形成され、かつ上記横溝と縦溝との重なる多数箇所に壁厚方向に貫通する貫通孔が形成されて、上記濾過部の周壁部全体にこれら貫通孔がメッシュ状に分布したオイルストレーナを得ることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオイルストレーナの製造方法において、上記凹部は、細孔形成用の多数の突起が略垂直に突設された底面を有し、成形されるオイルストレーナの底壁部には、上記突起に対応する多数の細孔が貫通形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、本体部と濾過部とを共通の成形型で成形できるので、別々の成形型を用いる場合に比べて型費を削減できる。さらに、組付け工程が不要となり製造工数が少なくなるので、製造コストを低減できる。
【0014】
また、本体部と濾過部とが一体に連続して成形されるので、別部材を組み付ける場合の組付け誤差が生じず、組付け箇所に隙間が生じるおそれもない。したがって、組付け箇所からオイルが出入りすることがなく、濾過機能が向上する。
【0015】
また、濾過部が袋状に形成されるため、特許文献1のように板状に形成した場合に比べてオイルの濾過面積を広く確保することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、底壁部によってもオイルが濾過されるので、底壁部に細孔を設けない場合に比べて濾過面積が大きくなり、これにより吸入抵抗を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの正面図である。
【図2】図5のA−A線における断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの濾過部の周壁部外面の拡大図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの濾過部の周壁部内面の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの平面図である。
【図6】図2のB−B線における断面図である。
【図7】(a)は、第1スライド型と第2スライド型とを第1型の柱状突出部の凹部内に前進させた状態を示す図6対応製造工程図であり、(b)は、第1スライド型を第1型の柱状突出部の凹部内から後退させた状態を示す図6対応製造工程図であり、(c)は、第2スライド型を第1型の柱状突出部の凹部中心方向に移動させた状態を示す図6対応製造工程図である。
【図8】(a)は、図7(a)のC−C線に対応する断面図であり、(b)は、図7(b)のD−D線に対応する断面図であり、(c)は、図7(c)のE−E線に対応する断面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの分解斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る製造方法により製造されたオイルストレーナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1〜6は、本発明の実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナ1を示す。このオイルストレーナ1は、惰円筒状の樹脂製本体部3を備え、該本体部3の内部には、一端が開口し他端に底壁部41を有する樹脂製濾過部5が配設され、該濾過部5は、径が開口端部側に向かって次第に長くなる有底の惰円筒形に形成されている。この濾過部5は、上記本体部3の内部を上端側(オイル流動方向下流側)と下端側(オイル流動方向上流側)とに分断し、開口端部が反開口端部よりもオイル流動方向上流側に位置するように開口端部周縁で本体部3の下端縁に一体に連続している。後で説明する第1スライド型27と内周面が接する領域を除き、該濾過部5の外周面全体には、複数条の縦溝35が形成されているとともに、内周面全体に複数条の横溝37が環状に形成され、上記縦溝35と横溝37の重なる多数箇所に壁厚方向に貫通する貫通孔39が形成されて濾過部5の周壁部6全体にメッシュ状に分布している。また、底壁部41には、後で説明する第1スライド型27と内面が接する略十字形の領域を除いた領域に多数の細孔43がメッシュ状に貫通形成されている。
【0020】
上記本体部3の上端側外周には、全周に亘って板状張出片部7が径外方向に向かって一体に張出形成されている。該張出片部7には、板厚方向に貫通する1対のボルト挿通孔9が、本体部3開口の長軸を挟んで180度反対側に位置するように形成されている。各ボルト挿通孔9には、金属製のカラー11が嵌め込まれている。また、上記本体部3の上端面には、全周に亘って惰円形環状溝13が形成され、該環状溝13には、ゴム製のシール用Oリング15が嵌っている。さらに、上記本体部3の下端縁は、短軸方向一方側に向かって上方に傾斜している。
【0021】
図7及び図8は、本発明の実施形態1に係るオイルストレーナ1の製造工程を示す。上述のように構成されたオイルストレーナ1を製造するには、上記本体部3の内面、濾過部5の外面、張出片部7の上面、及びボルト挿通孔9の内周面を成形する第1型17(固定型)と、上記本体部3の外面、及び張出片部7の下面と側面を成形する第2型19(可動型)と、上記濾過部5の内面を成形するスライド型21とからなる成形型22を用いる。具体的な製造方法を説明する前に、この成形型22の型構造について説明する。
【0022】
上記第1型17は、上記本体部3の内面を成形するための柱状突出部17aを有し、該柱状突出部17aの先端面には凹部17bが形成され、該凹部17bは、開口側から底側に亘って径が徐々に短くなるように横断面楕円形に形成されている。この凹部17bの後で説明する第1スライド型27と対向する領域を除く内周面全体には、複数条の縦溝35形成用の突条23が周方向に所定のピッチで突設されているとともに、該凹部17bの底面における後で説明する第1スライド型27と対向する略十字形の領域を除く領域には、細孔43形成用の多数の突起25が略垂直に突設されている。また、第1型17の柱状突出部17aの基端側には、環状溝13形成用の環状突起18が、柱状突出部17aを囲むように突設されている。また、第1型17には、ボルト挿通孔9形成用の1対の突起20が上記柱状突出部17aを相対する2方向から挟むように形成されている。
【0023】
一方、上記第2型19は、上記本体部3と張出片部7の下面及び側面とを成形するための凹所19aを有し、該凹所19aの底面には、上記スライド型21を挿通させる挿通孔19bが形成されている。
【0024】
また、上記スライド型21は、第1スライド型27と4つの第2スライド型29とからなり、上記第2型19の挿通孔19bに挿通された状態で上記第1型17の凹部17b内に進退可能に配置されている。上記第1スライド型27は、断面略十字形の柱状に形成されて第1型17の凹部17b内を4つの分割空間に分割するように凹部17b内に進退可能に配置されている。上記第2スライド型29は、それぞれ、楕円を長軸と短軸とで4分割した断面形状を有する柱状に形成され、上記各分割空間に進退可能にかつ当該進退方向と交差する方向に移動可能に配置されている。該第2スライド型29の上記凹部17bの内周面と対向する外周面には、複数条の横溝37形成用の突条31が上記進退方向に所定のピッチで全長に亘って形成されている。
【0025】
次に、本実施形態に係るオイルストレーナ1の製造方法について説明する。
【0026】
まず、第2型19を前進させて第1型17に接近させ、上記第1型17の柱状突出部17aを第2型19の凹所19aに挿入する。さらに、第1スライド型27と第2スライド型29とを上記第2型19の挿通孔19bから第1型17の凹部17b内に前進させることにより成形型22を型閉じしてキャビティ33を形成する。この状態で、図7(a)及び図8(a)に示すように、上記第1型17の凹部17bの突条23と第2スライド型29の突条31との交差部に隙間が生じず、上記凹部17bの突起25と上記第2スライド型29の進出方向側端面とが当接している。そして、形成したキャビティ33内に、第1スライド型27の先端と第1型17の凹部17b内周面との間にできた空間から溶融樹脂(図示せず)を充填する。このとき、凹部17bの内周面と底面における第1スライド型27と対向する領域には突条23及び突起25が形成されていないので、本体部3のキャビティと連通した溶融樹脂の通り道となり、溶融樹脂が濾過部5に対応するキャビティ空間全体にスムーズに行き渡る。
【0027】
次に、充填した溶融樹脂が固化した後、図7(b)及び図8(b)に示すように、上記第1スライド型27を上記凹部17b内から後退させる。次いで、図7(c)及び図8(c)に示すように、上記第2スライド型29を凹部17b中心方向に移動させてその突条31を上記凹部17bの突条23から離間させた後、該凹部17b内から後退させる。
【0028】
その後、上記第2型19を後退させて第1型17から離間させて成形型22を型開きし、成形されたオイルストレーナ1を脱型する。このようにして得られたオイルストレーナ1の濾過部5の第1スライド型27と内周面が接する領域を除く外周面全体には、図2〜6に示すように、複数条の縦溝35が上記凹部17bの突条23により形成されているとともに、内周面全体に複数条の横溝37が第2スライド型29の突条31により環状に形成され、上記縦溝35と横溝37の重なる多数箇所に壁厚方向に貫通する貫通孔39が形成されて濾過部5の第1スライド型27と内周面が接する領域を除く周壁部6全体にメッシュ状に分布している。また、底壁部41における第1スライド型27と内面が接する略十字形の領域を除く領域には、上記突起25に対応する多数の細孔43がメッシュ状に貫通形成されており、上記濾過部5の第1スライド型27と接して貫通孔39及び細孔43が形成されていない部位は、上記濾過部5を支持する梁として濾過部5の剛性を保っている。
【0029】
上記のように製造されたオイルストレーナ1はオイルパン内に収容され、上記張出片部7の両ボルト挿通孔9に金属製のカラー11を嵌合させた状態でボルト締めによりエンジンのオイル吸入口(図示せず)の周縁部に取り付けられる。この状態で、Oリング15が環状溝13底面とオイル吸入口の周縁部とに圧接してオイルや空気の出入りが防止される。そして、この状態でエンジンが駆動すると、オイルパン内のオイルが上記本体部3の下端側開口から吸入されて濾過部5の貫通孔39又は細孔43を通過して濾過され、上端側から流出してオイルポンプを経てエンジンの摺動部に供給される。
【0030】
したがって、本実施形態によれば、本体部3と濾過部5とを共通の成形型22で成形できるので、別々の成形型を用いる場合に比べて型費を削減できる。さらに、組付け工程が不要となり製造工数が少なくなるので、製造コストを低減できる。
【0031】
また、本体部3と濾過部5とが一体に連続して成形されるので、別部材を組み付ける場合の組付け誤差が生じず、組付け箇所に隙間が生じるおそれもない。したがって、組付け箇所からオイルが出入りすることがなく、濾過機能が向上する。
【0032】
また、濾過部5が袋状に形成されているため、板状に形成した場合に比べてオイルの濾過面積を広く確保することができる。
【0033】
さらに、底壁部41によってもオイルが濾過されるので、底壁部41に細孔43を設けない場合に比べて濾過面積が大きくなり、これにより吸入抵抗を小さくできる。
【0034】
(実施形態2)
図9及び図10は、本発明の実施形態2に係る製造方法により製造されたオイルストレーナ1を示す。このオイルストレーナ1は、第1導管45と第2導管47とを互いに結合させることで構成されている。第1導管45は、本体部3と濾過部5とを備え、実施形態1に係る製造方法により製造されたオイルストレーナ1と同様の形状を有しているので、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。ただし、第1導管45の本体部3の下端縁は傾斜しておらず、該本体部3の下端には、該下端縁に沿って延びて互いに対向する1対の弧状のフランジ部49が径外方向に向かって一体に張出形成されている。
【0035】
一方、上記第2導管47は、略くの字状に湾曲した管状本体部51を備え、この管状本体部51の上端縁には、板状フランジ部53が略全周に亘って径外方向に向かって一体に張出形成されている。このフランジ部53の上面には外周縁に沿う円弧状の1対の突出部55が上記第1導管45のフランジ部49の隙間に対応するように突設されている。また、フランジ部49の突出部55の径方向内側には、上記第1導管45の本体部3に内側から嵌合する円筒挿入部57が突設されている。また、第2導管47の本体部51の下端縁には、1対の半円状の切欠部59が180度反対側に形成されて、オイルパンの底面が第2導管47の本体部51の下端側開口を塞ぐことを防止している。
【0036】
このオイルストレ−ナ1を製造するには、まず、第1導管45と第2導管47とを準備する。第1導管45は、上記実施形態1に係るオイルストレーナ1の製造方法と同様の方法で製造する。ただし、製造に用いる第2型19の凹所19aの内面に、上記フランジ部49を成形するための凹部を設ける。
【0037】
そして、図10に示すように、第2導管47の円筒挿入部57を第1導管45の本体部3下端側開口に挿入するとともに、第2導管47の突出部55を第1導管45のフランジ部49の隙間に嵌合させ、この状態で第1導管45と第2導管47とを互いに溶着する。
【0038】
なお、上記実施形態1,2では、本体部3を円筒状に形成したが、矩形等、円形以外の断面を有する筒状に形成してもよい。
【0039】
また、上記実施形態1,2では、濾過部5を径が開口端部側に向かって次第に長くなる有底の楕円筒形に形成したが、矩形等、楕円形以外の断面を有する筒形に形成してもよい。また、断面積が開口端部側から反開口端部側に亘って反開口端部側よりも狭くならなければ、一端が開口した錐形、又は径が一定の有底の筒形等の他の筒形に形成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態1,2では、濾過部5の開口端部が反開口端部よりもオイル流動方向上流側に位置していたが、オイル流動方向下流側に位置するようにしてもよい。この場合、成形型22は、第2型19が少なくとも本体部3の内面及び濾過部5外面を成形する型構造となる。
【0041】
また、上記実施形態1,2では、第1スライド型27を断面略十字形の柱状に形成し、第2スライド型29を楕円を長軸と短軸とで4分割した断面形状を有する柱状に形成した。しかし、第1スライド型27を後退させることにより、第2スライド型29を凹部17b中心方向に移動させてその突条31を上記凹部17bの突条23から離間させ、該凹部17b内から後退させることが可能になるのであれば、第1スライド型27と第2スライド型29は、他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、筒状の樹脂製本体部と該本体部の内部に配設された樹脂製濾過部とを備え、オイルを上記本体部の内部を一端側から他端側に通過させる過程で濾過部により濾過するオイルストレーナの製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 オイルストレーナ
3 本体部
5 濾過部
6 周壁部
17 第1型
17b 凹部
19 第2型
21 スライド型
22 成形型
23 突条
25 突起
27 第1スライド型
29 第2スライド型
31 突条
33 キャビティ
35 縦溝
37 横溝
39 貫通孔
41 底壁部
43 細孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口した筒状の樹脂製本体部と、該本体部の内部に配設され、断面積が開口端部側から反開口端部側に亘って反開口端部側よりも狭くならないように有底の筒形又は一端が開口したシェル状の錐形に形成されているとともに、上記本体部の内部を一端側と他端側とに分断するように開口端部周縁で本体部に一体に連続する樹脂製濾過部とを備え、オイルを上記本体部の内部を一端側から他端側に通過させる過程で濾過部により濾過するオイルストレーナの製造方法であって、
上記本体部の内外面及び濾過部の外面を成形する第1型及び第2型と、上記濾過部の内面を成形するスライド型とを備え、上記第1型及び第2型の一方には、内周面全体に複数条の縦溝形成用の突条を周方向に所定のピッチで有する凹部が形成され、上記スライド型は、上記凹部内に進退可能に配置され、凹部内を周方向に複数の分割空間に分割する第1スライド型と、上記各分割空間に進退可能にかつ当該進退方向と交差する方向に移動可能に配置され、上記凹部の内周面と対向する外周面に複数条の横溝形成用の突条を上記進退方向に所定のピッチで有する第2スライド型とからなる成形型を用意し、
上記第1スライド型と第2スライド型とを上記凹部内に前進させた型閉じ状態で、上記両突条の交差部に隙間が生じないようにしてキャビティ内に溶融樹脂を充填し、該溶融樹脂が固化した後、上記第1スライド型を上記凹部内から後退させ、次いで第2スライド型を凹部中心方向に移動させてその突条を上記凹部の突条から離間させた後、該凹部内から後退させ、濾過部の外周面全体に複数条の縦溝が上記凹部の突条により形成されるとともに、内周面全体に複数条の横溝が上記第2スライド型の突条により環状に形成され、かつ上記横溝と縦溝との重なる多数箇所に壁厚方向に貫通する貫通孔が形成されて、上記濾過部の周壁部全体にこれら貫通孔がメッシュ状に分布したオイルストレーナを得ることを特徴とするオイルストレーナの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルストレーナの製造方法において、
上記凹部は、細孔形成用の多数の突起が略垂直に突設された底面を有し、
成形されるオイルストレーナの底壁部には、上記突起に対応する多数の細孔が貫通形成されることを特徴とするオイルストレーナの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−51288(P2011−51288A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203982(P2009−203982)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】