説明

オルガノポリシロキサン

【課題】伸張性に優れ、しかも水や低級アルコールに対して溶解・分散性に優れるオルガノポリシロキサンの提供。
【解決手段】主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);


(R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、当該セグメントの数平均分子量が800〜1600であり、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントと、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が65/35〜82/18であり、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が10,000〜100,000である、オルガノポリシロキサン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオルガノポリシロキサン及びこれを含有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサン(以下、「シリコーン」と称することがある)は、低い表面張力、優れた潤滑性や離型性、高い熱的安定性、一般にきわめて低いガラス転移点、優れた気体透過性等の多くの特徴を有していることから、様々な形態のシリコーンが潤滑剤、熱媒体、電気絶縁体、塗料レベリング剤、離型剤、化粧品添加剤、繊維処理剤、衝撃緩衝材、シーリング材、型取り材、つや出し剤、整泡剤、消泡剤として極めて広範囲に利用されている。
【0003】
化粧品の分野においても例外でなく、シリコーンは、スキンケア剤、ファンデーション、シャンプー、コンディショナー等の化粧料に感触向上剤等として多用されている。化粧料に適用可能なシリコーンとして、例えば、特許文献1に、温度20℃、相対湿度65%における伸長率が0〜15%の範囲で破断又は塑性変形を生じない、オルガノポリシロキサンが開示されている。このオルガノポリシロキサンを含有する毛髪化粧料は、毛髪のセット能力及びその保持性に優れ、セット後の毛髪に柔軟でゴワゴワしないという良好な感触を付与でき、しかも洗髪により容易に洗い流すことができる。このように、特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンは、従来のセットポリマーより優れたものであった。
【0004】
【特許文献1】特開平07−133352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、毛髪化粧料に要求される性能や嗜好性が大きく変化したことにより、従来のセットポリマーやシリコーンでは充分に対応できなくなってきた。すなわち、毛髪化粧料には柔軟な感触と、手指を髪に通してもヘアスタイルが崩れないセット特性、加えてより自然な仕上がりが要求されるようになった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、伸張性に優れ、しかも水や低級アルコールに対する溶解・分散性に優れるオルガノポリシロキサン、及びこれを含有する毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンと同様の構造をもつオルガノポリシロキサンの中で、特定範囲のものが特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンと全く異なる性状、すなわち塑性変形を生じ格段に高い伸張性を発現するとの知見を得た。
従来、塑性変形を生ずるポリマーはセット保持性が不十分で毛髪セット用ポリマーとして不適当であると考えられていたが、塑性変形を生じ高い伸張性を有するオルガノポリシロキサンを毛髪化粧料に含有させると、意外なことに、柔軟な感触を付与でき、手指を髪に通しても、更には風や振動等の外的要因に対してもセット崩れが少なく、自然な仕上がりが得られ、しかも良好な洗浄性をも発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が800〜1600であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が10,000〜100,000である、オルガノポリシロキサンを提供するものである。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。)
【0011】
また、本発明は、上記のオルガノポリシロキサンを含有する毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、伸張性に優れ、しかも水や低級アルコールに対する溶解性に優れるオルガノポリシロキサンが提供される。また、このオルガノポリシロキサンを含有する毛髪化粧料は、柔軟な感触を付与でき、手指を通しても、更には風や振動等の外的要因に対してもセット崩れが少なく、自然な仕上がりが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(オルガノポリシロキサン)
本発明のオルガノポリシロキサンは、上記特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンと同様に、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子にポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを有するものであるが、上記特許文献1の段落[0024]に記載の方法により伸張率0〜15%の範囲における塑性変形の有無を試験すると、応力緩和後10分経過するまでに塑性変形を生ずるものである。ゆえに、本発明のオルガノポリシロキサンは、応力−歪み曲線が同じ軌道をたどることがない。これに対し、特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンはゴム弾性体であって、応力−歪み曲線が同じ軌道をたどり、塑性変形を生じないものである。なお、伸長率が0〜15%の範囲で塑性変形が生ずるか否の判断は、次の試験方法に基づくものである。すなわち、厚さ約0.2mm、長さ20mm、幅5mmの試料片を用意し、温度20℃、相対湿度65%の条件下で応力−歪み曲線を記録しながらクロスヘッド速度20mm/分で3mm伸長(15%)し、その後直ちに同じ速度で元の位置までクロスヘッドを戻す。そして、10分後、再度伸長させる。その結果、2回目の伸長時の応力−歪み曲線が1回目の曲線と同じ軌跡をたどれば、塑性変形が生じていないと判断する。他方、応力−歪み曲線は同じ軌跡をたどらなければ、塑性変形が生じたと判断する。
また、本発明者らの知見によれば、本発明のオルガノポリシロキサンは、皮膜状にして、これを引張試験機により伸張率300%で3分間静置したときに破断しないのに対し、特許文献1記載のオルガノポリシロキサンは同条件で破断する。
したがって、本発明のオルガノポリシロキサンは、特許文献1に記載のオルガノポリシロキサンと全く性状の異なるものである。ここで、本明細書において、伸張率とは、長さ20mm、巾5mm、厚さ1.0mmのポリマー皮膜を、温度20℃、相対湿度65%の条件下、引張試験機(テンシロン型引張試験機、形式RTC-1210A、株式会社オリエンテック製)により伸張速度50mm/分で長手方向に伸張させたものをいう。
【0014】
本発明のオルガノポリシロキサンは、上記のとおり、塑性変形を生じ、高い伸張性を有するものであるが、このような特性は下記(i)〜(iv)の構造的特徴を備えることにより初めて発現される。
【0015】
(i)ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに結合したものであること。
(ii)ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が800〜1600であること
(iii)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であること。
(iv)主鎖を構成するオルガノポリシロキサンの重量平均分子量が10,000〜100,000であること。
【0016】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合することが可能であるが、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合しているのが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合しているのがより好ましい。
【0017】
ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N−アシルアルキルイミン)セグメントの連結基として機能する。かかるアルキレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)〜(vii)が好ましく、下記式(i)及び(ii)がより好ましい。なお、式中、X-は4級アンモニウム塩の対イオンを示すが、例えば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0018】
【化2】

【0019】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN−アシルアルキレンイミン単位は上記一般式(1)で表されるものであるが、式中の記号の定義について説明する。
1における炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。中でも、炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、炭素数7〜10のアラルキル基がより好ましい。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、中でも、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜9のアリール基がより好ましい。
これらの中でも、R1としては、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
【0020】
オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は65/35〜82/18であるが、伸長率300%以上においても破断することなく塑性変形を示し、かつ十分な皮膜強度を確保する観点から、好ましくは68/32〜80/20、更に好ましくは70/30〜79/21である。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、本発明のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H−NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0021】
また、隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は1500〜3500であるが、伸長率300%以上においても破断することなく塑性変形を示し、かつ十分な皮膜強度を確保する観点から、好ましくは1600〜3200、更に好ましくは1700〜3000である。
本明細書において、「隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR2SiO単位と、1つのR6と、y+1個のR22SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R6に結合するZをいう。
【0022】
【化3】

【0023】
上記一般式(2)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、R6はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、Zはポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R7は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0024】
MWgは、上記式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N−アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、N−アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法又は後述するゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することが可能であるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは800〜1600、より好ましくは850〜1500、更に好ましくは900〜1400である。これにより、伸長率300%以上においても破断することなく塑性変形を示し、かつ十分な皮膜強度を確保することができる。
【0025】
また、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)を用いて下記式(I)により求めることができる。
【0026】
【数1】

【0027】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は10,000〜100,000であるが、伸長率300%以上においても破断することなく塑性変形を示し、かつ十分な皮膜強度を確保し、更には水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、好ましくは20,000〜80,000、更に好ましくは30,000〜60,000である。MWsiは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、変性オルガノポリシロキサンの平均分子量はGPCにより、下記測定条件によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0028】
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0029】
本発明のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、好ましくは12,000〜150,000、より好ましくは24,000〜120,000、更に好ましくは37,000〜92,000である。これにより、伸長率300%以上においても破断することなく塑性変形を示し、しかも十分な皮膜強度を確保でき、加えて水等の極性溶媒に対する溶解性が優れるようになる。本明細書において、MWtは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と、上述の質量比(a/b)とから求めることができる。
【0030】
次に、本発明のオルガノポリシロキサンの製造方法について説明する。
本発明のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3);
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、R2は上記と同義であり、R3、R4はそれぞれR2と同一の基を示すか又は下記式(viii)〜(xiv);
【0033】
【化5】

【0034】
のいずれかで表わされる1価の基を示し、R5は上記式(viii)〜(xiv)で表わされる
1価の基を示し、pは135〜1350の整数を示し、qは3〜57の整数を示す。)で表わされる変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(4);
【0035】
【化6】

【0036】
(式中、R1及びnは上記と同義である。)
で表わされる環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造することができる。
【0037】
変性オルガノポリシロキサンとしては、官能基当量が好ましくは1700〜3500、より好ましくは1800〜3200、特に好ましくは2000〜3000であり、かつ重量平均分子量が好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは20,000〜80,000、特に好ましくは30,000〜60,000であるものを使用するのが望ましい。
また、末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)は、分子量を好ましくは800〜1600、より好ましくは850〜1500、更に好ましくは900〜1400に調整することが望ましい。
【0038】
環状イミノエーテル(4)の開環重合は、開始剤を用いることができる。開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p−トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルが好適に使用される。開始剤の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)2〜100モルに対して、開始剤1モルである。
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)100質量部に対して20〜2000質量部である。
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
環状イミノエーテル(4)として、例えば、2−置換−2−オキサゾリンを用いれば、上記一般式(1)において、n=2のポリ(N−アシルエチレンイミン)が得られ、2−置換−ジヒドロ−2−オキサジンを用いれば、上記一般式(1)において、n=3のポリ(N−アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0039】
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)と、オルガノポリシロキサンセグメントとの連結方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
1)環状イミノエーテルをリビング重合して得られる末端反応性ポリ(N−アシルアルキレンイミン)に、上記一般式(3)で表わされる変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法
2)カルボキシル基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応
3)カルボキシル基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応
4)ハロゲン化アルキル基と、1級、2級又は3級アミノ基との2級、3級又は4級アンモニウムの形成反応
5)Si−H基を有するオルガノポリシロキサンへのビニル基の付加反応
6)エポキシ基とアミノ基とのβ−ヒドロキシアミン形成反応
中でも、上記1)の方法は、下記に示す理論式(II)(MWi;ポリ(N−アシルプロピレンイミン)の分子量)の様に、環状イミノエーテル(4)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N−アシルアルキレンイミン)が得られる点で最も有効である。
【0040】
【数2】

【0041】
本発明のオルガノポリシロキサンは、所定の分子量を有するオルガノポリシロキサンセグメントの少なくとも2つのケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介してポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが所定間隔で、かつ所定の割合で結合した特有の構造を備えている。これにより、塑性変形を示し、高い伸張性と高い皮膜強度とを兼備し、しかも水や低級アルコール等の極性溶媒に溶解することができることから、毛髪化粧料に含有させることが適している。
【0042】
(毛髪化粧料)
本発明の毛髪化粧料は、上記した本発明のオルガノポリシロキサンを含有することを特徴とする。これにより、柔軟な感触と、手指を髪に通してもヘアスタイルが崩れないセット特性と、より自然な仕上がりが得られる。
オルガノポリシロキサンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、毛髪のセット性、セットの持続性、洗髪による洗浄性の観点から、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0043】
また、本発明の毛髪化粧料には、毛髪のセット性、使用感の良さ、毛髪化粧料を調整する際の溶解促進の観点から、溶媒として水、C1〜C6の直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和アルコールを含有させることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水、エタノール、イソプロパノールが好ましく、水、エタノールが特に好ましい。水及びアルコールの合計含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.1〜98質量%、更に好ましくは1〜90質量%、特に好ましくは5〜60質量%である。
【0044】
また、毛髪化粧料にセットポリマーを含有させれば、セット保持力が更に向上し、かつ毛髪のすべり感触が良好になる。
セットポリマーとしては、下記(1)〜(8)に示すものが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)ビニルピロリドン系ポリマー
ポリビニルピロリドン
市販品としてルビスコールK12、K30(以上BASF社製)、PVP K15、K30(以上GAF社製)等が挙げられる。
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体
市販品としてルビスコールVA28、VA73(以上BASF社製)、PVP/VA E−735,S−630(以上GAF社製)等が挙げられる。
ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体
市販品としてルビスコールVAP343(BASF社製)等が挙げられる。
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体
市販品としてルビフレックス(BASF社製)、コポリマー845、937、958(以上GAF社製)等が挙げられる。
ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体
市販品としてルビフレックスVBM35(BASF社製)等が挙げられる。
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体
市販品としてコポリマーVC−713(GAF社製)等が挙げられる。
(2)酸性ビニルエーテル系ポリマー
メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体
市販品としてガントレッツES−225、ES−425、SP−215(以上GAF社製)等が挙げられる。
(3)酸性ポリ酢酸ビニル系ポリマー
酢酸ビニル/クロトン酸共重合体
市販品としてレジン28−1310(ナショナル・スターチ社製)、ルビセットCA66(BASF社製)等が挙げられる。
酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体
市販品としてレジン28−2930(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体
市販品としてルビセットCAP(BASF社製)等が挙げられる。
(4)酸性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
市販品としてプラスサイズL53P(互応化学(株)製)、ダイヤホールド(三菱油化(株)製)等が挙げられる。
アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体
市販品としてウルトラホールド8(BASF社製)、アンフォマーV−42(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
(5)両性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
例えばN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインと、(メタ)クリル酸アルキルエステルとの共重合体等が例示され、市販品としてはユカフォーマーM−75、SM(以上三菱油化(株)製)等が挙げられる。
アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体
例えばオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー等が例示され、市販品としてアンフォーマー28−4910(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
(6)塩基性アクリル系ポリマー
アクリルアミド・アクリルエステル系共重合体
特開平2−180911号公報、特開平8-291206号公報の実施例に記載されているもの等が挙げられる。
(7)セルロース誘導体
カチオン性セルロース誘導体
市販品としてセルコートH−100、L−200(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
(8)キチン・キトサン誘導体
ヒドロキシプロピルキトサン
市販品としてキトフィルマー(一丸ファルコス社製)等が挙げられる。
カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、キトサンとピロリドンカルボン酸、乳酸、グリコール酸等の一価酸又はアジピン酸、コハク酸等の二価酸との塩
市販品として、カイトマーPC(ピロリドンカルボン酸塩)、カイトマーL(乳酸塩)(以上、ユニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
【0045】
これらのセットポリマーの中で、アクリル系ポリマー及びビニルピロリドン系ポリマーから選ばれるセットポリマーが特に好ましい。セットポリマーの含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0046】
本発明のオルガノポリシロキサンを含有する毛髪化粧料には、上記以外の成分として、通常毛髪化粧料に適用される界面活性剤、油分、多価アルコール、香料、パール化剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、各種薬効剤(トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤)、メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤、リンゴ酸、乳酸、クエン酸等のpH調整剤等を、目的、用途、剤型等に応じて適宜選択され配合される。
【0047】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤を含有させることができる。
【0048】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、下記一般式(5)で表されるものが好ましい。
【0049】
【化7】

【0050】
〔式中、R8は炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、mは1〜25の数を示す。〕
【0051】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。中でも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0052】
カチオン界面活性剤としては、炭素数16以上のモノ又はジ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0053】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニ
ルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカン
スルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩
、α−スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
界面活性剤の含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
【0054】
油分としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸、セタノール等の高級アルコール、コレステロール、ワセリン、コレステリルイソステアレート、スフィンゴ脂質等の固体脂、スクワレン、ホホバ油、その他シリコーン誘導体等の液体脂等が挙げられる。油分の含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ソルビトール等が挙げられる。多価アルコールの含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.5〜15質量%である。また、水、エタノール以外の溶剤として、ベンジルアルコール、2−ベンジロキシエタノール、N−アルキルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等を含有することができる。これら溶剤の含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.01〜30質量%、更に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
【0056】
本発明の毛髪化粧料は、常法にしたがい各種剤型に調製することができ、例えば、ミスト、ローション、トニック等の液状組成物だけなく、ゲル状、クリーム状、ワックス状等の半固形状組成物とすることができる。また、エアロゾルとするときには、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン等の揮発性炭化水素、ジメチルエーテル、二酸化炭素、窒素、空気等の噴射ガスを含有させることができる。使用目的等に応じて剤型と配合成分とを適宜選択することで、例えば、毛髪洗浄剤組成物や毛髪コンディショニング組成物、更には半固形状整髪組成物とすることができる。
これらの毛髪化粧料の毛髪への塗布手段は、剤型の種類によって一様ではないが、通常スプレー等の噴射、手による塗布及びその両者の組合せ等が行われる。また、塗布後の溶媒の除去は、自然乾燥、加熱等により行うのが好ましい。毛髪を所望の形状にセットするには、塗布後乾燥までの間に形づけをするのが望ましい。形づけは、通常ブラシ等による方法、ドライヤー、フラットアイロン、カーラーによる方法等が採用される。
【実施例】
【0057】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、オルガノポリシロキサンセグメントの含有率とは核磁気共鳴法(1H-NMR)から求めた値であり、また最終生成物の重量平均分子量は計算値である。ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求めた、数平均分子量である。
【0058】
Column :K-804L+K-804L
溶離液 :1mmol/LファーミンDM20(花王(株)製)/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :RI
サンプル量:5mg/mL,100μL
ポリスチレン換算
【0059】
実施例1
硫酸ジエチル8.1g(0.053モル)と2−エチル−2−オキサゾリン45.8g(0.48モル)を脱水した酢酸エチル115gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量を、GPCにより測定すると、1400であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(150g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は65質量%、重量平均分子量は49000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0060】
実施例2
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル9.3g(0.060モル)と2−エチル−2−オキサゾリン37.8g(0.40モル)、脱水した酢酸エチル100gから、数平均分子量1100のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量1750)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(141g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は68質量%、重量平均分子量は47000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0061】
実施例3
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン36.4g(0.39モル)、脱水した酢酸エチル91gから、数平均分子量1400のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量20000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(137g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は70質量%、重量平均分子量は29000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0062】
実施例4
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量40000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は56000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0063】
実施例5
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.2g(0.040モル)と2−エチル−2−オキサゾリン20.4g(0.22モル)、脱水した酢酸エチル57gから、数平均分子量900のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量35000、アミン当量2600)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(123g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は79質量%、重量平均分子量は51000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0064】
実施例6
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル8.1g(0.053モル)と2−エチル−2−オキサゾリン39.0g(0.41モル)、脱水した酢酸エチル100gから、数平均分子量1200のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(143g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は68質量%、重量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0065】
実施例7
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル4.6g(0.030モル)と2−エチル−2−オキサゾリン17.3g(0.18モル)、脱水した酢酸エチル47gから、数平均分子量1000のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量65000、アミン当量3500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(118g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は82質量%、重量平均分子量は79000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0066】
実施例8
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル4.6g(0.030モル)と2−エチル−2−オキサゾリン28.7g(0.30モル)、脱水した酢酸エチル71gから、数平均分子量1500のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量37000、アミン当量3500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(129g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は75質量%、重量平均分子量は49000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0067】
実施例9
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン36.4g(0.39モル)、脱水した酢酸エチル91gから、数平均分子量1400のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量70000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(140g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は70質量%、重量平均分子量は100000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0068】
実施例10
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約22質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0069】
実施例11
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン20.1g(0.21モル)、脱水した酢酸エチル57gから、数平均分子量900のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量36000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(124g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は79質量%、重量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約21質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0070】
実施例12
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル10.1g(0.066モル)と2−エチル−2−オキサゾリン43.7g(0.46モル)、脱水した酢酸エチル115gから、数平均分子量1100のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量1600)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(148g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は65質量%、重量平均分子量は49000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0071】
実施例13
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン20.1g(0.21モル)、脱水した酢酸エチル57gから、数平均分子量900のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量19000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(122g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は79質量%、重量平均分子量は25000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0072】
実施例14
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量19000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(135g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は27000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0073】
実施例15
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量80000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(135g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は113000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0074】
比較例1
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル8.7g(0.056モル)と2−エチル−2−オキサゾリン55.3g(0.59モル)、脱水した酢酸エチル136gから、数平均分子量1600のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量90000、アミン当量1870)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(159g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は61質量%、重量平均分子量は148000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0075】
比較例2
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル8.1g(0.053モル)と2−エチル−2−オキサゾリン50.6g(0.54モル)、脱水した酢酸エチル125gから、数平均分子量1500のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(154g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は63質量%、重量平均分子量は51000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0076】
比較例3
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量8000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色水飴状半固体(137g、収率97%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%であり、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は11000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0077】
比較例4
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量110000、アミン当量2500)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(135g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%であり、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は155000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0078】
比較例5
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル8.1g(0.053モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.4g(0.13モル)、脱水した酢酸エチル44gから、数平均分子量500のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量40,000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(116g、収率96%)として得た。このものは各種溶媒に不溶の固体であった。
【0079】
比較例6
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル1.5g(0.010モル)と2−エチル−2−オキサゾリン39.4g(0.42モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量5800のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量26000、アミン当量11000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(135g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、平均分子量は37000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0080】
比較例7
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル4.5g(0.029モル)と2−エチル−2−オキサゾリン36.3g(0.39モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1900のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量35000、アミン当量3600)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(135g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は49000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0081】
比較例8
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル8.1g(0.053モル)と2−エチル−2−オキサゾリン18.5g(0.20モル)、脱水した酢酸エチル57gから、数平均分子量700のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量80000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(120g、収率95%)として得た。このものは各種溶媒に不溶の固体であった。
【0082】
比較例9
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル3.2g(0.021モル)と2−エチル−2−オキサゾリン92.8g(0.98モル)、脱水した酢酸エチル205gから、数平均分子量5200のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量50000、アミン当量3800)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(188g、収率96%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は51質量%であり、重量平均分子量は98000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約24質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0083】
比較例10
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2700のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0084】
比較例11
実施例1と同様の方法により、硫酸ジエチル0.6g(0.004モル)と2−エチル−2−オキサゾリン3.6g(0.04モル)、脱水した酢酸エチル9gから、数平均分子量1200のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(95g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は96質量%であり、重量平均分子量は104000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約30質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0085】
実施例1〜15で得られたオルガノポリシロキサンの物性を表1に、また比較例1〜11で得られたオルガノポリシロキサンの物性を表2に、それぞれ示す。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
a/b:オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比
MWsi:主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量
MWox:ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量
MWg :隣接するポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント間における、オルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量
MWt :オルガノポリシロキサンの重量平均分子量
【0089】
(評価試験)
実施例1〜15及び比較例1〜11で得られたオルガノポリシロキサンについて下記の評価試験を行った。実施例1〜15の結果を表4に、比較例1〜11の結果を表5に、それぞれ示す。
【0090】
(1)伸張性
オルガノポリシロキサンの10質量%エタノール溶液を調製し、エタノールを自然蒸発させて、長さ20mm、巾5mm、厚さ1.0mmのポリマー皮膜を作製した。
この皮膜を、温度20℃、相対湿度65%の条件下、引張試験機(テンシロン型引張試験機、形式 RTC-1210A、株式会社 オリエンテック製)により伸張速度50mm/分で長手方向に300%伸張させた。伸張率300%で3分間静置した後の皮膜について、破断していないものを○、破断したものを×と評価した。
【0091】
(2)カール保持力
長さ25cm(L0)、質量4gの日本人ストレート未処理毛の毛束を表3に示す組成のモデルシャンプー(以下、同様である)で洗浄後タオルドライしたものを用意した。
次いで、オルガノポリシロキサン濃度5質量%のエタノール溶液0.4gをミスト状にして上述の毛束に均一に塗布し、直径2cmのガラスの円柱に巻きつけた。20℃、相対湿度60%の条件下で8時間自然乾燥後、円柱から外して毛束の片端を固定して吊るし、長さ(L1)を測定した。次いで、目の細かい整髪用のくし(ニューデルリンコーム、株式会社植原セル製)を10回丁寧に毛束に通した後、毛束の片端を固定して吊るし、長さ(L2)を測定した。
得られた測定値からカール保持率(%)を下記式(III)により求め、82%以上で◎、82%未満、77%以上で○、77%未満、75%以上で△、75%未満を×と評価した。
【0092】
[(L0−L2)/(L0−L1)]×100 (III)
【0093】
【表3】

【0094】
(3)毛髪の柔らかさ
長さ20cm、重さ4gの日本人パーマ処理毛の毛束をモデルシャンプーで洗浄後、タオルドライしたものを用意した。
次いで、オルガノポリシロキサン濃度5質量%のエタノール溶液0.4gをミスト状にして上述の毛束に均一に塗布し、4時間自然乾燥後、専用パネラー5人による官能評価を行った。評価点は「柔らかいと感じる」を5点、「やや柔らかいと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまり柔らかいと感じない」を2点、「柔らかいと感じない」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×と評価した。
【0095】
(4)洗浄性
乾燥した長さ25cm、重さ4gの日本人パーマ処理毛の毛束に、オルガノポリシロキサン濃度5質量%のエタノール溶液0.4gをミスト状にして均一に塗布し、ドライヤー乾燥した。次いで、モデルシャンプー1gを塗布し40℃の水道水で洗い流した後にドライヤー乾燥した。
この操作を14回繰り返したあと、コントロール毛束としてポリマー処理履歴のない毛束と感触を比較してオルガノポリシロキサンの残留度合いを評価した。評価は、専門パネラー5人による官能評価とし、コントロール毛束と比較して、「差がない」を5点、「あまり差がない」を4点、「どちらともいえない」を3点、「やや差がある」を2点、「差がある」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×と評価した。
【0096】
(5)エタノール可溶性
エタノールにオルガノポリシロキサンを40質量%以上均一に溶解可能、又は均一分散可能な場合を○、それ以外を×と評価した。
【0097】
(6)水分散性
精製水にオルガノポリシロキサンを30質量%以上溶解可能、又は均一分散可能な場合を○、それ以外を×と評価した。
【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
実施例16〜20及び比較例12〜13
表6に示す組成の毛髪化粧料を調製し、下記の方法及び基準にしたがって「セット性」、「セットの持続性」、「セット後の毛の柔らかさ」を評価した。評価結果を表6に併せて示す。なお、表中の各成分の配合量は質量%である。
【0101】
(評価方法)
1)「セット性」の評価
毛髪の長さがミディアム(髪が肩にかかる程度の長さ)でパーマがかかっている専門パネラー5人の頭髪をモデルシャンプーで洗浄後、ドライヤーで乾燥し、美容師が適量の整髪ワックスを塗布して整えた。
その後、各パネラーがセット性について官能評価を行った。 評価点は「セット性が良いと感じる」を5点、「ややセット性が良いと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまりセット性が良いと感じない」を2点、「セット性が良いと感じない」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×とした。
【0102】
2)「セットの持続性」の評価
毛髪の長さがミディアム(髪が肩にかかる程度の長さ)でパーマがかかっている専門パネラー5人の頭髪をモデルシャンプーで洗浄後、ドライヤーで乾燥し、美容師が適量の整髪ワックスを塗布して整えた。
その後、4時間普通に過ごしてもらい、各パネラーがセットの持続性について官能評価を行った。評価点は「セット持ちが良いと感じる」を5点、「ややセット持ちが良いと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまりセット持ちが良いと感じない」を2点、「セット持ちが良いと感じない」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×とした。
【0103】
3)「セット後の毛の柔らかさ」の評価
毛髪の長さがミディアム(髪が肩にかかる程度の長さ)でパーマがかかっている専門パネラー5人の頭髪をモデルシャンプーで洗浄後、ドライヤーで乾燥し、美容師が適量の整髪ワックスを塗布して整えた。
その後、各パネラーがセット後の毛髪の柔らかさについて官能評価を行った。評価点は「毛髪が柔らかいと感じる」を5点、「やや毛髪が柔らかいと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまり毛髪が柔らかいと感じない」を2点、、「毛髪が柔らかいと感じない」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×とした。
【0104】
【表6】

【0105】
*1:実施例10で得られたオルガノポリシロキサン
*2:実施例11で得られたオルガノポリシロキサン
*3:比較例6で得られたオルガノポリシロキサン
*4:カーボポールETD-2020(Noveon,Inc.)
*5:シリコーン SH200C FLUID 5000CS(東レ・ダウコーニング社)
【0106】
実施例21〜23及び比較例14
表7に示す組成の毛髪化粧料(乳化クリームタイプ、ソフト)を調製し、上記の方法及び基準にしたがって「セット性」、「セットの持続性」を評価し、また下記の方法及び基準にしたがって「セット後の毛髪の滑らかさ」を評価した。評価結果を表7に併せて示す。なお、表中の各成分の配合量は質量%である。
【0107】
「セット後の毛髪の滑らかさ」の評価
(評価方法)
毛髪の長さがミディアム(髪が肩にかかる程度の長さ)でパーマがかかっている専門パネラー5人の頭髪をモデルシャンプーで洗浄後、ドライヤーで乾燥し、美容師が適量の整髪ワックスを塗布して整えた。
その後、各パネラーがセット後の毛髪の滑らかさについて官能評価を行った。評価点は「毛髪が滑らかだと感じる」を5点、「やや毛髪が滑らかだと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまり毛髪が滑らかだと感じない」を2点、「毛髪が滑らかだと感じない」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×とした。
【0108】
【表7】

【0109】
*1:実施例10で得られたオルガノポリシロキサン
*2:実施例11で得られたオルガノポリシロキサン
*3:シリコーン SH200C FLUID 5000CS(東レ・ダウコーニング社)
*4:レオドールMS−60(花王)
【0110】
実施例24〜26及び比較例15〜16
表8に示す組成の毛髪化粧料(乳化クリームタイプ、ハード)を調製し、上記の方法及び基準にしたがって「セット性」、「セットの持続性」を評価し、また下記の方法及び基準にしたがって「セット後の毛髪のベタツキのなさ」を評価した。評価結果を表8に併せて示す。なお、表中の各成分の配合量は質量%である。
【0111】
「セット後の毛髪のベタツキのなさ」の評価
(評価方法)
毛髪の長さがミディアム(髪が肩にかかる程度の長さ)でパーマがかかっている専門パネラー5人の頭髪をモデルシャンプーで洗浄後、ドライヤーで乾燥し、美容師が適量の整髪ワックスを塗布して整えた。
その後、各パネラーがセット後の毛髪のべたつきのなさについて官能評価を行った。評価点は「ベタつきがないと感じる」を5点、「あまりベタつきがないと感じる」を4点、「どちらともいえない」を3点、「ややベタつきがあると感じる」を2点、「べたつくと感じる」を1点とし、5人の合計点が、22点以上で◎、22点未満、17点以上で○、17点未満、11点以上で△、11点未満を×とした。
【0112】
【表8】

【0113】
*1:実施例10で得られたオルガノポリシロキサン
*2:実施例11で得られたオルガノポリシロキサン
*3:比較例6で得られたオルガノポリシロキサン
*4:レオドールMS−60(花王)
【0114】
本発明のオルガノポリシロキサンを含む毛髪化粧料の調製例を下記に示す。
【0115】
調製例1(ポンプスプレー)
(質量%)
オルガノポリシロキサンA(実施例10) 0.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.25
グリセリン 1.0
エタノール 4.5
香料 0.02
水 残量
【0116】
調製例2(ポンプミスト)
(質量%)
オルガノポリシロキサンA(実施例10) 0.2
オルガノポリシロキサンB(実施例11) 0.2
ポリビニルピロリドン 3.0
エタノール 10.0
香料 0.05
水 残量
【0117】
調製例3(ヘアージェル)
(質量%)
オルガノポリシロキサンA(実施例10) 1.2
オルガノポリシロキサンC(実施例6) 1.5
グリセリン 2.0
ヒドロキシエチルセルロース 2.0
エタノール 10.0
香料 0.05
水 残量
【0118】
調製例4(ヘアーローション)
(質量%)
オルガノポリシロキサンA(実施例10) 0.2
オルガノポリシロキサンD(実施例4) 0.2
グリセリン 1.0
エタノール 10.0
香料 0.02
水 残量
【0119】
調製例5(ヘアーローション)
(質量%)
オルガノポリシロキサンB(実施例11) 0.2
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1
ポリエチレングリコール400 0.45
エタノール 4.5
水 残量
【0120】
調製例6(ポンプフォーム)
(質量%)
オルガノポリシロキサンA(実施例10) 1.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(16E.O.) 1.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1
グリセリン 1.0
エタノール 4.0
香料 0.02
水 残量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【化1】

(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が800〜1600であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)が65/35〜82/18であり、
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が10,000〜100,000である、
オルガノポリシロキサン。
【請求項2】
請求項1に記載のオルガノポリシロキサンを含有する、毛髪化粧料。
【請求項3】
更に、水及び/又は炭素数1〜6の低級アルコールを含有する、請求項2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更に、セットポリマーを含有する、請求項2又は3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
半固形状整髪剤組成物である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−24114(P2009−24114A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190245(P2007−190245)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】