説明

オレフィン重合のための複合触媒系

複合触媒系を開示している。この触媒系は触媒Aおよび触媒Bを含む。触媒Aは、担持された架橋したインデノインドリル遷移金属錯体を含む。触媒Bは、担持された非架橋のインデノインドリル遷移金属錯体を含む。本発明の触媒系は、二峰性または多峰性分子量分布を有するポリオレフィンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合触媒系に関する。より具体的には、本発明は担持された架橋したインデノインドリル金属錯体と、担持された非架橋のインデノインドリル金属錯体とを含む複合触媒系に関する。
【背景技術】
【0002】
シングルサイトポリオレフィンは、狭い分子量分布および均一な組成分布を有する(すなわちコモノマー反復単位がポリマー鎖に沿って均一に分布している)。狭い分子量分布と均一な組成分布との組合せが、シングルサイトポリオレフィンを、チーグラーまたはクロム触媒により製造した従来のポリオレフィンと区別している。チーグラーポリオレフィンと比較して、シングルサイトポリオレフィンは改良された耐衝撃性、引張り強さ、および光学的性質を有する。
【0003】
しかし、分子量分布の均一性は、シングルサイトポリオレフィンの低い熱加工性を招いている。チーグラーポリオレフィンに通常使用される条件下ではシングルサイトポリオレフィンを加工することが困難である。加工条件を変更するにはしばしば大きな資本投資を要するので、低い熱加工性によって、シングルサイトポリオレフィンの開発が制約される。したがって、シングルサイト触媒により提供される改良された物理的性状を有し、かつ従来のポリオレフィンの加工特性と同様な加工特性も示すポリオレフィンを調製することが極めて望ましいであろう。
【0004】
この目標を達成する1つの取組みは、混合触媒系を使用することである。例えば米国特許第5747594号は、二段階重合方法を教示している。第1段階では、シングルサイト触媒によりエチレンと高級α−オレフィンとを重合させる。第2段階において重合が継続し、その場合チーグラー触媒が使用される。したがって、生成物はシングルサイトポリオレフィンとチーグラーポリオレフィンとの混合物である。2つのポリマーの分子量および組成における不一致が、生成物に改良された熱加工性をもたらす。また、米国特許第6127484号も、第1の反応帯域でシングルサイト触媒、その後の反応帯域でチーグラー触媒を使用する多反応帯域方法を教示している。
【0005】
他の代替的取組みは、異なった活性化剤を有し作動している2つの異なった重合反応器内で、シングルサイト触媒を使用することである。例えば、一方の反応器内でアルモキサンを使用し、他方の反応器内でイオン性活性化剤を使用している。異なった活性化剤の使用は、異なった反応器内で製造され、異なった分子量を有するポリオレフィンをもたらし、したがって組み合わされたポリオレフィンは広い分子量分布と改良された加工性を有する。米国特許第6372864号を参照されたい。
【0006】
しかし、混合触媒または活性化剤の使用は、一般に操作性の問題に関連している。2つの異なった触媒または活性化剤は、互いに干渉する恐れがある。例えば、チーグラー触媒中にしばしば使用される有機アルミニウム化合物は、シングルサイト触媒を被毒させる。したがって、2つの非融和性触媒系を使用する場合、触媒の失活がしばしば包含される。触媒失活は費用がかかり、かつ複雑である。米国特許第5371053号および第5442019号を参照されたい。
【0007】
要約すると、新たな触媒系が必要とされている。理想的には、この触媒系は、二峰性または多峰性の分子量分布を有するポリオレフィンを生成させるであろう。理想的には、この触媒系は、単一段階のまたは単一反応器の方法で二峰性または多峰性ポリオレフィンを生成させるであろう。
[発明の概要]
本発明は複合触媒系である。この触媒系は触媒Aおよび触媒Bを含む。触媒Aは架橋したインデノインドリル遷移金属錯体を含み、一方触媒Bは非架橋のインデノインドリル遷移金属錯体を含む。触媒Aおよび触媒Bの双方は担持されている。
【0008】
本発明の触媒系により、多段階のまたは多反応器の方法を使用する必要なく、二峰性または多峰性分子量分布を有するポリオレフィンが生成される。2つの非融和性触媒(チーグラーおよびシングルサイトなど)を含有する、知られている複合触媒系と異なり、本発明の触媒系は、触媒Aと触媒Bとが融合性なので、操業上の不都合をもたらさない。さらに、触媒Aおよび触媒Bの双方がシングルサイト触媒なので、生成されたポリオレフィンはシングルサイトポリオレフィンの特性を残しているが、二峰性または多峰性の分子量分布であるため、改良された熱加工性を有する。
[発明の詳細な説明]
本発明の触媒系は、触媒Aおよび触媒Bを含む。
【0009】
触媒Aは、架橋したインデノインドリル遷移金属錯体を含む。この架橋した錯体は、一般構造I、II、III、またはIV:
【0010】
【化1】

【0011】
を有することが好ましい。
【0012】
Mは遷移金属である。Mが第4族遷移金属であることが好ましい。MがZrまたはTiであることがより好ましい。
【0013】
Gは架橋している基であり、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、メチレン、エチレン、イソプロピリデン、およびジフェニルメチレンからなる群から選択されることが好ましい。Gがジメチルシリル、メチレン、エチレン、およびイソプロピリデンからなる群から選択されることがより好ましい。
【0014】
Lは、GおよびMに共有結合している配位子である。Lがシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、ボラアリー、ピロリル、アザボロリニル、キノリニル、インデノインドリル、ホスフィンイミン、およびアルキルアミノからなる群から選択されることが好ましい。Lが、シクロペンタジエニル、およびアルキルアミノから選択されることがより好ましい。
【0015】
Rは、アルキル、アリール、アラルキル、ボリル、およびシリル基からなる群から選択することができる。好ましいRには、メチル、およびジメチルシリルが含まれる。
【0016】
Xは、活性な配位子であり、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン化物、ジアルキルアミノ、およびシロキシ基からなる群から選択されることが好ましい;nは、Mの原子価を満たす配位子Xの数である。
【0017】
場合によって、1つまたは複数の架橋した錯体の残りの環原子が、独立に置換される。適切な置換基には、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、シリル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、ニトロ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ基、およびチオエーテルなど、それらの混合物、が含まれる。
【0018】
架橋した錯体は、担体上に固定化される。この担体は、無機酸化物および塩化物ならびに有機ポリマー樹脂などの多孔性材料であることが好ましい。好ましい無機酸化物には、第2、3、4、5、13、または14族元素の酸化物が含まれる。好ましい担体には、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム、および架橋ポリスチレンが含まれる。シリカが最も好ましい。
【0019】
この担体は、2〜800m2/g、好ましくは50〜500m2/g、の範囲における表面積、0.1〜4.0mL/gの範囲における細孔容積、10〜500μmの範囲における平均粒径、および10〜1000Åの範囲における平均細孔直径を有することが好ましい。それらは熱処理、化学変性、またはその両方により改質するのが好ましい。熱処理のためには、担体を温度50℃〜800℃に加熱することが好ましい。この温度は100℃〜600℃であるのがより好ましい。
【0020】
適切な化学変性剤には、有機アルミニウム、有機ケイ素、有機マグネシウム、および有機ホウ素化合物が含まれる。ヘキサメチル−ジシラザン、およびトリエチルボランなどの有機ケイ素および有機ホウ素化合物が好ましい。シングルサイト触媒を担持する適切な技術は知られている。例えば米国特許第6211311号は、ヘテロ原子配位子を含有するシングルサイト触媒の担持について考察している。担持された錯体は気相およびスラリ重合に適している。
【0021】
場合によって触媒Aは活性化剤をさらに含む。適切な活性化剤には、アルモキサン、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハロゲン化物、ホウ素またはアルミニウムのアニオン性化合物、トリアルキルホウ素およびトリアリールホウ素化合物が含まれる。例としては、メチルアルモキサン(MAO)、高分子MAO(PMAO)、エチルアルモキサン、ジイソブチルアルモキサン、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオロ−フェニル)アルミン酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリチル、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルボラン、トリ−n−オクチルボランなど、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい活性化剤にはMAO、PMAO、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、およびテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリチルがある。
【0022】
活性化剤は、架橋した錯体と組み合せることができ、次いでこの混合物は担体上に固定化される。別法として、活性化剤と錯体とは、別個に担体に加えることができる。活性化剤は、錯体1モル当たり0.01〜100,000、好ましくは0.1〜1,000、最も好ましくは0.5〜300、モルの範囲内にある量で一般に使用される。
【0023】
触媒Bは、非架橋のインデノインドリル遷移金属錯体を含む。この非架橋の錯体は、一般構造VまたはVI:
【0024】
【化2】

【0025】
または
【0026】
【化3】

【0027】
を有することが好ましい。
【0028】
錯体VおよびVIについて適切なR、M、L、X、およびnは、上記において考察しているものと同一である。場合によって、この錯体の1つまたは複数の残りの環原子を置換することができる。適切な置換基は、やはり上記において考察しているものである。
【0029】
この非架橋の錯体は、担体上に固定化される。適切な担体は、上記において考察している。
【0030】
場合によって触媒Bは活性化剤をさらに含む。適切な活性化剤は、上記において考察している。
【0031】
触媒A/触媒Bの比率は重要ではない。A/B重量比は、99/1〜1/99の範囲内にあることが好ましい。この比率は80/20〜20/80の範囲内にあることがより好ましい。この比率は70/30〜30/70の範囲内にあることが最も好ましい。
【0032】
本触媒系は、α−オレフィン重合に使用される。適切なα−オレフィンにはC210α−オレフィンが含まれる。例はエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、およびそれらの混合物である。単一のα−オレフィンを使用する場合、ホモポリマーが生成される。本発明の方法により製造することができる特に興味あるホモポリマーには、ポリエチレンおよびポリプロピレンが含まれる。2種以上のオレフィンを使用する場合、コポリマーが生成される。特に興味あるコポリマーには、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、または1−オクテンとのエチレンのコポリマーが含まれる。
【0033】
本触媒系は、気相またはスラリ重合において使用するのが好ましい。この重合はバッチ方式でまたは連続的に実施することができる。一方法において、この重合はバッチ方式で行われ、その場合、触媒Aおよび触媒Bを分散させている反応器中に、オレフィンを徐々に供給するのが好ましい。他の方法において、重合は連続的に行われ、その場合、オレフィンと触媒系の両方を反応器中に連続的に供給し、ポリマー生成物を連続的に反応器から取り出している。
【0034】
この重合において追加的な量の活性化剤を使用することができる。適切な活性化剤は上記において考察している。水素などの連鎖移動剤を使用して、生成物の分子量を制御することができる。使用する水素の割合は変動させることができる。例えば、より少ない水素を使用すると、より高い分子量のポリマーが生成されるであろう。0.001/1〜100/1の範囲内にある水素/オレフィンモル比を使用することが好ましい。水素/エチレンモル比は0.01/1〜10/1の範囲内にあることがより好ましい。
【0035】
重合は、圧力下で実施することが好ましい。この圧力は、10〜15,000psi、より好ましくは50〜1,000psi、最も好ましくは100〜500psi、の範囲にあることが好ましい。一般に、圧力が高いほど、工程はより生産性がよくなる。重合温度は、30℃〜250℃、より好ましくは60℃〜100℃、の範囲内にあることが好ましい。
【0036】
本発明により、多段階または多反応器方法を用いることなく二峰性または多峰性の分子量分布を有するポリオレフィンが有利に生成される。
【0037】
下記の実施例は、本発明を単に例示するものである。本分野の技術者は、本発明の精神および本特許請求範囲の適用範囲内にある多くの変形形態を認めるであろう。
【0038】
実施例1
架橋した錯体VIIを有する触媒の調製
(a)インデノ[1,2−b]インドールの調製。
EtOH(350mL)中の1−インダノン(30.6g、232ミリモル)とp−トリルヒドラジン塩酸塩(37.0g、233ミリモル)との混合物、およびHCl水溶液(12N、18mL)を加熱して90分間還流させる。この混合物を冷却しかつ濾過し、その固体をEtOH(600mL)で、続いて20%EtOH水溶液(400mL)で、最後にヘキサン(200mL)で洗浄する。オフホワイト(帯灰白色)固体を真空下で乾燥して、生成物(a)(36.5g、72%)を生じさせる。
【0039】
(b)生成物(a)のN−メチル化。
生成物(a)(36.5g、166ミリモル)と、NaOH水溶液(112mL、20M、2.2モル)と、C1633NMe3Br(0.65g、1.78ミリモル)と、トルエン(112mL)との混合物を室温で激しく攪拌する。トルエン(15mL)中のMelの溶液(17.0mL、273ミリモル)を1滴ずつ添加し、この混合物を室温で4時間攪拌し、3時間還流させる。冷却すると結晶質固体が形成され、この固体を濾過し、冷(−78℃)EtOH(300mL)で、続いてヘキサン(100mL)で洗浄する。層を分離し、水性部分をトルエン(100mL×2回)で洗浄する。有機物を合わせてNa2SO4上で乾燥しかつ濾過する。真空下で揮発物を除去し、沈殿を乾燥し、結晶質生成物と合わせる(合計収量25.7g、66%)。
【0040】
(c)架橋した配位子調製。
乾燥エーテル(70mL)中の生成物(b)(4.66g、21ミリモル)溶液に、n−ブチルリチウム(8mL、ヘキサン中2.5M液、20ミリモル)を1滴ずつ添加する。2時間後この溶液を、エーテル(30mL)中のジクロロジメチルシラン(5.20g)溶液にゆっくり添加する。室温での攪拌2時間後、この混合物を濾過し、蒸発させる。残渣をエーテル(60mL)中に再溶解させ、リチウムt−ブチルアミドのエーテル溶液(t−ブチルアミン(1.46g)とn−ブチルリチウム(2.5M溶液8mL)とから通常の方法で調製する。)を1滴ずつ添加する。この混合物を3時間攪拌し、次いでCelite濾過助剤を通し濾過する。濾液を濃縮した後、ペンタンでその残渣を収集し、−30℃まで冷却する。架橋した配位子の収量:6g(82%)。
【0041】
(d)開放構造錯体の調製。
架橋した配位子(c)(6g)をエーテル(120mL)中に溶解し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M溶液13.5mL)を添加する。室温で1晩にわたって攪拌後、メチルリチウム(エーテル中の1.4M溶液24.5mL)を添加し、この混合物を−30℃まで冷却する。四塩化チタンビス(テトラヒドロフラン)錯体(5.66g)を添加し、攪拌を3時間継続する。この混合物を濾過し、その濾液を濃縮する。その残渣を、熱ヘプタン(100mL×2回)で抽出する。合わせた濾液を蒸発させ、その残渣をペンタンにより結晶化させ、−30℃まで冷却する。生成物、すなわち錯体、は暗茶褐色固体である。収量:4.67g。
【0042】
1H NMRスペクトルは、提示している構造:
【0043】
【化4】

【0044】
に一致する。
【0045】
(e)シリカ上に錯体の担持:
シリカ(Davison社G955)を600℃で12時間仮焼する。窒素下のグローブ−ボックス内で、トルエン(2.0mL)中のメチルアルモキサン(MAO)の30重量%溶液を、さらなるトルエン4.0mLで希釈し、次いで0.037gの錯体VIIと混合して、溶液を生成させる。この溶液を、室温で効率的に攪拌しながら1.30gの仮焼シリカに添加する。添加が完了した後、室温で1時間攪拌を継続する。室温において真空(Hg約28.5インチ、2時間)下で揮発物を除去する。収量:担持された触媒1.95g。
【0046】
実施例2
非架橋の錯体VIIIを有する触媒の調製
窒素下のグローブ−ボックス内で、実施例1において記述しているように調製したN−メチル化インデノ[1,2−b]インドール(14.2g、60.9ミリモル)を、トルエン(175mL)中に溶解させる。室温における激しい攪拌下で注意深くn−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M溶液38.0mL、95ミリモル)を添加して、赤色溶液をもたらす。1時間後、沈殿が生成する。この混合物を1晩にわたり室温に保持し、次いで濾過し、トルエン(100mL)により次いでヘプタン(200mL)により洗浄する。グローブボックス内において窒素下で粘着性生成物を乾燥し、収集し、真空下で乾燥する。
【0047】
上記において生成したインデノ[1,2−b]インドリルリチウム塩の試料(10g、42ミリモル)をトルエン(95mL)中に溶解させて、橙色スラリを生成させる。ジエチルエーテル(35mL)をゆっくり添加して、橙色溶液とする。室温で攪拌しながらこの溶液を、トルエン(190mL)中のシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド(11g、42ミリモル)およびジエチルエーテル(190mL)のスラリに、15分にわたって添加する。この混合物は深赤色に変り、これを1晩にわたり室温に保持する。このスラリを濾過して赤色固体を回収し、トルエン(200mL)で洗浄し、かつ真空下で乾燥する。錯体VIIIの収量:16.5g、78%。1H NMRスペクトルは、提示している構造:
【0048】
【化5】

【0049】
に一致する。実施例1の手順(e)により、錯体VIII 0.019gをMAOと混合し、シリカ上に担持させる。
【0050】
実施例3
複合触媒系の調製
実施例1において調製した担持された触媒0.50gと、実施例2において調製した他方の担持された触媒0.50gとをブレンドすることにより、実施例3の複合触媒を調製した。
【0051】
比較実施例4
2つの錯体の混合と次にシリカ上への担持とによる触媒の調製
実施例1の手順(e)により、シリカ上における混合した錯体とMAOとによる触媒を調製した。単一の錯体の代わりに、錯体VII 0.037gおよび錯体VIII 0.019gを、希釈したMAOと一緒に混合し、次いでシリカ上に担持させている。
【0052】
実施例5
実施例3の複合触媒によるエチレン重合
1リットルステンレス鋼製反応器に、水素(最初に約650psigH2に加圧した10mLステンレス鋼製円筒から、全体として100dpsig)およびヘキセン−1(15mL)を装入する。トリイソブチルアルミニウム(ヘプタン中の1.0M溶液0.5mL、0.5ミリモル)およびヘプタン溶液中のStadis脂肪族アミン(12mg、Akzo Nobel社の製品)を、インジェクターの一方のサイドアーム内において混合する。この混合物を、窒素圧力によりかつイソブタン(約400mL)と共に反応器中に流入させる。次いでエチレンにより350psigまで反応器を加圧する。反応器内容物を80℃で平衡させる。次いで、他方のインゼクタアームに予め装填した実施例3の触媒(0.058g)を、イソブタン(85mL)と共にかつ窒素圧力により反応器中に流入させる。0.5時間、重合を進行させる。反応器に通気し、ポリマーを集め、かつ乾燥させる。ポリマー66.7gが得られる。
【0053】
比較実施例6
比較実施例4の単一触媒によるエチレン重合
実施例3の触媒を実施例4の触媒に変更する点を除いて、実施例5の重合手順を繰り返す。それにより151.6gのポリマーを生じる。このポリマーは単峰性の分子量分布を有する。結果を表1に要約している。
【0054】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)触媒A、担持された架橋したインデノインドリル遷移金属錯体と、
(b)触媒B、担持された非架橋のインデノインドリル遷移金属錯体と
を含み、AおよびBが別個に担持されている複合触媒系。
【請求項2】
触媒Aの錯体が、I、II、III、またはIVの一般構造を有する請求項1に記載の触媒系:
【化1】

[式中、Mは遷移金属であり、Gは架橋基であり、LはGおよびMに共有結合している配位子であり、Rはアルキル、アリール、アラルキル、ボリル、およびシリル基からなる群から選択され、Xはアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン化物、ジアルキルアミノ、およびシロキシ基からなる群から選択され、nはMの原子価を満たし、1つまたは複数の残りの環原子は、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、シリル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、ニトロ、ジアルキルアミノ、またはジアリールアミノ基で場合により独立に置換されている]
【請求項3】
Lが、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、ボラアリー、ピロリル、アザボロリニル、キノリニル、インデノインドリル、ホスフィンイミン、およびアルキルアミノからなる群から選択される、請求項2に記載の触媒系。
【請求項4】
Gが、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、メチレン、エチレン、イソプロピリデン、およびジフェニルメチレンからなる群から選択される、請求項2に記載の触媒系。
【請求項5】
架橋した錯体が、IまたはIIの一般構造を有し、Mが第4族遷移金属であり、Lがアルキルアミドであり、Gがジアルキルシリルである、請求項2に記載の触媒系。
【請求項6】
MがTiまたはZrであり、Lがt−ブチルアミノであり、Gがジメチルシリルであり、Xがハロゲン化物またはアルキルである、請求項5に記載の触媒系。
【請求項7】
架橋した錯体が、IIIまたはIVの一般構造を有し、かつMが第4族遷移金属であり、Lがアルキルアミドであり、Gがジアルキルシリルである、請求項2に記載の触媒系。
【請求項8】
MがTiまたはZrであり、Lがt−ブチルアミノであり、Gがジメチルシリルであり、Xがハロゲン化物またはアルキルである、請求項7に記載の触媒系。
【請求項9】
触媒Bの非架橋の錯体が、以下の一般構造を有する請求項1に記載の触媒系
【化2】

または
【化3】

[式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、ボリル、およびシリル基からなる群から選択され、Mは第4〜6族遷移金属であり、Lは置換されたまたは非置換のシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、ボラアリー、ピロリル、アザボロリニル、キノリニル、インデノインドリル、およびホスフィンイミンからなる群から選択され、Xはアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン化物、ジアルキルアミノ、およびシロキシ基からなる群から選択され、nはMの原子価を満たし、1つまたは複数の残りの環原子は、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、シリル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、ニトロ、ジアルキルアミノ、またはジアリールアミノ基で場合により置換されている]。
【請求項10】
Rがメチルであり、Lがシクロペンタジエニルであり、MがZrであり、Xが塩化物であり、nが2である、請求項9に記載の触媒系。
【請求項11】
触媒Aが、アルモキサン、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハロゲン化物、ホウ素またはアルミニウムのアニオン性化合物、トリアルキルホウ素およびトリアリールホウ素化合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤をさらに含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項12】
活性化剤がアルモキサンである、請求項11に記載の触媒系。
【請求項13】
触媒Bが、アルモキサン、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハロゲン化物、ホウ素またはアルミニウムのアニオン性化合物、トリアルキルホウ素およびトリアリールホウ素化合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される活性化剤をさらに含む、請求項1に記載の触媒系。
【請求項14】
活性化剤がアルモキサンである、請求項13に記載の触媒系。
【請求項15】
触媒Aおよび触媒Bにおける担体がシリカである、請求項1に記載の触媒系。
【請求項16】
請求項1に記載の触媒系の存在下でα−オレフィンを重合させるステップを含む方法。
【請求項17】
二峰性または多峰性分子量分布を有するポリオレフィンを生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
α−オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(a)触媒A、担持された架橋したインデノインドリル遷移金属錯体と、
(b)触媒B、担持された非架橋のインデノインドリル遷移金属錯体と
を含む複合触媒系の存在下でα−オレフィンを重合させるステップを含む方法であって、AおよびBが別個に担持されており、二峰性または多峰性分子量分布を有するポリオレフィンを生成する方法。

【公表番号】特表2007−518834(P2007−518834A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517205(P2006−517205)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018240
【国際公開番号】WO2004/113397
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501391331)エクイスター ケミカルズ、 エルピー (30)
【氏名又は名称原語表記】Equistar Chemicals,LP
【Fターム(参考)】